JP2014081163A - 屋内環境監視システム - Google Patents

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Abstract

【課題】屋外状況を利用して屋内環境を好適に調整することができる屋内環境監視システムを提供することを主たる目的とする。
【解決手段】建物10には、複数の居住空間15,16が設けられており、窓部42や天窓43のサッシ戸44、出入口46のドア48、欄間47の欄間扉49を開放することで各居住空間15,16に外気を取り込むことが可能になっている。建物10においては、ホームサーバにより屋内環境監視処理が実行される。ホームサーバは、居住空間15,16について、通風を行う通風対象と通風を行わない非通風対象とを設定し、通風対象とされた居住空間15,16を含み且つ非通風対象とされた居住空間15,16を含まない通風経路を設定し、通風経路については、サッシ戸44やドア48、欄間扉49を開放させ、それによって、建物10内の通風を行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、屋内環境監視システムに関するものである。
住宅等の建物においては、窓部のサッシ戸やシャッタカーテンを開放することにより、屋外から外気や太陽光を建物内空間に取り込むことができる。この場合、屋外状況を建物内に取り込むことにもなる。例えば、サッシ戸を開放して外気を窓部から建物内空間に取り込むことにより、建物内空間の通風を行うことや、湿度や温度を調整することが可能となる。例えば、屋内環境と屋外環境とをそれぞれ計測し、それら計測結果に基づいて屋内環境の最適条件を設定し、さらに、その最適条件に合わせて作成した提案情報をユーザに視覚的に案内するようにした技術が提案されている(例えば特許文献1)。
特開2006−300428号公報
しかしながら、建物が複数の屋内領域を有し、隣り合う屋内領域が間仕切壁の開口部により連通されている構成においては、それら屋内領域同士でそれぞれの屋内環境が互いに影響し合うことになる。このため、複数の屋内領域のうちいずれか1つの屋内領域の窓部から外気や太陽光を取り込むことで屋外状況を建物内に取り込む場合であっても、他の屋内領域にも屋外状況の影響が及んで各屋内領域の環境が一様に変化することが懸念される。この場合、各屋内領域において、使用目的や使用状況、使用者の嗜好などにより環境が個別に設定されていても、いずれかの屋内領域の環境を屋外状況の取り込みによって変化させることで、他の屋内領域の環境も意図せずに変化してしまう。
本発明は、屋外状況を利用して屋内環境を好適に調整することができる屋内環境監視システムを提供することを主たる目的とするものである。
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。
第1の発明の屋内環境監視システムは、建物内空間として設けられた複数の屋内領域と、前記複数の屋内領域のそれぞれに設けられ、屋外の状況である屋外状況を各屋内領域に取り込むべく非操作状態から操作状態に移行される屋外状況取込手段と、を備えている建物に適用され、前記屋外状況取込手段による前記屋外状況の取り込みに伴って変化する各屋内領域の環境を監視する屋内環境監視システムであって、前記複数の屋内領域のそれぞれについて、前記屋外状況を取り込まない閉鎖領域であるか否かを判定する閉鎖判定手段と、前記屋外状況を前記閉鎖領域ではない非閉鎖領域に取り込むことの目的とされる目的項目をあらかじめ定めておき、該目的項目に関連する関連情報を取得する情報取得手段と、前記非閉鎖領域の前記屋外状況取込手段が前記操作状態に移行された場合を想定して、前記非閉鎖領域について、前記情報取得手段により取得された前記関連情報に基づいて前記目的項目の状態変化を予測する変化予測手段と、前記非閉鎖領域について、前記変化予測手段により予測された前記目的項目の状態変化が所定の目的態様に含まれるか否かを判定する変化判定手段と、前記変化判定手段により、前記非閉鎖領域についての前記目的項目の状態変化の予測が前記目的態様に含まれると判定された場合に、前記閉鎖領域の前記屋外状況取込手段を前記操作状態に移行させないための処理、及び前記非閉鎖領域の前記屋外状況取込手段を前記操作状態に移行させるための処理を行う移行処理手段と、を備えていることを特徴とする。
第1の発明によれば、非閉鎖領域については、屋外状況を取り込むことで目的項目の状態を目的に沿うように変化させることができ、閉鎖領域については、屋外状況を取り込まないことで現在の環境を保持することができる。この場合、建物においては、屋外状況を取り込むことでメリットを得ることができる屋内領域と、屋外状況を取り込むことでデメリットが生じることを防止できる屋内領域とを両方とも確保することができる。つまり、屋外状況を利用して屋内環境を整えることができる構成において、屋内領域ごとに異なる環境を確保することができる。したがって、屋外状況を利用して屋内環境を好適に調整することができる。
第2の発明では、第1の発明において、建物外周部に設けられた通気部を通じて外気が前記屋内領域に取り込まれることで、前記屋外状況が該屋内領域に取り込まれる建物に適用され、前記目的項目は、前記通気部を通じて前記屋内領域に外気が取り込まれることで状態変化が生じる項目であり、前記屋外状況取込手段は、前記通気部を通じて前記屋内領域に外気を取り込むべく通気遮断状態から通気状態に移行される通気遮断手段を有しており、前記変化予測手段は、前記非閉鎖領域について、前記通気遮断手段が前記通気状態に移行された場合を想定して前記目的項目の状態変化を予測するものであり、前記移行処理手段は、前記閉鎖領域の前記通気遮断手段を前記通気状態に移行させないための処理、及び前記非閉鎖領域の前記通気遮断手段を前記通気状態に移行させるための処理を行うものである。
第2の発明によれば、非閉鎖領域においては外気により環境を変化させることができる一方で、閉鎖領域においては外気による環境変化を回避することができる。換言すれば、非閉鎖領域に対しては、外気の取り込みに伴って生じる環境変化を付与することができ、閉鎖領域に対しては、外気の取り込みに伴って生じるデメリットを付与しないで済む。
第3の発明では、第2の発明において、前記建物内の通風が行われる場合に外気の通り路となる通風経路を、前記閉鎖領域を含まない経路として設定する経路設定手段を備え、前記移行処理手段は、前記経路設定手段により設定された前記通風経路について、該通風経路に含まれている前記非閉鎖領域の前記通気遮断手段を前記通気状態に移行させるための処理を行うものである。
第3の発明によれば、通風経路において外気が建物内を通り抜けるため、非閉鎖領域の環境を外気により容易に変化させることができる。しかも、通風経路には閉鎖領域が含まれていないため、閉鎖領域の通気遮断手段を通気状態に移行させなくても、外気が非閉鎖領域を通り抜ける状態を実現できる。したがって、閉鎖領域に外気が取り込まれることを規制した上で、非閉鎖領域への外気の取り込みを実現できる。
第4の発明では、第3の発明において、前記変化予測手段は、前記通風経路を通じて前記非閉鎖領域の通風が行われた場合を想定して、前記非閉鎖領域について前記目的項目としての通風量を予測する手段を有し、前記変化判定手段は、予測された前記通風量が目標量であるか否かを判定する手段を有し、前記経路設定手段は、前記通風量についての判定結果に基づいて前記通風経路を設定するものである。
