JP2009047024A - 内燃機関のシリンダヘッド - Google Patents

内燃機関のシリンダヘッド Download PDF

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Abstract

【課題】内燃機関のシリンダヘッドにおいて、内燃機関の冷却効率を向上すると共に触媒による排気浄化効率の向上を図る。
【解決手段】複数の燃焼室16にそれぞれ連通する複数の吸気ポート17を設ける一方、一端部が複数の燃焼室16にそれぞれ連通すると共に他端部が集合する排気ポート18を設け、この排気ポート18の上方に上部排気側ウォータジャケット45を設ける共に、排気ポート18の下方に下部排気側ウォータジャケット46を設け、上部排気側ウォータジャケット45の容積を下部排気側ウォータジャケット46の容積より大きく設定する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、シリンダブロックの上部に締結されることで燃焼室を構成すると共に、この燃焼室に対して吸気ポート及び排気ポートが設けられる内燃機関のシリンダヘッドに関し、特に、燃焼室及び排気ポートの周囲に冷却媒体を流して冷却する冷却構造に関するものである。
一般的に、内燃機関において、シリンダヘッドはシリンダブロックの上部に組み付けられ、複数の締結ボルトにより締結されており、直線状をなして複数の燃焼室が配列されている。そして、この各燃焼室に対して吸気ポート及び排気ポートが対向してそれぞれ形成され、この各吸気ポートに吸気通路が連通される一方、各排気ポートに排気通路が連通されており、吸気弁及び排気弁により開閉自在となっている。また、各吸気ポートまたは各燃焼室に燃料を噴射するインジェクタが装着されると共に、燃焼室の混合気に着火する点火プラグが装着されている。そして、各吸気ポートに吸気マニホールドを介して吸気管が連結される一方、各排気ポートに排気マニホールドを介して排気管が連結されている。
従って、吸気弁の開放時に、空気が吸気ポートを通って燃焼室に吸入されると共に、インジェクタから燃料が吸気ポートまたは燃焼室に噴射され、この燃焼室にて、空気と燃料との混合気がピストンの上昇により圧縮され、この高圧の混合気が点火プラグに導かれて着火して爆発することで駆動力を得ることができ、排気弁の開放時に、燃焼後の排気ガスが排気ポートを通して排出される。
ところで、このような内燃機関において、シリンダヘッドに対して別体の排気マニホールドを固定せずに、このシリンダヘッド内に複数の排気ポートを集合させる排気集合部を設けたものがある。この排気集合部を有する内燃機関では、別体の排気マニホールドを不要として小型化を図ることができ、また、暖機時には、排気ガスの放熱量を抑制して触媒を早期に活性化することができる一方、暖機後には、排気ガスを効率的に冷却して触媒の温度上昇による熱劣化を防止することができ、触媒の燃料冷却を不要として燃費を向上することができる。
なお、このような従来の内燃機関のシリンダヘッドとしては、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。この特許文献1に記載されたシリンダヘッドは、シリンダ列上に並ぶ複数の燃焼室から延出された排気ポートを集合させた排気集合部をその内部に一体形成すると共に、排気ポートが延在する部分の上下にウォータジャケットを設け、下部ウォータジャケットの容積を上部ウォータジャケットに比してより大きくすることで、熱負荷の高い排気集合部側のウォータジャケットの冷却水容量を拡大し、排気集合部の冷却効率を高めるものである。
特開2002−070551号公報
ところで、内燃機関では、燃焼室で燃焼した燃焼ガス、つまり、排気ガスがこの燃焼室から排気ポートを通して排出されたとき、この排気ガスは、比較的排気ポートの上部壁面を伝って流れる。上述した従来のシリンダヘッドでは、上部ウォータジャケットの容積を小さくしており、燃焼室から排気ポートを通して排出される排気ガスを十分に冷却することができず、内燃機関の高負荷時には、触媒が排気ガスにより温度上昇し、熱劣化するおそれがある。また、下部ウォータジャケットの容積を大きくすると、燃焼室内の燃焼ガスを冷却することとなり、暖機時には、排気ガスを冷却しすぎて触媒を早期に活性化することが困難となる。
