JP6002643B2 - 制御装置およびそれを用いた交流電動機システム - Google Patents

制御装置およびそれを用いた交流電動機システム Download PDF

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    • H02P6/18Circuit arrangements for detecting position without separate position detecting elements
    • H02P6/185Circuit arrangements for detecting position without separate position detecting elements using inductance sensing, e.g. pulse excitation

Description

本発明は、交流電動機システムに利用する電動機駆動技術に関する。
家電・産業・自動車などの分野では、例えば、ファン、ポンプ、圧縮機などの回転速度制御、ならびに電動パワーステアリングなどのトルクアシスト機器、さらには、製造装置におけるコンベア、昇降機、位置決め制御などにモータ駆動装置が用いられている。これらの分野のモータ駆動装置では、小形・高効率の交流電動機である永久磁石型同期電動機(以下、「PMモータ」と称する)が幅広く用いられている。しかし、PMモータを駆動するには、モータの回転子の磁極位置の情報が必要であり、そのための、レゾルバやホールIC等の位置センサが必須となる。近年では、この位置センサを用いずに、PMモータの回転数やトルク制御を行うセンサレス制御が普及している。
センサレス制御の実現によって、位置センサにかかる費用(センサそのもののコストや、センサの配線にかかるコスト、センサの取り付け調整作業にかかる費用)が削減でき、また、センサが不要となる分、装置の小型化や、劣悪な環境での使用が可能になるなどのメリットも生まれている。
現在、PMモータのセンサレス制御は、ロータが回転することによって発生する誘起電圧(速度起電圧)を直接検出し、回転子の位置情報としてPMモータの駆動を行う方式や、PMモータの数式モデルから、回転子位置を推定演算する位置推定技術などが採用されている。
PMモータの発生する誘起電圧に基づくセンサレス方法としては、誘起電圧の零クロスに基づく方式がある。この方式は、PMモータを120度通電で駆動し、通電していない相の電圧を検出し、その電圧が零クロスするタイミングをコンパレータによって求め、位相情報を得るものである。しかし、この方式は速度起電圧に基づく方式であるために、停止・低速域ではPMモータを駆動することができない。
また、速度起電圧を用いない位置センサレス方式が提案されており、速度起電圧の発生しない零速度域の位置センサレス方式として、例えば、特開2009−189176号公報(特許文献1)がある。特許文献1では、PMモータの2つの相にパルス電圧を印加すると、PMモータの回転子の位置に応じた起電圧が、通電していない非通電相に発生する。よって、この起電圧(磁気飽和起電圧)を観測することで、回転子の位置(角度)に対する依存性が観測され、低速域での位置センサレス駆動が可能となる。磁気飽和起電圧は、非通電相に発生する電圧であるため、制御側で検出相を選択して、電圧を読み込む必要がある。よって、通電相の切替えを、非通電相の磁気飽和起電圧の大きさを観測しながら、予め設定している閾値に到達した時点で行うようにすれば、位置センサレスでの駆動が実現できる。ここで、通電相の切替えには、「閾値」の設定精度が重要となる。
特開2012−10477号公報(特許文献2)には、この閾値に関する自動調整機能が開示されている。特許文献2では、以下の手順で閾値の自動調整を行う。まず初めに、例えばモード1において直流電流を流し、その通電モードの位置に回転子を引き付けておく。次に、モードを一つ進めて、同じように直流を通電する。その際、モードを切替えた直後の非通電相の電圧が、閾値電圧に一致する。以降その繰り返しによって、特許文献1で重要となる閾値の値を実機から取得可能になる。
特開2009−189176号公報 特開2012−10477号公報
特許文献1は、モータが停止・低速状態において、脱調することなく駆動力を発することができる。しかし、センサレス駆動における重要な設定定数である閾値の自動調整に関する記載がない。
特許文献2は、前述の閾値の自動調整に関する内容が開示されているが以下の問題がある。
第一に、ある通電モードにおいて直流を印加することによって回転子を一旦固定し、その後、次の通電モードに切替えて直流を通電し、その切替直後の起電圧を採取するため、もし、PMモータのイナーシャが小さい場合には、切替えと同時に回転子が移動してしまい、正確な閾値を採取することができなくなってしまう。
第二に、200V級のPMモータの場合、回転子の磁石量を最適化(最小化)して設計しており、代わりに固定子の巻数を上げて、回転トルクを得るような設計が多い。その場合、固定子の電流値によってPMモータの磁束量が大きく変化し、結果的に閾値の適正な値も変化してしまう。すなわち、特許文献1で開示されたセンサレス制御を実現する上で、閾値そのものを、PMモータの回転トルク、あるいは電流値に応じて最適値に設定する必要がある。そうでないと、PMモータの仕様を満たす十分なトルクが得られないばかりか、脱調や不安定な振動を招く可能性がある。
本発明の目的は、零速度近傍において、回転子位置センサを用いずに、高トルクを実現し、かつ高安定な交流電動機の駆動制御装置およびそれを用いた交流電動機システムを提供することにある。
