JP2014079035A - モータ制御装置、およびそれを用いた冷凍機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】
インバータの直流電源電圧の変化によらず、位置情報を精度良く検出することのできるモータ制御装置を提供する。
【解決手段】
直流電力を交流電力に変換するインバータ回路と、前記インバータ回路を駆動するドライブ信号を出力する制御器と、前記インバータ回路によって駆動される電動機と、前記電動機に接続される負荷とを備え、前記インバータ回路の通電方式が120度通電方式であるモータ制御装置において、120度通電時の非通電相に設定した相の端子電圧を検出する開放相起電圧検出手段と、インバータ直流電源電圧を検出するインバータ電源電圧検出手段と、を備え、前記開放相起電圧検出手段及び前記インバータ電源電圧検出手段により得られた検出値の比率が、120度通電の通電相を切替えるための通電モード切替閾値を超えた場合に120度通電の通電相を切替える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、永久磁石モータを駆動するモータ制御装置、およびそれを用いた冷凍機器に関する。
本技術分野の背景技術として、例えば、特開2009−189176号公報(特許文献1)がある。この公報には、「永久磁石モータの状態を監視し、モード切替トリガを発行するモード切替器と、モード切替トリガを受け永久磁石モータのモード切替を行う通電モード決定器と、通電モード決定器の出力に応じてPWM信号をインバータに出力するPWM発生器より永久磁石モータの駆動システムを構成する。モード切替トリガの発生は永久磁石モータの速度起電力が一定若しくは可変の閾値を超えることを条件とする」と記載されている。
特開2009−189176号公報
前記特許文献1に記載の方式には、零速度近傍の極低速領域から永久磁石モータを高効率センサレス駆動するための方法として、120度通電制御を行った場合の非通電相に生じる端子電圧(以下、開放相起電圧と称す)が回転子位置に依存して変化する特性を利用し、この開放相起電圧の大きさが閾値を超えた場合に通電相を切替える方法が記載されている。
しかし、特許文献1に記載の方式における開放相起電圧の大きさは、インバータの直流電源電圧の変化に応じて同じだけ変化しまう。そのため、インバータ直流電源電圧の変化量が大きいほど位置検出誤差が大きくなり、制御性が悪化する可能性がある。
そこで、本発明は、インバータの直流電源電圧の変化によらず、位置情報を精度良く検出することのできるモータ制御装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本発明の一つの特徴は、直流電力を交流電力に変換するインバータ回路と、前記インバータ回路を駆動するドライブ信号を出力する制御器と、前記インバータ回路によって駆動される電動機と、前記電動機に接続される負荷とを備え、前記インバータ回路の通電方式が120度通電方式であるモータ制御装置において、120度通電時の非通電相に設定した相の端子電圧を検出する開放相起電圧検出手段と、インバータ直流電源電圧を検出するインバータ電源電圧検出手段と、を備え、前記開放相起電圧検出手段及び前記インバータ電源電圧検出手段により得られた検出値の比率が、120度通電の通電相を切替えるための通電モード切替閾値を超えた場合に120度通電の通電相を切替える。
なお、本発明のその他の特徴は、本願特許請求の範囲に記載の通りである。
本発明によれば、インバータの直流電源電圧の変化によらず、位置情報を精度良く検出することのできるモータ制御装置を提供することができる。
モータ制御装置の回路構成図の一例である。 リプル電圧を説明するための簡略図の一例である。 モータ制御装置にて駆動する圧縮機の構造を示す簡略図の一例である。 120度通電方式のスイッチング方式の一例である。 モータの2相に電圧を印加する場合の模式図である。 非通電相の起電圧特性図の一例である。 回転角度位置に対する開放相起電圧特性の一例である。 回転角度位置に対する開放相起電圧と基準電圧の関係図の一例である。 通電モード3で通電する場合のスイッチング状態を示す簡略図の一例である。 リプル電圧が開放相起電圧に与える影響を説明するための簡略図の一例である。 リプル電圧が通電モード切替タイミングに与える影響に関する簡略図の一例である。 リプル電圧が通電モード切替タイミングに与える影響に関する簡略図の一例である。 リプル電圧がモータ印加電圧位相に与える影響を説明するための簡略図の一例である。 整流方式切替機能を有するモータ制御装置の回路構成図の一例である。 昇圧チョッパ回路を有するモータ制御装置の回路構成図の一例である。 整流方式切替時の動作を示す簡略図の一例である。 整流方式の切替えが通電モード切替タイミングに与える影響に関する簡略図の一例である。 モータ制御装置における制御器の構成例である。 電圧指令演算器の構成例である。 位置推定器の構成例である。 本実施例における動作例である。 本実施例における動作例である。 開放相起電圧とインバータ直流電源電圧との関係を示す簡略図の一例である。 閾値選択器の構成例である。 モータ制御装置における制御器の構成例である。 位置推定器の構成例である。 本実施例における動作例である。 本実施例における動作例である。 冷蔵庫の構成例である。 冷蔵庫の圧縮機起動時における課題を説明するための簡略図の一例である、 モータ制御装置における制御器の構成例である。 本実施例における動作例である。 本実施例における動作例である。 本実施例の動作検証を行うための回路構成例である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
