JP2014088641A - 微塗工印刷用紙の製造方法及び微塗工印刷用紙 - Google Patents
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Abstract
低米坪で、不透明度、光沢度が高く、低コストの微塗工印刷用紙の製造方法及び微塗工印刷用紙を提供する。
【課題を解決するための手段】
機械パルプを7〜20質量%含み白色度が65〜75%に調整された古紙脱墨パルプ20質量%以上と、クラフトパルプと、機械パルプを混合することにより、機械パルプの含有率が10〜50質量%となるように調製された紙料を抄紙し、顔料と接着剤を主成分とする塗料を塗工して、ソフトカレンダーで平滑化処理し、白紙光沢度を25〜35%とすることにより、白色度が65〜75%、不透明度が85〜95%、坪量が40〜60g/m2である微塗工印刷用紙が得られる。
【選択図】なし
Description
昨今、低コスト化の動きが顕著になっており、用紙の低坪量化や、上質紙から中質紙や下級紙へ、あるいは、塗工紙から非塗工紙へ用紙をグレードダウンする動きがある。チラシ用途に使用される微塗工印刷用紙も、低坪量化が進んでいる。
このうち、微塗工印刷用紙の製造では、ブレードコーター、サイズプレスコーター、ゲートロールコーターなどが用いられるのが普通である。ブレードコーターは、サイズプレスコーターやゲートロールコーターなどのロール転写方式とは異なり、ブレードを用いて原紙から塗料を直接掻き落とすので、原紙の坪量が低くなると、紙の強度も低くなり、ブレードタッチ圧の影響でコーターでの断紙の危険性が高まって生産性の悪化に繋がる。
塗工紙の坪量が決まっている場合は、このようなコーターでの断紙を防ぐには、塗工量をなるべく少なくして、その分原紙の坪量を高くして、紙の強度を高くする必要がある。しかし、このようにすると、塗工量が少ないほど塗料による原紙の被覆が不十分となるため、印刷適性にかかわる白紙光沢度などの品質が損なわれてしまう。
顔料粒子の粒径分布が体積基準で0.4〜4.2μmの範囲に65%以上含まれる、坪量50g/m2以下、引張こわさがLorentzen製引張試験機を用いて200kN/m以上400kN/m以下である印刷用塗工紙。実用的な不透明度、相対的に良好なインク着肉性および印刷光沢度が高く、特にオフセット輪転印刷時の断紙が発生しない。(特許文献1)
坪量35〜50g/m2、平均繊維長1.0〜1.5mmに分級選別されたパルプを用い、離解パルプのろ水度が250〜500mlである印刷用微塗工紙。塗工紙でありながら、非塗工紙のように手肉感や印刷作業性に優れる。(特許文献2)
平均粒子径0.9〜3.0μmのカオリンを顔料中50〜100質量%含有。スムースター平滑度が6.0kPa以下、光沢度が45%以上のオフセット印刷用光沢塗被紙。白紙光沢、印刷光沢に優れ、高温ソフトカレンダー処理時に微小な光沢ムラが少ない。(特許文献3)
接着剤を工夫したものとして、接着剤を顔料100重量部に対して30重量部以上60重量部以下の澱粉を有する塗工層を設けた微塗工紙。低坪量においても、印刷・製本作業適性を得ることができ、実用に適した剛度、インキ着肉性が得られ、裏抜けの問題が無い。(特許文献4)
そこで、本願発明では、BKPと漂白TMPの中間的な特徴(白色度と嵩について)のあるチラシ古紙を原料とする脱墨パルプを使用することにより、BKPの減配、漂白TMPの減配、あるいは漂白TMPの白色度ダウンを行い、塗工紙のコストを削減することができる。チラシ古紙とは、財団法人古紙再生促進センター「古紙の統計分類と主要銘柄」によると「色刷りのある中質系コート紙等の古紙」である。
特定の凝結剤を使用し、全パルプの70質量%以上が、雑誌古紙又はチラシ古紙から再生した脱墨パルプ(MDIP)であることを特徴とする紙。
雑誌やチラシに用いられるインキは、新聞インキと比べて低濃度、高粘度であるため、残インキの凝集作用により、異物欠陥が増加しやすい傾向にある。このため、特に雑誌古紙やチラシ古紙を離解・脱墨して得られるパルプを用いた場合において、従来の方法よりも特段に異物欠陥の発生を抑制する効果が高くなることが記載されている。しかし、低坪量の微塗工印刷用紙の白色度、不透明度、白紙光沢度などの光学特性を改良することは記載されていない。(特許文献5)
