JP2014094917A - インフラマソーム活性制御剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】インフラマソーム活性制御剤の提供。
【解決手段】式Iで表される化合物

(式中:実線と波線とで表わされた結合は、単結合又は二重結合で;R1は、H、又はOR1において、Oはそれが結合する炭素原子とともに6員環を構成し、R1は存在せず;R2とR3とは、一方がHであり、他方がH又は糖残基)、グリチルリチン、そのアグリコン、及びそのアグリコンに糖残基を配したもの、ならびに医薬又は食品として許容されるそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分として含有する、インフラマソーム阻害剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、インフラマソーム活性阻害剤に関する。本発明の剤は、インフラマソームの活性に関連した疾患又は状態、例えば、自己炎症性疾患、肥満関連炎症疾患(2型糖尿病、動脈硬化症等)、アレルギー疾患、加齢黄斑変性症、心血管病の処置のために用いることができ、ライフサイエンス、医療、医薬、食品等の分野で有用である。
カスパーゼ1を活性化することで炎症誘導性サイトカインであるIL-1β、IL-18の分泌を司るタンパク複合体、すなわちインフラマソームの存在が確認されて以来、多くの生物学的過程や炎症性疾患におけるインフラマソームの重要性が明らかになってきた(非特許文献1及び2)。
インフラマソームは病原体成分やストレスシグナルに応答して形成されるタンパク質複合体であり、インフラマソームは外来性(細菌、真菌、ウイルス、環境因子など)、内在性(ATP、尿酸結晶、コレステロール結晶、βアミロイド繊維、飽和脂肪酸など)の多くの危険シグナルにより活性化される。これらの危険シグナルに応答するため、インフラマソームはNLRP3, NLRC4, NLRP1などのNod様受容体(Nod-like receptor: NLR)やAIM2等を構成因子として持ち、アダプタータンパク質、カスパーゼ1と共に構成される。NLRタンパク質は外来性、内在性危険シグナル応答に必須な役割を果たすLRRs(leucine-rich repeats)をC末端側に有する。NLRはPAMPs(pathogen-associated molecular patters)及びDAMPs(danger-associated molecular patterns)を認識し、それゆえ病原感染や細胞破壊につながる細胞ストレスの重要なセンサーである。NLRタンパク質が活性化されるとアダプタータンパクASC(apoptosis-associated speck-like protein containing a CARD (caspase recruitment domein)別名PYCARD)を介して結合しているカスパーゼ前駆体が呼び寄せられ、インフラマソームと呼ばれるタンパク複合体になる。このタンパク質複合体は、カスパーゼ1分子同士の近接による自己活性化を引き起こし、IL-1β、IL-18前駆体を特異的に切断し活性体に変換、分泌する。
インフラマソームは病原体関連分子を認識し、生体防御に関与しているが、インフラマソームは無菌炎症時でも体内の危険信号やストレス信号の検出に係わっている。NLRインフラマソームの活性化を起こす物質にはアスベスト、シリカ、アルム、ハイドロキシアパタイト、合金粒子、UV照射、ナイジェリシン(細菌性毒素)などの外因性ストレス、及びATP、尿酸結晶(MSU)、コレステロール結晶、ミトコンドリア傷害、肥満関連因子(飽和脂肪酸、セラミド、高血糖、Alu RNA)等の内因性ストレスが知られており、肥満関連炎症疾患、自己炎症性疾患、虚血傷害、加齢黄斑変性症など多彩な疾患の発症と進行に中心的役割を果たしている。また、AIM2インフラマソームの活性化を引き起こす代表的な物質にPoly(dA:dT)や微生物由来dsDNAがある。
一方、甘草は、漢方では緩和作用、止渇作用があることが知られている。日本薬局方に収載されている甘草は、Glycyrrhiza uralensis Fischer又はGlycyrrhiza glabra Linne(Leguminosae)の根及びストロンで、ときには周皮を除いたもの(皮去りカンゾウ)であり、換算した生薬の乾燥物に対し、グリチルリチン酸(分子式:C42H62O16、分子量:822.93)2.5 % 以上を含むものであるとして規定されている。甘草に含まれる成分としても知られているイソリクイリチゲニン(isoliquiritigenin)、リクイリチゲニン(liquiritigenin)については、最近、インスリン抵抗性等に効果を示したとする報告がある。
Strowing, T. et al. Inflammasomes in health and disease. Nature 481, 278, 2012 実験医学30巻, 第11号, 2012年, 特集インフラマソーム Yang YM, Seo SY, Kim TH, Kim SG. Decrease of miR-122 causes hepatic insulin resistance by inducing protein tyrosine phosphatase 1B, which is reversed by licorice flavonoid. Hepatology. 2012 Jul 17.
