JP2014085399A - 定着部材、定着装置、及び画像形成装置 - Google Patents

定着部材、定着装置、及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】内周面に接触する部材との摺動抵抗の上昇を抑制する定着部材を提供すること。
【解決手段】金属製の無端ベルト(金属ベルト110A)と、無端ベルトの内周面に設けられ、耐熱性樹脂を含んで構成された耐熱性樹脂層110Bと、を有する定着部材(定着ベルト110)である。
【選択図】図1

Description

本発明は、定着部材、定着装置、及び画像形成装置に関する。
電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置では、記録紙に形成された未定着トナー像を定着装置によって定着して画像形成している。
この定着装置としては、例えば、加熱ロールと加熱ロールに接触して配置された加圧ベルトとを備えた構成、又は、加熱ベルトと加熱ベルトに接触して配置された加圧ロールとを備えた構成のベルトニップ方式と呼ばれる定着装置が知られている。
例えば、特許文献1には、「ベルトの内面にスパイラル状の溝を有し、また、ベルトと摺動部材間に潤滑剤が塗布されており、少なくともニップのベルト回転方向上流側にベルトと摺動部材と支持部材間に空間を有する構成において、空間の断面積が長手方向中央部と端部で異なる像加熱装置」が開示されている。
また、特許文献2には、「少なくとも離型層と、該離型層内面に設けられた金属層と、該金属層内面に設けられ摺動面を形成する摺動層とを有し、該摺動層がニッケルを含まない金属からなる定着ベルト」が開示されている。
また、特許文献3には、「円筒状の基体の内周面上で、離型剤を介して形成された金属薄膜と、該金属薄膜の内周面に密接し、遠心成形によって積層された耐熱性樹脂フイルムとを有する無端状ベルト」が開示されている。
特開2005−242113号公報 特開2005−241955号公報 特許3694890号明細書
本発明の課題は、内周面に接触する部材との摺動抵抗の上昇を抑制する定着部材を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
金属製の無端ベルトと、
前記無端ベルトの内周面に設けられ、耐熱性樹脂を含んで構成された耐熱性樹脂層と、
を有する定着部材。
請求項2に係る発明は、
前記耐熱性樹脂層の厚みが、0.5μm以上10μm以下である請求項1に記載の定着部材。
請求項3に係る発明は、
前記耐熱性樹脂層の内周面の表面粗さRaが、0.1μm以上3.0μm以下である請求項1又は2に記載の定着部材。
請求項4に係る発明は、
前記耐熱性樹脂層の少なくとも内周面が、連続孔を有する多孔質構造で構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の定着部材。
請求項5に係る発明は、
前記多孔質構造の連続孔の大きさが、0.01μm以上100μm以下である請求項4に記載の定着部材。
請求項6に係る発明は、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の定着部材で構成された第1回転体と、
第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、
前記第1回転体の内部に配置され、前記第1回転体の内周面から第1回転体を第2回転体へ押圧する押圧部材と、
を備える定着装置。
請求項7に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、
帯電された前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記トナー像を前記記録媒体に定着する定着手段であって、請求項7に記載の定着装置である定着手段と、
を備える画像形成装置。
請求項1に係る発明によれば、金属製の無端状ベルトの内周面に耐熱性樹脂層を設けない場合に比べ、内周面に接触する部材との摺動抵抗の上昇を抑制する定着部材が提供される。
請求項2に係る発明によれば、耐熱性樹脂層の厚みが上記範囲外の場合に比べ、耐熱性樹脂層による熱容量の上昇を抑えつつ、内周面に接触する部材との摺動抵抗の上昇を抑制する定着部材が提供される。
請求項3に係る発明によれば、耐熱性樹脂層の内周面の表面粗さRaが上記範囲外の場合に比べ、耐熱性樹脂層の磨耗を抑制する定着部材が提供される。
請求項4に係る発明によれば、熱性樹脂層の少なくとも内周面が多孔質構造で構成されていない場合に比べ、耐熱性樹脂層の磨耗を抑制する定着部材が提供される。
請求項5に係る発明によれば、多孔質構造の連続孔の大きさが上記範囲外の場合に比べ、耐熱性樹脂層の磨耗を抑制する定着部材が提供される。
請求項6、7に係る発明によれば、金属製の無端状ベルトの内周面に耐熱性樹脂層を設けない定着部材を備えた場合に比べ、定着維持性に優れた定着装置、画像形成装置が提供される。
本実施形態に係る定着部材の一例を示す模式断面図である。 第1実施形態に係る定着装置の一例を示す概略構成図である。 第2実施形態に係る定着装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
なお、実質的に同一の機能を有する部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明は適宜省略する場合がある。
[定着部材]
本実施形態に係る定着部材について説明する。
図1は、本実施形態に係る定着部材の一例を示す概略断面図である。
本実施形態に係る定着部材110(以下、「定着ベルト110」と称する)は、図1に示すように、例えば、金属製の無端ベルト110A(以下、「金属ベルト」と称する)を備え、金属ベルト110Aの内周面に、耐熱性樹脂層110Bを有する一方、金属ベルト110Aの外周面に、耐熱性弾性層110C及び耐熱性離型層110Dをこの順で有する。
なお、本実施形態に係る定着ベルト110において、耐熱性弾性層110C及び耐熱性離型層110Dは必要に応じて設けられる層である。耐熱性弾性層110C及び耐熱性離型層110Dを設けると、カラー定着時の画質向上とオフセット抑制(トナー像が定着ベルトに固着する現象の抑制)が実現され易くなる。
ここで、金属製の無端状ベルトを定着ベルトとして使用することが知られている。
しかしながら、定着ベルトは、その内周面から接触部材(例えば押圧部材等)により接触(又は押圧)されつつ、回転する。このため、内周面が金属面で構成される金属製の無端状ベルトを定着ベルトとして使用すると、当該接触部材との摺動抵抗が上昇する傾向がある。この摺動抵抗が上昇すると、継続しての定着を実現され難く、定着維持性が低下し易くなる。
そこで、本実施形態に係る定着ベルト110では、金属ベルト110Aの内周面に耐熱性樹脂層110Bを設ける。耐熱性樹脂層110Bを設けることにより、定着ベルト110の内周面に接触する部材が、金属ベルト110Aの金属面に直接接触することが回避され、金属に比べ、摺動抵抗が維持され易い耐熱性樹脂層110Bと接触した状態となる。
このため、本実施形態に係る定着ベルト110では、内周面に接触する部材との摺動抵抗の上昇が抑制される。
そして、本実施形態に係る定着ベルト110を備えた定着装置、及び画像形成装置は、定着維持性に優れたものとなる。
以下、本実施形態に係る定着ベルト110の構成要素について詳細に説明する。なお、符号は省略して説明する。
(金属ベルト)
金属ベルトは、金属製の無端ベルトで構成されている。
