JP2014083834A - 太陽電池用ポリマーシートおよび太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリマー支持体上に、屈折率が1.55以下であるポリマーと屈折率が1.8以上である微粒子とを含有する第1のポリマー層と、前記第1のポリマー層上に積層され、屈折率が1.55以下であるポリマーと屈折率が1.8以上である微粒子とを含有する第2のポリマー層とを有し、前記第2のポリマー層は最外層であって、前記第1のポリマー層の微粒子の含有量W1(単位:g/m2)と前記第2のポリマー層の微粒子の含有量W2(単位:g/m2)の比W1/W2が5.0〜50.0である太陽電池用ポリマーシート。
【選択図】図2
Description
太陽電池モジュールのオモテ面側シート(フロントシート)は雹や霰が衝突しても破損しない強度が要求されるため主として強化ガラスが用いられている。
これに対して裏面側のシート(バックシート)は従来ガラスやフッ素樹脂シートが用いられていたが、近年ではポリエステル、ポリスチレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド等も用いられるようになってきている。この中で、コストや耐久性の観点からポリエステルは好ましい支持体である。
また、太陽電池用バックシートは製造工程中及びモジュールとして設置された後、配線やフレームなどの金属と接触する場合があり、傷が起因となって劣化が進むことが判明しており、近年ではさらに耐擦傷性の重要性は増している。
[1] ポリマー支持体上に、少なくとも屈折率が1.55以下であるポリマーと屈折率が1.8以上である微粒子とを含有する第1のポリマー層と、前記第1のポリマー層上に積層され、少なくとも屈折率が1.55以下であるポリマーと屈折率が1.8以上である微粒子とを含有する第2のポリマー層とを有し、前記第2のポリマー層は最外層であって、前記第1のポリマー層の微粒子の含有量W1(単位:g/m2)と前記第2のポリマー層の微粒子の含有量W2(単位:g/m2)の比W1/W2が5.0〜50.0であることを特徴とする太陽電池用ポリマーシート。
[2] [1]に記載の太陽電池用ポリマーシートは、前記第2のポリマー層がフッ素ポリマーおよびシリコーンポリマーから選択される少なくとも1種のポリマーを含有することが好ましい。
[3] [1]または[2]に記載の太陽電池用ポリマーシートは、前記第1のポリマー層がフッ素ポリマーおよびシリコーンポリマーから選択される少なくとも1種のポリマーを含有することが好ましい。
[4] [1]に記載の太陽電池用ポリマーシートは、前記第2のポリマー層の厚さが0.50〜30.0μmであることが好ましい。
[5] [1]〜[4]のいずれか一項に記載の太陽電池用ポリマーシートは、前記第2のポリマー層の微粒子の含有量W2(単位:g/m2)が0.1g/m2〜2.0g/m2であることが好ましい。
[6] [1]〜[5]のいずれか一項に記載の太陽電池用ポリマーシートは、前記第1のポリマー層の微粒子の含有量W1(単位:g/m2)が4.0g/m2〜12.0g/m2であることが好ましい。
[7] [1]〜[6]のいずれか一項に記載の太陽電池用ポリマーシートは、前記屈折率が1.8以上である微粒子の平均粒径が0.1μm以上5.0μm以下であることが好ましい。
[8] [1]〜[7]のいずれか一項に記載の太陽電池用ポリマーシートは、前記屈折率が1.8以上である微粒子が酸化チタンであることが好ましい。
[9] [1]〜[8]のいずれか1項に記載の太陽電池用ポリマーシートを備えたことを特徴とする太陽電池モジュール。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明の太陽電池用ポリマーシートは、ポリマー支持体上に、少なくとも屈折率が1.55以下であるポリマーと屈折率が1.8以上である微粒子とを含有する第1のポリマー層と、前記第1のポリマー層上に積層され、少なくとも屈折率が1.55以下であるポリマーと屈折率が1.8以上である微粒子とを含有する第2のポリマー層とを有し、前記第2のポリマー層は最外層であって、前記第1のポリマー層の微粒子の含有量W1(単位:g/m2)と前記第2のポリマー層の微粒子の含有量W2(単位:g/m2)の比W1/W2が5.0〜50.0であることを特徴とする。
このような構成により、意匠性と耐擦傷性が両立された太陽電池用ポリマーシートを提供することができる。
本発明の太陽電池用ポリマーシートは、前記第1のポリマー層の微粒子の含有量W1(単位:g/m2)と前記第2のポリマー層の微粒子の含有量W2(単位:g/m2)の比W1/W2が5.0〜50.0である。
いかなる理論に拘泥するものでもないが、W1/W2が5未満であると単層構成に近づくため、単層中の微粒子量を変化させているのと変わらなくなり、微粒子含有量が多い場合、積層膜としての脆性が増加するため、耐擦傷性が低下してしまう。また微粒子含有量が少ない場合、バインダー由来の光沢感が生じるため、意匠性の改善(特に外観故障低減)の効果が得られない。このため、意匠性と耐擦傷性の両立が不可能となる。
W1/W2が50以上であると、第2のポリマー層に含まれる微粒子量が実質ゼロになるか、あるいは、第1のポリマー層に含まれる微粒子量が過大となるため、意匠性の改善(特に外観故障低減)効果が得られない。具体的に場合分けをして説明すると、酸化チタン合計量をある範囲に維持した状態でW1/W2を50以上とすると、第2のポリマー層に含まれる微粒子量が実質ゼロになり、バインダー由来の光沢感が生じるため、特開2012−69769号公報の構成と同様に意匠性の改善(特に外観故障の低減)効果が得られない。一方、前記第2のポリマー層に含まれる酸化チタンの量をある範囲に維持した状態でW1/W2を50以上にすると、第1のポリマー層に含まれる酸化チタン量が過大となるため、空隙が生じ、膜としての強度に関して脆性が増加するために耐擦傷性が低下してしまい、場合によっては下層との密着力を保持できない上、コストアップを招く観点からも好ましくない。なお、W1/W2が50以下であることは、太陽電池用ポリマーシートが水分等で劣化し難くなる観点からも好ましい。
本発明の太陽電池用ポリマーシートのポリマー支持体としてはポリエステル、ポリスチレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド等が使用できるがコスト、機械安定性や耐久性の観点からボリエステルが好ましい。
前記ポリマー支持体に好ましく使用できるポリエステルとしては、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体とジオール又はそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルが挙げられる。かかるポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどを挙げることができる。このうち、力学的物性やコストのバランスの点で、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)が特に好ましい。
ポリエステル中のカルボキシル基含量は、重合触媒種、製膜条件(製膜温度や時間)、固相重合、添加剤(末端封止剤等)により調整することが可能である。
前記末端封止剤はエポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、カーボネート化合物等が挙げられるが、PETと親和性の高いカルボジイミドが好ましい。
このような末端封止剤は高分子量であることが、製膜中の揮散防止の観点から好ましい。具体的には、特開2011−136550、特開2002−26354、特開2003−60218、特開2007−136911、特開2007−204535、特開2008−85270、特開2008−130642、特開2008−166338、特開2008−311680、WO07/40039、WO07/105306、WO08/69024、特開2010−141291、特開2010−163613、特開2010−189558、特開2010−192743、特開2010−202837、特開2010−212272、特開2010−229240、特開2010−235824、特開2010−260903、特開2010−280189、特開2011−6659、特開2011−21180、特開2011−80057、特開2011−97014、特開2011−116938、特開2011−119651、特開2011−140529、特開2011−140530、特開2011−144282、WO09/125701、特開2011−155109、特開2011−155110、特開2011−171399、特開2011−192789、特開2011−204842、特開2011−231211、特開2011−243761、特開2011−249756、特開2012−33967各号公報等を挙げることができる。また特開2011−153209号公報に記載の環状構造を持つカルボジイミドも揮散防止の観点から好ましい。
