JP2014079234A - ホイップ用クリームの製造方法及びホイップ用クリームへの耐酸性の付与方法 - Google Patents

ホイップ用クリームの製造方法及びホイップ用クリームへの耐酸性の付与方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014079234A
JP2014079234A JP2013070523A JP2013070523A JP2014079234A JP 2014079234 A JP2014079234 A JP 2014079234A JP 2013070523 A JP2013070523 A JP 2013070523A JP 2013070523 A JP2013070523 A JP 2013070523A JP 2014079234 A JP2014079234 A JP 2014079234A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
degradation product
cream
protein degradation
whipping
milk
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013070523A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5877564B2 (ja
Inventor
Keiichi Ihara
啓一 井原
So Nakata
創 中田
Tetsuya Akitsu
哲也 秋津
Hiroshi Ochi
浩 越智
Masaki Kurimoto
昌樹 栗本
Manami Kurisu
まなみ 栗栖
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Morinaga Milk Industry Co Ltd
Original Assignee
Morinaga Milk Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Morinaga Milk Industry Co Ltd filed Critical Morinaga Milk Industry Co Ltd
Priority to JP2013070523A priority Critical patent/JP5877564B2/ja
Publication of JP2014079234A publication Critical patent/JP2014079234A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5877564B2 publication Critical patent/JP5877564B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】 耐酸性が付与されたホイップ用クリームの提供。
【解決手段】 ホイップ用クリーム原料に乳蛋白質分解物(A)を添加し、かつ以下の(a)〜(d)を満たすことを特徴とするホイップ用クリームの製造方法:
(a)乳蛋白質分解物(A)の非蛋白態窒素比率が5〜45%であること、
(b)乳蛋白質分解物(A)をホイップ用クリーム原料に0.2質量%以上添加すること、
(c)ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める乳蛋白質分解物(A)の割合が14%以上に調整すること、
(d)乳蛋白質分解物(A)が、中性プロテアーゼ及び/又はアルカリ性プロテアーゼによる分解物であること。
前記乳蛋白質分解物(A)が、ホエイ蛋白質分解物、カゼイン分解物、牛乳の蛋白質分解物、脱脂乳の蛋白質分解物から選択される1種又は2種以上のものであるのが好適である。耐酸性が付与されたホイップ用クリームを提供でき、当該クリームの安全性も高い。
【選択図】なし

