JP2014082186A - 正極活物質、正極並びにリチウムイオン二次電池及びナトリウムイオン二次電池 - Google Patents

正極活物質、正極並びにリチウムイオン二次電池及びナトリウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウムイオン二次電池の十分な充放電容量得ることが可能な正極活物質、正極及びリチウムイオン二次電池を提供すること。
【解決手段】Li5−xVO(PO(0≦x<5)、又はM5−yVO(PO(0≦y<5、0≦z<4、0≦y−z<5、M=Li、Na)で表される化合物であり、CuのKα線を用いたX線回折測定において、回折角が12〜16°の範囲に現れるピーク強度をAとし、回折角が19〜23°の範囲に現れるピーク強度をBとしたとき、B/Aが0.6〜8.0であることを特徴とする正極活物質。
【選択図】図1

Description

本発明は、正極活物質、正極並びにリチウムイオン二次電池及びナトリウムイオン二次電池に関する。
従来、リチウムイオン二次電池の正極材料(正極活物質)としてLiCoOやLiNi1/3Mn1/3Co1/3等の層状化合物やLiMn等のスピネル化合物が用いられてきた。近年では、LiFePO、LiMnPO、LiCoPO、LiNiPO、LiVOPO、Li(PO、LiVO(PO等のリン酸系正極材料の化合物が注目されている。これらの正極材料は高温での熱安定性が高く、安全性が高いことが知られている。特にこれらの正極材料の中で、LiVO(POは理論容量が377mAh/gと非常に高いが、この正極材料を用いたリチウムイオン二次電池においては、実容量が70mAh/g以下であり、十分な可逆容量が得られていない(非特許文献1)。
M. Satya Kishore et al.Electrochemistry Communications 8 (2006) 1558−1562
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、リチウムイオン二次電池の十分な充放電容量を得ることが可能な正極活物質、正極及びリチウムイオン二次電池、又はナトリウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る正極活物質は、Li5−xVO(PO(0≦x<5)で表される化合物であり、CuのKα線を用いたX線回折測定において、回折角2θが12〜16°の範囲に現れるピーク強度をAとし、回折角2θが19〜23°の範囲に現れるピーク強度をBとしたとき、B/Aが0.6〜8.0であることを特徴とする。
かかる正極活物質によれば、十分な充放電容量を得ることができる。かかる正極活物質では、リチウムの挿入脱離がし易い構造である為、充放電容量が増大する。
また、本発明に係る正極活物質は、M5−yVO(PO(0≦y<5、0≦z<4、0≦y−z<5、M=Li、Na)で表される化合物であり、CuのKα線を用いたX線回折測定において、回折角2θが12〜16°の範囲に現れるピーク強度をAとし、回折角2θが19〜23°の範囲に現れるピーク強度をBとしたとき、B/Aが0.6〜8.0であることを特徴とする。
かかる正極活物質によれば、十分な充放電容量を得ることができる。かかる正極活物質では、リチウム及びナトリウムの挿入脱離がし易い構造である為、充放電容量が増大する。
本発明によれば、十分な充放電容量を得ることができる正極活物質、それを用いた正極並びにリチウムイオン二次電池及びナトリウムイオン二次電池を提供することができる。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の模式断面図である。
<第1実施形態>
(正極活物質)
第1実施形態の正極活物質(以下、「活物質」ということがある。)は、Li5−xVO(PO(0≦x<5)で表される化合物であり、CuのKα線を用いたX線回折測定において、測定条件をCuKα=1.540562Å、CuKα=1.544398Å、CuKα除去なし、管電圧40kV、管電流40mA、発散スリット1/2°、発散縦制限スリット10mm、スキャンスピード5.0°/min、サンプリング幅0.01°としたときの、回折角2θが12〜16°の範囲に現れるピーク強度の最大値をAとし、回折角2θが19〜23°の範囲に現れるピーク強度の最大値をBとしたとき、B/Aが0.6〜8.0である。なお、集中法光学系を用いたX線回折測定においては、測定される試料は、板状・針状等の粒子形状に由来する選択配向の影響を抑制する為、非晶質を混合したり、非晶質有機物をスプレーコートしたり等により、作製する必要がある。
正極活物質において、理論容量が377mAh/gと高く、B/Aが0.6〜8.0であると、リチウムイオン二次電池の正極に用いた場合に、リチウムの挿入脱離がし易い構造となり、充放電容量が向上する。
/Aは、1.2〜4.1であることがより好ましく、1.6〜3.1であることがさらに好ましい。これにより、リチウムイオン二次電池の正極に用いた場合に、リチウムイオンの挿入脱離がより容易になり、充放電容量が向上する。
正極活物質において、xの値は1〜4であることが好ましく、1.6〜3.5であることがより好ましい。これにより、リチウムイオン二次電池の正極に用いた場合に、リチウムイオンの挿入脱離がより容易になり、充放電容量が向上する。
リチウムイオン二次電池として使用する際、負極にはLi金属や、通常使用する負極にLiを含有させたものを使用することにより、よりVの価数が変化し、充放電容量が大きくなる。
正極活物質において、結晶構造中のLi、V、Pを他の元素で置換することにより、充放電容量を制御することや、結晶構造を安定化させることも可能である。
この場合、Liを置換する元素の具体例としては、H、Na、K、Mg、Ca、Ti、Zr、及びNbよりなる群から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。また、Vを置換する元素の具体例としては、Na、K、Rb、Cs、Ca、Sr、Sc、Y、Ta、Al、Fe、Co、Ga、Bi、Sn、Cr、Cu、Zn、Mg、Ti、Ge、Ta、Mo、W、Nb、Ni、Mn及びBよりなる群から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。また、Pを置換する元素の具体例としては、V、Si、N、S、及びGeよりなる群から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
