JP2014225415A - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】高輝度であり、しかも、高い発光効率を有する有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。
【解決手段】基板7と、この基板7上に設けられ、少なくとも一方が光透過性である一対の電極1、2と、少なくとも三以上の発光ユニット4とを備え、三以上の発光ユニット4が一対の電極1、2間に設けられてなる有機エレクトロルミネッセンス素子である。三以上の発光ユニット4の全ては、緑色発光材料を含有する発光層3を有する。三以上の発光ユニット4のうちの少なくとも一つの発光ユニット4には赤色発光材料が配置され、少なくとも一つの発光ユニット4には青色発光材料が配置される。三以上の発光ユニット4のうちの少なくとも一つは蛍光発光材料を含有する蛍光発光ユニット4Fとして形成され、かつ、三以上の発光ユニット4のうちの少なくとも一つは燐光発光材料を含有する燐光発光ユニット4Pとして形成される。
【選択図】図1
【解決手段】基板7と、この基板7上に設けられ、少なくとも一方が光透過性である一対の電極1、2と、少なくとも三以上の発光ユニット4とを備え、三以上の発光ユニット4が一対の電極1、2間に設けられてなる有機エレクトロルミネッセンス素子である。三以上の発光ユニット4の全ては、緑色発光材料を含有する発光層3を有する。三以上の発光ユニット4のうちの少なくとも一つの発光ユニット4には赤色発光材料が配置され、少なくとも一つの発光ユニット4には青色発光材料が配置される。三以上の発光ユニット4のうちの少なくとも一つは蛍光発光材料を含有する蛍光発光ユニット4Fとして形成され、かつ、三以上の発光ユニット4のうちの少なくとも一つは燐光発光材料を含有する燐光発光ユニット4Pとして形成される。
【選択図】図1
Description
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
従来、一対の電極の間に有機発光層が設けられた積層体を形成し、有機発光層において電子と正孔とを結合させて発光を生じさせる有機エレクトロルミネッセンス素子(以下「有機EL素子」ともいう)が知られている。
このような有機EL素子においては、高輝度で高い発光効率を有し、しかも、素子寿命が長いことが重要となる。上記発光効率は、所定の電気エネルギーを与えた場合において取り出される光の割合のことをいい、発光効率が高くなることによって、より少ない電気で所望の発光を得ることが可能になる。また、有機EL素子が低電圧で駆動することによって、素子に負荷を与えにくくすることができ、より長寿命の素子を得ることが可能になる。
近年、有機EL素子の性能をさらに向上させることを目的として、複数の発光ユニットを有する、いわゆるマルチユニット構造の有機EL素子が提案されている(例えば、特許文献1及び2等を参照)。特許文献1には、マルチユニット構造において、単色発光ユニットの発光効率を低くした有機発光素子が開示されている。また、特許文献2には、マルチユニット構造において、緑色発光層のホスト材料の最高占有軌道のエネルギー順位を低くした有機電界発光素子が開示されている。
しかしながら、上記特許文献に開示されているようなマルチユニット構造を有する有機EL素子においても、高輝度及び高効率を両立しているとはいい難く、さらなる性能の向上が求められるものであった。また、これらの文献に開示の方法では、発光色を所望の色にしようとした場合、駆動電圧が高くなるおそれがある。例えば、複数の発光層の色の混合により白色発光を作り出す場合、発光層の材料によっては電圧を高くしなければ発光が生じにくくなることがあり、発光効率が悪くなってしまうことがあり、しかも、高電圧化してしまうという問題もあった。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、高輝度であり、しかも、高い発光効率を有する有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することを目的とするものである。
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板と、この基板上に設けられ、少なくとも一方が光透過性である一対の電極と、少なくとも三以上の発光ユニットとを備え、前記三以上の発光ユニットが前記一対の電極間に設けられてなる有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記三以上の発光ユニットの全ては、緑色発光材料を含有する発光層を有しており、前記三以上の発光ユニットのうちの少なくとも一つの発光ユニットには赤色発光材料が配置され、前記三以上の発光ユニットのうちの少なくとも一つの発光ユニットには青色発光材料が配置され、前記三以上の発光ユニットのうちの少なくとも一つの発光ユニットは蛍光発光材料を含有する蛍光発光ユニットとして形成され、かつ、前記三以上の発光ユニットのうちの少なくとも一つの発光ユニットは燐光発光材料を含有する燐光発光ユニットとして形成されていることを特徴とするものである。
前記燐光発光ユニットの数が前記蛍光発光ユニットの数よりも多いことが好ましい。
少なくとも一つの前記燐光発光ユニットには、前記燐光発光材料として青色燐光発光材料が含まれることが好ましい。
前記発光層に含まれる前記緑色発光材料が緑色燐光発光材料である燐光発光ユニットを少なくとも二つ有し、一つの燐光発光ユニットにおける緑色燐光発光材料と、他の燐光発光ユニットにおける緑色燐光発光材料とは互いに異なることが好ましい。
前記三以上の発光ユニットの少なくとも一つ以上又は全てが、前記緑色発光材料を含有する発光層と、この発光層以外の発光層とからなる複数の発光層を有しており、一つの発光ユニットにおいて、前記複数の発光層に含まれる発光材料のうちの、最も大きい極大発光波長を有する発光材料と、最も小さい極大発光波長を有する発光材料との極大発光波長の差が70nm以下であることが好ましい。
前記緑色発光材料は、発光スペクトルの半値幅が60nm以上である緑色発光材料を含むことが好ましい。
前記一対の電極のうちの光透過性である電極の外側に光の波長を変換する蛍光色素を含有する蛍光層を備えることが好ましい。
本発明の有機EL素子は、三つ以上ある全ての発光ユニットに緑色発光材料を含む発光層が形成され、発光ユニットの少なくとも一つが蛍光発光ユニット、かつ、少なくとも一つが燐光発光ユニットとして形成されている。そのため、上記有機エレクトロルミネッセンス素子は、高輝度であり、しかも、高い発光効率を有するものである。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
有機EL素子は、基板7と、この基板7上に設けられ、少なくとも一方が光透過性である一対の電極1、2と、少なくとも三以上の発光ユニット4とを備え、前記三以上の発光ユニット4が前記一対の電極1、2間に設けられてなる有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記三以上の発光ユニット4の全ては、緑色発光材料を含有する発光層3を有しており、前記三以上の発光ユニット4のうちの少なくとも一つの発光ユニット4には赤色発光材料が配置され、前記三以上の発光ユニット4のうちの少なくとも一つの発光ユニット4には青色発光材料が配置され、前記三以上の発光ユニット4のうちの少なくとも一つの発光ユニット4は蛍光発光材料を含有する蛍光発光ユニット4Fとして形成され、かつ、前記三以上の発光ユニット4のうちの少なくとも一つの発光ユニット4は燐光発光材料を含有する燐光発光ユニット4Pとして形成されていることを特徴とする。
上記のように、有機EL素子は、三つ以上ある全ての発光ユニット4に緑色発光材料を含む発光層3が形成され、発光ユニット4の少なくとも一つが蛍光発光ユニット4F、かつ、少なくとも一つが燐光発光ユニット4Pとして形成されている。そのため、上記有機エレクトロルミネッセンス素子は、高輝度であり、しかも、高い発光効率を有するものである。
図1は、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の第1実施形態を示している。
本形態の有機EL素子は、基板7と、第1電極1と、第2電極2と、発光ユニット4とを備えている。第1電極1及び第2電極2は互いに対をなす電極であり、基板7上に層状に形成されて設けられている。そして、一対の第1電極1及び第2電極2との間に発光ユニット4が少なくとも三つ以上(すなわち、少なくとも三ユニット以上)設けられる。発光ユニット4は少なくとも一以上の発光層3を有している。
