JP2014083887A - タイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】共鳴器を構成する連通溝部が設けられた陸部のヒールアンドトウ摩耗を抑制した耐久性の高いタイヤを提供することである。
【解決手段】トレッド表面2に、タイヤ全周に亘って延びる周方向溝3,4,5と、該周方向溝3,4,5により区画されたリブ状陸部8,9とショルダー陸部10,11とを設け、リブ状陸部8,9に、該リブ状陸部8,9の表面に開口する凹形状の気室部13と、該気室部13を周方向溝に連通させる連通溝部14と、を備えた複数の共鳴器12を設け、この共鳴器12を構成する連通溝部14を、その開口が底部よりもタイヤ回転方向の後方側となるように、タイヤ半径方向に対してタイヤ周方向に傾斜させる。
【選択図】図2
【解決手段】トレッド表面2に、タイヤ全周に亘って延びる周方向溝3,4,5と、該周方向溝3,4,5により区画されたリブ状陸部8,9とショルダー陸部10,11とを設け、リブ状陸部8,9に、該リブ状陸部8,9の表面に開口する凹形状の気室部13と、該気室部13を周方向溝に連通させる連通溝部14と、を備えた複数の共鳴器12を設け、この共鳴器12を構成する連通溝部14を、その開口が底部よりもタイヤ回転方向の後方側となるように、タイヤ半径方向に対してタイヤ周方向に傾斜させる。
【選択図】図2
Description
本発明は、空気入りタイヤに関する。
トレッド表面に、タイヤ全周に亘って延びる周方向溝が設けられたタイヤでは、車両走行時に、この周方向溝と路面とで区画される空間内で気柱管共鳴が生じ、これがタイヤ騒音の原因となっている。
そこで、例えば特許文献1に記載されるタイヤでは、トレッド表面の、周方向溝により区画された陸部に、当該陸部の表面に開口する凹形状の気室部と、この気室部を周方向溝に連通させる連通溝部とを備えたヘルムホルツ型の共鳴器を設けて、周方向溝内に生じる気柱管共鳴を抑制し、タイヤ騒音を低減するようにしている。
上記従来のタイヤでは、連通溝部は、気室部と周方向溝との間に、陸部の幅方向の一部をタイヤ幅方向に横断するように設けられるので、陸部は、タイヤの回転時に、複数本の当該連通溝部を境界として、踏み込み側の部分と蹴り出し側の部分とを有する複数の陸部領域に分けられることになる。そのため、車両が走行すると、陸部には、その蹴り出し側の部分が、蹴り出し時に路面に対して大きな滑りを生じて、踏み込み側の部分よりも早く摩耗するヒールアンドトウ摩耗(H/T摩耗)が生じる場合があり、このような偏摩耗は、タイヤの寿命を短縮することになるので、これを抑制するための対応が求められていた。
本発明は、トレッド表面の陸部に共鳴器を有するタイヤが抱えるこのような問題を解決することを課題とするものであり、それの目的とするところは、共鳴器を構成する連通溝部が設けられた陸部のヒールアンドトウ摩耗を抑制したタイヤを提供することにある。
本発明のタイヤは、トレッド表面に、タイヤ全周に亘って延びる周方向溝と、該周方向溝により区画された陸部とが設けられたタイヤであって、前記陸部に、該陸部の表面に開口する凹形状の気室部と、タイヤ周方向に対して傾斜して延びて、該気室部を前記周方向溝に連通させる連通溝部と、を備えた共鳴器が設けられ、前記連通溝部が、その開口が底部よりもタイヤ回転方向の後方側となるように、タイヤ半径方向に対してタイヤ周方向に傾斜していることを特徴とする。
本発明のタイヤでは、前記連通溝部の、タイヤ半径方向に対するタイヤ周方向への傾斜角度が、2度以上、30度以下であるのが好ましい。
