JP2014078757A - ボンド磁石用フェライト粉末およびこれを用いたボンド磁石 - Google Patents

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Abstract

【課題】ボンド磁石は、磁化Brと保磁力Hcの積であるエネルギー積を大きくすることが必要である。しかし、ボンド磁石用フェライト粉末は、保磁力を高めるために粒径を小さくすると詰まりにくくなってBrが低下する。また磁化を高めようとして粒径を大きくすると保磁力が低下する。そのため、エネルギー積を大きくするには、BrとHcの両方を大きくしなければならない。
【解決手段】塩化物の飽和蒸気圧下で1050℃乃至1300℃の温度で焼成したフェライト粉を粒径の小さな微粉フェライト粉と混合し、800℃乃至1100℃の温度でアニールすると、粒径が大きく、きれいな結晶で、加圧しても保磁力の下がりが低いフェライト粉末を得た。この粉末で作製したボンド磁石は2.0MGOe以上のエネルギー積を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、異方性ボンド磁石用フェライト粉末およびこれを用いたボンド磁石に関する。
高磁力が要求される、AV、OA機器、複写機のマグネットロール等に用いられる磁石には、フェライト系焼結磁石が使用されている。だが、当該フェライト系焼結磁石は、欠け割れが発生したり、研磨が必要なため生産性に劣ることに加え、複雑な形状への加工が困難であるという固有の問題がある。最近では、希土類磁石を用いたボンド磁石がこの分野で一部使用されている。しかし、希土類磁石は、フェライト系焼結磁石の約20倍のコスト高であり、また錆びやすいという問題がある。そこで、フェライト系焼結磁石をフェライト系ボンド磁石で代替したいという要請がある。しかし、ボンド磁石は、焼結磁石に対して最大エネルギー積BHmaxが劣るため、代替するためには最大エネルギー積BHmaxのさらなる特性向上が必要である。
最大エネルギー積BHmaxを向上させるためには、残留磁束密度Brと保磁力Hcの向上が必要となるわけであるが、前者に対しては、フェライト粉の飽和磁化値σs、充填性および配向性の向上が、後者に対しては結晶性の向上とフェライト粒子の多軸化抑制が重要である。
飽和磁化値σsを向上させる方法として、W型の結晶構造を有するフェライト粉や、他元素(希土類元素やコバルト元素等)を添加して結晶中に固溶させることによりσsを向上させる方法等(特許文献1)が考案されているが、その向上幅は数%と限定されており、製法が複雑であったり、高価な添加元素を使用しコストアップに繋がったりする割には、それほど効果は高くなく、フェライト系焼結磁石の置き換えには至っていない。
充填性を高めるため、粒径の異なるフェライト粉2種以上を混合し、大きい粒子の間隙に小さい粒子を入り込ませるようにすることにより充填率を向上させる方法(特許文献2)も考案されている。しかし、混合に供するフェライト粉は、六角板状の粒子を多く含み、コンパウンドのフェライト充填性と流動性を両立するためには不利であるとともに、フェライト粒子の分散性に関する配慮も十分とは言えなかった。
流動性はコンパウンドの混練性および成形性に大きく影響し、極端な場合は混練不可や成形不可となる。また、最終的には、成形体中のフェライト粒子の配向性に影響することから、フェライト粉の充填量を高めることにより低下する配向性を補わなければならず、成型に10kOe以上の高い配向磁場が必要であった。成型装置が大掛かりとなれば当然生産コストの悪化に結びつきかねず、こちらについても、フェライト系焼結磁石の置き換えを満足するには至っていない。
配向性については、前述したとおり、コンパウンドの流動性に大きく影響される。流動性は、コンパウンドで使用される樹脂や表面処理剤の影響も大きいが、フェライト粉について言えば、結晶性の良いフェライト粉の代表的な形状である六角板状の形状の粒子が少なく、粒子の分散性が良く、比表面積が少ない(粒子サイズが大きい)ことが有利である。しかしながら、粒子サイズを大きくすると、磁壁生成が起き多軸粒子化しやすくなることから、保磁力の低下を引き起こしてしまうため、単純に粒子サイズを大きくすることはできなかった。
一方、保磁力の向上には、結晶性を良くすることと、多軸粒子化を抑制できるよう粒子サイズが小さいことが有利である。しかしながら、結晶性を良くしようと、アニール温度を高くすれば、凝集(焼結)が進み分散性を低下させてしまうおそれがある。また、粒子サイズを小さくすれば流動性の低下を招く。そのため、残留磁束密度Brを維持したまま、保磁力Hcを向上させることは困難であった。
特開2001−189210号 特許3257936号
結晶性と分散性の向上ならびに粒子形状制御を両立することにより、保磁力を維持しながらも、充填性と配向性に優れた高磁力を有するボンド磁石を作製できる異方性ボンド磁石用フェライト粉末を提供することを課題とする。
本発明は上記課題に鑑みて想到されたものであり、より具体的には、本発明の異方性ボンド磁石用フェライト粉末は、
複数のピークを有する粒径分布のフェライト粉末を混合した異方性ボンド磁石用フェライト粉末であって、
圧縮密度(CD)が3.5g/cm以上であり、
圧粉体保磁力(p−iHc)が2100Oe以上であり、
比表面積(SSA)が2.0m/g以下である異方性ボンド磁石用フェライト粉末を提供する。
また本発明は、フェライト粉末含有率が92重量%である流動性試験に供したときのメルトフローレートが80g/10min以上である異方性ボンド磁石用フェライト粉末を提供する。また本発明は、4.3kOeの低磁場配向においても、保磁力(inj−iHc)が2100Oe以上、最大エネルギー積(inj−BHmax)が2.2MGOe以上の異方性ボンド磁石を提供する。
本発明の異方性ボンド磁石用フェライト粉末は、圧縮密度(CD)と圧粉体の保磁力(p−iHc)が、それぞれ3.5g/cm以上、2100Oe以上を満足する。そして、本発明の異方性ボンド磁石用フェライト粉末を用いることで、保磁力(inj−iHc)が2100Oe以上、最大エネルギー積(inj−BHmax)が2.2MGOe以上のエネルギー積を有する異方性ボンド磁石を得ることができる。
本発明の異方性ボンド磁石(以下単に「ボンド磁石」とも呼ぶ。)用フェライト粉末は以下のような特性を有する。以下順に説明する。
圧縮密度(CD)は、ボンド磁石の最小構成単位であるフェライト粒子を限られた体積にどれだけ充填することができるかを示す指標と言え、飽和磁束密度(Bs)との相関性が高い。また、圧縮密度(CD)が高いと、粒子間隙の容積が小さくなるため、間隙に入り込む樹脂が見かけ上減少する。その分、自由に動くことができて粒子間の緩衝に寄与する樹脂の割合が多くなり、混練および成型時の流動性が上がり、配向性を高める効果もある。したがって、圧縮密度(CD)は高い方が良く、好ましくは3.55g/cm以上、さらに好ましくは3.6g/cm以上が良い。
また、圧縮密度(CD)を向上させる方法として、従来より、粒径の異なるフェライト粉末を混合する方法が用いられる。本発明も複数の粒径を有するフェライト粉末を混合して得ることができる。従って、本発明の異方性ボンド磁石用フェライト粉末は、粒度分布において複数のピークを有する。また、粒度分布において複数のピークを有すれば、複数のフェライト粉を混合しなくてもよい。すなわち、フェライト粉末の合成時に粒度分布に複数のピークを有するように作製されたフェライト粉末であってもよい。なお、ピークとは、ピークの極大値が完全に独立していなくても良く、一つのピークの裾部分がショルダー(肩)になっているものについても、別のピークと見なすことができる。
