JP2014093341A - 電子部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、磁性体と非磁性体との間で生じる剥離やクラックを抑制しつつ、接着層の透磁率を向上させることを可能にする電子部品を提供することである。
【解決手段】本発明に係る電子部品10は、磁性体部30,32、非磁性体部22、及び磁性体部30,32と非磁性体部22との間に介在する接着層26,28を焼結して成る焼結体12と、回路素子16a,16bを備えている。接着層26,28は、磁性体部22を構成する磁性材料、非磁性体部22を構成する非磁性材料、及び、充填材からなる。非磁性材料の熱膨張係数は、磁性材料の熱膨張係数と充填材の熱膨張係数との間であること、特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係る電子部品10は、磁性体部30,32、非磁性体部22、及び磁性体部30,32と非磁性体部22との間に介在する接着層26,28を焼結して成る焼結体12と、回路素子16a,16bを備えている。接着層26,28は、磁性体部22を構成する磁性材料、非磁性体部22を構成する非磁性材料、及び、充填材からなる。非磁性材料の熱膨張係数は、磁性材料の熱膨張係数と充填材の熱膨張係数との間であること、特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、電子部品に関する、より特定的には、磁性材料及び非磁性材料からなる焼結体を有する電子部品に関する。
従来の電子部品の焼結体に関する発明としては、例えば、特許文献1に記載の複合電子部品用焼結体500が知られている。図9は特許文献1に記載の複合電子部品用焼結体の断面図である。
複合電子部品用焼結体500は、図9に示すように、誘電体材料からなる非磁性体502、磁性材料からなる磁性体503、及び、これらの誘電体材料と磁性材料を所定の割合で混合した混合材料504を備えている。非磁性体502と磁性体503とは、混合材料504を介して接合されている。これにより、複合電子部品用焼結体500では、非磁性体502の熱膨張係数と磁性体503の熱膨張係数との差により焼結後に生じる、剥離やクラックを抑制することができる。
ところで、複合電子部品用焼結体500では、混合材料504の組成が、非磁性体502の熱膨張係数と磁性体503の熱膨張係数に合わせて設計されている。例えば、誘電体材料及び磁性材料を50wt%ずつの割合で混合して、混合材料504の熱膨張係数が、非磁性体502の熱膨張係数と磁性体503の熱膨張係数との中間の値になるように複合電子部品用焼結体500を設計している。この場合、混合材料504の透磁率を上げるために磁性材料の構成比率を上げると、熱膨張係数が中間の値から外れてしまう。従って、複合電子部品用焼結体500では、非磁性体502の熱膨張係数と磁性体503の熱膨張係数との中間の値に混合材料504の熱膨張係数を維持しつつ、混合材料504の透磁率を向上させることが困難だった。
そこで、本発明の目的は、磁性体と非磁性体との間で生じる剥離やクラックを抑制しつつ、接着層の透磁率を向上させることを可能にする電子部品を提供することである。
本発明に係る電子部品は、磁性体部、非磁性体部、及び、該磁性体部と該非磁性体部との間に介在する接着層を焼結して成る焼結体と、前記焼結体に設けられている回路素子と、を備え、前記接着層は、前記磁性体部を構成する磁性材料、前記非磁性体部を構成する非磁性材料、及び、充填材から成り、前記非磁性材料の熱膨張係数は、前記磁性材料の熱膨張係数と前記充填材の熱膨張係数との間であること、を特徴とする。
本発明に係る電子部品によれば、磁性体と非磁性体との間で生じる剥離やクラックを抑制しつつ、接着層の透磁率を向上させることができる。
以下に、第1の実施形態に係る電子部品及びその製造方法について説明する。
(第1の実施形態)
(電子部品の構成)
