JP2014084246A - アナターゼ型酸化チタン粒子分散液の製造方法及びアナターゼ型酸化チタン薄膜 - Google Patents

アナターゼ型酸化チタン粒子分散液の製造方法及びアナターゼ型酸化チタン薄膜 Download PDF

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Abstract


【課題】
アナターゼ型酸化チタン薄膜を形成するためのアナターゼ型酸化チタン粒子分散液の製造方法において、低温常圧で製造できる方法を提供する。
【解決手段】
アナターゼ型酸化チタン粒子が分散媒中に分散してなる分散液の製造方法であって、チタンアルコキシドを安定化剤で安定化して前駆体液とし、反応溶媒として用いる水または水および有機溶媒と第4級アンモニウム塩の混合液に上記前駆体液を混合して加水分解した後、加熱処理することによりアナターゼ型酸化チタン粒子分散液を得る。こうして得られた分散液はスピンコート法等により容易に透明均一な薄膜を形成可能であり、光触媒等に使用できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、アナターゼ型酸化チタン分散液の製造方法及びそれを用いて製膜したアナターゼ型酸化チタン薄膜に関する。
酸化チタン粒子は、顔料、光触媒、高屈折材料などの用途があり、特に酸化チタンからなる膜は、透明保護膜、導電性膜、光触媒、半導体、紫外線カット被膜などの各種用途において利用されており、各用途においてさらに機能を向上するための膜性能の改良が進められている。たとえば、光触媒としてはアナターゼ型酸化チタン膜が用いられ、通常は紫外線を照射することで優れた光触媒活性を発揮するものである。しかし、酸化チタンにニオブまたはタンタルをドープさせることで可視光領域における光触媒活性を高めることが可能である。また、ニオブまたはタンタルをドープさせることで膜の比抵抗を下げることができ、透明導電膜材料として有効な材料となることが知られている。
ところで、これらの膜を作製する手法として簡便なものの一つに、酸化チタン前駆体の溶液やアナターゼ型酸化チタン粒子分散液を基材に塗布した後、乾燥および塗膜がアモルファスの場合は結晶化するために約200℃以上で焼成する塗布法がある。この時、均一かつ綿密で平滑な膜を作製するためには、分散液の分散性が良好である必要がある。一般的に分散性を向上するためには、分散剤、界面活性剤などの分散安定剤を添加するか、分散液のpHを酸性もしくはアルカリ性に制御して粒子同士の静電反発力を大きくする手法が用いられる。
しかし、上記の手法によれば、前駆体を塗布した後に結晶相を得るために焼成の工程があることで、基材がこの工程に耐えうるものに限られることや、ナノ粒子分散液の塗膜については分散安定剤が膜内に残存し、本来の性能を損なうこととなる。
そこで、酸や塩基および分散安定化剤の非存在下で分散媒を安定に分散させる方法として、温度制限のない条件下で金属アルコキシドに対し0.5〜1倍モル未満の水を用いて加水分解するか、−20℃以下の条件下で金属アルコキシドに対し1.0〜2.0倍モル未満の水を用いて加水分解することにより、有機溶媒中に金属−酸素結合を有する分散質が凝集せず安定に分散してなる金属酸化物ゾルを製造する方法が提案されている(特許文献1)。
また、特許文献1と同様に酸や塩基および分散安定化剤の非存在下で、酸化チタン含有前駆体の結晶化を行いアナターゼ型酸化チタンを得る方法として、チタンアルコキシドとニオブアルコキシドまたはタンタルアルコキシドを必須の金属アルコキシドとして含む前駆体液を該前駆体液中の金属原子の総モル数に対して2倍モル以上の水の存在下で加水分解した後、50℃以上の温度で所定時間エージング処理を施すことによりアナターゼ型酸化チタンを含有するゲルを得、このゲルを分散媒中に分散してアナターゼ型酸化チタン分散液を製造する方法が提供されている(特許文献2)。
さらに、アナターゼ型酸化チタン分散液を得る他の手法としては、チタンアルコキシドまたはチタン金属塩の加水分解生成物を出発原料とし、これにアルカリ水溶液、水、ジオールまたはトリオールを混合したものを水熱合成し結晶化してアナターゼ型酸化チタン超微粒子分散液を製造する方法が提供されている(特許文献3)。
