JP2014093296A - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Abstract

【課題】色度変化を抑制し、高効率、長寿命、高演色性を実現可能な有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。
【解決手段】有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極1と陰極2との間に、発光層10を有する第1の発光ユニット5aと第2の発光ユニット5bとが、中間層3を介して積層されたマルチユニット構造を備えている。第1の発光ユニット5aの発光層10は青色発光材料を含んでいる。第2の発光ユニット5bの発光層10は、赤色発光材料を含有する赤色発光層10Rと緑色発光材料を含有する緑色発光層10Gとが積層された積層構造を含んでいる。赤色発光層10R及び緑色発光層10Gのうちの陽極1側の層がホール輸送性材料をホスト材料として含む層であるとともに、陰極2側の層が電子輸送性材料をホスト材料として含む層である。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下「有機EL素子」ともいう)は、面発光が可能であること、超薄型化が可能であること等の理由により、照明用の次世代光源として注目を集め、精力的に実用化を目指した開発が行われている。最近では発光材料の選定や、積層構造の調整により照明光源に必要とされる様々な色温度での発光を実現した照明デバイスの開発が加速されている。例えば、発光材料を複数種用いることで目的とする色味に近づいた白色発光を得ることができる。また、目的とする白色に近づけるために、中間層を介して複数の発光ユニットを積層させたマルチユニット構造の素子も開発されている。
しかしながら、有機EL素子は膜厚変化や発光材料の混合量の変化に対し、発光色の変化が非常に敏感であり、色度変化の小さい照明用の白色有機EL素子の実現にはまだ課題が残る。
特開2005−267990号公報 特開2011−70963号公報
複数の発光ユニットを積層させた構造として、特許文献1(特開2005−267990号公報)には、電荷発生層を介して単色発光ユニットと多色発光ユニットを積層した高効率な白色発光有機EL素子が提案されている。しかしながら、照明用途として重要である色バラツキや色度変化を抑えることについては考慮されておらず、色度変化に対して十分に対処できるものとは言い難い。
また、特許文献2(特開2011−70963号公報)には、2種類の緑色発光材料を用いることで、白色、温白色、電球色など様々な色温度でも色度変化を小さくすることが可能な素子構造が提案されている。しかしながら、長寿命化を実現可能ではあるものの、この構造では色温度を変化させた場合の寿命に違いが発生し、高色温度から低色温度になるにつれて短寿命化しており(実施例の欄参照)、様々な色温度において色度変化を抑制する更なる手法が望まれている。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、照明用途として重要である色度変化を抑制し、高効率、長寿命、高演色性を実現可能な有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することを課題とする。
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極と陰極との間に、1以上の発光層を有する第1の発光ユニットと、2以上の発光層を有する第2の発光ユニットとが、中間層を介して積層されたマルチユニット構造を備え、発光色が白色であり、前記第1の発光ユニットのうちの少なくとも一つの前記発光層は青色発光材料を含み、前記第2の発光ユニットの前記発光層は、赤色発光材料を含有する赤色発光層と緑色発光材料を含有する緑色発光層とが積層された積層構造を含み、前記赤色発光層及び前記緑色発光層のうちの前記陽極側の層がホール輸送性材料をホスト材料として含む層であるとともに、前記赤色発光層及び前記緑色発光層のうちの前記陰極側の層が電子輸送性材料をホスト材料として含む層であることを特徴とするものである。
有機エレクトロルミネッセンス素子の好ましい形態にあっては、前記第2の発光ユニットにおける前記赤色発光材料及び前記緑色発光材料はリン光発光材料であることを特徴とするものである。
有機エレクトロルミネッセンス素子の好ましい形態にあっては、前記第1の発光ユニットは、青色蛍光発光材料と緑色蛍光発光材料とを有することを特徴とするものである。
有機エレクトロルミネッセンス素子の好ましい形態にあっては、前記第2の発光ユニットにおける前記赤色発光材料と前記緑色発光材料とのピーク波長の差が75nm以下であることを特徴とするものである。
有機エレクトロルミネッセンス素子の好ましい形態にあっては、前記第2の発光ユニットにおける前記赤色発光材料のピーク波長が610nm以上であることを特徴とするものである。
本発明によれば、色度変化を抑制し、高効率、長寿命、高演色性を実現可能な有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。
有機エレクトロルミネッセンス素子の実施形態の一例を示す概略断面図である。 u’v’色度図を示し、(a)は座標系における色、(b)はマクアダム楕円を示す。 発光材料のピーク波長差と色度変化との関係を示すグラフであり、(a)はΔu’、(b)はΔv’、(c)はΔu’/Δv’のグラフを示す。
図1は、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の実施形態の一例である。有機EL素子は、複数の発光ユニット5を有するマルチユニット構造を備えている。この有機EL素子では、陽極1と陰極2との間に、1以上の発光層10を有する第1の発光ユニット5aと、2以上の発光層10を有する第2の発光ユニット5bとが、中間層3を介して積層されたマルチユニット構造となっている。この有機EL素子の発光色は白色である。発光層10を複数備えることにより、発光色を調整して白色光を発することが可能になる。例えば、色の三原色である緑色、赤色、青色を発色する発光層10を備えれば、白色発光が可能になる。以下、図1の形態を代表例として説明するが、この構造はあくまでも一例であり、発明の趣旨に反しない限り本構造に限定されるものではない。
図1の形態の有機EL素子では、基板4の表面に、陽極1、第1の発光ユニット5a、中間層3、第2の発光ユニット5b、陰極2がこの順で積層されて構成されている。発光ユニット5を複数備えることにより、白色の調整が容易になるとともに、色度変化を抑制することができ、高寿命な有機EL素子を得ることができる。ここで、発光ユニット5とは、一対の電極(陽極1と陰極2)とで挟んで電圧を印加すれば発光する機能を有する積層構造のことである。また、マルチユニット構造とは、複数の発光ユニット5を中間層3を介して積層した構造のことである。マルチユニット構造における中間層3は、光透過性および上下の発光ユニットへの電荷注入特性を有するものである。それにより、電荷(電子及び正孔)を上下の発光ユニットに注入することで素子を駆動可能にするとともに、光を透過させて外部に光を発することが可能になる。マルチユニット構造では、一対の電極の間に、厚み方向に重なる複数の発光ユニット5が電気的に直列接続した構成を備えている。
本形態では、発光ユニット5は二つで構成され、第1の発光ユニット5aと第2の発光ユニット5bとを備えている。発光ユニット5の数は、3以上であってもよいが、発光ユニット数が多くなると、素子構成が複雑になり、色調整も難しくなるおそれがあるため、発光ユニット5の数は多くない方がよく、例えば、5以下とすることができる。素子設計や色調整の容易性や、薄型化の観点からは、発光ユニット5の数は3個以下が好ましく、2個であることがより好ましい。
