JP2014080577A - 樹脂組成物、樹脂組成物を用いた成形体、および成形体を用いたリフレクタ部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】機械的特性および耐熱性を損なうことなく、優れた流動性、滞留安定性、および蒸着適性を同時に実現することが可能な樹脂組成物を提供する。
【解決手段】本発明の樹脂組成物は、ポリアリレート樹脂(A)と、ポリカーボネート樹脂(B)と、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)とを含有し、ポリアリレート樹脂(A)と、ポリカーボネート樹脂(B)と、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)との合計100質量部に対して、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の含有量が10〜45質量部であり、ポリアリレート樹脂(A)の質量(MA)と、ポリカーボネート樹脂(B)の質量(MB)とが、関係式(1):
30/70≦(MA/MB)≦90/10 (1)
を満たす。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の樹脂組成物は、ポリアリレート樹脂(A)と、ポリカーボネート樹脂(B)と、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)とを含有し、ポリアリレート樹脂(A)と、ポリカーボネート樹脂(B)と、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)との合計100質量部に対して、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の含有量が10〜45質量部であり、ポリアリレート樹脂(A)の質量(MA)と、ポリカーボネート樹脂(B)の質量(MB)とが、関係式(1):
30/70≦(MA/MB)≦90/10 (1)
を満たす。
【選択図】なし
Description
本発明は、樹脂組成物、樹脂組成物を用いた成形体、および成形体を用いたリフレクタ部品に関する。
ビスフェノール成分と芳香族カルボン酸成分とを含むポリアリレート樹脂は、エンジニアリングプラスチックとして広く知られている。ポリアリレート樹脂は、耐熱性、機械的特性、透明性に優れるため、それを用いた成形品は、電気・電子、自動車、機械等の分野に幅広く利用されている。しかし、ポリアリレート樹脂は、溶融粘度が高いため、成形時の流動性が悪く、成形性が十分に得られないという問題点を有していた。
ポリアリレート樹脂の機械的特性および耐熱性を損なうことなく、成形性を向上させる手法として、ポリアリレート樹脂とポリカーボネート樹脂を溶融混練した樹脂組成物が知られている。
ところで、近年、自動車および電気製品の軽量化および小型化に伴い、それらの構成部品の小型化および薄型化が進んでいる。しかし、ポリアリレート樹脂とポリカーボネート樹脂を単に溶融混練した樹脂組成物では、小型化および薄型化に対応できる流動性(成形性)が十分に得られない。
ところで、近年、自動車および電気製品の軽量化および小型化に伴い、それらの構成部品の小型化および薄型化が進んでいる。しかし、ポリアリレート樹脂とポリカーボネート樹脂を単に溶融混練した樹脂組成物では、小型化および薄型化に対応できる流動性(成形性)が十分に得られない。
樹脂組成物の流動性を改善する手法として、特許文献1では、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびシクロオレフィン系樹脂を含む樹脂組成物が開示されている。特許文献2では、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびポリアミド樹脂を含む樹脂組成物が開示されている。すなわち、特許文献1および2では、ポリアリレート樹脂やポリカーボネート樹脂と非相溶な樹脂成分、すなわち、シクロオレフィン系樹脂やポリアミド樹脂を流動改質剤として用いることが提案されている。
しかし、特許文献1および2に開示された樹脂組成物においても、薄肉成形体を得るための十分な流動性は、依然として、得られなかった。
また、上記の樹脂組成物は、高温環境下で滞留させた場合の耐久性(滞留安定性)も不十分である。例えば、樹脂組成物の射出成形時において、射出成形機中に滞留する溶融状態の樹脂組成物が熱分解し、それで生じた分解物やガスの影響により、上記の樹脂組成物の成形体においてシルバーやモールドデポジット等の外観不良を生じ易い。
さらに、上記の樹脂組成物を自動車分野での光学部品等に用いる場合、樹脂組成物を成形し、得られた成形体の表面にアルミニウムの蒸着膜を形成する。しかし、上記の樹脂組成物の成形体は、蒸着膜との密着性が低いという問題があった。また、シルバーやモールドデポジット等の外観不良のある成形体においては、蒸着膜の歪み、表面平滑性の低下にともなう表面荒れを生じ、蒸着膜特有の鏡面に乱れや曇りが生じて蒸着適性が劣った。
また、上記の樹脂組成物は、高温環境下で滞留させた場合の耐久性(滞留安定性)も不十分である。例えば、樹脂組成物の射出成形時において、射出成形機中に滞留する溶融状態の樹脂組成物が熱分解し、それで生じた分解物やガスの影響により、上記の樹脂組成物の成形体においてシルバーやモールドデポジット等の外観不良を生じ易い。
さらに、上記の樹脂組成物を自動車分野での光学部品等に用いる場合、樹脂組成物を成形し、得られた成形体の表面にアルミニウムの蒸着膜を形成する。しかし、上記の樹脂組成物の成形体は、蒸着膜との密着性が低いという問題があった。また、シルバーやモールドデポジット等の外観不良のある成形体においては、蒸着膜の歪み、表面平滑性の低下にともなう表面荒れを生じ、蒸着膜特有の鏡面に乱れや曇りが生じて蒸着適性が劣った。
そこで、本発明は、上記従来の問題を解決するため、機械的特性および耐熱性を損なうことなく、優れた流動性、滞留安定性、および蒸着適性を同時に実現することが可能な樹脂組成物、その樹脂組成物を用いた成形体、およびその成形体を用いたリフレクタ部品を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は次の通りである。
すなわち本発明の要旨は次の通りである。
[1]ポリアリレート樹脂(A)と、ポリカーボネート樹脂(B)と、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)とを含有し、
ポリアリレート樹脂(A)と、ポリカーボネート樹脂(B)と、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)との合計100質量部に対して、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の含有量が10〜45質量部であり、
ポリアリレート樹脂(A)の質量(MA)と、ポリカーボネート樹脂(B)の質量(MB)とが、関係式(1):
30/70≦(MA/MB)≦90/10 (1)
を満たすことを特徴とする樹脂組成物。
ポリアリレート樹脂(A)と、ポリカーボネート樹脂(B)と、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)との合計100質量部に対して、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の含有量が10〜45質量部であり、
ポリアリレート樹脂(A)の質量(MA)と、ポリカーボネート樹脂(B)の質量(MB)とが、関係式(1):
30/70≦(MA/MB)≦90/10 (1)
を満たすことを特徴とする樹脂組成物。
[2]ポリアリレート樹脂(A)およびポリカーボネート樹脂(B)を混合した樹脂の340℃におけるメルトフローレート(MFR1)と、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の290℃におけるメルトフローレート(MFR2)とが、関係式(2):
0.5≦(MFR2/MFR1)≦25 (2)
を満たすことを特徴とする[1]に記載の樹脂組成物。
[3]ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の290℃におけるメルトフローレートが、20g/10min以上であることを特徴とする[1]または[2]に記載の樹脂組成物。
0.5≦(MFR2/MFR1)≦25 (2)
を満たすことを特徴とする[1]に記載の樹脂組成物。
[3]ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の290℃におけるメルトフローレートが、20g/10min以上であることを特徴とする[1]または[2]に記載の樹脂組成物。
[4]ポリアリレート樹脂(A)およびポリカーボネート樹脂(B)を混合した樹脂の25℃におけるインヘレント粘度が、0.4〜0.7dl/gであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5][1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体。
[6][5]記載の成形体の表面にアルミニウムを含む蒸着膜を形成してなることを特徴とするリフレクタ部品。