特許第4260007号公報 特開2011−167620号公報 特開2011−116646号公報
特許文献1記載の方法で得られた酸化チタン分散液は良好な分散安定性を持っているが、これを塗布した膜には有機物が多く残留しており、これにより例えば光触媒として十分な光触媒活性が発揮されないなど、本来のアナターゼ型酸化チタンの特性が損なわれることがあった。さらに、この方法で得られた酸化チタン分散液は非晶質であるため、塗膜後高温で焼成してアナターゼ相へ結晶化する工程が必要であり、必然的に塗布する基材はこの工程に耐えうる物に限られるという問題点があった。
また、特許文献2記載の方法で得られた酸化チタン分散液は良好な分散安定性を持っているが、エージング処理によるアナターゼ型酸化チタンを含有するゲルを得る工程において60℃以上で6時間から20日間という長い時間が必要であった。
さらに、特許文献3記載の方法で得られたアナターゼ型酸化チタン分散液は、結晶性と良好な分散性を持っているが、結晶化の反応において加圧条件下で150℃〜350℃という高温処理が必要でありオートクレーブ等の装置を用いる必要があった。
本発明者らは、前記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、安定化剤で安定化させたチタンアルコキシドを加水分解および脱水縮合してアナターゼ型酸化チタンを生成させるに当たり、反応溶媒として水または水および第4級アンモニウム塩と水とを相溶し得る有機溶媒と第4級アンモニウム塩の混合液を使用し、その中で加水分解した後、加熱処理することによりアナターゼ型酸化チタンナノ粒子を生成させることを見出し、本発明を完成させた。すなわち本発明は、以下の技術的手段から構成される。
〔1〕 アナターゼ型酸化チタン粒子分散液の製造方法であって、チタンアルコキシドに安定剤を添加して安定化した後に、水または水及び有機溶媒の混合液に第4級アンモニウム塩を溶解させた反応溶媒と前記安定化チタンアルコキシドを混合して加水分解した後、加熱処理することによりアナターゼ型酸化チタン粒子を含有した分散液にすることを特徴とするアナターゼ型酸化チタン粒子分散液の製造方法。
〔2〕 前記加熱処理の加熱手段に、マイクロ波を用いることを特徴とする前記〔1〕記載のアナターゼ型酸化チタン粒子分散液の製造方法。
〔3〕 前記アナターゼ型酸化チタン粒子の平均粒子径が、3〜30nmであることを特徴とした前記〔1〕または前記〔2〕に記載のアナターゼ型酸化チタン粒子分散液の製造方法。
〔4〕 前記加熱処理の後、前記反応溶媒を溶媒置換し、イオン液体を除去してアナターゼ型酸化チタン粒子を溶媒中に分散させた分散液とする工程を含むことを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のアナターゼ型酸化チタン粒子分散液の製造方法。
〔5〕 前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の方法により得られたアナターゼ型酸化チタン粒子分散液を用いて製膜することを特徴とするアナターゼ型酸化チタンの薄膜。
本発明によれば、常圧プロセスかつ短時間で結晶性が高いアナターゼ型酸化チタンナノ粒子分散液を提供することができる。かかる分散液は、容易に透明均一な薄膜を形成可能であり、形成された薄膜は光触媒材料や電子デバイス材料として好適に用いられる。また、本発明によれば薄膜形成工程において焼成する必要がないため、耐熱性の低い基材に対しても適用可能である。
実施例1および比較例で得られた分散液から回収した粒子の顕微ラマンスペクトルである。 実施例1で得られた分散液から回収した粒子のXRDスペクトルである。 実施例1で得られた分散液中の酸化チタン粒子のTEM像である。 実施例2で得られた分散液中の酸化チタン粒子のTEM像である。 実施例3で得られた分散液中の酸化チタン粒子のTEM像である。 比較例で得られた分散液中の酸化チタン粒子のTEM像である。 実施例1、2、3で得られたアナターゼ型酸化チタン粒子の長辺径のグラフである。 実施例4で得られた膜表面のSEM像である。