本形態の有機EL素子では基板4上に各層が積層されている。基板4は、有機EL素子を構成する各層を積層させるための支持基板となるものである。基板4を用いることにより各層を安定に成膜することができ、発光性の良好な素子を得ることができる。基板4側から光を取り出す場合、基板4は光透過性を有する透明基板であることが好ましい。基板4としては、例えば、ガラス基板などを用いることができる。基板4をガラス基板で構成した場合、ガラスは防湿性が高いので水分による素子の劣化を抑制することができる。また、透明なガラスを用いることにより光取り出し性を高めることができる。本形態では、基板4は光透過性を有し、発光層10で発光した光は、基板4を通して外部に取り出される。そのため、有機EL素子は、いわゆるボトムエミッション構造となっている。有機EL素子においては、もちろん基板4とは反対側から光を取り出すトップエミッション構造であってもよい。また、両側から光を取り出す両面取り出し構造であってもよい。また、本形態では、基板4の表面には、陽極1が形成されている。一対の電極のうち基板4側に陽極1を配置する層構成は、いわゆる順層構造であり、素子の形成を容易にすることができる。もちろん基板4側に陰極2を配置する構造(逆層構造)であってもよい。基板4と陽極1の間には、光取り出し構造が設けられていてもよい。光取り出し構造が設けられることにより、光取り出し性を高めることができる。光取り出し構造は、ガラスよりも屈折率の高い樹脂層や、光散乱粒子を含む樹脂層や、高屈折率ガラスなどによって形成することができる。
本形態においては、基板4の発光層10が設けられた側とは反対側の面(外部側の面)には、光取り出し層8が設けられている。光取り出し層8を設けることにより、基板4と外界との間の反射ロスを抑制することができ、光取り出し効率を高めることができる。光取り出し層8は光散乱性の層であってよい。その場合、散乱性によって発光層10から発せられるさまざまな角度の光が十分に混ざり合い、見る方向の角度による色度のずれを小さくすることができる。特に、白色発光のパネル状の有機EL素子では、照明用途などにおいて、見る方向で色ズレなく発光することは重要であり、光取り出し層8を設けることにより、角度依存性のない発光を得ることができるものである。光取り出し層8は、例えば、光散乱構造を有する光取り出しフィルムを貼り付けることにより形成することができる。それにより、簡単に光取り出し層8を設けることができる。また、光取り出し層8に代えて、あるいは、光取り出し層8に加えて、基板4の表面を加工して光散乱構造を設けるようにしてもよい。その場合も、光が散乱されて光取り出し性を高めることができる。例えば、基板4を粗面化することにより、光散乱構造を基板4に設けることができる。基板4の粗面化は、例えば、サンドブラスト、反応性エッチングなどの適宜の方法により行うことができる。
陽極1及び陰極2は、互いに対となる電極であり、電圧を印加した際には、陽極1から正孔が注入され、陰極2から電子が注入される。光取り出し側の電極(陽極1)は、光透過性を有することが好ましい。陽極1は、透明な導電層によって構成することができる。また、光取り出し側とは反対側の電極(陰極2)は光反射性を有していてもよい。その場合、陰極2側に向って発せられる発光層からの光を反射させて基板4側から取り出すことができる。
陽極1は、発光層10にホールを注入するための電極である。陽極の材料としては、仕事関数の大きい金属、合金、電気伝導性化合物、あるいはこれらの混合物からなる電極材料を用いることが好ましい。また、陽極1の材料として、HOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)準位との差が大きくなりすぎないように、仕事関数が4eV以上6eV以下のものを用いることが好ましい。陽極1の電極材料としては、例えば、ITO、酸化錫、酸化亜鉛、IZO、ヨウ化銅などや、PEDOT、ポリアニリンなどの導電性高分子および任意のアクセプタなどでドープした導電性高分子、カーボンナノチューブなどの導電性光透過性材料を挙げることができる。ここにおいて、陽極1は、基板4の表面に形成する場合、スパッタ法、真空蒸着法、塗布法などによって薄膜として形成することができる。透明な陽極1の屈折率は、例えば1.8〜2程度にすることができるが、これに限定されるものではない。また、有機層と透明基板との界面の全反射ロス低減のためには、陽極1と基板4との間の屈折率差は小さい方が好ましい。なお、陽極1のシート抵抗は数百Ω/□以下とすることが好ましく、特に好ましくは100Ω/□以下がよい。ここで、陽極1の膜厚は500nm以下、好ましくは10nm〜200nmの範囲で設定するのがよい。陽極1を通して光を取り出す場合、陽極1を薄くすればするほど光の透過率が改善するが、シート抵抗が膜厚と反比例して増加するため、素子の大面積化の際に高電圧化や輝度均斉度の不均一化(電圧降下による電流密度分布の不均一化による)が発生し得る。このトレードオフを回避するため、メタルなどによって構成されるグリッド状の補助配線を陽極1上に形成することも有効である。この際、グリッド配線が遮光材料として働かないよう、グリッド部に発光層10に向けて電流が流れないような絶縁処理を施すことがより好ましい。
陰極2は、発光層10に電子を注入するための電極である。陰極2の材料としては、仕事関数の小さい金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物からなる電極材料を用いることが好ましい。また、陰極2の材料として、LUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)準位との差が大きくなりすぎないように、仕事関数が1.9eV以上5eV以下のものを用いることが好ましい。陰極2の電極材料としては、例えば、アルミニウム、銀、マグネシウムなど、およびこれらと他の金属との合金、例えばマグネシウム−銀混合物、マグネシウム−インジウム混合物、アルミニウム−リチウム合金を例として挙げることができる。また、金属の導電材料、金属酸化物など、およびこれらと他の金属との混合物、例えば、酸化アルミニウムからなる極薄膜(ここでは、トンネル注入により電子を流すことが可能な1nm以下の薄膜)とアルミニウムからなる薄膜との積層膜なども使用可能である。
隣り合う発光ユニット5,5間には、中間層3が設けられている。中間層3は、金属化合物や、金属化合物と有機物の混合物などの導電性材料や、電子引抜材料と有機物の積層構造などの絶縁材料などで形成されるものであり、上下の発光ユニットに電子・ホールを注入するものである。このように、複数の発光ユニット5は、中間層3を介して電気的に直列に接続されている。すなわち、一対の電極間に、並列ではなく直列に、第1の発光ユニット5a、中間層3、第2の発光ユニット5bが配置されている。このような素子構造は、二段マルチユニットと呼ばれる。それにより、それぞれの発光層に偏りなく電子及び正孔が流れるため、バランスのよい発光が得られ、また、高効率・長寿命となる。また、二段マルチユニットで構成すれば、積層が容易になり生産性を向上することができる。
中間層3は、単層であっても複数層からなるものであってもよい。単層であれば、素子構成が簡単になり製造が容易になる。一方、複数層にすれば、それぞれの発光ユニット5への電子輸送及び正孔輸送に適する層材料を採用することができ、さらなる効率の向上、寿命の長期化を図ることができる。
本形態では、中間層3を挟んで、陽極1側に第1の発光ユニット5aが配置され、陰極2側に第2の発光ユニット5bが配置されているが、発光ユニット5の配置はこれに限定されるものではない。例えば、第1の発光ユニット5aが陰極2側に配置され、第2の発光ユニット5bが陽極1側に配置されるものであってもよい。また、有機EL素子が、三つ以上の発光ユニット5を有する場合には、第1の発光ユニット5a及び第2の発光ユニット5bは、複数の発光ユニット5のどの位置に配置されていてもよい。
