JP2014087506A - ミシン - Google Patents

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Abstract

【課題】、設定された位置まで、精度よく縫製を行うことが可能なミシンを提供する。
【解決手段】ユーザが、超音波ペンで加工布上の縫製の終了位置を指定すると、ミシンはその位置を第一位置として特定し(S6)、縫製が開始される基準位置から第一位置までの第一距離を算出する(S7)。ミシンは、縫製データに従って、基準位置から予定休止位置までの第二距離だけ縫製する処理を行う(S11)。ユーザが超音波ペンで終了位置を再指定すると、ミシンはその位置を第二位置として特定し(S14)、基準位置から実休止位置までの第三距離を算出する(S15)。ミシンは、第二距離と第三距離に基づいて、搬送機構と送り歯による加工布の搬送効率を算出し(S16)、搬送効率に基づいて、残りの第四距離を補正する(S18)。ミシンは、搬送データに従って、補正後の第五距離だけ縫製する処理を行う(S19)。
【選択図】図6

Description

本発明は、ミシンに関する。より詳細には、本発明は、設定された位置まで縫製を行うことが可能なミシンに関する。
予め設定された長さに達するまで縫製を行った後、運転を停止することが可能なミシンが知られている。例えば、特許文献1に開示されたミシンは、布送りピッチを検出し、それに対応する布送りピッチデータを発生する布送りピッチデータ発生器を備える。ミシンは、布送りピッチデータを1針の縫製毎に加算して実際の縫い長さを算出し、算出された実際の長さが予め設定された長さと一致した時に運転を停止する。
特開昭61−247495号公報
上記ミシンの布送りピッチデータ発生器は、布送りピッチとして、実際の加工布の移動量を検出するのではなく、送り調節器によって調節設定された布送りピッチを、送り調節器の傾斜角度位置等に基づいて検出する。しかしながら、加工布の縫い縮み、加工布と送り歯とのスリップによる送り量の損失等の影響で、実際の加工布の移動量と、送り調節器による設定上の布送りピッチは一致しない場合がある。このような場合、ミシンは、設定された長さの縫製が完了した位置で、正確に運転を停止できない可能性がある。
本発明は、設定された位置まで、精度よく縫製を行うことが可能なミシンを提供することを目的とする。
本発明に係るミシンは、搬送手段と、検出手段と、第一特定手段と、第一算出手段と、第一搬送制御手段と、第二特定手段と、第二算出手段と、第三算出手段と、補正手段と、第二搬送制御手段とを備えている。前記搬送手段は、加工布を搬送方向に沿って搬送する。前記検出手段は、超音波を検出する。前記第一特定手段は、前記検出手段によって検出された、加工布上に配置された超音波発信源から発信された超音波に基づいて、前記超音波発信源の位置を第一位置として特定する。前記第一算出手段は、前記第一特定手段によって特定された前記第一位置に基づいて、基準位置から前記第一位置までの距離である第一距離を算出する。前記第一搬送制御手段は、第一データに従って、前記加工布を前記搬送手段に搬送させる。前記第一データは、前記第一算出手段によって算出された前記第一距離よりも短い第二距離だけ前記加工布を搬送するためのデータである。前記第二特定手段は、前記第一搬送制御手段によって前記加工布が搬送された後、前記加工布上に配置された前記超音波発信源から発信された超音波に基づいて、前記超音波発信源の位置を、搬送後の前記第一位置に相当する第二位置として特定する。前記第二算出手段は、前記第一算出手段によって算出された前記第一距離と、前記第二特定手段によって特定された前記第二位置とに基づいて、前記加工布の実際の搬送距離である第三距離を算出する。前記第三算出手段は、前記第一データに基づく前記第二距離と、前記第二算出手段によって算出された前記第三距離とに基づいて、前記搬送手段の搬送効率を算出する。前記補正手段は、前記第三算出手段によって算出された前記搬送効率に基づいて、前記第一距離から前記第三距離を差し引いた距離である第四距離を、第五距離に補正する。前記第二搬送手段は、前記補正手段による補正後の前記第五距離だけ前記加工布を搬送するためのデータである第二データに従って、前記加工布を前記搬送手段に搬送させる。
前記ミシンは、第一データに従って、基準位置から第一位置までの第一距離より短い第二距離だけ加工布を搬送する。このとき加工布の縫い縮みや搬送量の損失等が生じると、搬送手段の搬送効率が100%から低下するので、実際の搬送距離である第三距離は、第二距離とは一致しない。従って、残りの第四距離だけ加工布を搬送するためのデータに従って加工布を搬送したのでは、実際の搬送距離は第四距離に一致せず、縫製の終了位置が第一位置(第二位置でもある)からずれてしまう。そこで本発明のミシンは、第二距離と第三距離とに基づいて算出した搬送効率に応じて残りの第四距離を補正し、補正後の第五距離だけ加工布を搬送するための第二データに従って加工布を搬送する。従って、加工布を残りの第四距離だけ正確に縫製し、第一位置(第二位置でもある)で縫製を終了することができる。
ユーザは、加工布上の縫製を終了したい位置に超音波発信源を配置してミシンに第一位置を特定させ、加工布が第二距離だけ搬送された後、搬送前に配置したのと同じ加工布上の位置に再び超音波発信源を配置してミシンに第二位置を特定させるだけで、かかる処理をミシンに行わせることができる。
ミシン1の正面図である。 受信器94の正面図である。 受信器94の図2のIII−III線矢視方向断面図である。 ミシン1と超音波ペン91の電気的構成を示すブロック図である。 指定位置を示す座標Eの特定方法の説明図である。 縫製終了位置調整処理のフローチャートである。 縫製終了位置調整処理で行われる模様長さ算出処理のフローチャートである。 縫製終了位置調整処理で行われる休止位置決定処理のフローチャートである。 第一距離T、第二距離L2、第三距離L3、第四距離H1、および第五距離H2の関係の説明図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、図1〜図3を参照して、ミシン1の物理的構成について、説明する。図1の上下方向および左右方向が、夫々、ミシン1の上下方向および左右方向であり、図の表面側および裏面側が、夫々、ミシン1の前側および後ろ側である。つまり、後述の液晶ディスプレイ15が配置された面がミシン1の前面である。ベッド部11およびアーム部13の長手方向がミシン1の左右方向であり、脚柱部12が配置されている側が右側である。脚柱部12の伸長方向がミシン1の上下方向である。