本発明は、このような問題を解決するためのものであって、内燃機関の冷却効率を向上すると共に触媒による排気浄化効率の向上を図った内燃機関のシリンダヘッドを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の内燃機関のシリンダヘッドは、複数の燃焼室と、該複数の燃焼室にそれぞれ連通する複数の吸気ポートと、一端部が前記複数の燃焼室にそれぞれ連通すると共に他端部が集合する排気ポートと、該排気ポートの上方に設けられる上部排気側ウォータジャケットと、前記排気ポートの下方に設けられる下部排気側ウォータジャケットとを備えた内燃機関のシリンダヘッドにおいて、前記上部排気側ウォータジャケットの容積が前記下部排気側ウォータジャケットの容積より大きく設定されることを特徴とするものである。
また、本発明の内燃機関のシリンダヘッドでは、前記上部排気側ウォータジャケット及び前記下部排気側ウォータジャケットは、前記燃焼室の中心側から前記排気ポート側に延設され、前記上部排気側ウォータジャケットが前記下部排気側ウォータジャケットより長く延設されることを特徴としている。
本発明の内燃機関のシリンダヘッドでは、前記吸気ポートの周囲に吸気側ウォータジャケットが設けられ、前記下部排気側ウォータジャケットは、前記燃焼室側で前記上部排気側ウォータジャケットに連通されると共に、前記吸気側ウォータジャケットに連通されることを特徴としている。
本発明の内燃機関のシリンダヘッドでは、前記下部排気側ウォータジャケットは、前記複数の燃焼室ごとに区画する隔壁を有し、前記上部排気側ウォータジャケットは、前記複数の燃焼室の配設方向に沿って連続し、前記下部排気側ウォータジャケットに供給された冷却媒体が前記隔壁に誘導されながら前記複数の燃焼室の上方を流動して前記上部排気側ウォータジャケットに流動すると共に、前記吸気側ウォータジャケットに流動することを特徴としている。
本発明の内燃機関のシリンダヘッドでは、前記下部排気側ウォータジャケットの下部に冷却媒体の供給部が設けられる一方、前記上部排気側ウォータジャケット及び前記吸気側ウォータジャケットに冷却媒体の排出部が設けられることを特徴としている。
本発明の内燃機関のシリンダヘッドによれば、一端部が複数の燃焼室に連通すると共に他端部が集合する排気ポートを設け、この排気ポートの上方に上部排気側ウォータジャケットを設ける共に、排気ポートの下方に下部排気側ウォータジャケットを設け、上部排気側ウォータジャケットの容積を下部排気側ウォータジャケットの容積より大きく設定している。従って、内燃機関の高負荷時には、排気ポートの上部壁面に沿って流れる高温の排気ガスが容積の大きい上部排気側ウォータジャケットにより冷却され、内燃機関の冷却効率を向上することができ、また、内燃機関の暖機時には、容積の小さい下部排気側ウォータジャケットによる冷却が抑制され、触媒を早期に活性化して排気浄化効率を向上することができる。
以下に、本発明に係る内燃機関のシリンダヘッドの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施例に係る内燃機関のシリンダヘッドが適用されたエンジンの概略構成図、図2は、本実施例の内燃機関のシリンダヘッドが適用されたエンジンの排気ポートでの縦断面図、図3は、本実施例の内燃機関のシリンダヘッドが適用されたエンジンの点火プラグでの縦断面図、図4は、本実施例の内燃機関のシリンダヘッドが適用されたエンジンの排気側ウォータジャケットを表す水平断面(図2のIV−IV断面)、図5は、本実施例の内燃機関のシリンダヘッドが適用されたエンジンの排気側ウォータジャケットを表す縦断面(図2のV−V断面)、図6は、本実施例の内燃機関のシリンダヘッドを製作する鋳型を表す概略図、図7は、本実施例の内燃機関におけるエンジン冷却水の流れを表す概略図である。
本実施例の内燃機関としてのエンジンにおいて、図7に示すように、シリンダブロック11の上部にシリンダヘッド12が締結されることでエンジン本体101が構成され、内部に後述するウォータジャケットが形成されている。そして、シリンダブロック11のウォータインレット102及びウォータアウトレット103とラジエータ104との間には、冷却水供給通路105及び冷却水排出通路106が設けられており、ウォータインレット102にサーモスタット弁107及び電動式ウォータポンプ108が装着されている。また、シリンダブロック11には、冷却水通路109を介してスロットルボディ110、ヒータコア111、ATFウォーマ112、ターボ過給機113などが連結され、これらは冷却水通路114を介してウォータアウトレット103に連結されている。