発光ユニット5は、少なくとも1つの発光層10を有して構成されている。発光層10を有することにより発光可能な構造となる。本形態では、各発光ユニット5は、二つの発光層10を有している。すなわち、第1の発光ユニット5aは、第1発光層11及び第2発光層12を備えている。また、第2の発光ユニット5bは、第3発光層13及び第4発光層14を備えている。よって、複数の発光層10は、陽極1側から陰極2側に向けて、第1発光層11、第2発光層12、第3発光層13、第4発光層14の順に配置されている。発光ユニット5内の発光層10の数は、これに限られるものではない。第1の発光ユニット5aは、発光層10を1以上有していればよく、一つの発光層10を有するユニットであってもよい。また、第1の発光ユニット5a及び第2の発光ユニット5bにおける発光層10の数をいずれかの発光ユニット5において又は両方の発光ユニット5において3個以上にしてもよい。一つの発光ユニット5内の発光層10の数については、発光層10の数が多いと色調整がかえって難しくなる可能性があるので、5個以下が好ましく、3個以下がより好ましく、2個がさらに好ましい。
発光層10は、陽極1側から注入されたホール(正孔)と、陰極2側から注入された電子とを結合させて発光させるための層である。発光層10は、発光層10を構成する層媒体に、発光材料であるドーパント(発光材料)がドープされた構成であってよい。層媒体は電荷を輸送可能な材料などで構成することができる。
発光ユニット5内において、複数の発光層5は、隣接して積層されていることが好ましい。それにより、効率よく発光を行うことができる。図1の形態においては、第1発光層11と第2発光層12とが隣接して形成されている。また、第3の発光層13と第4の発光層14とが隣接して形成されている。
発光ユニット5は、電子やホールを注入したり輸送したりするための層(電荷移動層)を有することが好ましい。それにより、電極や中間層3から発光層10への電荷の移動をスムーズに行うことができ、発光効率を高めるとともに長寿命化を図ることができる。電荷移動層としては、ホール注入層、ホール輸送層6、電子輸送層7、電子注入層などを挙げることができる。
図1の形態の有機EL素子においては、各発光ユニット5は、発光層10の陽極1側にホール輸送層6を備え、発光層10の陰極2側に電子輸送層7を備えている。すなわち、第1の発光ユニット5aは、第1発光層11の陽極1側に第1のホール輸送層6aを備え、第2発光層12の陰極2側(中間層3側)に第1の電子輸送層7aを備えている。また、第2の発光ユニット5bは、第3発光層13の陽極1側(中間層3側)に第2のホール輸送層6bを備え、第4発光層14の陰極2側に第2の電子輸送層7bを備えている。ホール輸送層6と電子輸送層7とを設けることにより、正孔及び電子の移動がスムーズになり、発光効率を高めることができる。陽極1とホール輸送層6(第1のホール輸送層6a)との間、及び、中間層3とホール輸送層6(第2のホール輸送層6b)との間の一方又は両方には、ホール注入層を設けてもよい。それにより、正孔の注入性を高めることができる。また、陰極2と電子輸送層7(第2の電子輸送層7b)との間、及び、中間層3と電子輸送層7(第1の電子輸送層7a)との間の一方又は両方には、電子注入層を設けてもよい。それにより、電子の注入性を高めることができる。このように、有機EL素子においては、電荷の移動を促進させるような機能層を適宜設けることにより、高効率化と長寿命化を図ることができる。
本形態の有機EL素子においては、第1の発光ユニット5aのうちの少なくとも一つの発光層10は青色発光材料を含んで構成されている。この形態では、第1の発光ユニット5aは青色発光層10Bを有している。また、第2の発光ユニット5bの発光層10は、赤色発光材料を含有する赤色発光層10Rと緑色発光材料を含有する緑色発光層10Gとが積層された積層構造を含んでいる。青、赤、緑の発光を有することにより、白色発光がより容易となる。
図1の形態においては、第1の発光ユニット5aにおける二つの発光層10のうち、第1発光層11が、青色発光材料を含む青色発光層10Bとして構成されている。また、第2発光層12が、緑色発光材料を含む緑色発光層10Gとして構成されている。第1の発光ユニット5aにおける青色発光層10Bと緑色発光層10Gの配置(色順、積層順)は、これに限定されるものではなく、第2発光層12が青色発光層10Bで構成されていてもよい。その場合、第1発光層11が緑色発光層10Gで構成されていてもよい。
第2の発光ユニット5bにおいては、二つの発光層10のうち、第3発光層13が赤色発光層10Rとして構成され、第4発光層14が緑色発光層10Gとして構成されている。第2の発光ユニット5bにおける発光層10の色順(積層順)はこれに限定されるものではなく、第3発光層13が緑色発光層10Gとして構成され、第4発光層14が赤色発光層10Rとして構成されていてもよい。
有機EL素子に含まれる複数の発光層10においては、緑色発光層10Gが複数(本形態では二つ)含まれることが好ましい態様の一つである。緑色は、視覚に及ぼす影響が大きく、緑色の強度が強いと、他の色が強くなる場合よりも発光をより強く感じるようになる。また、緑色が強いと、色変化を感じにくくなる。そのため、緑色発光層10Gを複数設けることにより、色調整を容易に行うことができるとともに、色度変化を抑制し、発光性能の高い素子を得ることができる。
本形態では、第2の発光ユニット5bにおいて、赤色発光層10R及び緑色発光層10Gのうちの陽極1側の層が、ホール輸送性材料をホスト材料として含む層として構成されている。また、第2の発光ユニット5bにおいて、赤色発光層10R及び緑色発光層10Gのうちの陰極2側の層が、電子輸送性材料をホスト材料として含む層として構成されている。すなわち、陽極1側に配置されている第3発光層13は、ホール輸送性材料に発光材料がドープされた層となっており、陰極2側に配置されている第4発光層14は、電子輸送性材料に発光材料がドープされた層となっている。具体的には、第3発光層13は、赤色発光材料がドープされた層であり、第4発光層14は緑色発光材料がドープされた層である。このように、積層した発光層10のホスト材料を陽極1側と陰極2側とで、異ならせることにより、色度変化を抑制し、高効率、長寿命、高演色性を実現可能にすることができるものである。すなわち、積層される発光層10を単一のホスト材料で構成したり、ホスト材料を好適化しないで発光層10を積層したりした場合、色度変化が大きくなる傾向があり、発光性能が低下するおそれがある。しかしながら、本形態では、複数の発光層10の積層構造における陽極1側をホール輸送性材料の層で構成し、陰極2側の層を電子輸送性材料の層で構成することにより、電荷の移動が好適化され、色度変化を抑制することができるのである。
ホール輸送性材料とは、ホール(正孔)と電子との電荷移動性において、ホールの移動性が電子の移動性よりも高い材料である。また、電子輸送性材料とは、ホール(正孔)と電子との電荷移動性において、電子の移動性がホールの移動性よりも高い材料である。ホール輸送層及び電子輸送層における電荷の輸送性の違いは、ホール及び電子の一方が他方に比べて、好ましくは10倍以上、より好ましくは100倍以上、さらに好ましくは1000倍以上、さらにより好ましくは10000倍以上高くなるものである。ホールと電子との輸送性は、電荷移動度で表現することができる。この電荷移動度は、TOF法や、インピーダンス分光、過渡EL測定、ダークインジェクション法などの手法を用いてホール及び電子の移動性を測定することにより確認することができる。ホスト材料としては、ホールと電子との両方に輸送性を有する材料(輸送性が近い両電荷輸送性材料)、いわゆるバイポーラ材料なども存在する。しかしながら、本形態では、発光層10のホスト材料を上記のように好適化することにより、色度変化を抑制することができる。