以下で、第1の実施形態に係る電子部品について図面を参照しながら説明する。図1は、第1の実施形態に係る電子部品10の外観斜視図である。図2は、第1の実施形態に係る電子部品10の分解斜視図である。以下、電子部品10の積層方向をz軸方向と定義し、z軸方向から平面視したときに、電子部品10の長辺に沿った方向をx軸方向と定義し、電子部品10の短辺に沿った方向をy軸方向と定義する。x軸、y軸及びz軸は互いに直交している。
(電子部品の構成)
以下で、第1の実施形態に係る電子部品について図面を参照しながら説明する。図1は、第1の実施形態に係る電子部品10の外観斜視図である。図2は、第1の実施形態に係る電子部品10の分解斜視図である。以下、電子部品10の積層方向をz軸方向と定義し、z軸方向から平面視したときに、電子部品10の長辺に沿った方向をx軸方向と定義し、電子部品10の短辺に沿った方向をy軸方向と定義する。x軸、y軸及びz軸は互いに直交している。
電子部品10は、図1に示すように、直方体状を成している。また、電子部品10は、図1及び図2に示すように、焼結体12、外部電極14a〜14d、コイル導体16a,16b(回路素子)、引き出し導体17a〜17d及びビアホール導体v1,v2、を備えている。なお、図1に示すように、電子部品10のx軸方向の負方向側の面を側面S1と称し、x軸方向の正方向側の面を側面S2と称す。
焼結体12は、図1及び図2に示すように、直方体状を成しており、非磁性体部22、接着層26,28、磁性体部30,32が積層されて構成されている。
非磁性体部22は、図2に示すように、非磁性体層22a〜22eをz軸方向の正方向側からこの順に並ぶように積層することにより構成されている。また、非磁性体層22a〜22eは、z軸方向から平面視したときに、長方形状を成している。なお、非磁性体層22a〜22eの材料は、非磁性材料のガラスである。
磁性体部30は、図2に示すように、焼結体12においてz軸方向の正方向側の一端に設けられている。また、磁性体部32は、焼結体12においてz軸方向の負方向側の他端に設けられている。そして、磁性体部30,32は、z軸方向から平面視したときに、長方形状を成している。なお、本実施例において磁性体部30,32は、磁性材料のフェライトにより構成された磁性体基板である。
接着層26は、図1及び図2に示すように、磁性体部30と絶縁体層22aとの間に介在している。また、接着層28は、磁性体部32と絶縁体層22eとの間に介在している。そして、接着層26,28は、z軸方向から平面視したときに、長方形状を成している。
接着層26,28は、磁性体部30,32を構成する磁性材料、非磁性体部22を構成する非磁性材料、及び、充填材により構成されている。より詳細には、接着層26,28は、フェライト、ガラス及びシリカから構成されている。また、その構成比率は、フェライトの構成比率αAが70wt%、ガラスの構成比率αBが13wt%、シリカの構成比率αCが17wt%である。
ここで、ガラスの熱膨張係数は、フェライトの熱膨張係数とシリカの熱膨張係数との間の値である。更に、ガラスの熱膨張係数は、フェライトの熱膨張係数よりも小さい。本実施形態では、フェライトの熱膨張係数は9(ppm/℃)であり、ガラスの熱膨張係数は5(ppm/℃)である。また、充填材であるシリカの熱膨張係数は、0.5(ppm/℃)である。そして、各物質の熱膨張係数に各物質の構成比率を乗じて、これらを合算することにより、接着層26,28の熱膨張係数が求まる。本実施例における接着層26,28の熱膨張係数は7(ppm/℃)である。これは、接着層26,28におけるフェライトの構成比率αAを50wt%、ガラスの構成比率αBを50wt%としたときの、接着層26,28の熱膨張係数と同じである。