第1電極1及び第2電極2のうち、少なくとも一方は光透過性の電極である。このように一対の電極のうちの一方が光透過性であれば、他方の電極は特に制限されないが、例えば、光反射性とすることができる。以下、第1電極1及び第2電極2の一対の電極のうちの光透過性の電極を「光透過性電極」、光反射性の電極を「光反射性電極」と称する。第1実施形態及び後述する第2〜第6実施形態の有機EL素子では、第1電極1を光透過性電極、第2電極2を光反射性電極としている。
第1電極1及び第2電極2のうち、一方が陽極で、他方が陰極を構成する。それにより、有機EL素子が駆動可能になる。第1実施形態では、光透過性電極である第1電極1で陽極を構成し、光反射性電極である第2電極2で陰極を構成することができる。その場合、光取り出し性の高い素子を形成しやすくすることができる。もちろん、光透過性電極で陰極を構成し、光反射性電極で陽極を構成するようにしてもよい。
発光ユニット4とは、陽極と陰極とで挟んで電圧を印加すれば発光する機能を有する積層構造のことである。以下、この積層構造を「有機EL層」と呼ぶことがある。発光ユニット4を複数有する有機EL素子の構造は、マルチユニット構造と呼ばれている。マルチユニット構造とは、一つの陽極と一つの陰極との間に、厚み方向に重なる複数の発光ユニット4が電気的に直列接続して配置された構造である。従って、第1実施形態の有機EL素子は、マルチユニット構造を有する。なお、発光ユニット4が一つの有機EL素子はシングルユニット構造である。
第1実施形態の有機EL素子は、発光ユニット4の数は三つである。有機EL素子では、発光ユニット4の数は三つに限定されることはなく、四つ以上であってもよい。発光ユニット4が三以上となることで、発光色を調整して所望の色を作り出すことが容易になる。ただし、発光ユニット4の数が多すぎると、素子構成が複雑になるおそれがある。そのため、発光ユニット4の数は五つ以下が好ましく、四つ以下がより好ましく、三つが最も好ましい。
マルチユニット構造の有機EL素子においては、隣り合う発光ユニット4と発光ユニット4との間には、通常、中間層5が設けられる。中間層5は、隣接する各発光ユニット4に電荷を注入する機能を有する層である。中間層5を設けることにより、各発光ユニット4において良好に発光することが可能になる。中間層5は、電極的な機能を発揮し得るもので、電荷発生層とも呼ばれる。中間層5は、陽極側に電子を注入し、陰極側にホール(正孔)を注入する機能を有する。光透過性電極(第1電極1)側が陽極の場合、中間層5は、光透過性電極側に隣接する発光ユニット4に電子を注入する機能を有する。光反射性電極(第2電極2)が陰極の場合、中間層5は、光反射性電極側の発光ユニット4にホール(正孔)を注入する機能を有する。図1に示すように、中間層5は各々の発光ユニット4,4の間に設けられていてよく、その場合、中間層5は全体として複数設けられることになる。
有機EL素子は基板7を備えるが、第1電極1から第2電極2(図1では光透過性電極から光反射性電極)までの積層体によって構成される発光積層体は、基板7の表面に形成される。基板7が発光積層体を支持するための基材となる第1実施形態においては、基板7の表面に光透過性電極である第1電極1が形成されている。この場合、基板7は光透過性を有することが好ましい。それにより光を外部に取り出すことができる。基板7側から光を取り出す構造は、ボトムエミッション構造と呼ばれる。また、有機EL素子は、第1実施形態とは別の構造として、基板7の表面に光反射性電極である第2電極2が形成されている構造であってもよい。この場合、図1において、図示された基板7を消去して、第2電極2(光反射性電極)の上方に基板7を描画すれば、第1実施形態の変形例として、これらの積層構造が描かれる。光反射性電極側に基板7を設ける場合、基板7は透明でなくてもよい。光は基板7とは反対側から取り出される。基板7とは反対側から光を取り出す構造は、トップエミッション構造と呼ばれる。有機EL素子は、ボトムエミッション構造であっても、トップエミッション構造であってもよい。ただし、基板7の表面に光透過性電極を設けるボトムエミッション構造の方が、照明用の発光装置として有利である。
少なくとも三つ以上の発光ユニット4のうち、第2電極2に最も近い発光ユニット4は、反射側発光ユニット42である。また、第1電極1に最も近い発光ユニット4は、透過側発光ユニット41である。そして、反射側発光ユニット42と透過側発光ユニット41との間にある発光ユニットは、中間発光ユニット43である。なお、発光ユニット4が四つ以上の場合、反射側発光ユニット42と透過側発光ユニット41との間に、複数の中間発光ユニット43が複数設けられることになる。
各々の発光ユニット4、すなわち、反射側発光ユニット42、透過側発光ユニット41及び中間発光ユニット43はいずれも、緑色発光材料を含有して形成された発光層3を有している。以下では、上記の緑色発光材料を含有する発光層3を、「緑色発光層3G」と称する。有機EL素子では、発光ユニット4に形成される一以上の発光層3のうちの少なくとも一つは緑色発光層3Gとなる。緑色発光層3Gは、発光ユニット4において層状に形成されており、図1に示すように、基板7と略平行となるように発光ユニット4内に配置されている。
緑色発光層3Gには、緑色発光材料以外のその他の発光材料等の材料が含まれていてもよい。その他の発光材料としては、後述する赤色発光材料や青色発光材料などである。尚、緑色発光材料等、発光材料の種類については後述する。
上記のように、各々の発光ユニット4に配置されている発光層3の一つが緑色発光層3Gとして形成されることで、有機EL素子におけるすべての発光ユニット4は、緑色発光層3Gを有するものとなる。
各々の発光ユニット4の少なくとも一つの発光ユニット4には、赤色発光材料が配置される。具体的には、赤色発光材料を含む発光層3を緑色発光層3Gの第1電極側の面又は第2電極側の面のいずれかに積層させるように設けることで、赤色発光材料を発光ユニット4に配置させることができる。このように形成される赤色発光材料を含む発光層3を、以下では、「赤色発光層3R」と称する。第1実施形態では、赤色発光層3Rは、反射側発光ユニット42及び中間発光ユニット43において緑色発光層3Gの第1電極1側に面して形成されている。尚、赤色発光層3Rは、上記の赤色発光材料のみを含有する層でもよいし、赤色発光材料以外の発光材料等の材料が含まれていてもよい。
一方、上記のように赤色発光材料を赤色発光層3Rとして発光ユニット4に配置させる方法以外にも、例えば、緑色発光層3Gの中に赤色発光材料を含ませるようにして赤色発光材料を発光ユニット4に配置させてもよい。この場合、緑色発光層3Gは、緑色発光材料と赤色発光材料との混合層として形成されることになる。
各々の発光ユニット4の少なくとも一つの発光ユニット4には、青色発光材料が配置される。具体的には、青色発光材料を含む発光層3を緑色発光層3Gの第1電極側の面又は第2電極側の面のいずれかに積層させるように設けることで、青色発光材料を発光ユニット4に配置させることができる。このように形成される青色発光材料を含む発光層3を、以下では、「青色発光層3B」と称する。第1実施形態では、青色発光層3Bは、透過側発光ユニット41において緑色発光層3Gの第1電極1側に面して形成されている。尚、青色発光層3Bは、上記の青色発光材料のみを含有する層でもよいし、青色発光材料以外の発光材料等の材料が含まれていてもよい。
一方、上記のように青色発光材料を青色発光層3Bとして発光ユニット4に配置させる方法以外にも、例えば、緑色発光層3Gの中に青色発光材料を含ませるようにして青色発光材料を発光ユニット4に配置させてもよい。この場合、緑色発光層3Gは、緑色発光材料と青色発光材料との混合層として形成されることになる。
上記のように、発光ユニット4は、少なくとも緑色発光層3Gを有して構成され、さらに、緑色発光層3Gとは別に赤色発光層3Rや青色発光層3Bを有していてもよいものである。このように、赤色発光材料や青色発光材料が発光層3として形成されて配置される場合は、発光ユニット4は、二又は三以上の発光層3を有して形成されることになる。
尚、第1実施形態では、赤色発光層3Rと青色発光層3Bはそれぞれ、異なる発光ユニット4に配置されているが、もちろん、赤色発光層3Rと青色発光層3Bとは、同じ発光ユニット4に形成されていてもよい。この場合、一つの発光ユニット4に発光層3が三つ(緑色発光層3G、赤色発光層3R、青色発光層3B)形成されることになる。また、赤及び青色発光材料はそれぞれ、少なくとも一つの発光ユニット4に配置されていればよいものであるので、三以上ある発光ユニット4のうちのいずれかの発光ユニット4には、赤色発光材料及び青色発光材料のいずれも配置されていない場合もあり得る。