Description

本発明は、ホイップ用クリームの製造方法及びこれにより製造されたホイップ用クリーム、並びにホイップ用クリームへの耐酸性の付与方法に関する。
クリームは様々な用途に用いられるが、例えば、生クリームやコンパウンドクリーム等のホイップ用クリームを固く泡立てたホイップドクリームは、例えば、ケーキ等の菓子や果肉の飾り付けに使用されていたり、ウィンナ・コーヒー等の飲料に浮かべたりしている。このときに、ホイップドクリームのホイップの状態がよいと食感も良好である。
しかしながら、ホイップ用クリームに酸味を添加して泡立ててもホイップ不能な状態があったり、固く泡立てたホイップドクリームに果汁・果肉等の酸味のある食品が配合されていたり接触していると、ホイップドクリームのホイップ状態が良好でなくなる。
これは従来のホイップドクリームの耐酸性に問題があるためであり、耐酸性が付与されたホイップ用クリームが望まれている。
例えば、特許文献1には、耐熱性を有するコーヒー用クリームが開示されている。このコーヒー用クリームは、コーヒー用クリーム原料に、乳化剤として、カゼインをペプシンで限定分解して得られるペプチドを0.5〜2重量%配合したものを、乳化、均質化した後、レトルト処理に付して得られたことが開示されている。
特開昭63−68041号公報
しかしながら、後記比較例1に示すように、上記特許文献1に記載の製法で得られたクリームではpH4に調整するとクリームが凝固し、ホイップ不能な状態となることが確認された。
そこで、本発明は、耐酸性が付与されたホイップ用クリームを提供しようとするものである。
そして、本発明者らは、斯かる事情に鑑み、鋭意検討を行った結果、乳蛋白質分解物を用いることによって、耐酸性が付与されたホイップ用クリームを提供することが可能であることを見出し、本発明を完成させた。しかも、ホイップ用クリームに耐酸性を付与する物質は乳蛋白質由来であるため、本開示のホイップ用クリームは安全性が高いという利点がある。
すなわち、本発明は、ホイップ用クリーム原料に乳蛋白質分解物(A)を添加し、かつ以下の(a)〜(d)を満たすことを特徴とするホイップ用クリームの製造方法:(a)乳蛋白質分解物(A)の非蛋白態窒素比率が5〜45%であること;(b)乳蛋白質分解物(A)をホイップ用クリーム原料に0.2質量%以上添加すること;(c)ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める乳蛋白質分解物(A)の割合が14%以上に調整すること;(d)前記乳蛋白質分解物(A)が、中性プロテアーゼ及び/又はアルカリ性プロテアーゼによる分解物であることを提供するものである。
前記乳蛋白質分解物が、ホエイ蛋白質分解物、カゼイン分解物、牛乳の蛋白質分解物、脱脂乳の蛋白質分解物から選択される1種又は2種以上のものであってもよい。
さらに、ホイップ用クリームの蛋白質含量が1質量%以上になるように調整してもよい。
また、本発明は、前記方法にて得られたホイップ用クリームを提供するものである。
また、本発明は、中性プロテアーゼ及び/又はアルカリ性プロテアーゼで分解し、非蛋白態窒素比率が5〜45%の範囲にある乳蛋白質分解物(A)をホイップ用クリームに0.2質量%以上添加して、ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める乳蛋白質分解物(A)の割合が14%以上となるように調整するホイップ用クリームへの耐酸性の付与方法を提供するものである。
また、本発明は、ホイップ用クリーム原料、乳蛋白質分解物(A)及び酸性食品とを混合し、かつ以下の(a)〜(d)を満たすことを特徴とする、酸性食品入りホイップドクリームの製造方法:(a)乳蛋白質分解物(A)の非蛋白態窒素比率が5〜45%であること;(b)乳蛋白質分解物(A)をホイップ用クリーム原料に0.2質量%以上添加すること;(c)ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める乳蛋白質分解物(A)の割合が14%以上に調整すること;(d)乳蛋白質分解物(A)が、中性プロテアーゼ及び/又はアルカリ性プロテアーゼによる分解物であること、を提供するものである。
共立てにて製造される酸性食品入りホイップドクリームの製造方法としてもよい。
本開示は、耐酸性が付与されたホイップ用クリームを提供することが可能である。そして、当該ホイップ用クリームをホイップして、耐酸性に優れたホイップドクリームを得ることが可能である。
試験例1(ホエイ蛋白質分解物試験)におけるコントロール(生クリーム)、WPC80及び各非蛋白態窒素比率のホエイ蛋白質分解物の配合した各ホイップ用クリームのホイップドクリーム比重を示す。図中の「9、15、25、38及び45」は、使用したホエイ蛋白質分解物の非蛋白態窒素比率(%)を示し、ホエイ蛋白質分解物の非蛋白態窒素比率56%は凝集したため図示していない。 試験例1(ホエイ蛋白質分解物試験)におけるコントロール(生クリーム)、WPC80及び各非蛋白態窒素比率のホエイ蛋白質分解物の配合した各ホイップ用クリームの冷蔵前後での針入度差(D0)を示す。図中の「9、15、25、38及び45」は、使用したホエイ蛋白質分解物の非蛋白態窒素比率(%)を示し、ホエイ蛋白質分解物の非蛋白態窒素比率56%は凝集したため図示していない。 試験例2(ホエイ蛋白質分解物試験)におけるコントロール(生クリーム)、WPC80を配合したホイップ用クリーム、及び非蛋白態窒素比率45%のホエイ蛋白質分解物をホイップ用クリーム原料に添加し、ホイップ用クリーム中0.4質量%、0.8質量%、1.2質量%に調整した各ホイップ用クリームのホイップドクリーム比重を示す。図中の「分解物比率17%、25%、46%」は、ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占めるホエイ蛋白質分解物の配合比率を示したものである。 試験例2(ホエイ蛋白質分解物試験)におけるコントロール(生クリーム)、WPC80を配合したホイップ用クリーム、及び非蛋白態窒素比率45%のホエイ蛋白質分解物を配合した各ホイップ用クリームの冷蔵前後での針入度差(D1−D0)を示す。図中の「分解物比率17%、25%、46%」は、ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占めるホエイ蛋白質分解物の配合比率を示したものである。 試験例3(ホエイ蛋白質分解物試験)におけるWPC80を配合したホイップ用クリーム、及び各非蛋白態窒素比率25%を配合した各ホイップ用クリームのホイップドクリーム比重を示す。 分子量マーカー(レーン1)、ホエイ蛋白質濃縮物(未分解)(レーン2)、ホエイ蛋白質分解物(非タンパク態窒素比率20%)(レーン3)、ホエイ蛋白質分解物(非タンパク態窒素比率25%)(レーン4)のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動分析を示したものである。 試験例4(カゼイン分解物試験)における、非蛋白態窒素比率が5、14.7、25%の各カゼイン分解物を配合した各ホイップ用クリームに10%クエン酸水溶液を添加してpH4.6に調整した時のクリーム粘度(mPa・s)を示す。棒グラフ上方にある数値は、クリーム粘度相対値(カゼイン分解物配合量が0%のときの粘度を100%とした場合)を示す。 試験例4(カゼイン分解物試験)における、非蛋白態窒素比率が5、14.7、25%の各カゼイン分解物を配合し、10%クエン酸水溶液の添加によりpH4.6に調整してホイップした際のホイップドクリーム比重を示す。 試験例5(カゼイン分解物試験)におけるコントロール(カゼイン分解物を配合しなかった生クリーム)、カゼイン分解物を配合した各ホイップ用クリームのpH4.6でのホイップドクリームの粘度測定を示す。図中の◇の近傍にある数値は、pH4.6でのクリーム粘度相対値(カゼイン分解物配合量が0%のときの粘度を100%とした場合)を示す。 試験例5(カゼイン分解物試験)における、カゼイン分解物を配合したホイップ用クリームに10%クエン酸水溶液を添加してpH4に調整し、ホイップした直後の比重を示す。
本開示のホイップ用クリームの製造方法は、ホイップ用クリーム原料に乳蛋白質分解物(A)を添加し、かつ以下の(a)〜(d)を満たすことを特徴とするとするものである。
また、本開示のホイップ用クリームへの耐酸性の付与方法は、本開示の乳蛋白質分解物(A)を用いて、かつ以下の(a)〜(d)を満たすことで、ホイップ用クリームに耐酸性を付与するものである。
(a)乳蛋白質分解物(A)の非蛋白態窒素比率が5〜45%であること、
(b)乳蛋白質分解物(A)をホイップ用クリーム原料に0.2質量%以上添加すること、
(c)ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める乳蛋白質分解物(A)の割合が14%以上に調整すること、
(d)乳蛋白質分解物(A)が、中性プロテアーゼ及び/又はアルカリ性プロテアーゼによる分解物であること。
本開示のホイップ用クリームの製造方法は、ホイップ用クリーム原料に乳蛋白質分解物(A)を添加する。
本開示のホイップ用クリームの製造方法において、ホイップ用クリーム原料として、「クリーム」を使用する。
本開示の原料として使用する「クリーム」は、「乳クリーム」、「植物性油脂」、「乳クリーム及び植物性油脂」を含むものを意味する。
本開示の「クリーム」の油脂成分は、例えば、乳脂肪分及び植物性油脂等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
一般的に「乳クリーム」は、生乳、牛乳を分離して取り出した乳脂肪分を原料とするものであり、「乳等省令(乳及び乳製品の成分規格等に関する省令:日本厚生労働省の食品衛生法に基づく省令)」では、「生乳、牛乳又は特別牛乳から乳脂肪分以外の成分を除去し、乳脂肪分が18.0%以上にしたもの」と定義されており、一般的に「生クリーム」とも呼ばれている。この「乳等省令」定義の「クリーム」を、以下、「コンパウンドクリーム」と区別するため「生クリーム」ともいう。
前記乳脂肪分は、無脂乳固形分を除いた固形分のことをいう。
「植物性油脂」は、冷蔵時(5℃)の固形脂含量が50〜70%程度であり、ホイップドクリームは体温域で口溶けが得られるように35〜40℃前後の融点を有するものが望ましい。
前記植物性油脂として、例えば、菜種油、大豆油、パーム油、パーム核油、コーン油、綿実油、米油、ヤシ油等植物系;その植物系オレイン酸;及びその植物系硬化油等が挙げられる。このうち、パームオレイン及び菜種硬化油の混合油や、パーム硬化油、パーム核硬化油が好ましい。また、これらを単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
原料クリームとして使用する植物性油脂は、ホイップクリームとして市販されているものを使用してもよく、これらを単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
本開示の原料クリームの脂肪率は、好ましくは30%以上、より好ましくは35%以上であることが好適である。
通常、脂肪率30〜48%のクリームを原料として使用し、ホイップ用クリームの製造の際に必要に応じて脱脂乳や水等の液体にて脂肪率を調整することも可能である。最終的に得られるホイップ用クリームの脂肪率が、好ましくは30%以上、より好ましくは35%以上とすることによって、ホイップした際に良好な食感及び風味を有することが可能となる。
本開示に使用する生クリームの脂肪率は、好ましくは18〜50%、より好ましくは40〜50%となるように調整することが好適である。
本開示のホイップ用クリーム中の生クリームの配合比率は特に限定されず、目的のホイップ用クリームに応じて適宜設定することができる。例えば、60〜75質量%に設定することも可能である。
本開示のホイップ用クリーム中の植物性油脂の配合比率は特に限定されず、目的のホイップ用クリームに応じて適宜設定することができる。例えば、10〜50質量%に設定することも可能である。
また、本開示の製造方法で得られるホイップ用クリーム中の脂肪率は、好ましくは18〜50%、より好ましくは35〜50%となるように調整するのが、ホイップドクリームの食感及び風味が良好であるので、好適である。
<クリーム中の脂肪率(総脂肪量)の測定方法>
本開示におけるクリーム中の総脂肪量の測定方法は、レーゼゴットリーブ法(食品衛生検査指針 理化学編 2005 p.48−49:厚生労働省監修)にて行い、以下に具体的な測定方法を示す。なお、「脂肪率」とは「脂肪分」又は「脂肪含量」と同義である。
詳細には、試料クリーム1gをビーカーに採取し、温水約10mlを用いてビーカー内を洗いながら、抽出管に移す。その抽出管にアンモニア水2mLとフェノールフタレイン試薬を1滴加え、栓をし、良く混合する。その後、エタノール10mLを用いて、試料を採取したビーカーを洗いながら抽出管に加え、栓をして良く混ぜ合わせる。次に、エーテル25mL加え栓をして30秒間激しく振り混ぜる。最後に石油エーテルを25mL加え、栓をして、30秒間激しく振り混ぜる。上層が透明になるまで静置した後、あらかじめ恒量したディッシュにエーテル層をこぼさないようにデカンテーションして、有機溶媒を回収する。このディッシュを100℃〜105℃の蒸気乾燥機中で1時間置き、有機溶媒を蒸発させる。このディッシュの重量を測ることで抽出脂肪量が測定できる。
これらの測定値からクリーム脂肪率を以下の式にて算出する。
クリーム脂肪率(%) = (抽出脂肪量 / 使用試料量)×100
また、本開示のホイップ用クリームは、ホイップ用クリーム原料として、上述した「クリーム」以外に任意成分を適宜使用してもよく、また水等の液体を加えることも可能である。
一般的に、乳脂肪分及び/又は植物性油脂に、乳化剤、安定化剤、塩類等から選ばれる1種又は2種以上の任意成分を配合して得られるものを「コンパウンドクリーム」という。例えば、コンパウンドクリームは、生クリームに、他の成分(例えば、バター、植物性油脂、上述の任意成分等)を適宜配合し製造することも可能である。
前記任意成分として、例えば、乳化剤、安定化剤、塩類、糖類、本開示のホエイ蛋白質分解物以外の蛋白質等が挙げられ、これらを1種又は2種以上使用することができる。
前記乳化剤として、飽和脂肪酸からなるショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
前記安定化剤として、例えば、キサンタンガム、カラギーナン等のガム類;カゼイン、大豆蛋白、ゼラチン等の蛋白質;澱粉、加工澱粉、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース等の多糖体等が挙げられる。
前記塩類として、モノリン酸塩及び縮合リン酸塩等のリン酸塩等が挙げられる。
本開示のホイップ用クリーム中に、甘み付与のために糖類を配合してもよく、その配合比率は、0.05〜10質量%が好適である。糖類としては、例えば、乳糖、果糖、ブドウ糖、砂糖等が挙げられる。
本開示のホイップ用クリームの製造方法は、「乳蛋白質分解物(A)の非蛋白態窒素比率が5〜45%の範囲であること」を特徴とするものである。
前記乳蛋白質分解物が、ホエイ蛋白質分解物、カゼイン分解物、牛乳の蛋白質分解物、脱脂乳の蛋白質分解物から選択される1種又は2種以上のものであるのが好適である。
また、ホエイ蛋白質分解物及びカゼイン分解物を含む乳蛋白質分解物は、ホエイ蛋白質及びカゼインが含まれる出発原料を蛋白質分解酵素で処理した分解物でもよく、またホエイ蛋白質を蛋白質分解酵素で処理した分解物とカゼインを蛋白質分解酵素で処理した分解物との混合物でもよい。
牛乳及び脱脂乳には一般的にホエイ蛋白質及びカゼインが約2:8の割合で含まれていることから、牛乳の蛋白質分解物及び脱脂乳の蛋白質分解物でも耐酸性が付与されたホイップ用クリームを提供することが可能である。
前記乳蛋白質分解物(A)が、中性プロテアーゼ及び/又はアルカリ性プロテアーゼによる分解物であるのが好適である。
また、乳蛋白質分解物がホエイ蛋白質分解物(A1)を含むものである場合には、非蛋白態窒素比率は、好ましくは15〜45%、より好ましくは20〜45%、さらに好ましくは20〜40%である。
ホエイ蛋白質分解物(A1)を含む乳蛋白質分解物は、ホエイ蛋白質分解物をカゼイン分解物よりも多く含むものであるのが好適である。さらに、この当該乳蛋白質のホエイ蛋白質:カゼインの含有割合(質量比)は、5〜10:5未満〜0であるのが好ましい。
ホエイ蛋白質分解物(A1)を含む乳蛋白質分解物を使用する際、乳蛋白質分解物中のホエイ蛋白質分解物の含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。
また、乳蛋白質分解物がカゼイン分解物(A2)を含むものである場合には、非蛋白態窒素比率は、好ましくは5〜25%、より好ましくは10〜20%であり、さらに好ましくは10〜15%である。
カゼイン分解物(A2)を含む乳蛋白質分解物は、カゼイン分解物をホエイ蛋白質分解物よりも多く含むものであるのが好適である。さらにこの当該乳蛋白質のホエイ蛋白:カゼイン分解物の含有割合(質量比)は、5未満〜0:5〜10であるのが好ましい。
カゼイン分解物(A2)を含む乳蛋白質分解物を使用する際、乳蛋白質分解物中のカゼイン分解物の含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。
また、この当該乳蛋白質のホエイ蛋白:カゼイン分解物の含有割合(質量比)は、3〜1:7〜9であるのが、牛乳の蛋白質分解物又は脱脂乳の蛋白質分解物中のホエイ蛋白質分解物とカゼイン分解物との含有割合に近い点で、好ましく、このとき、ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める乳蛋白質分解物の割合は18%以上に調整するのが好ましい。
<非蛋白態窒素比率の算出方法>
ケルダール法日本食品工業学会編、「食品分析法」、第102ページ、株式会社光琳、昭和59年)により試料の全窒素量を測定した。また、ラッパポート(Rappaport)−梅田変法(臨床検査、第9巻、第534乃至537頁、1965年)に基づく測定キット(商品名:NPN−テストワコー;和光純薬工業社製)を使用し、該測定キットの説明書に従って試料の非蛋白態窒素量を測定し、得られた値に6.38を乗じて非蛋白態窒素化合物量を算出した。これらの測定値から非蛋白態窒素比率(%)を次式により算出する。
非蛋白態窒素比率(%) = (非蛋白態窒素化合物量 / 全窒素量)×100
本開示に用いる乳蛋白質分解物(A)は、出発原料である乳蛋白質を蛋白質分解酵素により、上述のような特定の範囲の非蛋白態窒素比率になるように調製されたものである。
前記出発原料として使用可能な乳蛋白質は、特に限定されず、乳由来のものであれば好適である。当該乳蛋白質として、例えば、ホエイ蛋白質、カゼイン、牛乳、脱脂乳等から選ばれる1種又は2種以上のものが挙げられる。
乳蛋白質は、牛乳及び/又は脱脂乳と、ホエイ蛋白質及び/又はカゼインとを組み合わせて使用してもよい。また、これら例示によって、乳蛋白質のホエイ蛋白質及びカゼインの含有割合を、適宜調整することができる。
後記〔実施例〕に示すように、ホエイ蛋白質;カゼイン;カゼイン及びホエイ蛋白質混合物を含む各乳蛋白質の分解物を使用することで、ホイップ用クリームに耐酸性を付与させることができる。このことから、少なくともカゼイン又はホエイ蛋白質を含む出発原料を使用することが好ましく、ホエイ蛋白質及びカゼインの両方が含まれるような、牛乳や脱脂乳等を出発原料として使用することも可能である。
