JP2021068603A - 白色発光有機elパネル - Google Patents

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Abstract

【課題】効率、輝度、演色性が高く、かつ、長寿命で、しかも、安価製造可能な白色発光有機ELパネルを提供すること。【解決手段】本発明の白色発光有機ELパネルは、発光面から裏面に向かい順に、透光性基材、透光性陽極層、発光機能層、及び反射性陰極層を含み、発光機能層が順に、短波長蛍光発光ユニット、接続層、及び、中長波長燐光発光ユニットを含み、該中長波長燐光発光ユニットの発光スペクトルの中波長域の発光の少なくとも一部が、該中長波長燐光発光ユニットにおける中波長蛍光に由来し、かつ、該中波長蛍光が、該中長波長燐光発光ユニットにおける励起状態であって、該短波長蛍光発光ユニットの発光スペクトルの短波長光により励起された励起状態からの基底状態への遷移に起因する光であることを特徴とする。【選択図】図7

Description

本発明は、白色発光有機ELパネルに関する。
有機EL素子は電気エネルギーを光エネルギーに変える半導体素子であり、これを含む有機ELパネルは、白熱灯や蛍光灯に代わる光源として、薄く且つ面状に柔らかい拡散光を発光することから注目され、近年多くの研究がなされている。
有機ELパネルは一般に、基材となるガラス基板や透光性樹脂フィルム基板上に、順に、透光性陽極層、有機化合物を含む発光層を少なくとも含む機能層、及び反射性陰極層を積層した、ボトムエミッション型有機EL素子を形成したものである。これら電極間への給電により電気的に励起された電子及び正孔が発光層中で再結合し発光する。
このような有機ELパネルの実用化に向けて、更なる効率、輝度、演色性の向上や、より長寿命、安価とすることが求められている。
例えば特許文献1は、陽極層側から陰極層側に向けて、青蛍光ユニット、接続層、及び中長波長燐光発光ユニットを有し、接続層は、通電時に、青蛍光ユニット側に電子を注入し、かつ、中長波長燐光発光ユニット側に正孔を注入するものであり、中長波長燐光発光ユニットは、赤色燐光材料、緑色燐光材料、及び燐光発光層ホスト材料を含んだ複合層である赤緑燐光発光層を含んでおり、赤色燐光材料の最大発光ピーク波長は、緑色燐光材料の最大発光ピーク波長に対して60nm以上離れており、JIS Z 8726に準ずる平均演色評価数Ra及び特殊演色評価数Rがともに90以上の白色光を照射可能な白色発光有機ELパネルを開示する。
このような白色発光有機ELパネルの性能向上については、発光装置に閉じ込められる光となる損失、逆に言えば、光取り出し効率向上の為の、また、機能層での吸収損失や、反射性陰極でのプラズモン損失、発光層での濃度消光損失、電流円滑化に係る電圧降下損失・・・を低減する為の、そして、高品質白色光放射可能とするスペクトルバランスを均衡させる為の、各種技術検討が精力的に実施されている。
例えば、高屈折率ガラスと半球レンズを併用した有機ELパネルとすることで、空気との屈折率差により閉じ込められる光をほぼ無くすことができ、即ち、100%近くそのような光はパネルから取り出され放射できることが知られている。
また、前記プラズモン損失については、通常のパネルにおいて、機能層内で発光した光の内、15%近くがパネルから取り出せず、損失となっていると考えられている。
さらに、前記電圧降下損失については、一般に、発光層は電荷移動度が低いことから高抵抗であり、その層の厚みは、この損失に大きく影響すると考えられ、発明者知見では、おおよそ蛍光発光層では0.2V/10nm、燐光発光層では0.3V/10nm程度であり、燐光発光層で、この損失はより大きいので、その抑制が課題である。
パネルを高効率高輝度にする為に、これに含まれる素子は一般的に多段積み即ち、接続層で区切られた発光ユニットを複数含むようにされる。例えば、3段で電力効率60lm/Wを達成した例が知られている。
しかしながら、この様な例では、その輝度は3000Cd/m程度が定格で、比較的低輝度であり、それ以上の照明用として十分とされる3000Cd/mを超える高輝度では、その電力効率は60lm/Wで頭打ちになる傾向にある。
具多的パネル例として、3段素子を含むパネルで、電力効率90lm/Wのパネルが知られているが、白色性は低く、その色温度は2700Kと暖色系に留まっており、照明用として十分と言える3000Kには届かず、高白色性と言える5000Kの寒色系の光放射が可能かつ高電力効率のパネルを構成することは容易ではない。
また、電力効率85lm/Wを色温度3000Kで、そこそこの輝度3000Cd/mにて達成しているパネルが知られており、このパネルは、高輝度の8500Cd/mにおいても、同じく色温度3000Kで電力効率75lm/Wと高効率であるが、6段素子を含むパネルであり、原材料及び製造に要するコストが高いという課題がある。一般にパネル原価に占める割合が大きい素子形成に要するコストは、段数にほぼ比例すると考えられ、3段に比べ6段ではこの素子形成コストが2倍と見積もられ、得られる効率向上に見合うコストであるか否かについては疑問がある。
上述した様な知見を組み合わせ、本発明者は、70lm/Wを超える効率の白色発光有機ELパネルを、電流が大きくならないよう工夫することで寿命を担保しつつ、製造コストの観点からも現実的に実現すべく、鋭意検討した。
国際公開WO2017/006639号パンフレット
このような多段積み素子を含む有機EL照明パネルにおいては、白色光を放射する為の多色を異なる発光色の発光層を積層することで、また、自然光に近い演色性の確保をブロードスペクトルの発光層を積層することで、各々実現せしめている。この様な方法においては、薄膜特有の光の干渉の影響を極小化しつつ安定的に高性能の光を放射するパネルを量産することには困難性が伴う。
