JP2012219221A - 樹脂成形体の化粧料及び化粧フィルム並びに樹脂成形体及び表面改質方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】指の引っ掛かりがなく、かつしっとりしたソフトタッチ感(スウェード調)を樹脂成形体に簡便に付与できる化粧料を提供する。
【解決手段】熱可塑性ポリウレタンエラストマー、ポリウレタン粒子及びウレタン(メタ)アクリレートを含む化粧料を調製する。前記ポリウレタン粒子は、架橋ポリウレタンで形成され、1MPa以下の10%圧縮強度及び50%以上の変形回復率を有していてもよい。前記ウレタン(メタ)アクリレートと前記熱可塑性ポリウレタンエラストマーとの割合(重量比)が、前者/後者=1/90〜70/30であってもよい。この化粧料は、基材の上に塗布した後に硬化して化粧フィルムとしてもよい。この化粧フィルムは、樹脂成形体の表面を改質するために用いられる。
【選択図】なし
【解決手段】熱可塑性ポリウレタンエラストマー、ポリウレタン粒子及びウレタン(メタ)アクリレートを含む化粧料を調製する。前記ポリウレタン粒子は、架橋ポリウレタンで形成され、1MPa以下の10%圧縮強度及び50%以上の変形回復率を有していてもよい。前記ウレタン(メタ)アクリレートと前記熱可塑性ポリウレタンエラストマーとの割合(重量比)が、前者/後者=1/90〜70/30であってもよい。この化粧料は、基材の上に塗布した後に硬化して化粧フィルムとしてもよい。この化粧フィルムは、樹脂成形体の表面を改質するために用いられる。
【選択図】なし
Description
本発明は、樹脂成形体表面の触感を改質するための化粧料(又は表面改質剤)及びこの化粧料で形成された化粧フィルム、並びにこれらの化粧料又は化粧フィルムを用いて表面が改質された樹脂成形体及び表面改質方法に関する。
一般的に、自動車内装部品、電化製品筐体、建材などにおける樹脂成形体は、溶融樹脂を射出成形して製造されている。これらの射出成形体の表面は、射出成形された樹脂により、その素材固有の触感を有しており、例えば、素材である樹脂の種類により、ざらつき感を生じる。そのため、従来から、樹脂成形体の表面の触感を改良する試みが行われている。
樹脂成形体表面の触感を改質する方法としては、射出成形で用いる金型の内側に、彫刻やエッチングにより予め凹凸形状を形成し、シボ加工やエンボス加工する方法が知られている。しかし、この方法では、金型に微細な加工を施す必要があり、微細な凹凸形状の形成には限界があった。例えば、この方法で形成された細かな凹凸形状は鋭角で鋭い形状を有し、表面にベルベット調やスウェード調のような滑らかな風合い(ソフトタッチ感)を付与するのは困難である。さらに、シボ加工やエンボス加工では予め表面修飾した金型を製造する必要があり、金型の製造にも高度な技術を要する。このため、少量多品種や製品寿命が短い用途、例えば、携帯電話の筐体などへの適用は困難である。
また、サンドブラスト法などの研磨法により、樹脂成形体の表面に細かい凹凸形状を形成する方法も知られている。しかし、この方法では、均一で滑らかな凹凸形状の形成が困難であり、滑らかな表面の形成には精密な作業が必要であり、生産性が低い。
また、スウェード調塗料を樹脂成形体に塗布する方法も知られている。しかし、塗料の調製には、粘度や濃度を調整する必要があり、その作業が煩雑となる。さらに、有機溶剤を用いた塗料をスプレーするため、作業環境が汚染され、経済性も低い。なお、艶消し状の化粧紙では、基材となる紙に着色や印刷などを施した後、マット材を含む樹脂を塗布し、マット材の分散により艶消しを形成する方法も知られている。しかし、この方法でも、通常、マット材として使用されるシリカは鋭角な形状を含む不定形状であり、このような形状が規則性なく分散し部分的に突起しているので、指触感もざらつき、滑らかではない。さらに、マット材による艶消しはマット材の突起部分が擦られるにつれて光沢が増す。
これに対して、塗料に代わる方法として、予めスウェード調シートなどの化粧(又は加飾)シートを形成し、この化粧シートを射出成形の金型内に載置して溶融樹脂を充填することにより、樹脂成形体の表面を改質(又は加飾)する方法が提案されている。
特開昭62−251111号公報(特許文献1)には、予め下型形状に予備成形されたシートを下型上に載置し、次いで下型上に樹脂を塊状に押出し、樹脂が冷却固化する前に上型と下型とを圧締し、上型と下型間でシートと樹脂とを一体成形した後、開型として成形品を取り出す成形品の化粧方法が開示されている。この文献では、予備成形されたシートは、強化繊維を含む成形体の表面平滑性を目的とし、前記シートとして、成形品の樹脂と同一の樹脂(ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリエチレン、PVC)で形成されたシートが記載されている。
しかし、この予備成形シートは熱可塑性樹脂のみで形成されているため、触ったときの感触が硬く、柔らかい肌触りが要求される用途、例えば、ハウジング、ケース、自動車の内装材などには適さない。
特開平5−31750号公報(特許文献2)には、ウレタン樹脂と、弾性ビーズ又は多孔質の無機材料とを主成分とする樹脂組成物で形成された被覆シートを、エンボスを有する射出成形金型の凹部内面に真空及び/又は圧空成形により貼付する工程、及び型を締めた後、この金型の凹部内に成形樹脂を射出成形する工程を包含する射出成形品の製造方法が開示されている。
しかし、この被覆シートでは、しっとりとしたソフトタッチ感は向上できるものの、機械的特性は低く、ビーズが脱落し易い。さらに、ウレタン樹脂の割合が多いと、ソフトタッチ感は向上できるものの、引っ掛かりが大きくなり、タック性が発現する。特に、ソフトタッチ感とタック性とは表裏一体であり、両立は困難であった。
特開平2−41243号公報(特許文献3)には、成形性が優れた基材フィルム上に、ビーズ顔料を電離放射線硬化性樹脂のビヒクルに添加した艶消し塗料の塗膜を設けたスウェード調成形用シートが提案されている。この文献では、前記成形用シートを射出成形用金型に置いて真空予備成形し、次いでABS樹脂の射出成形を行ってインサート絵付け製品を製造している。この文献には、前記電子線硬化性樹脂としてウレタンアクリレートや多官能アクリレートが記載され、ビーズ顔料としてアクリル樹脂ビーズやウレタンビーズが記載されている。さらに、艶消し塗料には、塗膜の成形性を向上させるために、ウレタンエラストマー、セルロースアセテートプロピオネート、アクリル又は塩ビ−酢ビ共重合体などの熱可塑性樹脂を混合してもよいことが記載され、実施例では、ポリメチルメタクリレートが使用されている。この文献では、熱可塑性樹脂の割合は記載されておらず、実施例では、ウレタンアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートで構成された電子線硬化性樹脂40重量部に対して、20重量部のポリメチルメタクリレートが配合されている。
