JP2014079753A - 粒状物分離機 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型で簡素な構造で手軽に操作でき、比重や粒径が異なる回収目的粒状物と分離対象物が混在する粒状混合物から分離対象物を確実に分離して回収目的粒状物を回収でき、取扱い性、分離の確実性、動作安定性に優れ、回収目的粒状物に強く付着した分離対象物も摩擦力や衝撃力で短時間で確実に分離でき、高歩留まりで分離の効率性に優れ、粒状混合物の選択の幅が広く、特に、粉砕コーヒー豆からシルバースキンや微粉を安定して確実に分離できる粒状物分離機の提供。
【解決手段】粒状混合物を収容する容器部と、容器部を少なくとも上下方向に往復運動或いはループ状の軌跡に沿って回転移動させて容器部の内部で粒状混合物を揺動させる揺動機構部と、揺動機構部を駆動する駆動部と、容器部上部に接続され容器部内を吸引する上部吸引部を有する吸引機構部と、容器部の下部に形設された気体導入部を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、互いに比重若しくは粒径が異なる回収目的粒状物と分離対象物が混在している粒状混合物から、分離対象物を分離し回収目的粒状物を回収する粒状物分離機に関し、例えば、焙煎されたコーヒー豆をコーヒーミル等にかけて得られた粉砕コーヒー豆(粒状混合物)を種子の部分であるコーヒー粒(回収目的粒状物)と、雑味成分の主因となるシルバースキンや微粉(分離対象物)に分離する際等に好適に用いられる粒状物分離機に関する。
従来、比重や形状などの異なる複数の粉体や粒体などが混在した各種粒状物をその比重や粒径などによって選別、分離するための様々な装置が検討されている。
例えば、精米工場や製粉工場の精穀工程で排出される塵埃やゴミを捕集する装置として、(特許文献1)には、大径円筒の外周部には、旋回流の流れを接線方向に延長した粒状物回収孔を穿設するとともに、該粒状物回収孔に粒状物を捕捉する選別部を接続し、更に、粒状物回収孔と対向する外周部には、スリット状の含塵空気取込孔を穿設するとともに、該含塵空気取込孔と含塵空気排出筒との間を管路により連絡したサイクロン型選別装置が開示されている。
また、比重の異なる2以上の固形状物を気流選別する装置として、(特許文献2)には、比重の異なる2以上の固形状物を選別筐体の内壁面に沿って空間的に分離するためのサイクロン流を発生させるサイクロン発生手段を有する固形状物分離装置が開示されている。
さらに、比重や形状が異なる粒子が多く混在した粉粒体、例えば、石炭灰、製紙スラッジ灰、下水汚泥焼却灰、ごみ焼却灰、バイオマス焼却灰などの廃棄物、穀物等の食品、医薬品原料、肥料・農薬原料、鉱物などの粉粒体から、異種粒子を分離する装置として、(特許文献3)には、流動化空気供給口から空気を供給し、かつ振動機より振動を与えることにより、粉粒体投入口から比重分離容器内に供給された粉粒体を分散・横移動させながら、比重の小さい粒子を粉粒体層の上部に移動・浮遊させて第1の排出口から排出し、比重の大きい粒子を第2の排出口から排出する比重分離装置において、比重分離容器の上部に空気吸引口を形成し、かつ第1の排出口から内部の空気を吸引して排出する空気吸引手段を設けることが開示されている。
また、分離対象の粒状混合物を粉砕コーヒー豆に特化した様々な装置も検討されている。
通常、焙煎されたコーヒー豆をコーヒーミル等で粉砕すると、必要としているコーヒー粒のほかに、シルバースキンや微粉が混在した状態になる。
シルバースキンは相対的に比重の小さい(軽い)渋皮状のものであり、また、微粉はシルバースキンの微細化されたものと、コーヒー豆の実の部分が破砕される際に発生した微細なコーヒー粒を含んだものである。
このようなシルバースキンや微粉が混在した状態で抽出したコーヒーには雑味があるため、この雑味成分の主因となるシルバースキンや微粉を取り除くことで、コーヒー本来の風味(味と香り)を得ることができる。
そこで、破砕されたコーヒー豆から、如何にしてシルバースキンや微粉を取り除くかが課題となっている。
例えば、(特許文献4)には、下方にコーヒー粉を送り出す間隙を形成したホッパーと、このホッパーの下方において傾斜面を形成している分離部材と、この分離部材の傾斜面上の粉に空気を吹き付けるファンと、分離部材の下方で傾斜面を下降した粉の主成分が通る通路と、分離部材から離脱した渋皮を受け入れる渋受けとを設け、ホッパーの間隙から順次分離部材上に下降したコーヒー粉はファンにより空気を吹き付けられ、粉の主成分は空気に吹かれても分離部材の傾斜面に沿って下降して通路へ向かう一方、渋皮の成分はファンによる空気に吹かれて分離部材上から離脱し、渋受けへ向かうようにしたコーヒー粉の分離装置が開示されている。
(特許文献5)には、ホッパーの直下に、ホッパーから落下する破砕コーヒー豆を風圧によって優良部分と不良部分とに選別する領域を形成し、風圧によって吹き飛ばされる側に不良部分を吸引捕捉する領域を設け、選別する領域の下部に選別された優良部分の受け入れ領域を形成してなる破砕コーヒー豆の選別装置が開示されている。
(特許文献6)には、焙煎されたコーヒー豆を粗びきして所望粒度の粉粒物を形成する粗びき機と、この粗びき機から供給された粉粒物をコーヒー粒とチャフとに篩い分ける篩網部と平板状のチャフ篩分け部のある篩板を設けた傾斜揺動篩と、該篩板のチャフ篩分け部上方に連通開口した吸引口を有するチャフ吸引ノズルとを備えると共に、該チャフ吸引ノズルの吸引口の外周囲に篩板との間に間隙をあけて平行に風集板を延設し、かつチャフ吸引ノズルを傾斜揺動篩によって篩い分けられたチャフを吸引して外部に排出する負圧式チャフ吸引装置に接続配備したコーヒーチャフレス装置が開示されている。
(特許文献7)には、上端に実と皮が混在する粉砕コーヒー豆の受入口を設け、内部に実と皮が混在する粉砕コーヒー豆用の落下流路を設けているとともに、下端に放出口を設けた略四角筒状の本体部と、この本体部の一方の側壁部に設けた空気導入部と、本体部における一方の側壁部と対向する他方の側壁部に設けた空気通過穴部と、他方の側壁部の外壁に添設した各空気通過穴部に連通する排出ダクト部と、この排出ダクト部に接続されて、排出ダクト部及び空気通過穴部を介して落下流路内を落下する実と皮が混在する粉砕コーヒー豆に吸引力を作用して、粉砕コーヒー豆のうちの皮のみを本体部内から吸引除去し、粉砕コーヒー豆の実は落下流路内を本体部下端の放出口に自重落下させる吸引手段と、を有する粉砕コーヒー豆分別処理装置が開示されている。
特開2000−33288号公報 特開2004−298776号公報 特開2006−150231号公報 特開平8−52081号公報 特開平10−191889号公報 特開2001−87145号公報 特開2008−104651号公報
しかしながら、上記従来の技術は以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)は、糠、塵埃、外皮及びストローなどの比重が軽く微細な塵埃を除去し、精品、未熟粒、砕粒など比重の重い粒状物を回収しようとするものであるが、粒状物と塵埃が混入した空気が、分離室を通過する際に、比重の重い粒状物が、自重により塵埃の混入した空気から分離沈降して粒状物回収孔に回収され、比重の軽い塵埃が、吸引力により空気とともに含塵空気取込孔に取り込まれて含塵空気排出筒から排出されることにより、両者を分離する構造であり、分離の機会が一度しかなく、しかも吸引力や重力が作用する時間が短時間であるため、確実な分離を行うことができず、回収目的粒状物の中に一部の塵埃が残り、また、塵埃と一緒に回収目的粒状物まで一部排出されてしまうなど、不完全な分離しかできないという課題を有していた。
また、精品、未熟粒、砕粒など比重の重い粒状物と、糠、塵埃、外皮及びストローなどの比重が軽く微細な塵埃との分離を重力と吸引力のみに頼っているため、粒状物の表面に糠や外皮などが強く付着している時には、これらを分離することが困難であり、特に、粒状物が粉砕コーヒー豆である場合、シルバースキンや微粉の一部が分離できずに残り、確実な分離が出来ないという課題を有していた。
(2)(特許文献2)は、選別筐体の内壁面に複数のバリアを設け、サイクロン流によって固形状物を選別筐体の内壁面に沿って上昇させることにより、比重の異なる複数の固形状物を比重毎に各々のバリアで捕獲、分離するものであるため、比重差が少ない固形状物同士でも細かく分離することが可能であるが、主に比重と空気抵抗の違いを利用して固形状物を移動させるだけであり、固形状物に分離に必要なだけの強い摩擦力や衝撃力等を連続的に与え続けることができないので、固形状物の表面に強く付着した異物は分離することが困難であり、分離の対象が金属やプラスチックなどに限定され、特に粉砕コーヒー豆の分離では確実な分離ができないという課題を有していた。
また、円筒状や円錐状の選別筐体の内壁面に形成された複数のバリアから固形状物を取り除いて回収するためには、分離作業を中断して選別筐体を分解しなければならないため連続運転に支障があり、固形状物の回収作業性、使用性、メンテナンス性、汎用性に欠けるという課題を有していた。
(3)(特許文献3)は、比重分離容器に振動を与えて比重の小さい粒子を粉粒体層の上部に移動させ、第1の排出口から内部の空気を吸引することにより、比重の小さい粒子を排出するものであるが、比重分離容器内に供給された粉粒体に振動を与えながら、分散・横移動させる構造であるため、比重の小さい粒子を粉粒体層の上部に移動させるには、横方向の移動距離を長くしたり、振動を与える時間を長くしたりする必要があり、装置が長尺化、大型化して省スペース性に欠け、或いは分離に時間がかかり、分離の効率性に欠けると共に、比重の小さい全ての粒子を粉粒体層の上部に確実に移動させて完全に吸引、排出することは困難であり、分離の確実性に欠けるという課題を有していた。
また、比重分離容器に振動を与えているが、その振動は、比重分離容器の中で粉粒体を分散・横移動させながら、比重の小さい粒子を粉粒体層の上部に移動させるだけのものであり、粉粒体同士を激しく衝突させるようなものではなく、分離に必要なだけの強い摩擦力や衝撃力等を連続的に与え続けることができないので、粒子の表面に強く付着した異物などを確実に分離することが困難であり、特に粉砕コーヒー豆からシルバースキンや微粉などを確実に分離することができないという課題を有していた。
(4)(特許文献4)では、落下するコーヒー粉に、ファンによって空気を吹き付けて渋皮(シルバースキン)を離脱させて分離するものであるため、分離の機会が一度しかなく、渋皮と一部のコーヒー粉が互いに付着したまま一緒に吹き飛ばされ、また、コーヒー粉に一部のシルバースキンや微粉が付着したまま混在して落下するため、確実な分離ができないという課題を有していた。
(5)(特許文献5)では、破砕コーヒー豆を落下させつつコーヒー粒とシルバースキンを風圧により選別(分離)するための風洞領域が比較的短く、また、選別機会も1回しかなく、また分離に必要なだけの強い摩擦力や衝撃力等を連続的に与え続けることができないため、回収したコーヒー粒中に一部のシルバースキンや微粉が付着したまま混在して残り、確実な分離ができないという課題を有していた。
(6)(特許文献6)では、チャフ(シルバースキン)を吸引する機会が一度しかなく、分離に必要なだけの強い摩擦力や衝撃力等を連続的に与え続けることができないので、確実な分離ができないという課題を有していた。また、構造が複雑なため装置が大型し、量産性、省スペース性、汎用性に欠けるという課題を有していた。また、チャフタンク内のブロワ寄りの位置にフィルタを立設することにより、チャフタンク内に溜まったチャフがブロワに流入することを防止しているが、フィルタの目詰まりによりブロワの吸引力が変化し易いため頻繁な清掃およびメンテナンスが必要で、長期間安定した分離を行うことができず、動作の安定性、確実性に欠けるという課題を有していた。
(7)(特許文献7)では、粉砕コーヒー豆から実と皮(シルバースキン等)を分別するために、落下流路内に複数の平行板や傾斜仕切り板を配設しているため、装置が大型化し、省スペース性、汎用性に欠けるという課題を有していた。また、皮(シルバースキン等)の吸引機会が、空気通過穴部の数によって制限され、さらに、分離に必要なだけの強い摩擦力や衝撃力等を連続的に与え続けることができないので、確実な分離ができないという課題を有していた。
(8)特に、(特許文献4)乃至(特許文献7)は、粉砕コーヒー豆からシルバースキンを分離することを目的としたものであるが、コーヒー豆同士或いはコーヒー豆と装置の内壁との間で、分離に必要なだけの強い摩擦力や衝撃力等を連続的に与え続けることができないので、回収したコーヒー粒中に一部のシルバースキンや微粉が付着したまま混在して残っており、改善が強く要望されていた。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、簡素な構造で故障が発生し難く、清掃やメンテナンスを頻繁に行わなくても連続使用することができ、メンテナンス性が良く、装置を小型化することができるので、工場だけでなく、家庭や小規模店舗などでも簡単に操作することができ、比重若しくは粒径が異なる回収目的粒状物と分離対象物が混在している粒状混合物から、分離対象物を確実に分離して回収目的粒状物を確実に回収することができ、取扱い性、耐久性、動作の安定性に優れ、回収目的粒状物に分離対象物が強く付着している場合でも、摩擦力や衝撃力等を連続的に与え続けることによって分離対象物を短時間で確実に分離することができ、高歩留まりで、分離の効率性に優れ、粒状混合物の選択の幅が広く、特に、粉砕コーヒー豆からシルバースキンや微粉を安定して確実に分離することができる粒状物分離機の提供を目的とする。
上記課題を解決するために本発明の粒状物分離機は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の粒状物分離機は、回収目的粒状物と、前記回収目的粒状物と比重若しくは粒径が異なる分離対象物と、が混在している粒状混合物から、前記分離対象物を分離し前記回収目的粒状物を回収する粒状物分離機であって、前記粒状混合物を収容する容器部と、前記容器部を少なくとも上下方向に往復運動させ或いは前記容器部をループ状の経路に沿って回転移動させて前記容器部内で前記粒状混合物を揺動運動させる揺動機構部と、前記揺動機構部を駆動する駆動部と、前記容器部上部に接続され前記容器部内を吸引する上部吸引部を有する吸引機構部と、前記容器部下部に形設された気体導入部と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)粒状混合物を収容する容器部と、容器部を少なくとも上下方向に往復運動させ或いは容器部をループ状の経路(軌跡)に沿って回転移動させて容器部内で粒状混合物を揺動運動させる揺動機構部と、揺動機構部を駆動する駆動部を有することにより、容器部を往復運動させ或いは回転移動させて容器部内で強い遠心力を発生させることにより、粒状混合物同士或いは粒状混合物と容器部内壁面とを衝突させたり擦らせたりさせることができ、従来の分離機(分離力≒重力)を大きく超える大きな摩擦力や衝撃力等を発生させることができるので、その摩擦力や衝撃力等を連続的に与え続けることによって回収目的粒状物の表面に強く付着している分離対象物なども回収目的粒状物から強い力で剥離させ易く、分離後の回収目的粒状物の中に分離対象物が混入する可能性を大幅に低減することができ、分離の確実性、粒状混合物の選択自在性に優れる。