具体的には、金属ベルトを構成する金属材料としては、例えば、鉄、ニッケル、チタン、銅、アルミニウムの金属若しくはこれらの合金、ステンレス鋼、ニッケル合金、チタン合金、又は銅合金等が挙げられる。
金属ベルトは、単層構造であってもよく、2層以上の積層構造であってもよい。積層構造の金属ベルトとしては、例えば、基材層(例えばステンレス鋼層)上に金属層(例えば銅層)が積層された構造、基材層(例えばステンレス鋼層)上に金属層(例えば銅層)及び保護層(例えばステンレス鋼層)が順次積層された構造等が挙げられる。
金属ベルトの厚みは、定着ベルトとしての剛性を保つ観点から、例えば、30μm以上70μm以下であることがよく、望ましくは35μm以上65μm以下、より望ましくは40μm以上60μm以下である。
(耐熱性樹脂層)
耐熱性樹脂層は、耐熱性樹脂を含んで構成される。
耐熱性樹脂としては、ポリイミド、芳香族ポリアミド、液晶材料(例えばサーモトロピック液晶ポリマー等)、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリイミドアミド等が挙げられるが、この中でもポリイミドがよい。
なお、「耐熱性」とは、定着装置の昇温温度(例えば定着温度)に達しても、溶けたり分解したりしない特性を意味する。以下、同様である。
耐熱性樹脂層には、各種添加剤が配合されてもよい。添加剤としては、例えば、補強剤(カーボンブラック等)、充填剤(炭酸カルシウム等)、軟化剤(パラフィン系等)、加工助剤(ステアリン酸等)、老化防止剤(アミン系等)、加硫剤(硫黄、金属酸化物、過酸化物等)、機能性充填剤(アルミナ等)等が挙げられる。
耐熱性樹脂層の内周面(定着ベルトの内周面)の表面粗さRaが、例えば、0.1μm以上3.0μm以下であることがよく、望ましくは0.3μm以上2.5μm以下、より望ましくは0.5μm以上2.0μm以下である。
この表面粗さRaを上記範囲とすると、定着ベルトとこれの内周面と接触する部材と間に離型剤を介在させたとき、この離型剤が耐熱性樹脂層の内周面に保持され易くなり、その結果、定着ベルトの内周面に接触する部材との摺動抵抗の低減が維持され、耐熱性樹脂層の磨耗が抑制され易くなる。
なお、耐熱性樹脂層の内周面の表面粗さRaは、例えば、金属ベルトの表面粗さRaによって調整される。
表面粗さRaの測定は、表面粗さ計サーフコム1400A(東京精密社製)を用いて、JIS B0601−1994に準拠し、評価長さLnを4mm、基準長さLを0.8mm、カットオフ値を0.8mmとした測定条件で行う。
耐熱性樹脂層の内周面(定着ベルトの内周面)は、例えば、連続孔を有する多孔質構造で構成されることがよい。これにより、定着ベルトとこれの内周面と接触する部材と間に離型剤を介在させたとき、この離型剤が多孔質体の孔中に保持され易くなり、その結果、定着ベルトの内周面に接触する部材との摺動抵抗の低減が維持され、耐熱性樹脂層の磨耗が抑制され易くなる。
なお、耐熱性樹脂層は、層全体が多孔質構造(つまり多孔質層)で構成されてた単層構造であってもよいし、外周面(金属ベルトと接す面)側が非多孔質層と内周面側が多孔質層で構成された複層構造であってもよい。
耐熱性樹脂層の内周面を構成する多孔質体は、多数の連続孔が耐熱性樹脂層の内周面から内部にかけて延びて存在している状態を示し、貫通している必要がある。
この多孔質体の連続孔の大きさは、離型剤を保持し、磨耗を抑制する観点から、例えば、0.01μm以上100μm以下、望ましくは0.05μm以上80μm以下、より望ましくは1.0μm以上70μm以下である。
なお、連続孔の大きさとは、耐熱性樹脂層の内周面に存在する連続孔の開口径を意味する。
そして、連続孔の大きさは、耐熱性樹脂層の内周面を含む一部を採取し、これを測定試料として、走査型電子顕微鏡により、当該内周面に該当する測定試料の面を倍率20,000倍で観察し、その画像を画像処理ソフト(標準モード)で処理し、連続孔の開口の最大径を求める。これを連続孔の開口100個について求め、その平均値を連続孔の大きさとする。
ここで、連続孔とは、耐熱性樹脂層において、内周面から内部に向かって少なくとも2つ以上の気泡が繋がって形成されている空孔、又は内周面から内部に向かって連続して形成された空孔を意味している。
耐熱性樹脂層の厚みは、例えば、0.5μm以上10μm以下であることがよく、望ましくは0.7μm以上8μm以下、より望ましくは1.0μm以上7μm以下である。
この厚みを上記範囲とすると、耐熱性樹脂層による熱容量の上昇が抑えられつつ、内周面に接触する部材との摺動抵抗の上昇が抑制され易くなる。
(耐熱弾性層)
耐熱弾性層は、例えば、耐熱弾性体を含んで構成される。
耐熱弾性体としては、例えば、シリコーンゴム又はフッ素ゴムが挙げられる。
シリコーンゴムとしては、例えば、RTVシリコーンゴム、HTVシリコーンゴム等が挙げられ、具体的には、ポリジメチルシリコーンゴム(MQ)、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)、メチルフェニルシリコーンゴム(PMQ)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)等が挙げられる。
フッ素ゴムとしては、例えば、フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン/プロピレン系ゴム、四フッ化エチレン/パーフルオロメチルビニルエーテルゴム、フォスファゼン系ゴム、フルオロポリエーテル等が挙げられる。
なお、耐熱弾性層には、各種添加剤が配合されてもよい。添加剤としては、例えば、補強剤(カーボンブラック等)、充填剤(炭酸カルシウム等)、軟化剤(パラフィン系等)、加工助剤(ステアリン酸等)、老化防止剤(アミン系等)、加硫剤(硫黄、金属酸化物、過酸化物等)、機能性充填剤(アルミナ等)等が挙げられる。
耐熱弾性層の厚みは、例えば、0.1mm以上0.5mm以下であることがよく、望ましくは0.15mm以上0.3mm以下である。
(耐熱性離型層)
離型層は、例えば、耐熱性離型材料を含んで構成される。
耐熱性離型材料としては、フッ素ゴム、フッ素樹脂(例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン共重合体(FEP)等)、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
離型層の厚みは、例えば、10μm以上50μm以下であることがよく、望ましくは0.20μm以上40μm以下である。
(定着ベルトの製造方法)
本実施形態に係る定着ベルトの製造方法としては、特に制限はなく、周知の方法が利用される。
具体的には、例えば、まず、金属製の板材を準備し、その板材を塑性加工法により目的とする厚みを有するベルト状に成型し、金属ベルトを得る。
塑性加工法としては、例えば、深絞法、へら絞り法、プレス法、回転塑性加工法等が挙げられる。また回転塑性加工法としては、例えばスピニング加工が挙げられる。
なお、金属製の板材を成型する前に、板材に熱処理を施してもよい。
次に、金属ベルトの内周面に、耐熱性樹脂層を形成する。耐熱性樹脂層の形成方法としては、例えば、遠心塗布法、スプレー塗布法、フロー塗布法等が挙げられる。
次に、金属ベルトの外周面に、必要に応じて、耐熱性弾性層を形成する。耐熱性弾性層の形成方法としては、例えば、リング塗布法、浸漬塗布法、注入成型法等が挙げられる。
そして耐熱性弾性層の外周面に耐熱性離型層を形成する。耐熱性離型層の形成方法としては、例えば、静電粉体塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、遠心塗布法等が挙げられる。
