JP2020185193A - ミシン及びプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】縫製対象物を保持する保持部材とミシン針との接触を防止することができるミシン並びにプログラムを提供する。【解決手段】ミシン1は、検出部8と、範囲推定部と、縫製制御部とを備える。検出部8は、縫製対象物5を保持する保持部材6に設けられた被検出体7を検出する。範囲推定部は、検出部8により検出された被検出体7の検出情報に基づいて、保持部材6のミシン本体2における存在範囲PAを推定する。縫製制御部は、縫製時の針落ち点の想定範囲と存在範囲PAとの情報に基づいて、針落ち点を存在範囲PAと重ならない位置に制御する。【選択図】図2

Description

本発明は、ミシン及びプログラムに関する。
下記特許文献1には、ミシン、縫製用標識及びミシン制御プログラムに関する技術が開示されている。この技術では、加工布に装着された待ち針が備える無線タグがミシンのタグリーダの交信範囲に順次進入するたびに、無線タグに記憶された縫製速度、針振り量及び布送り量を含む縫製情報がタグリーダに読み取られる。読み取られた縫製情報がミシンの動作スペックを超えていなければ、縫製情報に基づいてミシンモータの回転速度と、針振り用モータ及び送り量調整用モータの駆動量とが設定され、縫製が行われる。
上記技術によれば、縫製途中において縫製速度や縫い方の変更の設定を行う必要がなく、縫製に慣れない初心者でも容易に所望の縫い目を縫製することができる。
特開2008−212579号公報
上記技術では、ミシンにおいて、加工布に装着された待ち針を縫製直前に取り外しながら縫製することが想定されていない。このため、縫製中にミシン針と待ち針とが接触する可能性があるので、改善の余地があった。
本発明は、上記事実に鑑みてなされたものであり、縫製対象物を保持する保持部材とミシン針との接触を防止することができるミシン並びにミシンの縫製制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供する。
本発明の第1実施態様に係るミシンは、縫製対象物を保持する保持部材に設けられた被検出体を検出する検出部と、検出部により検出された被検出体の検出情報に基づいて、保持部材のミシン本体における存在範囲を推定する範囲推定部と、縫製時の針落ち点の想定範囲と存在範囲との情報に基づいて、針落ち点を存在範囲と重ならない位置に制御する縫製制御部と、を備える。
本発明の第2実施態様に係るミシンでは、第1実施態様に係るミシンにおいて、範囲推定部は、検出情報を被検出体のミシン本体における第1位置情報及び被検出体の保持部材における第2位置情報として取り扱い、第1位置情報及び第2位置情報に基づいて存在範囲を推定する。
本発明の第3実施態様に係るミシンでは、第1実施態様又は第2実施態様に係るミシンにおいて、縫製制御部は、検出部において被検出体が検出されたとき、この検出前に比し、縫製速度を下げる制御を行う。
本発明の第4実施態様に係るミシンでは、第1実施態様〜第3実施態様のいずれか1つに係るミシンにおいて、縫製制御部は、縫製対象物の送り量を調整する。
本発明の第5実施態様に係るミシンでは、第1実施態様〜第4実施態様に係るいずれか1つのミシンにおいて、検出部が、針落ち点を含む検出領域を撮像する撮像部である。
本発明の第6実施態様に係るミシンでは、第1実施態様〜第4実施態様に係るいずれか1つのミシンにおいて、被検出体がRFIDであり、検出部がRFIDリーダである。
本発明の第7実施態様に係るミシンでは、第6実施態様に係るミシンにおいて、RFIDは、保持部材の形状情報を格納し、縫製制御部は、RFIDリーダによりRFIDから読み取った形状情報に応じて、縫製速度又は縫製対象物の送り量を調整する。
本発明の第8実施態様に係るミシンでは、第1実施態様〜第7実施態様に係るいずれか1つのミシンにおいて、縫製制御部は、被検出体が検出部により検出された箇所から、縫製方向における存在範囲までの領域に針落ちさせない制御を行う。
本発明の第9実施態様に係るプログラムは、検出部と、範囲推定部と、縫製制御部と、を備えるミシンの縫製制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、検出部が、縫製対象物を保持する保持部材に設けられている被検出体を検出する工程と、範囲推定部が、検出部により検出された被検出体の検出情報に基づいて、保持部材のミシン本体における存在範囲を推定する工程と、縫製制御部が、縫製時の針落ち点の想定範囲と存在範囲との情報に基づいて、針落ち点を存在範囲と重ならない位置に制御する工程と、を備える。
本発明によれば、縫製対象物を保持する保持部材とミシン針との接触を防止することができるミシン及びプログラムを提供することができる。
本発明の第1実施の形態に係るミシンの外観を示す斜視図である。 図1に示されるミシンの縫製部分及び縫製対象物を上方から見た要部拡大平面図である。 図2に示されるミシンの縫製部分を更に押え板を含めて上方から見た要部拡大平面図である。 図2及び図3に示される縫製対象部を保持する保持部材の拡大平面図である。 図1に示されるミシンの縫製制御システムのブロック構成図である。 図4に示される保持部材の縫製方向に対する向きを検出する検出方法を説明する模式図であって、(A)は被検出体が保持部材よりも縫製方向下流側に位置する状態を示す模式図、(B)は被検出体が保持部材よりも縫製方向上流側に位置する状態を示す模式図である。 図4に示される保持部材のミシン本体における存在範囲を推定する推定方法を説明する図6(A)及び図6(B)に対応する模式図である。 第1実施の形態に係るミシンの縫製制御方法及びこの縫製制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを説明するフローチャートである。 (A)は本発明の第2実施の形態に係るミシンの縫製部分及び縫製対象物を上方から見た図2に対応する要部拡大平面図、(B)は図9(A)に示される縫製対象部を保持する保持部材の図4に対応する拡大平面図である。 本発明の第3実施の形態に係るミシン、縫製制御方法及びプログラムに使用される保持部材の図7に対応する模式図である。 第3実施の形態の変形例に係るミシン、縫製制御方法及びプログラムに使用される保持部材の図10に対応する模式図である。
[第1実施の形態]
以下、図1〜図8を用いて、本発明の第1実施の形態に係るミシン、縫製制御方法及びプログラムについて説明する。