ここで、上記の緑色発光材料とは、475nm以上570nm未満の波長領域に最も強度が大きいスペクトルを示す発光材料をいう。通常、緑色発光材料は、500nm以上であるが、上記のように475nm以上500nm未満のいわゆるライトブルー色領域も緑色発光材料に含んでよいものとする。また、上記の青色発光材料とは、420nm以上475nm未満の波長領域に最も強度が大きいスペクトルを示す発光材料をいう。また、また、赤色の発光材料とは、570nm以上700nm未満の波長領域に最も強度が大きいスペクトルを示す発光材料をいう。
発光材料は、厳密には、例えば橙色など、赤緑青以外の発光色も存在し得るが、その場合であっても、本明細書では、発光色を上記三色で区分し、上記の波長領域の色の定義に入る限り、その色を呈するとみなす。
有機EL素子は、図1の第1実施形態に示すように、三つ以上の発光ユニット4を有するマルチユニット構造であり、しかも、全ての発光ユニット4が、緑色発光材料を含む緑色発光層3Gを有している。そのため、このような有機EL素子は、高い輝度を有する。緑色発光材料による発光色は、ヒトに対して特に視感度が高い色であるためであり、しかも、そのような視感度の高い緑色発光材料を含む緑色発光層3Gが少なくとも三つ以上あるからである。
また、有機EL素子は、赤緑青(RGB)の三色の発光材料を備えることにより、種々の色を作り出すことができる。特に、これらの色を混合することにより白色発光が可能である。有機EL素子では、白色発光により、面状の照明装置を形成することができる。
上記のように、有機EL素子は、発光ユニット4に緑色発光材料、赤色発光材料や青色発光材料を含むものである。ここで、上記各種の発光材料が、蛍光を示す蛍光発光材料(蛍光物質)であるか、燐光を示す燐光発光材料(燐光物質)であるかによって、発光ユニット4を蛍光発光ユニット4Fとして形成したり、燐光発光ユニット4Pとして形成したりすることができる。
第1実施形態のように、三つ以上の発光ユニット4のうちの少なくとも一つは蛍光発光ユニット4Fとして形成され、かつ、三つ以上の発光ユニット4のうちの少なくとも一つは燐光発光ユニット4Pとして形成される。
発光ユニット4を蛍光発光ユニット4Fとして形成するには、発光層3に含まれる発光材料を少なくとも蛍光物質とすればよい。具体的には、緑色発光層3Gに含まれる緑色発光材料を少なくとも蛍光物質で構成させれば、このような発光ユニット4は蛍光発光ユニット4Fとして形成される。以下では、蛍光物質である緑色発光材料を「緑色蛍光発光材料」という。そして、緑色発光層3Gに緑色蛍光発光材料が含まれる場合、この緑色発光層3Gを「緑色蛍光発光層3GF」とする。緑色蛍光発光層3GFには、緑色蛍光発光材料のみを含むものであってもよいし、緑色蛍光発光材料以外のその他の発光材料を含むものであってもよい。その他の発光材料としては、燐光発光材料も含まれ得る。
また、蛍光発光ユニット4Fに青色発光材料や赤色発光材料が上記のように配置されている場合は、これらの発光材料も蛍光物質とすればよい。以下では、蛍光物質である青色発光材料を「青色蛍光発光材料」、蛍光物質である赤色発光材料を「赤色蛍光発光材料」という。そして、蛍光発光ユニット4Fにおいて青色蛍光発光材料や赤色蛍光発光材料がそれぞれ、発光層3B、発光層3Rとして形成される場合は、発光層3Bは「青色蛍光発光層3BF」、発光層3Rは「赤色蛍光発光層3RF」とする。青色発光層3BFや赤色発光層3RFには、蛍光発光材料のみを含むものであってもよいし、蛍光発光材料以外のその他の発光材料を含むものであってもよい。その他の発光材料としては、燐光発光材料も含まれ得る。
上記のように、発光ユニット4を蛍光発光ユニット4Fとして形成することで、有機EL素子は、より安定した発光を示すようになり、輝度の高い有機EL素子が得られやすくなる。
一方、発光ユニット4を燐光発光ユニット4Pとして形成するには、発光層3に含まれる発光材料を燐光物質で構成させればよい。具体的には、緑色発光層3Gに含まれる緑色発光材料を少なくとも燐光物質で構成させれば、このような発光ユニット4は燐光発光ユニット4Pとして形成される。以下では、燐光物質である緑色発光材料を「緑色燐光発光材料」という。そして、緑色発光層3Gに含まれる緑色発光材料が緑色燐光発光材料である場合の緑色発光層3Gを「緑色燐光発光層3GP」とする。緑色燐光発光層3GPは、緑色燐光発光材料のみを含むものであることが好ましい。
また、燐光発光ユニット4Pに青色発光材料や赤色発光材料が配置されている場合は、これらの発光材料も燐光物質が使用される。以下では、燐光物質である青色発光材料を「青色燐光発光材料」、燐光物質である赤色発光材料を「赤色燐光発光材料」という。そして、燐光発光ユニット4Pにおいて青色燐光発光材料や赤色燐光発光材料がそれぞれ、発光層3B、発光層3Rとして形成される場合は、発光層3Bは「青色燐光発光層3BP」、発光層3Rは「赤色燐光発光層3RP」とする。青色発光層3BPや赤色発光層3RPは、燐光発光材料のみを含むことが好ましい。
上記のように、発光ユニット4を燐光発光ユニット4Pとして形成することで、有機EL素子の発光効率を高めやすくなる。
第1実施形態では、透過側発光ユニット41が蛍光発光ユニット4Fとして形成されている。この蛍光発光ユニット4Fは、緑色蛍光発光層3GF及び青色蛍光発光層3BFを有して形成されている。また、第1実施形態では、反射側発光ユニット42及び中間発光ユニット43がそれぞれ、燐光発光ユニット4P,4Pとして形成されている。いずれの燐光発光ユニット4Pにおいても、緑色燐光発光層3GP及び赤色燐光発光層3RPを有して形成されている。
発光ユニット4内の発光層3以外の部分には、有機EL素子を駆動可能にさせる適宜の層が形成され得る。そのような層としては、例えば、電荷輸送層6である。第1実施形態では、電荷輸送層6が図示されている。電荷輸送層6は、ホール又は電子を注入したり輸送したりする層であってよい。電荷輸送層6は、電子輸送層6Aと正孔輸送層6Bとによって主に構成される。発光ユニット4内においては、発光層3の陽極側(本例では光透過性電極である第1電極1側)には正孔輸送層6Bが配置され、発光層3の陰極側(本例では光反射性電極である第2電極2側)には電子輸送層6Aが配置されることが好ましい。なお、発光層3と電極とが直接接したり、発光層3と中間層5とが直接接したりしても、所望の発光を得られるのであれば、電荷輸送層6は、適宜の箇所でなくてもよい。また、電荷輸送層6は、正孔注入層又は電子注入層などの適宜の層を備えるものであってもよい。正孔注入層は正孔輸送層6Bの陽極側に形成することができる。電子注入層は電子輸送層6Aの陰極側に形成することができる。
有機EL素子は、前記燐光発光ユニット4Pの数が前記蛍光発光ユニット4Fの数よりも多いことが好ましい。
第1実施形態の有機EL素子のように、燐光発光ユニット4Pの数が蛍光発光ユニット4Fの数よりも多い場合、内部量子効率が向上し、結果的に、後述の実施例で示す平均外部量子効率が向上するので、有機EL素子の発光効率をさらに高めることができる。
図1の第1実施形態の有機EL素子では、燐光発光ユニット4Pが光反射性電極である第2電極2側、すなわち、反射側発光ユニット42が燐光発光ユニット4Pとして形成されている。このように有機EL素子が構成されている場合、有機EL素子は、光取出し効率が向上し、より高い発光効率を有するようになる。光反射性電極の側に配置される発光ユニット4は、光透過性電極の側に配置される発光ユニット4と比較して、干渉の影響によるロスが小さく、また、光取出し効率が高くなる傾向にある。そのため、第1実施形態のように、反射側発光ユニット42を燐光発光ユニット4Pとすることで、このような有機EL素子は、その光取出し効率が向上し、しかも、より高い発光効率を有するようになるのである。
さらに、第1実施形態の有機EL素子は、中間発光ユニット43が燐光発光ユニット4Pとして形成されている。このように有機EL素子が構成されている場合、有機EL素子は、高輝度、かつ、高効率になりやすくなる。
一般的に、特定の発光スペクトルを有する発光材料において、反射性電極に対して所定の距離に配置されるように発光層3の位置設定すれば、すなわち、光学干渉設計を行えば、光学的に高い光取出し効率が得られる。そして、高い光取出し効率を得るようにするための発光層3(発光ユニット4)の配置位置(極大位置)は複数あるが、そのうち、反射性電極に最も近くなる位置を選択すれば、発光効率が最も高くなる。このような光学干渉設計を行い、目的に合った有機EL素子が得られるように発光層3の位置を決定することができる。