さらに、必要に応じて180〜230℃で1〜60秒間の熱処理を行ったものでもよい。
コロナ放電処理は、通常誘導体を被膜した金属ロール(誘電体ロール)と絶縁された電極間に高周波、高電圧を印加して、電極間の空気の絶縁破壊を生じさせることにより、電極間の空気をイオン化させて、電極間にコロナ放電を発生させる。そして、このコロナ放電の間を、支持体を通過させることにより行う。
本発明で用いる好ましい処理条件は、電極と誘電体ロールのギャップクリアランス1〜3mm、周波数1〜100kHz、印加エネルギー0.2〜5kV・A・分/m2程度が好ましい。
前記グロー放電処理において、プラズマを発生させる方法としては、直流グロー放電、高周波放電、マイクロ波放電等の方法を利用することができる。放電に用いる電源は直流でも交流でもよい。交流を用いる場合は30Hz〜20MHz程度の範囲が好ましい。
交流を用いる場合には50又は60Hzの商用の周波数を用いてもよいし、10〜50kHz程度の高周波を用いてもよい。また、13.56MHzの高周波を用いる方法も好ましい。
前記グロー放電処理で用いるプラズマガスとして、酸素ガス、窒素ガス、水蒸気ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の無機ガスを使用することができ、特に、酸素ガス、または、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスが好ましい。具体的には、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを使用することが望ましい。酸素ガスとアルゴンガスを用いる場合、両者の比率としては、分圧比で酸素ガス:アルゴンガス=100:0〜30:70位、より好ましくは、90:10〜70:30位が好ましい。また、特に気体を処理容器に導入せず、リークにより処理容器にはいる大気や被処理物から出る水蒸気などの気体をプラズマガスとして用いる方法も好ましい。
プラズマガスの圧力としては、非平衡プラズマ条件が達成される低圧が必要である。具体的なプラズマガスの圧力としては、0.005〜10Torr、より好ましくは0.008〜3Torr程度の範囲が好ましい。プラズマガスの圧力が0.005Torr未満の場合は接着性改良効果が不充分な場合があり、逆に10Torrを超えると電流が増大して放電が不安定になる場合がある。
プラズマ出力としては、処理容器の形状や大きさ、電極の形状などにより一概には言えないが、100〜2500W程度、より好ましくは、500〜1500W程度が好ましい。
前記グロー放電処理の処理時間は0.05〜100秒、より好ましくは0.5〜30秒程度が好ましい。処理時間が0.05未満の場合には接着性改良効果が不充分な場合があり、逆に100秒を超えると被処理フィルムの変形や着色等の問題が生じる場合がある。
前記グロー放電処理の放電処理強度はプラズマ出力と処理時間によるが、0.01〜10kV・A・分/m2の範囲が好ましく、0.1〜7kV・A・分/m2がより好ましい。
放電処理強度を0.01kV・A・分/m2以上とすることで充分な接着性改良効果が得られ、10kV・A・分/m2以下とすることで被処理フィルムの変形や着色といった問題を避けることができる。
前記グロー放電処理では、あらかじめ被処理フィルムを加熱しておくことも好ましい。この方法により、加熱を行わなかった場合に比べ、短時間で良好な接着性が得られる。加熱の温度は40℃〜被処理フィルムの軟化温度+20℃の範囲が好ましく、70℃〜被処理フィルムの軟化温度の範囲がより好ましい。加熱温度を40℃以上とすることで充分な接着性の改良効果が得られる。また、加熱温度を被処理フィルムの軟化温度以下とすることで処理中に良好なフィルムの取り扱い性が確保できる。
真空中で被処理フィルムの温度を上げる具体的方法としては、赤外線ヒーターによる加熱、熱ロールに接触させることによる加熱などが挙げられる。
本発明の太陽電池用ポリマーシートは、ポリマー支持体上に、少なくとも屈折率が1.55以下であるポリマーと屈折率が1.8以上である微粒子とを含有する第1のポリマー層を有し、前記第1のポリマー層の微粒子の含有量W1(単位:g/m2)と後述する第2のポリマー層の微粒子の含有量W2(単位:g/m2)の比W1/W2が5.0〜50.0である。本明細書中、前記第1のポリマー層のことを、裏面層ともいう。
本発明の太陽電池用ポリマーシートは、外側面(太陽電池セルの反対側の面)に前記ポリマー支持体を保護するための裏面層を設ける。
前記第1のポリマー層は、屈折率が1.8以上である微粒子を含む。屈折率が1.8以上である微粒子としては特に制限はないが、例えば、酸化チタン、チタン酸鉛、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化アルミ、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫化カドミウム、チタンイエロー、チタンブラック、窒化シリコンなどを挙げることができる。また、これらの微粒子の2種以上の混合物を用いることもできる。なお、硫酸バリウムは屈折率が1.8未満であり、屈折率が1.8以上である微粒子としては用いられない。
前記第1のポリマー層に用いられる屈折率が1.8以上である微粒子の屈折率は、2.0以上であることが好ましく、2.4以上であることがより好ましい。
これらの中でも、前記屈折率が1.8以上である微粒子としては、コスト、安全性の面から酸化チタンが特に好ましい。
なお、前記屈折率が1.8以上である微粒子として酸化チタンを用いる場合は、顔料や紫外線吸収剤の奏する効果を兼ねることができる。
前記第1のポリマー層は、屈折率が1.55以下であるポリマーを含有する。
前記第1のポリマー層に用いられる屈折率が1.55以下であるポリマーとしては特に制限はないが、例えばフッ素ポリマー、シリコーンポリマー、屈折率を低く制御したポリエステル(例えば、特開2008−18652号公報に記載の芳香族ポリエステル樹脂であるファインテックスES650など)、ウレタンポリマー、アクリル樹脂、などを挙げることができる。また、これらのポリマーの2種以上の混合物を用いることもできる。
なお、ポリエステルの中でも一般的なポリマーの屈折率について、ポリエチレンナフタレートは屈折率1.66、ポリエチレンテレフタレートは屈折率1.576、ポリブチレンフタレートは屈折率1.57、ポリアリレートは屈折率1.59〜1.61、ポリカーボネートは屈折率1.584程度であり、前記屈折率が1.55以下であるポリマーとして用いられるものではない。
以下、前記シリコーン系複合ポリマーと、前記フッ素ポリマーの好ましい態様について説明する。
前記シリコーン系複合ポリマー(以降「複合ポリマー」と言う場合がある)は、分子中に−(Si(R1)(R2)−O)n−部分と該部分に共重合するポリマー構造部分を含むポリマーである。
R1及びR2で表される「Si原子と共有結合可能な1価の有機基」としては、例えば、置換又は無置換のアルキル基(例:メチル基、エチル基など)、置換又は無置換のアリール基(例:フェニル基など)、置換又は無置換のアラルキル基(例:ベンジル基、フェニルエチルなど)、置換又は無置換のアルコキシ基(例:メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基など)、置換又は無置換のアリールオキシ基(例:フェノキシ基など)、置換又は無置換のアミノ基(例:アミノ基、ジエチルアミノ基など)、メルカプト基、アミド基、水素原子、ハロゲン原子(例:塩素原子など)等が挙げられる。
中でも、R1、R2としては各々独立に、無置換の又は置換された炭素数1〜4のアルキル基(特にメチル基、エチル基)、無置換の又は置換されたフェニル基、メルカプト基、無置換のアミノ基、アミド基が好ましい。