しかし、シートの塗膜が、主として電子線によって架橋された樹脂で形成されているため、シートの展延性が低く、凹凸や曲面を有する被着体表面にシートを貼付けようとすると、シートが破損し易い。特に、深絞り成形において成形品にソフトタッチ感を簡易に付与することは困難である。さらに、ビーズ含量の割合も少なく、しっとり感が充分でない。
特開平7−52290号公報(特許文献4)には、基材シート上に弾性球状ビーズを含む電子線硬化型樹脂の層を設けた化粧シートが開示されている。この文献には、粒径20〜70μmであり、ウレタン製又はゴム製の弾性球状ビーズを、電子線硬化型樹脂に対して5〜30重量%含有させた化粧シートが記載されている。
しかし、この化粧シートでは、サラサラとした触感を得ることはできても、しっとりとしたソフトタッチな触感は得られなかった。
従って、本発明の目的は、樹脂成形体の表面に、指の引っ掛かりがなく、かつしっとりしたソフトタッチ感(スウェード調)を簡便に付与できる化粧料及び化粧フィルム並びに樹脂成形体及び表面改質方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、複雑な三次元形状の成形体にも、ザラツキがなく、触り心地の良い触感を付与でき、成形体表面の機械的特性も向上できる化粧料及び化粧フィルム並びに樹脂成形体及び表面改質方法を提供することにある。
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、熱可塑性ポリウレタンエラストマーと、ポリウレタン粒子と、ウレタン(メタ)アクリレートとを組み合わせることにより、樹脂成形体の表面に、指の引っ掛かりがなく、かつしっとりしたソフトタッチ感(スウェード調)を簡便に付与できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の化粧料(又はコーティング組成物)は、樹脂成形体表面の触感を改質するための化粧料であって、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、ポリウレタン粒子及びウレタン(メタ)アクリレートを含んでいてもよい。前記ポリウレタン粒子は、1MPa以下の10%圧縮強度及び50%以上の変形回復率を有していてもよい。前記ポリウレタン粒子は、平均粒径が1〜100μmの球状(例えば、略真球状粒子)であってもよい。前記ウレタン(メタ)アクリレートは重量平均分子量500以上の脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートであってもよい。前記ウレタン(メタ)アクリレートと前記熱可塑性ポリウレタンエラストマーとの割合(重量比)は、前者/後者=1/99〜70/30程度であってもよい。前記ポリウレタン粒子の割合は、熱可塑性ポリウレタンエラストマー及びウレタン(メタ)アクリレートの合計100重量部に対して50〜150重量部程度であってもよい。本発明の化粧料は、射出成形により形成される樹脂成形体の触感を改質するための化粧料であってもよい。
本発明には、前記化粧料の硬化物で形成された化粧フィルムも含まれる。この化粧フィルムにおける荷重50gf、1mm/秒の速度でセラミックで形成された滑り子を移動させたときの動摩擦係数は0.3〜0.9であり、動摩擦係数の標準偏差は0.003〜0.02であってもよい。また、本発明には、基材フィルムと、この基材フィルムに積層され、かつ前記化粧料の硬化物で形成された硬化物層との積層体で形成された化粧フィルムも含まれる。
本発明には、前記化粧フィルムを用いて射出成形して得られた樹脂成形体も含まれる。さらに、本発明には、前記化粧フィルムを用いて樹脂成形体表面の触感を改質する方法も含まれる。
本発明では、熱可塑性ポリウレタンエラストマーと、ポリウレタン粒子と、ウレタン(メタ)アクリレートとが組み合わされているため、樹脂成形体の表面に、指の引っ掛かりがなく、かつしっとりしたソフトタッチ感(スウェード調)を簡便に付与できる。さらに、柔軟性と強度とのバランスに優れるため、複雑な三次元形状の成形体にも、ザラツキがなく、触り心地の良い触感を付与でき、成形体表面の機械的特性も向上できる。
[化粧料]
本発明の化粧料(又は化粧剤)は、熱可塑性ポリウレタンエラストマーと、ポリウレタン粒子と、ウレタン(メタ)アクリレートとを含み、前記ウレタン(メタ)アクリレートと前記熱可塑性ポリウレタンエラストマーとを特定の割合で組み合わせることにより、ポリウレタン粒子をウレタン(メタ)アクリレートの硬化により強固に硬化膜に保持できるとともに、熱可塑性ポリウレタンが適度な割合で存在し、柔軟性を向上できるためか、樹脂成形体の表面の改質剤として用いると、触感を向上できる。
本発明の化粧料(又は化粧剤)は、熱可塑性ポリウレタンエラストマーと、ポリウレタン粒子と、ウレタン(メタ)アクリレートとを含み、前記ウレタン(メタ)アクリレートと前記熱可塑性ポリウレタンエラストマーとを特定の割合で組み合わせることにより、ポリウレタン粒子をウレタン(メタ)アクリレートの硬化により強固に硬化膜に保持できるとともに、熱可塑性ポリウレタンが適度な割合で存在し、柔軟性を向上できるためか、樹脂成形体の表面の改質剤として用いると、触感を向上できる。
(熱可塑性ポリウレタンエラストマー)
本発明では、成形体の表面に柔軟性及びしっとり感を付与するとともに、ウレタン(メタ)アクリレートと組み合わせてポリウレタンゴム粒子を保持して成膜するために、熱可塑性ポリウレタンエラストマーが用いられる。熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、ポリイソシアネート類と、ポリオール類と、必要に応じて鎖伸長剤(又は鎖延長剤)との反応により得ることができる。
本発明では、成形体の表面に柔軟性及びしっとり感を付与するとともに、ウレタン(メタ)アクリレートと組み合わせてポリウレタンゴム粒子を保持して成膜するために、熱可塑性ポリウレタンエラストマーが用いられる。熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、ポリイソシアネート類と、ポリオール類と、必要に応じて鎖伸長剤(又は鎖延長剤)との反応により得ることができる。
