JP2014088297A - セラミック転動体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 放熱特性が高く、耐久性の高いセラミックボールを提供することを目的とするものである。
【解決手段】 安定化または部分安定化したジルコニアを主成分とし、アルミナを含有するセラミック焼結体からなり、安定化または部分安定化したジルコニアの平均結晶粒子径が0.50μmを超えて0.85μm以下であって、アルミナの平均結晶粒子径よりも大きいことにより、優れた機械的特性を有し、かつ放熱特性を向上することができ、転動する際に生じる摩擦熱を放熱し易くなり、耐久性(寿命)に優れたセラミック転動体を提供することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、転がり軸受等に用いられるセラミック転動体に関する。
転がり軸受等に用いられるセラミック転動体は、スムーズに転がる様に、表面に凹凸がなく、形状に変化がないことが重要である。この様なセラミック転動体は、アルミナ,窒化珪素またはジルコニア等の各種セラミック原料粉末を球状体に成形して焼結し、その後、必要に応じて表面加工を施すことにより作製されることが知られている。
例えば、特許文献1では、セラミック転動体として、体積で20〜80%のアルミナ成分と、体積で80〜20%のジルコニア成分を有するアルミナ−ジルコニア複合体が記載されている。
特開2002-213455号公報
しかしながら、特許文献1で提案されたアルミナ−ジルコニア複合体からなる転動体は、ジルコニアの含有量が少ないと機械的特性が低下し、機械的特性を向上させるためにジルコニアの含有量を増加させると放熱特性が低下する。さらには、ジルコニアが熱により相変態して結晶構造の歪みが生じて、機械的特性が低下するという問題があった。
本発明は、機械的特性に優れ、かつ放熱特性が高く、耐久性(寿命)に優れたセラミック転動体を提供することを目的とするものである。
本発明のセラミック転動体は、安定化または部分安定化したジルコニアを主成分とし、アルミナを含有するセラミック焼結体であり、前記安定化または部分安定化したジルコニアの平均結晶粒子径が0.50μmを超えて0.85μm以下であって、前記アルミナの平均結晶粒子径よりも大きいことを特徴とするものである。
本発明のセラミック転動体によれば、安定化または部分安定化したジルコニアを主成分とし、アルミナを含有するセラミック焼結体からなり、安定化または部分安定化したジルコニアの平均結晶粒子径が0.50μmを超えて0.85μm以下であって、アルミナの平均結晶粒子径よりも大きいことから、優れた機械的特性を有するとともに、放熱特性を向上することができるので、転動する際に生じる摩擦熱を放熱し易くなり、耐久性(寿命)に優れたものとすることができる。
本実施形態のセラミック転動体の一例を示すセラミックボールの断面図である。
以下、本実施形態のセラミック転動体について説明する。
ここで本実施形態のセラミック転動体は、、安定化または部分安定化したジルコニアを主成分とし、アルミナを含有するセラミック焼結体からなり、安定化または部分安定化したジルコニアの平均結晶粒子径が0.50μmを超えて0.85μm以下であって、アルミナの平均結晶粒子径よりも大きいことが重要である。
このような構成とすれば、安定化または部分安定化したジルコニアが主成分であることから、転動する際に生じる摩擦熱によってジルコニアが相変態して結晶構造に歪みを生じることが少なくなり、優れた機械的特性を維持することができる。また、ジルコニアより優れた熱伝導性を有するアルミナを含有することから放熱特性を向上することができる。
そして、安定化または部分安定化したジルコニアの平均結晶粒子径が0.50μmを超えて0.85μm以下であって、アルミナの平均結晶粒子径よりも大きいことから、機械的強度を維持しつつ、結晶粒界を減少させることができ、放熱特性を向上することができる。ここで、安定化または部分安定化したジルコニアの平均結晶粒子径が0.50μmを超えると、セラミック焼結体を構成する結晶間の粒界が減少するので、熱伝導性が良くなり放熱特性が向上するので好ましい。一方で、0.85μmを超えると結晶粒子径が大きくなって機械的強度が低下する傾向があるので、ジルコニアの平均結晶粒子径は0.50μmを超えて0.85μm以下とするのが好ましい。
なお、ここでいう主成分とは、機械的特性と放熱特性の効果を好適に生じさせるために、安定化または部分安定化したジルコニアの量が焼結体の組成に対して70質量%以上であることをいう。