なお、耐熱性樹脂層と、耐熱性弾性層及び耐熱性離型層と、の形成順序は、特に制限はなく、いずれが先であってもよい。
ここで、少なくとも内周面が多孔質構造で構成された耐熱性樹脂層の形成方法の一例としては、例えば、以下に示す方法が好適に挙げられる。
(A)耐熱性樹脂層として、金属ベルトの内周面に、ポリイミド前駆体溶液を塗布してポリイミド前駆体塗膜を形成し(以下、「PI前駆体塗膜形成工程」という)、ポリイミド前駆体塗膜表面に貫通孔を多数有する溶剤置換速度調節材を被覆し、ポリイミド前駆体塗膜を凝固溶媒に接触させて、内周面に多孔質構造を有するポリイミド前駆体塗膜を形成し(以下、「PI前駆体析出工程」という)、内周面に多孔質構造を有するポリイミド前駆体塗膜を、熱イミド化処理して、内周面に多孔質構造を有するポリイミド樹脂層を形成する(以下、「PI樹脂層形成工程」という)方法(以下、この方法を(A)の方法という)。
(B)耐熱性樹脂層として、金属ベルトの内周面に、耐熱性樹脂塗布液を用いて非多孔質(以下「バルク状」という)の耐熱樹脂層を形成し(以下、「バルク状の耐熱樹脂層形成工程」という)、バルク状の樹脂層表面に、発泡剤を含む耐熱性樹脂塗布液を用いて多孔質の耐熱性樹脂層(以下、「多孔質の耐熱性樹脂層形成工程」という)を形成する方法((B)の方法という)。
以下、(A)の方法について説明する。
−PI前駆体塗膜形成工程−
PI前駆体塗膜形成工程では、例えば、無為ベルトの内周面に、ポリイミド前駆体溶液を塗布することでポリイミド前駆体塗膜を形成する。当該溶液に使用するポリイミド前駆体としては、ジアミノ化合物とテトラカルボン酸二無水物とから得られるポリアミド酸等が挙げられる。また、ポリイミド前駆体を溶解する溶剤としては、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン系極性溶剤が挙げられる。
また、ポリイミド前駆体溶液には、目的に応じて、滑剤、可塑剤、導電性粒子、酸化防止剤その他の添加物が添加されてもよい。
ポリイミド前駆体溶液は、例えば、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン成分とを有機極性溶媒中で反応させポリイミド前駆体を合成することで得られる。
芳香族テトラカルボン酸の代表例としては、次のようなものが挙げられる。例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、あるいはこれらのテトラカルボン酸エステル、または上記各テトラカルボン酸類の混合物等が挙げられる。
一方、芳香族ジアミン成分としては、特に制限はなく、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジメトキシベンチジン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等が挙げられる。
ポリイミド前駆体溶液の金属ベルトの内周面への塗布量は、所望とする膜厚によるが、200g/m2以上1800g/m2以下とすることがよい。200g/cm2未満であると膜厚不足となることがあり、1800g/m2を超えると膜厚過多となることがある。
ポリイミド前駆体溶液を塗布する方法は、特に制限されず、例えば特開昭57−74131号公報に記載の遠心成形塗布法、特開昭62−19437号公報に記載の内面塗布法、特開平9−85756号公報に記載のらせん塗布法等が挙げられる。
−PI前駆体析出工程−
PI前駆体析出工程では、例えば、ポリイミド前駆体塗膜を凝固溶媒に接触させる際、ポリイミド前駆体塗膜の内周面に貫通孔を多数有する溶剤置換速度調節材を被覆しておく。この凝固溶剤は、ポリイミド前駆体には不溶で、ポリイミド前駆体溶液の溶剤(非プロトン系極性溶剤)には相溶する溶剤である。このため、ポリイミド前駆体塗膜を、凝固溶媒に接触させると、ポリイミド前駆体塗膜から溶剤(プロトン系極性溶剤)が凝固溶媒に染み出て、代わりに凝固溶媒が浸透する。ポリイミド前駆体は凝固溶媒には不溶なのでポリイミド前駆体は析出する。この凝固溶剤に接触させる際に、ポリイミド前駆体塗膜表面に、溶剤置換速度調節材を被覆することで、当該調節材の貫通孔からのみ、凝固溶剤がポリイミド前駆体塗膜と接触する。そして、この接触した部分にのみ、溶剤(プロトン系極性溶剤)が凝固溶媒に染み出て、代わりに凝固溶媒が浸透し、ポリイミド前駆体塗膜では、上記調節材の貫通孔の部分にのみ細孔が形成される。このため、内周面に多孔質構造を有するポリイミド前駆体塗膜が形成される。なお、表面に多孔質構造を有するポリイミド前駆体塗膜を形成後、溶剤置換速度調節材は剥離する。
溶剤置換速度調節材は、ポリイミド前駆体塗膜表面に被覆する構造であれば、どのようなものでもよいが、一般的には、シート状のものが用いられる。具体的には、溶剤置換速度調節材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、セルロース、ポリフッ化エチレン系繊維(例えば、テフロン(登録商標))等からなる不織布、又は多孔質膜が挙げられる。また、溶剤置換速度調節材は、多数の貫通孔が設けられてなるが、これは、目的とする多孔質構造によって、その数や大きさは異なる。貫通孔の大きさ(口径)は、目的とするポリイミド樹脂層における多孔質構造の連続孔の大きさよりも、大きめに設定することが好適である。
凝固溶剤としては、例えば、水、アルコール類(例えばメタノール、エタノール等)、炭化水素類(例えばヘキサン、ヘプタン、等)、ケトン類(例えばアセトン、ブタノン等)、エステル類(例えば酢酸エチル等)が挙げられ、水が最も扱いが簡便で好ましい。
ポリイミド前駆体塗膜を凝固溶剤と接触させる方法としては、ポリイミド前駆体塗膜を内周面に形成した金属ベルトを、凝固溶剤で満たした槽に浸漬する方法、等が好適である。この方法では、ポリイミド前駆体塗膜を凝固溶剤に均一に接触させることができる。この浸漬方法では、より効率よくポリイミド前駆体を析出させ、多孔質構造を形成する観点から、凝固溶剤を攪拌して、溶剤置換速度調節材における貫通孔内部に流通させやすくすることが好ましい。
ポリイミド前駆体塗膜を凝固溶剤と接触させる方法としては、その他、ポリイミド前駆体塗膜に凝固溶剤を流下させたり、吹き付けてもよい。
PI前駆体析出工程においては、ポリイミド前駆体塗膜を凝固溶剤に接触させる時間により、ポリイミド前駆体塗膜からの非プロトン系極性溶剤の溶出量が変化する。即ち、この時間により、多孔質構造の細孔の大きさや深さ(長さ)などが制御される。
また、ポリイミド前駆体塗膜から凝固溶剤への非プロトン系極性溶剤の溶出量は、通常、凝固溶剤の温度が高いほど速くなるので、温度によっても、上記多孔質構造の連続孔の大きさや深さなどが制御される。
さらに、凝固溶剤にあらかじめ非プロトン系極性溶剤を混合しておくことにより、ポリイミド前駆体塗膜からの非プロトン系極性溶剤の溶出量を調整することもできるので、これによっても、上記多孔質構造の細孔の大きさや深さなどが制御される。
−PI樹脂層形成工程−
PI樹脂層形成工程においては、まず、非プロトン系極性溶剤を除去する目的で、乾燥を行うことがよい。乾燥条件は、例えば、20℃以上120℃以下の温度で10分間以上60分間以下行うのがよい。金属ベルトの内部に温風を送ることも効果的である。乾燥温度は、段階的、または一定速度で上昇させてもよい。
