JP2014084346A - 複合成形体及びその表面改質方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塩化ビニル系樹脂で形成された成形体の肌触りや触感を改善する。
【解決手段】塩化ビニル系樹脂で形成された成形体の表面に、熱可塑性エラストマー、平均粒径1〜100μmの微粒子及びビニル系化合物を含む重合性組成物の硬化物でコート層を形成する。前記熱可塑性エラストマーは、熱可塑性ポリウレタンエラストマーであってもよい。前記コート層の表面において、高さ0.75μm以上の凸部の個数は3〜50個/mm程度であってもよい。前記微粒子は、平均粒径が1〜8μmの略真球状粒子であってもよい。前記微粒子は有機粒子であってもよい。前記ビニル系化合物は、多官能(メタ)アクリレート及び/又はウレタン(メタ)アクリレートであってもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、塩化ビニル系樹脂で形成された成形体の触感が改善された複合成形体及びその表面改質方法に関する。
塩化ビニル系樹脂は、化学的変化を起こしにくく、耐水性、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性、難燃性、電気絶縁性に優れる。さらに、塩化ビニル系樹脂は、可塑剤の配合によって硬度や剛性を容易に制御できるため、各種の用途に使用されており、シート、レザー、ペースト、電線、軟・硬質管、硬質板、塗料、接着剤などに利用されている。なかでも、塩化ビニル系樹脂の用途は、加工の容易性を生かして、カレンダ加工や押出成形などにより加工された製品が主流であり、衣類や雑貨、文房具、家具などにおける合成皮革(人造又は人工皮革)や塩ビレザーとして汎用されている。例えば、本や手帳のカバー、財布やカード入れなどに用いられているが、これらの用途では、人の手に触れる機会が多いが、その肌触りや触感は満足できるものではなかった。
特開平9−67780号公報(特許文献1)には、予め製造された塩化ビニルレザーの塩化ビニル樹脂表面層を加熱軟化させた後、表面に紋模様が形成された紋付けシートの紋模様形成面と加熱軟化された塩化ビニル樹脂表面層とが接するように重ね合わせて圧着し、冷却せしめてから紋付けシートを剥離する紋模様付塩化ビニルレザーの製造方法が開示されている。この方法では、カレンダ加工において、エンボスロールを用いて紋模様を形成する方法に比べて微細な紋模様を形成できることが記載されている。
しかし、この方法では、紋付けシートに微細な加工を施す必要があり、紋付けシートの製造に高度な技術を要する。このため、少量多品種や製品寿命が短い用途への適用は困難である。
特開昭62−251111号公報(特許文献2)には、予め下型形状に予備成形されたシートを下型上に載置し、次いで下型上に樹脂を塊状に押出し、樹脂が冷却固化する前に上型と下型とを圧締し、上型と下型間でシートと樹脂とを一体成形した後、開型として成形品を取り出す成形品の化粧方法が開示されている。この文献では、予備成形されたシートは、強化繊維を含む成形体の表面平滑性を目的とし、前記シートとして、成形品の樹脂と同一の樹脂(ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリエチレン、PVC)で形成されたシートが記載されている。
しかし、この予備成形シートはPVC(塩化ビニル樹脂)などの熱可塑性樹脂のみで形成されているため、触ったときの感触が硬く、柔らかい肌触りが要求される用途には適さない。
特開平7−52290号公報(特許文献3)には、紙、塩化ビニル樹脂フィルムなどの樹脂フィルム、不織布などで形成された基材シート上に弾性球状ビーズを含む電子線硬化型樹脂の層を設けた化粧シートが開示されている。この文献には、粒径20〜70μmであり、ウレタン製又はゴム製の弾性球状ビーズを、電子線硬化型樹脂に対して5〜30重量%含有させた化粧シートが記載されている。
しかし、この化粧シートでは、指で触るとザラザラした感触であり(ザラツキがあり)、サラサラしてソフトタッチな触感は得られなかった。
特開平2−41243号公報(特許文献4)には、ポリ塩化ビニルなどの成形性が優れたプラスチックフィルムで形成された基材フィルム上に、ビーズ顔料を電離放射線硬化性樹脂のビヒクルに添加した艶消し塗料の塗膜を設けたスウェード調成形用シートが提案されている。この文献では、前記成形用シートを射出成形用金型に置いて真空予備成形し、次いでABS樹脂の射出成形を行ってインサート絵付け製品を製造している。この文献には、前記電子線硬化性樹脂としてウレタンアクリレートや多官能アクリレートが記載され、ビーズ顔料として粒径分布の極大が10〜35μmのアクリル樹脂ビーズやウレタンビーズが記載されている。さらに、艶消し塗料には、塗膜の成形性を向上させるために、ウレタンエラストマー、セルロースアセテートプロピオネート、アクリル又は塩ビ−酢ビ共重合体などの熱可塑性樹脂を混合してもよいことが記載され、実施例では、ポリメチルメタクリレートが使用されている。この文献では、熱可塑性樹脂の割合は記載されておらず、実施例では、ウレタンアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートで構成された電子線硬化性樹脂40重量部に対して、20重量部のポリメチルメタクリレートが配合されている。
しかし、シートの塗膜が、主として電子線によって架橋された樹脂で形成されているため、シートの展延性が低く、凹凸や曲面を有する被着体表面にシートを貼付けようとすると、シートが破損し易い。さらに、指で触るとザラツキがあり、特に、深絞り成形において成形品にサラサラしてソフトタッチ感を簡易に付与することは困難である。。
特開平9−67780号公報(請求項1、段落[0005][0026]) 特開昭62−251111号公報(特許請求の範囲、実施例、発明の効果の欄) 特開平7−52290号公報(特許請求の範囲、段落[0009][0016]、実施例) 特開平2−41243号公報(特許請求の範囲、第3頁右上欄16行〜左下欄1行、実施例)
従って、本発明の目的は、塩化ビニル系樹脂で形成された成形体の肌触りや触感が改善された複合成形体及びその表面改質方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、指の引っ掛かりがなく、かつソフトタッチ感(スウェード調)を実現できる複合成形体及びその表面改質方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、塩化ビニル系樹脂で形成された成形体の特性を損なうことなく、滑り性を向上できる複合成形体及びその表面改質方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、柔軟である上に、ザラツキがなく、触り心地の良い触感を実現できる複合成形体及びその表面改質方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、塩化ビニル系樹脂で形成された成形体(塩化ビニル系樹脂成形体)の表面を、熱可塑性エラストマー、平均粒径1〜100μmの微粒子及びビニル系化合物を含む重合性組成物の硬化物で被覆することにより、塩化ビニル系樹脂成形体の肌触りや触感を改善できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の複合成形体は、塩化ビニル系樹脂で形成された成形体と、この成形体の表面を被覆するコート層とを含む複合成形体であって、前記コート層が、熱可塑性エラストマー、平均粒径1〜100μmの微粒子及びビニル系化合物を含む重合性組成物の硬化物で形成されている。