ミシン1は、ベッド部11、脚柱部12、およびアーム部13を備える。ベッド部11はミシン1の土台部であり、左右方向に延びる。脚柱部12は、ベッド部11の右端部から上方へ延びる。アーム部13は、ベッド部11に対向して脚柱部12の上端から左方へ延びる。アーム部13の左端部は頭部14である。
ベッド部11の上面には、針板34が配設されている。針板34の下側、つまり、ベッド部11内には、送り歯35(図1では、上端のみ図示)、搬送機構87(図4参照)、搬送モータ82(図4参照)、および釜機構(図示せず)が設けられている。送り歯35は、搬送機構87により駆動され、加工布を所定の搬送方向(ミシン1の前方向又は後ろ方向)に搬送するよう構成されている。搬送機構87は、送り歯35を上下方向および前後方向に移動させる機構である。釜機構には、下糸が巻回されたボビンが収容可能である。釜機構は、後述する針棒29下端に装着された縫針(図示せず)と協働して加工布に縫目を形成するよう構成された機構である。搬送モータ82は、搬送機構87を駆動するパルスモータである。
頭部14の下端部から、針棒29および押え棒31が下方に延びる。針棒29の下端には、縫針(図示せず)が着脱可能である。押え棒31の下端には、加工布を上方から押える押え足30が着脱可能である。頭部14内には、針棒上下動機構86(図4参照)、針棒揺動機構88(図4参照)、揺動モータ83(図4参照)等が設けられている。針棒上下動機構86は、主軸の回転に伴って針棒29を上下動させるよう構成された機構である。針棒揺動機構88は、送り歯35による加工布の搬送方向(前後方向)と直交する方向(左右方向)に針棒29を揺動させるよう構成された機構である。揺動モータ83は、針棒揺動機構88を駆動するパルスモータである。
頭部14の下端の後部には、受信器94および95が設けられている。受信器94と受信器95とは、同一の構成を有する。受信器94は、頭部14の左下端後部に設けられている。受信器95は、頭部14の右下端後部に設けられている。受信器94および95は、頭部14の左右方向の長さ分、左右に離間する。受信器94および95は超音波を検出可能に構成された機器である。受信器94および95の詳細は後述する。
アーム部13は、開閉可能なカバー16を上部に備える。カバー16の下方、つまりアーム部13内の略中央部に、糸駒(図示せず)が収容される。糸駒に巻回された上糸(図示せず)は、糸駒から、頭部14に設けられた所定の経路を経由して、針棒29に装着された縫針に供給される。アーム部13の前面下部には、開始・停止スイッチを含む複数の操作スイッチ21が設けられている。
脚柱部12の前面には、液晶ディスプレイ(以下、LCDという)15が設けられている。LCD15には、コマンド、イラスト、設定値、メッセージ等の様々な項目を含む画像が表示される。LCD15の前面側には、押圧された位置を検知可能なタッチパネル26が設けられている。ユーザが、指や専用のタッチペンを用いてタッチパネル26の押圧操作を行うと、タッチパネル26によって、押圧された位置が検知される。そして、検知された押圧位置に基づき、画像中で選択された項目が認識される。以下、ユーザによるタッチパネル26の押圧操作を、パネル操作と言う。ユーザは、パネル操作によって、縫製したい模様や実行すべきコマンドを選択できる。
脚柱部12の右側面には、コネクタ39および40が設けられている。コネクタ39には、メモリーカード等の外部記憶装置(図示せず)を接続することができる。ミシン1は、コネクタ39に接続された外部記憶装置から、模様の縫製データおよび各種プログラムを取り込むことができる。コネクタ40には、コネクタ916を接続可能である。コネクタ916には、後述する超音波ペン91から延びるケーブル912が連結されている。ミシン1は、コネクタ40、コネクタ916、およびケーブル912を介して超音波ペン91に電力を供給可能、且つ、超音波ペン91から出力される電気信号を取得可能である。
超音波ペン91について説明する。超音波ペン91は、棒状のペン本体910と、ペン本体910の先端に設けられたペン先911を備える。通常、ペン先911はペン本体910から外側に僅かに突出した突出位置にある。ペン先911に対してペン本体910側に向かう方向の力が作用すると、ペン先911はペン本体910に押し込まれる。ペン先911に作用する力が無くなると、ペン先911は突出位置に戻る。
超音波ペン91は、ペン本体910内部に、スイッチ913(図4参照)、信号出力回路914(図4参照)および超音波発信器915(図4参照)を備える。スイッチ913は、ペン先911が突出位置にある時はOFF状態である。スイッチ913がOFF状態の時、信号出力回路914は電気信号を出力せず、超音波発信器915は超音波を発信しない。一方、ペン先911が押圧され、ペン本体910に押し込まれると、スイッチ913はON状態になる。スイッチ913がON状態になると、信号出力回路914はケーブル912を介してミシン1に電気信号を出力し、超音波発信器915は超音波を発信する。
詳細は後述するが、ミシン1は、超音波ペン91から発信された超音波を、受信器94および95で検出(受信)可能である。ミシン1は、検出された超音波に基づいて、超音波の発信源、つまり超音波ペン91に設けられた超音波発信器915の位置を特定することができる。
図2および図3を参照して、受信器94および95について説明する。受信器95の構成は受信器94の構成と同一であるため、説明を省略する。図2の上下方向および左右方向が、夫々、受信機94の上下方向および左右方向であり、図の表面側および裏面側が、夫々、受信機94の前側および後ろ側である。
