JP2014080922A - イオン電流を用いた内燃機関の燃焼状態判定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関の燃焼後にシリンダ内に発生するイオン電流から内燃機関の燃焼状態の判定を行う際に、イオン電流波形にオルタネータから発生するノイズが重畳すると、誤判定が生じる問題がある。
【解決手段】ECU100は、内燃機関の少なくとも1つの気筒の燃焼に生じるイオン波形に対する時間軸上の累積値から算出されるノイズ積分値から算出したマップ化データを記憶すると共に、内燃機関の少なくとも1つの気筒のうち燃焼行程の気筒から検出したイオン波形に対してマップ化データのノイズ積分値で補正したノック積分値によって燃焼行程の気筒のノックの発生の有無を判定する
【選択図】図7
【解決手段】ECU100は、内燃機関の少なくとも1つの気筒の燃焼に生じるイオン波形に対する時間軸上の累積値から算出されるノイズ積分値から算出したマップ化データを記憶すると共に、内燃機関の少なくとも1つの気筒のうち燃焼行程の気筒から検出したイオン波形に対してマップ化データのノイズ積分値で補正したノック積分値によって燃焼行程の気筒のノックの発生の有無を判定する
【選択図】図7
Description
本発明は、自動車エンジン等の内燃機関の燃焼状態を判定する装置において、特に、イオン電流を用いた燃焼状態判定装置に関するものである。
従来より、火花点火式の内燃機関において、内燃機関が発する金属性の音や振動する現象をノッキング(以下「ノック」)といい、ノックの原因としては、点火時期が早すぎることや圧縮比が高すぎること、極端に薄い混合気による燃焼等が上げられ、エンジンブローに繋がる恐れがある。ノックを検出する方法の1つに、内燃機関の燃焼後にシリンダ内に発生するイオン電流を検出し、このイオン電流の波形からノックの発生を判断するものがある。
しかし、ノック発生時に生じるノイズ成分やエンジンを制御する様々な部品等の動作に伴うノイズ成分がイオン電流波形に重畳されると、イオン電流波形からノックの発生を判断することが困難になる問題が生じた。このような問題を解決するために、例えば特開平9−228941号公報(以下「特許文献1」)が知られている。
上記特許文献1において、内燃機関の燃焼室内に点火毎にイオン電流を発生させるイオン電流検出装置に電気的に接続される、内燃機関にノックが発生した際にイオン電流に重畳するノック成分の有無からノックを判定する判定手段と、イオン電流に重畳するノック成分とは異なるノイズ成分に感応して判定手段の判定を無効とする判定無効手段とを具備して構成するノック検出装置が提案されている。
また、別の例として、特開2008−267243号公報(以下「特許文献2」)が知られている。
上記特許文献2において、内燃機関の燃焼時に発生するイオンに基づくイオン電流を検出するイオン電流検出手段と、イオン電流に基づきノック信号を検出するノック信号検出手段と、内燃機関の回転位置に対応したクランク角を検出するクランク角検出手段と、内燃機関の燃焼行程終期に対応した所定クランク角以降にノイズ検出用のウィンドウを設定するウィンドウ設定手段と、ウィンドウ内におけるイオン電流の周波数成分強度およびイオン電流発生量の少なくとも一方に基づいてノイズ成分を検出するノイズ成分検出手段と、ノイズ成分とノック信号との関係に基づいてノック発生の有無を判定するノック判定手段とを備えたノック検出装置が提案されている。
しかしながら、上記従来の内燃機関のノック検出装置では次のような問題が生じている。即ち、特許文献1では、イオン電流にノイズ成分が重畳している場合に、判定無効手段がそのノイズ成分に感応して判定手段におけるノックの判定を無効とするので、誤判定が確実に防止される。つまり、ノイズ成分内にノック成分と同等の成分が含まれていたとしても、ノイズ成分がイオン電流に含まれると、判定無効手段が作動するために、そのイオン電流によるノックの有無は判定されない。したがって、ノイズ成分を誤ってノック成分として判定する誤判定がなくなり、ノック検出の信頼性が向上しているが、ノイズ成分が含まれる場合にノック判定を無効とすると実際ノックが発生しているにも係わらず継続的にノイズの重畳が続くと、最悪エンジンが破損してしまうことに繋がりかねない問題が生じる。