建物内に閉鎖領域が設定されている場合、建物内を通り抜ける外気の流れが閉鎖領域により規制されることが懸念される。これに対して、第4の発明によれば、非閉鎖領域の通風量に応じて通風経路が設定されるため、建物内における外気の流れが閉鎖領域により規制された状態であっても、通風量を十分に確保することが可能な通風経路により非閉鎖領域に外気を取り込むことができる。
第5の発明では、第3又は第4の発明において、前記非閉鎖領域の前記屋外状況取込手段が前記操作状態に移行された場合を想定して、前記情報取得手段により取得された関連情報に基づいて、前記非閉鎖領域の環境を整える上での妨げになる阻害項目の状態変化を予測する阻害予測手段を備え、前記経路設定手段は、前記阻害予測手段の予測結果に基づいて前記通風経路を設定するものである。
建物内に閉鎖領域が設定されている場合、建物内を通り抜ける外気の流れが閉鎖領域により規制される状況によって阻害項目の状態変化が異なることが懸念される。これに対して、第5の発明によれば、阻害項目の状態変化に応じて通風経路が設定されるため、建物内への外気の取り込みに伴う阻害項目の状態変化が生じにくい通風経路により、非閉鎖領域に外気を取り込むことが可能となる。
第6の発明では、第5の発明において、前記非閉鎖領域について、前記阻害予測手段により予測された前記阻害項目の状態変化が所定の許容範囲を超えるか否かを判定する阻害判定手段を備え、前記経路設定手段は、前記阻害予測手段により予測された前記非閉鎖領域についての前記阻害項目の状態変化が前記所定の許容範囲を超えないように、前記通風経路を設定するものである。
第6の発明によれば、建物内を通り抜ける外気の流れが閉鎖領域により規制されて状況において、外気の取り込みに伴って非閉鎖領域についての阻害項目の状況変化が許容範囲を超えることを抑制できる。したがって、非閉鎖領域においては、目的項目を目的に沿って変化させることができ、しかも、阻害項目が意図しない態様で変化することを抑制できる。
第7の発明では、第3乃至第6の発明のいずれかにおいて、前記通気遮断手段は、当該通気遮断手段に対して手動操作が行われることで前記通気遮断状態から前記通気状態に移行されるものであり、前記経路設定手段は、前記通気遮断手段に対して前記手動操作を行うための操作負荷に基づいて、前記通風経路を設定するものである。
建物内に閉鎖領域が設定されている場合、通風経路に含まれる通気部の通気遮断手段を操作するための操作負荷が、閉鎖領域が設定されていない場合よりも大きくなることが懸念される。これに対して、第7の発明によれば、通風経路を確保するための操作負荷に応じて通風経路が設定されるため、通風量は少なめでも操作負荷が小さく作業が容易な通風経路と、操作負荷は大きくても通風量を十分に確保できる通風経路とを選択することができる。したがって、住人等のユーザの年齢や体調などに応じて、非閉鎖領域への外気の取り込み態様と通風経路を確保するための操作負荷とのバランスをとることができる。
第8の発明では、第1乃至第7の発明のいずれかにおいて、前記複数の屋内領域のそれぞれを対象として空調を個別に行うことが可能な空調装置を備え、前記閉鎖判定手段は、前記複数の屋内領域のそれぞれについて前記空調装置により空調が行われているか否かを判定し、空調が行われている前記屋内領域がある場合に該屋内領域を前記閉鎖領域とする手段を有している。
第8の発明によれば、空調装置による空調が行われている屋内領域が閉鎖領域とされるため、その閉鎖領域において、空調が行われているにもかかわらず屋外状況が取り込まれて環境が変化してしまうということを回避できる。
第9の発明では、第1乃至第8の発明のいずれかにおいて、前記複数の屋内領域のうちあらかじめ定められた特定領域を対象として人がいることを検出する人検出手段を備え、前記閉鎖判定手段は、前記人検出手段により前記特定領域に人がいることが検出されたか否かを判定し、前記特定領域に人がいる場合に該特定領域を前記閉鎖領域とする手段を有している。
第9の発明によれば、特定領域に人がいる場合に、その特定領域の環境が屋外状況により変化するということを抑制できる。これにより、例えばユーザが入浴中の浴室に外気や日射が取り込まれることや、ユーザが作業している書斎等に意図せずに外気や日射が取り込まれることを回避できる。
建物の概略構成を示す縦断面図 建物の間取りを示す平面図 和室周辺の概略縦断面図 屋内環境監視処理の手順を示すフローチャート 通風処理の手順を示すフローチャート 建物にて行われる通風の態様について説明するための図 建物にて行われる採光の態様について説明するための図
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、本発明の屋内環境監視システムを建物において具体化しており、その屋内環境監視システムにより建物の屋内環境の監視(管理)を行う構成となっている。図1は建物10の概略構成を示す縦断面図、図2は建物10の間取りを示す平面図である。なお、図2においては、(a)が一階部分12の間取りであり、(b)が二階部分13の間取りである。
図1、図2に示すように、住宅等の建物10は、基礎11の上に設けられた一階部分12と、一階部分12の上に設けられた二階部分13と、二階部分13の上に設けられた屋根14とを有している。下階部としての一階部分12と上階部としての二階部分13とは上下に重ねられている。屋根14は、切妻や寄棟といった傾斜部を有する屋根とされている。
建物10は、建物内空間として居住空間15,16を有している。一階居住空間15は一階部分12に複数設けられており、玄関21や廊下22、リビング23、キッチン24、和室25、トイレ26、浴室27、脱衣室28などを形成している。また、二階居住空間16は二階部分13に複数設けられており、廊下31や子供部屋32、寝室33、書斎34、トイレ35などを形成している。
建物10は、一階部分12と二階部分13との行き来を可能とする階段37を有しており、階段37は階段空間38に設置されている。階段空間38は、一階部分12と二階部分13との境界を跨いで上下方向に延びており、上下に連続した一階居住空間15及び二階居住空間16により形成されている。階段空間38は、二階部分13の床部が設置されていない非設置部分を通じて一階部分12から二階部分13に向けて吹き抜けた吹抜空間とされており、階段空間38においては、その床面が一階部分12の床部により形成され、その天井面が二階部分13の天井部により形成されている。
建物10は外壁面を形成する外壁41を有しており、その外壁41には窓部42が複数設けられている。窓部42が設けられた居住空間15,16においては、窓部42を通じて外気を取り込むことが可能になっている。また、屋根14には、トップライトとしての天窓43が設けられている。天窓43は例えば階段空間38の上方に配置されており、階段空間38においては、天窓43を通じて外気を取り込むことが可能になっている。窓部42及び天窓43には、開閉可能なサッシ戸44がそれぞれ設けられており、サッシ戸44が開放されることで窓部42及び天窓43を通じた通気が行われる。