ポリイソシアネート類としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、ポリイソシアネートの誘導体などが例示できる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどのC2−16アルカンジイソシアネートなどが挙げられる。脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、水添キシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどが挙げられる。ポリイソシアネートの誘導体としては、例えば、ダイマーやトリマーなどの多量体、ビウレット、アロファネート、カルボジイミド、ウレットジオンなどが挙げられる。これらのポリイソシアネートは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのポリイソシアネートのうち、安定性などの点から、無黄変タイプのジイソシアネート又はその誘導体、例えば、HDIなどの脂肪族ジイソシアネート、IPDI、水添XDIなどの脂環族ジイソシアネートなどの無黄変性ジイソシアネート又はその誘導体(イソシアヌレート環を有するトリマーなど)が好ましい。これらポリイソシアネートは、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
前記ポリオール類としては、通常、ポリマーポリオール類が使用される。前記ポリマーポリオール類には、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどのポリマーポリオールなどが含まれる。
前記ポリエステルポリオールは、例えば、ポリカルボン酸(又はその無水物)とポリオールとの反応生成物、開始剤に対してラクトン類を開環付加重合させた反応生成物であってもよい。
ポリカルボン酸としては、ジカルボン酸類[例えば、芳香族ジカルボン酸又はその無水物(テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸など)、脂環族ジカルボン酸又はその無水物(テトラヒドロ無水フタル酸、無水ヘット酸など)、脂肪族ジカルボン酸又はその無水物((無水)コハク酸、アジピン酸、セバシン酸などのC4−20アルカンジカルボン酸など)など]、又はこれらのカルボン酸類のアルキルエステルなどが例示できる。これらのポリカルボン酸のうち、脂肪族ジカルボン酸又はその無水物(アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのC6−20アルカンジカルボン酸など)が好ましい。これらのポリカルボン酸は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ポリオールとしては、例えば、脂肪族ジオール[アルカンジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオールなどのC2−22アルカンジオール)など]、脂環族ジオール(1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのシクロアルカンジオール類、水添ビスフェノールAなどの水添ビスフェノール類、又はこれらのC2−4アルキレンオキサイド付加体など)、芳香族ジオール(キシリレングリコールなどの芳香脂肪族ジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFなどのビスフェノール類、又はこれらのC2−4アルキレンオキサイド付加体など)などのジオール類などが挙げられる。これらのポリオールは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのポリオールのうち、安定性などの点から、脂肪族ジオール、脂環族ジオールが好ましい。
ラクトン類としては、例えば、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン、エナントラクトンなどのC3−10ラクトンなどが挙げられる。これらのラクトン類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのラクトン類のうち、バレロラクトンやカプロラクトンなどのC4−8ラクトンが好ましい。
ラクトン類に対する開始剤としては、例えば、水、オキシラン化合物の単独又は共重合体(例えば、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど)、低分子量ポリオール(エチレングリコールなどのアルカンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールAなど)、アミノ基を有する化合物(例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヒドラジン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミンなどのジアミン化合物など)などが挙げられる。これらの開始剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、前記オキシラン化合物の開環重合体又は共重合体[例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのポリ(C2−4アルキレングリコール)]、ビスフェノールA又は水添ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加体などが挙げられる。これらのポリエーテルポリオールは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
前記ポリエーテルエステルポリオールとしては、例えば、前記ジカルボン酸(脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸など)又はこれらのジアルキルエステルと、前記ポリエーテルポリオールとの重合物であるポリエーテルエステルポリオールなどが挙げられる。
前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、グリコール(エチレングリコール、1,4−ブタンジオールなどのアルカンジオール;ジエチレングリコールなどの(ポリ)オキシアルキレングリコール;1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環族ジオール;ビスフェノールAなどのビスフェノール類、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加体などの芳香族ジオールから選択された一種又は二種以上のグリコール)とカーボネート(ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、ジフェニルカーボネートなど)又はホスゲンなどとの重合体などが挙げられる。
これらのポリマーポリオールのうち、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールが汎用され、耐久性に優れ、柔軟性を有する点から、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールが特に好ましい。