これらの元素の置換量は、あまりに大きいと電池容量が低下し過ぎる為、置換前のLi、V、Pに対してそれぞれ通常0.5以下、好ましくは0.2以下、さらに好ましくは0.1以下のモル比の範囲内で置換できる。
(正極活物質の製造方法)
以下では、第1実施形態に係る活物質の製造方法について説明する。本実施形態に係る活物質の製造方法によれば、上述した本実施形態に係る活物質を形成することが可能となる。
<還流工程>
本実施形態に係る活物質の製造方法は、以下の還流工程を備える。まず、後述するリン酸源、バナジウム源、リチウム源、及びアルコールを投入して、これらが分散した混合物(水溶液)を調製する。
リン酸源としては、例えば、HPO、NHPO、(NH)2HPO及びLiPOからなる群より選ばれる少なくとも一種を用いることができる。
バナジウム源としては、例えば、V及びNHVOからなる群より選ばれる少なくとも一種を用いることができる。
リチウム源としては、例えば、LiBr、LiF、LiNO、LiCO、LiOH、LiCl、LiSO及びCHCOOLiからなる群より選ばれる少なくとも一種を用いることができる。
なお、二種以上のリン酸源、二種以上のバナジウム源、又は二種以上のリチウム源を併用してもよい。
アルコール源としては、例えば、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、2−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−1ペンタノール、4−メチル−1ペンタノール、2−メチル−2ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール3−メチル−3−ペンタノール、2,2−ジメチル−1−ブタノール、2,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、からなる群より選ばれる少なくとも一種を用いることができる。
還流工程では還元剤を投入してもよい。還元剤としては、例えば、ヒドラジン、アスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、又は過酸化水素の少なくともいずれかを用いることができる。
還流工程において加熱する時間は、混合物の量に応じて適宜調整すればよい。
還流工程では、混合物を好ましくは100〜250℃、より好ましくは120〜200℃に加熱する。混合物の加熱温度が高いほど、結晶成長が促進され、粒径が大きいLi5−xVO(PO型結晶を得易くなる。
<熱処理工程>
本実施形態に係る活物質の製造方法は、還流工程後に混合物を更に加熱する熱処理工程を備えていてもよい。熱処理工程によって、還流工程で反応しなかったリチウム源、リン酸源及びバナジウム源の反応を進行させたり、還流工程で生成したLi5−xVO(POの結晶成長を促進したりすることができる。その結果、Li5−xVO(POの容量密度が向上し、それを用いた電池の放電容量やレート特性が向上する傾向がある。
熱処理工程では、混合物を250〜600℃の熱処理温度で加熱することが好ましい。熱処理温度が低過ぎる場合、Li5−xVO(POの結晶成長度が小さく、その容量密度の向上度が小さくなる傾向がある。熱処理温度が高過ぎる場合、Li5−xVO(POの成長が過剰に進み、Li5−xVO(POの粒径が増加する傾向がある。その結果、活物質におけるリチウムの拡散が遅くなり、活物質の容量密度の向上度が小さくなる傾向がある。熱処理温度を上記の範囲内とすることによって、これらの傾向を抑制できる。
混合物の熱処理時間は、3〜20時間が好ましい。また、混合物の熱処理雰囲気は、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気、又は空気雰囲気が好ましい。
なお、還流工程で得られる混合物を、熱処理工程で加熱する前に60〜150℃程度で1〜30時間程度、予熱してもよい。予熱により、混合物が粉体となり、混合物から余計な水分や有機溶媒が除去される。その結果、熱処理工程においてLi5−xVO(POに不純物が取り込まれることを防ぎ、粒子形状を均一化することが可能となる。
上述した原料組成、還流工程または熱処理工程における熱処理温度、熱処理時間、熱処理雰囲気を制御することにより回折角2θのB/Aを調整することができる。
以上、本発明に係る活物質の製造方法の好適な一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
(リチウムイオン二次電池)
続いて、本実施形態に係る電極、及びリチウムイオン二次電池について図1を参照して簡単に説明する。
リチウムイオン二次電池100は、主として、発電要素30、発電要素30を密閉した状態で収容するケース50、及び発電要素30に接続された一対のリード60,62を備えている。
発電要素30は、一対の電極10、20がセパレータ18を挟んで対向配置されたものである。正極10は、正極集電体12上に正極活物質層14が設けられた物である。負極20は、負極集電体22上に負極活物質層24が設けられた物である。正極活物質層14及び負極活物質層24がセパレータ18の両側にそれぞれ接触している。正極活物質層14、負極活物質層24、及び、セパレータ18の内部に電解質溶液が含有されている。正極集電体12及び負極集電体22の端部には、それぞれリード60,62が接続されており、リード60,62の端部はケース50の外部にまで延びている。
(正極)
正極10の正極集電体12としては、例えば、アルミニウム箔等を使用できる。正極活物質層14は、正極活物質、バインダー、及び、必要に応じて添加される導電材を含む層である。必要に応じて添加される導電材としては、例えば、カーボンブラック類、炭素材料、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。
バインダーは、上記の正極活物質と導電材とを集電体に結着することができれば特に限定されず、公知の結着剤を使用できる。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化ビニリデン―ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素樹脂が挙げられる。
このような正極10は、公知の方法、例えば、正極活物質を含む電極活物質、バインダー、及び導電材を、それらの種類に応じた溶媒、例えばPVDFの場合はN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒に添加したスラリーを、正極集電体12の表面に塗布し、乾燥させることにより製造できる。