本実施例におけるモータ制御の回路構成の一例として、図1に、冷蔵庫や空調機器などに用いる圧縮機用モータ制御装置の回路構成の一例を示す。図1に示す回路構成では、交流の商用電源電圧を整流用ダイオードブリッジ1によって全波整流し、平滑用キャパシタ2によって平滑することでインバータ5の直流電源電圧を作成する。例えば、整流ダイオードブリッジ1への入力電圧が実効値100Vの交流電圧であるとき、インバータ5の直流電源電圧はおおよそ141.4V程度となる。尚、入力電圧の周波数により、インバータ5の直流電源電圧には図2に示すような平滑キャパシタ2の静電容量によって決まるリプル電圧が生じる。
インバータ5は制御器8からのドライブ信号によってUVW各相の上下スイッチング素子を駆動することで、インバータ直流電源電圧を交流電圧に変換しモータ6に印加することでモータ6を駆動する。
モータ6は図3に示すように圧縮機9に組み付けられており、圧縮機9は、圧縮機クランク機構によってモータ6の回転運度をピストン運動に変換して冷媒の吸込、圧縮、吐出を行う。尚、本実施例では特に指定が無い限り、モータ6は永久磁石モータとして説明する。
制御器8は、インバータ電源電圧検出手段3によって検出されるインバータ直流電源電圧Edcと、インバータ電流検出手段4によって検出されるインバータに流れる電流Idcと、開放相起電圧検出手段7によって検出されるモータ6の各相電圧Vu_in、Vv_in、Vw_inを入力とし、これらの入力に応じてモータ6に印加する電圧指令値を演算し、演算した電圧指令値に基づいて120度通電制御を行うことで、インバータ5の各スイッチング素子を駆動する。
尚、インバータ電源電圧検出手段3や開放相起電圧検出手段7は、例えば図1に記載のように分圧抵抗を取り付けることで実現できる。また、インバータ電流検出手段4は、例えば図1に記載のようにシャント抵抗を1つ用いたシングルシャント方式によって実現できる。尚、これらの各検出手段については、検出精度向上のためにオペアンプで増幅したり、制御器の保護を目的としてバッファ回路を入れたりしても良い。
まず、本実施例を説明するにあたり、本実施例で用いる120度通電制御方式について各図を用いて説明する。
120度通電制御方式は、図1におけるインバータ5の3相の上下アームの内、2相に対してスイッチング動作をさせる。電気角で180度の位相中120度の期間スイッチングをするため、120度通電制御方式と呼ぶ。
スイッチングさせる方法にはいくつか方式があり、例えば、図4に示した方式の内、いずれかを用いればよい。図4は電気角1周期における上下アームのゲート信号を概念的に示している。図中のGpは上アームのゲート信号、Gnは下アームのゲート信号を意味している。これら上下アームのドライブ信号は、図1における制御器8からインバータ5に対して出力される。尚、モータ6に印加する電圧を決定するためには、電圧の大きさ、電圧の波形、モータ6の回転子位置に対する電圧の位相、の3点を考慮する必要がある。
モータ6を120度通電で駆動する際は、モータ6の3相巻線の内、通電する2相を選択してパルス電圧を印加してトルクを発生させる。通電する2つの相の組み合わせは6通り考えられ、それぞれを通電モード1〜通電モード6と定義する。
図5(a)はV相からW相へ通電している状態の通電モード(後述の通電モード3に対応)を示し、図5(b)は反対にW相からV相へ通電している状態の通電モードを示す図である。
これらに対し、回転子の回転角度位置を電気角1周期分変化させた場合の非通電相(図4ではU相)に現れる起電圧は、図6のようになる。回転角度位置によって、U相の起電圧(U相の端子電圧)が変化することがわかる。
この起電圧はV相とW相に生じる磁束の変化率の差異が、非通電相であるU相にて電圧として観測されたものであり、速度誘起電圧と異なるため、本説明においては、速度誘起電圧と区別し、開放相起電圧と呼ぶこととする。
図6において、実線で示す正パルス印加時の開放相起電圧、および破線で示す負パルス印加時の開放相起電圧は、いずれも速度誘起電圧Emuに比べて大きい。速度誘起電圧は、その名の通り回転子の回転速度に比例して変化する起電圧である。したがって、低速域における速度誘起電圧と非通電相の起電圧の大小関係は、図6に示す関係になる。
したがって、この開放相起電圧を検出すれば、モータ6の回転速度が零速度近傍から低速度域に亘って、比較的大きな回転子の位置信号が得られる。
モータ6の開放相起電圧を検出する場合、開放相起電圧検出手段7を用いる。多くの適用例では、モータの端子電圧が制御器の電源電圧を超えるため、分圧抵抗を用いる。その後、オペアンプで増幅したり、制御器の保護を目的として、バッファ回路を入れたりする。
図7は、U相、V相、およびW相を非通電相とした場合の回転子の回転角度位置θdに対する開放相起電圧特性、インバータ2を構成するスイッチング素子のゲート信号、モータ6の回転子の回転角度位置θd、通電モード、およびスイッチング相関係を示している。
図7から分かるように、図5(a)および(b)に示した電圧パルスは120度通電方式の通常の動作中に印加される。通電モード3において、図7の状態となる。モード回転角度位置θdに応じて電気角60度毎に通電する2相が切り替えられている。つまり、非通電相も順次切り替えられる。
図7において、図5(a)および(b)の状態は、通電モードが通電モード3もしくは通電モード6に対応する。通電モード3もしくは通電モード6においては、U相が非通電相であるため、開放相起電圧はU相の起電圧波形に示した太線のように検出できる。すなわち、回転角度位置θdが増えるにつれ、通電モード3ではマイナス方向に減少し、通電モード6ではプラス方向に増加する開放相起電圧が検出できる。
同様に、通電モード2および通電モード5では、V相の起電圧波形が検出でき、通電モード1および通電モード4では、W相の起電圧波形が検出できる。
