JP2014084606A - 圧延h形鋼 - Google Patents

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Abstract

【課題】構造物の性能を損なうことなく重量をより一層軽量化して構造物のコスト低減が可能な圧延H形鋼を提供する。
【解決手段】本発明に係る圧延H形鋼1は、上フランジ3、下フランジ5、ウェブ7を有する二軸対称断面の圧延H形鋼1であり、H形鋼の高さをH、フランジ幅をB、ウェブ厚さをt1、フランジ厚さをt2、内法高さをd(=H−2×t2)、設計基準強度をF(N/mm2)とした場合、以下の1)〜4)に示す断面形状寸法及び強度を満たし、かつ引張強さが400〜740N/mm2であることを特徴とするものである。
1) 11.2≦B/(2×t2)≦240/F1/2
2) 1100/F1/2<d/t1≦1.4×1100/F1/2
3) 235≦F≦440
4) B/H<0.76
【選択図】 図1

Description

本発明は、主に構造物の床や屋根などの床版を支持する小梁のように鋼材の弾性範囲内で設計する梁に用いる圧延H形鋼に関する。
従来の小梁や弾性範囲内で設計する梁に使用する圧延H形鋼に関し、断面性能を低下させることなく、断面積を低減して、軽量化したものとして、以下のような要件を満たす圧延H形鋼が提案されている(特許文献1参照)。
・引張強さが400〜510N/mm2で、フランジ幅Bと梁高さHの比が0.77以下、フランジ幅厚比B/(2×t2)が11.1を超えて215/F1/2以下、Fの値が235以上で275以下を満足すことを特徴とする圧延H形鋼(特許文献1の請求項1参照)。
なお、t2はフランジ厚さ、Fは通常は設計基準強度(N/mm2)と同等の設計用降伏応力度である。
また、上記圧延H形鋼において、ウェブ幅厚比(H−2×t2)/t1が63.5を超えて1100/F1/2以下であることを特徴とする圧延H形鋼(特許文献1の請求項2参照)。
なお、t1はウェブ厚さである。
さらに、上記圧延H形鋼において、t1/t2の比が0.75を超えて1.0未満であることを特徴とする圧延H形鋼(特許文献1の請求項3参照)。
特許第4677059号
小梁や弾性範囲で使用する梁などの設計では、主に曲げ耐力と梁のたわみ制限により、必要な鋼材の設計基準強度Fや断面性能(断面二次モーメントI及び断面係数Z)が決定される。両端支持条件がピン支持で等分布荷重を受ける小梁のスパン(設計梁長さ)Lと許容設計荷重W(N/m)の関係を図4のグラフに示す。
なお、図4のグラフは、横軸がスパンLをH形鋼の高さHで除して無次元化したL/Hであり、縦軸が許容設計荷重WにH3/Iを乗じて次元を変えた相当許容荷重を示している。
図4には、許容設計荷重として変形制限による許容荷重Wdと曲げ耐力で決まる許容荷重Wb(設計基準強度F=235,295,325,385,440N/mm2の場合)を併せて示している。
許容設計荷重は、変形制限の場合は、日本建築学会の「鋼構造設計規準−許容応力度設計法−」に示されるたわみがスパンLの1/300以下の条件で求めたものであり、曲げ耐力の場合は、長期荷重に対する許容応力度を、前述の学会規準や建築基準法(建築基準法施行令90条)に示されるF/1.5として求めたものである。具体的なWd及びWbの算定式は以下のとおりである。
《変形制限による許容等分布荷重》
両端ピン支持で等分布荷重を受ける梁の最大たわみδmaxがL/300以下であることから下式(1)となる。
《曲げ耐力による許容等分布荷重》
最大曲げ応力度σmaxがF/1.5以下であることから下式(2)となる。
図4のグラフより、L/Hが大きい範囲では変形制限によって許容荷重が決定され、L/Hが小さい範囲では曲げ耐力によって許容荷重が決定されることが分かる。
ところで、鋼構造の小梁の設計では、一般に梁せいHとスパンLの比、H/Lを1/18〜1/15又は1/20〜1/10程度として部材断面を選定する(例えば、「JSCA版S造構造の設計,p52,株式会社オーム社,2010.12.20」、「新構造設計の実務 知っておきたい根拠と常識,p46,株式会社建築技術,2006.7.1」)。すなわち、L/Hの下限値は一般に10〜15程度であるといえる。