乾燥を、金属ベルトの幅方向を縦(重力方向に沿う方向)にして行うと、塗膜の一部分に筋やむらが生じることもある。そのような場合には、金属ベルトの幅方向を縦にして、さらに回転させることが有効である。回転速度は、例えば、10rpm以上100rpm以下がよいが、回転装置によってはこれより速くても遅くてもかまわない。金属ベルトの幅方向を縦にして回転させることは、金属ベルトの幅方向を横(水平方向に沿う方向)にして回転させるよりも装置の構造は簡単である。
PI樹脂層形成工程において、乾燥の後、例えば、350℃前後(望ましくは300℃以上450℃以下)の温度で、20分間以上60分間以下、ポリイミド前駆体塗膜を加熱することで、熱イミド化処理し、ポリイミド樹脂層を形成する。熱イミド化処理の際、溶剤が残留しているとポリイミド樹脂層に膨れが生じることがあるため、熱イミド化処理前には、残留溶剤を除去することがよく、具体的には、熱イミド化処理前に、200℃以上250℃以下の温度で、10分間以上30分間以下加熱乾燥することがよく、続けて、温度を段階的、または一定速度で上昇させて、熱イミド化処理することがよい。
以上の工程を経て、少なくとも内周面に多孔質構造を有するポリイミド樹脂層(耐熱性樹脂層)が形成される。
以下、(B)の方法について説明する。なお、(B)の方法では、ポリイミド前駆体溶液を用いてポリイミド樹脂層を形成する方法に準じて説明するが、これに限定されるわけではない。
−バルク状の耐熱性樹脂層形成工程−
バルク状の耐熱性樹脂層形成工程では、上記(A)の方法における、PI析出工程で溶剤置換速度調節材を用いない以外は、同様の工程で、バルク状の耐熱性樹脂層(ポリイミド樹脂層)を形成する。ここで、「バルク状」とは、多孔質構造を有する樹脂層と区別するための文言であり、多孔質構造を有さない耐熱性樹脂層を意味する。なお、場合によっては、PI析出工程は行わなくてよい。
―多孔質の樹脂層形成工程―
多孔質の樹脂層形成工程では、上記(A)の方法におけるポリイミド前駆体溶液中に、発泡剤を添加し、さらに、ポリイミド析出工程で溶剤置換速度調節材を用いない以外は、同様の工程で、バルク状の耐熱性樹脂層(ポリイミド樹脂層)を形成する。このように、多孔質の耐熱性樹脂層は、耐熱性樹脂(ポリイミド前駆体)と共に、発泡剤を用い、加熱硬化処理(熱イミド化処理)させることで、容易に形成される。なお、場合によっては、PI析出工程は行わなくてよい。
発泡剤として具体的には、例えば、「セルマイクC191(三協化成(株)製)」(主成分アゾジカルボンアミド)や、「セルマイク417(三協化成(株)製)」(無機系)等が挙げられる。
また、(B)の方法のように、耐熱性樹脂層を複数層で構成する場合、下層の耐熱性樹脂層を乾燥又は半硬化させて、上層の耐熱性樹脂層における加熱硬化(熱イミド化処理)と共に、下層の耐熱性樹脂層を完全に加熱硬化(熱イミド化処理)させることも好適である。このような方法を取ることで、各層間が溶融接着し優れた接着強度が得られるため好適である。
(定着ベルトの用途)
本実施形態に係る定着ベルトは、例えば、加熱ベルト、加圧ベルトのいずれにも適用される。なお、加熱ベルトとしては、定着ベルトの一部を構成する金属製の金属ベルト(又はそれを構成する一部の金属層)を電磁誘導方式により加熱する金属層として適用して加熱する加熱ベルト、外部の熱源から加熱される加熱ベルトのいずれであってもよい。
[定着装置]
本実施形態に係る定着装置としては、種々の構成があり、例えば、第1回転体と、第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、第1回転体の内部に配置され、第1回転体の内周面から第1回転体を第2回転体へ押圧する押圧部材と、を備える。
そして、内周面から押圧部材により第2回転体へ押圧される第1回転体として、本実施形態に係る定着ベルトが適用される。
以下に、第1及び2実施形態として、本実施形態に係る定着ベルトが適用された加熱ベルトと加圧ロールと備えた定着装置を説明する。
なお、本実施形態に係る定着装置は、第1及び第2実施形態に限られず、加熱ロール又は加熱ベルトと、本実施形態に係る定着ベルトが適用された加圧ベルトと、を備えた定着装置であってもよい。
(定着装置の第1実施形態)
第1実施形態に係る定着装置について説明する。図2は、第1実施形態に係る定着装置の一例を示す概略構成図である。
第1実施形態に係る定着装置60は、図2に示すように、例えば、加熱ベルト62(第1回転体の一例)と、加熱ベルト62の外周面に接触する加圧ローラ64(第2回転体の一例)と、加熱ベルト62の内周面に接触し加圧ローラ64と対抗する位置に配置される押圧パッド66(押圧部材の一例)と、押圧パッド66を支持する支持部材68と、加熱ベルト62の外周面側に非接触の状態で、加熱ベルト62の金属層(本実施形態に係る定着ベルトの一部を構成する金属ベルト(又はこれを構成する一部の金属層))に渦電流を発生させて加熱ベルト62の外周面を発熱させる電磁誘導コイル70(加熱源の一例)と、該電磁誘導コイル70を支持するコイル支持部材72と、を備える。
加圧ローラ64は、不図示の駆動源により矢印R方向に回転する。また、加熱ベルト62と加圧ローラ64とは、用紙K(記録媒体の一例)が挿通するように接触しており、加圧ローラ64の矢印R方向への回転に伴い、加熱ベルト62は従動回転する。加熱ベルト62の内周面には、加熱ベルト62の外周面と接触している加圧ローラ64の表面を押圧するように、押圧パッド66が配置され、挟込領域Nを形成している。また、押圧パッド66は、加熱ベルト62の内周面に設けられた支持部材68により固定されている。
一方、加熱ベルト62の外周面側には、電磁誘導コイル70が非接触の状態で設けられ、該電磁誘導コイル70はコイル支持部材72により固定されている。電磁誘導コイル70は不図示の電源に接続されており、電磁誘導コイル70に交流電流が流された際に、電磁誘導コイル70周辺に加熱ベルト62外周面と直行する磁界を発生させる。なお、磁界は、不図示の励起回路により、加熱ベルト62に含まれる発熱層中に渦電流を発生させるように変動するものである。
定着装置60による画像定着の動作について説明する。
加圧ローラ64の矢印R方向への回転に伴い、加熱ベルト62が矢印S方向に従動回転し、電磁誘導コイル70により発生した磁界に曝される。この際、電磁誘導コイル70周辺の加熱ベルト62に含まれる発熱層には渦電流が発生し、加熱ベルト62の外周面が加熱される。
このようにして加熱された加熱ベルト62は、加圧ローラ64との挟込領域Nまで移動する。一方、不図示の搬送手段により矢印P方向へと、未定着トナー像(不図示)が表面に設けられた用紙Kが搬送される。用紙Kが挟込領域Nを通過した際に、未定着トナー像(不図示)は加熱ベルト62により加熱されて用紙K表面に定着され、定着画像となる。このようにして定着画像が表面に形成された用紙Kは、不図示の搬送手段により矢印P方向へと搬送され。定着装置60から排出される。
また、挟込領域Nにおいて定着処理を終え、外周面の表面温度が低下した加熱ベルト62は、次の定着処理に備えて再度加熱されるために、電磁誘導コイル70方向へと回転する。
なお、電磁誘導コイル70と加熱ベルト62との距離は、特に制限されるものではないが、力率を高めるために電磁誘導コイル70と加熱ベルト62の金属層との結合係数を大きくする観点からは、非接触で5mm以内に設定することがよい。
(定着装置の第2実施形態)
第2実施形態に係る定着装置について説明する。図3は、第2実施形態に係る定着装置の一例を示す概略構成図である。
第1実施形態に係る定着装置80は、図3に示すように、例えば、加熱ベルト84(第1回転体の一例)を備える定着ベルトモジュール86と、加熱ベルト84(定着ベルトモジュール86)に押圧して配置された加圧ロール88(第2回転体の一例)とを含んで構成されている。そして、例えば、加熱ベルト84(定着ベルトモジュール86)と加圧ロール88とが接触する挟込領域N(ニップ部)が形成されている。挟込領域Nでは、用紙K(記録媒体の一例)が加圧及び加熱されトナー像が定着される。
