JP6538914B2 - 固体電解質シートおよび全固体型リチウムイオン電池 - Google Patents

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Description

本発明は、固体電解質シートおよび全固体型リチウムイオン電池に関する。
リチウムイオン電池は、一般的に、携帯電話やノートパソコンなどの小型携帯機器の電源として使用されている。また、最近では小型携帯機器以外に、電気自動車や電力貯蔵などの電源としてもリチウムイオン電池は使用され始めている。
現在市販されているリチウムイオン電池には、可燃性の有機溶媒を含む電解液が使用されている。一方、電解液を固体電解質に変えて、電池を全固体化したリチウムイオン電池(以下、全固体型リチウムイオン電池とも呼ぶ。)は、電池内に可燃性の有機溶媒を用いないので、安全装置の簡素化が図れ、製造コストや生産性に優れると考えられている。
このような全固体型リチウムイオン電池には、固体電解質層として、無機固体電解質材料を主に含む固体電解質シートが使用されている。以下の特許文献1および2には、こうした固体電解質シートの例が記載されている。
特許文献1(特開平4−133209号)には、リチウムイオン伝導性固体電解質と、熱可塑性高分子樹脂との混合物を含むことを特徴とするリチウムイオン伝導性固体電解質シートが記載されている。
特許文献2(特開2008−124011号)には、ガラス状のリチウムイオン伝導性固体電解質を、シート状に成形後熱処理する、又はシート状に成形すると共に熱処理する結晶性のリチウムイオン伝導性固体電解質シートの製造方法が記載されている。
特開平4−133209号公報 特開2008−124011号公報
しかし、特許文献1および2に記載されているような固体電解質シートを用いた全固体型リチウムイオン電池は充放電特性に劣っていた。
本発明者らは、充放電特性に優れた全固体型リチウムイオン電池を実現可能な固体電解質シートの構造について鋭意検討した。その結果、固体電解質シートを薄膜化させることにより、充放電特性に優れた全固体型リチウムイオン電池が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明によれば、
リチウムイオン伝導性を有する無機固体電解質材料を主成分として含み、かつ、スペーサーを含まない固体電解質シートであって
当該固体電解質シートの厚みが50μm以下であり、
27.0℃、印加電圧10mV、測定周波数域0.1Hz〜7MHzの測定条件における交流インピーダンス法によるリチウムイオン伝導度が1.2×10−3S・cm−1以上である固体電解質シートが提供される。
さらに、本発明によれば、
正極層と、固体電解質層と、負極層とがこの順番に積層された全固体型リチウムイオン電池であって、
上記固体電解質層が、上記固体電解質シートにより構成されたものである全固体型リチウムイオン電池が提供される。
本発明によれば、充放電特性に優れた全固体型リチウムイオン電池を実現可能な固体電解質シートを提供することができる。
本発明に係る実施形態の固体電解質シートの製造方法の一例を模式的に示した断面図である。 本発明に係る実施形態の固体電解質シートの製造方法の一例を模式的に示した断面図である。 本発明に係る実施形態の固体電解質シートの製造方法の一例を模式的に示した断面図である。 本発明に係る実施形態の固体電解質シートの製造方法の一例を模式的に示した断面図である。 本発明に係る実施形態の全固体型リチウムイオン電池の構造の一例を模式的に示した断面図である。
以下に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には共通の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは必ずしも一致していない。なお、「〜」は特に断りがなければ、以上から以下を表す。
[固体電解質シート]
はじめに、本実施形態に係る固体電解質シートについて説明する。
本実施形態に係る固体電解質シートは、リチウムイオン伝導性を有する無機固体電解質材料を主成分として含む。そして、固体電解質シートの厚みは100μm以下、好ましくは80μm以下、より好ましくは50μm以下、特に好ましくは30μm以下である。
本実施形態に係る固体電解質シートの膜厚が上記上限値以下であると、固体電解質シートのインピーダンスを低下させることができる。その結果、得られる全固体型リチウムイオン電池の充放電特性を向上できる。
また、固体電解質シートの厚みは、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、特に好ましくは15μm以上である。固体電解質シートの厚みが上記下限値以上であると、無機固体電解質材料の欠落や、固体電解質シート表面のひび割れを抑制できる。
本実施形態に係る固体電解質シートは、例えば、全固体型リチウムイオン電池を構成する固体電解質層に用いられる。
本実施形態に係る固体電解質シートを適用した全固体型リチウムイオン電池の例としては、正極層と、固体電解質層と、負極層とがこの順番に積層されたものが挙げられる。この場合、固体電解質層が固体電解質シートにより構成されたものである。
また、本実施形態に係る固体電解質シートにはバインダーが含まれてもよいが、バインダーの含有量は、固体電解質シートの全体を100質量%としたとき、好ましくは0.5質量%未満であり、より好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0.05質量%以下である。また、本実施形態に係る固体電解質シートは、バインダーを実質的に含まないことがさらに好ましく、バインダーを含まないことが特に好ましい。
これにより、無機固体電解質材料間の接触性が改善され、固体電解質シートの界面接触抵抗を低下させることができる。その結果、固体電解質シートのリチウムイオン伝導性をより一層向上させることができる。そして、このようなリチウムイオン伝導性に優れた固体電解質シートを用いることにより、得られる全固体型リチウムイオン電池の充放電特性を向上できる。なお、本実施形態では、全固体型リチウムイオン電池の充放電特性とは、放電容量密度、出力特性、サイクル特性等をいう。
なお、「バインダーを実質的に含まない」とは、本発明の効果が損なわれない程度には含有してもよいことを意味する。また、無機固体電解質材料と、後述する粘着剤との界面近傍に存在する粘着剤由来の粘着性樹脂は、「固体電解質シート中のバインダー」から除かれる。
上記バインダーとは、電極活物質同士および電極活物質と集電体とを結着させるために、リチウムイオン電池に一般的に使用される結着剤のことをいい、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)微粒子、スチレン・ブタジエン系ゴム微粒子等の水系バインダー;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド等の溶剤系バインダー等である。
本実施形態に係る固体電解質シートは、電解液を用いない状態において、リチウムイオン伝導度が、好ましくは0.5×10−3S・cm−1以上、より好ましくは0.8×10−3S・cm−1以上、さらに好ましくは1.0×10−3S・cm−1以上、特に好ましくは1.2×10−3S・cm−1以上である。
