JP2014079792A - 回転塑性加工装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】塑性加工精度を向上し得る回転塑性加工装置を提供する。
【解決手段】同期回転機構Sが、素材支持部3と一体回転する同期ギア8と、同期ギア8に噛み合う状態で配設された伝達ギア9と、偏心カップリング10と、伝達ギア9の位置を、同期ギア8に噛み合わせた状態で保持する伝達ギア位置保持機構Kとを備えて構成され、偏心カップリング10において、駆動プレート14が伝達ギア9に同心状で一体回転可能に連結され、且つ、可動軸11における駆動プレート14を貫通した端部がローラ4に同心状で一体回転可能に連結されて、偏心カップリング10が、可動軸11を主軸1に平行にした姿勢で可動軸11の両端を軸受21にて回転可能に支持した状態で設けられ、押し付け機構Dが、可動軸11をその回転軸心A2と主軸1の回転軸心A1とを結ぶ軸心間垂線αに沿って移動するように設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、軸心方向視で円状の外周面を有する被加工素材を支持する状態で、主軸周りに回転駆動手段により回転駆動される素材支持部と、被加工素材を塑性加工するローラを主軸に直交する方向に移動して当該ローラを被加工素材に押し付ける押し付け機構と、ローラを素材支持部と同期回転させるように、主軸の回転をローラに伝達する同期回転機構とが設けられた回転塑性加工装置に関する。
かかる回転塑性加工装置は、被加工素材を支持した素材支持部を回転駆動し、並びに、同期回転機構によってローラを素材支持部と同期回転させる状態で、押し付け機構によりローラを被加工素材に押し付けることにより、被加工素材を塑性加工するものである。例えば、外歯を有する歯車を製造する場合は、ローラとして、外周面に外歯成形型が備えられたものを用いて、被加工素材の一例である円盤状素材の外周面に外歯を成形する。
このような回転塑性加工装置において、従来は、同期回転機構として、素材支持部と共に回転する同期ギアと、ローラと共に回転し且つ同期ギアに噛み合わせ可能な従動ギアと、ローラ及び従動ギアを主軸と直交する方向に一体的に移動させて、従動ギアを同期ギアに噛み合わせると共にその噛み合わせと同時にローラを被加工素材に押し付ける押し付け機構とを備えて構成していた(例えば、特許文献1参照。)。
そして、押し付け機構を働かせることにより、被加工素材を塑性加工していた。
特許第3429711号公報
ところで、ローラを的確に素材支持部と同期回転させるには、従動ギアを同期ギアに十分に深く噛み合わせて、同期ギアの回転を従動ギアに的確に伝達する必要がある。
しかしながら、従来の回転塑性加工装置では、ローラ及び従動ギアを主軸と直交する方向に一体的に移動させる構成であるため、ローラが被加工素材に接触してから、加工が完了する位置まで移動する間に従動ギアも同様に移動することになり、加工当初は従動ギアと同期ギアが深く噛み合わずに、バックラッシが生じてしまい、結果、被加工素材を塑性加工する加工精度が悪くなる虞があった。
そこで、このような問題を解消するために、図10に示すように、所謂、偏心カップリング40を用いる比較例が想定される。尚、図10は、偏心カップリング40を用いた場合の回転塑性加工装置の比較例を示し、図10(a)は、回転塑性加工装置における偏心カップリング40の周辺の正面図であり、図10(b)は、横断平面図である。
図10に示すように、偏心カップリング40は、リング状の従動プレート41、回転軸心A3が従動プレート41の回転軸心A2と偏心し且つ従動プレート41に回転を伝達可能に複数(例えば3本)の従動側リンク44により従動プレート41に連結されたリング状の中間プレート42、及び、回転軸心A4が中間プレート42の回転軸心A3と偏心し且つ中間プレート42に回転を伝達可能に複数(例えば3本)の駆動側リンク45により中間プレート42に連結されたリング状の駆動プレート43を備えて構成されている。
複数の従動側リンク44は、互いに平行になる状態で、従動プレート41の回転軸心A2周りに分散配置され、複数の駆動側リンク45も、互いに平行になる状態で、駆動プレート43の回転軸心A4周りに分散配置されている。各従動側リンク44の一端及び各駆動側リンク45の一端は、同心の枢支軸心にて中間プレート42に枢支され、各従動側リンク44の他端は従動プレート41に枢支され、並びに、各駆動側リンク45の他端は駆動プレート43に枢支されている。複数の従動側リンク44夫々における両側の枢支軸心間の間隔、及び、複数の駆動側リンク45夫々における両側の枢支軸心間の間隔は、全て同一である。つまり、この偏心カップリング40は、所謂、シュミットカップリングであり、駆動プレート43の回転が中間プレート42を介して従動プレート41に同期伝達可能で、且つ、駆動プレート43の回転軸心A4と従動プレート41の回転軸心A2とが偏心可能に構成されている。
そして、駆動プレート43における中間プレート42の側とは反対側に、伝達ギア9が回転軸心A4にて同心状で一体回転可能に連結され、従動プレート41における中間プレート42の側とは反対側に、ローラ4が可動軸46を介して回転軸心A2にて同心状で一体回転可能に連結されている。
つまり、伝達ギア9の回転軸心A4は、ローラ4の回転軸心A2と偏心可能である。
そして、油圧シリンダ(図示省略)等により、駆動プレート43を主軸(図示省略)側に押圧して、伝達ギア9を、主軸周りに素材支持部(図示省略)と一体回転する同期ギア(図示省略)に噛み合わせた状態で、押し付け機構(図示省略)により、ローラ4を主軸に直交する方向に移動してローラ4を被加工素材(図示省略)に押し付けることにより、被加工素材を塑性加工する。