また、多段積み素子を含む有機EL照明パネルにおいては、同じく薄膜特有の光の干渉の影響に起因して、遠い位置にある発光層からの発光の共鳴幅が狭くなる為、段数を増やしても、一段当たりの効率が低下するという問題ある。そして、このことが前述の多段積みに伴う費用対効果の問題を助長する。
即ち、発光ユニットや発光層を増やしても、これらの発光の寄与度が低下し、狙った光質が得られなかったり、発光効率が向上しなかったりする場合がある。例えば、通常のガラス基板上に形成したボトムエミッション型青色発光素子においては、単純に1段を2段にしても、輝度は2倍とはならず、通常1.5倍に留まる。
さらに、多段積み素子を含む有機EL照明パネルにおいては、複数のユニットを含むので、機能層の層数が多数となり、素子を構成する各有機層による光の吸収が増えて、吸収損失になる。
図3に、後述する本発明に係る緑赤燐光発光層の透過率曲線を示す。特に短波長側に顕著な吸収がみられる。
従って、緑赤燐光発光層を厚くすることで赤緑のピークを増強した場合には、青のピークが弱まる可能性があり、より薄い緑赤発光層で必要とされる赤緑発光を確保しつつ、青色域における吸収損失を顧慮に入れ、多めに青を光らせる必要がある。本発明は、その特徴の一つとして、この課題を解決する為の特別な手段を提案するものである。
またさらに、多段積み素子を含む有機EL照明パネルにおいて、高効率高輝度化を目指す観点から緑色域の、そして、さらに高演色性を実現する観点から赤色域の、発光を増やす必要があり、その為に、例えば本発明に係る燐光赤緑ユニットの厚みを厚くした場合には、前述の短波長側の顕著な吸収に対応する青色域の吸収により、即ち、青色域の吸収損失が増大することとなり、高い白色性を実現する為の、寒色・暖色間のバランスが重要となる。
本発明はこのような寒暖バランスに係り、具体的には、青色域の光が足りなくなることで、色温度が低下したり、演色性や色度などの特性に不良が生じたりするという課題の解決手段を提案する。
またさらに、多段積み素子を含む有機EL照明パネルでは、前述の如く層数が多数となるので、特に電圧降下損失が大きくなることが懸念され、電圧降下の抑制が課題となり、特別な膜厚設計に係る工夫が必要と考えられる。
一般に、層の厚みが薄いほうが電圧降下抑制に有利であり、また、本発明に係り薄膜の干渉の影響を排除できた場合には、光路長の視点で層の厚みに配慮しなくてもよいこととなるので、発光層以外の各層は最低限の性能が維持できれば良いこととなり、新たな発想で素子設計を行う必要がある。
また一般に、プラズモン損失回避の為、陰極直前の電子輸送層を厚めにする必要があるとされているが、本発明に係る特別な素子構造を採用したパネルでは、プラズモン損失の影響を小さく抑えることができるので、新たな発想で素子設計を行う必要がある。
またさらに、前述の如く多段積み素子を含む有機EL照明パネルで問題となる電圧降下損失につき、本発明に係り電流量によらず安定的な色温度や演色性が確保できるように特別な工夫をしたパネルでは、さらに、その付随的効果として、この損失を小さくできる可能性があり、新たな発想で素子設計を行う必要がある。
このような従来技術に係る諸課題解決の手段として、本発明は例えば、短波長でより大きくなるので、プラズモン損失となる可能性が大きい、反射性陰極側方向の青蛍光を、該損失となる前に、緑赤燐光ユニット内で輝度向上の寄与大の緑蛍光にシフトさせる。そのような光含む白色発光の有機ELパネルを提案する。このようなパネルは、効率、輝度、演色性がより向上した白色発光有機ELパネルとなる。
その様な透光性陽極層//青蛍光ユニット/接続層/緑赤燐光ユニット//反射性陰極層の白色発光有機EL素子含有パネルにおいては、青蛍光ユニットの反射性陰極層に向かう青蛍光の一部を、緑赤燐光ユニットにおいて、緑蛍光であって、パネルからの白色発光に寄与する、緑蛍光にシフトせしめた後放射せしめることができるので、効率、輝度、演色性がより向上した白色発光有機ELパネルであって、長寿命のパネルを安価に製造することが可能となるのである。
即ち、本発明は、発光面、及び裏面を両主面とし、かつ、該発光面から該裏面に向かい順に、透光性基材、透光性陽極層、発光機能層、及び反射性陰極層を含む、通電時に白色発光する白色発光有機ELパネルであって、
該発光機能層が、該透光性陽極層から該反射性陰極層に向かい順に、
短波長蛍光発光ユニット、接続層、及び、中長波長燐光発光ユニットを含み、
該通電時に該接続層が、該短波長蛍光発光ユニット側に電子を注入し、かつ、該中長波長燐光発光ユニット側に正孔を注入するものであり、
該中長波長燐光発光ユニットの発光スペクトルの中波長域の発光の少なくとも一部が、該中長波長燐光発光ユニットにおける中波長蛍光に由来し、かつ、
該中波長蛍光が、該中長波長燐光発光ユニットにおける励起状態であって、該短波長蛍光発光ユニットの発光スペクトルの短波長光により励起された励起状態からの基底状態への遷移に起因する光であることを特徴とする、白色発光有機ELパネルに関する。
このような本発明の白色発光有機ELパネルは、効率、輝度、演色性がより向上した白色発光有機ELパネルであり、かつ、長寿命のパネルであり、しかも、安価製造可能である。
ここで、前記短波長とは430nm〜530nmの主に青色の波長、前記中長波長とは530nm〜730nmの主に緑色及び赤色の波長、前記中波長とは530nm〜590nmの主に緑色の波長のことを言う。
またここで、具体的な積層順としては、前記透光性陽極層に隣接して短波長蛍光発光ユニット(具体的には例えば青蛍光発光ユニット)、反射性陰極層に隣接して中長波長燐光発光ユニット(具体的には例えば緑赤燐光発光ユニット)を備えるようにすることが好ましく、効率、輝度、演色性、及び白色性がより向上する。