図8に、回転角度位置θdに対する、通電モード、非通電相、通電モードに対応した非通電相の開放相起電圧、および基準電圧の関係を示す。開放相起電圧は、通電モードが切り替わる毎に正と負でそれぞれに上昇と減少を繰り返す波形となる。そこで、正側および負側それぞれに、閾値となる基準電圧(Vhp、Vhn)を設定し、この基準電圧と非通電相の開放相起電圧の大小関係から回転角度位置θdを推定でき、これによって通電モード切替のトリガ信号を発生させる。
つまり、基準電圧が通電モードを切り替える所定の位相を表す閾値(以下、通電モード切替閾値と称す)として用いられることになり、検出した非通電相の開放相起電圧がこの閾値を超えると、その時点でモード切替トリガ信号を発生させ通電モードを順に切り替える。前述の通り、開放相起電圧は速度誘起電圧と異なり、モータが停止または極低速で回転している際にも検出可能である。したがって、モータ6の回転速度が零速度近傍から低速度域の場合においても位置センサレス駆動が可能である。このように、非通電相の開放相起電圧を検出することで、モータ6が停止した状態や極低速時においても回転子位置を精度良く検出することができる。また、これに基づいて回転速度も求められる。
ただし、上記の開放相起電圧を用いた120度通電制御においては、インバータ直流電圧の変化を考慮する必要がある。
図9に本実施例における図1に示した回路構成において、インバータのV相上アームとW相下アームをONさせて正パルスを与える場合、すなわち通電モード3での動作例を示す。尚、通電モード3で通電した場合、U相電圧検出値Vu_inに開放相起電圧が検出できる。
モータのUVW各相のインダクタンスや抵抗値がそれぞれ同じ大きさであり、なおかつ、インバータ直流電源電圧にリプル電圧の発生が無い理想系を考えた場合、U相開放相起電圧Vu_inの電圧の大きさは、時間変化によらずインバータ直流電源電圧Edcの1/2の値となる。これは図10(a)に示すように、インバータ直流電源電圧EdcがV相とW相によって分圧されるためである。しかし、実際には平滑キャパシタ2の静電容量と入力電圧(商用電源電圧)の周波数の影響によって、インバータ直流電源電圧Edcにリプル電圧が生じる。よって、図10(b)に示すように、リプル電圧が生じた場合にはインバータ直流電源電圧Edcが変動するため、U相開放相起電圧Vu_inの値もその変動に合わせて変化することになる。
すなわち、開放相起電圧を用いた120度通電制御方式おいては、回転子位置によるモータの磁束変化率の差異により生じる開放相起電圧以外に、インバータ直流電源電圧Edcのリプル電圧変化分の誤差が生じることになる。
図11(a)に120度通電の通電モードを通電モード3から通電モード4に切り替える場合のリプル電圧の影響を示す。通電モード3から通電モード4へ切り替える場合の開放相起電圧は減少傾向にあるが、リプル電圧の変化分だけ小さくなるため、通電モード切替閾値への到達時間が早まる。すなわち、通電モード3から通電モード4へ切り替えるタイミングがリプル電圧によるインバータ直流電圧の変化分によって早まることになる。逆に、通電パルスを負パルスにした場合、例えば通電モード6で動作させた場合には、図11(b)に示すように通電モードの切替タイミングが遅れることになる。
通電モードの切替タイミングがずれることによる影響の一例として、モータ運転効率や振動、騒音の悪化が挙げられる。図12にモータのU相に関わる開放相起電圧特性の一例を示す。尚、本実施例では簡略化のため開放相起電圧の特性を線形で記載する。例えば、図12の点線部で示す本来のU相開放相起電圧特性であれば、通電モード3の区間は、回転角度−30°から30°までの区間となり、回転角度30°の点で通電モード4に切り替わる。
しかし、実際には通電モードの切替タイミングは、先述のようにリプル電圧の変化分の影響を受ける。冷蔵庫や空調機器などの圧縮機用モータ制御装置におけるリプル電圧の大きさは、平滑キャパシタ2の静電容量にもよるが、一般的に5〜10V程度である。
リプル電圧が10Vの場合のU相開放相起電圧の特性を図12中の実線部に示す。リプル電圧変化分10Vの影響を受けることで、通電モード切替閾値への到達タイミングが早まることが分かる。図12に記載のU相開放相起電圧特性の場合では、回転角度にしておよそ15°手前の位置で通電モードが切り替わることになる。よって、図13に示すようにモータのU相誘起電圧位相に対して、U相印加電圧の位相が15°進み位相となることで、モータ運転効率の悪化や、トルク変動による振動、騒音の悪化を引き起こす可能性がある。
また、冷蔵庫や空調機器などの圧縮機においては、近年、消費電力量の低減などを目的として、インバータ直流電源電圧Edcの大きさを調整する機能を有するものが増えている。インバータの直流電源電圧を調整する機能の例としては、図14に示すような整流方式切替手段18を有する回路構成や、図15に示すような昇圧チョッパ回路20を有する回路構成がある。なお、図14および図15に関する説明において先述の符号と同一の構成および機能については説明を省略する。
図14に示す回路構成では、整流方式切替手段17は制御器18からの切替信号により、スイッチの状態をA側あるいはB側に切替える。
整流方式切替手段17のスイッチがA側にある場合、整流回路部19は全波整流回路として動作するため、商用電源電圧を100Vとすれば、インバータ直流電源電圧Edcの大きさはおよそ141.4V程度となる。
また、整流方式切替手段17のスイッチがB側にある場合、整流回路19は全波倍電圧整流回路として動作するため、商用電源電圧を100Vとすれば、インバータ直流電源電圧Edcの大きさは全波整流時の2倍に相当するためおよそ282.8V程度となる。尚、整流方式切替手段17の状態がどちらの状態であっても、実際には整流用ダイオードブリッジ1や回路配線等による電圧降下分が存在するが、ここでは説明の簡略化のため考慮しない。