[6][5]記載の成形体の表面にアルミニウムを含む蒸着膜を形成してなることを特徴とするリフレクタ部品。
本発明によれば、優れた機械的特性および耐熱性を有するとともに、流動性、滞留安定性、および蒸着適性に優れた樹脂組成物、その樹脂組成物を用いた成形体、およびその成形体を用いたリフレクタ部品を提供することができる。
本発明は、ポリアリレート樹脂(A)と、ポリカーボネート樹脂(B)と、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)とを含有する樹脂組成物に関する。
本発明の樹脂組成物が、下記に示す条件I〜IIを満たす場合、優れた機械的特性、耐熱性、流動性、滞留安定性、および蒸着適性を同時に実現することができる。
条件I:ポリアリレート樹脂(A)、ポリカーボネート樹脂(B)、およびポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の合計100質量部に対して、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の含有量は、10〜45質量%である。
条件II:ポリアリレート樹脂(A)の質量(MA)とポリカーボネート樹脂(B)の質量(MB)の比:(MA/MB)が、30/70〜90/10である。
条件I:ポリアリレート樹脂(A)、ポリカーボネート樹脂(B)、およびポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の合計100質量部に対して、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の含有量は、10〜45質量%である。
条件II:ポリアリレート樹脂(A)の質量(MA)とポリカーボネート樹脂(B)の質量(MB)の比:(MA/MB)が、30/70〜90/10である。
本発明において、ポリアリレート樹脂(A)、ポリカーボネート樹脂(B)、およびポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の合計100質量部に対して、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の含有量は、上述のように10〜45質量部である必要があり、15〜40質量部であることが好ましく、30〜35質量部であることがより好ましい。
ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の含有量が10質量部未満であると、流動性の向上効果が乏しく、成形性が十分に改善されない。
ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の含有量が45質量部を超えると、得られる成形体の表面平滑性が低下する。さらには、シルバー等の外観不良を生じ、蒸着適性が低下する。また、得られる成形体において引張破断伸度等の機械的特性が低下する傾向がある。なお、シルバーとは、成形体表面に放射状のスジが現れる状態を指すものである。シルバーは、射出成形機中に滞留する溶融樹脂が熱分解等を起こし、成形機内部に分解ガスが発生し、射出成形時に成形体のゲート付近から分解ガスが漏出することにより発生する場合がある。さらには、得られる成形体にバリが発生する場合がある。なお、バリとは金型の合わせ面から溶融樹脂が漏れ出す現象であり、特に樹脂組成物の流動性が過度に高い場合、成形体の端部で発生する。
ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の含有量が10質量部未満であると、流動性の向上効果が乏しく、成形性が十分に改善されない。
ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の含有量が45質量部を超えると、得られる成形体の表面平滑性が低下する。さらには、シルバー等の外観不良を生じ、蒸着適性が低下する。また、得られる成形体において引張破断伸度等の機械的特性が低下する傾向がある。なお、シルバーとは、成形体表面に放射状のスジが現れる状態を指すものである。シルバーは、射出成形機中に滞留する溶融樹脂が熱分解等を起こし、成形機内部に分解ガスが発生し、射出成形時に成形体のゲート付近から分解ガスが漏出することにより発生する場合がある。さらには、得られる成形体にバリが発生する場合がある。なお、バリとは金型の合わせ面から溶融樹脂が漏れ出す現象であり、特に樹脂組成物の流動性が過度に高い場合、成形体の端部で発生する。
ポリアリレート樹脂(A)の質量(MA)とポリカーボネート樹脂(B)の質量(MB)の比:(MA/MB)が、上述のように30/70〜90/10である必要があり、35/65〜85/15であることが好ましく、40/60〜80/20であることがより好ましい。
(MA/MB)が30/70未満であると、ポリカーボネート樹脂(B)に対するポリアリレート樹脂(A)の配合割合が過度に少なくなり、得られる成形体の耐熱性を十分に向上することができない。(MA/MB)が90/10超であると、ポリカーボネート樹脂(B)に対するポリアリレート樹脂(A)の配合割合が過度に多くなり、滞留安定性が低下して短い成形サイクルでシルバー等の外観不良を生じたり、靱性が不足したり、蒸着適性が低下したりする。
(MA/MB)が30/70未満であると、ポリカーボネート樹脂(B)に対するポリアリレート樹脂(A)の配合割合が過度に少なくなり、得られる成形体の耐熱性を十分に向上することができない。(MA/MB)が90/10超であると、ポリカーボネート樹脂(B)に対するポリアリレート樹脂(A)の配合割合が過度に多くなり、滞留安定性が低下して短い成形サイクルでシルバー等の外観不良を生じたり、靱性が不足したり、蒸着適性が低下したりする。
本発明の樹脂組成物は、さらに、下記条件IIIを満たすことが好ましい。
条件III:ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の290℃におけるメルトフローレート(MFR2)と、ポリアリレート樹脂(A)およびポリカーボネート樹脂(B)を混合した樹脂の340℃におけるメルトフローレート(MFR1)の比:(MFR2/MFR1)が、0.5〜25である。
本発明の樹脂組成物が上記の条件IIIをさらに満たすことで、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)のポリアリレート樹脂(A)およびポリカーボネート樹脂(B)に対する相溶性が向上し、樹脂組成物の流動性および滞留安定性をより高めながら、蒸着適性を改善する効果が高まる。
条件III:ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の290℃におけるメルトフローレート(MFR2)と、ポリアリレート樹脂(A)およびポリカーボネート樹脂(B)を混合した樹脂の340℃におけるメルトフローレート(MFR1)の比:(MFR2/MFR1)が、0.5〜25である。
本発明の樹脂組成物が上記の条件IIIをさらに満たすことで、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)のポリアリレート樹脂(A)およびポリカーボネート樹脂(B)に対する相溶性が向上し、樹脂組成物の流動性および滞留安定性をより高めながら、蒸着適性を改善する効果が高まる。
(MFR2/MFR1)が0.5以上であると、ポリアリレート樹脂(A)、ポリカーボネート樹脂(B)、およびポリフェニレンサルファイド樹脂(C)を含む樹脂組成物の流動性の改質効果が顕著に得られる。(MFR2/MFR1)が25以下であると、樹脂組成物中におけるポリフェニレンサルファイド樹脂(C)のポリアリレート樹脂(A)およびポリカーボネート樹脂(B)に対する相溶性、ならびに樹脂組成物中におけるポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の分散性が向上する。その結果、シルバー等の外観不良の発生をより顕著に抑制することができ、得られる成形体の蒸着適性の改善効果がさらに高まる。
より好ましくは、上記の(MFR2/MFR1)が1.0〜20である。
より好ましくは、上記の(MFR2/MFR1)が1.0〜20である。
樹脂組成物の流動性向上の観点から、本発明における樹脂組成物は、当該樹脂組成物を溶融した場合、ポリアリレート樹脂(A)およびポリカーボネート樹脂(B)が島成分、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)が海成分となるようなモルフォロジーを、もしくは海島両相が連続層となるようなモルフォロジーを呈することが好ましい。
上記の条件I〜IIIを満たす場合に、樹脂組成物は上記モルフォロジーとなる傾向が高まる。
上記の条件I〜IIIを満たす場合に、樹脂組成物は上記モルフォロジーとなる傾向が高まる。
ポリアリレート樹脂(A)およびポリカーボネート樹脂(B)を混合した樹脂の340℃におけるメルトフローレート(MFR1)は、ASTM D−1238−82に準拠し、荷重2.16kgおよび温度340℃の条件で測定される。
ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の290℃におけるメルトフローレート(MFR2)は、ASTM D−1238−82に準拠し、荷重2.16kgおよび温度290℃の条件で測定される。
