JP2014078757A - ボンド磁石用フェライト粉末およびこれを用いたボンド磁石 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】塩化物の飽和蒸気圧下で1050℃乃至1300℃の温度で焼成したフェライト粉を粒径の小さな微粉フェライト粉と混合し、800℃乃至1100℃の温度でアニールすると、粒径が大きく、きれいな結晶で、加圧しても保磁力の下がりが低いフェライト粉末を得た。この粉末で作製したボンド磁石は2.0MGOe以上のエネルギー積を有する。
【選択図】なし
Description
複数のピークを有する粒径分布のフェライト粉末を混合した異方性ボンド磁石用フェライト粉末であって、
圧縮密度(CD)が3.5g/cm3以上であり、
圧粉体保磁力(p−iHc)が2100Oe以上であり、
比表面積(SSA)が2.0m2/g以下である異方性ボンド磁石用フェライト粉末を提供する。
フェライト粉の比表面積(SSA)は、BET法に基づいて、ユアサ アイオニクス株式会社製のモノソーブを用いて測定を行った。
フェライト粉の粒度分布は、乾式レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社日本レーザー製、HELOS&RODOS)を用い、focal length=20mm、分散圧5.0bar、吸引圧 130mbarの条件にて測定を行った。
フェライト粉の圧縮密度は、内径2.54cmφの円筒形金型にフェライト粉10gを充填した後、1ton/cm2の圧力で圧縮した。このときのフェライト粉の密度を圧縮密度として測定した。
フェライト粉中の板状粒子の割合は、次の手順により測定した。
(1)フェライト粉4.5gと、NCクリアラッカー5.7gを遠心ボールミル(FRITSCH社製 商品名:PULNERISETTE type702)で分散させる。
(2)分散させた塗料を、アプリケータバーを使用しシート上に塗布した後、塗布面に対して並行に配向磁場5kOeを印加して配向させた(フェライト粒子のC軸方向が塗布面と並行となるため、塗布面の真上から粒子を観測することで粒子のC軸方向の粒径を測定できるようにした)。
(3)乾燥させたシートを走査型電子顕微鏡(JEOL製JSM−T220A)にて観察し、2000倍のSEM写真中、100個以上の粒子について、長軸径(c軸垂直面径)と短軸径(c軸長)を計測した。
(4)長軸径/短軸径=2以上の粒子を板状粒子とし、板状粒子の割合を算出した。
焼成体のカサ密度は、約180mL相当の焼成体を、200mLのメスシリンダーに入れ、焼成体重量と、メスシリンダーの目盛りより算出した。
フェライト粉の磁気特性は、VSM(東英工業株式会社製、VSM P−7−15)を用い、フェライト粉20mgとパラフィン30mgを装置付属のセルに充填し、80℃に過熱してパラフィンを解かした後、室温に冷却することでサンプル粒子をランダムに固定化し、測定磁場10kOeにて測定し、σs(emu/g)、iHc(Oe)を算出した。なお、1Oeは1/4π×103[A/m]である。
フェライト粉の圧粉体保磁力(p−iHc)は、次の手順により測定した。
(1)フェライト粉8gとポリエステル樹脂(日本地科学社製P−レジン)0.4ccを乳鉢中で混練する。
(2)混練物7gを内径15mmφの金型に充填し、2ton/cm2の圧力で40秒間圧縮した。
(3)成型品を金型より抜取り、150℃で30分間乾燥した後、BHトレーサー(東英工業製 TRF−5BH)により測定磁場10kOeで測定した。
混練ペレットのメルトフローレート(MFR)は、メルトフローインデクサー((株)東洋精機製作所製 メルトフローインデクサーC−5059D2(JISK−7210準拠))に供し、270℃、荷重10kgで押し出された重量を測定し、これを10分間あたりの押し出し量に換算することで、メルトフローレート(単位g/10分)とした。
(1)被測定磁性粉91.7重量部,シランカップリング剤0.8重量部,滑剤0.8重量部およびナイロン−6(粉末状)6.7重量部をミキサーにてかき混ぜる。
(2)得られた混合物を230℃で混練して平均径2mmのペレット(コンパウンドの破砕物)にする。
(3)前記(2)で得られたペレットをメルトフローインデクサーに供し、270℃ 荷重10kgで、10分間に押し出された重量を測定し、これをメルトフローレート(単位g/10分)とする。
成形品の磁気特性は、次の手順により評価した。