本発明のタイヤでは、前記周方向溝の底面に、溝内溝部と、該溝内溝部よりも深さの浅い溝内陸部とが、タイヤ周方向に沿って交互に設けられ、前記連通溝部が、前記周方向溝の内壁の、前記溝内陸部が設けられた部分で開口するのが好ましい。
本発明のタイヤでは、前記連通溝部の前記陸部の表面からのタイヤ半径方向の深さ寸法が、前記気室部の前記陸部の表面からのタイヤ半径方向の深さ寸法よりも小さいのが好ましい。
上記において、「トレッド表面」は、特に空気入りタイヤの場合に、これを適用リムに組み付けるとともに規定内圧を充填した状態のタイヤを、最大負荷能力に対応する負荷を加えた状態で転動させた際に、路面に接触することになる、タイヤの全周にわたる外周面を意味する。
ここで、「適用リム」とは、タイヤサイズに応じて下記の規格に規定されたリム(標準リム、またはDesign RimもしくはMeasuring Rim)をいい、「規定内圧」とは、下記の規格において、最大負荷能力に対応して規定される空気圧をいい、「最大負荷能力」とは、下記の規格でタイヤに負荷されることが許容される最大の質量をいう。そして、その規格とは、タイヤが生産または使用される地域に有効な産業規格によって決められたものであり、例えば、アメリカ合衆国では、“THE TIRE AND RIM ASSOCIATION INC.(TRA)のYEAR BOOK”であり、欧州では、“The European Tyre and Rim Technical Organization(ETRTO)のSTANDARDS MANUAL”であり、日本では、“日本自動車タイヤ協会のJATMA YEAR BOOK”である。
ここで、「適用リム」とは、タイヤサイズに応じて下記の規格に規定されたリム(標準リム、またはDesign RimもしくはMeasuring Rim)をいい、「規定内圧」とは、下記の規格において、最大負荷能力に対応して規定される空気圧をいい、「最大負荷能力」とは、下記の規格でタイヤに負荷されることが許容される最大の質量をいう。そして、その規格とは、タイヤが生産または使用される地域に有効な産業規格によって決められたものであり、例えば、アメリカ合衆国では、“THE TIRE AND RIM ASSOCIATION INC.(TRA)のYEAR BOOK”であり、欧州では、“The European Tyre and Rim Technical Organization(ETRTO)のSTANDARDS MANUAL”であり、日本では、“日本自動車タイヤ協会のJATMA YEAR BOOK”である。
本発明でいう「連通溝部」は、特に空気入りタイヤの場合、これを適用リムに組み付けるとともに規定内圧を充填した状態のタイヤに、最大負荷能力に対応する負荷を加えた状態において、対向する溝壁が互いに完全に接触することなく、少なくとも対向する溝壁の間に隙間が残る程度の溝幅を有するものをいうものとする。
上記の「連通溝部の、タイヤ半径方向に対するタイヤ周方向への傾斜角度」は、無負荷状態で測定するものとする。特に、タイヤが空気入りタイヤの場合には、タイヤを適用リムに組み付けるとともに規定内圧を充填した上で、上記測定が行われる。
上記の「連通溝部の前記陸部の表面からのタイヤ半径方向の深さ寸法」と「気室部の前記陸部の表面からのタイヤ半径方向の深さ寸法」は、無負荷状態で測定するものとする。特に、タイヤが空気入りタイヤの場合には、タイヤを適用リムに組み付けるとともに規定内圧を充填した上で、上記測定が行なわれる。なお、連通溝部や気室部の陸部の表面からの深さ寸法が一定でない場合には、その一番深い位置で測定する。