(MFR1)の測定温度が340℃であり、(MFR2)の測定温度が290℃であるが、これらの測定温度は、それぞれ溶融樹脂がMFRを測定するのに適した溶融粘性が得られる温度に設定されている。上記の測定温度に設定することで、(MFR1)および(MFR2)の両方とも測定値のばらつきが少なく、正確なMFR値(分子量)が得られる。例えば、(MFR2)(ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)のMFR)を340℃で測定すると、溶融粘性が低すぎるため、(MFR2)の測定値のばらつきが大きくなり、正確なMFR値を得ることが難しい。
ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の290℃におけるメルトフローレート(MFR2)は、ASTM D−1238−82に準拠し、荷重2.16kgおよび温度290℃の条件で測定される。
(MFR1)の測定温度が340℃であり、(MFR2)の測定温度が290℃であるが、これらの測定温度は、それぞれ溶融樹脂がMFRを測定するのに適した溶融粘性が得られる温度に設定されている。上記の測定温度に設定することで、(MFR1)および(MFR2)の両方とも測定値のばらつきが少なく、正確なMFR値(分子量)が得られる。例えば、(MFR2)(ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)のMFR)を340℃で測定すると、溶融粘性が低すぎるため、(MFR2)の測定値のばらつきが大きくなり、正確なMFR値を得ることが難しい。
本発明におけるポリアリレート樹脂(A)は、芳香族ジカルボン酸残基と、ビスフェノール類残基とで構成されるポリエステルである。ポリアリレート樹脂(A)は、溶融重合法や界面重合法等の公知の方法により製造することができる。
ポリアリレート樹脂(A)における芳香族ジカルボン酸残基を構成する芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、メチルテレフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルフォンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルイソプロピリデンジカルボン酸、1,2−ビス(4−カルボキシフェノキシ)エタン、5−ナトリウムスルホイソフタル酸が挙げられる。中でも、テレフタル酸やイソフタル酸が好ましく、溶融加工性および機械的特性の点から、両者を混合して用いることがより好ましい。
テレフタル酸とイソフタル酸の混合モル比率(テレフタル酸/イソフタル酸)は、100/0〜0/100の範囲で任意に選ぶことができ、界面重合法における重合性の観点から、70/30〜30/70であることが好ましく、60/40〜40/60であることがより好ましい。また、得られるポリアリレート樹脂(A)の特性を考慮した場合、イソフタル酸の比率が増すと、ポリアリレート樹脂(A)の光変色が抑制される傾向にあり、テレフタル酸の比率が増すとポリアリレート樹脂(A)の耐熱性が向上する傾向がある。
ポリアリレート樹脂(A)におけるビスフェノール類残基を構成するビスフェノールとしては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]、2−フェニル−3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデンジフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンが挙げられる。これらのビスフェノールを単独で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。中でも、重合性および経済性の観点から、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを使用することが好ましい。また、中でも、耐熱性の観点から、2−フェニル−3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデンジフェノールを使用することが好ましい。
ポリアリレート樹脂(A)のインヘレント粘度は、0.3〜1.0dl/gであることが好ましく、0.35〜0.7dl/gであることがより好ましく、0.40〜0.6dl/gであることがさらに好ましい。
インヘレント粘度が0.3dl/g未満であると、得られる樹脂組成物の分子量が低くなり、機械的特性および耐熱性が低下する場合がある。インヘレント粘度が1.0dl/gを超えると、溶融粘度が高くなるため、溶融加工時に変色したり、流動性が低下したり、得られる成形体にシルバーの外観不良が生じたりする場合がある。
インヘレント粘度が0.3dl/g未満であると、得られる樹脂組成物の分子量が低くなり、機械的特性および耐熱性が低下する場合がある。インヘレント粘度が1.0dl/gを超えると、溶融粘度が高くなるため、溶融加工時に変色したり、流動性が低下したり、得られる成形体にシルバーの外観不良が生じたりする場合がある。
本発明におけるポリカーボネート樹脂(B)は、ビスフェノール残基と、カーボネート残基とで構成される。ポリカーボネート樹脂(B)は、上記のポリアリレート樹脂(A)と類似のビスフェノール類残基を有する。このため、ポリカーボネート樹脂(B)は、ポリアリレート樹脂(A)と良好な相溶性を示し、さらに、ポリアリレート樹脂(A)の靱性を向上させるという利点を有する。
ポリカーボネート樹脂(B)におけるビスフェノール残基を構成するビスフェノールとしては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジチオジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−2,5−ジヒドロキシジフェニルエーテルが挙げられる。
ビスフェノール類としては、その他にも、米国特許第2,999,835号明細書、米国特許第3,028,365号明細書、米国特許第3,334,154号明細書、米国特許第4,131,575号明細書に記載されているジフェノールなどを使用することができる。これらを単独で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。中でも、コストパフォーマンスの観点から、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを使用することが好ましく、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを単独で使用することが最も好ましい。
ポリカーボネート樹脂(B)におけるカーボネート残基を導入するための成分としては、例えば、ホスゲン、あるいはジフェニルカーボネートが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(B)のインヘレント粘度は、0.3〜0.7dl/gであることが好ましく、0.35〜0.65dl/gであることがより好ましい。
インヘレント粘度が0.3dl/g未満であると、樹脂組成物の機械的特性および耐熱性が低下する場合がある。インヘレント粘度が0.7dl/gを超えると、溶融粘度が高くなるため、溶融加工時に変色したり、流動性が低下したり、得られる成形体にシルバーの外観不良が生じたりする場合がある。
インヘレント粘度が0.3dl/g未満であると、樹脂組成物の機械的特性および耐熱性が低下する場合がある。インヘレント粘度が0.7dl/gを超えると、溶融粘度が高くなるため、溶融加工時に変色したり、流動性が低下したり、得られる成形体にシルバーの外観不良が生じたりする場合がある。
ポリアリレート樹脂(A)およびポリカーボネート樹脂(B)を混合した樹脂のインヘレント粘度(以下、混合樹脂のインヘレント粘度という)は、ポリアリレート樹脂(A)のインヘレント粘度と、ポリカーボネート樹脂(B)のインヘレント粘度の加重平均により求められるインヘレント粘度として算出することができる。
混合樹脂のインヘレント粘度は、0.4〜0.7dl/gであることが好ましく、0.42〜0.68dl/gであることがより好ましい。インヘレント粘度が0.4dl/g未満であると、樹脂組成物の機械的特性が低下する場合がある。インヘレント粘度が0.7dl/gを超えると、蒸着適性が低下したり、得られる成形体にシルバー等の外観不良が生じたりする場合がある。
混合樹脂のインヘレント粘度は、0.4〜0.7dl/gであることが好ましく、0.42〜0.68dl/gであることがより好ましい。インヘレント粘度が0.4dl/g未満であると、樹脂組成物の機械的特性が低下する場合がある。インヘレント粘度が0.7dl/gを超えると、蒸着適性が低下したり、得られる成形体にシルバー等の外観不良が生じたりする場合がある。
本発明におけるポリフェニレンサルファイド樹脂(C)は、−(Ph−S)−で表される繰り返し単位を有するポリマーである。上記において、Phはフェニレン基、Sは硫黄原子を示す。繰り返し単位の−(Ph−S)−を1モル(基本モル)と定義すると、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)は、結晶性に優れ、得られる樹脂組成物の耐熱性、成形性を高める観点から、この繰り返し単位を50モル%以上含有することが好ましく、70モル%以上含有することがより好ましく、90モル%以上含有することがさらに好ましい。
ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)を構成するフェニレン基としては、特に限定されないが、例えば、p−フェニレン、m−フェニレン、o−フェニレン、アルキル置換フェニレン、フェニル置換フェニレン、ハロゲン置換フェニレン、アミノ置換フェニレン、アミド置換フェニレン、p,p’−ジフェニレンスルフォン、p,p’−ビフェニレン、p,p’−ビフェニレンエーテル、p,p’−ビフェニレンカルボニル、ナフタレンが挙げられる。滞留安定性を向上させる観点から、上記のアルキル置換フェニレンにおけるアルキル基は、炭素原子数1〜6のアルキル基であるのが好ましい。
ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)は、同一の繰り返し単位からなるホモポリマー、2種以上の異なるフェニレン基からなるコポリマー、または両者を含むものとする。
本発明において、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)としては、耐熱性、機械特性、成形性のバランスに優れ、しかも工業的に入手が容易であることから、p−フェニレンサルファイドを繰り返し単位の主構成要素とするポリフェニレンサルファイド樹脂を用いることが好ましい。繰り返し単位として、p−フェニレンサルファイド以外に、ポリフェニレンケトンサルファイド、ポリフェニレンケトンケトンサルファイド等を含んでもよい。
ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)が、コポリマーである場合、その具体例としては、p−フェニレンサルファイドの繰り返し単位と、m−フェニレンサルファイドの繰り返し単位とを有するランダムまたはブロックコポリマー;フェニレンサルファイドの繰り返し単位と、フェニレンケトンサルファイドの繰り返し単位とを有するランダムまたはブロックコポリマー;フェニレンサルファイドの繰り返し単位と、フェニレンケトンケトンサルファイドの繰り返し単位とを有するランダムまたはブロックコポリマー;フェニレンサルファイドの繰り返し単位と、フェニレンスルホンサルファイドの繰り返し単位とを有するランダムまたはブロックコポリマーが挙げられる。なお、これらのポリフェニレンサルファイド樹脂は、機械的特性および耐熱性に優れる観点から、結晶性ポリマーであることが好ましい。
ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)は、極性溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハロゲン置換芳香族化合物とを重合反応させる公知の方法により得ることができる。また、特表2010−501661に記載のように、ヨード化合物および硫黄化合物から溶融重合法により得ることもできる。通常、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)は、架橋型ポリフェニレンサルファイド樹脂と、リニア型ポリフェニレンサルファイド樹脂とに分類される。架橋型ポリフェニレンサルファイド樹脂とは、酸素存在下で熱処理により架橋させて溶融粘度を高めたものである。リニア型ポリフェニレンサルファイド樹脂とは、塩化リチウム、有機酸塩、および水等を、重合系に添加して、架橋させずに分子量を高めたものである。架橋型ポリフェニレンサルファイド樹脂は靭性が低いため、当該樹脂にガラス繊維等を添加して、強度を高めたものが、主に射出成形に用いられる。リニア型ポリフェニレンサルファイド樹脂は靭性が高いため、単独で射出成形に用いることができ、繊維やフィルムの材料に用いられる。
ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の温度290℃におけるメルトフローレートは、20g/10min以上であることが好ましく、30g/10min以上であることがより好ましい。また、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の温度290℃におけるメルトフローレートは、150g/10min以下であることが好ましい。
メルトフローレートが20g/10min未満であると、樹脂組成物の流動性が低下したり、得られる成形体の表面平滑性が低下し、蒸着適性が低下したりする場合がある。メルトフローレートが150g/10minを超えると、樹脂組成物の流動性の向上効果が不十分となったり、得られる成形体の表面平滑性が低下し、蒸着適性が低下したりする場合がある。
メルトフローレートが20g/10min未満であると、樹脂組成物の流動性が低下したり、得られる成形体の表面平滑性が低下し、蒸着適性が低下したりする場合がある。メルトフローレートが150g/10minを超えると、樹脂組成物の流動性の向上効果が不十分となったり、得られる成形体の表面平滑性が低下し、蒸着適性が低下したりする場合がある。
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内で、さらに、各種添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ブルーイング剤、顔料、難燃剤、離型剤、帯電防止剤、滑剤、有機系充填剤、無機系充填剤が挙げられる。酸化防止剤、紫外線吸収剤としては、例えば、フェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ビンダードアミン系化合物、イオウ化合物、またはこれらの混合物が挙げられる。有機系充填剤、無機系充填剤としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、タルク、マイカが挙げられる。
本発明の樹脂組成物の製造方法について、以下に説明する。
例えば、ポリアリレート樹脂(A)、ポリカーボネート樹脂(B)、およびポリフェニレンサルファイド樹脂(C)を、公知の方法で、均一に溶融混合して、樹脂組成物を得る。より具体的には、各々の成分を、タンブラーやヘンシェルミキサーを用いて均一にドライブレンドした後、溶融混練し、その混練物を押出する。その後、冷却工程、カッティング工程、および乾燥工程を経て、ペレット化する。溶融混練に際しては、単軸押出機、二軸押出機、ロール混練機、ブラベンダー等の一般的な混練機を使用することができるが、分散性向上の観点から、二軸押出機を使用することが好ましい。
例えば、ポリアリレート樹脂(A)、ポリカーボネート樹脂(B)、およびポリフェニレンサルファイド樹脂(C)を、公知の方法で、均一に溶融混合して、樹脂組成物を得る。より具体的には、各々の成分を、タンブラーやヘンシェルミキサーを用いて均一にドライブレンドした後、溶融混練し、その混練物を押出する。その後、冷却工程、カッティング工程、および乾燥工程を経て、ペレット化する。溶融混練に際しては、単軸押出機、二軸押出機、ロール混練機、ブラベンダー等の一般的な混練機を使用することができるが、分散性向上の観点から、二軸押出機を使用することが好ましい。
一般的に、ポリアリレート樹脂のガラス転移温度(Tg)は約190℃であり、ポリフェニレンサルファイド樹脂のガラス転移温度(Tg)は約80℃である。よって、両者を一括に混合した後、溶融混練する場合、ポリフェニレンサルファイド樹脂が完全溶融した段階であっても、ポリアリレート樹脂が十分に溶融しない場合がある。そのような場合、ポリアリレート樹脂が未溶融で残存し、本発明の効果を十分に発揮させることが困難となる。
上記の不具合を確実に防ぐためには、一旦、ポリアリレート樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)を溶融混練して、樹脂混合物を得た後、さらに、その樹脂混合物にポリフェニレンサルファイド樹脂(C)を加えて溶融混練する手法を用いるのが好ましい。
上記の具体的手法としては、ポリアリレート樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)の樹脂混合物を一旦非溶融状態にしたものを採取し、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)とともに再度溶融混練を行う方法(2工程法)が挙げられる。また、押出機の主ホッパーよりポリアリレート樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)を投入し、途中よりポリフェニレンサルファイド樹脂(C)を供給する方法(1工程法)が挙げられる。どちらの手法を採用するかは、状況に応じて適宜選択すればよい。
上記の不具合を確実に防ぐためには、一旦、ポリアリレート樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)を溶融混練して、樹脂混合物を得た後、さらに、その樹脂混合物にポリフェニレンサルファイド樹脂(C)を加えて溶融混練する手法を用いるのが好ましい。