図2に示す第2実施形態の有機EL素子では、反射側発光ユニット42が蛍光発光ユニット4Fとして形成されている。この蛍光発光ユニット4Fは、光反射性電極側に緑色蛍光発光層3GF、光透過性電極側に青色蛍光発光層3BFを有して形成されている。さらに、透過側発光ユニット41及び中間発光ユニット43がそれぞれ、燐光発光ユニット4P,4Pとして形成されており、いずれも、光反射性電極側に緑色燐光発光層3GP、光透過性電極側に赤色燐光発光層3RPを有して形成されている。すなわち、第1実施形態の有機EL素子と比較すると、燐光発光ユニット4P、蛍光発光ユニット4Fの位置関係が異なる以外は、これらの個数及び各々の層構成は同じであり、また、発光ユニット4以外の部材についても第1実施形態と同じである。尚、図2及び図1に付されている符号のうち、共通している符号は、同じ部材であることを示しているので、各部材の説明は省略する。
第2実施形態の有機EL素子では、反射側発光ユニット42が蛍光発光ユニット4Fとして形成されていることで、光取出し効果が向上し、しかも、第1実施形態の有機EL素子に比べて高い色温度となる。この場合も上述した光学干渉設計の観点から、各々の発光ユニット4の配置設計を行うことができる。また、この場合においては、有機EL素子の色温度を高くする目的で、短波長成分が多く含まれる蛍光ユニット4Fを反射性電極側に形成させている。白色光においては、発光ユニット4中の短波長成分の含有割合を多くすればより高い色温度が実現されるのである。
また、第2実施形態の有機EL素子では、第1実施形態同様、中間発光ユニット43が燐光発光ユニット4Pとして形成されているので、同様の理由により高輝度、かつ、高効率になりやすくなる。
図3に示す第3実施形態の有機EL素子では、透過側発光ユニット41が燐光発光ユニット4Pとして形成され、この燐光発光ユニット4Pは、光反射性電極側に緑色燐光発光層3GP、光透過性電極側に赤色燐光発光層3RPを有して形成されている。さらに、反射側発光ユニット42及び中間発光ユニット43がそれぞれ、蛍光発光ユニット4F,4Fとして形成されており、いずれも、光反射性電極側に緑色蛍光発光層3GF、光透過性電極側に青色蛍光発光層3BFを有して形成されている。
すなわち、第1実施形態と比較すると、燐光発光ユニット4P及び蛍光含有発光ユニット4Fの配置数及び位置関係が異なる点以外は、第3実施形態と第1実施形態の発光ユニット4の構成自体は同じである。また、発光ユニット4以外の構成についても第1実施形態と第3実施形態は同じである。尚、図3及び図1に付されている符号のうち、共通している符号は、同じ部材であることを示しているので、各部材の説明は省略する。
第3実施形態の有機EL素子では、反射側発光ユニット42が蛍光発光ユニット4Fとして形成されていることで、第2実施形態の有機EL素子と同様、有機EL素子の光取出し効果が向上し、しかも、第1実施形態の有機EL素子に比べて高い色温度となる。
また、第3実施形態の有機EL素子では、中間発光ユニット43を、短波長発光が高い割合を占める短波長蛍光発光材料を含む蛍光発光ユニット4Fとしていることで、有機EL素子全体の色温度をより高くすることが可能となる。具体的に第3実施形態の有機EL素子では、構成部材の材料の種類にもよるが、その色温度が、例えば5000K以上となる。それに対し、第1実施形態及び第2実施形態の有機EL素子では、色温度は前者が3000K、後者は3500K程度である。
有機EL素子において、少なくとも一つの前記燐光発光ユニット4Pには、前記燐光発光材料として青色燐光発光材料が含まれることが好ましい。すなわち、複数ある燐光発光ユニット4Pのうちの少なくとも一つの燐光発光ユニット4Pに含まれる燐光発光材料が青色燐光発光材料であることが好ましい。
この場合、高い色温度の実現が可能となり、しかも、高い演色性を示す有機EL素子となり得る。
図4に示す第4実施形態が、上記の燐光発光ユニットに含まれる燐光発光材料が青色燐光発光材料である場合の有機EL素子である。
この形態の有機EL素子では、透過側発光ユニット41が蛍光発光ユニット4Fとして形成され、この蛍光発光ユニット4Fは、光反射性電極側に緑色蛍光発光層3GF、光透過性電極側に青色蛍光発光層3BFを有して形成されている。さらに、反射側発光ユニット42及び中間発光ユニット43がそれぞれ、燐光発光ユニット4P,4Pとして形成されている。そして、中間発光ユニット43における燐光発光ユニット4Pは、光反射性電極側に緑色燐光発光層3GP、光透過性電極側に赤色燐光発光層3RPを有して形成されている。
一方、反射側発光ユニット42における燐光発光ユニット4Pは、三つの発光層3が積層して形成されており、光反射性電極側に青色燐光発光層3BP、透過性電極側に赤色燐光発光層3RP、両者の間、すなわち、中央に緑色燐光発光層3GPを有している。
ここで、上記青色燐光発光層3BPとは、燐光物質である青色発光材料(青色燐光発光材料)を含む発光層3のことである。したがって、第4実施形態では、一つの燐光発光ユニット4Pが、青色燐光発光材料からなる発光層3(青色燐光発光層3BP)を含むことになる。
上記のように、第4実施形態では、反射側発光ユニット42の燐光発光ユニット4Pにおいて、緑色燐光発光層3GPの光反射性電極側に青色燐光発光材料を含む青色燐光発光層3BPが形成されている点を除いては、第1実施形態と同様の構成である。尚、図4及び図1に付されている符号のうち、共通している符号は、同じ部材であることを示している。
図4の第4実施形態では、有機EL素子は、反射側発光ユニット42が燐光発光ユニット4Pとして形成されていることで、第1実施形態同様、光取り出し効率が向上し、より高い発光効率を有するようになる。
その上、反射側発光ユニット42の燐光発光ユニット4Pが青色燐光発光層3BPを有していることで、高効率、かつ、高い色温度を有する有機EL素子が得られる。具体的に第4実施形態の有機EL素子では、構成部材の材料の種類にもよるが、その色温度が4000K程度になり、第1実施形態及び第2実施形態の有機EL素子に比べて色温度を高くすることができ、しかも、高効率にすることができるのである。
また、第4実施形態の有機EL素子では、中間発光ユニット43が燐光発光ユニット4Pとして形成されているので、第1実施形態と同様の理由により高輝度、かつ、高効率になりやすい。
尚、第4実施形態では、青色燐光発光材料を含んでなる青色燐光発光層3BPが燐光発光ユニット4Pに形成されている形態であるが、例えば、青色燐光発光層3BPを形成させずに、青色燐光発光材料を緑色燐光発光層3GP中に含ませるようにしてもよい。
有機EL素子は、前記発光層3に含まれる前記緑色発光材料が緑色燐光発光材料である燐光発光ユニット4Pを少なくとも二つ有し、一つの燐光発光ユニット4Pにおける緑色燐光発光材料と、他の燐光発光ユニット4Pにおける緑色燐光発光材料とは互いに異なることが好ましい。
このような構成で有機EL素子が形成されている場合、発光スペクトルの波長領域が全体として拡がるようになり、有機EL素子の演色性を一層高めることができる。例えば、図1の第1実施形態で、二つの燐光発光ユニット4P,4Pのいずれの緑色燐光発光層3GPにも緑色燐光発光材料が含まれる場合において、それぞれの緑色燐光発光材料の種類が互いに異なる場合は、演色性が一層高い有機EL素子となる。そのような構成の有機EL素子については、一例として図5に第5実施形態として示している。
図5に示す第5実施形態の有機EL素子では、第1実施形態と同様、透過側発光ユニット41が蛍光発光ユニット4Fとして形成され、この蛍光発光ユニット4Fは、光反射性電極側に緑色蛍光発光層3GF、光透過性電極側に青色蛍光発光層3BFを有して形成されている。さらに、反射側発光ユニット42及び中間発光ユニット43がそれぞれ、燐光発光ユニット4P,4Pとして形成されており、いずれも、光反射性電極側に緑色燐光発光層3GP、光透過性電極側に赤色燐光発光層3RPを有して形成されている。そして、この有機EL素子の二つの燐光発光ユニット4Pの緑色燐光発光層3GPに含まれる緑色燐光発光材料は互いに種類が異なるので、ここでは、反射側発光ユニット42の緑色燐光発光層を「3GP2」、中間発光ユニット43の緑色燐光発光層を「3GP1」という符号を付している。尚、図5及び図1に付されている符号のうち、共通している符号は、同じ部材であることを示しているので、各部材の説明は省略する。