また、前記短波長蛍光発光ユニットを接続層を介し2つ含むことが好ましく、短波長蛍光を、例えば青蛍光を、中長波長燐光に比べて強く発光させ、即ち、白色バランスの観点から過大に発光させることができるので、本発明に係るグリーンシフト効果をより効果的に奏さしめることができ、結果的に、効率、輝度、演色性がより向上すると共に、より長寿命となり、さらにその際には、前記バランス、及び安価製造の観点から、前記中長波長燐光発光ユニットを、接続層を介し2つ含むことが、より好ましい。本明細書において、このように波長種類及び発光種類の観点から同種類のユニットを、接続層を介し2つ含んで発光させることを「2ユニットで発光させる」と呼称することがある。
また、前記反射性陰極層と直接接する中長波長燐光発光ユニットは、その中の発光層である中長波長燐光発光層と前記反射性陰極層との間に、10nm以上、80nm以下の、さらに好ましくは、10nm以上、20nm以下の比較的薄い、平均層厚みの電子輸送層(ETL)を含む、ことが好ましく、本発明に係る構成に起因する作用により、本発明ではプラズモン損失の程度を小さくできるので、当該損失抑制の為にこの反射性陰極層側ETLを厚くする必要がなくなる結果、低抵抗となり、電圧降下損失を極小化でき、効率、輝度がより向上し、より長寿命となる。
また、前記透光性基材と前記透光性陽極層との間にインターナルイクストラクション層(IEL)を備えことが好ましく、また、前記発光面の最表面にアウトカップリング層(OCL)を備えることが好ましく、効率、輝度、演色性がより向上するだけでなく、本発明の多段積み素子を含む有機EL照明パネルであっても、薄膜の光干渉に起因する高次の発光位置にある発光の共鳴幅の狭まりに伴う、一段当たり効率の低下の問題が生じにくいので、本発明に係る効果がより効果的に奏されることとなり、特に、これら層を両方共に採用した場合に、相乗的に効果が奏されるので、特に好ましい。
また、前記中長波長燐光発光ユニットは、緑燐光材料、赤燐光材料、及びホスト材料を含む、緑赤混合燐光発光層を含むことが好ましく、より好ましくは、全ての中長波長燐光発光ユニットが、緑赤混合燐光発光層のみを含むようにすることであり、即ち、赤燐光材料を含まない、緑燐光材料及びホスト材料を含む、緑燐光発光層と、緑燐光材料を含まない、赤燐光材料及びホスト材料を含む、赤燐光発光層と、の界面を発光界面とする、緑燐光発光層/赤燐光発光層の異色非混合サブ発光層積層型発光層でなく、緑赤混合燐光発光層の異色混合単独発光層を採用することが好ましく、電流量に依存し移動する発光界面の位置に影響されることなく、緑燐光と赤燐光との比率が一定維持されるので、電流大小に伴う色目の変化を極小化でき、即ち、演色性や白色性につき高信頼性を確保できる。
また、前記発光機能層は、比較的薄い、5nm以上、30nm以下の平均層厚みの発光層を含むことが好ましく、より好ましくは、全ての発光層の平均層厚みを、8nm以上、15nm以下とすることであり、本発明に係る構成に起因して本発明のパネルでは、グリーンシフトを発光層以外の層、好ましくは正孔輸送層(HTL)、で生じさせることも可能なので、また、プラズモン損失が小さいので、さらに、多段積み素子を含むパネルであっても薄膜の光干渉の悪影響が小さいので、高輝度維持しつつ電圧降下損失を抑制し高効率とでき、また、有機EL材料の使用量を少なく抑えることが可能でより安価に製造できる。
上述した本発明に含まれる諸特徴の内で重要なものを以下に列挙する。
・比較的低コスト形成だが、プラズモン損失大の青蛍光を、白色バランスにて過大に、例えば2ユニットで、発光させる。
・比較的高コスト形成だが、プラズモン損失小の緑赤燐光を、バランス過小に、例えば、青蛍光2ユニットに対し、緑赤2ユニットで、発光させる。
・青蛍光2ユニット/緑赤2ユニットでは通常、赤は十分、緑は不足して発光する。
・当該不足する緑を、前記過大青の、そのままではプラズモン損失となる反射性陰極方向の光を、好ましくは1段目の、緑赤燐光ユニットにおいてグリーンシフトすることで補い、バランスさせる。
・プラズモン損失の程度を小さくできるので、当該損失抑制の為に反射陰極側ETLを厚くする必要がなくなるので、結果として低抵抗となり、電圧降下損失を低下できる。
本発明の白色発光有機ELパネルは、効率、輝度、演色性が高く、かつ、長寿命で、しかも、安価製造可能である。
実施例1のパネルの正面発光スペクトルである。 実施例2のパネルの正面発光スペクトルである。 本発明に係る緑赤燐光発光層の透過率曲線である。 実施例3及び実施例4のパネルの正面発光スペクトルである。 比較例1のパネルの正面発光スペクトルである。 本発明の白色発光有機ELパネル100の一実施形態の斜視図である。 実施例7の白色発光有機ELパネル100の断面構成図である。
以下、本発明の実施態様について詳細に説明する。
(白色発光有機ELパネル100)
以下、本発明の白色発光有機ELパネル100について、図6及び図7を参照しつつ説明する。即ち、図6は、本発明の白色発光有機ELパネル100の一実施形態の斜視図であり、図7は、本発明の白色発光有機ELパネル100の一実施態様である、実施例7の白色発光有機ELパネル100の断面構成図である。
本発明の白色発光有機ELパネルは、発光面と裏面とを両主面とし、これに含まれる有機EL素子10の発光に基づき、その発光面側の発光領域20から白色光を発光する面状の広がりを有する部材、好ましくは板状部材であり、特定の有機EL素子10を含むことに起因し、その白色光は、好ましくは、演色性に係るR値、及びR値が共に90以上である。
本発明の白色発光有機ELパネル100は、前記有機EL素子10に対応してその発光面に前記発光領域20を有するが、DS(ダークスポット)や素子寿命短縮の発生抑止の観点から。その裏面に、平面視その発光領域20全面を覆う、封止層7からなる封止領域70を備えることが好ましい。当該封止膜は前記素子10に接する無機薄膜層を含み、平均厚みは好ましくは1μm以上、10μm以下である。また、当該封止膜は、当該無機薄膜層に接する粘着層を含むことがより好ましく、パネル発光使用時に突然不点灯となることを防止することができ、さらにその上に均熱フィルムや外装フィルムを備えることがさらに好ましい。