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本発明は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、三相交流電動機の二相を選択して通電し、残りの非通電相の電圧値と、該電圧値に対する閾値との比較に基づいて通電相を切替え、該三相交流電動機を回転駆動する交流電動機の制御装置において、前記閾値の設定は、前記閾値を検出するための閾値検出モードを備えるものとし、該閾値検出モードでは、前記三相交流電動機の回転子を直流通電によって一旦固定し、その後、二相間に交流電流を通電して前記閾値を取得する。
本発明によれば、停止状態からの高速度域までの広い範囲にわたり、高トルクでかつ安定な制御装置およびそれを用いた交流電動機システムを提供できる。
本発明を適用した実施例1に係る制御装置と交流電動機からなる交流電動機システムの構成を表す図である。 実施例1に係るモータへの直流通電時の動作を示す図である。 実施例1に係るモータへの交流通電中の動作を示す図である。 実施例1に係る閾値取得に関するフロー図である。 本発明を適用した実施例2に係る閾値取得に関するフロー図である。 本発明を適用した実施例3に係る交流電動機へのバイポーラパルス電圧の印加を示す図である。 実施例3に係る磁気飽和起電圧と正転、逆転方向の閾値電圧を示す図である。 実施例3に係る閾値取得に関するフロー図である。 本発明を適用した実施例4に係る交流電動機の制御装置の制御器を示すブロック図である。 実施例4に係る閾値取得時の電流波形の立ち上がりを示す図である。 本発明を適用した実施例5に係る交流電動機の制御装置の制御器を示すブロック図である。 実施例5に係る線間電圧、相電流、非通電相起電圧を示す波形図である。 実施例5に係る線間電圧、相電流、非通電相起電圧を示す波形図である。 実施例5に係る線間電圧、相電流、非通電相起電圧を示す波形図である。 本発明を適用した実施例6に係る交流電動機の制御装置の速度・電流制御器を示すブロック図である。 実施例6に係る交流電動機の制御装置の起動時の波形を示す図である。 本発明を適用した実施例7に係る交流電動機の制御装置の速度・電流制御器を示すブロック図である。 実施例7に係る交流電動機の制御装置の定常状態の電流波形を示す図である。 本発明を適用した実施例8に係る交流電動機の制御装置の速度・電流制御器を示すブロック図である。 実施例8に係る交流電動機の閾値の電流依存性を示す図である。 本発明を適用した実施例9に係る交流電動機の制御装置の非通電相起電圧のリンギングを示す図である。 実施例9に係る交流電動機の制御装置の非通電相起電圧に含まれるリンギング期間の測定に関する図である。 実施例9に係る交流電動機の制御装置の制御器を示すブロック図である。 本発明を適用した実施例10に係る交流電動機の制御装置の重なり期間に関する波形図である。 実施例10に係る交流電動機の制御装置の制御器を示すブロック図である。 本発明を適用した実施例11に係る交流電動機の制御装置を用いた汎用インバータを含む交流電動機システムの図である。 従来例における二相間へのパルス電圧印加を示す図である。 従来例における磁気飽和起電圧の回転子位置依存性を示す図である。 従来例における交流電動機の通電相、通電モード、非通電相と、非通電相に発生する起電圧、ならびに通電モードを切替えるための閾値電圧に関する図である。 従来例における通電モードと回転子位置の関係、ならびにモード1における直流通電を示す図である。 従来例における通電モード切替時の非通電相起電圧、回転子位置の変化を示す図である。
まず、本発明の前提となる、速度起電圧を用いない位置センサレス方式について、図面
を用いて説明する。
特許文献1では、図27(a)、(b)に示すように、PMモータの2つの相にパルス電圧を印加すると、PMモータの回転子の位置に応じた起電圧が、通電していない非通電相に発生する。図27ではU相が非通電相になっている。この起電圧は、PMモータの回転子に取り付けられている永久磁石磁束と、通電電流の関係によって、モータ内のインダクタンスが微小に変化することで発生する電圧であり、停止状態においても観測可能である。よって、この磁気飽和起電圧を観測することで、図28に示すような回転子の位置(角度)に対する依存性が観測され、低速域での位置センサレス駆動が可能となる。この起電圧を、回転子が回転することで発生する速度起電圧と区別するために、磁気飽和起電圧と呼んでいる。磁気飽和起電圧は、非通電相に発生する電圧であるため、制御側で検出相を選択して、電圧を読み込む必要がある。
図29に、回転子の位置θdに対する通電相、非通電相、磁気飽和起電圧の関係を示す。通電相は、回転力が最も大きくなる2つの相をθdに応じて選択している。その通電相の切替えは、非通電相の磁気飽和起電圧の大きさを観測しながら、予め設定している閾値、すなわち図29におけるVshp1〜Vshp6、に到達した時点で行うようにすれば、位置センサレスでの駆動が実現できる。
例えば、図29において、回転子の位置がモード1にある場合(210[deg]≦θd≦270[deg])には、U相からV相への通電がなされ、PMモータには正転方向への回転力が発生する。回転子が回転するに従い、モード1での非通電相であるW相の起電圧は減少を開始し、やがて、θd=270[deg]にて閾値Vshp1に一致する。この一致により、通電モードの切替えトリガーが発生し、通電相が切替えられる。ここで明らかなように、通電相の切替えには、「閾値」の設定精度が重要となる。
特許文献2では、この閾値に関する自動調整機能が公開されている。閾値は、基本的にモータの磁気回路特性によって定まるものであるが、磁性材料のばらつきや、作り込み誤差、あるいは電圧検出回路の精度にも依存して変化してしまう。そこで、PMモータやそれを駆動するインバータの個体ばらつきを補正するための自動調整機能が望まれる。