階段空間38や廊下22,31には、天窓43のサッシ戸44を開閉させることが可能な操作レバーが設けられている。この場合、住人等のユーザは、梯子等で天窓43付近まで登らなくても、一階部分12や二階部分13の床面にいる状態で操作レバーを操作することにより、天窓43のサッシ戸44を容易に開閉することができる。
なお、窓部42及び天窓43は、屋外空間と建物内空間との間での通気を可能とする通気部となっており、外壁41や屋根14といった建物外周部に設けられている。建物外周部の通気部については、サッシ戸44が通気遮断手段に相当する。この場合、サッシ戸44の開放状態が通気状態に相当し、サッシ戸44の閉鎖状態が通気遮断状態に相当する。
建物10は、各階において横並びに隣り合う居住空間15,16同士を仕切る間仕切壁45を有しており、その間仕切壁45には、隣り合う居住空間15,16の間の出入りを可能とする出入口46が設けられている。間仕切壁45において出入口46の上方には、隣り合う居住空間15,16を連通する欄間47が設けられている。出入口46には開閉可能なドア48が設けられており、ドア48が開放されることでドア48を通じた通気が行われる。欄間47には開閉可能な欄間扉49が設けられており、欄間扉49が開放されることで欄間47を通じた通気が行われる。
なお、出入口46及び欄間47は、間仕切壁45により仕切られた居住空間15,16同士の間での通気を可能とする通気部となっており、間仕切壁45に設けられている。隣り合う居住空間15,16のうち一方に外気が取り込まれた場合、その外気が間仕切壁45の通気部を通じて他方に流れ込むことになる。このため、間仕切壁45においては、ドア48や欄間扉49が通気遮断手段に相当する。この場合、ドア48や欄間扉49の開放状態が通気状態に相当し、ドア48や欄間扉49の閉鎖状態が通気遮断状態に相当する。
建物10には、隣り合う居住空間15,16の間に間仕切壁45が設けられている部分と、隣り合う居住空間15,16の間に間仕切壁45が設けられていない部分とが含まれており、間仕切壁45により仕切られているか否かに関係なく各居住空間15,16はそれぞれ屋内領域に相当する。例えば、一階部分12において、リビング23と和室25との間には間仕切壁45が設けられている一方で、リビング23とキッチン24との間には間仕切壁45が設けられていないが、リビング23、キッチン24及び和室25はいずれも屋内領域に相当する。
建物10においては、二階部分13の廊下31や階段空間38といった共用部分に気流発生手段としてのシーリングファン39が設けられている。シーリングファン39は、例えば階段空間38の上方において天井部に取り付けられており、正逆いずれの方向にも回転可能になっている。この場合、シーリングファン39の回転方向に応じて、階段空間38にて上向きの気流及び下向きの気流のいずれかが選択的に生じることになる。また、シーリングファン39は、天窓43の下方に配置されており、サッシ戸44により天窓43を開放させた状態でシーリングファン39により上向きの気流を生じさせることで、天窓43から内気を屋外に排出することが可能となり、下向きの気流を生じさせることで、天窓43から外気を階段空間38に取り込むことが可能となる。
各居住空間15,16には、窓部42にシャッタ装置51が設けられた居住空間15,16が含まれている。例えば、一階部分12の和室25の窓部42aにはシャッタ装置51が設けられている。ここでは、和室25の構成について図3を参照しつつ説明する。図3は、和室25周辺の概略縦断面図である。なお、図3は、屋内環境監視システムの電気的な構成を示すブロック図を含んでいる。
図3に示すように、シャッタ装置51は窓部42aの屋外側に設置されている。シャッタ装置51は、サッシ戸44の屋外面に沿うように昇降するシャッタカーテン52と、シャッタカーテン52を収納するシャッタケース53とを有している。シャッタケース53は、窓部42aの上方において外壁41の屋外面に対して取り付けられている。シャッタカーテン52は、シャッタケース53内に設けられた巻取ドラムに巻き取られることで開放状態に移行し、シャッタケース53から繰り出されることで閉鎖状態に移行することが可能になっている。
シャッタカーテン52は、スラット式シャッタカーテンとされており、長尺板状のスラット55を複数含んで構成されている。各スラット55は水平方向に沿って延びた状態で、上下方向に並べて配置されている。また、各スラット55は、水平方向に延びる軸線を中心に回動可能になっており、回動することで、それらスラット55の間の隙間を通じた通気が可能な通気状態と、スラット55の間を通じた通気を遮断する通気遮断状態とに移行する。
シャッタ装置51は、シャッタカーテン52を昇降させるために駆動するカーテン駆動部57と、スラット55を回動させるために駆動するスラット駆動部58とを有している。これら駆動部57,58は、電気モータを含んで構成されており、それぞれシャッタケース53に設けられている。カーテン駆動部57は、シャッタケース53内の巻取ドラムを回転させるための駆動部になっており、スラット駆動部58は、各スラット55を個別に回動させることが可能になっている。
シャッタカーテン52が開放状態にある場合、及びシャッタカーテン52が閉鎖状態にあってもスラット55が通気状態にある場合には、窓部42aを通じた和室25の通気が可能になり、これらの場合のシャッタ装置51の状態を通気状態と称する。一方、シャッタカーテン52が閉鎖状態にあり且つ各スラット55が通気遮断状態にある場合には、窓部42aを通じた和室25の通気が行われず、この場合のシャッタ装置51の状態を通気遮断状態と称する。窓部42aにおいては、サッシ戸44に加えてシャッタ装置51も通気遮断手段及び屋外状況取込手段に相当する。
また、シャッタカーテン52が開放状態にある場合、及びシャッタカーテン52が閉鎖状態にあり且つスラット55が日射を通す角度にある場合には、窓部42を通じた和室25への日射が行われ、これらの場合のシャッタ装置51の状態を採光状態と称する。一方、シャッタカーテン52が閉鎖状態にあり且つ各スラット55が日射を遮る角度にある場合には、窓部42を通じた和室25への日射がシャッタカーテン52により遮られ、この場合のシャッタ装置51の状態を非採光状態と称する。なお、シャッタ装置51が非通気状態にある場合は非採光状態にあることにもなる。シャッタ装置51は、日射を遮蔽する日射遮蔽手段に相当する。
次に、屋内環境監視システムの電気的な構成について説明する。
屋内環境監視システムは、制御手段としてのホームサーバ61を有している。ホームサーバ61は、CPUや各種メモリ等からなるマイクロコンピュータを含んで構成されており、例えばリビング23の内壁面に取り付けられている。ホームサーバ61は、窓部42や天窓43の開閉状態やシャッタ装置51の動作状態などを記憶する記憶部62を有している。
ホームサーバ61には、屋外の温度を検出する外気温度センサ65と、屋外の湿度を検出する外気湿度センサ66と、屋外の空気質を検出する屋外空気質センサ67とが接続されている。これらセンサ65〜67は、屋外において外壁41に対して取り付けられており、それぞれ検出信号をホームサーバ61に対して出力する。
