JP2014084977A - ボールねじおよびその組み立て方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】一つのねじ軸上に複数のナットが連結して組み込まれ、その複数のナットの軸方向に設けた貫通穴に冷媒を通してナットを冷却するボールねじにおいて、複数のナット相互を連結させる場合の作業性および冷媒の密封性を向上させる。
【解決手段】このボールねじ1は、隣接されるナット21,22の貫通穴3の対向側端面にそれぞれ形成された座繰り穴4,5と、これに挿入される環状の密封部材6とを有し、座繰り穴4,5は、一方の座繰りの深さD2が密封部材6の長さよりも深く(D2>L)、他方の深さD1が密封部材6の長さよりも浅く(D1<L)形成されるとともに、隣接されるナット21,22の座繰り穴4,5相互の周方向の位置が、所望の予圧が掛かる位置で対向するように形成されている。
【選択図】図1
【解決手段】このボールねじ1は、隣接されるナット21,22の貫通穴3の対向側端面にそれぞれ形成された座繰り穴4,5と、これに挿入される環状の密封部材6とを有し、座繰り穴4,5は、一方の座繰りの深さD2が密封部材6の長さよりも深く(D2>L)、他方の深さD1が密封部材6の長さよりも浅く(D1<L)形成されるとともに、隣接されるナット21,22の座繰り穴4,5相互の周方向の位置が、所望の予圧が掛かる位置で対向するように形成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、ボールねじに係り、特に、一つのねじ軸上に複数のナットが連結して組み込まれ、それらナットの軸方向に設けた貫通穴に冷媒を通してそれらナットを冷却するボールねじに関する。
従来から、ねじ軸と、このねじ軸に螺合して相対回転可能なナットとを有するボールねじでは、相対回転時に点接触又は面接触が生じる。そのため、ナットに冷却手段(熱交換器)が設けられることがあった。
このような冷却手段として、冷媒が循環する冷却通路をナット内に配設したボールねじが開示されている(例えば特許文献1参照)。同文献には、ダブルナット予圧方式を採用してなるボールねじにおけるナットの冷却技術が開示される。同文献には、2つのナット間に介装される間座を有し、2つのナットの合わせ面にOリングを取り付ける構成が示されている。そして、2つのナットの軸方向に設けた貫通穴に冷却媒体を通してそれらナットを冷却している。
このような冷却手段として、冷媒が循環する冷却通路をナット内に配設したボールねじが開示されている(例えば特許文献1参照)。同文献には、ダブルナット予圧方式を採用してなるボールねじにおけるナットの冷却技術が開示される。同文献には、2つのナット間に介装される間座を有し、2つのナットの合わせ面にOリングを取り付ける構成が示されている。そして、2つのナットの軸方向に設けた貫通穴に冷却媒体を通してそれらナットを冷却している。
しかしながら、同文献記載の構成では、組み立ての際、一つのねじ軸に2つのナットを組み込んだ状態でナット相互を当接させるときに、ボールねじの機構上、ナット相互の合わせ面に取り付けるOリングを、ナットを回転させながらつぶしていく必要がある。そのため、Oリングがせん断されて密封性を損なうおそれがある。一方、2つのナットをねじ軸から取り外した状態でナット相互を当接させるようにすればこの問題を回避できるものの、作業性が悪くなるため組み立てに時間がかかる。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、一つのねじ軸上に複数のナットが連結して組み込まれ、複数のナットの軸方向に設けた貫通穴に冷媒を通してナットを冷却するボールねじにおいて、複数のナット相互を当接させる場合の作業性および冷媒の密封性を向上させ得るボールねじおよびその組み立て方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るボールねじは、一つのねじ軸上で複数のナットを連結しており、各ナットの軸方向に設けた貫通穴に冷媒を通して各ナットを冷却するボールねじである。