定着ベルトモジュール86は、例えば、無端状の加熱ベルト84と、加圧ロール88側で加熱ベルト84が巻き掛けられ、モータ(不図示)の回転力で回転駆動すると共に加熱ベルト84をその内周面から加圧ロール88側へ押し付ける加熱押圧ロール89と、加熱押圧ロール89と異なる位置で内側から加熱ベルト84を支持する支持ロール90とを備えている。
定着ベルトモジュール86は、例えば、加熱ベルト84の外側に配置されてその周回経路を規定する支持ロール92と、加熱押圧ロール89から支持ロール90までの加熱ベルト84の姿勢を矯正する姿勢矯正ロール94と、加熱ベルト84(定着ベルトモジュール86)と加圧ロール88とが接触する領域である挟込領域Nの下流側において加熱ベルト84を内周面から張力を付与する支持ロール98とが設けられている。
そして、定着ベルトモジュール86は、例えば、加熱ベルト84と加熱押圧ロール89との間に、シート状の摺動部材82が介在するように設けられている。
摺動部材82は、例えば、その摺動面が加熱ベルト84の内周面と接するように設けられており、加熱ベルト84との間に存在するオイルの保持・供給に関与する。
ここで、摺動部材82は、例えば、その両端が支持部材96により支持された状態で設けられている。
加熱押圧ロール89は、アルミニウムからなる円筒状の芯金の表面の金属磨耗を防止する保護層として、芯金表面に坪量200μmのフッ素樹脂皮膜が形成されたハードロールである。
加熱押圧ロール89の内部には、例えば、ハロゲンヒータ89A(加熱源の一例)が設けられている。
支持ロール90は、アルミニウムで形成された円筒状ロールであり、内部にはハロゲンヒータ90A(加熱源の一例)が配設されており、加熱ベルト84を内周面側から加熱するようになっている。
支持ロール90の両端部には、例えば、加熱ベルト84を外側に押圧するバネ部材(不図示)が配設されている。
支持ロール92は、例えば、アルミニウムで形成された円筒状ロールであり、支持ロール92の表面には厚み20μmのフッ素樹脂からなる離型層が形成されている。
支持ロール92の離型層は、例えば、加熱ベルト84の外周面からのトナーや紙粉が支持ロール92に堆積するのを防止するために形成されるものである。
支持ロール92の内部には、例えば、ハロゲンヒータ92A(加熱源の一例)が配設されており、加熱ベルト84を外周面側から加熱するようになっている。
つまり、例えば、加熱押圧ロール89と支持ロール90及び支持ロール92とによって、加熱ベルト84が加熱される構成となっている。
姿勢矯正ロール94は、例えば、アルミニウムで形成された円柱状ロールであり、姿勢矯正ロール94の近傍には、加熱ベルト84の端部位置を測定する端部位置測定機構(不図示)が配置されている。
姿勢矯正ロール94には、例えば、端部位置測定機構の測定結果に応じて加熱ベルト84の軸方向における当り位置を変位させる軸変位機構(不図示)が配設され、加熱ベルト84の蛇行を制御するように構成されている。
一方、加圧ロール88は、例えば、アルミニウムからなる円柱状ロール88Aを基体として、基体側から順に、シリコーンゴムからなる弾性層88Bと、膜厚100μmのフッ素樹脂を含む剥離層とが積層された構成となっている。また、加圧ロール88は、回転自在に支持されると共に、図示しないスプリング等の付勢手段によって加熱ベルト84が加熱押圧ロール89に巻き回された部位に押圧されて設けられている。これにより、定着ベルトモジュール86の加熱ベルト84(加熱押圧ロール89)が矢印S方向へ回転移動するのに伴って、加熱ベルト84(加熱押圧ロール89)に従動して加圧ロール88が矢印R方向に回転移動するようになっている。
そして、未定着トナー像(不図示)を有する用紙Kは、矢印P方向に搬送され、定着装置80の挟込領域Nに導かれると、挟込領域Nに作用する圧力と熱とによって定着される。
なお、第2実施形態に係る定着装置80では、加熱源の一例としてハロゲンヒータ(ハロゲンランプ)を適用した形態を説明したが、これに限られず、ハロゲンヒータ以外の輻射ランプ発熱体(放射線(赤外線等)を発する発熱体)、抵抗発熱体(抵抗に電流を流すことによりジュール熱を発生させる発熱体:例えばセラミック基板に厚膜抵抗を有する膜を形成して焼成させたもの等)を適用してもよい。
[画像形成装置]
次に、本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
本実施形態の画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電された像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、トナー像を記録媒体に定着する定着手段と、を備える。そして、定着手段として、本実施形態に係る定着装置が適用される。
以下、本実施形態に係る画像形成装置について図面を参照しつつ説明する。
図5は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示した概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図5に示すように、例えば、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kと、各画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10と、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー像を記録媒体である用紙Kに一括転写(二次転写)させる二次転写部20と、二次転写された画像を用紙K上に定着させる定着装置60と、を備えている。また、画像形成装置100は、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
この定着装置60が既述の第1実施形態に係る定着装置60である。なお、画像形成装置100は、既述の第2実施形態に係る定着装置80を備える構成であってもよい。
画像形成装置100の各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、表面に形成されるトナー像を保持する像保持体の一例として、矢印A方向に回転する感光体11を備えている。
感光体11の周囲には、帯電手段の一例として、感光体11を帯電させる帯電器12が設けられ、潜像形成手段の一例として、感光体11上に静電潜像を書込むレーザー露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)が設けられている。
また、感光体11の周囲には、現像手段の一例として、各色成分トナーが収容されて感光体11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14が設けられ、感光体11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16が設けられている。
更に、感光体11の周囲には、感光体11上の残留トナーが除去される感光体クリーナ17が設けられ、帯電器12、レーザー露光器13、現像器14、一次転写ロール16及び感光体クリーナ17の電子写真用デバイスが感光体11の回転方向に沿って順次配設されている。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に、略直線状に配置されている。