また、特許文献2では、ノック発生時の燃焼行程終期にはイオン電流信号がほとんど発生せず、ノイズ成分も発生しないことに基づき、ノック振動と同一周波数のノイズ成分がイオン電流信号に重畳しても、ノイズ成分とノック信号とを高精度に判別して、ノック発生の有無を高精度かつ高効率に検出しているが、所望のクランク角度以降にノイズが発生すると、ノック判定の信頼性が低いと見なしてノック否発生と判定すると実際ノックが発生しているにも係わらず継続的にノイズの重畳が続くと、最悪エンジンが破損してしまうことに繋がりかねない問題が生じる。
また、これらのノック検出装置では、ある程度規則的な周波数からなるノイズ成分とノックを区別することはできても、様々な周波数に変動するノイズに対してはノックとノイズを区別することが困難となる。様々な周波数に変動するノイズが発生する装置としては、自動車のバッテリや電装部品に電力を供給するオルタネータがあり、オルタネータはエンジン回転数の約8倍の回転をすると共に、エンジン駆動中の稼働率が高いため、ノック判定に対してオルタネータノイズ(以下「オルタノイズ」)が重畳する影響が懸念される。
図8(イ)はオルタネータの回転数とノイズ周波数特性である。図8(イ)において、X軸はエンジン回転数を示し、Y軸はオルタノイズの周波数を示す。エンジンの回転数の上昇に伴って、オルタノイズの周波数も上昇する。即ち、オルタノイズは他の制御部品と比較してイオン電流に多大な影響を与えるノイズであることが示されている。また、図8(ロ)はノイズバンドパスフィルタ及びノックバンドパスフィルタの周波数特性である。X軸はオルタノイズの周波数を示し、Y軸は振幅を示す。また、ノイズバンドパスフィルタの周波数特性を実線で示し、ノックバンドパスフィルタの周波数特性を破線で示す。図8(ロ)においては、ノイズバンドパスフィルタ(以下「ノイズBPF」)の周波数解析は6800Hz程度までの周波数(X部)及び11800Hz程度以降の周波数(Z部)のオルタノイズに強く反応する。一方、ノックバンドパスフィルタ(以下「ノックBPF」)の周波数解析は6800〜11800Hzの周波数(Y部)のオルタノイズに強く反応する。図8(イ)に戻り、6800Hzまでのオルタノイズを発生する際のエンジン回転数は5000rpm程度までで、このような低中回転域では、ノックが発生してもノイズBPFが強く反応するため、ノックと判定されない問題が生じる。また、6800〜11800Hzのオルタノイズを発生する際のエンジン回転数は4800〜8800rpmまでで、このような高回転域では、ノイズが発生してもノックBPFが強く反応するため、ノックが発生していなくてもノックと誤判定する問題が生じる。
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、内燃機関の燃焼後にシリンダ内に発生するイオン電流から内燃機関の燃焼状態の判定を行う際に、イオン電流波形にオルタネータから発生するノイズが重畳しても、内燃機関の燃焼状態を正確に判定することができる内燃機関の燃焼状態判定装置を提供することを目標とする。
上記課題を解決するために本発明は次のような構成とする。即ち、請求項1の発明においては、複数の気筒を有する内燃機関と、当該気筒のシリンダ内に供給された燃料と空気の混合気に点火を行う点火プラグと、当該点火プラグへ高電圧を供給する1次コイルと2次コイルと鉄芯からなる点火コイルと、当該内燃機関の燃焼によって前記点火プラグに発生するイオン電流を検出するイオン電流検出回路と、当該イオン電流検出回路が検出した前記イオン電流から前記内燃機関に発生するノックを判定するECUと、を備えた内燃機関の燃焼状態判定装置において、前記ECUは、前記内燃機関の少なくとも1つの気筒の燃焼に生じるオルタネータのノイズ成分から算出したマップ化データを記憶すると共に、前記内燃機関の少なくとも1つの気筒のうち燃焼行程の気筒から検出したイオン波形に対して前記マップ化データで補正したイオン波形で燃焼行程の気筒のノックの発生の有無を判定することを特徴とする内燃機関の燃焼状態判定装置とする。
上記請求項1の発明においては、前記マップ化データは、前記内燃機関のイオン波形に対する時間軸上の累積値から算出されるノイズ積分値とし、前記ECUは、前記気筒の燃焼で検出したイオン波形に対して前記ノックBPFによる時間軸上の累積値から算出されるノック積分値を求めると共に、前記ノック積分値を前記ノイズ積分値で補正してノックの発生を判定してもよい。また、前記マップ化データは、前記内燃機関の回転数、前記オルタネータの稼働率、又は、前記オルタネータの発電量を元に作成してもよいし、前記マップ化データは、前記内燃機関の気筒毎に作成され、前記ECUは、前記内燃機関の気筒毎に前記マップ化データで補正したイオン波形で燃焼行程の気筒のノックの発生の有無を判定する構成としてもよい。