インフラマソームは、糖尿病、自己炎症性疾患、動脈硬化、心血管病、加齢黄斑変性症など多彩な疾患の発症と進行に中止的役割を果たしていることが知られている。インフラマソーム情報伝達系を標的とした治療薬の開発は、疾患に対して新たな治療法を提供するものである。
本発明の課題はインフラマソーム情報伝達系を制御することができる、有効で安全な低分子物質を提供することである。また本発明の他の課題は、インフラマソーム制御作用が有効な疾患の予防又は治療のための剤(医薬組成物、機能性食品等)を提供することである。さらに、インフラマソーム制御作用に基づく、炎症性サイトカイン産生抑制剤及び炎症性サイトカイン遺伝子発現抑制剤を提供することである。
本発明者らは、インフラマソーム情報伝達系を抑制する物質について検討を重ねた。その結果、生薬甘草由来のカルコンとその類縁体であるイソフラバノン、及びトリテルペン系サポニンが、インフラマソーム情報伝達系を阻害する活性を有すること見出し、本発明を完成した。
本発明は以下を提供する。
[1] 式Iで表される化合物
(式中:
実線と波線とで表わされた結合は、単結合又は二重結合であり;
R1は、H、又はOR1において、Oはそれが結合する炭素原子とともに6員環を構成しており、R1は存在せず;
R2とR3とは、一方がHであり、他方がH又は糖残基である。)、
グリチルリチン(glycyrrhizin)、そのアグリコン、及びそのアグリコンに糖残基を配したもの、ならびに
医薬又は食品として許容されるそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分として含有する、インフラマソーム阻害剤。
[2] イソリクイリチゲニン(isoliquiritigenin)、リクイリチゲニン(liquiritigenin)及びグリチルリチン(glycyrrhizin) 、ならびに医薬又は食品として許容されるそれらの塩 からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分として含有する、インフラマソーム活性阻害剤。
[3] インフラマソーム活性を阻害することにより改善される疾患又は状態の処置において用いられる、[1]又は[2]に記載の剤。
[4] インフラマソーム活性を阻害することにより改善される疾患又は状態が、NLRP3(Nod-like receptor pyrin domain-containing-3)を介したインフラマソーム活性化を阻害する ことにより改善されるものである、[3]に記載の剤。
[5] インフラマソーム活性を阻害することにより改善される疾患又は状態が、AIM2を介したインフラマソーム活性化を阻害する ことにより改善されるものである、[3]に記載の剤。
[6] glycyrrhizin及び医薬又は食品としてとして許容されるその塩からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分として含有する、[5]に記載の剤。
[7] インフラマソーム活性を阻害することにより改善される疾患又は状態が、自己炎症性疾患、肥満関連炎症疾患、アレルギー疾患、加齢黄斑変性症、又は心血管病である、[3]〜[6]のいずれか一に記載の剤。
[8] 肥満関連炎症疾患が、2型糖尿病又は動脈硬化症である、[7]に記載の剤。
[9] [1]に定義した式Iで表される化合物、及びglycyrrhizin、ならびに医薬又は食品として許容されるそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分として含有する、炎症性サイトカイン産生阻害剤。
[10] 炎症性サイトカインが、IL-1α、IL-1β、IL-6、IL-18、IL-33、TNF-α、又はHMGB1である、[9]に記載の剤。
[11] [1]に定義した式Iで表される化合物、及びglycyrrhizin、ならびに医薬又は食品として許容されるそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分として含有する、炎症性サイトカイン遺伝子発現抑制剤。
[12] 炎症性サイトカインが、IL-1α、IL-1β、IL-6、IL-18、IL-33、TNF-α、又はHMGB1である、[11]に記載の剤。
本発明により、インフラマソーム活性化に起因する様々な疾患、特に自己炎症性疾患、2型糖尿病や動脈硬化等の肥満関連炎症疾患、加齢黄斑変性症、アレルギー性疾患、心血管病等の発症リスクの低減、予防、治療を行うことができる。
マウスマクロファージをLPS及びATPで刺激し、IL-1β、IL-1β前駆体(Pro-IL-1β)、カスパーゼ1(Caspase-1)、カスパーゼ1前駆体(Pro-caspase-1)の発現をウェスタンブロット法で解析した。ILGはLPSによるpro-IL-1β誘導を抑制するだけでなく、ATPによるインフラマソーム活性化を抑制することを見出した。 図1と同様の実験にglycyrrhizin(GL)を添加し、インフラマソーム活性化に対するGLの効果を解析した。GLはLPSによる活性化抑制することなく、インフラマソーム活性化を抑制することを見出した。 図1、2と同様の実験をILG及び種々のILG類縁体を用いて行った。種々のILG類縁体の中で、LGはインフラマソーム活性化を抑制することを見出した。LG:liquiritigenin、ILG:isoliquiritigenin マウスマクロファージをLPS及びNLRP3インフラマソーム刺激剤Nigericinで刺激し、IL-1β、Pro-IL-1β、caspase-1、Pro-caspase-1の発現をウェスタンブロット法で解析した。ILGはNigericinによるNLRP3インフラマソーム活性化を抑制することが明らかとなった。Nigericin: 細菌性毒素(カリウムイオノフォア)であり、NLRP3インフラマソームを活性化する物質 マウスマクロファージをLPS及びNLRP3インフラマソーム刺激剤MSUで刺激し、IL-1β、Pro-IL-1β、caspase-1、Pro-caspase-1の発現をウェスタンブロット法で解析した。ILG及びGLはMSUによるNLRP3インフラマソーム活性化を抑制することが明らかとなった。MSU(Monosodium urate): 痛風の原因物質として知られる。NLRP3インフラマソーム活性化剤であり、インフラマソーム活性化によって産生されるIL-1βと痛風病態の関与が分かっている。 マウスマクロファージをLPS及びMSUで刺激し、IL-1βの産生量をELISA法で解析した。ILG及びGLはMSUによるNLRP3インフラマソーム活性化によるIL-1β産生を抑制することが明らかとなった。 マウスマクロファージをLPS及びNLRP3インフラマソーム刺激剤IAPP(islet amyloid polypeptide)で刺激し、IL-1βの産生量をELISA法で解析した。ILG及びGLはIAPPによるNLRP3インフラマソーム活性化によるIL-1β産生を抑制することが明らかとなった。 マウスマクロファージをLPS及びAIM2インフラマソーム刺激剤Poly(dA:dT)で刺激し、caspase-1及びPro-caspase-1の発現をウェスタンブロット法で解析した。GLはPoly(dA:dT)によるAIM2インフラマソーム活性化を抑制することが示唆された。 マウスマクロファージをLPS及びPoly(dA:dT)で刺激し、IL-1βの産生量をELISA法で解析した。GLはPoly(dA:dT)によるAIM2インフラマソーム活性化によるIL-1β産生を抑制することが明らかとなった。 LPS投与によるインスリン抵抗性をILGが抑制できるかどうかを検討した。ILGはマウス個体においてLPSの作用を抑制しうること、ILGは個体レベルでインスリン抵抗性を改善しうることを見出した。