この整流方式切替手段17は、例えば一般的なコイルと可動接点によるリレーやソリッドステートリレーのような切替スイッチによって構成され、制御器18はインバータの出力電圧やモータ回転数の情報を基に、整流方式切替手段17に対して切替信号を出力する。動作の一例として、インバータ出力電圧を基にした場合の動作について説明する。
一般的に、モータの回転により生じる誘起電圧の大きさはモータ回転速度に比例する。
よって、モータに電流を流すためには、インバータの出力電圧の大きさもモータ回転数速度に比例して大きくする必要がある。しかし、インバータの出力電圧の最大値はインバータ直流電源電圧であるため、モータの回転速度はインバータ直流電源電圧の大きさによって制限を受ける。
そこで、図16に示すように、インバータ直流電源電圧近傍に整流方式切替閾値を設け、インバータ出力電圧が整流方式切替閾値を超えたところで整流方式切替信号を出力し、整流方式切替手段17のスイッチをB側とすればインバータ直流電源電圧Edcを大きくでき、モータをより高速で駆動することが可能となる。
また、インバータ直流電源電圧Edcを可変させる方法として、図15に示すように、整流回路の後段に昇圧チョッパ回路20を加える方法がある。昇圧チョッパ回路20は、インバータ直流電源電圧をリニアに増加させることができるため、先述の整流方式切替方式に比べて、モータの回転速度に適した電源電圧を得ることができ、高効率運転が可能である。その他、降圧チョッパや昇降圧チョッパなどインバータ直流電源電圧Edcを可変させる方法には様々な方法が知られている。
このように、冷蔵庫や空調機器などではインバータの直流電源電圧を昇圧あるいは降圧する場合があり、このようなインバータ直流電源電圧Edcが変化するようなシステムにおいて開放相起電圧を用いた120度通電駆動を行う場合も、先述のようにインバータ直流電源電圧Edcの変化について考慮する必要がある。
例えば、図14に示す整流方式切替手段17を備えた回路構成において、商用電源電圧が100Vかつ整流方式切替手段17のスイッチがA側(全波整流)にある場合、インバータ直流電源電圧Edcはおよそ141.4Vとなる。このときのモータ2のU相開放起電圧の特性と通電モード切替閾値の一例を図17の破線に示す。
これに対して、整流方式切替手段17のスイッチをB側(全波倍電圧整流)にした場合、インバータ直流電源電圧Edcはおよそ2倍の282.8Vとなる。例えば、このときのモータ2に通電モード3で電圧パルスを印加した場合のU相開放起電圧の特性は、先述のようにインバータ直流電源電圧の変化に伴い変化するため、図17の実線で示す特性となる。
整流方式を切替えるような場合においても、先述のリプル電圧の影響を考慮した場合と同様に、インバータ直流電源電圧の変化分によって通電モードを切替えるタイミングにズレが生じることになる。例えば、図17に示す開放相起電圧特性においては、全波整流時(スイッチA側)の開放相起電圧特性に比べて、全波倍電圧整流時(スイッチB側)の開放相起電圧の大きさは2倍程度大きくなる。よって、同じ通電モード切替閾値に対しては、閾値を超えるタイミングが遅れることになり、図17に示した特性においては、通電モード切替タイミングが回転子の回転角度にしておよそ60°遅れることがわかる。
整流方式を切替える場合においては、通電モードの切替タイミングのズレがリプル電圧の影響によるズレよりも大きく、モータ運転効率の悪化や、トルク変動による振動、騒音の悪化がより顕著となるだけでなく、切替タイミングのズレが大きい場合には最悪モータを駆動できない場合もある。
尚、昇圧チョッパ回路や降圧チョッパ回路を用いてインバータ直流電源電圧を可変させた場合の課題については簡略化のため詳細な説明は記載しないが、整流方式切替を行う場合と同様に、インバータ直流電源電圧を変化させた場合には通電モード切替タイミングのズレが発生することが容易に想像できる。
このような課題を解決するために、本実施例では、開放相起電圧の大きさとインバータ直流電源電圧の大きさの比が一定であることに着目し、インバータ直流電源電圧の大きさに対して、開放相起電圧の大きさが占める割合が通電モード切替閾値を超えた時点でモード切替トリガ信号を発生させ通電モードを順に切り替える方法について以下に説明する。
なお、インバータの直流電源電圧が変化するようなシステムの一例として、本実施例では、図1に記載のような交流の商用電源電圧を直流電圧に整流した際に、商用電源電圧周波数により整流後の直流電圧にリプル電圧が発生するようなシステムを用いて説明する。
図18に本実施例における制御器8の制御構成ブロック図の一例を示す。
図18に示すように、制御器8は、モータ6の各相電圧Vu_in、Vv_in、Vw_inと、インバータ直流電源電圧Edcと、通電モード状態を入力として回転子の位置を推定する位置推定器25と、位置推定器25の出力を入力として回転子の位置に応じてインバータの通電モードを決定する通電相選択器26と、モータ回転数などの運転状態により整流方式を切替える倍電圧整流切替選択器11を備え、電圧指令演算器22およびdq逆変換器23により求めたUVW各相の電圧指令値がモータ6に印加されるように、通電相選択器26により決めた通電モードに従って、PWM発生器24からインバータ5のドライブ信号を出力する。尚、インバータ制御構成ブロックにおいては電圧指令値を求めるまでの過程において、速度制御器や電流制御器を介す場合など多様な演算方式があるが、本実施例においては電圧指令値を求める方法に関してはどのような方法でも構わない。
例えば、本実施例における電圧指令演算器22の最も簡素な構成としては、図19に示すような、d軸電圧指令値Vd*をゼロとし、q軸電圧指令値Vq*をモータの速度指令値ω*とモータの誘起電圧定数Keから式1に記載の演算式にて求める構成などが挙げられる。
Vq* = ω* × Ke (式1)