なお、図中、適宜、示される矢印Xは三次元座標系のX軸方向を示し、矢印YはY軸方向を示し、更に矢印ZはZ軸方向を示している。X軸方向は、縫製作業を実施する縫製者(オペレータ)から見てミシンの左側から右側へ向かう方向である。Y軸方向は、ミシンの縫製者側となる前面側から背面側へ向かう方向であり、水平面においてX軸方向に対して直交する方向である。Z軸方向は、上方向であり、X軸方向及びY軸方向に対して直交する方向である。これらの方向は、説明を理解し易くするために便宜的に付された方向であって、本発明における方向を限定するものではない。
(ミシン1の全体構成)
図1に示されるように、ミシン1はミシン本体2を備えている。ミシン本体2は、ベッド21と、脚柱部22と、アーム部23とを含んで構成されている。
ベッド21は、縫製者から見て、左右方向を長手方向とし、前後方向を短手方向とし、上下方向を高さ方向とする矩形直方体形状に形成されている。ベッド21の上面はベッド面(又は縫製作業面)21Aとされ、ベッド面21Aの左右方向中間部であって前後方向中間部には針板3が配設されている。
図2に示されるように、針板3の左右方向中央部には針元31が配設され、この針元31は縫製時の針落ち点とされる。針板3において、針元31の左右両側には送り歯4が配設されている。送り歯4は縫製方向Dへ縫製対象物5を送る構成とされている。縫製方向Dは、ここではY軸方向に一致する方向である。本実施の形態において、縫製対象物5として布が使用されている。なお、布に限定されるものではなく、縫製対象物5として、革、紙等であってもよい。
図1に戻って、脚柱部22は、ベッド21の右側端部から上方へ立設され、ベッド21と一体又は一体的に構成されている。脚柱部22の前面には表示部25が配設されている。表示部25は例えば液晶ディスプレイにより構成され、ここでは液晶ディスプレイにはタッチパネルが組み込まれている。表示部25では、各種のメッセージが表示され、又縫製者により縫製対象物5に縫製する模様の設定操作や編集操作を行うことができる。
アーム部23は、脚柱部22の上部から左方向へ向かってベッド21に対向して延設され、脚柱部22に一体又は一体的に構成されている。
アーム部23の左右方向中間部であって縫製者側の前面には操作部24が配設されている。操作部24には、縫製開始停止ボタン、返し縫いボタン、止め縫いボタン、上下停針ボタン、糸切りボタン、押さえ上下移動ボタン、縫製速度調整ボタン等の各種の操作ボタン(又はスイッチ)が配置されている。
また、アーム部23の左側端部であって下部には縫製部26が配設されている。詳細な構成並びにその説明は省略するが、縫製部26は、ミシン針と、このミシン針が装着される針棒とを含んで構成されている。さらに、図3に示されるように、縫製部26には、縫製時に縫製対象物5をベッド面21Aに押さえ付ける押え板27と、この押え板27を支持する図示省略の押え棒とが含まれている。
(保持部材6及び被検出体7の構成)
図2及び図3に示されるように、縫製前の縫製対象物5にはこの縫製対象物5を保持する保持部材6が装着されている。本実施の形態では、保持部材6として待ち針が使用されている。待ち針は、縫製対象物5の縫製箇所の近傍に一時的に刺し止められて、縫製箇所を仮止めする。一般的な待ち針の使用方法では、縫製方向Dに所定の間隔において複数の待ち針が仮止めに使用されている。この仮止めにより、縫製対象物5において、縫製前並びに縫製中の縫製箇所のずれを抑制することができる。ここで、図3に示される符号Lは、縫製対象物5に便宜的に描かれた縫製の目印線である。目印線Lは、直線縫いを想定して、直線により描かれている。また、符号9は、縫製後に、縫製対象物5の縫製箇所に縫い付けられた縫い糸である。
なお、保持部材6は、縫い針に限定されるものではなく、安全ピン、クリップ等であってもよい。
図2〜図4、特に図4に示されるように、保持部材6は、頭部61と、針部62とを備えている。
頭部61は、特に形状が限定されるものではないが、ここでは花びら型形状或いは星型多角形状に形成された樹脂製又はガラス製の板状部材により構成されている。例えば、頭部61は、円形状、半円形状、楕円形状、矩形状、三角形状等の形状に形成された板状部材であってもよい。
針部62は、ミシン針と異なり、糸通し穴を持たない針である。針部62の一端部分は縫製対象物5に刺す尖った形状に形成された「針先」であり、針部62の他端部分は頭部61に接続されている。
保持部材6の頭部61には被検出体7が配設されている。本実施の形態では、被検出体7は、頭部61を2層構造とし、この2層構造の内部に挟み込まれている。表現を代えれば、被検出体7は、頭部61の内部に埋め込まれている。被検出体7には、この被検出体7(後述する第1〜第4被検出体71〜74)の識別(ID:Identification)情報、保持部材6の形状情報等が格納され、識別情報、形状情報等が無線通信により検出されるRFID(Radio Frequency Identifier)が使用されている。なお、被検出体7は頭部61の表面上や側面上に接着等の手法を用いて取り付ける構成としてもよい。
本実施の形態では、被検出体7は、複数、具体的には4つの第1被検出体71と、第2被検出体72と、第3被検出体73と、第4被検出体74とを含んで構成されている。第1被検出体71〜第4被検出体74は、いずれもRFIDであり、便宜的に説明を理解し易くするために、頭部61の厚さ方向から見て同一の円形状に形成されている。なお、第1被検出体71〜第4被検出体74は三角形状、矩形状、多角形状等の同一の形状であってもよいし、第1被検出体71〜第4被検出体74のそれぞれの形状が異なっていてもよい。
ここで、図4では、便宜的に、保持部材6の針部62の延設方向をX軸方向に一致させて示している。
被検出体7の第1被検出体71は、針部62の延設上であって針部62の他端部分の近傍に位置し、頭部61の中心位置に配置されている。第1被検出体71の中心位置から針部62の一端までの長さP1は予め設定されている。この長さP1の情報は、例えば形状情報の1つの情報として、第1被検出体71に格納されている。
第2被検出体72は、第1被検出体71に対してY軸方向へ離間して配置され、図4において頭部61の上端部に配置されている。第1被検出体71はX軸方向と平行な針部62の延設上に配置されているので、第2被検出体72はX軸方向に対して直交し、かつ、第1被検出体71を通過する方向に配置されている。第1被検出体71の中心位置から第2被検出体72の中心位置までの長さP2は、長さP1よりも短い長さであって、予め設定されている。長さP2の情報は、例えば形状情報の1つの情報として、第2被検出体72に格納されている。