このような第5実施形態の有機EL素子では、上述したように、演色性が一層高いものとして得られる。特に、緑色燐光発光層3GP1の緑色燐光発光材料の極大波長が520〜540nmの範囲、緑色燐光発光層3GP2の緑色燐光発光材料の極大波長が550〜570nmの範囲が望ましく、これにより、演色性がより一層高い有機EL素子が得られる。また、この場合において、緑色燐光発光層3GP1を含む発光ユニット4が、緑色燐光発光層3GP2を含む発光ユニット4よりも光反射性陰極側にあることが光学干渉設計の観点から望ましいが、仮にそうでなくても上記と同じ効果は得られる。上記でいう極大波長とは、緑色燐光発光材料の発光スペクトルにおいてピーク強度が極大となるときの波長のことをいい、以下も同様である。
尚、上記のように緑色燐光発光層3GP1及び緑色燐光発光層3GP2に、互いに異なる緑色燐光発光材料が含まれているが、そうである限り、一方の緑色燐光発光層には、他方の緑色燐光発光層と同じ種類の緑色燐光発光材料が同時に含まれていてもよい。
ここでは一例として、第5実施形態の有機EL素子、すなわち、第1実施形態において、二つの緑色燐光発光層3GPをそれぞれ、緑色燐光発光層3GP1、緑色燐光発光層3GP2とした場合の形態で説明したが、もちろん、この形態に限られるものではない。つまり、緑色燐光発光層3GPを二つ有する第2実施形態及び第4実施形態などにおいても、第5実施形態と同様の構成を適用すれば、同様の効果を得ることができる。
尚、図5では、説明の便宜上、緑色燐光発光層3GP1、緑色燐光発光層3GP2と表記したに過ぎない。そのため、例えば、第1実施形態である図1では、二つの緑色燐光発光層は共に符号「3GP」が付されているが、これら二つの緑色燐光発光層3GPに含まれる緑色燐光発光材料が同一とは限定されず、互いに異なる種類の緑色燐光発光材料であってもよい。その他の実施形態でも同様であり、もちろん、他の層についても同様のことがいえる。
第1実施形態〜第5実施形態はいずれも、一つの蛍光発光ユニット4Fにおいて、緑色蛍光発光層3GFが青色蛍光発光層3BFよりも光反射性電極(第2電極2側)に配置している。光学干渉の観点から考えれば、その設計上、青色蛍光発光層3BFが緑色蛍光発光層3GFよりも光反射性電極(第2電極2側)に配置することが望ましいといえる。しかし、第1実施形態〜第5実施形態のような配置順序であっても、これらの有機EL素子は、高い輝度で、かつ、高い発光効率を有するものとなる。通常、キャリアバランス調整の目的で、上記の両者の層のいずれかを光透過性電極側に配置させたり、光反射性電極側に配置させたりすることがあるが、いずれの配置であっても、高輝度、高効率の有機EL素子が得られるのである。
また、第1実施形態〜第5実施形態はいずれも、燐光発光ユニット4Pにおいて、緑色燐光発光層3GPが赤色燐光発光層3RPよりも光反射性電極(第2電極2側)に配置している。この場合、光学干渉の観点から、その設計上、上記のような配置順序であることが望ましいが、キャリアバランス調整の目的に応じて、配置順序を変更したとしても、高輝度、高効率の有機EL素子が得られる。
また、第1実施形態〜第5実施形態のように、発光ユニット4のうちの少なくとも一つが蛍光発光ユニット4Fであることで、例えば、蛍光発光ユニット4Fに青色発光材料を配置させる場合、青色発光材料の材料選定を幅広く行うことができる。これにより、有機EL素子を製作するにあたっての素子設計が容易になる。従って、発光ユニット4のうちの少なくとも一つが蛍光発光ユニット4Fであれば、この蛍光発光ユニット4Fは、青色発光材料の受け皿としての役割を果たすものといえる。このような観点から、蛍光発光ユニット4Fには、第1実施形態〜第5実施形態のように、蛍光を示す青色発光材料(すなわち、青色蛍光発光材料)が含まれることが好ましい。
なお、蛍光発光ユニット4Fからの発光は、二つの三重項励起子の衝突融合により一重項励起子が生成する現象(TTF:Triplet−Triplet fusion)を利用したものであってもよい。このようにTTF現象を利用することで、蛍光発光ユニット4Fの高効率化が可能になり、さらに、燐光発光ユニット4Pと組み合わせることで、白色素子としての高効率化が可能になる。また、蛍光発光ユニット4Fが異なる発光色の積層構造であれば、高い効率を維持したまま、発光色温度の調整が可能となる。蛍光発光ユニット4Fからの発光は、TTF現象を利用するものの他、熱活性を利用したものであってもよく、この場合も、高効率発化が可能になる。
有機エレクトロルミネッセンス素子は、前記三以上の発光ユニット4の少なくとも一つ以上又は全てが、前記緑色発光材料を含有する発光層3と、この発光層3以外の発光層3とからなる複数の発光層3,3,・・・を有しており、一つの発光ユニット4において、前記複数の発光層3,3,・・・に含まれる発光材料のうちの、最も大きい極大発光波長を有する発光材料と、最も小さい極大発光波長を有する発光材料との極大発光波長の差が70nm以下であることが好ましい。
前記三以上の発光ユニット4が、一つの発光ユニット4における複数の発光層3,3,・・・に含まれる発光材料の上記極大発光波長の差が70nm以下であれば、光学干渉設計が行いやすくなる。すなわち、一つの発光ユニットに配置される複数の発光材料の極大波長が互いに近接するようになるので、光の干渉を強めやすくでき、有機EL素子の光取出し効率をより高めることができる。
一般的に光取出し効率は、発光ユニット4に含まれる発光材料の発光波長に依存する。そのため、発光波長が異なる2種類の発光材料を、反射性電極からの距離が同じ位置になるように配置させて、それぞれ発光ユニット4を形成させたとしても、両者の間で光取出し効率が大きく異なる。このような観点から、光取出し効率をできる限り向上させるために、各発光ユニット4の発光スペクトルの波長帯(波長領域)が小さくなるように設計するとことが有効である。
また、有機エレクトロルミネッセンス素子は、前記緑色発光材料は、発光スペクトルの半値幅が60nm以上である緑色発光材料を含むことが好ましい。
具体的には、発光ユニット4における発光層3に緑色燐光発光材料が含まれる場合において、その緑色燐光発光材料の発光スペクトルの半値幅が60nm以上であれば、有機EL素子の演色性をより高めることが可能となり、スペクトル設計が行いやすくなる。このように高演色化となるのは、有機EL素子の発光スペクトルにおける広い波長領域を、上記半値幅が60nm以上の緑色燐光発光材料によって適切にカバーすることができるからである。緑色燐光発光材料の上記半値幅は、70nm以上であればより好ましい。半値幅の上限は特に制限されないが、通常、120nm程度である。尚、上記の半値幅が60nm以上の緑色燐光発光材料の高演色化の効果が阻害されない程度であれば、半値幅が60nm未満の緑色燐光発光材料やその他の燐光発光材料などを組み合わせて使用することも、もちろん可能である。また、緑色蛍光発光材料の発光スペクトルの半値幅も60nm以上であってもよい。
有機エレクトロルミネッセンス素子は、前記一対の電極1,2のうちの光透過性である電極の外側に光の波長を変換する蛍光色素を含有する蛍光層8を備えることも好ましい。
この場合、有機EL素子の輝度がさらに高まり、これにより、有機EL素子のスペクトル設計を行いやすくなり、また、発光ユニット4のユニット数を必要以上に多く設けなくてもよくなる。上記のような構成を有する有機EL素子については、図6に第6実施形態として示している。
図6の第6実施形態の有機EL素子では、基板7から第2電極(光反射性電極)に至るまでの構成は第1実施形態(図1)と同じ構成である。第6実施形態において、第1実施形態と異なるところは、基板7の第1電極1(光透過性電極)が設けられている面と逆側の面に蛍光層8が設けられている点、すなわち、光透過性電極の外側に基板7を介在させて蛍光層8が設けられている点である。
蛍光層8は、光の波長を変換する蛍光色素を含有してなる層である。そのため、上記のように蛍光層8が設けられる有機EL素子では、蛍光層8による光の波長変換によって色味をより高めることができるようになり、結果として有機EL素子がより高輝度になる。特に、蛍光層8に含まれる蛍光色素が赤色蛍光色素であれば、より色味を強くすることができ、有機EL素子の高輝度化に好適となる。
上記蛍光色素の具体例としては、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン等のシアニン系色素、1−エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3ブタジエニル]−ピリジウム−パークロレート等のピリジン系色素、ローダミンB、ローダミン6G等のローダミン系色素、オキサジン系色素、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジノ(9,9a,1−gh)クマリン、3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2’−ベンズイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン等のクマリン色素、ベーシックイエロー等のクマリン色素系染料、ソルベントイエロー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記蛍光色素は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。尚、蛍光層8は、上記蛍光色素の他、適宜のバインダー樹脂などが含まれていてもよい。