中間転写体である中間転写ベルト15は、ポリイミド或いはポリアミド等の樹脂をベース層としてカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の加圧ベルトで構成されている。そして、その体積抵抗率は10Ωcm以上1014Ωcm以下となるように形成されており、その厚みは、例えば、0.1mm程度に構成されている。
中間転写ベルト15は、各種ロールによって図5に示すB方向に所定の速度で循環駆動(回転)されている。この各種ロールとして、定速性に優れたモータ(図示せず)により駆動されて中間転写ベルト15を回転させる駆動ロール31、各感光体11の配列方向に沿って略直線状に延びる中間転写ベルト15を支持する支持ロール32、中間転写ベルト15に対して一定の張力を与えると共に中間転写ベルト15の蛇行を防止する補正ロールとして機能する張力付与ロール33、二次転写部20に設けられる背面ロール25、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けられるクリーニング背面ロール34を有している。
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟んで感光体11に対向して配置される一次転写ロール16で構成されている。一次転写ロール16は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは、鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5Ωcm以上108.5Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。
そして、一次転写ロール16は中間転写ベルト15を挟んで感光体11に圧接配置され、更に一次転写ロール16にはトナーの帯電極性(マイナス極性とする。以下同様。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上において重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
二次転写部20は、背面ロール25と、中間転写ベルト15のトナー像保持面側に配置される二次転写ロール22と、を備えて構成されている。
背面ロール25は、表面がカーボンを分散したEPDMとNBRのブレンドゴムのチューブ、内部はEPDMゴムで構成されている。そして、その表面抵抗率が10Ω/□以上1010Ω/□以下となるように形成され、硬度は、例えば、70°(アスカーC:高分子計器社製、以下同様。)に設定される。この背面ロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極を構成し、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール26が接触配置されている。
一方、二次転写ロール22は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5Ωcm以上108.5Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。
そして、二次転写ロール22は中間転写ベルト15を挟んで背面ロール25に圧接配置され、更に二次転写ロール22は接地されて背面ロール25との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部20に搬送される用紙K上にトナー像を二次転写する。
また、中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去し、中間転写ベルト15の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナ35が接離自在に設けられている。
なお、中間転写ベルト15、一次転写部10(一次転写ロール16)、及び二次転写部20(二次転写ロール22)が、転写手段の一例に該当する。
一方、イエローの画像形成ユニット1Yの上流側には、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42が配設されている。また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。この基準センサ42は、中間転写ベルト15の裏側に設けられた所定のマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部40からの指示により、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは画像形成を開始するように構成されている。
更に、本実施形態に係る画像形成装置では、用紙Kを搬送する搬送手段として、用紙Kを収容する用紙収容部50、この用紙収容部50に集積された用紙Kを所定のタイミングで取り出して搬送する給紙ロール51、給紙ロール51により繰り出された用紙Kを搬送する搬送ロール52、搬送ロール52により搬送された用紙Kを二次転写部20へと送り込む搬送ガイド53、二次転写ロール22により二次転写された後に搬送される用紙Kを定着装置60へと搬送する搬送ベルト55、用紙Kを定着装置60に導く定着入口ガイド56を備えている。
次に、本実施形態に係る画像形成装置の基本的な作像プロセスについて説明する。
本実施形態に係る画像形成装置では、図示しない画像読取装置や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置により所定の画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。
画像処理装置では、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の所定の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、レーザー露光器13に出力される。
レーザー露光器13では、入力された色材階調データに応じて、例えば半導体レーザーから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々の感光体11に照射している。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各感光体11では、帯電器12によって表面が帯電された後、このレーザー露光器13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの感光体11上に形成されたトナー像は、各感光体11と中間転写ベルト15とが接触する一次転写部10において、中間転写ベルト15上に転写される。より具体的には、一次転写部10において、一次転写ロール16により中間転写ベルト15の基材に対しトナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写が行われる。
トナー像が中間転写ベルト15の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト15は移動してトナー像が二次転写部20に搬送される。トナー像が二次転写部20に搬送されると、搬送手段では、トナー像が二次転写部20に搬送されるタイミングに合わせて給紙ロール51が回転し、用紙収容部50から所定サイズの用紙Kが供給される。給紙ロール51により供給された用紙Kは、搬送ロール52により搬送され、搬送ガイド53を経て二次転写部20に到達する。この二次転写部20に到達する前に、用紙Kは一旦停止され、トナー像が保持された中間転写ベルト15の移動タイミングに合わせてレジストロール(図示せず)が回転することで、用紙Kの位置とトナー像の位置との位置合わせがなされる。