本発明によれば、トレッド表面の陸部に設けられて周方向溝と気室部と連通させる共鳴器の連通溝部を、その開口が底部よりもタイヤ回転方向の後方側となるように、タイヤ半径方向に対してタイヤ周方向に傾斜させたことにより、連通溝部の開口が底部よりも後方側となる回転方向にタイヤを回転させた場合に、陸部の連通溝部を境界とした蹴り出し側となる部分の断面形状を鋭角として、当該部分の剛性を低下させ、そこでの路面に対する摩擦を小さくすることができる。したがって、陸部の、連通溝部を境界とした、蹴り出し側と踏み込み側における摩耗度合いを均一化し、陸部に生じるヒールアンドトウ摩耗を低減して、タイヤの耐久性を高めることができる。
ここで、連通溝部のタイヤ半径方向に対するタイヤ周方向への傾斜角度を、2度以上、30度以下としたときは、陸部に生じるヒールアンドトウ摩耗を、効率的に低減することができる。
また、周方向溝の底面の、連通溝部が開口することにより剛性が低下する位置に、溝内陸部を設けることにより、溝内陸部が設けられる部分と溝内溝部が設けられる部分との剛性差を緩和し、トレッド面に生じる多角形摩耗を抑制することができる。
さらに、連通溝部の陸部の表面からのタイヤ半径方向の深さ寸法を、気室部の陸部の表面からのタイヤ半径方向の深さ寸法よりも小さくしたときには、気室部により騒音を低減しつつ、連通溝部が設けられることによる陸部の剛性低下を抑えてタイヤの操縦安定性を高めることができる。
以下に図面を参照しつつ、この発明の実施の形態について例示説明する。
図1に示す本発明の一実施の形態であるタイヤ1は、空気入りタイヤであり、図示は省略するが、一対のビード部のそれぞれに埋設した各ビードコアと、それぞれのビード部からサイドウォール部を経てトレッド部まで延在する一枚以上のプライからなる、たとえばラジアル構造のカーカスと、カーカスのタイヤ半径方向外側に配置したベルトと、該ベルトのタイヤ半径方向外側に配設されて、外周側にトレッド表面(踏面)を有するトレッドゴム等とを備えている。このタイヤ1は、回転方向指定タイプとすることができ、指定された回転方向に回転したときに、所望の性能を発揮するようになっている。図1、図2においては、指定のタイヤ回転方向を矢印で示している。なお、タイヤ1の回転方向の指定は必須ではなく、たとえ回転方向が指定されていなくても、図示の回転方向で用いることにより、本発明の効果を得ることができる。タイヤの指定回転方向は、例えば、タイヤサイドウォールに記載される。
図1に示すように、このタイヤ1のトレッド表面2には、3本の周方向溝3,4,5が設けられている。これらの周方向溝3,4,5は、それぞれタイヤ周方向に沿って真っ直ぐに、タイヤ全周に亘って連続して延びている。タイヤ幅方向中央にある周方向溝3はセンター溝とも呼ばれるものであり、所定深さの矩形断面に形成されている。一方、センターの周方向溝3に対してタイヤ幅方向両側に配置される一対の周方向溝4,5は、それぞれ矩形の断面に形成されるが、その底面4b,5bには、タイヤ幅方向内側となる内壁4a,5aに連ねて、溝内の排水性を高めるために、溝内溝部6と溝内陸部7とが、タイヤ周方向に沿って交互に等間隔に設けられている。なお、センターの周方向溝3の溝幅は、その両側に配置される周方向溝4,5の溝幅よりも狭くなっている。
溝内陸部7は、周方向溝4,5の内壁4a,5aから、タイヤ幅方向外側に向けて突出するとともに、タイヤ回転方向の後方側に向けて傾斜している。また、溝内陸部7の上面7aは、周方向溝4,5の開口端側から当該周方向溝4,5の底面4b,5bの側に向けて凹形状に湾曲しており、この上面7aと周方向溝4,5の底面4b,5bとの間は内壁4a,5aに平行な垂直面7bとなっている。垂直面7bは、周方向溝4,5のタイヤ幅方向外側の内壁4c,5cに間隔を空けて対向しており、当該垂直面7bと内壁4c,5cとの間は、溝内陸部7が設けられない断面矩形の連続溝となっている。タイヤ1のトレッド表面2の摩耗が進み、踏面が当該連続溝の開口部分にまで摩耗しても、当該垂直面7bと内壁4c,5cおよび底面4b,5bで区画された連続溝により、タイヤ1の排水性が確保される。