コイル導体16a(第1のコイル導体),16b(第2のコイル導体)は、図2に示すように、非磁性体部22内に設けられ、かつ、互いに電磁気的に結合することにより、コモンモードチョークコイルを構成している。より詳細には、コイル導体16aは、非磁性体層22cのz軸方向の正方向側の面に設けられている線状導体である。コイル導体16aは、z軸方向の正方向側から平面視したときに、時計回りに旋回しながら中心に近づく渦巻状を成している。コイル導体16bは、非磁性体層22dのz軸方向の正方向側の面に設けられている線状導体である。コイル導体16bは、z軸方向の正方向側から平面視したときに、時計回りに旋回しながら中心に近づく渦巻状を成している。すなわち、コイル導体16a,16bは、非磁性体層22cを挟んでz軸方向に対向している。
引き出し導体17aは、図2に示すように、非磁性体層22bのz軸方向の正方向側の面に設けられている。また、引き出し導体17aは、z軸方向から平面視したときに、コイル導体16aの内側の端部と重なる位置から電子部品10の側面S2まで引き出されている。より詳細には、引き出し導体17aは、引き出し部19a及び接続部20aを含んでいる。引き出し部19aのx軸方向の負方向側の一端は、z軸方向から平面視したときに、コイル導体16aの内側の端部と重なっている。引き出し部19aは、x軸方向の負方向側の一端から非磁性体層22bのx軸方向の正方向側の辺近傍まで直線的に延在していると共に、y軸方向の負方向側に向けて折れ曲がっている。接続部20aは、引き出し部19aの他端に接続され、非磁性体層22bのx軸方向の正方向側の辺に引き出されている。これにより、接続部20aは、電子部品10の側面S2から、y軸方向に延在する線状に露出している。
引き出し導体17bは、図2に示すように、非磁性体層22cのz軸方向の正方向側の面に設けられている。また、引き出し導体17bは、コイル導体16aの外側の端部から電子部品10の側面S1まで引き出されている。より詳細には、引き出し導体17bは、引き出し部19b及び接続部20bを含んでいる。引き出し部19bは、コイル導体16aの外側の端部から非磁性体層22cのx軸方向の負方向側の辺近傍まで直線的に延在していると共に、y軸方向の負方向側に向かって折れ曲がっている。接続部20bは、引き出し部19bの端部に接続され、非磁性体層22cのx軸方向の負方向側の辺に引き出されている。これにより、接続部20bは、電子部品10の側面S1から、y軸方向に延在する線状に露出している。
引き出し導体17cは、図2に示すように、非磁性体層22dのz軸方向の正方向側の面に設けられている。また、引き出し導体17cは、コイル導体16bの外側の端部から電子部品10の側面S1まで引き出されている。より詳細には、引き出し導体17cは、引き出し部19c及び接続部20cを含んでいる。引き出し部19cは、コイル導体16bの外側の端部から非磁性体層22dのx軸方向の負方向側の辺近傍まで直線的に延在していると共に、y軸方向の正方向側に向かって折れ曲がっている。接続部20cは、引き出し部19cの端部に接続され、非磁性体層22dのx軸方向の負方向側の辺に引き出されている。これにより、接続部20cは、電子部品10の側面S1から、y軸方向に延在する線状に露出している。
引き出し導体17dは、図2に示すように、非磁性体層22eのz軸方向の正方向側の面に設けられている。また、引き出し導体17dは、z軸方向から平面視したときに、コイル導体16bの内側の端部と重なる位置から電子部品10の側面S2まで引き出されている。より詳細には、引き出し導体17dは、引き出し部19d及び接続部20dを含んでいる。引き出し部19dのx軸方向の負方向側の一端は、z軸方向から平面視したときに、コイル導体16bの内側の端部と重なっている。引き出し部19dは、x軸方向の負方向側の一端から非磁性体層22eのx軸方向の正方向側の辺近傍まで直線的に延在していると共に、y軸方向の正方向側に向けて折れ曲がっている。接続部20dは、引き出し部19dの他端に接続され、非磁性体層22eのx軸方向の正方向側の辺に引き出されている。これにより、接続部20dは、電子部品10の側面S2から、y軸方向に延在する線状に露出している。