前記熱可塑性エラストマーは、熱可塑性ポリウレタンエラストマーであってもよい。前記コート層の表面において、高さ0.75μm以上の凸部の個数は3〜50個/mm程度であってもよく、高さ0.3μm以上の凸部の個数は50〜250個/mm程度であってもよい。前記微粒子は、平均粒径が1〜8μmの略真球状粒子であってもよい。前記微粒子は有機粒子であってもよい。前記ビニル系化合物は、多官能(メタ)アクリレート及び/又はウレタン(メタ)アクリレートであってもよい。本発明の複合成形体において、ビニル系化合物が4〜8官能(メタ)アクリレートであり、かつコート層の表面において、微粒子が突出していない領域における微小硬度が50〜300N/mm程度であってもよい。本発明の複合フィルムにおいて、前記微粒子が、1MPa以下の10%圧縮強度及び50%以上の変形回復率を有する架橋ポリウレタン粒子であり、かつビニル系化合物が、重量平均分子量500以上の脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートであってもよい。前記重合性組成物において、ビニル系化合物と熱可塑性エラストマーとの割合(重量比)は、前者/後者=1/90〜70/30程度であってもよい。前記微粒子の割合は、熱可塑性エラストマー及びビニル系化合物の合計100重量部に対して0.5〜150重量部程度であってもよい。前記塩化ビニル系樹脂は軟質塩化ビニル系樹脂であってもよい。本発明の複合成形体は、シート状又はフィルム状であってもよい。本発明の複合成形体は、合成皮革又は人造皮革であってもよい。
本発明には、前記複合成形体を用いて、塩化ビニル系樹脂で形成された成形体表面の触感を改質する方法も含まれる。
本発明では、塩化ビニル系樹脂成形体の表面が、熱可塑性エラストマー、平均粒径1〜100μmの微粒子及びビニル系化合物を含む重合性組成物の硬化物で被覆されているため、塩化ビニル系樹脂成形体の肌触りや触感を改善できる。特に、指の引っ掛かりがなく、かつソフトタッチ感(スウェード調)を実現できる。また、塩化ビニル系樹脂成形体の特性を損なうことなく、滑り性を向上でき、例えば、透明性が高い処方に調製することにより、前記成形体の色や模様も反映できる上に、滑り性に優れるため、指紋の付着も抑制できる。さらに、柔軟である上に、ザラツキがなく、触り心地の良い触感を実現でき、例えば、軟質塩化ビニル成形体を用いて、合成皮革又は人造皮革の触感を向上できる。
[塩化ビニル系樹脂で形成された成形体]
塩化ビニル系樹脂で形成された成形体(塩化ビニル系樹脂成形体)の形状は、特に限定されず、繊維状や棒状、三次元形状などであってもよいが、肌触りや触感が要求され易い点から、シート状、フィルム状、板状などの二次元形状、特に、シート状又はフィルム状が好ましい。シート状又はフィルム状成形体は、カレンダ加工や押出成形で形成された成形体が汎用される。シート状又はフィルム状成形体は、他の材質で形成された他の成形体との積層体であってもよく、例えば、他の成形体(二次元状又は三次元状成形体、特に、シート状又はフィルム状の二次元状成形体)の表面にコーティングなどにより、塩化ビニル系樹脂層を形成した複合成形体であってもよい。
塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル(クロロエテン)を重合成分として含んでいればよく、塩化ビニルの単独重合体であってもよく、塩化ビニルと他の共重合性単量体との共重合体であってもよい。
共重合性単量体としては、例えば、他の塩素含有ビニル化合物(例えば、塩化ビニリデンなど)、オレフィン類(例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのC2−6オレフィンなど)、ビニルエステル類(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの脂肪族カルボン酸ビニルエステルなど)、ビニルエーテル類(例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル)、(メタ)アクリル系化合物(例えば、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレートやエチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドなど)、シアン化ビニル類(例えば、(メタ)アクリロニトリルなど)、不飽和カルボン酸又はその誘導体(例えば、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸など)、共役ジエン類(ブタジエン、イソプレンなど)、スチレン系単量体(例えば、スチレン、メチルスチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレンなど)などが挙げられる。これらの共重合性単量体は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
これらの共重合性単量体のうち、塩化ビニリデン、エチレンやプロピレンなどのC2−4オレフィン、(メタ)アクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、酢酸ビニルなどのビニルエステルなどが汎用される。
塩化ビニル系樹脂において共重合性単量体の割合は、全単量体中0〜90モル%程度の範囲から選択でき、例えば、0〜50モル%、好ましくは0〜30モル%、さらに好ましくは0〜20モル%程度であり、例えば、1〜50モル%、5〜30モル%程度であってもよい。
塩化ビニル系樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−C2−4オレフィン共重合体(塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体など)、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体(塩化ビニル−メタクリル酸メチルなど)、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体などが挙げられる。
塩化ビニル系樹脂は、他のポリマーに塩化ビニルがグラフト共重合したグラフト共重合体であってもよい。他のポリマーとしては、有機酸ビニルエステル系樹脂(例えば、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体)やポリウレタン系樹脂などが挙げられる。
これらの塩化ビニル系樹脂のうち、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体やポリウレタンとのグラフト共重合体などが好ましい。
本発明の複合成形体は、優れた触感が要求される合成皮革などの用途に適しているため、塩化ビニル系樹脂は軟質塩化ビニル系樹脂であってもよい。軟質塩化ビニル系樹脂は、共重合成分により軟質化された樹脂(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体やポリウレタンとのグラフト共重合体など)であってもよいが、可塑剤により軟質化された樹脂(例えば、慣用の可塑剤を含むポリ塩化ビニルなど)であってもよい。