(2)容器部上部に接続され容器部内を吸引する上部吸引部を有する吸引機構部を備えているので、上部吸引部によって容器部内を吸引することにより、容器部内で揺動運動して上部側に移動した相対的に比重の小さい(軽い)分離対象物を確実に容器部の外に排出、回収することができ、一度排出された分離対象物が再度混入することはなく、分離対象物の確実な分離を行うことができ、回収の確実性に優れる。
(3)容器部下部に形設された気体導入部を有することにより、上部吸引部によって容器部内を吸引する際に、気体導入部から外部の気体を取り入れることができ、容器部内で揺動運動する粒状混合物の内、相対的に比重の小さい(軽い)分離対象物を気流によって押上げて(浮き上がらせて)容器部上方に移動させることができるので、分離対象物のみを上部吸引部で効率的に吸い出すことができ、一方、相対的に比重の大きい(重い)回収目的粒状物には吸引力より重力が強く働くため気流によって上部まで吹き上げられ難く、吸引され難いので、分離対象物の分離の効率性に優れ、確実な分離を行うことができる。
(4)揺動機構部により容器部を往復運動或いは回転移動させて容器部内で強い遠心力を発生させることにより、粒状混合物を揺動運動させることができ、1サイクル運動する毎に粒状混合物に吸引部による吸引作用、すなわち分離作用が働くため、往復運動或いは回転移動を繰り返すことにより、往復運動或いは回転移動の運転回数と同数の分離作業が同一空間内で連続的に行われるので、従来の装置に比べ圧倒的に省スペースかつ短時間で選別の機会が多くとれ、分離性能が高く、相対的に装置を小型化、軽量化することができ、省スペース性、取扱い性、効率性、汎用性、高機能性に優れる。
(5)容器部の往復運動或いは回転移動の回数は運転時間に比例させることもできるので、運転時間によって分離の精度を略均一に管理することができ、分離度合いの調節が容易にできるようになり、分離性能が任意に選択でき、分離の均一性、安定性、取扱い性、汎用性に優れる。
(6)容器部の往復運動或いは回転移動のサイクル数(運動回数)及び速度を任意にコントロールできるので、分離の程度を任意に調整することができ、粒状混合物の種類や状態或いは要求される分離の程度に応じて、最適な運転時間や速度を任意に選択して確実かつ必要な分離を行うことができ、粒状混合物の選択の幅が広く、汎用性、分離の確実性に優れる。
(7)粒状混合物が容器部内に収容された状態で回収目的粒状物と分離対象物に分離され、分離された分離対象物は上部吸引部により吸引されるので、周囲に回収目的粒状物や分離対象物が飛び散らず、1度分離した分離対象物が回収目的粒状物内に再度混入することもなく、それぞれを簡単かつ確実に分別回収することができ、清掃作業を行わなくても連続運転が可能なので作業効率が高く、メンテナンス性、作業性、取扱い性、汎用性に優れる。
ここで、粒状混合物は、互いに比重若しくは粒径が異なる回収目的粒状物と分離対象物が混在しているものであればよい。粒状混合物は、回収目的粒状物と分離対象物が単に混合しているだけでなく、回収目的粒状物の表面に分離対象物が付着しているものも対象とすることができる。よって、本装置によれば、穀類や豆類などの食品(回収目的粒状物)と異物や皮など(分離対象物)を分離することができ、例えば、コーヒー豆を焙煎して粉砕することにより得られる粉砕コーヒー豆(粒状混合物)からシルバースキン(分離対象物)を分離することや、粉砕黒豆(粒状混合物)から黒皮(分離対象物)を分離することができる。
容器部の材質は、適宜、選択することができるが、PE、PP、PETなどの合成樹脂、ステンレスなどの金属、ガラス、セラミックなどが好ましい。合成樹脂は装置の軽量化、メンテナンス性、汎用性、加工性の面で優れ、金属、セラミックなどは洗浄が容易で衛生的で、メンテナンス性、耐久性の面でも優れる。また、ガラスなどは洗浄が容易で衛生的で、視認性、メンテナンス性に優れる。
尚、容器部の容量は一度に分離する粒状混合物の量に応じて適宜、選択することができ、2〜3人前の家庭用から、喫茶店等で使用する5人前程度の業務用、10〜20人前程度の宿泊等施設用、工場等で使用する大型の量産用まで対応できる。
揺動機構部は、容器部を少なくとも上下方向に往復運動させることができるもの、或いは容器部をループ状の経路(軌跡)に沿って回転移動させることができるものであればよい。尚、容器部の往復運動の経路(軌跡)は、直線状でも曲線状でもこれらを組合せてもよく、運動方向は鉛直方向だけでなく傾斜させてもよい。この時、ピストンシリンダによって直接、往復直線運動を行うものや、モータの回転運動をスライダクランク機構によって往復直線運動に変換するもの等を用いることができる。
曲線状の往復運動の経路(軌跡)としては、円弧状が好ましい。この場合、例えばアーム状(棒状)の部材の一端にモータを連結し、他端に容器部を取り付けた揺動機構部を用い、モータの正逆回転を繰り返すものなどを使用することができる。
容器部を回転移動させる場合のループ状の経路(軌跡)は、円形状でも、楕円形状でもよいし、一部に直線を含んでいてもよい。また、容器部の回転移動の運動方向は鉛直方向でも水平方向でもよいし、水平面に対して傾斜した方向でもよい。円形状の経路(軌跡)に沿った回転移動の場合、揺動機構部として、クランクアームなどを用いて容器部を回転移動させるものや、ピストンクランク機構などを用いてピストンの往復直線運動を回転円運動に変換するもの等を用いることができる。また、楕円形状の経路(軌跡)に沿った回転移動の場合、揺動機構部として、例えば多関節のロボットアームなどを用いることができる。
尚、経路(軌跡)が直線状や円弧状の場合は、同じ経路(軌跡)を1往復することにより1サイクルの運動となるが、経路(軌跡)が円形状や楕円形状などのループ状の場合は、同じ経路(軌跡)を1回転することにより1サイクルの運動となる。
また、容器部をループ状の経路(軌跡)に沿って回転移動させる場合、容器部の鉛直軸、すなわち重力方向に対する傾き角度を変えることなく、同一面内で回転移動を行わせることができるので、容器部内で強い遠心力を発生させることにより粒状混合物を揺動運動させることができ、篩い面に沿って粒状混合物を揺動運動させることで分離に必要なだけの強い摩擦力や衝撃力等を連続的に与え続けることができる。特に、容器部の回転移動の運動方向が鉛直方向やそれに近い角度で傾斜している場合は、粒状混合物の一部に必要かつ十分な滞空時間や浮遊時間を与えることができ、分離対象物を分離・浮遊させた状態から極めて短時間で上に浮かせて吸引し、確実に排出、捕捉することができる。
また、装置の運動速度を変化させることにより、粒状混合物に与えられる加速度および運動エネルギーを変化させることができ、分離力の強さを任意にコントロールすることができる。よって、装置の運動速度は、粒状混合物の種類や状態或いは要求される分離の程度によって、適宜、選択することができる。
上部吸引部は一端が容器部上部に接続され他端が分離用吸引器に接続された上部吸引管を有するものが好適に用いられる。上部吸引管の材質は、適宜、選択することができるが、容器部の移動に追従して、伸縮や湾曲などの変形ができる程度の伸縮性、可撓性、柔軟性、耐久性を有するものが好ましく、特に、蛇腹状の波付管(フレキシブルホース)などが好適に用いられる。また、粒状混合物が食品の場合、シリコンなど耐久性があり衛生上好適な素材で上部吸引管を形成することにより、洗浄や消毒が容易で、衛生的でメンテナンス性に優れる。尚、上部吸引管の捻れを防止するために、接続部にベアリング等を配設してもよい。
分離用吸引器としてはブロワなどが好適に用いられるが、容器部内を吸引できるものであればよく、掃除機などを用いることもできる。尚、分離用吸引器によって発生させる負圧は、容器部の容積や粒状混合物の種類等に応じて、適宜、選択することができる。
また、気体導入部よりコンプレッサー等で加圧した気体を送り込み、上部吸引管から出てくる分離対象物を、フィルタ等で捕集することもできる。
装置内(容器部内)に送り込む気体の種類は、適宜、選択できるが、酸化防止など品質安定性に優れる窒素などが、好適に用いられる。また、装置内に送り込む気体の温度や湿度等の条件を一定の範囲に保つことで装置内の環境を一定の範囲に保つことができるので、外部環境(季節や天候の変化)に関わらず安定した分離環境を長時間提供し続けることができるだけでなく、揺動運動により発生する摩擦熱等の影響も(導入された)気体による冷却効果で大幅に減らすことができ、分離の確実性、品質安定性、作業性に優れる。
尚、気体導入部の数や配置は、適宜、選択することができる。気体導入部は容器部の側部や底部に孔をあけるだけでもよいが、筒状(パイプ状)に形成することにより、気流を所定の方向に案内することができ、容器部内で旋回流を発生させることもできる。また、気体導入部に、コック等で開口の大きさ(断面積)を調節する流量調整部を設ければ、気体の流入量を調整することができ、分離対象物によって気流の強さを適宜変えることができ、汎用性に優れる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の粒状物分離機であって、前記容器部に形設された投入口と、前記投入口に開閉自在に覆設される開閉蓋と、を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)容器部に形設された投入口と、投入口に開閉自在に覆設される開閉蓋を有するので、使用時に開閉蓋を開けるだけで粒状混合物を投入口から容易に投入することができ、容器部を分解するなどの複雑な作業が不要で、短時間で作業を行うことができ、連続作業性、取扱い性に優れる。
ここで、投入口の形状や配置は適宜、選択することができるが、投入口を容器部の上端部に配置した場合、投入口から投入する粒状混合物を速やかに容器部内に落下させることができ、投入作業性に優れる。
開閉蓋は投入口を開閉できるものであればよいが、上部吸引部で容器部内を確実に吸引するために、密閉性を有するものが好ましい。開閉蓋は螺子止めや嵌合などにより脱着して投入口を開閉するものや蝶番により回動させて投入口を開閉するものが好適に用いられるが、開閉蓋と投入口との接触部にパッキンを配設することにより、密閉性に優れる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の粒状物分離機であって、前記吸引機構部が、前記容器部に接続され分離後の前記回収目的粒状物を吸引して回収する回収用吸引部と、前記上部吸引部及び前記回収用吸引部に配設された逆流防止弁と、を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1又は2の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)吸引機構部が、容器部に接続され分離後の回収目的粒状物を吸引して回収する回収用吸引部を有するので、分離作業後に容器部を分解したり、容器部の一部を開閉或いは着脱したりすることなく、簡単かつ確実に回収用吸引部のフィルタ(回収容器)等で回収目的粒状物を回収して、直ちに次の分離作業の準備を開始することができ、連続作業性、作業効率性に優れると共に、容器部内への異物の混入を防ぐことができ、衛生的で信頼性に優れる。
(2)吸引機構部が、上部吸引部及び回収用吸引部に配設された逆流防止弁を有するので、分離作業中に上部吸引部で容器部内を吸引した際に、回収用吸引部に吸引された回収目的粒状物が回収用吸引部を逆流して上部吸引部に吸引されたり、分離作業後に回収用吸引部で容器部内を吸引した際に、上部吸引部に吸引された分離対象物が上部吸引部を逆流して回収用吸引部に吸引されたりして、分離対象物と回収目的粒状物が混合することがなく、分離対象物と回収目的粒状物を確実に分離して回収することができ、高歩留まりで、分離の信頼性、高品質性に優れる。
ここで、回収用吸引部は一端が容器部に接続され他端が回収用吸引器に接続された回収用吸引管を有するものが好適に用いられる。回収用吸引管及び回収用吸引器は、それぞれ前述の上部吸引管及び分離用吸引器と同様であるので説明を省略する。上部吸引部の分離用吸引器と回収用吸引部の回収用吸引器が独立し、それぞれに逆流防止弁が配設されていることにより、分離対象物と回収目的粒状物を混合させることなく別々に回収することができ、それぞれの用途に用いることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の粒状物分離機であって、前記容器部が、前記揺動機構部による往復運動或いは回転移動によって前記粒状混合物を揺動運動させる揺動室と、前記揺動室上方に連設され前記上部吸引部で吸引されることにより前記揺動室内に浮遊した前記分離対象物を上方に移動させて分離する分離室と、を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1項の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)容器部が、揺動機構部による往復運動或いは回転移動によって発生する強い遠心力により粒状混合物を揺動運動させる揺動室と、揺動室上方に連設され上部吸引部で吸引されることにより揺動室内に浮遊した分離対象物を上方に移動させて分離する分離室を有するので、粒状混合物の中から相対的に比重の小さい(軽い)分離対象物をより確実に分離、吸引して排出することができ、相対的に比重の大きい(重い)回収目的粒状物が分離対象物と共に排出され難く、分離の確実性、効率性に優れる。
ここで、揺動室と分離室は予め一体に形成してもよいし、別々に形成したものを嵌合や螺子止めその他の手段によって連結してもよい。また、揺動室と分離室を着脱自在にした場合、収納時のコンパクト性に優れると共に、清掃が容易でメンテナンス性、使用性に優れる。尚、揺動室や分離室の前面や側面に開閉扉を設けた場合、揺動室と分離室を分解することなく、粒状混合物の投入や内部のメンテナンス等を行うことができる。