前記出発原料として使用する乳蛋白質は、特に限定されず、市販品であってもよい。本開示に使用する出発原料として少なくともホエイ蛋白質又はカゼインを使用すればよい。
一般的に、牛乳又は脱脂乳は、約3%の蛋白質が含まれており、ホエイ蛋白質:カゼインの含有割合は、約2:8であることが知られているので、牛乳や脱脂粉乳を使用してもよい。また、分解する際の出発原料の乳蛋白質濃度は、2%以上含まれていることが望ましい。
前記出発原料として使用するホエイ蛋白質として、例えば、市販品の各種ホエイ蛋白質を使用することが望ましい。例えば、通常のホエイ蛋白質、ホエイ蛋白質濃縮物(WPC)、ホエイ蛋白質分離物(WPI)等又はこれらの任意の混合物が挙げられる。また、牛乳、脱脂乳、全脂粉乳、脱脂粉乳からホエイ蛋白質を常法により分離精製することが可能である。
一般的に「WPC」は蛋白質含有量が25〜80質量%としたものであり(山内、横山編集,「ミルク総合辞典」第3版,朝倉書店,2004年,第356−357頁)、本開示において蛋白質含有量が80%超を「WPI」、蛋白質含有量が25質量%未満は「通常ホエイ」という。
本開示のホエイ蛋白質溶液の原料ホエイ蛋白質として、通常ホエイ、WPC及びWPIから選ばれる1種又は2種以上のものを使用することが可能である。
前記出発原料として使用するカゼインとして、例えば、市販品の各種カゼイン、例えば、酸カゼイン(例えば、乳酸カゼイン、塩酸カゼイン等)、カゼイネイト(例えば、ナトリウムカゼイネイト、カリウムカゼイネイト、カルシウムカゼイネイト等)等又はこれらの任意の混合物が挙げられる。また、牛乳、脱脂乳、全脂粉乳、脱脂粉乳からカゼインを常法により分離精製することが可能である。
ここで、特許3272511号公報(特許文献2)には、耐酸、耐熱性を有する生クリームの乳化物が開示されている。この生クリーム乳化物は、精製ホエイタンパク質(全タンパク質中に示すβ−ラクトグロブリン含有率が95%のホエイタンパク質分解物)を0.1〜2%配合し、均質化して得られたことが開示されている。なお、特許文献2のβ−ラクトグロブリン含有割合のホエイタンパク質処理物とは、β−ラクトグロブリン含量が70〜95質量%のものを指すものである。
そして、特許文献2のように、β−ラクトグロブリン含有割合が高いと、原料の殺菌、失活など熱処理を加える際にゲル化しやすく、製造効率が低下するので、望ましくない。
また、後記比較例2に示すように、植物性油脂を使用したクリームに特許文献2の製造方法にて得られた精製ホエイタンパク質を配合しても、うまく乳化せず、ホイップ用クリームを得ることができなかった。
そのため、ホエイ蛋白質中のβ−ラクトグロブリンの割合は、好ましくは70質量%未満、より好ましくは40〜60質量%の範囲とすることが望ましい。
なお、一般的に、特許文献2の精製ホエイ蛋白質のようにβ−ラクトグロブリン含量が70〜95質量%程度に高めるためにはβ−ラクトグロブリンを精製するための工程が必要となるので、特許文献2でいうβ−ラクトグロブリンと乳蛋白質とは容易に区別できるものである。ちなみに、市販されているWPC蛋白質中のβ−ラクトグロブリン含量は、50質量%程度である。
そして、前記蛋白質分解酵素で分解する際に、出発原料を乳蛋白質の溶液(以下、「原料乳蛋白質溶液」という)とするのが好適である。前記原料乳蛋白質溶液は、水又は温湯に分散し、溶解することで得ることが可能である。また、前記原料乳蛋白質溶液は、出発原料が粉末状及び液状タイプを使用する場合には、それぞれを混合し、適宜水又は温湯を添加したり、加温したりして、溶解することで得ることも可能である。
前記原料乳蛋白質溶液中の乳蛋白質の濃度は特に限定されないが、通常、蛋白質換算で2%以上、5〜15%の濃度範囲にすることが効率性及び操作性の点から好適である。
さらに、前記原料乳蛋白質溶液は、ナトリウム型又はカリウム型陽イオン交換樹脂(好適には強酸性陽イオン交換樹脂)を用いたイオン交換法、電気透析法、限界濾過膜法、ルーズ逆浸透膜法等で脱塩し、適宜pH調整やカルシウム濃度調整を行うのが好適である。脱塩の際には、カラム式やバッチ式のいずれを採用してもよい。
また、脱塩前に、原料乳蛋白質溶液が雑菌汚染による変敗防止の点から、加熱殺菌を行なってもよい。
出発原料がホエイ蛋白質を少なくとも含む乳蛋白質の場合、原料ホエイ蛋白質溶液は脱塩後、溶液中の蛋白質100gに対するカルシウム濃度を350mg以下に調整することが好適である。さらに、前記原料ホエイ蛋白質溶液中の蛋白質100gに対するカルシウム濃度を、好ましくは250mg以下、より好ましくは100mg以下にすることが加熱による沈殿を防止し易いので、好適である。
前記蛋白質分解酵素は、例えば、植物由来、動物由来、微生物由来等が挙げられ、1種類又は複数種類組み合わせて使用できる。
プロテアーゼの代表的な種類として、セリンプロテイナーゼ、システインプロテイナーゼ、金属プロテイナーゼ、アスパラギン酸プロテイナーゼがある。そして、一般的には、トリプシン等のセリンプロテアーゼは、アルカリ性プロテアーゼとされ、パパイン等のシステインプロテアーゼは中性プロテアーゼとされ、ペプシン等のアスパラギン酸プロテアーゼは、酸性プロテアーゼとされている。
本開示の分解酵素としては、後記〔実施例〕に示すように、前記蛋白質分解酵素は、中性プロテアーゼ及び/又はアルカリ性プロテアーゼを用いることが好適である。
蛋白質分解酵素は、例えば、セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ(チオールプロテアーゼともいう)等が挙げられる。このうち、ホエイ蛋白質を含む出発原料の場合には、好ましくは植物由来の蛋白質分解酵素である。
前記セリンプロテアーゼとして、例えば、トリプシンやパンクレアチン(すい臓由来酵素、トリプシン、キモトリプシン、リパーゼなどを含む)等が挙げられる。
前記システインプロテアーゼとして、例えば、パパイア由来酵素(例えばパパイン、キモパパイン等)、パイナップル由来酵素(例えば、ブロメライン等)が挙げられる。
また、蛋白質分解酵素として、例えば、カリクレイン(Kallikrein:セリンプロテアーゼ)、フィシン(Ficin:システインプロテアーゼ)、パパイン(Papain:システインプロテアーゼ)、キモパパイン(Chimopapain:システインプロテアーゼ)、ブロメライン(Bromelain:システインプロテアーゼ)、パパインW−40(システインプロテアーゼ)及びブロメラインF(システインプロテアーゼ)等が挙げられる。
当該蛋白質分解酵素は、シグマ社や天野エンザイム社より市販されている蛋白質分解酵素を使用してもよい。例えば、アルカリ性プロテアーゼとして、プロレザーFG−F、プロチンSD−AY10、プロチンSD−AC10;中性プロテアーゼとして、ウマミザイムG、プロテアーゼA「アマノ」SD、プロテアーゼM「アマノ」SD、パパインW−40、ブロメラインF、プロテアーゼP「アマノ」3SD、プロチンSD−NY10、プロチンSD−PC10;酸性プロテアーゼとして、プロテアーゼM「アマノ」SD、ニューラーゼF;耐熱性中性プロテアーゼとして、プロザイム、プロザイム6、サモアーゼPC10F;ペプチダーゼとして、ペプチダーゼR、ウマミザイムG等が挙げられる。
なお、前記蛋白質分解酵素は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
前記酵素による加水分解は、上述した特定の非蛋白態窒素比率の範囲になるように行う。これにより、本開示で用いる乳蛋白質分解物を得ることができる。このとき、出発原料中のホエイ蛋白質及びカゼインの含有割合に応じて酵素による加水分解条件を適宜設定すればよい。
酵素による加水分解前に前記原料乳蛋白質溶液のpHを、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム等の食品上使用可能な塩類で使用酵素の至適pHに調整することもできる。前記原料乳蛋白質溶液のpHは、好ましくは5〜9、より好ましくは6〜8に調整する。
前記酵素の反応温度は、使用酵素の最適温度の範囲で行うことが望ましく、好ましくは30〜60℃、より好ましくは40〜60℃で行う。
また、前記酵素の反応保持時間は、前記特定の非蛋白態窒素比率になるように適宜調整すればよく、例えば0.5〜24時間で行うことが可能であり、好ましくは1〜15時間、より好ましくは3〜10時間である。
前記酵素による加水分解は、加熱して酵素を失活させて終了させればよい。例えば、100℃以上(好適には110〜130℃)で失活させる場合には1〜3秒間、100℃未満60℃以上で失活させる場合には3〜7分間で行うことが好適である。
加水分解終了後、必要に応じて分解液のpHを、好ましくは6〜8、より好ましくは7.0±0.5、さらに好ましくは7.0±0.3とするのが好適である。
なお、カルシウム濃度未調製の溶液を前記酵素にて加水分解した場合には、得られた分解液を、前記のような脱塩処理し、カルシウム濃度を調整してもよい。次いで、常法により加熱して酵素を失活させる。反応加熱温度と反応保持時間は使用した酵素の熱安定性を配慮し、十分に失活できる条件を適宜設定することができる。加熱失活後、常法により冷却し、そのまま利用することもでき、必要に応じて濃縮して濃縮液を得ることもでき、更に濃縮液を乾燥し、粉末製品を得ることも可能である。
本開示に用いる乳蛋白質分解物(A)は、ホイップ用クリームに耐酸性付与作用を有するため、得られるホイップ用クリームの耐酸性付与を目的として使用することが可能であり、当該乳蛋白質分解物を含有させて有効成分とするホイップ用クリームへの耐酸性付与剤として使用することが可能である。
また、本開示の乳蛋白質分解物はそのままホイップ用クリームの耐酸性付与剤として又は当該乳蛋白質分解物を有効成分とするホイップ用クリームの耐酸性付与剤を、ホイップ用クリームを製造する際に耐酸性を付与するために使用することができる。
また、本開示の乳蛋白質分解物はホイップ用クリームの耐酸性付与剤を製造するために使用することができる。
本開示の乳蛋白質分解物(A)は、ホエイ蛋白質分解物、カゼイン分解物、牛乳の蛋白質分解物、脱脂乳の蛋白質分解物等の単独で又はこれら分解物を2種以上組み合わせて、ホイップ用クリームに使用することができる。これらを組み合わせて使用する場合、これらを予め混合物として、ホイップ用クリーム原料に添加して使用してもよいし、これらを同時又は別々にホイップ用クリーム原料に添加して使用してもよい。また、これら分解物を組み合わせることで、本開示の乳蛋白質分解物(A)中のホエイ蛋白質分解物:カゼイン分解物の含有割合を調整してもよい。
また、本開示のホイップ用クリームの耐酸性付与剤は、本開示の乳蛋白質分解物以外に任意成分を必要に応じて含有させてもよい。当該任意成分としては、特に限定されないが、pH調整剤、乳成分、卵成分、食物繊維、増粘多糖類、乳化剤、油脂、加工でん粉等の添加剤を含有させてもよい。
本開示のホイップ用クリームの製造方法は、「乳蛋白質分解物(A)をホイップ用クリーム原料に0.2質量%以上添加すること」を特徴とするものである。
ホイップ用クリームに添加する際の乳蛋白質分解物の状態は特に限定されず、粉末状及び液状等の何れの状態であってもよいが、本開示でいう乳蛋白質分解物の添加量とは、乳蛋白質分解物(A)そのものの添加量である。
本開示のホエイ蛋白質分解物(A1)を含む乳蛋白質分解物をホイップ用クリーム原料に添加する量は、本開示のホイップ用クリーム中、好ましくは0.4質量%以上、より好ましくは0.4〜5質量%、より好ましくは0.5〜3質量%である。
原料クリームが乳クリームの場合には、本開示のホエイ蛋白質分解物の添加量は0.4〜0.96質量%程度が好適である。
また、原料クリームが植物性油脂の場合には、本開示のホエイ蛋白質分解物の添加量は0.4〜1.76質量%程度が好適である。
本開示のカゼイン分解物(A2)を含む乳蛋白質分解物をホイップ用クリーム原料に添加する量は、本開示のホイップ用クリーム中、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.4〜2質量%、より好ましくは0.6〜1.5質量%である。
原料クリームが乳クリームの場合には、本開示のカゼイン蛋白質分解物の添加量は0.7〜0.96質量%程度が好適である。
また、原料クリームが植物性油脂の場合には、本開示のカゼイン蛋白質分解物の添加量は0.5〜1.5質量%程度が好適である。
本開示のホイップ用クリームの製造方法は、「ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める乳蛋白質分解物(A)の割合が14%以上に調整すること」を特徴とするものである。
本開示の乳蛋白質分解物は、ホイップ用クリーム原料に配合され、このホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める本開示の乳蛋白質分解物の割合が、14%以上に調整するのが好適である。
本開示の本開示のホエイ蛋白質分解物(A1)を含む乳蛋白質分解物を使用する際、ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める乳蛋白質分解物(A)の割合が、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上であり、より好ましくは45%以上に調整するのが好適である。
本開示の本開示のカゼイン分解物(A2)を含む乳蛋白質分解物を使用する際、ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める乳蛋白質分解物(A)の割合が、好ましくは14%以上、より好ましくは28%以上であり、より好ましくは42%以上に調整するのが好適である。
なお、植物性油脂を原料クリームとして用いる場合には、ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める本開示の乳蛋白質分解物の割合が100%となる場合がある。
ここで、後記〔実施例〕に示すように、非蛋白窒素態比率が5〜45%の範囲にした乳蛋白質分解物(A)を使用することで、ホイップ用クリームに優れた耐酸性を付与することができる。本開示において、乳蛋白質を分解する際には、上述の如く非蛋白態窒素比率を特定の数値範囲内になるように調整することが重要である。
さらに、前記乳蛋白質分解物(A)を、ホイップ用クリーム原料に0.2質量%以上添加することで、ホイップ用クリームに優れた耐酸性を付与することができる。本開示において、また、本開示の乳蛋白質分解物を、上述の如くホイップ用クリーム原料に特定量添加することが重要である。
さらに、ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める、前記乳蛋白質分解物(A)の割合が14%以上になるように調整することで、ホイップ用クリームに優れた耐酸性を付与することができる。本開示において、ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める本開示の乳蛋白質分解物の割合が特定量になるように、ホイップ用クリーム原料に配合することが重要である。
従って、本開示のホイップ用クリームの製造方法において、(a)乳蛋白質分解物(A)の非蛋白態窒素比率が5〜45%であること;(b)乳蛋白質分解物(A)をホイップ用クリーム原料に0.2質量%以上添加すること;(c)ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める乳蛋白質分解物(A)の割合が14%以上に調整すること、の(a)〜(c)の3要件を少なくとも満たすことが重要である。さらに、(d)乳蛋白質分解物(A)が、中性プロテアーゼ及び/又はアルカリ性プロテアーゼによる分解物であることを満たすことが好適である。
本開示の乳蛋白質分解物(A)を用いるホイップ用クリームの製造方法において、(e)乳蛋白質分解物(A)がホエイ蛋白質分解物(A1)を含むものであること;(f)ホエイ蛋白質分解物(A1)を含む乳蛋白質分解物の非蛋白態窒素比率が15〜45%であること;(g)前記乳蛋白質分解物をホイップ用クリーム原料に0.4質量%以上添加すること;(h)ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める前記乳蛋白質分解物の割合が25%以上に調整することが好適である。
本開示の乳蛋白質分解物(A)を用いるホイップ用クリームの製造方法において、(i)乳蛋白質分解物(A)がカゼイン分解物(A2)を含むものであること;(j)カゼイン分解物(A1)を含む乳蛋白質分解物の非蛋白態窒素比率が5〜25%であること;(k)前記乳蛋白質分解物をホイップ用クリーム原料に0.2質量%以上添加すること;(l)ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める前記乳蛋白質分解物の割合が14%以上に調整することが好適である。
さらに、本開示のホイップ用クリームの製造方法は、ホイップ用クリームの蛋白質含量が1質量%以上に調整することが好適である。
前記ホイップ用クリーム中の蛋白質を1質量%以上含有させるために、蛋白質の成分をホイップ用クリーム原料に添加してもよく、この蛋白質としては、本開示の乳蛋白質分解物及び/又はこれ以外の蛋白質を使用することができる。
前記乳蛋白質分解物以外の蛋白質は、特に限定されないが、脱脂乳、脱脂粉乳、粉乳及び生乳等から選ばれる1種又は2種以上の乳由来の蛋白質等が好ましい。これによりホイップドクリームの風味等が良好となる。
また、ホイップ用クリーム中の蛋白質の含量は、好ましくは1.2質量%以上、より好ましくは1.2〜2質量%であり、より好ましくは1.2〜1.7質量%である。
前記乳蛋白質分解物以外の蛋白質(例えば脱脂乳等)をホイップ用クリーム原料に使用する場合には、本開示の乳蛋白質分解物以外の蛋白質の使用割合は、ホイップ用クリーム中、好ましくは0〜1.3質量%であり、より好ましくは0.5〜1質量%である。
ここで、後記〔実施例〕で示すように、ホイップ用クリームの中の蛋白質含量が1質量%以上の場合には、優れた耐酸性が付与され、風味も良好であった。
ところで、乳クリームには1〜3質量%程度の蛋白質が存在する。一方、植物性油脂には蛋白質が存在していないが、前記乳蛋白質分解物等の蛋白質を添加してホイップ用クリームの蛋白質含量が1質量%以上になるように調整することで、耐酸性が向上し、風味も良好になった。
このようなことから、原料クリーム中の蛋白質含量が1%未満の場合には、ホイップ用クリーム原料に対する前記乳蛋白質の配合量や他の蛋白質(例えば脱脂乳等)の添加によって、ホイップ用クリーム中の蛋白質含量は少なくとも1質量%以上含むように蛋白質の含量を調整することが望ましい。
<クリーム中の総蛋白質量の測定方法>
本開示のクリーム中の総蛋白質量の測定方法は、セミ・ミクロケルダール法(第十四改正 日本薬局方解説書 通則 製造総則 一般試験法 2001 B−370〜B374)にて行い、以下に具体的な測定方法を示す。
試料クリーム約1g(試料重量は0.1mgの単位まで測定する)を採取し、セミ・ミクロケルダール法にて試料中の窒素量を定量する。
詳細には、試料を分解瓶に入れ、硫酸カリウム:硫酸銅=10:1の配合の分解促進剤を1g、さらに濃硫酸7mL加え、加熱分解する。加熱分解後、試料を水蒸気蒸留にかけ、蒸留されたものを20mMの硫酸水溶液20mL中に受ける。蒸留が終了したら、蒸留水を受けた、20mMの硫酸水溶液を、40mMの水酸化ナトリウムにて滴定する。そのときの滴定量をb(mL)とする。試料にクリームを含まない対照試料を用いてブランク試験を行い、そのときの滴定量をa(mL)とすると、クリームの蛋白質量は以下の式にて計算される。