ここで、色度変化とは、製造した有機EL素子ごとの発光色のばらつきを含んでいる。すなわち、有機EL素子においては、同一材料及び同一方法で層を積層したとしても、製造時の微妙な条件(環境)の違いなどにより、発光色がわずかに異なる場合が生じ得る。特に、白色発光の有機EL素子においては、色の違いが目視で確認しやすく、色度のばらつきをなくすことは重要な事項である。また、パネル状の有機EL素子においては、複数個の有機EL素子が面状に並べられて面状の照明体として形成されることがあり、その際に、有機EL素子の発光色がわずかに異なると、色の異なる発光が目立つことになり、照明性が悪化してしまうおそれがある。しかしながら、本形態の有機EL素子においては、有機EL素子ごとの発光色の色度の変化(違い)を抑制し、発光色の色味の違いを目視では認識できない程度に抑制することが可能である。そのため、色度変化を抑制した有機EL素子を得ることができる。色度変化は、色差で表されるものであってよい。
また、色度変化とは、有機EL素子の経時での色度変化を含んでいる。有機EL素子においては、使用によって発光材料ごとの強度の割合が経時的に変化し、発光色の色度が変化し得る。特に、白色発光の有機EL素子においては、色の変化を目視で確認しやすく、色度の経時的な変化を抑えることは重要な事項である。また、上記のように、パネル状の有機EL素子を複数個面状に並べて面状の照明体として形成した場合に、発光色の色度変化の度合が有機EL素子ごとに異なると、色の異なる発光が目立つことになり、照明性が悪化してしまうおそれがある。しかしながら、本形態の有機EL素子においては、使用しても色バランスがくずれにくくなり、有機EL素子の発光色の色度の変化(経時的変化)を抑制し、発光色の色味の違いを目視では認識できない程度に抑制することが可能である。そのため、色度変化を抑制した有機EL素子を得ることができる。
有機EL素子は、例えば、分光放射輝度計などの光学機器を用いることにより、可視光領域(波長:400〜800nm程度)の発光スペクトルが観測される。この発光スペクトルは、各波長における発光の強度を相対的に示すものである。そして、この可視光領域のうち、青色波長領域の間に発光ピークを有する青色発光ドーパントと、緑色波長領域の間に発光ピークを有する緑色発光ドーパントと、赤色波長領域の間に発光ピークを有する赤色発光ドーパントとを用いることができる。青色発光ドーパントとしては、例えば波長:450〜490nm程度の青色波長領域の間に最大発光強度(発光ピーク)を有するものを用いることができる。また、緑色発光ドーパントとしては、例えば波長:500〜570nm程度の緑色波長領域の間に最大発光強度(発光ピーク)を有するものを用いることができる。また、赤色発光ドーパントとしては、例えば波長:590〜650nm程度の赤色波長領域の間に最大発光強度(発光ピーク)を有するものを用いることができる。そして、この赤、緑、青の色の三原色を組み合わせることにより、種々の発光色が得られるものであり、特に、白色発光が得られるものである。
図2は、u’v’色度図〔CIE1976 UCS色度図(2°視野)〕を示し、図2(a)は座標系における色、図2(b)はマクアダム楕円を示している。図2(b)の座標系は、正確には、uv座標が示されており、このuv座標ではv’=1.5×vの関係になる。また、図2(b)のマクアダム楕円では、10倍拡大で表示されている。なお、図2(a)ではグレーで描画されているが、この図はカラーで描画される色度図であり、図示したような色の分布になることは当業者によれば明らかである。
図2(a)の色度図により、マルチユニット構造の発光色の原理を説明する。白色発光は、色の混合により作り出すことができる。図2(a)の色度図において、単色の発光材料は、この色度図で示される図形の外縁(波長を記載した曲線上)付近の位置で示される。例えば、一つの発光ユニット5において、波長450nmの青色発光層10Bと波長540nmの緑色発光層10Gとを積層した場合、混合して作り出される色は、図2(a)の色度図の外縁における450nmの点と540nmの点とを結んだ直線上(線分上)に配置される。この発光ユニット5は第1の発光ユニット5aであってよい。このとき、色が直線上のどの位置になるかは、色の強度比などによって決定される。例えば、強度が等しい場合は、直線の半分の位置になる。このように第1の発光ユニット5aによって作り出される色の座標を第1の色座標というとする。また、他の発光ユニット5において、波長550nmの緑色発光層10Gと波長620nmの赤色発光層10Rとを積層した場合、混合して作り出される色は、図2(a)の色度図の550nmの点と620nmの点とを結んだ直線上(線分上)に配置される。この発光ユニット5は第2の発光ユニット5bであってよい。このとき、色が直線上のどの位置になるかは、色の強度比などによって決定される。例えば、強度が等しい場合は、直線の半分の位置になる。このように第2の発光ユニット5bによって作りだれる色の座標を第2の色座標というとする。そして、二つの発光ユニット5のそれぞれによって作り出される色が、さらに混合することによって、第1の色座標と第2の色座標とを結んだ直線上に素子全体としての発光色の色座標が配置し、この色座標が色度図の中央にある白色領域に入ると、白色光を発することができるのである。
図2(b)に示すように、色度図において、一般的に色の違いを認識可能かどうかの範囲はマクアダム楕円を用いて判定される。マクアダム楕円の範囲内にある色は、色座標が近いため、目視によっては同じ色(もしくは色の違いがない)と判定され得る。したがって、色変化が生じたとしても、色の変化がマクアダム楕円の範囲内に収まるようにすれば、色度変化のない素子を構成することが可能である。ここで、図2(b)に示すように、白色領域のマクアダム楕円は、u’v’色度図においては、楕円の短軸がu’軸に沿った方向、楕円の長軸がv’に沿った方向になって配置されている。そのため、色の変化が生じたとしても楕円の範囲内に収めるためには、長さの短いu’の変化を小さくすることが、変化した色との色差を小さくする上で重要である。上記のように、白色発光の有機EL素子では、白色を作り出すために、通常、青色発光層10Bと赤色発光層10Rと緑色発光層10Gとが含まれている。このとき、白色における微妙な色調整(色温度の調整など)は、発光層10の各膜厚の設定、ドーパント濃度の設定などによって行われる。図1の形態では、第1の発光ユニット5aには少なくとも青色発光材料が含まれ、第2の発光ユニット5bには赤色発光材料と緑色発光材料とが含まれている。このようなマルチユニット構造の有機EL素子において、u’の色度変化に影響を強く与えるものは緑色発光強度と赤色発光強度の変化であり、この変化を可能な限り抑制することが色差変動を小さくするために重要である。
本形態では、色差変化に影響を強く与える赤色発光層10Rと緑色発光層10Gとの積層構造に、ホール輸送性ホスト材料と電子輸送性ホスト材料との積層構造を用いるようにしている。それにより、様々な色温度を実現させるために発光層膜厚を変化させた場合であっても色度変化を抑制することができ、また、劣化挙動の際の色のバラツキを少なくすることで安定した色度変化を実現可能とすることができるものである。そして、高効率、長寿命で、演色性の高い有機EL素子を構成することができるものである。
ここで、白色発光と一言でいっても、詳細には発光色として種々のものがある。特に蛍光灯や電灯などの照明分野では、白色発光の色の違いが重要であり、蛍光灯に置き換わるような有機EL素子や、蛍光灯の色味を呈したい有機EL素子においては、この発光色の規定が重要になる。