図2および図3に示すように、受信器94は直方体形状を有し、前面の下端部中央に、楕円形状の開口部941を備える。開口部941の周囲942は、外側程拡大するテーパ面(傾斜面)である。図3に示すように、受信器94の内部には、電気基板943およびマイク944が設けられている。マイク944は、開口部941の内側に位置する。電気基板943の上端の後面に、コネクタ945が実装されている。コネクタ945は、ミシン1に設けられたコネクタ(図示せず)に接続する。受信器94の指向性は、マイク944に対する開口部941の向きで定まる。
図4を参照して、ミシン1の電気的構成について説明する。ミシン1は、CPU61と、バス67によって夫々CPU61に接続されたROM62と、RAM63と、フラッシュROM64と、入出力インターフェイス(I/O)65とを備えている。
CPU61は、ミシン1の主制御を司り、ROM62に記憶された各種プログラムに従って、縫製に関わる各種演算および処理を実行する。ROM62は、図示しないが、プログラム記憶エリアと、模様記憶エリアとを含む複数の記憶エリアを備える。プログラム記憶エリアには、ミシン1を動作させるための各種プログラムが記憶されている。記憶されたプログラムには、例えば、後述する縫製終了位置調整処理をミシン1に実行させるためのプログラムがある。模様記憶エリアには、各種の模様を縫製するための縫製データが記憶されている。
本実施形態では、各模様の縫製データは、送り歯35による加工布の予定搬送量を示す搬送量データを少なくとも含む。より詳細には、予定搬送量は、模様の縫目の夫々を形成する時に必要な、加工布の搬送方向における移動距離(つまり、送り歯35による加工布の搬送距離)の目標値である。よって、各模様の縫製データは、形成される縫目の数と同じ数の搬送量データを含む。本実施形態では、搬送量データとして、加工布を予定搬送量搬送するために搬送モータ82に与えられる駆動パルス数(モータ回転方向を含む)を示すデータが使用されている。模様が、ジグザグ縫い等、縫製時に針棒29の揺動を伴う模様の場合は、縫製データは、搬送量データに加え、針棒揺動機構88による針棒29の予定揺動量を示す揺動量データを含む。例えば、揺動量データは、1つの縫目を形成するために揺動モータ83に与えられる駆動パルス数(モータ回転方向を含む)を示すデータである。
RAM63には、CPU61が演算処理した演算結果等を収容する記憶エリアが必要に応じて設けられる。フラッシュROM64には、ミシン1が各種処理を実行するための各種パラメータが記憶されている。I/O65には、駆動回路71〜74、タッチパネル26、操作スイッチ21、および駆動回路75が接続されている。
駆動回路71には、ミシンモータ81が接続されている。駆動回路71は、CPU61からの制御信号に従ってミシンモータ81を駆動する。ミシンモータ81の駆動に伴い、ミシン1の主軸(図示せず)を介して針棒上下動機構86が駆動され、針棒29が上下動される。駆動回路72には、搬送モータ82が接続されている。駆動回路72は、CPU61からの制御信号に従って搬送モータ82を駆動する。搬送モータ82の駆動に伴い、搬送機構87が送り歯35を上下および前後方向に移動させることで、制御信号に応じた搬送量だけ加工布を搬送させる。駆動回路73には、揺動モータ83が接続されている。駆動回路73は、CPU61からの制御信号に従って揺動モータ83を駆動する。揺動モータ83の駆動に伴い、針棒揺動機構88が針棒29を左右方向に移動させることで、制御信号に応じた揺動量だけ針棒29を揺動させる。駆動回路74は、CPU61からの制御信号に従ってLCD11を駆動することで、LCD11に画像を表示させる。
駆動回路75には、受信器94および95が接続されている。駆動回路75は、CPU61からの制御信号に従って受信器94および95を駆動する。駆動回路75には、受信器94および95で検出された超音波の信号を増幅してCPU61に伝達する増幅回路が含まれる。
図4を参照して、超音波ペン91の電気的構成について説明する。超音波ペン91は、スイッチ913、信号出力回路914、および超音波発信器915を備える。スイッチ913は、信号出力回路914および超音波発信器915と電気的に接続する。信号出力回路914は、I/O65に電気的に接続可能である。信号出力回路914は、I/O65を介してCPU61に電気信号を出力可能である。
図5を参照して、ユーザが超音波ペン91で指定した加工布100上の位置を特定する方法について説明する。ユーザは、超音波ペン91のペン先911を加工布100に押し当てることによって、加工布100上の任意の位置を指定する。以下、ペン先911が押し当てられた加工布100上の位置を、指定位置ともいう。ミシン1のCPU61は、超音波の発信源の位置を特定することによって指定位置を特定する。このため厳密には、CPU61が特定するのは、ペン先911が押し当てられた加工布100上の位置ではなく、超音波ペン91の超音波発信器915の位置である。しかしながら、ペン先911と超音波発信器915とは非常に近接して配置されている。このため、超音波発信器915の位置を、ペン先911が押し当てられた加工布100上の位置、すなわち指定位置として見做すことができる。
ミシン1は、指定位置をワールド座標系の3次元の座標(X座標、Y座標、およびZ座標)で特定する。本実施形態のミシン1では、ワールド座標系の原点(0,0,0)は、針穴32の中心点に設定され、ミシン1の左右方向、前後方向、および上下方向が夫々、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向として設定されている。図5では、図の左右方向および上下方向が、それぞれ、X軸方向およびY軸方向に相当し、図に垂直な方向が、Z軸方向に相当する。針穴32は、針板34(図1参照)の針棒29の直下の位置に形成された、針棒29に装着された縫針(図示せず)が縫製時に上下方向に通過する穴である。