上記の通り、内燃機関の少なくとも1つの気筒の燃焼に生じるオルタネータのノイズ成分から算出したマップ化データを記憶すると共に、内燃機関の少なくとも1つの気筒のうち燃焼行程の気筒から検出したイオン波形に対してマップ化データで補正したイオン波形で燃焼行程の気筒のノックの発生の有無を判定することによって、イオン電流波形にオルタネータから発生するノイズが重畳しても、内燃機関の燃焼状態を正確に判定することができる内燃機関の燃焼状態判定装置を提供することができる。
以下に、本発明の実施の形態を示す実施例を図1乃至図7に基づいて説明する。
本発明の第1の実施例とする内燃機関の構成を示す図を図1に、内燃機関の点火装置の回路図を図2に、3気筒エンジンの燃焼行程を示す図を図3に、(a)はオルタノイズが重畳しているイオン波形のタイムチャート、(b)は正常時のイオン波形のタイムチャートを図4に、(1)はオルタノイズが重畳しているイオン波形のノックBPFによる積分値を示すグラフ、(2)は正常時のイオン波形のノックBPFによる積分値を示すグラフを図5に、内燃機関の回転数毎のオルタネータの稼働率に伴うノック積分値の補正値を示すグラフを図6に、イオン波形を用いた内燃機関の燃焼状態判定を示すフローチャートを図7にそれぞれ示す。
図1乃至図3において、内燃機関は第1、第2、及び、第3の気筒10からなる3気筒エンジンであり、当該気筒10毎に1つずつシリンダ20が形成され、当該シリンダ20の下部に備えられたピストン30と、当該ピストン30の上下方向の運動を回転運動に変換するクランク32を備えている。また、当該気筒10毎の当該クランク32を連動して回転させるためのクランクシャフト34を備えている。さらに、当該気筒10毎の当該シリンダ20上部には、当該シリンダ20内へ燃料と空気からなる混合気を供給するための吸気管40と、当該シリンダ20内から排気ガスを排出するための排気管60と、を備えている。
また、前記吸気管40には前記シリンダ20内への吸気量を調整する吸気バルブ42を備え、前記排気管60には前記シリンダ20からの排気ガスの量を調整する排気バルブ62が備えられている。さらに、前記気筒10毎の前記シリンダ20上部には前記吸気バルブ42の開閉動作を行うための吸気カム44と、前記排気バルブ62の開閉動作を行うための排気カム64と、を備えている。
また、前記気筒10毎の前記吸気カム44を連動して回転させるための吸気カムシャフト46と、前記気筒10毎の前記排気カム64を連動して回転させるための排気カムシャフト66と、を備えている。さらに、前記クランクシャフト34、当該吸気カムシャフト46、及び、当該排気カムシャフト66はタイミングベルトによって連動して駆動している。
また、前記第1、第2、及び、第3の気筒10は前記クランクシャフト34が2回転(720度)する間に吸気行程、圧縮行程、燃焼行程、又は、排気行程を行い、前記第1、第2、第3の気筒10の順番で燃焼が行われると共に、前記気筒10毎に120度の間隔を空けてそれぞれの行程が行われる。さらに、前記シリンダ20上部には前記シリンダ20に供給された混合気に火花を飛ばすと共に、前記内燃機関の燃焼時に発生するイオン電流を検出するための電極を有した点火プラグ70が気筒数と同じ個数備えられている。
また、それぞれの前記点火プラグ70には前記シリンダ20内の混合気の点火に必要な数十kVの電圧を発生させる点火コイル80が電気的に接続されている。さらに、当該点火コイル80には前記内燃機関の燃焼時に前記点火プラグ70に発生するイオン電流を検出するイオン電流検出回路90が電気的に接続されている。
また、前記点火コイル80及び前記イオン電流検出回路90は前記内燃機関の電気的制御を行うECU100とそれぞれ電気的に接続されている。さらに、前記内燃機関は車両用バッテリ110や電装部品へ電力を供給するオルタネータを備え、当該オルタネータは当該バッテリ110や当該電装部品に対して電力を供給するためハーネスで接続されている。
図2に戻って、前記点火コイル80は1次巻線を巻き回した1次コイル82と、2次巻線を巻き回した2次コイル84と、珪素鋼板からなる鉄芯86と、スイッチング半導体からなるイグナイタ88と、から構成される。また、前記バッテリ110のプラス側は当該1次コイル82の低圧側と接続される。さらに、当該1次コイル82の高圧側は当該イグナイタ88のコレクタ側と接続されている。