特許文献2では、以下の手順で閾値の自動調整を行う。
まず初めに、例えばモード1において直流電流を流し、その通電モードの位置に回転子を引き付けておく。次に、モード一つ進めて、同じように直流を通電する。その際、モードを切替えた直後の非通電相の電圧が、閾値電圧に一致する。
図30(a)は、モード1〜6の通電ベクトルV1〜V6を示している。例えば、V1は、モード1を選択した時の電圧ベクトル(すなわち、U相からV相への通電時の電圧ベクトル)である。モード1を選択するのは、同図(b)における「M1」の領域に回転子磁束Φmが存在する場合であるが、直流を流し込むことで同図(c)のような電流磁束がモータ内部に発生し、これにロータが引き付けられて、停止する。V1の直流によって固定された状態が同図(d)である。
この図30(d)のΦmの位置は、ちょうどモード2とモード3の境界上にある。すなわち、この位置での非通電相の起電圧を観測すれば、モード2からモード3へ移行するための閾値を得ることができる。
図31に示すように、モード1の状態で直流を通電して、回転子を固定しておくと、この時の回転子位相は−30[deg]である。ここで通電相をモード2に切替え、非通電相V相の起電圧を切替直後にサンプリングすると、それはすなわち、モード2からモード3への切替えの閾値となる。
そのままモード2への直流通電を続けることで、回転子は+30[deg]の位置に移動する。今度は、モード3へ切替えることで、モード3からモード4への切替閾値が得られる。 この繰り返しによって、特許文献1で重要となる閾値の値を実機から取得可能になる。
以上の特許文献2においては、前述したように、切替直後の起電圧を採取する際に回転子が移動してしまい正確な閾値を採取することができない点、閾値そのものをPMモータの回転トルクや電流値に応じて最適値に設定する必要がある点等の課題があり、それを解決するための本発明の実施例を、以下、図面を用いて説明する。
図1〜4を用いて、本発明の実施例1に関わる交流電動機の制御装置について説明する。
この制御装置は、三相交流電動機4の駆動を目的とするものであり、図1に示すように、大別すると、制御器1、電圧検出器2、直流電源31とインバータ主回路32とゲート・ドライバ33を含むインバータ3、電流センサ5を含んで構成される。また、駆動対象である三相交流電動機(PMモータ)4と、この制御装置で交流電動機システムを構成する。
尚、駆動対象としては、本実施例ではPMモータを例に挙げるが、回転子位置に対する磁気飽和特性が得られる電動機であれば、他の種類の交流電動機であっても適用可能である。
図1において、制御器1は、三相から非通電相の起電圧を選択するマルチプレクサー11、閾値を検出するための制御ブロックである閾値検出器12、通常駆動時に機能する速度・電流制御器13、通常駆動時と、閾値検出モードを切替える切替器14、電圧指令をパルス幅変調するPWM(Pulse Width Modulation)発生器15からなる。
通常駆動の場合、切替器14は「A」側に切替えられ、予め設定された閾値と、サンプリング毎に検出される非通電相の起電圧とを比較しながら、通電相の切替えを行う。この時、PMモータの回転数制御やトルク制御が本ブロック内で実施される。速度・電流制御器13の動作は、基本的には公知技術をそのまま用いるものである。
また、閾値検出モードでは、切替器14は「B」側に切替えられ、予め設定されたフローに従い、PMモータへの通電を実施し、通常駆動時に必要となる「閾値」を高精度に取得する。
このフローの詳細を図2、3を用いて説明する。まず、図2に示すように、U相からV相へ直流電流を通電する。この祭、PMモータ4の内部では、直流電流による磁束が発生し、それに引き付けられるように、回転子が移動して固定される。図2の通電モードは、U相が正、V相が負であるから、モード1の通電となり、図30(a)におけるV1の電圧ベクトルを印加していることになる。この位置(θd=−30[deg])に回転子は一旦固定される。次に、通電相を切替え、図3に示すようにU相からW相への通電を行う。ただし、この場合には、平均が零となる交流を印加する。U相からW相への通電はモード2となるが、この時に固定されている回転子位置θd=−30[deg]は、モード2からモード3への境界上にある。よって、ここでの非通電相起電圧は、モード2からモード3への切替時の閾値に一致するため、この交流電流の通電によって閾値が取得できる。
印加している電流が交流であるため、発生トルクの平均は零であり、回転子は回転せず、モード1で位置を固定されたままの状態を保つ。この点が特許文献2との大きな違いである。よって、回転子が移動しないことから、精度よく閾値の取得が可能である。
閾値測定のために流す交流の周波数は、PWMを行う際のキャリア周波数相当が適切と考えているが、起電圧が十分得られる周波数であれば問題ない。ただし、交流の周波数が低すぎると、回転子に振動を発生させるため好ましくない。回転子構造にもよるが、機械的な時定数を考慮すれば、数100Hz以上の周波数であれば問題ない。
また、閾値の適正値がPMモータの駆動条件(特に電流の大きさ)に応じて変化する場合、これら交流電流の振幅を変化させ、実際の駆動電流に相当する交流を流すことで、条件をそろえることができる。
これらの動作をフロー図で示すと、図4となる。まず直流通電を実施し(A01)、回転子を固定し、その後、通電モードを切替えて交流を通電する(A02)。その状態で得られた非通電相(W相)の起電圧が、モード2からモード3への切替閾値になる。図29に示したように、PMモータの閾値は、原理的にはすべて対象となるため、一つの閾値で6つのモードそれぞれの切替閾値が得られることになる。