可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル系可塑剤[ジブチルフタレート(DBP)、ジヘプチルフタレート(DHP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)、ジトリデシルフタレート(DTDP)、トリオクチルトリメリレート(TOTM)など]、リン酸エステル系可塑剤[リン酸トリクレジル(TCP)、リン酸トリオクチル(TOP)など]、脂肪族多価カルボン酸エステル[クエン酸トリブチル、アジピン酸ジオクチル(DOA)、セバシン酸ジオクチル(DOS)、アセチルリシノール酸メチル(MAR)など]、エポキシ系可塑剤[アルキルエポキシステアレート、ジイソデシルエポキシテトラヒドロフタレート、エポキシ化大豆油など]などが挙げられる。これらの可塑剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
可塑剤の割合は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、例えば、1〜150重量部程度の範囲から選択でき、軟質塩化ビニル系樹脂を調製する場合、30〜120重量部、好ましくは40〜100重量部、さらに好ましくは50〜90重量部程度であってもよい。
塩化ビニル系樹脂成形体は、慣用の添加剤、例えば、着色剤(染料、顔料など)、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、耐光安定剤など)、レベリング剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、粘度調整剤、帯電防止剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、滑剤、充填剤、ゲル化剤、防腐剤、界面活性剤、水溶性高分子、カップリング剤、ワックスなどが挙げられる。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
[コート層]
本発明の複合成形体の表面は、コート層で被覆されている。コート層は、熱可塑性エラストマー、微粒子及びビニル系化合物を含む重合性組成物の硬化物で形成されている。本発明では、コート層がこのような硬化物で形成されていることにより、塩化ビニル系樹脂成形体の指に対する柔軟性及びソフトタッチ感などの触感を向上できる。
(A)熱可塑性エラストマー
本発明では、ディスプレイの表面に引っ掛かりがなく、優れた触感を付与するとともに、ビニル系化合物と組み合わせて微粒子を保持して成膜するために、熱可塑性エラストマーが用いられる。熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーなどであってもよいが、接着性や可撓性などの点から、熱可塑性ポリウレタンエラストマーが好ましい。熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、ポリイソシアネート類と、ポリオール類と、必要に応じて鎖伸長剤(又は鎖延長剤)との反応により得ることができる。
ポリイソシアネート類としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、ポリイソシアネートの誘導体などが例示できる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどのC2−16アルカンジイソシアネートなどが挙げられる。脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、水添キシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどが挙げられる。ポリイソシアネートの誘導体としては、例えば、ダイマーやトリマーなどの多量体、ビウレット、アロファネート、カルボジイミド、ウレットジオンなどが挙げられる。これらのポリイソシアネートは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのポリイソシアネートのうち、耐熱性や耐久性などの点から、無黄変タイプのジイソシアネート又はその誘導体、例えば、HDIなどの脂肪族ジイソシアネート、IPDI、水添XDIなどの脂環族ジイソシアネートなどの無黄変性ジイソシアネート又はその誘導体、特に、脂肪族ジイソシアネートのトリマー(三量体、イソシアヌレート環を有するトリマーなど)が好ましい。これらポリイソシアネートは、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
前記ポリオール類としては、通常、ポリマーポリオール類が使用される。前記ポリマーポリオール類には、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどのポリマーポリオールなどが含まれる。
前記ポリエステルポリオールは、例えば、ポリカルボン酸(又はその無水物)とポリオールとの反応生成物、開始剤に対してラクトン類を開環付加重合させた反応生成物であってもよい。
ポリカルボン酸としては、ジカルボン酸類[例えば、芳香族ジカルボン酸又はその無水物(テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸など)、脂環族ジカルボン酸又はその無水物(テトラヒドロ無水フタル酸、無水ヘット酸など)、脂肪族ジカルボン酸又はその無水物((無水)コハク酸、アジピン酸、セバシン酸などのC4−20アルカンジカルボン酸など)など]、又はこれらのカルボン酸類のアルキルエステルなどが例示できる。これらのポリカルボン酸のうち、脂肪族ジカルボン酸又はその無水物(アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのC6−20アルカンジカルボン酸など)が好ましい。これらのポリカルボン酸は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ポリオールとしては、例えば、脂肪族ジオール[アルカンジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオールなどのC2−22アルカンジオール)など]、脂環族ジオール(1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのシクロアルカンジオール類、水添ビスフェノールAなどの水添ビスフェノール類、又はこれらのC2−4アルキレンオキサイド付加体など)、芳香族ジオール(キシリレングリコールなどの芳香脂肪族ジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFなどのビスフェノール類、又はこれらのC2−4アルキレンオキサイド付加体など)などのジオール類などが挙げられる。これらのポリオールは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのポリオールのうち、安定性などの点から、脂肪族ジオール、脂環族ジオールが好ましい。
ラクトン類としては、例えば、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン、エナントラクトンなどのC3−10ラクトンなどが挙げられる。これらのラクトン類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのラクトン類のうち、バレロラクトンやカプロラクトンなどのC4−8ラクトンが好ましい。
