JP2014078382A - エレクトロルミネッセンスデバイス - Google Patents

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【課題】発光効率が高く、駆動電圧が低く、長寿命なエレクトロルミネッセンスデバイスを提供する。
【解決手段】二つの電極に挟まれた発光層を備えるエレクトロルミネッセンスデバイスであって、前記二つの電極のうち少なくとも一つの電極は導電性層と該導電性層に隣接して設けられる中間層とを備えた透明電極であり、前記導電性層は銀を主成分として構成されており、前記中間層は芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する芳香族複素環化合物を含有し、かつ前記発光層は量子ドットを含有することを特徴とするエレクトロルミネッセンスデバイス。
【選択図】図1

Description

本発明は、透明電極を備えたエレクトロルミネッセンスデバイスに関する。
有機材料のエレクトロルミネッセンス(electroluminescence:以下ELと記す)を利用した有機エレクトロルミネッセンスデバイス(いわゆる有機EL素子)は、数V〜数十V程度の低電圧で発光が可能な薄膜型の完全固体素子であり、高輝度、高発光効率、薄型、軽量といった多くの優れた特徴を有する。このため、各種ディスプレイのバックライト、看板や非常灯等の表示板、照明光源等の面発光体として近年注目されている。
さらに、最近発見されたリン光発光を利用する有機EL素子では、以前の蛍光発光を利用するそれに比べ、原理的に約4倍の発光効率が実現可能であることから、その材料開発を始めとし、有機機能層の層構成や電極の研究開発が世界中で行われている。特に、地球温暖化防止策の1つとして、人類のエネルギー消費の多くを占める照明器具への応用が検討されはじめ、従来の照明器具に置き換わりうる白色発光パネルの実用化に向けて、性能向上やコストダウンの試みが盛んになっている。
このような有機EL素子は、2枚の電極間に有機材料からなる発光層を挟持させた構成であり、発光層で生じた発光光は電極を透過して外部に取り出される。このため、2枚の電極のうちの少なくとも一方は透明電極として構成される。
透明電極としては、酸化インジウムスズ(SnO−In:Indium Tin Oxide:ITO)等の酸化物半導体系の材料が一般的に用いられているが、ITOと銀とを積層して低抵抗化を狙った検討もなされている(例えば、特許文献1,2参照)。しかしながら、ITOはレアメタルのインジウムを使用しているため、材料コストが高く、また抵抗を下げるために成膜後に300℃程度でアニール処理する必要がある。
そこで、電気伝導率の高い銀とMgとの合金を用いて薄膜を構成することで透過率と導電性の両立を図った技術や、安価で入手容易なZnやSnを原料として薄膜を構成する技術が提案されている(例えば、特許文献3,4参照)。
照明用白色発光パネルにおいては、高効率・長寿命が求められているが、前記リン光発光を利用する照明用白色発光パネルの諸性能、特に長寿命化においては、蛍光灯や白色LEDに対して性能が低いのが現状である。
更に、青色のリン光発光材料として高い発光効率を有するものは見出されているが、塗布可能でかつ長寿命及び色純度の点で満足できるレベルのものは見出されていないのが実情である。
さらに、リン光材料を用いた発光素子の製造は、厳密な乾燥条件下、酸素濃度を極めて低くした環境下で行われることが知られている。これは、リン光材料の特徴として、三重項励起状態を取ることに起因している。すなわち、リン光発光材料の三重項励起状態は、三重項酸素により容易にクエンチされてしまうためである。
これらの問題を解決する方法として、発光材料に無機発光物質である「量子ドット」を用いる方法がある。量子ドットはシャープな発光スペクトルに加え、無機物であるために耐久性が良く、また各種溶媒に可溶である特徴を持つことから塗布プロセスに適用可能である。更に、前記リン光発光材料の発光プロセスとは異なり、一重項からの発光であるため、耐酸素性が高いことも期待できる。
量子ドットを用いたエレクトロルミネッセンスデバイスの例としては下記のようなものがある。例えば、特許文献5では発光素子の放出側の側面に量子ドットを成膜し、ダウンコンバージョン的に光励起させた発光により、発光層の発光色を補うことで白色発光を達成している。
しかしながら、この方法では、発光寿命が発光層材料に依存しており十分な長寿命化は依然として得られていない。
他方、特許文献6では量子ドットを複数組み合わせることで白色を達成している。しかしながら、その外部量子収率は4%程度と低く、依然実用化には課題がある。
また、特許文献7では、発光効率の向上を狙って、量子ドットのキャッピング材料として電荷輸送性材料を用いている。該特許に置いて、電荷の再結合の促進が確認されてはいるが、更なる性能の向上が望まれる。
特開2002−15623号公報 特開2006−164961号公報 特開2006−344497号公報 特開2007−031786号公報 特開2006−190682号公報 国際公開第2007/095173号 国際公開第2009/041595号
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、発光効率が高く、駆動電圧が低く、長寿命なエレクトロルミネッセンスデバイスを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する際、量子ドットを用いたエレクトロルミネッセンスデバイスの性能向上において、電極を透明性の高い、より簡便で安価に製造でき、かつ量子ドットと親和性の高い材料に置き換えるアプローチにより、特定の窒素原子を有する化合物を含有する中間層に隣接した銀を主成分とする薄膜の透明電極を用い、発光層に量子ドットを含有させることで上記課題を解決できることを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.二つの電極に挟まれた発光層を備えるエレクトロルミネッセンスデバイスであって、前記二つの電極のうち少なくとも一つの電極は導電性層と該導電性層に隣接して設けられる中間層とを備えた透明電極であり、前記導電性層は銀を主成分として構成されており、前記中間層は芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する芳香族複素環化合物を含有し、かつ前記発光層は量子ドットを含有することを特徴とするエレクトロルミネッセンスデバイス。