このL/Hの下限値においては、図4のグラフで示されるように、曲げ耐力によって許容設計荷重Wが決まるので、許容設計荷重を大きくするために設計基準強度Fを、F=325〜440(N/mm2)程度まで大きくすることが有効であることがわかる。
しかしながら、特許文献1に示された圧延H形鋼では、設計基準強度Fの範囲が235以上、275以下とされていることから、曲げ耐力で許容荷重が決まり、強度が不足してしまう場合がある。
すなわち、特許文献1に開示された圧延H形鋼では、断面積を低減して、軽量化できたとしても、設計基準強度Fの上限が小さいため、本来であれば更に小梁等の軽量化が図れるところが制限されてしまうとういう問題がある。
特許文献1では、B/H≦0.77かつ11.1<B/(2×t2)≦215/F1/2としているが、JIS G 3129の標準断面寸法以外での圧延H形鋼で、H=330,B=251,t1=10,t2=10、すなわちB/H=0.76、B/(2×t2)=12.6である圧延H形鋼が従来技術より以前に製造されている(たとえば、「JISハンドブック(2)鉄鋼,日本規格協会,2007.1.19」の「参考 2.普通鋼鋼材受注寸法表 2.形鋼
(1)H形鋼」)。
また、外法一定H形鋼と呼ばれる鉄鋼メーカ各社が製造している圧延H形鋼についても、H=400,B=200,t1=6,t2=9の断面寸法のものが特許文献1の出願日以前に製造されており(たとえば「鋼構造設計便覧,p58,川崎製鉄株式会社,1991.6」)、この場合、B/H=0.5、B/(2×t2)=11.11となる。
このように、特許文献1においては、公知のH形鋼を開示したにすぎない。
また、特許文献1では、請求項1において、「フランジ幅Bと梁高さHの比が0.77以下、フランジ幅厚比B/(2×t2)が11.1を超えて215/F1/2以下」という要件を規定し、さらに請求項2においてウェブ幅厚比(H−2×t2)/t1を限定するようにしている。
つまり、特許文献1では、請求項1に規定する「フランジ幅Bと梁高さHの比が0.77以下、フランジ幅厚比B/(2×t2)が11.1を超えて215/F1/2以下」という要件を満たせば、JIS G 3192の既往の圧延H形鋼よりも、断面性能を低下させることなく、断面積を低減して、圧延H形鋼を軽量化することができるという効果を奏するとされている。
しかしながら、特許文献1における実施例として示されたH形鋼の断面寸法の内、F=235(N/mm2)の実施例においては、上述した[請求項1]の「フランジ幅Bと梁高さHの比が0.77以下、フランジ幅厚比B/(2×t2)が11.1を超えて215/F1/2以下」の条件と[請求項2]の「ウェブ幅厚比(H−2×t2)/t1が63.5を超えて1100/F1/2以下」の条件の両方を満たすものが示されている。この特許文献1に例示されたH形鋼の断面寸法および断面積Aを表1の(1)欄に示す。なお、表1の(2)欄には特許文献1にF=275(N/mm2)の実施例として例示されたH形鋼の断面寸法および断面積A及び表1の(3)欄には既往のJIS断面例を併せて記載している。
上述のように、表1(1)に示されたものは、特許文献1の請求項1及び2の要件を満たすものであることから、特許文献1の請求項1のみを満たす場合に上記のような効果を奏することができるか否かについて検討するため、表1におけるF=235の実施例を、[請求項1]の条件のみを満たす断面寸法に置き換えた場合の断面積及び断面性能を、既往のJIS H形鋼断面と比較して示したのが表2である。
表2において、従来例A〜Hの断面について、実施例の断面の高さH及びウェブ厚さt1を既往のJIS寸法に置き換えた場合を「従来例A改〜H改」とし、また[請求項1]の範囲で、フランジ幅B及びフランジ厚さt2を変化させ、既往のJIS断面寸法とほぼ同等の断面積にした場合を「従来例A改’〜H改’」としている。
また、表2には、既往のJIS寸法を示すと共に、従来例とJIS例、従来例改とJIS例、従来例改’とJIS例のそれぞれについての断面積A(cm2)、断面二次モーメントIx(cm4)及び断面係数Zx(cm3)の比を記載している。
表2を見ると、従来例A改〜H改では、断面寸法が請求項1の範囲内にあるにもかかわらず、断面積A(cm2)が低減すると同時に強軸回りの断面二次モーメントIx(cm4)、断面係数Zx(cm3)も同等以下に低減してしまうことがわかる。