本実施形態に係る固体電解質シートのリチウムイオン伝導度が上記下限値以上であると、より一層充放電特性に優れた全固体型リチウムイオン電池を得ることができる。
ここで、上記リチウムイオン伝導度は、27.0℃、印加電圧10mV、測定周波数域0.1Hz〜7MHzの測定条件における交流インピーダンス法によるリチウムイオン伝導度である。
無機固体電解質材料としては、イオン伝導性および絶縁性を有するものであれば特に限定されないが、一般的に全固体型リチウムイオン電池に用いられるものを用いることができる。例えば、硫化物固体電解質材料、酸化物固体電解質材料等を挙げることができる。これらの中でも、硫化物固体電解質材料が好ましい。これにより、無機固体電解質材料間の界面抵抗がより一層低下し、リチウムイオン伝導性により一層優れた固体電解質シートにすることができる。
無機固体電解質材料としては、例えば、LiS−P材料、LiS−SiS材料、LiS−GeS材料、LiS−Al材料、LiS−SiS−LiPO材料、LiS−P−GeS材料、LiS−LiO−P−SiS材料、LiS−GeS−P−SiS材料、LiS−SnS−P−SiS材料等が挙げられる。これらの中でも、リチウムイオン伝導性が優れており、製造方法が簡便である点から、LiS−P材料が好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、リチウムイオン伝導性に優れ、かつ広い電圧範囲で分解等を起こさない安定性を有する点から、LiS−P材料が好ましい。
無機固体電解質材料の形状としては、例えば粒子状を挙げることができる。本実施形態の粒子状の無機固体電解質材料は特に限定されないが、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による重量基準粒度分布における平均粒子径d50が、好ましくは1μm以上20μm以下であり、より好ましくは1μm以上10μm以下である。
無機固体電解質材料の平均粒子径d50を上記範囲内とすることにより、良好なハンドリング性を維持すると共に、固体電解質シートのリチウムイオン伝導性をより一層向上させることができる。
固体電解質シートの平面形状は、特に限定されず、電極層や集電体層の形状に合わせて適宜選択することが可能であるが、例えば、矩形とすることができる。
[固体電解質シートの製造方法]
つぎに、本実施形態に係る固体電解質シートの製造方法について説明する。
図1〜図4は本発明に係る実施形態の固体電解質シート100の製造方法の一例を模式的に示した断面図である。
本実施形態に係る固体電解質シート100は特に限定されないが、例えば、下記(1)〜(3)の工程または下記(4)〜(6)の工程により製造することができる。
はじめに(1)〜(3)の工程からなる固体電解質シート100の製造方法について説明する。
(1)シート状の多孔性基材101の少なくとも一方の面に、粘着剤層104aを形成する工程(図1(a)、(b))
(2)粘着剤層104a上に無機固体電解質材料105を付着させることにより無機固体電解質材料層105aを形成し、多孔性基材101、粘着剤層104a、および無機固体電解質材料層105aがこの順番に積層された積層体150を得る工程(図1(c))
(3)得られた積層体150を加圧することにより、粘着剤層104aを構成する粘着剤104を多孔性基材101の空隙102を囲む骨格部103表面に付着させるとともに、多孔性基材101の空隙102内に無機固体電解質材料層105aを構成する無機固体電解質材料105を充填する工程(図2(d)、(e))
はじめに、(1)シート状の多孔性基材101の少なくとも一方の面に、粘着剤層104aを形成する。粘着剤層104aの形成方法としては特に限定されないが、シート状の粘着剤層104aを多孔性基材101上にラミネートする方法等が挙げられる。この方法によれば、多孔性基材101上に粘着剤層104aを連続的に形成することができる。
多孔性基材101はシート状であり、その空隙102内部に無機固体電解質材料105を十分に充填できるものである。多孔性基材101の形態としては、例えば、織布、不織布、メッシュクロス、多孔性膜、エキスパンドシート、パンチングシート等が挙げられる。これらの中でも、無機固体電解質材料105の保持力に優れ、かつ、得られる固体電解質シート100の表面平滑性に優れる観点から、不織布が好ましい。
また、多孔性基材101を構成する材料としては、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ビニロン、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイト、ポリエーテルエーテルケトン、セルロース、アクリル樹脂等の樹脂材料;麻、木材パルプ、コットンリンター等の天然繊維;鉄、アルミニウム、チタン、ニッケル、ステンレス等の金属材料;ガラス、カーボン等の無機材料等が挙げられる。
また、多孔性基材101としては絶縁性材料により構成されているものが好ましい。これにより、得られる固体電解質シート100の絶縁性をより一層向上させることができる。絶縁性材料としては、例えば、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ビニロン、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイト、ポリエーテルエーテルケトン、セルロース、アクリル樹脂等の樹脂材料;麻、木材パルプ、コットンリンター等の天然繊維、ガラス等が挙げられる。
また、多孔性基材101の空隙率は、50%以上95%以下が好ましく、70%以上90%以下がより好ましい。空隙率が上記下限値以上であると、空隙102内部に充填できる無機固体電解質材料105を増やすことができるため、得られる固体電解質シート100のリチウムイオン伝導性をより一層向上させることができる。
また、空隙率が上記上限値以下であると、多孔性基材101の機械的強度が向上するとともに無機固体電解質材料105の保持力を向上させることができるため、得られる固体電解質シート100をより一層薄膜化することができる。
ここで、空隙率は、多孔性基材101の全体積に占める空隙の総体積の割合を意味する。すなわち、空隙率は(1−多孔性基材中の構成素材の体積/多孔性基材の体積)×100(%)で示される。
また、多孔性基材101の通気度は、100cm/cm/sec以上400cm/cm/sec以下が好ましく、150cm/cm/sec以上300cm/cm/sec以下がより好ましい。通気度が上記下限値以上であると、無機固体電解質材料105の粉末が多孔性基材101の内部まで流入し易く、無機固体電解質材料105を空隙102内部に高密度に充填できる。そのため、無機固体電解質材料105の粒子同士の接触抵抗が低減し、さらに得られる固体電解質シート100のリチウムイオン伝導性を向上させることができる。また、通気度が上記上限値以下であると、多孔性基材101の機械的強度が向上するとともに無機固体電解質材料105の保持力を向上させることができるため、得られる固体電解質シート100をより一層薄膜化することができる。
ここで、多孔性基材101の通気度は、JIS L1096−A(フラジール形法)に従って測定できる。