従って、電動式ウォータポンプ108が駆動すると、冷却水(冷却媒体)がエンジン本体101のシリンダブロック11からシリンダヘッド12に流れてこれらを冷却した後、スロットルボディ110やターボ過給機113に流れてこれらを冷却する一方、ATFウォーマ112に流れてATFを暖機すると共に、ヒータコア111に流れて暖房に使用され、ウォータアウトレット103に戻される。
上述したエンジン本体101は、直列4気筒エンジンであり、図1乃至図5に示すように、シリンダブロック11の上部にシリンダヘッド12が組み付けられ、複数の図示しない締結ボルトにより締結されている。シリンダブロック11には複数(本実施例では、4つ)のシリンダボア13が直線状に並んで形成され、各シリンダボア13にピストン14がその軸方向に沿って移動自在に嵌合している。そして、シリンダブロック11の下部に図示しないクランクシャフトが回転自在に支持されており、各ピストン14はコネクティングロッド15を介してこのクランクシャフトに連結されている。
シリンダヘッド12には、各シリンダボア13に対応してその上方に位置して燃焼室16がそれぞれ形成されている。この燃焼室16は、シリンダボア13の内壁面と、シリンダヘッド12の下面と、ピストン14の頂面により囲繞されており、天井部(シリンダヘッド12の下面)の中央部が高くなるように傾斜したペントルーフ形状をなしている。そして、この各燃焼室16の上方、つまり、シリンダヘッド12の下面にそれぞれ吸気ポート17と、排気ポート18が対向して開口している。
4つの吸気ポート17は、一端部が2つに分岐して各燃焼室16に連通し、他端部が外部に開口している。一方、排気ポート18は、4つの燃焼室16に対応する4つの排気ポート部18aを有し、この各排気ポート部18aの一端部が2つに分岐して各燃焼室16に連通し、排気ポート部18aの他端部が1つに集合する排気集合ポート部18bを介して外部に開口している。
そして、この各吸気ポート17及び排気ポート18に対して吸気弁19及び排気弁20がそれぞれ位置している。この吸気弁19及び排気弁20は、シリンダヘッド12に固定された各ステムガイド21,22により軸方向に沿って移動自在に支持されると共に、各バルブスプリング23,24により吸気ポート17及び排気ポート18を閉止する方向に付勢支持されている。また、シリンダヘッド12には、その上部に吸気カムシャフト25及び排気カムシャフト26が回転自在に支持されており、この吸気カムシャフト25及び排気カムシャフト26に固定された吸気カム27及び排気カム28がリフター29,30を介して吸気弁19及び排気弁20の上端部に接触している。そして、シリンダヘッド12の上部には、吸気カムシャフト25及び排気カムシャフト26を被覆するようにシリンダヘッドカバー31が固定されている。
従って、内燃機関に同期して吸気カムシャフト25及び排気カムシャフト26が回転すると、吸気カム27及び排気カム28がリフター29,30を介して吸気弁19及び排気弁20を所定のタイミングで上下移動することで、吸気ポート17及び排気ポート18を開閉し、吸気ポート17と燃焼室16、燃焼室16と排気ポート18とをそれぞれ連通することができる。
また、シリンダヘッド12の側部には、この各吸気ポート17に対応して、この吸気ポート17に燃料を噴射するインジェクタ32がそれぞれ装着されている。また、シリンダヘッド12の中央部には、各燃焼室16の天井部の中央に位置して点火プラグ33がそれぞれ装着されている。そして、車両には、図示しない電子制御ユニット(ECU)が搭載されており、このECUは、インジェクタ32の燃料噴射タイミングや点火プラグ33による点火時期などを制御可能となっており、検出した吸入空気量、スロットル開度(アクセル開度)、エンジン回転数などのエンジン運転状態に基づいて燃料噴射量、噴射時期、点火時期などを決定している。