本発明者らの検討によると、下記の式で表される化合物、グリチルリチン(glycyrrhizin)、そのアグリコン、及びそのアグリコンに糖残基を配したもの、ならびに医薬又は食品として許容されるそれらの塩からなる群より選択されるものは、インフラマソーム活性阻害剤の有効成分として用いることができる。
式中:
実線と波線とで表わされた結合は、単結合又は二重結合であり;
R1は、H、又はOR1において、Oはそれが結合する炭素原子とともに6員環を構成しており、R1は存在せず;
R2とR3とは、一方がHであり、他方がH又は糖残基である。すなわち、R2とR3とは、少なくとも一方がHである。より具体的には、R2とR3とは、双方Hである場合と、いずれか一方がHであり、他方が糖残基である場合とがある。
R2又はR3のための糖残基の例は、単糖残基、及び2〜4個の糖からなる糖残基である。単糖残基の例は、D,L−キシロース、D,L−アラビノース、D,L−アピオース、D,L−フルクトース、D,L−グルコース、D,L−マンノース、D,L−ガラクトース、D,L−フコース、D,L−ラムノース、D,L−リキソース、D,L−リボース、D,L−アロース、D,L−アルトロース、D,L−イドース、D,L−タロース、D,L−デオキシリボース、D,L−2−デオキシリボース、D,L−キノボース、D,L−アベクオースから誘導される残基である。2〜4個の糖からなる糖残基としては、上記単糖が2〜4個結合したものから誘導される残基が挙げられる。糖残基のうち、特に好ましい例は、グルコースから誘導される基(「Glc」と記載されることもある。)、及びグルコースとアピオースとから誘導される基(「Glu-Api」と記載されることもある。)である。より詳細な例は、β-D-glucopyranosyl、D-Apio-β-D-furanosyl-β-D-glucopyranosylである。
本発明で、isoliquiritigenin又はliquiritigeninに関し、その類縁体というときは、特に記載した場合を除き、式Iで表される化合物の範囲に包含される化合物を指す。
式Iで表される化合物の範囲には、イソリクイリチゲニン(isoliquiritigenin)、リクイリチゲニン(liquiritigenin)、イソリクイリチゲニンアピオシド(isoliquiritigenin apioside)、リクイリチゲニンアピオシド(liquiritigenin apioside)、イソリクイリチン(isoliquiritin)、リクイリチン(liquiritin)、イソリクイリチンアピオシド(isoliquiritin apioside)、リクイリチンアピオシド(liquiritin apioside)、リクラシド(licraside)が包含される。
本発明者らの検討によると、式Iで表される化合物のうちでは、isoliquiritigenin及びliquiritigeninに、in vitroの系で高い効果が確認された。一方、in vivoにおいては糖鎖部分が切断されて作用することが期待できるので、isoliquiritigenin及びliquiritigeninのみならず、in vivoにおいてisoliquiritigenin及びliquiritigeninを生じうるような化合物もまた、本発明の剤の有効成分として用いることができる。
本発明の剤において好ましい有効成分の例は、isoliquiritigenin、liquiritigenin、isoliquiritigenin apioside、liquiritigenin apioside、isoliquiritin、liquiritin、licraside、及びglycyrrhizin、ならびに医薬又は食品として許容されるそれらの塩からなる群より選択されるものである。さらに好ましい有効成分の例は、isoliquiritigenin、liquiritigenin、及びglycyrrhizinである。
isoliquiritigenin(IUPAC名:(E)-1-(2,4-dihydroxyphenyl)-3-(4-hydroxyphenyl)prop-2-en-1-one、分子式:C15H12O4、分子量: 256.25)は、カルコンに分類されるフラボノイドの一種であり、下記式で表される化学構造を有する。
liquiritigenin(IUPAC名: (2S)-7-Hydroxy-2-(4-hydroxyphenyl)-2,3-dihydro-4H-chromen-4-one、化学式:C15H12O4、分子量:256.25)は、下記式で表される化学構造を有する。
glycyrrhizin(IUPAC名:(3β,18α)-30-hydroxy-11,30-dioxoolean-12-en-3-yl 2-O-β-D-glucopyranuronosyl-β-D-glucopyranosiduronic acid、化学式:C42H62O16、分子量:822.94)は、トリテルペン系配糖体に分類され、下記式で表される化学構造を有する。glycyrrhizinは、グリチルリチン酸(glycyrrhizinic acid)と称されることもある。
glycyrrhizinのアグリコン、及びそのアグリコンに、上でR2及びR3の説明として記載した糖残基を配したものについても、glycyrrhizinと同様に本発明の剤の有効成分として用いうる。glycyrrhizinのアグリコンとは、具体的には、glycyrrhizinのグリコシル基部分を水素原子により置換して得られる非糖化合物をいう。以下でのglycyrrhizinに関する説明は、特に記載した場合を除き、glycyrrhizinのアグリコン、及びそのアグリコンに、上でR2及びR3の説明として記載した糖残基を配したものこれらについても当てはまる。
医薬又は食品として許容されるそれらの塩の具体例は、アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えばマグネシウム塩、カルシウム塩)、アンモニウム塩、モノ−、ジ−またはトリ−低級(アルキルまたはヒドロキシアルキル)アンモニウム塩(例えばエタノールアンモニウム塩、ジエタノールアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、トロメタミン塩)、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、アスパラギン酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、メシチレンスルホン酸塩およびナフタレンスルホン酸塩が含まれる。
また、塩は、無水物、または溶媒和物であってよく、溶媒和物には、水和物、メタノール和物、エタノール和物、プロパノール和物、および2−プロパノール和物が含まれる。である。
本発明で、「インフラマソームの活性阻害」というときは、特に記載した場合を除き、インフラマソーム活性またはインフラマソームの活性化により産生される物質の産生を抑制する作用を有する物質をいう。ある物質の、インフラマソームの活性阻害能は、本明細書の実施例にしたがって、必要に応じ、既存のインフラマソーム刺激剤(例えば、ATP、MSU、IAPP、Poly(dA:dT)等)の共存化での試験により、IL-1β等の産生の有無を確認することにより、評価することができる。