位置推定器25の制御ブロック構成図の一例を図20に示す。図20に示すように、位置推定器25は通電相選択器26の出力(通電モード)と、UVW各相の開放相起電圧Vu_in、Vv_in、Vw_inと、インバータ直流電源電圧Edcを入力とし、通電モードの状態に応じて開放相起電圧選択器27はUVW各相の中から開放相起電圧を選択する。
選択された開放相起電圧Voとインバータ直流電源電圧Edcの値を用いて式2の演算を行う。なお、本実施例においては、開放相起電圧Voには、通電モードの状態に応じて開放相起電圧選択器27で選択されたUVW各相の開放相起電圧Vu_in、Vv_in、Vw_inのいずれかが設定される。以下、式2によって得られる結果を開放相起電圧比率Vopと称する。尚、式2の導出過程については後述する。
Vop={Vo −(Edc/2)}×100/(Edc/2) (式2)
図21に通電モード3での電圧パルスをモータに印加した場合の開放相起電圧比率Vopを示す。図21に示すように、開放相起電圧比率Vopは、インバータ直流電源電圧Edcの1/2をゼロ基準としてみた場合のインバータ直流電源電圧±Edc/2に対する開放相起電圧Voの比率[%]となる。例えば、回転角度−30°から30°までの区間すなわち通電モード3で駆動する区間においては、開放相起電圧比率Vopの値は、+35%から−35%の範囲をとる。よって、通電モードを3から4に切替える閾値は−35%とすれば良い。尚、他の通電モード切替閾値も同様に開放相起電圧比率の特性に従って決定すれば良い。
閾値選択器28は、通電モードの状態を入力として、そのときの通電モードに応じた通電モード切替閾値を選択する。図20では、通電モード切替閾値の正側および負側を切替える構成としているが、その他の構成例としては、図24に示すような1から6までの各通電モードに対して閾値を切替えるものなどが挙げられる。
比較器29は、開放相起電圧比率Vopと通電モード切替閾値を入力とし、開放相起電圧比率Vopが通電モード切替閾値を超えた場合に、通電モード切替トリガを出力する。
動作例を図22に示す。
以上のような構成により、位置推定器25は、開放相起電圧を用いて回転子の位置を推定し、回転子の回転角度に応じて通電モード切替トリガを出力し、通電相切替器26は通電相モード切替トリガがあった場合に通電モードを次の状態へ進めることでインバータを駆動する。
式2の導出過程について以下に説明する。
まず、インバータ直流電源電圧Edcにリプル電圧Vrによる電圧降下が発生しない場合を考える。尚、リプル電圧Vrが発生しない場合のインバータ直流電源電圧をEdc1、開放相起電圧をVo1として説明する。
図23に示すように、モータの3相固定子巻線の抵抗値をそれぞれR1、R2、R3とした場合、通電モード3におけるR2およびR3による分圧比R4は式3で表すことができる。
R4 = R3 /(R2+R3) (式3)
開放相起電圧Vo1の大きさは、インバータ直流電源電圧Edc1と分圧比R4の積で表されるため、式4が得られる。尚、式4によって得られる開放相起電圧Voはリプル電圧Vrがゼロである場合の開放相起電圧を示している。
Vo1 = Edc1 × R4 (式4)
次に、インバータ直流電源電圧Edcにリプル電圧Vrによる電圧降下が発生する場合を考える。リプル電圧Vr発生時のインバータ直流電源電圧Edc2は、式5で表される。
Edc2 = Edc − Vr (式5)
また、リプル電圧Vr発生時の開放相起電圧Vo2は、式6で表される。
Vo2 = Edc2 × R4 =(Edc − Vr) × R4 (式6)
よって、式4および式6より式7が得られる。
Vo1/Vo2 =(Edc1 × R4)/{(Edc − Vr) × R4} (式7)
よって、式7を整理すれば式8が得られる。
Vo1/Edc1 = Vo2/Edc2 (式8)
式8は、リプル電圧Vrが発生しない場合の開放相起電圧Vo1とインバータ直流電源電圧Edc1の比率は、リプル電圧Vrが発生した場合の開放相起電圧Vo2とインバータ直流電源電圧Edc2の比率と同じであることを示している。よって、リプル電圧Vrの発生がある場合においても、開放相起電圧Voとインバータ直流電源電圧Edcの比率の大きさから回転子の回転角度を推定すれば、リプル電圧Vrの発生がない場合と同様の結果を得ることができる。この開放相起電圧Voとインバータ直流電源電圧Edcの比率である開放相起電圧比率Vopは、式9で表される。尚、式9中で100倍するのは開放相起電圧比率Vopを百分率表示にするためである。
Vop = Vo×100/Edc (式9)
ここで、開放相起電圧比率Vopのゼロ基準点をどう扱うかを考える。先述のように、モータのUVW各相のインダクタンスや抵抗値がそれぞれ同じ大きさの理想的なモータであれば、開放相起電圧Voの電圧の大きさはインバータ直流電源電圧Edcの1/2の値となる。実際のモータはインダクタンスや抵抗値等のばらつきにより回転子位置によるモータの磁束変化率が異なるため、回転子位置によって開放相起電圧Voの大きさがインバータ直流電源電圧Edcの1/2に対してずれる。そのため、モータの理想的な状態をゼロ基準点にすると考えれば、インバータ直流電源電圧Edcの1/2をゼロ基準点として扱うのが望ましい。
よって、インバータ直流電源電圧Edcの1/2をゼロ基準点として扱う場合、式9は下式すなわち式2となる。
Vop={Vo −(Edc/2)}×100/(Edc/2) (式2)
尚、本実施例ではリプル電圧Vrが発生する場合のシステムを例として説明したが、本制御構成が、図14に示すような整流方式を切替える機能を備えた制御構成や、図15に示すような昇圧チョッパを備えた制御構成などにも適用可能であることは、式2の導出過程を見れば明らかである。
以上の制御構成を用いることにより、インバータの直流電源電圧が変化するようなシステムにおいても、回転子の位置情報を精度良く検出でき、適切なタイミングで通電相を切替えることができるため、零速度近傍の極低速領域からの高効率駆動が可能なセンサレス駆動方式を実現することが可能となる。