鎖伸長剤としては、前記ポリエステルポリオールの原料である短鎖ジオール(前記脂肪族ジオール、前記脂環族ジオールなど)、アルカノールアミン類(ジエタノールアミンなど)、ジアミン類[脂肪族ジアミン類(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのC2−8アルカンジアミンなど)、脂環族ジアミン類(例えば、1,4−シクロヘキシレンジアミン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン、イソホロンジアミン、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ノルボルナンジアミンなど)、芳香族ジアミン類(例えば、フェニレンジアミンなど)、芳香脂肪族ジアミン類(例えば、m−キシリレンジアミンなど)など]などが挙げられる。これらの鎖伸長剤のうち、ジオール類(エチレングリコール、1,4−ブタンジオールなどのアルカンジオールなど)、ジアミン類(テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが汎用される。これらの鎖伸長剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ポリオール類及び鎖伸長剤も、安定性などの点から、非芳香族化合物(例えば、脂肪族又は脂環族化合物など)であるのが好ましい。
前記成分を用いて得られるポリウレタンエラストマーのうち、ポリウレタンエラストマーは、通常、短鎖ジオール類とジイソシアネート類とのポリウレタンを含むハードセグメント(ハードブロック)と、ポリマージオール(ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオールなど)とジイソシアネート類とのポリウレタンを含むソフトセグメント(ソフトブロック)とで構成されている。ポリウレタンエラストマーは、通常、ソフトセグメントを構成するポリマージオールの種類に応じて、ポリエステル型ポリウレタンエラストマー、ポリエーテル型ポリウレタンエラストマー、ポリカーボネート型ポリウレタンエラストマーなどに分類される。
これらの熱可塑性ポリウレタンエラストマーのうち、前述のように、ポリエステル型ポリウレタンエラストマー、ポリエーテル型ポリウレタンエラストマー、ポリカーボネート型ポリウレタンエラストマーが汎用され、柔軟性や安定性などの点から、ポリエステル型ポリウレタンエラストマーやポリエーテル型ポリウレタン系エラストマー(特に、無黄変性ジイソシアネートを用いたポリエステル型ポリウレタン系エラストマー)が好ましい。
熱可塑性ポリウレタンエラストマーの数平均分子量は、例えば、10,000〜500,000、好ましくは20,000〜300,000、さらに好ましくは30,000〜100,000程度であってもよい。
(ポリウレタン粒子)
ポリウレタン粒子の形状としては、球状、楕円体状、多角体形(多角錘状、正方体状、直方体状など)、板状、棒状、不定形状などが挙げられる。これらの形状のうち、ソフトタッチ感に優れる点から、鋭角部を有さない形状、例えば、球状又は楕円体状が好ましく、真球状又は略真球状が特に好ましい。
ポリウレタン粒子の形状としては、球状、楕円体状、多角体形(多角錘状、正方体状、直方体状など)、板状、棒状、不定形状などが挙げられる。これらの形状のうち、ソフトタッチ感に優れる点から、鋭角部を有さない形状、例えば、球状又は楕円体状が好ましく、真球状又は略真球状が特に好ましい。
ポリウレタン粒子の平均粒径は、例えば、1〜100μm、好ましくは2〜50μm、さらに好ましくは3〜30μm(特に5〜20μm)程度である。平均粒径が大きすぎると、強度などの機械的特性が低下し、引っ掛かりが大きくなるとともに、小さすぎると、触感を向上できない。平均粒径は、レーザー回折を用いた方法で測定できる。
ポリウレタンとしては、前記熱可塑性ポリウレタンエラストマーで例示されたポリエステルとポリイソシアネートとから得られるポリウレタンが使用できる。ポリウレタンとしては、熱可塑性ポリウレタンエラストマーと同様に、安定性の点から、無黄変性ジイソシアネート(脂肪族又は脂環族ジイソシアネート)を用いたポリエステル型ポリウレタン又はポリエーテル型ポリウレタンが好ましいが、ポリウレタン粒子では、粒子形状の保持性の点から、架橋体が好ましい。
架橋体において、架橋剤としては、前記熱可塑性ポリウレタンエラストマーの項で例示された鎖伸長剤の他、トリイソシアネート類(例えば、ジイソシアネートの三量体、リジンエステルトリイソシアネート、トリメチルイソシアナトシクロヘキサン、トリイソシアナトメチルベンゼン、トリフェニルメタントリイソシアネートなど)、トリオール類(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリエタノールアミンなど)、テトラオール類(ペンタエリスリトール、ソルビタン又はこれらの誘導体など)などが挙げられる。これらの架橋剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ポリウレタン粒子は、適度な柔軟性を有しており、JIS K7215に準拠した硬度(JIS−A)が50以上であり、好ましくは50〜100、さらに好ましくは60〜90(例えば、70〜80)程度である。さらに、10%圧縮強度が、例えば、1MPa以下であり、好ましくは0.35MPa以下(例えば、0.01〜0.35MPa)、さらに好ましくは0.15MPa以下(例えば、0.01〜0.15MPa)である。硬度及び圧縮強度が小さすぎると、引っ掛かりが発生し、大きすぎると、ソフトタッチ感が低下する。
ポリウレタン粒子は、適度な変形回復性にも優れており、1.96mNの荷重をかけた後の回復する割合を示す変形回復率が、例えば、50%以上であり、好ましくは80%以上(例えば、80〜100%)、さらに好ましくは90%以上(例えば、90〜99%)である。
なお、本願発明において、10%圧縮強度及び変形回復率は、微小圧縮試験機((株)島津製作所製「MCT−W500」)を用いて測定できる。
ポリウレタン粒子の割合は、熱可塑性ポリウレタンエラストマー及びウレタン(メタ)アクリレートの合計100重量部に対して、例えば、10〜200重量部程度の範囲から選択でき、例えば、50〜150重量部、好ましくは70〜140重量部、さらに好ましくは80〜130重量部(特に100〜120重量部)程度である。ポリウレタン粒子の割合が少なすぎると、触感を向上する効果が低く、多すぎると、機械的特性が低下する。
(ウレタン(メタ)アクリレート)
ウレタン(メタ)アクリレートは、成膜性及び膜強度を向上させるために配合され、さらにしっとり感を向上させるために、配合される。
ウレタン(メタ)アクリレートは、成膜性及び膜強度を向上させるために配合され、さらにしっとり感を向上させるために、配合される。
ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリイソシアネート類(又はポリイソシアネート類とポリオール類との反応により生成し、遊離のイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー)に活性水素原子を有する(メタ)アクリレート(例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなど)を反応させて得られたウレタン(メタ)アクリレートであってもよい。
ポリイソシアネート類及びポリオール類としては、前記熱可塑性ポリウレタンエラストマーの項で例示されたポリイソシアネート類及びポリオール類などが挙げられる。
ポリウレタンプレポリマーとしては、例えば、前記ポリイソシアネート類の多量体、前記ポリイソシアネート類のビウレット変性多量体、前記ポリイソシアネート類と前記ポリオール類とのアダクト体、前記ポリオール類に対して過剰量の前記ポリイソシアネート類を反応させて得られたポリウレタンプレポリマーなどが挙げられる。これらのプレポリマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
好ましいポリウレタンプレポリマーは、例えば、前記ポリイソシアネート類の多量体(三量体、五量体、七量体など)、前記ポリイソシアネート類のビウレット多量体(ビウレット変性体)、前記ポリイソシアネート類とポリオール類(グリセリン、トリメチロールプロパンなどのトリオール類)とのアダクト体、前記ジイソシアネートとポリエステルポリオールとのポリウレタンプレポリマー、前記ジイソシアネートとポリエーテルポリオールとのポリウレタンプレポリマー、特に、前記ジイソシアネートとポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールとのポリウレタンプレポリマーなどが好ましい。
活性水素原子を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシC2−6アルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルコキシC2−6アルキル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートの1分子中における(メタ)アクリロイル基の数は、2個以上であればよく、機械的強度などの点から、例えば、2〜8個、好ましくは2〜6個、さらに好ましくは2〜4個(特に3〜4個)程度である。
特に、ウレタン(メタ)アクリレートは、耐候性などの安定性及び柔軟性に優れる点から、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、例えば、脂肪族ジイソシアネートを用いたポリエステル型ウレタン(メタ)アクリレートであってもよい。
ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリイソシアネート類と活性水素原子を有する(メタ)アクリレートとを、通常、イソシアネート基と活性水素原子が略当量となる割合(イソシアネート基/活性水素原子=0.8/1〜1.2/1程度)で組み合わせて製造される。なお、これらのウレタン(メタ)アクリレートの製造方法について、特開2008−74891号公報などを参照できる。3官能以上の多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどのポリオール類を利用して得られたウレタン(メタ)アクリレートであってもよい。
ウレタン(メタ)アクリレートは、しっとり感を調整する目的で、ケイ素を含有していてもよい。特に、ウレタン(メタ)アクリレートとして、シリコーン単位を含有するウレタン(メタ)アクリレートを含んでいてもよい。
ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)において、ポリスチレン換算で、500以上の範囲から選択でき、例えば、500〜10000、好ましくは600〜9000、さらに好ましくは700〜8000(特に1000〜5000)程度であってもよい。分子量が小さすぎると、触感が低下し、分子量が大きすぎると、成膜性や取り扱い性が低下する。
ウレタン(メタ)アクリレートと熱可塑性ポリウレタンエラストマーとの割合(重量比)は、前者/後者=1/99〜70/30程度であり、好ましくは10/90〜50/50、さらに好ましくは20/80〜45/55(特に30/70〜40/60)程度である。熱可塑性ポリウレタンエラストマーの割合が少なすぎると、ソフトタッチ感が低下し、多すぎると、しっとりとした触感はあっても、引っ掛かり大きく、タック性が発現する。
(他のビニル系化合物)
化粧料は、ウレタン(メタ)アクリレートに加えて、他のビニル系化合物として、多官能(メタ)アクリレートを含んでいてもよい。他の多官能(メタ)アクリレートには、2〜8官能(メタ)アクリレート、2官能以上のオリゴマー又は樹脂などが含まれる。
化粧料は、ウレタン(メタ)アクリレートに加えて、他のビニル系化合物として、多官能(メタ)アクリレートを含んでいてもよい。他の多官能(メタ)アクリレートには、2〜8官能(メタ)アクリレート、2官能以上のオリゴマー又は樹脂などが含まれる。
2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレートなどのアルカンジオールジ(メタ)アクリレート;グリセリンジ(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ビスフェノール類のC2−4アルキレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレート;アダマンタンジ(メタ)アクリレートなどの橋架け環式ジ(メタ)アクリレートなどが例示できる。
3官能以上(3〜8官能程度)の(メタ)アクリレートとしては、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物、例えば、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート;ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。さらに、これらの多官能(メタ)アクリレートにおいて、多価アルコールは、アルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシドなどのC2−4アルキレンオキシド)の付加体であってもよい。これらの多官能(メタ)アクリレートは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