前記白色光は、そのスペクトルが、500nmから580nmの範囲に一の発光ピークを有し、かつ、590nmから630nmの範囲内に一の発光ピークを有することが好ましく、さらに好ましくは455nm以上、470nm以下に発光ピークを有することが好ましく、特に好ましくはその455nm以上、470nm以下の発光ピークの半値幅を50nm以上とすることである。
また、前記白色光は、CIE1931色度座標系における座標が、黒体放射曲線から0.005以下の距離にあることが好ましく、より好ましくは、その色温度が3000K〜5000Kであることであり。さらに好ましくは、その色温度が4000K以上であることである。
(有機EL素子10)
本発明に係る有機EL素子10は、本発明の白色発光有機ELパネル100に含まれる透光性基材2の素子形成面上に形成されてなる多層膜からなる素子であり、当該多層膜は、前記透光性基材2側から順に、透光性陽極層4、発光機能層5、及び反射性陰極層6を含み、これらの膜の重畳部分が本発明に係る有機EL素子10であり、平面視で、この重畳部分が、前記発光領域20に一致する。
前記発光機能層5は、前記透光性基材2側から順に、少なくとも、短波長蛍光発光ユニット側5A、接続層5B、及び中長波長燐光発光ユニット5Cを含む。
前記短波長蛍光発光ユニット側5A、及び前記中長波長燐光発光ユニット5Cは、各々後述する発光ユニットであり、短波長蛍光発光ユニット側5Aは、好ましくは、青色を発光する発光層を有し、青色以外の発光をするユニットであってもよく、中長波長燐光発光ユニット5Cは、好ましくは、赤色の燐光を発光する燐光発光層を有し、その他の色を発光しもよい。
また、本発明に係る有機EL素子10は、前記短波長蛍光発光ユニット側5A、及び前記中長波長燐光発光ユニット5Cを含んでいれば、その他の発光ユニットを、本発明に係る接続層5Bを介して含むことができる。
(発光ユニット)
前記発光ユニットは、主に有機化合物からなる複数の層から構成されている。そのような有機化合物としては、一般に有機EL素子に用いられている低分子系色素材料や、共役系高分子材料等公知のものを用いることができる。また、このような発光ユニットは、実際にその層中で発光する発光層を有していれば、その他に、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層等の複数の層を含むことができ、発光層以外のこれらの層は、主に発光層での発光を促進する機能を有する。
ここで、正孔注入層および電子注入層は、各々、後述する接続層の正孔注入性表面層または電子注入性表面層で代替可能である。
また、これらの層は真空蒸着法やスパッタ法、CVD法、ディッピング法、ロールコート法(印刷法)、スピンコート法、バーコート法、スプレー法、ダイコート法、フローコート法など適宜公知の方法によって成膜できるが、高性能の素子とする観点からは真空蒸着法で成膜することが好ましい。
(透光性基材2)
本発明に係る透光性基材2は、面状に広がりを有し、かつ、透光性材料からなる部材であり、ガラス基板や樹脂フィルム基板とすることができ、性能低下原因となる有機EL素子10への水分侵入の抑止観点からガラス基板が好ましく、可撓性基板とすることもできる。
(透光性陽極層4)
本発明に係る透光性陽極層4の材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化錫(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)等の透明導電性金属酸化物が採用でき、高性能素子とする観点から、高透明性のITOあるいはIZOが好ましい。
(短波長蛍光発光ユニット5A)
本発明に係る短波長蛍光発光ユニット5Aは、少なくとも青色を発光する青発光層を有し、好ましくは、透光性陽極層4側から順に、正孔注入層、正孔輸送層、青発光層、電子輸送層、電子注入層を含む。
この青発光層は、青色燐光材料に比べて長寿命の青色蛍光材料を含む青蛍光発光層であることが好まく、470nm以下に発光ピークを有することがより好ましく、その455nm以上、470nm以下の発光ピークの半値幅が50nm以上であることがさらに好ましい。
(接続層5B)
本発明に係る接続層5Bは、本発明の有機EL素子10への通電時に、透光性陽極層4側の発光ユニットに電子を注入し、かつ、反射性陰極層6側の発光ユニットに正孔を注入する機能を有する層であり、このような機能を有するのであれば、各種材料、例えば有機材料を用い、また、これらを組み合わせて用い、形成できる。
接続層4について、その透明性を向上させ輝度向上を図る観点、及び、その各電荷の注入性を向上させ電気特性向上を図る観点から、各々の電荷の注入層を組み合わせて用いることが好ましい。
より好ましくは、各々の電荷の輸送性材料に、対応する電子受容性又は電子供与性ドーパントをドープした層とすることであり、例えば、正孔輸送性材料に電子受容性ドーパントをドープした正孔注入層と、電子輸送性材料に電子供与性ドーパントをドープした電子注入層を積層した構成とできる。接続層は、有機材料のみで構成することもできる。
(反射性陰極層6)
本発明に係る反射性陰極層6は、導電性の、かつ、薄膜形成可能な材料を用いて形成できる光反射性の層とすることが好ましく、各種金属材料と用いて形成可能であるが、中でも、白色光沢金属が好ましく、その中でも、銀(Ag)やアルミニウム(Al)がより好ましい。
(アウトカップリング(Out-Coupling)層:OCL1)