ラクトン類に対する開始剤としては、例えば、水、オキシラン化合物の単独又は共重合体(例えば、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど)、低分子量ポリオール(エチレングリコールなどのアルカンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールAなど)、アミノ基を有する化合物(例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヒドラジン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミンなどのジアミン化合物など)などが挙げられる。これらの開始剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、前記オキシラン化合物の開環重合体又は共重合体[例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのポリ(C2−4アルキレングリコール)]、ビスフェノールA又は水添ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加体などが挙げられる。これらのポリエーテルポリオールは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
前記ポリエーテルエステルポリオールとしては、例えば、前記ジカルボン酸(脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸など)又はこれらのジアルキルエステルと、前記ポリエーテルポリオールとの重合物であるポリエーテルエステルポリオールなどが挙げられる。
前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、グリコール(エチレングリコール、1,4−ブタンジオールなどのアルカンジオール;ジエチレングリコールなどの(ポリ)オキシアルキレングリコール;1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環族ジオール;ビスフェノールAなどのビスフェノール類、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加体などの芳香族ジオールから選択された一種又は二種以上のグリコール)とカーボネート(ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、ジフェニルカーボネートなど)又はホスゲンなどとの重合体などが挙げられる。
これらのポリマーポリオールのうち、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールが汎用され、耐久性に優れ、柔軟性を有する点から、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールが特に好ましい。
鎖伸長剤としては、前記ポリエステルポリオールの原料である短鎖ジオール(前記脂肪族ジオール、前記脂環族ジオールなど)、アルカノールアミン類(ジエタノールアミンなど)、ジアミン類[脂肪族ジアミン類(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのC2−8アルカンジアミンなど)、脂環族ジアミン類(例えば、1,4−シクロヘキシレンジアミン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン、イソホロンジアミン、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ノルボルナンジアミンなど)、芳香族ジアミン類(例えば、フェニレンジアミンなど)、芳香脂肪族ジアミン類(例えば、m−キシリレンジアミンなど)など]などが挙げられる。これらの鎖伸長剤のうち、ジオール類(エチレングリコール、1,4−ブタンジオールなどのアルカンジオールなど)、ジアミン類(テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが汎用される。これらの鎖伸長剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ポリオール類及び鎖伸長剤も、安定性などの点から、非芳香族化合物(例えば、脂肪族又は脂環族化合物など)であるのが好ましい。
前記成分を用いて得られるポリウレタンエラストマーのうち、ポリウレタンエラストマーは、通常、短鎖ジオール類とジイソシアネート類とのポリウレタンを含むハードセグメント(ハードブロック)と、ポリマージオール(ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオールなど)とジイソシアネート類とのポリウレタンを含むソフトセグメント(ソフトブロック)とで構成されている。ポリウレタンエラストマーは、通常、ソフトセグメントを構成するポリマージオールの種類に応じて、ポリエステル型ポリウレタンエラストマー、ポリエーテル型ポリウレタンエラストマー、ポリカーボネート型ポリウレタンエラストマーなどに分類される。
これらの熱可塑性ポリウレタンエラストマーのうち、前述のように、ポリエステル型ポリウレタンエラストマー、ポリエーテル型ポリウレタンエラストマー、ポリカーボネート型ポリウレタンエラストマーが汎用され、柔軟性や安定性などの点から、ポリエステル型ポリウレタンエラストマーやポリエーテル型ポリウレタン系エラストマー(特に、無黄変性ジイソシアネートを用いたポリエステル型ポリウレタン系エラストマー)が好ましい。
熱可塑性ポリウレタンエラストマーはシリコーン成分で変性されていてもよい。シリコーン成分は、エラストマー中に含有されていてもよく、共重合体として組み込まれていてもよい。シリコーン成分は、通常、オルガノシロキサン単位[−Si(−R)−O−](基Rは置換基を示す)で形成されており、基Rの置換基としては、アルキル基(メチル基など)、アリール基(フェニル基など)、シクロアルキル基などが挙げられる。シリコーン成分の割合は、シリコーン変性ポリウレタンエラストマー全体に対して60重量%以下程度であり、例えば、0.1〜50重量%、好ましくは1〜40重量%、さらに好ましくは2〜30重量%(特に3〜20重量%)程度である。
熱可塑性ポリウレタンエラストマーの数平均分子量は、例えば、10,000〜500,000、好ましくは20,000〜300,000、さらに好ましくは30,000〜100,000程度であってもよい。
(B)微粒子
微粒子の形状としては、球状、楕円体状、多角体形(多角錘状、正方体状、直方体状など)、板状、棒状、不定形状などが挙げられる。これらの形状のうち、指の引っ掛かりがなく、滑り性に優れ、ソフトタッチ感などの触感に優れる点から、鋭角部を有さない形状、例えば、球状又は楕円体状が好ましく、真球状又は略真球状が特に好ましい。
微粒子の平均粒径は、例えば、1〜100μm(特に3〜10μm)程度の範囲から選択できるが、ざらつきや引っ掛かりを抑制できる点から、例えば、1〜8μm、好ましくは2〜7μm、さらに好ましくは3〜6.5μm(特に4〜6μm)程度であってもよい。平均粒径が大きすぎると、強度などの機械的特性が低下し、引っ掛かりが大きくなるとともに、小さすぎると、触感を向上できない。平均粒径は、レーザー回折を用いた方法で測定できる。
微粒子は、前記平均粒径を有し、コート層の表面で適度な凹凸形状を形成できればよく、材質は特に限定されず、無機粒子であってもよく、有機粒子であってもよい。