また、従来例A〜H改’では、断面性能の増加の程度はせいぜい2〜3%程度であり、実質、既往のJIS断面サイズの断面性能と大差がないことがわかる。
また、F=275(N/mm2)の従来技術の実施例では、表1の(2)欄に示されるように、ウェブ幅厚比は[請求項2]のウェブ幅厚比の下限値以下であり、請求項1の範囲のみを満たすものではあるが、表1の(3)欄のJIS断面サイズよりもウェブ幅厚比が大きくなっているほか、フランジ幅厚比はF=235の実施例よりも同等以下の値となっている。さらに、断面積は、F=235よりF=275の場合の方が大きいという結果になっている。
以上の検討から分かるように、フランジ幅厚比を大きくすることは、断面性能の向上にはほとんど寄与せず、特許文献1の請求項1において規定している「フランジ幅Bと梁高さHの比が0.77以下、フランジ幅厚比B/(2×t2)が11.1を超えて215/F1/2以下」という要件のみでは、既往の圧延H形鋼よりも、断面性能を低下させることなく、断面積を低減して、圧延H形鋼を軽量化することができるという効果を奏することはできないと解される。
また、特許文献1の実施例で示された断面寸法は、表1に示すように、F=235とF=275では異なっており、強度(F値)が多少異なる場合にも圧延H形鋼を製造する際、異なる圧延ロール設備が必要となり、製造設備のコストのみならず、製造効率も悪くなるという問題もある。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、構造物の性能を損なうことなく重量をより一層軽量化して構造物のコスト低減が可能な圧延H形鋼を提供することを目的としている。
(1)本発明に係る圧延H形鋼は、上下フランジとウェブを有する二軸対称断面の圧延H形鋼であり、H形鋼の高さをH、フランジ幅をB、ウェブ厚さをt1、フランジ厚さをt2、内法高さをd(=H−2×t2)、設計基準強度をF(N/mm2)とした場合、以下の1)〜4)に示す断面形状寸法及び強度を満たし、かつ引張強さが400〜740N/mm2であることを特徴とするものである。
1) 11.2≦B/(2×t2)≦240/F1/2
2) 1100/F1/2<d/t1≦1.4×1100/F1/2
3) 235≦F≦440
4) B/H<0.76
以下、上記の1)〜4)に示す断面形状寸法、強度範囲を規定した理由について説明する。
《1) 11.2≦B/(2×t2)≦240/F1/2
まず、B/(2×t2)の上限値を240/F1/2とした理由を説明する。
B/(2×t2)の上限値を240/F1/2とした理由は、日本建築学会「鋼構造設計規準−許容応力度設計法−」において、梁の圧縮部分から突出している板の幅厚比は、b/t=B/(2×t2)≦0.53(E/F)1/2を満足すれば局部座屈の影響を考慮しなくても良いとされている。
そこで、局部座屈の影響を考慮しないようにするため、B/(2×t2)≦0.53(E/F)1/2を満足させることとし、鋼材のヤング率としてE=205,000(N/mm2)を0.53(E/F)1/2に代入することにより、B/(2×t2)の上限値として240/F1/2を規定した。
B/(2×t2)の下限値を11.2とした理由は以下の通りである。
圧延H形鋼には、特許文献1で示されたものの他に、以前より外法一定H形鋼が製造されている。この以前より製造されている外法一定H形鋼のフランジ及びウェブ幅厚比の関係を示したものが図5である。
既往の外法一定H形鋼は、フランジ幅厚比の最大値は、H=400,B=200,t1=6,t2=9の断面形状の場合であって、その値は11.11である。
また、B/Hは0.5であり、後述するH/Bの範囲内において、従来技術[特許文献1]以前の既往の圧延H形鋼を含まない範囲として、B/(2×t2)の下限値を11.2とした。
《2) 1100/F1/2<d/t1≦1.4×1100/F1/2
まず、d/t1の上限値を1.4×1100/F1/2とした理由を説明する。
日本建築学会「鋼構造設計規準−許容応力度設計法−」において、梁のウェブプレートの幅厚比は、d/t=d/t1≦2.4(E/F)1/2を満足すれば局部座屈の影響を考慮しなくても良いとされている。
そこで、d/t1の上限値として局部座屈の影響を考慮しなくともよい範囲とするため、d/t1≦2.4(E/F)1/2を満足させるとするならば、鋼材のヤング率としてE=205,000(N/mm2)を2.4(E/F)1/2に代入して、d/t1の上限値はほぼ1100/F1/2となる。