複合ポリマーの−(Si(R1)(R2)−O)n−部分(ポリシロキサン部分)の比率は、複合ポリマーの全質量に対して15〜85質量%が好ましく、その中でも20〜80質量%の範囲が特に好ましい。
ポリシロキサン部位の比率は、15質量%未満であると湿熱環境下に曝された際の接着性が劣る場合があり、85質量%を超えると液が不安定になる場合がある。
複合ポリマーの−(Si(R1)(R2)−O)n−部分(ポリシロキサン部分)の分子量はポリスチレン換算重量平均分子量で30000〜1000000程度であるが、50000〜300000程度がより好ましい。
前記ポリシロキサン部分と共重合するポリマー構造部分としては、特に制限されるものではなく、アクリル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ゴム系ポリマーなどを用いることができる。このうち、耐久性の観点からアクリル系ポリマーは特に好ましい。
アクリル系ポリマーはこれらのモノマーの1種以上を重合したポリマーでホモポリマーでもコポリマーでもよい。
アクリルポリマーの具体例としては、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸共重合体、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/2−ビドロキシエチルメタアクリレート/メタクリル酸共重合体、メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/2−ビドロキシエチルメタアクリレート/メタクリル酸/γ−メタクリロキシトリメトキシシラン共重合体、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/グリシジルメタクリレート/アクリル酸共重合体等がある。
ポリウレタン系ポリマーの具体例としては、トルエンジイソシアネートとジエチレングリコールから得られるウレタン、トルエンジイソシアネートとジエチレングリコール/ネオペンチルグリコールから得られるウレタン、ヘキサメチレンジイソシアネートとジエチレングリコールから得られるウレタン等がある。
ポリエステル系ポリマーの具体例としては、テレフタル酸/イソフタル酸とジエチレングリコールから得られるポリエステル、テレフタル酸/イソフタル酸/スルホイソフタル酸とジエチレングリコールから得られるポリエステル、アジピン酸/イソフタル酸/スルホイソフタル酸とジエチレングリコールから得られるポリエステル等がある。
ゴム系ポリマーの具体例としては、ブタジエン/スチレン/メタクリル酸からなるゴム系ポリマー、ブタジエン/メチルメタクリレート/メタクリル酸からなるゴム系ポリマー、イソプレン/メチルメタクリレート/メタクリル酸からなるゴム系ポリマー、クロロプレン/アクリロニトリル/メタクリル酸からなるゴム系ポリマー等がある。
また、グラフト重合に用いる重合開始剤には特に制限はなく、過硫酸カリ、過硫酸アンモニウム、アゾビスイソブチロニトリルなどの公知の重合開始剤を用いることができる。
前記シリコーン系複合ポリマーは水系のポリマーをラテックスの形態とする場合、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、アミド基などの水親和性の官能基を持つものであることが好ましい。前記シリコーン系複合ポリマーがカルボキシル基を持つ場合、カルボキシル基はナトリウム、アンモニウム、アミンなどで中和されていてもよい。
また、ラテックスの形態で使用する場合、安定性を向上させるために界面活性剤(例:アニオン系やノニオン系界面活性剤)、ポリマー(例:ポリビニルアルコール)等の乳化安定剤を含有させてもよい。さらに、必要に応じてpH調整剤(例:アンモニア、トリエチルアミン、炭酸水素ナトリウム等)、防腐剤(例:1、3、5−ヘキサヒドロ−(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール等)、増粘剤(例:ポリアクリル酸ナトリウム、メチルセルロース等)、造膜助剤(例:ブチルカルビトールアセテート等)等のラテックスの添加剤として公知の化合物を添加してもよい。
本発明で前記屈折率が1.55以下であるポリマーとして好ましく用いることができるフッ素ポリマーは、主鎖又は側鎖にフッ素含有モノマーを含むポリマーである。
フッ素含有モノマーは主鎖、側鎖のどちらに含まれていてもよいが、耐久性の観点から主鎖に含まれている事が好ましい。
フッ素を含むモノマーの具体例としては、4フッ化エチレン、塩化3フッ化エチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、ヘキサフロロプロピレン、フッ素含有アルキルビニルエーテル(例:パーフロロエチルビニルエーテル)、フッ素含有エステル等(パーフロロブチルメタクリレート等)がある。
前記フッ素系ポリマーは必要に応じて非フッ素含有モノマーを共重合してもよい。これらのモノマーの具体例としてはエチレン、アルキルビニルエーテル(例:エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル)、カルボン酸(例:アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシブチメビニルエーテル等)がある。
前記フッ素系ポリマーのフッ素含有モノマーの割合は30質量%〜98質量%、より好ましくは40〜80質量%が好ましい。
フッ素含有モノマーの割合が30質量%未満の場合耐久性が不充分になる場合があり、98質量%を超えると重合が不安定になる場合がある。
乳化重合の方法には特に制限はなく、公知の乳化重合の方法を用いることができる。
例えば重合開始剤として、過硫酸カリ、過硫酸アンモニウム、アゾビスイソブチロニトリルなどの公知の重合開始剤を用いることができる。また、乳化剤として公知の界面活性剤を用いることができるが、CF3CF2CF2C(CF3)2CH2CH2COONH4、CF3CF2CF2C(CF3)2CH2CH2Na、CF3CF2CF2C(CF3)2CH2CH2NH4のようなフッ素系界面活性剤は特に好ましい。
さらに、ラテックスの形態で使用する場合、安定性を向上させるために界面活性剤(例:アニオン系やノニオン系界面活性剤)、ポリマー(例:ポリビニルアルコール)等の乳化安定剤を含有させてもよい。さらに、必要に応じてpH調整剤(例:アンモニア、トリエチルアミン、炭酸水素ナトリウム等)、防腐剤(例:1、3、5−ヘキサヒドロ−(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール等)、増粘剤(例:ポリアクリル酸ナトリウム、メチルセルロース等)、造膜助剤(例:ブチルカルビトールアセテート等)等のラテックスの添加剤として公知の化合物を添加してもよい。
前記フッ素系ポリマーは水系のポリマーをラテックスの形態とする場合、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、アミド基などの水親和性の官能基を持つものであることが好ましい。
前記第1のポリマー層には、前記ポリマー支持体への接着性を向上させるため架橋剤を添加する事が好ましい。架橋剤の種類については後述する反射層のところで述べるものを使用することができる。
前記第1のポリマー層には紫外線吸収剤を添加することが好ましい。
前記紫外線吸収剤の例としては、例えば、有機系の紫外線吸収剤の場合は、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤およびヒンダードアミン系等の紫外線安定剤などが挙げられる。具体的には、例えば、サリチル酸系のp−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、ベンゾフェノン系の2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン、ベンゾトリアゾール系の2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2Hベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、シアノアクリレート系のエチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート)、その他として、および2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、ヒンダードアミン系のビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、それ他として、ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、および2,4−ジ・t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ・t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。