当該ボールねじは、隣接されるナット相互の前記貫通穴の対向側端面にそれぞれ形成された座繰り穴と、該座繰り穴に挿入されるとともに、隣接されるナット相互の座繰り穴内に位置するように外嵌される2つのOリングを有する環状の密封部材とを備えている。そして、前記座繰り穴は、一方のナットに形成された座繰りの深さが前記密封部材の全長よりも深く、他方のナットに形成された座繰りの深さが前記密封部材の全長よりも浅くなっていることを特徴とする。さらに、前記座繰り穴は、隣接されるナット相互の座繰り穴の周方向の位置が、所望の予圧が掛かる位置で対向するように形成されていることを特徴とする。
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るボールねじの組み立て方法は、一つのねじ軸上で複数のナットを連結しており、各ナットの軸方向に設けた貫通穴に冷媒を通して各ナットを冷却するボールねじを組み立てる方法である。そして、当該ボールねじの組み立て方法は、上記本発明の一態様に係るボールねじを用い、複数のナットを一つのねじ軸に組み込んだ状態とし、隣接されるナットのうち、前記一方のナットに形成された座繰り穴に前記密封部材全体を収容した状態で隣接される他方のナットに当接させる工程と、その後に、隣接するナットの貫通穴同士の座繰り穴を対向させた状態で、前記一方のナットに形成された座繰り穴の、前記ナット相互の当接側とは反対側の貫通穴端部から前記密封部材を対向する他方のナットの座繰り穴に押し込む工程とを含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係るボールねじによれば、隣接されるナット相互の貫通穴の対向側端面に座繰り穴がそれぞれ形成され、これらの座繰り穴に挿入されるとともに、隣接されるナット相互の座繰り穴内に位置するように外嵌される2つのOリングを有する環状の密封部材を備えており、座繰り穴は、一方のナットに形成された座繰りの深さが密封部材の全長よりも深くなっているので、当該座繰り穴に密封部材全体を収容することができる。
そして、他方の座繰り穴は、その座繰りの深さが密封部材の全長よりも浅くなっており、隣接されるナット相互の座繰り穴の周方向の位置が、所望の予圧が掛かる位置で対向するように形成されているので、2つのナットのうち、一方のナットに形成された座繰り穴に密封部材全体を収容した状態でナット相互を当接させ、その後に、隣接するナットの貫通穴同士の座繰り穴を対向させた状態で、一方のナットに形成された座繰り穴の、ナット相互の当接側とは反対側の貫通穴端部から密封部材を対向する他方のナットの座繰り穴に押し込むことができる。
このとき、他方の座繰り穴は、その座繰りの深さが密封部材の全長よりも浅くなっているため、突き当たる位置まで押し込むことで、隣接されるナット相互を繋ぐように位置させることができる。そのため、Oリングがせん断されて密封性を損なうおそれもなく、隣接されるナットをねじ軸に組み込んだ状態でナット相互を当接させる場合の作業性が良い。また、各ナットをねじ軸から取り外すことなく、複数のナット同士の間からの冷媒を確実に密封することができる。よって、隣接されるナットをねじ軸に組み込んだ状態でナット相互を当接させる場合の冷媒の密封性も良い。
また、本発明の一態様に係るボールねじの組み立て方法は、上記本発明の一態様に係るボールねじを用い、複数のナットを一つのねじ軸に組み込んだ状態とし、隣接されるナットのうち、一方のナットに形成された座繰り穴に密封部材全体を収容した状態で隣接される他方のナットに当接させる工程と、その後に、隣接するナットの貫通穴同士の座繰り穴を対向させた状態で、一方のナットに形成された座繰り穴の、ナット相互の当接側とは反対側の貫通穴端部から密封部材を対向する他方のナットの座繰り穴に押し込む工程とを含むので、上述のように、各ナットをねじ軸から取り外すことなく、Oリングがせん断されて密封性を損なうおそれもなく、複数のナット同士の間からの冷媒を確実に密封することができ、複数のナットをねじ軸に組み込んだ状態でナット相互を当接させる場合の作業性および冷媒の密封性が良い。