ビアホール導体v1は、図2に示すように、非磁性体層22bをz軸方向に貫通しており、コイル導体16aの内側の端部と引き出し導体17aの引き出し部19aのx軸方向の負方向側の一端とを接続している。ビアホール導体v2は、図2に示すように、非磁性体層22dをz軸方向に貫通しており、コイル導体16bの内側の端部と引き出し導体17dの引き出し部19dのx軸方向の負方向側の一端とを接続している。
外部電極14a,14bはそれぞれ、図1に示すように、電子部品10の側面S1に設けられており、引き出し導体17b,17cと接続されている。より詳細には、外部電極14a,14bはそれぞれ、側面S1において、z軸方向に延在するように設けられている。また、外部電極14a,14bは、y軸方向の負方向側から正方向側へとこの順に並んでいる。外部電極14aは、引き出し導体17bの接続部20bと接続されている。また、外部電極14bは、引き出し導体17cの接続部20cと接続されている。
外部電極14c,14dはそれぞれ、図1に示すように、電子部品10の側面S2に設けられており、引き出し導体17a,17dと接続されている。より詳細には、外部電極14c,14dはそれぞれ、側面S2において、z軸方向に延在するように設けられている。また、外部電極14c,14dは、y軸方向の負方向側から正方向側へとこの順に並んでいる。外部電極14cは、引き出し導体17aの接続部20aと接続されている。また、外部電極14dは、引き出し導体17dの接続部20dと接続されている。
以上のように構成された電子部品10では、z軸方向から平面視したときに、コイル導体16a,16bが重なっている。これにより、コイル導体16aで発生した磁束がコイル導体16bを通過するようになり、コイル導体16bで発生した磁束がコイル導体16aを通過するようになる。したがって、コイル導体16aとコイル導体16bとが磁気結合するようになり、コイル導体16aとコイル導体16bとがコモンモードチョークコイルを構成するようになる。そして、外部電極14a、14bが入力端子として用いられ、外部電極14c,14dが出力端子として用いられる。すなわち、差動伝送信号が、外部電極14a,14bから入力し、外部電極14c,14dから出力する。そして、差動伝送信号にコモンモードノイズが含まれている場合には、コイル導体16a,16bは、コモンモードノイズの電流により、同じ方向に磁束を発生する。そのため、磁束同士が強め合うようになり、コモンモードノイズの電流に対するインピーダンスが発生する。その結果、コモンモードノイズの電流は、熱に変換されて、コイル導体16a,16bを通過することが妨げられる。一方、ノーマルモードの電流が流れた場合には、コイル導体16a,16bは、逆方向に磁束を発生する。そのため、磁束が打ち消し合うようになり、ノーマルモードの電流に対しては、インピーダンスが発生しない。従って、ノーマルモードの電流は、コイル導体16a,16bを通過することができる。
(電子部品の製造方法)
以上のように構成された電子部品10の製造方法について図3乃至図8を参照しながら以下に説明する。図3乃至図8は、電子部品10の製造時の断面図である。なお、以下では、図3乃至図8に示される一つの電子部品10の図を用いて説明するが、実際には、複数の焼結体12、磁性体部30,32、非磁性体部22及び接着層26,28がつながったマザー電子部品を作製し、マザー電子部品をカットした後に外部電極14を形成して、複数の電子部品10を得る。
以上のように構成された電子部品10の製造方法について図3乃至図8を参照しながら以下に説明する。図3乃至図8は、電子部品10の製造時の断面図である。なお、以下では、図3乃至図8に示される一つの電子部品10の図を用いて説明するが、実際には、複数の焼結体12、磁性体部30,32、非磁性体部22及び接着層26,28がつながったマザー電子部品を作製し、マザー電子部品をカットした後に外部電極14を形成して、複数の電子部品10を得る。
まず、アルミナ基板等の保持基板(図示せず)上にアルミナをバインダ及び溶剤と混合してペースト状にしたものをスクリーン印刷法で塗布後、溶剤分を乾燥し塗膜して保持層(図示せず)を形成する。更に、その上に磁性材料であるフェライトをバインダと混合してペースト状にした磁性体ペーストをスクリーン印刷により塗布し、乾燥することで磁性体部32を準備する。