また、無機系の紫外線吸収剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、などの金属酸化物や、カーボン、フラーレン、カーボンファイバー、カーボンナノチューブなどの炭素系成分等が挙げられる。
これらの中でコストと耐久性の観点から酸化チタンは特に好ましい。
前記第1のポリマー層に用いられる紫外線吸収剤添加量は紫外線吸収剤の種類によっても異なるが、0.2〜5g/m2、より好ましくは0.3〜3g/m2の範囲が好ましい。
前記第1のポリマー層に用いられるその他の添加剤の種類と添加量としては後述する反射層のところで述べるものを好ましく用いることができる。
前記第1のポリマー層(裏面層)の厚みは3〜12μmであることが好ましく、4〜12μmであることがより好ましく、5〜12μmであることが特に好ましい。前記第1のポリマー層の厚みを3〜12μmの範囲にすることで、必要な耐久性と接着性を両立することができる。
前記第1のポリマー層の形成方法としては特に制限はないが、塗布により形成することが好ましい。
前記第1のポリマー層を塗布により形成する場合の塗布方法、塗布溶媒、乾燥方法については後述する反射層のところで述べるものや方法を好ましく用いることができる。
本発明の太陽電池用ポリマーシートは、前記第1のポリマー層上に積層され、少なくとも屈折率が1.55以下であるポリマーと屈折率が1.8以上である微粒子とを含有する第2のポリマー層とを有し、前記第2のポリマー層は最外層であって、前記第1のポリマー層の微粒子の含有量W1(単位:g/m2)と前記第2のポリマー層の微粒子の含有量W2(単位:g/m2)の比W1/W2が5.0〜50.0である。また、本明細書中、前記第2のポリマー層のことを、裏面保護層ともいう。
前記第2のポリマー層は、屈折率が1.8以上である微粒子を含む。
前記第2のポリマー層に用いられる屈折率が1.8以上である微粒子としては特に制限はなく、前記第1のポリマー層に用いられる屈折率が1.8以上である微粒子の例として挙げたものを用いることができ、酸化チタンを好ましく用いることができる。
前記第2のポリマー層に用いられる屈折率が1.8以上である微粒子の屈折率の好ましい範囲は、前記第1のポリマー層に用いられる屈折率が1.8以上である微粒子の屈折率の好ましい範囲と同様である。
前記第2のポリマー層は、屈折率が1.55以下であるポリマーを含有する。
前記第2のポリマー層に用いられる屈折率が1.55以下であるポリマーとしては特に制限はなく、前記第1のポリマー層に用いられる屈折率が1.55以下であるポリマーの例として挙げたものを用いることができる。
これらの中でもフッ素ポリマーおよびシリコーンポリマーから選択される少なくとも1種のポリマーを含有することが好ましく、耐久性の観点からフッ素ポリマーがより好ましい。前記フッ素ポリマーの好ましい態様は、前記第1のポリマー層に用いられる屈折率が1.55以下であるポリマーとして説明したフッ素ポリマーの好ましい態様と同じである。
前記第2のポリマー層には、前記ポリマー支持体または前記第1のポリマー層への接着性を向上させるため架橋剤を添加する事が好ましい。架橋剤の種類については後述する反射層のところで述べるものを使用することができる。
架橋剤の含有量としては、裏面保護層を構成するバインダーに対して、5質量%〜40質量%が好ましく、10質量%〜30質量%がより好ましい。架橋剤の含有量が、5質量%以上であると、接着性を保持しながら充分な架橋効果が得られ、40質量%以下とすると塗布液のポットライフをより長く保つことができる。
前記第2のポリマー層には必要に応じてすべり剤を添加してもよい。
すべり剤としては、例えば、合成ワックス系化合物、天然ワックス系化合物、界面活性剤系化合物、無機系化合物、有機樹脂系化合物などが挙げられる。中でも、ポリマー層の表面強度の点で、合成ワックス系化合物、天然ワックス系化合物、及び界面活性剤系化合物から選ばれる化合物が好ましい。
前記合成ワックス系化合物としては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のオレフィン系ワックス、ステアリン酸、オレイン酸、エルカ酸、ラウリン酸、ベヘン酸、パルミチン酸、アジピン酸などのエステル、アミド、ビスアミド、ケトン、金属塩及びその誘導体、フィッシャートロプシュワックスなどの合成炭化水素系ワックス、リン酸エステル、硬化ヒマシ油、硬化ヒマシ油誘導体の水素化ワックスなどが挙げられる。
前記天然ワックス系化合物としては、例えば、カルナバワックス、キャンデリラワックス、木蝋などの植物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの石油系ワックス、モンタンワックスなどの鉱物系ワックス、蜜蝋、ラノリンなどの動物系ワックスなどが挙げられる。
前記界面活性剤系化合物としては、例えば、アルキルアミン塩などのカチオン系界面活性剤、アルキル硫酸エステル塩などのアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどのノニオン系界面活性剤、アルキルベタインなどの両性系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
すべり剤は、上市されている市販品を用いてもよく、具体的には、合成ワックス系のすべり剤として、例えば、三井化学(株)製のケミパールシリーズ(例えば、ケミパールW700、同W900、同W950等)、中京油脂(株)製のポリロンP−502、ハイミクロンL−271、ハイドリンL−536などが挙げられる。また、天然ワックス系の滑剤として、例えば、中京油脂(株)製のハイドリンL−703−35、セロゾール524、セロゾールR−586などが挙げられる。
界面活性剤系のすべり剤として、例えば、日光ケミカルズ(株)製のNIKKOLシリーズ(例えば、NIKKOL SCS等)、花王(株)製のエマールシリーズ(例えば、エマール40など)が挙げられる。
前記第2のポリマー層には必要に応じてコロイダルシリカを添加してもよい。
本発明で使用できるコロイダルシリカは、ケイ素酸化物を主成分とする微粒子が水または単価のアルコール類またはジオール類またはこれらの混合物を分散媒として微粒子状態で存在するものである。
コロイダルシリカ粒子の粒子径は平均一次粒径が数nm〜100nm程度である。
コロイダルシリカ粒子の形状は球形であってもよいし、これらが数珠状に連結したものでもよい。
コロイダルシリカ粒子の具体的としては、たとえば日産化学工業(株)製のスノーテックスST−20、ST−30、ST−40、ST−C、ST−N、ST−20L、ST−O、ST−OL、ST−S、ST−XS、ST−XL、ST−YL、ST−ZL、ST−OZL、ST−AK、スノーテックス−AKシリーズ、スノーテックス−PSシリーズ、スノーテックス−UP等を挙げることができる。
前記第2のポリマー層のその他の添加剤の種類と添加量としては後述する反射層のところで述べたものを好ましく用いることができる。
前記第2のポリマー層の厚みは1.0μm〜15.0μmであることが好ましく、1.5μm〜5.0μmであることがより好ましい。前記第2のポリマー層の厚みが1.0μm以上になると耐久性が充分になり、15μmを超えるとコスト上不利である。
前記第2のポリマー層の形成方法としては特に制限はないが、塗布により形成することが好ましい。
前記第2のポリマー層を塗布により形成する場合の塗布方法、塗布溶媒、乾燥方法については後述する反射層のところで述べたものや方法を好ましく用いることができる。
本発明の太陽電池用ポリマーシートは内側面(封止材に接着する側)に光の反射層を設けることが好ましい。反射層を設けることにより太陽電池モジュールに入射した太陽光のうち太陽電池セルをすり抜けてバックシートに到達した光を反射させて太陽電池セルに戻すことが可能になる。これにより、発電効率を向上させることが可能になる。
更に、反射層は封止材に対して20N/cm以上、より好ましくは30N/cm以上の接着強度を持つことが好ましい。