蛋白質量(%) = (0.56×(b−a)×6.38)/試料の重量(g)/1000×100
ちなみに、式中の0.56は40mMの水酸化ナトリウム1mLに対する試料の窒素量であり、6.38は窒素量を乳製品の蛋白質に換算する係数である。
本開示のホイップ用クリームは、上述の如く、少なくとも本開示の乳蛋白質分解物及びクリームを含むホイップ用クリーム原料を混合することで得ることが可能である。
また、本開示のホイップ用クリームは、前記乳蛋白質分解物及びクリーム等を含むホイップ用クリーム原料を均質機にて均質することが好適である。
均質の際に、その均質温度は60〜70℃が好ましく、またその均質圧は全圧5〜10MPa、二次圧0.1〜2MPaが好ましい。
上述のように均質機にて均質した後に、冷却後、エージングするのが好適であり、このエージングは一晩低温(0〜5℃)でエージングすることが好適である。
また、本開示のホイップ用クリームへの耐酸性付与方法により、耐酸性が付与されたホイップ用クリームを製造することも可能である。
そして、これにより、本開示の耐酸性が付与されたホイップ用クリームを得ることができる。
本開示のホイップ用クリームでは、ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める本開示の乳蛋白質分解物の割合が上述の如く14%以上であるのが好適である。さらに、本開示のホイップ用クリームには、当該クリーム中の蛋白質含量が1質量%以上であることが好適である。これによりホイップ用クリームの耐酸性が向上し、風味も良好である。
なお、本開示のホイップ用クリームに含まれている乳蛋白質分解物(A)の含量及び蛋白質の含量の好適な範囲は、上述の乳蛋白質分解物(A)の配合割合及び添加量並びにホイップ用クリーム中の蛋白質含量のとおりである。
さらに本開示のホイップ用クリームは、包装容器に充填密封して保存させたり、流通させてもよい。なお、包装容器は、液漏れがしなければ特に限定されず、紙容器、プラスチック容器、レトルト容器等が挙げられる。
このようにして、本開示のホイップ用クリームが充填された包装容器をホイップ時に開封して、当該ホイップ用クリームを使用する。
本開示のホイップ用クリームは、耐酸性が付与されているので、溶液が酸性状態となっても、ホイップすることでホイップ状態が良好なホイップドクリームとすることができる。
また、本開示のホイップ用クリームをホイップして得られたホイップドクリームは優れた耐酸性を有する。
このことから、本開示のホイップ用クリーム及びこれをホイップしたホイップドクリームは、優れた耐酸性が付与されているので、クリームのpHを酸性にして又は酸性食品に利用することが可能である。
ここで、「ホイップ」は、特に限定されないが、前記ホイップ用クリームを攪拌等の物理的ストレス又は気泡と接触させてホイップドクリームとなるように行うことである。このとき、六分立て〜九分立てにて行うことが望ましい。
また、本開示のホイップ用クリームと、食品上使用可能な酸性化合物や酸性食品の破砕物、粉砕物や破片、汁等とを混合してもよい。当該ホイップ用クリームは、少なくとも、ホイップ用クリーム原料及び本開示の乳蛋白質分解物(A)を含むものが好適である。
酸性化合物や酸性食品によって本開示のホイップ用クリームのpHが酸性になっても凝固することなく、ホイップしてホイップドクリームにすることが可能である。当該酸性は、好ましくはpH3〜7程度であり、より好ましくはpH4以上であるのがホイップドクリームの食感が良好なので好適である。
前記酸性化合物として、例えば、クエン酸、乳酸、酢酸、シュウ酸、グルクロン酸、炭酸等の有機酸;リン酸等の無機酸が挙げられる。
また、前記酸性食品として、例えば、酸味のある果実及び/又は野菜の加工品等が挙げられる。酸性食品の加工品として、例えば、酸味のある果汁や果肉;酸味のある野菜汁や野菜片等が挙げられる。また、酸性食品の加工として、ピューレ、ペースト、ソース、ジャム、汁等が挙げられ、これらは単独で又は適宜組み合わせて使用してもよい。
通常、「ピューレ」とは、果実及び/又は野菜を破砕し、裏ごししたものをいい、生の状態又は加熱したものを使用する。また、「ペースト」とは、一般的にピューレよりも濃い状態のものをいう。「果実ソース」として、果実ピューレにスターチ等のとろみを付けたものやジャムを使用したもの等が挙げられる。
果汁及び果肉片としては、例えばレモン、オレンジ、スダチ、ダイダイ等の柑橘類;イチゴ、ラズベリー、ブドウ、パイナップル、ブルーベリー、キウイフルーツ、リンゴ等が挙げられる。野菜汁及び野菜片としては、例えば、トマト等が挙げられる。
なお、前記酸性化合物及び前記酸性食品は、本開示の酸性食品入りホイップドクリームを製造するための原料、また、酸性化合物及び/又は前記酸性食品を含有する食品を製造するための原料(以下、「酸性食品原料」ともいう)として使用することが可能である。
また、本開示のホイップ用クリームの粘度相対値(ホイップ前の液状物の粘度を表す)は60%以下であることが好ましく、より好ましくは5〜20%のホイップドクリームである。
一般的に、酸性条件としたホイップ用クリームをホイップした際の粘度が500mPa・s以下であれば、良好にホイップすることができる。さらに、ホイップドクリームの粘度が低いほど耐酸性が付与されていることから、500mPa・s以下になるとオーバーランも多く入り良好となり、200mPa・s以下になるとさらに良好となる。
後記〔実施例〕に示すように、従来の酸添加のホイップ用クリームをホイップすると粘度が高くなりすぎ、良好なホイップドクリームを得ることができなかった。一方で、本開示の乳蛋白質分解物を添加すると酸添加時(pH4.6)における粘度上昇の程度が小さく500mPa・s以下となって、良好なホイップドクリームを得ることができ、このときのホイップドクリームの粘度相対値は60%以下であった。
なお、本開示での「粘度相対値(%)」は、(「酸及び本開示の乳蛋白質分解物添加時におけるホイップ用クリームの粘度」/「乳蛋白質分解物は添加せずに酸の添加時におけるホイップ用クリームの粘度」)×100で算出することができる。ここで、「乳蛋白質分解物は添加せずに酸の添加時におけるホイップ用クリーム」は、未分解の乳蛋白質を添加し、酸を添加したホイップ用クリームを意味する。
また、本開示の耐酸性が付与されたホイップ用クリームをホイップしたホイップドクリームを、酸性化合物や酸性食品に接触させてもよい。耐酸性を有するホイップドクリームになっていることから接触させてもホイップドクリームの食感が良好である。
なお、本開示のホイップ用クリーム及びホイップドクリームは、酸性化合物や酸性食品に限らず、幅広い食品等に使用することが可能である。
本開示のホイップ用クリームは、酸性食品と混合してホイップドクリームとしてもよいし、酸性食品に添加して使用してもよい。
また、本開示の乳蛋白質分解物(A)を使用して酸性食品入りホイップドクリームを製造してもよい。この本開示の酸性食品入りホイップドクリームを製造する際、酸性食品入りホイップドクリーム原料として、少なくとも、酸性食品、ホイップ用クリーム原料及び本開示の乳蛋白質分解物(A)を使用する。
一般的に酸性食品入りホイップドクリームを製造する際には、「別立て」及び「共立て」という製造方法が用いられている。また、ホイップドクリームを製造する際に、ゼラチン等の前記任意成分を配合してもよい。
「共立て」とは、(i)酸性食品(例えば果実ピューレや果汁等)及び(ii)生クリーム等のホイップ用クリーム原料の(i)(ii)を混合しホイップして酸性食品入りホイップドクリームを得る工程を含むホイップドクリームの製造方法である。しかし、酸性食品及び生クリーム等の酸性食品入りホイップドクリーム原料を一緒に混合してホイップすると、酸性食品の影響によって得られたホイップドクリームの食感がぼそぼそとなる。このため、「共立て」にて得られたホイップドクリームは、食感及び風味が良くない。そこで、食感及び風味を良好にするために、店舗等での少量生産は通常「別立て」を用いている。
「別立て」とは、生クリームをホイップしてホイップドクリームにする工程と、そのホイップドクリームと酸性食品とを混合して、酸性食品入りホイップドクリームを得る工程を含む酸性食品入りホイップドクリームの製造方法であるが、この「別立て」は少なくとも2工程必要となり、作業効率が悪い。
このため、大量生産する場合には、従来の安定剤等を添加して「共立て」にて酸性食品入りのホイップドクリームを製造する方法を採用しているが、この「共立て」にて得られるホイップドクリームは、従来の安定剤等の影響により食感及び風味が損なわれることが多い。
なお、本開示のホイップドクリームは、公知のホイップドクリームの製造方法にて製造することができる。
本開示の乳蛋白質分解物(A)を、生クリーム及び酸性食品を使用するホイップドクリームの製造のために用いたところ、「別立て」及び「共立て」の何れにおいても、得られた酸性食品入りのホイップドクリームの食感及び風味が良好であった。
しかも、従来「共立て」は良好な食感及び風味が得られないとされていたが、本開示の得られた酸性食品入りホイップドクリームは、「別立て」と「共立て」を比較すると、「共立て」の方が「別立て」と比較して、さらに食感及び風味が良好であった。「共立て」を使用できたことにより、本発明者は、酸性食品入りポイップドクリームの製造において、食感及び風味と、作業効率とを向上させることにも成功した。
そして、前記乳蛋白質分解物(A)及び生クリーム等のホイップ用クリーム原料を含む本開示のホイップ用クリームは、酸性食品と混合することで、又は酸性食品原料を含む食品と混合して調理することで、まろやかさ等の食感及び風味が良好な食品を得ることができる。この調理した食品としては、例えば、プリン、クリームスープ、トマトクリームパスタ、レモンクリーム煮等が挙げられ、本開示のホイップ用クリームは加熱調理するような食品にも使用することが可能である。
よって、本開示において、ホイップ用クリーム原料、前記乳蛋白質分解物(A)、及び酸性食品を混合し、かつ以下の(a)〜(d)を満たす、酸性食品入りホイップドクリーム及びその製造方法を提供することができる。
(a)乳蛋白質分解物(A)の非蛋白態窒素比率が5〜45%であること、
(b)乳蛋白質分解物(A)をホイップ用クリーム原料に0.2質量%以上添加すること、
(c)ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める乳蛋白質分解物(A)の割合が14%以上に調整すること、
(d)乳蛋白質分解物(A)が、中性プロテアーゼ及び/又はアルカリ性プロテアーゼによる分解物であること。
前記酸性食品入りホイップドクリームの製造方法における混合が、「共立て」にて行われることが、食感、風味及び作業効率の点で、好適である。
また、本開示において、ホイップ用クリーム原料、酸性食品原料、及び前記乳蛋白質分解物(A)を混合して、酸性食品原料入り食品を製造する方法を提供することができる。
前記酸性食品としては、酸性の果実及び/又は野菜の加工品であるのが好適である。
酸性の果実及び/又は野菜の加工品としては、破砕物、圧搾物、汁、ピューレ、ソースから選ばれる1種又は2種以上のものが好適である。
前記酸性食品の添加量は、ホイップ用クリーム原料100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは10〜100質量部である。
また、例えば、本開示のホイップドクリームは、酸性食品入りホイップドクリーム;ケーキ、パンケーキ、菓子、ゼリー、プリン、氷菓子、冷凍乳製品等のデコレーションのためのホイップドクリーム;ウィンナ・コーヒー、ジュース、飲料のためのホイップドクリーム等として使用することが可能である。酸性食品入りホイップドクリームとして、例えば酸味のある果実及び/又は野菜の加工品入りのホイップドクリームが挙げられる。例えば、果実及び/又は野菜ピューレ入りホイップドクリーム、果実及び/又は野菜汁入り(例えば、柑橘系果汁入りホイップドクリーム等)等が挙げられる。
例えば、本開示のホイップ用クリーム及びホイップドクリームを使用した食品としては、果実感がより付与された、レモン味のホイップドクリームを入れたロールケーキやタルト、みかん味のホイップドクリームを使用したショートケーキやデコレーションケーキ、イチゴ風味のホイップドクリームを載せたゼリーやプリン、その他果汁の味付けをしたホイップドクリームを挟んだサンドイッチ、果汁入のクリームやフィリングを包餡したシュークリームや製パン等が挙げられる。
なお、本技術は以下の構成を採用することも可能である。
〔1〕 ホイップ用クリーム原料に乳蛋白質分解物(A)を添加し、かつ以下の(a)〜(c)を満たすことを特徴とするホイップ用クリームの製造方法:
(a)乳蛋白質分解物(A)の非蛋白態窒素比率が5〜45%であること、
(b)乳蛋白質分解物(A)をホイップ用クリーム原料に0.2質量%以上添加すること、
(c)ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める乳蛋白質分解物(A)の割合が14%以上に調整すること。
〔2〕 前記乳蛋白質分解物(A)が、中性プロテアーゼ及び/又はアルカリ性プロテアーゼによる分解物である前記〔1〕記載のホイップ用クリームの製造方法。
前記乳蛋白質分解酵素は、中性プロテアーゼのシステインプロテアーゼ及び/又はアルカリ性プロテアーゼのセリンプロテアーゼが好適である。
前記システインプロテアーゼは、パパイア由来酵素(例えばパパイン、キモパパイン等)、パイナップル由来酵素(例えば、ブロメライン等)から選ばれるものが好適である。
前記植物由来の分解酵素は、カリクレイン、フィシン、パパイン、キモパパイン、ブロメライン、パパインW−40及びブロメラインFから選ばれる1種又は2種以上のものが好適である。
前記セリンプロテアーゼは、トリプシン、パンクレアチンから選ばれるものが好適である。
前記乳蛋白質分解物が、pH5〜9、30〜60℃及び0.5〜24時間で処理されたものが好適である。
〔3〕 前記乳蛋白質分解物(A)が、ホエイ蛋白質分解物、カゼイン分解物、牛乳の蛋白質分解物、脱脂乳の蛋白質分解物から選択される1種又は2種以上のものである、前記〔1〕又は〔2〕記載のホイップ用クリームの製造方法。
〔4〕 ホイップ用クリーム原料に乳蛋白質分解物(A)を添加し、かつ以下の(e)〜(h)を満たす、前記〔1〕〜〔3〕の何れか1項記載のホイップ用クリームの製造方法:
(e)乳蛋白質分解物(A)がホエイ蛋白質分解物(A1)を含むものであること、
(f)乳蛋白質分解物(A)の非蛋白態窒素比率が15〜45%であること、
(g)乳蛋白質分解物(A)をホイップ用クリーム原料に0.4質量%以上添加すること、
(h)ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める乳蛋白質分解物(A)の割合が25%以上に調整すること。
〔5〕 以下の(m)を満たす、前記〔4〕記載のホイップ用クリームの製造方法:
(m)乳蛋白質分解物(A)が、ホエイ蛋白質分解物をカゼイン分解物よりも多く含むものであり、かつ、ホエイ蛋白質分解物:カゼイン分解物の含有割合が、5〜10:5未満〜0のものであること。
また、前記ホエイ蛋白質分解物(A1)の非蛋白態窒素比率は20〜45%であるのが好適である。
また、前記ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める前記ホエイ蛋白質分解物(A1)の割合は、30%以上であるのが好適である。
また、前記ホエイ蛋白質分解物(A1)を、ホイップ用クリーム原料に0.4〜5質量%になるように添加するのが好適である。
また、前記ホエイ蛋白質分解物(A1)を、乳クリームを含むホイップ用クリーム原料に0.4〜0.96質量%になるように添加するのが好適であり、又は植物性油脂を含むホイップ用クリーム原料に0.4〜1.76質量%になるように添加するのが好適である。
〔6〕 ホイップ用クリーム原料に乳蛋白質分解物(A)を添加し、かつ以下の(i)〜(l)を満たす、前記〔1〕〜〔3〕記載の何れか1項記載のホイップ用クリームの製造方法:
(i)乳蛋白質分解物(A)がカゼイン分解物(A2)を含むものであること、
(j)乳蛋白質分解物(A)の非蛋白態窒素比率が5〜25%であること、
(k)乳蛋白質分解物(A)をホイップ用クリーム原料に0.2質量%以上添加すること、
(l)ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める乳蛋白質分解物(A)の割合が14%以上に調整すること。
〔7〕 以下の(n)を満たす、前記〔6〕記載のホイップ用クリームの製造方法:
(n)乳蛋白質分解物(A)が、カゼイン分解物をホエイ蛋白質分解物よりも多く含むものであり、ホエイ蛋白質分解物:カゼイン分解物の含有割合が5未満〜0:5〜10のものであること。
〔8〕 以下の(o)〜(p)を満たす、前記〔6〕記載のホイップ用クリームの製造方法:
(o)乳蛋白質分解物(A)が、カゼイン分解物をホエイ蛋白質分解物よりも多く含むものであり、かつ(o1)ホエイ蛋白質分解物:カゼイン分解物の含有割合が1〜3:9〜7のもの、(o2)牛乳の蛋白質分解物、又は(o3)脱脂乳の蛋白質分解物であること、
(p)ホイップドクリームに含まれる総蛋白質に占める乳蛋白質分解物(A)の割合が18%以上に調整すること。
また、前記カゼイン分解物(A2)の非蛋白態窒素比率は10〜20%であるのが好適である。
また、前記ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める前記乳清蛋白質分解物(A)の割合は、30%以上であるのが好適である。
また、前記カゼイン分解物(A2)を、ホイップ用クリーム原料に0.6〜1.5質量%になるように添加するのが好適である。
また、前記カゼイン分解物(A2)を、乳クリームを含むホイップ用クリーム原料に0.7〜0.96質量%になるように添加するのが好適であり、又は植物性油脂を含むホイップ用クリーム原料に0.5〜1.5質量%になるように添加するのが好適である。
〔9〕前記〔1〕〜〔8〕の何れか1項記載のホイップ用クリームの製造方法において、前記ホイップ用クリームの粘度相対値が、60%以下であるのが好適である。
前記〔1〕〜〔9〕の何れか1項記載のホイップ用クリームの製造方法において、ホイップ用クリームに使用する原料クリームは、乳クリーム及び植物性油脂から選ばれるものであるのが好適である。
前記〔1〕〜〔9〕の何れか1項記載のホイップ用クリームの製造方法において、(d)ホイップ用クリーム中の蛋白質を1質量%以上に調整するのが好適であり、より好ましくは1.2〜1.7質量%に調整する。
〔10〕前記〔1〕〜〔9〕の何れか1項記載の製造方法にて得られたホイップ用クリーム。
〔11〕前記〔1〕〜〔9〕記載の方法を用いるホイップ用クリームへの耐酸性の付与方法。
〔12〕前記〔11〕記載の方法にて得られたホイップ用クリーム。
前記ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める前記乳蛋白質分解物(A)が14質量%以上含まれるものである。また、前記ホイップ用クリーム中の蛋白質は1質量%以上含まれるものが好適である。
〔13〕非蛋白態窒素比率が5〜45%の範囲にある乳蛋白質分解物(A)をホイップ用クリーム原料に0.2質量%以上添加して、ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める乳蛋白質分解物(A)の割合が14%以上となるように調整するホイップ用クリームへの耐酸性の付与方法。
〔14〕前記乳蛋白質分解物(A)が、中性プロテアーゼ及び/又はアルカリ性プロテアーゼによる分解物である前記〔13〕記載のホイップ用クリームへの耐酸性の付与方法。