第6実施形態では、蛍光層8は基板7に面して設けられているが、その他の層、例えば、光散乱層や光取り出し構造などを介在させて設けられていてもよい。光散乱層は、例えば光散乱粒子を含む層で構成されるものであり、光取り出し構造は基板7の表面に微細な凹凸構造を設けたりすることにより形成される構造である。
蛍光層8は、第1実施形態のみならず、第2実施形態〜第5実施形態のような各有機EL素子においても設けることが可能であり、これらの場合も、上記同様の効果が発揮される。
有機EL素子は、基板7と光透過性電極1との間に、光取り出し層が設けられてもよい。光取り出し層は、基板7での全反射を抑え、外部に光をより多く取り出す機能を有する層である。光取り出し層は、基板7と有機EL層との間の屈折率差を低減する構造であってよい。屈折率差の低減により全反射を抑制して光を取り出すことができる。また、光取り出し層は、光散乱構造であってもよい。光を散乱させることにより光の方向を変更させて全反射を抑制して光を取り出すことができる。光取り出し層は、例えば、低屈折率層と高屈折率層との積層構造により形成することができる。あるいは、光取り出し層は、例えば、二つの層の界面の凹凸構造により形成することができる。あるいは、光取り出し層は、例えば、光散乱粒子を分散した層により形成することができる。
以下、上記で説明した有機EL素子に用いる材料、及び、有機EL素子の製造について説明する。
基板7としては、有機EL素子を形成するのに適した適宜の基板材料を用いることができる。例えば、ガラス基板、樹脂基板などを用いることができる。ガラス基板を用いれば、光取り出し性が高く強度のある透明基板を簡単に得ることができる。
第1電極1及び第2電極2は、一方を陽極、他方を陰極として形成することができるが、これらは適宜の導電性材料を用いることにより、光透過性電極や光反射性電極として形成することができる。
陽極としては、仕事関数の大きい金属、合金、電気伝導性化合物、あるいはこれらの混合物からなる電極材料を用いることが好ましい。陽極から光を取り出す場合、透明導電膜により陽極を構成することができる。陽極の構成としては、例えば、金属薄膜、透明金属酸化物膜、有機導電膜などを例示できる。陽極の材料としては、例えば、金などの金属、CuI、ITO(インジウム−スズ酸化物)、SnO2、ZnO、IZO(インジウム−亜鉛酸化物)等、PEDOT、ポリアニリン等の導電性高分子及び任意のアクセプタ等でドープした導電性高分子、カーボンナノチューブなどの導電性光透過性材料などを用いることができる。ITOなどを用いれば導電性の高い透明電極を形成することができる。
陰極としては、仕事関数の小さい金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物からなる電極材料を用いることが好ましい。陰極の材料としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属等、およびこれらと他の金属との合金、などを挙げることができる。陰極の材料の具体例としては、例えば、アルミニウム、銀、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム、マグネシウム、マグネシウム−銀混合物、マグネシウム−インジウム混合物、アルミニウム−リチウム合金を例として挙げることができる。さらに金属等の導電材料を1層以上積層して用いてもよい。例えば、アルカリ金属/Alの積層、アルカリ土類金属/Alの積層、アルカリ土類金属/Agの積層、マグネシウム−銀合金/Agの積層などが例として挙げられる。アルミニウム、銀などを用いれば反射性の高い電極を構成することができる。
発光材料は、ドーパント化合物(発光ドーパント)であるゲスト材料と、ドーパント化合物を含有させるホスト材料とを含む。そして、各発光層3(緑色蛍光発光層3GF、緑色燐光発光層3GP、赤色燐光発光層3RP、青色蛍光発光層3BF、青色燐光発光層3BP)は、そのような発光材料により形成される。
ホスト材料としては、電子輸送性の材料、ホール輸送性の材料、電子輸送性とホール輸送性とを併せ持つ材料のいずれも使用され得る。ホスト材料として電子輸送性の材料とホール輸送性の材料とが併用されてもよい。
蛍光の発光層3(緑色蛍光発光層3GF、青色蛍光発光層3BF)を形成するための発光材料におけるホスト材料としては、Alq3、TBADN(2−t−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン)、ADN、BDAFの名称で知られている材料などを用いることができる。
緑色蛍光発光層3GFの発光ドーパントとしては、特に限定されるものではなく、任意の蛍光発光材料を用いることができる。例えば、寿命特性の観点から緑色燐光発光材料の極大発光波長よりも短波長であるものを用いることができ、具体的には、極大発光波長が475〜570nmの間に存在するものを、緑色蛍光発光層3GFの発光ドーパントとして用いることができる。緑色蛍光発光層3GFの発光ドーパントの具体例としては、C545T、DMQA、coumarin6、rubreneの名称で知られている材料などを用いることができる。
青色蛍光発光層3BFの発光ドーパントとしては、特に限定されるものではなく、任意の蛍光発光材料を用いることができる。例えば、極大発光波長が475nm以下(下限は420nm程度)であるものを、青色蛍光発光層3BFの発光ドーパントとして用いることが好ましい。このような短波長青色蛍光発光材料を用いることで、平均演色評価数Raが高く、高性能な白色有機エレクトロルミネッセンス素子の実現が可能になる。青色蛍光発光層3BFの発光ドーパントの具体例としては、TBP、BCzVBi、peryleneの名称で知られている材料などを用いることができる。青色蛍光発光層3BFの発光ドーパントとしては、TTF現象を利用した高効率発光が可能な材料を使用してもよい。
尚、蛍光赤色の発光ドーパントを使用する場合は、DCJTBの名称で知られている材料などを用いることができる。
また、蛍光の発光層3には、電荷移動補助ドーパントを用いることも好ましく、例えば、NPD、TPD、Spiro−TADの名称で知られている材料などを用いることができる。発光ドーパントと電荷移動補助ドーパントとを合わせた合計のドープ濃度は発光材料に対して1〜30質量%にすることができる。
一方、燐光の発光層3(緑色燐光発光層3GP、赤色燐光発光層3RP、青色燐光発光層3BP)を形成するための発光材料におけるホスト材料としては、CBP(4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル)、CzTT、TCTA、mCP、CDBPの名称で知られている材料などを用いることができる。
緑色燐光発光層3GPの発光ドーパントとしては、特に限定されるものではなく、任意の燐光発光材料を用いることができる。例えば、寿命特性の観点から緑色蛍光発光材料の極大発光波長よりも長波長であるものを用いることができ、具体的には極大発光波長が475〜570nmの間に存在するものを用いることが好ましい。緑色燐光発光層3GPの発光ドーパントの具体例としては、Ir(ppy)3、Ir(ppy)2(acac)、Ir(mppy)3などを用いることができる。
赤色燐光発光層3RPの発光ドーパントとしては、特に限定されるものではなく、任意の燐光発光材料を用いることができるが、高演色性化の観点から極大発光波長が610nm以上(上限は640nm程度)であるものを用いることが好ましい。赤色燐光発光層3RPの発光ドーパントの具体例としては、Btp2Ir(acac)、Bt2Ir(acac)、PtOEPの名称で知られている材料などを用いることができる。
青色燐光発光層3BPの発光ドーパントとしては、特に限定されるものではなく、任意の燐光発光材料を用いることができる、例えば、極大発光波長が475nm以下(下限は420nm程度)であるものを用いることができる。青色燐光発光層3BPの発光ドーパントの具体例としては、FIr(pic)などを用いることができる。