また、前記イグナイタ88のエミッタ側は前記ボディアースに接続され、ゲート側は前記ECU110に接続され、前記内燃機関の燃焼サイクルに応じた点火信号を供給している。さらに、前記2次コイル84は前記1次コイル82と前記鉄芯86で電磁誘導によって電流が発生する位置に配置され、前記2次コイル84の高圧側は前記点火プラグ70の中心電極と接続されている。
また、前記点火プラグ70は中心電極とギャップを介して備えられた側方電極が前記ボディアースと接続されている。さらに、前記2次コイル84の低圧側は前記イオン電流検出回路90を介して前記ボディアースに接続されている。
また、前記内燃機関の燃焼行程で前記シリンダ20内に生じたイオン電流が前記点火プラグ70と前記2次コイル84を介して前記イオン電流検出回路90に検出される。前記イオン電流検出回路90は、前記2次コイル84の低圧側に接続され、ツェナーダイオード92aのカソード端子と接続されている。さらに、当該ツェナーダイオード92aのアノード端子は、第1のダイオード92bのアノード端子と接続され、当該第1のダイオードのカソード端子は、グランドと接続されている。
また、前記ツェナーダイオード92aに対してコンデンサ94が並列に接続され、当該コンデンサ94のプラス端子は、前記ツェナーダイオード92bのカソード端子と接続され、プラス端子は、前記ツェナーダイオード92aのアノード端子と接続されている。さらに、当該コンデンサ94のマイナス端子は、第1の抵抗98aと接続され、当該第1の抵抗98aの前記コンデンサ94と接続される反対側は、オペアンプ96の反転入力端子と接続されている。さらに、当該オペアンプ96の反転入力端子と前記第1の抵抗98aとの接続部は、前記第2のダイオード92cのカソード端子と接続され、前記第2のダイオード92cのアノード端子は、グランドと接続されている。
また、前記オペアンプ96の反転入力端子と出力端子に対して第2の抵抗98bが並列に接続されている。さらに、前記オペアンプ96の正電源端子は、電源と接続され電力の供給を受け、前記オペアンプ96の非反転入力端子及び負電源端子は、グランドと接続される。
また、前記ツェナーダイオード92aは、270Vのブレークダウン電圧を有したツェナーダイオードからなっており、前記ツェナーダイオード92aのブレークダウン電圧によって前記コンデンサ94に充電される電圧が270Vに制限されている。前記点火プラグ70からの放電が終息していくと、前記2次コイル84からの放電時に充電された前記コンデンサ94の両端電圧をバイアス電源として、前記第2の抵抗98b→前記第1の抵抗98a→前記コンデンサ94→前記2次コイル84→前記点火プラグ70の経路でイオン電流が流れる。その結果、前記オペアンプ96からイオン電流に対する検出信号が出力され、前記ECU100は、前記オペアンプ96から出力された検出信号を基に、前記内燃機関の燃焼状態の判定を行う。
図4(a)及び図4(b)において、X軸は時間を、Y軸はイオン波形の大きさを示す。また、前記第1の気筒10の燃焼で前記イオン電流検出回路90が検出したイオン波形を実線で示す。図4(a)は前記オルタネータのノイズが重畳したイオン波形を示し、図4(b)は前記オルタネータのノイズが重畳していない正常時のイオン波形を示している。また、図4(a)より、前記第1の気筒10の燃焼から検出したイオン波形はピーク値まで上昇し、その後減少していくが、前記オルタネータの駆動時には、上下に揺らぐようなオルタノイズが重畳する。このようなノイズは前記第1の気筒10にノックが発生した際にイオン波形に生じるノック波形として捉えられることがある。さらに、オルタノイズは前記オルタネータ本体から発すると共に、前記オルタネータから前記バッテリ110や電装部品を結ぶ前記ハーネスを伝って発するものであり、特に前記点火コイル80の前記2次コイル84に対して磁束の乱れを発生させる。
また、図4(b)より、オルタノイズが重畳しない正常時のイオン波形は、ピーク値まで上昇し、その後減少していく際に、図4(a)に示したような上下に揺らぐ軌道は含まれていない。これにより、図4(a)のような上下の揺らぎが前記気筒10にノックが発生した際にイオン波形に生じるノック波形として捉えられることはない。
また、図4(b)から前記第1の気筒10に発生するイオン波形は時間が経過すると0.2V以下となり、イオン波形は終息していく。このことから、図4(a)では0.2V以下のイオン波形にはノイズ成分のみが重畳していることが分かる。さらに、前記内燃機関の燃焼行程の終期にはノックは発生しない。即ち、イオン波形の終息後はノック判定をする必要がない。