無機粒子としては、例えば、金属単体、金属酸化物、金属硫酸塩、金属珪酸塩、金属リン酸塩、金属炭酸塩、金属水酸化物、ケイ素化合物、フッ素化合物、天然鉱物などが挙げられる。無機粒子は、カップリング剤(チタンカップリング剤、シランカップリング剤)により表面処理されていてもよい。これらの無機粒子は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの無機粒子のうち、酸化チタンなどの金属酸化物粒子、酸化ケイ素などのケイ素化合物粒子、フッ化マグネシウムなどのフッ素化合物粒子などが好ましく、透明性が要求される場合、シリカ粒子が特に好ましい。
有機粒子としては、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂などの熱可塑性樹脂、架橋ポリオレフィン系樹脂、架橋(メタ)アクリル系樹脂、架橋ポリスチレン系樹脂、架橋ポリウレタン系樹脂などの架橋熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で形成された粒子が挙げられる。これらの有機粒子は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの有機粒子のうち、ポリアミド系粒子、架橋ポリ(メタ)アクリル酸エステル系粒子、架橋ポリウレタン系粒子などが汎用される。
これらのうち、触感を向上できる点から、有機粒子が好ましい。有機粒子は、用途に応じて前記有機粒子の中から選択して使用できる。
指の引っ掛かりを抑制できる点から、有機粒子は、ポリアミド系粒子、架橋ポリ(メタ)アクリル酸エステル系粒子であってもよい。
ポリアミド系粒子を構成するポリアミドとしては、例えば、ポリアミド46、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12などの脂肪族ポリアミド、ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸など)とジアミン(例えば、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン)とから得られるポリアミドなどが挙げられる。これらのポリアミドは、ホモポリアミドに限定されず、コポリアミドであってもよい。
架橋ポリ(メタ)アクリル酸エステル系粒子を構成するポリ(メタ)アクリル酸エステルとしては、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキル(特にC2−6アルキル)を主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%程度)とするポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂などが挙げられる。架橋剤としては、慣用の架橋剤を利用でき、例えば、2以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物(エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(ポリ)C2−10アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなど)などが利用できる。架橋剤の割合は、全単量体のうち0.1〜10モル%(特に1〜10モル%)程度であってもよい。架橋ポリアクリル酸エステル粒子を用いて、柔軟性を向上してもよい。
ソフトタッチ感などの触感が要求される場合、有機粒子は架橋ポリウレタン系粒子であってもよい。
ポリウレタンとしては、前記熱可塑性ポリウレタンエラストマーで例示されたポリエステルとポリイソシアネートとから得られるポリウレタンが使用できる。ポリウレタンとしては、熱可塑性ポリウレタンエラストマーと同様に、安定性の点から、無黄変性ジイソシアネート(脂肪族又は脂環族ジイソシアネート)を用いたポリエステル型ポリウレタン又はポリエーテル型ポリウレタンが好ましい。
架橋剤としては、前記熱可塑性ポリウレタンエラストマーの項で例示された鎖伸長剤の他、トリイソシアネート類(例えば、ジイソシアネートの三量体、リジンエステルトリイソシアネート、トリメチルイソシアナトシクロヘキサン、トリイソシアナトメチルベンゼン、トリフェニルメタントリイソシアネートなど)、トリオール類(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリエタノールアミンなど)、テトラオール類(ペンタエリスリトール、ソルビタン又はこれらの誘導体など)などが挙げられる。これらの架橋剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
有機粒子(特に架橋ポリウレタン系粒子)は、適度な柔軟性を有していてもよく、JIS K7215に準拠した硬度(JIS−A)が50以上であり、好ましくは50〜100、さらに好ましくは60〜90(例えば、70〜80)程度である。さらに、10%圧縮強度が、例えば、1MPa以下であり、好ましくは0.35MPa以下(例えば、0.01〜0.35MPa)、さらに好ましくは0.15MPa以下(例えば、0.01〜0.15MPa)である。硬度及び圧縮強度が小さすぎると、引っ掛かりが発生し、大きすぎると、ソフトタッチ感が低下する。
有機粒子(特に架橋ポリウレタン系粒子)は、適度な変形回復性を有していてもよく、1.96mNの荷重をかけた後の回復する割合を示す変形回復率が、例えば、50%以上であり、好ましくは80%以上(例えば、80〜100%)、さらに好ましくは90%以上(例えば、90〜99%)である。
なお、本願発明において、10%圧縮強度及び変形回復率は、微小圧縮試験機((株)島津製作所製「MCT−W500」)を用いて測定できる。
微粒子の割合は、熱可塑性エラストマー及びビニル系化合物の合計100重量部に対して、例えば、0.1〜200重量部(例えば、0.5〜150重量部)程度の範囲から用途やビニル化合物の種類に応じて選択できる。微粒子の割合が少なすぎると、引っ掛かりが発生し、触感を向上する効果が低く、多すぎると、機械的特性が低下する。
特に、微粒子(特に、ポリアミド系粒子や架橋(メタ)アクリル酸エステル系粒子)の割合は、指の引っ掛かりを抑制できる点から、熱可塑性エラストマー及びビニル系化合物の合計100重量部に対して、例えば、1〜10重量部、好ましくは2〜8重量部、さらに好ましくは3〜7重量部(特に4〜6重量部)程度であってもよい。
塩化ビニル系樹脂の色や模様を反映させるために、高い透明性が要求される場合、、微粒子の割合は、熱可塑性エラストマー及びビニル系化合物の合計100重量部に対して、例えば、0.3〜3重量部、好ましくは0.5〜2重量部、さらに好ましくは0.8〜1.5重量部程度であってもよい。
高度な透明性が要求されない用途では、微粒子(特に架橋ポリウレタン系粒子)の割合は、熱可塑性エラストマー及びビニル系化合物の合計100重量部に対して、例えば、50〜150重量部、好ましくは70〜140重量部、さらに好ましくは80〜130重量部(特に100〜120重量部)程度であってもよい。
(C)ビニル系化合物
ビニル系化合物は、成膜性及び膜強度を向上させるために配合される。ビニル系化合物としては、分子内に2以上(例えば、2〜8程度)の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートが汎用され、例えば、2〜8官能(メタ)アクリレート、2官能以上のオリゴマー又は樹脂などが含まれる。