〔15〕前記乳蛋白質分解物が、ホエイ蛋白質分解物、カゼイン分解物、牛乳の蛋白質分解物、脱脂乳の蛋白質分解物から選択される1種又は2種以上の乳蛋白質分解物である、前記〔13〕又は〔14〕記載のホイップ用クリームへの耐酸性の付与方法。
〔16〕前記ホイップ用クリームの粘度相対値が、60%以下である前記〔13〕〜〔15〕のいずれか1項記載のホイップ用クリームへの耐酸性の付与方法。
〔17〕前記〔1〕〜〔10〕の何れか1項記載の乳蛋白質分解物を有効成分とするホイップ用クリームへの耐酸性付与剤。
ホイップ用クリームへの耐酸性付与剤の製造のための、前記乳蛋白質分解物の使用。
前記乳蛋白質分解物の、ホイップ用クリームに耐酸性を付与する剤への使用。
〔18〕ホイップ用クリーム原料、乳蛋白質分解物(A)及び酸性食品とを混合し、かつ以下の(a)〜(d)を満たすことを特徴とする、酸性食品入りホイップドクリームの製造方法:
(a)乳蛋白質分解物(A)の非蛋白態窒素比率が5〜45%であること、
(b)乳蛋白質分解物(A)をホイップ用クリーム原料に0.2質量%以上添加すること、
(c)ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める乳蛋白質分解物(A)の割合が14%以上に調整すること、
(d)乳蛋白質分解物(A)が、中性プロテアーゼ及び/又はアルカリ性プロテアーゼによる分解物であること。
〔19〕前記ホイップ用クリーム原料が生クリームである、前記〔18〕記載の製造方法。
〔20〕別立て又は共立てにて得られる、前記〔18〕又は〔19〕の製造方法。好適には共立てで行われるものである。
〔21〕前記酸性食品が、酸性の果実及び/又は野菜の加工品である、前記〔18〕〜〔20〕の何れか1項記載の製造方法。
前記酸性の果実及び/又は野菜の加工品のうち、破砕物、圧搾物、汁、ピューレ、ソースから選ばれる1種又は2種以上のものである。
前記酸性食品の添加量は、ホイップ用クリーム原料100質量部に対して、5質量部以上であるのが好適である。
〔22〕前記〔18〕〜〔21〕の何れか1項記載の製造方法において、前記乳蛋白質分解物(A)の使用は、前記〔1〕〜〔9〕記載の何れか1項であるのが好適である。
以下に、具体的な実施例等を説明するが、本発明(本開示)はこれに限定されるもので
はない。
<1.ホエイ蛋白質分解物の製造方法>
市販のWPC(蛋白質含量80質量%。ドイツのミライ社製)を10質量%の濃度で精製水に溶解し、カリウム型陽イオン交換樹脂(アンバーライトIR−120B。オルガ社製)に対して20倍通液し、カルシウム濃度を調整し、次いで温度を50℃に調整し、蛋白質分解酵素を、添加して5時間加水分解した。加水分解のときの溶液のpHは6〜8であった。そののち80℃で5分間処理して酵素を失活させることで、ホエイ蛋白質分解物を製造した。その蛋白質分解物を、常法により濃縮し、乾燥し、粉末状のホエイ蛋白質分解物を得た。
以下の試験及び実施例等にて使用されるホエイ蛋白質分解物の非蛋白態窒素比率の算出方法は、上述した<非蛋白態窒素比率の算出方法>、<クリーム中の総蛋白質量の測定方法>及び<クリーム中の脂肪率(総脂肪量)の測定方法>にて行った。
<2.ホエイ蛋白質分解物:生クリーム使用クリームの製造方法>
<1.ホエイ蛋白質分解物の製造方法>で調製したホエイ蛋白質分解物粉末と乳糖からなる分解物溶液を調製した。その分解物溶液及び脱脂乳を脂肪率48%の生乳由来の生クリームに添加し、脂肪率を35%にした。
具体的な配合は、以下の各試験例、実施例等に記載した。
その脂肪率35%クリームを均質機にて均質温度65℃、均質圧は全圧7MPa、2次圧1MPaにて均質し、直ちに冷却した。これを、生クリームを使用したホイップ用クリームとした。
一晩5℃でエージングした生クリーム使用クリームをホイップ実験に供した。分解物溶液の濃度は各試験にて調整し、分解物由来の蛋白質の含有比率(割合)を調整した。
また、コントロールとして生乳由来の35%脂肪率のクリームを使用した。
<3.ホエイ蛋白質分解物:植物性油脂使用クリームの実験>
<1.ホエイ蛋白質分解物の製造方法>で調製したホエイ蛋白質分解物粉末と乳糖からなる分解物溶液を調製した。
植物性油脂に、ホエイ蛋白質分解物粉末、乳糖及び低分子乳化剤を水に溶解したものを添加し、脂肪率を45%に調整した。具体的な配合は各試験例、実施例に記載した。その45%脂肪率のクリームを80℃に加温し、ホモミキサーにて6000rpm、10分間攪拌し、予備乳化した。その予備乳化された45%クリームを均質機にて均質温度65℃、均質圧(全圧7MPa−2次圧1MPa)にて均質し、直ちに冷却した。これを、植物性油脂を使用したホイップ用クリームとした。
一晩5℃でエージングした植物性油脂使用クリームをホイップ実験に供した。分解物溶液と脱脂乳の比率は各試験にて調整し、分解物由来の蛋白質の含有比率(割合)を調整した。
<4.ホエイ蛋白質分解物:耐酸性評価法>
(1)pH4.6でのクリーム粘度測定
クリーム50gに10%クエン酸水溶液を添加し、pHを4.6に調整した。その粘度をコーンプレート型粘度計(Anton Paar社製 Physica MCR301)を用いて粘度を測定した。直径50mm、1度(°)のコーンを用い、測定温度5℃、せん断速度300/秒で測定を開始後、30秒の値を採用した。
耐酸性が付与されたクリームはpH4.6での粘度の値が小さくなる。
「粘度相対値(%)」は、(「酸及び本開示の乳蛋白質分解物添加混合時のホイップ用クリームの粘度」/「乳蛋白質分解物は添加せずに酸の添加混合時におけるホイップ用クリームの粘度」)×100で算出することができる。
(2)pH4でのホイップテスト
400gのクリームに10質量%のクエン酸水溶液を添加し、pHを4に調整した。そのクリームに砂糖28g溶解し、温度を7℃に調整した後に、ホイップを開始した。ホイップは卓上型ミキサ(貝印社製 メランジール・ロボ)を使用し、ホイップドクリームの硬さがペネトロ針入度(12g、先端角40度(°)のコーン使用)20±1mmとなったときをホイップの終点とした。
耐酸性のないコントロールクリームはクリームが増粘し、ホイップしたクリームの比重が高くなる。一方、耐酸性のあるクリームはホイップドクリームの比重が低下する。
また、ホイップしたクリームを5℃で1日冷蔵し、ペネトロ針入度を測定し、保存性の評価とした。
<5.カゼイン分解物の製造方法>
市販のカゼイン(蛋白質含量90%タツア社製)を10%の濃度で精製水に膨潤させ、次いで10%水酸化ナトリウム溶液を添加し溶解した。次いで、温度を50℃に調整し、蛋白質分解酵素を添加して6時間加水分解した後、90℃で10分間処理して酵素を失活させることで、カゼインの部分分解物を製造した。そのカゼイン分解物を、常法により濃縮し、噴霧乾燥し、粉末状のカゼイン分解物を得た。
以下の試験及び実施例等にて使用されるカゼイン分解物の非蛋白態窒素比率の算出方法は、上述した<非蛋白態窒素比率の算出方法>、<クリーム中の総蛋白質量の測定方法>及び<クリーム中の脂肪率(総脂肪量)の測定方法>にて行った。
<6.カゼイン分解物:植物性油脂使用クリームの実験>
<5.カゼイン分解物の製造方法>で調製したカゼイン分解物粉末と乳糖からなる分解物溶液を調製した。植物油脂にカゼイン分解物粉末、乳糖及び低分子乳化剤、並びに必要に応じて脱脂粉乳を水に溶解したもの添加し、脂肪率を45%に調整した。具体的な配合は各試験例、実施例に記載した。
その45%脂肪率のクリームを80℃に加温し、ホモミキサーにて6000rpm、10分間撹拌し、予備乳化した。その予備乳化された45%クリームを均質機にて均質温度65℃、均質圧5.1MPaにて均質し、直ちに冷却した。一晩5℃でエージングしたクリームをホイップ実験に供した。
<7.カゼイン分解物:耐酸性評価法>
(1)pH4.6でのクリーム粘度測定
クリーム50gに10%クエン酸水溶液を添加し、pHを4.6に調整した。その粘度をコーンプレート型粘度計(Anton Paar社製 Physica MCR301)を用いて粘度を測定した。直径50mm、1度(°)のコーンを用い、測定温度5℃、せん断速度300/秒で測定を開始後、30秒の値を採用した。
耐酸性が付与されたクリームはpH4.6での粘度の値が小さくなる。
「粘度相対値(%)」は、(「酸及び本開示の乳蛋白質分解物添加混合時のホイップ用クリームの粘度」/「乳蛋白質分解物は添加せずに酸の添加混合時におけるホイップ用クリームの粘度」)×100で算出することができる。
(2)pH4でのホイップテスト
400gのクリームに10%クエン酸水溶液を添加し、pHを4に調整した。そのクリームに砂糖28g溶解し、温度を7℃に調整した後に、ホイップを開始した。ホイップは卓上型ミキサ(貝印社製 メランジール・ロボ)を使用し、ホイップドクリームの硬さがペネトロ針入度(12g、先端角40度(°)のコーン使用)20±1mmとなったときをホイップの終点とした。
耐酸性の低いクリームは、10%クエン酸水溶液を添加した段階で、著しく粘度が増加し、ホイップが不能となる。一方、耐酸性が付与されればされるほど、ホイップ後のオーバーランが高くなる。
<試験例1:ホエイ蛋白質分解物:非蛋白態窒素量(分解率の指標)と耐酸性付与効果>
上記<1.ホエイ蛋白質分解物の製造方法>の方法にて、ホエイ蛋白質分解物を調製した。酵素処理条件は、温度50℃、pH6〜8、加水分解時間5時間であった。
ただし、蛋白質分解酵素として、パパイン(天野エンザイム社製)を、蛋白質当たり0.1、0.3、0.5、1.0、2.0、3.0質量%の割合で添加し、非蛋白態窒素比率が分解物の総窒素含量に対してそれぞれ9%、15%、25%、38%、45%、56%となるように調製し、非蛋白態窒素比率9%、25%、38%、45%、56%の各ホエイ蛋白質分解物を製造した。これを乾燥させて粉末状として、クリーム調製ではその乾燥品を用いた。
下表1の配合にて調製した脂肪率35%のクリームを、上記<2.ホエイ蛋白質分解物:生クリーム使用クリーム製造方法>の方法にて製造した。また、コントロールとして生乳由来の35%脂肪率のクリームを使用した。
上記<4.ホエイ蛋白質分解物:耐酸性評価法>の方法にてクリームのホイップを行った結果が、図1−2及び表2のとおりである。
クリームに耐酸性が付与されているほど、酸添加時にクリームの粘度増加が起こらず、ホイップドクリーム比重が低下(気泡が多く入る)する。この結果より、35%生クリームと比較して、ホエイ蛋白質及びホエイ蛋白質分解物の使用によりホイップドクリームの比重が低下し、耐酸性が付与されたといえる。
しかし、ホイップドクリームの冷蔵保存時の硬さ変化(針入度変化)は、未分解のホエイ蛋白質であるWPC80と比較して、ホエイ蛋白質分解物の非蛋白態窒素が15%から45%のものは硬さ変化が少なく良好であった。
また、非蛋白態窒素比率が56%のものは、クリームの均質化時に脂肪球の凝集が起こり、ホイップ用クリームとして不適切な品質となった。
非蛋白態窒素比率が15〜45%の範囲の酸性粘度(mPa・s)は、200mPa・s以下であり、この粘度相対値(%)は50%以下であった。
このように、非蛋白態窒素比率が15〜45%の範囲のホエイ蛋白質分解物を添加することで、良好なホイップ用クリームの耐酸性を付与することができる。また、ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占めるホエイ蛋白質分解物の割合が27%であり、ホイップ用クリーム中の蛋白質は2.5質量%含んでいた。
よって、非蛋白態窒素比率が15〜45%の範囲のホエイ蛋白質分解物を用いることにより、耐酸性が付与されたホイップ用の乳クリームを得ることが可能であることが認められた。
<試験例2:ホエイ蛋白質分解物:クリームに含まれる総蛋白質に占める分解物由来蛋白質の割合の効果>
上記<1.ホエイ蛋白質分解物の製造方法>の方法にてホエイ蛋白質分解物を調製した。ただし、蛋白質分解酵素としてパパイン(天野エンザイム社製)を、蛋白質当たり1.0%の割合で添加し、非蛋白態窒素比率が分解物の全窒素含量に対して45%となるように調製し、非蛋白態窒素比率45%のホエイ蛋白質分解物を製造した。これを乾燥させて粉末状として、クリーム調製ではその乾燥品を用いた。
下表3の配合にて調製した脂肪率35%のクリームを<2.生クリーム使用クリーム製造方法>の方法にて製造した。
また、コントロールとして生乳由来の35%脂肪率のクリームを使用した。
上記<4.耐酸性評価法>の方法にてクリームのホイップを行った結果が図3−4、及び表4である。
WPC80品は比重が小さく良好であるが、保存時の硬さ変化がコントロールとほぼ同程度で不良である。
上記の非蛋白態窒素比率45%のホエイ蛋白質分解物を、ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める割合が25及び46%になるように配合して得られたホイップ用クリームは、ホイップドクリーム比重がコントロールより低く、冷蔵保存後の硬さ変化もコントロールより小さくなるため、総合的に良好であり、耐酸性が付与されたといえる。
なお、48%生クリーム中には蛋白質が1.6%含まれていた。またホイップ用クリームには、蛋白質が1.2%(コントロール)、2.1%(WPC80)、1.4%(配合比率17%)、1.6%(配合比率25%)、2.1%(配合比率45%)含まれていた。
ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める本開示のホエイ蛋白質分解物の割合が25%以上になるように調整したときの酸性粘度(mPa・s)は、200mPa・s以下であり、この粘度相対値(%)は50%以下であった。
よって、本開示のホエイ蛋白質分解物を、ホイップ用クリーム原料に0.4質量%以上添加し、かつホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める本開示のホエイ蛋白質分解物の割合が25%以上になるように調整することで、耐酸性が付与されたホイップ用乳クリームを得ることが可能であることが認められた。また、このホイップ用クリームに含まれる蛋白質含量は1質量%以上であった。
<試験例3:ホエイ蛋白質分解物:植物性脂肪使用クリームでの検討>
上記<1.ホエイ蛋白質分解物の製造方法>にてホエイ蛋白質分解物を調製した。
ただし、蛋白質分解酵素としてパパイン(天野エンザイム社製)を、蛋白質当たり0.5%の割合で添加し、非蛋白態窒素比率が分解物の全窒素含量に対して25%となるように調製し、非蛋白態窒素比率25%のホエイ蛋白質分解物を製造した。これを乾燥させて粉末状として、クリーム調製ではその乾燥品を用いた。
下表5の配合にて調製した脂肪率45%のクリームを上記<3.植物性油脂使用クリームの実験>の方法にて製造した。
上記<4.耐酸性評価法>の方法にて、ホイップ用クリームのホイップを行った結果が図5及び表6である。
ちなみに、「ホエイ蛋白質分解物、乳糖、溶解水」の代わりに、「脱脂乳」を使用したクリームは、クエン酸を添加したときに、カードが発生し、ホイップ不能であった。
WPC80及びホエイ蛋白質分解物(非蛋白態窒素比率25%)を用いて得られたホイップ用クリームは、脂肪率45%であった。また、ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める、非蛋白態窒素比率25%のホエイ蛋白質分解物の割合は100%であった。また、ホイップ用クリーム中の蛋白質含量は1.76%であった。
なお、クリーム原料として使用した植物性油脂は、パームオレイン及びナタネ硬化油の混合油であった。そして、当該植物性油脂は、冷蔵時(5℃)の固形脂含量が50〜70%程度で、脂肪率100%あり、ホイップドクリームは体温域で口溶けが得られるように35〜40℃前後の融点を有するものであった。
ホエイ蛋白質分解物含有のホイップドクリームの酸性粘度(mPa・s)は、200mPa・s以下であり、この粘度相対値(%)は20%以下であった。
また、ホイップ用クリーム中の総蛋白質含量は1%未満となると、乳化性が悪化し、ホイップ用クリームの品質が低下した。
よって、本開示のホエイ蛋白質分解物を用いることにより、耐酸性が付与されたホイップ用植物性油脂クリームを得ることが可能であることが認められた。
また、乳脂肪分及び植物性油脂等を組み合わせるような場合でも、得られたホイップ用クリームには耐酸性が付与されていると考える。
<比較例1:特許文献1(特開昭63−68041)の製法>
カゼインナトリウム(タツア社製)500gを4500gの水に分散し、pHを6.4に調整した後、3000rpmで5分間遠心分離を行ない、35℃に加温した。別にペプシン(天野エンザイム社製)5gを5mlの水に溶解したものを上記カゼイン分散液に添加し、35℃温度下で3時間酵素分解を行った。ついで、90℃で10分間加熱して、ペプシンを失活させた後、凍結乾燥を行い、比較例1の分解物粉末を得た。
本比較例1の分解物粉末を表4の配合にて調製した脂肪率25.5%のクリームを、80℃に加温し、ホモミキサーにて6000rpm、10分間予備乳化した。その予備乳化物をホモゲナイザーを用いて全圧50MPa、2次圧10MPa、65℃にて均質を行った。均質後のクリームは直ちに冷却し、一晩5℃にてエージングしたものを試験に供した。
上記クリームに10%クエン酸を添加しpHを4に調整したところ、クリームが凝固し、ホイップ不能な状態となった。
よって、特許文献1に記載されている製法では耐酸性は付与されない。
<比較例2:特許文献2(特許第3272511号公報)の製法>
市販のWPC(蛋白質80%。ドイツのミライ社製)11g及びβ−ラクトグロブリン(シグマ社)13gを混合し、蛋白質当りのβ−ラクトグロブリン含量が79%のホエイ蛋白質粉末を得た。次いで、136gの精製水に溶解し、蛋白質当り1.0%のパパイン(天野エンザイム社製)を添加し、45℃で10時間分解した。80℃で10分間加熱後、酵素を失活させたところ、溶解液がゲル化した。そのゲルの凍結乾燥粉末を用い、下表の配合にて調製した脂肪率45%のクリームを3−3の方法にて製造したところ、うまく乳化せず、脂肪率45%クリームを得ることが出来なかった。
<実施例1>
市販のWPC(蛋白質80%。ドイツのミライ社製)1.5kgを、8.5kgの精製水に溶解し、ナトリウム型陽イオン交換樹脂(ダイヤイオンSK−1B。三菱化学社製)1リットルに通液し、カルシウム含量を蛋白質100g当り50mgに調整し、得られたIE−WPCを10%の濃度に調整し、蛋白質当り1.0%のブロメライン(天野エンザイム社製)を添加し、45℃で10時間分解した。分解液のpHが6.45であったので水酸化ナトリウムを添加してpHを6.7に調整し、80℃で10分間加熱し、酵素を失活させた。次いで、常法により濃縮し、乾燥し、粉末状のホエイ蛋白質分解物約1kgを得た。本ホエイ蛋白質分解物の非蛋白態窒素比率は35%であった。
本ホエイ蛋白質分解物粉末を用い、下表9の配合にて調製した脂肪率35%のクリームを<2.生クリーム使用クリーム製造方法>にて製造したところ、耐酸性が付与されたクリームが製造された。
ホイップ用クリーム原料に本ホエイ蛋白質分解物を0.96%添加して、本ホイップ用クリームを得た。本ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める本ホエイ蛋白質分解物の割合は45%であった。また、ホイップ用クリーム中の蛋白質含量は、ホエイ蛋白質分解物由来が0.96%及び乳クリーム由来が1.17%で、総計2.13%であった。そして、得られた本ホイップ用クリームには耐酸性が付与されており、風味も良好であった。
<実施例2>