一方、圧粉体の保磁力(p−iHc)は、2ton/cmの高圧力下で圧縮され機械的ストレスの履歴がある状態での保磁力である。なお、「ton」は1000kgの意である。一般に、ボンド磁石を製造する際の混練および成形時には機械的ストレスを受け、保磁力は(ストレスの掛かっていない粉体状態のときより)低下する。圧粉体の保磁力(p−iHc)と、ボンド磁石(成形体)の保磁力(inj−iHc)とは高い相関があるため、ボンド磁石(成形体)の保磁力(inj−iHc)を推定する有効な指標となる。したがって、圧粉体の保磁力(p−iHc)は、高い方が良いが、保磁力が高すぎると着磁されにくいといった問題も起こるため、好ましくは2200Oe以上3200Oe以下が良い。
また、本発明の異方性ボンド磁石用フェライト粉末は、比表面積(SSA)が、2.0m/g以下を満足する。比表面積(SSA)が高いと、混練および成型時にフェライト粒子表面に吸着する樹脂(バインダー)量が増え、その分自由に動くことができる樹脂の割合が減少し、流動性の低下を招く。流動性の低下は磁場成型時の配向性の低下、すなわち残留磁束密度(Br)の低下に結びつく。この傾向は、コンパウンド中のフェライト粉末の含有比率(FC比率)が高く、磁場成型中の配向磁場が低いほど顕著になりやすいため、比表面積は低い方が良く、好ましくは1.8m/g以下が良い。
本発明の異方性ボンド磁石用フェライト粉末は、高い圧縮密度(CD)、低い比表面積(SSA)、さらにフェライト粒子の分散性向上と板状粒子の低減により、高い流動性を得ることができる。前述のとおり、高い流動性は、磁場成型時の配向性の向上、すなわち残留磁束密度(Br)の向上に繋がるため、特に上限はなく、フェライト粉末含有比率が92重量%のコンパウンドでのメルトフローレート(MFR)が80g/10min以上、好ましくは100g/10min以上が良い。なお、本発明における混練ペレットとは、平均径約2mmのコンパウンドの破砕物を意味する。
また、本発明の異方性ボンド磁石用フェライト粉末は、無配向状態の飽和磁化値(σs)が54emu/gを満足する。飽和磁化値(σs)は、飽和磁束密度(Bs)と相関性が高いため、高い方が良く、好ましくは55emu/g以上、さらに好ましくは56emu/g以上が良い。
なお、本発明の異方性ボンド磁石用フェライト粉末は、さらなる磁気特性向上を目的として、希土類元素や遷移金属元素(コバルト等)を含有しても(固溶させても)よい。しかしながら、希土類元素や遷移金属元素(コバルト等)の添加は、コストアップに直結する。
例えば、希土類元素の中で比較的安価な元素であっても、ストロンチウムもしくはバリウムの10at%固溶するだけで、原料代として20%以上のコストアップになる。フェライト粉末(ボンド磁石)の最大の長所はやはり安価なことであるため、コストアップ幅は20%以下、好ましくは10%以下、さらに好ましくはコストアップにならないことが重要である。したがって、希土類元素や遷移金属元素の含有量は、コストアップにならないよう、10at%以下、好ましくは5at%以下、さらに好ましくは含有しないこと(不可避不純物としての含有は除く)が望まれる。
また、本発明の異方性ボンド磁石用フェライト粉末は、結晶性が良く、板状粒子の比率が少ないため、機械的ストレスに対する保磁力の低下も少ない。フェライト粉末含有比率が92重量%の高い充填率のコンパウンドにおいても、ボンド磁石を製造する際の混練および成形時には機械的ストレスによる保磁力の低下が少なく、成形品の保磁力(inj−iHc)は、2100Oe以上を満足する。圧粉体の保磁力(p−iHc)同様、保磁力は高い方が良いが、保磁力が高すぎると着磁されにくいといった問題も起こるため、成形品の保磁力(inj−iHc)についても、好ましくは2200Oe以上3200Oe以下が良い。
これまでは、圧縮密度(CD)、圧粉体の保磁力(p−iHc)、比表面積(SSA)、無配向状態での飽和磁化値(σs)およびメルトフローレート(MFR)のうち、いずれか2つもしくは3つを満足するものはあったが、これら全てを満たすものは無かった。本発明では、これら全ての項目を満足させることにより、フェライト粉末含有比率92重量%の高充填率で、なおかつ、4.3kOeの低い配向磁場中での成型においても、高いHcとBrを得ることができ、その結果、2.2MGOe以上の高いエネルギー積を得ることができる。
また、本発明の異方性ボンド磁石用フェライト粉末の製造方法は、塩化物、特にKClの蒸気圧下、1050℃以上1300℃以下の温度で焼成するので、粒成長が進みながらも、粒子間距離が保たれる。その結果、板状粒子の比率が少なく、粒子間焼結が少なく、比表面積が小さい結晶性の高いフェライト粉末を得ることができる。
上記の塩化物としては、KCl、NaCl、LiCl、RbCl、CsCl、BaCl、SrCl、CaCl、MgCl等があり、これらのうちの2種以上を組み合わせて使用しても構わない。
また、塩化物以外に、焼成時の融剤として、酸化物、無機酸もしくは無機酸塩を使用しても良い。酸化物、無機酸およびその塩としては、酸化ビスマス、ホウ酸、ホウ酸塩、硫酸塩、燐酸塩、ケイ酸、ケイ酸塩等があげられ、これらのうちの2種以上を組み合わせて使用しても構わない。
なお、焼成時の塩化物の蒸気圧(分圧)は、直接測定することが困難であるため、焼成後の塩化物の残り有無、焼成炉(容器)の気密性とその容積、焼成温度での飽和蒸気圧より算出する。より具体的には、化学便覧データ(表1)を元に回帰計算で焼成時の塩化物の蒸気圧を求める。塩化物の分圧は、50mmHg以上760mmHg以下、好ましくは50mmHg以上かつ飽和蒸気圧以下であることが好ましく、焼成時(焼成温度に保持している間)、常に塩化物が蒸気として存在することが重要である。
また、このフェライト粉末と比表面積の異なる別のフェライト粉末を混合し、焼成することで、圧縮密度(CD)と圧粉体保磁力(p−iHc)と、比表面積(SSA)の特性を満足するフェライト粉末を得ることができる。なお、比表面積の異なるフェライト粉末としては、最終製品のフェライト粉の比表面積が高くなりすぎないよう、8m/g以下のものを使用するのが良い。
本実施例において製造したフェライト粉の粉体特性の測定方法について説明する。
<比表面積>
フェライト粉の比表面積(SSA)は、BET法に基づいて、ユアサ アイオニクス株式会社製のモノソーブを用いて測定を行った。
<粒度分布>
フェライト粉の粒度分布は、乾式レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社日本レーザー製、HELOS&RODOS)を用い、focal length=20mm、分散圧5.0bar、吸引圧 130mbarの条件にて測定を行った。
また、頻度分布曲線における極大値近傍の3計測点に対して二次関数で近似し、その二次関数の極大値となる粒径をピーク粒径とした。
<圧縮密度(CD)>
フェライト粉の圧縮密度は、内径2.54cmφの円筒形金型にフェライト粉10gを充填した後、1ton/cmの圧力で圧縮した。このときのフェライト粉の密度を圧縮密度として測定した。
<板状粒子の割合>
フェライト粉中の板状粒子の割合は、次の手順により測定した。
(1)フェライト粉4.5gと、NCクリアラッカー5.7gを遠心ボールミル(FRITSCH社製 商品名:PULNERISETTE type702)で分散させる。
(2)分散させた塗料を、アプリケータバーを使用しシート上に塗布した後、塗布面に対して並行に配向磁場5kOeを印加して配向させた(フェライト粒子のC軸方向が塗布面と並行となるため、塗布面の真上から粒子を観測することで粒子のC軸方向の粒径を測定できるようにした)。
(3)乾燥させたシートを走査型電子顕微鏡(JEOL製JSM−T220A)にて観察し、2000倍のSEM写真中、100個以上の粒子について、長軸径(c軸垂直面径)と短軸径(c軸長)を計測した。
(4)長軸径/短軸径=2以上の粒子を板状粒子とし、板状粒子の割合を算出した。
<焼成体のカサ密度>
焼成体のカサ密度は、約180mL相当の焼成体を、200mLのメスシリンダーに入れ、焼成体重量と、メスシリンダーの目盛りより算出した。
<磁気特性>
フェライト粉の磁気特性は、VSM(東英工業株式会社製、VSM P−7−15)を用い、フェライト粉20mgとパラフィン30mgを装置付属のセルに充填し、80℃に過熱してパラフィンを解かした後、室温に冷却することでサンプル粒子をランダムに固定化し、測定磁場10kOeにて測定し、σs(emu/g)、iHc(Oe)を算出した。なお、1Oeは1/4π×10[A/m]である。