次に、図3に示すように、磁性体部32上に、フェライト、硼珪酸系ガラス及びシリカをバインダと混合したペーストをスクリーン印刷により塗布し、乾燥することで接着層28を形成する。なお、接着層28を構成するフェライトは、磁性体部32で用いられているフェライトと略同一の組成である。また、接着層28を構成する硼珪酸系ガラスは、後述する非磁性体層22a〜22eで用いられている硼珪酸系ガラスと略同一の組成である。
続いて、図4に示すように、接着層28上に硼珪酸ガラスにより成る非磁性体層22eを形成する。具体的には、硼珪酸ガラスをバインダと混合してペースト状にした非磁性体ペーストをスクリーン印刷により塗布し、乾燥することで非磁性体層22eを形成する。
さらに、図5に示すように、非磁性体層22e上にAg又はCuを主成分とする引き出し導体17dを形成する。具体的には、Ag又はCuを主成分とする感光性電極ペーストをスクリーン印刷により塗布し、フォトマスクを介して露光する。露光後に、アルカリ現像液によって現像を行うことによって、引き出し導体17dを形成する。
そして、図6に示すように、非磁性体層22e及び引き出し導体17d上に非磁性層22dを形成する。具体的には、硼珪酸系ガラスをバインダと混合してペースト状にした感光性の非磁性体ペーストをスクリーン印刷により塗布し、フォトマスクを介して露光する。露光後に、アルカリ現像液によって現像を行うことによって、ビアホール導体v2となるビアホール(図示しない)が形成された非磁性体層22dを形成する。
次に、図7に示すように、非磁性体層22d上にAg又はCuを主成分とするコイル導体16b、引き出し導体17c(図示しない)及びビアホール導体v2(図示しない)を形成する。具体的には、めっき、蒸着、スパッタリング等により非磁性体層22dの表面全面に金属膜を形成する。この際、非磁性体層22dのビアホールに金属が充填され、ビアホール導体v2(図示しない)が形成される。そして、金属膜に対して感光性レジスト膜を塗布し、露光及び現像を行う。この後、感光性レジスト膜から露出した金属膜の部分をエッチングにより除去した後、感光性レジスト膜を除去する。これにより、コイル導体16b、引き出し導体17c(図示しない)及びビアホール導体v2(図示しない)が形成される。
この後、磁性体部32、接着層28、非磁性体層22d,22eの形成工程、及び、コイル導体16b、引き出し導体17c,17d及びビアホール導体v2(図示しない)の形成工程と同様の工程を繰り返す。これにより、磁性体部30、接着層26、非磁性体層22a〜22c、コイル導体16a、引き出し導体17a,17b及びビアホール導体v1(図示しない)を形成する。以上により、電子部品10の集合体であるマザー電子部品が完成する。
さらに、ダイシングにより、マザー電子部品を複数のチップに分割する。そして、チップに対してバレル研磨を施して面取りを行う。
次に、外部電極14a〜14dを形成する。まず、Agを主成分とする導電性材料からなる電極ペーストを焼結体12の側面に塗布する。次に、塗布した電極ペーストを約800°の温度で1時間の条件で焼き付ける。これにより、外部電極14a〜14dの下地電極が形成される。
最後に、下地電極の表面にNi/Snめっきを施す。これにより、外部電極14a〜14dが形成される。以上の工程により、電子部品10が完成する。
(効果)
以上のように構成された電子部品10によれば、接着層26,28の透磁率を向上させることができる。より詳細には、接着層26,28は、フェライトの構成比率が70wt%、ガラスの構成比率が13wt%、シリカの構成比率が17%の割合で構成されている。すなわち、電子部品10では、接着層26,28のフェライトの構成比率が50wt%よりも高くなっている。これにより、電子部品10及び焼結体12では、接着層26,28の透磁率を向上させることができる。