また、前記第1の気筒10から検出したイオン波形からノック成分を抽出するノックバンドパスフィルタ(以下「ノックBPF」)により、イオン波形の時間軸上の累積値から前記第1の気筒10にノックが発生しているか判断している。当該ノックBPFは、図4(a)及び図4(b)のイオン波形のピーク値付近の0.2V以上の波形からノック成分を積分している。即ち、図4(a)では範囲Aに対するノック成分を累積し、図4(b)では範囲Bに対するノック成分を累積している。
図5において、(1)は前記イオン波形にオルタノイズが重畳している時の前記第1の気筒10の燃焼に対して生じるオルタノイズを累積したノイズ成分をマップ化したデータの補正値(ノイズ積分値)及び前記イオン波形にオルタノイズが重畳している時の前記ノックBPFによる時間軸上の累積値から算出される前記第1の気筒10の燃焼に対する前記範囲A(図4(a)内記載)のノック積分値を示したものである。また、(2)は前記イオン波形にオルタノイズが重畳していない時の前記第1の気筒10の燃焼に対して生じるオルタノイズを累積したノイズ成分をマップ化したデータの補正値(ノイズ積分値)及び前記イオン波形にオルタノイズが重畳していない時の前記ノックBPFによる時間軸上の累積値から算出される前記第1の気筒10の燃焼に対する前記範囲B(図4(b)内記載)のノック積分値を示したものである。
図5(1)でオルタノイズが重畳している前記第1の気筒10の燃焼にノックが発生していない時の前記範囲Aのノック積分値は、オルタノイズが重畳している時の前記マップ化データの補正値(ノイズ積分値)と同一となる。しかし、オルタノイズが重畳している前記第1の気筒10の燃焼にノックが発生している時の前記ノック積分値は、オルタノイズが重畳している時の前記マップ化データの補正値(ノイズ積分値)に対してP部分だけ増加している。また、図5(2)でオルタノイズが重畳していない前記第1の気筒10の燃焼にノックが発生していない時のノック積分値は、オルタノイズが重畳していない時の前記マップ化データの補正値(ノイズ積分値)と同一となる。しかし、オルタノイズが重畳していない前記第1の気筒10の燃焼にノックが発生している時のノック積分値は、オルタノイズが重畳していない時の前記マップ化データの補正値(ノイズ積分値)に対してQ部分だけ増加している。これにより、前記オルタネータの稼働状態に応じて前記第1の気筒10のノック積分値を補正し、正確なノック成分のみ抽出している。
また、前記マップ化データの補正値(ノイズ積分値)の算出方法は、前記内燃機関のイオン波形に対する時間軸上の累積値から算出されるノイズ面積とする。さらに、前記ECU100は、前記内燃機関の回転数及び前記オルタネータの稼働率に応じた前記マップ化データを記憶している。
前記ECU100は、前記第1の気筒10のイオン波形を前記マップ化データで補正したノック成分から前記第1の気筒10にノックが発生しているか判定している。また、前記マップ化データで補正したノック成分の大きさから前記第1の気筒10で発生したノックの程度も判定できる。さらに、図5(2)内に記載のマップ化データの補正値(ノイズ積分値)はオルタノイズが重畳していないが、ノック積分値は0ではない。これは、前記イオン波形に重畳するノイズは、前記オルタネータ以外の装置、例えば、バッテリ110から延びるハーネスからのノイズも重畳しているためである。
図6において、X軸は前記オルタネータの稼働率を、Y軸はイオン波形のノック成分に対する補正値(ノイズ積分値)を示す。また、前記内燃機関の回転数に応じて前記ノック成分から補正する補正値(ノイズ積分値)も異なる。前記オルタネータの稼働率が20%付近では2400rpm〜4000rpmまで補正値(ノイズ積分値)にあまり差がない。しかし、前記オルタネータの稼働率が上昇するに応じて補正値(ノイズ積分値)も上昇する。前記内燃機関の回転数が高い程補正値(ノイズ積分値)の上昇が大きくなり、前記オルタネータの稼働率が100%付近では前記内燃機関の回転数が高いほど補正値(ノイズ積分値)が大きくなる。
また、前記マップ化データの補正値(ノイズ積分値)は前記内燃機関の回転数及び前記オルタネータの稼働率に応じて異なるため、前記内燃機関の回転数及び前記オルタネータの稼働率で前記マップ化データが作成される。さらに、前記ECU100は、前記第1の気筒10で発生した前記イオン波形から算出したノック積分値を前記内燃機関の回転数及び前記オルタネータの稼働率から選択した前記マップ化データの補正値(ノイズ積分値)によって補正し、補正したノック積分値から前記第1の気筒10にノックが発生しているかの判定を行う。