シリンダヘッド12の一側面には、各吸気ポート17に連通する吸気マニホールド34が固定され、この吸気マニホールド34にサージタンク35が連結されている。吸気管36は、上流側の空気取入口にエアクリーナ37が取付けられており、下流側端部がサージタンク35に連結されており、エアクリーナ37とサージタンク35との間に位置してスロットル弁を有する電子スロットル装置38が設けられている。
一方、シリンダヘッド12の他側面には、排気ポート18の排気集合ポート部18bに連通する排気管39が連結されており、この排気管39に排気浄化触媒(三元触媒)40が装着されている。
ここで、本実施例のエンジンにおける冷却系について詳細に説明する。本実施例のエンジンでは、上述したように、シリンダヘッド12に、4つの燃焼室16に連通する4つの排気ポート部18aと、この各排気ポート部18aを1つに集合する排気集合ポート部18bとからなる排気ポート18が一体に形成されており、別体の排気マニホールドが不要な構造となっている。
そして、シリンダブロック11には、排気側ウォータジャケット41が形成されると共に、吸気側ウォータジャケット42が形成されている。この排気側ウォータジャケット41は、直線状に配列された各シリンダボア13の排気ポート18側に形成され、各シリンダボア13の配列方向の一方の下部に冷却水供給部43が設けられている。一方、吸気側ウォータジャケット42は、直線状に配列された各シリンダボア13の吸気ポート17側に形成され、各シリンダボア13の配列方向の他方の下部に冷却水排出部44が設けられている。
また、シリンダヘッド12には、排気ポート18の上方に位置して上部排気側ウォータジャケット45が設けられると共に、排気ポート18の下方に位置して下部排気側ウォータジャケット46が設けられている。一方、シリンダヘッド12には、吸気ポート17の周囲に位置して吸気側ウォータジャケット47が設けられている。
上部排気側ウォータジャケット45及び下部排気側ウォータジャケット46は、直線状に配列された各燃焼室16の排気ポート18側に配置され、各排気ポート18の上方及び下方に位置する空間部として設けられている。そして、上部排気側ウォータジャケット45及び下部排気側ウォータジャケット46の各空間部は、各燃焼室16の間に設けられた支持柱48及び隔壁49により4つの空間部として区画されている。そして、上部排気側ウォータジャケット45は、支持柱48及び隔壁49により4つに区画された各空間部が、燃焼室16と離間する側の端部に設けられた挿通路50により各燃焼室16の配設方向に沿って連通している。一方、この下部排気側ウォータジャケット46は、下部が支持柱48及び隔壁49により区画された空間部ごとに、排気側ウォータジャケット41の上部と連通し、シリンダブロック11の排気側ウォータジャケット41からシリンダヘッド12の下部排気側ウォータジャケット46へ冷却水を供給する供給部となっている。
この場合、上部排気側ウォータジャケット45の容積が下部排気側ウォータジャケット46の容積より大きく設定されている。具体的には、上部排気側ウォータジャケット45及び下部排気側ウォータジャケット46は、燃焼室16の中心側から排気ポート18側に延設され、上部排気側ウォータジャケット45が下部排気側ウォータジャケット46より長く延設されている。
一方、吸気側ウォータジャケット47は、直線状に配列された各燃焼室16の吸気ポート17側であって、各吸気ポート17の周囲に空間部として設けられており、隔壁49に対応する隔壁51により4つに区画されると共に、エア抜き通路52により各燃焼室16の配設方向に沿って連通している。そして、この吸気側ウォータジャケット47は、下部が隔壁51により区画された空間部ごとに吸気側ウォータジャケット42の上部と連通し、シリンダヘッド12の吸気側ウォータジャケット47からシリンダブロック11の吸気側ウォータジャケット42へ冷却水を排出する排出部となっている。
そして、下部排気側ウォータジャケット46は、各燃焼室16に対応して設けられた4つの上下連通路53を介して上部排気側ウォータジャケット45に連通すると共に、各燃焼室16に対応して設けられた4つの水平連通路54を介して吸気側ウォータジャケット47に連通している。この場合、上下連通路53は、冷却水が、下部排気側ウォータジャケット46から2つの排気ポート18及び点火プラグ33の周囲を通って上部排気側ウォータジャケット45に流れる通路であり、水平連通路54は、冷却水が、下部排気側ウォータジャケット46から2つの排気ポート18、点火プラグ33、2つの吸気ポート17の周囲を通って吸気側ウォータジャケット47に流れる通路である。
