JP2014084828A - シリンダヘッドの冷却構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】排気マニホールドが内部に形成されたシリンダヘッドにおいて、排気マニホールドの高温となる部位を効果的に冷却することが可能なシリンダヘッドの冷却構造を提供する。
【解決手段】シリンダヘッド20の冷却構造では、複数の分岐部211及び各分岐部211が集合する集合部212を有する排気マニホールド21と、排気マニホールド21を覆う上部ウォータジャケット22及び下部ウォータジャケットと、各ウォータジャケットを連通する複数の連通路と、上部ウォータジャケット22と外部とを連通する冷却水出口27とがシリンダヘッド20の内部に形成される。そして、複数の連通路は、冷却水の流動方向において集合部212よりも上流側に位置し且つ集合部212に最も近接する第1の連通路28と、各ウォータジャケットの下流側端部に位置し、その流路断面積が第1の連通路28の流路断面積よりも小さい第2の連通路25とを含んでいる。
【選択図】図3

Description

本発明は、排気マニホールドを内部に形成したシリンダヘッドの冷却構造に関する。
近年、排気マニホールドを内部に形成したシリンダヘッドが実用化されている。特許文献1に記載のシリンダヘッドでは、排気マニホールドの上下に同排気マニホールドを覆う上部ウォータジャケット及び下部ウォータジャケットを設け、各ウォータジャケットを流れる冷却水によって排気マニホールドを冷却するようにしている。
特開2010‐275915号公報
ところで、排気マニホールドの温度は均一ではないため、こうした排気マニホールドをウォータジャケットによって一様に冷却すると、低温となる部位に冷却水が過度に供給されるため、高温となる部位では冷却が不十分となるおそれがある。
本発明はこうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、排気マニホールドが内部に形成されたシリンダヘッドにおいて、排気マニホールドの高温となる部位を効果的に冷却することが可能なシリンダヘッドの冷却構造を提供することにある。
上記課題を解決するためのシリンダヘッドの冷却構造では、各気筒の燃焼室にそれぞれ接続される複数の分岐部及びそれら分岐部が集合する集合部を有する排気マニホールドと、排気マニホールドの上下に位置し少なくとも集合部を含んで排気マニホールドをそれぞれ覆う上部ウォータジャケット及び下部ウォータジャケットと、下部ウォータジャケットの冷却水を上部ウォータジャケットに供給する複数の連通路と、上部ウォータジャケットと外部とを連通する冷却水出口とがシリンダヘッドの内部に形成され、各ウォータジャケットの冷却水が各気筒の配列方向に流動して冷却水出口から外部に導出される。そして、複数の連通路は、冷却水の流動方向において集合部よりも上流側に位置し且つ集合部に最も近接する第1の連通路と、各ウォータジャケットの下流側端部に位置する第2の連通路とを含み、その第2の連通路の流路断面積が第1の連通路の流路断面積よりも小さく設定されている。
排気マニホールドの集合部には、いずれかの分岐部から常に排気が流れ込むため、その排気の熱によって高温になりやすい。また通常、排気マニホールドはその下流側部分が上流側部分よりも下方に位置するように湾曲しているため、燃焼室から排気マニホールドに流れ込んだ排気は、その内壁のうち上方の部分に接触しやすい。したがって、排気マニホールドはその上部が下部と比較して高温になりやすい。すなわち、排気マニホールドにおいては集合部、特にその上部が高温になりやすい。
この点、上述した構成によれば、排気マニホールドのうちで特に高温になりやすい集合部の上部を効果的に冷却することができる。すなわち、上記構成では、下部ウォータジャケットに流入した冷却水は気筒配列方向に流動し、その一部が下部ウォータジャケットの下流側端部に設けられた第2の連通路に流入する。そして、冷却水はこの第2の連通路を通じて上部ウォータジャケットに流入し、同上部ウォータジャケットに設けられた冷却水出口から外部に導出される。ここで、この第2の連通路の流路断面積を第1の連通路の流路断面積よりも小さく設定している。そのため、そうでない場合と比較して、より多くの冷却水が第1の連通路を通じて下部ウォータジャケットから上部ウォータジャケットに供給されるようになる。その結果、上部ウォータジャケットにおいて集合部の上部を覆う部分の冷却水の流量を増大させることができ、集合部の上部を効果的に冷却することができるようになる。
また、上述したように排気マニホールドはその上部が下部と比較して高温になりやすい。このため、上部ウォータジャケットは下部ウォータジャケットよりも排気マニホールドを覆う面積が大きく設定されていることが好ましい。こうした構成によれば、高温となりやすい排気マニホールドの上部を効果的に冷却することができる一方、排気マニホールドの下部が過度に冷却されることを抑制することができる。