また、本実施形態のセラミック転動体は、アルミナの平均結晶粒子径が0.40μm以上0.75μm以下であることが好ましく、この様な構成であれば、アルミナの平均結晶粒子径が小さいので、アルミナの良好な熱伝導性の低下が抑えられ放熱特性を維持しながら、機械的特性を向上できるので好ましい。特に、アルミナの平均結晶粒子径が0.40μm未満であると結晶を粉砕するための製造上のコストがかかり、0.75μmを超えると上述の効果が減少するので、0.40μm以上0.75μm以下であることが好ましい。
図1は、本実施形態のセラミック転動体の一例を示すセラミックボールの断面図である。本実施形態の一例であるセラミックボール1は、球状のセラミック焼結体からなり、例えば、転がり軸受装置の軸受に用いられ、軸を保持しながら軸に合わせて転動し、軸とセラミックボール1との摩擦や摩耗を少なくして軸の回転や転動を維持するために用いられる。
ここで、図1に示すセラミックボール1は、内部12における平均結晶粒子径が、表層部11における平均結晶粒子径よりも大きいことが好ましい。このような構成とすれば、内部12における結晶粒子間に形成される粒界を減少することができるので、内部12での熱伝導を向上できる。それゆえ、表層部11にて発生した熱が内部12に伝導しやすくなり、セラミックボール1全体に対し熱が均一に蓄積されやすくなり、熱の偏りが少なくなることから熱応力が発生しにくくなり、ジルコニアの結晶相の相変態による歪が発生しにくくなるので、熱的に安定で耐久性の高いセラミックボール1とすることができる。
なお、本実施形態において、表層部11とは、セラミックボール1を断面視して、直径を六等分したときの最外周側となる領域の部分の範囲をいい、残りの部分を内部12としている。
安定化または部分安定化したジルコニアおよびアルミナの平均結晶粒子径と、表層部と
内部の粒径との測定方法は以下のとおりである。
まず、セラミック転動体をグラインダなどで切断し、断面の鏡面研磨を行なう。次に、焼成時の最高温度から50〜100℃低い温度の範囲でファイヤーエッチングをし、走査型電
子顕微鏡(例えば日本電子製のJSM-7001F)で10000倍の倍率で任意の10箇所を撮影し、コード法を用いることで、各結晶の平均結晶粒子径を求めることができる。なお、表層部11および内部12における各結晶の平均結晶粒子径は、表層部11および内部12の任意の箇所において、上記と同様の方法にて各領域の平均結晶粒子径を求めればよい。
なお、コード法で平均結晶粒子径を求めるには、まず撮影した画像に対し直線を引き、この直線が画像上の結晶を横切る場合、結晶を横切る距離をそれぞれの結晶の粒径とみなす。次に、このように測定した結晶の粒径を粒子の個数で除算することによって、平均結晶粒子径を求めることができる。
また、安定化または部分安定化したジルコニアとしては、カルシア,マグネシア,ストロンチア,イットリアおよびセリアから1種類もしくは2種類選択した安定化剤を用いて、安定化または部分安定化されていることが好ましい。ジルコニアを安定化または部分安定化することによって、高温環境下で使用した際に発生する単斜晶から正方晶に変化する相変態に起因するクラックを抑えることができるので、耐久性を向上することができる。特に、安定化剤としてイットリアを選択したならば、ジルコニアの機械的強度が高くできるうえに、原料コストを安く抑えることができる。なお、安定化または部分安定化したジルコニアを100モル%としたとき、ジルコニアを安定化するためには、安定化剤の含有割
合を8モル%以上40モル%未満とし、ジルコニアを部分安定化するためには、安定化剤の含有割合を1モル%以上8モル%未満とすれば良い。
また、本実施形態のセラミック転動体は、セラミック焼結体の組成として安定化または部分安定化ジルコニアの含有量が70質量%以上90質量%以下、アルミナの含有量が10質量%以上30質量%以下を含有することが好ましい。このような構成とすれば、優れた機械的特性を維持しつつ、放熱特性を向上することができる。
ここで、本実施形態のセラミック転動体を構成する成分については、蛍光X線分析法またはICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法により含有量を求めればよい。
以下、本実施形態のセラミック転動体の一例であるセラミックボールを製造する方法の一例を示す。
まず、カルシア,マグネシア,ストロンチア,イットリアおよびセリアから1種類もしくは2種類選択した安定化剤の含有割合が1モル%以上8モル%未満である部分安定化ジルコニアと、アルミナと、焼結助剤となるシリカ,マグネシアおよびカルシアなどの原料粉末を準備する。