第3被検出体73は、第1被検出体71を中心として、第2被検出体72とは反対側となるY軸方向へ離間して配置されている。第3被検出体73は、第2被検出体72と同様に、X軸方向に対して直交し、かつ、第1被検出体71を通過する方向に配置されている。第1被検出体71の中心位置から第3被検出体73の中心位置までの長さP3は長さP2と同一に設定されている。長さP3の情報は、例えば形状情報の1つの情報として、第3被検出体73に格納されている。
そして、第4被検出体74は、針部62の延設上であって、図4において第1被検出体71の右側に第1被検出体71から離間して配置されている。すなわち、第4被検出体74は、X軸方向に平行な方向に配置されているので、Y軸方向に対して直交する方向に配置されている。第1被検出体71の中心位置から第4被検出体74の中心位置までの長さP4は長さP2、長さP3のそれぞれと同一に設定されている。長さP4の情報は、例えば形状情報の1つの情報として、第4被検出体74に格納されている。
(検出部8の構成)
図2及び図3に示されるように、ベッド21には検出部8が配設されている。符号8Aを付して破線により囲まれた領域は、検出部8を中心としてその周囲に広がる検出部8により被検出体7を検出可能な領域(以下、単に「検出領域8A」という。)である。検出部8は、針板3よりも前面側又は針板3の領域において、ベッド面21A下のベッド21内部に配設されている。検出領域8Aは、少なくとも針板3よりも前面側の領域を含み、ここでは針板3の領域及び針板3よりも前面側の領域を含んで設定されている。検出部8では、縫製前において、保持部材6のミシン本体2における、詳細には保持部材6のベッド面21Aにおける存在範囲PAを推定する情報を取得することができる。
本実施の形態では、保持部材6の被検出体7にRFIDが使用されているので、検出部8にはRFIDリーダが使用されている。検出部8では、縫製時に縫製方向Dへ送られる縫製対象物5において、保持部材6に設けられた被検出体7が検出される。この検出により、被検出体7のベッド面21A上における位置情報(第1位置情報)、及び被検出体7の保持部材6における位置情報(第2位置情報)を「検出情報」として取得することができる。
(ミシン1の縫製制御システム10の構成)
図5に示されるように、ミシン1は、ミシン本体2の内部に縫製制御システム10を備えている。縫製制御システム10は、中央演算処理ユニット(CPU)11と、内部メモリ12と、表示制御ユニット13と、入力制御ユニット14と、前述の検出部8とを含んで構成されている。中央演算処理ユニット11等の各ユニットは相互に電気的に接続されている。
中央演算処理ユニット11は、コンピュータを構築し、ミシン1の縫製制御を司る。
内部メモリ12は、読み出し専用メモリ(ROM:Read Only Memory)と、書き込み読み出し可能なメモリ(RAM:Random Access Memory)とを少なくとも含んで構成されている。読み出し専用メモリは、縫製制御プログラム等の各種のプログラムを格納する。書き込み読み出し可能なメモリは、各種のプログラムの実行により生成された縫製処理情報、演算情報等の情報を一時的に格納する。
表示制御ユニット13は、図1に示される表示部25に接続され、表示部25の例えば液晶ディスプレイへ各種の操作情報やメッセージを出力する。
入力制御ユニット14は、図1に示される操作部24、表示部25に組み込まれたタッチパネルのそれぞれに接続されている。入力制御ユニット14では、設定操作、編集操作等の操作情報が入力され、この操作情報は中央演算処理ユニット11へ出力される。
検出部8は、中央演算処理ユニット11に接続され、図4に示される保持部材6に設けられた被検出体7を検出し、この被検出体7に格納されている検出情報を中央演算処理ユニット11へ出力する。中央演算処理ユニット11では、検出情報は被検出体7のミシン本体2における位置情報及び被検出体7の保持部材6における位置情報として取り扱われ、これらの位置情報に基づいて保持部材6のミシン本体2における存在範囲PAが算出されて推定される。本実施の形態では、中央演算処理ユニット11は保持部材6の存在範囲PAを推定する「範囲推定部」を構築する。この範囲推定部による、保持部材6の存在範囲PAを推定する推定方法は後述する。
図5に戻って、中央演算処理ユニット11は、送りモータ15、振幅モータ16、ミシンモータ17にそれぞれ接続されている。本実施の形態では、中央演算処理ユニット11は、上記「範囲推定部」に加えて、送りモータ15、振幅モータ16、ミシンモータ17のそれぞれを制御する「縫製制御部」も構築している。
送りモータ15は、ミシン本体2の内部に設けられた図示省略の布送り機構を介して、図2に示される送り歯4を駆動する。この送り歯4が駆動されると、縫製方向Dへ、又はその反対方向(返し縫い方向)へ、縫製対象物5の送り量が調整される。
ミシンモータ17は、図2に示される脚柱部22の下部においてミシン本体2の内部に設けられ、図示省略のベルト機構を介して、アーム部23の内部に左右方向に延設された図示省略のミシン主軸を回転駆動させる。ミシン主軸が駆動されると、ミシン主軸に連結された図示省略の上下機構を介して縫製部26の図示省略の針棒が上下方向に駆動される。この針棒には図示省略のミシン針が装着され、針棒の上下方向の駆動に従って、ミシン針が上下方向に駆動される。ミシン針が上下方向に駆動されると、縫製を行うことができる。
振幅モータ16は、縫製者から見て、図1に示されるアーム部23の左側部に配設され、図示省略の振幅機構を介して針棒に連結されている。振幅モータ16が駆動されると、縫製方向Dに対して左右方向(X軸方向)に針棒が振幅する。
(保持部材6の範囲推定方法)
次に、縫製対象物5を保持する保持部材6のミシン本体2における存在範囲PAの推定方法について説明する。ここで、保持部材6のミシン本体2における存在範囲PAとは、詳細には、ベッド面21Aにおいて、縫製方向D(Y軸方向)における複数の縫製箇所を結んで描かれる線に保持部材6が位置する領域を垂直(X軸方向)に投影した範囲という意味で使用されている。表現を代えれば、存在範囲PAとは、ベッド面21Aにおいて、針落ち点が連続して描き出す線に保持部材6が位置する領域を垂直に投影した範囲という意味で使用されている。
(1)縫製方向Dに対する保持部材6の向きの検出