つまり、伝達ギア9を同期ギア(図示省略)に十分に深く噛み合わせた状態で、既に素材支持部と同期回転しているローラ4を、被加工素材から離間した位置から被加工素材に近づけて被加工素材に押し付けることができるので、ローラ4が被加工素材に押し付けられる当初から、伝達ギア9にバックラッシが生じないようにすることができる。
しかしながら、この比較例の場合、ローラ4は、従動プレート41を介して偏心カップリング40に片持ち状に支持されており、ローラ4に対してその回転軸心A2に直交する方向に力が作用した場合、片持ちによる根元の曲げモーメントは従動側リンク44に直接作用することになる。この曲げモーメントはさらに駆動側リンク45を介して駆動プレート43に伝達されるため、従動側リンク44と駆動側リンク45の2面のリンク部では、大きな撓み角が発生し同調回転が不安定となり、被加工素材の加工精度を低下させる。更には、リンク結合の耐力を超える曲げモーメントが発生することにより、偏心カップリング40の損傷につながる虞がある。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、加工精度を向上し得る回転塑性加工装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る回転塑性加工装置は、軸心方向視で円状の外周面を有する被加工素材を支持する状態で、主軸周りに回転駆動手段により回転駆動される素材支持部と、被加工素材を塑性加工するローラを前記主軸に直交する方向に移動して当該ローラを被加工素材に押し付ける押し付け機構と、前記ローラを前記素材支持部と同期回転させるように、前記主軸の回転を前記ローラに伝達する同期回転機構とが設けられた回転塑性加工装置であって、その特徴構成は、
前記同期回転機構が、
前記主軸周りに前記素材支持部と一体回転する同期ギアと、
当該同期ギアに噛み合う状態で配設された伝達ギアと、
可動軸に一体回転可能に連結された従動プレート、前記可動軸の外周部に配設されると共に、回転軸心が前記可動軸と偏心し且つ前記従動プレートに回転を伝達可能に従動側リンク機構により前記従動プレートに連結された内径が前記可動軸よりも大径の中間プレート、及び、前記可動軸の外周部に配設されると共に、回転軸心が前記可動軸と偏心し且つ前記中間プレートに回転を伝達可能に駆動側リンク機構により前記中間プレートに連結された内径が前記可動軸よりも大径の駆動プレートを備えた偏心カップリングと、
前記伝達ギアの位置を、前記同期ギアに噛み合わせた状態で保持する伝達ギア位置保持機構とを備えて構成され、
前記偏心カップリングにおいて、前記駆動プレートが前記伝達ギアに同心状で一体回転可能に連結され、且つ、前記可動軸における前記駆動プレートを貫通した端部が前記ローラに同心状で一体回転可能に連結されて、当該偏心カップリングが、前記可動軸を前記主軸に平行にした姿勢で当該可動軸の両端を軸受にて回転可能に支持した状態で設けられ、
前記押し付け機構が、前記可動軸を当該可動軸の回転軸心と前記主軸の回転軸心とを結ぶ軸心間垂線に沿って移動するように設けられている点にある。
上記特徴構成によれば、伝達ギア位置保持機構により、伝達ギアの位置が同期ギアに噛み合わされた状態で位置保持されるので、素材支持部の回転が同期ギアを介して伝達ギアに同期伝達されて、伝達ギアが素材支持部と同期回転する。そして、その伝達ギアと共に駆動プレートが一体回転し、その駆動プレートの回転が、駆動側リンク機構、中間プレート、従動側リンク機構を介して従動プレートに同期伝達されるので、その従動プレート及びローラを同心状で一体回転可能に支持した可動軸が、その回転軸心が駆動プレート(即ち、伝達ギア)の回転軸心と偏心可能な状態で、且つ、その両端が軸受にて支持された状態で素材支持部と同期回転する。
そして、可動軸の回転軸心は伝達ギアの回転軸心と偏心可能であるので、素材支持部と同期回転する伝達ギアの回転軸心が一定の位置に保持された状態で、押し付け機構により、素材支持部と同期回転する可動軸を軸心間垂線に沿って主軸に向けて移動することができる。
つまり、伝達ギアを同期ギアに十分に深く噛み合わせた状態で、既に素材支持部と同期回転しているローラを、被加工素材から離間した位置から被加工素材に近づけて被加工素材に押し付けることができるので、ローラが被加工素材に押し付けられる当初から、伝達ギアにバックラッシが生じないようにすることができて、被加工素材の加工精度を向上することができる。
しかも、伝達ギアの回転軸心とローラの回転軸心とを偏心可能な偏心カップリングを用いながらも、ローラと一体回転可能な可動軸の両端が軸受を介して支持部材により支持されていることにより、回転力については、伝達ギアから、駆動プレート、中間プレート、従動プレートを介して、ローラにバックラッシの発生がほとんど無い状態で伝達され、ローラの回転軸心に直交する方向に作用する力については、可動軸を介してせん断力として支持部材に直接、伝達される合理的な構造を実現している。これにより、曲げ耐力については、脆弱なリンク結合部分に直接、伝達される曲げモーメントは微少となり、同期回転機構そのものの耐力が向上すると共に、ローラの回転軸心の面外変位が小さくなり、被加工素材の加工精度の向上につながる。
従って、加工精度を向上し得る回転塑性加工装置を提供することができる。