また、ホームサーバ61には、各居住空間15,16の温度を検出する屋内温度センサ71と、各居住空間15,16の湿度を検出する屋内湿度センサ72と、各居住空間15,16の空気質を検出する屋内空気質センサ73と、窓部42及び天窓43の各サッシ戸44の開閉状態を検出するサッシ戸センサ74と、出入口46のドア48の開閉状態を検出するドアセンサ75と、欄間47の欄間扉49の開閉状態を検出する欄間扉センサ76と、居住空間15,16に人がいることを検出する人感センサ77とが接続されており、これらセンサ71〜77は、それぞれ検出信号をホームサーバ61に対して出力する。
屋内温度センサ71、屋内湿度センサ72及び屋内空気質センサ73は、例えば間仕切壁45の壁面に取り付けられている。サッシ戸センサ74は、各窓部42及び天窓43のそれぞれに設けられており、それら窓部42及び天窓43のそれぞれについてサッシ戸44が開放されていることを個別に検出する。ドアセンサ75は、各出入口46のそれぞれに設けられており、それら出入口46のそれぞれについてドア48が開放されていることを個別に検出する。欄間扉センサ76は、各欄間47のそれぞれに設けられており、それら欄間47のそれぞれについて欄間扉49が開放されていることを個別に検出する。人感センサ77は、各居住空間15,16のそれぞれに設けられており、各居住空間15,16のそれぞれについて人が居ることを個別に検出する。
さらに、ホームサーバ61には、カーテン駆動部57と、スラット駆動部58と、居住空間15,16の空調を行うエアコン等の空調装置81と、スピーカや表示パネルを有する報知装置82と、無線通信や有線通信が可能な通信装置83とがアクチュエータとして接続されており、ホームサーバ61は、指令信号を出力することでこれらアクチュエータの動作制御を行う。
空調装置81は、各居住空間15,16のうち和室25やリビング23等の居室に設けられている。通信装置83は、リモコン84との無線通信が可能になっている。リモコン84は、ユーザにより入力操作が行われる操作装置であり、入力操作に応じて操作信号を出力し、その操作信号が通信装置83を介してホームサーバ61に入力された場合に、ホームサーバ61は、操作信号に応じて上記各アクチュエータの動作制御を行うことが可能になっている。つまり、ユーザはリモコン84により各アクチュエータの遠隔操作を行うことができる。なお、サッシ戸44やドア48、欄間47についてはユーザが遠隔操作ではなく直接的に手動操作を行うことになる。また、通信装置83は、インターネットなどに接続することが可能になっており、ホームサーバ61は、インターネットなどから天気情報を取得することが可能になっている。
シャッタ装置51が設置されていない窓部42又は天窓43については、サッシ戸44が開放状態にある場合に通気が行われ、シャッタ装置51が設置されている窓部42については、サッシ戸44が開放状態にあり且つシャッタ装置51が通気状態にある場合に通気が行われる。また、シャッタ装置51が採光状態にある場合に、窓部42を通じて太陽光を取り込むことが可能となる。ここで、外気や太陽光は屋外の状況を左右するものであり、外気や太陽光を居住空間15,16に取り込むことは屋外状況を居住空間15,16に取り込むことになる。
建物10内を外気が通り抜けることで建物10内の通風(換気)が行われる場合、外気の通り路となる通風経路には複数の通気部が含まれることになり、これら通気部としては、建物外周部に設けられた窓部42や天窓43といった通気部はもちろんのこと、間仕切壁45に設けられた出入口46や欄間47といった通気部がある。
例えば、一階部分12の和室25においては、サッシ戸44及びシャッタ装置51の両方が通気状態にあり、且つドア48(又は欄間扉49)が開放されている場合に、窓部42と出入口46とが通風経路に含まれ、それら窓部42及び出入口46を通じて和室25の通風が行われる。また、和室25に加えてリビング23及びキッチン24も通風経路とされている場合、例えば和室25に流れ込んだ外気が、出入口46や欄間47を通じてリビング23やキッチン24に流れ込み、それらリビング23やキッチン24を通り抜けて屋外に流れ出すことで、和室25、リビング23及びキッチン24の通風がまとめて行われる。
したがって、建物外周部の通気部及び間仕切壁45の通気部はいずれも、屋外状況としての外気を居住空間15,16に取り込むことを可能とするものであり、それら通気部を開閉するサッシ戸44、ドア48及び欄間扉49は、屋外状況を窓部42から居住空間15,16に取り込むこと及び屋外状況の取り込みを規制することが可能な屋外状況取込手段に相当する。これら屋外状況取込手段は、屋外状況を取り込まない状態が非操作状態(非取込状態)に相当し、屋外状況を取り込むことが可能な状態が操作状態(取込状態)に相当する。例えば、シャッタ装置51については、通気状態が操作状態に相当し、通気遮断状態が非操作状態に相当する。また、サッシ戸44、ドア48及び欄間扉49については、開放状態が操作状態に相当し、閉鎖状態が非操作状態に相当する。
ホームサーバ61は、屋内環境監視処理を実行することが可能になっている。ここでは、ホームサーバ61により実行される屋内環境監視処理について、図4のフローチャートを参照しつつ説明する。なお、ホームサーバ61は、屋内環境監視処理を所定周期で繰り返し実行する。
図4において、ステップS101では、屋内温度センサ71、屋内湿度センサ72及び屋内空気質センサ73の各検出信号に基づいて、各居住空間15,16のそれぞれについて温度や湿度、空気質といった屋内情報を取得する。ステップS102では、外気温度センサ65、外気湿度センサ66及び屋外空気質センサ67の各検出信号に基づいて、屋外空間の温度や湿度、空気質といった屋外情報を取得する。また、通信装置83を通じて、屋外の風向きや風速、天気といった天気情報を屋外情報として取得する。なお、屋外情報及び屋外情報が関連情報に相当する。
ステップS103では、建物10内の通風要求があるか否かを判定する。ここでは、リモコン84に対して通風要求を示す入力操作が行われたか否かを判定し、その入力操作が行われた場合に通風要求があるとする。通風要求としては、和室25やリビング23などの居住空間15,16ごとに通風を行わせる(空気を入れ替える)要求や、階ごとに複数の居住空間15,16の通風をまとめて行わせる要求、一階居住空間15及び二階居住空間16の通風を階段空間38を経由させることでまとめて行わせる要求などが挙げられる。
なお、通風要求としては、サッシ戸44やシャッタ装置51、ドア48、欄間扉49を開放させるための開放要求が挙げられる。また、通風要求がある場合には、居住空間15,16において通風が行われていること(空気の流れが生じていること)が目的項目に該当する。
通風要求がある場合、ステップS104に進み、通風要求が既に実現されているか否かを判定する。ここでは、サッシ戸センサ74、ドアセンサ75及び欄間扉センサ76の検出信号に基づいて、窓部42、天窓43、出入口46及び欄間47のそれぞれについて開閉状態を取得し、通風要求の対象とされた居住空間15,16について、窓部42や天窓43、出入口46、欄間47が通風可能な状態になっているか否かを判定する。そして、通風要求の対象とされた居住空間15,16について通風可能な状態になっている場合に、通風要求が既に実現されているとする。
通風要求が実現されていない場合、ステップS105に進み、通風処理を行う。通風処理については、図5のフローチャートを参照しつつ説明する。