負極集電体22としては、銅箔等を使用できる。また、負極活物質層24としては、負極活物質、導電材、及び、バインダーを含むものを使用できる。導電材としては特に限定されず、公知の導電材を使用できる。例えば、カーボンブラック類、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属粉、炭素材料及び金属粉の混合物、ITOのような導電性酸化物が挙げられる。負極に用いられるバインダーとしては、公知の結着剤を特に制限なく使用することができ、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂が挙げられる。
負極活物質としては、例えば、リチウムイオンを吸蔵・放出(インターカレート・デインターカレート、或いはドーピング・脱ドーピング)可能な黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等の炭素材料、Al、Si、Sn等のリチウムと化合することのできる金属、SiO、SnO等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(LiTi12)等を含む粒子が挙げられる。
負極20の製造方法は、正極10の製造方法と同様にスラリーを調整して集電体に塗布すればよい。
電解質溶液は、正極活物質層14、負極活物質層24、及び、セパレータ18の内部に含有させるものである。電解質溶液としては、特に限定されず、例えば、本実施形態では、リチウム塩を含む電解質溶液(電解質水溶液、有機溶媒を使用する電解質溶液)を使用することができる。ただし、電解質水溶液は電気化学的に分解電圧が低いことにより、充電時の耐用電圧が低く制限されるので、有機溶媒を使用する電解質溶液(非水電解質溶液)であることが好ましい。電解質溶液としては、リチウム塩を非水溶媒(有機溶媒)に溶解したものが好適に使用される。リチウム塩としては、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiAsF、LiCFSO、LiCF、CFSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFCFCO)、LiBOB等の塩が使用できる。なお、これらの塩は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、及び、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等が好ましく挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を任意の割合で混合して使用してもよい。
なお、本実施形態において、電解質溶液は液状以外にゲル化剤を添加することにより得られるゲル状電解質であってもよい。また、電解質溶液に代えて、固体電解質(固体高分子電解質又はイオン伝導性無機材料からなる電解質)が含有されていてもよい。
また、セパレータ18も、電気絶縁性の多孔質構造から形成されていればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリオレフィンからなるフィルムの単層体、積層体や上記樹脂の混合物の延伸膜、或いは、セルロース、ポリエステル及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布が挙げられる。
ケース50は、その内部に発電要素30及び電解質溶液を密封するものである。ケース50は、電解質溶液の外部への漏出や、外部からのリチウムイオン二次電池100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されない。例えば、ケース50として、図1に示すように、金属箔52を高分子膜54で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムを利用できる。金属箔52としては例えばアルミ箔を、合成樹脂膜54としてはポリプロピレン等の膜を利用できる。例えば、外側の高分子膜54の材料としては融点の高い高分子例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が好ましく、内側の高分子膜54の材料としてはポリエチレン、ポリプロピレン等が好ましい。
リード60,62は、アルミ等の導電材料から形成されている。
以上、正極活物質、当該正極活物質を含む電極、及び当該電極を備えるリチウムイオン二次電池の製造方法の好適な一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
<第2実施形態>
以下に、本発明の第2実施形態について、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
第2実施形態の正極活物質(以下、「活物質」ということがある。)は、M5−yVO(PO(0≦y<5、0≦z<4、0≦y−z<5、M=Li、Na)で表される化合物である。第1実施形態で記載した通り、CuのKα線を用いたX線回折測定において、測定条件をCuKα=1.540562Å、CuKα=1.544398Å、CuKα除去なし、管電圧40kV、管電流40mA、発散スリット1/2°、発散縦制限スリット10mm、スキャンスピード5.0°/min、サンプリング幅0.01°としたときの、回折角2θが12〜16°の範囲に現れるピーク強度の最大値をAとし、回折角2θが19〜23°の範囲に現れるピーク強度の最大値をBとしたとき、B/Aが0.6〜8.0である。ここで、第1実施形態で示したLi5−xVO(PO(0≦x<5)と、第2実施形態で示すM5−yVO(PO(0≦y<5、0≦z<4、0≦y−z<5、M=Li、Na)の結晶系は同じ正方晶である。また、Hの含有量が多くなると、Bの値をとるピークの回折角2θは広角側にシフトする。なお、集中法光学系を用いたX線回折測定においては、測定される試料は、板状・針状等の粒子形状に由来する選択配向の影響を抑制する為、非晶質を混合したり、非晶質有機物をスプレーコートする等により、作製する必要がある。
正極活物質において、理論容量が377mAh/gと高く、B/Aが0.6〜8.0であると、リチウムイオン二次電池又はナトリウムイオン二次電池の正極に用いた場合に、リチウム又はナトリウムの挿入脱離がし易い構造となり、充放電容量が向上する。