まず、図2及び図3に示されるように、縫製箇所が保持部材6により保持された縫製対象物5が、ベッド面21Aにおいて、針元31へ向かって縫製方向Dへ送られる。針元31の手前にはベッド面21A下に検出部8が配設されている。この検出部8の検出領域8A内に、保持部材6に設けられている被検出体7が入ると、検出部8により被検出体7が検出される。
本実施の形態では、検出部8にRFIDリーダが使用され、被検出体7にRFIDが使用されているので、被検出体7が検出されると、被検出体7に格納されている情報が検出部8に読み込まれる。
図6(A)に示されるように、縫製者から見て、右側から左側へ向かって縫製対象物5に刺し込まれ、仮止めされた保持部材6では、まず被検出体7の第2被検出体72(又は第3被検出体73)が検出領域8A内に入る。
なお、ここでは、説明を理解し易くするため、第2被検出体72の中心位置が検出領域8A内に入るか否かとして説明する。他の第1被検出体71、第3被検出体73、第4被検出体74についても同様である。
縫製対象物5は縫製方向Dへ向かって送られているので、引き続き、第4被検出体74、第1被検出体71のそれぞれが順次検出される。つまり、検出部8では、検出領域8A内に、第2被検出体72、第4被検出体74、第1被検出体71のそれぞれが順次検出され、それぞれの情報が読み込まれる。表現を代えれば、第2被検出体72と第1被検出体71との間に第4被検出体74が検出される。
この被検出体7の検出順序により、縫製方向Dに対して、保持部材6よりも被検出体7が先行して送られている情報を取得することができる。すなわち、縫製者から見て、右側から左側かつ縫製方向Dとは反対側へ向かって斜め方向へ、縫製対象物5に保持部材6が刺し込まれ、針先がこの斜め方向へ向いている保持部材6の情報を取得することができる。
ここでの説明は省略するが、左側から右側へ向かって縫製対象物5に差し込まれた保持部材6でも、保持部材6よりも被検出体7が先行して送られる場合には、被検出体7の検出順次は同一である。
一方、図6(B)に示される保持部材6では、同様に、まず被検出体7の第2被検出体72(又は第3被検出体73)が検出領域8A内に入り、この第2被検出体72が検出部8により検出され、第2被検出体72の情報が検出部8に読み込まれる。引き続き、第1被検出体71、第4被検出体74のそれぞれが順次検出される。つまり、検出部8では、検出領域8A内に、第2被検出体72、第1被検出体71、第4被検出体74のそれぞれが順次検出される。表現を代えれば、第2被検出体72と第1被検出体71とを検出した後に第4被検出体74が検出される。
この被検出体7の検出順序により、縫製方向Dに対して、被検出体7よりも保持部材6が先行して送られている情報を取得することができる。すなわち、縫製者から見て、右側から左側かつ縫製方向Dへ向かって斜め方向へ、縫製対象物5に保持部材6が刺し込まれ、針先がこの斜め方向へ向いている保持部材6の情報を取得することができる。
なお、左側から右側へ向かって縫製対象物5に差し込まれた保持部材6でも、被検出体7よりも保持部材6が先行して送られる場合には、被検出体7の検出順次は同一である。
(2)保持部材6(及び被検出体7)の存在範囲PAの推定
図6(A)に示される保持部材6のベッド面21A上における存在範囲PAを以下の通り推定することができる。
最初に、被検出体7の第2被検出体72の中心位置が検出部8の検出領域8Aに入ったときから第1被検出体71の中心位置が検出領域8Aに入ったときまでの時間が測定される。この測定された時間と、現在の縫製対象物5の送り速度(現縫い速度)とに基づいて、図7に示されるように、縫製方向Dにおける第2被検出体72の中心位置、第1被検出体71の中心位置のそれぞれが求まり、双方の間の距離(=長さb1)が算出される。
ここで、第2被検出体72の中心位置と第1被検出体71の中心位置との長さa1は予め設定された値(図4に示される長さP2(既知))とされている。第2被検出体72、第1被検出体71のそれぞれの中心位置を結ぶ仮想線を斜辺(=長さa1=長さP2)とし、縫製方向Dにおける第2被検出体72、第1被検出体71のそれぞれの中心位置を結ぶ仮想線を一方の隣辺とする「第1直角三角形ghi」を設定することができる。斜辺に相当する仮想線は一点鎖線により示され、隣辺に相当する仮想線は破線により示されている。この一方の隣辺の長さはb1である。第1直角三角形ghiにおいて、符号「g」、符号「i」はそれぞれ頂点であり、符号「h」は直角頂である。
第1直角三角形ghiにおいて、斜辺の長さa1と隣辺b1の長さとが求まれば、「三平方の定理」に基づいて、次式(1)及び次式(2)により、他方の隣辺の長さc1を算出することができる。長さc1は、縫製方向Dに対して左右方向に直交するX軸方向における第2被検出体72の中心位置と第1被検出体71の中心位置との距離である。
次に、上記第1被検出体71の中心位置を回転中心として、第1直角三角形ghiを反時計回りに90度回転させた相似形状の「第2直角三角形ijk」が設定される。第2直角三角形ijkにおいて、符号「i」、符号「k」はそれぞれ頂点であり、符号「j」は直角頂である。
ここで、保持部材6の針部62の長さa2は予め設定された値(図4に示される長さP1(既知))とされている。針部62の長さa2に相当する一点鎖線を第2直角三角形ijkの斜辺とすれば、縫製方向Dと一致する第2直角三角形ijkの他方の隣辺の長さc2は、第1直角三角形ghiと第2直角三角形ijkとの比率に基づいて、次式(3)及び次式(4)により算出される。
すなわち、第1被検出体71及び第2被検出体72のベッド面21A上における位置情報と、第1被検出体71及び第2被検出体72の保持部材6における位置情報とに基づいて、保持部材6のベッド面21A上における存在範囲PAが算出されて推定される。存在範囲PAの定義は前述の通りである。詳しく説明すると、図7に示されるように、縫製方向Dにおいて、被検出体7を含めた保持部材6のベッド面21A上における存在範囲PAは、第1直角三角形ghiの隣辺の長さb1に第2直角三角形ijkの隣辺の長さc2を加算した値(b1+c2)になる。
なお、図6(B)に示される保持部材6のベッド面21A上における存在範囲PAの推定方法は、図6(A)に示される保持部材6のベッド面21A上における存在範囲PAの推定方法と同様であるので、ここでの説明は省略する。
本実施の形態に係るミシン1、縫製制御方法及びこの縫製制御方法を実行するためのプログラムでは、保持部材6の存在範囲PAは、縫製対象物5の現送り量に加算する送り量として算出され、針落ち点とさせない範囲(針落ち禁止範囲)として設定される。