2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレートなどのアルカンジオールジ(メタ)アクリレート;グリセリンジ(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ビスフェノール類のC2−4アルキレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレート;アダマンタンジ(メタ)アクリレートなどの橋架け環式ジ(メタ)アクリレートなどが例示できる。
3官能以上(3〜8官能程度)の(メタ)アクリレートとしては、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物、例えば、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート;ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。さらに、これらの多官能(メタ)アクリレートにおいて、多価アルコールは、アルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシドなどのC2−4アルキレンオキシド)の付加体であってもよい。これらの多官能(メタ)アクリレートは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
2官能以上のオリゴマー又は樹脂としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ビニル系化合物は、用途に応じて選択でき、例えば、引っ掛かりを抑制し、滑り性を重視する場合には、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートやジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの3官能以上(特に4〜8官能)の(メタ)アクリレートを含むのが好ましい。
一方、ソフトタッチ感などの触感を付与するために、ビニル系化合物として、ウレタン(メタ)アクリレートを用いるのが好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリイソシアネート類(又はポリイソシアネート類とポリオール類との反応により生成し、遊離のイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー)に活性水素原子を有する(メタ)アクリレート(例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなど)を反応させて得られたウレタン(メタ)アクリレートであってもよい。
ポリイソシアネート類及びポリオール類としては、前記熱可塑性ポリウレタンエラストマーの項で例示されたポリイソシアネート類及びポリオール類などが挙げられる。
ポリウレタンプレポリマーとしては、例えば、前記ポリイソシアネート類の多量体、前記ポリイソシアネート類のビウレット変性多量体、前記ポリイソシアネート類と前記ポリオール類とのアダクト体、前記ポリオール類に対して過剰量の前記ポリイソシアネート類を反応させて得られたポリウレタンプレポリマーなどが挙げられる。これらのプレポリマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
好ましいポリウレタンプレポリマーは、例えば、前記ポリイソシアネート類の多量体(三量体、五量体、七量体など)、前記ポリイソシアネート類のビウレット多量体(ビウレット変性体)、前記ポリイソシアネート類とポリオール類(グリセリン、トリメチロールプロパンなどのトリオール類)とのアダクト体、前記ジイソシアネートとポリエステルポリオールとのポリウレタンプレポリマー、前記ジイソシアネートとポリエーテルポリオールとのポリウレタンプレポリマー、特に、前記ジイソシアネートとポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールとのポリウレタンプレポリマーなどが好ましい。
活性水素原子を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシC2−6アルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルコキシC2−6アルキル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートの1分子中における(メタ)アクリロイル基の数は、2個以上であればよく、機械的強度などの点から、例えば、2〜8個、好ましくは2〜6個、さらに好ましくは2〜4個(特に3〜4個)程度である。
特に、ウレタン(メタ)アクリレートは、耐候性などの安定性及び柔軟性に優れる点から、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、例えば、脂肪族ジイソシアネートを用いたポリエステル型ウレタン(メタ)アクリレートであってもよい。
ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリイソシアネート類と活性水素原子を有する(メタ)アクリレートとを、通常、イソシアネート基と活性水素原子が略当量となる割合(イソシアネート基/活性水素原子=0.8/1〜1.2/1程度)で組み合わせて製造される。なお、これらのウレタン(メタ)アクリレートの製造方法について、特開2008−74891号公報などを参照できる。3官能以上の多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどのポリオール類を利用して得られたウレタン(メタ)アクリレートであってもよい。
ウレタン(メタ)アクリレートは、ソフトタッチ感を調整する目的で、ケイ素を含有していてもよい。特に、ウレタン(メタ)アクリレートとして、シリコーン単位を含有するウレタン(メタ)アクリレートを含んでいてもよい。
ビニル系化合物の重量平均分子量は、特に限定されないが、触感を向上させる点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)において、ポリスチレン換算で、500以上であってもよく、例えば、500〜10000、好ましくは600〜9000、さらに好ましくは700〜8000(特に1000〜5000)程度であってもよい。分子量が小さすぎると、触感が低下し、分子量が大きすぎると、成膜性や取り扱い性が低下する。
ビニル系化合物と熱可塑性エラストマーとの割合(重量比)は、前者/後者=1/99〜70/30程度であり、好ましくは10/90〜50/50、さらに好ましくは20/80〜45/55(特に30/70〜40/60)程度である。熱可塑性エラストマーの割合が少なすぎると、ソフトタッチ感が低下し、多すぎると、ソフトタッチ感はあっても、引っ掛かりが大きく、タック性が発現する。
(D)他の添加剤
重合性組成物は、重合開始剤を含んでいてもよい。重合開始剤は、熱重合開始剤(ベンゾイルパーオキサイドなどの過酸化物などの熱ラジカル発生剤)であってもよく、光重合開始剤(光ラジカル発生剤)であってもよい。好ましい重合開始剤は、光重合開始剤である。光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類又はプロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、アシルホスフィンオキシド類などが例示できる。光重合開始剤には、慣用の光増感剤や光重合促進剤(例えば、第三級アミン類など)が含まれていてもよい。光重合開始剤の割合は、ビニル系化合物100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは1〜8重量部(特に1〜5重量部)程度であってもよい。