Z座標が0である面が、針板34の上面を示す。受信器94のマイク944の位置を示す座標Bを、(Xb,Yb,Zb)とする。受信器95のマイク944の位置を示す座標Cを、(Xc,Yc,Zc)とする。座標B(Xb,Yb,Zb)および座標C(Xc,Yc,Zc)は、ROM62に予め記憶される。受信器94および95のZ座標は、いずれも針板34の上面に対する受信器94および95のマイク944の高さを表す。指定位置を示す座標Eを、(Xe,Ye,Ze)とする。座標Eと座標Bとの間の距離を、距離EBといい、座標Eと座標Cとの間の距離を、距離ECという。
距離EB、ECは、三平方の定理に基づき、座標B、C、Eによって表すことができる。距離EB、座標B、および座標Eは、以下の式(1)の関係を満たす。同様に、距離EC、座標C、および座標Eは、以下の式(2)の関係を満たす。
(Xb−Xe)+(Yb−Ye)+(Zb−Ze)=(EB)・・・(1)
(Xc−Xe)+(Yc−Ye)+(Zc−Ze)=(EC)・・・(2)
なお、式(1)は、半径が距離EBであり、座標Bを中心点とし、座標Eを通る球面の方程式と同一である。同様に(2)は、半径が距離ECであり、座標Cを中心点とし、座標Eを通る球面の方程式と同一である。
超音波が進行する速度を、音速Vとする。座標Eを指定した超音波ペン91から超音波が発信されてから、受信器94および95が超音波を検出するまでに要する時間を、夫々、伝達時間TbおよびTcとする。この場合、距離EBおよびECは、夫々、以下の式(3)および(4)で表すことができる。
EB=V×Tb・・・(3)
EC=V×Tc・・・(4)
上記式(1)および(2)に、式(3)および(4)を夫々代入することによって、以下の式(5)および(6)が得られる。
(Xb−Xe)+(Yb−Ye)+(Zb−Ze)=(V×Tb)・・・(5)
(Xc−Xe)+(Yc−Ye)+(Zc−Ze)=(V×Tc)・・・(6)
式(5)および(6)のうち、座標B(Xb,Yb,Zb)、座標C(Xc,Yc,Zc)、および音速Vは既知の値であり、ROM62に記憶されている。超音波ペン91の超音波発信器915から超音波が発信された時刻を発信時刻T1、受信器94および95が超音波を検出した時刻を、夫々、検出時刻T2bおよび検出時刻T2cとすると、伝達時間TbおよびTcは、夫々、発信時刻T1と、検出時刻T2bおよび検出時刻T2cとの差を算出することで特定できる。本実施形態では、送り歯35は加工布をZ方向(ミシン1の上下方向)には移動させないので、加工布100の厚みが無視できる範囲であれば、加工布100の上面の位置のZ座標は0とすればよい。よって、CPU61は、式(5)および(6)の連立方程式と、受信器94および95の指向性とに基づき、座標E(Xe,Ye,Ze)(Ze=0)を算出することができる。
図6〜図9を参照して、本実施形態における縫製終了位置調整処理について説明する。縫製終了位置調整処理は、ユーザが、例えばパネル操作によって超音波ペン91を使用して縫製終了位置を調整する処理を開始する指示を入力した場合に開始される。この処理を実行するためのプログラムは、ROM62(図4参照)に記憶されており、CPU61によってRAM63に展開され、実行される。
図6に示すように、CPU61はまず、ユーザによって縫製対象として選択された模様(以下、選択模様という)を特定する(S1)。具体的には、例えば、ROM62に縫製データが記憶されている、ミシン1で縫製可能な複数の模様を示す画面が、LCD15に表示される。ユーザが表示された模様のうち1つをパネル操作で選択すると、その模様が選択模様として特定され、その縫製データがROM62から読み出され、RAM63に記憶される。なお、縫製対象として複数の模様が選択された場合、選択模様は複数の模様を含む。この場合、CPU61は、複数の模様の縫製データを選択された順にRAM63にするとともに、選択された模様の数Mを示すデータをRAM63に記憶する。
CPU61は、模様長さ算出処理を行う(S2、図7)。模様長さ算出処理は、選択模様の縫製データに基づいて、搬送方向における選択模様全体の長さ(以下、選択模様長さという)を算出する処理である。図7に示すように、模様長さ算出処理では、CPU61は、選択模様長さを特定するための変数Dに0を設定して初期化する(S21)。CPU61は更に、選択模様に含まれる個々の模様の搬送方向における長さ(以下、個別模様長さという)を特定するための変数Fに0を設定して初期化する(S22)。
CPU61は、S1でRAM63に記憶された選択模様の縫製データのうち、最初の模様の縫製データを処理対象として選択する(S23)。CPU61は更に、処理対象の模様の縫製データに含まれる、最初の搬送量データを選択し(S31)、搬送量データに基づいて、縫目1つ分の搬送距離fを算出する(S32)。CPU61は、RAM63に記憶された変数Fに、算出された搬送距離fの値を加算して更新する(S33)。
CPU61は、処理対象の模様の搬送量データを全て処理したか否かを判断する(S34)。例えば、CPU61は、処理済みの搬送量データの数をカウントし、処理対象の模様の縫製データに含まれる搬送量データの数と比較することで、搬送量データを全て処理したか否かを判断できる。CPU61は、未処理の搬送量データがあれば(S34:NO)、未処理の搬送量データのうち、次の縫目に対応するデータを選択し(S36)、処理をS32に戻す。CPU61は、未処理のデータがなくなるまで、前述のように縫目1つ分の搬送距離fを順に算出し、変数Fに加算する処理を繰り返す。処理対象の模様の全ての搬送量データの処理を完了すると(S34:YES)、変数Fは、模様1個分の搬送距離を示す値となる。よって、CPU61は、RAM63に記憶された変数Dに、変数Fを加算して更新する(S38)。また、CPU61は、処理が完了した模様について、選択模様中何番目の模様か識別する値と変数Fの値とを対応づけ、Fn(n=1〜M)としてRAM63に記憶する。