初めに反射層のバインダーについて述べる。前記反射層のバインダーとしてはアクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系ポリマー等を用いることができるが、この中ではポリオレフィン系ポリマーが好ましい。
・エチレン又はポリプロピレンとアクリルモノマー又はメタクリルモノマーからなる共重合体
・エチレン又はポリプロピレンとカルボン酸(無水物を含む)から成る共重合体
・エチレン又はポリプロピレンと、アクリルモノマー又はメタクリルモノマーと、カルボン酸(無水物を含む)から成る共重合体
また、ポリオレフィン系ポリマーを構成するカルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸無水物等を挙げることができる。
これらは単独で用いてもよいし、複数の種類を混合して用いてもよい。
ポリオレフィン系ポリマー中のエチレン又はポリプロピレンは合計で80〜98mol%、より好ましくは85〜95mol%の範囲が好ましい。また、アクリルモノマー又はメタクリルモノマーは合計で0〜20mol%、より好ましくは3〜10mol%の範囲が好ましい。さらにカルボン酸は合計で0〜15mol%、より好ましくは1〜10mol%の範囲が好ましい。
モノマー組成をこの範囲にすることで良好な接着性と耐久性を両立することができる。
前記ポリオレフィン系ポリマーの分子量は2000〜200000程度が好ましい。ポリオレフィン系ポリマーは直鎖構造のものでも分岐構造のものでもよい。
前記ポリオレフィン系ポリマーは水系のポリマー分散物を製造する方法については乳化による方法、乳化分散による方法があるが、前者が好ましい。具体的な方法については例えば特許第3699935号明細書に記載の方法を参考にすることができる。
前記ポリオレフィン系ポリマーは水系のポリマーをラテックスの形態とする場合、カルボキシル基、水酸基などの水親和性の官能基を持つものであることが好ましい。前記シリコーン系複合ポリマーがカルボキシル基を持つ場合、カルボキシル基はナトリウム、アンモニウム、アミンなどで中和されていてもよい。
また、ラテックスの形態で使用する場合、安定性を向上させるために界面活性剤(例:アニオン系やノニオン系界面活性剤)、ポリマー(例:ポリビニルアルコール)等の乳化安定剤を含有させてもよい。さらに、必要に応じてpH調整剤(例:アンモニア、トリエチルアミン、炭酸水素ナトリウム等)、防腐剤(例:1、3、5−ヘキサヒドロ―(2−ヒドロキシエチル)―s―トリアジン、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール等)、増粘剤(例:ポリアクリル酸ナトリウム、メチルセルロース等)、造膜助剤(例:ブチルカルビトールアセテート等)等のラテックス添加剤として公知の化合物を添加してもよい。
前記反射層は、封止材との接着性をより向上するため、エポキシ系、イソシアネート系、オキサゾリン系、カルボジイミド系等の架橋剤を含有することが好ましい。
これらの架橋剤のうち、湿熱経時後の接着性を確保する観点から、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤が特に好ましい。
イソシアネートとしては、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、プロピルイソシアネート、ブチルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、フェニルイソシアネート等、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等がある。
また、上市されている市販品として、カルボジライトV−02−L2(日清紡績(株)製)などが挙げられる。
オキサゾリン系架橋剤は具体的には、下記のオキサゾリン基含有化合物どうし、又はこれと反応しうる化合物から得られる。
前記オキサゾリン基含有化合物の具体例としては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン、2,2’−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−メチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−トリメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2、2’−ヘキサメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、ビス−(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィド、ビス−(2−オキサゾリニルノルボルナン)スルフィド等のオキサゾリン基含有化合物を含む化合物を挙げることができる。
オキサゾリン系架橋剤を使用する場合、オニウム塩のような触媒を併用することが好ましい。オニウム塩触媒の具体例としては、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、燐酸水素二アンモニウム、四フッ化ホウ素ジフェニルメチルスルホニウム等がある。これらの触媒は架橋剤に対して0.5〜5質量%添加することが好ましい。添加量が0.5質量%未満であると充分な架橋促進効果が得られないことがあり、5質量%を超えると塗布液のポットライフが短くなったり、着色が発生したりするという不都合が生じる場合がある。
前記反射層には反射率を上げる目的で白色顔料を添加することが好ましい。
好ましい白色顔料としては、例えば酸化チタン、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク等を挙げることができる。
これらの内で白色度、反射率、耐久性の観点から酸化チタンは特に好ましい。酸化チタンにはルチル、アナターゼ、ブルカイトの3種類の結晶系があるが、高い屈折率と白色度、及び低い光触媒活性からルチル型の結晶構造を持つものが好ましい。
本発明で用いる酸化チタンは分散性や光触媒活性を制御するために表面処理をすることが好ましい。表面処理の方法には特に制限は無く、酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化ケイ素(SiO2)、アルカノールアミン化合物、シリコーン化合物などを用いた公知の表面処理方法を用いることができる。
好ましい顔料の平均粒径は0.15〜0.45μm程度である。粒径をこの範囲とすることで高い反射率を得ることができる。
前記白色顔料は塗布液中での分散性を向上させるために分散剤を用いてもよい。分散剤の好ましい例として、例えば塗布液の溶媒が水の場合、ポリビニルアルコールを挙げることができる。この場合、公知の分散機を用いて分散した状態で使用することが好ましい。
反射層の白色顔料の塗布量は3〜10g/m2、より好ましくは4〜8g/m2の範囲が好ましい。
白色顔料の塗布量を3〜10g/m2の範囲にすることにより、必要な反射率と接着性を両立することが可能になる。
白色顔料は前記反射層の反射率が、波長が550nmの光で65%以上、より好ましくは70%以上になるような量を添加することが好ましい。反射率を65%以上とすることで発電効率の向上を達成することができる。
前記反射層には必要に応じて界面活性剤、防腐剤などの公知の添加剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、アニオン系やノニオン系等の公知の界面活性剤が挙げることができる。アニオン系界面活性剤としてはアルキル硫酸ナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩などがあり、ノニオン系界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテルなどがある。また、パーフロロアルキル硫酸ナトリウム塩のようなフッ素系界面活性剤も好ましい。
界面活性剤を添加する場合、その添加量は0.1mg/m2〜15mg/m2が好ましく、より好ましくは0.5mg/m2〜5mg/m2である。界面活性剤の添加量が、0.1mg/m2以上であると、ハジキの発生を抑えて良好な層形成が得られ、15mg/m2以下であると、接着を良好に行うことができる。