ここで、部分安定化ジルコニア原料粉末の比表面積(B.E.T.)は4m/g以上7m/gであり、アルミナ原料粉末の比表面積は1m/g以上2m/g以下が好ましい。この範囲であれば、部分安定化ジルコニアの平均結晶粒子径が0.50μmを超えて0.85μm以下であって、部分安定化ジルコニアの平均結晶粒子径を、アルミナの平均結晶粒子径よりも大きくすることができる。特に、アルミナの平均結晶粒子径を0.40μm以上0.75μm以下とするならば、アルミナ原料粉末の比表面積を1.5m/g以上1.8m/g以下とすればよい。
次に、部分安定化ジルコニア粉末70質量%以上90質量%以下と、アルミナ粉末10質量%以上30質量%以下とを原料粉末とし、この原料粉末100質量%に対して分散剤を0.2質量%以上0.3質量%以下と、シリカ,マグネシアおよびカルシアなどの焼結助剤を1質量%以
上3質量%以下と、粉砕用にアルミナもしくはジルコニアを主成分とするセラミックボールと、水と、を回転ミルに投入して、湿式粉砕を行ない粉砕・混合して原料を得る。
次に、粉砕・混合して得られた原料100wt%に対し、バインダー、可塑剤および離型
剤などの有機成分が2.0wt%以上10.0wt%以下となるように添加する。
次に、粉砕・混合した原料と、添加した有機成分が均一に混合されるように0.5〜2時
間撹拌することによってスラリーを作製し、作製したスラリーをスプレードライヤーを用いて噴霧乾燥することによってラミックス顆粒を作製する。
次に、このセラミックス顆粒を使用し成形体を作製する。成形方法は粉末プレス成形法またはCIP(Cold Isostatic Pressing)法を用いることができるが、セラミックボー
ル1の表層部11よりも内部12の平均結晶粒子径を大きくするには、粉末プレス成形法によって成形することが好ましい。粉末プレス成形法によって成形体を作製すると、成形体のうち、表層部11の密度を内部12の密度よりも高くできるので、焼成時に表層部11が先に焼結し易くなり、内部12が表層部11からの熱を受けて熱が籠り易くなることで、内部12の平均結晶粒子径を表層部11よりも大きくすることができる。なお、このとき用いる金型は、球状の成形体の中心に帯状部を形成することができる金型を使用して作製すればよく、成形体を形成するための成形圧を2.0ton/cm以上2.5ton/cm以下に設定するとともに、プレス装置の下死点でのホールド時間(停止時間)を0.3秒以上1.0秒以下に設定して成形すれば、表層部11の密度が内部12の密度よりも高い成形体を得ることができる。
次に、成形体を焼成した状態のセラミックボール素球を作製する。得られた成形体を大気雰囲気中にて250℃以上450℃以下で脱脂を行なった後、大気雰囲気において最高温度を1500℃以上1600℃以下とし焼成を行なうことが好ましい。また、焼成時間は通常、0.5時
間以上10時間以下の範囲であればよいが、成形体の大きさによって適宜変更すればよい。このようにして、セラミックボール素球を作製することができる。
また、緻密性を得るために必要に応じて、セラミックボール素球に対して100MPa以
上200MPa以下のアルゴン雰囲気中で、最高温度を1350℃以上1600℃以下、焼成時間を0.5時間以上20時間以下でHIP(Hot Isostatic Pressing)処理を施してもよい。特に、風力発電装置用転がり軸受に用いられるような直径が40mm以上60mm以下のセラミックボール用のセラミックボール素球を得るにあたっては、適宜HIP処理を用いればよい。
そして、このようにして作製されたセラミックボール素球を、直径不同が0.1μm、真
球度が0.1μm、算術平均粗さ(Ra)が0.003μmとなるようにバレル研磨、ボール研磨等の仕上げ加工を順次施すことにより、セラミックボール1を得ることができる。なお、直径不同、真球度および算術平均粗さ(Ra)は、JIS B 1501−2009に準拠して測定すればよい。
このようなセラミックボールは、ボールねじ、インバーター、リニアガイドや風力発電機、建設機械または鉄鋼圧延機等で利用される転がり軸受等の転がり支持装置に適用することができる。
なお、ここまでは、セラミック転動体の製造方法の一例として、セラミックボールを用いて説明したが、円柱のコロとしても同様の製造方法で作製することができる。その場合
、算術平均粗さ(Ra)が0.1μmとなるようにバレル研磨、ボール研磨等の仕上げ加工
を順次施すことにより、円柱のコロを得ることができる。なお、算術平均粗さ(Ra)は、JIS B 1506−2005に準拠して測定すればよい。