揺動室や分離室の形状は、適宜、選択することができ、円筒状、球状、円錐(円錐台)状、楕円球状、角筒状や角錐(角錐台)状などに形成することができる。尚、揺動室と分離室の形状は同じである必要はなく、揺動運動が円滑に行われる形状であれば、それぞれの横断面の形状や面積は異なっていてもよい。特に、各々の底部や上部を球面や円筒内面などの曲面状に形成した場合、揺動室内で揺動する粒状混合物や分離室内に進入した分離対象物或いは回収目的粒状物がスムーズに移動し易いので、粒状混合物の揺動運動速度のコントロールが容易で、別の動力や装置を必要とすることなく、分離力の強さをコントロールすることができ、分離の確実性や効率性、省エネルギー性に優れる。
また、揺動室と分離室の連結部分である連通部の形状は、揺動室と分離室の形状に応じて、円形状、楕円形状、矩形状、六角形や八角形などの多角形状、スリット状などの中から、適宜、選択することができる。
尚、揺動室側から分離室側に進入する回収目的粒状物のうち強く跳ね上がった回収目的粒状物が上部吸引部で吸引されることなく揺動室側に戻るように、分離室内に誤吸引防止板を設けてもよい。誤吸引防止板の形状、数、配置などは適宜、選択することができる。
また、粒状混合物が衝突、転動する際に、摩擦力を作用させて、分離対象物の剥離や回収目的粒状物の研磨を促進するために、揺動室内壁面に微細な凹凸などを形成したり、粒状混合物の運動方向を誘導する突起状の誘導部などを形成したりしてもよい。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の粒状物分離機であって、前記容器部が、前記揺動室と前記分離室の間に形成された小径部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項4の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)容器部が、揺動室と分離室の間に形成された揺動室と分離室との連結部分である小径部(連通部)を有することにより、小径部(連通部)を通過する気流の速度を早め、揺動室内で揺動運動する粒状混合物のうち、小径部(連通部)近傍の分離された分離対象物或いは回収目的粒状物が、揺動室から気圧の低い分離室へ引き込まれ易くなるが、相対的に比重の小さい(軽い)分離対象物には重力より吸引力が強く働き、上部吸引部の吸引力によってさらに分離室上方へと移動し、分離、排出され、相対的に比重の大きい(重い)回収目的粒状物には吸引力より重力が強く働き、分離室下方へ移動するため、相対的に比重の大きい(重い)回収目的粒状物が分離対象物と共に排出される可能性を低く抑えることができ、高歩留まりで、分離の信頼性、確実性に優れる。
ここで、揺動室及び分離室の横断面積と小径部の開口面積との面積比は適宜、選択することができる。また、小径部の形状は円形状に限らず、多角形状、楕円形状、スリット状などに形成してもよい。
小径部を形成するには、揺動室と分離室の間に、開口(連通部)を有する板材を配設したり、内周面に沿って肉厚部や突条の突起部を設けたりしてもよいし、揺動室や分離室と一体成型してもよい。
尚、容器部を回転移動させる際の運動方向が、垂直方向或いは傾斜していて粒状混合物の運動経路の主流が小径部(連通部)を横切るように移動する場合は、分離された分離対象物或いは回収目的粒状物がスムーズに揺動室から分離室へ引き込まれる。容器部を回転移動させる際の運動方向が、水平方向或いは水平方向に近く、揺動運動する粒状混合物の運動経路の主流が小径部(連通部)の近傍から逸れる(外れる)場合は、揺動室内部に必要に応じて誘導部を設けることが好ましい。誘導部の形状、配置及び誘導部と気体導入部との位置関係は、適宜、選択することができる。例えば、揺動室内を揺動運動する粒状混合物を誘導部の表面(誘導面)に衝突させて、強い衝撃力を与えつつ、運動方向を変え、誘導部の表面(誘導面)に沿って下降又は上昇させて気体導入部の吹出し口付近に誘導する羽根状に形設されたものが好適に用いられる。揺動運動に加え、誘導部と気体導入部を組合せることにより、気体導入部の吹出し口付近に集まった粒状混合物を強い気流で一気に空間中に吹き上げることができ、粒状混合物の一部に必要かつ十分な滞空時間や浮遊時間を与えることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の粒状物分離機であって、前記容器部の前記小径部が、前記揺動室と前記分離室の間に形設された絞り部によって形成された構成を有している。
この構成により、請求項5の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)容器部の小径部が、揺動室と分離室の間に形設された絞り部によって形成されることにより、別途部材を用いることなく、揺動室及び分離室と一体的に小径部を簡単に形成することができ、量産性、耐久性、形状安定性、汎用性に優れ、かつ回収目的粒状物および分離対象物が容器内部に残留し難い構造で、衛生的にも優れる。
ここで、絞り部は揺動室と分離室の連結部分の周壁を絞って形成することができる。尚、絞り部の形状は適宜、選択することができ、傾斜面の形状は直線状でも円弧状などの曲線状でもよい。傾斜面を粒状混合物の安息角と同等以上の傾斜角度に形成することにより、分離室内に進入した粒状混合物を傾斜面に沿ってスムーズに移動させて揺動室内に落下させることができ、分離の確実性、効率性に優れる。
請求項7に記載の発明は、請求項4乃至6の内いずれか1項に記載の粒状物分離機であって、前記揺動室の上端側内壁が上に凸な円弧状に形成され、前記分離室の下端側内壁が下に凸な円弧状に形成された構成を有している。
この構成により、請求項4乃至6の内いずれか1項の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)揺動室の上端側内壁が上に凸な円弧状に形成されることにより、揺動室内で揺動する粒状混合物が往復運動或いは回転移動によって発生する遠心力により揺動室内壁面に沿って揺動運動を行い、揺動室と分離室との連結部分である小径部(連通部)近傍を移動する際に、吸引部の吸引によって小径部を通過する気流に乗って相対的に比重の小さい(軽い)分離対象物が分離室へ移動し易く、分離の効率性に優れる。
(2)上端側内壁が上に凸な円弧状に形成された揺動室内で、往復運動或いは回転移動によって発生する遠心力により粒状混合物が揺動室内壁面に沿って揺動運動を行うことにより、粒状混合物と揺動室内壁面との接触面積が増加し、粒状混合物が衝突したり、転がったり、擦られたり、揉まれたりする機会が増えるので、その衝撃力や摩擦力などによって回収目的粒状物の表面に強く付着している分離対象物もほぼ完全に分離して取除くことができ、分離の確実性に優れる。
(3)分離室内に分離された分離対象物或いは回収目的粒状物が進入した際に、相対的に比重の小さい(軽い)分離対象物には重力より吸引力が強く働くため、吸引部の吸引力によってさらに分離室上方へと移動し、分離、排出され、相対的に比重の大きい(重い)回収目的粒状物には吸引力より重力が強く働くため、分離室下方へ移動するが、分離室の下端側内壁が下に凸な円弧状に形成されることにより、回収目的粒状物が分離室下端に溜ることなく、速やかに揺動室へ落下するため、分離、排出された分離対象物が再度混入することはなく、装置が1サイクル運動する毎に確実に分離が進行し、分離の効率性に優れる。
揺動室及び分離室のそれぞれの少なくとも一部が、外部から揺動室内及び分離室内の粒状混合物の挙動を視認できる透明性を有するようにした場合、揺動室内での粒状混合物の揺動運動状態及び分離室内での分離対象物の吸引、排出状態を目視で簡単に確認することができるので、分離の進行状況に合わせて吸引力、揺動時間、揺動速度などの運転条件を調整することができ、最適な分離を任意に選択して必要かつ十分な分離を行うことが可能で、分離の作業性、効率性、安定性に優れる。
ここで、揺動室及び分離室は、それぞれの少なくとも一部が、外部から揺動室内及び分離室内の粒状混合物の挙動を視認できる程度の透明性を有していればよい。よって、透明性を有する範囲、位置、透明度などは、適宜、選択することができる。また、揺動室及び分離室全体を内部の粒状混合物の挙動を視認できる程度の透明性を有する材質で形成してもよいし、視認性を妨げない範囲で着色された材質で形成してもよい。
請求項8に記載の発明は、請求項4乃至7の内いずれか1項に記載の粒状物分離機であって、前記容器部が、前記揺動室に配設された網目部と、前記網目部を挟んで前記揺動室下方に形設され前記網目部を通過した粒径の小さな前記分離対象物を受ける微粉受室と、を備えた構成を有している。
この構成により、請求項4乃至7の内いずれか1項の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)容器部が、揺動室に配設された網目部と、網目部を挟んで揺動室下方に形設され網目部を通過した粒径の小さな分離対象物を受ける微粉受室を有することにより、粒状混合物の内、粒径の小さな分離対象物を確実に分離、回収することができるので、回収目的粒状物の粒度分布を所定の範囲に収めることができ、回収目的粒状物の均一性に優れる。
(2)網目部を通過した粒径の小さな分離対象物を受ける微粉受室を有することと、下部吸引部の吸引により分離された分離対象物が吸引されることにより、粒径の小さな分離対象物が周囲に飛散することがなく、分離対象物を確実に回収することができ、清掃作業を行わなくても連続運転が可能なので作業効率が良く、作業性、メンテナンス性、取扱い性に優れる。
(3)上部吸引部及び下部吸引部からの吸引力が作用するだけでなく、往復運動或いは回転移動によって発生する遠心力により、粒状混合物が網目部の表面に衝突したり、転がったり、擦られたりすることにより、網目部の網目が自動的にセルフクリーニングされ、目詰りが発生し難く、分離性能の安定性、作業性、メンテナンス性、取扱い性に優れる。
ここで、網目部の材質は、ステンレス等の金属が好適に用いられる。特に、分離対象物や回収目的粒状物より剛性(硬度)の高い材質を用いた場合、揺動運動時に発生する大きな摩擦力や衝撃力等を連続的に与え続けることにより、回収目的粒状物に強く付着した分離対象物を剥離させたり、回収目的粒状物を研磨したりすることができ、分離後の回収目的粒状物の均質性に優れる。尚、網目部の形状は、揺動機構部による容器部の往復運動の経路或いは回転移動のループ状の経路に合わせて選択することができるが、網目部が球面や円弧状の曲面(円筒面)を有することにより、容器部の往復運動や回転移動に伴って容器部内で揺動運動する粒状混合物を網目部の表面に沿うようにスムーズに移動させて、効率的に摩擦力や衝撃力等を作用させることができる。特に、半球状に形成したものが好適に用いられるが、容器部の回転移動のループ状の経路が形成される面に対し、略円筒状に形成した網目部を円筒部の中心軸が直交するように配置することにより、網目部のほぼ全周を有効に利用することができ、分離の効率性に優れる。尚、網目部の分離室側には連通部に合わせて開口部を設けることにより、粒状混合物が、分離室と、網目部で囲まれた揺動室との間を移動することができる。
網目部の上端外周に筒状の揺動室嵌合部を形設することにより、揺動室の下端部を揺動室嵌合部に嵌合させて網目部と揺動室を固定することができる。また、網目部は微粉受室に嵌合等により固定することができるが、網目部全体が微粉受室の内部に収容される場合は、微粉受室の上端外周に筒状の揺動室嵌合部を形設し、揺動室の下端部を嵌合させて微粉受室と揺動室を直接固定してもよい。この場合、揺動室の下端部を網目部の上端外周に当接させて、網目部の周縁部を揺動室と微粉受室の間に挟むように固定できる。尚、いずれの場合も、揺動室の下端部を揺動室嵌合部に内挿し、揺動室嵌合部と揺動室の外周を鍵フックと鍵レバーからなる留め金具(パッチン錠)などの固定具で固定してもよいし、螺着により固定してもよい。
また、容器部の運動がループ状の軌跡に沿った回転移動である場合、粒状混合物が網目部の表面を常に同じ方向に通過するので、発生する遠心力によって粒状混合物が網目部に強く押し付けられ続けることで分離力が遠心力にほぼ比例して高まるとともに、回収目的粒状物などが網目に刺さっても、後から次々に転動してくる他の回収目的粒状物が衝突することにより、その転動方向に押出され、網目から外れて再び粒状混合物内に戻り易く、目詰りを効果的に防止することができる。
尚、網目部の網目の大きさ(メッシュサイズ)、形状、配置などは、粒状混合物の種類、回収目的粒状物及び分離対象物の粒径等に応じて、適宜、選択することができるが、粉砕コーヒー豆(粒状混合物)から微粉を分離する場合や粉砕黒豆(粒状混合物)から黒豆きな粉を分離する場合等は網目部のメッシュサイズは40メッシュ程度が好ましい。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の粒状物分離機であって、前記網目部が下に凸な球面状又は円錐台状に形成された構成を有している。
この構成により、請求項8の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)網目部が下に凸な球面状又は円錐台状に形成されることにより、容器部の往復運動或いは回転移動で発生する強い遠心力によって粒状混合物が網目部の表面に沿って転がったり、擦られたり、揉まれたりするので、その摩擦力や衝撃力等によって回収目的粒状物の表面に強く付着している分離対象物を確実に分離して取除くと共に、回収目的粒状物の表面を研磨して、分離後の回収目的粒状物の均質性を向上させることができる。
ここで、容器部を少なくとも上下方向に往復運動させる際の運動方向と容器部の長軸方向(高さ方向)は必ずしも平行である必要はない。また、容器部をループ状の経路に沿って回転移動させる際の運動方向が鉛直方向の場合、容器部の回転移動の運動方向と容器部の長軸方向(高さ方向)は必ずしも平行である必要はなく、回転移動のループ状の経路が形成される鉛直面に対して、容器部が傾斜していてもよい。同様に、容器部をループ状の経路に沿って回転移動させる際の運動方向が水平方向の場合も、容器部の回転移動の運動方向と容器部の長軸方向(高さ方向)は必ずしも直交している必要はなく、回転移動のループ状の経路が形成される水平面に対して傾斜した方向でもよい。これは、特に、揺動室の上端側内壁が上に凸な円弧状に形成され、網目部が下に凸な球面状に形成されることにより、揺動室内壁面が、小径部(連通部)を備えた球状に近い形状となるため、運動方向に対して、容器部全体(揺動室)が傾斜していても、往復運動或いは回転移動によって発生する遠心力により、粒状混合物を略球状の揺動室内壁面に沿ってスムーズに揺動運動させることができるためである。