<圧粉体磁気特性>
フェライト粉の圧粉体保磁力(p−iHc)は、次の手順により測定した。
(1)フェライト粉8gとポリエステル樹脂(日本地科学社製P−レジン)0.4ccを乳鉢中で混練する。
(2)混練物7gを内径15mmφの金型に充填し、2ton/cmの圧力で40秒間圧縮した。
(3)成型品を金型より抜取り、150℃で30分間乾燥した後、BHトレーサー(東英工業製 TRF−5BH)により測定磁場10kOeで測定した。
<メルトフローレート>
混練ペレットのメルトフローレート(MFR)は、メルトフローインデクサー((株)東洋精機製作所製 メルトフローインデクサーC−5059D2(JISK−7210準拠))に供し、270℃、荷重10kgで押し出された重量を測定し、これを10分間あたりの押し出し量に換算することで、メルトフローレート(単位g/10分)とした。
なお、本明細書において、メルトフローレートとは、以下の(1)乃至(3)の手順で測定した値であるとする。
(1)被測定磁性粉91.7重量部,シランカップリング剤0.8重量部,滑剤0.8重量部およびナイロン−6(粉末状)6.7重量部をミキサーにてかき混ぜる。
(2)得られた混合物を230℃で混練して平均径2mmのペレット(コンパウンドの破砕物)にする。
(3)前記(2)で得られたペレットをメルトフローインデクサーに供し、270℃ 荷重10kgで、10分間に押し出された重量を測定し、これをメルトフローレート(単位g/10分)とする。
<成形品の磁気特性>
成形品の磁気特性は、次の手順により評価した。
(1)混練ペレットを、射出成形機(住友重機製)を用い4.3KOeの磁場中にて、温度290℃、成形圧力8.5N/mmで射出成形し、直径15mm×高さ8mmの円柱状の成形品(磁場の配向方向は円柱の中心軸に沿う方向)を得た。
(2)円柱状の成形品の磁気特性を、BHトレーサー(東英工業製 TRF−5BH)にて測定磁場10kOeで測定した。
(実施例1)
(1)粉末Aの製造
酸化鉄と炭酸ストロンチウムとを、モル比で、酸化鉄5.9:炭酸ストロンチウム1になるように秤量した。当該秤量物に対して、0.18重量%のホウ酸、および2.44重量%の塩化カリウムを加えて混合後、水で直径3〜10mmの球状に造粒し、造粒物を大気中150℃にて乾燥させた。造粒物を、容積0.68Lのアルミナ製容器あたり各200g入れ(大気雰囲気)、アルミナ製のフタをした後、電気炉中1245℃で80分間焼成し焼成物を得た。焼成物のカサ密度1.6g/cmであり、粒子間の焼結がほとんど進んでいないことを確認した。
なお、アルミナ容器は原材料中の揮発ガスにより内圧が上がれば、フタと容器の隙間からガスが外に逃げる構造のものを使用し、焼成中は常に1気圧となるようにした。容器容積に対して塩化カリウム量が十分にあるため、焼成時の塩化カリウムは飽和蒸気圧の平衡状態を維持していると考えられることから、焼成時の塩化カリウムの分圧は1245℃での塩化カリウムの飽和蒸気圧である210mmHg(化学便覧データをもとに回帰計算)と見積もられる。また、1気圧(760mmHg)から塩化カリウム蒸気圧の差し引き分の550mmHgが、空気および炭酸ストロンチウムから発生した二酸化炭素と見なすことができ、容器内に残留する空気(0.68L(STP))と発生二酸化炭素量(4.4L(STP))から、二酸化炭素分圧476mmHg、酸素分圧15mmHgと算出される。
当該焼成物をハンマーミル(不二パウダル製 エックサンプルミルKII型)で処理することで、粗砕粉末を得た。粗砕粉末を遊星ボールミル(FRITSCH社製 商品名:PULNERISETTE type07−301)にて解砕処理し、粒度合成に必要な粉末Aの量が確保できるまで遊星ミルでの解砕処理を繰り返した後、スラリーを纏めてろ過し、得られたケーキを大気中150℃で10時間乾燥させ、乾燥ケーキをミキサー(共立理工株式会社製の商品名サンプルミルSK−M10)で解砕処理することで、粉末Aを得た。
得られた粉末Aは、ピーク粒子径(Helos):5.3μm、比表面積(SSA):0.7m/g、σs:56.5emu/g、Hc:1490Oeであった。SEM観察の結果、板状粒子の割合は25%であり、板状粒子が少ないことを確認した。また、X線回折にて、粉末Aはマグネトプランバイト型フェライトの結晶構造を有することを確認した。
(2)粉末Bの製造
酸化鉄と炭酸ストロンチウムとを、モル比で、酸化鉄5.5:炭酸ストロンチウム1になるように秤量および混合した後、直径3〜10mmの球状に造粒し、造粒物を大気中150℃にて乾燥させた。造粒物を、容積0.68Lのアルミナ製容器あたり各200g入れ、大気中、電気炉中1070℃で80分間焼成し、焼成物を得た。
当該焼成物をハンマーミルで処理することで粗砕粉末を得た。当該粗砕粉末を遊星ボールミルにて解砕処理し、粒度合成に必要な粉末B量が確保できるまで遊星ボールミルでの解砕処理を繰り返した後、スラリーを纏めてろ過し、得られたケーキを大気中150℃で10時間乾燥させ、乾燥ケーキをミキサーで解砕処理することで、粉末Bを得た。
得られた粉末Bは、ピーク粒子径:1.1μm、比表面積:6.8m/g、σs:54.4emu/g、Hc:2570 Oeであった。また、X線回折にて、粉末Bはマグネトプランバイト型フェライト結晶構造を有することを確認した。
(3)混合粉(フェライト粉末)の製造
上記(1)で得られた粉末A(70重量部)、(2)で得られた粉末B(30重量部)、および水道水(150重量部)とを秤量し、攪拌翼を有する容器に投入して攪拌混合した。スラリーをろ過、乾燥(大気中150℃で10時間)させた後、乾燥ケーキをミキサーで解砕処理した。当該混合粉を電気炉で大気中970℃にて30分間アニール(焼鈍)して、実施例1に係るフェライト粉末を得た。
得られたフェライト粉末は、ピーク粒径:1.2μm、5.7μmと2山のピークを持ち、比表面積:1.5m/g、圧縮密度:3.63g/cm3、σs:56.8emu/g、Hc:3430Oe、p−iHc:2350Oeであり、比表面積が低く、十分な圧縮密度とp−iHcを確保していることが確認できた。
(実施例2)
実施例1の粉末Aの製造における焼成温度を1260℃とした以外、実施例1と同様に操作して実施例2に係るフェライト粉末を得た。焼成時の各ガス成分の分圧は、塩化カリウム分圧250mmHg、二酸化炭素分圧442mmHg、酸素分圧14mmHgと算出され、焼成物のカサ密度1.6g/cmであった。
得られた粉末Aは、ピーク粒子径:6.7μm、比表面積:0.6m/g、σs:56.5emu/g、Hc:1210Oeであり、板状粒子の割合は24%であった。
また、得られたフェライト粉末は、ピーク粒径:1.3μm、6.8μm、比表面積:1.5m/g、圧縮密度:3.69g/cm、σs:56.5emu/g、Hc:3430Oe、p−iHc:2230Oeであり、比表面積が低く、十分な圧縮密度とp−iHcを確保していることが確認できた。
(実施例3)
実施例1の粉末Aの製造における焼成温度を1230℃とした以外、実施例1と同様に操作して実施例3に係るフェライト粉末を得た。焼成時の各ガス成分の分圧は、塩化カリウム分圧190mmHg、二酸化炭素分圧494mmHg、酸素分圧16mmHgと算出され、焼成物のカサ密度1.5g/cmであった。
得られた粉末Aは、ピーク粒子径:5.2μm、比表面積:0.9m/g、σs:56.5emu/g、Hc:1590Oeであり、板状粒子の割合は19%であった。
また、得られたフェライト粉末は、ピーク粒径:1.3μm、5.1μm、比表面積:1.4m/g、圧縮密度:3.58g/cm、σs:55.7emu/g、Hc:3760Oe、p−iHc:2620Oeであり、比表面積が低く、十分な圧縮密度とp−iHcを確保していることが確認できた。
(実施例4)