以下、本発明のセラミック転動体の実施例を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
部分安定化ジルコニアの平均結晶粒子径とアルミナの平均結晶粒子径との関係を異ならせたセラミックボールを作製し、耐久性について確認した。
まず、イットリアを安定化剤とし、その含有割合が3モル%である部分安定化ジルコニアと、アルミナと、焼結助剤となるシリカ,マグネシアおよびカルシアなどの原料粉末を準備した。
なお、部分安定化ジルコニアとアルミナの原料粉末は、セラミック焼結体中の平均結晶粒子径が表1に示した値になるように、比表面積が3.5m/g以上7.5m/gの部分安定化ジルコニアの原料粉末と比表面積が0.8m/g以上2.3m/gのアルミナの原料粉末のものを各試料ごとに準備した。
次に、部分安定化ジルコニア粉末80質量%と、アルミナ粉末20質量%とを原料粉末とし、この原料粉末100質量%に対して分散剤を0.2質量%と、シリカ,マグネシアおよびカルシアなどの焼結助剤を2質量%と、ジルコニアを主成分とする粉砕用ボールと、水と、を回転ミルに投入して、湿式で粉砕・混合して二次原料を得た。
次に、得られた二次原料100質量部に対し、バインダー、可塑剤および離型剤などの有
機成分を添加してスラリーを作製し、作製したスラリーをスプレードライヤーを用いて噴霧乾燥してセラミックス顆粒を作製した。
次に、このセラミックス顆粒を使用し、研磨後の完成球が5/32インチ(直径3.9688mm)となるように成形圧を100MPaとしてCIP(Cold Isostatic Pressing)法によって成形体を作製した。
次に、得られた成形体を大気雰囲気中にて400℃で脱脂を行ない、そして、大気雰囲気
において最高温度を1550℃とし焼成を行なった。さらに、150MPaのアルゴン雰囲気中
で、最高温度を1550℃、焼成時間を1.5時間とし、HIP処理を行なった。このようにし
て、セラミックボール素球を作製した。
そして、このようにして作製されたセラミックボール素球をJIS B 1501−2009に準拠して測定し、直径不同が0.1μm、真球度が0.1μm、算術平均粗さ(Ra)が0.003μ
mとなるようにバレル研磨、ボール研磨等の仕上げ加工を順次施すことにより、試料No.1〜12のセラミックボールを得た。
次に、各試料のジルコニアおよびアルミナの平均結晶粒子径を確認した。
まず、セラミックボールを切断し、断面の鏡面研磨を行なった。次に、焼成温度から70℃低い温度の範囲でファイヤーエッチングをし、走査型電子顕微鏡(日本電子製のJSM-7001F)で10000倍の倍率で10箇所を撮影し、コード法を用いて各結晶の平均結晶粒子径を求めた。
次に、同じ製造方法で作製した試料を転動体として用いた高炭素クロム軸受鋼材(JIS G 4805−2008に記載されている種類の記号がSUJ2である。)からなる軸受を作製し、疲労試験を行なった。条件は下記のとおりである。
最大接触面圧:1.0GPa
軸受回転数:1000rpm
潤滑液:タービン油VG68
温度:室温
そして、振動検出装置により回転中の転がり軸受の振動を監視し、球状体に破損が発生して転がり軸受の振動が所定値を超えた時点で疲労試験を中止するとともに、運転開始から中止するまで試料No.1を配設した転がり軸受の寿命を基準値1として、試料No.2〜12を配設した転がり軸受の寿命の相対値を寿命比として評価した。ここで、疲労試験を中止するまでの時間が転がり軸受の寿命である。
各試料のジルコニアおよびアルミナの平均結晶粒子径と、試料No.1の寿命を1としたときの各試料の寿命比と、を表1に示す。なお、試料No.1の寿命時間は8000時間であった。
Figure 2014088297
アルミナの平均結晶粒子径が部分安定化したジルコニアの平均結晶粒子径より大きい試料No.1に対し、部分安定化したジルコニアの平均結晶粒子径がアルミナの平均結晶粒子径より大きい試料No.2の寿命比は1.05となった。これらに対し、部分安定化したジルコニアの平均結晶粒子径が0.50μmを超えて0.85μm以下であって、アルミナの平均結晶粒子径よりも大きい試料No.3〜6の寿命比は1.4以上となり、耐久性が向上したこ
とが分かった。特に、部分安定化したジルコニアの平均結晶粒子径が0.61μm以上0.75μm以下であって、アルミナの平均結晶粒子径よりも大きい試料No.4,5の寿命比は1.65以上となり、さらに耐久性が向上したことが分かった。