以上のように構成された電子部品10によれば、接着層26,28の透磁率を向上させることができる。より詳細には、接着層26,28は、フェライトの構成比率が70wt%、ガラスの構成比率が13wt%、シリカの構成比率が17%の割合で構成されている。すなわち、電子部品10では、接着層26,28のフェライトの構成比率が50wt%よりも高くなっている。これにより、電子部品10及び焼結体12では、接着層26,28の透磁率を向上させることができる。
また、電子部品10によれば、接着層26,28の透磁率を向上させても、磁性体部30,32と非磁性体部22との間で発生する剥離やクラックを抑制できる。より詳細には、フェライトの熱膨張係数は、ガラスの熱膨張係数よりも大きい。そのため、接着層26,28におけるフェライトの構成比率を70wt%としガラスの構成比率を30wt%とした場合には、接着層26,28の熱膨張係数がガラスの熱膨張係数とフェライトの熱膨張係数との中間値よりも大きくなってしまう。
そこで、電子部品10では、接着層26,28の材料として、フェライト及びガラスに加えてシリカを用いている。ガラスの熱膨張係数は、フェライトの熱膨張係数とシリカの熱膨張係数との間の値である。具体的には、フェライトの熱膨張係数は9(ppm/℃)であり、ガラスの熱膨張係数は5(ppm/℃)であり、シリカの熱膨張係数は、0.5(ppm/℃)である。これにより、接着層26,28におけるフェライトの構成比率を70wt%としても、ガラスの構成比率を13wt%とし、シリカの構成率を17wt%とすれば、接着層26,28の熱膨張係数を7(ppm/℃)とすることができる。すなわち、接着層26,28の熱膨張係数を、接着層26,28におけるフェライトの構成比率を50wt%、ガラスの構成比率が50wt%としたときの、接着層26,28の熱膨張係数と等しくすることができる。以上より、接着層26,28の透磁率を向上させても、磁性体部30,32と非磁性体部22との間で生じる剥離やクラックを抑制することができる。
また、電子部品10のようなコモンモードチョークコイルでは、コイルで発生した磁束が、接着層26,28を通過して、磁性体部30,32へと向かう。このとき、接着層26,28の透磁率が低いとコモンモードインピーダンスの低下を招来する。しかし、電子部品10では、接着層26,28におけるフェライトの構成比率を上げて、透磁率を磁性体部30,32の透磁率に近づけている。従って、電子部品10では、接着層26,28の透磁率に起因するコモンモードインピーダンスの低下を抑制することができる。
(第2の実施形態)
(電子部品の構成)
以下で、第2の実施形態に係る電子部品10’について説明する。なお、図面については、図1及び図2を援用する。
(電子部品の構成)
以下で、第2の実施形態に係る電子部品10’について説明する。なお、図面については、図1及び図2を援用する。
電子部品10と電子部品10’との相違点は、非磁性体部22の構成材料、接着層26,28の構成材料及び、接着層26,28の各材料の構成比率である。その他の点については、電子部品10と電子部品10’で相違しないので、説明を省略する。
電子部品10’における非磁性体部22’の構成材料は、ポリイミドである。また、接着層26’,28’の充填材は、炭酸カルシウムである。さらに、接着層26’,28’を構成する材料の比率は、フェライトが60wt%、ポリイミドが20wt%、炭酸カルシウムが20wt%である。
ここで、ポリイミドの熱膨張係数は、フェライトの熱膨張係数と炭酸カルシウムの熱膨張係数との間の値である。更に、ポリイミドの熱膨張係数は、フェライトの熱膨張係数よりも大きい。本実施形態では、フェライトの熱膨張係数は9(ppm/℃)であり、ポリイミドの熱膨張係数は20(ppm/℃)である。また、炭酸カルシウムの熱膨張係数は、25(ppm/℃)である。以上より、本実施例における接着層26’,28’の熱膨張係数は14.4(ppm/℃)である。これは、接着層26’,28’におけるフェライトの構成比率αAを50wt%、ポリイミドの構成比率αBを50wt%としたときの、接着層26’,28’の熱膨張係数14.5(ppm/℃)と略同じである。