本発明の白色発光有機ELパネル100は、図6に示す様に、その輝度や色や角度依存の光学特性向上のため、前記発光面側の少なくとも発光領域20を含む領域の最表面、例えば、前記ガラス基板の光射出側に、アウトカップリング層(OCL)1を備えることが好ましい。
このアウトカップリング層(OCL)1を形成する方法としては、ガラス基板表面にアクリル等からなる樹脂を塗ってナノインプリントする方法やガラスビーズを含んだ樹脂をスプレーコートやスリットコートする方法があるが、一表面に微小な凹凸構造をもち、他表面に粘着材が付いた樹脂フィルム(光学フィルム:OCF)を、その一表面が前記最表面となるように透光性基材2表面に貼ることが好ましい。
このような光学フィルムは光散乱性であることが好ましく、その貼り付けは、フィルム表面にキズが付かないよう、有機EL素子10形成後が好ましい。
本発明のパネル100が、このようなOCL1を備える場合、本発明に係る演色性やスペクトル、色温度は、OCL1を備えるパネル100についてのものである。
このようなOCL1であるOC層は、一般に、基板モード損失を小さくすることに有効であることが知られているが、本発明に係る特定構造の有機EL素子を含むパネルでは、そのような輝度向上に係る基板モード損失の抑制効果のみならず、発光層の電極との相対的な位置である光路長の、スペクトル形状へ影響を緩和し、その変動によるパネル間でのスペクトル形状の違いを極小化する効果、言い換えれば、演色性、色温度への影響の極小化効果を有し、さらには、これらを向上させる効果がある。このことは、後述する実施例1及び実施例2の実験結果の比較から判明した。即ち、安定的に高輝度及び高演色性のパネルを製造する為に、本発明のパネルはOC層を備えることが好ましい。
(インターナルイクストラクション(Internal-Extraction)層:IEL3)
本発明の白色発光有機ELパネル100は、インターナルイクストラクション(Internal-Extraction:IE)層3を、有機EL素子に隣接し、その発光面側に備えることが好ましく、輝度向上の観点から平面視、発光領域全てを覆う領域に備えることがより好ましい。このようなIE層3は、一般に、薄膜モード損失を小さくすることに有効であることが知られているが、本発明に係る特定構造の有機EL素子を含むパネルでは、そのような輝度向上に係る薄膜モード損失の抑制効果のみならず、発光層の電極との相対的な位置である光路長の、スペクトル形状へ影響を緩和し、その変動によるパネル間でのスペクトル形状の違いを極小化する効果、言い換えれば、演色性、色温度への影響の極小化効果を有し、さらには、これらを向上させる効果がある。
前述したように、通常のガラス基板上に形成したボトムエミッション型青色発光素子においては、単純に1段を2段にしても、輝度は2倍とはならず、通常1.5倍に留まるが、ガラス基板上にIE層を介して同様の素子を形成することでパネルを作製し評価した本発明者の実験の結果では、2段にした場合に、1.9倍近くとなることが判っている。
即ち、安定的に高輝度及び高演色性のパネルを製造する為に、本発明のパネルはIE層3を備えることが好ましい。
以下、上記で用いた層や材料について詳細に説明する。
(正孔注入層)
正孔注入層は、例えば、正極から正孔を取り入れ、正孔輸送層に正孔を注入する層であり、その材料としては、例えば、アリールアミン類、フタロシアニン類、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、及び、これらの誘導体等の導電性高分子などが採用でき、また、正孔注入層の透明性を向上させることで輝度を向上させる観点から、正孔輸送性材料に電子受容性ドーパントをドープしたものも好ましく採用でき、その平均厚みは、0.1nm以上20nm以下であることが好ましい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層は、正孔注入層側から発光層に正孔を効率的に輸送しつつ、正極側への電子の移動を制限する層であり、その材料としては、公知の正孔輸送性材料を使用することができ、その平均厚みは、1nm以上200nm以下であることが好ましい。
(発光層)
発光層は一般に、正孔輸送性又は電子輸送性を有するホスト材料に発光材料をドープした層であって、電界印加により正孔輸送層から流入する正孔と電子輸送層から流入する電子とが結合し、発光性励起子が発生する層であり、その厚みは、1nm以上40nm以下であることが好ましい。
(電子輸送層)
電子輸送層は、電子注入層側から発光層に電子を効率的に輸送しつつ、負極側への電子の移動を制限する層であり、その材料としては、公知の電子輸送性材料を使用することができ、その平均厚みは、1nm以上200nm以下であることが好ましい。
(電子注入層)
電子注入層は、例えば、負極から電子を取り入れ、電子輸送層に電子を注入する層であり、その材料としては、例えば、リチウム(Li)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の化合物等が採用でき、また、電子注入層の透明性を向上させることで輝度を向上させる観点から、電子輸送性材料に電子供与性ドーパントをドープしたものも好ましく採用でき、その平均
厚みは、0.1nm以上20nm以下であることが好ましい。
(正孔輸送性材料)
正孔輸送性材料としては、例えば、トリフェニルアミン系化合物、カルバゾール系化合物等が採用できる。
トリフェニルアミン系化合物としては、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TPD)、4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)、4,4’,4”−トリス(N−(3−メチルフェニル)N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)、4,4’,4”−トリス〔N,N−(2−ナフチル)フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(2−TNATA)等が挙げられる。