二次転写部20では、中間転写ベルト15を介して、二次転写ロール22が背面ロール25に加圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された用紙Kは、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。その際に、給電ロール26からトナーの帯電極性(マイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)が印加されると、二次転写ロール22と背面ロール25との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト15上に保持された未定着トナー像は、二次転写ロール22と背面ロール25とによって加圧される二次転写部20において、用紙K上に一括して静電転写される。
その後、トナー像が静電転写された用紙Kは、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15から剥離された状態でそのまま搬送され、二次転写ロール22の用紙搬送方向下流側に設けられた搬送ベルト55へと搬送される。搬送ベルト55では、定着装置60における最適な搬送速度に合わせて、用紙Kを定着装置60まで搬送する。定着装置60に搬送された用紙K上の未定着トナー像は、定着装置60によって熱及び圧力で定着処理を受けることで用紙K上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Kは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙収容部(不図示)に搬送される。
一方、用紙Kへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回転に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニング背面ロール34及び中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定的に解釈されるものではなく、種々の変形、変更、改良が可能であり、本発明の要件を満足する範囲内で実現可能であることは言うまでもない。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(金属ベルトの作製)
まず、ステンレス板(SUS304製の板)を準備した。
次に、ステンレス板を、窒素雰囲気下において、処理温度1100℃、処理時間60分の条件にて熱処理を施した。
次に、ステンレス板をプレス・深絞り加工にて円筒容器状に成型した後、回転塑性加工法にて、内径30mm、長さ370mm、肉厚50μm、内周面の表面粗さRa1.7μmの管状体を得た。具体的には、プレス・深絞り加工(加工カッププレス)によって円筒容器状に成型された金属ベルトを、スピニング加工によって肉厚を調整した後、両端を切断することによって、無端状の金属ベルトを得た。
(耐熱性樹脂層の形成)
まず、ポリイミド前駆体溶液として、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸のN,N−ジメチルアセトアミド溶液(商品名:Uワニス、宇部興産(株)製)を用意した。固形分濃度は20%、粘度は約1Pa・sに調整した。
次に、金属ベルトの内周面に、遠心塗布法により、ポリイミド前駆体溶液を塗布して、ポリイミド前駆体塗膜を形成した。
次に、内周面にポリイミド前駆体塗膜が形成された金属ベルトを乾燥炉に入れた。設定温度は最初が30℃で、1時間後に100℃になるよう、徐々に温度が上昇するようにした。この乾燥後、皮膜は透明化した。更に150℃で20分間、200℃で20分間加熱乾燥させ、皮膜からN,N−ジメチルアセトアミドと水を完全に除去した。
その後、350℃で30分間加熱して、皮膜の熱イミド化処理した。これにより金属ベルトの内周面の全面に耐熱性樹脂層としてポリイミド樹脂層を形成した。ポリイミド樹脂層の膜厚は3.0μmであった。
(耐熱性弾性層の形成)
内周面にポリイミド前駆体塗膜が形成された金属ベルトの外周面に、JISタイプAで規定される硬度が35°となるように調整された液状シリコーンゴム(KE1940−35、液状シリコーンゴム35°品、信越化学工業社製)を膜厚が200μmとなるように塗布し、乾燥させることにより、耐熱性弾性層を形成した。
(耐熱性離型層の形成)
耐熱性弾性層の外周面に、PFA分散液(パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、500CL、三井・デュポンフロロケミカル社製)を膜厚30μmとなるように塗布し、380℃で焼成することにより、シリコーンゴムで構成された弾性層上にPFA(パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)で構成された耐熱性離型層を形成した。
以上の工程を経て、定着ベルトを作製した。
[実施例2〜8]
表1に従った材料種、厚み及び内周面の表面粗さRaの金属ベルトを準備し、この金属ベルトの内周面に、表1に従った材料及び厚みの耐熱性樹脂層を形成した以外は、実施例1と同様にして、定着ベルトを作製した。
但し、表1中、材料として「PAI」、又は「液晶ポリマー」と表記された耐熱性樹脂層の形成は、以下に示す方法に従って行った。
また、表1中、「Cu/SUS304」との表記は、金属ベルトがSUS304層(内層)とCu層(外層)との積層構造であることを示している。
(材料として「PAI」と表記された耐熱性樹脂層の形成)
まず、溶剤可溶型のポリアミドイミド溶液(日立化成工業製HPC−9000、固形分率18%、溶剤:n−メチル−2−ピロリドン)を準備した。
次に、金属ベルトの内周面に、遠心塗布法により、ポリアミドイミド溶液を塗布して、ポリアミドイミド塗膜を形成した。
次に、ポリアミドイミド塗膜に対して、温度120℃の条件で30分間乾燥処理(一次乾燥処理)、一次乾燥処理後、200℃で30分、260℃で30分、と段階的に昇温して二次乾燥処理を行った。
このようにして、金属ベルトの内周面に、耐熱性樹脂層として、目的とする厚みのポリアミドイミド層を形成した。
(材料として「液晶ポリマー」と表記された耐熱性樹脂層の形成)
まず、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸単位27モル%、p−ヒドロキシ安息香酸単位73モル%とを加熱混練したものに、赤外線吸収剤(C.I.Pigment Violet 19)を樹脂分100質量部に対して10質量部で添加してペレットとしたサーモトロピック液晶ポリマーを準備した。この液晶ポリマーの融点は280℃である。
次に、金属ベルトを遠心成型装置に配置し、液晶ポリマーのペレットの適量を金属ベルトの内側に投入し、200℃で加熱しながら、300rpmで回転駆動する。この際、金属ベルトの加熱と共に、照度5J/cm2でペレットに光照射し、配合した赤外線吸収剤を発熱させることで、べレットを加熱した。
そして、ペレットが充分に溶融し、金属ベルトの回転による遠心力で、金属ベルトの内周面に均一な層状となったところで加熱を中止し、常温(25℃)にして、冷却した。