本発明のアナターゼ型酸化チタンナノ粒子分散液の製造方法は、アナターゼ型酸化チタンナノ粒子が分散媒中に分散してなる分散液を得るものであり、かかるアナターゼ型酸化チタンナノ粒子はチタンアルコキシドを必須の金属アルコキシドとしてこの金属アルコキシドの加水分解物が脱水縮合することによって得られる粒子である。
本発明の製造方法においては、まず、チタンアルコキシドを必須の金属アルコキシドとして含む前駆体液を得る。具体的には安定化剤をチタンアルコキシドに添加もしくはチタンアルコキシドを安定化剤に添加することによって調製することができる。
前記チタンアルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−i−ブトキシチタン、テトラ−sec−ブトキシチタン、テトラ−t−ブトキシチタン、テトラキス(ジメチルアミノ)チタン、テトラキスジエチルアミノチタン、ジ(イソプロポキシ)ビス(ジピバロイルメタナト)チタン等を用いることができる。チタンアルコキシドは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記安定化剤としては、アルコキシドが水と接触した際の加水分解速度を低下させるものであれば特に限定されず、酸、塩基、キレート化剤などを用いることができる。例えば、酸としては、硝酸、硫酸、塩酸などの無機酸、酢酸、シュウ酸、ギ酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸等の有機酸等を用いることができ、塩基としては、アンモニア水溶液、トリエタノールアミン等の塩基を用いることができ、キレート化剤としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル等のキレート化剤を用いることができる。安定化剤は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記チタンアルコキシドと安定化剤との組み合わせとしては、チタンアルコキシドは水との反応性やコスト面からテトラ−i−プロポキシチタンを、安定化剤は分散液の溶媒置換による除去しやすさや製膜後の低温での除去しやすさから、酢酸、硝酸、アンモニア水溶液、アセチルアセトン等を用いるのが好ましく、その中でも酢酸を用いることが特に好ましい。
前記チタンアルコキシドと安定化剤の混合比は、安定化剤/チタンアルコキシドのモル比が0.1/1〜7/1であることが好ましく、より好ましくは2/1〜5/1であるのがよい。このようにしてチタンアルコキシドを安定化することにより、チタンアルコキシド前駆体を反応溶媒に均一に分散、加水分解することが可能になる。
続いて、前記前駆体である前記安定化チタンアルコキシドは、水または水及び有機溶媒の混合液に第4級アンモニウム塩を溶解させた反応溶媒と混合してチタンアルコキシドを加水分解する。
前記前駆体を加水分解してアナターゼ型酸化チタン粒子を合成するための反応溶媒として必須の溶媒は、加水分解に必要な水及び第4級アンモニウム塩であり、水と第4級アンモニウム塩を相溶する等の目的で有機溶媒を加えて用いることができる。
前記第4級アンモニウム塩は、第4級アンモニウムカチオンと他のアニオンの塩であれば特に限定されない。例えば、第4級アンモニウムカチオンとしては、1−メチル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、N−ブチル−ピリジニウム、N−エチル−3−メチル−ピリジニウム、N−ブチル−3−メチル−ピリジニウム、N−ヘキシル−4−(ジメチルアミノ)−ピリジニウム、N−メチル−1−メチルピロリジニウム、N−ブチル−−1−メチルピロリジニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、エチル−ジメチル−プロピルアンモニウム、等を用いることができ、上記カチオンと塩を形成するアニオンとしては、Cl、I、Br、[BF4]、[PF6]、[(C2F5)3PF3]、[HSO4]等を用いることができる。第4級アンモニウム塩は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機溶媒は、水と第4級アンモニウムと相溶するものであれば特に限定されないが、特に、水溶性の有機溶媒が好ましい。