(1)混練ペレットを、射出成形機(住友重機製)を用い4.3KOeの磁場中にて、温度290℃、成形圧力8.5N/mm2で射出成形し、直径15mm×高さ8mmの円柱状の成形品(磁場の配向方向は円柱の中心軸に沿う方向)を得た。
(2)円柱状の成形品の磁気特性を、BHトレーサー(東英工業製 TRF−5BH)にて測定磁場10kOeで測定した。
(1)粉末Aの製造
酸化鉄と炭酸ストロンチウムとを、モル比で、酸化鉄5.9:炭酸ストロンチウム1になるように秤量した。当該秤量物に対して、0.18重量%のホウ酸、および2.44重量%の塩化カリウムを加えて混合後、水で直径3〜10mmの球状に造粒し、造粒物を大気中150℃にて乾燥させた。造粒物を、容積0.68Lのアルミナ製容器あたり各200g入れ(大気雰囲気)、アルミナ製のフタをした後、電気炉中1245℃で80分間焼成し焼成物を得た。焼成物のカサ密度1.6g/cm3であり、粒子間の焼結がほとんど進んでいないことを確認した。
(2)粉末Bの製造
酸化鉄と炭酸ストロンチウムとを、モル比で、酸化鉄5.5:炭酸ストロンチウム1になるように秤量および混合した後、直径3〜10mmの球状に造粒し、造粒物を大気中150℃にて乾燥させた。造粒物を、容積0.68Lのアルミナ製容器あたり各200g入れ、大気中、電気炉中1070℃で80分間焼成し、焼成物を得た。
当該焼成物をハンマーミルで処理することで粗砕粉末を得た。当該粗砕粉末を遊星ボールミルにて解砕処理し、粒度合成に必要な粉末B量が確保できるまで遊星ボールミルでの解砕処理を繰り返した後、スラリーを纏めてろ過し、得られたケーキを大気中150℃で10時間乾燥させ、乾燥ケーキをミキサーで解砕処理することで、粉末Bを得た。
(3)混合粉(フェライト粉末)の製造
上記(1)で得られた粉末A(70重量部)、(2)で得られた粉末B(30重量部)、および水道水(150重量部)とを秤量し、攪拌翼を有する容器に投入して攪拌混合した。スラリーをろ過、乾燥(大気中150℃で10時間)させた後、乾燥ケーキをミキサーで解砕処理した。当該混合粉を電気炉で大気中970℃にて30分間アニール(焼鈍)して、実施例1に係るフェライト粉末を得た。
実施例1の粉末Aの製造における焼成温度を1260℃とした以外、実施例1と同様に操作して実施例2に係るフェライト粉末を得た。焼成時の各ガス成分の分圧は、塩化カリウム分圧250mmHg、二酸化炭素分圧442mmHg、酸素分圧14mmHgと算出され、焼成物のカサ密度1.6g/cm3であった。
得られた粉末Aは、ピーク粒子径:6.7μm、比表面積:0.6m2/g、σs:56.5emu/g、Hc:1210Oeであり、板状粒子の割合は24%であった。
実施例1の粉末Aの製造における焼成温度を1230℃とした以外、実施例1と同様に操作して実施例3に係るフェライト粉末を得た。焼成時の各ガス成分の分圧は、塩化カリウム分圧190mmHg、二酸化炭素分圧494mmHg、酸素分圧16mmHgと算出され、焼成物のカサ密度1.5g/cm3であった。
得られた粉末Aは、ピーク粒子径:5.2μm、比表面積:0.9m2/g、σs:56.5emu/g、Hc:1590Oeであり、板状粒子の割合は19%であった。
実施例1の粉末Aの製造における塩化カリウムを塩化ナトリウムとした以外、実施例1と同様に操作して実施例4に係るフェライト粉末を得た。焼成時の各ガス成分の分圧は、塩化ナトリウム分圧80mmHg、二酸化炭素分圧589mmHg、酸素分圧19mmHgと算出され、焼成物のカサ密度1.6g/cm3であった。
得られた粉末Aは、ピーク粒子径:5.1μm、比表面積:1.1m2/g、σs:56.4emu/g、Hc:1510Oeであり、板状粒子の割合は21%であった。
実施例2の粉末Aの製造における塩化カリウムを塩化ナトリウムとした以外、実施例2と同様に操作して実施例5に係るフェライト粉末を得た。焼成時の各ガス成分の分圧は、塩化ナトリウム分圧150mmHg、二酸化炭素分圧528mmHg、酸素分圧17mmHgと算出され、焼成物のカサ密度1.8g/cm3であった。得られた粉末Aは、ピーク粒子径:6.3μm、比表面積:0.8m2/g、σs:56.5emu/g、Hc:1330Oeであり、板状粒子の割合は28%であった。