高白色度、高不透明度を併せ持つ印刷用紙として、次のような特許文献がある。
紫色顔料および/または青色顔料を含有する印刷用紙で、印刷用紙のJIS
P 8150の方法によって測定される紙の色相が、紫外線を含む測定においてb*値が−10以上−0.5未満である印刷用紙が記載されている。(特許文献6)
しかし、この技術は、紫色顔料および/または青色顔料を含有させることで、高白色度および高不透明度を併せ持つ印刷用紙を提供するものであるが、有色顔料の含有量が多くなると、白色度が低くなるし、紙の色目により含有量に上限があるため、白色度、不透明度対策の技術としては限界があるといえる。
白色度が65〜75%、不透明度が85〜95%、白紙光沢度が25〜35%、坪量が40〜60g/m2であることを特徴とする微塗工印刷用紙 である。
本発明の微塗工印刷用紙の製造方法では、ワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパート、リールパートの各工程からなる抄紙機を用いる。抄紙機の型式は特に限定はなく、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等を適宜使用できるが、オントップ型やギャップフォーマー型のツインワイヤー抄紙機が望ましく、特に両面から脱水するギャップフォーマー型抄紙機が望ましい。
さらに、紙に含まれる機械パルプが10〜50質量%となるように調整することにより、低い坪量で不透明度の高い微塗工印刷用紙を製造することができる。紙に含まれる機械パルプが50質量%を超えると微塗工印刷用紙の強度が不足する懸念がある。紙やパルプに含まれる機械パルプの含有率は、JISP8120:1998 紙、板紙及びパルプ繊維組成試験方法により、求めることができる。
填料の種類は特に限定されず、一般に微塗工印刷用紙に使用されている填料を使用することができる。具体的には、炭酸カルシウム、二酸化チタン、タルク、クレー、ホワイトカーボン、シリカ等の無機填料やプラスチックピグメント等を使用することができる。なかでも、白色度が高く、入手の容易な、炭酸カルシウムを使用するのが好ましい。填料の添加量は特に制限は無いが、填料の添加量が過剰になると紙の強度を低下させるので、引張り強さを加味して添加量を決めるのが望ましい。
紙力増強剤としては、カチオン化澱粉、ポリアクリルアミド系樹脂等が使用できるが、本発明の微塗工印刷用紙は、引張り強さ(縦)2.2kN/m以上、伸び(縦)1.5%以上とされていることが望ましい。引張り強さ(縦)が2.2kN/mに満たないと印刷時に断紙しやすく、伸び(縦)が1.5%に満たなくても印刷時に断紙しやすい。
塗料の塗工量が片面あたり5g/m2より少ないと、塗料による原紙の被覆が不十分となるため、白紙光沢度の不足や光沢ムラにより印刷適性が悪くなる。
コーターで塗料を塗工する際の原紙の水分は、4〜7%が望ましい。4%より低いとコーターで紙が裂けやすくなり、7%より高いと塗工後に水分ムラが生じやすく、しわ入りや印刷時のばたつきの原因となる。
NBKP30質量部(510mlCSF、白色度81%)、サーモメカニカルパルプ17質量部(65mlCSF、白色度65%)、古紙脱墨パルプ53質量部(160mlCSF、白色度71.9%)からなるパルプ分散液に、硫酸バンド1.6%(有姿)、カチオン化澱粉(ジー・エス・エル・ジャパン株式会社製 商品名:ジェルトロン24)を0.4%添加して抄紙した。
古紙脱墨パルプは、原料としてチラシ古紙100質量%を使用し、脱墨・漂白処理により白色度を71.9%としたものであり、古紙脱墨パルプのパルプ組成は、N/L/M=20/65/15であった。次に、ショートドゥエルタイプのブレードコーターを用いて、顔料と接着剤を含む塗料を下記条件で、両面に塗工した。