図5において、ステップS201では、通風要求の対象とされた居住空間15,16を通風対象として特定する。なお、通風対象とされた居住空間15,16が、屋外状況を取り込むことを許容した非閉鎖領域に相当する。
ステップS202では、通風をしない非通風要求があるか否かを判定する。ここでは、リモコン84を対象として非通風要求を示す入力操作が行われたか否かを判定し、その入力操作が行われた場合に非通風要求があるとする。非通風要求としては、和室25などの居住空間15,16ごとに通風を行わない要求や、階ごとに複数の居住空間15,16の通風を行わない要求、一階部分12や二階部分13の全体の通風を行わない要求などが挙げられる。
また、各居住空間15,16のそれぞれについて空調装置81による空調が行われているか否かを判定し、空調が行われている居住空間15,16については非通風要求があるとする。
さらに、人がいる場合には通風を行わない居住空間15,16(例えば浴室27や書斎34、子供部屋32など)を特定領域としてあらかじめ定めておき、人感センサ77の検出信号に基づいて特定領域に人がいるか否かを判定し、人がいる特定領域について非通風要求があるとする。
加えて、人がいない場合には通風を行わない居住空間15,16(例えば倉庫や物品保管室など)を不在空間としてあらかじめ定めておき、人感センサ77の検出信号に基づいて不在空間に人がいるか否かを判定し、人がいない不在空間について非通風要求があるとする。
なお、非通風要求は、サッシ戸44やドア48、欄間扉49を開放させない又は閉鎖させるための非開放要求と称することもできる。
非通風要求がある場合、ステップS203に進み、非通風要求の対象とされた居住空間15,16を非通風対象として特定する。なお、非通風対象とされた居住空間15,16が、屋外状況を取り込まない閉鎖領域に相当する。また、上記ステップS202の処理を行う機能が、閉鎖領域であるか否かを判定する閉鎖判定手段に相当する。さらに、空調が行われている居住空間15,16を非通風対象とする機能が、空調が行われている屋内領域を閉鎖領域とする手段に相当し、人がいる特定領域を非通風対象とする機能が、特定領域に人がいる場合にその特定領域を閉鎖領域とする手段に相当する。
ステップS204では、非通風対象とされた居住空間15,16の通気部(窓部42や天窓43、出入口46、欄間47)を閉鎖することを推奨する処理を行う。この処理では、非通風対象とされた居住空間15,16の通気部での通気遮断を推奨する旨の推奨情報を報知装置82から音声出力や画像表示などにより報知する。ちなみに、この処理が、閉鎖領域の屋外状況取込手段を操作状態に移行させないための処理に相当し、ステップS204の処理を行う機能が移行処理手段を構成している。
ステップS205では、非通風対象とされた居住空間15,16を含まず且つ通風対象とされた居住空間15,16を含む通風経路の候補を算出する。例えば、和室25が非通風対象とされ、リビング23及びキッチン24が通風対象とされた場合に、リビング23及びキッチン24の通風に際して外気が和室25を通らない経路を通風経路の候補として算出する。この場合、通風経路の候補は複数挙げられてもよく、1つだけ挙げられてもよい。
ステップS206では、通風経路の候補について通風量を予測する。候補が複数ある場合には、それら候補のそれぞれについて通風量を予測する。ここでは、通風経路に含まれる居住空間15,16において、外気が通り抜けることで空気に流れを生じさせることが目的項目の状態変化に相当し、通風量を予測することは目的項目の状態変化を予測することになる。なお、ステップS206の処理を行う機能が、目的項目の状態変化を予測する変化予測手段、及び通風量を予測する手段に相当する。
ステップS207では、通風経路の候補にて通風を行った場合に生じる阻害項目の変化を予測する。候補が複数ある場合には、それら候補のそれぞれについて阻害項目の変化を予測する。ここでは、屋内環境に含まれる複数の項目のうち、変化することが屋内環境を整える上での妨げになると予想される項目を阻害項目として特定する。例えば、通風経路の候補に含まれる窓部42や天窓43周辺の屋外の空気質を屋外情報に基づいて算出し、外気に含まれる埃や花粉などが所定量よりも多い場合に、空気質を阻害項目として特定するとともに、居住空間15,16の空気質の変化を予測する。この場合、屋内情報に基づいて居住空間15,16における空気質を算出し、屋外の空気質と居住空間15,16の空気質とを比較して、通風を行うことで居住空間15,16の空気質がどの程度低下するかを予測する。
また、阻害項目としては、温度や湿度、騒音、屋外からの視線、雨の降り込みなどが挙げられる。温度や湿度の変化としては、外気温度や外気湿度により居住空間15,16の温度や湿度が過剰に上昇したり低下したりすることが予測される。騒音の変化としては、窓部42や天窓43を開放することで屋外での騒音が建物10内に入り込みやすくなり、建物10内に伝わる騒音の音量が大きくなると予測される。
屋外からの視線としては、通風を行わない状態であれば窓部42のカーテンで屋外からの視線を遮ることができるが、通気を行うとカーテンが開けられることで屋外からの視線が遮られない状態になると予測される。ここで、シャッタ装置51が設けられている窓部42について、シャッタ装置51は、シャッタカーテン52が閉鎖状態にある場合に各スラット55の角度を変更することで、通気状態であっても(窓部42での通気を可能とした上で)、屋外からの視線を遮ることが可能になっている。
ここで、阻害項目の変化は、通風経路に含まれる窓部42や天窓43の位置、通風経路の形状などに応じて異なると考えられる。つまり、通風経路の候補が複数ある場合、それら候補において阻害項目の変化態様が同じではなく、阻害項目の変化態様は候補ごとに異なると考えられる。
なお、ステップS207の処理を行う機能が、阻害項目の状態変化を予測する阻害予測手段に相当する。
ステップS208では、通風経路の候補に含まれる通気部を通気状態に移行させるための作業負担(操作負荷)を算出する。候補が複数ある場合には、それら候補のそれぞれについて作業負担を算出する。ここでは、通風経路の候補に含まれている通気部の数や、それら通気部を開放させるために必要な移動距離、階段37の昇降の有無、天窓43の有無などを算出し、それら算出結果に応じて作業負担を指標化する。
ステップS209では、通風経路の候補について、通風量の予測(目的項目の変化予測)、阻害項目の変化予測及び通気部開放の作業負担に基づいて、好適な候補があるか否かを判定する。通風量の予測については、屋外の風の強さが許容範囲に含まれているか否かを判定し、風が弱すぎる場合や強すぎる場合(風速が上限基準値と下限基準値との間にない場合)は、通風量が少なすぎる又は多すぎるとする。この場合、目的項目の状態変化が許容範囲にないとして、この候補は好適ではないとする。
阻害項目の変化予測については、通風の実施に伴って居住空間15,16の空気質が許容範囲を超えるか否かを判定し、居住空間15,16の空気質が許容範囲を超える通風経路は好適な候補ではないとする。また、通気部開放の作業負担については、その指標が許容範囲を超える通風経路は好適な候補ではないとする。