以下に、白色発光の具体的な発光色(色味)を示す。本形態の有機EL素子では、次の発光色のうちの適宜の色の発光を得ることが可能である。
表示:名称 :JIS規格(色温度):色の説明
D :昼光色: 5700〜7100K :晴天の正午の日光の色
N :昼白色: 4600〜5400K :晴天の正午をはさんだ時間帯の日光の色
W :白色 : 3900〜4500K :日の出2時間後の日光の色
WW:温白色: 3200〜3700K :夕方の日光の色
L :電球色: 2600〜3150K :白色電球の色
なお、上記において、JIS規格は、「JIS Z9112 蛍光ランプの光源色及び演色性による区分」である。また、色温度の単位「K」は「ケルビン」である。
本形態の有機EL素子は、上記のような構成によって、赤(R)、緑(G)、青(B)の発光バランスを良好にすることができ、さらに発光色の色度変化を抑制することができるので、JIS規格に入る優れた白色発光を安定して得ることができる。
有機EL素子にあっては、白色の種類のうち、適宜の色を選択することができる。例えば、色温度が3000K付近のL色(電球色)、色温度が4000K付近のW色(白色)、色温度が5000K付近のN色(昼白色)などであってよい。この場合、発光寿命をさらに長くすることができ、長寿命の有機EL素子を得ることができる。上記のとおり、白色発光といっても種々の発光色があるが、従来の有機EL素子では微小な色度変化を十分に抑制することができず、色度変化により白色発光色の色味を維持することが難しかった。しかしながら、本形態の有機EL素子では、種々の白色において、色度変化が小さく白色発光の色味を維持して、長寿命化が可能になるものである。
本形態では、第2の発光ユニット5b内の発光層10は、赤色発光材料を含む赤色発光層10Rと緑色発光材料を含む緑色発光層10Gとの積層構造で形成されている。図1の形態では、赤色発光層10Rが、陽極1側に配置された第3発光層13を構成し、緑色発光層10Gが、陰極2側に配置された第4発光層14を構成している。赤色発光層10Rと緑色発光層10Gの積層順はこれに限定されるものではなく、赤色発光層10Rが陰極2側に配置されて第4発光層14を構成し、緑色発光層10Gが陽極1側に配置されて第3発光層13を構成してもよい。また、第2の発光ユニット5bに青色発光層10Bがさらに含まれていてもよい。
本形態においては、第2の発光ユニット5bにおける赤色発光材料及び緑色発光材料はリン光発光材料であることが好ましい一態様である。この場合、図1の形態では、第3発光層13を構成する赤色発光層10Rと、第4発光層14を構成する緑色発光層10Gとは、ともにリン光発光層となる。そして、第2の発光ユニット5bはリン光ユニットとして構成されることになり、リン光ユニットを構成する発光層10が、ホール輸送性材料の層と電子輸送性材料の層の積層構造で形成される。リン光発光は色変化が比較的大きいため、色変化の大きなリン光発光層をホール輸送性ホストと電子輸送性ホストの積層構造とすることで、特に効果的に色度変化を抑制することが可能である。また、蛍光材料と比較して、高効率化が可能で長寿命化を行う材料として得やすい材料である赤色リン光発光材料及び緑色リン光発光材料を用いることで、色度変化抑制とともに高効率、長寿命を実現することがより可能になる。
本形態では、第1の発光ユニット5a内の発光層10は、青色発光材料を含む青色発光層10Bと緑色発光材料を含む緑色発光層10Gとの積層構造で形成されている。図1の形態では、青色発光層10Bが、陽極1側に配置された第1発光層11を構成し、緑色発光層10Gが、陰極2側に配置された第2発光層12を構成している。青色発光層10Bと緑色発光層10Gの積層順はこれに限定されるものではなく、青色発光層10Bが陰極2側に配置されて第2発光層12を構成し、緑色発光層10Gが陽極1側に配置されて第1発光層11を構成してもよい。また、第1の発光ユニット5aに赤色発光層10Rがさらに含まれていてもよい。
第1の発光ユニット5aは、青色蛍光発光材料と緑色蛍光発光材料とを有することが好ましい一態様である。図1の形態のように、青色発光層10Bと緑色発光層10Gとの積層構造で発光層10が構成されている場合には、青色発光層10Bのドーパントを青色蛍光発光材料にし、緑色発光層10Gのドーパントを緑色蛍光発光材料にすることができる。また、第1の発光ユニット5a内の発光層10が一つで単層の場合には、単層の発光層10に青色蛍光発光材料と緑色蛍光発光材料をドープしてもよい。第1の発光ユニット5aに含まれる発光材料が蛍光発光材料の場合、第1の発光ユニット5aは蛍光ユニットとして構成される。蛍光ユニットを用いることにより、色度変化が抑制された長寿命な素子を得ることができる。そして、リン光ユニットと蛍光ユニットとを含むマルチユニット構造にすることにより、リン光と蛍光との相互の発光作用により、さらに色度変化を抑制することができ、高効率で長寿命な有機EL素子を得ることができる。
また、青色蛍光発光材料は、青色リン光発光材料と比較して長寿命であり、そのような青色蛍光発光材料を有する第1の発光ユニット5aに緑色蛍光発光材料を用いることにより、第1の発光ユニット5aからの発光を狙いの色に容易に調整することができる。そのため、有機EL素子の発光色を白色に調整することが容易となる。例えば、低色温度(たとえば3000K)の白色を実現するためには、高色温度(例えば5000K)の白色を実現する場合と比較し、第1の発光ユニット5aに含まれる青色発光強度を低下させることが考えられる。その際、具体的には、第1の発光ユニット5aの発光効率を低下させる層構成や層構造をあえて採用することで狙いの白色を実現する手法が用いられ得る。このとき、第1の発光ユニット5aに青色蛍光発光材料と緑色蛍光発光材料を用いることで、低色温度の白色を実現する際、青色蛍光発光の強度を抑制した分、緑色蛍光発光強度を強くすることで、白色発光時の発光効率を低下させることなく、狙いの低色温度の白色発光が実現可能となる。また、第1の発光ユニット5aを青色蛍光発光材料と緑色蛍光発光材料を含む多色発光層とすることで、よりブロードな発光スペクトルが実現可能となり、照明用途において求められる高い演色評価数(Ra)を実現可能となる。
リン光ユニットと蛍光ユニットとを有する有機EL素子においては、リン光ユニットが陰極2側に配置され蛍光ユニットが陽極1側に配置されていてもよいし、その逆の配置であってもよい。図1の形態では、蛍光ユニットが陽極1側に配置され、リン光ユニットが陰極2側に配置されており、このような配置がより好ましい。この場合、高い内部量子効率を有するリン光ユニットを光学干渉ロスの少ない陰極側に配置することで、白色として高い効率を実現することが可能となる。なお、リン光ユニットを陽極1側に、蛍光ユニット2を陰極2側に配置した場合、寿命を長期化すること可能となる。ただし、この場合、発光効率が低下する場合があるので、前述の配置の方がより好ましいものである。
第1の発光ユニット5aにおける発光層10(第1発光層11及び第2発光層12)に用いるホスト材料は、特に限定されるものではなく、適宜のホスト材料を用いてよい。第1発光層11及び第2発光層12のホスト材料に同じものを用いてもよいし、異なるものを用いてもよい。同じホスト材料を用いた場合には、積層をより簡単にすることができる。ホスト材料としては、ホール輸送性材料を用いてもよいし、電子輸送性材料を用いてもよいし、ホールと電子の両方の輸送性を有する材料(バイポーラ性材料)を用いてもよい。また、第2の発光ユニット5bと同様に、陽極1側の第1発光層11にホール輸送性材料のホスト材料を用い、陰極2側の第2発光層12に電子輸送性材料のホスト材料を用いるようにしてもよい。それにより、発光層10の積層構造がさらに好適化され、色度変化をさらに抑制し得る。