実施例1の粉末Aの製造における塩化カリウムを塩化ナトリウムとした以外、実施例1と同様に操作して実施例4に係るフェライト粉末を得た。焼成時の各ガス成分の分圧は、塩化ナトリウム分圧80mmHg、二酸化炭素分圧589mmHg、酸素分圧19mmHgと算出され、焼成物のカサ密度1.6g/cmであった。
得られた粉末Aは、ピーク粒子径:5.1μm、比表面積:1.1m/g、σs:56.4emu/g、Hc:1510Oeであり、板状粒子の割合は21%であった。
また、得られたフェライト粉末は、ピーク粒径:1.4μm、5.3μm、比表面積:1.3m/g、圧縮密度:3.57g/cm、σs:56.2emu/g、Hc:3880Oe、p−iHc:2740Oeであり、比表面積が低く、十分な圧縮密度とp−iHcを確保していることが確認できた。
(実施例5)
実施例2の粉末Aの製造における塩化カリウムを塩化ナトリウムとした以外、実施例2と同様に操作して実施例5に係るフェライト粉末を得た。焼成時の各ガス成分の分圧は、塩化ナトリウム分圧150mmHg、二酸化炭素分圧528mmHg、酸素分圧17mmHgと算出され、焼成物のカサ密度1.8g/cmであった。得られた粉末Aは、ピーク粒子径:6.3μm、比表面積:0.8m/g、σs:56.5emu/g、Hc:1330Oeであり、板状粒子の割合は28%であった。
また、得られたフェライト粉末は、ピーク粒径:1.2μm、6.5μm、比表面積:1.2m/g、圧縮密度:3.61g/cm、σs:56.8emu/g、Hc:3150Oe、p−iHc:2130Oeであり、比表面積が低く、十分な圧縮密度とp−iHcを確保していることが確認できた。
(実施例6)
実施例1の粉末Aの製造における塩化カリウムを混合しなかったこと以外、実施例1と同様に操作して造粒物を得た。造粒物35gを載せたアルミナ製のボートと、塩化カリウム0.85g(造粒物に対して2.43重量%相当)を、容積1.0Lの管状炉に入れ、(外部からガスを導入することなく)1260℃で80分間焼成し焼成物を得た。なお、管状炉は容積1.0L(内径85mmφ、管長200mm)の管全体が加熱される構造で、管の両端には内径5mmのガス導入(排出)管が取り付けられているおり、管状炉内の内圧が上がれば、ガス導入管を通して、ガスが外部に逃げるようになっているものを使用した。
管状炉の容積に対して塩化カリウム量が十分にあるため、実施例2と同様に、焼成時の塩化カリウムの分圧は1260℃での塩化カリウムの飽和蒸気圧である250mmHgと見積もられる。また、1気圧(760mmHg)から塩化カリウム蒸気圧の差し引き分の510mmHgが、空気および炭酸ストロンチウムから発生した二酸化炭素と見なすことができ、容器内に残留する空気(1.0L(STP))と発生二酸化炭素量(0.77L(STP))から、二酸化炭素分圧222mmHg、酸素分圧60mmHgと算出され、焼成物のカサ密度1.6g/cmであった。
当該焼成物の解砕以降の工程については、実施例1と同様に操作することで、実施例6に係るフェライト粉末を得た。得られた粉末Aは、ピーク粒子径:6.8μm、比表面積:0.7m/g、σs:56.6emu/g、Hc:1410Oeであり、板状粒子の割合は16%であった。
また、得られたフェライト粉末は、ピーク粒径:1.3μm、6.8μm、比表面積:1.4m/g、圧縮密度:3.62g/cm、σs:56.3emu/g、Hc:3400Oe、p−iHc:2230Oeであり、比表面積が低く、十分な圧縮密度とp−iHcを確保していることが確認できた。
(実施例7)
実施例6と同様に操作して塩化カリウムを含まない造粒物を得た。造粒物35gを載せたアルミナ製のボートと、塩化カリウム150gを投入したアルミナ製の坩堝を、実施例5記載の管状炉(容積1.0L)に入れ、塩化カリウムの坩堝側から空気を0.2L/minで導入しながら1260℃で80分間焼成し焼成物を得た。焼成後管状炉内の坩堝を確認したところ、塩化カリウムが残っていた。
当該焼成物の解砕以降の工程については、実施例1と同様に操作することで、実施例7に係るフェライト粉末を得た。焼成時に塩化カリウム量が十分にあったと考えられることから、実施例2と同様に、焼成時の塩化カリウムの分圧は1260℃での塩化カリウムの飽和蒸気圧である250mmHgと見積もられる。
また、焼成時に管状炉内に空気を流していたことから、炭酸ストロンチウムから発生した二酸化炭素は管状炉外に排気され、管状炉内に存在する二酸化炭素は、空気中の二酸化炭素濃度(約0.03%)相当になると解釈できる。以上より、焼成時の各ガス成分の分圧は、塩化カリウム分圧250mmHg、二酸化炭素分圧0mmHg、酸素分圧110mmHgと算出され、焼成物のカサ密度1.7g/cmであった。
得られた粉末Aは、ピーク粒子径:6.8μm、比表面積:0.7m/g、σs:56.4emu/g、Hc:1420Oeであり、板状粒子の割合は18%であった。
また、得られたフェライト粉末は、ピーク粒径:1.3μm、6.8μm、比表面積:1.5m/g、圧縮密度:3.61g/cm、σs:56.6emu/g、Hc:3380Oe、p−iHc:2210Oeであり、比表面積が低く、十分な圧縮密度とp−iHcを確保していることが確認できた。
(実施例8)
実施例1の粉末Aの製造における湿式解砕をサンドグラインダー(五十嵐機械製造株式会社製 1/4 G1H 146)で処理したこと以外、実施例1と同様に操作して実施例8に係るフェライト粉末を得た。得られた粉末Aは、ピーク粒子径:5.0μm、比表面積:0.8m/g、σs:55.6emu/g、Hc:1760Oeであり、板状粒子の割合は11%であった。
また、得られたフェライト粉末は、ピーク粒径:1.3μm、4.7μm、比表面積:1.5m/g、圧縮密度:3.59g/cm、σs:56.0emu/g、Hc:3730Oe、p−iHc:2570Oeであり、比表面積が低く、十分な圧縮密度とp−iHcを確保していることが確認できた。
(実施例9)
実施例1の粉末Aの製造における湿式解砕をパールミル(アシザワファインテック製スターミルAMS1)で処理したこと以外、実施例1と同様に操作して実施例9に係るフェライト粉末を得た。得られた粉末Aは、ピーク粒子径:5.3μm、比表面積:0.9m/g、σs:55.9emu/g、Hc:1720Oeであり、板状粒子の割合は23%であった。
また、得られたフェライト粉末は、ピーク粒径:1.2μm、5.4μm、比表面積:1.8m/g、圧縮密度:3.56g/cm、σs:56.1emu/g、Hc:3580Oe、p−iHc:2320Oeであり、比表面積が低く、十分な圧縮密度とp−iHcを確保していることが確認できた。
(実施例10)
実施例1のアニール前の混合粉を、振動ボールミル(村上精機製:Uras Vibrator KEC−8−YH)で処理した後、アニールしたこと以外、実施例1と同様に操作して実施例10に係るフェライト粉末を得た。
得られたフェライト粉末は、ピーク粒径:1.3μm、3.4μm、比表面積:1.6m/g、圧縮密度:3.62g/cm、σs:57.1emu/g、Hc:3530Oe、p−iHc:2600Oeであり、比表面積が低く、十分な圧縮密度とp−iHcを確保していることが確認できた。
(実施例11)
実施例8のアニール前の混合粉を、振動ボールミル(村上精機製:Uras Vibrator KEC−8−YH)で処理した後、アニールしたこと以外、実施例8と同様に操作して実施例11に係るフェライト粉末を得た。
得られたフェライト粉末は、ピーク粒径:1.5μm、3.6μm、比表面積:1.7m/g、圧縮密度:3.60g/cm、σs:56.5emu/g、Hc:3530Oe、p−iHc:2590Oeであり、比表面積が低く、十分な圧縮密度とp−iHcを確保していることが確認できた。
(比較例1)
実施例1の粉末Aの製造における焼成時のアルミナ容器にフタをしなかった以外、実施例1と同様に操作して比較例1に係るフェライト粉末を得た。焼成時の各ガス成分の分圧は、塩化カリウム分圧0mmHg、二酸化炭素分圧0mmHg、酸素分圧160mmHgと算出され、焼成物のカサ密度2.4g/cmであった。
