JP2014088295A - 硬質脆性板の割断装置 - Google Patents

硬質脆性板の割断装置 Download PDF

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Abstract

【課題】硬質脆性板表面の形状に関わらず、切断面の品質が良好な硬質脆性板の割断装置を提供する。
【解決手段】ガラス基板1に割断線を形成するカッターホイール22と、このカッターホイール22を上記ガラス基板1に対して予め設定された形成すべき割断線2に沿って移動させる移動手段と、空気圧により上記カッターホイール22をガラス基板1に対して上下方向に押圧するエアシリンダ29と、ガラス基板1に対して常時一定の弾性力を付加することができるスプリング36と、上記エアシリンダ29が上下方向に弧を描くことが可能なようにエアシリンダ29を旋回させる旋回アーム25とを備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、液晶パネルや建築用などに使用されるガラス基板等の硬質脆性板を割断するための装置に関し、詳しくは、テーブル上に載置した硬質脆性板上の所望の切断線に沿ってカッターホイールを押圧走行させることにより、当該硬質脆性板を割断するための装置に関するものである。
従来、自動車、建築、産業用の各種ガラス、セラミックガラス等の硬質脆性板を切断するには、手動、自動の何れにおいても、切断ヘッド部材の先端にカッターホイールを取り付けた構造のガラス切断治具を用い、ガラス基板の表面にカッターホイールを押し当てて移動させることにより、カッターホイールの鋭い周縁でガラス基板の表面に所望の割断方向に沿ったスクライブラインを形成するスクライブ工程と、ガラス基板の表面に形成されたスクライブラインに沿った曲げモーメントを付加することによりガラス基板をスクライブラインに沿って割断するブレーク工程とを実行することにより行われる。
ガラス基板の表面にスクライブラインを形成するスクライブ工程では、垂直クラックをガラス基板の表面に対して垂直方向に形成することができれば、後のブレーク工程において、スクライブラインに沿って割断する際の切断面の品質を向上させることができるので、垂直クラックを適正に形成することは重要である。特に、近年、パソコン用、テレビジョン用の液晶ディスプレイにおいては、その表示画面を大型化、高精細化及び軽量化する要求が高まっており、この要求に合わせてガラス基板の大寸法化及び薄型化が進められている。ガラス基板の大寸法化及び薄型化に伴って、ガラス基板を所望の寸法に高精細に割断する高度な基板割断技術が必要であり、ガラス基板の切断面の品質向上への要求はますます強くなっている。
スクライブとブレークによる硬質脆性板の機械的割断は、割断速度が速く、消費エネルギーが小さいという利点はあるが、スクライブ線に沿って好ましくない水平クラックが生成することにより、割断線に沿って欠けや割れが生じることがあるという欠点がある。
欠けや割れを防止して不良品の発生を避け、且つきれいな割断面を得るためには、スクライブ時に水平クラックを発生させないで、できるだけ深い垂直クラックを生成させることが必要である。このための1つの方法として、スクライブ溝を刻設する回転カッターに硬質脆性板の面直角方向の振動を付与することが提案されている(特許文献1)。また、特許文献2には、回転カッターを鋸刃状にすることにより、回転カッターがガラス基板表面を転動したときに、当該ガラス基板に振動的な力を印加させる方法が提案されている。
割断時に割れや欠けが発生しないためのもう1つの重要な要件は、所望の割断線に沿って均一なスクライブ溝(垂直クラック)を形成することである。そのためには、硬質脆性板の表面上を転動する回転カッターの切込量と付加圧力とを割断線の全長に沿って一定に保持することが必要である。スクライブ時に硬質脆性板を載置するテーブルの表面には、加工精度や熱変形に基づくうねりがあり、割断対象である硬質脆性板の厚さにもバラツキがある。従って、スクライブ時に回転カッターが走行する硬質脆性板の表面には、これらのうねりやバラツキの集積による高低差が存在することになる。そこで、回転カッターが被切断面の高低差に滑らかに追従して一定の押圧力及び切込深さが維持されるように、回転カッターを空気付圧装置を介して支持及び付勢する構造が特許文献3に提案されている。
特開平11−157860号公報 特開平9−188534号公報 特開2002−80234号公報
特許文献1や特許文献2に開示されているように、回転カッターを割断しようとする硬質脆性板の略面直角方向に振動させてスクライブ溝の刻設を行う振動スクライブ方法は、数十cm毎秒またはそれ以上の速度で回転カッターを移動させる場合には、割断に有利に作用する深い垂直クラックを生成させることが可能である。しかし、回転カッターの移動速度が数十cm毎秒を下回るとスクライブ溝の深さは大幅に低下し易く、硬質脆性板の切断は難しくなる傾向にある。複雑な曲線切断を実施する際には、装置の機構上、回転カッターの移動速度を数十cm毎秒以下に落とさざるを得ないので、回転カッターを硬質脆性板の表面に押し当てる圧力を高くすれば、スクライブ溝を深くすることができる。しかし、押圧力の増大に伴って硬質脆性板表面のスクライブ溝周辺に発生する微少な割れや欠けが大幅に増大して、切断面の品質が低下してしまう。