多孔性基材101の厚みは、好ましくは5μm以上300μm以下であり、より好ましくは8μm以上200μm以下であり、さらに好ましくは10μm以上80μm以下であり、特に好ましくは12μm以上50μm以下である。多孔性基材101の厚みが上記下限値以上であると、多孔性基材101の機械的強度を向上させることができるため、得られる固体電解質シート100の機械的強度を向上させることができる。また、無機固体電解質材料105の保持力を向上させることができる。
また、多孔性基材101の厚みが上記上限値以下であると、得られる固体電解質シート100のインピーダンスをより一層低下させることができる。その結果、得られる全固体型リチウムイオン電池の充放電特性をより一層向上できる。
粘着剤104は多孔性基材101の骨格部103表面に付着し、かつ、無機固体電解質材料105を付着できるものである。粘着剤104としては、例えば、粘着性を示す樹脂(以下、粘着性樹脂とも呼ぶ)を含んでいるものが好ましい。
粘着剤104に含まれる粘着性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルエーテル、ゴム等が挙げられる。ここで、本明細書では、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよびメタクリルの総称であるものとする。
本実施形態において、(メタ)アクリル系熱可塑性樹脂とは、(メタ)アクリル酸エステル単位を含有する熱可塑性樹脂であり、例えば、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、2種以上の(メタ)アクリル酸エステルの共重合体、(メタ)アクリル酸エステルおよびこれと共重合可能な不飽和結合を有するビニルモノマーとの共重合体等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸5−ヒドロキシペンチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−3−メチルブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−〔(メタ)アクリロイルオキシ〕エチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−〔(メタ)アクリロイルオキシ〕エチル−2−ヒドロキシプロピルフタル酸等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な不飽和結合を有するビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、マレイミド誘導体、(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルモルフォリン、N−ビニルカプロラクトン、N−ビニルピペリジン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、スチレン、インデン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、ジビニルベンゼン、ブタジエン、イソプレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、安息香酸ビニル、珪皮酸ビニルおよびその誘導体等が挙げられる。上記(メタ)アクリル酸エステルおよび(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な不飽和結合を有するビニルモノマーは、単独で用いてもよく、複数種併用してもよい。
(メタ)アクリル系熱可塑性樹脂に含まれる(メタ)アクリル酸エステル単位の含有量は、導電性微粒子の分散性が向上する観点から、(メタ)アクリル系熱可塑性樹脂の全体を100質量%としたとき、好ましくは20質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは50質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは80質量%以上100質量%以下である。
上記シリコーン樹脂としては、例えば、ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
上記ポリビニルエーテルとしては、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル等が挙げられる。
上記ゴムとしては、天然ゴム、イソプレン系ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム、ポリイソブチレン系ゴム等が挙げられる。
本実施形態に係る粘着剤104に含まれる粘着性樹脂の含有量は、粘着剤104の全体を100質量%としたとき、好ましくは80質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは90質量%以上100質量%以下である。
本実施形態に係る粘着剤104は、必要に応じて、イソシアネート化合物、酸無水物、アミン化合物、エポキシ化合物、金属キレート類、アジリジン化合物、メラミン化合物等の架橋剤;ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂、クマロン−インデン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂、スチレン系樹脂等の粘着付与樹脂;シランカップリング剤;固体電解質材料等をさらに含有していてもよい。
本実施形態に係る粘着剤104に粘着付与樹脂を含有させると、初期タック、粘着力の調節が容易となる。
本実施形態に係る粘着剤104の製造方法は特に限定されないが、例えば、次のような方法で製造することができる。
上記粘着性樹脂、必要に応じて、上記架橋剤、上記粘着付与樹脂、上記シランカップリング剤、上記固体電解質材料を適量配合した混合物を加熱溶融させることにより得ることができる。
本実施形態に係る粘着剤層104aの厚みは、多孔性基材101の空隙率や無機固体電解質材料105の種類等を考慮して適宜決定されるが、通常は5μm以上50μm以下であり、好ましくは10μm以上35μm以下である。
シート状の粘着剤層104aとしては、例えば、寺岡製作所社製の「ベースレス両面テープ」等が挙げられる。
つぎに、(2)粘着剤層104a上に無機固体電解質材料105を付着させることにより無機固体電解質材料層105aを形成し、多孔性基材101、粘着剤層104a、および無機固体電解質材料層105aがこの順番に積層された積層体150を得る。
粘着剤層104a上に無機固体電解質材料105を付着させる方法としては特に限定されないが、空気中または不活性雰囲気中で粘着剤層104a上に無機固体電解質材料105の粉体を直接供給する方法や、無機固体電解質材料105を分散液に分散させてスラリー状態にし、そのスラリーを粘着剤層104a上に塗布して乾燥する方法等が挙げられる。上記スラリーを塗布する方法としては、ドクターブレード塗工法、浸漬塗工法、スプレー塗工法、バーコーター塗工法等の一般的に公知の方法を使用できる。
これらの方法により、粘着剤層104a上に無機固体電解質材料層105aを連続的に形成することができる。
空気中または不活性雰囲気中で粘着剤層104a上に無機固体電解質材料105の粉体を直接供給する方法としては、粘着剤層104a上に無機固体電解質材料105を粉体塗工する方法等が挙げられる。