例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド等を用いることができる。これらの有機溶媒は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記反応溶媒の組成について述べる。水はチタンアルコキシドの加水分解に必要であるため、チタンアルコキシドに対してモル比で2当量以上使用するのが好ましい。水と第4級アンモニウム塩の比率は重量で水/第4級アンモニウム塩が0.1/99.9〜99.9/1であることが好ましく、より好ましくは30/70〜90/10であり、さらに好ましくは50/50〜80/20であるのがよい。有機溶媒は添加しなくてもよく、添加する場合は有機溶媒が、水と第4級アンモニウム塩の混合液に対して0.1重量%〜30重量%であることが好ましく、より好ましくは1重量%〜10重量%であるのがよい。
前記前駆体液を反応溶媒に混合するときのチタンアルコキシドの濃度として0.1重量%〜30重量%であることが好ましく、より好ましくは5重量%〜20重量%であるのがよい。
前記加水分解によってチタンアルコオキシドを脱水縮合可能にし、それらが脱水縮合することで酸化物が形成され、さらにこの酸化物をアナターゼ型の結晶相にするために加熱処理を行う。加熱処理温度は40℃以上で第4級アンモニウム塩の分解温度以下であれば良い。前記酸化物をアナターゼ型の結晶相にするには常温で放置しても進行するが、その放置時間が非常に長くなるため、40℃以上に加熱することが好ましい。そして、加熱処理は還流状態で行うのが好ましく、その場合、加熱処理の上限温度は反応溶媒中の水および有機溶媒の比率により決まる。加熱上限温度は、第4級アンモニウム塩の分解温度以下であるが、好ましくは220℃以下、より好ましくは140℃以下であるのがよい。加熱処理方法は急速加熱による反応時間の短縮や、第4級アンモニウム塩のマイクロ波吸収性による結晶化促進効果があることから、マイクロ波照射が特に好ましい。マイクロ波照射開始後1分以上5分以内に第4級アンモニウム塩存在下では酸化チタン粒子の核が生成し成長が始まる。マイクロ波照射時間は3分から1時間以内が好ましい。
前記加熱処理によって得られるアナターゼ型酸化チタン粒子の平均粒子径は前記加熱処理中の核成長によって変化し、反応溶媒の組成によって核成長収束時の粒子の大きさが決まる。すなわち、アナターゼ型酸化チタン粒子の粒子径は、反応溶媒組成と加熱熱時間を制御することによって、その大きさをコントロールすることができる。そして、アナターゼ型酸化チタン粒子は、その用途に応じて所定の大きさの粒子にすることが可能である。たとえば、本発明の製造方法で得られるアナターゼ型酸化チタン粒子分散液を用いて透明均一な膜を形成する場合は、その透明性を維持する目的でアナターゼ型酸化チタン粒子の平均粒子径は3〜30nmであることが好ましい。
上記の加熱処理によりアナターゼ型酸化チタン粒子が生成し、分散液が得られる。このアナターゼ型酸化チタン粒子分散液はそのままでも使用可能であるが、製膜後の乾燥温度を低くする等の目的で溶媒置換することが好ましい。分散媒を溶媒置換することにより、常圧プロセスにより結晶性の高いアナターゼ型酸化チタン粒子分散液が作製できる。
溶媒置換に用いる分散媒は得られる分散液の用途に応じて適宜選択すればよく、特に制限されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール等のアルコール系溶媒や、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒などの有機溶媒や水を用いることができる。これらの分散媒は1種のみを用いてもよいし、相溶性のある2種以上を併用して混合溶媒として用いてもよい。
前記アナターゼ型酸化チタン粒子分散液を他の分散液に溶媒置換する際の方法は特に制限されるものではなく、従来公知の分散手法を適宜採用すればよい。例えば、分散媒をアナターゼ型酸化チタン粒子分散液に投入し、マグネチックスターラーあるいは超音波等を使用した撹拌を行い、遠心分離によりアナターゼ型酸化チタン粒子と液体を分離してアナターゼ型酸化チタン粒子のみを回収し、回収したアナターゼ型酸化チタン粒子に再度分散媒を投入して前記工程を繰り返して溶媒置換を行えばよい。