次に、アルミナの平均結晶粒子径が0.34μm、0.78μmである試料No.4,12は寿命比がそれぞれ1.65,1.75であった。これらに対し、アルミナの平均結晶粒子径が、0.40μm以上0.75μm以下である試料No.8〜11の寿命比は1.85以上であり、耐久性が向上したことが分かった。特に、アルミナの平均結晶粒子径が、0.54μm以上0.69μm以下である試料No.9,10の寿命比は2以上であり、耐久性がさらに向上したことが分かった。
以上のことから、安定化または部分安定化したジルコニアを主成分とし、アルミナを含有するセラミック焼結体であり、安定化または部分安定化したジルコニアの平均結晶粒子径が0.50μmを超えて0.85μm以下であって、アルミナの平均結晶粒子径よりも大きいことにより、優れた機械的特性を有するとともに、放熱特性を向上することができるので、転動する際に生じる摩擦熱を放熱し易くなり、耐久性の高いセラミック転動体とすることができることが分かった。
また、セラミック焼結体のアルミナの平均結晶粒子径が0.40μm以上0.75μm以下であることにより、優れた機械的特性を得ることができ、衝撃に対し強くなるので、耐久性の高いセラミック転動体とすることができることが分かった。
図1に示す表層部11と内部12の平均結晶粒子径の関係を異ならせたセラミックボール1を作製し、耐久性について確認した。
まず、実施例1の試料No.9と同じセラミックス顆粒を作製した。
次に、このセラミックス顆粒を使用し、研磨後の完成球が5/32インチ(直径3.9688mm)となるように成形圧を2.1ton/cm、下死点でのホールド時間(停止時間)を0.5秒に設定して粉末プレス法によって成形体を作製した。
次に、得られた成形体を大気雰囲気中にて400℃で脱脂を行ない、そして、大気雰囲気
において最高温度を1550℃とし焼成を行なった後に150MPaのアルゴン雰囲気中で、最
高温度を1550℃、焼成時間を1.5時間とし、HIP処理を行なった。このようにして、セ
ラミックボール素球を作製した。
そして、このようにして作製されたセラミックボール素球を、直径不同が0.1μm、真
球度が0.1μm、算術平均粗さ(Ra)が0.003μmとなるようにバレル研磨、ボール研磨等の仕上げ加工を順次施すことにより、試料No.14のセラミックボール1を得た。なお、試料No.13は実施例1の試料No.9と同じ製造方法で得たものである。
次に、各試料の表層部11および内部12の平均結晶粒子径を確認した。
まず、セラミックボール1を切断し、断面の鏡面研磨を行なった。次に、焼成温度から70℃低い温度の範囲でファイヤーエッチングをし、表層部11および内部12の領域を確定し、各領域において走査型電子顕微鏡(日本電子製のJSM-7001F)で10000倍の倍率で10箇所を撮影し、コード法を用いて各領域の平均結晶粒子径を求めた。
次に、同じ製造方法で作製した試料を用いて実施例1と同じ疲労試験を行なった。
各試料の部分安定化したジルコニアおよびアルミナの平均結晶粒子径、実施例1の試料No.1の寿命を1としたときの各試料の寿命比を表2に示す。
Figure 2014088297
表層部11の平均結晶粒子径が内部12の平均結晶粒子径と同じ試料No.13の寿命比が2であったのに対し、内部12の平均結晶粒子径が表層部11の平均結晶粒子径よりも大きい試料No.14の寿命比は2.3となっており、耐久性が向上したことが分かった。
以上のことから、セラミック焼結体の内部の平均結晶粒子径が、表層部における平均結晶粒子径よりも大きいことにより、表層部にて発生した熱を、内部に伝搬しやすくなり、セラミック転動体全体に対し蓄積される熱が均一化されやすくなり、偏熱部が生じることから熱応力が発生しにくくなり、熱的に安定で耐久性の高いセラミック転動体にすることができることが分かった。
1:セラミックボール
11:表層部
12:内部

Claims (3)

  1. 安定化または部分安定化したジルコニアを主成分とし、アルミナを含有するセラミック焼結体からなり、前記安定化または部分安定化したジルコニアの平均結晶粒子径が0.50μmを超えて0.85μm以下であって、前記アルミナの平均結晶粒子径よりも大きいことを特徴とするセラミック転動体。
  2. 前記アルミナの平均結晶粒子径が0.40μm以上0.75μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のセラミック転動体。
  3. 前記セラミック焼結体の内部における平均結晶粒子径が、前記セラミック焼結体の表層部における平均結晶粒子径よりも大きいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセラミック転動体。
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