実施例1と同様の方法で調製したIE−WPCを10%の濃度に調整し、蛋白質分解酵素としてパパイン(天野エンザイム社製)を、蛋白質当たり1.0%の割合で添加し、50℃で3時間分解した。分解液のpHが7であったのでそのまま80℃10分間の加熱し、酵素を失活させた。次いで、常法により濃縮し、乾燥し、粉末状のホエイ蛋白質分解物約1kgを得た。本ホエイ蛋白質分解物の非蛋白態窒素比率は45%であった。
本分解物粉末を用い、下表10の配合にて調製した脂肪率45%のクリームを<2.生クリーム使用クリーム製造方法>にて製造した。
ホイップ用クリーム原料に本ホエイ蛋白質分解物を1.76質量%添加して、本ホイップ用クリームを得た。本ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める本ホエイ蛋白質分解物の割合は100%であった。また、ホイップ用クリーム中の蛋白質含量は1.76%であった。得られた本ホイップ用クリームには耐酸性が付与されており、風味も良好であった。
<参考例1:SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動分析>
上記<1.ホエイ蛋白質分解物の製造方法>の方法にて、ホエイ蛋白質分解物を調製した。酵素処理条件は、温度50℃、pH6〜8、加水分解時間5時間であった。
ただし、蛋白質分解酵素として、パパイン(天野エンザイム社製)を、蛋白質当たり0.4質量%、0.5質量%の割合で添加し、非蛋白態窒素比率が分解物の総窒素含量に対してそれぞれ20%、25%となるように調製し、非蛋白態窒素比率20%、25%の各ホエイ蛋白質分解物を製造した。これを乾燥させて粉末状として、クリーム調製ではその乾燥品を用いた。WPC80、非蛋白窒素比率20%の分解物、非蛋白窒素比率25%の分解物について、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動分析を行った(図6)。
なお、分子量マーカーとして、アルドラーゼ(MW42,400)、カルボニックアンヒドラーゼ(MW30,000)、トリプシンインヒビター(MW20,000)、リゾチーム(MW14,400)を用いた。
このように、未分解のホエイ蛋白質濃縮物に比して、それぞれ分子量が小さくなっていることが確認された。
試験例1−3、実施例1−2、参考例1及び比較例1−2に示すように、非蛋白窒素態比率が15〜45%の範囲にしたホエイ蛋白質分解物を使用することで、ホイップ用クリームに優れた耐酸性を付与することができた。
また、非蛋白窒素態比率15〜45%のホエイ蛋白質分解物を、ホイップ用クリーム原料に0.4質量%以上添加することで、ホイップ用クリームに優れた耐酸性を付与することができた。
また、ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める、非蛋白窒素態比率15〜45%のホエイ蛋白質分解物(A)の割合が25%以上になるように調整することで、ホイップ用クリームに優れた耐酸性を付与することができた。
従って、ホエイ蛋白質分解物(A1)を含む乳蛋白質分解物を用いる際には、(a)乳蛋白質分解物の非蛋白態窒素比率が15〜45%であること;(b)乳蛋白質分解物をホイップ用クリーム原料に0.4質量%以上添加すること;(c)ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める乳蛋白質分解物の割合が25%以上に調整することが重要である。
<試験例4:カゼイン分解物:非蛋白態窒素量(分解率の指標)と耐酸性付与効果>
上記<5.カゼイン分解物の製造方法>にて、カゼイン蛋白質分解物を調製した。酵素処理条件は、温度50℃、pH6〜8、加水分解時間5時間であった。
ただし、蛋白質分解酵素として、パパイン(天野エンザイム社製)を、蛋白質当たり0.01質量%、0.03質量%、0.2質量%、0.25質量%、0.3質量%の割合となるように添加し、非蛋白態窒素比率が分解物の総窒素含量に対して、2.3%、5%、14.7%、25%、32.5%の各カゼイン蛋白質分解物を製造した。これを乾燥させて粉末状として、クリーム調製ではその乾燥品を用いた。
下表11の配合にて調製した脂肪率35%のクリームを、上記<5.カゼイン分解物の製造方法>にての方法にて製造した。また、コントロールとして生乳由来の35%脂肪率のクリームを使用した。
上記<7.カゼイン分解物:耐酸性評価法>の方法にてクリームのホイップを行った結果が、図7−8及び表11のとおりである。
非蛋白態窒素比率が32.5%のものはクリームの脂肪球径が7.71μmとなり、クリームの通常の脂肪球径である2〜3μmの範囲外であった。
よって、カゼイン分解物の非蛋白態窒素比率が5〜25%の範囲にあるものが良好であり、10〜20%がより良好であった。また、非蛋白態窒素比率が2.3%のものは、10%クエン酸水溶液をクリームに添加した際、クリームが顕著に増粘し、ホイップ不可能であった。
また、カゼイン分解物の蛋白質窒素比率が5%、14.7%、25%のもののpH4.6でのクリーム粘度、pH4でホップした際のホイップドクリーム比重は図7及び8のとおりであった。カゼイン分解物の蛋白質窒素比率が5%、14.7%、25%の各pH4.6でのクリーム粘度相対値は、それぞれ6%、6%、5%で良好であった。
この結果より、コントロールのクリームと比較して、カゼイン分解物の使用によりホイップドクリームの粘度が低下し、ホイップ可能な粘度となり、耐酸性が付与されたといえる。この酸性粘度(mPa・s)は、100mPa・s以下であり、この粘度相対値(%)は10%以下であった。
このように、非蛋白態窒素比率が5〜25%の範囲のカゼイン分解物を添加することで、良好なホイップ用クリームの耐酸性を付与することができる。また、ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占めるカゼイン分解物の割合が14%以上含み、ホイップ用クリーム中の蛋白質は1.3質量%含んでいた。
よって、非蛋白態窒素比率が5〜25%の範囲のカゼイン分解物を用いることにより、耐酸性が付与されたホイップ用乳クリームを得ることが可能であることが認められた。
<試験例5:カゼイン分解物:クリームに含まれる総蛋白質に占める分解物由来蛋白質の割合の効果>
上記<5.カゼイン分解物の製造方法>にて、カゼイン蛋白質分解物を調製した。酵素処理条件は、温度50℃、pH6〜8、加水分解時間5時間であった。
ただし、蛋白質分解酵素として、パパイン(天野エンザイム社製)を、蛋白質当たり0.2質量%の割合で添加し、非蛋白態窒素比率が分解物の総窒素含量に対して14.7%となるように調製し、非蛋白態窒素比率14.7%の各カゼイン蛋白質分解物を製造した。これを乾燥させて粉末状として、クリーム調製ではその乾燥品を用いた。
下表12の配合にて調製した脂肪率46%のクリームを、上記<5.カゼイン分解物の製造方法>にての方法にて製造した。また、コントロールとして、乳蛋白質分解物の代わりに脱脂粉乳を用いた46%脂肪率のクリームを使用した。
上記<7.カゼイン分解物:耐酸性評価法>の方法にてクリームのホイップを行った結果が、図9−10及び表12のとおりである。
クリームに耐酸性が付与されているほど、酸添加時にクリームの粘度増加が起こらず、ホイップドクリーム比重が低下(気泡が多く入る)する。この結果より、コントロールのクリームと比較して、カゼイン分解物の使用によりホイップドクリームの粘度が低下し、ホイップ可能な粘度となり、耐酸性が付与されたといえる。この酸性粘度(mPa・s)は、500mPa・s以下であり、この粘度相対値(%)は50%以下であった。
このように、非蛋白態窒素比率が5〜25%の範囲のホエイ蛋白質分解物を0.2質量%以上添加することで、良好なホイップ用クリームの耐酸性を付与することができる。また、ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占めるカゼイン分解物の割合が27%含み、ホイップ用クリーム中の蛋白質は2.5質量%含んでいた。
よって、非蛋白態窒素比率が15〜45%の範囲のホエイ蛋白質分解物を用いることにより、耐酸性が付与されたホイップ用乳クリームを得ることが可能であることが認められた。
<試験例6:蛋白質分解酵素の検討>
<パンクレアチンによる乳蛋白質分解物>
上記<5.カゼイン分解物の製造方法>にてカゼイン分解物を調整した。酵素処理条件は、温度50℃、pH6〜8、加水分解時間5時間であった。
ただし、蛋白質分解酵素として、パンクレアチン(パンクレアチン×4.0滅菌品:天野エンザイム社製)を、蛋白質当たり0.02質量%の割合で添加し、非蛋白態窒素比率が分解物の総窒素含量に対して20%となるように調製し、非蛋白態窒素比率20%のカゼイン分解物を製造した。これを乾燥させて粉末状として、クリーム調製ではその乾燥品を用いた。
表13に示す配合のクリームを製造し、pHを4.6にしたところ、クリームの粘度は314mPa・sであり良好であった。
また、pHを4に調整したクリームをホイップしたところ、良好にホイップでき、オーバーランは135%であった。
<トリプシンによる乳蛋白質分解物>
上記<5.カゼイン分解物の製造方法>にてカゼイン分解物を調整した。酵素処理条件は、温度50℃、pH6〜8、加水分解時間5時間であった。ただし、酵素分解物としてトリプシン(ノボザイム社製)を、蛋白質当たり0.02質量%の割合で添加し、非蛋白態窒素比率が分解物の総窒素含量に対して15%となるように調製し、非蛋白態窒素比率15%のカゼイン分解物を製造した。これを乾燥させて粉末状として、クリーム調製ではその乾燥品を用いた。
表14に示す配合のクリームを製造し、pHを4.6にしたところ、クリームの粘度は267mPa・sであり良好であった。
また、pHを4に調整したクリームをホイップしたところ、良好にホイップでき、オーバーランは143%であった。
<ペプシンによる乳蛋白質分解物>
上記<5.カゼイン分解物の製造方法>にてカゼイン分解物を調整した。酵素処理条件は、温度35℃、pH5.6、加水分解時間3時間であった。ただし、酵素分解物としてペプシン(天野エンザイム社製)を、蛋白質当たり1.5質量%の割合で添加し、非蛋白態窒素比率が分解物の総窒素含量に対して15%となるように調製し、非蛋白態窒素比率15%のカゼイン分解物を製造した。これを乾燥させて粉末状として、クリーム調製ではその乾燥品を用いた。
表15の配合でクリームを作成し、クリームを作成したところクリームが著しく増粘(pH4.6粘度が1500mPa・s)となり、ホイップ不能であった。
<試験例7:ホエイ蛋白質分解物・カゼイン分解物の混合系の検討>
<分解物の混合系>
カゼイン分解物(トリプシン使用:非蛋白態窒素量15%)、ホエイ蛋白質分解物(パパイン使用:非蛋白態窒素量25%)を8:2でブレンドした乳蛋白質分解物(トータルの非蛋白態窒素量は17%)を分解物試料として用いた。
表16に示すように配合のクリームを製造し、pHを4.6にしたところ、クリームの粘度は66mPa・s(粘度相対値 6%)であり良好であった。
また、pHを4に調整したクリームをホイップしたところ、良好にホイップでき、オーバーランは218%であった。
<出発原料の混合系:パパイン分解物>
市販のカゼインナトリウム(タツア社製)1kgとWPC80(ミライ社製)250gを10kgの精製水に分散し、水酸化カリウムを添加して溶液のpHを7.0に調整し、85℃で10分間加熱して完全に溶解した。のち溶液を50℃に冷却し、パパインW−40(天野エンザイム社製)を固形分量で当たり0.2%添加し、55℃で5時間保持し、のち酵素の失活と溶液の殺菌を兼ねて85℃で6分間、120℃で15秒間加熱後、噴霧乾燥し、乳蛋白質分解物粉末1.2kgを得た。この乳蛋白質分解物の非蛋白態窒素比率は20%であった。
表17に示すように、配合のクリームを製造し、pHを4.6にしたところ、クリームの粘度は70mPa・s(粘度相対値 6.5%)であり良好であった。
また、pHを4に調整したクリームをホイップしたところ、良好にホイップでき、オーバーランは193%であった。
<出発原料の混合系:パンクレアチン分解物>
市販の乳酸カゼイン(フォンテラ社製)1kgとWPC80(ミライ社製)250gを10kgの精製水に分散し、水酸化ナトリウムを添加して溶液のpHを7.0に調整し、85℃で10分間加熱して完全に溶解した。のち溶液を50℃に冷却し、パンクレアチン×4.0滅菌品(天野エンザイム社製)を固形分量で当たり0.02%添加し、55℃で5時間保持し、のち酵素の失活と溶液の殺菌を兼ねて85℃で6分間、120℃で15秒間加熱後、噴霧乾燥し、乳蛋白質分解物粉末1.2kgを得た。非蛋白態窒素比率は、15%であった。
表18に示す配合のクリームを製造し、pHを4.6にしたところ、クリームの粘度は 65mPa・s(粘度相対値6%)であり良好であった。
また、pHを4に調整したクリームをホイップしたところ、良好にホイップでき、オーバーランは191%であった。
<出発原料の混合系:ペプシン分解物>
市販の乳酸カゼインカリウム(タツア社製)1kgとWPC80(アーラフーズイングレディェンツ社製)250gを10kgの精製水に分散し、85℃で10分間加熱して完全に溶解した。次いで、溶液を45℃に調整し、0.2N塩酸を添加して溶液のpHを5.7に調整し、ペプシン(日本バイオコン社製)を固形分量で当たり2.0%添加し、45℃で5時間保持し、のち酵素の失活と溶液の殺菌を兼ねて85℃で6分間、120℃で15秒間加熱後、噴霧乾燥し、乳蛋白質分解物粉末1.2kgを得た。非蛋白態窒素比率は、17%であった。
表19に示すような配合でクリームを作成し、クリームを作成したところクリームが著しく増粘(pH4.6粘度が1320mPa・s)となり、ホイップ不能であった。
試験例1−3、実施例1−2、比較例1、試験例6及び7に示すように、パパイン、プロメライン、パンクレアチン、トリプシン等の中性プロテアーゼ及びアルカリ性プロテアーゼを用いて得られた乳蛋白質分解物を使用した場合には、ペプシン等の酸性プロテアーゼを用いて得られた乳蛋白質分解物を使用した場合と比較して、ホイップ用クリームに優れた耐酸性を付与することができた。従って、乳蛋白質分解物を得る際には、中性プロテアーゼ及び/又はアルカリ性プロテアーゼを用いることが重要である。
また、ホエイ蛋白質分解物・カゼイン分解物は、ホエイ蛋白質及びカゼインを含む出発原料を酵素分解した分解物でも、ホエイ蛋白質分解物とカゼイン分解物との混合物でも、ホイップ用クリームに優れた耐酸性を付与することができた。ホエイ蛋白質とカゼインとを調整した分解物をホイップ用クリームへの耐酸性に使用することも可能である。このことから、牛乳や脱脂乳の蛋白質を酵素分解した分解物でもホイップ用クリームに優れた耐酸性を付与することができる。
<試験例7:酸性食品及び生クリーム含有のクリーム>
上記<5.カゼイン分解物の製造方法>及び<試験例4:カゼイン分解物>にて、カゼイン分解物を調製した。酵素処理条件は、温度50℃、pH6〜8、加水分解時間5時間であった。
ただし、蛋白質分解酵素として、パパイン(天野エンザイム社製)を、蛋白質当たり0.2質量%の割合となるように添加し、非蛋白態窒素比率が分解物の総窒素含量に対して、14.7%のカゼイン分解物を製造した。これを乾燥させて粉末状として、クリーム調製ではその乾燥品を用いた。
実験例1〜5のクリームの配合は下表20に示す。生クリームとして、生乳由来の35%脂肪率のクリームを使用した。
以下の<別立て><共立て>方法にて、ムース(ホイップドクリーム)を製造した。
<別立て>
1.果実ピューレ、果汁及び砂糖を加えて混ぜる。
2.生クリームを、卓上ミキサーにて、ホイップする。
本技術の乳蛋白質分解物を使用する際には、生クリームに添加後、卓上ミキサーにてホイップする。
3.ゼラチンを溶解し、溶解ゼラチンを、上記2.にて得られたホイップドクリームに混ぜ合わせる。
4.上記1.にて得られた果実ピューレ混合物を、上記3.にて得られたホイップドクリームに入れて混ぜ合わせる。
5.冷蔵庫にて冷却する。
<共立て>
1.果実ピューレ、果汁、砂糖、生クリーム、溶解ゼラチンの各原料を入れ、卓上ミキサーにてホイップする。
本技術の乳蛋白質分解物を使用する際には、卓上ミキサーにてホイップする前に、添加する。
2.冷蔵庫にて冷却する。
<pH測定方法>
<別立て>のpHとは、ムース(ホイップドクリーム)とピューレとを混合した時の測定値であり、<共立て>のpHとは、ホイップ用クリームとピューレとを混合してムース(ホイップドクリーム)を調製した時の測定値である。
<ペネトロ値の測定方法>
ペネトロメーター(中村医科理科製)を使用し、先端角40度(°)、重さ12gの円錐を、ムース表面から自重で落下させ、5秒後に円錐がどのくらいムース中に落下したかを測定し、ペネトロ値を決定した。ペネトロ値の単位はmmである。
<オーバーランの測定方法>
ムースの総体積に占める、気泡体積の割合を測定し、パーセント表示で表したものである。具体的には以下の式により計算した。
オーバーラン(%)=[(ホイップ前のクリームとピューレとの混合物100mLの質量)−(ムース100mLの質量)]÷(ムース100mLの質量)×100
<食感試験及びその評価基準>
上記のようにして得られた本試験例7の各種ムースについて、以下のように食感の官能試験により行った。以下の評価基準に従って10名のパネラーによる点数の平均値を算出した。
〔評価基準 口溶け〕
5点:滑らかで口溶けが非常に良い
4点:滑らかで口溶けが良い
3点:口溶けが普通
2点:滑らかさ及び口溶けが悪い
1点:滑らかさ口溶けが非常に悪い
〔評価基準 風味〕
5点:非常に良い
4点:良い
3点:普通
2点:悪い
1点:非常に悪い
〔評価基準 外観〕
5点:非常に良い
4点:良い
3点:普通
2点:悪い
1点:非常に悪い
〔平均点の評価〕
4.5〜5.0 非常に良い
3.5〜4.5 良い
2.5〜3.5 普通
1.5〜2.5 悪い
0〜1.5 非常に悪い
本カゼイン分解物を添加して本ホイップ用クリームを得た。本ホイップ用クリームを別立て及び共立てにて各ムースを得た。各本カゼイン分解物含有のホイップドクリームは、共に従来の別立て及び共立てのホイップドクリームと比較して、2〜3倍のオーバーランが得られた。このオーバーランが高いほど、よりホイップドクリームの外観、風味、口溶けが良好になる傾向にある。本試験例7の官能評価においても、同様の結果が得られた。
また、上記<試験例4>で使用した非蛋白態窒素比率25%のカゼイン分解物を使用した場合、同等の実験結果が得られた。
従来、共立てにて酸性食品入りのホイップドクリームを得た場合、食感等がよくないため、作業効率の悪い、別立てを行なっていた。共立てよりも別立てがよいことは、本試験例7のコントロール1及び2でも認められている。
このため、別立てを行う場合には、リン酸塩等の安定剤等を従来入れて行っている。例えば、特開平7−274824号では、クエン酸ナトリウム及びヘキサメタリン酸ナトリウム等のリン酸塩の使用が提案されている。しかし、クエン酸ナトリウム0.2g及びヘキサメタリン酸ナトリウム0.2gを使用し、共立てにてホイップドクリームを得たが、オーバーランが35%であり、また官能評価も3以下で好ましい結果が得られなかった。
ところが、乳由来の成分である本カゼイン分解物にて共立て及び別立てにて得られた酸性食品入りのホイップドクリームは、従来の安定化剤と比較して、優れた食感及び風味を有していた。さらに、本カゼイン分解物を使用した場合、別立てよりも共立ての方が、全ての結果値において優れた結果が得られており、作業効率も向上する。従来共立ての方が別立てよりも食感及び風味が劣っているとされていたが、本カゼイン分解物を使用することで、食感及び風味が優れていたことは全くの予想外のことである。