本発明のアナターゼ型酸化チタン粒子分散液は、上記のような製造方法によって得られるものである。本発明の製造方法により得られる分散液は、固形分濃度が0.1〜30重量%であることが好ましい。分散液の固形分濃度が0.1重量%未満であると、該分散液を塗布して膜を形成する際に1回の塗装で形成できる膜厚が薄くなるので生産性の点で不利となり、30重量%を超えると流動性が低下するなどの影響でアナターゼ型酸化チタン粒子の凝集が起こる傾向があり、該分散液を均一に塗布することが困難になる恐れがある。
本発明の製造方法により得られるアナターゼ型酸化チタン粒子分散液を用いて膜を形成する場合、その方法は分散液を基材の上に均一にウエットコーティングできる方法であれば特に制限されるものではなく、従来公知の成膜手法を適宜採用すればよい。例えば、スピンコート法、ディップコート法、バーコーター法、スプレーコート法、ロールコート法等の方法を採用することができる。前記成膜手法で基材表面に形成される乾燥膜厚は、通常0.01〜2.0μmであり、好ましくは0.05〜1.0μmである。
本発明の製造方法により得られるアナターゼ型酸化チタン粒子分散液を用いて膜を形成する際の基材は、用途に応じて適宜選択すればよく、特に制限されない。例えば、板ガラス、金属板等の無機系基材や、アクリル板、PETフィルム、ポリカーボネートなどの有機系基材を使用することができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はかかる実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
酢酸5当量(2.3g)にチタンアルコキシド2.2gを添加、室温で30分撹拌し、前駆体液を作製した。次に、水/第4級アンモニウム塩の重量比率が2/1となるように水14.6gと1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド7.3gを混合し、室温で撹拌して反応溶媒とした。この反応溶媒に上記前駆体液を滴下し、室温で1時間撹拌した後マイクロ波を126Wで還流させながら5分間照射することにより、アナターゼ型酸化チタン粒子分散液を得た。得られたアナターゼ型酸化チタン粒子分散液にエタノールを添加し、遠心分離によりアナターゼ型酸化チタン粒子と液体を分離して、回収したアナターゼ型酸化チタン粒子をエタノールで洗浄する工程を4回行い、アナターゼ型酸化チタン粒子分散液を得た。上記分散液を用いてTEM観察(図3)を行い、さらに上記分散液から一部を採取し80℃で乾燥させ白色粉末を得、ラマン分析(図1)およびXRD分析(図2)を行った。図1および図2で得られたスペクトルは、アナターゼ型酸化チタン粒子が生成したことを示している。
(実施例2)
マイクロ波を126Wで10分間照射したこと以外は実施例1と同様にして、アナターゼ型酸化チタン粒子分散液を得た。得られた分散液を用いてTEM観察(図4)を行った。また、実施例1と同様にラマン分析およびXRD分析により、アナターゼ型酸化チタン粒子が生成したことを確認した。
(実施例3)
マイクロ波を126Wで20分間照射したこと以外は実施例1と同様にして、アナターゼ型酸化チタン粒子分散液を得た。得られた分散液を用いてTEM観察(図5)を行った。また、実施例1と同様にラマン分析およびXRD分析により、アナターゼ型酸化チタン粒子が生成したことを確認した。
(比較例)
酢酸5当量(2.13g)にチタンアルコキシド2.0gを添加し室温で30分撹拌し前駆体液を作製した。水20.0gを反応溶媒として上記前駆体液を滴下し、室温で1時間撹拌した後マイクロ波を126Wで還流させながら5分間照射することにより、酸化チタン粒子含有ゲルを得た。得られた酸化チタン粒子含有ゲルにエタノールを添加し、遠心分離により酸化チタンと液体を分離して、回収した酸化チタン粒子をエタノールで洗浄する工程を4回行い、酸化チタン粒子分散液を得た。上記分散液を用いてTEM観察(図6)を行い、さらに上記分散液から一部を採取し80℃で乾燥させ白色粉末を得、ラマン分析(図1)を行った。ラマン分析のスペクトルから、比較例は実施例に比べてアナターゼ型酸化チタン粒子がほとんど生成していないことが解る。