実施例1の粉末Aの製造における塩化カリウムを混合しなかったこと以外、実施例1と同様に操作して造粒物を得た。造粒物35gを載せたアルミナ製のボートと、塩化カリウム0.85g(造粒物に対して2.43重量%相当)を、容積1.0Lの管状炉に入れ、(外部からガスを導入することなく)1260℃で80分間焼成し焼成物を得た。なお、管状炉は容積1.0L(内径85mmφ、管長200mm)の管全体が加熱される構造で、管の両端には内径5mmのガス導入(排出)管が取り付けられているおり、管状炉内の内圧が上がれば、ガス導入管を通して、ガスが外部に逃げるようになっているものを使用した。
実施例6と同様に操作して塩化カリウムを含まない造粒物を得た。造粒物35gを載せたアルミナ製のボートと、塩化カリウム150gを投入したアルミナ製の坩堝を、実施例5記載の管状炉(容積1.0L)に入れ、塩化カリウムの坩堝側から空気を0.2L/minで導入しながら1260℃で80分間焼成し焼成物を得た。焼成後管状炉内の坩堝を確認したところ、塩化カリウムが残っていた。
実施例1の粉末Aの製造における湿式解砕をサンドグラインダー(五十嵐機械製造株式会社製 1/4 G1H 146)で処理したこと以外、実施例1と同様に操作して実施例8に係るフェライト粉末を得た。得られた粉末Aは、ピーク粒子径:5.0μm、比表面積:0.8m2/g、σs:55.6emu/g、Hc:1760Oeであり、板状粒子の割合は11%であった。
実施例1の粉末Aの製造における湿式解砕をパールミル(アシザワファインテック製スターミルAMS1)で処理したこと以外、実施例1と同様に操作して実施例9に係るフェライト粉末を得た。得られた粉末Aは、ピーク粒子径:5.3μm、比表面積:0.9m2/g、σs:55.9emu/g、Hc:1720Oeであり、板状粒子の割合は23%であった。
実施例1のアニール前の混合粉を、振動ボールミル(村上精機製:Uras Vibrator KEC−8−YH)で処理した後、アニールしたこと以外、実施例1と同様に操作して実施例10に係るフェライト粉末を得た。
実施例8のアニール前の混合粉を、振動ボールミル(村上精機製:Uras Vibrator KEC−8−YH)で処理した後、アニールしたこと以外、実施例8と同様に操作して実施例11に係るフェライト粉末を得た。
実施例1の粉末Aの製造における焼成時のアルミナ容器にフタをしなかった以外、実施例1と同様に操作して比較例1に係るフェライト粉末を得た。焼成時の各ガス成分の分圧は、塩化カリウム分圧0mmHg、二酸化炭素分圧0mmHg、酸素分圧160mmHgと算出され、焼成物のカサ密度2.4g/cm3であった。
比較例1の粉末A製造における遊星ボールミルでの解砕処理を、湿式粉砕機・ウエットミル(WM)での粉砕処理とした以外、比較例1と同様に操作して比較例2に係るフェライト粉末を得た。得られた粉末Aは、ピーク粒子径:4.8μm、比表面積:1.9m2/g、σs:55.1emu/g、Hc:1220Oeであった。SEM観察の結果、粉砕中に発生したと考えられる鋭角の角を持ったサブミクロン以下の微粒子が多数存在していることが確認された。サブミクロン以下の微粒子が多数観察されたため、サブミクロン以下の微粒子を除いて板状粒子の割合を算出した結果、板状粒子の割合は67%であり、板状粒子が多いことが確認された。
実施例1の粉末Aの製造におけるホウ酸0.18重量%をメタホウ酸ナトリウム四水和物(NaBO2・4H2O)2.1重量%に変更し、塩化カリウム量を2.1重量%、焼成時のアルミナ容器にフタをせず大気中1200℃で2時間焼成し、焼成物を湿式粉砕機・ウエットミル(WM)で粉砕処理した。それ以外は、実施例1と同様に操作することにより比較例3に係るフェライト粉末を得た。焼成時の各ガス成分の分圧は、塩化カリウム分圧0mmHg、二酸化炭素分圧0mmHg、酸素分圧160mmHgと算出され、焼成物のカサ密度2.2g/cm3であった。
実施例1の粉末Aの製造における焼成温度を1010℃とした以外、実施例1と同様に操作して比較例4に係るフェライト粉末を得た。焼成時の各ガス成分の分圧は、塩化カリウム分圧20mmHg、二酸化炭素分圧641mmHg、酸素分圧21mmHgと算出され、焼成物のカサ密度1.5g/cm3であった。
実施例1の粉末Aと粉末Bの混合比率を、55重量部:45重量部とした以外、実施例1と同様に操作して比較例5に係るフェライト粉末を得た。
実施例1のアニール温度750℃とした以外、実施例1と同様に操作して比較例6に係るフェライト粉末を得た。得られたフェライト粉末は、ピーク粒径:1.2μm、5.3μm、比表面積:2.1m2/g、圧縮密度:3.56g/cm3、σs:55.4emu/g、Hc:2760Oe、p−iHc:2030Oeであり、圧縮密度は確保されているものの、アニールが不十分で結晶歪を十分に取り除くにはいたらず、p−iHcが不足したと考えられる。