Claims (14)

  1. ホイップ用クリーム原料に乳蛋白質分解物(A)を添加し、かつ以下の(a)〜(d)を満たすことを特徴とするホイップ用クリームの製造方法:
    (a)乳蛋白質分解物(A)の非蛋白態窒素比率が5〜45%であること、
    (b)乳蛋白質分解物(A)をホイップ用クリーム原料に0.2質量%以上添加すること、
    (c)ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める乳蛋白質分解物(A)の割合が14%以上に調整すること、
    (d)乳蛋白質分解物(A)が、中性プロテアーゼ及び/又はアルカリ性プロテアーゼによる分解物であること。
  2. 前記乳蛋白質分解物(A)が、ホエイ蛋白質分解物、カゼイン分解物、牛乳の蛋白質分解物、脱脂乳の蛋白質分解物から選択される1種又は2種以上のものである、請求項1に記載のホイップ用クリームの製造方法。
  3. 前記ホイップ用クリームの粘度相対値が60%以下になる請求項1又は2に記載のホイップ用クリームの製造方法。
  4. ホイップ用クリーム原料に乳蛋白質分解物(A)を添加し、かつ以下の(e)〜(h)を満たすことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のホイップ用クリームの製造方法:
    (e)乳蛋白質分解物(A)がホエイ蛋白質分解物(A1)を含むものであること、
    (f)乳蛋白質分解物(A)の非蛋白態窒素比率が15〜45%であること、
    (g)乳蛋白質分解物(A)をホイップ用クリーム原料に0.4質量%以上添加すること、
    (h)ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める乳蛋白質分解物(A)の割合が25%以上に調整すること。
  5. 前記乳蛋白質分解物(A)が、ホエイ蛋白質分解物をカゼイン分解物よりも多く含むものであり、かつ、ホエイ蛋白質分解物:カゼイン分解物の含有割合が、5〜10:5未満〜0のものである、請求項4に記載のホイップ用クリームの製造方法。
  6. ホイップ用クリーム原料に乳蛋白質分解物(A)を添加し、かつ以下の(i)〜(l)を満たすことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のホイップ用クリームの製造方法:
    (i)乳蛋白質分解物(A)がカゼイン分解物(A2)を含むものであること、
    (j)乳蛋白質分解物(A)の非蛋白態窒素比率が5〜25%であること、
    (k)乳蛋白質分解物(A)をホイップ用クリーム原料に0.2質量%以上添加すること、
    (l)ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める乳蛋白質分解物(A)の割合が14%以上に調整すること。
  7. 前記乳蛋白質分解物(A)が、カゼイン分解物をホエイ蛋白質分解物よりも多く含むものであり、ホエイ蛋白質分解物:カゼイン分解物の含有割合が5未満〜0:5〜10のものである、請求項6に記載のホイップ用クリームの製造方法。
  8. 以下の(m)〜(n)を満たすことを特徴とする、請求項6に記載のホイップ用クリームの製造方法:
    (m)乳蛋白質分解物(A)が、カゼイン分解物をホエイ蛋白質分解物よりも多く含むものであり、かつ(a1)ホエイ蛋白質分解物:カゼイン分解物の含有割合が1〜3:9〜7のもの、(a2)牛乳の蛋白質分解物、又は(a3)脱脂乳の蛋白質分解物であること、
    (n)ホイップドクリームに含まれる総蛋白質に占める乳蛋白質分解物の割合が18%以上に調整すること。
  9. 請求項1〜8の何れか1項に記載の製造方法にて得られたホイップ用クリーム。
  10. 中性プロテアーゼ及び/又はアルカリ性プロテアーゼで分解し、非蛋白態窒素比率が5〜45%の範囲にある乳蛋白質分解物(A)をホイップ用クリーム原料に0.2質量%以上添加して、ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める乳蛋白質分解物(A)の割合が14%以上となるように調整するホイップ用クリームへの耐酸性の付与方法。
  11. 前記乳蛋白質分解物(A)が、ホエイ蛋白質分解物、カゼイン分解物、牛乳の蛋白質分解物、脱脂乳の蛋白質分解物から選択される1種又は2種以上の乳蛋白質分解物である、請求項10に記載のホイップ用クリームへの耐酸性の付与方法。
  12. 前記ホイップ用クリームの粘度相対値が、60%以下である請求項11又は12に記載のホイップ用クリームへの耐酸性の付与方法。
  13. ホイップ用クリーム原料、乳蛋白質分解物(A)及び酸性食品を混合し、かつ以下の(a)〜(d)を満たすことを特徴とする、酸性食品入りホイップドクリームの製造方法:
    (a)乳蛋白質分解物(A)の非蛋白態窒素比率が5〜45%であること、
    (b)乳蛋白質分解物(A)をホイップ用クリーム原料に0.2質量%以上添加すること、
    (c)ホイップ用クリームに含まれる総蛋白質に占める乳蛋白質分解物(A)の割合が14%以上に調整すること、
    (d)乳蛋白質分解物(A)が、中性プロテアーゼ及び/又はアルカリ性プロテアーゼによる分解物であること。
  14. 請求項13に記載の製造方法における混合が、共立てにて行われる、酸性食品入りホイップドクリームの製造方法。
JP2013070523A 2012-09-27 2013-03-28 ホイップ用クリームの製造方法及びホイップ用クリームへの耐酸性の付与方法 Active JP5877564B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013070523A JP5877564B2 (ja) 2012-09-27 2013-03-28 ホイップ用クリームの製造方法及びホイップ用クリームへの耐酸性の付与方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012213969 2012-09-27
JP2012213969 2012-09-27
JP2013070523A JP5877564B2 (ja) 2012-09-27 2013-03-28 ホイップ用クリームの製造方法及びホイップ用クリームへの耐酸性の付与方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014079234A true JP2014079234A (ja) 2014-05-08
JP5877564B2 JP5877564B2 (ja) 2016-03-08