すなわち、三相交流電動機の回転子を直流通電によって一旦固定し、その後、二相間に交流電流を通電して閾値を取得する。
以上のように、本実施例による交流電動機の制御装置を用いれば、センサレス駆動に必要となる閾値を精度よく取得できる。こうして得られた閾値を用いて、通電相を順次切替えることで、高トルク駆動が可能な低速からの位置センサレス駆動システムが実現できる。
すなわち、本実施例によれば、三相のうちの二相間に通電し、残りの非通電相の起電圧に基づいて通電相の切替タイミングを決定するセンサレス制御において、PMモータの負荷トルクや負荷電流に応じて、適切な通電相の切替えが可能となり、また、その切替えのための閾値の値を、自動的に採取可能なアルゴリズムが実現できる。
この結果、様々な種類のPMモータに対して、停止状態からの高速度域までの広い範囲にわたり、高トルクでかつ安定な交流電動機駆動システムを提供できる。
次に、図5を用いて、本発明の実施例2に関わる交流電動機の制御装置について説明する。
前述した図4では、閾値取得を1回のみ実施し、その値に基づいて、6つのモードのそれぞれの閾値を設定するものであった。しかし、実際のPMモータでは、モータの磁性材料のばらつきや、作り込みの誤差などによって、相毎に起電圧がばらばらになる傾向にある。特に、起電圧を検出する検出回路にも相毎のばらつきがあるため、これらを解決することが望ましい。
そこで、図5に示すように、全通電モードに対して、閾値の取得を行うようにする。図5において、まず初めにモード1にて直流通電を行い(A01)、次にモード2に切替えて交流を印加(A02)、その時の起電圧であるVshp2を取得する(A03)。次に、モード2にて直流通電を行い(A04)、次にモード3に切替えて交流を印加(A05)、その時の起電圧であるVshp3を取得する(A06)。以降、直流通電、モードを切替えて交流を印加、閾値採取、を繰り返す。このように、直流通電と交流通電を、通電モードを変えながら実施すれば、全モードにおける正しい切替閾値が取得可能である。
すなわち、三相交流電動機の二相間に直流を通電することで回転子を一旦固定し、その後、直流を通電した二相とは異なる組み合わせの二相間に交流電流を通電して、閾値を取得し、これらの直流通電ならびに交流通電を少なくとも1回以上の組合せで実施して閾値を検出する。
以上、本実施例による交流電動機の制御装置を用いれば、センサレス駆動に必要となる閾値を相毎のばらつきを考慮した上で精度よく取得可能になる。
次に、図6、7、8を用いて、本発明の実施例3に関わる交流電動機の制御装置について説明する。すなわち、実施例1、2は、いずれも回転子の回転方向が固定(正転方向)であったのに対し、本実施例では逆転まで考慮した閾値の設定方法を提供する。
零速度付近で、回転子の速度やトルクを制御するには、正確な回転子位置がわからなければならない。正転、逆転を実現するため、図6に示すバイ・ポーラPWMを採用する。バイ・ポーラとは、正側、負側の双方にパルスを必ず立てるというPWMの方式である。この双方のパルスに対して、起電圧をそれぞれ観測すると、図7のような関係が得られる。正転方向にトルクを発生させるパルスを「正転パルス」、その逆を「逆転パルス」とすると、得られる起電圧は図7にようになる。ここで正転パルスは従来通りのものだが、逆転パルスによる起電圧が新たに記載されている。正転の閾値と同様、逆転の閾値も設定することで、正転・逆転の連続駆動も可能になる。尚、この逆転駆動に関する記載は、すでに文献1(「磁気飽和による起電圧を利用した永久磁石同期モータの低速センサレス〜零速度近傍の正・逆転駆動〜」平成23年電気学会産業応用部門大会講演論文集、No. 1-163、pp. I-715〜I-720 (2011))にて公開されている。
本実施例は、これら2種類の閾値(正転方向の閾値Vshp1〜6、ならびに逆転方向の閾値Vshn1〜6)の自動調整を実現する。図8がその閾値を自動計測するフロー図である。図5と同様に、すべての通電モードに対して閾値を求めている。
すなわち、図8において、まず初めにモード1に直流通電を行い(B01)、次にモード2において交流を印加し(B02)、モード2から3への閾値を設定する。その後、そのままの状態でモードを3に切替え、再び交流を印加する(B03)。この時得られるのは、モード3からモード2への逆転の閾値である。これは図30(d)に示す通り、モード1で固定した回転子の位置は、モード2と3の境界線上であるため、モード2から3への正転方向の閾値と、モード3から2への逆転方向の閾値の両方が一度に取得可能である。
この閾値取得動作をモード2以降も同時に続けていくことで、PMモータの全モードにおける正転、ならびに逆転方向の閾値が取得可能である。
すなわち、三相交流電動機の二相間に直流を通電することで回転子を一旦固定し、その後、直流を通電した二相とは異なる組み合わせの2通りの二相間に、それぞれ交流電流を通電して、閾値をそれぞれ取得し、これらの直流通電ならびに交流通電を少なくとも1回以上の組合せで実施して閾値を検出する。
次に、図9、10を用いて、本発明の実施例4に関わる交流電動機の制御装置について説明する。
これまでの実施例では、閾値取得のために交流を通電することで、実際のPMモータ駆動時と同等の大きさの電流まで流すことが可能であり、より精度の高い閾値が取得できることを述べた。交流電流は平均値が零であるため、平均の回転力を発生しないが、高振幅の交流をステップ状に一気に与えることで、回転子が瞬間的に移動してしまう場合がある。この動きは、回転子のイナーシャや摩擦力などによって様々であるが、ソフトスタートをかけて、なるべく急峻な変動を与えない方が望ましい。