実施例1で得られたフェライト粉91.7重量部、シラン系カップリング剤(東レダウコーニング製、Z−6094N)0.8重量部を添加し、ミキサー(共立理工製、SK−10型)で撹拌して当該フェライト粉末の表面処理を行った。次に、当該フェライト粉末へ、粉末状の6−ナイロン(宇部興産株式会社製、P−1011F)6.7重量部と、滑剤(ヘンケル製、VPN―212P)0.8重量部とを添加し、混合物を得た。
実施例2で得られたフェライト粉を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行い、フェライト粉含有量92重量部相当の混練ペレットとボンド磁石、および、フェライト粉含有量93重量部相当の混練ペレットを得た。混練ペレットのメルトフローレートは110g/10min(92重量部相当)、46g/10min(93重量部相当)であった。ボンド磁石の磁気特性は、Br:3080G、iHc:2140Oe、BHmax:2.24MGOeであった。十分な流動性(MFR)とiHcを確保することで、4.3kOeの低磁場配向においても、BHmaxの高いボンド磁石を得ることができた。
実施例8で得られたフェライト粉を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行い、フェライト粉含有量92重量部相当の混練ペレットとボンド磁石を得た。混練ペレットのメルトフローレートは130g/10minであり、ボンド磁石の磁気特性は、Br:3040G、iHc:2460Oe、BHmax:2.22MGOeであった。十分な流動性(MFR)とiHcを確保することで、4.3kOeの低磁場配向においても、BHmaxの高いボンド磁石を得ることができた。
実施例10で得られたフェライト粉を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行い、フェライト粉含有量92重量部相当の混練ペレットとボンド磁石を得た。混練ペレットのメルトフローレートは161g/10minであり、ボンド磁石の磁気特性は、Br:3180G、iHc:2620Oe、BHmax:2.46MGOeであった。十分な流動性(MFR)とiHcを確保することで、4.3kOeの低磁場配向においても、BHmaxの高いボンド磁石を得ることができた。
実施例11で得られたフェライト粉を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行い、フェライト粉含有量92重量部相当の混練ペレットとボンド磁石を得た。混練ペレットのメルトフローレートは158g/10minであり、ボンド磁石の磁気特性は、Br:3180G、iHc:2600Oe、BHmax:2.47MGOeであった。十分な流動性(MFR)とiHcを確保することで、4.3kOeの低磁場配向においても、BHmaxの高いボンド磁石を得ることができた。
比較例1で得られたフェライト粉を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行い、フェライト粉含有量92重量部相当の混練ペレットを得た。混練ペレットのメルトフローレートは18g/10minであり、流動性が不足しているため、ボンド磁石の成形はできなかった。
比較例2で得られたフェライト粉を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行い、フェライト粉含有量92重量部相当の混練ペレットを得た。混練ペレットのメルトフローレートは56g/10minであり、ボンド磁石の磁気特性は、Br:2760G、iHc:2320Oe、BHmax:1.90MGOeであった。フェライト粉の圧縮密度が低く、流動性(MFR)も不足しているため、4.3kOeの低磁場配向においては、残留磁束密度が低下し、目的とするBHmaxを得ることができなかった。
比較例3で得られたフェライト粉を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行い、フェライト粉含有量92重量部相当の混練ペレットを得た。混練ペレットのメルトフローレートは8g/10minであり、流動性が不足しているため、ボンド磁石の成形はできなかった。