以上のように構成された電子部品10’によれば、接着層26’,28’の透磁率を向上させることができる。より詳細には、接着層26’,28’の構成比率は、フェライトの構成比率が60wt%、ポリイミドの構成比率が20wt%、炭酸カルシウムの構成比率が20%である。すなわち、電子部品10’では、フェライトの構成比率が50wt%よりも高くなっている。これにより、電子部品10’では、接着層26’,28’の透磁率を向上させることができる。またこれにより、電子部品10’では、接着層26’,28’の透磁率に起因するコモンモードインピーダンスの低下を抑制することができる。
さらに、電子部品10’によれば、接着層26’,28’の透磁率を向上させても、磁性体部30,32と非磁性体部22との間で発生する剥離やクラックを抑制できる。より詳細には、フェライトの熱膨張係数は、ポリイミドの熱膨張係数よりも小さい。そのため、接着層26,28におけるフェライトの構成比率を60wt%としポリイミドの構成比率を20wt%とした場合には、接着層26,28の熱膨張係数がポリイミドの熱膨張係数とフェライトの熱膨張係数との中間値よりも小さくなってしまう。
そこで、電子部品10’では、接着層26’,28’の材料として、フェライト及びポリイミドに加えて炭酸カルシウムを用いている。ポリイミドの熱膨張係数は、フェライトの熱膨張係数と炭酸カルシウムの熱膨張係数との間の値である。具体的には、フェライトの熱膨張係数は9(ppm/℃)であり、ポリイミドの熱膨張係数は20(ppm/℃)であり、炭酸カルシウムの熱膨張係数は、25(ppm/℃)である。これにより、接着層26’,28’におけるフェライトの構成比率を60wt%としても、ポリイミドの構成比率を20wt%とし、シリカの構成率を20wt%とすれば、接着層26’,28’の熱膨張係数を14.4(ppm/℃)とすることができる。すなわち、接着層26’,28’の熱膨張係数を、接着層26’,28’におけるフェライトの構成比率を50wt%、ガラスの構成比率が50wt%としたときの、接着層26’,28’の熱膨張係数と略等しくすることができる。以上より、接着層26’,28’の透磁率を向上させても、磁性体部30,32と非磁性体部22との間で生じる剥離やクラックを抑制することができる。
また、本願発明者は、電子部品10及び電子部品10’が奏する効果をより明確にするために、以下に説明する実験を行った。
まず、接着層の熱膨張係数を電子部品10から変更した第1〜7のサンプル、及び接着層の熱膨張係数を電子部品10’から変更した第8〜13のサンプルを作製した。さらに、作製した各サンプルを焼結した後、各サンプルにおける磁性体部30,32と非磁性体部22との間で生じる剥離やクラックの有無を調べた。なお、第1〜第7のサンプルに関する、各接着層の材料組成比率、熱膨張係数及び実験結果を表1に示す。また、第8〜13のサンプルに関する、各接着層の材料組成比率、熱膨張係数及び実験結果を表2に示す。
第1〜7のサンプルを比較すると、表1に示すように、第1〜5のサンプルでは、磁性体部30,32と非磁性体部22との間で剥離やクラックは生じなかった。しかし、第6,7のサンプルでは、実用上問題はないが、磁性体部30,32と非磁性体部22との間で剥離やクラックが生じた。これは、磁性体部がフェライト、非磁性体部がガラスにより構成され、接着層がフェライト、ガラス及びシリカにより構成される場合には、接着層の熱膨張係数が、7.0(ppm/℃)以上8.0(ppm/℃)以下であれば、磁性体部30,32と非磁性体部22との間で生じる剥離やクラックをより効果的に抑制できることを示している。
第8〜13のサンプルを比較すると、表2に示すように、第8〜10のサンプルでは、磁性体部30,32と非磁性体部22との間で剥離やクラックは生じなかった。しかし、第11〜13のサンプルでは、実用上問題はないが、磁性体部30,32と非磁性体部22との間で剥離やクラックが生じた。これは、磁性体部がフェライト、非磁性体部がポリイミドにより構成され、接着層がフェライト、ポリイミド及び炭酸カルシウムにより構成される場合には、接着層の熱膨張係数が、13.6(ppm/℃)以上14.5(ppm/℃)以下であれば、磁性体部30,32と非磁性体部22との間で生じる剥離やクラックをより効果的に抑制できることを示している。