/Aは、1.2〜4.1であることがより好ましく、1.6〜3.1であることがさらに好ましい。これにより、リチウムイオン二次電池、又はナトリウムイオン二次電池の正極に用いた場合に、リチウムイオン、又はナトリウムイオンの挿入脱離がより容易になり、充放電容量が向上する。
正極活物質において、yの値は1〜4であることが好ましく、1.6〜3.5であることがより好ましい。また、zの値は3未満であることが好ましく、2.5未満であることがより好ましい。これにより、リチウムイオン二次電池、又はナトリウムイオン二次電池の正極に用いた場合に、リチウムイオン、又はナトリウムイオンの挿入脱離がより容易になり、充放電容量が向上する。
リチウムイオン二次電池として使用する際、負極にはLi金属や、通常使用する負極にLiを含有させたものを使用することにより、よりVの価数が変化し、充放電容量が大きくなる。また、ナトリウムイオン二次電池として使用する際、負極にはNa金属や通常使用する負極にNaを含有させたものを使用することにより、よりVの価数が変化し、充放電容量が大きくなる。
正極活物質において、結晶構造中のLi、Na、V、Pを他の元素で置換することにより、充放電容量を制御することや、結晶構造を安定化させることも可能である。
この場合、Li又はNaを置換する元素の具体例としては、K、Mg、Ca、Ti、Zr、及びNbよりなる群から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。また、Vを置換する元素の具体例としては、Na、K、Rb、Cs、Ca、Sr、Sc、Y、Ta、Al、Fe、Co、Ga、Bi、Sn、Cr、Cu、Zn、Mg、Ti、Ge、Ta、Mo、W、Nb、Ni、Mn及びBよりなる群から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。また、Pを置換する元素の具体例としては、V、Si、N、S、及びGeよりなる群から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
これらの元素の置換量は、あまりに大きいと電池容量が低下し過ぎる為、置換前のLi、V、Pに対してそれぞれ通常0.5以下、好ましくは0.2以下、さらに好ましくは0.1以下のモル比の範囲内で置換できる。
(正極活物質の製造方法)
以下では、本発明の第2実施形態に係る活物質の製造方法について、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。本実施形態に係る活物質の製造方法によれば、上述した本実施形態に係る活物質を形成することが可能となる。
<還流工程>
本実施形態に係る活物質の製造方法は、以下の還流工程を備える。まず、後述するリン酸源、バナジウム源、リチウム源又はナトリウム源、及びアルコールを投入して、これらが分散した混合物(水溶液)を調製する。
リン酸源、バナジウム源、リチウム源、及びアルコール源としては、第1実施形態に記述した例からなる群より選ばれる少なくとも一種を用いることができる。
ナトリウム源としては、例えば、NaCO、NaHCO、NaO、NaF、NaCl、及び、NaOHからなる群より選ばれる少なくとも一種を用いることができる。
なお、二種以上のリン酸源、二種以上のバナジウム源、二種以上のリチウム源もしくは二種類以上のナトリウム源を併用してもよい。
還流工程では還元剤を投入してもよい。還元剤としては、例えば、ヒドラジン、アスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、又は過酸化水素の少なくともいずれかを用いることができる。
還流工程において加熱する時間は、混合物の量に応じて適宜調整すればよい。
還流工程では、混合物を好ましくは100〜250℃、より好ましくは120〜200℃に加熱する。混合物の加熱温度が高いほど、結晶成長が促進され、粒径が大きいM5−yVO(PO(0≦y<5、0≦z<4、0≦y−z<5、M=Li、Na)型結晶を得易くなる。
<H量調製工程>
本実施形態に係る活物質の製造方法は、以下のH量調製工程を有しても良い。後述する酸性溶液に還流工程によって得た活物質を浸漬することにより、Hを添加することができる。
H量調製工程において、pH4未満の溶液を用いることが好ましく、浸漬時間はpHに応じて適宜調整すればよい。
酸性溶液としては、例えば、塩酸、リン酸、硝酸、フッ酸、硫酸、酢酸、クエン酸、ギ酸、シュウ酸、からなる群より選ばれる少なくとも一種を用いることができる。
<熱処理工程>
本実施形態に係る活物質の製造方法は、還流工程後に混合物を更に加熱する熱処理工程を備えていてもよい。熱処理工程によって、還流工程で反応しなかったリチウム源、リン酸源及びバナジウム源の反応を進行させたり、還流工程で生成したM5−yVO(PO(0≦y<5、0≦z<4、0≦y−z<5、M=Li、Na)の結晶成長を促進したりすることができる。その結果、M5−yVO(PO(0≦y<5、0≦z<4、0≦y−z<5、M=Li、Na)の容量密度が向上し、それを用いた電池の放電容量やレート特性が向上する傾向がある。
熱処理工程では、混合物を250〜600℃の熱処理温度で加熱することが好ましい。熱処理温度が低過ぎる場合、M5−yVO(PO(0≦y<5、0≦z<4、0≦y−z<5、M=Li、Na)の結晶成長度が小さく、その容量密度の向上度が小さくなる傾向がある。熱処理温度が高過ぎる場合、M5−yVO(PO(0≦y<5、0≦z<4、0≦y−z<5、M=Li、Na)の成長が過剰に進み、M5−yVO(PO(0≦y<5、0≦z<4、0≦y−z<5、M=Li、Na)の粒径が増加する傾向がある。その結果、活物質におけるリチウムの拡散が遅くなり、活物質の容量密度の向上度が小さくなる傾向がある。熱処理温度を上記の範囲内とすることによって、これらの傾向を抑制できる。
混合物の熱処理時間は、3〜20時間が好ましい。また、混合物の熱処理雰囲気は、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気、又は空気雰囲気が好ましい。
なお、還流工程で得られる混合物を、熱処理工程で加熱する前に60〜150℃程度で1〜30時間程度、予熱してもよい。予熱により、混合物が粉体となり、混合物から余計な水分や有機溶媒が除去される。その結果、熱処理工程においてM5−yVO(PO(0≦y<5、0≦z<4、0≦y−z<5、M=Li、Na)に不純物が取り込まれることを防ぎ、粒子形状を均一化することが可能となる。