比較例4で得られたフェライト粉を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行ったが、フェライト含有量92重量部では混練時の流動性が不足し、混練ペレットを得ることができなかった。
比較例5で得られたフェライト粉を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行い、フェライト粉含有量92重量部相当の混練ペレットとボンド磁石を得た。混練ペレットのメルトフローレートは71g/10minであり、ボンド磁石の磁気特性は、Br:2810G、iHc:2350Oe、BHmax:1.93MGOeであった。iHcは確保できているものの、フェライト粉の圧縮密度が低く、流動性(MFR)も不足しているため、4.3kOeの低磁場配向においては、残留磁束密度が低下し、目的とするBHmaxを得ることができなかった。
比較例6で得られたフェライト粉を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行い、フェライト粉含有量92重量部相当の混練ペレットとボンド磁石を得た。混練ペレットのメルトフローレートは76g/10minであり、ボンド磁石の磁気特性は、Br:2740G、iHc:1990Oe、BHmax:1.85MGOeであった。残留磁束密度はある程度あったものの、Hcが不足し、4.3kOeの低磁場配向において目的とするBHmaxを得ることができなかった。
実施例2の粉末Aの製造における湿式解砕を湿式粉砕機・ウエットミル(WM)で処理したこと以外、実施例2と同様に操作して実施例17に係る粉末Aを得た。得られた粉末Aは、ピーク粒子径:6.2μm、比表面積:0.7m2/g、σs:56.4emu/g、Hc:1200Oeであり、板状粒子の割合は22%であった。
実施例2の粉末Aの製造における塩化カリウムの添加量を2.80wt%とし、湿式解砕を湿式粉砕機・ウエットミル(WM)で処理したこと以外、実施例2と同様に操作して実施例18に係る粉末Aを得た。得られた粉末Aは、ピーク粒子径:6.0μm、比表面積:0.7m2/g、σs:56.5emu/g、Hc:1230Oeであり、板状粒子の割合は19%であった。
実施例1の粉末Aの製造における塩化カリウムを塩化マグネシウムに変更し、添加量を2.25wt%とした以外、実施例1と同様に操作して実施例19に係る粉末Aを得た。得られた粉末Aは、ピーク粒子径:5.1μm、比表面積:0.8m2/g、σs:56.1emu/g、Hc:1530Oeであり、板状粒子の割合は25%であった。
(1)粉末Aの原料粗砕粉末の製造
酸化鉄の炭酸ストロンチウムとを、モル比で酸化鉄5.9:炭酸ストロンチウム1になるように秤量した。当該秤量物に対して、0.18重量%のホウ酸、および2.44重量%の塩化カリウムを加えて混合後、水で直径3〜10mmの球状に造粒し、造粒物を大気中150℃にて乾燥させた。造粒物を、容積0.68Lのアルミナ製容器あたり各200g入れ(大気雰囲気)、アルミナ製のフタをした後、電気炉中1260℃で80分間焼成し焼成物を得た。焼成物のカサ密度1.6g/cm3であり、粒子間の焼結がほとんど進んでいないことを確認した。当該焼成物をハンマーミル(不二パウダル製 エックサンプルミルKII型)で処理することで、粉末Aの原料粗砕粉末を得た。
酸化鉄と炭酸ストロンチウムとを、モル比で、酸化鉄5.5:炭酸ストロンチウム1になるように秤量および混合した後、水で直径3〜10mmの球状に造粒し、造粒物を大気中150℃にて乾燥させた。造粒物を、容積0.68Lのアルミナ製容器あたり各200g入れ(大気雰囲気)、アルミナ製のフタをした後、電気炉中1020℃で80分間焼成し焼成物を得た。当該焼成物をハンマーミル(不二パウダル製 エックサンプルミルKII型)で処理することで,粉末Bの原料粗砕粉末を得た。
上記(1)で得られた粉末Aの原料粗砕粉(70重量部)、(2)で得られた粉末Bの原料粗砕粉(30重量部)および水道水(150重量部)を秤量し、湿式粉砕機・ウエットミル(WM)を用いて同時に分散処理した後、スラリーをろ過し、得られたケーキを大気中150℃で10時間乾燥させ、乾燥ケーキをミキサー(共立理工株式会社製の商品名サンプルミルSK−M10)で解砕処理することで、得られた混合粉を、振動ボールミル(村上精機製:Uras Vibrator KEC−8−YH)で処理した後、アニールすることで実施例20に係るフェライト粉を得た。