詳しく説明する。図7に示されるように、縫製対象物5の縫製箇所を表す目印線L上において、現在の縫製対象物5の送り量と縫い目のピッチとに基づいて、縫製時の針落ち点N1〜針落ち点N5が想定される。針落ち点N1から針落ち点N2までの運針送り量eは、針落ち点N2から針落ち点N3まで、針落ち点N3から針落ち点N4まで、針落ち点N4から針落ち点N5までのそれぞれの運針送り量eと同一に設定される。
ここで、針落ち点N4の、破線を用いて示す次の針落ち点N5の想定範囲(想定位置)が、保持部材6の存在範囲PAと重なるとき、この存在範囲PAに重ならない位置となる針落ち点N6が設定される。すなわち、存在範囲PAにおける針落ち点N5は設定せずに、針落ち点N4から存在範囲PAを飛び越えた針落ち点N6へ至る運針送り量NTが設定される。この運針送り量NTは、縫製対象物5の現送り量に、存在範囲PAを加算した送り量と等価である。運針送り量NTは、目印線L上において、針落ち点N4と想定された針落ち点N5との間の運針送り量eから、存在範囲PAと重なる部分を差し引いた運針送り量fに、存在範囲PAを加えた送り量(NT=f+b1+c2)である。
(ミシン1の縫製制御方法及びプログラム)
以下、図1〜図7を参照しつつ、図8を用いて、本実施の形態に係るミシン1の縫製制御方法及びこの縫製制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムについて説明する。
縫製制御方法及びプログラムでは、図5に示される縫製制御システム10により、最初に縫製(縫製作業)が開始されたか否かが判定される(ステップS1)。ここで、縫製作業とは、図2に示されるように、縫製箇所が保持部材6により保持された縫製対象物5をミシン1のベッド面21A上において縫製方向Dへ送り、針元31において縫製箇所を縫う作業という意味で使用されている。縫製が開始されていないと判定されると、ステップS1の前段へ処理が戻る。
ステップS1において、縫製が開示されていると判定されると、図2、図3及び図5に示される検出部8により、保持部材6に設けられた図4等に示される被検出体7が検出されたか否かが判定される(ステップS2)。
被検出体7が検出されないと判定されると、ミシン1では、通常の縫製速度において、縫製対象物5が縫製される(ステップS8)。この後、縫製が終了したか否かが判定される(ステップS7)。ステップS6において、縫製が終了していないと判定されると、ステップS2の前段に処理が戻り、再度、被検出体7が検出されたか否かが判定される。
ステップS7において、縫製が終了したと判定されると、縫製制御方法及びプログラムの実行が終了する。
一方、ステップS2において、被検出体7が検出されたと判定されると、縫製速度が減速される(ステップS3)。図5に示される中央演算処理ユニット11により送りモータ15、ミシンモータ17(又は更に加えて振幅モータ16)の回転数が制御され、回転数が下げられることによって、縫製速度が減速される。
引き続き、被検出体7が検出されたことに基づいて、縫製対象物5の送り量が制御される(ステップS4)。送り量の制御では、まず上記「保持部材6の推定方法」において詳述した通り、縫製方向Dにおける保持部材6の向きが検出される(ステップS41)。そして、向きが検出された保持部材6の被検出体7を含めた縫製方向Dにおける存在範囲PAが算出され、推定される(ステップS42)。推定は図5に示される中央演算処理ユニット11を主要部とする「範囲推定部」によって実行され、推定された存在範囲PAは情報として内部メモリ12(図5参照)に一時的に格納される。
ここで、図7に示される針落ち点N1〜針落ち点N5の想定範囲が算出される(ステップS43)。この想定範囲は、縫製者により予め設定された現在の縫製対象物5の送り量と縫い目のピッチとに基づいて算出される。算出された想定範囲は、存在範囲PAの情報と同様に、情報として内部メモリ12に一時的に格納される。想定範囲の算出は図5に示される中央演算処理ユニット11を主要部とする「縫製制御部」によって実行される。
そして、縫製制御部では、内部メモリ12に格納された推定された存在範囲PAの情報と算出された想定範囲の情報とに基づいて、針落ち点が存在範囲PAと重ならない位置となる送り量が算出される(ステップS44)。表現を代えれば、縫製制御部は、縫製方向Dにおいて、針落ち点N5が存在範囲PAと重なる場合に、存在範囲PAを飛び越える位置となる運針送り量NTを算出し、針落ち点N6を設定する。このような制御により、針落ち点N5が縫製中(縫製方向Dへ移動中)の保持部材6に一致することがなく、ミシン針と保持部材6との接触や干渉が無くなる。
送り量の制御が開始されると同時に、又はその前後に、送り量の制御がなされた旨のメッセージが、図5に示される表示制御ユニット13を介して、図1に示される表示部25に表示される(ステップS5)。メッセージとしては、ステップS3において縫製速度が減速されたことを表す「縫製速度減速」、ステップS4において被検出体7の検出状態を表す「保持部材(例えば待ち針)検出」や送り量の制御状態を表す「送り量増加」等のメッセージが好適である。
表示部25にメッセージを表示させることにより、縫製速度が減速された理由を縫製者へ明確に知らせることができ、縫製者に対してミシン1の故障や操作ミス等ではないことを認識させることができる。
メッセージの表示と同時に、又はその前後に、制御がなされた送り量に基づいて、縫製対象物5が送られ、縫製対象物5の縫製箇所が保持部材6を避けて縫製される(ステップS6)。この縫製において、保持部材6は、ミシン針に接触することなく、又はミシン針に干渉することなく、縫製方向Dへ移動する。
ここで、本実施の形態に係るミシン1、縫製制御方法及びプログラムでは、被検出体7が検出部8により検出された箇所から、縫製方向Dにおける存在範囲PAまでの領域(図2及び図3参照)に針落ちさせない制御がなされている。この制御は縫製制御部によって実行される。
この後、縫製が終了したか否かが判定される(ステップS7)。縫製が終了していないと判定されると、ステップS2の前段に処理が戻る。このとき、縫製対象物5の縫製速度は減速状態から元の状態に戻る。縫製が終了していると判定されると、縫製制御方法及びプログラムが終了する。
(作用効果)
本実施の形態に係るミシン1は、図5に示されるように、検出部8と、範囲推定部と、縫製制御部とを備える。