以上、本発明に係る活物質の製造方法の好適な一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
(リチウムイオン二次電池、及びナトリウムイオン二次電池)
続いて、本実施形態に係る電極、及びリチウムイオン二次電池、及びナトリウムイオン二次電池について図1を参照して簡単に説明する。
リチウムイオン二次電池又はナトリウムイオン二次電池100は、主として、発電要素30、発電要素30を密閉した状態で収容するケース50、及び発電要素30に接続された一対のリード60,62を備えている。
負極活物質としては、例えば、リチウムイオン二次電池の場合はリチウムイオン、ナトリウムイオン二次電池の場合はナトリウムイオンを吸蔵・放出(インターカレート・デインターカレート、或いはドーピング・脱ドーピング)可能な黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等の炭素材料、Al、Si、Sn等のリチウムと化合することのできる金属、SiO、SnO等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、リチウムイオン二次電池の場合はチタン酸リチウム(LiTi12)等を含む粒子が挙げられる。
電解質溶液は、正極活物質層14、負極活物質層24、及び、セパレータ18の内部に含有させるものである。電解質溶液としては、特に限定されず、例えば、本実施形態では、リチウムイオン二次電池の場合はリチウム塩、ナトリウムイオン二次電池の場合はナトリウム塩を含む電解質溶液(電解質水溶液、有機溶媒を使用する電解質溶液)を使用することができる。ただし、電解質水溶液は電気化学的に分解電圧が低いことにより、充電時の耐用電圧が低く制限されるので、有機溶媒を使用する電解質溶液(非水電解質溶液)であることが好ましい。電解質溶液としては、リチウムイオン二次電池の場合はリチウム塩、ナトリウムイオン二次電池の場合はナトリウム塩を非水溶媒(有機溶媒)に溶解したものが好適に使用される。リチウム塩としては、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiAsF、LiCFSO、LiCF、CFSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFCFCO)、LiBOB等の塩が使用できる。ナトリウム塩としては、NaPF、NaTFSA、NaClO、NaAsF、NaSbF、NaBF、NaCFSO、NaN(SOCF、低級脂肪族カルボン酸ナトリウム塩、NaAlCl等の塩が使用できる。なお、これらのリチウム塩やナトリウム塩は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、及び、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等が好ましく挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を任意の割合で混合して使用してもよい。
以上、正極活物質、当該正極活物質を含む電極、及び当該電極を備えるリチウムイオン二次電池、及びナトリウムイオン二次電池の製造方法の好適な一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
本発明の活物質は、リチウムイオン二次電池又はナトリウムイオン二次電池以外の電気化学素子の電極材料としても用いることができる。このような、電気化学素子としては、金属リチウム二次電池(本発明に係る活物質を含む電極を正極として用い、金属リチウムを負極として用いたもの)等のリチウムイオン二次電池以外の二次電池や、リチウムキャパシタ等の電気化学キャパシタ等が挙げられる。これらの電気化学素子は、自走式のマイクロマシン、ICカードなどの電源や、プリント基板上又はプリント基板内に配置される分散電源の用途に使用することが可能である。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<還流工程>
500mlのフラスコに150gのオクタノール(Aldrich社製)、3.75gのV(ナカライテスク社製、純度99%)、及び、9.42gのHPO(ナカライテスク社製、純度85%)を入れ、マグネチックスターラーで攪拌した。続いて、ヒーターオンし、16時間、170℃で保持した。
次に、ヒータオフし、容器内温度を室温まで下げてから、17.30gのLiBr・HO(ナカライテスク社製、純度98%)を入れ、マグネチックスターラーで攪拌した。つづいてヒーターオンから24時間、120℃で保持した。
さらにヒータオフし、容器内温度を室温まで下げてから、少量のメタノールを加え水色固体を吸引濾過して取り出した。次に、濾過物をアセトンで洗浄してから再び吸引濾過を行った。濾過物をオーブンを用いて60℃で約2時間熱処理し、水色固体の正極活物質8.29gを得た。
<焼成工程>
前記工程で得られた個体3.00gをアルミナ坩堝に入れ、大気雰囲気中、室温から350℃まで3時間かけて昇温し、350℃で5時間熱処理することにより、水色の粉体2.748gを得た。
<X線回折測定>
実施例1で得られた正極活物質について、以下の方法、及び条件でX線回折測定を行った。
(X線回折測定用試料作製方法)
0.1gの実施例1で得られた正極活物質及び、0.4gの非晶質として二酸化けい素(関東化学株式会社製)を、それぞれメノウの乳鉢にて3分間粉砕した後、混合し、X線回折測定用試料とした。
(測定条件)
測定装置: 株式会社リガク製X線回折装置Ultima IV
X線源:CuKα線(CuKα=1.540562Å、CuKα=1.544398Å、CuKα除去なし)
管電圧:40kV
管電流:40mA
発散スリット:1/2°
発散縦制限スリット:10mm
スキャンスピード:5.0°/min
サンプリング幅:0.01°
得られた測定結果から、回折角2θが12〜16°の範囲に現れるピーク強度の最大値をAとし、また回折角2θが19〜23°の範囲に現れるピーク強度の最大値をBとし、B/Aを算出した。結果を表1に示す。
[評価用セルの作製]