上記実施例1〜3及び比較例の結果から以下のようなことが言える。
図3〜5のTEM写真により注目すべきは実施例1〜3の加熱時間増加に伴って粒子径が大きくなっている点である。加熱時間に伴う粒子の長辺径の変化を図7に記載している。これは、アナターゼ型酸化チタン粒子が生成する過程において、第4級アンモニウム塩が反応溶媒中に存在することによりアナターゼ型酸化チタンの結晶核が生成し、それが成長することによりアナターゼ型酸化チタン粒子が得られていると考えられる。これに対し比較例(図6)のTEM写真では、マイクロ波照射5分後の時点である程度の大きさの粒子が生成している。しかし、比較例で得られた粒子はアナターゼ型酸化チタン粒子がほとんど生成しておらず、大部分が非晶質であった。
(実施例4)
実施例1で得られたアナターゼ型酸化チタン粒子分散液を酸化チタン粒子が2wt%になるように調整し、スピンコート法によりガラス板上に塗布し、80℃のホットプレート上で乾燥させることで膜厚70nmの透明なアナターゼ型酸化チタン薄膜を得た。この薄膜表面のSEM観察(図8)を行い、表面がアナターゼ型酸化チタン粒子で製膜されていることを確認した。
(実施例5)
実施例1で得られたアナターゼ型酸化チタン粒子分散液を酸化チタン粒子が6wt%になるように調整したこと以外は実施例4と同様にして、膜厚500nmの透明なアナターゼ型酸化チタン薄膜を得た。そして、実施例4と同様に薄膜表面のSEM観察で、表面がアナターゼ型酸化チタン粒子で製膜されていることを確認した。
チタンアルコキシドを原料としたアナターゼ型酸化チタン粒子分散液の製造方法としては、従来は水熱合成法、ソルボサーマル法、ゾルゲル法等が知られているが、水熱合成法やソルボサーマル法は短時間で結晶化が可能であるが高温加圧工程が必要であり、ゾルゲル法は低温で結晶化が可能であるが結晶化には数時間以上の長い時間が必要であった。本発明のアナターゼ型酸化チタン分散液の製造方法は、常圧プロセスで1時間以内という短時間で該分散液を得ることができ、簡便にアナターゼ型酸化チタン薄膜を形成することができる。前記薄膜は光触媒として使用可能である。
アナターゼ型酸化チタン薄膜の製造方法としては、従来法の一つである非晶質の酸化チタンを基材に塗布してから高温で焼成し該酸化チタンを結晶化する手法では、基材はこの結晶化工程に耐えうるものに限られており、PET等への有機系基材には特に成膜が困難であった。本発明のアナターゼ型酸化チタン粒子分散液は、成膜時に結晶化を目的とした加熱工程が不要であるため、耐熱性の低い基材も使用可能である。

Claims (5)

  1. アナターゼ型酸化チタン粒子分散液の製造方法であって、チタンアルコキシドに安定剤を添加して安定化した後に、水または水及び有機溶媒の混合液に第4級アンモニウム塩を溶解させた反応溶媒と前記安定化チタンアルコキシドを混合して加水分解した後、加熱処理することによりアナターゼ型酸化チタンナノ粒子を含有した分散液にすることを特徴とするアナターゼ型酸化チタン粒子分散液の製造方法。
  2. 前記加熱処理の加熱手段に、マイクロ波を用いることを特徴とする請求項1記載のアナターゼ型酸化チタン粒子分散液の製造方法。
  3. 前記アナターゼ型酸化チタン粒子の平均粒子径が、3〜30nmであることを特徴とした請求項1または2に記載のアナターゼ型酸化チタン粒子分散液の製造方法。
  4. 前記加熱処理の後、前記反応溶媒を溶媒置換し、イオン液体を除去してアナターゼ型酸化チタン粒子を溶媒中に分散させた分散液とする工程を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアナターゼ型酸化チタン分散液の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の方法により得られたアナターゼ型酸化チタン粒子分散液を用いて製膜することを特徴とするアナターゼ型酸化チタンの薄膜。
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