JP2014095050A - 有機化合物の合成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】マイクロ波による選択加熱を利用して有機化合物を合成する。原料化合物に、水が蒸発し除去される条件でマイクロ波を照射しつつ脱水縮合反応を行わせてもよい。このような方法において、有機化合物がポリエステルであり、原料化合物がジオールおよびカルボン酸であってもよく、有機化合物がポリ乳酸であり、原料化合物が乳酸であってもよい。また、有機化合物の原料となる環状化合物に、この環状化合物が開環される条件でマイクロ波を照射しつつ開環重合反応を行わせてもよい。このような方法において、有機化合物がポリエステルであり、環状化合物が環状エステルであってもよい。さらに、ポリエステルがポリカプロラクトンであり、環状エステルがε−カプロラクトンであってもよい。
【選択図】なし
Description
近年、省エネルギー等の観点から、工業的に有用な有機化合物を、より温和な条件で、短時間で簡素に合成可能な手法の開発が期待されている。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、より温和な条件で、短時間で簡素に目的の有機化合物を得ることが可能な有機化合物の合成方法を提供することを目的とする。
この合成装置20は、第1反応槽21および第2反応槽31を備えている。
第1反応槽21と第2反応槽31とは、連結管Tにより連結されている。
以下、試験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
1)試験方法
<試験例1−1>
触媒としてSc(ОTf)3を用い、ジオールとして3−メチル−1,5−ペンタンジオールを、ジカルボン酸としてアジピン酸を用い、マイクロ波照射により80℃に加熱してポリエステルを合成した。
反応器に触媒を入れ、ジオールとジカルボン酸を14mmolずつ加え磁気撹拌させ、80℃で完全に溶解させ均一溶液にした。減圧度を徐々に上げていき、3.0kPaまで減圧度を上げた。反応開始時間は、3.0kPaで減圧し始めたときと定めた。所定時間毎にサンプルを分取し、SEC測定により分子量を測定した。マイクロ波加熱は、マルチモードマイクロ波照射装置(東京理科器械社製 MWO−1000S、発振周波数2.45GHz)で行い、反応温度はマイクロ波照射装置付属の熱電対で反応系を直接測温した。マイクロ波は、付属の制御ソフトによるPID制御により温度制御を行い照射した。
触媒としてSc(NNf2)3を用いた他は、試験例1−1と同様に試験を行った。
触媒としてSc(ОTf)3を用い、ジオールとして3−メチル−1,5−ペンタンジオールを、ジカルボン酸としてアジピン酸を用い、オイルバスにより80℃に加熱してポリエステルを合成した。
反応器に触媒を入れ、ジオールとジカルボン酸を14mmolずつ加え磁気撹拌させ、80℃で完全に溶解させ均一溶液にした。減圧度を徐々に上げていき、3.0kPaまで減圧度を上げた。反応開始時間は、3.0kPaで減圧し始めたときと定めた。所定時間毎にサンプルを分取し、SEC測定により分子量を測定した。加熱はオイルバスで行い、反応温度はオイルバス内を直接測温した。
触媒としてSc(NNf2)3を用いた他は、比較例1−1と同様に試験を行った。
試験結果を表1および表2に示す。
1)試験方法
<試験例2−1>
触媒としてSc(NNf2)3を用い、環状化合物としてεーカプロラクトンを用い、マイクロ波照射により50℃、60℃、または70℃に加熱してポリカプロラクトンを合成した。
50mlの3つ口フラスコに触媒を1.8×10−2mmol加え、減圧乾燥した。その後、窒素雰囲気下でεーカプロラクトンを2g(17.5mmol)、溶媒としてトルエンを3.72ml、開始剤としてエタノールを25.6μl加えた。マイクロ波加熱を用いて、50、60、または70℃で反応させ、所定時間ごとにサンプリングし、1H NMRにより転化率を算出した。マイクロ波加熱はマルチモードマイクロ波照射装置(東京理科器械社製 MWO−1000S、発振周波数2.45GHz)で行い、反応温度はマイクロ波照射装置付属の熱電対で反応系を直接測温した。マイクロ波は、付属の制御ソフトによるPID制御により温度制御を行い照射した。