カルバゾール系化合物としては、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(CBP)、4,4′,4″−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)、4,4’−N,N’−ジカルバゾール−2,2’−ジメチルビフェニル(CDBP)等が挙げられる。
(電子輸送性材料)
電子輸送性材料としては、例えば、キノリノラト系金属錯体、アントラセン系化合物、オキサジアゾール系化合物、トリアゾール系化合物、フェナントロリン系化合物、シロール系化合物等が採用できる。
キノリノラト系金属錯体としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(p−フェニルフェノラト)アルミニウム(BAlq)等が挙げられる。
アントラセン系化合物としては、3−t−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(TBADN)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(ADN)等が挙げられる。
オキサジアゾール系化合物としては、1,3−ビス[(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール]フェニレン(OXD−7)、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、1,3,5−トリス(4−t−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジアゾリル)ベンゼン(TPOB)等が挙げられる。
トリアゾール系化合物としては、3−フェニル−4−(1’−ナフチル)−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール(TAZ)等が挙げられる。
フェナントロリン系化合物としては、バソフェナントロリン(Bphen)、バソクプロイン(BCP)等が挙げられる。
シロール系化合物としては、2,5−ジ−(3−ビフェニル)−1,1,−ジメチル−3,4−ジフェニルシラシクロペンタジエン(PPSPP)、1,2−ビス(1−メチル−2,3,4,5−テトラフェニルシラシクロペンタジエニル)エタン(2PSP)、2,5−ビス−(2,2−ビピリジン−6−イル)−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシラシクロペンタジエン(PyPySPyPy)等が挙げられる。
(発光材料)
前記発光材料には、蛍光材料と、これよりも一般に発光効率が高い燐光材料とがある。
赤色系の蛍光発光材料としては、ルブレン、DCM、DCM2、DBzRなどが採用できる。
緑色系の蛍光発光材料としては、クマリン6、C545Tなどが採用できる。
青色系の蛍光発光材料としては、ペリレン4,4′−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1−ビフェニル(BCzVBi)、4,4′−ビス[4−(ジ−p−トリアミノ)スチリル]ビフェニル(DPAVBi)などが採用できる。
赤色系の燐光発光材料としては、イリジウム錯体である、(bzq)2Ir(acac)、(btp)2Ir(acac)、Ir(bzq)3、Ir(piq)3などが採用できる。
緑色系の燐光発光材料としては、イリジウム錯体である、(ppy)2Ir(acac)、Ir(ppy)3などが採用できる。
青色系の燐光発光材料としては、イリジウム錯体である、FIrpic、FIr6、Ir(Fppy)3などが採用できる。
(電子受容性ドーパント)
電子受容性ドーパントとしては、テトラシアノキノジメタン系化合物、酸化モリブデン(MoO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化バナジウム(V2O5)等が採用できる。
テトラシアノキノジメタン系化合物としては、テトラシアノキノジメタン(TCNQ) 2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(F4−TCNQ)等が挙げられる。
(電子供与性ドーパント)
電子供与性ドーパントとしては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、これらの金属の化合物、これらの金属を中心金属とするフタロシアニン錯体、ジヒドロイミダゾール化合物等が採用できる。
アルカリ金属としては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K))、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)等が挙げられる。
アルカリ土類金属としては、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr))、バリウム(Ba)等が挙げられる。
ジヒドロイミダゾール化合物としては、ビス−[1,3 ジエチル−2−メチル−1,2−ジヒドロベンズイミダゾリル]テトラチアフルバレン(TTF)、テトラチアナフタセン(TTT)等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
(実施例1)
図1は、通常の屈折率1.5の透明ガラス基板上に電極からの発光層位置を数十nm変化させて作製した有機EL素子を含むパネルの正面発光スペクトルである。