上記の具体的手法としては、ポリアリレート樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)の樹脂混合物を一旦非溶融状態にしたものを採取し、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)とともに再度溶融混練を行う方法(2工程法)が挙げられる。また、押出機の主ホッパーよりポリアリレート樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)を投入し、途中よりポリフェニレンサルファイド樹脂(C)を供給する方法(1工程法)が挙げられる。どちらの手法を採用するかは、状況に応じて適宜選択すればよい。
また、本発明は、上記の樹脂組成物を成形してなる成形体に関する。成形方法は、特に制限されず、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、ブロー成形法等が挙げられる。本発明の樹脂組成物は、流動性および滞留安定性に優れているため、射出成形における分解ガスに由来するシルバーの外観不良の発生を抑制することができる。また、樹脂組成物はせん断速度依存性が高く、金型内の流動末端で、その流動が容易に停止するため、バリのような欠陥を抑制することができる。さらに、このバリの抑制により保圧を十分に加えることができるため、ヒケも抑制することができる。したがって、本発明の樹脂組成物では、厚さ0.3〜1.5mm程度の薄肉、かつ大型の成形体を容易に得ることができる。
本発明の成形体は、薄肉であっても、優れた耐熱性および表面平滑性を有する。したがって、アルミニウムの蒸着等の表面加工において、歪みを生じることがない。しかも、アンダーコートすることなく、直接成形体の表面に蒸着膜を安定して形成することができるためプロセスの簡略化が期待できる。本発明の成形体では、その表面にアルミニウム等の蒸着層を形成することで、平滑でかつ優れた鏡面を有した成形体とすることができる。また、アンダーコートなしに直接成形体の表面に蒸着膜を形成した場合であっても、長期使用に耐え得るような耐久性が得られる。本発明の樹脂組成物は、前記特性を有するため、例えば、電球やLED等の部品として用いた場合、長期にわたって発光時の熱に曝されても、成形体の変色および変形、成形体からのアウトガスの発生、ならびに蒸着膜の成形体からの剥離等が抑制され、初期の高輝度性能を維持することが期待できる。
本発明の成形体は、各種の薄肉成形体として用いることができる。本発明の成形体は、電気・電子分野におけるスイッチやコネクター等の機構部品やハウジング類;自動車分野におけるアンダーボンネット部品や外装部品;機械分野におけるギアやベアリングリテーナー等に好適に用いられる。
また、本発明では、成形体の優れた蒸着適性を活かして、表面に蒸着膜を形成した成形体を、自動車やオートバイ等のヘッドライトやリアランプにおけるエクステンションリフレクタ、回転灯におけるリフレクタ部品に好適に用いることができる。
また、本発明では、成形体の優れた蒸着適性を活かして、表面に蒸着膜を形成した成形体を、自動車やオートバイ等のヘッドライトやリアランプにおけるエクステンションリフレクタ、回転灯におけるリフレクタ部品に好適に用いることができる。
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
[1.評価方法]
(1)メルトフローレート(MFR)
(1−1)ポリアリレート樹脂(A)およびポリカーボネート樹脂(B)を混合した樹脂のメルトフローレート(MFR1)
得られた参考例の樹脂組成物を用いて、ASTM D−1238−82に準拠し、荷重2.16kgおよび温度340℃の条件で、MFR1を測定した。
(1)メルトフローレート(MFR)
(1−1)ポリアリレート樹脂(A)およびポリカーボネート樹脂(B)を混合した樹脂のメルトフローレート(MFR1)
得られた参考例の樹脂組成物を用いて、ASTM D−1238−82に準拠し、荷重2.16kgおよび温度340℃の条件で、MFR1を測定した。
(1−2)ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)のメルトフローレート(MFR2)
(C−1)〜(C−4)のポリフェニレンサルファイド樹脂(C)を用いて、ASTM D−1238−82に準拠し、荷重2.16kgおよび温度290℃の条件で、MFR2を測定した。
(C−1)〜(C−4)のポリフェニレンサルファイド樹脂(C)を用いて、ASTM D−1238−82に準拠し、荷重2.16kgおよび温度290℃の条件で、MFR2を測定した。
(2)インヘレント粘度(溶液粘度)
得られた参考例の樹脂組成物を、1,1,2,2−テトラクロロエタンの溶媒に溶解し、試料溶液を作製した。試料溶液中の樹脂組成物の濃度(樹脂濃度)は、1g/dlとした。続いて、ウベローデ型粘度計を用い、25℃の温度にて試料溶液および溶媒の落下時間を測定し、以下の式を用いてインヘレント粘度(dl/g)を求めた。
インヘレント粘度(dl/g)=ln[(試料溶液の落下時間/溶媒のみの落下時間)/樹脂濃度(g/dl)]
得られた参考例の樹脂組成物を、1,1,2,2−テトラクロロエタンの溶媒に溶解し、試料溶液を作製した。試料溶液中の樹脂組成物の濃度(樹脂濃度)は、1g/dlとした。続いて、ウベローデ型粘度計を用い、25℃の温度にて試料溶液および溶媒の落下時間を測定し、以下の式を用いてインヘレント粘度(dl/g)を求めた。
インヘレント粘度(dl/g)=ln[(試料溶液の落下時間/溶媒のみの落下時間)/樹脂濃度(g/dl)]
(3)荷重たわみ温度
射出成形機(FANUC社製、S2000i−100B型)および所定の金型を用いて、シリンダ温度350℃および金型実測温度120℃の条件で射出成形し、厚み4mmの試験片を作製した。
ISO 75−1に従って、厚み4mmの試験片を用いて、荷重1.8MPaで、荷重たわみ温度(℃)を測定した。また荷重たわみ温度の測定の際には、試験片の歪みを取り除くため、140℃で3時間乾熱処理(アニール)を行った。耐熱性の観点から、荷重たわみ温度は150℃以上であることが実用的に好ましい。
射出成形機(FANUC社製、S2000i−100B型)および所定の金型を用いて、シリンダ温度350℃および金型実測温度120℃の条件で射出成形し、厚み4mmの試験片を作製した。
ISO 75−1に従って、厚み4mmの試験片を用いて、荷重1.8MPaで、荷重たわみ温度(℃)を測定した。また荷重たわみ温度の測定の際には、試験片の歪みを取り除くため、140℃で3時間乾熱処理(アニール)を行った。耐熱性の観点から、荷重たわみ温度は150℃以上であることが実用的に好ましい。
(4)引張破断伸度
射出成形機(FANUC社製、S2000i−100B型)および所定の金型を用いて、シリンダ温度350℃および金型実測温度120℃の条件で射出成形し、厚み4mmのダンベル状試験片を作製した。
ISO 527−1に従って、厚み4mmの試験片を用いて、引張破断伸度(%)を測定した。引張破断伸度は、10%以上であることが好ましく、15%以上であることがより好ましい。本発明では引張破断伸度が10%以上であるものを実用性があると判断した。
射出成形機(FANUC社製、S2000i−100B型)および所定の金型を用いて、シリンダ温度350℃および金型実測温度120℃の条件で射出成形し、厚み4mmのダンベル状試験片を作製した。
ISO 527−1に従って、厚み4mmの試験片を用いて、引張破断伸度(%)を測定した。引張破断伸度は、10%以上であることが好ましく、15%以上であることがより好ましい。本発明では引張破断伸度が10%以上であるものを実用性があると判断した。
(5)バーフロー流動長
樹脂組成物の流動性を評価するため、射出成形機(FANUC社製、S2000i−100B型)を用いて、得られた樹脂組成物を、溶融し、流動させて、バーフロー流動長(mm)を測定した。測定条件は、シリンダ温度320℃、金型温度120℃、射出圧力120MPa、射出時間4秒、および設定射出速度100mm/秒とした。金型には、厚み1mm、幅20mm、長さ330mmのバーフロー試験用金型を用いた。
バーフロー流動長は70mm以上であることが好ましく、80mm以上であることが実用的に好ましい。
ただし、バーフロー流動長が80mm以上であっても、バリの発生する場合は「×」と判定した。「×」と判定するのは、バリの発生は、金型内で圧力分散が起きていることを意味し、得られるバーフロー流動長は正確性を欠くためである。
樹脂組成物の流動性を評価するため、射出成形機(FANUC社製、S2000i−100B型)を用いて、得られた樹脂組成物を、溶融し、流動させて、バーフロー流動長(mm)を測定した。測定条件は、シリンダ温度320℃、金型温度120℃、射出圧力120MPa、射出時間4秒、および設定射出速度100mm/秒とした。金型には、厚み1mm、幅20mm、長さ330mmのバーフロー試験用金型を用いた。
バーフロー流動長は70mm以上であることが好ましく、80mm以上であることが実用的に好ましい。
ただし、バーフロー流動長が80mm以上であっても、バリの発生する場合は「×」と判定した。「×」と判定するのは、バリの発生は、金型内で圧力分散が起きていることを意味し、得られるバーフロー流動長は正確性を欠くためである。
(6)バーフロー流動長向上度