触媒としてSc(NTf2)3を用いた他は、試験例2−1と同様に試験を行った。
触媒としてHNNf2を用いた他は、試験例2−1と同様に試験を行った。
触媒としてSc(NNf2)3を用い、環状化合物としてεーカプロラクトンを用い、オイルバスにより50℃、60℃、または70℃に加熱してポリカプロラクトンを合成した。
50mlの3つ口フラスコに触媒を1.8×10−2mmol加え、減圧乾燥した。その後、窒素雰囲気下でεーカプロラクトンを2g(17.5mmol)、溶媒としてトルエンを3.72ml、開始剤としてエタノールを25.6μl加えた。オイルバスを用いて、50、60、または70℃で反応させ、所定時間ごとにサンプリングし、1H NMRにより転化率を算出した。反応温度はオイルバス内を直接測温した。
触媒としてSc(NTf2)3を用いた他は、比較例2−1と同様に試験を行った。
触媒としてHNNf2を用いた他は、比較例2−1と同様に試験を行った。
試験結果を表3に示す。
1)試験方法
<試験例3>
触媒としてSc(ОTf)3を用い、原料化合物として乳酸を用い、マイクロ波照射により加熱してポリ乳酸を合成した。
30mlの反応容器にL−乳酸水溶液(85% aq.)3.18g、触媒を0.1mol%、溶媒としてキシレンを7.36ml加え、マイクロ波照射により加熱して重合を行った。マイクロ波は、電力制御モードで照射した。所定時間ごとにサンプリングし、1H NMR、GPCにより分子量の算出を行った。
なお、Sc(NNf2)3およびHNNf2はいずれも反応系に溶けなかったため、これらの触媒を用いた重合は断念した。
触媒としてSc(ОTf)3を用い、原料化合物として乳酸を用い、オイルバスにより加熱してポリ乳酸を合成した。
30mlの反応容器にL−乳酸水溶液(85% aq.)3.18g、触媒を0.1mol%、溶媒としてキシレンを7.36ml加え、オイルバスにより加熱して重合を行った。オイルバスの温度は用いる溶媒の沸点よりも十分に高い温度とした。所定時間ごとにサンプリングし、1H NMR、GPCにより分子量の算出を行った。
試験結果を表4に示す。
Claims (9)
- マイクロ波による選択加熱を利用した有機化合物の合成方法。
- マイクロ波による極性物質への選択加熱を利用した有機化合物の合成方法。
- 目的とする有機化合物の原料となる原料化合物に、水が蒸発し除去される条件でマイクロ波を照射しつつ脱水縮合反応を行わせるものである、請求項1に記載の有機化合物の合成方法。
- 前記有機化合物がポリエステルであり、前記原料化合物がジオールおよびカルボン酸である、請求項3に記載の有機化合物の合成方法。
- 前記有機化合物がポリ乳酸であり、前記原料化合物が乳酸である、請求項3に記載の有機化合物の合成方法。
- 目的とする有機化合物の原料となる環状化合物に、この環状化合物が開環される条件でマイクロ波を照射しつつ開環重合反応を行わせるものである、請求項1に記載の有機化合物の合成方法。
- 前記有機化合物がポリエステルであり、前記環状化合物が環状エステルである、請求項6に記載の有機化合物の合成方法。
- 前記ポリエステルがポリカプロラクトンであり、前記環状エステルがε−カプロラクトンである、請求項7に記載の有機化合物の合成方法。
- 触媒としてSc(ОTf)3、Sc(NNf2)3、HNNf2、およびSc(NTf2)3のうち少なくとも1種を用いるものである、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の有機化合物の合成方法。
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