JP2014093156A - 全固体型リチウムイオン電池用電極、全固体型リチウムイオン電池および全固体型リチウムイオン電池用電極の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の全固体型リチウムイオン電池用電極100は、全固体型リチウムイオン電池の正極層または負極層に用いられるシート状の電極であり、微粒子状の電極活物質を含む電極活物質層101と、導電性樹脂層102と、集電体層103と、がこの順番で積層されてなる。
【選択図】図1
Description
全固体型リチウムイオン電池の正極層または負極層に用いられるシート状の電極であって、
微粒子状の電極活物質を含む電極活物質層と、
導電性樹脂層と、
集電体層と、
がこの順番で積層された、全固体型リチウムイオン電池用電極が提供される。
正極層と、固体電解質層と、負極層とがこの順番で積層された全固体型リチウムイオン電池であって、
上記正極層および上記負極層のうち少なくとも一方が、上記全固体型リチウムイオン電池用電極である、全固体型リチウムイオン電池が提供される。
上記全固体型リチウムイオン電池用電極を製造するための製造方法であって、
上記導電性樹脂層に、微粒子状の上記電極活物質を付着することにより、上記電極活物質層を形成する工程を含む、全固体型リチウムイオン電池用電極の製造方法が提供される。
まず、本実施形態に係る全固体型リチウムイオン電池用電極100について説明する。図1は、本発明に係る実施形態の全固体型リチウムイオン電池用電極100の構造の一例を示す断面図である。
本実施形態に係る全固体型リチウムイオン電池用電極100は、全固体型リチウムイオン電池の正極層または負極層に用いられるシート状の電極である。
以上から、本実施形態に係る全固体型リチウムイオン電池用電極100は、充放電に伴う電極活物質の体積変化に対する応力の緩和能に優れるため、得られる全固体型リチウムイオン電池の放電容量密度やサイクル特性などの充放電特性を向上させることができると考えられる。
本実施形態に係る導電性樹脂層102は特に限定されないが、例えば、樹脂および導電性微粒子を含み、導電性微粒子が導電性樹脂層102中に分散している構造が好ましい。
導電性樹脂層102の厚みが上記範囲内であると、電極活物質層101と集電体層103との接着性と、導電性樹脂層102の導電性とのバランスが優れる。
本実施形態に係る導電性樹脂層102に含まれる導電性微粒子としては導電性を有する微粒子であれば特に限定はされないが、例えば、金、銀、白金、ニッケル、銅、コバルト、モリブデン、アンチモン、鉄、クロムなどの金属粒子;アルミニウム・マグネシウム合金、アルミニウム・ニッケル合金などの合金粒子、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物粒子;ニッケルなどの金属粒子に金、銀、白金などの貴金属類を被覆した粒子;ガラス、セラミック、プラスチックなどの非導電性粒子に金、銀、白金などの貴金属類を被覆した粒子;カーボン粒子などが挙げられる。
本実施形態に係る導電性樹脂層102に含まれる樹脂としては導電性微粒子を分散することができ、かつ、粘着性を示す粘着剤が好ましい。例えば、(メタ)アクリル系熱可塑性樹脂などが挙げられる。ここで、本実施形態では、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよびメタクリルを総称する表現として用いることとする。
本実施形態に係る導電性樹脂層102に粘着付与樹脂を含有させると、初期タック、接着力の調節が容易となる。
本実施形態に係る導電性樹脂層102の製造方法は特に限定されないが、例えば、次のような方法で製造することができる。
まず、上記(メタ)アクリル系熱可塑性樹脂などの粘着剤、必要に応じて、上記架橋剤、上記粘着付与樹脂、上記シランカップリング剤、上記固体電解質を適量配合した混合物を加熱溶融させる。次いで、この熱溶融物に上記導電性微粒子を加えて混合して均一に分散させる。