ただし、「鋼構造設計規準−許容応力度設計法−」では、幅厚比が規定値を超える場合には、局部座屈の影響を考慮して、規定値を超える部分を無効とみなして存在応力を求め、応力度の検定を行うことができると規定している。
また、幅厚比の制限は、構造上塑性化する恐れのある大梁について、建築基準法やそれに関する告示で制限やランク付けなどされているが、弾性範囲で使用される小梁等については、法令上特に制限は定められておらず、日本建築学会などの規準があるだけである。
したがって、幅厚比が規定値を超える場合であっても、当該部分を無効とみなす場合の影響が小さい場合には、幅厚比の上限値を上げることが断面二次モーメント及び断面係数としては有利になる。そこで、規定値を超える部分を無効と見なす場合の影響について検討した。
図6は、H形鋼における幅厚比が規定値を超える場合におけるウェブの無効部分のとり方の説明図である。図6において、dはウェブ内法寸法、diはウェブ無効長さ、Bはフランジ幅、HはH形鋼の高さ、t1はウェブ厚さ、t2はフランジ厚さをそれぞれ示している。
ウェブの無効部分のとり方は、図6の斜線で示すようにウェブの中心部分から上下対称にとる。このため、ウェブ幅厚比を超える無効部分がH形鋼の断面性能に与える影響は一般に小さくなると考えられるが、より具体的な検討を以下のように行った。
ウェブ幅厚比d/t1を、α×1100/F1/2(ここでα≧1)、ウェブの無効部分長さをdiとし、全断面有効の断面係数をZ、ウェブの無効部分を考慮した有効断面係数をZeとすると、Z及びZeは下式(3)、(4)により求められる。
設計基準強度Fを235及び325(N/mm2)、ウェブ厚さt1=tとしてフランジ厚さt2をt及び2×t、フランジ幅Bを下限値の2×11.2×t2=22.4×t2、上限値の2×240×t2/F1/2=480t2/F1/2として、それらを組合せた以下の8つの例について、Ze/Zとαの関係を図7のグラフに示す。
例1:F=235、t1=t、t2=t、B=22.4×t2
例2:F=235、t1=t、t2=t、B=480t2/2351/2
例3:F=325、t1=t、t2=t、B=22.4×t2
例4:F=325、t1=t、t2=t、B=480t2/3251/2
例5:F=235、t1=t、t2=2t、B=22.4×t2
例6:F=235、t1=t、t2=2t、B=480t2/2351/2
例7:F=325、t1=t、t2=2t、B=22.4×t2
例8:F=325、t1=t、t2=2t、B=480t2/3251/2
図7からわかるように、フランジ厚さt2がウェブ厚さt1と等しく、フランジ幅が下限値(22.4×t2)でかつF値が小さい(F=235)とき(例1)、Ze/Zの低下率が最も大きくなる。
しかしながら、このZe/Zの低下率が最も大きくなる例1の場合においても、α≦1.4であれば、有効断面係数Zeの低下率は1%以下である。なお、梁の剛性については、全断面有効の断面二次モーメントIを利用できる。
そこで、断面効率がほとんど低下しないように、断面係数の低下率が1%以下に抑えられる範囲として、ウェブ幅厚比d/t1を1.4×1100/F1/2以下と設定した。
ウェブ幅厚比の下限値を1100/F1/2超とした理由は以下の通りである。
上述したように、ウェブ幅厚比を上記の上限値に近づけるほど断面二次モーメント及び断面係数としては有利となるが、少なくとも従来例を含まず、かつ従来例に対して断面二次モーメント及び断面係数として有利となる値として、特許文献1においてウェブ幅厚比の上限値として規定されている1100/F1/2を超える値とした。
《3) 235≦F≦440》
まず、Fの上限値を440とした理由を説明する。
前述したように、L/H≧10(すなわちH/L≦1/10)の範囲を考慮した場合、曲げ耐力による許容荷重WbはF=440(N/mm2)程度まで変形制限の許容荷重Wdを下回る場合がある(図4参照)。そのため、曲げ耐力による許容荷重Wbを大きくすることで意味がある範囲として設計基準強度Fの上限値をF=440(N/mm2)とした。