本発明に係る回転塑性加工装置の更なる特徴構成は、前記偏心カップリングにおいて、前記従動側リンク機構が、一端が前記中間プレートに枢支され且つ他端が前記従動プレートに枢支された複数の従動側リンクを備えて構成されて、それら複数の従動側リンクが互いに平行になる状態で前記可動軸の周方向に分散配置され、前記駆動側リンク機構が、一端が前記中間プレートに枢支され且つ他端が前記駆動プレートに枢支された複数の駆動側リンクを備えて構成されて、それら複数の駆動側リンクが互いに平行になる状態で前記可動軸の周方向に分散配置され、
前記伝達ギア位置保持機構が、前記伝達ギアを、当該伝達ギアの回転軸心を前記軸心間垂線から当該軸心間垂線に直交する方向に設定量偏倚させた位置にて、前記同期ギアに噛み合わせた状態で保持するように構成されている点にある。
上記特徴構成によれば、伝達ギアが、その回転軸心を軸心間垂線からその軸心間垂線に直交する方向に設定量偏倚させた位置にて同期ギアに噛み合わせた状態で保持されているので、押し付け機構により、既に素材支持部と同期回転している可動軸が軸心間垂線に沿って主軸に向けて移動される間中、伝達ギアと同心状で一体回転する駆動プレートの回転軸心と可動軸と同心状で一体回転する従動プレートの回転軸心とが軸心間垂線に直交する方向に離間する状態に維持される。
そして、駆動プレートの回転軸心と従動プレートの回転軸心とが軸心間垂線に直交する方向に離間する状態では、従動プレートの回転軸心方向視において、従動側リンクの両側の枢支軸心を結ぶ直線と駆動側リンクの両側の枢支軸心を結ぶ直線とが交差する状態(以下、「従動側リンクの長手方向と駆動側リンクの長手方向が交差する状態」と記載する場合がある)となる。
従って、素材支持部と同期回転するローラを、被加工素材から離間する位置から被加工素材に近づけて被加工素材に押し付けて加工を終了するまでの間中、従動側リンクの長手方向と駆動側リンクの長手方向が交差する状態に維持することができる。
そして、従動側リンクの長手方向と駆動側リンクの長手方向が交差する状態になっていると、中間プレートの回転軸心のふらつきを十分に抑制することができるようになり、それに伴い、従動プレートの回転軸心、即ち、ローラの回転軸心や、駆動プレートの回転軸心、即ち、伝達ギアの回転軸心のふらつきを十分に抑制することができるので、塑性加工精度を一層向上することができる。
一方、伝達ギアの回転軸心を軸心間垂線からその軸心間垂線に直交する方向に偏倚させない場合、素材支持部と同期回転する可動軸が軸心間垂線に沿って主軸に向けて移動される間に、伝達ギアと同心状で一体回転する駆動プレートの回転軸心と可動軸と同心状で一体回転する従動プレートの回転軸心とが同心状になるときがある。
そして、駆動プレートの回転軸心と従動プレートの回転軸心とが同心状になると、従動プレートの回転軸心方向視において、従動側リンクの両側の枢支軸心を結ぶ直線と駆動側リンクの両側の枢支軸心を結ぶ直線とが平行状態(以下、「従動側リンクの長手方向と駆動側リンクの長手方向が平行状態」と記載する場合がある)となる。
従動側リンクの長手方向と駆動側リンクの長手方向が平行状態となると、中間プレートの回転軸心のふらつきを十分に抑制し難くなり、それに伴い、従動プレートの回転軸心、即ち、ローラの回転軸心や、駆動プレートの回転軸心、即ち、伝達ギアの回転軸心のふらつきを十分に抑制し難くなるので、塑性加工精度を十分には向上し難い場合がある。
要するに、本特徴構成によれば、被加工素材の加工精度を更に向上することができる。
本発明に係る回転塑性加工装置の更なる特徴構成は、前記ローラの外周面に外歯成形型が備えられ、
前記被加工素材の外周面に外歯を成形して、外歯を有する歯車を製造する点にある。
上記特徴構成によれば、回転状態にあるローラの外歯成形型が、回転状態にある素材支持部に支持された被加工素材に押し付けられるので、被加工素材の外周面に外歯が成形されて、外歯を有する歯車が製造される。
従って、外歯を有する歯車の加工精度を向上することができる。
本発明に係る回転塑性加工装置の更なる特徴構成は、前記主軸と同心状に回転可能な保持部材を前記素材支持部に向けて移動させて、前記素材支持部に支持された被加工素材を前記素材支持部とにより挟持する素材保持機構と、
前記素材保持機構を働かせて、被加工素材を前記素材支持部と前記保持部材とにより挟持する素材保持工程を実行し、前記押し付け機構を働かせて、前記伝達ギア位置保持機構により前記伝達ギアが前記同期ギアに噛み合わされた状態で、前記ローラにより被加工素材を塑性加工する加工工程を実行する制御手段とが設けられている点にある。
上記特徴構成によれば、被加工素材を素材支持部と保持部材とにより挟持する素材保持工程が実行され、伝達ギアが同期ギアに噛み合わされた状態で、素材支持部と同期回転するローラを被加工素材から離間した位置から被加工素材に押し付けて、被加工素材を塑性加工する加工工程が実行される。
従って、加工精度を向上し得るように被加工素材を加工する工程が、順次自動的に実行される。
回転塑性加工装置の概略の全体構成及び偏心カップリングを示す図 偏心カップリングを示す図 外歯を有する歯車の製造手順を説明する図 外歯を有する歯車の製造手順を説明する図 外歯を有する歯車の製造手順を説明する図 外歯を有する歯車の製造手順を説明する図 素材支持部及びローラを示す回転塑性加工装置の要部の横断面図 円盤状素材及び外歯を有する歯車を示す斜視図 別実施形態に係るフレキシブルカップリングを示す横断平面図 偏心カップリングを用いた場合の比較例に係る回転塑性加工装置の要部を示す図
以下、図面に基づいて、本発明を外歯を有する歯車を製造する回転塑性加工装置に適用した場合の実施形態を説明する。