本実施例における課題の異なる解決手段として、インバータ直流電源電圧Edcの変化分を検出し、その変化分に応じて、通電モード切替閾値を可変させる方法を用いても同様の効果を得ることができる。
図25に本実施例における制御器8の制御構成ブロック図の一例を示す。尚、図18に示した制御構成と同一の符号を付された構成と同一の機能を有する部分については、説明を省略する。
図18に示した制御構成との相違点は、位置推定器30の構成である。図26に位置推定器30の制御ブロック構成図の一例を示す。
位置推定器30は、通電相選択器26の出力(通電モード)と、UVW各相の開放相起電圧Vu_in、Vv_in、Vw_inと、インバータ直流電源電圧Edcを入力とし、通電モードの状態に応じて開放相起電圧選択器27がUVW各相の中から開放相起電圧を選択する。また、閾値選択器31は通電モード切替基準閾値を備え、通電モードの状態によって正側の閾値と負側の閾値を切替える。尚、この通電モード切替基準閾値には、ある基準となるインバータ直流電源電圧(例えば、141.4V)のときの閾値を設定し、基準電圧Eには、通電モード切替基準閾値に対応したインバータ直流電源電圧の1/2の値を設定しておく。
図27および図28に位置推定器30を用いた場合において、リプル電圧Vrが発生した場合の動作例を示す。尚、このときの通電モードは3として説明する。
まず、インバータ直流電源電圧の変化分ΔEは式10にて求められる。
ΔE = Edc−Vr (式10)
よって、式10にて求めた直流電圧変化分ΔEを通電モード切替基準閾値に加算することで得られる通電モード切替閾値と開放相起電圧Voを比較器29にて比較し、開放相起電圧Voが通電モード切替閾値を超えた場合に、通電モード切替トリガを出力する。
以上のような構成により、位置推定器30は、開放相起電圧を用いて回転子の位置を推定し、インバータ直流電源電圧の変化に応じて通電モード切替閾値を変化させ、回転子の回転角度に応じて通電モード切替トリガを出力する。
尚、本実施例ではリプル電圧Vrが発生する場合のシステムを例として説明したが、本制御構成が、図14に示すような整流方式を切替える機能を備えた制御構成や、図15に示すような昇圧チョッパを備えた制御構成などであった場合でも直流電圧変化分ΔEの大きさが変わるだけであるため、同様に適用可能であることは明らかである。
以上の制御構成を用いることにより、インバータの直流電源電圧が変化するようなシステムにおいても、回転子の位置情報を精度良く検出でき、適切なタイミングで通電相を切替えることができるため、零速度近傍の極低速領域からの高効率駆動が可能なセンサレス駆動方式を実現することが可能となる。
本実施例では、モータ制御装置を用いた冷凍機および空調機の例を説明する。
なお、実施例1に示した、同一の符号を付された構成と同一の機能を有する部分については、説明を省略する。
実施例2におけるモータ制御装置を用いた冷凍機および空調機の例として、図29に冷蔵庫の構成図を示す。
冷蔵庫33は、図29に示すように、熱交換機34、送風機35、圧縮機36、圧縮機駆動用モータ37、などにより構成されている。また、冷蔵庫制御装置38は、各種センサ情報により、送風機や庫内灯などを制御する庫内制御装置39とモータ制御装置32から構成される。
冷蔵庫用の圧縮機においては、圧縮機駆動用モータ37の回転数を高くするほど高い冷却能力が得られるが、出力電圧も大きくなるため消費電力が増加する。圧縮機駆動用モータ37の回転数を低くすると消費電力は抑えられるが、冷却能力は低くなる。そこで、一般的には冷蔵庫の庫内温度が高い状態のときには圧縮機の運転回転数を高くし冷却能力を上げて、庫内を素早く冷却し、庫内温度が低い状態になったら圧縮機の運転回転数を低くし消費電力を抑えるといった運転方法を行う。
しかし、圧縮機の運転回転数を高くするためには、圧縮機駆動用モータ37の誘起電圧よりも高い電圧をモータに印加する必要があり、インバータの出力電圧の上限値はインバータ直流電源電圧の大きさにより制限を受ける。よって、冷蔵庫に用いる圧縮機駆動用モータ制御装置32は、圧縮機の運転回転数範囲を拡げるために、図14に示すような整流方式を切替えることでインバータ直流電源電圧を2倍に増加させる機能を有する制御構成を用いる場合がある。
また、圧縮機の運転回転数を低くするためには、低速領域での位置検出方法が課題となる。一般的な120度通電方式はモータの速度誘起電圧を検出して回転子の位置を推定するため、低速から極低速領域(例えば1000〜500min-1以下の速度域)では速度誘起電圧が小さく位置検出ができないという課題がある。
そのため、圧縮機の起動時や低速での運転時においては、例えば、位置フィードバックは行わず、予め決定した電流指令値と速度指令値から電圧指令値を決定する同期運転と呼ぶ手法で駆動する。
同期運転中は位置検出ができないため、トルクに直接寄与する電流だけを与えることはできず、無駄な電流も流れてしまう。従って、冷蔵庫の圧縮機駆動用モータの起動時や低速運転時には必要なトルクを得るために、余裕をもった電流を流す必要がある。
消費電力量削減するためには、零速度を含む極低速域においても位置検出を行い、トルクに直接寄与する電流だけを与えることが必要になる。つまり、必要最小限の電流によって圧縮機を運転することにより、消費電力量低減が可能なモータ制御装置およびそれを用いた冷凍機および空調機を提供することが目的の一つである。さらに、高速運転による冷却能力の確保のために、広い速度範囲においてモータを位置センサレスで駆動が可能なモータ制御装置およびそれを用いた冷凍機および空調機を提供することが目的の一つである。