請求項10に記載の発明は、請求項7乃至9の内いずれか1項に記載の粒状物分離機であって、前記気体導入部が、前記微粉受室に形設され、前記微粉受室内に突出した筒状案内部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項7乃至9の内いずれか1項の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)気体導入部が、微粉受室に形設され、微粉受室内に突出した筒状案内部を有することにより、上部吸引部の吸引によって揺動室内へ導入される気流が渦巻状に旋回し易く、揺動室内及び分離室内の気流が安定するため、揺動室内で粒状混合物が内周面に沿って揺動運動している場合に相対的に比重の小さい(軽い)分離対象物が気流によって浮き上がりやすくなり、粒状混合物の動きが安定し、効率的な分離を行うことができ、分離の安定性、効率性に優れる。
ここで、筒状案内部の取付け位置、角度、長さ、孔径等は適宜、選択することができるが、特に、筒状案内部の取り付け方向は、筒状案内部の出口(吹出し口)を微粉受室の中心方向から内周面の接線方向寄りに傾け、斜め上方向にした場合、筒状案内部から導入される気流を渦巻状に旋回させることができる。また、筒状案内部を着脱自在にしたり、筒状案内部の取付け角度や突出長さ或いは開口の大きさ(断面積)を調整可能にしたりすれば、粒状混合物の分離環境を適宜変えることができ、分離の作業性、汎用性に優れる。例えば、筒状案内部の出口(吹出し口)を網目部の底面に向けて取付けた場合、筒状案内部から導入される気流により揺動室内の粒状混合物の一部を上方に押上げ、必要かつ十分な滞空時間や浮遊時間を与え易くなる。
請求項11に記載の発明は、請求項7乃至10の内いずれか1項に記載の粒状物分離機であって、前記吸引機構部が、前記微粉受室に接続された下部吸引部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項7乃至10の内いずれか1項の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)吸引機構部が、微粉受室に接続された下部吸引部を有することにより、微粉受室に落下した微細な分離対象物を下部吸引部で吸引して回収することができるので、分離対象物が再度混入する事がなく確実に分離することができ、回収目的対象物の回収率が高く、作業の確実性、信頼性、安定性に優れる。
ここで、下部吸引部は一端が微粉受室に接続され他端が下部吸引器に接続された下部吸引管を有するものが好適に用いられる。下部吸引管は、上部吸引管や回収用吸引管と同様のものが好適に用いられ、下部吸引器は分離用吸引器や回収用吸引器と同様のものが好適に用いられるので、説明を省略する。上部吸引部及び下部吸引部がそれぞれ分離用吸引器及び下部吸引器を有することにより、上部吸引部で吸引、回収される分離対象物と、下部吸引部で吸引、回収される分離対象物を別々に回収して、それぞれの用途に用いることができるが、これらを別々に回収する必要がないときは、分離用吸引器と下部吸引器は兼用することができ、一方を省略することができる。
尚、下部吸引管にも上部吸引管や回収用吸引管と同様に逆流防止弁を設けることにより、上部吸引部や回収用吸引部による吸引時に、下部吸引部に吸引された分離対象物が逆流して、他の分離対象物や回収目的粒状物と混合することを防止でき、信頼性に優れる。
また、上部吸引部や下部吸引部に、吸引量を調整する吸引量調整部を設けた場合、上下の吸引量の配分を容易に調整することができるので、粒状混合物の種類、回収目的粒状物と分離対象物との混合割合や比重の違いなどに応じて、最適な吸引条件を任意に選択することができ、分離の効率性、作業性、汎用性に優れる。
吸引量調整部は、上部吸引部又は下部吸引部のいずれか一方のみに設けてもよいし、両方に設けてもよい。
吸引量調整部は、吸引量を調整できるものであればよいが、絞り弁などが好適に用いられる。尚、分離用吸引器と下部吸引器を兼用にして1つの吸引器から上部吸引管と下部吸引管を分岐して接続する場合は、分岐部に三方弁を取付けることにより、上下の吸引量の配分を容易に調整することができ、吸引量調整部として好適に用いることができる。
請求項12に記載の発明は、請求項1乃至11の内いずれか1項に記載の粒状物分離機であって、前記揺動機構部による前記容器部の往復運動の経路の一部が円弧状である構成を有している。
この構成により、請求項1乃至11の内いずれか1項の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)揺動機構部による容器部の往復運動の経路の一部が円弧状であることにより、粒状混合物に上下方向(縦方向)だけでなく、水平方向(横方向)にも力が働き、発生する遠心力により揺動運動を行い易くなり、粒状混合物同士や粒状混合物と容器部内壁面との衝突や擦りの機会を増やすと共に、粒状混合物に分離に必要かつ十分な滞空時間や浮遊時間を与えることができるので、分離対象物の分離を促進することができ、分離の効率性、作業性に優れる。
ここで、揺動機構部による容器部の往復運動の経路の一部が円弧状であるが、少なくとも上下方向に往復運動するものであるため、粒状混合物に上下方向(縦方向)及び水平方向(横方向)の力を作用させることができる。
請求項13に記載の発明は、請求項1乃至11の内いずれか1項に記載の粒状物分離機であって、前記揺動機構部による前記容器部の回転移動のループ状の経路が、前記容器部の長軸方向と平行な面上に形成される構成を有している。
この構成により、請求項1乃至11の内いずれか1項の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)揺動機構部による容器部の回転移動のループ状の経路(軌跡)が、容器部の長軸方向と平行な面上に形成されることで、揺動運動する粒状混合物が浮遊している状態で吸引部による吸引力を効果的に作用させ、相対的に比重の小さい(軽い)分離対象物を上方に移動させて分離を促進することができ、特に揺動室上方に分離室が連設されている場合に、粒状混合物の運動経路の主流が揺動室と分離室を連通させる連通部(小径部)を通過するように揺動運動させて、分離の効率をさらに向上させることができる。
ここで、容器部の長軸方向とは、容器部の上下方向(高さ方向)であり、容器部の横断面と直交する方向である。
請求項14に記載の発明は、請求項4乃至11の内いずれか1項に記載の粒状物分離機であって、前記揺動機構部による前記容器部の回転移動のループ状の経路が、前記容器部の長軸方向と直交する面上に形成され、前記容器部が、前記揺動室内で揺動運動する前記粒状混合物を衝突させる誘導部を有し、前記気体導入部の出口が、前記誘導部下端に開口した構成を有している。
この構成により、請求項4乃至11の内いずれか1項の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)容器部が、揺動室内で揺動運動する粒状混合物を衝突させる誘導部を有し、気体導入部の出口が、誘導部下端に開口しているので、揺動機構部による容器部の回転移動のループ状の経路(軌跡)が、容器部の長軸方向と直交する面上に形成された場合、回転移動によって発生する強い遠心力により、容器部の長軸方向と直交するように揺動室内周面に沿って揺動運動する粒状混合物を誘導部に衝突させ、誘導部下端に開口した気体導入部の出口(吹出し口)付近に集中させることができ、気体導入部から容器部内に導入される気流によって粒状混合物の一部に必要かつ十分な滞空時間や浮遊時間を与え、分離された分離対象物或いは回収目的粒状物を分離室へ移動させ、相対的に比重の小さい(軽い)分離対象物の確実な分離を行うことができ、分離の効率性、作業性に優れる。
ここで、容器部の回転移動のループ状の経路(軌跡)は、容器部の長軸方向と直交する面上に形成されていればよく、運動方向は水平方向に限らず、水平面に対して傾斜した方向でもよい。
誘導部は揺動室内周面に沿って揺動運動する粒状混合物を衝突させることができればよいが、揺動室内周面から揺動室の中心方向に突出する羽根状に形設されたものが好適に用いられる。羽根状の誘導部の下端が気体導入部の出口近傍に位置するように誘導部を傾斜させて配置することにより、誘導部表面の誘導面に衝突した粒状混合物が誘導面に沿うように誘導されて移動する。誘導部は揺動室と一体に形成してもよいし、別部材で形成したものを揺動室内周面に接着や溶着などによって固定してもよい。また、誘導部の形状や配置は適宜、選択することができるが、粒状混合物の揺動運動の方向に応じて、湾曲させたり、傾斜させたりすることにより、粒状混合物をスムーズに誘導部の表面(誘導面)に沿って移動させることができるものが好ましい。
請求項15に記載の発明は、請求項13又は14に記載の粒状物分離機であって、前記揺動機構部が、一端部が前記駆動部の回転軸に貫設されたクランクアーム部と、前記クランクアーム部の他端部に挿設され前記回転軸と平行に配置された第1連動軸と、一端部が前記第1連動軸に回動自在に保持された同期ロットと、前記同期ロットの他端部に回動自在に保持され前記第1連動軸と平行に配置された第2連動軸と、一端部に前記第2連動軸が挿設された同期クランクアーム部と、前記同期クランクアーム部の他端部に貫設され前記回転軸と平行に配置された同期回転軸と、前記同期回転軸を回動自在に保持する同期軸受と、を有し、前記容器部が、前記揺動機構部の前記同期ロットに着脱自在に保持される構成を有している。
この構成により、請求項13又は14の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)揺動機構部が、一端部が駆動部の回転軸に貫設されたクランクアーム部と、クランクアーム部の他端部に挿設され回転軸と平行に配置された第1連動軸と、一端部が第1連動軸に回動自在に保持された同期ロットと、同期ロットの他端部に回動自在に保持され第1連動軸と平行に配置された第2連動軸と、一端部に第2連動軸が挿設された同期クランクアーム部と、同期クランクアーム部の他端部に貫設され回転軸と平行に配置された同期回転軸と、同期回転軸を回動自在に保持する同期軸受を有し、容器部が、揺動機構部の同期ロットに着脱自在に保持されることにより、容器部を同期ロットに確実に保持した状態で、容器部の鉛直軸、すなわち重力方向に対する傾き角度を変えることなく、同一面内で確実に回転移動を行わせることができ、動作の安定性、コンパクト性に優れる。
(2)容器部が、揺動機構部の同期ロットに着脱自在に保持されるので、必要に応じて容易に容器部を交換することができ、粒状混合物の種類などに合わせて容器部の大きさや形状を選択して使い分けることや容器部の清掃、洗浄などを行うことができ、汎用性、メンテナンス性に優れる。
ここで、容器部を揺動機構部の同期ロットに着脱自在に保持する方法は、適宜、選択することができる。例えば、同期ロット及び容器部の側部に互いに着脱自在な結合金具などを取付けてもよいし、同期ロットに円弧状や環状などに形成された挟持部材や嵌合部材を取付け、容器部の胴部(外周部)や底部を挟持したり嵌合したりしてもよい。結合金具は嵌合、螺子止め、着磁などによって着脱できるものが好適に用いられる。
粒状混合物が粉砕コーヒー豆である場合、回収目的粒状物であるコーヒー粒と、雑味成分の主因となるシルバースキンや微粉などの分離対象物を、確実かつ効率的に分離することができる。
また、コーヒー豆の焙煎或いは焙煎後の時間経過によって酸化された油脂などを揺動運動による撹拌動作でシルバースキンや微粉に吸着させ、シルバースキンや微粉と一緒に分離、排出することができ、シルバースキンや微粉の混入が極めて少ない目的とするコーヒー粒を確実に得ることができる。
請求項1に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)容器部を往復運動或いは回転移動させて強い遠心力を発生させることで、容器部内で粒状混合物同士或いは粒状混合物と容器部内壁面とを衝突させ、大きな摩擦力や衝撃力等を連続的に発生させることができ、その摩擦力や衝撃力等を連続的に与え続けることによって回収目的粒状物の表面に強く付着している分離対象物なども回収目的粒状物から強い力で剥離させ易く、分離後の回収目的粒状物の中に分離対象物が混入する可能性を大幅に低減することができる分離の確実性、粒状混合物の選択自在性に優れた粒状物分離機を提供することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)使用時に開閉蓋を開けるだけで粒状混合物を投入口から容易に投入することができ、容器部を分解するなどの複雑な作業が不要で、短時間で作業を行うことができる連続作業性、取扱い性に優れた粒状物分離機を提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)分離作業後に容器部を分解したり、容器部の一部を開閉或いは着脱したりすることなく、簡単かつ確実に回収用吸引部のフィルタ(回収容器)等で回収目的粒状物を回収して、直ちに次の分離作業の準備を開始することが可能で、容器部内への異物の混入を防ぐことができる衛生的で連続作業性、作業効率性、メンテナンス性に優れた粒状物分離機を提供することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)粒状混合物の中から相対的に比重の小さい(軽い)分離対象物をより確実に分離、吸引して排出することができ、相対的に比重の大きい(重い)回収目的粒状物が分離対象物と共に排出され難い分離の確実性、効率性に優れた粒状物分離機を提供することができる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項4の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)揺動室内で揺動運動する粒状混合物のうち、分離された分離対象物或いは回収目的粒状物が、揺動室から気圧の低い分離室へ引き込まれ易く、相対的に比重の大きい(重い)回収目的粒状物が分離対象物と共に排出される可能性を低く抑えることができる高歩留まりで、分離の信頼性、確実性に優れた粒状物分離機を提供することができる。
請求項6に記載の発明によれば、請求項5の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)揺動室及び分離室の量産性、耐久性、形状安定性に優れ、衛生的な粒状物分離機を提供することができる。
請求項7に記載の発明によれば、請求項4乃至6の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)揺動室内で発生する遠心力により粒状混合物を揺動室内壁面に沿って揺動運動させることができ、吸引部の吸引によって小径部を通過する気流に乗って相対的に比重の小さい(軽い)分離対象物が分離室上側へ移動し易く、また、分離室に進入した回収目的粒状物には吸引力より重力が強く働き、速やかに揺動室へ落下して分離室の下端に溜ることがない分離の確実性、効率性に優れた粒状物分離機を提供することができる。