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図1に示すように、本実施形態のボールねじ1はダブルナット予圧方式を採用している。このボールねじ1は、一つのねじ軸10と、このねじ軸10に対して複数の転動体30を介して螺合する第1のナット21及び第2のナット22を有する。第1のナット21の一端には円環状のフランジ20が形成されている。
図1に示すように、本実施形態のボールねじ1はダブルナット予圧方式を採用している。このボールねじ1は、一つのねじ軸10と、このねじ軸10に対して複数の転動体30を介して螺合する第1のナット21及び第2のナット22を有する。第1のナット21の一端には円環状のフランジ20が形成されている。
第1のナット21及び第2のナット22は、ねじ軸10の外径よりも大きい内径で筒状に形成されている。各ナット21,22の内周面には、ねじ軸10の外周面に螺旋状に形成されたねじ溝10aに対向するようにねじ溝20aが形成されている。ねじ溝10aとねじ溝20aとによって形成された転動路2において複数の転動体30は転動可能とされている。
第1のナット21と第2のナット22との間には、ナット相互の相対回転を阻止する間座40が介装されている。この間座40は、第1のナット21及び第2のナット22の内径とほぼ同じ内径を有する円環状(但し二分割構造(図10参照))をなしている。この間座40がナット21,22の間に介装されることによって、第1のナット21及び第2のナット22のそれぞれのねじ溝20aと、ボールねじ10のねじ溝10aとの間に組み込まれる複数の転動体30に予圧が与えられる。
各ナット21,22には、軸方向に貫通する貫通穴3が周方向の上下のそれぞれ2箇所に等配形成されている。第1のナット21のフランジ20には、2箇所の貫通穴3にそれぞれ連通する縦穴としての連通穴7が上下のそれぞれ2箇所に等配形成されている。さらに、第2のナット22の2箇所の貫通穴3の側面には、連結ニップル8がそれぞれに装着されている。そして、連結ニップル8相互が一つの連結パイプ9によって相互に接続されて、各ナット21,22の貫通穴3が全体として環状に連通されて一つの環状流路を構成している。そして、2箇所の貫通穴3内で冷媒を循環させるための循環装置(不図示)が縦穴としての連通穴7を介して接続され、貫通穴3が冷媒の通路として用いられる。この循環装置及び貫通穴3および縦穴としての連通穴7が冷却手段50を構成し、貫通穴3を含む環状流路内を冷媒が循環することによって各ナット21,22が冷却される。
ここで、このボールねじ1は、2つのナット21,22の各貫通穴3に対し、ナット21,22の対向側の端面にそれぞれ座繰り穴4,5が同軸に形成されている。そして、このボールねじ1は、この座繰り穴4,5に挿入される円環状(中空円筒状)の密封部材6を有している。この密封部材6の外径は、座繰り穴4,5の内径よりも僅かに小さい。好ましくは、径方向の対向隙間は0.2mm程度が好ましい。さらに、この密封部材6には、左右の端部に円環状の溝部6mがそれぞれ形成されている。各溝部6mには、各ナット21,22の座繰り穴4,5内にそれぞれ位置するように設けられた2つのOリング60が外側から嵌め込まれている。2つのナット21,22の対向する座繰り穴4,5相互の周方向の位置は、間座40が介装されたときに、所望の予圧が掛かる位置で対向するように形成されている。
ここで、介装される間座40についても、隣接されるナット21,22相互の座繰り穴4,5の周方向の位置が、所望の予圧が掛かる位置で対向する位置にて、座繰り穴と同径の貫通穴40hが軸方向に沿って同軸に位置するように形成されている。