検出部8は、図2〜図4、図6及び図7に示されるように、縫製対象物5を保持する保持部材6に設けられた被検出体7を検出する。
範囲推定部は、検出部8により検出された被検出体7の検出情報に基づいて、図7に示されるように、保持部材6のミシン本体2における存在範囲PA(長さb1+長さc2)を推定する。詳しく説明すると、範囲推定部は、検出情報を被検出体7のミシン本体2(図2及び図3参照)における位置情報及び被検出体7の保持部材6における位置情報(図7参照)として取り扱い、これらの位置情報に基づいて存在範囲PAを推定する。範囲推定部は、ここでは、図5に示される中央演算処理ユニット11を主要部として構成される。
縫製制御部は、縫製時の針落ち点N1〜針落ち点N5の想定範囲と保持部材6の存在範囲PAとの情報に基づいて、例えば針落ち点N5を存在範囲PAと重ならない位置に制御する。縫製制御部は、ここでは、図5に示される中央演算処理ユニット11を主要部として構成される。
このため、縫製対象物5の縫製時に、針落ち点N5を保持部材6の存在範囲PAと一致させない制御がなされるので、ミシン針(図示省略)と保持部材6(図4参照)との接触を防止することができる。
また、接触を防止することができる結果として、ミシン針、保持部材6は、いずれも、曲がり、折れ等の損傷を防止することができる。あるいは、ミシン針、保持部材6のいずれかの破損による破片の飛散を根本的に無くすことができる。表現を代えれば、ミシン1の縫製作業中における安全性を著しく向上させることができる。
さらに、接触を防止することができる結果として、縫製直前に、縫製対象物5から保持部材6を取り外さずに縫製することができるので、縫製作業効率を向上させることができる。
また、ミシン1では、縫製制御部は、図8のフローチャートに示されるように、検出部8において被検出体7が検出されたとき(ステップS2)、この検出前に比し、縫製速度を下げる(縫製速度の減速。ステップS3)。つまり、縫製制御部は、縫製直前に、縫製対象物5の縫製速度を遅くする制御を行う。
このため、縫製直前の保持部材6を縫製対象物5から安全に取り外すことが可能となり、保持部材6が縫製直前に取り外された場合には、ミシン針と保持部材6との接触の要因そのものを排除することができる。
さらに、ミシン1では、縫製制御部は、図2及び図3に示される縫製対象物5の送り量を制御し、針落ち点を制御する。
詳しく説明すると、まず、図6(A)及び図6(B)に示されるように、保持部材6に設けられている被検出体7により、縫製方向Dに対する保持部材6の向きが検出される。そして、図7に示されるように、被検出体7の検出時間と縫製対象物5の送り量とに基づいて、被検出体7を含む保持部材6の縫製方向Dにおける存在範囲PAが推定される。この存在範囲PAの情報と、針落ち点N1〜針落ち点N5の想定範囲の情報とに基づいて、例えば針落ち点N5を存在範囲PAと重ならない位置となる針落ち点N6へ、縫製対象物5の送り量が制御される。
このため、縫製対象物5の縫製時に、針落ち点N5を保持部材6の存在範囲PAと一致させない制御がなされるので、ミシン針と保持部材6との接触を防止することができる。
また、ミシン1では、図4及び図5に示されるように、被検出体7がRFIDであり、検出部8がRFIDリーダである。RFID及びRFIDリーダを用いたシステムでは、電波の送受信により、非接触状態において、RFIDリーダからRFIDへの電力の供給、並びにRFIDリーダとRFIDとの間における情報の送受信が可能である。
このため、縫製作業に影響を与えることなく、ミシン針と保持部材6との接触を防止することができる。
さらに、ミシン1では、図4に示される被検出体7は保持部材6の形状情報を格納し、図5に示される検出部8は、被検出体7から読み取った形状情報に応じて、縫製速度又は縫製対象物5の送り量を調整して、針落ち点N6(図7参照)を制御する。
詳しく説明すると、図4に示されるように、被検出体7の第1被検出体71は、保持部材6の長さP1の情報を形状情報の1つの情報として格納する。同様に、第2被検出体72は、第1被検出体71から第2被検出体72までの長さP2の情報を形状情報の1つの情報として格納する。また、第3被検出体73は第1被検出体71から第3被検出体73までの長さP3の情報を形状情報の1つの情報として格納し、第4被検出体74は第1被検出体71から第4被検出体74までの長さP4の情報を形状情報の1つの情報として格納する。そして、検出部8では、被検出体7に格納されている形状情報を読み取り、この形状情報が中央演算処理ユニット11を主要部として構成される範囲推定部へ出力される。
このため、図7に示されるように、形状情報に基づいて保持部材6のミシン本体2における存在範囲PAを推定することができるので、ミシン針と保持部材6との接触を防止することができる。
また、ミシン1では、縫製制御部は、図2に示される被検出体7が検出部8により検出された箇所から、図7に示される縫製方向Dにおける存在範囲PAまでの領域に針落ちさせない制御を行う。表現を代えれば、縫製制御部では、被検出体7が検出されると、縫製方向Dにおいて保持部材6及び被検出体7を飛び越える位置に針落ち点が設定され、この針落ち点よりも縫製方向Dには針落ち点が設定されない。具体的には、図7において、針落ち点N4から針落ち点N6までの間には針落ち点N5が設定されない。
このため、縫製対象物5の縫製方向Dへの送り量が大きくなるので、縫製直前の保持部材6を縫製対象物5から取り外す場合には、保持部材6が取り外し易くなる。保持部材6が縫製直前に取り外されると、ミシン針と保持部材6との接触の要因そのものを排除することができる。
さらに、本実施の形態に係るミシン1の縫製制御方法では、図8に示されるように、まず縫製対象物5を保持する保持部材6に設けられている被検出体7が検出される(ステップS2)。次に、被検出体7の検出情報に基づいて、図7に示されるように、保持部材6のミシン本体2における存在範囲PAを推定する(ステップS42)。具体的には、検出情報が被検出体7のミシン本体2における位置情報及び被検出体7の保持部材6における位置情報として取り扱われ、これらの位置情報に基づいて存在範囲PAが推定される。そして、縫製時の針落ち点N1〜針落ち点N5の想定範囲(ステップS43)と存在範囲PAとの情報に基づいて、針落ち点N5を存在範囲PAと重ならない位置の針落ち点N6に制御する(ステップS44)。
このため、縫製制御方法では、縫製対象物5の縫製時に、針落ち点N5を保持部材6の存在範囲PAと一致させないので、ミシン針と保持部材6との接触を防止することができる。