粘着剤層104a上で無機固体電解質材料105を均一な厚さに揃えるために、所定の高さのガイドを粘着剤層104a上に置き、そのガイドの開口部を埋めるように無機固体電解質材料105の粉体を粘着剤層104a上に付着させることも可能である。
例えばスキージを用いて、ガイド上に無機固体電解質材料105を粉体塗工しながら、ガイドの開口部に無機固体電解質材料105の粉体を充填させて粘着剤層104a上に無機固体電解質材料105を付着させる。次いで、ガイドを取り除くことにより、粘着剤層104a上に均一な厚さの無機固体電解質材料層105aが形成される。
また、あらかじめガイドの開口部に無機固体電解質材料105の粉体を充填させ、そのガイドを粘着剤層104a上に重ねる方法でもよい。
例えば、無機固体電解質材料105の粉体を充填させたガイドを粘着剤層104a上に重ね、弱い振動を与えることでガイドの開口部に充填されていた無機固体電解質材料105を粘着剤層104a上に落下させる。次いで、ガイドを取り除くことにより、粘着剤層104a上に均一な厚さの無機固体電解質材料層105aを形成することができる。
このようなガイドとしては、金属製または合成樹脂製で大きな開口部を有する構造体であればよく、例えば入手し易いものとしては金属製または樹脂製の多孔質板、織布、不織布、メッシュ等が挙げられる。
粘着剤層104aの粘着性により、無機固体電解質材料105が粘着剤層104a上に付着して、無機固体電解質材料層105aが得られる。
つづいて、(3)得られた積層体150を加圧することにより、粘着剤層104aを構成する粘着剤104を多孔性基材101の空隙102を囲む骨格部103表面に付着させるとともに、多孔性基材101の空隙102内に無機固体電解質材料層105aを構成する無機固体電解質材料105を充填する。
積層体150を加圧する方法は特に限定されず、例えば、ロールプレス等を用いることができる。これにより、積層体150を連続的に加圧することができ、固体電解質シート100の生産性を向上させることができる。
また、上記積層体150を加圧する圧力は、例えば、40MPa以上500MPa以下である。
この固体電解質シート100の製造方法は、使用する装置が簡便であり、生産性に優れている。また、シート状の多孔性基材101、粘着剤層104aおよび無機固体電解質材料層105aの厚みを調整することにより、得られる固体電解質シート100の厚みを容易に調整することができる。さらに、上記(1)〜(3)の工程は連続的におこなうことができるため、固体電解質シート100の連続生産が可能となり、固体電解質シート100の大面積化を実現できる。よって、この固体電解質シート100の製造方法によれば、固体電解質シート100の大面積化および薄膜化を容易におこなうことができ、かつ、固体電解質シート100の生産性を向上させることができる。
次に、下記の(4)〜(6)の工程からなる固体電解質シート100の製造方法について説明する。
(4)シート状の多孔性基材101と、粘着剤104を準備する工程(図3(a))
(5)多孔性基材101の空隙102を囲む骨格部103表面に、粘着剤104をコーティングする工程(図3(b))
(6)多孔性基材101の空隙102内に無機固体電解質材料105を充填する工程(図3(c)、図4(d)、(e))
はじめに、(4)シート状の多孔性基材101と、粘着剤104を準備する。
つぎに、(5)多孔性基材101の空隙102を囲む骨格部103表面に、粘着剤104をコーティングする。粘着剤104をコーティングする方法としては特に限定されないが、粘着剤104を溶媒に溶かすあるいは分散させて液状にし、次いで、その液体を多孔性基材101上に塗布し、空隙102内に液体を浸透させて乾燥する方法等が挙げられる。上記液体を多孔性基材101上に塗布する方法としては、ドクターブレード塗工法、浸漬塗工法、スプレー塗工法、バーコーター塗工法等の一般的に公知の方法を使用できる。
これらの方法により、多孔性基材101の空隙102を囲む骨格部103表面に、粘着剤104を連続的にコーティングすることができる。
つづいて、(6)多孔性基材101の空隙102内に無機固体電解質材料105を充填する。無機固体電解質材料105を充填する方法としては特に限定されないが、例えば、空気中または不活性雰囲気中で多孔性基材101の空隙102内に無機固体電解質材料105の粉体を直接供給する方法や、無機固体電解質材料105を分散液に分散させてスラリー状態にし、次いで、そのスラリーを多孔性基材101上に塗布し、空隙102内にスラリーを浸透させて乾燥する方法等が挙げられる。上記スラリーを塗布する方法としては、ドクターブレード塗工法、浸漬塗工法、スプレー塗工法、バーコーター塗工法等の一般的に公知の方法を使用できる。
これらの方法により、多孔性基材101の空隙102内に、無機固体電解質材料105を連続的に充填することができる。
空気中または不活性雰囲気中で多孔性基材101の空隙102内に無機固体電解質材料105の粉体を直接供給する方法としては、多孔性基材101上に無機固体電解質材料105を粉体塗工し、スキージにより、多孔性基材101上の過剰な粉体を取り除きつつ、空隙102内に無機固体電解質材料105を充填する方法等が挙げられる。
つづいて、必要に応じて、加圧することにより、空隙102内に充填されずに多孔性基材101の表面に付着している無機固体電解質材料105を空隙102内に充填する。
固体電解質シート100を加圧する方法は特に限定されず、例えば、ロールプレス等を用いることができる。これにより、連続的に加圧することができ、固体電解質シート100の生産性を向上させることができる。
また、上記積層体150を加圧する圧力は、例えば、40MPa以上500MPa以下である。
この固体電解質シート100の製造方法は、使用する装置が簡便であり、生産性に優れている。また、シート状の多孔性基材101の厚みや粘着剤104のコーティング量および無機固体電解質材料105の使用量を調整することにより、得られる固体電解質シート100の厚みを容易に調整することができる。さらに、上記(5)〜(6)の工程は連続的におこなうことができるため、固体電解質シート100の連続生産が可能となり、固体電解質シート100の大面積化を実現できる。よって、この固体電解質シート100の製造方法によれば、固体電解質シート100の大面積化および薄膜化を容易におこなうことができ、かつ、固体電解質シート100の生産性を向上させることができる。
本実施形態に係る固体電解質シート100の製造方法において、多孔性基材101の空隙体積をAとし、粘着剤104の体積をBとしたとき、[(A−B)/A]×100で定義される残空隙率が、好ましくは10%以上90%以下であり、より好ましくは15%以上90%以下である。ここで、多孔性基材の体積をXとし、空隙率をYとしたとき、X×Y/100により、多孔性基材101の空隙体積Aを算出することができる。また、粘着剤104の体積Bは、粘着剤104の密度と質量により算出することができる。あるいは、粘着剤層104aの体積をそのまま粘着剤104の体積Bとすることができる。
残空隙率が上記下限値以上であると、空隙102内部に充填できる無機固体電解質材料105を増やすことができるため、得られる固体電解質シート100のリチウムイオン伝導性をより一層向上させることができる。また、残空隙率が上記上限値以下であると、無機固体電解質材料105の保持力を向上させることができる。