請求項8に記載の発明によれば、請求項4乃至7の内いずれか1項の効果に加え、以下(1)粒状混合物の内、粒径の小さな分離対象物を確実に分離、回収し、回収目的粒状物の粒度分布を所定の範囲に収めることができる回収目的粒状物の均一性に優れた粒状物分離機を提供することができる。
請求項9に記載の発明によれば、請求項8の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)揺動室内に発生する強い遠心力により粒状混合物が網目部の表面に沿って転がったり、擦られたり、揉まれたりする機会が増え、その摩擦力や衝撃力等によって回収目的粒状物の表面に強く付着している分離対象物を確実に分離して取除くと共に、回収目的粒状物の表面を研磨することができる分離後の回収目的粒状物の均質性に優れた粒状物分離機を提供することができる。
請求項10に記載の発明によれば、請求項7乃至9の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)上部吸引部からの吸引によって揺動室内へ導入される気流が渦巻状に旋回し易く、揺動室内及び分離室内の気流が安定し、揺動室内で粒状混合物が内周面に沿って揺動運動している場合に相対的に比重の小さい(軽い)分離対象物が気流によって浮き上がりやすく、粒状混合物の動きが安定し、効率的な分離を行うことができる分離の安定性、効率性に優れた粒状物分離機を提供することができる。
請求項11に記載の発明によれば、請求項7乃至10の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)微粉受室に落下した微細な分離対象物を下部吸引部で吸引して回収することにより、分離対象物が再度混入する事がなく確実に分離することができ、回収目的対象物の回収率が高く、作業の確実性、信頼性、安定性に優れた粒状物分離機を提供することができる。
請求項12に記載の発明によれば、請求項1乃至11の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)粒状混合物に上下方向にも水平方向にも力が働くことで、発生する遠心力により揺動運動を行い易く、粒状混合物同士や粒状混合物と容器部内壁面との衝突や擦りの機会を増やすと共に、粒状混合物に分離に必要かつ十分な滞空時間や浮遊時間を与えて、分離対象物の分離を促進することができる分離の効率性、作業性に優れた粒状物分離機を提供することができる。
請求項13に記載の発明によれば、請求項1乃至11の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)揺動運動する粒状混合物が浮遊している状態で吸引部による吸引力を効果的に作用させ、相対的に比重の小さい(軽い)分離対象物を容器部上方に移動させて分離を促進することができる分離の確実性、効率性、作業性に優れた粒状物分離機を提供することができる。
請求項14に記載の発明によれば、請求項4乃至11の内いずれか1項に記載の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)回転移動によって発生する強い遠心力により、容器部の長軸方向と直交するように揺動室内周面に沿って揺動運動する粒状混合物を誘導部に衝突させ、誘導部下端に開口した気体導入部の出口(吹出し口)付近に集中させることができ、気体導入部から容器部内に導入される気流によって粒状混合物の一部に必要かつ十分な滞空時間や浮遊時間を与え、分離された分離対象物或いは回収目的粒状物を分離室へ移動させ、相対的に比重の小さい(軽い)分離対象物の確実な分離を行うことができる分離の効率性、作業性に優れた粒状物分離機を提供することができる。
請求項15に記載の発明によれば、請求項13又は14の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)容器部を同期ロットに確実に保持した状態で、容器部の鉛直軸、すなわち重力方向に対する傾き角度を変えることなく、同一面内で確実に回転移動を行わせることができ、動作の安定性、コンパクト性に優れた粒状物分離機を提供することができる。
実施の形態1の粒状物分離機の構成を示す部分断面側面模式図 (a)実施の形態1の粒状物分離機の要部断面側面模式図 (b)図2(a)のA−A線矢視断面模式図 実施の形態1の粒状物分離機における揺動機構部の動作説明図 (a)実施の形態2の粒状物分離機の要部断面側面模式図 (b)図4(a)のB−B線矢視断面模式図 実施の形態3の粒状物分離機の前蓋を開けた状態を示す正面模式図 実施の形態3の粒状物分離機の要部断面側面模式図 図6のC−C線矢視断面模式図 実施の形態4の粒状物分離機の吸引機構部を示す要部断面正面模式図 累計回転回数と残留物の重量との関係を示す図 (a)分離前の粉砕コーヒー豆を示す図 (b)分離後の粉砕コーヒー豆を示す図 (a)分離前の粉砕黒豆を示す図 (b)粉砕黒豆から分離された微粉を示す 図 (a)粉砕黒豆から分離された種皮(黒皮)を示す図 (b)分離作業後の 粉砕黒豆(割り豆)を示す図
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における粒状物分離機について、以下図面を参照しながら説明する。
図1は実施の形態1の粒状物分離機の構成を示す部分断面側面模式図である。
図1中、1は回収目的粒状物と、回収目的粒状物と比重若しくは粒径が異なる分離対象物と、が混在している粒状混合物から、分離対象物を分離し回収目的粒状物を回収するための実施の形態1の粒状物分離機、1aは粒状混合物が収容される粒状物分離機1の容器部、10は容器部1aの長軸方向と平行な面上(鉛直面上)に形成される円形状の経路(軌跡)に沿って容器部1aを回転移動させて容器部1a内で粒状混合物を揺動運動させる粒状物分離機1の揺動機構部、20は基台30に立設された支持部31に固定され揺動機構部10を駆動するモータを用いた粒状物分離機1の駆動部、40は容器部1a内を吸引して分離された分離対象物を回収するための粒状物分離機1の吸引機構部である。
次に、実施の形態1の粒状物分離機1の容器部1a及び揺動機構部10の詳細について説明する。
図2(a)は実施の形態1の粒状物分離機の要部断面側面模式図であり、図2(b)は図2(a)のA−A線矢視断面模式図である。
図2中、2は揺動機構部10による垂直面内の回転移動によって内部に収容された粒状混合物を揺動させる容器部1aの揺動室、3は下に凸な球面状に形成され揺動室2に配設された半球状の網目部、3aは網目部3の上端外周に形成された鍔部、3bは鍔部3aの上面に立設固定され揺動室2の外周面に嵌合される円筒状の揺動室嵌合部、4は網目部3を挟んで揺動室2の下方に連結され網目部3を通過した粒径の小さな分離対象物を受ける容器部1aの微粉受室、5は微粉受室4に形設され微粉受室4の外周に中心側に向けて挿設された筒状案内部5aを有する粒状物分離機1の3箇所の気体導入部、6は微粉受室4の底部中央に形成され後述する吸引機構部40の下部吸引管が接続される下部吸引管接続部、7は揺動室2の上方に連設され後述する吸引機構部40の吸引器で吸引されることにより揺動室2内に浮遊した相対的に比重の小さい(軽い)分離対象物を上方に移動させて分離する容器部1aの分離室、8は揺動室2と分離室7の間に形設された容器部1aの絞り部、8aは絞り部8によって形成され揺動室2と分離室7を連通させる容器部1aの小径部(連通部)、9は分離室7の上部中央に形成され後述する吸引機構部40の上部吸引管が接続される上部吸引管接続部、11は一端部が駆動部20の回転軸21に貫設された揺動機構部10のクランクアーム部、12はクランクアーム部11の他端部に挿設され回転軸21と平行に配置された揺動機構部10の第1連動軸、13は一端部が第1連動軸12に回動自在に保持された揺動機構部10の同期ロット、14は同期ロット13の他端部に回動自在に保持され第1連動軸12と平行に配置された揺動機構部10の第2連動軸、15は一端部に第2連動軸14が挿設された揺動機構部10の同期クランクアーム部、16は同期クランクアーム部15の他端部に貫設され回転軸21と平行に配置された揺動機構部10の同期回転軸、17は支持部31に固定され同期回転軸16を回動自在に保持する揺動機構部10の同期軸受、18a,18bは同期ロット13の上下及び容器部1aの上下(分離室7及び微粉受室4)にそれぞれ配設され同期ロット13に容器部1aを保持する互いに着脱自在な結合金具である。
容器部1a(揺動室2、微粉受室4、分離室7)は、軽量で加工が容易なPE、PP、PETなどの合成樹脂で形成した。また、揺動室2及び分離室7は透明性を有するもので形成し、揺動室2内での粒状混合物の揺動状態や分離室7内での分離対象物の吸入、排出状態を目視で確認できるようにした。尚、揺動室2及び分離室7全体が透明性を有する必要はなく、内部を目視で確認できる範囲で、透明性を有する範囲、位置、透明度などを適宜、選択することができる。また、容器部1aをステンレスなどの金属、セラミックなどで形成した場合は洗浄が容易で衛生的で、メンテナンス性、耐久性の面でも優れ、ガラスなどで形成した場合は洗浄が容易で衛生的で、視認性、メンテナンス性に優れる。
揺動室2の形状は適宜、選択することができるが、上端側内壁を上に凸な円弧状に形成することで、回転移動によって発生する遠心力により、粒状混合物に大きな摩擦力や衝撃力等を連続的に与え続けることができ、揺動運動を安定的かつ連続的に行わせることができる。
網目部3は上端部に形成した鍔部3aにより補強され、粒状混合物の出し入れ、揺動室2や微粉受室4との着脱などの作業性に優れる。また、揺動室2と微粉受室4は鍔部3aが挟まれた状態で結合され、吸引に必要な気密性を保つことができる。尚、揺動室2と微粉受室4の固定方法は適宜、選択することができ、鍵フックと鍵レバーからなる留め金具(パッチン錠)などの固定具や螺子止めなどで固定してもよい。
網目部3は半球状に形成されており、粒状混合物を入れる容器、気体導入部5から導入される気体の流路、粒状混合物中の微細な分離対象物を分離する篩、粒状混合物を内周面に沿って揺動運動させる案内壁の役目を果している。
本実施の形態では、ステンレス製の網目部3を使用したが、これに限定されるものではない。特に、分離対象物や回収目的粒状物より剛性(硬度)の高い材質を用いることにより、回転移動時の遠心力により発生する大きな摩擦力や衝撃力等が効果的に作用し、回収目的粒状物に強く付着した分離対象物を剥離させることや、回収目的粒状物を研磨することができ、分離後の回収目的粒状物の均質性に優れる。
尚、網目部3の網目の大きさ、形状、配置などは、粒状混合物の種類、回収目的粒状物及び分離対象物の粒径等に応じて、適宜、選択することができる。
本実施の形態では、気体導入部5を等角度間隔で3箇所に配置したが、気体導入部5の数や配置は、適宜、選択することができる。尚、筒状案内部5aの出口(吹出し口)を網目部3の底面中心部に向けて取付けた場合、筒状案内部5aから導入される気流により揺動室2内の粒状混合物の一部を容器部1a上方に押上げ、粒状混合物に必要かつ十分な滞空時間や浮遊時間を与え易くなり、分離の効率性に優れる。また、気体導入部5は筒状案内部5aを設けず、微粉受室4の側部や底部に孔だけを設けてもよい。
尚、気体導入部5から装置内に送り込む気体の種類は、適宜、選択できるが、酸化防止など品質安定性に優れる窒素などが、好適に用いられる。また、装置内に送り込む気体の温度や湿度等の条件を一定の範囲に保つことで装置内の環境を一定の範囲に保つことができるので、外部環境(季節や天候の変化)に関わらず安定した分離環境を長時間提供し続けることができるだけでなく、揺動運動により発生する摩擦熱等の影響も(導入された)気体による冷却効果で大幅に減らすことができ、分離の確実性、品質安定性、作業性に優れる。
分離室7の形状は適宜、選択することができるが、下端側内壁を下に凸な円弧状に形成することで、内壁面に沿った揺動運動により小径部8aから分離室7に進入した回収目的粒状物を速やかに揺動室2に落下させることができる。
絞り部8は粒状混合物を揺動運動させるための案内、衝突、分散、転がり、滑り、擦り、撹拌などを行わせるほか、揺動室2と分離室7の間に小径部8aを形成して流路面積を絞ることで気体の速度を早めて、揺動室2から圧力の低くなった分離室7へ相対的に比重の小さい(軽い)分離対象物を引き込み易くしている。
尚、絞り部8の先端(小径部8aの周縁)の形状は適宜選択することができるが、鋭利にすることにより、揺動運動する粒状混合物をスムーズに上下(揺動室2と分離室7)に分け、壁面への衝突、転がり、擦りなどの挙動を、連続的に行わせることができる。
本実施の形態では、揺動室2と分離室7の連結部分に絞り部8を設けることにより、揺動室2と分離室7の間に小径部(連通部)8aを形成したが、揺動室2と分離室7を円筒状に形成し、その間に開口(連通部)を有する板材を配設したり、内周面に沿って肉厚部や突条の突起部を設けたりして小径部8aを形成してもよい。
尚、揺動室2及び分離室7の横断面の形状や面積は異なっていてもよく、それぞれの横断面積と小径部8aの開口面積との面積比は適宜、選択することができる。
結合金具18a,18bは磁力によって着脱できるものが好適に用いられるが、嵌合や螺子止めなどで着脱できるものを用いてもよい。また、結合金具18a,18bの代りに、同期ロット13に円弧状や環状などに形成された挟持部材や嵌合部材を取付け、容器部1a(微粉受室4や分離室7)の胴部(外周部)等を挟持したり嵌合したりしてもよい。
次に、実施の形態1の粒状物分離機1の揺動機構部10の動作について説明する。
図3は実施の形態1の粒状物分離機における揺動機構部の動作説明図である。
図3において、揺動機構部10は駆動部20(図1,2参照)によって駆動される。
まず、駆動部20の回転軸21の回転により、回転軸21を中心にクランクアーム部11が回転する。第1連動軸12が上死点aにある状態から駆動部20の回転軸21が回転を始めると、45度回転した時に第1連動軸12がb点へ移動する。以下順次90度でc点、180度でd点、270度でe点へと移動し、360度で1回転して(1サイクルの運動を行って)再びa点に戻り、以下これを繰り返して半径Rで回転(円運動)する。これに伴い、第1連動軸12に回動自在に保持されている同期ロット13も半径Rで円運動を行う。
一方、第2連動軸14、同期クランクアーム部15、同期回転軸16、同期軸受17は同期ロット13の姿勢を垂直に保つためのリンク機構であって、第2連動軸14及び同期クランクアーム部15はそれぞれ第1連動軸12及びクランクアーム部11と同寸法であり、同期ロット13を介して第1連動軸12及びクランクアーム部11と連動する。
同期ロット13が円運動することにより、第1連動軸12と同期して第2連動軸14もa’、b’、c’、d’、e’、a‘へと移動し、半径Rで円運動を行う。