得られた樹脂組成物を後述する集電体層103上に塗布後、常温まで放冷などによって冷却することにより、集電体層103上に導電性樹脂層102を形成する。加熱溶融による混合は、例えばニーダールーダー、押出機、ミキシングロ−ル、バンバリーミキサー、その他既知の混練装置を用いて、通常100℃〜250℃の温度範囲で行うことができる。
本実施形態に係る電極活物質層101は、微粒子状の電極活物質を必須成分として含み、必要に応じて、導電助剤、固体電解質などを含んでいる。
また、本実施形態に係る電極活物質層101は、絶縁性である粘着剤および結着剤を上記上限値以下とすることができるため、得られる全固体型リチウムイオン電池の内部抵抗を低減することができる。その結果、得られる全固体型リチウムイオン電池の放電容量密度やサイクル特性などの充放電特性をより一層向上させることができる。
本実施形態に係る全固体型リチウムイオン電池用電極100が正極層に用いられるとき、本実施形態に係る電極活物質層101は、微粒子状の電極活物質として正極活物質を含み、必要に応じて、導電助剤、固体電解質などを含んでいる。
本実施形態に係る正極活物質としては特に限定されず一般的に公知のものを使用することができる。例えば、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)、リチウムマンガン酸化物(LiMn2O4)などの複合酸化物;ポリアニリン、ポリピロールなどの導電性高分子;Li2S、Li2S2 、Li2S4 、Li2S8などの硫化リチウム、硫化リチウム銅などの硫化物;硫黄などを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)、リチウムマンガン酸化物(LiMn2O4)などの複合酸化物では、固体電解質との界面抵抗を低減させるため、LiNbO3やLi4Ti5O12などによる被覆、またはLiNbO3やLi4Ti5O12などの微粒子を複合酸化物表面に付着させたものも使用できる。
これらの中でも、硫化リチウム、硫化リチウム銅などの硫化物は、充放電に伴う体積変化が大きいため、これらの正極活物質を用いたときに、特に本発明の効果を得ることができる。
ここで、本実施形態に係る硫化リチウム銅中のLi、S、およびCuの含有量は、例えば、ICP発光分光分析により求めることができる。
正極活物質の平均粒子径d50を上記範囲内とすることにより、良好なハンドリング性を維持すると共に、より一層高密度の正極を作製することができる。
窒素吸着におけるBET3点法による比表面積が上記上限値以下であることにより、正極活物質と固体電解質との不可逆的な反応を抑制することができる。
また、窒素吸着におけるBET3点法による比表面積を上記下限値以上であることにより、固体電解質の正極活物質への浸透性を向上させることができる。
本実施形態に係る電極活物質層101は、正極層の導電性を向上させる観点から、導電助剤を含むのが好ましい。本実施形態に係る導電助剤としては、リチウムイオン電池に使用可能な通常の導電助剤であれば特に限定されないが、例えば、アセチレンブラック、ケチェンブラックなどのカーボンブラック、気相法炭素繊維などの炭素材料が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本実施形態に係る電極活物質層101は、正極層のイオン伝導性を向上させる観点から、固体電解質を含んでいるのが好ましい。本実施形態に係る固体電解質としては、イオン伝導性を有するものであれば特に限定されないが、一般的に全固体型リチウムイオン電池に用いられるものを用いることができる。例えば、硫化物固体電解質材料、酸化物固体電解質材料などを挙げることができる。これらの中でも、硫化物固体電解質材料が好ましい。これにより、得られる全固体型リチウムイオン電池の出力特性を向上させることができる。
本実施形態に係る全固体型リチウムイオン電池用電極100が正極層に用いられるとき、本実施形態に係る電極活物質層101の各種材料の配合割合は、電池の使用用途などに応じて、適宜決定されるため特に限定されず、一般的に公知の情報に準じて設定することができる。
つぎに、本実施形態に係る正極層の製造方法について説明する。