本実施例にて使用する120度通電方式は、速度誘起電圧を用いる一般的なものとは異なり、モータのインダクタンスや抵抗値のばらつきによって生じる回転子位置ごとの磁束変化率の差を利用したものである。120度通電方式による制御中のインバータの非通電相には、回転子位置ごとの磁束変化率の差によって異なる起電圧(開放相起電圧)が観測され、この開放相起電圧は速度誘起電圧とは異なり、モータの停止時から検出可能なため、この開放相起電圧を検出すれば、低速から極低速領域においても回転子の位置を推定することができる。
しかし、上記開放相起電圧の大きさはインバータ直流電源電圧の大きさの変化に合わせて変動するため、例えば、図14に記載のような整流方式を切替える機能を有した制御構成において、圧縮機を起動させる際の加速中に整流回路を切替えて直流電圧を増加させた場合、図30に示すように整流方式を切替えた際の位置推定結果に誤差が生じ、起動できない可能性がある。尚、図30における圧縮機起動完了までのシーケンスについて簡単に説明すると、例えば、運転モードとしては区間A〜区間Cの4つに分けられる。
区間Aは、モータの回転速度がゼロである。つまり、直流の電流が流れることになる。
例えば、通電モード1に固定して電圧を印加した場合は、回転子は−30度の位置に位置決めされる。図33は、通電モード1の電圧印加時の実軸と3相軸の関係図の例である。
ここで、図7の通電モード、およびスイッチング相関係を改めて見ると、通電モード1では、U相+からV相−に電圧が印加される。つまり、U相からV相に電流が流れる。図33では、この電流を太線矢印で示している。この図から、回転子は−30度の位置に位置決めされることが明らかである。
次に期間Bに移行する際、通電モード3に電圧を印加する。回転子が−30度〜+30度の位置にいる場合は、図7から分かるように、通電モード3の電圧を印加することで、最大トルクが発生し、これによってモータは加速する。
なお、ここでは、期間Aにおいて印加する電圧を通電モード1としたが、もちろん他の通電モードの電圧を印加しても良く、期間Bに移った際に、2モード分、回転方向に通電モードを増加させればよい。
前述した120度通電方式によって、通電モードを順次変更することで、モータは加速して回転速度が上昇する。モータの回転速度がN1に達した時点で、整流方式を全波倍電圧整流方式に切替えて運転を継続する。その後、さらにモータが加速し、回転速度がN2に達した時点で、通常運転モードとし、起動シーケンスを終了する。
本実施例におけるモータ制御装置の構成図は、図14に示す構成である。
図14に示す構成においては、整流用ダイオードブリッジ1と平滑用キャパシタ2と整流方式切替手段17により構成される整流回路19によって交流の商用電源電圧をインバータ5の直流電源電圧に変換する。
整流方式切替手段17は、制御器18からの切替信号に応じて、整流ダイオードブリッジ1と平滑キャパシタ2の電気的な接続状態を全波整流(スイッチA側)と全波倍電圧整流(スイッチB側)を切替える。例えば、整流ダイオードブリッジ1への入力電圧が実効値100Vの交流電圧で、整流方式切替手段17のスイッチがA側にあるとき、インバータ5の直流電源電圧はおおよそ141.4V程度となり、スイッチがB側にあるときは2倍の242.8V程度となる。尚、実際には整流用ダイオードブリッジ1や回路配線等による電圧降下分が存在するが、ここでは説明の簡略化のため考慮しない。
その他、実施例1にて説明した同一の符号および構成に関する説明や120度通電方式によるモータ駆動方法については簡略化のためここでは説明しない。
図31に本実施例における制御器8の制御構成ブロック図の一例を示す。尚、図18に示した制御構成と同一の符号を付された構成と同一の機能を有する部分については、説明を省略する。
図31に示す制御構成ブロック図は、図18に示す制御構成に対して整流方式切替手段17への切替信号を出力する整流方式切替判定器が追加されている以外は、実施例1で説明した図18の制御構成と同様である。すなわち、位置推定器25は図20に示すように、通電相選択器26の出力(通電モード)と、UVW各相の開放相起電圧Vu_in、Vv_in、Vw_inと、インバータ直流電源電圧Edcを入力とし、開放相起電圧とインバータ直流電源電圧Edcの比率が通電モード切替閾値を超えた場合に通電モード切替トリガを出力する。
図31に示す制御構成にて冷蔵庫用圧縮機を起動させた場合、図32に示すように整流方式を切替えた際にも位置検出を精度良く行えるため、モータを問題なく加速させることができる。
本実施例によれば、冷蔵庫において圧縮機駆動用モータを駆動する場合に、開放相起電圧を利用した120度通電による高効率センサレス駆動が極低速領域から実現できる。また、整流方式の切替えによって発生するインバータ直流電源電圧の変化にも対応できるため、高速領域についても問題なく運転することができる。すなわち、起動時のような極低速領域においてもトルクに直接寄与する電流だけをモータに流すことができ、従来に比べて消費電力を抑制することでき、高速領域においても駆動が可能なため高い冷却性能を得ることもできる。
各実施例に関わるモータ制御装置、およびそれを用いた駆動装置、冷凍機、空調機の制御器8や制御器18の多くは、マイコン(マイクロコンピュータ)やDSPなどの半導体集積回路(演算制御手段)によって構成され、ソフトウェアなどで実現していることが多い。そのため、上記制御器が正しく構成されているか、検証することが難しいという課題がある。そこで、本実施例においては、各実施例に関する構成が正しく動作しているかを検証する方法について制御器8の制御構成を基に、図34を用いて説明する。
なお、実施例1および2に示した、同一の符号を付された構成と同一の機能を有する部分については、説明を省略する。
検証するにあたり測定が必要な値は、インバータ5のUVW各相のドライブ信号と、インバータ直流電源電圧Edcと、UVW各相の開放相起電圧Vu_in、Vv_in、Vw_inである。