得られた粉末Aは、ピーク粒子径:10.6μm、比表面積:0.9m/g、σs:54.8emu/g、Hc:1520Oeであった。SEM観察の結果、10μmを超える凝集粒子が多く見られ、凝集が激しいため短軸径の計測が困難で、板状粒子の割合を算出することはできなかった。
また、得られたフェライト粉末は、ピーク粒径:1.3μm、11.0μm、比表面積:2.0m/g、圧縮密度:3.42g/cm、σs:55.9emu/g、Hc:3250Oe、p−iHc:2460Oeであり、比表面積は低く、p−iHcは確保されているものの、圧縮密度が低いことが確認された。
(比較例2)
比較例1の粉末A製造における遊星ボールミルでの解砕処理を、湿式粉砕機・ウエットミル(WM)での粉砕処理とした以外、比較例1と同様に操作して比較例2に係るフェライト粉末を得た。得られた粉末Aは、ピーク粒子径:4.8μm、比表面積:1.9m/g、σs:55.1emu/g、Hc:1220Oeであった。SEM観察の結果、粉砕中に発生したと考えられる鋭角の角を持ったサブミクロン以下の微粒子が多数存在していることが確認された。サブミクロン以下の微粒子が多数観察されたため、サブミクロン以下の微粒子を除いて板状粒子の割合を算出した結果、板状粒子の割合は67%であり、板状粒子が多いことが確認された。
なお、湿式粉砕機・ウエットミル(WM)とは、ジルコンなどの硬質の破砕媒体と共に被破砕物を容器に詰め、回転軸に複数の棒が接続された攪拌棒を破砕媒体中で回転させることで、被破砕媒体を粉砕するものである。
また、得られたフェライト粉末は、ピーク粒径:1.3μm、5.8μm、比表面積:2.3m/g、圧縮密度:3.46g/cm、σs:55.6emu/g、Hc:3330Oe、p−iHc:2600Oeであった。p−iHcは確保されているものの、サブミクロン以下の微粒子が多く残っているため比表面積が高く、サブミクロン以下の微粒子がアニール時の焼結促進剤として働き粒子間の凝集(焼結)が進むため、圧縮密度も確保できなかった。
(比較例3)
実施例1の粉末Aの製造におけるホウ酸0.18重量%をメタホウ酸ナトリウム四水和物(NaBO2・4H2O)2.1重量%に変更し、塩化カリウム量を2.1重量%、焼成時のアルミナ容器にフタをせず大気中1200℃で2時間焼成し、焼成物を湿式粉砕機・ウエットミル(WM)で粉砕処理した。それ以外は、実施例1と同様に操作することにより比較例3に係るフェライト粉末を得た。焼成時の各ガス成分の分圧は、塩化カリウム分圧0mmHg、二酸化炭素分圧0mmHg、酸素分圧160mmHgと算出され、焼成物のカサ密度2.2g/cmであった。
得られた粉末Aは、ピーク粒子径:3.0μm、比表面積:3.9m/g、圧縮密度:3.23g/cm、σs:55.2emu/g、Hc:1540Oeであった。また、島津製作所製SS−100を使用し空気透過法による平均粒径を測定したところ、1.29μmであった。SEM観察を行ったところ、サブミクロン以下の微粒子が多数観察されたため、サブミクロン以下の微粒子を除いて板状粒子の割合を算出した結果、板状粒子の割合は72%であり、板状粒子が多いことが確認された。
また、得られたフェライト粉末は、ピーク粒径:1.6μm(粒度分布曲線の粗粒側にショルダーあり)、比表面積:2.3m/g、圧縮密度:3.30g/cm、σs:56.6emu/g、Hc:3830Oe、p−iHc:2780Oeであった。p−iHcは確保されているものの、板状粒子が多いため、充填性に劣り、圧縮密度を確保できなかった。
(比較例4)
実施例1の粉末Aの製造における焼成温度を1010℃とした以外、実施例1と同様に操作して比較例4に係るフェライト粉末を得た。焼成時の各ガス成分の分圧は、塩化カリウム分圧20mmHg、二酸化炭素分圧641mmHg、酸素分圧21mmHgと算出され、焼成物のカサ密度1.5g/cmであった。
得られた粉末Aは、ピーク粒子径:1.6μm、比表面積:4.8m/g、σs:56.5emu/g、Hc:3240Oeであった。SEM観察の結果、一次粒径がサブミクロンの粒子から構成される凝集体が多数確認され、凝集が激しいため短軸径の計測が困難で、板状粒子の割合を算出することはできなかった。
また、得られたフェライト粉末は、ピーク粒径:1.8μm(1ピークのみ)、比表面積:2.7m/g、圧縮密度:3.24g/cm、σs:56.8emu/g、Hc:4220Oe、p−iHc:3120Oeであり、p−iHcは確保されているものの、比表面積が高く、圧縮密度は確保できていないことが確認された。
(比較例5)
実施例1の粉末Aと粉末Bの混合比率を、55重量部:45重量部とした以外、実施例1と同様に操作して比較例5に係るフェライト粉末を得た。
得られたフェライト粉末は、ピーク粒径:1.2μm、5.6μm、比表面積:2.0m/g、圧縮密度:3.48g/cm、σs:55.9emu/g、Hc:3770Oe、p−iHc:2650Oeであった。p−iHcは確保されているものの、粉末Aの粒子間隙の容積よりも粉末Bの容積が多くなったことにより、粉末Bが粒子間隙より溢れ、圧縮密度を確保できなかったと考えられる。
(比較例6)
実施例1のアニール温度750℃とした以外、実施例1と同様に操作して比較例6に係るフェライト粉末を得た。得られたフェライト粉末は、ピーク粒径:1.2μm、5.3μm、比表面積:2.1m/g、圧縮密度:3.56g/cm、σs:55.4emu/g、Hc:2760Oe、p−iHc:2030Oeであり、圧縮密度は確保されているものの、アニールが不十分で結晶歪を十分に取り除くにはいたらず、p−iHcが不足したと考えられる。
(実施例12)
実施例1で得られたフェライト粉91.7重量部、シラン系カップリング剤(東レダウコーニング製、Z−6094N)0.8重量部を添加し、ミキサー(共立理工製、SK−10型)で撹拌して当該フェライト粉末の表面処理を行った。次に、当該フェライト粉末へ、粉末状の6−ナイロン(宇部興産株式会社製、P−1011F)6.7重量部と、滑剤(ヘンケル製、VPN―212P)0.8重量部とを添加し、混合物を得た。
次いで、当該混合物を、混練機(東洋精機製作所製、100C100型)を用いて230℃で混練し、プラスチック破砕機にて破砕することで、平均径2mmのペレットを得た。当該混練ペレットのメルトフローレートを測定したところ、106g/10minであった。そして当該混練ペレットを温度290℃、成形圧力85kgf/cm、4.3kOeの磁界中で射出成形し、実施例12に係る直径15mm×高さ8mmの円柱状異方性ボンド磁石を得た。当該実施例12に係るボンド磁石を、BHトレーサーで測定したところ、Br:3100G、iHc:2260Oe、BHmax:2.28MGOeであった。十分な流動性(MFR)とiHcを確保することで、4.3kOeの低磁場配向においても、BHmaxの高いボンド磁石を得ることができた。
また、混合重量比率を、実施例1のフェライト粉92.8重量部、シラン系カップリング剤0.7重量部、粉末状の6−ナイロン5.7重量部と、滑剤0.8重量部とした以外は、同様に操作してフェライト粉の含有量が93重量部相当の混練ペレットを得た。当該混練ペレットのメルトフローレートは39g/10minであり、実施例1で得られたフェライト粉は、コンパウンド(当該混練ペレット)中のフェライト含有量が高い場合においても、比較的高い流動性を示すことが確認できた。
(実施例13)
実施例2で得られたフェライト粉を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行い、フェライト粉含有量92重量部相当の混練ペレットとボンド磁石、および、フェライト粉含有量93重量部相当の混練ペレットを得た。混練ペレットのメルトフローレートは110g/10min(92重量部相当)、46g/10min(93重量部相当)であった。ボンド磁石の磁気特性は、Br:3080G、iHc:2140Oe、BHmax:2.24MGOeであった。十分な流動性(MFR)とiHcを確保することで、4.3kOeの低磁場配向においても、BHmaxの高いボンド磁石を得ることができた。