本実施形態に係る正極層は特に限定されないが、例えば、導電性樹脂層102に、微粒子状の上記正極活物質を付着することにより、電極活物質層101を形成することができる。例えば、次のような方法で製造することができる。
混合機としては、ボールミル、プラネタリーミキサーなど公知のものが使用でき、特に限定されない。混合方法も特に限定されず、公知の方法に準じておこなうことができる。
また、導電性樹脂層102に完全に付着していない正極活物質などを除去する工程をさらにおこなってもよい。また、正極活物質などを付着させた面をプレスすることにより、電極活物質層101の付着力を高めることで、正極活物質などの脱離を抑制したり、正極活物質などが付着した面の平滑性を向上させたりしてもよい。また、正極活物質などを付着させた面をプレスすることにより、電極活物質層101の厚みや密度を調整してもよい。プレスの方法としては、一般的に公知の方法を用いることができる。
導電性樹脂層102上で正極活物質を含む混合物を均一な厚さに揃えるために、所定の高さのガイドを置き、ガイドの開口部を埋めるように正極活物質を含む混合物を充填することも可能である。ガイドとしては、金属製または合成樹脂製で大きな開口部を有する構造体であれば良く、例えば入手し易いものとしては金属製または樹脂製の多孔質板、織布、不織布などが挙げられる。
正極活物質を含む混合物は導電性樹脂層102の粘着性によって、導電性樹脂層102上に付着される。
本実施形態に係る全固体型リチウムイオン電池用電極100が負極層に用いられるとき、本実施形態に係る電極活物質層101は、微粒子状の電極活物質として負極活物質を含み、必要に応じて、導電助剤、固体電解質などを含んでいる。
本実施形態に係る負極活物質としてはリチウムイオン電池の負極層に使用可能な通常の負極活物質であれば特に限定されないが、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、樹脂炭、炭素繊維、活性炭、ハードカーボン、ソフトカーボンなどの炭素質材料;シリコン、スズ、ガリウム、インジウムなどを主体とした合金系材料;ポリアセン、ポリアセチレン、ポリピロールなどの導電性ポリマー;金属リチウム;リチウムチタン複合酸化物(例えばLi4Ti5O12)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
合金系材料としては、スズ、スズ合金、シリコン、シリコン合金、ガリウム、ガリウム合金、インジウム、インジウム合金が挙げられる。
これらの中でも、スズ、スズ合金、シリコン、シリコン合金およびガリウム合金などの合金系材料の微粒子は、充放電に伴う体積変化が大きいため、これらの負極活物質を用いたときに、特に本発明の効果を得ることができる。
負極活物質の平均粒子径d50を上記範囲内とすることにより、良好なハンドリング性を維持すると共に、より一層高密度の負極を作製することができる。
窒素吸着におけるBET3点法による比表面積が上記上限値以下であることにより、負極活物質と固体電解質との不可逆的な反応を抑制することができる。
また、窒素吸着におけるBET3点法による比表面積を上記下限値以上であることにより、固体電解質の負極活物質への浸透性を向上させることができる。
本実施形態に係る電極活物質層101は、負極層の導電性を向上させる観点から、導電助剤を含むのが好ましい。本実施形態に係る導電助剤としては、前述した正極層に用いられるものと同様のものを挙げることができる。
本実施形態に係る電極活物質層101は、負極層のイオン伝導性を向上させる観点から、固体電解質を含んでいるのが好ましい。本実施形態に係る固体電解質としては、前述した正極層に用いられるものと同様のものを挙げることができる。
本実施形態に係る全固体型リチウムイオン電池用電極100が負極層に用いられるとき、本実施形態に係る電極活物質層101の各種材料の配合割合は、電池の使用用途などに応じて、適宜決定されるため特に限定されず、一般的に公知の情報に準じて設定することができる。
本実施形態に係る負極層の製造方法について説明する。