重合性組成物は、必要に応じて、さらに慣用の添加剤、例えば、他の粒子、他の熱可塑性ポリマー、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤など)、難燃剤、難燃助剤、充填剤、可塑剤、耐衝撃改良剤、補強剤、分散剤、帯電防止剤、抗菌剤などを含んでいてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
重合性組成物は、塗工性などの点から、さらに溶媒を含んでいるのが好ましい。溶媒は、前記熱可塑性エラストマー及びビニル系化合物の種類及び溶解性に応じて選択でき、少なくとも固形分を均一に溶解できる溶媒であればよい。そのような溶媒としては、例えば、ケトン類、エーテル類、炭化水素類、エステル類、水、アルコール類、セロソルブ類、スルホキシド類、アミド類などが例示できる。これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用でき、混合溶媒であってもよい。これらの溶媒のうち、イソプロパノールなどのアルコール類、トルエンなどの芳香族炭化水素類などが汎用される。
重合性組成物は、熱硬化性組成物であってもよいが、短時間で硬化できる光硬化性化合物、例えば、紫外線硬化性化合物、EB硬化性化合物であってもよい。特に、実用的に有利な組成物は、紫外線硬化性樹脂である。
(E)コート層の特性
コート層は、微粒子により、適度な凹凸構造が形成されており、表面において、高さ0.75μm以上の凸部の個数が1〜100個/mm程度であってもよく、例えば、3〜50個/mm、好ましくは5〜45個/mm、さらに好ましくは10〜42個/mm程度であってもよい。高さ0.75μm以上の凸部の個数が少なすぎると、滑らずに引っ掛かり易くなり、多すぎると、かさつき感やざらつき感が発生し易い。
また、コート層は、面において、高さ0.3μm以上の凸部の個数が10〜300個/mm程度であってもよく、例えば、50〜250個/mm、好ましくは80〜245個/mm、さらに好ましくは100〜240個/mm程度であってもよい。高さ0.3μm以上の凸部の個数が少なすぎると、滑らずに引っ掛かり易くなり、多すぎると、かさつき感やざらつき感が発生し易く、透明性も低下する。
コート層の三次元粗さは、例えば、0.01〜0.3μm、好ましくは0.02〜0.25μm、さらに好ましくは0.03〜0.2μm(特に0.04〜0.15μm)程度であってもよい。三次元粗さが小さすぎると、引っ掛かり感が発生しやすく、大きすぎると、かさつき感やざらつき感が発生し易く、透明性も低下し易い。
コート層は、前記凹凸構造により、荷重50gf、20mm/秒の速度で、室温(例えば、20〜30℃)下、人工皮膚で形成された接触子を移動させたときの動摩擦係数(μk)が0.1〜5程度であり、好ましくは0.2〜3、さらに好ましくは0.3〜2.5(特に0.5〜2)程度である。動摩擦係数は、所望の触感に応じて前記範囲から選択でき、例えば、ソフトタッチ感を向上させる場合は、動摩擦係数を増加させればよい。動摩擦係数が小さすぎると、ソフトタッチ感が得られず、大きすぎると、指の引っ掛かりが起こる。なお、動摩擦係数の測定方法としては、詳細には、後述する実施例の方法を利用できる。
コート層の鉛筆硬度(荷重750gf)は、例えば、B以上であり、好ましくはHB以上、さらに好ましくはF〜4H(特にF〜2H)程度である。コート層の硬度が高すぎると、触感が低下し、低すぎると、引っ掛かり感が発生する。
コート層は、その表面において、微粒子が突出していない領域における微小硬度が、例えば、50〜300N/mm、好ましくは60〜250N/mm、さらに好ましくは80〜200N/mm(特に100〜150N/mm)程度であってもよい。微小硬度が小さすぎると、引っ掛かり易く、大きすぎると、ソフトタッチ感などの触り心地が低下する。
コート層の厚みは、例えば、1〜100μm、好ましくは3〜75μm、さらに好ましくは5〜50μm(特に10〜30μm)程度である。
[複合成形体の製造方法]
本発明の複合成形体は、塩化ビニル系樹脂成形体の表面に重合性組成物を塗布した後、硬化することにより得ることができる。
重合性組成物の塗布方法としては、慣用の方法、例えば、ロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、リバースコーター、バーコーター、コンマコーター、ディップ・スクイズコーター、ダイコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、シルクスクリーンコーター法、ディップ法、スプレー法、スピナー法などが挙げられる。これらの方法のうち、バーコーター法やグラビアコーター法などが汎用される。なお、必要であれば、重合性組成物は複数回に亘り塗布してもよい。
重合性組成物が有機溶媒を含有する場合など、塗布後は、必要に応じて乾燥を行ってもよい。乾燥は、例えば、40〜150℃、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜100℃程度の温度で行ってもよい。
硬化工程において、重合性組成物は、重合開始剤の種類に応じて加熱して硬化させてもよいが、通常、活性エネルギー線を照射することにより硬化できる。活性エネルギー線としては、例えば、放射線(ガンマー線、X線など)、紫外線、可視光線、電子線(EB)などが利用でき、通常、紫外線、電子線である場合が多い。
光源としては、例えば、紫外線の場合は、Deep UV ランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、レーザー光源(ヘリウム−カドミウムレーザー、エキシマレーザーなどの光源)などを用いることができる。照射光量(照射エネルギー)は、塗膜の厚みにより異なるが、例えば、50〜10000mJ/cm、好ましくは70〜7000mJ/cm、さらに好ましくは100〜5000mJ/cm程度であってもよい。
電子線の場合は、電子線照射装置などの露光源によって、電子線を照射する方法が利用できる。照射量(線量)は、塗膜の厚みにより異なるが、例えば、1〜200kGy(グレイ)、好ましくは5〜150kGy、さらに好ましくは10〜100kGy(特に20〜80kGy)程度である。加速電圧は、例えば、10〜1000kV、好ましくは50〜500kV、さらに好ましくは100〜300kV程度である。
なお、活性エネルギー線の照射は、必要であれば、不活性ガス(例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなど)雰囲気中で行ってもよい。
塩化ビニル系樹脂成形体に対するコート層の密着性を向上させるために、コート層を表面処理に供してもよい。表面処理としては、慣用の表面処理、例えば、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾンや紫外線照射処理などが挙げられる。塩化ビニル系樹脂成形体は、表面が易接着処理されていてもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。実施例及び比較例で得られた積層フィルム(複合成形体)を以下の項目で評価した。
[触感]
触感は、5名による官能評価により行った。評価方法は、得られた積層フィルムのコート層を指で軽く押した後、左右に擦ったときの総合的な触感、引っ掛かり感の有無、ざらつき感の有無を評価した。総合的な触感の基準は以下の通りである。