残空隙率は、粘着剤104の使用量と、多孔性基材101の空隙率等を調整することにより、調節することができる。例えば、粘着剤104の使用量を一定とした場合、空隙率が大きい多孔性基材101を使用するほど、残空隙率は大きくなる。一方、空隙率が同じ多孔性基材101を使用した場合、粘着剤104の使用量が多いほど残空隙率は小さくなる。
本実施形態に係る固体電解質シート100の製造方法により得られた固体電解質シート100は、例えば、シート状の多孔性基材101と、無機固体電解質材料105と、粘着剤104とを備えている。無機固体電解質材料105は多孔性基材101の空隙102の内部に充填されている。そして、粘着剤104は、少なくとも多孔性基材101の空隙102を囲む骨格部103表面に付着している。
多孔性基材101の骨格部103に付着した粘着剤104により、無機固体電解質材料105が多孔性基材101の空隙102内により一層安定的に保持できる。
そのため、固体電解質シート100を大面積化および薄膜化しても、多孔性基材101の空隙102内に無機固体電解質材料105をより一層安定的に保持することができ、その結果、無機固体電解質材料105の欠落や、固体電解質シート100表面のひび割れを抑制することができる。また、固体電解質シート100をさらに薄くできるため、固体電解質シート100のインピーダンスをより一層低下させることができ、その結果、得られる全固体型リチウムイオン電池の充放電特性をより一層向上できる。
さらに、無機固体電解質材料105を多孔性基材101の空隙102内により一層安定的に保持することができるため、無機固体電解質材料105に含まれるバインダーの含有量をより一層低下させることができる。これにより、無機固体電解質材料間の接触性が改善され、固体電解質シート100の界面接触抵抗をより一層低下させることができる。その結果、固体電解質シート100のリチウムイオン伝導性をより一層向上させることができる。
また、固体電解質シート100は、無機固体電解質材料105の少なくとも一部が粘着剤104に付着しているのが好ましい。これにより、無機固体電解質材料105の欠落や、固体電解質シート100表面のひび割れをより一層抑制しながら、固体電解質シート100の大面積化および薄膜化を実現できる。また、固体電解質シート100の薄膜化により、固体電解質シート100のインピーダンスをより一層低下させることができる。その結果、得られる全固体型リチウムイオン電池の充放電特性をより一層向上できる。
固体電解質シート100において、無機固体電解質材料105の充填量は、当該固体電解質シート100の全体を100質量%としたとき、好ましくは15質量%以上85質量%以下であり、より好ましくは40質量%以上70質量%以下である。無機固体電解質材料105の充填量が上記上限値以下であると、無機固体電解質材料105の欠落や、固体電解質シート100表面のひび割れをより一層抑制できる。また、無機固体電解質材料105の充填量が上記下限値以上であると、得られる固体電解質シート100のリチウムイオン伝導性をより一層向上させることができる。
固体電解質シート100において、粘着剤104の含有量は、当該固体電解質シート100の全体を100質量%としたとき、好ましくは5質量%以上80質量%以下であり、より好ましくは15質量%以上50質量%以下である。粘着剤104の含有量が上記上限値以下であると、空隙102内部に充填できる無機固体電解質材料105を増やすことができるため、得られる固体電解質シート100のリチウムイオン伝導性をより一層向上させることができる。また、粘着剤104の含有量が上記下限値以上であると、無機固体電解質材料105の欠落や、固体電解質シート100表面のひび割れをより一層抑制しながら、固体電解質シート100の大面積化および薄膜化を実現できる。また、固体電解質シート100の薄膜化により、固体電解質シート100のインピーダンスを低下させることができる。その結果、得られる全固体型リチウムイオン電池の充放電特性を向上できる。
本実施形態に係る無機固体電解質材料105は、多孔性基材101の空隙102内に保持されている。よって、バインダーの含有量が上記上限値未満または以下であっても、本実施形態に係る無機固体電解質材料105を多孔性基材101の空隙102内に安定的に保持することができる。その結果、無機固体電解質材料105の欠落や、固体電解質シート100表面のひび割れを抑制しながら、固体電解質シート100の大面積化および薄膜化を実現できる。
また、本実施形態に係る無機固体電解質材料105は、非イオン伝導性であるバインダーを上記上限値未満または以下とすることができるため、得られる固体電解質シート100の界面接触抵抗を低減することができる。その結果、得られる固体電解質シート100のリチウムイオン伝導性をより一層向上させることができる。
また、本実施形態に係る固体電解質シート100は、下記の(7)〜(8)の工程からなる製造方法でも作製することができる。
(7)無機固体電解質材料105に対し、フィラーを混合する工程
(8)フィラーを混合した無機固体電解質材料105を加圧することで固体電解質シート100を得る工程
通常、無機固体電解質材料105は流動性に劣るため、加圧プレスしてもプレス方向と垂直方向に広がらない。上記の製造方法では、無機固体電解質材料105より硬く、流動性に富むフィラーを無機固体電解質材料105中に分散させる。こうすることで、加圧プレス時にフィラーが3次元方向に移動する動きにつられて無機固体電解質材料105が横方向へ流動するため、均一な厚さの固体電解質シート100を得ることができる。
この製造方法では、多孔性基材101と粘着剤104を使用しないため、得られる固体電解質シート100の強度は比較的弱いが、無機固体電解質材料105と集電体を積層し加圧プレスことで固体電解質シート100として実用的な強度を得ることはできる。
また、粘着剤104を使用しないため、無機固体電解質材料105の一部が粘着剤104により包含されてイオン電導度の低下を引き起こすことはないため、この製造方法により得られる固体電解質シート100はイオン伝導度に優れている。
以下、(7)〜(8)の工程からなる固体電解質シート100の製造方法について具体的に説明する。
はじめに、(7)無機固体電解質材料105に対し、フィラーを混合する。このとき、無機固体電解質材料105中にフィラーを均一に分散するまで混合することが好ましい。
本実施形態のフィラーは絶縁粒子であることが好ましい。これにより、得られる固体電解質シート100の絶縁性をより一層向上させることができる。
また、本実施形態のフィラーとしては無機フィラーが好ましく、例えば、アルミナ粒子、シリカ粒子、ガラスビーズ等が挙げられる。これらの中でも、流動性に優れる観点からガラスビーズが好ましい。
本実施形態のフィラーの形状としては特に限定されないが、流動性に優れる観点から球状が好ましい。
また、本実施形態のフィラーは特に限定されないが、流動性に優れる観点からレーザー回折散乱式粒度分布測定法による重量基準粒度分布における平均粒子径d50が、好ましくは2μm以上20μm以下である。
また、無機固体電解質材料105に対するフィラーの混合量は、無機固体電解質材料105とフィラーの全体を100質量%としたとき、好ましくは5質量%以上30質量%以下である。フィラーの混合量が上記上限値以下であると、得られる固体電解質シート100のイオン伝導度を向上させることができる。また、フィラーの混合量が上記下限値以上であると、より一層均一な厚さの固体電解質シート100を得ることができる。