本明細書の実施例の項で詳細に示しているように、本発明者らは、LPSによるpriming signalとなる刺激と、ATP等によるactivation signalとなる刺激とを別々に与え、それぞれに薬物を添加して効果を比較した。その結果、isoliquiritigenin等は、LPSによるpriming signalを抑制するだけでなく、ATP等によるactivating signalをも抑制するものであることが分かった。当該結果は、isoliquiritigenin等の作用点が確かにインフラマソームにもあることを支持する。
インフラマソームは病原体成分やストレスシグナルに応答して形成されるタンパク質複合体である。インフラマソームは、NLRP3, NLRC4, NLRP1などのNod様受容体(Nod-like receptor: NLR)及びAIM2を含み、さらにアダプタータンパク質やカスパーゼ1を構成因子として含む。インフラマソームは、カスパーゼ1の活性化を引き起こし、活性化されたカスパーゼ1は、炎症誘導性サイトカインである活性型のIL-1β及びIL-18の分泌を誘導する。IL-1β、IL-18は外来成分や内在成分の刺激により産生誘導され、細胞内に前駆体として蓄積されるが、これらの前駆体はそのままでは細胞外に分泌されず生物活性を発揮しない。IL-1β、IL-18の活性体成熟には、インフラマソームの中でカスパーゼ1の活性化が必要である。活性化カスパーゼ1は基質であるIL-1β、IL-18前駆体中のアミノ酸4残基を特異的に認識するプロテアーゼとして成熟型IL-1β、IL-18を生成する。インフラマソームでのカスパーゼ1前駆体からのカスパーゼ1の活性化、カスパーゼ1によるIL-1β、IL-18プロセシングがIL-1β、IL-18の分泌及び炎症誘導に必須である。これらのことから、IL-1β、IL-18が病態に関与する自己炎症性疾患や、肥満関連炎症疾患、加齢黄斑変性症等の発症、進行にインフラマソームの活性化が重要な役割を果たしていることが明らかになってきた。
インフラマソームは外来性(細菌、真菌、ウイルス、環境因子など)、内在性(ATP、尿酸結晶、コレステロール結晶、βアミロイド繊維、飽和脂肪酸など)の多くの危険シグナルにより活性化される。これらの危険シグナルに応答するため、インフラマソームはNLRP3, NLRC4, NLRP1などのNod様受容体(Nod-like receptor: NLR)やAIM2等を構成因子として持ち、アダプタータンパク質、カスパーゼ1と共に構成される。NLRタンパク質は外来性、内在性危険シグナル応答に必須な役割を果たすLRRs(leucine-rich repeats)をC末端側に有する。NLRはPAMPs(pathogen-associated molecular patters)及びDAMPs(danger-associated molecular patterns)を認識し、それゆえ病原感染や細胞破壊につながる細胞ストレスの重要なセンサーである。NLRタンパク質が活性化されるとアダプタータンパクASC(apoptosis-associated speck-like protein containing a CARD (caspase recruitment domein)別名PYCARD)を介して結合しているカスパーゼ前駆体が呼び寄せされ、インフラマソームと呼ばれるタンパク複合体になる。このタンパク質複合体はカスパーゼ1分子同士の近接による自己活性化を引き起こし、IL-1β、IL-18前駆体を特異的に切断し活性体に変換、分泌する。インフラマソームは病原体関連分子を認識し、生体防御に関与しているが、インフラマソームは無菌炎症時でも体内の危険信号やストレス信号の検出に係わっている。NLRインフラマソームの活性化を起こす物質にはアスベスト、シリカ、アルム、ハイドロキシアパタイト、合金粒子、UV照射、ナイジェリシン(細菌性毒素)などの外因性ストレス、及びATP、尿酸結晶(MSU)、コレステロール結晶、ミトコンドリア傷害、肥満関連因子(飽和脂肪酸、セラミド、高血糖、Alu RNA)等の内因性ストレスが知られており、肥満関連炎症疾患、自己炎症性疾患、虚血傷害、加齢黄斑変性症(「加齢性黄斑変性症」ということもある。)など多彩な疾患の発症と進行に中心的役割を果たしている。また、AIM2インフラマソームの活性化を引き起こす代表的な物質にPoly(dA:dT)がある。
インフラマソームの中心的構成因子であるNLRP3は外来性、内在性の多くのシグナルで活性化されることが知られている。NLRP3の活性化には、信号1、信号2の2つの刺激が必要である。信号1はprimingと呼ばれる転写レベルでの誘導に係わる炎症刺激であり、信号2はtriggeringと呼ばれるNLRP3活性化に必須な刺激である。インフラマソームの活性化を直接起こす信号2のシグナル伝達下流では細胞外Kイオン流出、活性酸素(ROS)産生、リソソームからのカテプシンBの細胞質流入が関わっていることが知られている(Franchi, L, et al. Nat. Immunol.13, 325, 2012, Rathinam.V.A, et al. Nat. Immunol.13, 333, 2012, Wen. H, et al. Nat. Immunol.13, 352, 2012)。
本発明の剤は、インフラマソーム活性を阻害することにより改善される疾患又は状態の処置のために用いうる。インフラマソーム活性を阻害することにより改善される疾患又は状態には、自己炎症性疾患、肥満関連炎症疾患、アレルギー疾患、加齢黄斑変性症、又は心血管病が含まれる。肥満関連炎症疾患には、2型糖尿病又は動脈硬化症が含まれる。
自己炎症性症候群は発熱、発疹など炎症に由来する症状を主徴とするもののうち自己免疫疾患でみられる自己抗体の関与が否定される症候群の総称である。近年、その多くがインフラマソームの機能異常によって発症することが分かってきた。自己炎症性症候群の一つであるクライオパイリン関連周期熱症候群はNLRP3インフラマソーム機能異常により炎症性サイトカインIL-1βの過剰産生によって惹起されることが判明し、この症候群に対しては抗IL-1薬が著しい治療効果をあげている。さらに、NLRP3インフラマソームの構成分子を標的とした新たな治療薬の開発も期待されている。
近年、インフラマソームが2型糖尿病や動脈硬化などの肥満や代謝に係わる多くの疾患の発症や進行に重要な役割を果たしていることが明らかになってきた。例えば、インフラマソームは生体の恒常性維持の応答で放出する代謝物やストレス分子の認識にかかわる。更に、IL-1βやIL-18は代謝に重要な臓器で軽度な慢性的炎症状態の進行や細胞破壊に係わることが示された。カロリーの過剰摂取と脂肪蓄積は軽度の慢性的炎症状態を起す代謝や生理的面での変化を引き起こす。肥満で起こる軽度な慢性的炎症状態は2型糖尿病や動脈硬化など疾患の発症で中心的役割を果たしている。重要なことは、マクロファージ、好中球やT細胞、B細胞といった免疫細胞が肥満関連疾患による炎症に介在することである。そして、NLRP3インフラマソームはこのような肥満と代謝に係わる肥満関連疾患の発症と症状の進行に係わる炎症過程を制御する中心分子であることが示唆されている。脂肪組織と肝臓におけるインフラマソームを介したカスパーゼ1の活性化が、インスリン感受性と血糖調節作用を損なうことや、カロリー制限や運動でインフラマソーム構成分子の発現量を変化することが示されている。例えば、肥満2型糖尿患者で食事療法と運動療法による肥満度解消に伴い、NLRP3インフラマソームの発現が改善することや、胃切除手術による肥満治療による2型糖尿病患者の症状改善度がNLRP3インフラマソームやIL-1βの発現量の低下と相関することが報告されている。