CPU61は、選択模様に含まれる模様を全て処理したか否かを判断する(S41)。例えば、CPU61は、処理済みの模様の数をカウントし、選択模様に含まれる模様の数Mと比較することで、全ての模様を処理したか否かを判断できる。CPU61は、未処理の模様があれば(S41:NO)、未処理の模様のうち、選択順が次の模様を選択し(S42)、処理をS31に戻す。CPU61は、未処理の模様がなくなるまで、前述のように、各模様の搬送距離Fを順に算出し、変数Dに加算する処理を繰り返す。未処理の模様がなくなると(S41:NO)、変数Dは、選択模様に含まれる模様M個分の搬送距離、つまり、選択模様長さを示す値となる。CPU61は、図7の模様長さ算出処理を終了し、図6の縫製終了位置調整処理に戻る。
図6に示すように、CPU61は、模様長さ算出処理(S2)に続いて、縫製の終了位置を指定するようユーザに促すための情報を報知する(S3)。S3では、例えばCPU61は、超音波ペン91で選択模様の縫製を終了させたい位置を指定するよう促すメッセージ画面をLCD15に表示させる。ユーザは、このメッセージに従って、加工布上の、選択模様の縫製を終了させたい位置(以下、単に終了位置という)に超音波ペン91のペン先911を押し当てればよい。
CPU61は、終了位置の指定が完了したか否かを判断する(S4)。ペン先911が加工布に押し当てられた時、信号出力回路914(図4参照)は、ケーブル912を介して電気信号を出力する。同時に、超音波発信器915(図4参照)は、超音波を発信する。CPU61は、信号出力回路914から出力された電気信号を検出した時刻を、発信時刻T1として特定する。CPU61は、受信器94および95が超音波を検出したことを認識した時刻を、夫々、検出時刻T2bおよびT2cとして特定する。よって、CPU61は、発信時刻T1ならびに検出時刻T2bおよびT2cの何れかが特定されない間は、指定が完了していないと判断し、待機する(S4:NO)。
CPU61は、発信時刻T1ならびに検出時刻T2bおよびT2cを全て特定した場合、指定が完了したと判断する(S4:YES)。CPU61は、前述の連立方程式と、受信器94および95の指向性とに基づき、指定位置の座標を特定する(S6)。以下では、S6で座標が特定される、縫製開始前に特定された指定位置を第一位置E1という。CPU61は、縫製が開始される基準位置Sから第一位置E1までの長さを、選択模様の縫製が行われる長さである第一距離Tとして算出する(S7)。縫製が開始される基準位置Sは、縫針が下降して最初に加工布に刺さる位置であるから、針穴32の中心点、つまりワールド座標系の原点である。よって、CPU61は、S6で特定された第一位置E1の座標に基づいて、原点と第一位置E1との距離を、第一距離Tとして算出することができる。
CPU61は、休止位置決定処理を行う(S8、図8)。休止位置決定処理は、予定休止位置Bを決定する処理である。図9に示すように、予定休止位置Bとは、送り歯35による実際の搬送効率を調べて、縫製が行われる残りの長さを調整するために、基準位置Sと第一位置E1の間で縫製が一旦休止される予定位置である。
図8に示すように、休止位置決定処理では、CPU61はまず、予定休止位置Bを決定するための、基準位置Sからの目安の距離L1を算出する(S81)。詳細には、CPU61は、S7で算出された第一距離Tに係数qを乗じることで、距離L1を算出する。係数qは、0より大きく1より小さい任意の値であって、予め定められてフラッシュROM64に記憶された値(例えば、0.5)でもよいし、S81の処理の前にミシン1のユーザによって指定された値でもよい。現実的には、予定休止位置Bは、縫製が行われる残りの長さを調整するために縫製が一旦休止される位置なので、0または1に近すぎる値は好ましくない。
CPU61は、変数Yに、算出された距離L1の値を設定し、RAM63に記憶する(S82)。変数Yは、距離L1のうち、選択模様が縫製されない長さをカウントするための変数である。CPU61は、距離L1をS2の模様長さ算出処理で算出された選択模様長さDで割ることで、距離L1におさまる選択模様の数、つまり、選択模様が繰り返し縫製される繰り返し回数Kを算出する(S83)。CPU61は、RAM63に記憶された変数Yから、算出された繰り返し回数Kに選択模様長さDを乗じて得られた値を差し引くことで、変数Yを更新する(S84)。つまり、ここで更新された変数Yは、選択模様がK回繰り返し縫製された時の距離L1の残りの長さを示す。
CPU61は、選択模様中、最初の模様を処理対象として選択する(S86)。CPU61は、前述のS38で記憶したFnの値、つまり、n番目(最初の処理ではn=1)の模様1個分の搬送距離を示す値が、変数Yよりも大きいか否かを判断する(S87)。Fnが変数Y以下の場合(S87:NO)、処理対象の模様が縫製されても、縫製された模様全体の長さは距離L1を超えない。よって、CPU61は、変数YからFnを差し引くことで、変数Yを更新する(S88)。CPU61は、選択模様に含まれる模様を全て処理したか否かを判断する(S90)。CPU61は、未処理の模様があれば(S90:NO)、未処理の模様のうち次の模様を選択し(S91)、処理をS87に戻す。
Fnが変数Yよりも大きい場合(S87:YES)、処理対象の模様が縫製されると、全体の長さが距離L1を超えるので、処理対象の模様は縫製されない。よってCPU61は、処理を後述のS93に進める。なお、本実施形態では、全ての模様の処理が完了する前に、必ず全体の長さが距離L1を超えるので、CPU61は、全ての模様の処理が完了した(S90:YES)と判断することはない。
S93において、CPU61は、変数Nに変数Yを設定してRAM63に記憶するとともに、変数Pに、処理対象のn番目の模様1個分の搬送距離Fnから変数Nを差し引いて得られた値を設定してRAM63に記憶する(S93)。基準位置から距離L1離れた位置をLとすると、変数Nは、位置Lから基準位置に向かう方向において、位置Lから最も近い模様の区切り位置P1までの距離を示す。変数Pは、位置Lから基準位置とは逆に向かう方向において、位置Lから最も近い模様の区切り位置P2までの距離を示す。なお、位置Lから基準位置に向かう方向において、位置Lから最も近い模様の区切り位置P1は、位置Lより前に縫製される最後の模様の最後の針落ち点の位置である。位置Lから基準位置とは逆に向かう方向において、位置Lから最も近い模様の区切り位置P2は、位置Lを通過して縫製される模様の最後の針落ち点の位置である。