2官能以上のオリゴマー又は樹脂としては、例えば、エポキシジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらの他のビニル系化合物は、ウレタン(メタ)アクリレート100重量部に対して、100重量部以下、好ましくは1〜80重量部、さらに好ましくは5〜50重量部程度配合してもよい。
(他の添加剤)
化粧料は、重合開始剤を含んでいてもよい。重合開始剤は、熱重合開始剤(ベンゾイルパーオキサイドなどの過酸化物などの熱ラジカル発生剤)であってもよく、光重合開始剤(光ラジカル発生剤)であってもよい。好ましい重合開始剤は、光重合開始剤である。光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類又はプロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、アシルホスフィンオキシド類などが例示できる。光重合開始剤には、慣用の光増感剤や光重合促進剤(例えば、第三級アミン類など)が含まれていてもよい。光重合開始剤の割合は、ビニル系化合物(他のビニル系化合物を含む場合、ウレタン(メタ)アクリレートと他のビニル系化合物の合計)100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは1〜8重量部(特に1〜5重量部)程度であってもよい。
化粧料は、重合開始剤を含んでいてもよい。重合開始剤は、熱重合開始剤(ベンゾイルパーオキサイドなどの過酸化物などの熱ラジカル発生剤)であってもよく、光重合開始剤(光ラジカル発生剤)であってもよい。好ましい重合開始剤は、光重合開始剤である。光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類又はプロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、アシルホスフィンオキシド類などが例示できる。光重合開始剤には、慣用の光増感剤や光重合促進剤(例えば、第三級アミン類など)が含まれていてもよい。光重合開始剤の割合は、ビニル系化合物(他のビニル系化合物を含む場合、ウレタン(メタ)アクリレートと他のビニル系化合物の合計)100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは1〜8重量部(特に1〜5重量部)程度であってもよい。
化粧料は、必要に応じて、さらに慣用の添加剤、例えば、他の粒子、他の熱可塑性ポリマー、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤など)、難燃剤、難燃助剤、充填剤、可塑剤、耐衝撃改良剤、補強剤、分散剤、帯電防止剤、抗菌剤などを含んでいてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
化粧料は、塗工性などの点から、さらに溶媒を含んでいるのが好ましい。溶媒は、前記熱可塑性ポリウレタンエラストマー及びウレタン(メタ)アクリレートの種類及び溶解性に応じて選択でき、少なくとも固形分を均一に溶解できる溶媒であればよい。そのような溶媒としては、例えば、ケトン類、エーテル類、炭化水素類、エステル類、水、アルコール類、セロソルブ類、スルホキシド類、アミド類などが例示できる。これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用でき、混合溶媒であってもよい。これらの溶媒のうち、イソプロパノールなどのアルコール類、トルエンなどの芳香族炭化水素類などが汎用される。
化粧料は、熱硬化性組成物であってもよいが、短時間で硬化できる光硬化性化合物、例えば、紫外線硬化性化合物、EB硬化性化合物であってもよい。特に、実用的に有利な組成物は、紫外線硬化性樹脂である。
[化粧フィルム]
本発明の化粧フィルムは、前記化粧料の硬化物で形成されており、通常、基材フィルムと、この基材フィルムに積層され、かつ前記化粧料の硬化物で形成された硬化物層との積層体である。
本発明の化粧フィルムは、前記化粧料の硬化物で形成されており、通常、基材フィルムと、この基材フィルムに積層され、かつ前記化粧料の硬化物で形成された硬化物層との積層体である。
(硬化物層)
硬化物層は、ポリウレタン粒子により、適度な凹凸構造が形成されており、荷重50gf、1mm/秒の速度でセラミックで形成された滑り子を移動させたときの動摩擦係数が0.3〜0.9程度であり、好ましくは0.32〜0.8、さらに好ましくは0.35〜0.7(特に0.4〜0.5)程度である。動摩擦係数は、所望の触感に応じて前記範囲から選択でき、例えば、しっとり感を向上させる場合は、動摩擦係数を増加させればよい。動摩擦係数が小さすぎると、しっとり感が得られず、大きすぎると、指の引っ掛かりが起こる。
硬化物層は、ポリウレタン粒子により、適度な凹凸構造が形成されており、荷重50gf、1mm/秒の速度でセラミックで形成された滑り子を移動させたときの動摩擦係数が0.3〜0.9程度であり、好ましくは0.32〜0.8、さらに好ましくは0.35〜0.7(特に0.4〜0.5)程度である。動摩擦係数は、所望の触感に応じて前記範囲から選択でき、例えば、しっとり感を向上させる場合は、動摩擦係数を増加させればよい。動摩擦係数が小さすぎると、しっとり感が得られず、大きすぎると、指の引っ掛かりが起こる。
硬化物層は、動摩擦係数の均一性が高く、動摩擦係数の分散の程度(標準偏差)は0.02以下であり、好ましくは0.003〜0.02、さらに好ましくは0.004〜0.01(特に0.005〜0.008)程度であってもよい。動摩擦係数のバラツキは、指の引っ掛かりと大きく関係し、動摩擦係数が大きすぎると、引っ掛かりが起こり、タック性が発現する。
硬化物層の鉛筆硬度(荷重750gf)は、例えば、HB以上であり、好ましくはF以上、さらに好ましくはF〜4H(特にF〜2H)程度である。硬化物層の硬度が高すぎると、しっとり感が低下し、低すぎると、引っ掛かり感が発生する。
硬化物層の厚みは、例えば、1〜100μm、好ましくは3〜75μm、さらに好ましくは5〜50μm(特に10〜30μm)程度である。
(基材フィルム)
基材フィルムとしては、本発明の化粧フィルムを適用する樹脂成形体の種類に応じて選択でき、熱成形可能な樹脂、例えば、熱可塑性樹脂で形成された基材フィルムが利用できる。熱可塑性樹脂としては、例えば、セルロース誘導体、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの熱可塑性樹脂のうち、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレートなどのポリアルキレンアリレート系樹脂など)、ポリアミド系樹脂(ポリアミド6などの脂肪族ポリアミド系樹脂など)、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチルなど)、オレフィン系樹脂(ポリエチレンやポリプロピレンなど)、環状オレフィン系樹脂(エチレン−ノルボルネン共重合体など)などが汎用される。