本実施例では、交流印加開始時において、なるべく回転子にショックを与えないよう、交流電流の振幅を徐々に増加させる動作を提供する。
図9は、本実施例の特徴部分である制御器1Bのブロック図であり、本ブロックを図1の制御器1の代わりに用いることで、第4の実施例が実現できる。
図9では、新たに電圧制限器16が追加されているが、それ以外のブロックは図1のものと同一のものである。電圧制限器16は、閾値取得時にPMモータに印加する交流電圧の振幅の変化率を制限するものである。この電圧制限器16の導入により、電流波形は、図10のようにランプ状に徐々に増加し、回転子への衝撃を無くすことができる。
以上のように、本実施例によれば、交流印加開始時の回転子位置変動を抑制することができ、それによって閾値の検出誤差をさらに低減できる。
次に、図11〜14を用いて、本発明の実施例5に関わる交流電動機の制御装置について説明する。
これまでの実施例では、閾値取得のために交流を通電することで、実際のPMモータ駆動時と同等の大きさの電流まで流すことが可能であり、より精度の高い閾値が取得できることを述べた。しかし、交流を印加した時の電流は、交流の振幅だけでなく、周波数に対しても依存性があるため、条件によっては十分な交流電流が流せない場合が発生する。
この現象を、図12〜14を用いて説明する。例えば、図12のようにV相とW相の線間にパルス状の交流電圧を印加した場合(通電モード3の条件)、相電流Ivが発生するが、その最大値(ピーク値)Ipが所定値I0に満たないとする。そこで、図13のように、最大限までパルス幅を拡大するが、やはりI0には到達しない。すなわち、この周波数で十分な交流電流を流すことは不可能であることがわかる。その場合、図14のように、交流の周波数を下げることで、最大電流を所望の値にまで流すことが可能になる。
これら図12〜14の動作を、自動的に実施するのが、本実施例5である。
図11は、本実施例の特徴部分である制御器1Cのブロック図であり、本ブロックを図1の制御器1の代わりに用いることで、実施例5が実現できる。
図11では、新たに交流周波数設定器17と、電流設定器18が追加されているが、それ以外のブロックは図1のものと同一のものである。交流周波数設定器17は、相電流のピーク値が電流設定器18にて設定された値I0に一致しているかどうかをチェックし、一致していなければ、交流周波数を下げるように動作する。この動作によって、閾値取得に必要な大きさの交流電流をPMモータに印加できるようになり、閾値の検出精度を確保できるようになる。
すなわち、交流電流振幅を予め設定する機能を備え、該交流電流振幅の設定値に至るように、前記交流電流の周波数を調整する手段を備える。
次に、図15、16を用いて、本発明の実施例6に関わる交流電動機の制御装置について説明する。
これまでの実施例では、高精度な閾値取得のための手段について述べてきたが、本実施例では、その取得した閾値を実際に用いてPMモータを駆動する場合のアルゴリズムに関して述べる。
図15は、本実施例の特徴部分である速度・電流制御器13Dのブロック図であり、本ブロックを図1の速度・電流制御器13の代わりに用いることで、実施例6が実現できる。
図15において、速度・電流制御器13Dは、閾値を設定する閾値設定器19、非通電相起電圧の検出値と閾値と比較する閾値比較器20、閾値比較器の出力に基づき、PMモータへの通電モードを決定する通電モード判別器21、電圧指令V0、ならびに通電モード判別器21によって指定された通電動作を行うよう、三相電圧指令を決定する通電相決定器22、起動時の電流を設定する定電流指令I0設定器23、PMモータ4の回転数制御を行うため、電流指令を出力する速度制御器24、PMモータへの電流指令を定電流指令か、速度制御器の出力かを切替える切替器25、制御する相電流を選択する電流選択器26、電流指令と実際の電流値との偏差を演算する減算器27、電流偏差に基づいて、PMモータへの印加電圧V0を演算する電流制御器28、から構成される。
本ブロックの動作は以下の通りである。
これまでの実施例で述べた通り、閾値は所定の電流値に対して最適な値として検出されており、その値は閾値設定器19に格納されている。よって、この閾値と非通電相起電圧との比較によって、通電モードは理想的に切替えられる。ただし、閾値を測定した時の電流値と、実際に流れている電流値が異なっていると、理想的な切替えが成されないことになる。よって、閾値を取得した電流に一致するように、定電流によるPMモータ駆動を行うのが、本実施例の特徴である。
定電流指令I0設定器23において、閾値測定に用いた電流値に等しい電流を設定しておく。起動時は、切替器25が「L」側に切替えられており、常に一定値I0の電流指令が電流制御器28へ与えられる。この結果、駆動電流と設定閾値の条件は一致するため、常に理想的なトルク駆動が実現できるようになる。また、回転数が上昇し、速度起電圧が大きくなったところで、切替器25を「H」側に切替え、速度起電圧によるセンサレス駆動に切替えれば、従来通りの速度制御が実現可能になる。この切替え速度ωr0は、PMモータの特性にも依存するが、5%から15%程度の範囲である。
図16に、本実施例を用いた場合の起動波形を示す。図16(a)は、回転子を含めた機械系のイナーシャが小さい場合の零からの起動波形である。起動開始時刻t0から、速度ωr0に到達するt1までは、電流を一定値I0に制御して加速し、その後、切替器25によって電流指令が切替わり、速度制御器24が動作を開始する。切替え後、回転速度は速度制御器の設定応答に従って上昇し、速度指令ωr*に一致する。図のように、イナーシャが小さい場合には、定電流にて一気に加速され、低速域は一瞬で通り過ぎる。