先ず、図1に基づいて、回転塑性加工装置の全体構成を説明する。尚、図1(a)は、回転塑性加工装置の概略の全体構成を示す正面図であり、図1(b)は、偏心カップリング10の分解斜視図である。
図1(a)に示すように、回転塑性加工装置は、円盤状素材(軸心方向視で円状の外周面を有する被加工素材の一例)Wを支持する状態で、主軸1周りに回転駆動装置(回転駆動手段の一例)2により回転駆動される素材支持部3と、円盤状素材Wを塑性加工するローラ4を主軸1に直交する方向に移動して当該ローラ4を円盤状素材Wに押し付ける押し付け機構Dと、ローラ4を素材支持部3と同期回転させるように、主軸1の回転をローラ4に伝達する同期回転機構Sとを備えて構成されている。
更に、回転塑性加工装置には、主軸1と同心状に回転可能な押圧部材5(保持部材の一例)を素材支持部3に向けて移動させて、素材支持部3に支持された円盤状素材Wを押圧部材5と素材支持部3とにより挟持するワーク保持機構(素材保持機構の一例)H、及び、回転塑性加工装置の運転を制御する制御部7が設けられている。
この実施形態の回転塑性加工装置は、図7にも示すように、ローラ4の外周面に外歯成形型4mが備えられ、図8に示すように、円盤状素材Wの外周面に外歯Woを成形して、外歯Woを有する歯車(以下、単に歯車と記載する場合がある)Wを製造する。尚、図8(a)は、塑性加工前の円盤状素材Wの斜視図であり、図8(b)は歯車Wの斜視図である。図8(a)に示すように、円盤状素材Wは、軸心方向視で円状の外周面を有すると共に、軸心と同心状で貫通する軸孔Whを有する。ローラ4の外歯成形型4mの長さ(軸心方向での長さに該当する)が、円盤状素材Wの外周面に形成する外歯の目標長さよりも多少長くなるように設定されている。
尚、以下の説明では、図1(a)に示すように、主軸1の回転軸心A1に沿った方向をZ方向、主軸1の回転軸心A1に直交する方向をX方向、Z方向及びX方向の両方向に直交する方向をY方向と夫々記載する場合がある。又、Z方向において、主軸1の基端(回転駆動装置2に伝動連結される端部)に近づく方向を−Z方向とし、主軸1の基端から遠ざかる方向を+Z方向とする。又、X方向において、主軸1の回転軸心A1に近づく方向を−X方向とし、主軸1の回転軸心A1から遠ざかる方向を+X方向とする。
図1及び図2に示すように、本発明では、同期回転機構Sが、主軸1周りに素材支持部3と一体回転する同期ギア8と、当該同期ギア8に噛み合う状態で配設された伝達ギア9と、可動軸11に一体回転可能に連結された従動プレート12、可動軸11の外周部に配設されると共に、回転軸心A3が可動軸11と偏心し且つ従動プレート12に回転を伝達可能に従動側リンク機構Lsにより従動プレート12に連結された内径が可動軸11よりも大径の中間プレート13、及び、可動軸11の外周部に配設されると共に、回転軸心A4が可動軸11と偏心し且つ中間プレート13に回転を伝達可能に駆動側リンク機構Ldにより中間プレート13に連結された内径が可動軸11よりも大径の駆動プレート14を備えた偏心カップリング10と、伝達ギア9の位置を、同期ギア8に噛み合わせた状態で保持する伝達ギア位置保持機構Kとを備えて構成されている。
そして、偏心カップリング10において、駆動プレート14が伝達ギア9に同心状で一体回転可能に連結され、且つ、可動軸11における駆動プレート14を貫通した端部がローラ4に同心状で一体回転可能に連結されて、当該偏心カップリング10が、可動軸11を主軸1に平行にした姿勢で当該可動軸11の両端を可動軸用軸受21にて回転可能に支持した状態で設けられ、押し付け機構Dが、可動軸11を当該可動軸11の回転軸心A2と主軸1の回転軸心A1とを結ぶ軸心間垂線αに沿って移動するように設けられている。つまり、X方向は、軸心間垂線αに沿う方向となる。尚、この実施形態では、軸心間垂線αは、移動開始時点において所定の開始位置Ps(図3参照)に位置する可動軸11の回転軸心A2と主軸1の回転軸心A1とを結ぶ垂線として、定義される。
ここで、可動軸11の回転軸心A2と同心状の従動プレート12の回転軸心、及び、ローラ4の回転軸心も共に、符号A2にて示す。又、駆動プレート14の回転軸心A4と同心状の伝達ギア9の回転軸心も、符号A4にて示す。
尚、図2(a)は、偏心カップリング10の周辺を詳細に示す正面図であり、図2(b)は、偏心カップリング10を示す横断平面図である。
次に、回転塑性加工装置の各部について、説明を加える。
図1(a)に示すように、架台(図示省略)上に、主軸1が鉛直方向に沿う回転軸心A1周りに回転自在に支持されて設けられ、電動モータ等の回転駆動装置2が、この主軸1を回転駆動するように設けられ、この主軸1の先端に素材支持部3が装着され、主軸1における素材支持部3の下方近くの外周面に、同期ギア8が設けられている。素材支持部3は、円柱状の本体部3bと、その本体部3bの先端面から同心状に突出する本体部3bよりも小径の円柱状の挿通軸部3aを備えて構成され、その挿通軸部3aは、円盤状素材Wの軸孔Whに内嵌可能である。この素材支持部3が、主軸1の先端に、その回転軸心A1と同心状になる状態で装着されている。
つまり、円盤状素材Wが、その軸孔Whに素材支持部3の挿通軸部3aを挿通させて、素材支持部3の本体部3bの先端面に当接された状態で、素材支持部3に、主軸1の回転軸心A1と同心状に装着される。
そして、回転駆動装置2が作動されると、主軸1の回転軸心A1回りに素材支持部3と同期ギア8が同心で一体回転する。