基材フィルムとしては、本発明の化粧フィルムを適用する樹脂成形体の種類に応じて選択でき、熱成形可能な樹脂、例えば、熱可塑性樹脂で形成された基材フィルムが利用できる。熱可塑性樹脂としては、例えば、セルロース誘導体、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの熱可塑性樹脂のうち、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレートなどのポリアルキレンアリレート系樹脂など)、ポリアミド系樹脂(ポリアミド6などの脂肪族ポリアミド系樹脂など)、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチルなど)、オレフィン系樹脂(ポリエチレンやポリプロピレンなど)、環状オレフィン系樹脂(エチレン−ノルボルネン共重合体など)などが汎用される。
基材フィルムも、化粧料と同様の添加剤を含んでいてもよい。
基材フィルムの厚みは、1μm〜10mm程度の範囲から選択でき、例えば、10〜5000μm、好ましくは30〜3000μm、さらに好ましくは50〜2000μm(特に100〜1000μm)程度である。
[化粧フィルムの製造方法]
本発明の化粧フィルムは、基材フィルムの少なくとも一方の面に化粧料を含む塗工液を塗布した後、硬化することにより得ることができる。
本発明の化粧フィルムは、基材フィルムの少なくとも一方の面に化粧料を含む塗工液を塗布した後、硬化することにより得ることができる。
化粧料の塗布方法としては、慣用の方法、例えば、ロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、リバースコーター、バーコーター、コンマコーター、ディップ・スクイズコーター、ダイコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、シルクスクリーンコーター法、ディップ法、スプレー法、スピナー法などが挙げられる。これらの方法のうち、バーコーター法やグラビアコーター法などが汎用される。なお、必要であれば、塗布液は複数回に亘り塗布してもよい。
化粧料が有機溶媒を含有する場合など、塗布後は、必要に応じて乾燥を行ってもよい。乾燥は、例えば、40〜150℃、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜100℃程度の温度で行ってもよい。
硬化工程において、化粧料は、重合開始剤の種類に応じて加熱して硬化させてもよいが、通常、活性エネルギー線を照射することにより硬化できる。活性エネルギー線としては、例えば、放射線(ガンマー線、X線など)、紫外線、可視光線、電子線(EB)などが利用でき、通常、紫外線、電子線である場合が多い。
光源としては、例えば、紫外線の場合は、Deep UV ランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、レーザー光源(ヘリウム−カドミウムレーザー、エキシマレーザーなどの光源)などを用いることができる。照射光量(照射エネルギー)は、塗膜の厚みにより異なるが、例えば、50〜10000mJ/cm2、好ましくは70〜7000mJ/cm2、さらに好ましくは100〜5000mJ/cm2程度であってもよい。
電子線の場合は、電子線照射装置などの露光源によって、電子線を照射する方法が利用できる。照射量(線量)は、塗膜の厚みにより異なるが、例えば、1〜200kGy(グレイ)、好ましくは5〜150kGy、さらに好ましくは10〜100kGy(特に20〜80kGy)程度である。加速電圧は、例えば、10〜1000kV、好ましくは50〜500kV、さらに好ましくは100〜300kV程度である。
なお、活性エネルギー線の照射は、必要であれば、不活性ガス(例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなど)雰囲気中で行ってもよい。
基材フィルムに対する硬化物層の密着性を向上させるために、硬化物層を表面処理に供してもよい。表面処理としては、慣用の表面処理、例えば、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾンや紫外線照射処理などが挙げられる。基材フィルムは、表面が易接着処理されていてもよい。
[樹脂成形体の表面改質方法]
本発明では、前記化粧フィルムを用いて、樹脂成形体の表面を改質できる。表面の改質方法としては、成形体の表面に化粧フィルムが固定されればよく、特に限定されないが、射出成形による金型に由来する表面の形状を改質できる点から、射出成形による樹脂成形体に適用するのが好ましい。化粧フィルムの適用方法としては、慣用の方法を利用でき、例えば、基材フィルムに硬化物層が積層された化粧フィルムを用いる場合、金型内に基材フィルムが溶融した熱可塑性樹脂と接触するように化粧フィルムを載置した後、金型に溶融した樹脂を充填することにより得られる。さらに、化粧フィルムを用いた射出成形の方法としては、例えば、特開昭59−202830号公報、特開昭62−251111号公報、特開平2−41243号公報、特開平5−31750号公報、特開平7−52290号公報などに記載の方法も利用できる。
本発明では、前記化粧フィルムを用いて、樹脂成形体の表面を改質できる。表面の改質方法としては、成形体の表面に化粧フィルムが固定されればよく、特に限定されないが、射出成形による金型に由来する表面の形状を改質できる点から、射出成形による樹脂成形体に適用するのが好ましい。化粧フィルムの適用方法としては、慣用の方法を利用でき、例えば、基材フィルムに硬化物層が積層された化粧フィルムを用いる場合、金型内に基材フィルムが溶融した熱可塑性樹脂と接触するように化粧フィルムを載置した後、金型に溶融した樹脂を充填することにより得られる。さらに、化粧フィルムを用いた射出成形の方法としては、例えば、特開昭59−202830号公報、特開昭62−251111号公報、特開平2−41243号公報、特開平5−31750号公報、特開平7−52290号公報などに記載の方法も利用できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。実施例及び比較例で得られた透明導電性積層フィルムを以下の項目で評価した。
[触感]
触感は、5名による官能評価により行った。評価方法は、アクリル板(住友化学(株)製「スミペックス」)上に作製した触感フィルムを貼り付け、試料を指で強く押した時の触感、その後左右に擦ったときの触感それぞれを数値化し、平均値を算出した。その際の評価基準は次の通りである。