本実施の形態では、支持部31の上方に駆動部20を配置し、下方に同期軸受17を配置したが、上下逆に取り付けてもよい。また、支持部31の下方に駆動部20を配置する場合、支持部31の上方に同期軸受17の代りに、第2連動軸14をスライド自在(揺動自在)に保持する円弧状のガイド部を設けてもよい。この時、同期ロット13の下方はクランクアーム部11による半径Rの円運動になるが、上方はガイド部に沿って移動する頚振り(スライド)運動となり、結合された容器部1aも上方(分離室7側)は頚振りスライドの動きとなる。
尚、揺動機構部10は、これらに限定されるものではなく、容器部1aを少なくとも上下方向に往復運動或いはループ状の軌跡に沿って回転移動させることができるものであればよい。例えば、アーム状(棒状)の部材の一端にモータを連結し、他端に容器部1aを取り付けた揺動機構部を用い、モータの正逆回転を繰り返して円弧状の往復運動を行わせることや、多関節のロボットアームなどを用いて円形状や楕円形状などのループ状の軌跡に沿って回転移動を行わせることもできる。
次に、実施の形態1の粒状物分離機1の吸引機構部40の詳細について説明する。
図1中、41aは一端が微粉受室4の下部吸引管接続部6に接続された可撓管などの下部吸引管を備えた吸引機構部40の下部吸引部、41bは一端が分離室7の上部吸引管接続部9に接続された可撓管などの上部吸引管を備えた吸引機構部40の上部吸引部、42は下部吸引部41a及び上部吸引部41bの他端を連結する三方弁を用いた吸引機構部40の吸引量調整部、43は吸引器45と吸引量調整部42の間に配設されたトラップ、44は吸引器45に配設され分離された分離対象物を捕捉するフィルタ(回収容器)、45は下部吸引部41aと上部吸引部41bで兼用するブロワを用いた吸引器、46は上部吸引部41bの途中に配設され吸引器45の吸引によって発生する負圧を測定する吸引機構部40の負圧計、47は負圧容量の調整を行うために吸引器45の電気回路に配設された可変抵抗器である。
吸引量調整部42に用いた三方弁の上下のポートは、弁の開度により、それぞれの開路(流路)面積が双方逆方向に得られる構造(例えば一方の開路面積が30%の時、他方の開路面積は70%)になっており、中立位置では各々同時に50%の流路面積が得られる。従って、下部吸引部41a及び上部吸引部41bの吸引力の配分は弁の開度で容易に調整できる。
尚、下部吸引部41a及び上部吸引部41bで用いる下部吸引管や上部吸引管の材質は、適宜、選択することができるが、容器部1aの移動に追従して、伸縮や湾曲などの変形ができる程度の伸縮性、可撓性、柔軟性、耐久性を有するものが好ましい。
また、本実施の形態では、下部吸引部41a及び上部吸引部41bの吸引量調整部42として、下部吸引部41aと上部吸引部41bの分岐部に三方弁を取付けたが、三方弁の代りに、下部吸引部41a及び上部吸引部41bにそれぞれ絞り弁などを取付けてもよい。尚、吸引器45の吸引力は、容器部1aの容積や粒状混合物の種類等に応じて、適宜、選択することができる。本実施の形態では、下部吸引部41aと上部吸引部41bで1つの吸引器45を共用したが、それぞれに下部吸引器と分離用吸引器を備えてもよい。
以上のように構成された実施の形態1の粒状物分離機1による粒状混合物の分離について説明する。
実施の形態1の粒状物分離機1で粒状混合物(例えば粉砕コーヒー豆)を回収目的粒状物(例えばコーヒー粒)と分離対象物(例えばシルバースキンや微粉など)に分離するには、容器部1aの網目部3内に粒状混合物を収容した状態で、揺動機構部10によって容器部1aを垂直面内で回転移動させながら、吸引機構部40の吸引器45によって容器部1a内を上下から吸引する。
吸引器45の吸引によって網目部3の下方の気体導入部5から導入される気体は、網目部3の網目を通過し、その気流により揺動室2内の粒状混合物を上方へ浮き上がらせ、分離対象物を容器部上部へと浮き上がらせるのを助けることができる。
一方、粒状混合物は容器部1aの垂直面内の回転移動に同期して、内壁面に沿って強制的に揺動運動させられ、粒状混合物は内壁面に衝突したり、擦られたり、転がったり、攪拌されたりする。この間、回収目的粒状物に絡みついたり、強く付着したりしている微小な分離対象物(例えば微粉など)は、上記作用により剥離される。
揺動室2内を揺動運動により浮遊する粒状混合物の内、網目より大きく相対的に比重の小さい(軽い)シルバースキン等の分離対象物は分離室7の上方へと浮き上がり、吸引器45の吸引力によって上部吸引部41bを通ってフィルタ44に捕捉される。
また、微小な分離対象物は網目部3の網目を通過して微粉受室4に落下し、吸引器45の吸引力によって下部吸引部41aを通ってフィルタ44に捕捉される。
分離作業が完了したら、揺動室2から回収目的粒状物を回収する。
網目部3は、吸引器45による上下両方向からの吸引力だけでなく、粒状混合物に衝突や擦りなどの作用を与えることによってセルフクリーニングが自動的に行われるため、目詰りが発生し難く、清掃作業を行わなくても連続運転することができ、メンテナンス性に優れる。
尚、容器部1aにバイブレータ等の振動体を取り付けると、網目部3に振動を与えることができ、セルフクリーニングをより効果的に行うことができる。
また、吸引量調整部42により下部吸引部41a及び上部吸引部41bの流路をそれぞれ全開することにより、強制的に、かつ容易に、管内の掃除を行うことができる。
尚、一度分離された分離対象物はフィルタ44に捕捉されると容器部1aに逆流することはないので、種類の異なる粒状混合物の分離作業を連続して行ってもコンタミなどが発生することがなく、確実に分離作業を行うことができ、分離の安定性、信頼性に優れる。
以上のように構成された実施の形態1における粒状物分離機によれば、以下の作用を有する。
(1)粒状混合物を収容する容器部と、容器部を円形状の経路(軌跡)に沿って回転移動させて容器部内で粒状混合物を揺動運動させる揺動機構部と、揺動機構部を駆動する駆動部を有することにより、容器部を円形状の経路(軌跡)に沿って回転移動させて容器部内で強い遠心力を発生させることにより、粒状混合物同士或いは粒状混合物と容器部内壁面とを衝突させたり擦らせたりさせることができ、従来の分離機(分離力≒重力)を大きく超える大きな摩擦力や衝撃力等を発生させることができる。また、その摩擦力や衝撃力等を連続的に与え続けることによって回収目的粒状物の表面に強く付着している分離対象物なども回収目的粒状物から強い力で剥離させ易く、分離後の回収目的粒状物の中に分離対象物が混入する可能性を大幅に低減することができ、分離の確実性、粒状混合物の選択自在性に優れる。
(2)容器部上部に接続され容器部内を吸引する上部吸引部を有する吸引機構部を備えているので、上部吸引部によって容器部内を吸引することにより、容器部内で揺動運動して上部側に移動した相対的に比重の小さい(軽い)分離対象物を確実に容器部の外に排出、回収することができ、一度排出された分離対象物が再度混入することはなく、分離対象物の確実な分離を行うことができ、回収の確実性に優れる。
(3)容器部下部に形設された気体導入部を有することにより、上部吸引部によって容器部内を吸引する際に、気体導入部から外部の気体を取り入れることができ、容器部内で揺動運動する粒状混合物の内、相対的に比重の小さい(軽い)分離対象物を気流によって押上げて(浮き上がらせて)容器部上方に移動させることができるので、分離対象物のみを上部吸引部で効率的に吸い出すことができ、一方、相対的に比重の大きい(重い)回収目的粒状物には吸引力より重力が強く働くため気流によって上部まで吹き上げられ難く、吸引され難いので、分離対象物の分離の効率性に優れ、確実な分離を行うことができる。
(4)揺動機構部により容器部を回転移動させて容器部内で強い遠心力を発生させることにより、粒状混合物を揺動運動させることができ、1サイクル運動する毎に粒状混合物に吸引部による吸引作用、すなわち分離作用が働くため、回転移動を繰り返すことにより、回転移動の運転回数と同数の分離作業が同一空間内で連続的に行われるので、従来の装置に比べ圧倒的に省スペースかつ短時間で選別の機会が多くとれ、分離性能が高く、相対的に装置を小型化、軽量化することができ、省スペース性、取扱い性、効率性、汎用性、高機能性に優れる。
(5)容器部の回転移動の回数は運転時間に比例させることもできるので、運転時間によって分離の精度を略均一に管理することができ、分離度合いの調節が容易にできるようになり、分離性能が任意に選択でき、分離の均一性、安定性、取扱い性、汎用性に優れる。
(6)容器部の回転移動のサイクル数(運動回数)及び速度を任意にコントロールできるので、分離の程度を任意に調整することができ、粒状混合物の種類や状態或いは要求される分離の程度に応じて、最適な運転時間や速度を任意に選択して確実かつ必要な分離を行うことができ、粒状混合物の選択の幅が広く、汎用性、分離の確実性に優れる。
(7)粒状混合物が容器部内に収容された状態で回収目的粒状物と分離対象物に分離され、分離された分離対象物は上部吸引部により吸引されるので、周囲に回収目的粒状物や分離対象物が飛び散らず、1度分離した分離対象物が回収目的粒状物内に再度混入することもなく、それぞれを簡単かつ確実に分別回収することができ、清掃作業を行わなくても連続運転が可能なので作業効率が高く、メンテナンス性、作業性、取扱い性、汎用性に優れる。
(8)容器部が、揺動機構部による回転移動によって発生する強い遠心力により粒状混合物を揺動運動させる揺動室と、揺動室上方に連設され上部吸引部で吸引されることにより揺動室内に浮遊した分離対象物を上方に移動させて分離する分離室を有するので、粒状混合物の中から相対的に比重の小さい(軽い)分離対象物をより確実に分離、吸引して排出することができ、相対的に比重の大きい(重い)回収目的粒状物が分離対象物と共に排出され難く、分離の確実性、効率性に優れる。
(9)容器部が、揺動室と分離室の間に形成された揺動室と分離室との連結部分である小径部(連通部)を有することにより、小径部(連通部)を通過する気流の速度を早め、揺動室内で揺動運動する粒状混合物のうち、小径部(連通部)を横切るように移動している分離された分離対象物或いは回収目的粒状物が、揺動室から気圧の低い分離室へ引き込まれ易くなるが、相対的に比重の小さい(軽い)分離対象物には重力より吸引力が強く働き、上部吸引部の吸引力によってさらに分離室上方へと移動し、分離、排出され、相対的に比重の大きい(重い)回収目的粒状物には吸引力より重力が強く働き、分離室下方へ移動するため、相対的に比重の大きい(重い)回収目的粒状物が分離対象物と共に排出される可能性を低く抑えることができ、高歩留まりで、分離の信頼性、確実性に優れる。
(10)容器部の小径部が、揺動室と分離室の間に形設された絞り部によって形成されることにより、別途部材を用いることなく、揺動室及び分離室と一体的に小径部を簡単に形成することができ、量産性、耐久性、形状安定性、汎用性に優れ、かつ回収目的粒状物および分離対象物が容器内部に残留し難い構造で、衛生的にも優れる。
(11)揺動室の上端側内壁が上に凸な円弧状に形成されることにより、揺動室内で揺動する粒状混合物が回転移動によって発生する遠心力により揺動室内壁面に沿って揺動運動を行い、揺動室と分離室との連結部分である小径部(連通部)を横切るように移動するため、吸引部の吸引によって小径部を通過する気流に乗って相対的に比重の小さい(軽い)分離対象物が分離室へ移動し易く、分離の効率性に優れる。
(12)上端側内壁が上に凸な円弧状に形成された揺動室内で、回転移動によって発生する遠心力により粒状混合物が揺動室内壁面に沿って揺動運動を行うことにより、粒状混合物と揺動室内壁面との接触面積が増加し、粒状混合物が衝突したり、転がったり、擦られたり、揉まれたりする機会が増えるので、その衝撃力や摩擦力などによって回収目的粒状物の表面に強く付着している分離対象物もほぼ完全に分離して取除くことができ、分離の確実性に優れる。
(13)分離室内に分離された分離対象物或いは回収目的粒状物が進入した際に、相対的に比重の小さい(軽い)分離対象物には重力より吸引力が強く働くため、吸引部の吸引力によってさらに分離室上方へと移動し、分離、排出され、相対的に比重の大きい(重い)回収目的粒状物には吸引力より重力が強く働くため、分離室下方へ移動するが、分離室の下端側内壁が下に凸な円弧状に形成されることにより、回収目的粒状物が分離室の下端に溜ることなく、速やかに揺動室へ落下するため、分離、排出された分離対象物が再度混入することはなく、装置が1サイクル運動する毎に確実に分離が進行し、分離の効率性に優れる。
(14)揺動室及び分離室のそれぞれの少なくとも一部が、外部から揺動室内及び分離室内の粒状混合物の挙動を視認できる透明性を有するようにした場合、揺動室内での粒状混合物の揺動運動状態及び分離室内での分離対象物の吸引、排出状態を目視で簡単に確認することができるので、分離の進行状況に合わせて吸引力、揺動時間、揺動速度などの運転条件を調整することができ、最適な分離を任意に選択して必要かつ十分な分離を行うことが可能で、分離の作業性、効率性、安定性に優れる。
(15)容器部が、揺動室に配設された網目部と、網目部を挟んで揺動室下方に形設され網目部を通過した粒径の小さな分離対象物を受ける微粉受室を有することにより、粒状混合物の内、粒径の小さな分離対象物を確実に分離、回収することができるので、回収目的粒状物の粒度分布を所定の範囲に収めることができ、回収目的粒状物の均一性に優れる。
(16)網目部を通過した粒径の小さな分離対象物を受ける微粉受室を有することと、下部吸引部の吸引により分離された分離対象物が吸引されることにより、粒径の小さな分離対象物が周囲に飛散することがなく、分離対象物を確実に回収することができ、清掃作業を行わなくても連続運転が可能なので作業効率が良く、作業性、メンテナンス性、取扱い性に優れる。
(17)上部吸引部及び下部吸引部の吸引力が作用するだけでなく、回転移動によって発生する遠心力により、粒状混合物が網目部の表面に衝突したり、転がったり、擦られたりすることにより、網目部の網目が自動的にセルフクリーニングされ、目詰りが発生し難く、分離性能の安定性、作業性、メンテナンス性、取扱い性に優れる。
(18)網目部が下に凸な球面状に形成されることにより、容器部の回転移動で発生する強い遠心力によって粒状混合物が網目部の表面に沿って転がったり、擦られたり、揉まれたりするので、その摩擦力や衝撃力等によって回収目的粒状物の表面に強く付着している分離対象物を確実に分離して取除くと共に、回収目的粒状物の表面を研磨して、分離後の回収目的粒状物の均質性を向上させることができる。
(19)気体導入部が、微粉受室に形設され、微粉受室内に突出した筒状案内部を有することにより、上部吸引部の吸引によって揺動室内へ導入される気流が渦巻状に旋回し易く、揺動室内及び分離室内の気流が安定するため、揺動室内で粒状混合物が内周面に沿って揺動運動している場合に相対的に比重の小さい(軽い)分離対象物が気流によって浮き上がりやすくなり、粒状混合物の動きが安定し、効率的な分離を行うことができ、分離の安定性、効率性に優れる。