溝内溝部6は、それぞれ、隣り合う溝内陸部7の間に区画形成され、周方向溝4,5の溝内空間の一部を構成している。つまり、溝内陸部7は溝内溝部6よりも深さが浅くなっている。
トレッド表面2には、3本の周方向溝3,4,5により区画されて、タイヤ幅方向に間隔を空けて並ぶ4つの陸部8,9,10,11が設けられている。これらの陸部8,9,10,11は、それぞれタイヤ周方向に沿ってタイヤ全周に亘って連続して延びており、タイヤ中央側に配置される2つの陸部8,9は、それぞれリブ状に形成されたリブ状陸部8,9となっており、タイヤ幅方向両側に配置される2つの陸部10,11は、それぞれショルダー陸部10,11となっている。
リブ状陸部8,9には、車両走行時にトレッド表面2が路面に接し、周方向溝4,5と路面とで区画される空間内に気柱管共鳴が生じたときに、この気柱管共鳴を抑制してタイヤ騒音を低減するために、共鳴器12が設けられている。図示する場合では、リブ状陸部8,9には、それぞれタイヤ周方向に等間隔に並べて複数の共鳴器12が設けられている。
次に、図1に基づいて、リブ状陸部8に設けられた本発明の共鳴器12の構成について説明する。
図1に示すように、これらの共鳴器12は、気室部13と連通溝部14とを備えたヘルムホルツ型共鳴器となっている。気室部13は、タイヤ半径方向内側に向かって凹み、リブ状陸部8の表面に開口するとともに、その開口に向けて溝幅が徐々に拡大する細長い溝状に形成されている。これらの気室部13の、リブ状陸部8の表面からタイヤ半径方向に向けて測定した深さ寸法は、周方向溝4の当該深さ寸法よりも深くなっている。また、気室部13は、タイヤ回転方向の後方側から前方側に向かうにつれて、徐々にタイヤセンター側に向かう方向に傾斜して配置されている。気室部13は、トレッド表面2つまりリブ状陸部8の表面が路面に接し、その開口が路面により閉塞されると、当該路面とともに所定の容積の気室を形成する。
なお、本実施の形態では、気室部13は細長い溝状に形成されるが、リブ状陸部8に開口する凹形状に形成されて、リブ状陸部8の表面が路面に接したときに、路面とともに所定の容積の気室を形成することができる形状であれば、例えば矩形の凹部など、他の形状に形成することもできる。
気室部13の、タイヤ幅方向外側となる開口縁部13aは、ラウンド処理されている。つまり、気室部13は、その開口の一方の開口縁部13aが丸められることにより、その溝幅が開口に向けて徐々に拡大されている。また、気室部13の開口縁部13aのラウンド処理は、タイヤ回転方向の後方側から前方側に向けて徐々に丸み半径が大きくなるように形成されている。したがって、気室部13はタイヤ周方向に対して傾斜して延びるが、そのタイヤ幅方向外側の開口縁部13aは、図1に示すように、タイヤ周方向に平行となっている。
このようなラウンド処理を気室部13の開口縁部13aに施すことにより、気室部13の機能を損なうことなく、気室部13への小石等の噛み込みを抑制することができる。
リブ状陸部8の表面には、気室部13と同一ピッチで、複数の凹溝15が、気室部13間に跨る位置に配置されている。これらの凹溝15が設けられることにより、複数の気室部13が設けられたリブ状陸部8の剛性がタイヤ周方向について均一化される。