また、本発明においてフランジ幅厚比(B/(2×t2))の下限値は11.2と固定値にしているが、フランジ幅厚比の上限値は240/F1/2としているため、設計基準強度Fの値が大きくなるとフランジ幅厚比が小さくなり、下限値を下回る場合も想定される。この点、F=440(N/mm2)の場合のフランジ幅厚比の上限値は240/4401/2=11.4となり、下限値を下回ることはない。
以上の理由から、設計基準強度Fの上限値を440とした。
次に、設計基準強度Fの下限値を235以上とした理由を説明する。
本発明のフランジ幅厚比およびウェブ幅厚比の規定により、断面積を低減して従来例(特許文献1に示されたもの)よりも断面二次モーメントおよび断面係数を有利にできる。
ところで、従来例である特許文献1ではFの範囲を235以上、275以下としている。
そこで、従来例の圧延H形鋼よりも同等以上の曲げ耐力を確保するため、Fを特許文献1で示された下限値である235以上とした。
《4) B/H<0.76》
従来技術[特許文献1]では、B/H≦0.77となっているが、[特許文献1]に提示されていない圧延H形鋼には、前述の外法一定H形鋼([0015]参照)や、JIS G3129の標準断面寸法以外のものがある。外法一定H形鋼のB/Hは0.75であるものの、フランジ幅厚比の最大値は前述のとおり11.11(11.2未満)である。
一方、JIS G3129の標準断面寸法以外の圧延H形鋼では、H=330,B=251,t1=10,t2=10の断面寸法のものが従来技術以前に製造されている(例えば「JISハンドブック(2)鉄鋼,日本規格協会,2007.1.19」の「参考2.普通鋼鋼材受注寸法表 2.形鋼 (1)H形鋼」)。このH形鋼のウェブ幅厚比は12.6(≧11.2)、B/Hは0.76(≦0.77)である。
したがって、本発明のフランジ幅厚比11.2以上の時、従来技術以前の圧延H形鋼の範囲外となるよう、B/Hは0.76未満とした。
(2)本発明に係る圧延H形鋼は、一方向曲げを受けるピン接合の梁材であって、圧縮側のフランジが拘束されている小梁に適用されるのが好ましい。
本発明においては、主に小梁や弾性範囲内で設計する梁に供する圧延H形鋼であって、高さH、幅B、ウェブ厚さt1、フランジ厚さt2、梁の内法高さd(=H−2t2)、設計基準強度F(N/mm2)としたとき、フランジ幅厚比を11.2≦B/(2×t2)≦240/F1/2、ウェブ幅厚比を1100/F1/2<d/t1≦1.4×1100/F1/2、設計基準強度を235≦F≦440及びB/H<0.76となるようにしたので、従来の圧延H形鋼よりも重量が同等以下で、断面二次モーメントすなわち断面剛性が大きく、かつ曲げ耐力(有効断面係数Ze×F/1.5)も大きな圧延H形鋼を提供できるようになった。この圧延H形鋼を小梁等に利用する場合、従来の圧延H形鋼を用いるより部材の重量を一層軽くすることができるため、部材の軽量化による構造物のコスト低減が可能となる。
さらに、ウェブ幅厚比d/t1の上限値を大きくしたことにより、断面形状を変化させることなく設計基準強度Fを大きくして、曲げ耐力を大きくできる。このため、強度が異なるH形鋼を製造する場合でも、断面形状に関する圧延設備を変更する必要がなく、従来技術より製造設備コスの低減及び製造効率が向上する利点がある。
本発明の一実施の形態に係る圧延H形鋼の断面図である。 本発明の一実施の形態に係る圧延H形鋼の使用態様を説明する説明図である。 本発明の一実施の形態に係る圧延H形鋼のウェブ幅厚比とフランジ幅厚比について従来例との比較を示す図である。 本発明の解決しようとする課題を説明する図であって、両端支持条件がピン支持で等分布荷重を受ける小梁のスパン(設計梁長さ)Lと許容設計荷重W(N/m)の関係を示すグラフである。 既往の外法一定H形鋼のフランジ及びウェブ幅厚比の関係を示す図である。 本発明に係る圧延H形鋼におけるウェブ断面の無効部分のとり方の説明図である。 課題を解決する手段における数値限定の根拠を説明する説明であって、Ze/Zとαの関係を示すグラフである。
本発明の実施の形態に係る圧延H形鋼1は、図1に示すように、上フランジ3、下フランジ5、ウェブ7を有する二軸対称断面の圧延H形鋼であり、圧延H形鋼1の高さをH、フランジ幅をB、ウェブ厚さをt1、フランジ厚さをt2、内法高さをd(=H−2×t2)、設計基準強度をF(N/mm2)とした場合、以下の1)〜4)に示す断面形状寸法及び強度を満たし、かつ引張強さが400〜740N/mm2であることを特徴とするものである。