また、前記マップ化データは前記内燃機関の気筒毎に作成され、前記ECU100は、前記内燃機関の気筒毎に検出したイオン波形からノック積分値を算出すると共に、前記マップ化データの補正値(ノイズ積分値)で補正することで、前記内燃機関の気筒毎にノックの発生を判定している。
次に、内燃機関の燃焼状態判定装置の動作を図7に基づいて説明する。
図7において、前記内燃機関は燃焼サイクルを開始させ(S1)、前記イオン電流検出回路90は前記第1の気筒10の燃焼から前記2次コイル84を介してイオン電流を検出すると共に、前記ECU100は、前記イオン電流検出回路90が検出したイオン電流からイオン波形を算出する(S2)。また、前記ECU100は、(S2)で算出したイオン波形の0.2V以上となる波形から前記ノックBPFを用いてノック積分値を算出し(S3)、前記ECU100は、前記内燃機関の回転数及び前記オルタネータの稼働率に基づく前記マップ化データの補正値(ノイズ積分値)を選択し(S4)、前記ECU100は、(S3)で算出したノック積分値を(S4)で選択された補正値(ノイズ積分値)で補正する(S5)。さらに、前記ECU100は、(S5)で補正したノック積分値から前記第1の気筒10の燃焼期間内にノックが発生しているかの判定を行う(S6)。
上記構成により、前記内燃機関の気筒毎に0.2V以上のイオン波形から前記ノックBPFを用いてノック積分値を算出し、前記内燃機関の回転数及び前記オルタネータの稼働率に基づく前記マップ化データの補正値(ノイズ積分値)を選択し、ノック積分値を選択した補正値(ノイズ積分値)で補正し、補正したノック積分値から前記内燃機関の気筒毎にノックが発生しているかの判定を行う。これにより、前記オルタネータ本体又は前記オルタネータから前記バッテリ110や電装部品を結ぶ前記ハーネスを伝って発するオルタノイズが重畳しても、オルタノイズをノック波形と間違って抽出することなく、ノックの発生のみを正確に判定することができる。
また、前記オルタネータの稼働率が低く、前記内燃機関の気筒にオルタノイズが重畳していない又は微少である場合でも、前記バッテリ110から延びるハーネスからのノイズ等も含めて補正することができる。
なお、上記実施例1の変形例として、本実施例の内燃機関は第1、第2、及び、第3の気筒10からなると共に、前記第1、第2、第3の気筒10の順番に燃焼する3気筒エンジンとしたが、3気筒以外の複数気筒エンジンのうち、少なくとも1つの気筒に実施する構成とすれば同様の効果を得ることができる。また、前記イオン電流検出回路90の回路構成は、前記2次コイル84からの放電時に充電された前記コンデンサ94の両端電圧をバイアス電源として、イオン電流を検出し、前記オペアンプ96からイオン電流に対応する検出信号が出力される構成としたが、設計事情によって任意の回路構成に変更してもよい。さらに、前記ECU100は、前記イオン波形のピーク値付近の0.2V以上の波形からノック積分値を算出したが、イオン波形の大きさ等によってノック積分値の算出方法を変更してもよい。
また、前記マップ化データは、前記内燃機関の回転数、前記オルタネータの稼働率、又は、前記オルタネータの発電量に基づいて、前記ノック積分値に重畳するノイズ成分に対する補正値(ノイズ積分値)を算出してもよい。さらに、前記マップ化データは、前記内燃機関の気筒毎に作成したが、前記内燃機関の気筒毎のオルタノイズによるノイズ成分の影響に差が生じなければ、全ての気筒に対して同じマップ化データを用いてノック積分値を補正してもよい。
また、前記ECU100は、前記イオン波形に対してピーク値付近の波形にノック成分が含まれているかの判定を行ったが、これに限らず前記イオン波形に対して前記内燃機関の気筒毎に失火を判定する制御を行ってもよい。
10:気筒
20:シリンダ
30:ピストン
32:クランク
34:クランクシャフト
40:吸気管
42:吸気バルブ
44:吸気カム
46:吸気カムシャフト
50:インジェクター
60:排気管
62:排気バルブ
64:排気カム
66:排気カムシャフト
70:点火プラグ
80:点火コイル
82:1次コイル
84:2次コイル
86:鉄芯
88:イグナイタ
90:イオン電流検出回路
92a:ツェナーダイオード
92b:第1のダイオード