一方、連通溝部14は、リブ状陸部8の表面に開口する細溝状に形成されており、その一端は気室部13の、タイヤ回転方向の後方側となる後端部に連なり、その他端は、周方向溝4に連なっている。つまり、連通溝部14は、気室部13を周方向溝4に連通させている。連通溝部14は、気室部13の一端から、タイヤ幅方向に対して、図1の展開図で、約30度の角度で、タイヤ回転方向の後方側に向けて延びており、気室部13と周方向溝4との間でリブ状陸部8を横断している。つまり、連通溝部14は、タイヤ周方向に対して傾斜して延びている。なお、連通溝部14の溝幅は、気室部13の溝幅よりも狭くなっている。
連通溝部14は、周方向溝4の側においては、周方向溝4の底面4bに設けられた溝内陸部7で当該周方向溝4に開口している。周方向溝4の底面4bの、連通溝部14が開口することにより剛性が低下する位置に、溝内陸部7を設けることにより、溝内陸部7が設けられる部分と溝内溝部6が設けられる部分との剛性差を緩和することができる。これにより、トレッド表面2、特にリブ状陸部8の表面の、タイヤ周方向(タイヤ回転方向)についての剛性差を緩和して、当該剛性差により生じるトレッド表面2やリブ状陸部8の表面の多角形摩耗を抑制することができる。なお、溝内陸部7の上面7aがリブ状陸部8の表面よりも低い場合には、連通溝部14を、周方向溝4の内壁4aの溝内陸部7が設けられた範囲の部分、つまり、周方向溝4の内壁4aの溝内陸部7の上面7aとリブ状陸部8の表面との間の部分に開口させるようにしてもよい。
連通溝部14の、リブ状陸部8の表面からタイヤ半径方向に測った深さ寸法は、リブ状陸部8の表面からタイヤ半径方向に測った気室部13の深さ寸法よりも小さくされている。本実施の形態においては、連通溝部14の深さ寸法は、気室部13の深さ寸法の約1/2とされている。連通溝部14の深さ寸法を気室部13の深さ寸法よりも小さくすることにより、気室部13に所望の容積を確保してタイヤ騒音を低減しつつ、連通溝部14が設けられるリブ状陸部8の剛性低下を最小限に抑えて、このタイヤ1が装着された車両の操縦安定性を高めることができる。
さらに、図示する場合では、連通溝部14をタイヤ幅方向に対して約30度の角度で配置しているが、連通溝部14をタイヤ幅方向に対して、0度以上、45度以下とすることができる。連通溝部14のタイヤ幅方向に対する角度を小さくすると、共鳴器12のタイヤ周方向寸法を小さくして、多数の共鳴器12を効率よくリブ状陸部8に配置することができる。一方で、連通溝部14のタイヤ幅方向に対する角度を45度に近づけると、雨天時の車両走行時等における連通溝部14の排水性を高めることができる。なお、連通溝部14は、気室部13の一端ではなく、その中間部分に連ねることもできる。
連通溝部14は、トレッド表面2つまりリブ状陸部8の表面が路面に接したときに、気室部13と路面とで形成される気室と、周方向溝4と路面とで形成される空間とを連通する通路として機能する。したがって、車両走行時に、周方向溝4と路面とで形成された空間内で気柱管共鳴が生じても、連通溝部14と気室部13とからなるヘルムホルツ型の共鳴器12により、気柱管共鳴を抑制ないし吸収して、周方向溝4から発せられるタイヤ騒音を低減することができる。
この共鳴器12が抑制ないし吸収できる気柱管共鳴の振動数は、連通溝部14の容積と気室部13の容積との比を変更することで、調整することができる。なお、本実施の形態では、連通溝部14の容積は気室部13の容積よりも小さくされている。