本実施形態に係る負極層は特に限定されないが、例えば、導電性樹脂層102に、微粒子状の上記負極活物質を付着することにより、電極活物質層101を形成することにより得ることができる。例えば、次のような方法で製造することができる。
混合機としては、前述した正極層の製造方法に用いられるものと同様のものを挙げることができる。
また、導電性樹脂層102に完全に付着していない負極活物質などを除去する工程をさらにおこなってもよい。また、負極活物質などを付着させた面をプレスすることにより、電極活物質層101の付着力を高めることで、負極活物質の脱離を抑制したり、負極活物質が付着した面の平滑性を向上させたりしてもよい。また、負極活物質などを付着させた面をプレスすることにより、電極活物質層101の厚みや密度を調整してもよい。プレスの方法としては、一般的に公知の方法を用いることができる。
導電性樹脂層102上で負極活物質を含む混合物を均一な厚さに揃えるために、所定の高さのガイドを置き、ガイドの開口部を埋めるように負極活物質を含む混合物を充填することも可能である。ガイドとしては、金属製または合成樹脂製で大きな開口部を有する構造体であれば良く、例えば入手し易いものとしては金属製または樹脂製の多孔質板、織布、不織布などが挙げられる。
負極活物質を含む混合物は導電性樹脂層102の粘着性によって、導電性樹脂層102上に付着される。
本実施形態に係る集電体層103としては、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、チタンなどの金属製のものであれば特に限定されない。価格や入手容易性、電気化学的安定性などの観点から、正極用としてはアルミニウム、負極用としては銅が好ましい。また、集電体層103の形状についても特に限定されないが、厚さが0.001〜0.5mmの範囲でシート状のものを用いることが好ましい。シート状のものとしては、金属製の箔、不織布または織布、さらに金属やカーボンを合成樹脂製のフィルム、不織布または織布、あるいは紙にコーティングしたものが含まれる。
つぎに、本実施形態に係る全固体型リチウムイオン電池200について説明する。図2は、本発明に係る実施形態の全固体型リチウムイオン電池の構造の一例を示す断面図である。
すなわち、正極層210が本実施形態に係る全固体型リチウムイオン電池用電極100からなる場合、正極層210は正極活物質層203(101)と、導電性樹脂層202(102)と、正極集電体層201(103)と、がこの順番で積層されてなる。また、負極層230が本実施形態に係る全固体型リチウムイオン電池用電極100からなる場合、負極層230は負極活物質層205(101)と、導電性樹脂層207(102)と、負極集電体層209(103)と、がこの順番で積層されてなる。
本実施形態に係る固体電解質層220は、正極層210および負極層230の間に形成される層であり、固体電解質により形成される層である。固体電解質層220に含まれる固体電解質は、リチウムイオン伝導性を有するものであれば特に限定されず、一般的に公知のものを用いることができる。例えば、上述した電極活物質層101に含ませる固体電解質と同様のものを用いることができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
はじめに、以下の実施例、比較例における測定方法を説明する。
レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(マルバーン社製、マスターサイザー3000)を用いて、レーザー回折法により、実施例および比較例で使用した正極活物質および負極活物質の粒度分布を測定した。測定結果から、各正極活物質および負極活物質について、重量基準の累積分布における50%累積時の粒径(D50、平均粒子径)をそれぞれ求めた。
(Li2SとCuSとを混合する工程)
アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、Li2S(Aldrich社製、500mg、10.9mmol、平均粒子径:7μm)と、CuS(Alfa Aesar社製、500mg、5.2mmol、平均粒子径:10μm)を秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、遊星ボールミル(フリッチュ社製、P−7)にセットして、400rpmで、1時間処理を行い、混合物を得た。
次いで、管状炉を用いて、アルゴン雰囲気下で、得られた混合物を400℃、12時間加熱した。その後、室温まで冷却し、正極活物質800mgを得た。
得られた正極活物質は乳鉢により粉砕し、目開き45μmの篩により分級して、平均粒子径d50が3μmの正極活物質1を得た。
正極活物質1のICP発光分光分析を行ったところ、Liが16.6重量%、Cuが35.9重量%、Sが47.5重量%であった。
正極活物質1を100mgと、導電助剤であるアセチレンブラックを100mgと、固体電解質であるLi3PS4を200mgとを混合した。次いで、その混合物を導電性アルミ箔粘着テープ(寺岡製作所社製、No8303、φ14mm、導電性樹脂層の厚み:35μm)の粘着面に付着させて正極層1を得た(直径φ=14mm、正極活物質層の厚み:10μm、正極活物質1の単位面積あたりの重量:6.5g/m2、正極活物質層の密度:2.6g/cm3)。ここで、導電性アルミ箔粘着テープは、厚み0.050mmのアルミ箔上に導電性アクリル系粘着剤を塗布して形成したものである。
また、上記方法で得られた正極層1、固体電解質層1、負極であるインジウム箔(φ=14mm、t=0.5mm)をこの順で積層させて全固体型リチウムイオン電池を作製した。次いで、得られた全固体型リチウムイオン電池について、電流密度65μA/cm2の条件で充電終止電位3.0Vまで充電した後、電流密度65μA/cm2の条件で、放電終止電位0.4Vまで放電させる条件で充放電を3回行った。正極活物質に対する放電容量密度と充放電効率について得られた結果を表1に示す。
実施例1の正極活物質1、アセチレンブラックおよびLi3PS4の混合物を導電性アルミ箔粘着テープ(寺岡製作所社製、No8303、φ14mm、導電性樹脂層の厚み:35μm)の粘着面に付着させて正極層2を得た(直径φ=14mm、正極活物質層の厚み:50μm、正極活物質1の単位面積あたりの重量:39.0g/m2、正極活物質層の密度:3.1g/cm3)。ここで、導電性アルミ箔粘着テープは、厚み0.050mmのアルミ箔上に導電性アクリル系粘着剤を塗布して形成したものである。
また、上記方法で得られた正極層2、固体電解質層2、負極であるインジウム箔(φ=14mm、t=0.5mm)をこの順で積層させて全固体型リチウムイオン電池を作製した。次いで、得られた全固体型リチウムイオン電池について、電流密度65μA/cm2の条件で充電終止電位3.0Vまで充電した後、電流密度65μA/cm2の条件で、放電終止電位0.4Vまで放電させる条件で充放電を3回行い、放電容量密度(mAh/g)および充放電効率(%)を算出した。得られた結果を表1に示す。
実施例1の正極活物質1、アセチレンブラックおよびLi3PS4の混合物をアルミ箔(東洋アルミニウム社製、厚さ50μm、φ14mm)の表面に250MPaの圧力でプレス成型し、正極層3を得た(直径φ=14mm、正極活物質層の厚み:40μm、正極活物質1の単位面積あたりの重量:32.5g/m2、正極活物質層の密度:3.25g/cm3)。
また、上記方法で得られた正極層3、固体電解質層3、負極であるインジウム箔(φ=14mm、t=0.5mm)をこの順で積層させて全固体型リチウムイオン電池を作製した。次いで、得られた全固体型リチウムイオン電池について、電流密度65μA/cm2の条件で充電終止電位3.0Vまで充電した後、電流密度65μA/cm2の条件で、放電終止電位0.4Vまで放電させる条件で充放電を3回行い、放電容量密度(mAh/g)および充放電効率(%)を算出した。得られた結果を表1に示す。
実施例1、2および比較例1の充放電試験結果を表1に示す。