詳しくは、間座40は、図10に示すように、円環状部材を二分割してなる一対の分割間座41,42から構成されている。各分割間座41,42は、外周面の中央にキー溝40kをそれぞれ有する。同様の形状のキー溝が、ナット21,22の外周面の対応する位置にも形成されている(不図示)。これにより、組立時には、ナット21,22と間座40相互のキー溝にキー部材を架け渡すことにより、ナット21,22に対する間座40の回転が防止される。ここで、貫通穴40h(この例では二か所)の形成される周方向の位置は、キー溝40kおよび分割部40bの間の位置とされている。図10に示す例では、各貫通穴40hは、キー溝40kと分割部40bとの中央(周方向でのほぼ等距離となる位置)に形成されている。このような位置に貫通穴40hを形成すれば、各分割間座41,42に肉の薄い部分が形成されることを防止する上で好適である。
詳しくは、間座40は、図10に示すように、円環状部材を二分割してなる一対の分割間座41,42から構成されている。各分割間座41,42は、外周面の中央にキー溝40kをそれぞれ有する。同様の形状のキー溝が、ナット21,22の外周面の対応する位置にも形成されている(不図示)。これにより、組立時には、ナット21,22と間座40相互のキー溝にキー部材を架け渡すことにより、ナット21,22に対する間座40の回転が防止される。ここで、貫通穴40h(この例では二か所)の形成される周方向の位置は、キー溝40kおよび分割部40bの間の位置とされている。図10に示す例では、各貫通穴40hは、キー溝40kと分割部40bとの中央(周方向でのほぼ等距離となる位置)に形成されている。このような位置に貫通穴40hを形成すれば、各分割間座41,42に肉の薄い部分が形成されることを防止する上で好適である。
そして、図1に戻って、一方のナットである第2のナット22の座繰り穴5は、その座繰り深さD2が密封部材6の全長Lよりも深く(D2>L)なっている。これにより、密封部材6全体を座繰り穴5内に収容できるようになっている。これに対し、他方のナットである第1のナット21に形成された座繰り穴4は、その座繰り深さD1が密封部材6の全長Lよりも浅く(D1<L)なっている。これにより、密封部材6を座繰り穴4の奥に突き当たる位置まで挿入した場合でも、密封部材6の端部が第2のナット22側に突出した位置になるようになっている。
次に、このボールねじ1の組み立て方法について説明する。
このボールねじの組み立て方法は、上記ボールねじ1を用い、図2に示すように、各ナット21,22をねじ軸10に組み込んだ状態で2つのナット21,22を当接させる組み立て方法である。その手順は、まず、図2〜図3に示すように、2つのナット21,22のうち、第2のナット22に形成された座繰り穴5に密封部材6全体を収容する。次いで、その状態で2つのナットを対向させるとともに間座40を介装しつつ、いずれかのナットを回転させることで、図4に示すように2つのナット21,22相互を当接させる。
このボールねじの組み立て方法は、上記ボールねじ1を用い、図2に示すように、各ナット21,22をねじ軸10に組み込んだ状態で2つのナット21,22を当接させる組み立て方法である。その手順は、まず、図2〜図3に示すように、2つのナット21,22のうち、第2のナット22に形成された座繰り穴5に密封部材6全体を収容する。次いで、その状態で2つのナットを対向させるとともに間座40を介装しつつ、いずれかのナットを回転させることで、図4に示すように2つのナット21,22相互を当接させる。
その後に、図4に示すように、隣接するナット21,22の貫通穴3同士の座繰り穴4,5を対向させた状態で、第2のナット22に形成された座繰り穴5の、ナット21,22相互の当接側とは反対側の端部から密封部材6を対向する第1のナット21の座繰り穴4の底部に突き当たるまで押し込む。この際、同図に示すように、貫通穴3に挿入可能であって密封部材6の端部を押す(同図の符号F)ことのできる外径に形成された丸棒(押し込み治具)70を使用すれば、密封部材6を対向する第1のナット21の座繰り穴4に押し込む作業を容易に行うことができる。これにより、第1のナット21の座繰り穴4の底部に突き当たるまで押し込まれた密封部材6は、隣接するナット21,22相互を繋ぐように位置し、その位置が2つのOリング60の弾性によって保持される。