このように構成された本実施例のエンジン本体101では、冷却水がシリンダブロック11の冷却水供給部43から排気側ウォータジャケット41に供給されると、排気側ウォータジャケット41内の冷却水は、気筒ごとにシリンダヘッド12の下部排気側ウォータジャケット46内に流動する。そして、下部排気側ウォータジャケット46内に流動した冷却水は、各上下連通路53を通って反転するように上部排気側ウォータジャケット45に流動し、挿通路50を通って合流し、シリンダブロック11の吸気側ウォータジャケット42に流れる。
また、下部排気側ウォータジャケット46内に流動した冷却水は、複数の隔壁49に誘導されながら各排気ポート18と点火プラグ33と各吸気ポート17の周囲を通って吸気側ウォータジャケット47に流動し、この吸気側ウォータジャケット47からシリンダブロック11の吸気側ウォータジャケット42に流れる。そして、吸気側ウォータジャケット47からシリンダブロック11の吸気側ウォータジャケット42に流れた冷却水は、冷却水排出部44から外部に排出される。
即ち、シリンダヘッド12の各ウォータジャケット45,46,47では、排気側の下方から供給された冷却水が、排気ポート18の上方に流れると共に、吸気ポート17側に流れることとなり、本実施例のエンジン冷却構造では、冷却水がエンジン本体101の横方向(排気側−吸気側)に流れる、所謂、冷却水横流れ構造となっている。
従って、各燃焼室16で燃焼した燃焼ガスが排気ガスとして排気ポート18に排出されるが、エンジンの高負荷時などの排気ガス量が多いとき、この排気ガスは、比較的排気ポート18の上部壁面を伝って流れる。しかし、本実施例では、上部排気側ウォータジャケット45の容積が下部排気側ウォータジャケット46の容積より大きく設定され、上部排気側ウォータジャケット45の先端部が下部排気側ウォータジャケット46の先端部より長く延設されている。そのため、各燃焼室16から排気ポート18を通して排出される排気ガスは、この容積の大きい上部排気側ウォータジャケット45の冷却水により適正に冷却される。即ち、エンジンの高負荷時などの排気ガス温度が高い運転状態であっても、この排気ガスを十分に冷却されることとなり、排気浄化触媒40が高温の排気ガスによる熱劣化が防止される。
また、内燃機関の冷間始動時などの排気ガス量が少ないとき、この排気ガスは、排気ポート18の中心部を伝って流れる。そのため、各燃焼室16内の燃焼ガスや排気ポート18に排出される排気ガスは、この容積の小さい下部排気側ウォータジャケット46の冷却水によりそれ程冷却されない。即ち、エンジンの冷間始動時などの排気ガス温度が低い運転状態では、この排気ガスをあまり冷却せずに排気浄化触媒40に流すことで、この排気浄化触媒40が早期に活性化される。
ところで、上述したシリンダヘッド12は、鋳造により製造され、シリンダヘッド12を製造するための鋳造型は、下型、中型、一対の横型、上型より構成される。このうち、図6に示すように、中型71は、上述した3つのウォータジャケット45,46,47に対応するウォータジャケット中子72と排気ポート18に対応する排気ポート中子73により構成される。そして、ウォータジャケット中子72は、上部排気側ウォータジャケット45に対応する上部排気側中子74と、下部排気側ウォータジャケット46に対応する下部排気側中子75と、吸気側ウォータジャケット47に対応する吸気側中子(図示略)により構成され、ここに排気ポート中子73が組付けられる。
本実施例では、シリンダヘッド12にて、上部排気側ウォータジャケット45の容積が下部排気側ウォータジャケット46の容積より大きく設定され、燃焼室16の中心側から排気ポート18側に延設される突出量は、上部排気側ウォータジャケット45が下部排気側ウォータジャケット46より長く設定されている。そのため、ウォータジャケット中子72にて、上部排気側中子74の突出量に対して、下部排気側中子75の突出量が短くなっている。なお、76は、シリンダブロック11の排気側ウォータジャケット41との連通部、77は、点火プラグ33の装着孔であり、78,79は、上型との連結部である。