また、特許文献3のように、回転カッターを空気付圧装置を介して支持及び付勢しているスクライブ装置においては、回転カッターを割断しようとする硬質脆性板表面のうねりに円滑に追従させるために回転カッターを振動させるための加振装置を設けても、その振動が回転カッターに伝達されないという問題がある。
本発明は従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、硬質脆性板表面の形状に関わらず、切断面の品質が良好な硬質脆性板の割断装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、硬質脆性板に割断線を形成するカッターホイールと、このカッターホイールを上記硬質脆性板に対して予め設定された形成すべき割断線に沿って移動させる移動手段と、空気圧により上記カッターホイールを硬質脆性板に対して上下方向に周期的に押圧する押圧装置と、硬質脆性板に対して常時一定の弾性力を付加することができるスプリングと、上記押圧装置が上下方向に弧を描くことが可能なように押圧装置を旋回させる旋回アームとを備えることを特徴としている。
旋回アームの一端側にカッターホイールが保持され、旋回アームの他端側に旋回アームの旋回中心を有し、カッターホイールの直上方向に押圧装置を備えることが好ましい。
本発明によれば、旋回アームにより押圧装置が上下方向に弧を描くように旋回することにより、カッターホイールが割断線に沿って移動することに伴って押圧装置に負荷される水平方向の抵抗を軽減することができる。しかも、硬質脆性板に対して常時一定の弾性力を付加することができるスプリングを備えることにより、カッターホイールと硬質脆性板とはその弾性力により常に当接状態にあるので、硬質脆性板の表面の凹凸状態に巧みに追従して、割れ目入れが深くきれいに進行した平滑な割断面を得ることができる。
従って、硬質脆性板を載置する定盤の表面の平滑度を向上させなくてもよく、平滑度向上のための処理工程が不要であるから、割断作業のコストを低減することができる。
図1は、本発明の割断装置を含む割断機の一例を示す平面図である。 図2は、図1を右方から見た側面図である。 図3は、本発明の割断装置の一部断面を含む一部透視正面図である。 図4は、ガラス基板の割断面の一例を示す図であり、割断したガラス基板を斜め上方から撮影した写真を150倍に拡大した図である。 図5は、本発明の割断装置による割断パターンを説明する図である。 図6は、従来の割断装置による割断パターンを説明する図である。
以下に、本発明の実施が可能な形態について説明する。当然のことながら、本発明の範囲を逸脱することなく、他の実施形態を利用することもできる。
図1において、1は切断対象であるガラス基板であり、破線2は割断線を示す。3は割断装置本体であり、この割断装置本体3を支持するサポート4は、図2に示すガイドレール5aと5bに沿って両矢視6で示すY軸方向に移動可能である。これらガイドレール5aと5bは一対のスライドブロック7と8に支持されて、ガイドレール9および10に沿って両矢視11で示すX軸方向に移動可能である。
図2において、12はサーボモータで、割断装置本体3を支持するサポート4は、サーボモータ12の回転がラック・ピニオン機構(図示せず)を介してガイドレール5aと5bの支持枠(図示せず)に伝達されることによってガイドレール5aと5bにガイドされて両矢視6で示すY軸方向に移動可能である。13と14は、ガイドレール5aと5bをX軸方向(図1の両矢視11参照)に移動させるためのサーボモータである。サーボモータ12、13および14としては、リニアサーボモータを採用することもできる。サーボモータ13と14の回転は、それぞれベルト15と16によってラック・ピニオン機構17と18に伝達されて、ラック・ピニオン機構17と18によりガイレール5aと5bは、図1に示すガイドレール9および10にガイドされて両矢視11で示すX軸方向に移動することができる。ラック・ピニオン機構17と18としては、タイミングベルトとボールネジ機構を採用することもできる。図2において、19はガラス基板を載置するテーブル(このテーブル19は、予め研磨等の手段により表面が滑らかにされていない)、20は支持台である。
図3において、21はサポート、22はカッターホイール、23はカッターホルダー、24は滑り軸受、25は旋回アーム、26はバランスウエイト、27は旋回アームの旋回中心である。28はエアシリンダ29の保持部材であり、保持部材28はサポート21にサポートされている。30は図示しない高圧エア供給源から供給される高圧エアの供給口である。高圧エア供給口30から供給された高圧エアが空気室31を経てピストン32を押し下げ、さらにピストン32が旋回アーム25に接しているローラ33を下方に押圧することにより、カッターホイール22がテーブル19上にあるガラス基板1を割断することができる。エアシリンダ29の昇降動作は図示しない制御装置によって制御されている。すなわち、高圧エア供給口30から空気室31に対して一定の周期で高圧エアが供給されるように制御されており、その高圧エアの供給タイミングに合わせてピストン32がローラ33を押圧することができる。例えば、その周期は1ミリ秒から100ミリ秒の間で任意に変更することができる。旋回アーム25は保持部材28から延設された一対の介添部材34(図3において、対をなすように、もう一枚の介添部材34が保持部材28から延設されている)で挟持されて、エアシリンダ29の下方への圧力とバランスウエイト26の重量とがバランスをとるように、旋回アーム25は旋回中心27を中心として旋回することができる。35は旋回アーム27を受けるストッパーである。36はスプリングであり、スプリング36の弾性力はポスト37から、旋回アーム25、カッターホルダー23、カッターホイール22を経てガラス基板1に伝達される。さらに、スプリング36はポスト38を経てプレート39に取り付けられ、プレート39はサポート21にサポートされている。