重質炭酸カルシウム(製品名 ハイドロカーブ90HS備北粉化工業株式会社製)50質量部、2級カオリン(製品名 KCS、株式会社イメリスミネラルズ・ジャパン製)15質量部、微粒カオリン(製品名 カオファイン 白石カルシウム株式会社製)35質量部、SBRラテックス(製品名 スマーテックスPA8008 日本エイアンドエル株式会社製)7質量部、尿素燐酸エステル化澱粉(製品名 スターコート16 日本食品化工株式会社製)4.5質量部、分散剤(製品名 アロンT50 東亞合成株式会社製)15質量部(対カオリン)、塗料濃度62%、塗料粘度1250cps、塗工量 片面当たり7.5g/m2、ブレード角度35度
塗料を塗工後に乾燥し、ソフトカレンダー3ニップ処理(線圧160kN/m 温度130℃、線圧170kN/m 温度130℃、線圧150kN/m 温度130℃)を行い、坪量49.0g/m2、水分率5.5%の微塗工印刷用紙を得た。なお、白色度は73.0±1.5%になるように、染料で微調整した。
製造条件と得られた微塗工印刷用紙の評価結果を表1、表2に示す。
パルプ配合を、NBKP30質量部、サーモメカニカルパルプ20質量部、古紙脱墨パルプ40質量部、LBKP10質量部(360mlCSF)とした以外は、実施例1と同様にして微塗工印刷用紙を得た。
パルプ配合を、NBKP30質量部、サーモメカニカルパルプ5質量部、古紙脱墨パルプ60質量部、LBKP5質量部(360mlCSF)とした以外は、実施例1と同様にして微塗工印刷用紙を得た。
パルプ配合を、NBKP30質量部、サーモメカニカルパルプ10質量部、古紙脱墨パルプ60質量部とした。古紙脱墨パルプは、原料としてチラシ古紙50質量%と色上古紙30質量%とケント古紙20質量%を使用し、脱墨・漂白処理により白色度を72.8%としたものであり、古紙脱墨パルプのパルプ組成は、N/L/M=15/75/10であった。その他は、実施例1と同様にして微塗工印刷用紙を得た。
坪量を54.2g/m2とした以外は、実施例1と同様にして微塗工印刷用紙を得た。
パルプ配合を、NBKP30質量部、サーモメカニカルパルプ5質量部、古紙脱墨パルプ50質量部、LBKP15質量部とした。古紙脱墨パルプは、原料として色上古紙60質量%とケント40質量%を使用し、脱墨・漂白処理により白色度を81.6%としたものであり、古紙脱墨パルプのパルプ組成は、N/L/M=6/90/4であった。その他は、実施例1と同様にして微塗工印刷用紙を得た。
パルプ配合を、NBKP30質量部、古紙脱墨パルプ60質量部、LBKP10質量部とした。古紙脱墨パルプは、原料としてチラシ古紙10質量%、色上古紙50質量%とケント40質量%を使用し、脱墨・漂白処理により白色度を80.2%としたものであり、古紙脱墨パルプのパルプ組成は、N/L/M=5/90/5であった。その他は、比較例1と同様に微塗工印刷用紙を得た。
パルプ配合を、NBKP30質量部、古紙脱墨パルプ15質量部、LBKP55質量部とした。その他は、比較例2と同様に微塗工印刷用紙を得た。
(機械パルプ含有率)
JISP8120:1998紙、板紙及びパルプ繊維組成試験方法
(坪量)
JISP8124:1998紙及び板紙−坪量測定方法
(白色度)
JISP8148:2001紙、板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法
(不透明度)
JISP8149:2000紙及び板紙−不透明度試験方法(紙の裏当て)−拡散照射法
(白紙光沢度)
JISP8142:2005紙及び板紙−75度鏡面光沢度の測定方法
Claims (3)
- 機械パルプを7〜20質量%含み白色度が65〜75%に調整された古紙脱墨パルプ20質量%以上と、クラフトパルプと、機械パルプを混合することにより、機械パルプの含有率が10〜50質量%となるように調製された紙料を抄紙し、顔料と接着剤を主成分とする塗料を塗工して、平滑化処理し、白紙光沢度を25〜35%とすることを特徴とする微塗工印刷用紙の製造方法。
- 古紙脱墨パルプが原料として、チラシ古紙を20質量%以上含むことを特徴とする請求項1に記載の微塗工印刷用紙の製造方法。
- 白色度が65〜75%、不透明度が85〜95%、白紙光沢度が25〜35%、坪量が40〜60g/m2であることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法によって製造される微塗工印刷用紙。
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