防腐剤としてはイミダゾール系(例:2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、2−ベンツイミダゾールカルバミン酸メチルなど)やチアゾール系(1、2ベンズイソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンなど)などの公知の防腐剤を使用する事ができる。
前記反射層の厚みは3〜10μm、より好ましくは4〜8μmの範囲が好ましい。
反射層の厚みを3〜10μmの範囲にすることで、必要な反射率と接着性を両立することができる。
前記反射層を塗布する方法には特に制限はなく、ロールコート法、バーコーター法スライドダイ法、グラビアコーター法などの公知の塗布方法を用いることができる。
塗布溶媒にも制約はなく、メチルエチルケトン、トルエン、キシレンのような有機溶剤系の溶媒を用いても、水を溶媒として用いてもよい。しかし、環境負荷が小さいことを考えると水を溶媒とした塗布は特に好ましい。
塗布溶媒は単独で用いても混合して用いてもよい。特に水系の塗布溶媒の場合、水に水混和性の有機溶剤を少量加えた混合溶媒として用いてもよい。
反射層の乾燥にも特に制限はないが、乾燥時間の短縮化の観点から120〜200℃程度の温度で1〜10分間程度乾燥させることが好ましい。
乾燥温度が120℃未満の場合、乾燥時間が長くなり製造をする上で不利である。逆に200℃を超えると得られる塗布層の平面性が損なわれる場合がある。
本発明の太陽電池用ポリマーシートは、前記反射層の上には封止材との接着性を向上させる目的で反射層の上にオーバーコート層を設けてもよい。
オーバーコート層のバインダーとしては反射層のところで述べたものを好ましく用いることができる。
オーバーコート層の架橋剤種としては反射層のところで述べたものを好ましく用いることができる。
オーバーコート層の架橋剤の含有量としては、オーバーコート層を構成するバインダーに対して、10質量%〜75質量%が好ましく、15質量%〜60質量%がより好ましい。架橋剤の含有量が、10質量%以上であると、ポリマー層の強度及び接着性を保持しながら充分な架橋効果が得られ、75質量%以下とすると塗布液のポットライフをより長く保つことができる。
オーバーコート層のその他の添加剤の種類と添加量としては反射層のところで述べたものを好ましく用いることができる。
オーバーコート層の膜厚は0.1〜1.0μm、より好ましくは0.2〜0.8μmの範囲が好ましい。
オーバーコート層の厚みを0.1〜1.0μmの範囲にすることで、封止材との強固な接着性を得ることができる。
オーバーコート層の塗布方法、塗布溶媒、乾燥方法については反射層のところで述べたものや方法を好ましく用いることができる。
本発明の太陽電池用ポリマーシートには、前記ポリマー支持体と前記反射層との間に下塗り層を設けてもよい。下塗り層の厚みは、2μm以下の範囲が好ましく、より好ましくは0.005μm〜2μmであり、更に好ましくは0.01μm〜1.5μmである。厚みが0.005μm未満であると、塗布ムラを生じ易く、2μmを超えると、フィルムがベタツキ、加工性に劣る場合がある。前記下塗り層は、以下の下塗層形成用の材料を水に溶解または分散させた下塗層形成用の塗布液(水性塗布液)を用いて形成されてなることが好ましい。
前記下塗り層は、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂から選ばれる1種類以上のポリマーを含有することが好ましい。
前記ポリオレフィン樹脂としては、反射層のところで述べたものを好ましく用いることができる。
前記アクリル樹脂としては、例えば、ホリメチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート等を含有するポリマー等が好ましい。前記アクリル樹脂としては上市されている市販品を用いてもよく、例えば、AS−563A(ダイセルフアインケム(株)製)を好ましく用いることができる。
前記ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)等が好ましい。前記ポリエステル樹脂としては上市されている市販品を用いてもよく、例えば、バイロナールMD−1245(東洋紡(株)製)を好ましく用いることができる。
前記ポリウレタン樹脂としては、例えば、カーボネート系ウレタン樹脂が好ましく、例えば、スーパーフレックス460(第一工業製薬(株)製)を好ましく用いることができる。
これらの中でも、ポリマー支持体および前記反射層との接着性を確保する観点から、ポリオレフィン樹脂を用いることが好ましい。また、これらのポリマーは単独で用いても2種以上併用して用いてもよく、2種以上併用する場合は、アクリル樹脂とポリオレフィン樹脂の組合せが好ましい。
前記下塗り層は、架橋剤を含有すると、下塗り層の耐久性を向上することができるため、より好ましい。架橋剤としては、反射層のところで述べたものを好ましく用いることができる。
架橋剤の添加量は、下塗り層を構成するバインダーに対して0.5〜30質量%が好ましく、より好ましくは5〜20質量%であり、特に好ましくは3質量%以上15質量%未満である。特に架橋剤の添加量は、0.5質量%以上であると、下塗り層の強度及び接着性を保持しながら充分な架橋効果が得られ、30質量%以下であると、塗布液のポットライフを長く保て、15質量%未満であると塗布面状を改良できる。
界面活性剤を添加する場合、その添加量は0.1〜10mg/m2が好ましく、より好ましくは0.5〜3mg/m2である。界面活性剤の添加量は、0.1mg/m2以上であると、ハジキの発生を抑えて良好な層形成が得られ、10mg/m2以下であると、ポリマー支持体と前記反射層との接着を良好に行なうことができる。
なお、前記ポリマー支持体にコロナ放電処理、その他の表面活性化処理を施してもよい。
(熱処理)
本発明の太陽電池用ポリマーシートは製造工程のいずれかの時点で熱処理をしてもよい。熱処理は、例えば反射層、オーバーコート層、第1のポリマー層、第2のポリマー層のいずれかを形成した後の任意の時点で行うことができる。しかし、最も好ましいのはこれらの層を全て形成した後で行う方法である。
熱処理を行う形態については特に制限はなく、シート形態でもロール形態でもよい。
熱処理の温度は30〜80℃程度、時間は24〜72時間程度が好ましい。
本発明の太陽電池モジュールは、本発明の太陽電池用ポリマーシートを備えたことを特徴とする。
本発明で用いることができる太陽電池セルには特に制限はなく、単結晶または多結晶の結晶シリコン太陽電池セル、薄膜シリコン太陽電池セル、CIGS太陽電池セル、CZTS太陽電池セル、色素増感太陽電池セルなどの公知の太陽電池セル等を用いることができる。
本発明で用いることができる太陽電池モジュールのフロントシートにも特に制限はない。公知のフロントシートを使用することが可能で、例えばガラス又はポリマーのシートからなるフロントシートを用いることができる。
ガラスのフロントシートとしては厚さが2〜5mm程度(例:3.2mm)のガラス、特に強化ガラスを挙げることができる。
ポリマーのフロントシートとしてはエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン、クロロ−3−フルオロエチレン等のフッ素系ポリマーのシートを挙げることができる。
フロントシートには、反射防止層、耐傷性付与層、紫外線カット層、バリア層などの層を付与してもよい。
本発明で用いることができる太陽電池モジュールの封止材にも特に制限はない。例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、アイオノマー等を用いることができるが、このうちエチレン−酢酸ビニル共重合体のシートを好ましく用いることができる。封止材シートの厚みは200〜800μm程度のものが好ましい。
封止材シートはフロントシートの太陽電池セルの間、太陽電池セルとバックシートの間の2枚を用いるのが普通である。
本発明の太陽電池用ポリマーシートをバックシートとして用いた太陽電池モジュールの形成方法にも特に制限はなく、公知の方法を利用することができる。
例えば、バックシート、封止材シート、太陽電池セル、封止材シート、フロントシートをこの順に重ねて熱接着させて太陽電池モジュールを形成する方法を用いることができる(ただし、本発明の太陽電池用ポリマーシートの裏面保護層が太陽電池モジュールの外側になるよう配置する。)。
また、必要に応じて、予め金属箔やバリアシートを、接着剤を用いてバックシートに貼合した後、上記の方法で太陽電池モジュールを形成してもよい。この場合、接着剤としては、ウレタン系接着剤等の公知の接着剤を用いてよい。