92c:第2のダイオード
94:コンデンサ
96オペアンプ
98a:第1の抵抗
98b:第2の抵抗
100:ECU
110:バッテリ
20:シリンダ
30:ピストン
32:クランク
34:クランクシャフト
40:吸気管
42:吸気バルブ
44:吸気カム
46:吸気カムシャフト
50:インジェクター
60:排気管
62:排気バルブ
64:排気カム
66:排気カムシャフト
70:点火プラグ
80:点火コイル
82:1次コイル
84:2次コイル
86:鉄芯
88:イグナイタ
90:イオン電流検出回路
92a:ツェナーダイオード
92b:第1のダイオード
92c:第2のダイオード
94:コンデンサ
96オペアンプ
98a:第1の抵抗
98b:第2の抵抗
100:ECU
110:バッテリ
Claims (4)
- 複数の気筒を有する内燃機関と、
当該気筒のシリンダ内に供給された燃料と空気の混合気に点火を行う点火プラグと、
当該点火プラグへ高電圧を供給する1次コイルと2次コイルと鉄芯からなる点火コイルと、
当該内燃機関の燃焼によって前記点火プラグに発生するイオン電流を検出するイオン電流検出回路と、
当該イオン電流検出回路が検出した前記イオン電流から前記内燃機関に発生するノックを判定するECUと、を備えた内燃機関の燃焼状態判定装置において、
前記ECUは、前記内燃機関の少なくとも1つの気筒の燃焼に生じるオルタネータのノイズ成分から算出したマップ化データを記憶すると共に、前記内燃機関の少なくとも1つの気筒のうち燃焼行程の気筒から検出したイオン波形に対して前記マップ化データで補正したイオン波形で燃焼行程の気筒のノックの発生の有無を判定することを特徴とする内燃機関の燃焼状態判定装置。 - 前記マップ化データは、前記内燃機関のイオン波形に対する時間軸上の累積値から算出されるノイズ積分値とし、
前記ECUは、前記気筒の燃焼で検出したイオン波形に対して前記ノックBPFによる時間軸上の累積値から算出されるノック積分値を求めると共に、前記ノック積分値を前記ノイズ積分値で補正してノックの発生を判定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃焼状態判定装置。 - 前記マップ化データは、前記内燃機関の回転数、前記オルタネータの稼働率、又は、前記オルタネータの発電量を元に作成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の燃焼状態判定装置。
- 前記マップ化データは、前記内燃機関の気筒毎に作成され、
前記ECUは、前記内燃機関の気筒毎に前記マップ化データで補正したイオン波形で燃焼行程の気筒のノックの発生の有無を判定することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の内燃機関の燃焼状態判定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012229417A JP2014080922A (ja) | 2012-10-17 | 2012-10-17 | イオン電流を用いた内燃機関の燃焼状態判定装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012229417A JP2014080922A (ja) | 2012-10-17 | 2012-10-17 | イオン電流を用いた内燃機関の燃焼状態判定装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014080922A true JP2014080922A (ja) | 2014-05-08 |
Family
ID=50785319
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012229417A Pending JP2014080922A (ja) | 2012-10-17 | 2012-10-17 | イオン電流を用いた内燃機関の燃焼状態判定装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2014080922A (ja) |
-
2012
- 2012-10-17 JP JP2012229417A patent/JP2014080922A/ja active Pending
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