なお、通風経路の候補について、好適な候補があるか否かの判定は、通風量の予測、阻害項目の変化予測、通気部開放の作業負担の他にも、建物10の防犯性などに基づいて行われる。例えば、各窓部42のそれぞれに対して安全レベルをあらかじめ定めておき、夜間時間帯においては、安全レベルの低い窓部42を含む通風経路を好適な候補でないとする。例えば、人の出入りが可能な掃き出し窓であってシャッタ装置51が設けられていない窓部42については安全レベルを低く定めておき、天窓43や、サッシ戸44が片開きタイプの小窓であって開放角度が制限されている窓部42については安全レベルを高く定めておき、夜間時間帯においては、安全レベルの高い窓部42だけを含む通風経路を好適な候補であるとする。
また、ステップS209の処理を行う機能が、目的項目の状態変化が目的態様に含まれているか否かを判定する変化判定手段、及び阻害項目の状態変化が許容範囲を超えるか否かを判定する阻害判定手段、及び通風量が目標量であるか否かを判定する手段に相当する。
通風経路の候補に好適な候補が含まれている場合、ステップS210に進み、その候補を通風経路として設定する。なお、ステップS210の処理を行う機能が、通風経路を閉鎖領域を含まない経路として設定する経路設定手段に相当する。
ステップS211では、設定した通風経路の通気部を開放することを推奨する処理を行う。この処理では、通風経路に含まれる窓部42や天窓43、出入口46、欄間47について、サッシ戸44やドア48、欄間扉49の開放を推奨する旨の推奨情報を報知装置82から音声出力や画像表示などにより報知する。ちなみに、この処理が屋外状況取込手段を操作状態に移行させるための処理に相当し、ステップS211の処理を行う機能が移行処理手段を構成している。
一方、通風経路の候補に好適な候補が含まれていない場合、ステップS212に進み、建物10内の通風を行わないことを推奨する処理を行う。この処理では、既に開放されている通気部を除いた他の通気部について開放しないことや、全ての通気部を通気遮断状態とすることなどを推奨する推奨情報を報知装置82から音声出力や画像表示などにより報知する。
非通風要求がない場合(ステップS202がNO判定の場合)、非通風対象を特定する必要がないとして、ステップS213に進み、通風対象とされた居住空間15,16を含む通風経路の候補を算出する。この場合、非通風対象により通風経路が制限されることがないため、非通風対象が特定された場合に比べて、多くの通風経路の候補が挙げられると想定される。その後、非通風対象が特定された場合と同様に、ステップS206〜S212の処理を実行する。
図4の説明に戻り、通風要求がない場合(ステップS103がNO判定の場合)、又は通風要求が既に実現されている場合(ステップS104がYES判定の場合)は、ステップS106に進み、採光要求があるか否かを判定する。ここでは、リモコン84に対して採光要求を示す入力操作が行われたか否かを判定し、その入力操作が行われた場合に採光要求があるとする。採光要求としては、シャッタ装置51が設けられている窓部42について、シャッタ装置51を採光状態に移行させる要求や、窓部42に設けられているカーテンを開放させる要求などが挙げられる。なお、採光要求がある場合には、窓部42から居住空間15,16に太陽光が取り込まれていること(採光)が目的項目に該当する。
採光要求がある場合、ステップS107に進み、採光要求が既に実現されているか否かを判定する。ここでは、シャッタ装置51が設けられている窓部42について、そのシャッタ装置51が採光状態になっているか否かを判定し、採光状態になっている場合に採光要求が既に実現されているとする。
採光要求が実現されていない場合、ステップS108に進み、採光処理を行う。採光処理では、通風処理と同様の手順で各種処理を実行するため、採光処理については、通風処理との相違点を中心に簡単に説明する。
採光処理では、採光をしない非採光要求があるか否かを判定し、非採光要求がある場合には、非採光要求の対象とされた居住空間15,16を非採光対象として特定する。なお、非採光対象とされる居住空間15,16としては、空調装置81による空調が行われている空間、人がいる場合には採光を行わないと定められ且つ人がいると判定された空間(例えば使用中の浴室27や人が睡眠中の寝室33など)が挙げられる。そして、非採光対象とされた居住空間15,16の窓部42を閉鎖することを推奨する処理を行う。なお、隣の居住空間15,16から出入口46や欄間47を通じて日射が差し込む場合には、出入口46や欄間47を閉鎖することを推奨する処理を行う。
採光対象とされた居住空間15,16について、シャッタ装置51を採光状態に移行させた場合に変化する阻害項目を特定する。採光処理においては、阻害項目を屋外からの視線とし、屋外からの視線の影響が大きい場合には、シャッタ装置51を、シャッタカーテン52が閉鎖状態であり且つスラット55が採光可能な角度に開放された状態に移行させる。これにより、採光対象とされた居住空間15,16にスラット55の間の隙間から日射を取り込むことができる状態で、屋外からの視線を各スラット55により低減することができる。また、シャッタ装置51を採光状態に移行させるための作業負担を算出する。
採光対象とされた居住空間15,16について、阻害項目の変化予測及びシャッタ装置51の状態移行の作業負担に基づいて、窓部42からの採光を行うか否かを判定する。そして、採光を行うと判定した場合、シャッタ装置51を採光状態に移行させることを推奨する処理を行う。
次に、屋内環境監視処理が実行された場合の建物10内への屋外状況の取り込み態様について、図6、図7を参照しつつ説明する。図6は建物10にて行われる通風の態様について説明するための図、図7は建物10にて行われる採光の態様について説明するための図である。なお、図6、図7においては、一階部分12に一階居住空間15A,15Bが配置され、二階部分13に二階居住空間16A,16Bが配置されている。
図6(a)においては、一階居住空間15A及び二階居住空間16Aが通風対象とされ、一階居住空間15Bが空調装置81により空調されていることから非通風対象とされ、二階居住空間16Bが倉庫であることから非通風対象とされており、通風経路に居住空間15A,16A及び階段空間38が含まれている。また、シーリングファン39が内気を屋外に排出する方向に回転しており、居住空間15A,16Aの各出入口46が閉鎖されている一方で、各欄間47が開放されている。この場合、外気が居住空間15A,16Aの窓部42から建物10内に取り込まれ、その外気は居住空間15A,16Aの欄間47から階段空間38に流れ込み、階段空間38にて上昇して天窓43から屋外に放出される。例えば夏期においては、二階部分13の天井付近に溜まった熱気を天窓43から放出することができる。
なお、居住空間15A,16Aの各窓部42にシャッタ装置51が設けられており、それら窓部42において、シャッタカーテン52が閉鎖状態であって各スラット55が開放状態で通気が行われている場合、窓部42での防犯性が低下することが抑制され、天窓43での安全レベルも高いため、夜間時間帯における建物10内の通風態様として適している。また、欄間47が開放されているため、ユーザが就寝時などに出入口46を閉鎖しても通風経路での通風が欄間47を通じて行われる。