図1(a)に示すように、ワーク保持機構Hは、押圧部材5と、その押圧部材5を主軸1の回転軸心A1方向(Z方向)に沿って往復移動駆動するワーク保持用油圧シリンダ6とを備えて構成され、押圧部材5が素材支持部3に対向して位置するように配設されている。押圧部材5は、主軸1の回転軸心A1と同心で回転可能なようにベアリング(図示省略)等を介してワーク保持用油圧シリンダ6のシリンダロッドの先端に回転自在に支持されている。
押圧部材5を素材支持部3に装着された円盤状素材Wに押し付けるようにワーク保持用油圧シリンダ6を作動させることにより、円盤状素材Wを素材支持部3と押圧部材5とにより挟持するように構成されている。
そして、回転駆動装置2により主軸1を回転駆動することにより、円盤状素材Wを素材支持部3と押圧部材5とにより挟持した状態で素材支持部3と一体的に回転させるように構成されている。
図1及び図2に基づいて、偏心カップリング10について説明を加える。
従動プレート12は、可動軸11に回転軸心A2周りに一体回転可能に外嵌状に取り付けられている。
駆動プレート14及び中間プレート13は、夫々、内径が可動軸11よりも大径のリング状に構成され、リング状の中間プレート13が、可動軸11の外周部に位置し(可動軸11が中間プレート13に挿通され)且つその回転軸心A3が従動プレート12の回転軸心A2と平行になる状態で、可動軸11に取り付けられた従動プレート12に従動側リンク機構Lsにより連結され、並びに、リング状の駆動プレート14が、可動軸11の外周部に位置し(可動軸11が駆動プレート14に挿通され)且つその回転軸心A4が従動プレート12の回転軸心A2と平行になる状態で、駆動側リンク機構Ldにより中間プレート13に連結されている。
駆動プレート14における中間プレート13の側とは反対側に、伝達ギア9がその回転軸心A4を駆動プレート14の回転軸心A4と同心状にして固定されている。つまり、駆動プレート14が伝達ギア9に回転軸心A4周りに同心状で一体回転可能に連結されている。
可動軸11は、従動プレート12及び伝達ギア9のいずれからも突出し、その可動軸11における伝達ギア9からの突出部分の中間に、ローラ4が同心状で一体回転可能に外嵌状に取り付けられている。つまり、可動軸11における駆動プレート14を貫通した端部がローラ4に回転軸心A2周りに同心状で一体回転可能に連結されている。
偏心カップリング10において、従動側リンク機構Lsは、一端が中間プレート13に枢支され且つ他端が従動プレート12に枢支された4本の従動側リンク15を備えて構成されて、それら4本の従動側リンク15が互いに平行になる状態で可動軸11の周方向に分散配置され、駆動側リンク機構Ldが、一端が中間プレート13に枢支され且つ他端が駆動プレート14に枢支された4本の駆動側リンク16を備えて構成されて、それら4本の駆動側リンク16が互いに平行になる状態で可動軸11の周方向に分散配置されている。
この実施形態では、各従動側リンク15の一端及び各駆動側リンク16の一端は、同心の枢支軸心a1にて中間プレート13に枢支されている。ここで、各従動側リンク15の他端が従動プレート12に枢支されている枢支軸心を、符号a2で示し、各駆動側リンク16の他端が駆動プレート14に枢支されている枢支軸心を、符号a3で示す。4本の従動側リンク15夫々における両側の枢支軸心a1,a2間の間隔、及び、4本の駆動側リンク16夫々における両側の枢支軸心a1,a3間の間隔は、全て同一である。
偏心カップリング10において、中間プレート13の回転軸心A3に対する駆動プレート14の回転軸心A4及び従動プレート12の回転軸心A2夫々の相対位置が各別に変更自在に構成されて、駆動プレート14の回転軸心A4と従動プレート12の回転軸心A2とが所定の範囲で偏心可能に構成されている。
駆動プレート14の回転軸心A4と従動プレート12の回転軸心A2とを必要とされる所定の範囲で偏心させても、従動プレート12、中間プレート13、駆動プレート14、4本の従動側リンク15及び4本の駆動側リンク16が可動軸11と干渉しないように構成されている。
そして、駆動プレート14が回転すると、その駆動プレート14の回転が4本の駆動側リンク16により中間プレート13に同期伝達されると共に、その中間プレート13の回転が4本の従動側リンク15により従動プレート12に同期伝達されるので、駆動プレート14が回転すると、中間プレート13、従動プレート12及び可動軸11が駆動プレート14と同期回転する。
図6に示すように、従動プレート12の回転軸心A2と駆動プレート14の回転軸心A4とが同心状になると、従動プレート12の回転軸心方向(Z方向)視において、従動側リンク15の両側の枢支軸心a1,a2を結ぶ直線(図示省略)と駆動側リンク16の両側の枢支軸心a1,a3を結ぶ直線(図示省略)とが重なる(即ち、平行になる)ように構成されている。
そして、図1(a)に示すように、伝達ギア9及びローラ4が上述のように組み付けられた偏心カップリング10の可動軸11の両端が、一対の可動軸用軸受21により、正面視でコの字形状の支持枠22に回転自在に支持されて、ユニット状の加工ユニットUが構成されている。
そして、この加工ユニットUが、可動軸11を主軸1に平行にした姿勢で、X方向に往復移動自在に支持台23上の一対のレール24に支持され、このように一対のレール24に支持された加工ユニットUの支持枠22に、回転軸心を軸心間垂線αに沿わせたネジ軸25が螺挿されている。
そして、ネジ軸25を正逆回転させることにより、加工ユニットUをX方向に往復移動させるパルスモータ等のX方向駆動装置26が設けられている。つまり、加工ユニットUがX方向に往復移動する際は、可動軸11の回転軸心A2が軸心間垂線α上を移動する状態で往復移動する。