また、燐光発光ドーパントのドープ濃度は燐光発光材料に対して1〜40質量%にすることができる。
尚、発光材料(ドーパント)としては、いわゆる燐光及び蛍光にカテゴリー分けされるもの以外のドーパントを用いてもよい。例えば、近年、燐光のエネルギーレベルから蛍光のエネルギーレベルに遷移して発光する発光材料が開発されているが、そのような発光材料を用いてもよい。
中間層5としては、BCP:Li、ITO、NPD:MoO3、Liq:Alなどを用いることができる。例えば、中間層5を、BCP:Liからなる第1層を陽極側に、ITOからなる第2層を陰極側に配置した二層構成のものにすることができる。また、中間層5は金属薄膜により構成してもよい。金属薄膜は光を透過し得る。例えば、Ag、Alなどにより、中間層5を形成することができる。
正孔注入層としては、CuPc、MTDATA、TiOPC、HAT−CN6などを用いることができる。また、正孔注入層に、アクセプターをドープした正孔輸送有機材料を用いてもよい。アクセプターとしては、MoO3、V2O5、F4TCNQなどが例示される。
正孔輸送層6Bとしては、TPD、NPD、TPAC、DTASi、トリアリールアミン系化合物などを用いることができる。
電子輸送層6Aとしては、BCP、TAZ、BAlq、Alq3、OXD7、PBDなどを用いることができる。
電子注入層としては、LiF、Li2O、MgO、Li2CO3などのアルカリ金属やアルカリ土類金属のフッ化物や酸化物、炭酸化物の他に、有機物層にリチウム、ナトリウム、セシウム、カルシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属をドープした層を用いることができる。
なお、上記の材料中、CBPは、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニルを表している。また、Alq3は、トリス(8−オキソキノリン)アルミニウム(III)を表している。また、TBADNは、2−t−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセンを表している。また、Ir(ppy)3は、ファクトリス(2−フェニルピリジン)イリジウムを表している。また、Btp2Ir(acac)は、ビス−(3−(2−(2−ピリジル)ベンゾチエニル)モノ−アセチルアセトネート)イリジウム(III))を表している。また、C545Tは、クマリンC545Tのことであり、10−2−(ベンゾチアゾリル)−2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H,11H−(1)ベンゾピロピラノ(6,7,−8−ij)キノリジン−11−オンを表している。また、TBPは、1−tert−ブチル−ペリレンを表している。また、NPDは、4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニルを表している。また、BCPは、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナンスロリンを表している。また、CuPcは、銅フタロシアニンを表している。また、TPDは、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミンを表している。
そして、上記のような材料を適宜の順序で適宜の方法により順に成膜して積層することにより、有機EL素子を製造することができる。積層は、通常、基板7側から行うことができる。
各層の厚みは特に限定されるものではないが、例えば、各々の発光層3の厚みは、所望の発光を得るためには、1nm以上であることが好ましく、5nm以上であることが好ましく、7nm以上であることがより好ましい。また、各発光層3の厚みは、発光効率などの観点から、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることが好ましく、40nm以下であることがより好ましい。特に、燐光発光層3P及び蛍光発光層3Fはいずれも5nm以上の厚みであることが好ましく、また、一つの発光ユニット4における各々の発光層3の合計厚みが40nmであることが好ましい。
また、電極の膜厚は、例えば、10〜300nm程度にすることができる。光透過性電極と光反射性電極との間の厚みは、例えば、10〜1000nm程度にすることができ、好ましくは、50〜500nm程度にすることができる。
各層の成膜方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法、塗布法などを挙げることができる。各発光層3は、真空蒸着、転写等の乾式プロセスや、スピンコート、スプレーコート、ダイコート、グラビア印刷等の湿式プロセスなど、適宜の手法により形成され得る。
ここで、安定な面発光を得るために、各層の面内での厚みが均一に近づくように成膜することが好ましい。例えば、真空蒸着法においては、蒸発源角度、基板−蒸発源間の距離(高さ)や、基板回転中心−蒸発源間の距離(オフセット)などを適宜調整することにより、厚みのバラツキを小さくすることができ、所望の膜厚条件となった層を得ることができる。
第6実施形態のように、基板7の第1電極1と反対側の面に蛍光層8を設ける場合は、蛍光色素を含む材料を蒸着や塗布するなどの方法を採用することによって蛍光層8を形成させることができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1〜5)
実施例1〜5として、第1〜第5実施形態(図1〜5)に示される層構成の有機EL素子を作製した。これらの有機EL素子は、三つの発光ユニット4(透過側発光ユニット41、反射側発光ユニット42及び中間発光ユニット43)を有して構成されている。
実施例1〜5として、第1〜第5実施形態(図1〜5)に示される層構成の有機EL素子を作製した。これらの有機EL素子は、三つの発光ユニット4(透過側発光ユニット41、反射側発光ユニット42及び中間発光ユニット43)を有して構成されている。
実施例1〜5の有機EL素子において、各発光ユニット4内には、複数の発光層3を有している。各発光ユニット4内に形成されている複数の発光層3の層構成(層の種類及び配置位置)についてはそれぞれ図1〜5に示すとおりであるが、後掲の表1にもまとめてある。
ここで、表1に示す発光層の構成の欄に示している記号の詳細は以下のとおりである。
・GP:緑色燐光発光層3GP
・GF:緑色蛍光発光層3GF
・RP:赤色燐光発光層3RP
・BP:青色燐光発光層3BP
・BF:青色蛍光発光層3BF
また、表1の実施例及び比較例の発光層構成の各欄において、上段が第2電極2側(光反射性電極側)の発光層3、下段が第1電極1側(光反射性電極側)の発光層3を示す。例えば、実施例1の反射側発光ユニット42では、上段が「GP」、下段が「RP」と表記されているので、緑色燐光発光層3GPが第2電極2側(光反射性電極側)、赤色燐光発光層3RPが第1電極1側(光反射性電極側)となる。また、実施例4では、発光ユニット42の欄において、上段が第2電極2側(光反射性電極側)の発光層3、下段が第1電極1側(光反射性電極側)の発光層3を示し、中段は両者の間にある発光層3を示している。
・GP:緑色燐光発光層3GP
・GF:緑色蛍光発光層3GF
・RP:赤色燐光発光層3RP
・BP:青色燐光発光層3BP
・BF:青色蛍光発光層3BF
また、表1の実施例及び比較例の発光層構成の各欄において、上段が第2電極2側(光反射性電極側)の発光層3、下段が第1電極1側(光反射性電極側)の発光層3を示す。例えば、実施例1の反射側発光ユニット42では、上段が「GP」、下段が「RP」と表記されているので、緑色燐光発光層3GPが第2電極2側(光反射性電極側)、赤色燐光発光層3RPが第1電極1側(光反射性電極側)となる。また、実施例4では、発光ユニット42の欄において、上段が第2電極2側(光反射性電極側)の発光層3、下段が第1電極1側(光反射性電極側)の発光層3を示し、中段は両者の間にある発光層3を示している。
実施例1、実施例2及び実施例4の有機EL素子において、複数ある緑色燐光発光層3GPについてはいずれも同じ材料(ドーパント及びホスト)を用いて形成した。また、複数ある赤色燐光発光層3RPについても同様である。
実施例3の有機EL素子において、複数ある緑色蛍光発光層3GFについてはいずれも同じ材料(ドーパント及びホスト)を用いて形成した。また、複数ある青色蛍光発光層3BFについても同様である。