アニール前の混合粉を、実施例2で得られた粉末Aと実施例1で得られた粉末Bとし、混合比率(粗/微)を65重量部(粉末A)/35重量部(粉末B)に変更して得た混合粉を、振動ボールミル(村上精機製:Uras Vibrator KEC−8−YH)で処理した後、アニールしたこと以外、実施例1と同様に操作して実施例21に係るフェライト粉末を得た。
アニール前の混合粉の混合比率(粗/微)を75重量部(粉末A)/25重量部(粉末B)に変更して得た混合粉を、振動ボールミル(村上精機製:Uras Vibrator KEC−8−YH)で処理した後、アニールしたこと以外、実施例1と同様に操作して実施例22に係るフェライト粉末を得た。
実施例17で得られたフェライト粉を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行い、フェライト粉含有量92重量部相当の混練ペレットとボンド磁石を得た。混練ペレットのメルトフローレートは161g/10minであり、ボンド磁石の磁気特性は、Br:3240G、iHc:2170Oe、BHmax:2.57MGOeであった。十分な流動性(MFR)とiHcを確保することで、4.3kOeの低磁場配向においても、BHmaxの高いボンド磁石を得ることができた。
実施例18で得られたフェライト粉を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行い、フェライト粉含有量92重量部相当の混練ペレットとボンド磁石を得た。混練ペレットのメルトフローレートは217g/10minであり、ボンド磁石の磁気特性は、Br:3270G、iHc:2240Oe、BHmax:2.61MGOeであった。十分な流動性(MFR)とiHcを確保することで、4.3kOeの低磁場配向においても、BHmaxの高いボンド磁石を得ることができた。
実施例19で得られたフェライト粉を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行い、フェライト粉含有量92重量部相当の混練ペレットとボンド磁石を得た。混練ペレットのメルトフローレートは139g/10minであり、ボンド磁石の磁気特性は、Br:3150G、iHc:2470Oe、BHmax:2.42MGOeであった。十分な流動性(MFR)とiHcを確保することで、4.3kOeの低磁場配向においても、BHmaxの高いボンド磁石を得ることができた。
実施例20で得られたフェライト粉を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行い、フェライト粉含有量92重量部相当の混練ペレットとボンド磁石を得た。混練ペレットのメルトフローレートは115g/10minであり、ボンド磁石の磁気特性は、Br:3200G、iHc:2190Oe、BHmax:2.52MGOeであった。十分な流動性(MFR)とiHcを確保することで、4.3kOeの低磁場配向においても、BHmaxの高いボンド磁石を得ることができた。
実施例21で得られたフェライト粉を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行い、フェライト粉含有量92重量部相当の混練ペレットとボンド磁石を得た。混練ペレットのメルトフローレートは115g/10minであり、ボンド磁石の磁気特性は、Br:3170G、iHc:2350Oe、BHmax:2.45MGOeであった。十分な流動性(MFR)とiHcを確保することで、4.3kOeの低磁場配向においても、BHmaxの高いボンド磁石を得ることができた。
実施例21で得られたフェライト粉を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行い、フェライト粉含有量92重量部相当の混練ペレットとボンド磁石を得た。混練ペレットのメルトフローレートは137g/10minであり、ボンド磁石の磁気特性は、Br:3260G、iHc:2150Oe、BHmax:2.60MGOeであった。十分な流動性(MFR)とiHcを確保することで、4.3kOeの低磁場配向においても、BHmaxの高いボンド磁石を得ることができた。
Claims (10)
- 粒度分布において複数のピークを有し、圧縮密度(CD)が3.5g/cm3以上であり、圧粉体の保磁力(p−iHc)が2100Oe以上であり、比表面積(SSA)が2.0m2/g以下である異方性ボンド磁石用フェライト粉末。