つぎに、(8)フィラーを混合した無機固体電解質材料105を加圧することで固体電解質シート100を得る。
フィラーを混合した無機固体電解質材料105を集電体上に粉体塗工し、集電体上に塗工された無機固体電解質材料105を集電体とともに加圧することで固体電解質シート100を得ることができる。
また、フィラーを混合した無機固体電解質材料105を目的とする形状の型枠に充填し、加圧することで固体電解質シート100を得ることもできる。
これらの方法により、所望の厚みの固体電解質シート100を容易に得ることができる。
固体電解質シート100を加圧する方法は特に限定されず、例えば、ロールプレス等を用いることができる。これにより、連続的に加圧することができ、固体電解質シート100の生産性を向上させることができる。
また、上記フィラーを混合した無機固体電解質材料105を加圧する圧力は、例えば、40MPa以上500MPa以下である。
また、この固体電解質シート100の製造方法は、使用する装置が簡便であり、生産性に優れている。また、目的とする形状の型枠を使用したり、上記フィラーを混合した無機固体電解質材料105の塗工量を調整したりすることにより、得られる固体電解質シート100の厚みを容易に調整することができる。
さらに、上記(7)〜(8)の工程は連続的におこなうことができるため、固体電解質シート100の連続生産が可能となり、固体電解質シート100の大面積化を実現できる。よって、この固体電解質シート100の製造方法によれば、固体電解質シート100の大面積化および薄膜化を容易におこなうことができ、かつ、固体電解質シート100の生産性を向上させることができる。
[全固体型リチウムイオン電池]
つぎに、本実施形態に係る全固体型リチウムイオン電池200について説明する。図5は、本発明に係る実施形態の全固体型リチウムイオン電池の構造の一例を模式的に示した断面図である。本実施形態に係る全固体型リチウムイオン電池200はリチウムイオン二次電池であるが、リチウムイオン一次電池であってもよい。
本実施形態に係る全固体型リチウムイオン電池200は、正極層201と、固体電解質層205と、負極層203とがこの順番に積層されてなる。そして、固体電解質層205が、本実施形態に係る固体電解質シート100により構成されたものである。
本実施形態に係る全固体型リチウムイオン電池200は、一般的に公知の方法に準じて製造される。例えば、正極層201と、固体電解質層205と、負極層203とを重ねたものを、円筒型、コイン型、角型、フィルム型その他任意の形状に形成することにより作製される。
(正極層)
本実施形態の正極層201は特に限定されず、全固体型リチウムイオン電池に一般的に用いられている正極を使用することができる。正極層201は特に限定されないが、一般的に公知の方法に準じて製造することができる。例えば、正極活物質を含む正極活物質層をアルミ箔等の集電体の表面に形成することにより得ることができる。
正極層201の厚みや密度は、電池の使用用途等に応じて適宜決定されるため特に限定されず、一般的に公知の情報に準じて設定することができる。
正極活物質としてはリチウムイオンを可逆に放出・吸蔵でき、電子輸送が容易におこなえるように電子伝導度が高い材料であれば特に限定されず、全固体型リチウムイオン電池の正極層に使用可能な一般的に公知の正極活物質を用いることができる。例えば、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)、リチウムマンガン酸化物(LiMn)、固溶体酸化物(LiMnO−LiMO(M=Co、Niなど))、リチウム−マンガン−ニッケル酸化物(LiNi1/3Mn1/3Co1/3)、オリビン型リチウムリン酸化物(LiFePO)等の複合酸化物;ポリアニリン、ポリピロール等の導電性高分子;LiS、CuS、Li-Cu-S化合物、TiS、FeS、MoS、Li−Mo−S化合物等の硫化物;硫黄とカーボンの混合物;等を用いることができる。これらの正極活物質は1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
正極活物質層は、正極活物質同士および正極活物質と集電体とを結着させる役割をもつバインダーを含んでもよい。
本実施形態のバインダーは全固体型リチウムイオン電池に使用可能な通常のバインダーであれば特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、スチレン・ブタジエン系ゴム、ポリイミド等が挙げられる。これらのバインダーは一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
正極活物質層は、正極層201の導電性を向上させる観点から、導電助剤を含んでもよい。導電助剤としては全固体型リチウムイオン電池に使用可能な通常の導電助剤であれば特に限定されないが、例えば、アセチレンブラック、ケチェンブラック等のカーボンブラック;カーボンファイバー;気相法炭素繊維;黒鉛粉末;カーボンナノチューブ等の炭素材料が挙げられる。これらの導電助剤は1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、粒子径が小さく、価格が安いカーボンブラックが好ましい。
正極層201は固体電解質材料を含む。固体電解質材料としては特に限定されないが、例えば、本実施形態に係る無機固体電解質材料105と同様のものを用いることができる。
正極活物質層中の各種材料の配合割合は、電池の使用用途等に応じて、適宜決定されるため特に限定されず、一般的に公知の情報に準じて設定することができる。
(負極層)
本実施形態の負極層203は特に限定されず、全固体型リチウムイオン電池に一般的に用いられているものを使用することができる。負極層203は特に限定されないが、一般的に公知の方法に準じて製造することができる。例えば、負極活物質を含む負極活物質層を銅等の集電体の表面に形成することにより得ることができる。
負極活物質層の厚みや密度は、電池の使用用途等に応じて適宜決定されるため特に限定されず、一般的に公知の情報に準じて設定することができる。
負極活物質としてはリチウムイオンを可逆に放出・吸蔵でき、電子輸送が容易におこなえるように電子伝導度が高い材料であれば特に限定されず、全固体型リチウムイオン電池の負極層に使用可能な一般的に公知の負極活物質を用いることができる。例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、樹脂炭、炭素繊維、活性炭、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素質材料;スズ、スズ合金、シリコン、シリコン合金、ガリウム、ガリウム合金、インジウム、インジウム合金、アルミニウム、アルミニウム合金等を主体とした合金系材料;ポリアセン、ポリアセチレン、ポリピロール等の導電性ポリマー;金属リチウム;リチウムチタン複合酸化物(例えばLiTi12)等が挙げられる。これらの負極活物質は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、負極活物質層は、本実施形態の負極活物質以外の成分として、固体電解質材料を含む。また、バインダー、導電助剤等を含んでもよい。これらの材料としては、とくに限定はされないが、例えば、上述した正極層201に用いる材料と同様のものを挙げることができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