第2の発光ユニット5bは、上記のように、赤色発光材料と緑色発光材料とを含んでいる。第2の発光ユニット5bにおける赤色発光材料と緑色発光材料とのピーク波長の差は75nm以下であることが好ましい。それにより、白色発光の有機EL素子において、赤色発光強度と緑色発光強度との比が変化したときのu’v’変化量を小さくすることができ、色度変化をさらに抑制することができる。色度変化を抑制するためには、発光ピーク波長の差は65nm以下であることがより好ましい。ただし、発光ピーク波長の差が近づくと色が同じ色に近づくことになり、赤と緑とで色を作り出す作用を得ることが難しくなり、白色発光を得ることが容易でなくなるおそれがある。そのため、発光ピーク波長の差は、例えば、20nm以上であることが好ましく、40nm以上であることがより好ましく、50nm以上であることがさらに好ましい。
図3は、発光材料のピーク波長差と色度変化との関係の一例を示すグラフであり、図3(a)はΔu’、図3(b)はΔv’、図3(c)はΔu’/Δv’のグラフを示している。このグラフでは、図1の形態のような白色発光の有機EL素子において、第2の発光ユニット5bにおける赤色発光効率が10%向上するとともに緑色発光効率が10%低下したときの色度u’v’の変化量を示している。図3(a)より、赤色ピーク波長と緑色ピーク波長の差が大きくなると、Δu’(初期のu’−赤緑発光強度変化後のu’)は大きくなることがわかる。また、図3(b)より、Δv’(初期のv’−赤緑発光強度変化後のv’)は75nm付近に極大点をもっていることがわかる。そして、これらの関係から、図3(c)に示すように、ピーク波長の差が75nmを超えると、u’とv’の変化量比が変化し、グラフの傾きが急になって、v’の変化に対し、u’の変化割合が大きくなることがわかる。そのため、色度変化を小さくするためには、特にu’の変化を小さくすることが有効であり、v’に対してより変化量比を小さくすることができる範囲であるピーク波長差75nm以下が好ましいのである。
第2の発光ユニット5bにおける赤色発光材料のピーク波長は610nm以上であることが好ましい。それにより、照明用途に重要である特殊演色評価数R9の高い白色発光を実現することが可能となる。すなわち、第2の発光ユニット5bの赤色発光材料は、ピーク波長が610nm未満であっても赤色発光は可能であり、有機EL素子全体を白色発光にすることが可能ではあるが、特殊演色評価数R9が低くなっていく傾向にあり、照明性が低下するおそれがある。そのため、赤色発光材料のピーク波長を610nm以上にしてより赤みの濃い赤色を発光させることにより、演色性を高めることができるものである。
ここで、ピーク波長とは、発光材料の発光スペクトル(波長と強度の関係を表すグラフ)において、極大点(通常可視光領域での最大強度)となる波長のことであってよい。
なお、演色評価数とは、JIS(日本工業規格)で定められた基準光との比較の上で測定対象となる光源が、演色評価用の色票を照明したときに生じる色ずれを、指数として表したものである。演色評価数には、平均演色評価数(Ra)と特殊演色評価数(R9〜R15)とがある。平均演色評価数(Ra)は、8色(R1〜R8)の演色評価数を平均したものである。また、特殊演色評価数は、赤(R9)、黄(R10)、緑(R11)、青(R12)、西洋人の膚の色(R13)、木の葉の色(R14)、日本人の膚の色(R15)の7種類が規定されている。本形態の有機EL素子においては、このうち、白色の照明として重要な、平均演色評価数(Ra)及び赤色の特殊演色評価数(R9)において、高い演色性を得ることができるものであり、照明性能の高い発光を得ることができるものである。
図1の有機EL素子は、リン光発光の赤色発光層10Gと、リン光発光の緑色発光層10Gと、蛍光発光の青色発光層10Bと、蛍光発光の緑色発光層10Gとを備えている。したがって、発光色は、赤色と緑色とを呈するリン光と、青色と緑色とを呈する蛍光とによって形成される。このように、リン光と蛍光とを用いて発光し、特に緑色発光をリン光と蛍光との二種類の発光により生成することにより、発光の際の色度や輝度が調整されて発光バランスが良好になる。そして、電気エネルギーから光への変換効率を向上することができ、また、長期に発光させても輝度や色度の変化を抑制することができる。すなわち、リン光緑色と蛍光緑色との二つの緑色発光層の積層により緑色発光の輝度寿命が延びるため、色度変化が小さくなり寿命を長期化することができるのである。そして、本形態では、リン光発光における発光層10のホスト材料を電子輸送性材料とホール輸送性材料とで構成しているため、色度変化をさらに抑制することができるものである。
第1の発光ユニット5a及び第2の発光ユニット5bの両方が緑色発光材料を含む場合、ピーク波長は特に限定されないが、第1の発光ユニット5aの緑色発光材料の発光ピークが、第2の発光ユニット5bの緑色発光材料の発光ピークよりも低波長であってもよい。その場合、第1の発光ユニット5aの発光をより低波長側にシフトさせて青みを増加させることができ、白色発光の調整を容易にすることが可能になり得る。
各発光層10の厚み(膜厚)としては、特に限定されるものではなく、色の調整、発光効率などの観点から適宜の範囲に設定することができる。例えば、発光層10の膜厚としては、第2の発光ユニット5bにおいては、赤色発光層10Rの膜厚を1〜40nm程度に、緑色発光層10Gの膜厚を5〜40nm程度に設定することができる。また、第1の発光ユニット5aにおいては、青色発光層10Bの膜厚を5〜40nm程度に、緑色発光層10Gの膜厚を5〜40nm程度に設定することができる。また、膜厚の比としては、特に限定されるものではないが、例えば、第2の発光ユニット5bにおいては、赤色発光層10Rの膜厚と緑色発光層10Gの膜厚とを1:8〜8:1程度に設定することができる。また、第1の発光ユニット5aにおいては、青色発光層10Bの膜厚と緑色発光層10Gの膜厚とを1:8〜8:1程度に設定することができる。また、第2の発光ユニット5b内の発光層10の合計厚みと第1の発光ユニット5a内の発光層10の合計厚みとの比を1:3〜3:1程度に設定することができる。なお、中間層3の膜厚については3〜50nm程度に設定することができる。膜厚をこのように設定することで、色度変化を抑制し、有機EL素子をさらに高効率・長寿命にすることができる。
次に、有機EL素子を構成する各層の材料例を説明する。なお、以下に掲げる材料は一例であり、各層の材料はこの材料例に限られるものではない。
発光層10のホスト材料としては、CBP、CzTT、TCTA、mCP、CDBPなどを用いることができる。また、発光層10のホスト材料として、Alq、ADN、BDAFなどを用いることもできる。また、発光層10のホスト材料として、TBADN、ADN、BDAFなどを用いることもできる。また、発光層10のホスト材料として、DPVBiなどを用いることができる。ホール輸送性のホスト材料としては、アミン系化合物が挙げられる。ホール輸送性のホスト材料は、具体的には、TCTA、TAPC,BSBなどが例示される。また、電子輸送性のホスト材料としては、トリアゾール誘導体、金属錯体、オキサジアゾール誘導体、シロール誘導体などが挙げられる。また、電子輸送性のホスト材料は、具体的には、TAZ,BPen、OXDが例示される。
リン光緑色の発光ドーパントとしては、BtIr(acac)、Ir(ppy)、Ir(ppy)(acac)、Ir(mppy)などを用いることができる。リン光赤色の発光ドーパントとしては、BtpIr(acac)、Ir(piq)、PtOEPなどを用いることができる。蛍光緑色の発光ドーパントとしては、TPA、C545T、DMQA、coumarin6、rubreneなどを用いることができる。蛍光青色の発光ドーパントとしては、BCzVBi、TBP、peryleneなどを用いることができ、電荷移動補助ドーパントとして、NPD、TPD、Spiro−TADなどを用いることができる。ドーパントのドープ濃度は、特に限定されるものではないが、1〜40質量%の範囲、好ましくは1〜20質量%の範囲にすることができる。