(実施例14)
実施例8で得られたフェライト粉を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行い、フェライト粉含有量92重量部相当の混練ペレットとボンド磁石を得た。混練ペレットのメルトフローレートは130g/10minであり、ボンド磁石の磁気特性は、Br:3040G、iHc:2460Oe、BHmax:2.22MGOeであった。十分な流動性(MFR)とiHcを確保することで、4.3kOeの低磁場配向においても、BHmaxの高いボンド磁石を得ることができた。
(実施例15)
実施例10で得られたフェライト粉を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行い、フェライト粉含有量92重量部相当の混練ペレットとボンド磁石を得た。混練ペレットのメルトフローレートは161g/10minであり、ボンド磁石の磁気特性は、Br:3180G、iHc:2620Oe、BHmax:2.46MGOeであった。十分な流動性(MFR)とiHcを確保することで、4.3kOeの低磁場配向においても、BHmaxの高いボンド磁石を得ることができた。
(実施例16)
実施例11で得られたフェライト粉を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行い、フェライト粉含有量92重量部相当の混練ペレットとボンド磁石を得た。混練ペレットのメルトフローレートは158g/10minであり、ボンド磁石の磁気特性は、Br:3180G、iHc:2600Oe、BHmax:2.47MGOeであった。十分な流動性(MFR)とiHcを確保することで、4.3kOeの低磁場配向においても、BHmaxの高いボンド磁石を得ることができた。
(比較例7)
比較例1で得られたフェライト粉を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行い、フェライト粉含有量92重量部相当の混練ペレットを得た。混練ペレットのメルトフローレートは18g/10minであり、流動性が不足しているため、ボンド磁石の成形はできなかった。
(比較例8)
比較例2で得られたフェライト粉を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行い、フェライト粉含有量92重量部相当の混練ペレットを得た。混練ペレットのメルトフローレートは56g/10minであり、ボンド磁石の磁気特性は、Br:2760G、iHc:2320Oe、BHmax:1.90MGOeであった。フェライト粉の圧縮密度が低く、流動性(MFR)も不足しているため、4.3kOeの低磁場配向においては、残留磁束密度が低下し、目的とするBHmaxを得ることができなかった。
(比較例9)
比較例3で得られたフェライト粉を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行い、フェライト粉含有量92重量部相当の混練ペレットを得た。混練ペレットのメルトフローレートは8g/10minであり、流動性が不足しているため、ボンド磁石の成形はできなかった。
(比較例10)
比較例4で得られたフェライト粉を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行ったが、フェライト含有量92重量部では混練時の流動性が不足し、混練ペレットを得ることができなかった。
(比較例11)
比較例5で得られたフェライト粉を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行い、フェライト粉含有量92重量部相当の混練ペレットとボンド磁石を得た。混練ペレットのメルトフローレートは71g/10minであり、ボンド磁石の磁気特性は、Br:2810G、iHc:2350Oe、BHmax:1.93MGOeであった。iHcは確保できているものの、フェライト粉の圧縮密度が低く、流動性(MFR)も不足しているため、4.3kOeの低磁場配向においては、残留磁束密度が低下し、目的とするBHmaxを得ることができなかった。
(比較例12)
比較例6で得られたフェライト粉を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行い、フェライト粉含有量92重量部相当の混練ペレットとボンド磁石を得た。混練ペレットのメルトフローレートは76g/10minであり、ボンド磁石の磁気特性は、Br:2740G、iHc:1990Oe、BHmax:1.85MGOeであった。残留磁束密度はある程度あったものの、Hcが不足し、4.3kOeの低磁場配向において目的とするBHmaxを得ることができなかった。
(実施例17)
実施例2の粉末Aの製造における湿式解砕を湿式粉砕機・ウエットミル(WM)で処理したこと以外、実施例2と同様に操作して実施例17に係る粉末Aを得た。得られた粉末Aは、ピーク粒子径:6.2μm、比表面積:0.7m/g、σs:56.4emu/g、Hc:1200Oeであり、板状粒子の割合は22%であった。
実施例1の粉末Bの製造における湿式解砕を湿式粉砕機・ウエットミル(WM)で処理したこと以外、実施例1と同様に操作して実施例17に係る粉末Bを得た。得られた粉末Bは、ピーク粒子径:1.1μm、比表面積:7.0m/g、σs:54.6emu/g、Hc:2520Oeであった。
アニール前の混合粉を、振動ボールミル(村上精機製:Uras Vibrator KEC−8−YH)で処理した後、アニールしたこと以外、実施例1と同様に操作して実施例17に係るフェライト粉末を得た。
得られたフェライト粉末は、ピーク粒径:1.2μm、3.8μm、比表面積 :1.7m/g、圧縮密度:3.64g/cm、σs:56.4emu/g、Hc:3170 Oe、p−iHc:2300Oeであり、比表面積が低く、十分な圧縮密度とp−iHcを確保していることが確認できた。
(実施例18)
実施例2の粉末Aの製造における塩化カリウムの添加量を2.80wt%とし、湿式解砕を湿式粉砕機・ウエットミル(WM)で処理したこと以外、実施例2と同様に操作して実施例18に係る粉末Aを得た。得られた粉末Aは、ピーク粒子径:6.0μm、比表面積:0.7m/g、σs:56.5emu/g、Hc:1230Oeであり、板状粒子の割合は19%であった。
実施例1の粉末Bの製造における焼成温度を1020℃に変更し、湿式解砕を湿式粉砕機・ウエットミル(WM)で処理したこと以外、実施例1と同様に操作して実施例18に係る粉末Bを得た。得られた粉末Bは、ピーク粒子径:1.0μm、比表面積:7.5m/g、σs:54.2emu/g、Hc:2670Oeであった。
アニール前の混合粉を、振動ボールミル(村上精機製:Uras Vibrator KEC−8−YH)で処理した後、アニールしたこと以外、実施例1と同様に操作して実施例18に係るフェライト粉末を得た。
得られたフェライト粉末は、ピーク粒径:1.2μm、4.3μm、比表面積 :1.7m/g、圧縮密度:3.64g/cm、σs:56.3emu/g、Hc:3280 Oe、p−iHc:2380Oeであり、比表面積が低く、十分な圧縮密度とp−iHcを確保していることが確認できた。
(実施例19)
実施例1の粉末Aの製造における塩化カリウムを塩化マグネシウムに変更し、添加量を2.25wt%とした以外、実施例1と同様に操作して実施例19に係る粉末Aを得た。得られた粉末Aは、ピーク粒子径:5.1μm、比表面積:0.8m/g、σs:56.1emu/g、Hc:1530Oeであり、板状粒子の割合は25%であった。
得られた粉末Aと実施例1で得られた粉末Bを、実施例1と同様な割合で混合し、アニール前の混合粉を、振動ボールミル(村上精機製:Uras Vibrator KEC−8−YH)で処理した後、アニール温度を940℃としたこと以外、実施例1と同様に操作して実施例19に係るフェライト粉末を得た。