また、本実施の形態に係るプログラムは、図5に示されるように、検出部8と、中央演算処理ユニット11を主要部として構成される範囲推定部及び縫製制御部と、を備えるミシン1の縫製制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとされる。このプログラムでは、検出部8は、縫製対象物5を保持する保持部材6に設けられている被検出体7を検出する(ステップS2)。範囲推定部は、被検出体7の検出情報に基づいて、図7に示されるように、保持部材6のミシン本体2における存在範囲PAを推定する(ステップS42)。具体的には、検出情報が被検出体7のミシン本体2における位置情報及び被検出体7の保持部材6における位置情報として取り扱われ、これらの位置情報に基づいて存在範囲PAが推定される。そして、縫製制御部は、縫製時の針落ち点N1〜針落ち点N5の想定範囲(ステップS43)と存在範囲PAとの情報に基づいて、針落ち点N5を存在範囲PAと重ならない位置の針落ち点N6に制御する(ステップS44)。
このため、プログラムでは、縫製対象物5の縫製時に、針落ち点N5を保持部材6の存在範囲PAと一致させないので、ミシン針と保持部材6との接触を防止することができる。
[第2実施の形態]
図9を用いて、本発明の第2実施の形態に係るミシン1、縫製制御方法及びプログラムについて説明する。なお、本実施の形態並びに後述する実施の形態の説明において、第1実施の形態に係るミシン1、縫製制御方法及びプログラムの構成要素と同一の構成要素、又は実質的に同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
第1実施の形態に係るミシン1の検出部8に代えて、本実施の形態に係るミシン1は、図9(A)に示されるように、検出部80を備えている。検出部80は、アーム部23の縫製者から見て左側下部(図1参照)に配設され、図示を省略するが、図5に示される縫製制御システム10に組み込まれる。検出部80は、針元31、すなわち針落ち点を含む検出領域80Aを撮像する撮像部として構成されている。撮像部として、保持部材6、ここでは被検出体7を含む保持部材6を撮像して撮像情報を生成するカメラ又はイメージセンサを実用的に使用することができる。
本実施の形態では、保持部材6に設けられている被検出体7は、図9(B)に示されるように、RFIDではなく、色、模様又は所定の形状を有する第1被検出体71〜第4被検出体74により構成されている。図9(A)及び図9(B)では、第1被検出体71〜第4被検出体74のそれぞれは便宜的に円形状に形成されている。なお、第1被検出体71と、第2被検出体72及び第3被検出体73とのそれぞれは、少なくとも色、模様又は形状が異なる構成とされ、互いが識別可能な設定とされている。
ここで、色、模様又は形状が異なるとは、色が異なる場合、模様が異なる場合、形状が異なる場合、色及び模様が異なる場合、色及び形状が異なる場合、模様及び形状が異なる場合、色、模様及び形状が異なる場合が少なくとも含まれている。但し、第1被検出体71〜第4被検出体74のそれぞれにおいては、検出部80による撮像により範囲推定部において画像認識処理が可能とされる色、模様又は形状に形成されている。
検出部80から出力された撮像情報は中央演算処理ユニット11を主要部として構成される範囲推定部に出力される。この範囲推定部は、例えば画像認識処理により、撮像情報から被検出体7を画像認識し、第1実施の形態における保持部材6の範囲推定方法と同様に、保持部材6のベッド面21A上における存在範囲PAを推定する。この推定された存在範囲PAの情報は内部メモリ12に一時的に格納される。
また、検出部80では、針落ち点を含む検出領域80Aが撮像されているので、例えば画像認識処理により、針元31の形状を認識して縫製時の針落ち点N1〜針落ち点N5の想定範囲の情報を生成することができる。想定範囲の情報は中央演算処理ユニット11を主要部として構成される縫製制御部により生成される。この想定範囲の情報は、内部メモリ12に一時的に格納される。
そして、縫製制御部では、更に針落ち点N1〜針落ち点N5の想定範囲の情報と保持部材6の存在範囲PAの情報とに基づいて、針落ち点N5が保持部材6の存在範囲PAと重ならない位置の針落ち点N6に制御することができる。
なお、本実施の形態に係るミシン1の検出部80以外の構成要素は第1実施の形態に係るミシン1の構成要素と基本的に同一であるので、構成要素の重複する説明は省略する。また、本実施の形態に係る縫製制御方法及びプログラムは、第1実施の形態に係る縫製制御方法及びプログラムと実質的に同一であるので、説明を省略する。
このように構成されるミシン1、縫製制御方法及びプログラムによれば、第1実施の形態に係るミシン1、縫製制御方法及びプログラムにより得られる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
また、ミシン1では、図9(A)に示されるように、検出部80が針落ち点N1〜針落ち点N5を含む検出領域80Aを撮像する撮像部とされているので、RFIDを用いずに、色、模様又は形状が設定された被検出体7により保持部材6の存在範囲PAを推定することができる。このため、ミシン針と保持部材6との接触を防止することができる。
なお、本実施の形態では、検出部80がレーザ走査装置を用いて構成されてもよい。この場合、レーザ走査に基づく検出光により第1被検出体71〜第4被検出体74のそれぞれが識別可能であるので、前述と同様に、保持部材6の存在範囲PAを推定することができる。
また、検出部80は、超音波発振装置、X線照射装置であってもよい。超音波発振装置の場合、超音波の反射波を異なる設定とすれば、第1被検出体71〜第4被検出体74のそれぞれが識別可能であるので、保持部材6の存在範囲PAを推定することができる。X線照射装置の場合、X線の透過率を異なる設定とすれば、第1被検出体71〜第4被検出体74のそれぞれが識別可能であるので、保持部材6の存在範囲PAを推定することができる。
さらに、本実施の形態では、被検出体7に磁性体が使用され、検出部80が磁性体の磁気情報を検出する磁気センサを用いて構成されてもよい。この場合、磁性体の磁力を異なる設定とすれば、第1被検出体71〜第4被検出体74のそれぞれが識別可能であるので、保持部材6の存在範囲PAを推定することができる。
[第3実施の形態]