(その他の実施形態)
本発明に係る電子部品は、前記実施形態に係る電子部品10,10’に限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。
本発明に係る電子部品は、前記実施形態に係る電子部品10,10’に限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。
なお、電子部品10は、コイル導体16a又はコイル導体16bのいずれか一方のみが設けられたコイル部品であってもよい。また、電子部品10,10’は、コイル以外の回路素子、例えばコンデンサーであってもよい。
以上のように、本発明は、磁性材料及び非磁性材料からなる電子部品に有用であり、特に、磁性材料及び非磁性材料の間に介在する接着層における透磁率の向上を可能とする点において優れている。
10,10’ 電子部品
12 焼結体
16a,16b コイル導体(回路素子)
22 非磁性体部
26,28 接着層
30,32 磁性体部
12 焼結体
16a,16b コイル導体(回路素子)
22 非磁性体部
26,28 接着層
30,32 磁性体部
Claims (10)
- 磁性体部、非磁性体部、及び、該磁性体部と該非磁性体部との間に介在する接着層を焼結して成る焼結体と、
前記焼結体に設けられている回路素子と、
を備え、
前記接着層は、前記磁性体部を構成する磁性材料、前記非磁性体部を構成する非磁性材料、及び、充填材から成り、
前記非磁性材料の熱膨張係数は、前記磁性材料の熱膨張係数と前記充填材の熱膨張係数との間であること、
を特徴とする電子部品。 - 前記非磁性材料の熱膨張係数が、前記磁性材料の熱膨張係数よりも小さいこと、
を特徴とする請求項1に記載の電子部品。 - 前記磁性材料はフェライトであり、
前記非磁性材料はガラスであり、
前記充填材はシリカであること、
を特徴とする請求項2に記載の電子部品。 - 前記接着層の熱膨張係数は、7ppm/℃以上8ppm/℃以下であること、
を特徴とする請求項3に記載の電子部品。 - 前記非磁性材料の熱膨張係数が、前記磁性材料の熱膨張係数よりも大きいこと、
を特徴とする請求項1に記載の電子部品。 - 前記磁性材料はフェライトであり、
前記非磁性材料はポリイミドであり、
前記充填材は炭酸カルシウムであること、
を特徴とする請求項5に記載の電子部品。 - 前記接着層の熱膨張係数は、13.6ppm/℃以上14.5ppm/℃以下であること、
を特徴とする請求項6に記載の電子部品。 - 前記磁性体部は、前記焼結体の両端部に設けられていること、
を特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の電子部品。 - 前記回路素子は、前記非磁性体部内に設けられる第1のコイル導体であること、
を特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の電子部品。 - 前記回路素子は、前記非磁性体部内に設けられる第1のコイル導体、及び前記非磁性体部内に設けられ、かつ、前記第1のコイルと対向する第2のコイル導体であること、
を特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の電子部品。
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-
2012
- 2012-11-01 JP JP2012241693A patent/JP2014093341A/ja active Pending
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