ここで作製した有機EL素子の構造は、ガラス基板2の素子形成面上に順に、透光性陽極層4としてITO層4を形成した後、このITO層4上に順に、青緑蛍光ユニット5A、接続層5B、緑赤燐光ユニット5C、及び反射性陰極層6としてAg層6を形成することで、陽極/青蛍光ユニット/接続層/緑赤燐光ユニット/陰極の2段積み素子としたものである。また、当該緑赤燐光ユニットは、グリーンシフト発光するHTLを含むものとし、青蛍光ユニット5A中の青蛍光発光層を24nm、緑赤燐光ユニット5C中の緑赤燐光発光層を24nm、陰極層側ETL5Dを250nm、均層厚みに各々した。
図1中の素子1〜3において、発光層の材料や厚みは同一として、反射性陰極層側の電子輸送層(ETL)や透光性陽極層側の正孔輸送層(HTL)の厚みのみを変化させており、即ち、発光層の電極との相対的な位置としての、光路長だけを変えて作製したサンプルが、素子1〜3である。
図1に示すように、光路長が数十nm変わるだけで、スペクトルの形状は、劇的に変化した。
(実施例2)
図2は、図1の素子1〜3の発光面の平面視で発光領域を含む領域にOCFを張り付けてOCLを形成したパネルの正面発光スペクトルであり、図2に示すように、OCLを形成することで、パネル間のスペクトル形状の差異はかなり抑えられている。
(実施例3、実施例4)
図4は、実施例2の素子2のパネルにおいて、ガラス基板2の素子形成面と、ITO層4と、の間にIEL3を介在せしめ、かつ、緑赤燐光発光ユニット5Cの中の緑赤燐光発光層の平均層厚みのみを変化させて作製した有機EL素子を含む、実施例3及び実施例4の有機EL素子を含むパネルの正面発光スペクトルである。具体的には、実施例3は10nm、実施例4は24nmである。
上述した、本発明に係る燐光赤緑層の透過率曲線の短波長側の顕著な吸収の影響が表れている。そして、本発明に係るグリーンシフト発光の効果が表れることで、高輝度かつ高演色性のパネルが実現できていることが判る。
(実施例5)
実施例5では、実施例3、実施例4の緑赤燐光発光ユニット5Cの中の緑赤燐光発光層の平均層厚みを、10nm未満の8nmに薄膜化したパネルとした。
実施例5のパネルでの発光強度の低下は、実施例3、実施例4と比較して10%程度と小さかった。
(比較例1)
比較例1のパネルとして、実施例4の2段積み素子のパネルの緑赤燐光ユニット5CとAg層6との間に、接続層5B、及び緑赤燐光ユニット5Cを介在せしめることで、緑赤燐光ユニット5Cを1ユニット増やし、蛍光1+燐光2の3段積み素子を含むパネルを作製した。ここで、比較例1に含まれる2つの緑赤燐光ユニット5Cは、グリーンシフト発光する層を含まないものとした。
図5に、この比較例1のパネルから放射される白色光のスペクトル形状を示す。
緑赤燐光ユニットを1ユニット増やさない2段積み素子に対し、比較例1の3段積み素子のパネルでは、緑赤域の光の強度は、ほぼ2倍になった。色温度が2800K以上で最低限度の白色性を有すると評価できるが、この比較例1のパネルを3000Cd/mの明るさで点灯させた際の色温度は2673Kであり、十分な白色性を有しておらず、電力効率は84.7ルーメン(lm)/Wと比較的高効率であったものの、演色性に関してはRa=78、R=−8と不十分な結果となった。
この比較例1のパネルでは、放射光の成分として青色光が足りず、低色温度になっており、これは、2段積み素子に対し追加した燐光層により青色光が吸収されたことに起因するものと考えられる。
なお、この比較例1のパネルの放射光では十分な白色性を確保する観点からは緑色域のピーク強度が、青色域及び赤色域の強度に対し、相対的に高過ぎとなっていた。
(実施例6)
実施例6のパネルとして、比較例1のパネルに対して、その2つの緑赤燐光ユニット5CのITO層4側の緑赤燐光ユニット5CのHTLをグリーンシフト発光するHTLとし、また、2つの緑赤燐光ユニット5C中の緑赤燐光発光層の厚みを両方共、10nmとした。
実施例6の3段積み素子のパネルを、3000Cd/mの明るさで点灯させた際の色温度は2815Kであり最低限の白色性を有しており、電力効率は75.6ルーメン(lm)/Wと比較的高効率であり、演色性に関してもRa=81、R=4と最低限の演色性を有していた。また、この実施例6のパネルは、5000Cd/mで点灯させても70lm/W以上の効率が保持できた。
このような蛍光1+燐光2の3段積み素子を含むパネルで、2800K以上、好ましくは3000Kの白色性を達成する為には、通常の素子構造に対して、放射光の内の青色域の光の量を増強する必要があるが、単に青緑蛍光発光層の層厚みを厚く調整しても、青色域光量の大幅増は見込まれず、例えば、その厚みを通常の1.58倍にしても、当該青色域光量は1.12倍しか増加しないことを本発明者は実験で確認した。
そこで、本発明者は、青色光のデバイス内部での吸収抑制に目を付け、緑赤燐光発光層の薄膜化につき検討し、この実施例6のパネルに反映させた。即ち、緑赤燐光発光層を従来の30nmから12nmまで薄くしても発光強度はさほど落ちないことを見出し、実施例6のパネルではさらに、緑赤燐光発光層の厚みを10nmまで薄くした。
また、上述の従来例である比較例1のパネルの放射光では、白色性確保の観点から、緑色域のピーク強度が相対的に高過ぎ過剰となっていたため、従来素子の青緑蛍光発光層から緑蛍光発光層を除去し、青蛍光発光層のみにして実施例6のパネルを作製した。
さらに実施例6のパネルでは、後述する比較例2のパネルに比べて、青蛍光発光層の厚みを厚くし、白色性の向上を図った。
なお、本明細書において色温度の達成判断はANSI照明4stepの色度座標枠に入っているかどうかによって行っている。
(比較例2、比較例3)