2.前記芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する芳香族複素環化合物が、芳香族六員環構造を有する化合物であることを特徴とする第1項に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
3.前記芳香族六員環構造を有する化合物が、下記一般式(1A)で表される化合物であることを特徴とする第2項に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
Figure 2014078382
(式中、E101〜E108は、各々C(R12)又はNを表し、E101〜E108のうち少なくとも一つはNである。またR11及び上記R12は水素原子又は置換基を表す。)
4.前記中間層が、発光層と隣接していることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
5.陰極が、前記透明電極であることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
6.陽極が、前記透明電極であることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
7.陰極と陽極が、ともに前記透明電極であることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
8.前記発光層に隣接して、金属酸化物を含有する電荷輸送層を有することを特徴とする第4項から第7項までのいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
9.前記発光層にホスト化合物を含有することを特徴とする第1項から第8項までのいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
10.前記ホスト化合物のリン光スペクトルにおける0−0遷移バンドに帰属される発光波長が459nm以下であることを特徴とする第9項に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
11.前記ホスト化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする第9項又は第10項に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
Figure 2014078382
(式中、Xは、NR′、酸素原子、硫黄原子、CR′R″、又はSiR′R″を表す。y及びyは、各々CR′又は窒素原子を表す。R′及びR″は、各々水素原子又は置換基を表す。Ar及びArは、各々芳香環を表し、それぞれ同一でも異なっていても良い。nは0〜4の整数を表す。)
12.前記一般式(2)におけるXが、NR′であることを特徴とする第11項に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
13.前記一般式(2)におけるXが、酸素原子であることを特徴とする第11項に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
14.導電性高分子を発光層に含有することを特徴とする第11項から第13項までのいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
15.前記量子ドットの平均粒子径が、1〜20nmの範囲内であることを特徴とする第1項から第14項までのいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
16.前記量子ドットが、少なくともSi、Ge、GaN、GaP、CdS、CdSe、CdTe、InP、InN、ZnS、In、ZnO、CdO又はこれらの混合物で構成されていることを特徴とする第1項から第15項までのいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
17.前記ホスト化合物の分子量が、500〜1000の範囲内であることを特徴とする第9項から第13項までのいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
本発明の上記手段により、発光効率が高く、駆動電圧が低く、長寿命なエレクトロルミネッセンスデバイスを提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。特定の窒素原子を有する化合物を含有する中間層に隣接した銀を主成分とする薄膜の透明電極を陽極又は陰極に用いることで、量子ドットを発光材料とする発光層との親和性が向上し、より電荷注入性の高いエレクトロルミネッセンス素子を作製することができるためと考えられる。
本発明に係る透明電極の構成を示す断面模式図 本発明のエレクトロルミネッセンスデバイスの第1例を示す断面構成図 本発明のエレクトロルミネッセンスデバイスの第2例を示す断面構成図 本発明のエレクトロルミネッセンスデバイスの第3例を示す断面構成図 エレクトロルミネッセンスデバイスを用いて発光面を大面積化した照明装置の断面構成図 実施例で作製したエレクトロルミネッセンスデバイスを説明する断面構成図 実施例で作製した他のエレクトロルミネッセンスデバイスを説明する断面模式図