ここで、図2に示すように、本発明の連通溝部14は、タイヤ半径方向に対して、タイヤ周方向に傾斜して設けられている。つまり、連通溝部14は、図2中に矢印で示す、タイヤ回転方向に対して、その開口が底部よりも回転方向の後方側となるような方向に、角度αだけ傾斜している。連通溝部14がタイヤ半径方向に対してタイヤ周方向に傾斜して設けられることにより、複数の連通溝部14を境界として、踏み込み側の部分と蹴り出し側の部分を有する複数の陸部領域に分割されるリブ状陸部8の、タイヤ回転方向の後方側となる蹴り出し側の部分の断面形状は鋭角となり、リブ状陸部8のタイヤ回転方向の前方側となる踏み込み側の部分に対して、リブ状陸部8の蹴り出し側の剛性が低くなる。
したがって、通常、陸部が溝等によって踏み込み側の部分と蹴り出し側の部分とを有する領域に分けられた場合には、踏み込み側の部分よりも蹴り出し側の部分の摩擦が大きくなって、陸部にヒールアンドトウ摩耗(H/T摩耗)が生じるが、本発明のタイヤ1では、連通溝部14をタイヤ半径方向に対してタイヤ周方向に傾斜させて、リブ状陸部8の蹴り出し側の部分の剛性を、踏み込み側の部分の剛性よりも低くしているので、剛性の低い蹴り出し側の部分におけるリブ状陸部8の路面に対する摩擦を、踏み込み側の部分における摩擦よりも小さくして、蹴り出し側の部分と踏み込み側の部分の摩耗度合いを均一化することができる。そして、これにより、連通溝部14を挟んでリブ状陸部8に生じるヒールアンドトウ摩耗を低減して、タイヤ1の耐久性を高めることができる。
連通溝部14のタイヤ半径方向に対する傾斜角度αは任意に設定することができるが、好ましくは、2度以上、30度以下の範囲に設定することができ、より好ましくは2度以上、10度以下、本実施の形態では10度に設定される。連通溝部14の傾斜角度αが2度未満であると、ヒールアンドトウ摩耗を十分に抑制することができない。一方、連通溝部14の傾斜角度αが30度超であると、リブ状陸部8の蹴り出し側の部分の剛性が低くなり過ぎ、リブ状陸部8の破損を生じるおそれがある。したがって、連通溝部14のタイヤ半径方向に対するタイヤ周方向への傾斜角度αは、上記範囲に設定するのが好ましい。なお、連通溝部14の傾斜角度は、その開口の幅方向中心と底面の幅方向中心とを結ぶ直線がタイヤ半径方向に対してなす角度として測定する。
次に、本発明のタイヤを試作し、その性能を評価したので以下に説明する。
実施例タイヤ1〜4は、それぞれ、図1に示すトレッド表面2を有するものとし、実施例タイヤ5は、図1に示すトレッド表面2において溝内溝部6が設けられないものとする。実施例タイヤ1では、連通溝部14の傾斜角度αを2度、実施例タイヤ2では、連通溝部の傾斜角度αを10度、実施例タイヤ3では、連通溝部14の傾斜角度αを30度、実施例タイヤ4では、連通溝部14の傾斜角度αを40度、実施例タイヤ5では、連通溝部14の傾斜角度αを10度とした。
一方、比較例タイヤは、図1に示すトレッド表面2を有するが、その連通溝部14の傾斜角度αを0度つまり連通溝部14にタイヤ半径方向に対する角度を設けていない構成とした。
これらの供試タイヤにつき、走行距離5000kmの摩耗ドラム試験を行い、ヒールアンドトウ摩耗量(H/T量)を測定するとともに、各供試タイヤの車両走行時に生じるノイズ、悪路での耐ブロックもげ性(悪路耐久性)および操縦安定性について評価した。その結果を表1に示す。なお、表1においては、摩耗後ノイズと操縦安定性の評点は、10段階のフィーリング評価としている。
表1に示す結果から明らかなように、連通溝部14をタイヤ半径方向に対してタイヤ周方向に傾斜させるようにした実施例タイヤ1〜5は、連通溝部14をタイヤ半径方向に対して傾斜させない比較例タイヤに比べて、車両走行時に生じるノイズを増加させたり、操縦安定性を低下させたりすることなく、ヒールアンドトウ摩耗量が低減されていることが解る。