変数Pが変数Nよりも大きい場合(S94:YES)、区切り位置P1とP2のうち、基準位置側にあるP1の方が位置Lに近いので、CPU61は、位置P1を予定休止位置Bとして決定し、距離L1から変数Nを差し引いて得られた値を、基準位置Sから予定休止位置Bまでの予定搬送距離である第二距離L2として、RAM63に記憶する(S95)。また、CPU61は、予定休止位置Bまでの縫製で最後に使用される縫製データ、つまり、区切り位置P1を規定する模様の最後の縫製データを特定し、その縫製データを識別するデータを、繰り返し回数KとともにRAM63に記憶する。CPU61は、図8の休止位置決定処理を終了し、図6の縫製終了位置調整処理に戻る。
変数Pが変数N以下の場合(S94:NO)、区切り位置P1とP2のうち、位置Lから区切り位置P1およびP2までの夫々の距離は同じか、基準位置とは反対側にあるP2の方が位置Lに近い。この場合、CPU61は、位置P2を予定休止位置Bとして決定し、距離L1に変数Pを加算して得られた値を、基準位置Sから予定休止位置Bまでの第二距離L2として、RAM63に記憶する(S96)。また、CPU61は、予定休止位置Bまでの縫製で最後に使用される縫製データ、つまり、区切り位置P2を規定する模様の最後の縫製データを特定し、その縫製データを識別するデータを、繰り返し回数KとともにRAM63に記憶する。CPU61は、図8の休止位置決定処理を終了し、図6の縫製終了位置調整処理に戻る。
図6に示すように、CPU61は、休止位置決定処理(S8)の後、ユーザがミシン1の開始・停止スイッチを押圧したことを検知すると、選択模様の縫製データに従って、予定休止位置Bまで縫製処理を行う(S11)。
具体的には、CPU61は、駆動回路71を介してミシンモータ81(図4参照)を駆動し、主軸(図示せず)を回転駆動させる。主軸の回転によって針棒上下動機構86(図4参照)が駆動され、縫針(図示せず)が装着された針棒29を上下動させる。また、ミシンモータ81の駆動によって針棒29の上下動と同期して釜駆動機構(図示せず)が駆動され、釜が回転駆動される。更に、CPU61は、縫製データに含まれる搬送量データに従って、駆動回路72を介して搬送モータ82(図4参照)を駆動する。これにより、針棒29の上下動と同期して送り歯35が移動される。縫製データに揺動量データが含まれる場合は、CPU61は、揺動量データに従って駆動回路73を介して揺動モータ83(図4参照)を駆動し、送り歯35による加工布の搬送と同期して針棒29を揺動させる。
CPU61は、縫製データを順に読み出して処理を繰り返すことで、ミシン1に選択模様の縫目を形成させる。そして、CPU61は、S95またはS96で記憶された繰り返し回数Kに1を加算した回数だけ、識別データが示す縫製データに従った縫目を形成し終わると、予定休止位置Bまでの縫製が完了したと判断し、縫製処理を休止する。
CPU61は、縫製の終了位置を再度指定するようユーザに促すための情報を報知する(S12)。S12では、例えばCPU61は、超音波ペン91を使用して、S3で指定したのと同じ位置を終了位置として指定するよう促すメッセージ画面をLCD15に表示させる。ユーザは、このメッセージに従って、加工布上の、終了位置に超音波ペン91のペン先911を押し当てればよい。
CPU61は、S4と同様の方法で、終了位置の指定が完了したか否かを判断する(S13)。CPU61は、終了位置の再指定が完了していない間は待機する(S13:NO)。CPU61は、終了位置の再指定が完了したと判断した
場合(S13:YES)、S6と同様の方法で、指定位置の座標を特定する(S14)。以下では、S15で座標が特定される、縫製が休止された後に特定された指定位置を第二位置E2という。本実施形態では、ユーザがS3とS12で指定する終了位置は同一である、つまり、第一位置E1と第二位置E2は同一であることを前提として、以降の処理が行われる。
なお、ユーザに、S3とS12とで加工布上の同じ終了位置を正確に指定させるために、CPU61は、S3で、超音波ペン91で終了位置を指定する前に、終了位置にチャコペンで予め印をつけるよう促すメッセージをLCD15に表示させてもよい。または、超音波ペン91のペン先911に、加工布に押し当てられた時、水溶性のインクを少量吐出するよう構成されたインク吐出部が設けられてもよい。加工布自体に模様がプリントされている場合や加工布自体が織り柄を有する場合には、ユーザは、加工布上で識別可能な目印を終了位置として指定すれば、別途印をつける必要はない。
CPU61は、縫製が開始された基準位置Sから縫製が実際に休止された位置である実休止位置B'までの長さ、つまり、S11で実際に加工布が送り歯35によって搬送された距離を、第三距離L3(図9参照)として算出する(S15)。
詳細には、CPU61は、次の手順で第三距離L3を算出することができる。S11で縫製処理が休止された時点で、実休止位置B'は縫針の直下、つまり針穴32の中心点の真上にある。つまり、実休止位置B'は原点にある。よって、CPU61は、S14で特定された第二位置E2の座標に基づいて、原点から第二位置E2までの距離を、実休止位置B'から第二位置E2までの第四距離H1(図9参照)として算出する。前述の通り、本実施形態では、ともに終了位置として指定された第一位置E1と第二位置E2とは同一位置として扱われるので、基準位置Sから第二位置E2までの距離は、S7で算出された基準位置Sから第一位置E1までの第一距離Tである。よって、CPU61は、第一距離Tから第四距離H1を差し引いた距離を、第三距離L3として算出する。
CPU61は、第二距離L2と第三距離L3とに基づいて、搬送機構87および送り歯35による加工布の搬送効率Rを算出する(S16)。具体的には、CPU61は、搬送効率Rとして、第三距離L3を第二距離L2で割った値(L3/L2)を算出する。CPU61は、搬送効率Rが1であるか否かを判断する(S17)。