触感は、5名による官能評価により行った。評価方法は、アクリル板(住友化学(株)製「スミペックス」)上に作製した触感フィルムを貼り付け、試料を指で強く押した時の触感、その後左右に擦ったときの触感それぞれを数値化し、平均値を算出した。その際の評価基準は次の通りである。
4点:指で押した時は柔らかく、擦った時はしっとり
3点:指で押した時は少し柔らかく、擦った時は少ししっとり
2点:指で押した時は少し硬く、擦った時は少しさらさら
1点:指で押した時は硬く、擦った時はさらさら。
3点:指で押した時は少し柔らかく、擦った時は少ししっとり
2点:指で押した時は少し硬く、擦った時は少しさらさら
1点:指で押した時は硬く、擦った時はさらさら。
[動摩擦係数及びその標準偏差]
摩擦感テスター(カトーテック(株)製「KES−SE」)を用いて、フィルムサンプルを5cm×10cm取り出し、滑り子としてセラミックで形成されたセンサーを取り付け、荷重50gf、1mm/秒の速度で滑り子をサンプルの表面で移動させ、動摩擦係数及び標準偏差を測定し、計算した。
摩擦感テスター(カトーテック(株)製「KES−SE」)を用いて、フィルムサンプルを5cm×10cm取り出し、滑り子としてセラミックで形成されたセンサーを取り付け、荷重50gf、1mm/秒の速度で滑り子をサンプルの表面で移動させ、動摩擦係数及び標準偏差を測定し、計算した。
[鉛筆硬度]
JIS K5400に準拠し、荷重750gfで鉛筆硬度を測定した。
JIS K5400に準拠し、荷重750gfで鉛筆硬度を測定した。
[化粧料の配合成分]
ウレタンエラストマー:一般的な非架橋性ポリエステル型ウレタンポリマー、大日精化工業(株)製
ポリウレタン粒子:大日精化工業(株)製「ダイミックビーズUCN−8070CM」、平均粒径7μm、真球状、ショアA硬度74
PMMA粒子:東洋紡績(株)製「タフチックFH−S 010」
ウレタンアクリレート:3官能ウレタンアクリレート、ダイセル・サイテック(株)製「KRM8296」
6官能アクリレート:六官能アクリル系UV硬化モノマー、ダイセル・サイテック(株)製「DPHA」
開始剤1:光重合開始剤、チバ・ジャパン(株)製「イルガキュア(Irgacure)184」
開始剤2:光重合開始剤、チバ・ジャパン(株)製「イルガキュア(Irgacure)907」。
ウレタンエラストマー:一般的な非架橋性ポリエステル型ウレタンポリマー、大日精化工業(株)製
ポリウレタン粒子:大日精化工業(株)製「ダイミックビーズUCN−8070CM」、平均粒径7μm、真球状、ショアA硬度74
PMMA粒子:東洋紡績(株)製「タフチックFH−S 010」
ウレタンアクリレート:3官能ウレタンアクリレート、ダイセル・サイテック(株)製「KRM8296」
6官能アクリレート:六官能アクリル系UV硬化モノマー、ダイセル・サイテック(株)製「DPHA」
開始剤1:光重合開始剤、チバ・ジャパン(株)製「イルガキュア(Irgacure)184」
開始剤2:光重合開始剤、チバ・ジャパン(株)製「イルガキュア(Irgacure)907」。
比較例1〜4及び実施例1〜2
表1に示す樹脂成分、樹脂粒子及び開始剤を、トルエン及びイソプロパノールの混合溶媒に溶解した。この溶液を用いてトリアセチルセルロースフィルム上にワイヤーバー#38を用いて流延したのち、60℃のオーブン内で1分間放置後、コートフィルムを紫外線照射装置(ウシオ電機(株)製、高圧水銀ランプ、紫外線照射量:800mJ/cm2)に通して、紫外線硬化処理を行い、塗工膜を硬化させて硬化物層を形成した。得られた化粧フィルムの触感、動摩擦係数及びその標準偏差、鉛筆硬度を測定した結果を表1に示す。
表1に示す樹脂成分、樹脂粒子及び開始剤を、トルエン及びイソプロパノールの混合溶媒に溶解した。この溶液を用いてトリアセチルセルロースフィルム上にワイヤーバー#38を用いて流延したのち、60℃のオーブン内で1分間放置後、コートフィルムを紫外線照射装置(ウシオ電機(株)製、高圧水銀ランプ、紫外線照射量:800mJ/cm2)に通して、紫外線硬化処理を行い、塗工膜を硬化させて硬化物層を形成した。得られた化粧フィルムの触感、動摩擦係数及びその標準偏差、鉛筆硬度を測定した結果を表1に示す。
表1の結果から明らかなように、比較例1の化粧フィルムでは硬度が低く、機械的特性が充分でない。比較例2〜4の化粧フィルムでは、触感が充分でない。これに対して、実施例の化粧フィルムでは、触感が優れており、かつ適度な硬度を有している。
本発明の化粧料及び化粧フィルムは、各種の樹脂成形体、例えば、自動車内装部品、電化製品筐体、建材などで用いられる樹脂成形体表面を改質するために利用される。
Claims (13)
- 樹脂成形体表面の触感を改質するための化粧料であって、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、ポリウレタン粒子及びウレタン(メタ)アクリレートを含む化粧料。
- ポリウレタン粒子が架橋ポリウレタンで形成されている請求項1記載の化粧料。
- ポリウレタン粒子が、1MPa以下の10%圧縮強度及び50%以上の変形回復率を有する請求項1又は2記載の化粧料。
- ポリウレタン粒子が、平均粒径が1〜100μmの球状粒子である請求項1〜3のいずれかに記載の化粧料。
- ウレタン(メタ)アクリレートが重量平均分子量500以上の脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートである請求項1〜4のいずれかに記載の化粧料。
- ウレタン(メタ)アクリレートと熱可塑性ポリウレタンエラストマーとの割合(重量比)が、前者/後者=1/90〜70/30である請求項1〜5のいずれかに記載の化粧料。
- ポリウレタン粒子の割合が、熱可塑性ポリウレタンエラストマー及びウレタン(メタ)アクリレートの合計100重量部に対して50〜150重量部である請求項1〜6のいずれかに記載の化粧料。
- 樹脂成形体が射出成形により形成される成形体である請求項1〜7のいずれかに記載の化粧料。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の化粧料の硬化物で形成された化粧フィルム。
- 荷重50gf、1mm/秒の速度でセラミックで形成された滑り子を移動させたときの動摩擦係数が0.3〜0.9であり、動摩擦係数の標準偏差が0.003〜0.02である請求項9記載の化粧フィルム。
- 基材フィルムと、この基材フィルムに積層され、かつ請求項1〜8のいずれかに記載の化粧料の硬化物で形成された硬化物層との積層体で形成された化粧フィルム。
- 請求項9〜11のいずれかに記載の化粧フィルムを用いて射出成形して得られた樹脂成形体。
- 請求項9〜11のいずれかに記載の化粧フィルムを用いて樹脂成形体表面の触感を改質する方法。
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