得られたフェライト粉末は、ピーク粒径:1.3μm、3.2μm、比表面積:1.8m/g、圧縮密度:3.60g/cm、σs:55.7emu/g、Hc:3490Oe、p−iHc:2550Oeであり、比表面積が低く、十分な圧縮密度とp−iHcを確保していることが確認できた。
(実施例20)
(1)粉末Aの原料粗砕粉末の製造
酸化鉄の炭酸ストロンチウムとを、モル比で酸化鉄5.9:炭酸ストロンチウム1になるように秤量した。当該秤量物に対して、0.18重量%のホウ酸、および2.44重量%の塩化カリウムを加えて混合後、水で直径3〜10mmの球状に造粒し、造粒物を大気中150℃にて乾燥させた。造粒物を、容積0.68Lのアルミナ製容器あたり各200g入れ(大気雰囲気)、アルミナ製のフタをした後、電気炉中1260℃で80分間焼成し焼成物を得た。焼成物のカサ密度1.6g/cmであり、粒子間の焼結がほとんど進んでいないことを確認した。当該焼成物をハンマーミル(不二パウダル製 エックサンプルミルKII型)で処理することで、粉末Aの原料粗砕粉末を得た。
(2)粉末Bの原料の製造
酸化鉄と炭酸ストロンチウムとを、モル比で、酸化鉄5.5:炭酸ストロンチウム1になるように秤量および混合した後、水で直径3〜10mmの球状に造粒し、造粒物を大気中150℃にて乾燥させた。造粒物を、容積0.68Lのアルミナ製容器あたり各200g入れ(大気雰囲気)、アルミナ製のフタをした後、電気炉中1020℃で80分間焼成し焼成物を得た。当該焼成物をハンマーミル(不二パウダル製 エックサンプルミルKII型)で処理することで,粉末Bの原料粗砕粉末を得た。
(3)混合粉(フェライト粉末)の製造
上記(1)で得られた粉末Aの原料粗砕粉(70重量部)、(2)で得られた粉末Bの原料粗砕粉(30重量部)および水道水(150重量部)を秤量し、湿式粉砕機・ウエットミル(WM)を用いて同時に分散処理した後、スラリーをろ過し、得られたケーキを大気中150℃で10時間乾燥させ、乾燥ケーキをミキサー(共立理工株式会社製の商品名サンプルミルSK−M10)で解砕処理することで、得られた混合粉を、振動ボールミル(村上精機製:Uras Vibrator KEC−8−YH)で処理した後、アニールすることで実施例20に係るフェライト粉を得た。
得られたフェライト粉末は、ピーク粒径:1.4μm、3.8μm、比表面積:1.7m/g、圧縮密度:3.62g/cm、σs:56.4emu/g、Hc:3110Oe、p−iHc:2290Oeであり、比表面積が低く、十分な圧縮密度とp−iHcを確保していることが確認できた。
(実施例21)
アニール前の混合粉を、実施例2で得られた粉末Aと実施例1で得られた粉末Bとし、混合比率(粗/微)を65重量部(粉末A)/35重量部(粉末B)に変更して得た混合粉を、振動ボールミル(村上精機製:Uras Vibrator KEC−8−YH)で処理した後、アニールしたこと以外、実施例1と同様に操作して実施例21に係るフェライト粉末を得た。
得られたフェライト粉末は、ピーク粒径:1.3μm、3.8μm、比表面積:1.8m/g、圧縮密度:3.59g/cm、σs:56.1emu/g、Hc:3410Oe、p−iHc:2390Oeであり、比表面積が低く、十分な圧縮密度とp−iHcを確保していることが確認できた。
(実施例22)
アニール前の混合粉の混合比率(粗/微)を75重量部(粉末A)/25重量部(粉末B)に変更して得た混合粉を、振動ボールミル(村上精機製:Uras Vibrator KEC−8−YH)で処理した後、アニールしたこと以外、実施例1と同様に操作して実施例22に係るフェライト粉末を得た。
得られたフェライト粉末は、ピーク粒径:1.3μm、4.0μm、比表面積:1.7m/g、圧縮密度:3.61g/cm、σs:56.4emu/g、Hc:3100Oe、p−iHc:2260Oeであり、比表面積が低く、十分な圧縮密度とp−iHcを確保していることが確認できた。
(実施例23)
実施例17で得られたフェライト粉を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行い、フェライト粉含有量92重量部相当の混練ペレットとボンド磁石を得た。混練ペレットのメルトフローレートは161g/10minであり、ボンド磁石の磁気特性は、Br:3240G、iHc:2170Oe、BHmax:2.57MGOeであった。十分な流動性(MFR)とiHcを確保することで、4.3kOeの低磁場配向においても、BHmaxの高いボンド磁石を得ることができた。
(実施例24)
実施例18で得られたフェライト粉を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行い、フェライト粉含有量92重量部相当の混練ペレットとボンド磁石を得た。混練ペレットのメルトフローレートは217g/10minであり、ボンド磁石の磁気特性は、Br:3270G、iHc:2240Oe、BHmax:2.61MGOeであった。十分な流動性(MFR)とiHcを確保することで、4.3kOeの低磁場配向においても、BHmaxの高いボンド磁石を得ることができた。
(実施例25)
実施例19で得られたフェライト粉を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行い、フェライト粉含有量92重量部相当の混練ペレットとボンド磁石を得た。混練ペレットのメルトフローレートは139g/10minであり、ボンド磁石の磁気特性は、Br:3150G、iHc:2470Oe、BHmax:2.42MGOeであった。十分な流動性(MFR)とiHcを確保することで、4.3kOeの低磁場配向においても、BHmaxの高いボンド磁石を得ることができた。
(実施例26)
実施例20で得られたフェライト粉を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行い、フェライト粉含有量92重量部相当の混練ペレットとボンド磁石を得た。混練ペレットのメルトフローレートは115g/10minであり、ボンド磁石の磁気特性は、Br:3200G、iHc:2190Oe、BHmax:2.52MGOeであった。十分な流動性(MFR)とiHcを確保することで、4.3kOeの低磁場配向においても、BHmaxの高いボンド磁石を得ることができた。
(実施例27)
実施例21で得られたフェライト粉を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行い、フェライト粉含有量92重量部相当の混練ペレットとボンド磁石を得た。混練ペレットのメルトフローレートは115g/10minであり、ボンド磁石の磁気特性は、Br:3170G、iHc:2350Oe、BHmax:2.45MGOeであった。十分な流動性(MFR)とiHcを確保することで、4.3kOeの低磁場配向においても、BHmaxの高いボンド磁石を得ることができた。
(実施例28)
実施例21で得られたフェライト粉を使用した以外は、実施例12と同様の操作を行い、フェライト粉含有量92重量部相当の混練ペレットとボンド磁石を得た。混練ペレットのメルトフローレートは137g/10minであり、ボンド磁石の磁気特性は、Br:3260G、iHc:2150Oe、BHmax:2.60MGOeであった。十分な流動性(MFR)とiHcを確保することで、4.3kOeの低磁場配向においても、BHmaxの高いボンド磁石を得ることができた。
フェライト粉末Aの製造条件および各諸特性を表2に、フェライト粉末Bの製造条件および諸特性を表3に、フェライト粉末Aを微粉末と混合しアニールする前後の諸特性を表4に、また、ボンド磁石にした時の諸特性を表5にそれぞれ示す。なお、表5には、表4に記載したフェライト粉末のアニール後の諸特性を再度掲載した。また、表3の装置の略文字は表2の略文字(UBM、SG、PM、WM等)に準ずる。
表5を参照して、本発明のフェライト粉末を用いて作製したボンド磁石が2.0MGOe以上のエネルギー積を有するのに対して、比較例のフェライト粉末を用いて作製したボンド磁石は2.0MGOeまでのエネルギー積しか持たなかった。