肥満が2型糖尿病の重要な危険因子であるが、肥満はセラミド、飽和脂肪酸、活性酸素(ROS)やミトコンドリア傷害と関連する。これらのすべてのDAMPsがNLRP3インフラマソームを活性化する。特にパルミチン酸は2型糖尿病患者の血漿中で最も多い飽和脂肪酸で、直接的にNLRP3インフラマソームを活性化するプロセスとAMPK(AMP-activated kinase)経路を特異的に阻害する結果、オートファジーに異常をきたし、機能不全のミトコンドリアの蓄積、ROS産生によりNLRP3インフラマソームの活性化を起す経路が考えられている。
初期の研究からIL-6やTNF-αなどが2型糖尿病の進行や重症度を決める因子として研究されてきたが、臨床的にこれらのサイトカインを阻害するような治療を行っても、奏功は見られなかった。一方、インフラマソーム誘導性サイトカインが、2型糖尿病患者の膵臓と脂肪組織での機能障害やインスリン抵抗性に結びつくことが明らかになりつつある。例えば、IL-1βは膵β細胞の細胞死やインスリン抵抗性を誘導すること、血中IL-18レベルが2型糖尿患者で上昇しており、失明や動脈硬化などの二次的障害と関連していることが示されている。更に、IL-1受容体アンタゴニスト投与の臨床試験において、血糖値の安定と膵β細胞機能の改善が認められたことが報告され、2型糖尿病におけるインフラマソーム誘導性サイトカインの重要性が示唆されている。また、膵島アミロイドポリペプチド(islet amyloid polypeptide :IAPP)もNLRP3インフラマソーム活性化を起し、糖尿病を悪化させることが明らかになった。IAPPは膵β細胞からインスリンと同時に分泌される因子で、膵臓でアミロイド沈着を引き起こし、NLRP3インフラマソームの活性化、IL-1βの分泌の引き金となる。アミロイド斑形成は2型糖尿病の主病変であり病態の進行・悪化に影響すると考えられている。興味深いことに、2型糖尿病治療薬として汎用されるグリブリド/グリベンクラミドはIAPPによるインフラマソーム活性化、IL-1β産生を抑制することが明らかになった。
動脈硬化は脂質とコレステロールの蓄積によって、動脈の厚壁化が起こる炎症性疾患である。肥満関連因子が動脈硬化の発症と進行に係わることは衆知のところである。多くの臨床データが動脈硬化の発症と進行にインフラマソーム誘導性のサイトカインが関与していることを示している。高脂肪食と肥満による代謝異常は血中コレステロール値を高める。コレステロール結晶は動脈壁に沈着し、NLRP3インフラマソーム活性化に伴うIL-1βとIL-18の分泌を起す。これらのサイトカインはTNF-α, IL-6, IFN-γなどの炎症性サイトカイン産生を刺激し、マクロファージやT細胞などの免疫細胞を呼び寄せる。インフラマソーム誘導性サイトカインの分泌を起す慢性的炎症により血栓やプラーク破裂が起きることが明らかになっている。また、血中IL-18量は動脈硬化患者の死亡リスクの予見因子として臨床現場で利用されている。
バールンやステントを用いた血管形成術(PCI)は心筋梗塞の非常に有効な治療法であるが、一方で不整脈や心筋壊死の増大などの虚血再灌流傷害が臨床的に問題となっている。心虚血再灌流傷害でもROSや細胞内K流出によるNLRP3インフラマソーム活性化が確認されている。
加齢黄斑変性症は先進国では100万人以上の患者を失明に陥れる恐れのある疾患であり、癌などと並んで有効な治療法が待たれている。加齢黄斑変性症は網膜色素上皮細胞の変性を生じる進行性疾患であるが、病因は長らく不明であった。最近、加齢黄斑変性症の大半を占める萎縮型変性症の患者の網膜色素上皮細胞では、micro RNAのプロセシングを担うDICER 1が減少しAlu RNAが増加しており、この病因性Alu RNAがNLRP3インフラマソームを活性化し、産生された炎症性IL-18が網膜色素上皮細胞の変性・細胞死を引き起こすことが明らかになった(Tarallo,V., et al. Cell 149, 847, 2012)。
本発明はまた、上で定義した式Iで表される化合物、及びglycyrrhizin、ならびに医薬又は食品として許容されるそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分として含有する、炎症性サイトカイン産生阻害剤を提供する。また、上で定義した式Iで表される化合物、及びglycyrrhizin、ならびに医薬又は食品として許容されるそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分として含有する、炎症性サイトカイン遺伝子発現抑制剤。炎症性サイトカインの例は、IL-1α、IL-1β、IL-6、IL-18、IL-33、TNF-α、及びHMGB1である。いずれの場合においても、有効成分の好ましい例は、上でインフラマソーム阻害剤の有効成分に関しての説明が当てはまる。
上で定義した式Iで表される化合物、及びglycyrrhizin、ならびに医薬又は食品として許容されるそれらの塩からなる群より選択されるものが、炎症性サイトカイン産生阻害剤及び炎症性サイトカイン遺伝子発現抑制剤の有効成分として用いうることは、本願明細書の記載と、例えば下記の報告を参照することにより、より明確になろう。
IL-1βに関して:Immunity. 2012 Mar 23;36(3):388-400. Inflammasome activators induce interleukin-1α secretion via distinct pathways with differential requirement for the protease function of caspase-1. Gross O, et al.
HMGB1に関して:Nature. 2012 Aug 30;488(7413):670-4. Novel role of PKR in inflammasome activation and HMGB1 release. Lu B, et al.
J Immunol. 2011 Jul 15;187(2):597-602. Modulation of inflammasome pathways by bacterial and viral pathogens. Lamkanfi M, et al.
IL-33に関して:Uirusu. 2009 Jun;59(1):13-21. Inflammasomes in viral infection. Ichinohe T, et al.
本発明者らの検討によると、glycyrrhizinは、poly(dA:dT)によるAIM2インフラマソーム活性化を抑制することが分かった(「実施例」参照)。したがって、有効成分としてglycyrrhizinを含む本発明の剤は、AIM2を介した活性化の阻害が有効である疾患又は状態の処置のために用いることができる。ワクシニアウイルス、マウスメガロサイトウイルスに対する感染にはAIM2インフラマソームの活性化が関与していることが報告されている。
一方、poly(dA:dT)によるAIM2インフラマソーム活性化の系では、isoliquiritigeninの添加ではcaspase-1発現は抑制されなかった(「実施例」の参照)。インフラマソームの活性化自体は、病原体から生体を守るための機能があるので、このような選択性のある活性化阻害作用により、isoliquiritigenin及びその類縁体の、より適した対象への適用が期待できる。
本発明の剤の有効成分は、甘草等の天然物より得たものでもよく、合成により得たものでもよい。また、市販の標準品を用いることもできる。