これに対し、イナーシャが大きな場合には、図16(b)のようにt1までの時間が長くなるが、設定電流に応じたトルクでの加速が可能である。
すなわち、交流電動機の通常駆動時における起動時には、電流を予め設定した値に一致するように制御して加速し、その後、速度制御機能を動作させて回転制御を行う。
このように、従来、低速域での高トルク化が難しかったセンサレス駆動であるが、起動電流と、それに対して適切な閾値を設定することで、無駄のない加速特性が得られるようになり、より安定でかつ高応答な交流電動機の制御装置が実現できる。
次に、図17、18を用いて、本発明の実施例7に関わる交流電動機の制御装置について説明する。
実施例6では、取得した閾値を実際に用いてPMモータを駆動する場合のアルゴリズムに関するものであり、これまでにない高トルク駆動が実現できる一方、低速域は一定電流駆動となってしまうため、速度制御ができないという問題がある。本実施例では、この問題を解決する実施例を示す。
図17は、本実施例の特徴部分である速度・電流制御器13Eのブロック図であり、本ブロックを図1の速度・電流制御器13の代わりに用いることで、実施例7が実現できる。
図17において、速度・電流制御器13Eは、前述の速度・電流制御器13Dに対して、新たに高調波発生器29を設け、その出力を電圧指令V0に加算する加算器30を追加している。さらに、図15における定電流指令I0設定器23、切替器25は削除されている。その他の部品である、閾値設定器19、閾値比較器20、通電モード判別器21、通電相決定器22、速度制御器24、減算器27、電流制御器28は、それぞれ実施例6のものと同じものである。
本ブロックの動作は以下の通りである。
本実施例では、特に低速域において、一定電流による駆動は実施しない。起動時から速度制御器24に基づいて電流制御が実施される。その場合、電流の大きさは、速度制御器によって決定されるため任意の値となり、閾値に設定された値と異なる場合が生じる。そこで、高調波発生器29を導入し、電流に含まれるリプル成分を操作し、常に、閾値を取得した条件の電流ピークとなるように意図的に高調波を印加する。
その様子を図18に示す。閾値取得時の電流をI0とし、その大きさを100%電流とすると、無負荷時には高調波発生器29において高調波量を増やしておき、ピーク値がI0に到達するように調整する(図18(a))。同様に、50%の場合にも高調波量を調整して、ピーク値がI0に到達するようにする(同図(b))。100%負荷時には、基本波のみでI0相当の電流となるため、高調波は不要になる(同図(c))。
すなわち、交流電動機の通常駆動時、前記通電相を流れる電流のピーク値が、予め設定した値に一致するように高調波成分を電圧に加算して制御を行う。
このように、高調波発生器29によって電流ピーク値を調整することで、低速からの任意の速度制御、トルク制御が実現できるようになる。
次に、図19、20を用いて、本発明の実施例8に関わる交流電動機の制御装置について説明する。
実施例7では、取得した閾値に実電流のピーク値が一致するように高調波量を制御し、低速域から安定に速度制御を実現するものであった。この方式は簡便ではあるものの、高調波を印加する必要があるため、不必要な電磁騒音や、高調波損失を増加させる点について考慮されていない。本実施例では、この問題を解決する実施例を示す。
図19は、本実施例の特徴部分である速度・電流制御器13Fのブロック図であり、本ブロックを図1の速度・電流制御器13の代わりに用いることで、実施例8が実現できる。
図19において、速度・電流制御器13Fは、前述の速度・電流制御器13Eに対して、新たに閾値設定器19Fを設けているのが主な特徴であり、高調波発生器29、加算器30は削除されている。
本ブロックの動作は以下の通りである。
閾値設定器19Fは、各通電モードにおける閾値を格納しているが、ここでは、電流値に対する適切な閾値をマップ化して保存している。図20に示すように、閾値の適正値は、通電する電流によって変化する場合があり、この電流に対する閾値を前述の閾値検出モードにおいて取得する。例えば、実施例4のように、交流電流値を徐々に増加させる過程において、非通電相電圧を取得し、それらの値を保存していけば、電流に対する適切な閾値は容易に取得可能である。このようにして得られた電流値に対する閾値情報を元に、閾値設定器19Fにテーブルデータとして記憶させておき、電流に応じて適宜、閾値を変更することで、常に最適な状態での通電モード切替えが可能になる。
すなわち、交流電動機の通常駆動時、閾値検出モードで得られた電流値と閾値の関係を、データマップ、もしくは関数にて内蔵しておき、該データマップ、もしくは関数に基づいて、駆動電流に対する閾値を算出して、交流電動機を駆動する。
よって、本実施例によれば、電磁騒音を生じることもなく、低速からの高応答、高精度なセンサレス駆動が実現できる。
次に、図21〜23を用いて、本発明の実施例9に関わる交流電動機の制御装置について説明する。本実施例では、閾値検出を含めた非通電相起電圧検出のための、事前調整に係わる実施例を示す。
図21(a)に示すように、パルス状の交流電圧Vvwを印加した場合、同図(b)のような電流が発生し、非通電相起電圧Euが発生する。同図(c)に示すように、実際の起電圧にはスイッチングに伴うリンギングが発生する。そこでこのリンギングを避けるために、スイッチング後、所定時間Tをおいて起電圧をサンプリングする必要がある(同図(d))。もし、この所定時間Tが十分短い場合、同図(e)のように、リンギング中の電圧をサンプリングしてしまい、正しい非通電相電圧を検出できないことになる。