(総合的な触感の基準)
シットリ…指を動かしたとき、抵抗を感じ、「しっとり」した触感である
サラサラ…指を動かしたとき、抵抗を少し感じ、「さらさら」した触感であり、心地良く感じる
ツルツル…指を動かしたとき、抵抗をあまり感じず、「つるつる」した触感である。
[人工皮膚の摩擦係数]
サンプルを黒色アクリル板(住友化学(株)製「スミペックス」)にOCAテープ(リンテック(株)製「NCF−102」)を用いて貼り付け、静・動摩擦測定器(トリニティーラボ社製「ハンディートライボマスターTL201Ts」)を用いて、荷重50g、速度20mm/秒の測定条件で摩擦力を測定した。さらに、接触子には、5m厚のスポンジシート(セメダイン社製「すきま用テープN−1」)に人工皮膚(ビューラックス社製「バイオスキン」)を貼り付けた接触子を使用した。得られた摩擦力から、静摩擦係数μs、平均摩擦係数μk、標準偏差を算出した。
[表面粗さSa及び凸粒子個数]
(株)菱化システム製「VertScan2.0」を用いて、サンプルの表面形状を測定し、表面粗さを算出した。さらに、観察画像より、高さ0.75μm以上及び0.3μm以上の粒子解析を行い、個数、平均面積を求め、1mm当たりの個数を算出した。なお、対物レンズは、5倍のレンズを用いて、視野2507μm×1881μmの観察を行った。
[コート層の配合成分]
ウレタンエラストマー:シリコーン変性ポリウレタンエラストマー、大日精化工業(株)製「ダイアロマーSP−3035」
ポリウレタン粒子:大日精化工業(株)製「ダイミックビーズUCN−8070CM」、平均粒径7μm、ショアA硬度74
アクリル粒子(5μm):東洋紡績(株)製「FH−S005」、平均粒径5μm
アクリル粒子(10μm):東洋紡績(株)製「FH−S010」、平均粒径10μm
アクリル粒子(15μm):東洋紡績(株)製「FH−S015」、平均粒径15μm
ナイロン粒子:ダイセルエボニック(株)製「MSP−100」、平均粒径5μm
シリカ粒子:エボニックデグサジャパン(株)製「EXP3600」、平均粒径5μm
ウレタンアクリレート:3官能ウレタンアクリレート、ダイセル・サイテック(株)製「KRM8264」
6官能アクリレート:6官能アクリル系UV硬化モノマー、ダイセル・サイテック(株)製「DPHA」
シリコーンアクリレート:シリコーンヘキサアクリレート、ダイセル・サイテック(株)製「EBECRYL1360」
アクリル組成物:アクリル系重合性組成物、サンノプコ(株)製「ノプコキュアSHC−017R」
開始剤1:光重合開始剤、チバ・ジャパン(株)製「イルガキュア(Irgacure)184」
開始剤2:光重合開始剤、チバ・ジャパン(株)製「イルガキュア(Irgacure)907」。
実施例1〜7及び比較例1〜2
表1に示す樹脂成分、樹脂粒子及び開始剤を、トルエン及びイソプロパノールの混合溶媒に溶解した。この溶液を用いて、ポリ塩化ビニルフィルム(アキレス(株)製「汎用性PVCフィルム 厚物透明非転写フィルム」、厚み400μm)上にワイヤーバー#38を用いて流延し、60℃のオーブン内で1分間放置後、コートフィルムを紫外線照射装置(ウシオ電機(株)製、高圧水銀ランプ、紫外線照射量:800mJ/cm)に通して、紫外線硬化処理を行い、塗工膜を硬化させてコート層を形成した。得られた積層フィルムの触感、摩擦係数、表面粗さ及び凸粒子個数を測定した結果を表1に示す。なお、比較例1については、コート層を形成しなかった。
Figure 2014084346
表1の結果から明らかなように、実施例の積層フィルムは、各種特性に優れており、特に、実施例2、3、6及び7は、引っ掛かりがなく、触感が優れる上に、他の特性とのバランスも優れている。
実施例8〜10及び比較例3〜7
表2に示す樹脂成分、樹脂粒子及び開始剤を、トルエン及びイソプロパノールの混合溶媒に溶解した。この溶液を用いて、ポリ塩化ビニルフィルム(アキレス(株)製「汎用性PVCフィルム 厚物透明非転写フィルム」、厚み400μm)上にワイヤーバー#38を用いて流延し、60℃のオーブン内で1分間放置後、コートフィルムを紫外線照射装置(ウシオ電機(株)製、高圧水銀ランプ、紫外線照射量:800mJ/cm)に通して、紫外線硬化処理を行い、塗工膜を硬化させてコート層を形成した。得られた積層フィルムの触感、摩擦係数、表面粗さ及び凸粒子個数を測定した結果を表2に示す。
Figure 2014084346
表2の結果から明らかなように、実施例の積層フィルムが各種特性に優れているのに対して、比較例の積層フィルムは、触感が十分でない。
本発明の複合成形体は、シート、レザー、ペースト、電線、軟・硬質管、硬質板、塗料、接着剤などの各種用途に利用でき、特に、滑り性と柔軟性とを両立できる点から、軟質塩化ビニル樹脂成形体として、衣類や雑貨、文房具、家具などにおける合成皮革(人造又は人工皮革)や塩ビレザー、例えば、本や手帳のカバー、財布やカード入れなどの合成皮革として有用である。

Claims (15)

  1. 塩化ビニル系樹脂で形成された成形体と、この成形体の表面を被覆するコート層とを含む複合成形体であって、前記コート層が、熱可塑性エラストマー、平均粒径1〜100μmの微粒子及びビニル系化合物を含む重合性組成物の硬化物で形成されている複合成形体。
  2. 熱可塑性エラストマーが、熱可塑性ポリウレタンエラストマーである請求項1記載の複合成形体。
  3. コート層の表面において、高さ0.75μm以上の凸部の個数が3〜50個/mmである請求項1又は2記載の複合成形体。
  4. コート層の表面において、高さ0.3μm以上の凸部の個数が50〜250個/mmである請求項1〜3のいずれかに記載の複合成形体。
  5. 微粒子が、平均粒径が1〜8μmの略真球状粒子である請求項1〜4のいずれかに記載の複合成形体。
  6. 微粒子が有機粒子である請求項1〜5のいずれかに記載の複合成形体。
  7. ビニル系化合物が、多官能(メタ)アクリレート及び/又はウレタン(メタ)アクリレートである請求項1〜6のいずれかに記載の複合成形体。
  8. ビニル系化合物が4〜8官能(メタ)アクリレートであり、かつコート層の表面において、微粒子が突出していない領域における微小硬度が50〜300N/mmである請求項1〜7のいずれかに記載の複合成形体。
  9. 微粒子が、1MPa以下の10%圧縮強度及び50%以上の変形回復率を有する架橋ポリウレタン粒子であり、かつビニル系化合物が、重量平均分子量500以上の脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートである請求項1〜8のいずれかに記載の複合成形体。
  10. ビニル系化合物と熱可塑性エラストマーとの割合(重量比)が、前者/後者=1/90〜70/30である請求項1〜9のいずれかに記載の複合成形体。
  11. 微粒子の割合が、熱可塑性エラストマー及びビニル系化合物の合計100重量部に対して0.5〜150重量部である請求項1〜10のいずれかに記載の複合成形体。
  12. 塩化ビニル系樹脂が軟質塩化ビニル系樹脂である請求項1〜11のいずれかに記載の複合成形体。
  13. シート状又はフィルム状である請求項1〜12のいずれかに記載の複合成形体。
  14. 合成皮革又は人造皮革である請求項1〜13のいずれかに記載の複合成形体。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載の複合成形体を用いて、塩化ビニル系樹脂で形成された成形体表面の触感を改質する方法。
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