以下、参考形態の例を付記する。
<付記>
(付記1)
リチウムイオン伝導性を有する無機固体電解質材料を主成分として含み、
当該固体電解質シートの厚みが100μm以下である固体電解質シート。
(付記2)
付記1に記載の固体電解質シートにおいて、
当該固体電解質シート中のバインダーの含有量が、前記固体電解質シートの全体を100質量%としたとき、0.5質量%未満である固体電解質シート。
(付記3)
付記1または2に記載の固体電解質シートにおいて、
27.0℃、印加電圧10mV、測定周波数域0.1Hz〜7MHzの測定条件における交流インピーダンス法によるリチウムイオン伝導度が0.5×10 −3 S・cm −1 以上である固体電解質シート。
(付記4)
付記1乃至3いずれか一つに記載の固体電解質シートにおいて、
全固体型リチウムイオン電池を構成する固体電解質層に用いられるものである固体電解質シート。
(付記5)
正極層と、固体電解質層と、負極層とがこの順番に積層された全固体型リチウムイオン電池であって、
前記固体電解質層が、付記1乃至4いずれか一つに記載の固体電解質シートにより構成されたものである全固体型リチウムイオン電池。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例では、「mAh/g」は正極活物質1gあたりの放電容量密度を示す。
[1]測定方法
はじめに、以下の実施例、比較例における測定方法を説明する。
(1)粒度分布
レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(マルバーン社製、マスターサイザー3000)を用いて、レーザー回折法により、実施例および比較例で使用した正極活物質の粒度分布を測定した。測定結果から、各正極活物質について、重量基準の累積分布における50%累積時の粒径(D50、平均粒子径)をそれぞれ求めた。
(2)リチウムイオン伝導度の測定
実施例および比較例で得られた固体電解質シートに対して、交流インピーダンス法によるリチウムイオン伝導度の測定をおこなった。
リチウムイオン伝導度の測定は北斗電工社製、ポテンショスタット/ガルバノスタットSP−300を用いた。試料の大きさはφ9.5mm、厚さ約0.05mm、測定条件は、印加電圧10mV、測定温度27.0℃、測定周波数域0.1Hz〜7MHz、電極はLi箔とした。
(3)充放電試験
実施例および比較例で得られたφ14mmの固体電解質シートに正極材料(30mg)をのせて、250MPa、10分間プレス成型をおこない、正極上に固体電解質層を形成した。正極材料には集電体として導電性アルミ箔粘着テープ(寺岡製作所社製、φ14mm)を粘着させ、正極を得た。
また、上記方法で得られた正極、固体電解質層、負極であるインジウム箔(φ=14mm、t=0.5mm)をこの順で積層させて全固体型リチウムイオン電池を作製した。次いで、得られた全固体型リチウムイオン電池について、電流密度65μA/cmの条件で充電終止電位3.0Vまで充電した後、電流密度65μA/cmの条件で、放電終止電位0.4Vまで放電させる条件で充放電を10回行った。
ここで、1回目の放電容量を100%としたときの10回目の放電容量を放電容量変化率[%]とした。正極材料に対する放電容量密度と放電容量変化率について得られた結果を表1に示す。
[2]材料
つぎに、以下の実施例、比較例において使用した材料について説明する。
(1)正極活物質(Li14MoS
アルゴン雰囲気下で、内容積400mLのAl製ボールミルポットに、MoS(和光純薬工業社製、665mg、4.2mmol)と、LiS(Alfa Aesar製、1335mg、19.1mmol)を秤量して加え、さらにφ10mmのZrOボール500gを入れ、Al製ボールミルポットを密閉した。
次いで、Al製ボールミルポットを、ボールミル回転台に乗せ120rpmで、4日間処理を行った。
得られたLi−Mo−S化合物は乳鉢により粉砕し、目開き43μmの篩により分級して、平均粒子径d50が5μmのLi14MoSを得た。
(2)無機固体電解質材料(Li1112)の製造
原料には、LiS(Alfa Aesar製、純度99.9%)、P(関東化学製試薬)を使用した。LiNは、以下の手順で作製した。
まず、窒素雰囲気のグローブボックス中で、Li箔(本城金属社製純度99.8%、厚さ0.5mm)にステンレス製の網(150メッシュ)を圧着した。Li箔は網の開口部から黒紫色に変化し始め、そのまま、常温で24時間放置することでLi箔すべてが黒紫色のLiNに変化した。LiNは、メノウ乳鉢で粉砕後、ステンレス製篩で篩い分けし、25μm以下の粉末を回収し無機固体電解質材料の原料とした。
つづいて、アルゴングローブボックス中で各原料をLiS:P:LiN=67.5:22.5:10.0(モル%)になるように精秤し、これら粉末を20分間メノウ乳鉢で混合した。次いで、混合粉末2gを秤量し、φ10mmのZrO製ボール500gとともに、Al製ボールミルポット(内容積400mL)に入れ、120rpmで200時間混合粉砕した。混合粉砕後の粉末はカーボンボートに入れアルゴン気流中で330℃、2時間加熱処理し、Li1112を得た。
(3)多孔性基材
多孔性基材としては、以下のものを用いた。
・多孔性基材1:不織布(PET製、旭化成社製、シルキーファイン(登録商標)、WS7R02−05、厚み22μm、密度0.23g/cm、空隙率83%、通気度>300cm/cm/sec)
・多孔性基材2:不織布(天然繊維/PET/アクリル樹脂塗工型、旭化成社製、シルキーファイン(登録商標)、WSKG12−10、厚み46μm、密度0.22g/cm、空隙率85%、通気度>300cm/cm/sec)
・多孔性基材3:不織布(PET製、旭化成社製、シルキーファイン(登録商標)、WS6R10−30、厚み97μm、密度0.33g/cm、空隙率76%、通気度128cm/cm/sec)
(4)粘着剤
粘着剤としては、以下のものを用いた。
・粘着剤シート:(寺岡製作所社製、ベースレス両面テープ7029 0.015、アクリル系粘着剤、厚み15μm)
・粘着剤スプレー:(3M社製、スプレーのり55、アクリルゴム)
<実施例1>
正極活物質であるLi14MoSを0.308gと、導電助剤であるアセチレンブラックを0.308gと、無機固体電解質材料であるLi1112を0.385gとを、乳鉢を用いて5分間混合した。
得られた混合物をAl製ボールミルポット(内容積400mL)に加え、さらにφ10mmのZrOボール500gを入れ、Al製ボールミルポットを密閉した。Al製ボールミルポット内はアルゴン雰囲気とした。
次いで、Al製ボールミルポットを、ボールミル回転台に乗せ120rpmで、24時間処理を行い、正極材料を得た。
多孔性基材1を100mm×100mmに切断し、多孔性基材1の一方の面に粘着剤シート(100mm×100mm)を貼り付けた。また、PTFE製メッシュ(フロン工業社製、F3261−05、厚さ0.7mm、100mm×100mm、18メッシュ相当)の開口部に無機固体電解質材料であるLi1112を充填した。得られた無機固体電解質材料を充填したPTFE製メッシュを、粘着剤シート上に重ねた後、弱い振動を与えることでPTFE製メッシュに充填されていた無機固体電解質材料を粘着シート上に落下させ、無機固体電解質材料層を形成した。