上記(5)で得られた、実施例および比較例の樹脂組成物のバーフロー流動長L1(mm)と、その樹脂組成物と、ポリアリレート樹脂(A)およびポリカーボネート樹脂(B)の種類および比率が同じであり、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)を含まない点が相違する、参考例の樹脂組成物のバーフロー流動長L2(mm)とを用いて、下記の式により、バーフロー流動長向上度を算出した。バーフロー流動長向上度は、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)を添加することによるバーフロー流動長の変化度合いを示す値である。
バーフロー流動長向上度(%)=(バーフロー流動長L1/バーフロー流動長L2)×100
バーフロー流動長向上度は、200%以上であることが好ましく、250%以上であることがより好ましく、300%以上であることが特に好ましい。本発明では200%以上であるものを実用性があると判断した。
上記(5)で得られた、実施例および比較例の樹脂組成物のバーフロー流動長L1(mm)と、その樹脂組成物と、ポリアリレート樹脂(A)およびポリカーボネート樹脂(B)の種類および比率が同じであり、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)を含まない点が相違する、参考例の樹脂組成物のバーフロー流動長L2(mm)とを用いて、下記の式により、バーフロー流動長向上度を算出した。バーフロー流動長向上度は、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)を添加することによるバーフロー流動長の変化度合いを示す値である。
バーフロー流動長向上度(%)=(バーフロー流動長L1/バーフロー流動長L2)×100
バーフロー流動長向上度は、200%以上であることが好ましく、250%以上であることがより好ましく、300%以上であることが特に好ましい。本発明では200%以上であるものを実用性があると判断した。
(7)滞留安定性試験
(7−1)成形体の作製
得られた樹脂組成物を、射出成形機(FANUC社製、S2000i−100B型)および所定の金型を用いて、シリンダ温度350℃および金型実測温度120℃の条件で射出成形し、箱型成形体(縦200mm、横53mm、深さ8mm、平均肉厚1.5mm)を得た。
上記の射出成形において、成形サイクルを30秒から5分まで30秒間隔で増大させた。各成形サイクルに対するショット数は20とした。各成形サイクルにおいて、射出圧力、クッション量のような射出成形に関する特性値が安定した段階で、成形体を採取した。
ここでいう成形サイクルとは、射出時間、保圧時間、成形品金型内の冷却時間、および成形品の取り出し時間を合計した時間を指す。上記の射出成形では、射出時間および保圧時間の合計時間を10秒間とし、成形品の取り出し時間は5秒間とした。成形体は、成形サイクルが長いほど、射出成形機のシリンダ内に長期間曝され、シリンダ内の温度の影響を受ける。
(7−1)成形体の作製
得られた樹脂組成物を、射出成形機(FANUC社製、S2000i−100B型)および所定の金型を用いて、シリンダ温度350℃および金型実測温度120℃の条件で射出成形し、箱型成形体(縦200mm、横53mm、深さ8mm、平均肉厚1.5mm)を得た。
上記の射出成形において、成形サイクルを30秒から5分まで30秒間隔で増大させた。各成形サイクルに対するショット数は20とした。各成形サイクルにおいて、射出圧力、クッション量のような射出成形に関する特性値が安定した段階で、成形体を採取した。
ここでいう成形サイクルとは、射出時間、保圧時間、成形品金型内の冷却時間、および成形品の取り出し時間を合計した時間を指す。上記の射出成形では、射出時間および保圧時間の合計時間を10秒間とし、成形品の取り出し時間は5秒間とした。成形体は、成形サイクルが長いほど、射出成形機のシリンダ内に長期間曝され、シリンダ内の温度の影響を受ける。
(7−2)成形体の外観評価
上記で得られた各成形体について、成形体の表面におけるシルバーの外観不良の有無を目視により判断した。外観不良が有の場合をNGとし、外観不良を生じない「成形サイクル」を確認した。外観不良を生じない「成形サイクル」の時間が長いものほど、滞留安定性が高いと評価した。成形サイクルが3分でも外観不良が生じない場合、滞留安定性の観点から実用性があると判断した。
上記で得られた各成形体について、成形体の表面におけるシルバーの外観不良の有無を目視により判断した。外観不良が有の場合をNGとし、外観不良を生じない「成形サイクル」を確認した。外観不良を生じない「成形サイクル」の時間が長いものほど、滞留安定性が高いと評価した。成形サイクルが3分でも外観不良が生じない場合、滞留安定性の観点から実用性があると判断した。
(8)蒸着適性
(8−1)外観評価
得られた樹脂組成物を、射出成形機(FANUC社製、S2000i−100B型)および所定の金型を用いて、射出成形し、厚さ2mmの板状成形体を得た。
射出成形の条件は、シリンダ温度320℃、金型温度120℃、射出圧力120MPa、射出時間4秒、設定射出速度100mm/秒、成形サイクル30秒とした。金型には、8000番の鏡面加工を施され、厚さ2mmの板状成形体を得るための金型を用いた。得られた板状成形体の全表面に、アンダーコートすることなくアルミニウムを蒸着した。表面にアルミニウムの蒸着膜が形成された成形体の初期外観について目視により下記の基準で判定した。
〇:蒸着面が鏡面で、成形体の初期外観が良好である。
△:蒸着面は鏡面であるが、成形体のゲート部にシルバーが発生し、外観不良が生じている。
×:成形体全体にシルバーが発生し、蒸着面が荒れ、蒸着面が曇り、外観不良である。
(8−1)外観評価
得られた樹脂組成物を、射出成形機(FANUC社製、S2000i−100B型)および所定の金型を用いて、射出成形し、厚さ2mmの板状成形体を得た。
射出成形の条件は、シリンダ温度320℃、金型温度120℃、射出圧力120MPa、射出時間4秒、設定射出速度100mm/秒、成形サイクル30秒とした。金型には、8000番の鏡面加工を施され、厚さ2mmの板状成形体を得るための金型を用いた。得られた板状成形体の全表面に、アンダーコートすることなくアルミニウムを蒸着した。表面にアルミニウムの蒸着膜が形成された成形体の初期外観について目視により下記の基準で判定した。
〇:蒸着面が鏡面で、成形体の初期外観が良好である。
△:蒸着面は鏡面であるが、成形体のゲート部にシルバーが発生し、外観不良が生じている。
×:成形体全体にシルバーが発生し、蒸着面が荒れ、蒸着面が曇り、外観不良である。
(8−2)高温環境試験
上記(8−1)の外観評価で用いた蒸着成形体を、140℃、150℃、および160℃の各温度条件で2時間熱処理した後、外観変化を目視により観察した。
蒸着面にシワ状の乱れが生じたものをNGとし、シワ状の乱れが生じる温度を確認した。160℃でもシワ状の乱れが生じないものは、160℃以上の耐熱性を有すると判断した。
蒸着面のシワ発生温度が高いものほど、表面に蒸着膜が形成された成形体の耐熱性が高いことを示す。
本評価では140℃で変化がないことが好ましく、150℃で変化がないことがより好ましい。140℃で変化の生じないものを実用性あると判断した。
上記(8−1)の外観評価で用いた蒸着成形体を、140℃、150℃、および160℃の各温度条件で2時間熱処理した後、外観変化を目視により観察した。
蒸着面にシワ状の乱れが生じたものをNGとし、シワ状の乱れが生じる温度を確認した。160℃でもシワ状の乱れが生じないものは、160℃以上の耐熱性を有すると判断した。
蒸着面のシワ発生温度が高いものほど、表面に蒸着膜が形成された成形体の耐熱性が高いことを示す。
本評価では140℃で変化がないことが好ましく、150℃で変化がないことがより好ましい。140℃で変化の生じないものを実用性あると判断した。
[2.原料]
(1)ポリアリレート樹脂
(A−1):ビスフェノールA/テレフタル酸/イソフタル酸=50/25/25(モル%)であるポリアリレート樹脂。インヘレント粘度(25℃):0.54dl/g、ガラス転移温度Tg:195℃。
(A−2):ビスフェノールA/テレフタル酸/イソフタル酸=50/25/25(モル%)であるポリアリレート樹脂。インヘレント粘度(25℃):0.72dl/g、ガラス転移温度Tg:197℃。
(A−3):ビスフェノールA/4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデンジフェノール/テレフタル酸/イソフタル酸=30/20/25/25(モル%)であるポリアリレート樹脂。インヘレント粘度(25℃):0.50dl/g、ガラス転移温度Tg:222℃。
(1)ポリアリレート樹脂
(A−1):ビスフェノールA/テレフタル酸/イソフタル酸=50/25/25(モル%)であるポリアリレート樹脂。インヘレント粘度(25℃):0.54dl/g、ガラス転移温度Tg:195℃。
(A−2):ビスフェノールA/テレフタル酸/イソフタル酸=50/25/25(モル%)であるポリアリレート樹脂。インヘレント粘度(25℃):0.72dl/g、ガラス転移温度Tg:197℃。
(A−3):ビスフェノールA/4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデンジフェノール/テレフタル酸/イソフタル酸=30/20/25/25(モル%)であるポリアリレート樹脂。インヘレント粘度(25℃):0.50dl/g、ガラス転移温度Tg:222℃。