図10及び図11を用いて、本発明の第3実施の形態に係るミシン1、縫製制御方法及びプログラムについて説明する。本実施の形態は、第1実施の形態に係るミシン1、縫製制御方法及びプログラムに使用される保持部材6に設けられている被検出体7の構成を変えた例を説明するものである。
まず、本実施の形態に係るミシン1、縫製制御方法及びプログラムに使用される保持部材6は、図10に示されるように、被検出体7を備えている。詳しく説明すると、被検出体7は2個の第1被検出体71及び第2被検出体72を備えている。2個の第1被検出体71、第2被検出体72のそれぞれは、図4、図6及び図7に示される第1実施の形態における第1被検出体71、第2被検出体72のそれぞれの構成と同一である。
このように構成される被検出体7であっても、前述の「保持部材6の範囲推定方法」において説明したように、縫製方向Dに対する保持部材6の向きを検出することができ、更に保持部材6のベッド面21A上における存在範囲PAを推定することができる。
なお、本実施の形態に係るミシン1、縫製制御方法及びプログラムの構成要素は、第1実施の形態に係るミシン1、縫製制御方法及びプログラムの構成要素と同一であるので、ここでの説明は省略する。
本実施の形態に係るミシン1、縫製制御方法及びプログラムによれば、第1実施の形態に係るミシン1、縫製制御方法及びプログラムにより得られる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
(変形例)
第3実施の形態の変形例に係るミシン1、縫製制御方法及びプログラムに使用される保持部材6は、図11に示されるように、被検出体7を備えている。この被検出体7は、3個の第1被検出体71、第2被検出体72及び第3被検出体73を備えている。3個の第1被検出体71、第2被検出体72、第3被検出体73のそれぞれは、図4、図6及び図7に示される第1実施の形態における第1被検出体71、第2被検出体72、第3被検出体73のそれぞれの構成と同一である。
このように構成される被検出体7であっても、縫製方向Dに対する保持部材6の向きを検出することができ、更に保持部材6のベッド面21A上における存在範囲PAを推定することができる。
なお、変形例に係るミシン1、縫製制御方法及びプログラムの構成要素は、第1実施の形態に係るミシン1、縫製制御方法及びプログラムの構成要素と同一であるので、ここでの説明は省略する。
変形例に係るミシン1、縫製制御方法及びプログラムによれば、第1実施の形態に係るミシン1、縫製制御方法及びプログラムにより得られる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
[その他の実施の形態]
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
例えば、前述の実施の形態に係るミシン、縫製制御方法及びプログラムでは、直線縫いを前提として説明したが、これに限定されるものではなく、本発明は、ジグザグ縫いや曲線縫いにも、勿論、適用可能である。
1 ミシン
10 縫製制御システム
11 中央演算処理ユニット
12 内部メモリ
13 表示制御ユニット
14 入力制御ユニット
15 送りモータ
16 振幅モータ
17 ミシンモータ
2 ミシン本体
21 ベッド
21A ベッド面
22 脚柱部
23 アーム部
25 表示部
26 縫製部
3 針板
31 針元
4 送り歯
5 縫製対象物
6 保持部材
61 頭部
62 針部
7 被検出体
71 第1被検出体
72 第2被検出体
73 第3被検出体
74 第4被検出体
8、80 検出部

Claims (9)

  1. 縫製対象物を保持する保持部材に設けられた被検出体を検出する検出部と、
    前記検出部により検出された前記被検出体の検出情報に基づいて、前記保持部材のミシン本体における存在範囲を推定する範囲推定部と、
    縫製時の針落ち点の想定範囲と前記存在範囲との情報に基づいて、前記針落ち点を前記存在範囲と重ならない位置に制御する縫製制御部と、
    を備えたミシン。
  2. 前記範囲推定部は、前記検出情報を前記被検出体の前記ミシン本体における第1位置情報及び前記被検出体の前記保持部材における第2位置情報として取り扱い、前記第1位置情報及び前記第2位置情報に基づいて前記存在範囲を推定する
    請求項1に記載のミシン。
  3. 前記縫製制御部は、前記検出部において前記被検出体が検出されたとき、この検出前に比し、縫製速度を下げる制御を行う
    請求項1又は請求項2に記載のミシン。
  4. 前記縫製制御部は、前記縫製対象物の送り量を調整する
    請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のミシン。
  5. 前記検出部が、前記針落ち点を含む検出領域を撮像する撮像部である
    請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のミシン。
  6. 前記被検出体がRFIDであり、前記検出部がRFIDリーダである
    請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のミシン。
  7. 前記RFIDは、前記保持部材の形状情報を格納し、
    前記縫製制御部は、前記RFIDリーダにより前記RFIDから読み取った前記形状情報に応じて、縫製速度又は前記縫製対象物の送り量を調整する
    請求項6に記載のミシン。
  8. 前記縫製制御部は、前記被検出体が前記検出部により検出された箇所から、縫製方向における前記存在範囲までの領域に針落ちさせない制御を行う
    請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のミシン。
  9. 検出部と、範囲推定部と、縫製制御部と、を備えるミシンの縫製制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
    前記検出部が、縫製対象物を保持する保持部材に設けられている被検出体を検出する工程と、
    前記範囲推定部が、前記検出部により検出された前記被検出体の検出情報に基づいて、前記保持部材のミシン本体における存在範囲を推定する工程と、
    前記縫製制御部が、縫製時の針落ち点の想定範囲と前記存在範囲との情報に基づいて、前記針落ち点を前記存在範囲と重ならない位置に制御する工程と、
    を備えたプログラム。
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