実施例1の活物質と、バインダーであるポリフッ化ビニリデン(PVDF)とアセチレンブラックを混合したものを、溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。なお、スラリーにおいて活物質とアセチレンブラックとPVDFとの重量比が84:8:8となるように、スラリーを調製した。このスラリーを集電体であるアルミニウム箔上に塗布し、乾燥させた後、圧延を行い、実施例1の活物質を含む活物質層が形成された電極(正極)を得た。
<H量測定>
実施例1で得られた正極活物質について、以下の方法により、H量の測定を行った。
不活性ガス融解法により、加熱温度1500℃にて、Hの全量を測定した。また、正極活物質中に含まれているHOの量を測定する為、カールフィッシャー法により測定を行った。不活性ガス融解法によって得たHの全量から、HOに含まれるH量を除去し、正極活物質中に含まれるH量を得た。結果を表1に示す。
次に、得られた電極と、その対極であるLi箔とを、それらの間にポリエチレン微多孔膜からなるセパレータを挟んで積層し、積層体(発電要素)を得た。この積層体を、アルミラミネートパックに入れ、このアルミラミネートパックに、電解質溶液として1MのLiPF溶液を注入した後、真空シールし、実施例1の評価用セルを作製した。
(実施例2)
2度目の還流工程において、LiBr・HOを30gの1ヘキサノール(ナカライテスク社製)に分散させて加えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の正極活物質を得た。
2度目の還流工程において、加熱保持時間を144時間としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の正極活物質を得た。
2度目の還流工程において、加熱保持時間を160時間としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の正極活物質を得た。
(実施例5)
2度目の還流工程において、2.42gのLiF(ナカライテスク社製)を添加したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5の正極活物質を得た。
(実施例6)
初めの還流工程において、HPO、オクタノールを入れたところへ、0.5gの(CHCOO)Co・4HOを添加後、さらにVを投入し、2度目の還流工程において、加熱保持時間を60時間としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6の正極活物質を得た。
(実施例7)
2度目の還流工程において、加熱保持時間を1時間としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7の正極活物質を得た。
(実施例8)
2度目の還流工程において、加熱保持時間を12時間としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例8の正極活物質を得た。
(実施例9)
2度目の還流工程において、加熱保持時間を80時間としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例9の正極活物質を得た。
(実施例10)
2度目の還流工程において、加熱保持時間を100時間としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例10の正極活物質を得た。
(実施例11)
初めの還流後、ヒータオフから容器内温度を室温まで下げてから、少量のメタノールを加え、水色固体を吸引濾過して取り出した。次に、濾過物をアセトンで洗浄してから再び吸引濾過を行った。濾過物をオーブンを用いて60℃で約2時間熱処理し、二度目の還流工程において、熱処理後の得られた個体全てと、18.03gのLiBr(東京化成社製)、5.6gのアスコルビン酸、及び500gの1−ヘキサノールを投入して、マグネチックスターラーで攪拌した。ヒーターオンから120時間、120℃で保持した以外は、実施例1と同様にして、実施例11の正極活物質を得た。
(実施例12)
LiVOPOを用意し、焼成工程以降を実施例1と同様にして、実施例12の正極活物質とした。
(実施例13)
2度目の還流工程において、加熱保持時間を30時間とし、焼成工程を行う前に、500mlのビーカーに、得られた水色個体と、pH1.3のHCl溶液200mlを入れ、マグネチックスターラーで攪拌し、5時間保持し、ヒーターオフから容器内温度を室温まで下げてから、水色固体を吸引濾過して取り出した。次に、濾過物をアセトンで洗浄してから再び吸引濾過を行い、濾過物をオーブンを用いて60℃で約2時間熱処理したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例13の正極活物質を得た。
(実施例14)
2度目の還流工程において、LiBr・HOを50gの1ヘキサノール(ナカライテスク社製)に分散させて加え、加熱保持時間を60時間とし、HCl溶液浸漬時間を0.5時間としたこと以外は、実施例13と同様にして、実施例14の正極活物質を得た。
(実施例15)
2度目の還流工程において、LiBr・HOの投入量を8.65gとし、加熱保持時間を90時間とし、HCl溶液浸漬時間を10時間としたこと以外は、実施例13と同様にして、実施例15の正極活物質を得た。
(実施例16)
2度目の還流工程において、LiBr・HOの投入量を8.65gとし、加熱保持時間を120時間としたこと以外は、実施例13と同様にして、実施例16の正極活物質を得た。
(実施例17)
2度目の還流工程において、LiBr・HOの投入量を9.53gとし、のLiBrと2.42gのLiF(ナカライテスク社製)を添加し、HCl溶液浸漬時間を24時間としたこと以外は、実施例13と同様にして、実施例17の正極活物質を得た。
(実施例18)
初めの還流工程において、HPO、オクタノールを入れたところへ、0.5gの(CHCOO)Co・4HOを添加後、さらにVを投入し、2度目の還流工程において、加熱保持時間を50時間とし、HCl溶液浸漬時間を0.2時間としたこと以外は、実施例13と同様にして、実施例18の正極活物質を得た。
(実施例19)
2度目の還流工程において、加熱保持時間を2時間とし、HCl溶液浸漬時間を0.5時間としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例19の正極活物質を得た。
(実施例20)
2度目の還流工程において、加熱保持時間を6時間とし、HCl溶液浸漬時間を3時間としたこと以外は、実施例13と同様にして、実施例20の正極活物質を得た。
(実施例21)