次に、このボールねじおよびボールねじの組み立て方法の作用・効果について説明する。
このボールねじ1によれば、隣接されるナット21,22相互の貫通穴3の対向側端面に座繰り穴4,5がそれぞれ形成され、これらの座繰り穴4,5に挿入されるとともに隣接されるナット21,22相互の座繰り穴4,5内に位置するように2つのOリング60が外嵌された環状の密封部材6を有しており、座繰り穴4,5は、一方の第2のナット22に形成された座繰りの深さD2が密封部材6の全長Lよりも深く(D2>L)なっているので、密封部材6全体を収容することができる。
このボールねじ1によれば、隣接されるナット21,22相互の貫通穴3の対向側端面に座繰り穴4,5がそれぞれ形成され、これらの座繰り穴4,5に挿入されるとともに隣接されるナット21,22相互の座繰り穴4,5内に位置するように2つのOリング60が外嵌された環状の密封部材6を有しており、座繰り穴4,5は、一方の第2のナット22に形成された座繰りの深さD2が密封部材6の全長Lよりも深く(D2>L)なっているので、密封部材6全体を収容することができる。
そして、隣接されるナット21,22相互の座繰り穴4,5の周方向の位置が、所望の予圧が掛かる位置で対向するように形成されているので、2つのナット21,22のうち、一方の第2のナット22に形成された座繰り穴5に密封部材6全体を収容した状態でナット21,22相互を当接させることで、所望の予圧を付与した位置に2つのナット21,22を位置させることができる。
そして、座繰り穴4,5は、貫通穴3の端部に形成されているので、隣接するナット21,22の貫通穴3同士の座繰り穴4,5を対向させた状態で、一方の第2のナット22に形成された座繰り穴5の、ナット21,22相互の当接側とは反対側の貫通穴3端部から密封部材6を対向する他方の第1のナット21の座繰り穴4に押し込むことができる。そのため、隣接されるナット21,22をねじ軸10に組み込んだ状態でナット21,22相互を当接させる場合の作業性が良い。また、Oリングがせん断されて密封性を損なうおそれもない。また、密封部材6の位置は、2つのOリング60によって保持することができる。そして、各ナット21,22をねじ軸10から取り外すことなく、複数のナット21,22同士の間からの冷媒を確実に密封することができる。
また、このボールねじ1の組み立て方法は、上記ボールねじ1を用い、複数のナット21,22を一つのねじ軸10に組み込んだ状態とし、隣接されるナット21,22のうち、一方の第2のナット22に形成された座繰り穴5に密封部材6全体を収容した状態で隣接される他方の第1のナット21に当接させ、その後に、隣接するナット21,22の貫通穴3同士の座繰り穴4,5を対向させた状態で、一方の第2のナット22に形成された座繰り穴5の、ナット21,22相互の当接側とは反対側の貫通穴3端部から密封部材6を対向する他方の第1のナット21の座繰り穴4に押し込んでいる。そのため、上述のように、各ナット21,22をねじ軸10から取り外すことなく、Oリングがせん断されて密封性を損なうおそれもない。そして、複数のナット21,22同士の間からの冷媒を確実に密封することができる。また、複数のナット21,22をねじ軸10に組み込んだ状態でナット21,22相互を当接させる場合の作業性および冷媒の密封性が良い。
なお、本発明に係るボールねじおよびボールねじの組み立て方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能であることは勿論である。
例えば上記実施形態では、各ナット21,22には、軸方向に貫通する貫通穴3が、周方向の上下のそれぞれ2箇所に等配形成され、各ナット21,22の貫通穴3が全体として環状に連通されることで一つの環状流路を構成する例で説明したが、これに限定されない。例えば2箇所の貫通穴3に限定されず、また、貫通穴3が等配形成される点も限定されない。