甘草は、マメ科グリチルリーザ(Glycyrrhiza)属に属する多年生草本である。甘草には、グリチルリーザ・グラブラ(Glychyrrhiza glabra)、グリチルリーザ・インフラータ(Glychyrrhiza inflata)、グリチルリーザ・ウラレンシス(Glychyrrhiza uralensis)、グリチルリーザ・アスペラ(Glychyrrhiza aspera)、グリチルリーザ・ユーリカルパ(Glychyrrhiza eurycarpa)、グリチルリーザ・パリディフロラ(Glychyrrhiza pallidiflora)、グリチルリーザ・ユンナネンシス(Glychyrrhiza yunnanensis)、グリチルリーザ・レピドタ(Glychyrrhiza lepidota)、グリチルリーザ・エキナタ(Glychyrrhiza echinata)、グリチルリーザ・アカンソカルパ(Glychyrrhiza acanthocarpa)等、様々な種類のものがあり、これらのうち、いずれの種類の甘草を抽出原料として使用してもよいが、特にグリチルリーザ・グラブラ(Glychyrrhiza glabra)、グリチルリーザ・ウラレンシス(Glychyrrhiza uralensis)、及びグリチルリーザ・インフラータ(Glychyrrhiza inflata)を抽出原料として使用することが好ましい。
抽出原料として使用し得る甘草の構成部位としては、例えば、葉部、枝部、樹皮部、幹部、茎部、果実部、花部等の地上部、根部、根茎部又はこれらの部位の混合物等が挙げられるが、好ましくは根部又は根茎部である。
甘草エキスは、抽出原料としての甘草を乾燥した後、そのまま又は粗砕機を用いて粉砕し、抽出溶媒による抽出に供することにより得ることができる。乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。また、ヘキサン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、植物の極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
抽出溶媒としては、極性溶媒を使用するのが好ましく、例えば、水、親水性有機溶媒等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて、室温又は溶媒の沸点以下の温度で使用することが好ましい。
抽出溶媒として使用し得る水としては、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等のほか、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧調整、酸性化、アルカリ化、緩衝化等が含まれる。したがって、本実施形態において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、有機酸酸性水、アンモニアアルカリ水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
抽出溶媒として使用し得る親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコール等が挙げられる。
2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は適宜調整することができる。例えば、水と低級脂肪族アルコールとの混合液を使用する場合には、水10容量部に対して低級脂肪族アルコール1〜90容量部を混合するのが好ましく、水と低級脂肪族ケトンとの混合液を使用する場合には、水10容量部に対して低級脂肪族ケトン1〜40容量部を混合するのが好ましく、水と多価アルコールとの混合液を使用する場合には、水10容量部に対して多価アルコール10〜90容量部を混合するのが好ましい。
抽出処理は、抽出原料に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定はされず、常法に従って行うことができる。例えば、抽出原料の5〜15倍量(質量比)の抽出溶媒に、抽出原料を浸漬し、常温又は還流加熱下で可溶性成分を抽出させた後、濾過して抽出残渣を除去することにより抽出液を得ることができる。得られた抽出液から溶媒を留去するとペースト状の濃縮物が得られ、この濃縮物をさらに乾燥すると乾燥物が得られる。
本発明の「剤」は、甘草等の有効成分を含む植物の、抽出物、濃縮物及び粗製物である場合がある。また、「剤」は、食品組成物又は医薬組成物であり得る。本明細書で医薬組成物というときは、ヒトのための医薬品及び医薬部外品、並びに動物用医薬品を含む。食品には、人が食用にする品物(狭義の食品)のほか、動物用食品(ペットフード)、液状食品(スープ等)、飲料、調味料、サプリメント、機能性食品、特定保健用食品が含まれる。ただし、いずれの場合も、本発明の食品組成物の範囲からは、本出願時に公知の天然物(例えば、甘草自体)、及び本願出願時に公知の既存の食品自体は除かれる。
市販の甘草乾燥物中の含量は、由来する甘草の種、栽培条件等にもよるが、該して、isoliquiritigeninは、〜1.25 mg/g、liquiritigeninは、〜5.25 mg/g、glycyrrhizinは、〜65.80 mg/gである(J Nat Med (2009) 63:137-146)。したがって、有効成分として、式Iで表される化合物が、1gあたり0.05 mg以上、好ましくは0.10 mg以上、より好ましくは0.25 mg以上、より好ましくは0.50 mg以上、より好ましくは1.0 mg以上、より好ましくは6 mg以上、好ましくは10 mg以上、より好ましくは15 mg以上、より好ましくは20 mg以上、より好ましくは25 mg以上含まれる剤は、食品としても新規なものである。また、有効成分として、glycyrrhizinが、1gあたり0.50 mg以上、好ましくは0.75 mg以上、より好ましくは2.0 mg以上、より好ましくは10 mg以上、より好ましくは30 mg以上、より好ましくは68 mg以上、より好ましくは70 mg以上、より好ましくは75 mg以上、より好ましくは80 mg以上、より好ましくは85 mg以上含まれる剤は、食品としても新規なものである。なお、本発明において、有効成分の量をいうときは、特に示した場合を除き、有効成分足りうるすべての化合物の総量を指し、重量に基づく値である。
なお、本発明の剤は、1日あたり、有効成分として0.0020 mg〜200 mg、好ましくは0.0040 mg〜100 mg、より好ましくは、0.020 mg〜20 mg摂取又は投与するために用いうる。本発明の剤又は組成物は、有効成分を含む抽出物、濃縮物、又は粗製物としては、1日あたり、0.10 mg〜10,000 mg、好ましくは0.20 mg〜5000 mg、より好ましくは、1.0 mg〜1000 mgを摂取又は投与するために用いうる。摂取又は投与は、単回でおこなってもよく、複数回(例えば2〜6回)に分けて行ってもよい。摂取又は投与の時間は、特に限定されず、食前、食間若しくは食後に、又は時間毎に行うことができる。
本発明の剤は、食品又は医薬品として許容される種々の添加物を含んでもよい。このような添加剤の例としては、ビタミンE、ビタミンC等のビタミン類、ミネラル類、栄養成分、香料などの生理活性成分のほか、製剤化において配合される賦形剤、結合剤、乳化剤、緊張化剤(等張化剤)、緩衝剤、溶解補助剤、防腐剤、安定化剤、抗酸化剤、着色剤、凝固剤、コーティング剤等である。
本発明の剤が食品である場合、その形態は、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、ドリンク剤(溶液剤及び懸濁液剤が含まれる)等の健康食品の形態とすることができ、清涼飲料、茶飲料、ヨーグルトや乳酸菌飲料等の乳製品、調味料、加工食品、デザート類、菓子(例えば、ガム、キャンディ、ゼリー)等の形態とすることもできる。本発明の食品組成物は、有効成分の含量がいずれの場合においても、ビール飲料又は発泡酒飲料以外の飲料の形態、又は飲料以外の形態(例えば、固形の剤)とすることができる。固形の剤である食品組成物は、有効成分の含量がいずれの場合においても、食品として許容される、附形剤、結合剤、コーティング剤、崩壊剤を含んでもよい。