次いで、PTFE製メッシュを外し、多孔性基材1、粘着剤シートおよび無機固体電解質材料層からなる積層体を得た。次いで、得られた積層体を320MPaの圧力でプレスした。粘着剤シートを構成する粘着剤は多孔性基材1の骨格部表面に付着し、無機固体電解質材料は残った空隙を充填するように上面から下面に貫通した。このとき、無機固体電解質材料の一部は、多孔性基材1の骨格部表面に付着した粘着剤に付着していた。得られた固体電解質シートには、固体電解質材料の欠落や表面の割れは発生しなかった。また、固体電解質シートの厚みは27μmであった。
得られた100mm×100mmの固体電解質シートからφ9.5mmの固体電解質シートを切り抜き、イオン電導度の測定をおこなった。得られた結果を表1に示す。
得られた100mm×100mmの固体電解質シートからφ14mmの固体電解質シートを切り抜き、正極および負極を積層し充放電試験をおこなった。得られた結果を表1に示す。
<実施例2>
多孔性基材1を100mm×100mmに切断し、多孔性基材1の両面に粘着剤スプレーを噴霧し、多孔性基材1の骨格部表面に粘着剤をコーティングした。ここで、使用した粘着剤スプレーの量は0.0819cmであった。また、PTFE製メッシュ(フロン工業社製、F3261−05、厚さ0.7mm、100mm×100mm、18メッシュ相当)の開口部に無機固体電解質材料であるLi1112を充填した。得られた無機固体電解質材料を充填したPTFE製メッシュを、粘着剤がコーティングされた多孔性基材1上に重ね、弱い振動を与えることでPTFE製メッシュに充填されていた固体電解質材料を粘着剤がコーティングされた多孔性基材1上に落下させた。
次いで、PTFE製メッシュを外して、320MPaの圧力でプレスした。粘着剤は多孔性基材1の骨格部表面に付着し、固体電解質材料は残った空隙を充填するように上面から下面に貫通した。このとき、無機固体電解質材料の一部は、多孔性基材1の骨格部表面に付着した粘着剤に付着していた。得られた固体電解質シートには、固体電解質材料の欠落や表面の割れは発生しなかった。また、固体電解質シートの厚みは22μmであった。
得られた100mm×100mmの固体電解質シートからφ9.5mmの固体電解質シートを切り抜き、イオン電導度の測定をおこなった。得られた結果を表1に示す。
得られた100mm×100mmの固体電解質シートからφ14mmの固体電解質シートを切り抜き、充放電試験をおこなった。得られた結果を表1に示す。なお、正極材料は実施例1と同様のものを使用した。
<実施例3>
多孔性基材として多孔性基材1の代わりに多孔性基材2を使用した以外は実施例1と同様に固体電解質シートを作製し、イオン電導度の測定および充放電試験をそれぞれおこなった。得られた結果を表1に示す。
<実施例4>
多孔性基材として多孔性基材1の代わりに多孔性基材2を使用した以外は実施例2と同様に固体電解質シートを作製し、イオン電導度の測定および充放電試験をそれぞれおこなった。得られた結果を表1に示す。
<比較例1>
多孔性基材1および粘着剤を用いない以外は実施例1と同様に固体電解質シートを作製し、イオン電導度の測定および充放電試験をそれぞれおこなった。得られた結果を表1に示す。
<比較例2>
厚みを105μmに変更した以外は比較例1と同様に固体電解質シートを作製し、イオン電導度の測定および充放電試験をそれぞれおこなった。得られた結果を表1に示す。
<比較例3>
バインダー(PTFEディスパージョン、旭硝子フロロポリマーズ社製、CD123)を、無機固体電解質材料100質量%に対して、0.5質量%になるように配合した以外は比較例2と同様に固体電解質シートを作製し、イオン電導度の測定および充放電試験をそれぞれおこなった。得られた結果を表1に示す。
<比較例4>
多孔性基材として多孔性基材1の代わりに多孔性基材3を使用した以外は実施例1と同様に固体電解質シートを作製し、イオン電導度の測定および充放電試験をそれぞれおこなった。得られた結果を表1に示す。
実施例1〜4で得られた固体電解質シートは大面積化および薄膜化が可能で、かつ、イオン伝導性に優れていた。また、実施例1〜4で得られた固体電解質シートは無機固体電解質材料の欠落や表面の割れがなかった。
さらに、実施例1〜4で得られた固体電解質シートを用いた全固体型リチウムイオン電池は放電容量および放電容量変化率が高く、充放電特性に優れていた。
一方、厚みが100μmを超える比較例1〜4の固体電解質シートを用いた全固体型リチウムイオン電池は、実施例1〜4で得られたものよりも放電容量および放電容量変化率が低く、充放電特性に劣っていた。
また、比較例3の固体電解質シートは、バインダーを添加したため無機固体電解質材料の欠落や表面の割れはなかった。しかし、この固体電解質シートは、イオン伝導度が実施例1〜4で得られた固体電解質シートに比べて低かった。
Figure 0006538914
100 固体電解質シート
101 多孔性基材
102 空隙
103 骨格部
104 粘着剤
104a 粘着剤層
105 無機固体電解質材料
105a 無機固体電解質材料層
150 積層体
200 全固体型リチウムイオン電池
201 正極層
203 負極層
205 固体電解質層

Claims (7)

  1. リチウムイオン伝導性を有する無機固体電解質材料を主成分として含み、かつ、スペーサーを含まない固体電解質シートであって
    当該固体電解質シートの厚みが50μm以下であり、
    27.0℃、印加電圧10mV、測定周波数域0.1Hz〜7MHzの測定条件における交流インピーダンス法によるリチウムイオン伝導度が1.2×10−3S・cm−1以上である固体電解質シート。
  2. 請求項1に記載の固体電解質シートにおいて、
    当該固体電解質シート中のバインダーの含有量が、前記固体電解質シートの全体を100質量%としたとき、0.5質量%未満である固体電解質シート。
  3. 請求項1または2に記載の固体電解質シートにおいて、
    シート状の多孔性基材と、少なくとも前記多孔性基材の空隙を囲む骨格部表面に付着した粘着剤と、をさらに備え、
    前記多孔性基材の空隙の内部に前記無機固体電解質材料が充填されており、かつ、前記無機固体電解質材料の少なくとも一部が前記粘着剤に付着している固体電解質シート。
  4. 請求項1乃至いずれか一項に記載の固体電解質シートにおいて、
    前記無機固体電解質材料が硫化物固体電解質材料および酸化物固体電解質材料から選択される少なくとも一種を含む固体電解質シート。
  5. 請求項1乃至いずれか一項に記載の固体電解質シートにおいて、
    レーザー回折散乱式粒度分布測定法による重量基準粒度分布における、前記無機固体電解質材料の平均粒子径d50が1μm以上20μm以下である固体電解質シート。
  6. 請求項1乃至いずれか一項に記載の固体電解質シートにおいて、
    全固体型リチウムイオン電池を構成する固体電解質層に用いられるものである固体電解質シート。
  7. 正極層と、固体電解質層と、負極層とがこの順番に積層された全固体型リチウムイオン電池であって、
    前記固体電解質層が、請求項1乃至いずれか一項に記載の固体電解質シートにより構成されたものである全固体型リチウムイオン電池。
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