例えば上記実施形態では、各ナット21,22には、軸方向に貫通する貫通穴3が、周方向の上下のそれぞれ2箇所に等配形成され、各ナット21,22の貫通穴3が全体として環状に連通されることで一つの環状流路を構成する例で説明したが、これに限定されない。例えば2箇所の貫通穴3に限定されず、また、貫通穴3が等配形成される点も限定されない。
具体的な例としては、各ナット21,22に、軸方向に貫通する貫通穴3を周方向にそれぞれ4箇所形成し、各ナット21,22の二か所の貫通穴3を一組とし、全体として環状に連通された二組の環状流路を構成してもよい。また、3箇所以上の貫通穴3を周方向にそれぞれ形成し、これら貫通穴3を全体として連通させて一組の環状流路を構成してもよい。
なお、複数箇所の貫通穴3は不等配とすることができる。この場合において、例えば図11に示す間座40のように、各貫通穴3およびこれに対応して形成される貫通穴40hの位置を、各ナット21,22のボール循環チューブの装着面(図2に示す符号21m、22mを参照)を避けつつ肉の薄い部分が形成されることを防止するように形成することが好ましい。つまり、図11に示す仮想線40m(ボール循環チューブの装着面21m、22mに対応する位置)に対し、この例で4箇所の貫通穴40hのうち二か所の貫通穴40hは、キー溝40kと仮想線40mとの間の位置に形成されていることが好ましい。また、他の二か所の貫通穴40hが、上述の図10に示した例と同様に形成されていることが好ましい。
また、二つの貫通穴3を形成する場合に、その形成位置を、図12に示すように、一対の分割間座41,42相互の分割部40bを利用し、各分割部40bそれぞれに形成してもよい。このような構成であれば、各分割間座41,42の肉厚の部分(キー溝40kと分割部40bとの間の部分)には貫通穴が形成されない。そのため、各分割間座41,42に肉の薄い部分が形成されることを防止することができる。さらに、このような構成であれば、分割間座41,42相互の分割部40bに密封部材6が挿入された状態となる。そのため、間座40の交換が容易となる。また、間座40の交換が容易となるので、予圧の調整も容易となる。
また、例えば上記実施形態では、ダブルナット予圧方式のボールねじを例に説明したが、予圧品に限らず、一つのねじ軸上に複数のナットが連結して組み込まれ、それらナットの軸方向に設けた貫通穴に冷媒を通してそれらナットを冷却するボールねじであれば、本発明を適用することができる。また、上記実施形態では、2つのナットを連結する例で説明したが、これに限らず、3以上のナットを相互に連結する場合においても適用することができる。
また、上記実施形態では、密封部材6を座繰り穴4の奥に突き当たる位置まで挿入し、隣接するナット21,22相互を繋ぐように密封部材6を位置させ、その位置が2つのOリング60の弾性によって保持される例で説明したが、密封部材6の固定方法もこれに限らず、例えば図5に変形例の要部拡大図を示すように、密封部材6をねじによって固定する構成としてもよい。
詳しくは、図5に示すように、この例の密封部材6には、上記実施形態の構成に加えて、座繰り穴4側のOリング60寄りの位置に、円環状の溝部6nが更に形成されている。そして、ナット21には、密封部材6を座繰り穴4の奥に突き当たる位置にしたときに円環状の溝部6nに対向する位置に、貫通形成された雌ねじ64、および、この雌ねじ64と同軸の座繰り穴66が更に形成され、密封部材固定ねじ62を雌ねじ64に締め込むことで溝部6n内に密封部材固定ねじ62の先端を挿入することで、軸方向の位置を規制可能になっている。
このような構成を更に有するこの変形例のボールねじの組み立て方法は、図6〜図8に示すように、まず、2つのナット21,22のうち、第2のナット22に形成された座繰り穴5に密封部材6全体を収容し、その状態で2つのナットを対向させるとともに間座40を介装しつつ、いずれかのナットを回転させることで図8に示すように2つのナット21,22相互を当接させる。