図6(b)においては、非通風対象が設定されておらず、居住空間15A,16Aが通風対象とされ、雨の浸入という阻害項目が生じていることから天窓43が通風経路に含まれておらず、通風対象ではない居住空間15B,16B及び階段空間38が通風経路に含まれている。ここで、居住空間15A,15B,16A,16Bは階段空間38を通じて連通されており、それら居住空間15A,15B,16A,16Bを通じて通風が行われる。
図7においては、例えば冬期において建物10内の通風が行われずに、建物10内に日射が取り込まれている。この場合、居住空間15A、16Aが採光対象とされ、居住空間15B,16Bが非採光対象とされており、採光対象とされた居住空間15A,16Aについて窓部42のシャッタ装置51が採光状態にされている。また、シーリングファン39が天井面付近の空気が下方に向けて流れるように回転しており、それによって、天井面付近に集まった暖気が二階部分13の床付近や一階部分12に供給されるようになっている。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
建物10において、通風対象とされた居住空間15,16については、窓部42や天窓43、出入口46、欄間47を開放することで通風を行わせることができる。つまり、通風を行うという目的項目を達成することができる。一方、非通風対象とされた居住空間15,16については、窓部42や天窓43、出入口46、欄間47を開放しないことで通風が行われず、現在の環境を保持することができる。この場合、建物10においては、外気を取り込むことでメリットを得ることができる領域と、外気を取り込むことでデメリットが生じることを防止できる領域とを両方とも確保することができる。つまり、通風対象と非通風対象とで居住空間15,16ごとに異なる環境を確保することができる。したがって、外気の取り込みを利用して屋内環境を好適に調整することができる。
通風対象とされた居住空間15,16を含んで通風経路が設定されるため、通風経路を通じて外気が建物10内を通り抜けることで、通風対象とされた居住空間15,16の環境を外気により容易に変化させることができる。しかも、非通風対象とされた居住空間15,16は通風経路に含まれていないため、それら居住空間15,16の窓部42や天窓43、出入口46、欄間47などを開放させなくても、外気が通風経路を通り抜ける状態を実現できる。したがって、非通風対象に外気が取り込まれることを規制した上で、通風対象への外気の取り込み量が低下することを抑制できる。
通風対象とされた居住空間15,16の通風量に応じて通風経路が設定されるため、建物10内における外気の流れが非通風対象の居住空間15,16により遮られる状態であっても、通風量を十分に確保することが可能な通風経路により通風対象の居住空間15,16に外気を取り込むことができる。
通風対象とされた居住空間15,16への埃や花粉等の流入状態に応じて通風経路が設定されるため、建物10内への外気の取り込みに伴って埃や花粉等が流入しにくい通風経路を通じて、通風対象とされた居住空間15,16に外気と取り込むことが可能となる。これにより、通風に伴って通風対象の居住空間15,16の空気質が低下するということを抑制できる。
通風経路を確保するために必要な作業負担に応じて通風経路が設定されるため、通風量は少なめでも作業負担が小さく作業が容易な通風経路と、作業負担は大きくても通風量を十分に確保できる通風経路とを選択することができる。これにより、ユーザの年齢や体調などに応じて、通風対象とされた居住空間15,16への外気の取り込み態様と通風経路を確保するための作業負担とのバランスをとることができる。
空調装置81による空調が行われている居住空間15,16が通風対象とされるため、通風対象とされた居住空間15,16において、空調が行われているにもかかわらず外気が取り込まれて温度や湿度が変化してしまうということを回避できる。
ユーザが使用している時には通風を行わない特定領域については、ユーザがいる場合に、その特定領域の環境が外気の取り込みにより変化するということを抑制できる。これにより、例えばユーザが入浴中の浴室27に外気が取り込まれることや、ユーザが作業している書斎34等に意図せずに外気が取り込まれることを回避できる。
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記実施形態では、屋外状況取込手段を操作状態に移行させるための処理、及び屋外状況取込手段を操作状態に移行させないための処理として、報知装置82による報知が行われたが、屋外状況取込手段の動作制御が行われてもよい。例えば、窓部42に対して、サッシ戸44を開閉させることが可能なサッシ戸駆動部が設けられており、取込処理として、開放対象の窓部42のサッシ戸44をサッシ戸駆動部が強制的に開放させる処理が行われる構成とする。この構成では、閉鎖領域のサッシ戸44が開放状態に移行しないようにサッシ戸駆動部により閉鎖状態を保持する処理が行われる。これは、天窓43のサッシ戸44や、出入口46のドア48、欄間47の欄間扉49についても同様である。
(2)屋外情報及び屋内情報を含む関連情報には、都度の時間帯を示す情報や、住人のスケジュールを示す情報などが含まれていてもよい。要は、関連情報が、居住空間15,16の目的項目に関連する情報であればよい。
(3)上記実施形態では、通気や日射が窓部42や天窓43を通じて居住空間15,16に取り込まれる構成としたが、外壁41等の建物外周部に設けられた通気部には、玄関口等の出入口や換気孔などの開口部が含まれていてもよい。玄関口が通気部とされた構成では、玄関口に設けられた玄関ドアが通気遮断手段及び屋外状況取込手段に相当し、玄関ドアが開閉されることで外気や日射の取り込みの実行及び非実行が切り替えられることになる。換気孔が通気部とされた構成では、換気孔に設けられた換気扇(ファン)が通気遮断手段及び屋外状況取込手段に相当し、換気扇が動作及び停止されることで外気の取り込みの実行及び非実行が切り替えられることになる。
また、間仕切壁45に設けられた通気部には、ドア48を貫通する通気孔やアンダーカット、間仕切壁45を貫通する通気孔などの開口部が含まれていてもよい。この場合でも、開口部を開閉する開閉体が設けられていれば、その開閉体が通気遮断手段及び屋外状況取込手段に相当する。
さらに、リビング23及びキッチン24のように間仕切壁45により仕切られていない居住空間15,16同士であっても、それら居住空間15,16同士の境界部にカーテン等の仕切体が設けられていれば、それら居住空間15,16の間の空気の流れを規制することができる。この場合、仕切体が通気遮断手段及び屋外状況取込手段に相当する。
(4)屋外状況の取り込み判定に用いられる関連情報には、ユーザの健康状態や体質などが含まれていてもよい。例えば、ユーザの健康状態や体質としては、空気の流れによって目の乾きや肌の乾燥を感じやすい、屋外の騒音やテレビの音、子供の声などが気にやりやすい、花粉症や喘息、風邪であることなどによりタバコの煙等の空気質に敏感に反応しやすい、などの傾向が挙げられる。
(5)上記実施形態では、通風処理と採光処理とが並列に実行されない構成としたが、これら通風処理と採光処理とが並列に実行される構成としてもよい。この構成では、通風対象と採光対象とが同じ居住空間15,16とされた場合には、その居住空間15,16に対して外気及び日射の両方を取り込むための処理が行われることになる。