(2)ポリカーボネート樹脂
(B−1):住化スタイロンPC社製、カリバー200−3、インヘレント粘度(25℃):0.645dl/g。
(B−2):住化スタイロンPC社製、カリバー200−30、インヘレント粘度(25℃):0.435dl/g。
(B−3):住化スタイロンPC社製、カリバー200−80、インヘレント粘度(25℃):0.38dl/g
(B−1):住化スタイロンPC社製、カリバー200−3、インヘレント粘度(25℃):0.645dl/g。
(B−2):住化スタイロンPC社製、カリバー200−30、インヘレント粘度(25℃):0.435dl/g。
(B−3):住化スタイロンPC社製、カリバー200−80、インヘレント粘度(25℃):0.38dl/g
(3)ポリフェニレンサルファイド樹脂
特公昭52−12240号に記載の方法に準じて、以下のポリフェニレンサルファイド樹脂を得た。すなわち、硫化ナトリウムとp−ジクロルベンゼンとを、アルカリ金属カルボン酸塩(酢酸リチウムまたは酢酸ナトリウム)の存在下、N−メチル−2−ピロリドンの溶媒中にて、240〜270℃で1〜4時間重合させた。その後、水洗し、生成食塩等を除去した後、乾燥させて、以下のポリフェニレンサルファイド樹脂を得た。なお、この重合温度および重合時間を適宜選択することにより、メルトフローレートを制御した。
(C−1):ポリフェニレンサルファイド樹脂、MFR:15g/10min(温度:290℃、荷重:2.16kg)
(C−2):ポリフェニレンサルファイド樹脂、MFR:40g/10min(温度:290℃、荷重:2.16kg)
(C−3):ポリフェニレンサルファイド樹脂、MFR:90g/10min(温度:290℃、荷重:2.16kg)
(C−4):ポリフェニレンサルファイド樹脂、MFR:150g/10min(温度:290℃、荷重:2.16kg)
(C−5):ポリフェニレンサルファイド樹脂、MFR:6g/10min(温度:290℃、荷重:2.16kg)
特公昭52−12240号に記載の方法に準じて、以下のポリフェニレンサルファイド樹脂を得た。すなわち、硫化ナトリウムとp−ジクロルベンゼンとを、アルカリ金属カルボン酸塩(酢酸リチウムまたは酢酸ナトリウム)の存在下、N−メチル−2−ピロリドンの溶媒中にて、240〜270℃で1〜4時間重合させた。その後、水洗し、生成食塩等を除去した後、乾燥させて、以下のポリフェニレンサルファイド樹脂を得た。なお、この重合温度および重合時間を適宜選択することにより、メルトフローレートを制御した。
(C−1):ポリフェニレンサルファイド樹脂、MFR:15g/10min(温度:290℃、荷重:2.16kg)
(C−2):ポリフェニレンサルファイド樹脂、MFR:40g/10min(温度:290℃、荷重:2.16kg)
(C−3):ポリフェニレンサルファイド樹脂、MFR:90g/10min(温度:290℃、荷重:2.16kg)
(C−4):ポリフェニレンサルファイド樹脂、MFR:150g/10min(温度:290℃、荷重:2.16kg)
(C−5):ポリフェニレンサルファイド樹脂、MFR:6g/10min(温度:290℃、荷重:2.16kg)
(4)シクロオレフィン系樹脂
(D−1):ポリプラスチックス社製「TOPAS 6017」(エチレンとノルボルネンからなり、構造中にノルボルネンが質量比で83%含まれるシクロオレフィン系樹脂)、ガラス転移点:180℃、MFR:10g/10min(温度:290℃、荷重:2.16kg)。
(D−2):ポリプラスチックス社製「TOPAS 6015」(エチレンとノルボルネンからなり、構造中にノルボルネンが質量比で79%含まれるシクロオレフィン系樹脂)、ガラス転移点:160℃、MFR:23g/10min(温度:290℃、荷重:2.16kg)。
(D−3):ポリプラスチックス社製「TOPAS 5013」(エチレンとノルボルネンからなり、構造中にノルボルネンが質量比で76%含まれるシクロオレフィン系樹脂)、ガラス転移点:136℃、MFR:120g/10min(温度:290℃、荷重:2.16kg)。
(D−1):ポリプラスチックス社製「TOPAS 6017」(エチレンとノルボルネンからなり、構造中にノルボルネンが質量比で83%含まれるシクロオレフィン系樹脂)、ガラス転移点:180℃、MFR:10g/10min(温度:290℃、荷重:2.16kg)。
(D−2):ポリプラスチックス社製「TOPAS 6015」(エチレンとノルボルネンからなり、構造中にノルボルネンが質量比で79%含まれるシクロオレフィン系樹脂)、ガラス転移点:160℃、MFR:23g/10min(温度:290℃、荷重:2.16kg)。
(D−3):ポリプラスチックス社製「TOPAS 5013」(エチレンとノルボルネンからなり、構造中にノルボルネンが質量比で76%含まれるシクロオレフィン系樹脂)、ガラス転移点:136℃、MFR:120g/10min(温度:290℃、荷重:2.16kg)。
(5)ポリアミド系樹脂
(E−1)ポリアミド6樹脂、ユニチカ社製「A1030BRL」、ガラス転移温度:50℃、融点:220℃、MFR:95g/10min(温度:290℃、荷重:2.16kg)。
(E−2)ポリアミド66樹脂、旭化成ケミカルズ社製「レオナ 1200」、ガラス転移温度:55℃、融点:260℃、MFR:160g/10min(温度:290℃、荷重:2.16kg)。
(E−1)ポリアミド6樹脂、ユニチカ社製「A1030BRL」、ガラス転移温度:50℃、融点:220℃、MFR:95g/10min(温度:290℃、荷重:2.16kg)。
(E−2)ポリアミド66樹脂、旭化成ケミカルズ社製「レオナ 1200」、ガラス転移温度:55℃、融点:260℃、MFR:160g/10min(温度:290℃、荷重:2.16kg)。
《参考例1〜22》
参考例1では、ポリアリレート樹脂(A−1)を用いて、後述する実施例1と同様の方法により押出成形し、ペレット状の樹脂組成物を得た。
参考例2〜22では、ポリアリレート樹脂(A)およびポリカーボネート樹脂(B)を、表1に示す種類および割合でドライブレンドし、混合物を得た。この混合物を用いて、後述する実施例1と同様の方法により押出成形し、ペレット状の樹脂組成物を得た。
ペレット状の樹脂組成物を、熱風乾燥機内にて120℃で12時間以上乾燥した。このペレット状の樹脂組成物を用いて、各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
参考例1では、ポリアリレート樹脂(A−1)を用いて、後述する実施例1と同様の方法により押出成形し、ペレット状の樹脂組成物を得た。
参考例2〜22では、ポリアリレート樹脂(A)およびポリカーボネート樹脂(B)を、表1に示す種類および割合でドライブレンドし、混合物を得た。この混合物を用いて、後述する実施例1と同様の方法により押出成形し、ペレット状の樹脂組成物を得た。
ペレット状の樹脂組成物を、熱風乾燥機内にて120℃で12時間以上乾燥した。このペレット状の樹脂組成物を用いて、各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
《実施例1〜50》
ポリアリレート樹脂(A)と、ポリカーボネート樹脂(B)と、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)とを、表2〜5に示す種類および割合でドライブレンドし、混合物を得た。その後、ロスインウェイト式連続定量供給装置(クボタ社製、商品名「CE−W−1」)を用いて、ベント部を一か所有するスクリュー径26mmの二軸押出機(東芝機械社製、商品名「TEM26SS」)の主供給口に、上記の混合物を供給した。そして、押出機にて混合物を溶融混練し、ダイスから樹脂組成物をストランド状に引き取った。押出機の条件は、バレル温度340℃、ベント減圧度−0.099MPa(ゲージ圧)、吐出量20kg/h、スクリュー回転数300rpmとした。ストランド状に引き取られた樹脂組成物を温浴槽にて冷却固化し、ペレタイザでカッティングすることにより、ペレット状の樹脂組成物(3成分)を得た。
ペレット状の樹脂組成物を、熱風乾燥機内にて120℃で12時間以上乾燥した。このペレット状の樹脂組成物を用いて、各種評価を行った。評価結果を表2〜5に示す。表2〜5中のインヘレント粘度は、ポリアリレート樹脂(A)およびポリカーボネート樹脂(B)を混合した樹脂のインヘレント粘度であり、上記[1.評価方法]の(2)で測定された参考例の樹脂組成物に基づく値である。
ポリアリレート樹脂(A)と、ポリカーボネート樹脂(B)と、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)とを、表2〜5に示す種類および割合でドライブレンドし、混合物を得た。その後、ロスインウェイト式連続定量供給装置(クボタ社製、商品名「CE−W−1」)を用いて、ベント部を一か所有するスクリュー径26mmの二軸押出機(東芝機械社製、商品名「TEM26SS」)の主供給口に、上記の混合物を供給した。そして、押出機にて混合物を溶融混練し、ダイスから樹脂組成物をストランド状に引き取った。押出機の条件は、バレル温度340℃、ベント減圧度−0.099MPa(ゲージ圧)、吐出量20kg/h、スクリュー回転数300rpmとした。ストランド状に引き取られた樹脂組成物を温浴槽にて冷却固化し、ペレタイザでカッティングすることにより、ペレット状の樹脂組成物(3成分)を得た。