Family

ID=50784071

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013070523A Active JP5877564B2 (ja) 2012-09-27 2013-03-28 ホイップ用クリームの製造方法及びホイップ用クリームへの耐酸性の付与方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5877564B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016067321A (ja) * 2014-09-30 2016-05-09 森永乳業株式会社 ホイップドクリームの製造方法
CN109310107A (zh) * 2016-06-28 2019-02-05 雀巢产品技术援助有限公司 具有改善口感的奶油、所述奶油的制备方法、包含所述奶油的产品以及在食品或饮料生产方面的用途
WO2022185958A1 (ja) * 2021-03-04 2022-09-09 不二製油グループ本社株式会社 光照射による風味劣化の抑制された水系組成物

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6423867A (en) * 1987-07-20 1989-01-26 Fuji Oil Co Ltd Production of foamable o/w-type emulsion
JPH02257838A (ja) * 1988-12-16 1990-10-18 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 耐酸、耐熱性水中油型乳化脂組成物及び該組成物を含有する食品
JPH08154612A (ja) * 1994-12-01 1996-06-18 Asahi Foods Kk 低脂肪分、耐酸性および凍結耐性を有するホイップクリーム組成物並びにその製造方法
JPH0956351A (ja) * 1995-06-16 1997-03-04 Kao Corp 水中油型エマルジョンおよびその製造法
WO2012115144A1 (ja) * 2011-02-22 2012-08-30 三菱化学フーズ株式会社 水中油型乳化物、水中油型気泡含有乳化物および酵素分解乳タンパク混合物

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6423867A (en) * 1987-07-20 1989-01-26 Fuji Oil Co Ltd Production of foamable o/w-type emulsion
JPH02257838A (ja) * 1988-12-16 1990-10-18 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 耐酸、耐熱性水中油型乳化脂組成物及び該組成物を含有する食品
JPH08154612A (ja) * 1994-12-01 1996-06-18 Asahi Foods Kk 低脂肪分、耐酸性および凍結耐性を有するホイップクリーム組成物並びにその製造方法
JPH0956351A (ja) * 1995-06-16 1997-03-04 Kao Corp 水中油型エマルジョンおよびその製造法
WO2012115144A1 (ja) * 2011-02-22 2012-08-30 三菱化学フーズ株式会社 水中油型乳化物、水中油型気泡含有乳化物および酵素分解乳タンパク混合物

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
エネルギー・塩分・栄養素がすぐにわかる 食品と料理の成分早見表, vol. 第18刷, JPN6015026403, 1996, pages 48 - 49, ISSN: 0003228766 *

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016067321A (ja) * 2014-09-30 2016-05-09 森永乳業株式会社 ホイップドクリームの製造方法
CN109310107A (zh) * 2016-06-28 2019-02-05 雀巢产品技术援助有限公司 具有改善口感的奶油、所述奶油的制备方法、包含所述奶油的产品以及在食品或饮料生产方面的用途
WO2022185958A1 (ja) * 2021-03-04 2022-09-09 不二製油グループ本社株式会社 光照射による風味劣化の抑制された水系組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP5877564B2 (ja) 2016-03-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7386912B2 (ja) エンドウ豆タンパク質単離物を含む、ヨーグルト、クリーム、クリームデザート又は冷凍デザートなどの栄養調合物及び調合物のタンパク質源としての使用
JP6830813B2 (ja) 高タンパク果実風味飲料、高タンパク果実および野菜調製物、ならびに関連する方法および食品
JP2012254094A (ja) タンパク質加水分解産物およびそれを作製する方法
US7285301B2 (en) Method for producing nutritionally balanced food compositions
EA035744B1 (ru) Содержащие cmp высокобелковые композиции денатурированного сывороточного белка, содержащие их продукты и их применения
KR20080075116A (ko) 미세발포된 과일 또는 야채 퓨레 및 이의 제조방법
JPWO2005063039A1 (ja) クリーム類、その起泡物若しくは乾燥化粉末並びにそれらの製造法
JP5877564B2 (ja) ホイップ用クリームの製造方法及びホイップ用クリームへの耐酸性の付与方法
JP7355488B2 (ja) ゲル状食品の製造方法
JP2800050B2 (ja) 耐酸、耐熱性水中油型乳化脂組成物及び該組成物を含有する食品
JP5851152B2 (ja) レトルト処理食品用水中油型乳化物
JP2013034462A (ja) 起泡性水中油型乳化物
JP2011244735A (ja) プリン練り込み用水中油型乳化油脂組成物
US20090123604A1 (en) Emulsion food ingredient
JP2022529440A (ja) 乳製品および方法
JP2023115335A (ja) 植物性チーズ様食品の製造方法
JP2011010574A (ja) 起泡性水中油型乳化油脂組成物
JP2010075083A (ja) 殺菌済濃縮牛乳状組成物
JP2012231756A (ja) 水中油型乳化物
JP2011101637A (ja) 起泡性水中油型乳化組成物
SHAH et al. Prospective utilization of valuable dairy by-product: whey.
JP2015077123A (ja) 水中油型乳化脂用乳化材
JP2012075430A (ja) カスタード風味を呈する起泡性水中油型乳化油脂組成物
JP4627058B2 (ja) 酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物
JP5941428B2 (ja) ホイップ用クリーム及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140717

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150526

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150630

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150828

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160105

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160121

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5877564

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250