また、上記シリンダヘッドの冷却構造においては、第1の連通路及び第2の連通路に加えて、冷却水の流動方向において集合部よりも下流側に位置し且つ第1の連通路とによって集合部を挟む第3の連通路を設けることが好ましい。
こうした構成によれば、第1の連通路及び第3の連通路を通じて集合部の両側部を覆う部分に冷却水が供給されるようになるため、集合部の上部のみならず、その側部についても効果的に冷却することができるようになる。
また、上記第2の連通路は、上部ウォータジャケットに開口する下流側開口部の流路方向が冷却水出口側に指向していることが好ましい。
こうした構成によれば、第2の連通路から上部ウォータジャケットに流入した冷却水が冷却水出口に向けて流れるようになるため、上部ウォータジャケットの内部に冷却水出口側に向かう冷却水の流れを生じさせ、より多くの冷却水を冷却水出口から外部に導出することができる。その結果、各ウォータジャケットを流れる冷却水の量を増大させることができ、排気マニホールドを効果的に冷却することができるようになる。
シリンダヘッドの冷却構造の一実施形態の概略構成を示す断面図。 同実施形態の下部ウォータジャケットの構造を示す断面図。 同実施形態の上部ウォータジャケットの構造を示す断面図。 図3の4―4線における断面図。 図3の5―5線における断面図。 図3の6―6線における断面図。
以下、シリンダヘッドの冷却構造を具体化した一実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。
図1に示すように、内燃機関のシリンダブロック10には、その上方にシリンダヘッド20が設けられている。シリンダヘッド20には、燃焼室30に連通する排気マニホールド21が形成されている。排気マニホールド21は、燃焼室30側の排気上流側部分よりも、排気下流側部分が下方に位置するように湾曲した形状を有している。シリンダヘッド20において、排気マニホールド21の上方には上部ウォータジャケット22が設けられ、排気マニホールド21の下方には下部ウォータジャケット23が設けられている。下部ウォータジャケット23には、シリンダブロック10に形成された冷却水通路11が連通している。
次に、図2〜図6を参照して、上部ウォータジャケット22及び下部ウォータジャケット23の構成について説明する。
図2に示すように、排気マニホールド21は、燃焼室30に接続される複数の分岐部211とそれら分岐部211が集合する集合部212とを有している。下部ウォータジャケット23は、排気マニホールド21の集合部212を下方から覆うように形成され、気筒の配列方向(図の左右方向)に延びている。なお、下部ウォータジャケット23が排気マニホールド21を覆う面積は、同排気マニホールド21の下方部分における表面積の40%以下となるように設定されている。
また、下部ウォータジャケット23には、気筒の配列方向の一端部にシリンダブロック10から冷却水が供給される第1の流入部24が形成されており、他端部に上部ウォータジャケット22と連通する第2の連通路25が設けられている。したがって、第1の流入部24から下部ウォータジャケット23に流入した冷却水は、気筒の配列方向へ流動し、第2の連通路25を通じて上部ウォータジャケット22に供給される。
次に、図3を参照して、上部ウォータジャケット22について説明する。
図3に示すように、上部ウォータジャケット22は、気筒の配列方向(同図の左右方向)に延び、排気マニホールド21の集合部212を含む略全体を上方から覆うように形成されている。なお、上部ウォータジャケット22が排気マニホールド21を覆う面積は、同排気マニホールド21の上方部分における表面積の70%以上となるように設定されている。したがって、上部ウォータジャケット22は、下部ウォータジャケット23よりも排気マニホールド21を覆う面積が大きく設定されている。
また、上部ウォータジャケット22には、気筒の配列方向の一端部にシリンダブロック10の冷却水通路11から冷却水が供給される第2の流入部26が形成されており、他端部に下部ウォータジャケット23から冷却水を供給する第2の連通路25が接続されている。また、他端部には更に、上部ウォータジャケット22と外部とを連通する冷却水出口27が設けられている。そのため、第2の流入部26及び第2の連通路25から上部ウォータジャケット22に供給された冷却水は、冷却水出口27に向かって流動し、同冷却水出口27から外部に設けられたラジエータ等へ導出される。
このように、各ウォータジャケット22,23において、第1の流入部24又は第2の流入部26が設けられた一端部が冷却水の流動方向における上流側端部となり、第2の連通路25が設けられた他端部が同方向における下流側端部となる。
なお、図4に示すように、上部ウォータジャケット22の第2の流入部26は、下部ウォータジャケット23の第1の流入部24と連通しており、第1の流入部24は、シリンダブロック10の冷却水通路11と連通している。そのため、冷却水通路11内の冷却水は、各流入部24,26を通じて各ウォータジャケット22,23へ供給される。