Li2S(Aldrich社製)を150mgと、導電助剤であるアセチレンブラックを150mgと、固体電解質であるLi3PS4を300mgとを混合した。次いで、その混合物をアルミ箔(東洋アルミニウム社製、厚さ50μm、φ14mm)の表面に250MPaの圧力でプレス成型し、正極層4を得た(直径φ=14mm、正極活物質層の厚み:200μm、正極活物質1の単位面積あたりの重量:65.0g/m2、正極活物質層の密度:1.30g/cm3)。
負極活物質2(アルドリッチ社製、スズ、純度99%、平均粒子径<10μm)を200mgと、導電助剤であるアセチレンブラックを200mgと、固体電解質であるLi3PS4を200mgとを混合した。次いで、その混合物を導電性アルミ箔粘着テープ(寺岡製作所社製、No8303、φ14mm、導電性樹脂層の厚み:35μm)の粘着面に付着させて負極層2を得た(直径φ=14mm、負極活物質層の厚み:15μm、負極活物質1の単位面積あたりの重量:10.8g/m2、負極活物質層の密度:0.72g/cm3)。ここで、導電性アルミ箔粘着テープは、厚み0.050mmのアルミ箔上に導電性アクリル系粘着剤を塗布して形成したものである。
(GaLi合金を作製する工程)
アルゴン雰囲気下で、カーボンルツボに、ガリウム(DOWAエレクトロニクス社製、99.9999%、432mg、6.2mmol)と、Li箔(本城金属社製、厚さ:0.5mm、99.5%以上、43mg、6.2mmol)を秤量して入れ、電気炉で200℃、30分加熱した。生成物をAl2O3製ポットに入れ、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル台に置き、95rpmで、24時間処理を行い、均質化した合金粉末を得た。粉末X線回折の結果、合金粉末はGaLiであることを確認した。
負極活物質1(古河電子社製、シリコン、純度99.999%、平均粒子径2μm)を5mgと、導電助剤であるアセチレンブラックを5mgと、固体電解質であるLi3PS4を5mgとを混合した。次いで、その混合物をアルミ箔(東洋アルミニウム社製、厚さ50μm、φ14mm)の表面に250MPaの圧力でプレス成型し、負極層4を得た(直径φ=14mm、負極活物質層の厚み:200μm、負極活物質1の単位面積あたりの重量:260g/m2、負極活物質層の密度:1.3g/cm3)。
実施例3〜5および比較例2の充放電試験結果を表2に示す。
101 電極活物質層
102 導電性樹脂層
103 集電体層
200 全固体型リチウムイオン電池
201 正極集電体層
202 導電性樹脂層
203 正極活物質層
205 負極活物質層
207 導電性樹脂層
209 負極集電体層
210 正極層
220 固体電解質層
230 負極層
Claims (20)
- 全固体型リチウムイオン電池の正極層または負極層に用いられるシート状の電極であって、
微粒子状の電極活物質を含む電極活物質層と、
導電性樹脂層と、
集電体層と、
がこの順番で積層された、全固体型リチウムイオン電池用電極。 - 請求項1に記載の全固体型リチウムイオン電池用電極において、
前記導電性樹脂層は、樹脂および導電性微粒子を含み、
前記導電性微粒子は前記導電性樹脂層中に分散している、全固体型リチウムイオン電池用電極。 - 請求項2に記載の全固体型リチウムイオン電池用電極において、
前記導電性微粒子のレーザー回折散乱式粒度分布測定法による重量基準粒度分布における平均粒子径d50が0.5μm以上50μm以下である、全固体型リチウムイオン電池用電極。 - 請求項1乃至3いずれか一項に記載の全固体型リチウムイオン電池用電極において、
前記導電性樹脂層の厚みが、5μm以上60μm以下である、全固体型リチウムイオン電池用電極。 - 請求項1乃至4いずれか一項に記載の全固体型リチウムイオン電池用電極において、
前記電極活物質層の全体を100重量%としたとき、前記電極活物質層に含まれる粘着剤および結着剤の含有量が5重量%以下である、全固体型リチウムイオン電池用電極。 - 請求項1乃至5いずれか一項に記載の全固体型リチウムイオン電池用電極において、
前記導電性樹脂層は、粘着剤および導電性微粒子を含む樹脂組成物により形成されたものである、全固体型リチウムイオン電池用電極。 - 請求項1乃至6いずれか一項に記載の全固体型リチウムイオン電池用電極において、