つまり、X方向駆動装置26が、ローラ4を主軸1に直交する方向(X方向)に移動してローラ4を円盤状素材Wに押し付ける押し付け機構Dとして機能させるように構成されている。そして、偏心カップリング10が、可動軸11を主軸1に平行にした姿勢で当該可動軸11の両端を可動軸用軸受21にて回転可能に支持した状態で設けられていることになる。又、X方向駆動装置26が、可動軸11を当該可動軸11の回転軸心A2と主軸1の回転軸心A1とを結ぶ軸心間垂線αに沿って移動するように設けられていることになる。
次に、伝達ギア位置保持機構Kについて説明を加えると、図1(a)及び図2に示すように、この伝達ギア位置保持機構Kは、駆動プレート14を駆動プレート用軸受27を介して回転自在に支持する回転支持フレーム28、及び、その回転支持フレーム28を軸心間垂線αに沿って移動させる伝達ギア保持用油圧シリンダ29を備えて構成されている。つまり、駆動プレート14は、回転支持フレーム28により、駆動プレート用軸受27を介して回転自在に支持されている。
この実施形態では、伝達ギア保持用油圧シリンダ29は、駆動プレート14を、その回転軸心A4が軸心間垂線α上を移動する状態でX方向に往復移動させるように設けられている。
そして、伝達ギア位置保持機構Kは、伝達ギア9の位置を同期ギア8に噛み合わせた状態で保持するように構成されている。
つまり、軸心間垂線αと主軸1の回転軸心A1との両方に直交する方向(即ち、Y方向)においては、駆動プレート14の回転軸心A4と従動プレート12の回転軸心A2とは偏心させないように構成されている。
次に、図3〜図6に基づいて、この回転塑性加工装置により歯車を製造するときの制御部7の制御動作を説明する。尚、図3〜図6の夫々において、(a)は、回転塑性加工装置における偏心カップリング10の周辺の正面図であり、(b)は、横断平面図である。
尚、X方向駆動装置26により、ローラ4を−X方向に移動して円盤状素材Wを成形するに当たって、開始時にローラ4を位置させる開始位置Ps(可動軸11の回転軸心A2の位置)、及び、成形を終了する終了位置Pe(可動軸11の回転軸心A2の位置)が、X方向において予め設定されて制御部7のメモリに記憶されている。
この実施形態では、図3及び図4に示すように、開始位置Psは、伝達ギア位置保持機構Kにより同期ギア8に噛み合わせた状態で位置が保持された伝達ギア9の回転軸心A4に対して、回転軸心A2が軸心間垂線αに沿って主軸1とは反対側に設定量(例えば5mm)偏倚したローラ4の位置に設定されている。ローラ4がこの開始位置Psに位置する状態では、ローラ4は、素材支持部3に支持された円盤状素材Wから軸心間垂線αに沿う方向に離間している。
又、図6に示すように、終了位置Peは、回転状態にあるローラ4の外歯成形型4mが、円盤状素材Wの外周面に押し付けられて、円盤状素材Wの外周面に所定の高さの外歯Woを成型可能な位置である。例えば、伝達ギア位置保持機構Kにより同期ギア8に噛み合わせた状態で位置が保持された伝達ギア9の回転軸心A4と、回転軸心A2が軸心間垂線α上において同位置となるローラ4の位置に設定されている。
つまり、図3及び図4に示すように、ローラ4が開始位置Psに位置する状態では、従動プレート12の回転軸心A2は駆動プレート14の回転軸心A4に対して、軸心間垂線αに沿って主軸1とは反対側に設定量偏倚している。又、図6に示すように、ローラ4が終了位置Peに位置すると、従動プレート12の回転軸心A2と駆動プレート14の回転軸心A4とは同心となる。
図3〜図6に示すように、歯車の製造を開始する前に、伝達ギア保持用油圧シリンダ29により、伝達ギア9の位置が同期ギア8に噛み合わせた状態で保持されている。
図3に示すように、制御部7は、開始指令が指令されると、X方向駆動装置26を働かせて、ローラ4を開始位置Psに位置させ、並びに、ワーク供給装置(図示省略)を働かせて、加工対象の円盤状素材Wを素材支持部3に対向する位置に位置させると共に、ワーク保持用油圧シリンダ6を働かせて、図4に示すように、押圧部材5を−Z方向に移動させて、円盤状素材Wを素材支持部3と押圧部材5とにより挟持するワーク保持工程(素材保持工程に相当する)を実行する。すると、円盤状素材Wが、その軸孔Whに素材支持部3の挿通軸部3aが挿通された状態で、素材支持部3(具体的には本体部3b)と押圧部材5とにより挟持される。
続いて、制御部7は、図4に示すように、伝達ギア9の位置が同期ギア8に噛み合わされた状態で保持され、且つ、円盤状素材Wが素材支持部3と押圧部材5とにより挟持された状態で、回転駆動装置2を所定の回転速度で作動させる。すると、素材支持部3に支持された円盤状素材Wが素材支持部3と一体回転すると共に、主軸1の回転が、同期ギア8、伝達ギア9及び偏心カップリング10により可動軸11に同期伝達されて、ローラ4が素材支持部3と同期回転する。
続いて、制御部7は、X方向駆動装置26を働かせて、図5に示すように、素材支持部3と同期回転しているローラ4を、軸心間垂線αに沿って所定の速度で−X方向に移動させて、素材支持部3に支持されて素材支持部3と一体回転する円盤状素材Wに押し付ける加工工程を実行する。すると、回転状態にあるローラ4の外歯成形型4mが円盤状素材Wの外周面に当接して、円盤状素材Wの外周面に外歯Woが成型され始め、そのように成型される外歯Woの高さが徐々に高くなる。