(6)上記実施形態では、和室25などの居住空間15,16に個別に空調装置81が設けられている構成としたが、建物10においては全館空調システムが構築されていてもよい。この場合、空調装置81にて生成された空調空気を供給する給気部が居住空間15,16ごとに設けられていればよい。
10…建物、15…屋内領域としての一階居住空間、16…屋内領域としての二階居住空間、42…通気部としての窓部、43…通気部としての天窓、44…通気遮断手段及び屋外状況取込手段としてのサッシ戸、46…通気部としての出入口、47…通気部としての欄間、48…通気遮断手段及び屋外状況取込手段としてのドア、49…通気遮断手段及び屋外状況取込手段としての欄間扉、51…通気遮断手段及び屋外状況取込手段としてのシャッタ装置、61…閉鎖判定手段、変化予測手段、変化判定手段、移行処理手段、経路設定手段、阻害予測手段及び阻害判定手段としてのホームサーバ、65…情報取得手段としての外気温度センサ、66…情報取得手段としての外気湿度センサ、67…情報取得手段としての屋外空気質センサ、71…情報取得手段としての屋内温度センサ、72…情報取得手段としての屋内湿度センサ、73…情報取得手段としての屋内空気質センサ、77…人検出手段としての人感センサ、81…空調装置。

Claims (9)

  1. 建物内空間として設けられた複数の屋内領域と、
    前記複数の屋内領域のそれぞれに設けられ、屋外の状況である屋外状況を各屋内領域に取り込むべく非操作状態から操作状態に移行される屋外状況取込手段と、
    を備えている建物に適用され、
    前記屋外状況取込手段による前記屋外状況の取り込みに伴って変化する各屋内領域の環境を監視する屋内環境監視システムであって、
    前記複数の屋内領域のそれぞれについて、前記屋外状況を取り込まない閉鎖領域であるか否かを判定する閉鎖判定手段と、
    前記屋外状況を前記閉鎖領域ではない非閉鎖領域に取り込むことの目的とされる目的項目をあらかじめ定めておき、該目的項目に関連する関連情報を取得する情報取得手段と、
    前記非閉鎖領域の前記屋外状況取込手段が前記操作状態に移行された場合を想定して、前記非閉鎖領域について、前記情報取得手段により取得された前記関連情報に基づいて前記目的項目の状態変化を予測する変化予測手段と、
    前記非閉鎖領域について、前記変化予測手段により予測された前記目的項目の状態変化が所定の目的態様に含まれるか否かを判定する変化判定手段と、
    前記変化判定手段により、前記非閉鎖領域についての前記目的項目の状態変化の予測が前記目的態様に含まれると判定された場合に、前記閉鎖領域の前記屋外状況取込手段を前記操作状態に移行させないための処理、及び前記非閉鎖領域の前記屋外状況取込手段を前記操作状態に移行させるための処理を行う移行処理手段と、
    を備えていることを特徴とする屋内環境監視システム。
  2. 建物外周部に設けられた通気部を通じて外気が前記屋内領域に取り込まれることで、前記屋外状況が該屋内領域に取り込まれる建物に適用され、
    前記目的項目は、前記通気部を通じて前記屋内領域に外気が取り込まれることで状態変化が生じる項目であり、
    前記屋外状況取込手段は、前記通気部を通じて前記屋内領域に外気を取り込むべく通気遮断状態から通気状態に移行される通気遮断手段を有しており、
    前記変化予測手段は、前記非閉鎖領域について、前記通気遮断手段が前記通気状態に移行された場合を想定して前記目的項目の状態変化を予測するものであり、
    前記移行処理手段は、前記閉鎖領域の前記通気遮断手段を前記通気状態に移行させないための処理、及び前記非閉鎖領域の前記通気遮断手段を前記通気状態に移行させるための処理を行うものであることを特徴とする請求項1に記載の屋内環境監視システム。
  3. 前記建物内の通風が行われる場合に外気の通り路となる通風経路を、前記閉鎖領域を含まない経路として設定する経路設定手段を備え、
    前記移行処理手段は、前記経路設定手段により設定された前記通風経路について、該通風経路に含まれている前記非閉鎖領域の前記通気遮断手段を前記通気状態に移行させるための処理を行うものであることを特徴とする請求項2に記載の屋内環境監視システム。
  4. 前記変化予測手段は、前記通風経路を通じて前記非閉鎖領域の通風が行われた場合を想定して、前記非閉鎖領域について前記目的項目としての通風量を予測する手段を有し、
    前記変化判定手段は、予測された前記通風量が目標量であるか否かを判定する手段を有し、
    前記経路設定手段は、前記通風量についての判定結果に基づいて前記通風経路を設定するものであることを特徴とする請求項3に記載の屋内環境監視システム。
  5. 前記非閉鎖領域の前記屋外状況取込手段が前記操作状態に移行された場合を想定して、前記情報取得手段により取得された関連情報に基づいて、前記非閉鎖領域の環境を整える上での妨げになる阻害項目の状態変化を予測する阻害予測手段を備え、
    前記経路設定手段は、前記阻害予測手段の予測結果に基づいて前記通風経路を設定するものであることを特徴とする請求項3又は4に記載の屋内環境監視システム。
  6. 前記非閉鎖領域について、前記阻害予測手段により予測された前記阻害項目の状態変化が所定の許容範囲を超えるか否かを判定する阻害判定手段を備え、
    前記経路設定手段は、前記阻害予測手段により予測された前記非閉鎖領域についての前記阻害項目の状態変化が前記所定の許容範囲を超えないように、前記通風経路を設定するものであることを特徴とする請求項5に記載の屋内環境監視システム。
  7. 前記通気遮断手段は、当該通気遮断手段に対して手動操作が行われることで前記通気遮断状態から前記通気状態に移行されるものであり、
    前記経路設定手段は、前記通気遮断手段に対して前記手動操作を行うための操作負荷に基づいて、前記通風経路を設定するものであることを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載の屋内環境監視システム。
  8. 前記複数の屋内領域のそれぞれを対象として空調を個別に行うことが可能な空調装置を備え、
    前記閉鎖判定手段は、
    前記複数の屋内領域のそれぞれについて前記空調装置により空調が行われているか否かを判定し、空調が行われている前記屋内領域がある場合に該屋内領域を前記閉鎖領域とする手段を有していることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の屋内環境監視システム。
  9. 前記複数の屋内領域のうちあらかじめ定められた特定領域を対象として人がいることを検出する人検出手段を備え、
    前記閉鎖判定手段は、前記人検出手段により前記特定領域に人がいることが検出されたか否かを判定し、前記特定領域に人がいる場合に該特定領域を前記閉鎖領域とする手段を有していることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の屋内環境監視システム。
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