2度目の還流工程において、LiBr・HOの投入量を8.65gとし、加熱保持時間を140時間とし、HCl溶液浸漬時間を3時間としたこと以外は、実施例13と同様にして、実施例21の正極活物質を得た。
(実施例22)
2度目の還流工程において、LiBr・HOの投入量を8.65gとし、加熱保持時間を160時間とし、HCl溶液浸漬時間を4.5時間としたこと以外は、実施例13と同様にして、実施例22の正極活物質を得た。
(実施例23)
2度目の還流工程において、LiBr・HOを添加せずに、10.60gのNaCOを添加し、HCl溶液への浸漬を行わず、さらに得られた電極とその対極である炭素材料とを、それらの間にポリエチレン微多孔膜からなるセパレータを挟んで積層し、積層体(発電要素)を得た。この積層体を、アルミラミネートパックに入れ、このアルミラミネートパックに、電解質溶液として1MのNaPF溶液を注入した後、真空シールし、評価用セルを作製した。それ以外は、実施例13と同様にして、実施例23の正極活物質を得た。
(実施例24)
2度目の還流工程において、加熱保持時間を60時間としたこと以外は、実施例23と同様にして、実施例24の正極活物質を得た。
(実施例25)
2度目の還流工程において、加熱保持時間を120時間としたこと以外は、実施例23と同様にして、実施例25の正極活物質を得た。
(実施例26)
2度目の還流工程において、17.30gのLiBr・HOを添加したこと以外は、実施例23と同様にして、実施例26の正極活物質を得た。
(実施例27)
2度目の還流工程において、17.30gのLiBr・HOを添加し、加熱保持時間を60時間としたこと以外は、実施例23と同様にして、実施例27の正極活物質を得た。
(実施例28)
2度目の還流工程において、17.30gのLiBr・H2Oを添加し、加熱保持時間を120時間としたこと以外は、実施例23と同様にして、実施例28の正極活物質を得た。
(実施例29)
焼成工程を行う前に、500mlのビーカーに、得られた個体と、pH1.3のHCl溶液200mlを入れ、マグネチックスターラーで攪拌し、5時間保持し、ヒーターオフから容器内温度を室温まで下げてから、水色固体を吸引濾過して取り出した。次に、濾過物をアセトンで洗浄してから再び吸引濾過を行い、濾過物をオーブンを用いて60℃で約2時間熱処理したこと以外は、実施例23と同様にして、実施例29の正極活物質を得た。
(実施例30)
2度目の還流工程において、加熱保持時間を60時間とし、HCl溶液浸漬時間を15時間としたこと以外は、実施例23と同様にして、実施例30の正極活物質を得た。
(実施例31)
2度目の還流工程において、加熱保持時間を120時間とし、HCl溶液浸漬時間を10時間としたこと以外は、実施例23と同様にして、実施例31の正極活物質を得た。
(実施例32)
2度目の還流工程において、17.30gのLiBr・HOを添加し、HCl溶液浸漬時間を1時間としたこと以外は、実施例29と同様にして、実施例32の正極活物質を得た。
(実施例33)
2度目の還流工程において、加熱保持時間を60時間とし、HCl溶液浸漬時間を0.5時間としたこと以外は、実施例32と同様にして、実施例33の正極活物質を得た。
(実施例34)
2度目の還流工程において、加熱保持時間を120時間とし、HCl溶液浸漬時間を5時間としたこと以外は、実施例32と同様にして、実施例34の正極活物質を得た。
(比較例1)
2度目の還流工程において還流時間を120時間とし、熱処理工程において、加熱温度を150℃とした以外は、実施例1と同様にして、比較例1の正極活物質を得た。
(比較例2)
2度目の還流工程において還流時間を120時間とし、熱処理工程において、加熱温度を750℃とした以外は、実施例1と同様にして、比較例2の正極活物質を得た。
(比較例3)
2度目の還流工程において還流時間を120時間とし、熱処理工程において、加熱温度を820℃とした以外は、実施例1と同様にして、比較例3の正極活物質を得た。
(比較例4)
2度目の還流工程において還流時間を120時間とし、熱処理工程において、加熱温度を100℃とした以外は、実施例1と同様にして、比較例4の正極活物質を得た。
(比較例5)
2度目の還流工程において還流時間を120時間とし、熱処理工程において、加熱温度を950℃とした以外は、実施例1と同様にして、比較例5の正極活物質を得た。
(比較例6)
2度目の還流工程において、加熱保持時間を15時間とし、熱処理工程において、加熱温度を150℃とした以外は、実施例1と同様にして、比較例6の正極活物質を得た。
(比較例7)
2度目の還流工程において、加熱保持時間を15時間とし、熱処理工程において、加熱温度を750℃とした以外は、実施例1と同様にして、比較例7の正極活物質を得た。
(比較例8)
2度目の還流工程において還流時間を60時間とし、熱処理工程において、加熱温度を120℃とした以外は、実施例13と同様にして、比較例8の正極活物質を得た。
(比較例9)
2度目の還流工程において還流時間を80時間とし、熱処理工程において、加熱温度を800℃とし、HCl溶液浸漬時間を0.5時間とした以外は、実施例13と同様にして、比較例9の正極活物質を得た。
(比較例10)
2度目の還流工程において還流時間を110時間とし、熱処理工程において、加熱温度を850℃とし、HCl溶液浸漬時間を0.2時間とした以外は、実施例13と同様にして、比較例10の正極活物質を得た。
(比較例11)
2度目の還流工程において還流時間を100時間とし、熱処理工程において、加熱温度を100℃とし、HCl溶液浸漬時間を0.5時間とした以外は、実施例13と同様にして、比較例11の正極活物質を得た。
(比較例12)
2度目の還流工程において還流時間を12時間とし、熱処理工程において、加熱温度を950℃とし、HCl溶液浸漬時間を24時間とした以外は、実施例13と同様にして、比較例12の正極活物質を得た。
(比較例13)
2度目の還流工程において、加熱保持時間を60時間とし、熱処理工程において、加熱温度を120℃とし、HCl溶液浸漬時間を4時間とした以外は、実施例13と同様にして、比較例13の正極活物質を得た。
(比較例14)
熱処理工程において、加熱温度を800℃とし、HCl溶液浸漬時間を10時間とした以外は、実施例13と同様にして、比較例14の正極活物質を得た。
(比較例15)