なお、体積平均粒子径は、マイクロトラックMT3300EX2(日機装(株)製)を用いて測定した。
−拡散反射率−
分光光度計UV−2450((株)島津製作所製)に積分球付属装置ISR−2200を取り付けた装置を用い、試料の550nmの光に対する拡散反射率を測定した。但し、測定は支持体の反射層のある側から光が入射するような条件で行った。なおリファレンスとして硫酸バリウム標準板の反射率を測定し、これを100%としてサンプルシートの拡散反射率を算出した。
測定された拡散反射率をもとに以下の評価基準にしたがってランク付けした。このうち、ランク3〜5が実用上許容可能な範囲である。
<評価基準>
5:80%以上
4:70%以上、80%未満
3:60%以上、70%未満
2:50%以上、60%未満
1:50%未満
デジタル変角光沢度計であるUGV−5D(スガ試験機(株)製)を用いて3回測定し、平均値を算出した。なお、測定前に標準板を用いて補正を行ったうえで測定を行った。
測定された60°光沢度をもとに以下の評価基準にしたがってランク付けした。このうち、ランク3〜5が凹み、傷などによって意匠性を失わない範囲である。
<評価基準>
5:10以下
4:10を超え、20以下
3:20を超え、30以下
2:30を超え、40以下
1:40を超える
ガラス(日本板硝子(株)製)、EVA樹脂2枚(F806(Hangzhou First PV Material社製))、サンプル(塗布面を上)の積層構造についてラミネートを行った。その際サンドペーパー粒子♯80をガラスクロスシートとの間に巻き込んだ状態で行った。ラミネート条件は真空7min、加圧13min、143℃で行った。その後の面状を目視にて評価し、以下の評価基準にしたがってランク付けした。このうち、ランク3〜5が実用上許容可能な範囲である。
<評価基準>
5:凹みが全く見えない
4:斜め45°からわずかに確認可能
3:真上から確認可能、φ1mm以下の凹み
2:真上から確認可能、φ1mm〜2mmの凹み
1:真上から確認可能、φ2mm以上の凹み
環境条件:25℃、相対湿度55%においてラビングテスタを用い、サンプルの塗布面をスチールウール(♯0000、日本スチールウール(株)製)に250gの荷重をかけて、ストローク幅25mm、速度30mm/secで10回往復摩擦したあとの表面を目視で観察し評価し、以下の評価基準にしたがってランク付けした。このうち、ランク3〜5が実用上許容可能な範囲である。スチールウールは約10mmφにまとめ、表面が均一になるようにカット、摩擦して均したものを使用した。
<評価基準>
5:傷が全く見えない
4:斜め45°からわずかに傷が確認可能
3:真上から傷が確認可能であり、傷が0〜10本
2:真上から傷が確認可能であり、傷が11〜20本
1:真上から傷が確認可能であり、傷が21本以上
以下の方法で耐UV性を測定した。
日本電色工業(株)製分光式色差計「Spectro Color Meter SE2000」を用いて試料のYI値(YI−1)を測定した。
その後、作成した太陽電池用保護シートの耐候性層側へ岩崎電気(株)製耐光性試験機 「アイスーパーUVテスター W−151」を用いて照度900W/m2で48時間紫外光を照射した。紫外光照射時の環境条件は63℃、相対湿度50%とした。
その後、日本電色工業(株)製分光式色差計「Spectro Color Meter SE2000」を用いて、再び試料のYI値(YI−2)を測定した。
YI=(YI−2)−(YI−1)を試料の着色の度合いとした。
得られた値を以下の評価基準にしたがってランク付けした。このうち、ランク3〜5が実用上許容可能な範囲である。
<評価基準>
5:YIの値が3未満
4:YIの値が3以上5未満
3:YIの値が5以上10未満
2:YIの値が10以上20未満
1:YIの値が20以上
[A]湿熱経時前の密着性
試料のポリマー層の形成されている面にカミソリを用いて2mm間隔で縦横それぞれ6本ずつの傷をつける。この上に幅20mmのマイラーテープを貼って、90度方向にすばやく剥離した。この評価をそれぞれのサンプルについて場所を変えて2度行い、
剥離したマス目の合計数により次のようにランク付けを行った。
<評価基準>
5:剥離したマス目は0マス
4:剥離したマス目は0マスを超え〜0.5マス未満
3:剥離したマス目が0.5マスを超え〜2.0マス未満
2:剥離したマス目が2.0マスを超え〜10マス未満
1:剥離したマス目が10マス以上
実用上許容されるのは、ランク3〜5に分類されるものである。
試料を、120℃、相対湿度100%の環境条件下で30時間保持(湿熱経時)した後、前記[A]と同様の方法にて密着力を測定した。
湿熱経時後の密着性についても、実用上許容されるのは、ランク3〜5に分類されるものである。
<支持体(ポリエステル支持体)の作製>
−ポリエステルの合成−
高純度テレフタル酸〔三井化学(株)製〕100kgとエチレングリコール〔日本触媒(株)製〕45kgのスラリーを、予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約123kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×105Paに保持されたエステル化反応槽に、4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行なった。その後、得られたエステル化反応生成物123kgを重縮合反応槽に移送した。
上記で得られたペレットを、40Paに保たれた真空容器中、220℃の温度で30時間保持して、固相重合を行なった。
固相重合後のペレットを、280℃で溶融して金属ドラムの上にキャストし、厚さ約2.5mmの未延伸ベースを作成した。その後、未延伸ベースを90℃で縦方向に3倍に延伸(縦延伸)し、更に120℃で横方向に3.3倍に延伸(横延伸)した。次いで、横延伸したベースに横延伸の張力与えたまま、215℃で1分間保持して熱固定をし、厚み250μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート支持体(以下、「支持体」と称する。)を得た。
<反射層の形成>
−二酸化チタン分散物の調製−
下記二酸化チタン分散物の組成に示す各成分を混合し、その混合物をダイノミル型分散機により1時間、分散処理を施した。
・二酸化チタン(白色顔料、体積平均粒子径0.42μm) ・・・1000質量部
〔タイペークCR95、石原産業(株)製、固形分100%〕
・ポリビニルアルコール ・・・500質量部
〔PVA−105、(株)クラレ製、固形分:10%〕
・界面活性剤〔デモールEP、花王(株)製、固形分:25%〕 ・・・12質量部
・蒸留水 ・・・631質量部
・防腐剤〔AF337、大東化学(株)製、固形分:3.5%〕・・・6.5質量部
下記に示す各成分を混合し、反射層形成用塗布液を調製した。
・上記にて得られた二酸化チタン分散物 305質量部
・ポリオレフィン樹脂水分散液 268質量部
〔アローベースSE−1013N、ユニチカ(株)製、
固形分:20.2%〕
・アクリル樹脂水分散液 140質量部
〔AS−563A、ダイセルファインケム(株)製、
固形分:28%〕
・水溶性オキサゾリン化合物 168質量部
〔エポクロスWS−700、日本触媒(株)製、固形分:25質量%〕
・蒸留水 111質量部
・フッ素系界面活性剤 8.5質量部
(ナトリウム=ビス(3、3、4、4、5、5、6、6−ノナフルオロ)=2−スルホナイトオキシスクシナート、富士フイルムファインケミカル(株)製、濃度1質量%)
得られた反射層形成用塗布液を、支持体の片面を、搬送速度80m/分で搬送し、730J/m2の条件でコロナ放電処理を行った後、着色顔料(酸化チタン)が5.5g/m2となるように上記着色層用塗布液1をバーコート法により塗布した後、170℃で2分乾燥することにより、支持体の片面に乾燥厚みが6μmの白色の反射層が積層された白色PETフィルムを得た。
−裏面層形成用塗布液の調製−
下記組成に示す各成分を混合し、裏面層形成用塗布液を調製した。
・アクリル/シリコーン系バインダー(シリコーン系樹脂) 188質量部
〔セラネートWSA−1070、DIC(株)製、固形分:40%〕
・水溶性オキサゾリン化合物 58質量部
〔エポクロスWS−700、日本触媒(株)製、固形分:25質量%〕
・フッ素系界面活性剤 9.4質量部