その後に、図8に示すように、隣接するナット21,22の貫通穴3同士の座繰り穴4,5を対向させた状態で、第2のナット22に形成された座繰り穴5の、ナット21,22相互の当接側とは反対側の端部から密封部材6を対向する第1のナット21の座繰り穴4の底部に突き当たるまで押し込む。この際、上記実施形態同様に、丸棒(押し込み治具)70を使用すれば、密封部材6を対向する第1のナット21の座繰り穴4に押し込む作業を容易に行うことができる。そして、その後、密封部材固定ねじ62を雌ねじ64に締め込むことで、対向位置にある溝部6n内に密封部材固定ねじ62の先端が挿入され、これにより、密封部材6の軸方向の位置を規制する。
上記実施形態の構成においては、密封部材6の位置が2つのOリング60の弾性のみによって軸方向の位置が保持されるものなので、第1のナット21側から第2のナット22の方向に向けて冷却通路を循環するとき、冷媒の圧力次第では、第2のナット22の方向に密封部材6がずれるおそれがある。そのため、循環する冷媒の圧力が高い場合には、冷媒を流す方向を、第2のナット22側から第1のナット21側に向けてのみ流すような制約が生じ得る。これに対し、上記変形例の構成によれば、雌ねじ64や円環状の溝部6nの加工が更に必要であり、また、その組み立ての工数も増えるものの、溝部6nに密封部材固定ねじ62先端を引っ掛けることができるので、密封部材6の固定状態が冷媒を流す方向に依存することがない。よって、冷媒の圧力が高く、冷媒を流す方向を双方向としたい場合には、この変形例の構成が好適である。
次に他の実施形態について図9を参照して説明する。
同図に示すように、この実施形態は、第2のナット22の座繰り穴5によって形成された円筒空間内に、コイルばね(弾性部材)75を配置している点が上述した実施の形態および変形例とは異なっている。コイルばね75は、二つの座繰り穴4,5内に収容された密封部材6の端部(同図右側の端部)を、第2のナット22の座繰り穴5の側から第1のナット21の座繰り穴4の側に向けて押圧するように組み込まれている。
同図に示すように、この実施形態は、第2のナット22の座繰り穴5によって形成された円筒空間内に、コイルばね(弾性部材)75を配置している点が上述した実施の形態および変形例とは異なっている。コイルばね75は、二つの座繰り穴4,5内に収容された密封部材6の端部(同図右側の端部)を、第2のナット22の座繰り穴5の側から第1のナット21の座繰り穴4の側に向けて押圧するように組み込まれている。
このコイルばね75を配置することによって、図5に示した円環状の溝部6n、雌ねじ64および座繰り穴66の加工、並びに密封部材固定ねじ62が不要となる。また、振動や冷媒の圧力等で密封部材6が動くことが防止される。そのため、コイルばね75を配置するという安価な構成によって、密封を一層確実なものとすることができる。また、二つのナット21,22の左右どちらからでも冷媒を流すことが可能となる。
本発明での冷媒としては、流体として各種の気体、液体が使用できる。気体としては、空気あるいは圧縮空気の他、窒素、不活性ガス(アルゴン等)、炭化水素(ブタン、イソブタン等)、ヘリウム、アンモニア、二酸化炭素等、更にはこれらの混合物が使用できる。液体としては、水の他、水に防錆剤を加えたクーラント、水に各種添加剤を加えたクーラント、もしくは冷媒油として各種の油も使用できる。具体的には鉱油、動植物油、合成油が使用できる。これらは使用環境等に応じて適宜選択すれば良い。更に、冷媒は温度管理されており、流量も管理されていることが好ましい。特に、冷媒を乱流状態で使用するのが好ましい。
1 ボールねじ
2 転動路
3 貫通穴
4 座繰り穴
5 座繰り穴(収容座繰り穴)
6 密封部材
7 連通穴
8 連結ニップル
9 連結パイプ
10 ねじ軸
20 フランジ
21 第1のナット
22 第2のナット
30 転動体
40 間座
50 冷却手段
60 Oリング
62 密封部材固定ねじ
64 雌ねじ
66 座繰り穴
70 丸棒(押し込み治具)
75 コイルばね(弾性部材)
2 転動路
3 貫通穴
4 座繰り穴
5 座繰り穴(収容座繰り穴)
6 密封部材
7 連通穴
8 連結ニップル
9 連結パイプ
10 ねじ軸
20 フランジ
21 第1のナット
22 第2のナット
30 転動体
40 間座
50 冷却手段