BrとHcの値を比較してみると、保磁力に関しては、実施例と比較例で大きな違いはなかった。しかし、Brに関してみると、実施例が3000G以上の磁化を有するのに対して、比較例では、最大でも2810Gであった。すなわち、実施例と比較例の違いは、磁石にした際の磁化の違いである。
磁石にした際の磁化の違いの原因は、粉末の密度が上がりやすいという点と、磁場中成型で磁性粉が配向し易い点にある。そこで、まず実施例と比較例のMFRを比較してみると、実施例は全て100g/min以上のメルトフローレートを有するのに対して、比較例は80g/minを超えるものはなかった。
また、バインダーを入れる前のフェライト粉末同士で比較した際の圧縮密度(CD)は実施例が全て3.5g/cm以上であるのに対して、比較例で3.5を超えるものは比較例12(フェライト粉では比較例6)以外なかった。
なお、比較例6については、3.56g/cmと3.5g/cmを超えているが、比較例6はアニール(焼鈍)工程の温度が750℃と実施例の970℃と比較して低かったため、アニール(焼鈍)後の圧粉体での保磁力が2030Oeと低くなってしまった。実施例の保磁力は圧粉体での保磁力は2100Oe以上であった。
これは、アニール(焼鈍)温度が結晶性に影響を及ぼし、970℃程度のアニール(焼鈍)温度が必要であると言える。また、逆に圧粉体での保磁力の値が2100Oe以上であれば、970℃のアニール(焼鈍)を経験しているとの判断の1つになり得る。
また、SSAを比較してみると、実施例は2.0m/g以下であるのに対して比較例はそれより大きな傾向を示した。一方、粒度分布のピーク値は実施例と比較例で大きな違いはない。従って、実施例の方が、粒成長が進みきれいな結晶が生成するため、同じ粒子径でも表面の活性点が少なく、バインダーにからみつくことなく、配向しやすくなっていると考えられる。
従って、970℃にてアニール(焼鈍)されたフェライト粉末(圧粉体の保磁力で2100Oe以上)で圧縮密度(CD)が3.5g/cmでなおかつ比表面積(SSA)が2.0m/g以下のフェライト粉は、ボンド磁石として使用されても、保磁力が低下することもなく、MFRも高くなり、よく配向するため、高いエネルギー積を得ることができると言える。
表2を参照して、実施例のようなフェライト粉末が作製できる原因は、最初の原料である酸化鉄と酸化ストロンチウムの混合物を焼成する際に塩化物NaClやKClの飽和蒸気圧下で1200℃以上の環境下で行ったことが挙げられる。比較例1乃至3は、KClが存在していたものの、容器の蓋が空いており、サンプルは飽和蒸気圧下で焼成されていたわけではない。
また、比較例4で、蓋つきで容器の中ではKClの飽和蒸気圧になっていたと考えられるが、焼成温度が1010℃と低かったため、比表面積(SSA)が4.8m/gと他のどのサンプルより大きく、粉末が結晶成長できていなかった。
従って、1050℃乃至1300℃の温度であって、Na若しくはKの塩化物の飽和蒸気圧下で焼成されたフェライト粉末は、微粉のフェライトと混合し焼成することで、詰まりやすく、保磁力の低下もなく、配向しやすいフェライト粉末を作ることができた。

Claims (10)

  1. 粒度分布において複数のピークを有し、圧縮密度(CD)が3.5g/cm以上であり、圧粉体の保磁力(p−iHc)が2100Oe以上であり、比表面積(SSA)が2.0m/g以下である異方性ボンド磁石用フェライト粉末。
  2. 無配向状態での飽和磁化(σs)が54emu/g以上である請求項1に記載された異方性ボンド磁石用フェライト粉末。
  3. 粒径分布において複数のピークを有し、圧縮密度(CD)が3.5g/cm以上、圧粉体保磁力(p−iHc)が2100Oe以上、比表面積(SSA)が2.0m/g以下、かつ、無配向状態での飽和磁化(σs)が54emu/g以上である異方性ボンド磁石用フェライト粉末。
  4. フェライト粉末含有比率が92重量%であって、下記(1)から(3)の流動性試験に供したときのメルトフローレートが80g/10分以上である請求項1から請求項3いずれかに記載の異方性ボンド磁石用フェライト粉末。
    (1)供試磁性粉91.7重量部,シランカップリング剤0.8重量部,滑剤0.8重量部およびナイロン−6(粉末状)6.7重量部をミキサーにてかき混ぜる。
    (2)得られた混合物を230℃で混練して平均径2mmのペレットにする。
    (3)前記(2)で得られたペレットをメルトフローインデクサーに供し、270℃ 荷重10kgで、10分間に押し出された重量を測定し、これをメルトフローレート(単位g/10分)とする。
  5. 粒度分布において複数のピークを有し、
    圧縮密度(CD)が3.5g/cm以上であり、
    圧粉体保磁力(p−iHc)が2100Oe以上であり、
    比表面積(SSA)が2.0m/g以下であり、
    無配向状態での飽和磁化値(σs)が54emu/g以上であり、
    フェライト粉末含有比率が91.7重量%の時、下記(1)から(3)の流動性試験に供したときのメルトフローレートが80g/10分以上である異方性ボンド磁石用フェライト粉末。
    (1)供試磁性粉91.7重量部,シランカップリング剤0.8重量部,滑剤0.8重量部およびナイロン−6(粉末状)6.7重量部をミキサーにてかき混ぜる。
    (2)得られた混合物を230℃で混練して平均径2mmのペレットにする。
    (3)前記(2)で得られたペレットをメルトフローインデクサーに供し、270℃ 荷重10kgで、10分間に押し出された重量を測定し、これをメルトフローレート(単位g/10分)とする。
  6. フェライト粉末含有比率が92重量%であって、下記(1)(2)(4)で測定された保磁力iHcが、2100Oe以上である請求項1から請求項5いずれかに記載の異方性ボンド磁石用フェライト粉末。
    (1)供試磁性粉91.7重量部,シランカップリング剤0.8重量部,滑剤0.8重量部およびナイロン−6(粉末状)6.7重量部をミキサーにてかき混ぜる。
    (2)得られた混合物を230℃で混練して平均径2mmのペレットにする。
    (4)該ペレットを温度290℃、成形圧力85kgf/cm2で、4.3kOeの磁場配向中で射出成形し、直径15mm×高さ8mmの円柱状の成形品(磁場の配向方向は円柱の中心軸に沿う方向)の磁気特性をBHトレーサーで測定する。
  7. 請求項1から請求項6いずれか記載のフェライト粉末を使用した異方性ボンド磁石。
  8. 前記(4)で測定された成形品の保磁力(inj−iHc)が2100Oe以上である請求項7に記載の異方性ボンド磁石。
  9. 前記(4)で測定された成形品の最大エネルギー積(inj−BHmax)が2.2 MGOe以上である請求項7または8いずれかに記載の異方性ボンド磁石。
  10. 粒度分布において複数のピークを有し、
    圧縮密度(CD)が3.5g/cm以上であり、
    圧粉体保磁力(p−iHc)が2100Oe以上であり、
    比表面積(SSA)が2.0m/g以下であり、
    無配向状態での飽和磁化(σs)が54emu/g以上であり、
    フェライト粉末含有比率が91.7重量%の時、下記(1)から(3)の流動性試験に供したときのメルトフローレートが80g/10分以上であり、
    前記(4)で測定された成形品の最大エネルギー積が2.2 MGOe以上である異方性ボンド磁石。
    (1)供試磁性粉91.7重量部,シランカップリング剤0.8重量部,滑剤0.8重量部およびナイロン−6(粉末状)6.7重量部をミキサーにてかき混ぜる。
    (2)得られた混合物を230℃で混練して平均径2mmのペレット(コンパウンドの破砕物)にする。
    (3)前記(2)で得られたペレットをメルトフローインデクサーに供し、270℃ 荷重10kgで、10分間に押し出された重量を測定し、これをメルトフローレート(単位g/10分)とする。
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