- 無配向状態での飽和磁化(σs)が54emu/g以上である請求項1に記載された異方性ボンド磁石用フェライト粉末。
- 粒径分布において複数のピークを有し、圧縮密度(CD)が3.5g/cm3以上、圧粉体保磁力(p−iHc)が2100Oe以上、比表面積(SSA)が2.0m2/g以下、かつ、無配向状態での飽和磁化(σs)が54emu/g以上である異方性ボンド磁石用フェライト粉末。
- フェライト粉末含有比率が92重量%であって、下記(1)から(3)の流動性試験に供したときのメルトフローレートが80g/10分以上である請求項1から請求項3いずれかに記載の異方性ボンド磁石用フェライト粉末。
(1)供試磁性粉91.7重量部,シランカップリング剤0.8重量部,滑剤0.8重量部およびナイロン−6(粉末状)6.7重量部をミキサーにてかき混ぜる。
(2)得られた混合物を230℃で混練して平均径2mmのペレットにする。
(3)前記(2)で得られたペレットをメルトフローインデクサーに供し、270℃ 荷重10kgで、10分間に押し出された重量を測定し、これをメルトフローレート(単位g/10分)とする。 - 粒度分布において複数のピークを有し、
圧縮密度(CD)が3.5g/cm3以上であり、
圧粉体保磁力(p−iHc)が2100Oe以上であり、
比表面積(SSA)が2.0m2/g以下であり、
無配向状態での飽和磁化値(σs)が54emu/g以上であり、
フェライト粉末含有比率が91.7重量%の時、下記(1)から(3)の流動性試験に供したときのメルトフローレートが80g/10分以上である異方性ボンド磁石用フェライト粉末。
(1)供試磁性粉91.7重量部,シランカップリング剤0.8重量部,滑剤0.8重量部およびナイロン−6(粉末状)6.7重量部をミキサーにてかき混ぜる。
(2)得られた混合物を230℃で混練して平均径2mmのペレットにする。
(3)前記(2)で得られたペレットをメルトフローインデクサーに供し、270℃ 荷重10kgで、10分間に押し出された重量を測定し、これをメルトフローレート(単位g/10分)とする。 - フェライト粉末含有比率が92重量%であって、下記(1)(2)(4)で測定された保磁力iHcが、2100Oe以上である請求項1から請求項5いずれかに記載の異方性ボンド磁石用フェライト粉末。
(1)供試磁性粉91.7重量部,シランカップリング剤0.8重量部,滑剤0.8重量部およびナイロン−6(粉末状)6.7重量部をミキサーにてかき混ぜる。
(2)得られた混合物を230℃で混練して平均径2mmのペレットにする。
(4)該ペレットを温度290℃、成形圧力85kgf/cm2で、4.3kOeの磁場配向中で射出成形し、直径15mm×高さ8mmの円柱状の成形品(磁場の配向方向は円柱の中心軸に沿う方向)の磁気特性をBHトレーサーで測定する。 - 請求項1から請求項6いずれか記載のフェライト粉末を使用した異方性ボンド磁石。
- 前記(4)で測定された成形品の保磁力(inj−iHc)が2100Oe以上である請求項7に記載の異方性ボンド磁石。
- 前記(4)で測定された成形品の最大エネルギー積(inj−BHmax)が2.2 MGOe以上である請求項7または8いずれかに記載の異方性ボンド磁石。
- 粒度分布において複数のピークを有し、
圧縮密度(CD)が3.5g/cm3以上であり、
圧粉体保磁力(p−iHc)が2100Oe以上であり、
比表面積(SSA)が2.0m2/g以下であり、
無配向状態での飽和磁化(σs)が54emu/g以上であり、
フェライト粉末含有比率が91.7重量%の時、下記(1)から(3)の流動性試験に供したときのメルトフローレートが80g/10分以上であり、
前記(4)で測定された成形品の最大エネルギー積が2.2 MGOe以上である異方性ボンド磁石。
(1)供試磁性粉91.7重量部,シランカップリング剤0.8重量部,滑剤0.8重量部およびナイロン−6(粉末状)6.7重量部をミキサーにてかき混ぜる。
(2)得られた混合物を230℃で混練して平均径2mmのペレット(コンパウンドの破砕物)にする。
(3)前記(2)で得られたペレットをメルトフローインデクサーに供し、270℃ 荷重10kgで、10分間に押し出された重量を測定し、これをメルトフローレート(単位g/10分)とする。
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