このようにして、金属ベルトの内周面に、耐熱性樹脂層として、目的とする厚みの液晶ポリマー層を形成した。
[実施例101〜104]
表1に従った材料種、厚み及び内周面の表面粗さRaの金属ベルトを準備し、この金属ベルトの内周面に、表1に従った材料及び厚みの耐熱性樹脂層を形成した以外は、実施例1と同様にして、定着ベルトを作製した。
但し、耐熱性樹脂層は、以下に示す方法に従って、内周面が多孔質構造を有する耐熱性樹脂層を形成した。
なお、以下に示す耐熱性樹脂層の形成において、各実施例で使用する溶剤置換速度調節材は、次の通りとした。
・実施例101:溶剤置換速度調節材(商品名「トヨフロン」(透気度50秒/100cc:東レ(株)製))
・実施例102:溶剤置換速度調節材(商品名「トヨフロン」(透気度30秒/100cc:東レ(株)製))
・実施例103:溶剤置換速度調節材(商品名「トヨフロン」(透気度100秒/100cc:東レ(株)製))
・実施例104:溶剤置換速度調節材(商品名「トヨフロン」(透気度70秒/100cc:東レ(株)製))
(内周面が多孔質構造を有する耐熱性樹脂層を形成)
まず、ポリイミド前駆体溶液として、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸のN,N−ジメチルアセトアミド溶液(商品名:Uワニス、宇部興産(株)製)を用意した。固形分濃度は20%、粘度は約1Pa・sに調整した。
次に、金属ベルトの内周面に、遠心塗布法により、ポリイミド前駆体溶液を塗布して、ポリイミド前駆体塗膜を形成した。
次に、ポリイミド前駆体塗膜の内周面に、貫通孔を多数有する溶剤置換速度調節材を被覆した後、金属ベルトを水中に浸漬し、1分間放置した。金属ベルトを引き上げると、ポリイミド前駆体塗膜表面は、多数の連続孔を有した多孔質構造を有していた。そして、金属ベルト及びポリイミド前駆体塗膜の表面の水滴を拭き取った。
次に、内周面にポリイミド前駆体塗膜が形成された金属ベルトを乾燥炉に入れた。設定温度は最初が30℃で、1時間後に100℃になるよう、徐々に温度が上昇するようにした。この乾燥後、皮膜は透明化した。更に150℃で20分間、200℃で20分間加熱乾燥させ、皮膜からN,N−ジメチルアセトアミドと水を完全に除去した。
その後、350℃で30分間加熱して、皮膜の熱イミド化処理をした。
このようにして、金属ベルトの内周面に、耐熱性樹脂層として、目的とする厚みで、内周面が多孔質構造を有するポリイミド樹脂層を形成した。なお、
ポリイミド樹脂層の内周面を観察すると、多孔質構造が連続孔により構成されているこが確認された。
[比較例1〜8]
表2に従った材料種、厚み及び内周面の表面粗さRaの金属ベルトを準備し、この金属ベルトの内周面に、耐熱性樹脂層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、定着ベルトを作製した。
[評価]
(特性評価)
各例で得られた定着ベルトの内周面(耐熱性樹脂層の内周面)の表面粗さRaについて、既述の方法にて調べた。
また、耐熱性樹脂層の内周面が多孔質構造を有している定着ベルトについては、当該多孔質構造の連続孔の大きさ(表中「連続孔径」と表記)についても、既述の方法にて調べた。
(実機評価)
加熱ベルトとして各例で得られた定着ベルトを表1〜表2に従った加熱方式の定着装置に装着した。
次に、定着ベルトを装着した定着装置を、画像形成装置(富士ゼロックス製、Docu Print C620改造機)に組み込んだ。
そして、この画像形成装置を用いて次の評価を行った。但し、定着装置の定着温度(表中、設定温度と表記)は、表1〜表2に示す通りに設定した。
−定着維持性評価−
上記画像形成装置を用いて、次のようにして、定着維持性について評価した。
具体的には、富士ゼロックステストパターンを用いて、200000枚のコピーテストを実施し、定着性を確認して、定着維持性について評価した。
その結果、各実施例では、200000枚まで良好な定着性が実現されていた。一方、各比較例では、50000枚で定着不良が生じ、テストを終了した。
−定着ベルトの摺動抵抗評価−
上記画像形成装置を用いて、次のようにして、定着ベルトの摺動抵抗ついて評価した。
具体的には、富士ゼロックステストパターンを用いて、200000枚までコピーした際に、50000枚毎に定着ベルトの駆動トルク(N・m)を測定し、それを定着ベルトの摺動抵抗とみなして評価した。
なお、定着ベルトの摺動抵抗は、コピー前(表中「初期」と表記)、200000枚までコピーを行った後(表中「ラン後」と表記)について示す。
以下、各例の詳細、及び評価結果について、表1〜表2に一覧にして示す。
Figure 2014085399
Figure 2014085399
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、定着維持性、摺動抵抗の評価について、共に良好な結果が得られたことがわかる。
60 定着装置
62 加熱ベルト
64 加圧ローラ
66 押圧パッド
68 支持部材
70 電磁誘導コイル
72 コイル支持部材
80 定着装置
82 摺動部材
84 加熱ベルト
86 定着ベルトモジュール
88 加圧ロール
88A 円柱状ロール
88B 弾性層
89A ハロゲンヒータ
89 加熱押圧ロール
90A ハロゲンヒータ
90 支持ロール
92A ハロゲンヒータ
92 支持ロール
94 姿勢矯正ロール
96 支持部材
98 支持ロール
100 画像形成装置
110 定着部材
110A 金属製の無端ベルト
110B 耐熱性樹脂層
110C 耐熱性弾性層
110D 耐熱性離型層

Claims (7)

  1. 金属製の無端ベルトと、
    前記無端ベルトの内周面に設けられ、耐熱性樹脂を含んで構成された耐熱性樹脂層と、
    を有する定着部材。
  2. 前記耐熱性樹脂層の厚みが、0.5μm以上10μm以下である請求項1に記載の定着部材。
  3. 前記耐熱性樹脂層の内周面の表面粗さRaが、0.1μm以上3.0μm以下である請求項1又は2に記載の定着部材。
  4. 前記耐熱性樹脂層の少なくとも内周面が、連続孔を有する多孔質構造で構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の定着部材。
  5. 前記多孔質構造の連続孔の大きさが、0.01μm以上100μm以下である請求項4に記載の定着部材。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の定着部材で構成された第1回転体と、
    第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、
    前記第1回転体の内部に配置され、前記第1回転体の内周面から第1回転体を第2回転体へ押圧する押圧部材と、
    を備える定着装置。
  7. 像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、
    帯電された前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
    前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
    前記トナー像を前記記録媒体に定着する定着手段であって、請求項6に記載の定着装置である定着手段と、
    を備える画像形成装置。
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