搬送効率Rが1でない、つまり100%ではない場合(S17:NO)、縫製データ中の搬送量データが規定する搬送距離の目標値(予定搬送距離)と実際の搬送距離とが一致していない状態、つまり、図9に示すように、基準位置Sから予定休止位置Bまでの第二距離L2と、基準位置Sから実休止位置B'までの第三距離L3が一致しない状態に相当する。この状態は、実際には、加工布の縫い縮み、加工布と送り歯とのスリップによる搬送量の損失等、様々な原因で起こりうる。一般的には、第三距離L3の方が第二距離L2より短くなる場合が多い。つまり、搬送効率は1より小さくなることの方が、1より大きくなる場合よりも多い。
搬送効率Rが1でない場合(S17:NO)、CPU61は、搬送効率Rに基づいて、終了位置である第二位置E2までの残りの距離、つまり実休止位置B'から第二位置E2までの第四距離H1を補正する(S18)。具体的には、CPU61は、搬送効率Rの逆数である1/Rを第四距離H1に乗じることで、第四距離H1を第五距離H2に補正し、予定終了位置E2'を設定する。図9に示すように、搬送効率が1より小さい場合、第五距離H2は第四距離H1よりも長くなる。
CPU61は、実休止位置B'から予定終了位置E2'までの第五距離H2を予定搬送距離として、縫製データに従って縫製処理を行い、予定終了位置E2'で縫製を停止する(S19)。CPU61は、S11で予定休止位置Bまでの縫製で使用済みのデータの次の縫製データから順に縫製に使用するものとして、前述のS8〜S9と同様の方法を使用して、第五距離H2だけ縫製して縫製を停止するための縫製データを特定すればよい。
なお、終了位置で正確に縫製を停止するためには、CPU61は、休止位置特定処理(図6参照)と同様の処理で、模様1個毎の長さに代えて縫目1つ毎の長さに基づき最後の縫製データを決定することが望ましい。一方、模様の途中の縫目で縫製を終了せず、終了位置に最も近い模様の区切り位置で縫製を終了するためには、休止位置決定処理と同様の処理を行うだけでよい。あるいは、CPU61は、第五距離H2におさまる選択模様の数を算出し、対応する搬送量データが示す搬送距離の目標値が第五距離H2に等しくなるように、搬送量データの各々を補正してもよい。
前述の通り、第五距離H2は搬送効率Rに応じて補正されているので、縫製データに従って予定終了位置E2'まで縫製が行われると、実際に縫製が停止される位置は予定終了位置E2'ではなく、第二位置E2'となる。つまり、ユーザが指定した終了位置で正確に縫製を終了させることができる。
一方、搬送効率Rが1である、つまり100%である場合(S17:YES)、予定搬送距離と実際の搬送距離とが一致している状態である。よって、実休止位置B'から第二位置E2までの第四距離H1を補正せずに縫製を行っても、第二位置E2がずれることはない。従って、CPU61は、第二位置E2をそのまま予定終了位置として、S1でRAM63に記憶された縫製データのうち未処理のデータに従って第四距離H1だけ縫製処理を行い、予定終了位置である第二位置E2で縫製を停止する(S20)。S20の縫製処理の内容は、予定終了位置までの距離が異なる以外、S19と同じである。
以上に説明したように、本実施形態のミシン1は、まず、縫製が開始される基準位置Sから予定休止位置Bまで加工布を搬送するための搬送量データに従って、第二距離L2だけ加工布を搬送する。このとき加工布の縫い縮みや搬送量の損失等が生じると、搬送機構87および送り歯35の搬送効率が100%から低下するので、実際の搬送距離である第三距離L3は、第二距離L2より短くなる。従って、残りの第四距離H1だけ加工布を搬送するための搬送量データに従って加工布を搬送したのでは、実際の搬送距離は第四距離H1に一致せず、縫製の実際の終了位置が、指定された終了位置である第二位置E2からずれてしまう。
そこで、本実施形態のミシン1は、第二距離L2と第三距離L3とに基づいて算出した搬送効率Rに応じて残りの第四距離H1を補正し、補正後の第五距離H2だけ加工布を搬送するための搬送量データに従って加工布を搬送する。従って、ミシン1は、実際には、加工布を残りの第四距離H1だけ正確に縫製し、指定された終了位置である第二位置E2で縫製を終了することができる。
ユーザは、加工布上の縫製を終了したい位置に超音波ペン91のペン先911を配置して、ミシン1に第一位置E1を特定させる。更に、ミシン1によって加工布が第二距離L2だけ搬送されながら縫製が行われた後、搬送前に配置したのと同じ加工布上の位置に再び超音波ペン91のペン先911を配置して、ミシン1に第二位置E2を特定させる。ユーザは、かかる超音波ペン91の操作だけで、前述の処理をミシン1に行わせることができる。特に、本実施形態では、第一位置E1が特定される前と、加工布が第二距離L2搬送された後の夫々で、LCD15に、超音波ペン91で縫製を終了したい位置を指定するよう促すメッセージが表示される。従って、ミシン1は、ユーザに終了位置を指定すべきであることを適切な時に認識させ、終了位置を正しく指定させることができる。
本実施形態では、基準位置Sから予定休止位置Bまでの第二距離L2は、距離L1に最も近い模様の区切り位置までの距離である。距離L1は、基準位置Sから第一位置E1までの第一距離Tに、1より小さい係数qを乗じて得られた距離である。よって、ミシン1に適切な係数qを設定することで、ミシン1に縫製の開始位置である基準位置Sから終了位置であるE1(E2)までの間の適切な位置で縫製を休止させることができる。また、ミシン1は、模様の縫製途中ではなく、模様の区切り位置で縫製を休止するので、模様の形状を良好に維持することができる。
本実施形態では、搬送機構87および送り歯35は、本発明の搬送手段の一例である。受信器94および95は、検出手段の一例である。図6のS6で第一位置E1を特定するCPU61は、第一特定手段の一例である。S7で第一距離Tを算出するCPU61は、第一算出手段の一例である。S11で予定休止位置Bまで搬送機構87および送り歯35に加工布を搬送させるCPU61は、第一搬送制御手段の一例である。S14で第二位置E2を特定するCPU61は、第二特定手段の一例である。S15で第三距離L3を算出するCPU61は、第二算出手段の一例である。S16で搬送効率Rを算出するCPU61は、第三算出手段の一例である。S18で第四距離H1を第五距離H2に補正するCPU61は、補正手段の一例である。S19で予定終了位置E2'まで搬送機構87および送り歯35に加工布を搬送させるCPU61は、第二搬送制御手段の一例である。