以上のように構成される本発明の硬質脆性板の割断装置を用いてガラス基板を割断する方法を説明する。
まず、図1に示すように、テーブル19上にガラス基板1を載置する。そして、図2に示すサーボモータ12のスイッチをオンにして、図1に示す割断装置本体3を支持するサポート4を、図2に示すガイドレール5aと5bにガイドさせて両矢視6で示すY軸方向に適宜量だけ移動させる。さらに、図2に示すサーボモータ13と14のスイッチをオンにして、ガイドレール5aと5bをガイドレール9と10にガイドさせて図1の両矢視11で示すX軸方向に適宜量だけ移動させる。
次に、図3に示すように、図示しない高圧エア供給源から供給される高圧エアをシリンダ29の高圧エア供給口30に受け入れて、この高圧エアが空気室31を経てピストン32を押し下げ、さらにピストン32が旋回アーム25に接しているローラ33を下方に押圧することにより、カッターホイール22がテーブル19上にあるガラス基板1を一定量切り込むことができる。このようにして、図1に示す割断開始点41が形成され、図1に示す矢視42方向に直線状の割断線を形成する。
このとき、旋回アーム25によりエアシリンダ29が上下方向に弧を描くように旋回することにより、カッターホイール22が割断線に沿って移動することに伴ってエアシリンダ29に負荷される水平方向の抵抗を軽減することができる。しかも、カッターホイール22からガラス基板1に対して常時一定の弾性力を付加することができるスプリング36を備えることにより、カッターホイール22とガラス基板1とはその弾性力により常に当接状態にあるので、ガラス基板1の表面の凹凸状態に巧みに追従して、割れ目入れが深くきれいに進行した平滑な割断面を得ることができる。
図4は、上記のようにして割断したガラス基板の割断面の一例を示す図であり、割断したガラス基板を斜め上方から撮影した写真を150倍に拡大したものである。図4において、40aは割断面、40bはガラス基板の上面を示す。図4に示すように、割断面40aの上側および下側ともに平滑であり、割れ目入れが深くきれいに進行した平滑な割断面であることが分かる。
図5は、本発明の割断装置による割断パターンを説明する図である。図5の横軸は時間、縦軸はカッターホイールからガラス基板に付加される圧力を示し、スプリング36の作用により常に一定の圧力がガラス基板に付加されるので、図4に示すような平滑な割断面を得ることができるのである。しかし、従来の割断装置は、図6に示すような割断パターンであり、図6の横軸と縦軸の意味は図5と同じである。図6に示すように、カッターホイールからガラス基板に付加される圧力が一定の周期ごとにゼロになるので、従来の割断装置では平滑な割断面を得ることは困難である。
以後、上記と同じようにして、図1に示すように、矢視43方向に直線状の割断線を形成し、矢視44方向に直線状の割断線を形成し、矢視45方向に直線状の割断線を形成し、矢視46方向に直線状の割断線を形成し、かくして、図1に示すような割断線2を形成し、この割断線2に沿ってガラス基板1を割断することができる。
本発明は、硬質脆性板の割断線を形成する装置として有用である。
1 ガラス基板
2 割断線
3 割断装置本体
4 サポート
5a、5b ガイドレール
6 両矢視
7 スライドブロック
8 スライドブロック
9 ガイドレール
10 ガイドレール
11 両矢視
12 サーボモータ
13 サーボモータ
14 サーボモータ
15 ベルト
16 ベルト
17 ラック・ピニオン機構
18 ラック・ピニオン機構
19 テーブル
20 支持台
21 サポート
22 カッターホイール
23 カッターホルダー
24 滑り軸受
25 旋回アーム
26 バランスウエイト
27 旋回アームの旋回中心
28 保持部材
29 エアシリンダ
30 高圧エアの供給口
31 空気室
32 ピストン
33 ローラ
34 介添部材
35 ストッパー
36 スプリング
37 ポスト
38 ポスト
39 プレート

Claims (1)

  1. 硬質脆性板に割断線を形成するカッターホイールと、このカッターホイールを上記硬質脆性板に対して予め設定された形成すべき割断線に沿って移動させる移動手段と、空気圧により上記カッターホイールを硬質脆性板に対して上下方向に周期的に押圧する押圧装置と、硬質脆性板に対して常時一定の弾性力を付加することができるスプリングと、上記押圧装置が上下方向に弧を描くことが可能なように押圧装置を旋回させる旋回アームとを備えることを特徴とする硬質脆性板の割断装置。
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