60 Oリング
62 密封部材固定ねじ
64 雌ねじ
66 座繰り穴
70 丸棒(押し込み治具)
75 コイルばね(弾性部材)
Claims (2)
- 一つのねじ軸上で複数のナットを連結しており、各ナットの軸方向に設けた貫通穴に冷媒を通して各ナットを冷却するボールねじにおいて、
隣接されるナット相互の前記貫通穴の対向側端面にそれぞれ形成された座繰り穴と、該座繰り穴に挿入されるとともに、隣接されるナット相互の座繰り穴内に位置するように外嵌される2つのOリングを有する環状の密封部材とを備え、
前記座繰り穴は、一方のナットに形成された座繰りの深さが前記密封部材の全長よりも深く、他方のナットに形成された座繰りの深さが前記密封部材の全長よりも浅くなっており、さらに、隣接されるナット相互の座繰り穴の周方向の位置が、所望の予圧が掛かる位置で対向するように形成されていることを特徴とするボールねじ。 - 一つのねじ軸上で複数のナットを連結しており、各ナットの軸方向に設けた貫通穴に冷媒を通して各ナットを冷却するボールねじを組み立てる方法であって、
請求項1に記載のボールねじを用い、複数のナットを一つのねじ軸に組み込んだ状態とし、隣接されるナットのうち、前記一方のナットに形成された座繰り穴に前記密封部材全体を収容した状態で隣接される他方のナットに当接させる工程と、その後に、隣接するナットの貫通穴同士の座繰り穴を対向させた状態で、前記一方のナットに形成された座繰り穴の、前記ナット相互の当接側とは反対側の貫通穴端部から前記密封部材を対向する他方のナットの座繰り穴に押し込む工程とを含むことを特徴とするボールねじの組み立て方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012235638A JP2014084977A (ja) | 2012-10-25 | 2012-10-25 | ボールねじおよびその組み立て方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012235638A JP2014084977A (ja) | 2012-10-25 | 2012-10-25 | ボールねじおよびその組み立て方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014084977A true JP2014084977A (ja) | 2014-05-12 |
Family
ID=50788224
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2012235638A Pending JP2014084977A (ja) | 2012-10-25 | 2012-10-25 | ボールねじおよびその組み立て方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2014084977A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107725710A (zh) * | 2016-08-12 | 2018-02-23 | 昆山德拉特兰传动科技有限公司 | 滚珠丝杠螺母 |
CN108150621A (zh) * | 2016-12-05 | 2018-06-12 | 上银科技股份有限公司 | 双螺帽冷却式滚珠螺杆 |
JP2021042821A (ja) * | 2019-09-12 | 2021-03-18 | 上銀科技股▲分▼有限公司 | ボールねじ |
CN113685522A (zh) * | 2021-09-01 | 2021-11-23 | 西安超精刀具设备有限公司 | 一种在双螺母结构丝杠中应用的厚度可调的柔性垫片 |
-
2012
- 2012-10-25 JP JP2012235638A patent/JP2014084977A/ja active Pending
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