ホール輸送層6としては、TPD、NPD、TPAC、DTASiなどを用いることができる。また、このホール輸送層6の材料を発光層10におけるホール輸送性のホスト材料として用いることもできる。
電子輸送層7としては、BCP、TAZ、BAlq、Alq、OXD7、PBDなどを用いることができる。また、この電子輸送層7の材料を発光層10における電子輸送性のホスト材料として用いることもできる。
ホール注入層を設ける場合、ホール注入層としては、CuPc、MTDATA、TiOPCなどを用いることができる。
電子注入層を設ける場合、電子注入層としては、LiF、LiO、MgO、LiCOなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属のフッ化物や酸化物、炭酸化物の他に、有機物層にリチウム、ナトリウム、セシウム、カルシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属をドープした層などを用いることができる。
中間層3としては、BCP:Li、ITO、NPD:MoO、Liq:Alなどを用いることができる。例えば、中間層3を、BCP:Liからなる第1層を陽極1側に、ITOからなる第2層を陰極2側に配置した二層構成のものにすることができる。
なお、上記の材料中、
CBPは、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニルを表し、
DPVBiは、4,4’−Bis(2,2−diphenylvinyl)−1,1’−biphenylを表し、
Alqは、トリス(8−オキソキノリン)アルミニウム(III)を表し、
TBADNは、2−t−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセンを表し、
Ir(ppy)は、ファクトリス(2−フェニルピリジン)イリジウムを表し、
Ir(piq)は、Tris[1−phenylisoquinolinato−C2,N]iridium(III)を表し、
BtIr(acac)は、bis(2−phenyl benzothiozola−to−N,C2’)iridium(acetylacetonate)を表し、
BtpIr(acac)は、ビス−(3−(2−(2−ピリジル)ベンゾチエニル)モノ−アセチルアセトネート)イリジウム(III))を表し、
TPAは、9,10-Bis[phenyl(m-tolyl)-amino]anthraceneを表し、
BCzVBiは、4,4’−Bis(9−ethyl−3−carbazovinylene)−1,1’−biphenylを表し、
C545Tは、クマリンC545Tのことであり、10−2−(ベンゾチアゾリル)−2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H,11H−(1)ベンゾピロピラノ(6,7,−8−ij)キノリジン−11−オンを表し、
TBPは、1−tert−ブチル−ペリレンを表し、
NPDは、4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニルを表し、
BCPは、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナンスロリンを表し、
CuPcは、銅フタロシアニンを表し、
TPDは、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン
を表している。
上記の材料を用い、各層を積層することにより有機EL素子を得ることができる。なお、積層の方法としては、真空蒸着法やスパッタ法又は塗布法などを使用することができる。
(実施例1)
図1の層構成のマルチユニット構造の有機EL素子を作製した。ただし、第1の発光ユニット5aの発光層10の数は一つとし、第2発光層12を有さない素子構成とした。
実施例1の素子では、第1の発光ユニット5aに含まれる青色発光材料として蛍光発光材料であるBCzVBiを用いた。第1の発光ユニット5aにおける発光層10(第1発光層11、青色発光層10B)のホスト材料にはDPVBiを用いた。第1発光層11の膜厚は20nmとした。また、第2の発光ユニット5bに含まれる赤色発光材料としてリン光発光材料であるBtpIr(acac)を用いた。また、第2の発光ユニット5bに含まれる緑色発光材料としてリン光発光材料であるBtIr(acac)を用いた。第2の発光ユニット5bにおける赤色発光層10R(第3発光層13)のホスト材料として、ホール輸送性材料であるアミン系化合物を用いた。また、第2の発光ユニット5bにおける緑色発光層10G(第4発光層14)のホスト材料として、電子輸送性材料であるトリアゾール誘導体を用いた。赤色発光層10R(第3発光層13)の膜厚を30nmにし、緑色発光層10G(第4発光層14)の膜厚を40nmにした。これにより、色温度3000Kの白色発光を実現するようにした。
なお、陽極1にはITOを用い、陰極2にはAlを用いた。ホール輸送層にはTPDを用いた。電子輸送層にはBCPを用いた。中間層にはITOを用いた。
(実施例2)
第2の発光ユニット5bにおいて、赤色発光層10R(第3発光層13)の膜厚を20nmにし、緑色発光層10G(第4発光層14)の膜厚を40nmにした。これにより、色温度4000Kの白色発光を実現するようにした。それ以外は実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
(実施例3)
第2の発光ユニット5bにおいて、赤色発光層10R(第3発光層13)の膜厚を10nmにし、緑色発光層10G(第4発光層14)の膜厚を40nmにした。これにより、色温度5000Kの白色発光を実現するようにした。それ以外は実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
(実施例4)
第2の発光ユニット5bにおいて、赤色発光層10R(第3発光層13)の赤色発光材料としてIr(piq)を用いた。また、赤色発光層10R(第3発光層13)の膜厚を30nmにし、緑色発光層10G(第4発光層14)の膜厚を40nmにした。また、発光材料の濃度調整を実施した。これにより、色温度3000Kの白色発光を実現するようにした。それ以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
(実施例5)
第2の発光ユニット5bにおいて、赤色発光層10R(第3発光層13)の膜厚を20nmにし、緑色発光層10G(第4発光層14)の膜厚を40nmにした。これにより、色温度4000Kの白色発光を実現するようにした。それ以外は実施例4と同様にして有機EL素子を作製した。
(実施例6)
第2の発光ユニット5bにおいて、赤色発光層10R(第3発光層13)の膜厚を10nmにし、緑色発光層10G(第4発光層14)の膜厚を40nmにした。これにより、色温度5000Kの白色発光を実現するようにした。それ以外は実施例4と同様にして有機EL素子を作製した。
(実施例7)
図1の層構成のマルチユニット構造の有機EL素子を作製した。実施例7の素子では、第1の発光ユニット5aの発光層10の数は、図1の層構成と同様、第1発光層11及び第2発光層12の二つとした。