図6のS2で模様長さ算出処理を行うCPU61は、第三特定手段の一例である。S8で休止位置決定処理を行うCPU61は、設定手段の一例である。LCD15は、報知手段の一例である。図6のS3で終了位置を指定するようユーザを促すメッセージをLCD15に表示させるCPU61は、第一報知制御手段の一例である。S12で終了位置を再指定するようユーザを促すメッセージをLCD15に表示させるCPU61は、第二報知制御手段の一例である。
上記実施形態に対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態の終了位置調整処理は、上記実施形態で例示されたミシン1に限らず、所定の搬送方向に加工布を搬送しながら縫製を行うよう構成されたその他のミシンにも適用可能である。例えば、複数の針棒を有する多針ミシンに適用されてもよい。刺繍枠を装着可能、且つ、刺繍枠をX軸方向およびY軸方向に移動しながら縫製を行うことが可能な刺繍ミシンにおいて、一定方向に刺繍枠を移動しながら縫製を行う場合にも適用可能である。
CPU61は、第二距離L2を必ずしも係数qを用いて算出する必要はなく、ユーザがパネル操作で指定した値に基づき、第二距離L2を設定してもよい。CPU61は、第二距離L2を必ずしも選択模様中の模様の区切り位置に基づいて設定する必要はなく、選択模様の区切り位置、または模様の途中の縫目の区切り位置に基づいて設定してもよい。CPU61は、第二距離L2を設定する時に、必ずしも係数qを用いる必要はない。例えば、ユーザがパネル操作で選択模様の個数を指定し、CPU61は、指定された個数分の選択模様の全長が第一距離Tよりも小さければ、指定された個数分の選択模様の全長をそのまま第二距離L2として採用してもよい。
上記実施形態の模様長さ算出処理(図7参照)では、各模様の縫製データに基づいて、各模様の搬送方向における長さが算出される例を説明したが、予め、ROM62またはフラッシュROM64に、各模様の搬送方向における長さが縫製データに対応付けて記憶されていてもよい。
終了位置を指定するようユーザを促す情報は、LCD15に表示されるメッセージである必要はない。例えば、ミシン1にスピーカを設け、CPU61がスピーカから音声メッセージを出力させることで報知してもよい。ミシン1にLEDランプを設け、CPU61がLEDランプを点滅させることで報知してもよい。終了位置を指定するようユーザを促す情報の報知は、必ずしも行われる必要はない。
1 ミシン
15 液晶ディスプレイ
35 送り歯
61 CPU
86 搬送機構
94、95 受信器

Claims (4)

  1. 加工布を搬送方向に沿って搬送する搬送手段と、
    超音波を検出する検出手段と、
    前記検出手段によって検出された、加工布上に配置された超音波発信源から発信された超音波に基づいて、前記超音波発信源の位置を第一位置として特定する第一特定手段と、
    前記第一特定手段によって特定された前記第一位置に基づいて、基準位置から前記第一位置までの距離である第一距離を算出する第一算出手段と、
    前記第一算出手段によって算出された前記第一距離よりも短い第二距離だけ前記加工布を搬送するためのデータである第一データに従って、前記加工布を前記搬送手段に搬送させる第一搬送制御手段と、
    前記第一搬送制御手段によって前記加工布が搬送された後、前記加工布上に配置された前記超音波発信源から発信された超音波に基づいて、前記超音波発信源の位置を、搬送後の前記第一位置に相当する第二位置として特定する第二特定手段と、
    前記第一算出手段によって算出された前記第一距離と、前記第二特定手段によって特定された前記第二位置とに基づいて、前記加工布の実際の搬送距離である第三距離を算出する第二算出手段と、
    前記第一データに基づく前記第二距離と、前記第二算出手段によって算出された前記第三距離とに基づいて、前記搬送手段の搬送効率を算出する第三算出手段と、
    前記第三算出手段によって算出された前記搬送効率に基づいて、前記第一距離から前記第三距離を差し引いた距離である第四距離を、第五距離に補正する補正手段と、
    前記補正手段による補正後の前記第五距離だけ前記加工布を搬送するためのデータである第二データに従って、前記加工布を前記搬送手段に搬送させる第二搬送制御手段とを備えたことを特徴とするミシン。
  2. 形成するための縫製データに基づいて、前記模様の前記搬送方向における長さを特定する第三特定手段と、
    前記第一距離算出手段によって算出された前記第一距離と、前記第三特定手段によって特定された前記長さとに基づいて、前記第一距離よりも短い前記模様1個分または複数個分の長さを、前記第二距離として設定する設定手段とを更に備えたことを特徴とする請求項1に記載のミシン。
  3. 前記設定手段は、前記第一距離に1未満の係数を乗じて得られた距離に最も近い前記模様1個分または複数個分の前記長さを、前記第二距離として設定することを特徴とする請求項2に記載のミシン。
  4. 情報を報知する報知手段と、
    前記第一特定手段によって前記第一位置を特定させるために、前記加工布上の縫製終了予定位置に前記超音波発生源を配置するようにユーザを促す情報を前記報知手段に報知させる第一報知制御手段と、
    前記第一搬送制御手段が前記搬送手段に前記加工布を搬送させた後、前記第二特定手段によって前記第二位置を特定させるために、前記縫製終了予定位置に前記超音波発生源を配置するように前記ユーザを促す情報を前記報知手段に報知させる第二報知制御手段とを更に備えたことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のミシン。
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