比較例2、比較例3のパネルとして、実施例6の青蛍光ユニット、グリーンシフト発光するHTLを含む緑赤燐光ユニットに代えて、各々、青緑蛍光ユニット、通常のHTLを含む緑赤燐光ユニットを用いて、さらに、比較例2では、青蛍光ユニット中の青緑蛍光発光ユニットの青蛍光層の厚みを12nm、緑蛍光層の厚みを2nm、緑赤燐光ユニット中の緑赤燐光発光層の厚みを30nmとし、比較例3では、青緑蛍光ユニット中の青緑蛍光発光層の厚みを24nm、緑赤燐光ユニット中の緑赤燐光発光層の厚みを24nmとし、比較例2、比較例3のパネルを各々作製した。
比較例3のパネルを3000Cd/mの明るさで点灯させた際の色温度は2771Kであり、十分な白色性を有しておらず、電力効率は88.8ルーメン(lm)/Wと比較的高効率であったものの、演色性に関しては、Ra=80、R=−3と不十分な結果となった。
(比較例4)
比較例4のパネルとして、実施例6の青蛍光ユニット/接続層/グリーンシフト発光するHTLを含む緑赤燐光ユニット/接続層/緑赤燐光ユニット/反射性陰極に代えて、通常のHTLを含む緑赤燐光ユニット/接続層/青蛍光ユニット/接続層/緑赤燐光ユニットとしてパネルを作製した。
比較例4のパネルでは、事前予測できることだが、積層順に起因して赤緑燐光ユニットによる青色光の吸収により放射光中の青色域の光量が足らず、白色性が低く、また、輝度も比較例6より低かった。
(実施例7)
実施例7のパネルとして、実施例6の反射陰極側のETLの厚み250nmに代えて、当該厚みを40nmとしてパネルを作製した。図7に、実施例7の白色発光有機ELパネル100の断面構成図を示す。
実施例6で反射陰極側のETLの厚みを250nmとしたのは、プラズモン損失の程度が、この程度以上厚みでは軽減されるという知見に基づく。
また、別の知見として、ETLを厚くすると電圧降下損失が大きくなり、即ち、駆動電圧が高くなり、電力効率が低下することが判っている。そこで、これを配慮し、ETLを80nm以下にすることを、実施例7では試みた。
実施例6では、反射陰極側のETLの厚みを250nmと厚膜化することによって、プラズモン損失が低減できていると思われるが、電圧上昇の副作用の影響で電力効率は低下していると考えられる。
実施例7では、プラズモン損失の影響は、本発明の構成により低下していると考え、電力効率の向上を目的に、反射陰極側のETLの厚みを40nmと薄膜化した。
その結果、3000Cd/mの明るさで点灯させた際に、実施例6のパネルでは8.82Vの電圧印可が必要であったのに対し、実施例7のパネルでは8.00Vですみ、原因は検討中であるが、演色性も、Ra=94、R=92と、大幅に改善した。
以上の結果から、高効率高輝度化の方策として、3段以上の多段化が有効であり、本発明の各種構成を活用した、蛍光青2段、燐光赤緑2層とすることが、白色バランス及び製造コスト低減の観点から好ましいことが判る。また、蛍光青2units+燐光赤緑3又は4unitsとすることも有効と考えられる。
1.アウトカップリング層(OCL)
2.透光性基材(ガラス基板)
3.インターナルイクストラクション層(IEL)
4.透光性陽極層(ITO層)
5.発光機能層
5A.短波長蛍光発光ユニット(青蛍光ユニット)
5B.接続層
5C.中長波長燐光発光ユニット(緑赤燐光ユニット)
5D.陰極層側電子輸送層(陰極層側ETL)
6.反射性陰極層
7.封止層
10.白色発光有機EL素子
20.発光領域
70.封止領域
100.白色発光有機ELパネル

Claims (6)

  1. 発光面、及び裏面を両主面とし、かつ、該発光面から該裏面に向かい順に、透光性基材、透光性陽極層、発光機能層、及び反射性陰極層を含む、通電時に白色発光する白色発光有機ELパネルであって、
    該発光機能層が、該透光性陽極層から該反射性陰極層に向かい順に、
    短波長蛍光発光ユニット、接続層、及び、中長波長燐光発光ユニットを含み、
    該通電時に該接続層が、該短波長蛍光発光ユニット側に電子を注入し、かつ、該中長波長燐光発光ユニット側に正孔を注入するものであり、
    該中長波長燐光発光ユニットの発光スペクトルの中波長域の発光の少なくとも一部が、該中長波長燐光発光ユニットにおける中波長蛍光に由来し、かつ、
    該中波長蛍光が、該中長波長燐光発光ユニットにおける励起状態であって、該短波長蛍光発光ユニットの発光スペクトルの短波長光により励起された励起状態からの基底状態への遷移に起因する光であることを特徴とする、白色発光有機ELパネル。
  2. 前記短波長蛍光発光ユニットを、接続層を介して、2つ含み、かつ、
    前記中長波長燐光発光ユニットを、接続層を介して、2つ含む、
    請求項1に記載の白色発光有機ELパネル。
  3. 前記反射性陰極層と接する中長波長燐光発光ユニットが、その中長波長燐光発光層と前記反射性陰極層との間に、10nm以上、80nm以下の平均層厚みの電子輸送層を含む、請求項1、又は2に記載の白色発光有機ELパネル。
  4. 前記透光性基材と前記透光性陽極層との間に、インターナルイクストラクション層(IEL)を備え、かつ、
    前記発光面の最表面に、アウトカップリング層(OCL)を備える、請求項1〜3のいずれかに記載の白色発光有機ELパネル。
  5. 前記中長波長燐光発光ユニットが、緑燐光材料、赤燐光材料、及びホスト材料を含む、緑赤混合燐光発光層を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の白色発光有機ELパネル。
  6. 前記発光機能層が、5nm以上、30nm以下の平均層厚みの発光層を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の白色発光有機ELパネル。
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