各測定値の検出方法の一例として、まず、ドライブ信号は制御器8の基準電位からの電位差で測定できる。また、インバータ直流電源電圧は、制御器8に入力される値と同じ値を測定し分圧抵抗比を換算することで測定できる。また、UVW各相の開放相起電圧は制御器8に入力される値と同じ値を測定し分圧抵抗比を換算することで測定できる。
検証方法としては、インバータ5のドライブ信号を測定し、その状態からどの通電モードになっているかを判定する。尚、ドライブ信号と通電モードの関係は図7に示す通りである。
さらに、インバータ直流電源電圧と開放相起電圧の値を測定し、比率(開放相起電圧比率Vop)を求め、例えば通電モードが3から4に切り替わる際の開放相起電圧比率Vop1を記録する。その後、交流の商用電源電圧の大きさを変えるなどしてインバータ直流電源電圧を可変させ、再度、通電モードが3から4に切り替わる際の開放相起電圧比率Vop2を記録する。
以上のように、各実施例が正しく動作しているかは、測定したVop1とVop2がおよそ同じ値になるかを確認することで、検証可能である。尚、ここでは例として通電モードが3から4に変わる場合について記載したが、それぞれの通電モードの切り替わり時の開放相起電圧比率についても同様に検証できる。
なお、本発明は上記した各実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した各実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手続き等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現しても良い。また、上記の各構成や機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現しても良い。
モータは、永久磁石モータとして説明したが、その他の電動機(例えば、誘導機、同期機、スイッチトリラクタンスモータ、シンクロナスリラクタンスモータなど)を用いても構わない。その際、電動機によっては電圧指令値作成器での演算方法が変わるが、それ以外については同様に適用でき、本願の目的を達成可能である。すなわち、インバータの直流電源電圧が変化するようなシステムにおいても、回転子の位置情報を精度良く検出でき、零速度近傍の極低速領域からの高効率駆動が可能なセンサレス駆動方式を実現することが可能となる。
1. 整流用ダイオードブリッジ、2. 平滑用キャパシタ、3. インバータ電源電圧検出手段、4. インバータ電流検出手段、5. インバータ、6. モータ、7. 開放相起電圧検出手段、8. 制御器、9.圧縮機、10.ピストン、11.シャフト、12.クランクシャフト、13.シリンダ、14.吸込み口、15.弁、16.吐出口、17.整流方式切替手段、18.制御器、19.整流回路部、20.昇圧チョッパ、21.制御器、22.VdVq圧指令演算器、23.dq逆変換器、24.PWM発生器、25.位置推定器、26.通電相選択器、27.開放相起電圧選択器、28.閾値選択器、29.比較器、30.位置推定器、31.閾値選択器、32.モータ制御装置、33.冷蔵庫、34.熱交換機、35.送風機、36.圧縮機、37.圧縮機駆動用モータ、38.冷蔵庫制御装置、39.庫内制御装置、40.整流方式切替判定器、41.検証手段、100.モータ制御装置

Claims (4)

  1. 直流電力を交流電力に変換するインバータ回路と、前記インバータ回路を駆動するドライブ信号を出力する制御器と、前記インバータ回路によって駆動される電動機と、前記電動機に接続される負荷とを備え、前記インバータ回路の通電方式が120度通電方式であるモータ制御装置において、
    120度通電時の非通電相に設定した相の端子電圧を検出する開放相起電圧検出手段と、インバータ直流電源電圧を検出するインバータ電源電圧検出手段と、を備え、
    前記開放相起電圧検出手段及び前記インバータ電源電圧検出手段により得られた検出値の比率が、120度通電の通電相を切替えるための通電モード切替閾値を超えた場合に120度通電の通電相を切替えることを特徴とする、モータ制御装置。
  2. 直流電力を交流電力に変換するインバータ回路と、前記インバータ回路を駆動するドライブ信号を出力する制御器と、前記インバータ回路によって駆動される電動機と、前記電動機に接続される負荷とを備え、前記インバータ回路の通電方式が120度通電方式であるモータ制御装置において、
    120度通電時の非通電相に設定した相の端子電圧を検出する開放相起電圧検出手段と、インバータ電源電圧検出手段と、を備え、
    前記開放相起電圧検出手段及び前記インバータ電源電圧検出手段により得られたインバータ直流電源電圧値と所定の直流電圧基準値の差分を、120度通電の通電相を切替えるための所定の基準値に加算することで得られる通電モード切替閾値を、前記開放相起電圧検出手段によって得られる開放相起電圧が超えた場合に、120度通電の通電相を切替えることを特徴とするモータ制御装置。
  3. 前記インバータのUVW各相のドライブ信号を測定し通電モードの状態を判定する通電モード測定器と、前記インバータ直流電源電圧を測定する直流電圧測定器と、前記インバータの120度通電時の非通電相の開放相起電圧を測定する開放相起電圧測定器と、を備え、120度通電の通電相を切替える前あるいは切替えた後の前記インバータ直流電源電圧と開放相起電圧の大きさの比率が、通電モード毎に同じ比率であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のモータ制御装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のモータ制御装置を備えたことを特徴とする冷凍機器。
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