一方、図2及び3に示すように、各ウォータジャケット22,23には、下部ウォータジャケット23の冷却水を上部ウォータジャケット22に供給する連通路として、第2の連通路25の他に、第1の連通路28と第3の連通路29とが設けられている。第1の連通路28は、冷却水の流動方向において集合部212よりも上流側であって、集合部212に最も近接した位置に設けられている。また、第3の連通路29は、冷却水の流動方向において集合部212よりも下流側であって、集合部212までの距離が第1の連通路28とほぼ等しい位置に設けられている。
図5は、図3の5−5線における断面図である。
図5に示すように、第1の連通路28は、集合部212よりも上流側の部分で各ウォータジャケット22,23を連通し、第3の連通路29は、集合部212よりも下流側の部分で各ウォータジャケット22,23を連通している。すなわち、第1の連通路28と第3の連通路29とによって集合部212が挟まれている。したがって、上部ウォータジャケット22、第1の連通路28、及び第3連通路は、集合部212の上部と両側部とを囲むように設けられている。
次に、図6を参照して、第2の連通路25について説明する。なお、図6は、図3の6−6線における断面図である。
図6に示すように、第2の連通路25は、下部ウォータジャケット23に開口する上流側開口部251と、上部ウォータジャケット22に開口する下流側開口部252とを有している。そして、上流側開口部251よりも下流側開口部252が冷却水出口27側に位置するように鉛直方向(図の上下方向)に対してその全体が傾いた形状となっている。すなわち、下流側開口部252の冷却水の流路方向が、冷却水出口27側に指向している。また、第2の連通路25は、その流路断面積S2が第1の連通路28の流路断面積S1よりも小さく設定されている。
次に、こうした構成を備えるシリンダヘッド20の冷却構造の作用について説明する。
排気マニホールド21の集合部212には、いずれかの分岐部211から常に排気が流れ込むため、その排気の熱によって高温になりやすい。また、排気マニホールド21はその下流側部分が上流側部分よりも下方に位置するように湾曲しているため、燃焼室30から排気マニホールド21に流れ込んだ排気は、その内壁のうち上方の部分に接触しやすい。したがって、排気マニホールド21はその上部が下部と比較して高温になりやすい。すなわち、排気マニホールド21においては集合部212、特にその上部が高温になりやすい。
図2の矢印で示すように、本実施形態では、シリンダブロック10から第1の流入部24を通じて下部ウォータジャケット23に供給された冷却水は、第2の連通路25に向けて流動する途中で、その一部が第1の連通路28及び第3の連通路29から上部ウォータジャケット22に供給される。ここで、第2の連通路25の流路断面積S2が第1の連通路28の流路断面積S1よりも小さく設定されているため、そうでない場合と比較して、より多くの冷却水が第1の連通路28を通じて上部ウォータジャケット22に供給されることとなる。そのため、上部ウォータジャケット22において集合部212の上部を覆う部分の冷却水の流量が増大する。
また、上述したように排気マニホールド21はその上部が下部と比較して高温になりやすい。この点、本実施形態では、上部ウォータジャケット22は、下部ウォータジャケット23よりも排気マニホールド21を覆う面積が大きい。そのため、排気マニホールド21の上部に流れる冷却水の量が下部ウォータジャケット23に比して増大する。
また、排気マニホールド21の集合部212を第1の連通路28及び第3の連通路29によって挟む構成としているため、第1の連通路28及び第3の連通路29を通じて集合部212の両側部を覆う部分に冷却水が供給される。
そして、第2の連通路25を、上部ウォータジャケット22に開口する下流側開口部252の流路方向が冷却水出口27側に指向しているため、第2の連通路25から上部ウォータジャケット22に流入した冷却水が冷却水出口27に向けて流動する。これにより、上部ウォータジャケット22の内部に冷却水出口27側に向かう冷却水の流れが生じ、より多くの冷却水が冷却水出口27から外部に導出される。そのため、各ウォータジャケット22,23を流れる冷却水の量が増大する。
以上説明した一実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、上部ウォータジャケット22において集合部212の上部を覆う部分の冷却水の流量を増大させることができ、集合部212の上部を効果的に冷却することができるようになる。
(2)本実施形態では、高温となりやすい排気マニホールド21の上部を効果的に冷却することができる一方、排気マニホールド21の下部が過度に冷却されることを抑制することができる。
(3)本実施形態では、第1の連通路28及び第3の連通路29を通じて集合部212の両側部を覆う部分に冷却水が供給されるようになるため、集合部212の上部のみならず、その側部についても効果的に冷却することができるようになる。