本発明の剤が医薬品である場合、投与経路は特に限定されないが、経口であることが好ましい。経口投与に適した医薬組成物の形態には、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、溶液剤、懸濁液剤、シロップ剤などが含まれる。
〔材料及び方法〕
試験成分
isoliquiritigenin(ILG)はSigma社、liquiritigenin(LG)は丸善製薬株式会社、glycyrrhizin(GL)はミノファーゲン社のものを使用した。それ以外の成分としては、特に記載したものを除き、市販のものを使用した。
細胞による試験
C57/BL6マウス(7-9w, ♂)の大腿骨及び頸骨からマウス骨髄を採取し、10%FCS-RPMI培地にマウスリコンビナントM-CSFを100 ng/mlの濃度で添加した培地を用いてシャーレにて7日間培養を行い、シャーレに接着した細胞をマウス骨髄由来マクロファージとして使用した。
マウス骨髄由来マクロファージを24ウェルプレートに4×105/ウェルとなるよう播種し、2時間培養した。そこへTLR4刺激剤としてLPSを1μg/mlとなるよう加え、3時間培養した後、上清を取り除き、PBSで2回洗浄した。さらにインフラマソーム活性化剤としてATP(終濃度2 mM)を添加し、40分後に培養上清を回収し、細胞に溶解液(50 mM Tris-HCl, pH 7.5, 150 mM NaCl, 1% Triton X-100, プロテアーゼインヒビター, ホスファターゼインヒビター)を加え、氷上で60分静置した。培養上清は、一部はELISA法でIL-1βの産生量の定量を行い、一部はメタノール−クロロホルムで濃縮を行った後、SDS-PAGEに供し、ウェスタンブロッティングを行った。細胞溶解液は、回収した後、15000rpmで15分間遠心を行い、上清をSDS-PAGEに供した。
インフラマソーム活性化剤としてNigericin(終濃度 10μM)を使用した場合には培養時間は40分間とし、尿酸結晶(終濃度 250μg/ml)を使用した場合は6時間、Poly(dA:dT)(終濃度 10μg/ml)を使用した場合は4時間、培養した。ILG等の対象化合物を評価する際には、対象化合物は、LPS及びATPの添加の30分前に添加した。
マウスによる試験
C57/BL6マウス(16w, ♂)の腹腔に、LPS 0.1 mg/kgを腹腔内投与する24時間前及び1時間前に、ILGを50 mg/kgで投与し、絶食を開始した。絶食開始から5時間後、さらにILGを同容量で投与し、6時間後、インスリンを0.85 IU/kgで腹腔内投与した。インスリン投与の、15分後、30分後、60分後、90分後及び120分後の血糖値を測定した。
〔結果〕
(1)マウスマクロファージをLPS及びATPで刺激し、IL-1β、IL-1β前駆体(Pro-IL-1β)、カスパーゼ1(Caspase-1)、カスパーゼ1前駆体(Pro-caspase-1)の発現をウェスタンブロット法で解析した(図1)。Pro-IL-1β誘導剤としてLPSを、インフラマソーム活性化剤としてATPを用いている。本実験系にILGを所定の濃度及びタイミングで添加し、インフラマソーム活性化に対する影響を解析した。LPSのみの刺激でpro-IL-1β発現が誘導され、LPSとATPの刺激によりIL-1βとcaspase-1発現が誘導された。ILG添加タイミングに関しては、LPS+ATP刺激する際にそれぞれILGを添加することで、pro-IL-1β、IL-1β、caspase-1が顕著に抑制され、LPS刺激の後、ATP刺激を行う際に、ATPとともにILGを添加すると、pro-IL-1βの発現に大きな変化はないものの、IL-1β及びcaspase-1の発現が顕著に抑制された。以上から、ILGはLPSによるpro-IL-1β誘導を抑制するだけでなく、ATPによるインフラマソーム活性化を抑制することを見出した。
(2) 図1と同様の実験にGLを添加し、インフラマソーム活性化に対するGLの効果を解析した(図2)。マウスマクロファージをLPS刺激及びATP刺激する際に、それぞれと共にGLを添加することで、pro-IL-1β、IL-1β、caspase-1の発現が抑制されたが、その効果には高濃度のGLを必要とし、ILGよりも弱い効果であった。また、LPS+ATP刺激の際にATPと共にGLを添加することにより、pro-IL-1βの発現に大きな変化はないものの、IL-1β及びcaspase-1の発現を抑制する効果が得られた。以上から、GLはLPSによるpro-IL-1β誘導を抑制するだけでなく、ATPによるインフラマソーム活性化を抑制することを見出した。
(3) 図1、2と同様の実験をILG及び種々のILG類縁体を用いて行った。マウスマクロファージをLPS刺激の後、ATP刺激を行う際に、ATPと共に、ILG又はILG類縁体(添加濃度:10μM)を同時に添加した(図3)。ILG又はLGの添加により、pro-IL-1βの発現に大きな変化はないものの、IL-1β及びcaspase-1の発現を抑制する効果が得られた。両者の効果はほぼ同等であった。以上から、種々のILG類縁体の中で、LGもインフラマソーム活性化を抑制することを見出した。
(4) マウスマクロファージをLPS及びNLRP3インフラマソーム刺激剤Nigericinで刺激し、IL-1β、Pro-IL-1β、caspase-1、Pro-caspase-1の発現をウェスタンブロット法で解析した(図4)。Nigericinで刺激する際に、ILG、parthenolide(Par:既知のインフラマソーム抑制剤)、MG132(NF-κB阻害剤)又はGLを上記濃度で添加し、インフラマソーム活性化に対する影響を解析した。ILG添加により、IL-1β及びcaspase-1の発現が顕著に抑制された。その効果はperthenolideと同等であった。一方、MG132、GLの抑制効果は軽度であった。以上から、ILGはNigericinによるNLRP3インフラマソーム活性化を抑制することが明らかとなった。
Nigericin: 細菌性毒素(カリウムイオノフォア)であり、NLRP3インフラマソームを活性化する物質
(5) マウスマクロファージをLPS及びNLRP3インフラマソーム刺激剤MSUで刺激し、IL-1β、Pro-IL-1β、caspase-1、Pro-caspase-1の発現をウェスタンブロット法で解析した。MSUで刺激する際に、ILG、parthenolide 、MG132、GL又はglyburide(スルホニル尿素系血糖降下剤)を上記濃度で添加し、インフラマソーム活性化に対する影響を解析した(図5)。ILG添加により、IL-1β及びcaspase-1の発現が顕著に抑制された。その効果はperthenolide、MG132、glyburideと同等であった。一方、GLのcaspase-1発現抑制効果は軽度であった。以上から、ILG及びGLはMSUによるNLRP3インフラマソーム活性化を抑制することが明らかとなった。
MSU(Monosodium urate): 痛風の原因物質として知られる。NLRP3インフラマソーム活性化剤であり、インフラマソーム活性化によって産生されるIL-1βと痛風病態の関与が分かっている。