これらのリンギング周波数は、数10kHz〜数MHzの領域であり、サンプリング周期が数100μsであるモータ制御の演算周期では、とても検出は不可能である。
そこで、演算処理周期毎に非通電相電圧Euのサンプリングタイミングをずらしていき、リンギングの発生している期間を検出することにする。
図22(a)は、時刻t0において、線間電圧Vvwを期間T0だけ印加した様子を示している。モータには、この電圧が繰り返し印加されるため、毎回同じリンギングを伴う起電圧が非通電相に発生する。まず初めに、t0に対して微小時間Δtだけずらしたt1の時刻でEuをサンプリングし、次の周期では、さらにΔtずらしたt2の時刻でサンプリングする。このような処理を繰り返すことで、リンギングの波形の全容を知ることが可能である。サンプリングの結果、値の変動が収まったことを検出すれば、リンギング期間Tgの大きさが検出できる。
図23に、本実施例の特徴部分である制御器1Gのブロック図を示す。本ブロックを図1の制御器1の代わりに用いることで、実施例9が実現できる。
図23において、制御器1Gは、図11の制御器1Cに対して、新たにリンギング抽出器41、ならびに切替器14gを設けているのが主な特徴である。
本ブロックの動作は次の通りである。閾値検出モードを実施する前に、切替器14gを「D」側に切替えて、リンギング時間の抽出を実施する。リンギング抽出器41では、前述の通りにパルスの印加を繰り返し実施し、その間、非通電相電圧をサンプリングのタイミングを変えて取得する。その結果、リンギングの収束時間Tを取得し、それに合わせて最小パルス幅の設定、あるいは高調波周波数の設定を実施する。
すなわち、閾値検出モードの開始時の動作として、非通電相の電圧波形を複数回数サンプリングし、電圧波形の立ち上がり時の振動範囲を検出し、該検出範囲を避けるように、電圧検出タイミングを設定する。また、前記複数回数サンプリングは、演算処理周期毎にサンプリングを行うものとし、かつ、サンプリングタイミングを徐々にずらすことで実現する。
以上のように、本実施例によれば、リンギング時間を自動的に抽出することが可能であり、より高精度な閾値の取得、ならびに高応答、かつ高安定な交流電動機の制御装置が実現できる。
次に、図24、25を用いて、本発明の実施例10に関わる交流電動機の制御装置について説明する。本実施例では、120度通電駆動に特有の調整要素である重なり期間の取得方法に関する実施例を示す。
図24に示すように、時刻t0にて通電モードをモード1からモード2に切替えた場合、U相の電流は継続して流れ続けるが、V相からW相への電流の切替えが発生する。この際、V相の電流は一瞬で零にはならず、フリーホイールダイオードを経由して、徐々に減少する。同時にW相の電流が立ち上がるため、一瞬だけ三相に同時に電流が流れることになる。この期間(図24のt0からtsの間の期間)を重なり期間と言う。この期間は、通電相を変更した際の電流の減衰期間であり、本来非通電相となるべきV相が通電しているため、非通電相の起電圧検出ができない期間となる。
よって、この期間は起電圧の検出と閾値との比較は不可能であり、「待ち」の時間となる。この期間を避けて、非通電相起電圧をサンプリングする必要があるため、予めこの期間を設定しておく必要がある。図24からもわかるように、重なり期間中は、非通電相起電圧が直流電圧の正か負に必ずクランプされているため、重なり期間であることが確認できる。この期間をカウントし、さらに過渡変動も考慮して1、2サンプル分の余裕を持たせて重なり期間として設定し、非通電相の検出を実施する。
図25に、本実施例の特徴部分である制御器1Hのブロック図を示す。本ブロックを図1の制御器1の代わりに用いることで、実施例10が実現できる。
図25において、制御器1Hは、図23の制御器1Gに対して、新たに重なり期間抽出器42、ならびに切替器14hを設けているのが主な特徴である。
本ブロックの動作は次の通りである。閾値検出モード、あるいはリンギング抽出モードを実施する前に、切替器14hを「E」側に切替えて、重なり期間の抽出を実施する。重なり期間抽出器42では、前述の通りに通電状態でモード変更を実施し、非通電相電圧をサンプリングする。サンプリング結果がインバータの直流電圧にクランプされている期間は重なり期間であるためその期間をカウントし、クランプが解除されたところから1、2サンプル分の余裕を加えて重なり期間とする。
すなわち、閾値検出モードの実施前に、通電相を変更した際の非通電相の電圧をサンプリングして、通電相を変更した際の電流の減衰期間を測定し、非通電相の電圧値と該電圧値に対する閾値との比較を行わない重なり期間を抽出する。
以上のように、本発明の実施例によれば、120度通電独特の重なり期間を自動的に抽出することが可能であり、より高精度な閾値の取得、ならびに高応答、かつ高安定な交流電動機の制御装置が実現できる。
次に、図26を用いて、本発明の実施例11に関わる汎用インバータについて説明する
図26は、三相交流電源44、汎用インバータ45、PMモータ4からなる、汎用インバータを用いた交流電動機システムである。汎用インバータ45は駆動対象であるPMモータ4(交流電動機)の制御装置として動作する。
汎用インバータ45内部には、これまでの実施例で説明した制御器1、電圧検出器2、インバータ3、電流センサ5が含まれている。なお、図1における、インバータ3内の直流電源31は、三相交流電源44を整流して平滑することで直流源を得ている。また、汎用インバータ45を構成する制御器1は、上記説明した実施例の手段を搭載したものである。