そして、図6に示すように、ローラ4が終了位置Psに達して、円盤状素材Wの外周面に成型される外歯Woの高さが所定の高さに達して、円盤状素材Wの成形が終了すると、制御部7は、X方向駆動装置26を働かせて、ローラ4を開始位置Psに戻し、次いで、回転駆動装置2を停止し、次いで、ワーク保持用油圧シリンダ6をそのシリンダロッドを引っ込めるように作動させると共に、ワーク排出装置(図示省略)を作動させて、製造された歯車を素材支持部3から取り外す。
つまり、制御部7が、ワーク保持機構Hを働かせて、円盤状素材Wを素材支持部3と押圧部材5とにより挟持する素材保持工程を実行し、後続して、押し付け機構Dを働かせて、伝達ギア位置保持機構Kにより伝達ギア9が同期ギア8に噛み合わされた状態で、ローラ4により円盤状素材Wを塑性加工する加工工程を実行するように構成されていることになる。
従って、伝達ギア9を同期ギア8に十分に深く噛み合わせた状態で、既に素材支持部3と同期回転しているローラ4を、円盤状素材Wから離間した位置から円盤状素材Wに近づけて円盤状素材Wに押し付けることができるので、ローラ4が円盤状素材Wに押し付けられる当初から、伝達ギア9にバックラッシが生じないようにすることができて、歯車の加工精度を向上することができる。
しかも、伝達ギア9の回転軸心A4とローラ4の回転軸心A2とを偏心可能な偏心カップリング10を用いながらも、その偏心カップリング10に、ローラ4を同心状に一体回転可能に支持する可動軸11を備えて、その可動軸11を両端が可動軸用軸受21を介して支持枠22にて支持された状態で素材支持部3と同期回転させる構成とすることにより、ローラ4の回転軸心A2のブレを抑制することができ、このことによっても、歯車の加工精度を向上することができる。
図10に、本発明の偏心カップリング10に代えて、本発明の偏心カップリング10における可動軸11に相当するものを備えない偏心カップリング40、所謂、シュミットカップリング40を用いた場合の回転塑性加工装置の比較例を示す。
この比較例の場合は、先述のように、ローラ4は、従動プレート41を介してシュミットカップリング40に片持ち状で回転可能に支持されているので、ローラ4の回転軸心A2がぶれ易く、歯車の加工精度を向上し難い。
〔別実施形態〕
(A)従動側リンク機構Lsを構成する複数の従動側リンク15の本数、及び、駆動側リンク機構Ldを構成する複数の駆動側リンク16の本数は、夫々、上記の実施形態において例示した4本に限定されるものではなく、例えば、3本でも良い。
又、上記の実施形態では、各従動側リンク15の一端及び各駆動側リンク16の一端を、同心の枢支軸心a1にて中間プレート13に枢支したが、別々の枢支軸心にて中間プレート13に枢支しても良い。
(B)ローラ4の外歯成形型4mの軸心方向での長さを、円盤状素材Wに成形する外歯Woの軸心方向の長さよりも短くなるように設定しても良い。この場合、X方向駆動装置26に加えて、加工ユニットUを主軸1の回転軸心A1に沿うZ方向に往復移動させるZ方向駆動装置を設けて、そのZ方向駆動装置によりローラ4をZ方向に移動させることにより、円盤状素材Wにローラ4の外歯成形型4mよりも長い所望の長さの外歯Woを形成することができる。
(C)伝達ギア位置保持機構Kを構成するに、図9に示すように、伝達ギア9(図示省略)を、当該伝達ギア9の回転軸心A4を軸心間垂線αから当該軸心間垂線αに直交する方向に設定量偏倚させた位置にて、同期ギア8(図示省略)に噛み合わせた状態で保持するように構成しても良い。
この場合、伝達ギア位置保持機構Kは、上記の実施形態における回転支持フレーム28及び伝達ギア保持用油圧シリンダ29に加えて、回転支持フレーム28を軸心間垂線αと主軸1の回転軸心A1との両方に直交する方向(即ち、Y方向)に位置調整するY方向位置調整部を備えて構成する。又、伝達ギア保持用油圧シリンダ29を、Y方向位置調整部によりY方向での位置が調整された回転支持フレーム28を軸心間垂線αに沿って移動させるように設ける。
図9に示すように、伝達ギア9の回転軸心A4方向視において、伝達ギア9の回転軸心A4の位置を、主軸1(即ち、同期ギア8)の回転軸心A1を中心とする円において、軸心間垂線αとにより形成される中心角βが例えば5°となる半径の延長線上に位置して、伝達ギア9が同期ギア8に噛み合う位置に設定することができる。尚、図9は、ローラ4が終了位置Peに位置する状態を示している。
この場合、ローラ4が終了位置Peに位置する状態を図9に示すように、ローラ4が開始位置Psから終了位置Peに移動する間中、従動プレート12の回転軸心A2方向視において、従動側リンク15の両側の枢支軸心a1,a2を結ぶ直線(図示省略)と駆動側リンク16の両側の枢支軸心a1,a3を結ぶ直線(図示省略)とが交差する状態に維持される。この別実施形態では、各従動側リンク15の一端及び各駆動側リンク16の一端が、同心の枢支軸心a1にて中間プレート13に枢支されているので、従動プレート12の回転軸心A2方向視において、従動側リンク15の両側の枢支軸心a1,a2を結ぶ直線(図示省略)と駆動側リンク16の両側の枢支軸心a1,a3を結ぶ直線(図示省略)とがV字状(以下、「従動側リンク15と駆動側リンク16とがV字状」と記載する場合がある)となる。
ローラ4が円盤状素材Wに押し付けられている状態では、従動プレート12の回転軸心A2に直交する方向に力が作用するが、各従動側リンク15と各駆動側リンク16とがV字状になっていると、中間プレート13の回転軸心A3のふらつきを十分に抑制することができるようになり、それに伴い、従動プレート12の回転軸心A2、即ち、ローラ4の回転軸心A2や、駆動プレート14の回転軸心A4、即ち、伝達ギア9の回転軸心A4のふらつきを十分に抑制することができる。