実施例7の素子では、第1の発光ユニット5aに含まれる青色発光材料として蛍光発光材料であるBCzVBiを用いた。第1の発光ユニット5aに含まれる緑色発光材料として蛍光発光材料であるTPAを用いた。第1の発光ユニット5aにおける第1発光層11(青色発光層10B)及び第2発光層12(緑色発光層10G)のホスト材料にはDPVBiを用いた。第1発光層11の膜厚は20nmとし、第2発光層12の膜厚は15nmとした。その他の材料は、実施例4の素子と同様にした。すなわち、第2の発光ユニット5bに含まれる赤色発光材料としてリン光発光材料であるIr(piq)を用いた。また、第2の発光ユニット5bに含まれる緑色発光材料としてリン光発光材料であるBtIr(acac)を用いた。第2の発光ユニット5bにおける赤色発光層10R(第3発光層13)のホスト材料として、ホール輸送性材料であるアミン系化合物を用いた。また、第2の発光ユニット5bにおける緑色発光層10G(第4発光層14)のホスト材料として、電子輸送性材料であるトリアゾール誘導体を用いた。赤色発光層10R(第3発光層13)の膜厚を30nmにし、緑色発光層10G(第4発光層14)の膜厚を40nmにした。これにより、色温度3000Kの白色発光を実現するようにした。なお、陽極1、陰極2、ホール輸送層6、電子輸送層7、中間層3の各材料は実施例1と同じにした。
(実施例8)
第1の発光ユニット5aにおいて、青色発光層10B(第1発光層11)の膜厚を25nm、緑色発光層10G(第2発光層12)の膜厚を15nmとした。また、第2の発光ユニット5bにおいて、赤色発光層10R(第3発光層13)の膜厚を20nmにし、緑色発光層10G(第4発光層14)の膜厚を40nmにした。これにより、色温度4000Kの白色発光を実現するようにした。それ以外は実施例7と同様にして有機EL素子を作製した。
(実施例9)
第1の発光ユニット5aにおいて、青色発光層10B(第1発光層11)の膜厚を30nm、緑色発光層10G(第2発光層12)の膜厚を10nmとした。また、第2の発光ユニット5bにおいて、赤色発光層10R(第3発光層13)の膜厚を10nmにし、緑色発光層10G(第4発光層14)の膜厚を40nmにした。これにより、色温度5000Kの白色発光を実現するようにした。それ以外は実施例7と同様にして有機EL素子を作製した。
(比較例1)
図1の層構成で、第2の発光ユニット5bにおける発光層10のホスト材料として同じ材料を用いたマルチユニット構造の有機EL素子を作製した。
比較例1の素子では、第1の発光ユニット5aに含まれる青色発光材料として蛍光発光材料であるBCzVBiを用いた。第1の発光ユニット5aに含まれる緑色発光材料として蛍光発光材料であるTPAを用いた。第1の発光ユニット5aにおける第1発光層11(青色発光層10B)及び第2発光層12(緑色発光層10G)のホスト材料にはDPVBiを用いた。第1発光層11の膜厚は20nmとし、第2発光層12の膜厚は15nmとした。また、第2の発光ユニット5bに含まれる赤色発光材料としてリン光発光材料であるBtpIr(acac)を用いた。また、第2の発光ユニット5bに含まれる緑色発光材料としてリン光発光材料であるIr(ppy)を用いた。第2の発光ユニット5bにおける赤色発光層10R(第3発光層13)及び緑色発光層10G(第4発光層14)のホスト材料として、バイポーラ性材料であるCBPを用いた。赤色発光層10R(第3発光層13)の膜厚を20nmにし、緑色発光層10G(第4発光層14)の膜厚を40nmにした。これにより、色温度3000Kの白色発光を実現するようにした。その他の材料は、実施例1の素子と同様にした。すなわち、陽極1、陰極2、ホール輸送層6、電子輸送層7、中間層3の各材料は実施例1と同じにした。
(比較例2)
第2の発光ユニット5bにおいて、赤色発光層10R(第3発光層13)の膜厚を7nmにし、緑色発光層10G(第4発光層14)の膜厚を40nmにした。また、発光材料の濃度調整を実施した。これにより、色温度4000Kの白色発光を実現するようにした。それ以外は比較例1と同様にして有機EL素子を作製した。
(比較例3)
第2の発光ユニット5bにおいて、赤色発光層10R(第3発光層13)の膜厚を2nmにし、緑色発光層10G(第4発光層14)の膜厚を40nmにした。また、発光材料の濃度調整を実施した。これにより、色温度5000Kの白色発光を実現するようにした。それ以外は比較例1と同様にして有機EL素子を作製した。
(比較例4)
第2の発光ユニット5bの赤色発光層10R(第3発光層13)と緑色発光層10G(第4発光層14)のホスト材料としてバイポーラ性材料であるCBPを用いた以外は実施例7と同様にして有機EL素子を作製した。
(比較例5)
第2の発光ユニット5bの赤色発光層10R(第3発光層13)と緑色発光層10G(第4発光層14)のホスト材料としてバイポーラ性材料であるCBPを用いた以外は実施例8と同様にして有機EL素子を作製した。
(比較例6)
第2の発光ユニット5bの赤色発光層10R(第3発光層13)と緑色発光層10G(第4発光層14)のホスト材料としてバイポーラ性材料であるCBPを用いた以外は実施例9と同様にして有機EL素子を作製した。
(有機EL素子の特性)
表1に、実施例及び比較例によって得た有機EL素子の特性を示す。表1において、「色バラツキ」は、複数個素子を作製した場合の色の違いをバラツキとしてΔu’v’で示したものである。また、「色ズレ」は、経時(LT70)による色度の変化をΔu’v’で示したものである。Raは演色評価数を示し、R1〜R9の平均である。R9は特殊演色評価数を示し、主に赤色に関する指標である。
表1に示されるように、実施例の各素子は、比較例の各素子に比べて、色バラツキ及び色ズレが抑制されている。また、実施例の各素子は、特殊演色評価数R9が高い。また、実施例の素子は、同様の層構成を比較した場合(実施例7〜9と比較例1〜6)、比較例の素子よりもRaを高めている。よって、実施例の有機EL素子は、色度変化が抑制され、高い演色性が得られることが確認された。
1 陽極
2 陰極
3 中間層
4 基板
5 発光ユニット
5a 第1の発光ユニット
5b 第2の発光ユニット
6 ホール輸送層
7 電子輸送層
8 光取り出し層
10 発光層
10G 緑色発光層
10R 赤色発光層
10B 青色発光層
11 第1発光層
12 第2発光層
13 第3発光層
14 第4発光層

Claims (5)

  1. 陽極と陰極との間に、1以上の発光層を有する第1の発光ユニットと、2以上の発光層を有する第2の発光ユニットとが、中間層を介して積層されたマルチユニット構造を備え、
    発光色が白色であり、
    前記第1の発光ユニットのうちの少なくとも一つの前記発光層は青色発光材料を含み、
    前記第2の発光ユニットの前記発光層は、赤色発光材料を含有する赤色発光層と緑色発光材料を含有する緑色発光層とが積層された積層構造を含み、前記赤色発光層及び前記緑色発光層のうちの前記陽極側の層がホール輸送性材料をホスト材料として含む層であるとともに、前記赤色発光層及び前記緑色発光層のうちの前記陰極側の層が電子輸送性材料をホスト材料として含む層であることを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記第2の発光ユニットにおける前記赤色発光材料及び前記緑色発光材料はリン光発光材料であることを特徴とする、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記第1の発光ユニットは、青色蛍光発光材料と緑色蛍光発光材料とを有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記第2の発光ユニットにおける前記赤色発光材料と前記緑色発光材料とのピーク波長の差が75nm以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記第2の発光ユニットにおける前記赤色発光材料のピーク波長が610nm以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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