2度目の還流工程において、9.54gのNaCOを添加し、熱処理工程において、加熱温度を750℃とし、H量調製工程を行わず、さらに得られた電極とその対極である炭素材料とを、それらの間にポリエチレン微多孔膜からなるセパレータを挟んで積層し、積層体(発電要素)を得た。この積層体を、アルミラミネートパックに入れ、このアルミラミネートパックに、電解質溶液として1MのNaPF溶液を注入した後、真空シールし、評価用セルを作製した。それ以外は、実施例13と同様にして、比較例15の正極活物質を得た。
(比較例16)
2度目の還流工程において還流時間を50時間とし、熱処理工程において、加熱温度を110℃とした以外は、実施例23と同様にして、比較例16の正極活物質を得た。
(比較例17)
2度目の還流工程において還流時間を20時間とし、熱処理工程において、加熱温度を800℃とした以外は、実施例23と同様にして、比較例18の正極活物質を得た。
(比較例18)
2度目の還流工程において還流時間を100時間とし、熱処理工程において、加熱温度を900℃とした以外は、実施例23と同様にして、比較例18の正極活物質を得た。
(比較例18)
2度目の還流工程において還流時間を50時間とし、熱処理工程において、加熱温度を800℃とした以外は、実施例26と同様にして、比較例18の正極活物質を得た。
(比較例19)
2度目の還流工程において還流時間を20時間とし、熱処理工程において、加熱温度を850℃とした以外は、実施例26と同様にして、比較例19の正極活物質を得た。
(比較例20)
2度目の還流工程において還流時間を100時間とし、熱処理工程において、加熱温度を130℃とした以外は、実施例26と同様にして、比較例20の正極活物質を得た。
(比較例21)
2度目の還流工程において還流時間を50時間とし、HCl溶液浸漬時間を3時間とし、熱処理工程において、加熱温度を130℃とした以外は、実施例29と同様にして、比較例21の正極活物質を得た。
(比較例22)
2度目の還流工程において還流時間を20時間とし、HCl溶液浸漬時間を7時間とし、熱処理工程において、加熱温度を850℃とした以外は、実施例29と同様にして、比較例22の正極活物質を得た。
(比較例23)
2度目の還流工程において還流時間を100時間とし、HCl溶液浸漬時間を10時間とし、熱処理工程において、加熱温度を950℃とした以外は、実施例29と同様にして、比較例23の正極活物質を得た。
(比較例24)
2度目の還流工程において還流時間を50時間とし、HCl溶液浸漬時間を3時間とし、熱処理工程において、加熱温度を120℃とした以外は、実施例32と同様にして、比較例24の正極活物質を得た。
(比較例25)
2度目の還流工程において還流時間を20時間とし、HCl溶液浸漬時間を7時間とし、熱処理工程において、加熱温度を850℃とした以外は、実施例32と同様にして、比較例25の正極活物質を得た。
(比較例26)
2度目の還流工程において還流時間を100時間とし、HCl溶液浸漬時間を10時間とし、熱処理工程において、加熱温度を750℃とした以外は、実施例32と同様にして、比較例26の正極活物質を得た。
実施例1と同様の方法で、実施例2〜12及び比較例1〜7の活物質をそれぞれ単独で用いた評価用セルを作製した。
<放電容量の測定>
実施例1〜12、比較例1〜7の各評価用セルを用いて、放電レートを0.1C(25℃で定電流放電を行ったときに10時間で放電終了となる電流値)とした場合の放電容量(単位:mAh/g)を測定した。結果を表1に示す。なお、LiFePOや、LiMnPO、LiCOPO等のリン酸系正極材料の化合物の放電容量は、理論容量がおよそ170mAh/gであるため、実容量が170mAh/g以上のものが好ましいものとした。
Figure 2014082186
Li量にかかわらず、B/Aが0.6以上8.0以下となるとき、放電容量は170mAh/g以上となり、1.6以上、3.1以下では放電容量は200mAh/g以上となる。また、B/Aが0.6未満、もしくは8.0以上となるとき、放電容量は137mAh/g以下という結果であった。
実施例1と同様の方法で、実施例13〜34及び比較例8〜26の活物質をそれぞれ単独で用いた評価用セルを作製した。
<放電容量の測定>
実施例13〜34、比較例8〜26の各評価用セルを用いて、放電レートを0.1C(25℃で定電流放電を行ったときに10時間で放電終了となる電流値)とした場合の放電容量(単位:mAh/g)を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2014082186
Li量、H量、Na量にかかわらず、B/Aが0.6以上8.0以下となるとき、放電容量は170mAh/g以上となり、1.6以上、3.1以下では放電容量は200mAh/g以上となる。また、B/Aが0.6未満、もしくは8.0以上となるとき、放電容量は129mAh/g以下という結果であった。
10・・・正極,20・・・負極、12・・・正極集電体、14・・・正極活物質層、18・・・セパレータ、22・・・負極集電体、24・・・負極活物質層、30・・・発電要素、50・・・ケース、60,62・・・リード、100・・・リチウムイオン二次電池、又はナトリウムイオン二次電池

Claims (6)

  1. Li5−xVO(PO(0≦x<5)で表される化合物であり、CuのKα線を用いたX線回折測定において、回折角2θが12〜16°の範囲に現れるピーク強度をAとし、回折角2θが19〜23°の範囲に現れるピーク強度をBとしたとき、B/Aが0.6〜8.0であることを特徴とする正極活物質。
  2. 5−yVO(PO(0≦y<5、0≦z<4、0≦y−z<5、M=Li、Na)で表される化合物であり、CuのKα線を用いたX線回折測定において、回折角2θが12〜16°の範囲に現れるピーク強度をAとし、回折角2θが19〜23°の範囲に現れるピーク強度をBとしたとき、B/Aが0.6〜8.0であることを特徴とする正極活物質。
  3. 前記B/AまたはB/Aが、1.6〜3.1である、請求項1から2のいずれか一項に記載の正極活物質。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の正極活物質を含有することを特徴とする正極。
  5. 請求項4に記載の正極を備えることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  6. 請求項2または3に記載の正極活物質を含有する正極を備えることを特徴とするナトリウムイオン二次電池。
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