(20)吸引機構部が、微粉受室に接続された下部吸引部を有することにより、微粉受室に落下した微細な分離対象物を下部吸引部で吸引して回収することができるので、分離対象物が再度混入する事がなく確実に分離することができ、回収目的対象物の回収率が高く、作業の確実性、信頼性、安定性に優れる。
(21)吸引機構部が、上部吸引部又は下部吸引部からの吸引量を調整する吸引量調整部を有することにより、上下の吸引量の配分を容易に調整することができるので、粒状混合物の種類、回収目的粒状物と分離対象物との混合割合や比重の違いなどに応じて、最適な吸引条件を任意に選択することができ、分離の効率性、作業性、汎用性に優れる。
(22)揺動機構部による容器部の回転移動のループ状の経路(軌跡)が、容器部の長軸方向と平行な面上に形成されることで、揺動運動する粒状混合物が浮遊している状態で吸引部による吸引力を効果的に作用させ、相対的に比重の小さい(軽い)分離対象物を上方に移動させて分離を促進することができ、特に揺動室上方に分離室が連設されている場合に、粒状混合物の運動経路の主流が揺動室と分離室を連通させる連通部(小径部)を通過するように揺動運動させて、分離の効率をさらに向上させることができる。
(23)揺動機構部が、一端部が駆動部の回転軸に貫設されたクランクアーム部と、クランクアーム部の他端部に挿設され回転軸と平行に配置された第1連動軸と、一端部が第1連動軸に回動自在に保持された同期ロットと、同期ロットの他端部に回動自在に保持され第1連動軸と平行に配置された第2連動軸と、一端部に第2連動軸が挿設された同期クランクアーム部と、同期クランクアーム部の他端部に貫設され回転軸と平行に配置された同期回転軸と、同期回転軸を回動自在に保持する同期軸受を有し、容器部が、揺動機構部の同期ロットに着脱自在に保持されることにより、容器部を同期ロットに確実に保持した状態で、容器部の鉛直軸、すなわち重力方向に対する傾き角度を変えることなく、同一面内で確実に回転移動を行わせることができ、動作の安定性、コンパクト性に優れる。
(24)容器部が、揺動機構部の同期ロットに着脱自在に保持されるので、必要に応じて容易に容器部を交換することができ、粒状混合物の種類などに合わせて容器部の大きさや形状を選択して使い分けることや容器部の清掃、洗浄などを行うことができ、汎用性、メンテナンス性に優れる。
(25)粒状混合物が粉砕コーヒー豆であることにより、回収目的粒状物であるコーヒー粒と、雑味成分の主因となるシルバースキンや微粉などの分離対象物を確実かつ効率的に分離することができる。
(26)コーヒー豆の焙煎或いは焙煎後の時間経過によって酸化された油脂などを揺動運動による撹拌動作でシルバースキンや微粉に吸着させ、シルバースキンや微粉と一緒に分離、排出することができ、シルバースキンや微粉の混入が極めて少ない目的とするコーヒー粒を確実に得ることができる。
(実施の形態2)
図4は(a)実施の形態2の粒状物分離機の要部断面側面模式図であり、図4(b)は図4(a)のB−B線矢視断面模式図である。尚、図4中、実施の形態1と同様のものは同一の符号を付し説明を省略する。
図4において、実施の形態2における粒状物分離機1Aが、実施の形態1と特に異なる点は、容器部1aの回転移動の円形状の経路が、容器部1aの長軸方向と直交する面上(水平面上)に形成されるように、揺動機構部10Aが水平方向に配置されている点と、容器部1aが、揺動室2内で揺動運動する粒状混合物を衝突させる板状の誘導部2aを有し、気体導入部5の筒状案内部5aの出口が、誘導部2a下端近傍に開口している点である。
誘導部2aの下端が気体導入部5の筒状案内部5aの出口近傍に位置するように板状の誘導部2aを傾斜させて配置することにより、誘導部2aの表面(誘導面)に衝突した粒状混合物を誘導部2aの表面に沿うように誘導し、筒状案内部5aの出口近傍に集まるように移動させることができる。
また、図4(a)中、6aは下部吸引管接続部6の先端に螺着されることにより容器部1aと同期ロット13を固定する容器部固定具、13aは同期ロット13の長手方向中央部に穿設され下部吸引管接続部6の先端部が挿通される挿通孔、22は結合金具18a,18bを介して揺動機構部10Aの同期ロット13と平行に固定され微粉受室4の底部を支持する固定板、22aは固定板22の長手方向中央部に穿設され微粉受室4の下部吸引管接続部6が貫設される貫通孔、23は網目部3に接続されたアース線である。
尚、図4(a)においては、下部吸引部41a及び上部吸引部41bに接続される吸引量調整部42,トラップ43,フィルタ44,吸引器45,負圧計46,可変抵抗器47を省略したが、実施の形態1と同様のものが用いられる。
図4(a)に示したように、微粉受室4の底部中央に形成された下部吸引管接続部6が、同期ロット13の挿通孔13a及び固定板22の貫通孔22aに挿通され、下部吸引管接続部6の先端部に容器部固定具6aが螺着されている。これにより、微粉受室4の底部と容器部固定具6aで固定板22と同期ロット13を挟むようにして、下部吸引管接続部6の上下二箇所を固定することができるので、容器部1aを確実に保持して回転移動時の触れ回りを防止することができ、容器部1aの固定安定性に優れる。
尚、容器部1aの固定方法はこれに限定されるものではなく、適宜、選択することができる。容器部1aと固定板22を確実に固定するために、必要に応じて、固定板22の上面に微粉受室4の底部周縁を支持する支持部材を設けてもよい。
また、必要に応じて、図4に示したように、網目部3にアース線23を接続して静電気を逃がすことにより、粒状混合物(例えば粉砕コーヒー豆)中に含まれる微小な分離対象物(例えば微粉など)が網目部3の線材表面に付着し難くして、網目の目詰まりを低減することができる。
実施の形態2の粒状物分離機1Aの揺動機構部10Aは、容器部1aの回転移動の円形状の経路(軌跡)が、容器部1aの長軸方向と直交する面上に形成されるだけで、その動作は実施の形態1の粒状物分離機1の揺動機構部10と同様である。
以上のように構成された実施の形態2の粒状物分離機1Aは、容器部1aの回転移動の円形状の経路(軌跡)が、容器部1aの長軸方向と直交する面上に形成されているので、粒状混合物は容器部1aの水平面内の回転移動に同期して、網目部3内周面に沿うように揺動運動する。この揺動運動の途中で、粒状混合物が誘導部2aに衝突することにより、誘導部2a表面に沿って移動し、誘導部2a下端に開口した気体導入部5の出口(吹出し口)付近に集中する。そして、気体導入部5から容器部1a内に導入される気体によって、分離された分離対象物或いは回収目的粒状物を吹き上げて分離室7へ移動させ、相対的に比重の小さい(軽い)分離対象物の確実な分離を行うことができる。
誘導部2aの形状、配置及び誘導部2aと気体導入部5との位置関係は、適宜、選択することができる。本実施の形態では、誘導部2aの表面(誘導面)に沿って粒状混合物を誘導部2a下端に開口した気体導入部5の出口(吹出し口)付近に移動するように誘導したが、誘導部2aの表面(誘導面)に沿って粒状混合物を誘導部2a上端に開口した気体導入部5の出口(吹出し口)付近に移動するように誘導してもよい。揺動運動に加え、誘導部2aと気体導入部5を組合せることにより、気体導入部5の吹出し口付近に集まった粒状混合物を強い気流で一気に空間中に吹き上げることができ、粒状混合物の一部に必要かつ十分な滞空時間や浮遊時間を与えることができる。
また、その他の動作は、実施の形態1と同様なので、説明を省略する。
尚、本実施の形態では、揺動機構部10Aを水平方向に配置し、容器部1aの長軸方向と直交する面上(水平面上)に容器部1aの回転移動の円形状の経路(軌跡)を形成したが、揺動機構部10A(水平方向)に対して、容器部1aの長軸方向を傾斜させてもよい。その場合、粒状混合物の揺動運動の方向に応じて、誘導部2aを湾曲させたり、傾斜させたりすることにより、粒状混合物をスムーズに誘導部2aの表面に沿って移動させることができる。
以上のように実施の形態2の粒状物分離機は構成されているので、実施の形態1の(1)乃至(8),(10),(12)乃至(21),(23)乃至(26)の作用と同様の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)揺動機構部による容器部の回転移動の円形状の経路(軌跡)が、容器部の長軸方向と直交する面上に形成され、容器部が、揺動室内で揺動運動する粒状混合物を衝突させる誘導部を有し、気体導入部の出口が、誘導部下端に開口しているので、回転移動によって発生する強い遠心力により、容器部の長軸方向と直交するように揺動室内周面に沿って揺動運動する粒状混合物を誘導部に衝突させ、誘導部下端に開口した気体導入部の出口(吹出し口)付近に集中させることができ、気体導入部から容器部内に導入される気流によって粒状混合物の一部に必要かつ十分な滞空時間や浮遊時間を与え、分離された分離対象物或いは回収目的粒状物を分離室へ移動させ、相対的に比重の小さい(軽い)分離対象物の確実な分離を行うことができ、分離の効率性、作業性に優れる。
(実施の形態3)
図5は実施の形態3の粒状物分離機の前蓋を開けた状態を示す正面模式図であり、図6は実施の形態3の粒状物分離機の要部断面側面模式図であり、図7は図6のC−C線矢視断面模式図である。尚、図5乃至図7中、実施の形態1又は2と同様のものは同一の符号を付し説明を省略する。
図5乃至図7において、実施の形態3における粒状物分離機1Bが、実施の形態1と特に異なる点は、容器部1bが揺動室2,微粉受室4,分離室7が一体化された中空の直方体状に形成され前面に開閉自在に配設された前蓋1cを有する点と、網目部3が略円筒状に形成され円筒部の中心軸が水平方向と平行になるように配置され網目部3の分離室7側にスリット状(長方形状)の開口部3cが形成されている点(図5及び図6)と、筒状案内部5bが略円錐状に形成され網目部3の長手方向のほぼ全長に渡って形成された気体吹出し口5cを有する点(図5及び図6)と、絞り部8が下に凸な円弧状(略半円筒状)に形成され中央部に網目部3の開口部3cの位置に合わせてスリット状(長方形状)の連通部8aが形成されている点である。
また、図5中、1dは容器部1bの前蓋1cを回動自在に保持する蝶番、1eは前蓋1cの上下2箇所に穿設され前蓋1cを容器部1bに固定するための固定螺子が挿通される固定螺子挿通孔、1fは前蓋1cの固定螺子挿通孔1eの位置に合わせて容器部1bに形設され固定螺子挿通孔1eから挿通される固定螺子と螺合する雌螺子部である。
尚、図5及び図6においては、揺動機構部10,下部吸引部41a,上部吸引部41b,吸引量調整部42,トラップ43,フィルタ44,吸引器45,負圧計46,可変抵抗器47を省略したが、実施の形態1と同様のものが用いられる。
以上のように構成された実施の形態3の粒状物分離機1Bの動作は、基本的には実施の形態1と同様であるが、網目部3が略円筒状に形成され円筒部の中心軸が水平方向と平行になるように配置されていることにより、容器部1bの回転移動に伴って容器部1b内で揺動運動する粒状混合物を網目部3の表面に沿うようにスムーズに移動させて、網目部3のほぼ全周を有効に利用して、効率的に摩擦力や衝撃力等を作用させることができ、分離の効率性に優れる。
本実施の形態では、絞り部8を円弧状に形成したが、傾斜面を粒状混合物の安息角と同等以上の傾斜角度に形成することにより、分離室7内に進入した粒状混合物を傾斜面に沿ってスムーズに移動させて揺動室2内に落下させることができ、分離の確実性、効率性に優れる。
以上のように実施の形態3の粒状物分離機は構成されているので、実施の形態1と同様の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)容器部の揺動室,微粉受室,分離室が一体に形成され、開閉自在な前蓋を有するので、前蓋を開けるだけで、粒状混合物の投入や内部のメンテナンス等を行うことができ、衛生的で、取扱い性、メンテナンス性に優れる。
(2)容器部が直方体状に形成されているので、省スペース性、収納性、設置自在性に優れる。
(3)容器部の回転移動のループ状の経路が形成される面に対し、略円筒状に形成した網目部を円筒部の中心軸が直交するように配置することにより、網目部のほぼ全周を有効に利用することができ、分離の効率性に優れる。
(実施の形態4)
図8は実施の形態4の粒状物分離機の吸引機構部を示す要部断面正面模式図である。尚、図8中、実施の形態1乃至3と同様のものは同一の符号を付し説明を省略する。
図8において、実施の形態4における粒状物分離機1Cが、実施の形態1乃至3と異なる点は、容器部1a(1b)が、分離室7の上端部に上部吸引管接続部9と連通して形設された投入口7aと、投入口7aに開閉自在に覆設される開閉蓋7bを有する点と、吸引機構部40aが、上部吸引部41bに加え、容器部1aの分離室7に接続され分離後の回収目的粒状物を吸引して回収する回収用吸引部41cを有する点と、上部吸引部41b及び回収用吸引部41cに配設された逆流防止弁48を有する点である。
尚、図8中、7cは投入口7aに開閉蓋7bを回動自在に保持する蝶番、7dは開閉蓋7bに配設されたパッキンである。
投入口7aの形状や配置は適宜、選択することができるが、本実施の形態のように、投入口7aを容器部1a(1b)の上端部に配置した場合、投入口7aから投入する粒状混合物を速やかに容器部1a(1b)の下方に落下させることができ、投入作業性や連続作業性に優れる。
本実施の形態では、開閉蓋7bを蝶番7cにより回動させて投入口7aを開閉するようにしたが、螺子止めや嵌合などにより脱着して投入口7aを開閉するようにしてもよい。
尚、本実施の形態のように、開閉蓋7bがパッキン7dを有することにより、投入口7aの密閉性に優れ、上部吸引部41bや回収用吸引部41cで容器部1a(1b)内を確実に吸引することができる。
上部吸引部41b及び回収用吸引部41cは、実施の形態1と同様に、可撓管などを用いた上部吸引管及び回収用吸引管を介してそれぞれブロワなどを用いた分離用吸引器及び回収用吸引器に接続される。上部吸引部41bの分離用吸引器と回収用吸引部41cの回収用吸引器が独立し、それぞれに逆流防止弁48が配設されていることにより、分離対象物と回収目的粒状物を混合させることなく別々に回収することができ、それぞれの用途に用いることができる。また、分離作業後に回収用吸引部41cで吸引するだけで、容器部1a(1b)を分解したり、容器部1a(1b)の一部を開閉或いは着脱したりすることなく、簡単かつ確実に回収用吸引部のフィルタ(回収容器)等で回収目的粒状物を回収して、直ちに次の分離作業の準備を開始することができ、連続作業性、作業効率性に優れる。