(4)本実施形態では、各ウォータジャケット22,23を流れる冷却水の量を増大させることができ、排気マニホールド21を効果的に冷却することができるようになる。
なお、上記一実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態では、下部ウォータジャケット23が排気マニホールド21を覆う面積を、同排気マニホールド21の下方部分における表面積の40%以下となるように設定した。また、上部ウォータジャケット22が排気マニホールド21を覆う面積を、同排気マニホールド21の上方部分における表面積の70%以上となるように設定した。しかしながら、これらの設定条件は、排気マニホールド21の過熱度合い等、種々の条件に応じて適宜変更してもよい。
・上記各実施形態では、第3の連通路29を、冷却水の流動方向において集合部212よりも下流側であって、集合部212までの距離が第1の連通路28とほぼ等しい位置に設けるようにしたが、集合部212の側部を冷却することができるのであれば、集合部212までの距離を適宜変更してもよい。
・上記各実施形態では、第2の連通路25の上流側開口部251と比べて下流側開口部252ほど冷却水出口27側に位置するように、第2の連通路25を鉛直方向に対して全体を傾けて設けたが、下流側開口部252のみを傾けたり、下流側開口部252の内部に別部材を取り付けたりして流路方向を冷却水出口27側に指向させるようにしてもよい。要は、上部ウォータジャケット22に開口する下流側開口部252の流路方向が冷却水出口27側に指向されるようにすればよい。
・上記各実施形態において、第1の連通路28、第3の連通路29、及び第2の流入部26のうち少なくとも1つにおいて、上部ウォータジャケット22に開口する部分の流路方向を冷却水出口27側に指向させるようにしてもよい。
・上記各実施形態では、第2の連通路25において上部ウォータジャケット22に開口する下流側開口部252の流路方向を冷却水出口27側に指向するようにしたが、こうした構成を省略してもよい。こうした構成であっても、上述した(1)〜(3)に記載の効果を奏することはできる。
・上記各実施形態において、第3の連通路29を省略してもよい。こうした構成であっても、上述した(1),(2),(4)に記載の効果を奏することはできる。
・上記各実施形態において、排気マニホールド21の上部の温度が下部の温度と比較してそれほど高くならないのであれば、排気マニホールド21を覆う面積を上部ウォータジャケット22と下部ウォータジャケット23とでほぼ等しくなるようにしてもよい。こうした構成であっても、上述した(1),(3),(4)に記載の効果を奏することはできる。
10…シリンダブロック、11…冷却水通路、20…シリンダヘッド、21…排気マニホールド、22…上部ウォータジャケット、23…下部ウォータジャケット、24…第1の流入部、25…第2の連通路、26…第2の流入部、27…冷却水出口、28…第1の連通路、29…第3の連通路、30…燃焼室、211…分岐部、212…集合部、251…上流側開口部、252…下流側開口部。

Claims (4)

  1. 各気筒の燃焼室にそれぞれ接続される複数の分岐部及びそれら分岐部が集合する集合部を有する排気マニホールドと、前記排気マニホールドの上下に位置し少なくとも前記集合部を含んで前記排気マニホールドをそれぞれ覆う上部ウォータジャケット及び下部ウォータジャケットと、前記下部ウォータジャケットの冷却水を前記上部ウォータジャケットに供給する複数の連通路と、前記上部ウォータジャケットと外部とを連通する冷却水出口とがシリンダヘッドの内部に形成され、前記各ウォータジャケットの冷却水を前記各気筒の配列方向にそれぞれ流動させて前記冷却水出口から外部に導出するシリンダヘッドの冷却構造であって、
    前記複数の連通路は、冷却水の流動方向において前記集合部よりも上流側に位置し且つ前記集合部に最も近接する第1の連通路と、前記各ウォータジャケットの下流側端部に位置する第2の連通路とを含み、
    前記第2の連通路の流路断面積が前記第1の連通路の流路断面積よりも小さく設定されてなる
    シリンダヘッドの冷却構造。
  2. 前記上部ウォータジャケットは前記下部ウォータジャケットよりも前記排気マニホールドを覆う面積が大きく設定されてなる
    請求項1に記載のシリンダヘッドの冷却構造。
  3. 前記複数の連通路は、冷却水の流動方向において前記集合部よりも下流側に位置し且つ前記第1の連通路とによって前記集合部を挟む第3の連通路を含む
    請求項1又は請求項2に記載のシリンダヘッドの冷却構造。
  4. 前記第2の連通路は、前記上部ウォータジャケットに開口する下流側開口部の流路方向が前記冷却水出口側に指向する
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のシリンダヘッドの冷却構造。
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