従って、被加工素材Wの加工精度を効果的に向上することができる。
(D)駆動プレート14の外周面に、同期ギア8に噛み合う歯を形成して、駆動プレート14を伝達ギア9に兼用しても良い。
(E)ローラ4を−X方向に移動して円盤状素材Wを成形する際のローラ4の開始位置Psや終了位置Peは、適宜変更可能である。例えば、上記の実施形態では、終了位置Peを、ローラ4の回転軸心A2が伝達ギア9の回転軸心A4と軸心間垂線α上において同位置となるように設定したが、ローラ4の回転軸心A2が伝達ギア9の回転軸心A4と軸心間垂線α上において異なるように設定しても良い。
(F)被加工素材を塑性加工する形態は、上記の実施形態のように、外周面に外歯Woを成形する形態に限定されるものではなく、例えば、被加工素材の軸心周りに沿って一定のピッチで凹凸を形成する形態でも良い。
又、被加工素材の具体的な例としては、上記の実施形態において例示した如き円盤状素材Wに限定されるものではない。
以上説明したように、塑性加工精度を向上し得る回転塑性加工装置を提供することができる。
1 主軸
2 回転駆動装置(回転駆動手段)
3 素材支持部
4 ローラ
4m 外歯成形型
5 押圧部材(保持部材)
7 制御部(制御手段)
8 同期ギア
9 伝達ギア
10 偏心カップリング
11 可動軸
12 従動プレート
13 中間プレート
14 駆動プレート
15 従動側リンク
16 駆動側リンク
21 可動軸用軸受(軸受)
A1 主軸の回転軸心
A2 可動軸の回転軸心
A3 中間プレートの回転軸心
A4 駆動プレートの回転軸心、伝達ギアの回転軸心
D 押し付け機構
H ワーク保持機構(素材保持機構)
K 伝達ギア位置保持機構
Ld 駆動側リンク機構
Ls 従動側リンク機構
S 同期回転機構
W 円盤状素材(被加工素材)
Wo 外歯
α 軸心間垂線

Claims (4)

  1. 軸心方向視で円状の外周面を有する被加工素材を支持する状態で、主軸周りに回転駆動手段により回転駆動される素材支持部と、被加工素材を塑性加工するローラを前記主軸に直交する方向に移動して当該ローラを被加工素材に押し付ける押し付け機構と、前記ローラを前記素材支持部と同期回転させるように、前記主軸の回転を前記ローラに伝達する同期回転機構とが設けられた回転塑性加工装置であって、
    前記同期回転機構が、
    前記主軸周りに前記素材支持部と一体回転する同期ギアと、
    当該同期ギアに噛み合う状態で配設された伝達ギアと、
    可動軸に一体回転可能に連結された従動プレート、前記可動軸の外周部に配設されると共に、回転軸心が前記可動軸と偏心し且つ前記従動プレートに回転を伝達可能に従動側リンク機構により前記従動プレートに連結された内径が前記可動軸よりも大径の中間プレート、及び、前記可動軸の外周部に配設されると共に、回転軸心が前記可動軸と偏心し且つ前記中間プレートに回転を伝達可能に駆動側リンク機構により前記中間プレートに連結された内径が前記可動軸よりも大径の駆動プレートを備えた偏心カップリングと、
    前記伝達ギアの位置を、前記同期ギアに噛み合わせた状態で保持する伝達ギア位置保持機構とを備えて構成され、
    前記偏心カップリングにおいて、前記駆動プレートが前記伝達ギアに同心状で一体回転可能に連結され、且つ、前記可動軸における前記駆動プレートを貫通した端部が前記ローラに同心状で一体回転可能に連結されて、当該偏心カップリングが、前記可動軸を前記主軸に平行にした姿勢で当該可動軸の両端を軸受にて回転可能に支持した状態で設けられ、
    前記押し付け機構が、前記可動軸を当該可動軸の回転軸心と前記主軸の回転軸心とを結ぶ軸心間垂線に沿って移動するように設けられている回転塑性加工装置。
  2. 前記偏心カップリングにおいて、前記従動側リンク機構が、一端が前記中間プレートに枢支され且つ他端が前記従動プレートに枢支された複数の従動側リンクを備えて構成されて、それら複数の従動側リンクが互いに平行になる状態で前記可動軸の周方向に分散配置され、前記駆動側リンク機構が、一端が前記中間プレートに枢支され且つ他端が前記駆動プレートに枢支された複数の駆動側リンクを備えて構成されて、それら複数の駆動側リンクが互いに平行になる状態で前記可動軸の周方向に分散配置され、
    前記伝達ギア位置保持機構が、前記伝達ギアを、当該伝達ギアの回転軸心を前記軸心間垂線から当該軸心間垂線に直交する方向に設定量偏倚させた位置にて、前記同期ギアに噛み合わせた状態で保持するように構成されている請求項1に記載の回転塑性加工装置。
  3. 前記ローラの外周面に外歯成形型が備えられ、
    前記被加工素材の外周面に外歯を成形して、外歯を有する歯車を製造する請求項1又は2に記載の回転塑性加工装置。
  4. 前記主軸と同心状に回転可能な保持部材を前記素材支持部に向けて移動させて、前記素材支持部に支持された被加工素材を前記素材支持部とにより挟持する素材保持機構と、
    前記素材保持機構を働かせて、被加工素材を前記素材支持部と前記保持部材とにより挟持する素材保持工程を実行し、前記押し付け機構を働かせて、前記伝達ギア位置保持機構により前記伝達ギアが前記同期ギアに噛み合わされた状態で、前記ローラにより被加工素材を塑性加工する加工工程を実行する制御手段とが設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転塑性加工装置。
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