上記説明した実施例は、PMモータ4の閾値を正確に抽出可能であり、かつ、低速からの高応答、高トルク駆動が可能なものである。よって、汎用インバータのように、様々なモータが接続されることを前提とした装置には、上記説明した本発明の実施例が特に適したものとなる。すなわち、任意のモータを接続し、閾値の抽出を実施することで、高トルク、高応答なセンサレス駆動が実現できる。
また、上記説明した実施例は、汎用インバータに留まらず、圧縮機(空調用、冷蔵庫用)、ファン、ポンプ(水ポンプ、オイルポンプ)、スピンドルモータや、冷暖房機器、などの回転速度制御を初め、コンベア、昇降機、押し出し機、工作機械などにも適用が可能である。
以上実施例について説明したが、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
1…制御器、2…電圧検出器、3…インバータ、4…三相交流電動機(PMモータ)、
5…電流センサ、31…直流電源、32…インバータ主回路、33…ゲート・ドライバ、
11…マルチプレクサー、12…閾値検出器、13…速度・電流制御器、
14…切替器、15…PWM発生器

Claims (13)

  1. 三相交流電動機の二相を選択して通電し、残りの非通電相の電圧値と、該電圧値に対する閾値との比較に基づいて通電相を切替え、該三相交流電動機を回転駆動する交流電動機の制御装置であって、
    前記閾値の設定は、前記閾値を検出するための閾値検出モードを備えるものとし、該閾値検出モードでは、前記三相交流電動機の回転子を直流通電によって一旦固定し、その後、二相間に交流電流を通電して前記閾値を取得することを特徴とする交流電動機の制御装置。
  2. 請求項1に記載の交流電動機の制御装置であって、
    前記閾値検出モードは、前記三相交流電動機の二相間に直流を通電することで回転子を一旦固定し、その後、直流を通電した二相とは異なる組み合わせの二相間に交流電流を通電して、前記閾値を取得し、これらの直流通電ならびに交流通電を少なくとも1回以上の組合せで実施して前記閾値を検出することを特徴とする交流電動機の制御装置。
  3. 請求項1に記載の交流電動機の制御装置であって、
    前記閾値検出モードは、前記三相交流電動機の二相間に直流を通電することで回転子を一旦固定し、その後、直流を通電した二相とは異なる組み合わせの2通りの二相間に、それぞれ交流電流を通電して、前記閾値をそれぞれ取得し、これらの直流通電ならびに交流通電を少なくとも1回以上の組合せで実施して前記閾値を検出することを特徴とする交流電動機の制御装置。
  4. 請求項1乃至3の何れか1項に記載の交流電動機の制御装置であって、
    前記閾値検出モードにおいて、通電する前記交流電流は、通電開始時から徐々に振幅を増加させることを特徴とする交流電動機の制御装置。
  5. 請求項1乃至4の何れか1項に記載の交流電動機の制御装置であって、
    前記閾値検出モードにおける交流電流振幅を予め設定する機能を備え、該交流電流振幅の設定値に至るように、前記交流電流の周波数を調整する手段を備えることを特徴とする交流電動機の制御装置。
  6. 請求項1乃至5の何れか1項に記載の交流電動機の制御装置であって、
    前記交流電動機の通常駆動時における起動時には、電流を予め設定した値に一致するように制御して加速し、その後、速度制御機能を動作させて回転制御を行うことを特徴とする交流電動機の制御装置。
  7. 請求項1乃至5の何れか1項に記載の交流電動機の制御装置であって、
    前記交流電動機の通常駆動時、前記通電相を流れる電流のピーク値が、予め設定した値に一致するように高調波成分を電圧に加算して制御を行うことを特徴とする交流電動機の制御装置。
  8. 請求項1乃至5の何れか1項に記載の交流電動機の制御装置であって、
    前記交流電動機の通常駆動時、前記閾値検出モードで得られた電流値と前記閾値の関係を、データマップ、もしくは関数にて内蔵しておき、該データマップ、もしくは関数に基づいて、駆動電流に対する閾値を算出して、前記交流電動機を駆動することを特徴とする交流電動機の制御装置。
  9. 請求項1乃至8の何れか1項に記載の交流電動機の制御装置であって、
    前記閾値検出モードの開始時の動作として、前記非通電相の電圧波形を複数回数サンプリングし、電圧波形の立ち上がり時の振動範囲を検出し、該振動範囲を避けるように、電圧検出タイミングを設定する機能を備えることを特徴とする交流電動機の制御装置。
  10. 請求項9に記載の交流電動機の制御装置であって、
    前記複数回数サンプリングは、演算処理周期毎にサンプリングを行うものとし、かつ、サンプリングタイミングを徐々にずらすことで実現することを特徴とする交流電動機の制御装置。
  11. 請求項1乃至10の何れか1項に記載の交流電動機の制御装置であって、
    前記閾値検出モードの実施前に、
    前記通電相を変更した際の非通電相の電圧をサンプリングして、通電相を変更した際の電流の減衰期間を測定し、
    前記非通電相の電圧値と該電圧値に対する閾値との比較を行わない重なり期間を抽出することを特徴とする交流電動機の制御装置。
  12. 請求項1乃至11の何れか1項に記載の交流電動機の制御装置であって、
    該制御装置は、
    前記閾値を取得する制御器と、
    前記三相交流電動機の各相の電圧値を検出する電圧検出器と、
    前記三相交流電動機の各相の電流を検出する電流センサと、
    インバータと、
    を含んで構成されることを特徴とする交流電動機の制御装置。
  13. 請求項1乃至12の何れか1項に記載の交流電動機の制御装置と、該制御装置により駆動される交流電動機からなることを特徴とする交流電動機システム。
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