(6) マウスマクロファージをLPS及びMSUで刺激し、IL-1βの産生量をELISA法で解析した。MSUで刺激する際に、ILG、parthenolide、MG132、GL又はglyburideを上記濃度で添加し、IL-1β産生に対する影響を解析した(図6)。ILG添加により、IL-1β産生量が顕著に抑制された。その効果はperthenolide、MG132、glyburideよりも大きかった。一方、GLのIL-1β産生抑制効果は軽度であった。以上から、ILG及びGLはMSUによるNLRP3インフラマソーム活性化によるIL-1β産生を抑制することが明らかとなった。
(7) マウスマクロファージをLPS及びNLRP3インフラマソーム刺激剤IAPP(islet amyloid polypeptide)で刺激し、IL-1βの産生量をELISA法で解析した(図7)。IAPPで刺激する際に、ILG、parthenolide、MG132、GL又はglyburideを上記濃度で添加し、IL-1β産生に対する影響を解析した。ILG又はGL添加により、IL-1β産生量が顕著に抑制された。その効果はperthenolide、glyburideと同等であった。以上から、ILG及びGLはIAPPによるNLRP3インフラマソーム活性化によるIL-1β産生を抑制することが明らかとなった。
(8) マウスマクロファージをLPS及びAIM2インフラマソーム刺激剤Poly(dA:dT)で刺激し、caspase-1及びPro-caspase-1の発現をウェスタンブロット法で解析した。Poly(dA:dT)で刺激する際に、ILG、parthenolide 、MG132又はGLを上記濃度で添加し、インフラマソーム活性化に対する影響を解析した(図8)。GL添加により、caspase-1の発現が顕著に抑制された。一方、ILG添加ではcaspase-1発現は抑制されなかった。以上から、GLはPoly(dA:dT)によるAIM2インフラマソーム活性化を抑制することが示唆された。
(9) マウスマクロファージをLPS及びPoly(dA:dT)で刺激し、IL-1βの産生量をELISA法で解析した。Poly(dA:dT)で刺激する際に、ILG、parthenolide、MG132、GL又はglyburideを上記濃度で添加し、IL-1β産生に対する影響を解析した(図9)。GL添加により、IL-1β産生量が顕著に抑制された。一方、ILG添加ではIL-1β産生量は抑制されなかった。以上から、GLはPoly(dA:dT)によるAIM2インフラマソーム活性化によるIL-1β産生を抑制することが明らかとなった。
(10) マウスにインスリンを投与すると血糖値が一過性に低下する。一方、マウスにLPSを投与するとインスリンに対する感受性が低下することが知られている。このLPS投与によるインスリン抵抗性をILGが抑制できるかどうか、所定の実験スケジュールで検討した(図10)。陰性コントロールとしてPBSを投与したマウスでは、インスリン投与後短時間で血糖値の低下が正常に認められる(PBS群)。一方、LPS投与したマウスでは、インスリン投与による血糖値の低下が鈍く、インスリン抵抗性が認められる(LPS群)。しかしLPS投与の前後にILGを投与することで、LPSによるインスリン抵抗性が抑制された(ILG+LPS群)。以上から、ILGはマウス個体においてLPSの作用を抑制しうること、ILGは個体レベルでインスリン抵抗性を改善しうることを見出した。
〔まとめ〕
以上の実験結果をまとめる。
・isoliquiritigeninとその類縁体liquiritigenin、及びglycyrrhizinは、ATPによるNLRP3インフラマソーム活性化(カスパーゼ1活性化、IL-1β分泌)を阻害できる。
・isoliquiritigeninは、ナイジェリシンによるNLRP3インフラマソーム活性化(カスパーゼ1活性化、IL-1β分泌)を阻害した。
・isoliquiritigeninは、MSUによるNLRP3インフラマソーム活性化(カスパーゼ1活性化、IL-1β分泌)を阻害した。
・isoliquiritigenin及びglycyrrhizinは、IAPPによるNLRP3インフラマソーム活性化(IL-1β分泌)を阻害した。
・glycyrrhizinは、poly (dA:dT)によるAIM2インフラマソーム活性化(カスパーゼ1活性化、IL-1β分泌)を阻害した。
・isoliquiritigeninは、リポ多糖(lipopolysaccharide)投与によってマウスに誘導されるインスリン抵抗性を改善した。

Claims (12)

  1. 式Iで表される化合物
    (式中:
    実線と波線とで表わされた結合は、単結合又は二重結合であり;
    R1は、H、又はOR1において、Oはそれが結合する炭素原子とともに6員環を構成しており、R1は存在せず;
    R2とR3とは、一方がHであり、他方がH又は糖残基である。)、
    グリチルリチン(glycyrrhizin)、そのアグリコン、及びそのアグリコンに糖残基を配したもの、ならびに
    医薬又は食品として許容されるそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分として含有する、インフラマソーム阻害剤。
  2. 式Iで表される化合物が、イソリクイリチゲニン(isoliquiritigenin)、リクイリチゲニン(liquiritigenin)、又はグリチルリチン(glycyrrhizin)である、請求項1に記載のインフラマソーム活性阻害剤。
  3. インフラマソーム活性を阻害することにより改善される疾患又は状態の処置において用いられる、請求項1又は2に記載の剤。
  4. インフラマソーム活性を阻害することにより改善される疾患又は状態が、NLRP3(Nod-like receptor pyrin domain-containing-3)を介したインフラマソーム活性化を阻害することにより改善されるものである、請求項3に記載の剤。
  5. インフラマソーム活性を阻害することにより改善される疾患又は状態が、AIM2を介したインフラマソーム活性化を阻害することにより改善されるものである、請求項4に記載の剤。
  6. glycyrrhizin及び医薬又は食品として許容されるその塩からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分として含有する、請求項5に記載の剤。
  7. インフラマソーム活性を阻害することにより改善される疾患又は状態が、自己炎症性疾患、肥満関連炎症疾患、アレルギー疾患、加齢黄斑変性症、又は心血管病である、請求項3〜6のいずれか1項に記載の剤。
  8. 肥満関連炎症疾患が、2型糖尿病又は動脈硬化症である、請求項7に記載の剤。
  9. 請求項1に定義した式Iで表される化合物、及びglycyrrhizin、ならびに医薬又は食品として許容されるそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分として含有する、炎症性サイトカイン産生阻害剤。
  10. 炎症性サイトカインが、IL-1α、IL-1β、IL-6、IL-18、IL-33、TNF-α、又はHMGB1である、請求項9に記載の剤。
  11. 請求項1に定義した式Iで表される化合物、及びglycyrrhizin、ならびに医薬又は食品として許容されるそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分として含有する、炎症性サイトカイン遺伝子発現抑制剤。
  12. 炎症性サイトカインが、IL-1α、IL-1β、IL-6、IL-18、IL-33、TNF-α、又はHMGB1である、請求項11に記載の剤。
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