本発明のエレクトロルミネッセンスデバイスは、二つの電極に挟まれた発光層を備えるエレクトロルミネッセンスデバイスであって、前記二つの電極のうち少なくとも一つの電極は導電性層と該導電性層に隣接して設けられる中間層とを備えた透明電極であり、前記導電性層は銀を主成分として構成されており、前記中間層は芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する芳香族複素環化合物を含有し、かつ前記発光層は量子ドットを含有することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項17までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する芳香族複素環化合物が、芳香族六員環構造を有する化合物であることが好ましい。さらに、前記芳香族六員環構造を有する化合物が、前記一般式(1A)で表される化合物であることが好ましい。
また、本発明においては、前記中間層が、発光層と隣接していることが、電極と電荷輸送性層両方の効果が得られることから、好ましい。
さらに、陰極が、前記透明電極であることが好ましい。また、陽極が、前記透明電極であることも好ましい。陰極と陽極が、ともに前記透明電極であることが、より好ましい。
さらに、本発明においては、前記発光層に隣接して、金属酸化物を含有する電荷輸送層を少なくとも1層有することが好ましい。また、前記発光層にホスト化合物を含有することが、発光層内での量子ドットへの電荷注入促進効果が得られることから、好ましい。
さらに、本発明においては、前記ホストのリン光スペクトルにおける0−0遷移バンドに帰属される発光波長が459nm以下であることが好ましい。これにより、ホストから量子ドットへのエネルギー移動が円滑になるとともに、十分な三重項エネルギーを有していることから、量子ドットからの逆エネルギー移動を抑制する効果が得られる。また、前記ホストが、前記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。さらに、前記一般式(2)におけるXが、NR′であることあるいは前記一般式(2)におけるXが、酸素原子であることが好ましい。
また、導電性高分子を発光層に含有することも好ましい態様である。
さらに、前記量子ドットの平均粒子径が、1〜20nmの範囲内であることが好ましい。また、前記量子ドットが、少なくともSi、Ge、GaN、GaP、CdS、CdSe、CdTe、InP、InN、ZnS、In、ZnO、CdO又はこれらの混合物で構成されていることが好ましい。さらに、前記ホスト化合物の分子量が、500〜1000の範囲内であることが好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
本発明により、上記課題を解決することができるのは、以下の理由によるものと推測している。
すなわち、本発明に係る透明電極は、中間層の上部に、銀を主成分として含有している導電性層が設けられており、かつ当該中間層には、銀原子と親和性のある原子を有する化合物(以下において、「銀親和性化合物」という。)が含有されているという構成である。
これにより、中間層の上部に導電性層を成膜する際には、導電性層を構成する銀原子が、中間層に含有されている銀親和性化合物と相互作用し、当該中間層表面上での銀原子の拡散距離が減少し、特異箇所での銀の凝集が抑えられる。
すなわち、銀原子は、まず銀原子と親和性のある原子を有する化合物を含有する中間層表面上で2次元的な核を形成し,それを中心に2次元の単結晶層を形成するという単層成長型(Frank−van der Merwe:FM型)の膜成長によって成膜されるようになる。
なお、一般的には、中間層表面において付着した銀原子が表面を拡散しながら結合し3次元的な核を形成し,3次元的な島状に成長するという島状成長型(Volumer−Weber:VW型)での膜成長により島状に成膜し易いと考えられるが、本発明では、中間層に含有されている銀親和性化合物により、このような様式の島状成長が防止され、単層成長が促進されると推察される。
したがって、薄い膜厚でありながらも、均一な膜厚の導電性層が得られるようになる。この結果、より薄い膜厚として光透過率を保ちつつも、導電性が確保された透明電極とすることができる。本願では銀親和性化合物が、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する芳香族複素環化合物である。
さらに、このような透明電極を陽極又は陰極に用いることで、量子ドットを発光材料とする発光層との親和性が向上し、より電荷注入性の高いエレクトロルミネッセンスデバイスを作製することができるものと考えられる。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて次に示す順に説明する。
1.透明電極
2.エレクトロルミネッセンスデバイスの第1例
3.エレクトロルミネッセンスデバイスの第2例
4.エレクトロルミネッセンスデバイスの第3例
5.エレクトロルミネッセンスデバイスの用途
6.照明装置−1
7.照明装置−2
≪1.透明電極≫
図1は、実施形態の透明電極の構成を示す断面模式図である。この図に示すように、透明電極1は、中間層1aと、この上部に成膜された導電性層1bとを積層した2層構造であり、例えば基材11の上部に、中間層1a、導電性層1bの順に設けられている。このうち中間層1aは、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する芳香族複素環化合物が含有されている層であり、導電性層1bは銀を主成分として構成されている層である。なお、本発明において導電性層1bの主成分とは、導電性層を構成する成分のうち、構成比率が最も高い成分をいう。本発明に係る導電性層は、銀を主成分とし、その構成比率は、60質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは98質量%以上である。
次に、このような積層構造の透明電極1が設けられる基材11、透明電極1を構成する中間層1a及び導電性層1bの順に、詳細な構成を説明する。なお、本発明に係る透明電極1の透明とは波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいう。
<基材11>