実施例5の有機EL素子において、複数ある緑色燐光発光層3GPについては、互いに種類が異なる(すなわち、同一でない)緑色燐光発光材料を用いて形成した。そのため、表1において、一方の緑色燐光発光層3GP(中間発光ユニット43の緑色燐光発光層3GP)は「GP1」、他方の緑色燐光発光層3GP(反射側発光ユニット42の緑色燐光発光層3GP)は「GP2」と表記している。また、緑色燐光発光層3GP1は極大波長が520〜540nmの緑色燐光発光材料、緑色燐光発光層3GP2は極大波長が550〜570nmの緑色燐光発光材料を用いて形成した。ただし、ホストはいずれも同じ材料である。一方、実施例5の複数ある赤色燐光発光層3RPについてはいずれも同じ材料(ドーパント及びホスト)を用いて形成した。
また、実施例1〜実施例5において、緑色燐光発光層3GPの形成に使用した緑色燐光発光材料はいずれも、発光スペクトルにおける半値幅が60nm以上である材料を選定した。さらに、各々の発光ユニット4に形成されている複数の発光層3において、これらの発光層3含まれる発光材料のうち、極大発光波長が最大である発光材料と、最小である発光材料との極大発光波長の差が70nm以下となるように各発光材料を選定した。
各実施例において、基板7としてガラス基板、第1電極1として膜厚130nmのITO、電子輸送層6AとしてCBP、中間層5として膜厚15nmのAlq3/Li2O/Alq3/HAT−CN6の層構造を有する層、第2電極2としてAl膜を用いている。また、有機EL素子の全体の発光色は白色とした。
(比較例1〜4)
比較例1〜4として、表1に示す層構成の有機EL素子を作製した。各部材の材料は実施例1〜4で使用したものと同様である。比較例1、2では、中間発光ユニット43は設けていない。
比較例1〜4として、表1に示す層構成の有機EL素子を作製した。各部材の材料は実施例1〜4で使用したものと同様である。比較例1、2では、中間発光ユニット43は設けていない。
表1には、各実施例及び比較例発光ユニット4の構成と併せて、有機EL素子の評価結果を示している。評価項目は、平均外部量子効率比、平均電圧比率、電力効率比、色温度、演色性(maxRa、Ra)及び輝度寿命(LT70)とし、平均外部量子効率比、平均電圧比率、電力効率比については、比較例1の値を基準とした相対値として示した。LT70は、発光の輝度が劣化して初期に比べて輝度が70%になったときの時間を示す。
ここで、色温度、演色性(maxRa、Ra)及び輝度寿命(LT70)については、下記の判定基準により評価している。
<色温度>
×:3000K未満。
+:3000K以上3500K未満。
++:3500K以上4000K未満。
+++:4000K以上5000K未満。
++++:5000K以上。
×:3000K未満。
+:3000K以上3500K未満。
++:3500K以上4000K未満。
+++:4000K以上5000K未満。
++++:5000K以上。
<演色性(Ra)>
×:80未満。
+:80以上85未満。
++:85以上90未満。
+++:90以上95未満。
++++:95以上。
×:80未満。
+:80以上85未満。
++:85以上90未満。
+++:90以上95未満。
++++:95以上。
<輝度寿命(LT70)>
+:2000h以上10000h未満。
++:10000h以上30000h未満。
+++:30000h以上。
+:2000h以上10000h未満。
++:10000h以上30000h未満。
+++:30000h以上。
また、図7(a)〜(e)にはそれぞれ、実施例1〜5で得られた有機EL素子の発光スペクトルを示している。図7(a)〜(e)のそれぞれにおいては、各発光層3に含まれている発光材料に由来する発光ピークが現れている。実施例1、2、5では、緑色燐光発光層3GP及び赤色燐光発光層3RPに基づく発光ピークが強く出ており、実施例3では、緑色蛍光発光層3GF、青色蛍光発光層3BFに基づく発光ピークが強く出ていることがわかる。
表1より、実施例1の有機EL素子は、二つの燐光発光ユニット4Pと、一つに蛍光発光ユニット4Fを有して構成されているので、比較例の有機EL素子に比べて、平均外部量子効率比や電力効率比などの効率が高いことがわかる。また、実施例2の有機EL素子も、効率が高く、実施例1よりも色温度が高いことがわかる。これは、実施例2の有機EL素子では、光反射側に蛍光発光ユニット4Fが配置されているためである。また、実施例3の有機EL素子では、実施例2よりもさらに色温度が高いことがわかる。これは、実施例3の有機EL素子では、蛍光発光ユニット4Fを二つ有しているためである。また、実施例4の有機EL素子では、高効率及び高演色を有し、かつ、色温度も実施例1、2の有機EL素子よりも高いことがわかる。これは、実施例4の有機EL素子では、燐光発光ユニット4Pに、青色燐光発光層3BPが配置されていることによるものである。また、実施例5の有機EL素子では、効率が高い上に、演色性も非常に高いことがわかる。これは、実施例5では、二つの燐光発光ユニット4Pの各々の緑色燐光発光層3GPは、互いに異なる緑色燐光発光材料を用いて形成されていることで、図7(e)のように475〜570nmの波長領域が実施例1よりも全体として拡がっていることに起因する。
以上より、実施例1〜5では、発光効率が高く、輝度の高い有機EL素子が得られていることがわかり、しかも、これらの有機EL素子によれば、低電圧化が可能であり、寿命特性にも優れていることも明らかである。
1 電極(第1電極)
2 電極(第2電極)
3 発光層
4 発光ユニット
4F 蛍光発光ユニット
4P 燐光発光ユニット
7 基板
2 電極(第2電極)
3 発光層
4 発光ユニット
4F 蛍光発光ユニット
4P 燐光発光ユニット
7 基板
Claims (7)
- 基板と、この基板上に設けられ、少なくとも一方が光透過性である一対の電極と、少なくとも三以上の発光ユニットとを備え、前記三以上の発光ユニットが前記一対の電極間に設けられてなる有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記三以上の発光ユニットの全ては、緑色発光材料を含有する発光層を有しており、
前記三以上の発光ユニットのうちの少なくとも一つの発光ユニットには赤色発光材料が配置され、前記三以上の発光ユニットのうちの少なくとも一つの発光ユニットには青色発光材料が配置され、
前記三以上の発光ユニットのうちの少なくとも一つの発光ユニットは蛍光発光材料を含有する蛍光発光ユニットとして形成され、かつ、前記三以上の発光ユニットのうちの少なくとも一つの発光ユニットは燐光発光材料を含有する燐光発光ユニットとして形成されていることを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンス素子。 - 前記燐光発光ユニットの数が前記蛍光発光ユニットの数よりも多いことを特徴とする、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 少なくとも一つの前記燐光発光ユニットには、前記燐光発光材料として青色燐光発光材料が含まれることを特徴とする、請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記発光層に含まれる前記緑色発光材料が緑色燐光発光材料である燐光発光ユニットを少なくとも二つ有し、一つの燐光発光ユニットにおける緑色燐光発光材料と、他の燐光発光ユニットにおける緑色燐光発光材料とは互いに異なることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記三以上の発光ユニットの少なくとも一つ以上又は全てが、前記緑色発光材料を含有する発光層と、この発光層以外の発光層とからなる複数の発光層を有しており、
一つの発光ユニットにおいて、前記複数の発光層に含まれる発光材料のうちの、最も大きい極大発光波長を有する発光材料と、最も小さい極大発光波長を有する発光材料との極大発光波長の差が70nm以下であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。 - 前記緑色発光材料は、発光スペクトルの半値幅が60nm以上である緑色発光材料を含むことを特徴とする、請求項1乃至5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記一対の電極のうちの光透過性である電極の外側に光の波長を変換する蛍光色素を含有する蛍光層を備えることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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-
2013
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