ペレット状の樹脂組成物を、熱風乾燥機内にて120℃で12時間以上乾燥した。このペレット状の樹脂組成物を用いて、各種評価を行った。評価結果を表2〜5に示す。表2〜5中のインヘレント粘度は、ポリアリレート樹脂(A)およびポリカーボネート樹脂(B)を混合した樹脂のインヘレント粘度であり、上記[1.評価方法]の(2)で測定された参考例の樹脂組成物に基づく値である。
《比較例1〜4》
ポリアリレート樹脂(A)と、ポリカーボネート樹脂(B)と、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)とを、表6に示す種類および割合でドライブレンドした以外、実施例1と同様の方法により、ペレット状の樹脂組成物を得て、各種評価を行った。評価結果を表6に示す。
ポリアリレート樹脂(A)と、ポリカーボネート樹脂(B)と、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)とを、表6に示す種類および割合でドライブレンドした以外、実施例1と同様の方法により、ペレット状の樹脂組成物を得て、各種評価を行った。評価結果を表6に示す。
《比較例5〜7》
ポリアリレート樹脂(A)と、ポリカーボネート樹脂(B)と、シクロオレフィン樹脂(D)とを、表6に示す種類および割合でドライブレンドした以外、実施例1と同様の方法により、ペレット状の樹脂組成物を得て、各種評価を行った。評価結果を表6に示す。
ポリアリレート樹脂(A)と、ポリカーボネート樹脂(B)と、シクロオレフィン樹脂(D)とを、表6に示す種類および割合でドライブレンドした以外、実施例1と同様の方法により、ペレット状の樹脂組成物を得て、各種評価を行った。評価結果を表6に示す。
《比較例8〜12》
ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)を用いて、実施例1と同様の方法によりペレット状の樹脂組成物を得た。ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)には、(C−1)〜(C−5)の樹脂を用いた。得られた樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法により各種評価を行った。評価結果を表6に示す。
ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)を用いて、実施例1と同様の方法によりペレット状の樹脂組成物を得た。ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)には、(C−1)〜(C−5)の樹脂を用いた。得られた樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法により各種評価を行った。評価結果を表6に示す。
《比較例13、14》
ポリアリレート樹脂(A)と、ポリカーボネート樹脂(B)と、ポリアミド樹脂(E)とを、表6に示す種類および割合でドライブレンドした以外、実施例1と同様の方法により、ペレット状の樹脂組成物を得て、各種評価を行った。評価結果を表6に示す。
ポリアリレート樹脂(A)と、ポリカーボネート樹脂(B)と、ポリアミド樹脂(E)とを、表6に示す種類および割合でドライブレンドした以外、実施例1と同様の方法により、ペレット状の樹脂組成物を得て、各種評価を行った。評価結果を表6に示す。
本発明の実施例1〜50では、優れた機械的特性および耐熱性とともに、優れた流動性、滞留安定性、および蒸着適性が得られた。
参考例では、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)を含有しなかったため、流動性が不十分であった。
比較例1では、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の含有量が5質量部であったため、流動性が劣った。
比較例2では、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の含有量が50質量部であったため、引張破断伸度が低下し、短い成形サイクルで外観不良を生じた。また、蒸着適性も劣った。
比較例3では、ポリカーボネート樹脂(B)を含有しなかったため、引張破断伸度が低下し、短い成形サイクルで外観不良を生じた。
比較例1では、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の含有量が5質量部であったため、流動性が劣った。
比較例2では、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の含有量が50質量部であったため、引張破断伸度が低下し、短い成形サイクルで外観不良を生じた。また、蒸着適性も劣った。
比較例3では、ポリカーボネート樹脂(B)を含有しなかったため、引張破断伸度が低下し、短い成形サイクルで外観不良を生じた。
比較例4では、ポリアリレート樹脂(A)の含有量が16質量部であり、(MA/MB)が20/80であったため、耐熱性が劣った。
比較例5〜7では、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の代わりにシクロオレフィン樹脂(D)を含有したため、流動性が劣った。比較例7では、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)を含有せずに、シクロオレフィン樹脂を含有したため、耐熱性が不足し蒸着適性も劣った。
比較例8〜12では、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)のみを用いたため、引張破断伸度が劣り、蒸着適性も劣った。
比較例13および14では、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の代わりにポリアミド樹脂(E)を含有したため、短い成形サイクルで外観不良を生じ、蒸着適性が劣った。
比較例5〜7では、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の代わりにシクロオレフィン樹脂(D)を含有したため、流動性が劣った。比較例7では、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)を含有せずに、シクロオレフィン樹脂を含有したため、耐熱性が不足し蒸着適性も劣った。
比較例8〜12では、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)のみを用いたため、引張破断伸度が劣り、蒸着適性も劣った。
比較例13および14では、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の代わりにポリアミド樹脂(E)を含有したため、短い成形サイクルで外観不良を生じ、蒸着適性が劣った。
Claims (6)
- ポリアリレート樹脂(A)と、ポリカーボネート樹脂(B)と、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)とを含有し、
ポリアリレート樹脂(A)と、ポリカーボネート樹脂(B)と、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)との合計100質量部に対して、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の含有量が10〜45質量部であり、
ポリアリレート樹脂(A)の質量(MA)と、ポリカーボネート樹脂(B)の質量(MB)とが、関係式(1):
30/70≦(MA/MB)≦90/10 (1)
を満たすことを特徴とする樹脂組成物。 - ポリアリレート樹脂(A)およびポリカーボネート樹脂(B)を混合した樹脂の340℃におけるメルトフローレート(MFR1)と、ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の290℃におけるメルトフローレート(MFR2)とが、関係式(2):
0.5≦(MFR2/MFR1)≦25 (2)
を満たすことを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。 - ポリフェニレンサルファイド樹脂(C)の290℃におけるメルトフローレートが、20g/10min以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- ポリアリレート樹脂(A)およびポリカーボネート樹脂(B)を混合した樹脂の25℃におけるインヘレント粘度が、0.4〜0.7dl/gであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体。
- 請求項5記載の成形体の表面にアルミニウムを含む蒸着膜を形成してなることを特徴とするリフレクタ部品。
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-
2013
- 2013-08-30 JP JP2013178733A patent/JP2014080577A/ja active Pending
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