前記電極活物質層および前記導電性樹脂層のうち少なくとも一方は、固体電解質を含む、全固体型リチウムイオン電池用電極。 - 請求項1乃至7いずれか一項に記載の全固体型リチウムイオン電池用電極において、
前記電極活物質層は、導電助剤をさらに含む、全固体型リチウムイオン電池用電極。 - 請求項1乃至8いずれか一項に記載の全固体型リチウムイオン電池用電極において、
当該全固体型リチウムイオン電池用電極は前記正極層に用いられるものであり、
前記電極活物質層に含まれる微粒子状の前記電極活物質は正極活物質であり、
前記正極活物質は、硫化リチウムおよび硫化リチウム銅からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、全固体型リチウムイオン電池用電極。 - 請求項9に記載の全固体型リチウムイオン電池用電極において、
前記正極活物質のレーザー回折散乱式粒度分布測定法による重量基準粒度分布における平均粒子径d50が1μm以上10μm以下である、全固体型リチウムイオン電池用電極。 - 請求項9または10に記載の全固体型リチウムイオン電池用電極において、
前記正極活物質を含む前記電極活物質層の厚みが2μm以上60μm以下である、全固体型リチウムイオン電池用電極。 - 請求項9乃至11いずれか一項に記載の全固体型リチウムイオン電池用電極において、
前記電極活物質層に含まれる前記正極活物質の単位面積あたりの重量が1.5g/m2以上65.0g/m2以下である、全固体型リチウムイオン電池用電極。 - 請求項1乃至8いずれか一項に記載の全固体型リチウムイオン電池用電極において、
当該全固体型リチウムイオン電池用電極は前記負極層に用いられるものであり、
前記電極活物質層に含まれる微粒子状の前記電極活物質は負極活物質であり、
前記負極活物質はスズ、スズ合金、シリコン、シリコン合金およびガリウム合金からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、全固体型リチウムイオン電池用電極。 - 請求項13に記載の全固体型リチウムイオン電池用電極において、
前記負極活物質のレーザー回折散乱式粒度分布測定法による重量基準粒度分布における平均粒子径d50が1μm以上50μm以下である、全固体型リチウムイオン電池用電極。 - 請求項13または14に記載の全固体型リチウムイオン電池用電極において、
前記負極活物質を含む前記電極活物質層の厚みが2μm以上60μm以下である、全固体型リチウムイオン電池用電極。 - 請求項13乃至15いずれか一項に記載の全固体型リチウムイオン電池用電極において、
前記電極活物質層に含まれる前記負極活物質の単位面積あたりの重量が、1.5g/m2以上65.0g/m2以下である、全固体型リチウムイオン電池用電極。 - 正極層と、固体電解質層と、負極層とがこの順番で積層された全固体型リチウムイオン電池であって、
前記正極層および前記負極層のうち少なくとも一方が、請求項1乃至8いずれか一項に記載の全固体型リチウムイオン電池用電極である、全固体型リチウムイオン電池。 - 正極層と、固体電解質層と、負極層とがこの順番で積層された全固体型リチウムイオン電池であって、
前記正極層が、請求項9乃至12いずれか一項に記載の全固体型リチウムイオン電池用電極である、全固体型リチウムイオン電池。 - 正極層と、固体電解質層と、負極層とがこの順番で積層された全固体型リチウムイオン電池であって、
前記負極層が、請求項13乃至16いずれか一項に記載の全固体型リチウムイオン電池用電極である、全固体型リチウムイオン電池。 - 請求項1乃至16いずれか一項に記載の全固体型リチウムイオン電池用電極を製造するための製造方法であって、
前記導電性樹脂層に、微粒子状の前記電極活物質を付着することにより、前記電極活物質層を形成する工程を含む、全固体型リチウムイオン電池用電極の製造方法。
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