従って、排気ポート中子73は、排気ポート18に対応する形状となっていることから、先端部が下方に湾曲した形状をなしており、ウォータジャケット中子72に対して排気ポート中子73を組み付けるとき、図6に二点鎖線で示すように、基端部を下方に位置させた状態で、先端部をウォータジャケット中子72の貫通孔に挿入して組み付ける。この場合、上部排気側中子74の突出量に対して下部排気側中子75との突出量が短いため、排気ポート中子73が下部排気側中子75に接触することなく、適正に組み付けることができる。
このように本実施例の内燃機関のシリンダヘッドにあっては、複数の燃焼室16にそれぞれ連通する複数の吸気ポート17を設ける一方、一端部が複数の燃焼室16にそれぞれ連通すると共に他端部が集合する排気ポート18を設け、この排気ポート18の上方に上部排気側ウォータジャケット45を設ける共に、排気ポート18の下方に下部排気側ウォータジャケット46を設け、上部排気側ウォータジャケット45の容積を下部排気側ウォータジャケット46の容積より大きく設定している。
従って、エンジンの高負荷時には、排気ポート18の上部壁面に沿って流れる高温の排気ガスが容積の大きい上部排気側ウォータジャケット45により効率良く冷却され、エンジンの冷却効率を向上することができ、また、エンジンの暖機時には、容積の小さい下部排気側ウォータジャケット46による冷却が抑制され、排気浄化触媒40を早期に活性化して排気浄化効率を向上することができる。
また、上部排気側ウォータジャケット45及び下部排気側ウォータジャケット46を燃焼室16の中心側から排気ポート18側に延設し、上部排気側ウォータジャケット45を下部排気側ウォータジャケット46より長く延設している。従って、エンジンの高負荷時に、排気ポート18の上部壁面に沿って流れる高温の排気ガスが長い上部排気側ウォータジャケット45により効率良く冷却されることとなり、エンジンの冷却効率を向上することができる。
この場合、シリンダヘッド12を鋳造するための中型を、各ウォータジャケット45,46,47に対応するウォータジャケット中子72と、排気ポート18に対応する排気ポート中子73により構成し、上部排気側ウォータジャケット45に対応する上部排気側中子74の突出量に対して、下部排気側ウォータジャケット46に対応する下部排気側中子75の突出量が短くなっている。従って、ウォータジャケット中子72に対して排気ポート中子73を組み付けるとき、この排気ポート中子73が下部排気側中子75に接触することなく、適正に組み付けることができる。
また、本実施例の内燃機関のシリンダヘッドでは、吸気ポート17の周囲に吸気側ウォータジャケット47を設け、下部排気側ウォータジャケット46を燃焼室16側で上下連通路53により上部排気側ウォータジャケット45に連通すると共に、水平連通路54を介して吸気側ウォータジャケット47に連通している。従って、シリンダヘッド12内で、冷却水を排気側から吸気側に流すこととなり、冷却水の流速を低下させて大量の冷却水を循環させることが可能となり、エンジンの冷却効率を向上することができる。
また、本実施例の内燃機関のシリンダヘッドでは、下部排気側ウォータジャケット46を燃焼室16ごとに隔壁49により区画し、上部排気側ウォータジャケット45を挿通路50により各燃焼室16の配設方向に沿って連続させ、下部排気側ウォータジャケット46に供給された冷却水を隔壁49に誘導しながら各燃焼室16の上方を流動して上部排気側ウォータジャケット45に流動すると共に、吸気側ウォータジャケット47に流動させる。従って、シリンダヘッド12内で、冷却水を排気側から吸気側に読み流しすることが可能となり、冷却水の流速を低下させて大量の冷却水を循環させることが可能となり、エンジンの冷却効率を向上することができる。
また、本実施例の内燃機関のシリンダヘッドでは、シリンダブロック11の排気側ウォータジャケット41から下部排気側ウォータジャケット46に冷却水を供給可能であると共に、上部排気側ウォータジャケット45及び吸気側ウォータジャケット47の冷却水をシリンダブロック11の吸気側ウォータジャケット42に冷却水を排出可能としている。従って、シリンダブロック11とシリンダヘッド12との間で、冷却水を効率良く循環させることができる。