実施例タイヤ4は、ヒールアンドトウ摩耗量を低減することはできるが、連通溝部14の傾斜角度αが大き過ぎて、リブ状陸部8,9の蹴り出し側の部分の剛性が弱くなり、実施例タイヤ1〜3に比べて、悪路耐久性が悪化している。
したがって、連通溝部14のタイヤ半径方向に対する傾斜角度αを、2度以上、30度以下の範囲に設定することにより、ノイズや悪路耐久性を悪化させることなく、ヒールアンドトウ摩耗量を低減できることが解った。
また、連通溝部14の傾斜角度αが共に10度である実施例タイヤ2と実施例タイヤ5とを比べると、溝内溝部6が設けられる実施例タイヤ2に対して、溝内溝部6が設けられない実施例タイヤ5の操縦安定性が低下していることが解る。つまり、周方向溝5の内部に溝内溝部6を設けることにより、タイヤの操縦安定性を高めることができることが解った。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば、前記実施の形態においては、トレッド表面2に3本の周方向溝3,4,5を設けて4つの陸部8,9,10,11を設けるようにしているが、これに限らず、トレッド表面2に少なくとも1本の周方向溝が設けられていればよく、その本数は任意に設定することができる。また、各周方向溝3,4,5は、タイヤ全周に亘って周方向に延びていれば、タイヤ周方向に沿って真っ直ぐに延びる形態に限らず、例えば、ジグザグ状の延在形態、鋸歯状、波形状、クランク状の延在形態などとすることもできる。
また、前記実施の形態においては、共鳴器12として、ヘルムホルツ型の共鳴器を採用しているが、これに限らず、気室部と連通溝部とを備えた共鳴器であれば、例えば、サイドブランチ型の共鳴器など、他の形式の共鳴器を採用してもよい。
1 タイヤ(空気入りタイヤ)
2 トレッド表面
3 周方向溝(センター溝)
4 周方向溝
4a 内壁
4b 底面
4c 内壁
5 周方向溝
5a 内壁
5b 底面
5c 内壁
6 溝内溝部
7 溝内陸部
7a 上面
7b 垂直面
8,9 陸部(リブ状陸部)
10,11 陸部(ショルダー陸部)
12 共鳴器
13 気室部
14 連通溝部
15 凹溝
α 連通溝部の角度
2 トレッド表面
3 周方向溝(センター溝)
4 周方向溝
4a 内壁
4b 底面
4c 内壁
5 周方向溝
5a 内壁
5b 底面
5c 内壁
6 溝内溝部
7 溝内陸部
7a 上面
7b 垂直面
8,9 陸部(リブ状陸部)
10,11 陸部(ショルダー陸部)
12 共鳴器
13 気室部
14 連通溝部
15 凹溝
α 連通溝部の角度
Claims (3)
- トレッド表面に、タイヤ全周に亘って延びる周方向溝と、該周方向溝により区画された陸部とが設けられたタイヤであって、
前記陸部に、該陸部の表面に開口する凹形状の気室部と、タイヤ周方向に対して傾斜して延びて、該気室部を前記周方向溝に連通させる連通溝部と、を備えた共鳴器が設けられ、
前記連通溝部が、その開口が底部よりもタイヤ回転方向の後方側となるように、タイヤ半径方向に対してタイヤ周方向に傾斜していることを特徴とするタイヤ。 - 前記周方向溝の底面に、溝内溝部と、該溝内溝部よりも深さの浅い溝内陸部とが、タイヤ周方向に沿って交互に設けられ、前記連通溝部が、前記周方向溝の内壁の、前記溝内陸部が設けられた部分で開口する、請求項1記載のタイヤ。
- 前記連通溝部の前記陸部の表面からのタイヤ半径方向の深さ寸法が、前記気室部の前記陸部の表面からのタイヤ半径方向の深さ寸法よりも小さい、請求項1または2に記載のタイヤ。
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