1) 11.2≦B/(2×t2)≦240/F1/2
2) 1100/F1/2<d/t1≦1.4×1100/F1/2
3) 235≦F≦440
4) B/H<0.76
圧延H形鋼1においては、ウェブ幅厚比d/t1の下限値を1100/F1/2超とし、上限値を1.4×1100/F1/2としているので、「鋼構造設計規準−許容応力度設計法−」に規定する規定値(1100/F1/2)を超える。そして、前述したように規定値を超える場合のウェブ断面は無効として扱われるので、図1においては、その無効部分9を示している。なお、無効部分9の長さはdiである。
表3に、本発明の範囲内の設計基準強度Fごとのフランジ幅厚比及びウェブ幅厚比の上下限値を示す。
本発明の圧延H形鋼によれば、従来の圧延H形鋼と比べて断面積が同等以下で曲げ剛性(断面二次モーメント)や曲げ耐力を大きくすることができ、このH形鋼を小梁や弾性範囲で使用する梁に使用することで小梁等の部材重量が低減され、構造物のコストを削減することができる。
なお、本発明の形状の圧延H形鋼では横座屈耐力が低下する恐れがあるため、基本的には一方向曲げを受けるピン接合の梁材で、図2に示すように圧縮側の上フランジ3が床スラブ11などで拘束されている小梁12に適用するのが好ましい。
表4は、設計基準強度F=235〜325(N/mm2)の場合の、本発明の実施例の断面寸法を示したものである。
表4の実施例の断面積及び断面性能を、JIS G 3192の標準断面ならびにF=235、275の従来技術の断面寸法例と比較したものを表5及び表6に示す。
表5、6において、A(cm2)は断面積、Ix(cm4)は強軸回りの断面二次モーメント、Zx(cm3)は強軸回りの断面係数、Zxe(cm3)はウェブ無効部分(di:無効長さ)を考慮した強軸回りの有効断面係数である。
なお、表5、6には、A及びIxについて本発明の実施例とJIS 断面及び従来技術例の比を、断面係数は実施例のZxeとJIS 断面及び従来技術例のZxe(=Zx)の比を示した。
表5、6を見れば分かるように、本発明の実施例1〜8のものは、断面積については、JIS断面と比べておよそ15%程度小さくなっている(表5,6の断面積Aの列における(a/b)の行参照)。また、特許文献1に示されたF=235の断面例との比較では、ほとんどの場合で同等以下となっている(表5,6の断面積Aの列における(a/c)の行参照)。さらに、特許文献1に示されたF=275の断面例との比較では、ほぼ5%以上小さくなっている(表5,6の断面積Aの列における(a/d)の行参照)。
一方、断面二次モーメント及び断面係数は、JIS断面、従来技術の実施例断面のいずれに対しても、同等以上となっている。また、F値が大きくなることによりウェブ無効部分は大きくなるものの、有効断面係数に与える影響は僅かである。
以上のように、本発明によれば、従来の圧延H形鋼よりも重量が同等以下で、断面二次モーメントすなわち断面剛性が大きく、かつ曲げ耐力(有効断面係数Ze×F/1.5)も大きな圧延H形鋼を提供できることが実証された。
なお、図3は、F値の範囲が235〜325(N/mm2)である表4の本発明の実施例の断面のフランジ幅厚比及びウェブ幅厚比の関係を示したものである。
図3に示されるように、本発明例によれば既往の外法一定H形鋼を含まないことが分かる。
1 圧延H形鋼
3 上フランジ
5 下フランジ
7 ウェブ
9 無効部分
11 床スラブ
12 小梁

Claims (2)

  1. 上下フランジとウェブを有する二軸対称断面の圧延H形鋼であり、H形鋼の高さをH、フランジ幅をB、ウェブ厚さをt1、フランジ厚さをt2、内法高さをd(=H−2×t2)、設計基準強度をF(N/mm2)とした場合、以下の1)〜4)に示す断面形状寸法及び強度を満たし、かつ引張強さが400〜740N/mm2であることを特徴とする圧延H形鋼。
    1) 11.2≦B/(2×t2)≦240/F1/2
    2) 1100/F1/2<d/t1≦1.4×1100/F1/2
    3) 235≦F≦440
    4) B/H<0.76
  2. 一方向曲げを受けるピン接合の梁材であって、圧縮側のフランジが拘束されている小梁に適用されることを特徴とする請求項1記載の圧延H形鋼。
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