なお、上述した実施例では、内燃機関を直列4気筒エンジンとして説明したが、この形式に限定されるものではない。また、上述した実施例では、燃料を吸気ポートに噴射するポート噴射式内燃機関として説明したが、燃料を直接燃焼室に噴射する筒内噴射式の内燃機関に適用しても前述と同様の作用効果を奏することができる。
以上のように、本発明に係る内燃機関のシリンダヘッドは、上部排気側ウォータジャケットの容積を下部排気側ウォータジャケットの容積より大きくすることで、内燃機関の冷却効率を向上するものであり、いずれの種類の内燃機関に用いても好適である。
本発明の一実施例に係る内燃機関のシリンダヘッドが適用されたエンジンの概略構成図である。 本実施例の内燃機関のシリンダヘッドが適用されたエンジンの排気ポートでの縦断面図である。 本実施例の内燃機関のシリンダヘッドが適用されたエンジンの点火プラグでの縦断面図である。 本実施例の内燃機関のシリンダヘッドが適用されたエンジンの排気側ウォータジャケットを表す水平断面(図2のIV−IV断面)図である。 本実施例の内燃機関のシリンダヘッドが適用されたエンジンの排気側ウォータジャケットを表す縦断面(図2のV−V断面)図である。 本実施例の内燃機関のシリンダヘッドを製作する鋳型を表す概略図である。 本実施例の内燃機関におけるエンジン冷却水の流れを表す概略図である。
符号の説明
11 シリンダブロック
12 シリンダヘッド
14 ピストン
16 燃焼室
17 吸気ポート
18 排気ポート
32 インジェクタ
33 点火プラグ
41 排気側ウォータジャケット
42 吸気側ウォータジャケット
43 冷却水供給部
44 冷却水排出部
45 上部排気側ウォータジャケット
46 下部排気側ウォータジャケット
47 吸気側ウォータジャケット
49,51 隔壁
53 上下連通路
54 水平連通路

Claims (5)

  1. 複数の燃焼室と、該複数の燃焼室にそれぞれ連通する複数の吸気ポートと、一端部が前記複数の燃焼室にそれぞれ連通すると共に他端部が集合する排気ポートと、該排気ポートの上方に設けられる上部排気側ウォータジャケットと、前記排気ポートの下方に設けられる下部排気側ウォータジャケットとを備えた内燃機関のシリンダヘッドにおいて、前記上部排気側ウォータジャケットの容積が前記下部排気側ウォータジャケットの容積より大きく設定されることを特徴とする内燃機関のシリンダヘッド。
  2. 前記上部排気側ウォータジャケット及び前記下部排気側ウォータジャケットは、前記燃焼室の中心側から前記排気ポート側に延設され、前記上部排気側ウォータジャケットが前記下部排気側ウォータジャケットより長く延設されることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のシリンダヘッド。
  3. 前記吸気ポートの周囲に吸気側ウォータジャケットが設けられ、前記下部排気側ウォータジャケットは、前記燃焼室側で前記上部排気側ウォータジャケットに連通されると共に、前記吸気側ウォータジャケットに連通されることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関のシリンダヘッド。
  4. 前記下部排気側ウォータジャケットは、前記複数の燃焼室ごとに区画する隔壁を有し、前記上部排気側ウォータジャケットは、前記複数の燃焼室の配設方向に沿って連続し、前記下部排気側ウォータジャケットに供給された冷却媒体が前記隔壁に誘導されながら前記複数の燃焼室の上方を流動して前記上部排気側ウォータジャケットに流動すると共に、前記吸気側ウォータジャケットに流動することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関のシリンダヘッド。
  5. 前記下部排気側ウォータジャケットの下部に冷却媒体の供給部が設けられる一方、前記上部排気側ウォータジャケット及び前記吸気側ウォータジャケットに冷却媒体の排出部が設けられることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関のシリンダヘッド。
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