特に、本実施の形態の投入口7a及び吸引機構部40aを実施の形態3の容器部1bに組合せた場合、前蓋1cを閉じたまま粒状混合物の投入及び回収目的粒状物の回収を連続的に行うことができ、連続作業性に優れると共に、メンテナンス時のみ前蓋1cを開いて容器部1b内部の洗浄やメンテナンスを行うことができ、衛生的で、メンテナンス性に優れる。
以上のように実施の形態4の粒状物分離機は構成されているので、実施の形態1と同様の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)容器部に形設された投入口と、投入口に開閉自在に覆設される開閉蓋を有するので、使用時に開閉蓋を開けるだけで粒状混合物を投入口から容易に投入することができ、容器部を分解するなどの複雑な作業が不要で、短時間で作業を行うことができ、連続作業性、取扱い性に優れる。
(2)吸引機構部が、容器部に接続され分離後の回収目的粒状物を吸引して回収する回収用吸引部を有するので、分離作業後に容器部を分解したり、容器部の一部を開閉或いは着脱したりすることなく、簡単かつ確実に回収用吸引部のフィルタ(回収容器)等で回収目的粒状物を回収して、直ちに次の分離作業の準備を開始することができ、連続作業性、作業効率性に優れると共に、容器部内への異物の混入を防ぐことができ、衛生的で信頼性に優れる。
(3)吸引機構部が、上部吸引部及び回収用吸引部に配設された逆流防止弁を有するので、分離作業中に上部吸引部で容器部内を吸引した際に、回収用吸引部に吸引された回収目的粒状物が回収用吸引部を逆流して上部吸引部に吸引されたり、分離作業後に回収用吸引部で容器部内を吸引した際に、上部吸引部に吸引された分離対象物が上部吸引部を逆流して回収用吸引部に吸引されたりして、分離対象物と回収目的粒状物が混合することがなく、分離対象物と回収目的粒状物を確実に分離して回収することができ、高歩留まりで、分離の信頼性、高品質性に優れる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施の形態1の粒状物分離機1を用い、粒状混合物として、回収目的粒状物であるコーヒー粒と、分離対象物であるシルバースキンや微粉が混在している粉砕コーヒー豆の分離を行った。
容器部1a及び網目部3の直径を80mmとし、網目部3のメッシュサイズは40メッシュとした。また、揺動室2の容積は250〜300mL程度、微粉受室4の容積は100mL程度、分離室7の容積は700〜800mL程度とした。尚、揺動機構部10の駆動部20によって回転するクランクアーム部11の回転半径(図3参照)は20mmとした。これにより、一般家庭で2〜3人分のコーヒーをいれるのに必要な粉砕コーヒー豆40g程度を一度に分離することができる。
容器部1aの網目部3内に粉砕コーヒー豆30.4gを収容した状態で、揺動機構部10によって容器部1aを垂直面内で回転移動させながら、吸引機構部40の吸引器45によって容器部1a内を上下から吸引した。
尚、このときの揺動機構部10による容器部1aの1分間当たりの回転数は約250回転とし、100回転毎に累計1000回転まで、網目部3内に残留している残留物の重量を測定した。
図9は累計回転回数と残留物の重量との関係を示す図である。尚、図9中、横軸は累計の回転回数(回)であり、縦軸は残留物の重量(g)である。
図9から明らかなように、累計回転回数が300回転を超えると、残留物の重量変化がほとんど見られず、300回転までには、ほぼ分離対象物であるシルバースキンや微粉などの分離が完了しているものと思われる。
また、図10(a)は分離前の粉砕コーヒー豆を示す図であり、図10(b)は分離後の粉砕コーヒー豆を示す図である。
図10(a)から明らかなように、分離前の粉砕コーヒー豆には、多くのシルバースキン(白丸で囲んだ白色の物質)や微粉が混在し、粒状混合物全体が不均一な状態になっている。これに対し、分離後は、図10(b)から明らかなように、シルバースキンや微粉が見られず、回収目的粒状物であるコーヒー粒のみが残っており、粒もほぼ均一に揃っている。
このようにしてシルバースキンや微粉が分離されたコーヒー粒でいれたコーヒーは、苦み、渋み、えぐ味が大幅に減少し、すっきりした優しい味でコーヒーが苦手な人でも飲み易かった。
以上のことから、本発明の粒状物分離機によれば、回収目的粒状物であるコーヒー粒と、雑味成分の主因となるシルバースキンや微粉などの分離対象物を、短時間で確実かつ効率的に分離できることがわかった。
(実施例2−1)
実施の形態1の粒状物分離機1を用い、粒状混合物として、割り豆と黒皮と微粉が混在している粉砕黒豆の分離作業を行った。
図11(a)は分離前の粉砕黒豆を示す図であり、図11(b)は粉砕黒豆から分離された微粉を示す図であり、図12(a)は粉砕黒豆から分離された種皮(黒皮)を示す図であり、図12(b)は分離作業後の粉砕黒豆(割り豆)を示す図である。尚、図11及び図12の各写真は同等の倍率で撮影した。
薫製黒豆(煎り豆)を粉砕した図11(a)の粉砕黒豆40.1gを容器部1aの網目部3内に収容した状態で、揺動機構部10によって容器部1aを垂直面内で回転移動させながら、吸引機構部40の吸引器45によって容器部1a内を下部からのみ吸引した。
尚、このときの揺動機構部10による容器部1aの1分間当たりの回転数は約250回転とし、100回転後に網目部3内に残留している残留物の重量を測定したところ、34.8gであった。
このとき、フィルタ44内の回収物は、図11(b)に示したように、黒豆の胚部と黒皮の微粉が混在した状態で、通称「黒豆きな粉」として販売されているものに近い状態であった。つまり、上部からの吸引を行わず、下部からのみ吸引することにより、網目部3の網目を通過する微粉を確実に分離、回収することができた。
以上のことから、本発明の粒状物分離機によれば、粒状混合物を粒径の違いにより短時間でかつ確実に分離できることがわかった。
(実施例2−2)
実施例2−1で分離された残留物を実施例2−1と同様に容器部1aの網目部3内に収容した状態で、揺動機構部10によって容器部1aを垂直面内で回転移動させた。但し、吸引機構部40の吸引器45による容器部1a内の吸引は容器部1aの上部からのみ行った。
尚、このときの揺動機構部10による容器部1aの1分間当たりの回転数は、実施例2−1と同様の約250回転とし、600回転後に網目部3内に残留している残留物の重量を測定したところ、29.5gであった。
このとき、フィルタ44内の回収物を観察したところ、図12(a)に示したように、多少の微粉が混在していたが、黒皮が分離、回収されていた。また、網目部3内の残留物を観察したところ、図12(b)に示したように、割り豆に多少の黒皮が残存していたが、ほとんどの黒皮が分離されていた。つまり、下部からの吸引を行わず、上部からのみ吸引することにより、容器部1a内で空中に浮き上がった黒皮を分離、回収することができた。
以上のことから、本発明の粒状物分離機によれば、粒状混合物を形状の違いによる空気抵抗差と比重差により分離できることがわかった。
実施例2−1及び実施例2−2の結果から、本発明の粒状物分離機によれば、粉砕黒豆(粒状混合物)を割り豆、黒皮、微粉に分離し、各々を容易に回収できることがわかった。
黒豆(別名黒大豆)は大豆の一品種であり、胚の栄養成分は通常の大豆とさほど違いがないが、種皮(黒皮)にはポリフェノールの一種であるアントシアニンが多く含まれている。この黒豆を原材料とする煮豆、黒豆茶、黒豆煮汁、黒豆酢大豆などは、一般の大豆製品よりも付加価値が高く、健康食品としても注目されている。特に、黒豆茶の場合、種皮(黒皮)からのアントシアニンの抽出、摂取が主目的であるが、種皮と胚が強く結合している箇所が多く、種皮のみを簡単に分離することができないため、種皮が付いたままの(丸大豆の状態の)煎り黒豆から黒豆茶を抽出している場合が多い。このため、抽出後でも栄養分がまだ多く残っている胚の部分も、「出がらし」と見なされ廃棄されることが多かった。
しかし、本発明の粒状物分離機によれば、上述のように、種皮(黒皮)と胚(割り豆)を容易に分離することができるので、性質の異なる種皮(黒皮)と胚(割り豆)を各々の目的に応じて使い分けることができ、用途や製品の幅を拡げて、無駄を無くすことができるものと思われる。
本発明は、簡素な構造で故障が発生し難く、清掃やメンテナンスを頻繁に行わなくても連続使用することができ、メンテナンス性が良く、装置を小型化することができるので、工場だけでなく、家庭や小規模店舗などでも簡単に操作することができ、比重若しくは粒径が異なる回収目的粒状物と分離対象物が混在している粒状混合物から、分離対象物を確実に分離して回収目的粒状物を確実に回収することができ、取扱い性、耐久性、動作の安定性に優れ、回収目的粒状物に分離対象物が強く付着している場合でも、摩擦力や衝撃力等を連続的に与え続けることによって分離対象物を短時間で確実に分離することができ、高歩留まりで、分離の効率性に優れ、粒状混合物の選択の幅が広い粒状物分離機の提供を行うことができ、特に、粉砕コーヒー豆からシルバースキンや微粉を安定して確実に分離することができるほか、別種の豆類、穀類等の粉砕物から実と皮とを高精度に分離する用途等に広範に適用することができる。
1,1A,1B,1C 粒状物分離機
1a,1b 容器部
1c 前蓋
1d 蝶番
1e 固定螺子挿通孔
1f 雌螺子部
2 揺動室
2a 誘導部
3 網目部
3a 鍔部
3b 揺動室嵌合部
3c 開口部
4 微粉受室
5 気体導入部
5a,5b 筒状案内部
5c 気体吹出し口
6 下部吸引管接続部
6a 容器部固定具
7 分離室
7a 投入口
7b 開閉蓋
7c 蝶番
7d パッキン
8 絞り部
8a 小径部
9 上部吸引管接続部
10,10A 揺動機構部
11 クランクアーム部
12 第1連動軸
13 同期ロット
13a 挿通孔
14 第2連動軸
15 同期クランクアーム部
16 同期回転軸
17 同期軸受
18a,18b 結合金具
20 駆動部
21 回転軸
22 固定板
22a 貫通孔
23 アース線
30 基台
31 支持部
40,40a 吸引機構部
41a 下部吸引部
41b 上部吸引部
41c 回収用吸引部
42 吸引量調整部
43 トラップ
44 フィルタ
45 吸引器
46 負圧計
47 可変抵抗器
48 逆流防止弁

Claims (15)

  1. 回収目的粒状物と、前記回収目的粒状物と比重若しくは粒径が異なる分離対象物と、が混在している粒状混合物から、前記分離対象物を分離し前記回収目的粒状物を回収する粒状物分離機であって、
    前記粒状混合物を収容する容器部と、前記容器部を少なくとも上下方向に往復運動させ或いは前記容器部をループ状の経路に沿って回転移動させて前記容器部内で前記粒状混合物を揺動運動させる揺動機構部と、前記揺動機構部を駆動する駆動部と、前記容器部上部に接続され前記容器部内を吸引する上部吸引部を有する吸引機構部と、前記容器部下部に形設された気体導入部と、を備えたことを特徴とする粒状物分離機。
  2. 前記容器部に形設された投入口と、前記投入口に開閉自在に覆設される開閉蓋と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の粒状物分離機。
  3. 前記吸引機構部が、前記容器部に接続され分離後の前記回収目的粒状物を吸引して回収する回収用吸引部と、前記上部吸引部及び前記回収用吸引部に配設された逆流防止弁と、を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の粒状物分離機。
  4. 前記容器部が、前記揺動機構部による往復運動或いは回転移動によって前記粒状混合物を揺動運動させる揺動室と、前記揺動室上方に連設され前記上部吸引部で吸引されることにより前記揺動室内に浮遊した前記分離対象物を上方に移動させて分離する分離室と、を備えたことを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の粒状物分離機。
  5. 前記容器部が、前記揺動室と前記分離室の間に形成された小径部を備えたことを特徴とする請求項4に記載の粒状物分離機。
  6. 前記容器部の前記小径部が、前記揺動室と前記分離室の間に形設された絞り部によって形成されたことを特徴とする請求項5に記載の粒状物分離機。
  7. 前記揺動室の上端側内壁が上に凸な円弧状に形成され、前記分離室の下端側内壁が下に凸な円弧状に形成されたことを特徴とする請求項4乃至6の内いずれか1項に記載の粒状物分離機。
  8. 前記容器部が、前記揺動室に配設された網目部と、前記網目部を挟んで前記揺動室下方に形設され前記網目部を通過した粒径の小さな前記分離対象物を受ける微粉受室と、を備えたことを特徴とする請求項4乃至7の内いずれか1項に記載の粒状物分離機。
  9. 前記網目部が下に凸な球面状又は円錐台状に形成されたことを特徴とする請求項8に記載の粒状物分離機。
  10. 前記気体導入部が、前記微粉受室に形設され、前記微粉受室内に突出した筒状案内部を備えたことを特徴とする請求項7乃至9の内いずれか1項に記載の粒状物分離機。
  11. 前記吸引機構部が、前記微粉受室に接続された下部吸引部を備えたことを特徴とする請求項7乃至10の内いずれか1項に記載の粒状物分離機。
  12. 前記揺動機構部による前記容器部の往復運動の経路の一部が円弧状であることを特徴とする請求項1乃至11の内いずれか1項に記載の粒状物分離機。
  13. 前記揺動機構部による前記容器部の回転移動のループ状の経路が、前記容器部の長軸方向と平行な面上に形成されることを特徴とする請求項1乃至11の内いずれか1項に記載の粒状物分離機。
  14. 前記揺動機構部による前記容器部の回転移動のループ状の経路が、前記容器部の長軸方向と直交する面上に形成され、前記容器部が、前記揺動室内で揺動運動する前記粒状混合物を衝突させる誘導部を有し、前記気体導入部の出口が、前記誘導部下端に開口したことを特徴とする請求項4乃至11の内いずれか1項に記載の粒状物分離機。
  15. 前記揺動機構部が、一端部が前記駆動部の回転軸に貫設されたクランクアーム部と、前記クランクアーム部の他端部に挿設され前記回転軸と平行に配置された第1連動軸と、一端部が前記第1連動軸に回動自在に保持された同期ロットと、前記同期ロットの他端部に回動自在に保持され前記第1連動軸と平行に配置された第2連動軸と、一端部に前記第2連動軸が挿設された同期クランクアーム部と、前記同期クランクアーム部の他端部に貫設され前記回転軸と平行に配置された同期回転軸と、前記同期回転軸を回動自在に保持する同期軸受と、を有し、前記容器部が、前記揺動機構部の前記同期ロットに着脱自在に保持されることを特徴とする請求項13又は14に記載の粒状物分離機。
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