(ナトリウム=ビス(3、3、4、4、5、5、6、6−ノナフルオロ)=2−スルホナイトオキシスクシナート、富士フイルムファインケミカル(株)製、濃度1質量%)
・上記にて得られた二酸化チタン分散物 206.3質量部
・第2リン酸アンモン 6.2質量部
〔食添用第2リン酸アンモン、日本化学工業(株)製、35%水溶液〕
上記白色PETフィルムの白色の反射層が塗布された面とは反対面を、搬送速度80m/分で搬送し、730J/m2の条件でコロナ放電処理を行った。このコロナ放電処理を行った側の表面に対して、その後、上記裏面層形成用塗布液を、酸化チタンの量が塗布量で8.53g/m2になるように塗布し、170℃で2分間乾燥させて、裏面層を形成した。
−裏面保護層形成用塗布液の調製−
下記組成に示す各成分を混合し、裏面層保護形成用塗布液を調製した。
・フッ素系バインダー 43質量部
〔オブリガートSW0011F、AGCコーテック(株)製、固形分:36%に水希釈〕
・水溶性オキサゾリン化合物 12質量部
〔エポクロスWS−700、日本触媒(株)製、固形分:25質量%〕
・ノニオン系界面活性剤 1.5質量部
〔ナロアクティーCL95、三洋化成工業(株)、固形分:1%水溶液〕
・上記にて得られた二酸化チタン分散物 44.3質量部
・第2リン酸アンモン 1.3質量部
〔食添用第2リン酸アンモン、日本化学工業(株)製、35%水溶液〕
・滑剤 25.7質量部
〔ケミパールW950、三井化学(株)製、固形分:5%水希釈〕
・マット剤 5質量部
〔スノーテックスUP、日産化学(株)、固形分2%水希釈〕
・シランカップリング剤 5質量部
〔TSL8340、モメンティブパフォーマンスジャパン、固形分2%加水分解液〕
・蒸留水 114質量部
得られた裏面保護形成用塗布液を、裏面層の上に、酸化チタンの量が塗布量で1.49g/m2になるように塗布し、170℃で2分間乾燥させて、裏面保護層を形成した。
得られた試料を実施例1の太陽電池用ポリマーシートとした。
得られた実施例1の太陽電池用ポリマーシートについて、上述の測定方法にしたがって、諸特性を評価した。その結果を下記表1に示した。
下記表1または表2に記載のように第1のポリマー層および第2のポリマー層の組成と厚みを変更した以外は実施例1と同様にして、各実施例および比較例の太陽電池用ポリマーシートを製造した。なお、各実施例および比較例で用いた材料の詳細を下記表3および表4に示した。
得られた各実施例および比較例の太陽電池用ポリマーシートについて、上述の測定方法にしたがって、諸特性を評価した。その結果を下記表1または表2に示した。
(裏面層形成用塗布液の組成)
・フッ素系バインダー 200質量部
〔Lumifron LF200キシレン溶液、旭硝子(株)製、固形分:60%〕
・架橋剤 21.4質量部
〔Desmodur N3300、Bayer社〕
・二酸化チタン 76.2質量部
〔タイペークCR95、石原産業(株)製、固形分100%〕
高せん断ミキサーを用いて顔料をLumiflon溶液と混合し、架橋剤を加えた。
上記裏面層形成用塗布液を、酸化チタンの量が塗布量で9.21g/m2になるように塗布すること以外は実施例1と同様に裏面層(第1のポリマー層)を形成した。
・フッ素系バインダー 200質量部
〔Lumifron LF200キシレン溶液、旭硝子(株)製、固形分:60%〕
・架橋剤 21.4質量部
〔Desmodur N3300、Bayer社〕
・二酸化チタン 6.7質量部
〔タイペークCR95、石原産業(株)製、固形分100%〕
上記裏面保護層形成用塗布液を、酸化チタンの量が塗布量で0.81g/m2になるように塗布すること以外は実施例1と同様に裏面保護層(第2のポリマー層)を形成した。
一方、比較例1の太陽電池用ポリマーシートは、第2のポリマー層を設けなかった態様であり、耐擦傷性に不満が残ることがわかった。
比較例2の太陽電池用ポリマーシートは、第1のポリマー層を設けなかった態様であり、意匠性に不満が残ることがわかった。
比較例3の太陽電池用ポリマーシートは、第1のポリマー層と第2のポリマー層に含まれる白色無機微粒子の比(W1/W2)が本発明の上限値を上回る態様であり、意匠性に不満が残ることがわかった。
比較例4の太陽電池用ポリマーシートは、第1のポリマー層と第2のポリマー層に含まれる白色無機微粒子の比(W1/W2)が本発明の下限値を下回る態様であり、耐擦傷性に不満が残ることがわかった。
比較例5の太陽電池用ポリマーシートは第2のポリマー層に白色無機微粒子を含まない態様であり、意匠性に不満が残ることがわかった。
[太陽電池モジュールの作製と評価]
実施例1〜21の太陽電池用ポリマーシートを、太陽電池モジュール用バックシートとして用いて、以下の方法で、太陽電池モジュールを作成した。
厚さ3mmの強化ガラスと、EVAシート(三井化学ファブロ(株)製のSC50B)と、結晶系太陽電池セルと、EVAシート(三井化学ファブロ(株)製のSC50B)と、実施例1〜21の太陽電池用ポリマーシートをこの順に重ね合わせ、真空ラミネータ(日清紡(株)製、真空ラミネート機)を用いてホットプレスすることにより、EVAと接着させた。この時、実施例1〜21の太陽電池用ポリマーシートの第2のポリマー層が最外層となるように配置した。また、接着方法は、以下の通りである。
<接着方法>
真空ラミネータを用いて、128℃で3分間の真空引き後、2分間加圧して仮接着した。その後、ドライオーブンにて150℃で30分間、本接着処理を施した。
作製した太陽電池モジュール101〜120について、発電運転をしたところ、いずれも太陽電池として良好な発電性能を示した。
2:太陽電池セル
3:封止材
4:バックシート(本発明の太陽電池用ポリマーシート)
41:ポリマー支持体
42:反射層
43:裏面層(第1のポリマー層)
44:裏面保護層(第2のポリマー層)
45:オーバーコート層(易接着層)
Claims (9)
- ポリマー支持体上に、
少なくとも屈折率が1.55以下であるポリマーと屈折率が1.8以上である微粒子とを含有する第1のポリマー層と、
前記第1のポリマー層上に積層され、少なくとも屈折率が1.55以下であるポリマーと屈折率が1.8以上である微粒子とを含有する第2のポリマー層とを有し、
前記第2のポリマー層は最外層であって、
前記第1のポリマー層の微粒子の含有量W1(単位:g/m2)と前記第2のポリマー層の微粒子の含有量W2(単位:g/m2)の比W1/W2が5.0〜50.0であることを特徴とする太陽電池用ポリマーシート。 - 前記第2のポリマー層がフッ素ポリマーおよびシリコーンポリマーから選択される少なくとも1種のポリマーを含有することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用ポリマーシート。
- 前記第1のポリマー層がフッ素ポリマーおよびシリコーンポリマーから選択される少なくとも1種のポリマーを含有することを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池用ポリマーシート。
- 前記第2のポリマー層の厚さが0.50〜30.0μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の太陽電池用ポリマーシート。
- 前記第2のポリマー層の微粒子の含有量W2(単位:g/m2)が0.1g/m2〜2.0g/m2であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の太陽電池用ポリマーシート。
- 前記第1のポリマー層の微粒子の含有量W1(単位:g/m2)が4.0g/m2〜12.0g/m2であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の太陽電池用ポリマーシート。
- 前記屈折率が1.8以上である微粒子の平均粒径が0.1μm以上5.0μm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の太陽電池用ポリマーシート。
- 前記屈折率が1.8以上である微粒子が酸化チタンであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の太陽電池用ポリマーシート。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の太陽電池用ポリマーシートを備えたことを特徴とする太陽電池モジュール。
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