本発明に係る透明電極1が形成される基材11は、例えばガラス、プラスチック等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、基材11は透明であっても不透明であってもよい。本発明に係る透明電極1が、基材11側から光を取り出す電子デバイスに用いられる場合には、基材11は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な基材11としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。
ガラスとしては、例えば、シリカガラス、ソーダ石灰シリカガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。これらのガラス材料の表面には、中間層1aとの密着性、耐久性、平滑性の観点から、必要に応じて、研磨等の物理的処理が施されていても良いし、無機物又は有機物からなる被膜や、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜が形成されていても良い。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)あるいはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。
上記したように、樹脂フィルムの表面には、無機物又は有機物からなる被膜や、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜が形成されていてもよい。このような被膜及びハイブリッド被膜は、JIS−K−7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度90±2%RH)が0.01g/(m・24時間)以下のバリア性フィルム(バリア膜等ともいう)であることが好ましい。またさらには、JIS−K−7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が10−3ml/(m・24時間・atm)以下、水蒸気透過度が10−5g/(m・24時間)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
以上のようなバリア性フィルムを形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。さらに当該バリア性フィルムの脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層(有機層)の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
バリア性フィルムの形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載の大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
一方、基材11が不透明なものである場合、例えば、アルミニウム、ステンレス等の金属基板、フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等を用いることができる。
<中間層1a>
中間層1aは、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する芳香族複素環化合物を含有している層である。このような中間層1aが基材11上に成膜されたものである場合、その成膜方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法などのドライプロセスを用いる方法などが挙げられる。なかでも蒸着法が好ましく適用される。
[中間層1aに含有される芳香族複素環化合物]
本発明に係る透明電極1において、中間層1aには、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する芳香族複素環化合物が含有されている。
本願において、「芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子」とは、非共有電子対(「孤立電子対」ともいう。)を持つ窒素原子であって、不飽和環状化合物の芳香族性に、当該非共有電子対が必須要素として直接的に関与していない窒素原子をいう。すなわち、共役不飽和環構造(芳香環)上の非局在化したπ電子系に、当該非共有電子対が、化学構造式上、芳香性発現のために必須のものとして、関与していない窒素原子をいう。
ここで、「芳香族性」とは、π電子を持つ原子が環状に並んだ共役(共鳴)不飽和環構造において、当該環上の非局在化したπ電子系に含まれる電子の数が4n+2(n=0又は自然数)を満たすことをいう(いわゆるヒュッケル則)。
例えば、ピリジンの窒素原子、置換基としてのアミノ基の窒素原子等は、本発明に係る「芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子」に該当するものとする。
中間層1aに含有される芳香族複素環化合物としては、分子内に、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有していればその構造は特に限定されるものではないが、好ましくは、分子内にピリジン環を有し、より好ましくは、分子内にアザカルバゾール環、アザジベンゾフラン環又はアザジベンゾチオフェン環を有し、さらに好ましくは、分子内にγ,γ’−ジアザカルバゾール環又はσ−カルボリン環を有する。
中間層1aに含有される芳香族複素環化合物として好ましくは、以下の一般式(1A)で表される化合物である。また、一般式(1A)が、一般式(1B)、一般式(1C)又は一般式(1D)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。さらに、一般式(1E)又は一般式(1F)で表される化合物も、中間層1aに含有される芳香族複素環化合物として好ましく用いることができる。
Figure 2014078382
上記一般式(1A)の式中、E101〜E108は、各々C(R12)又はNを表し、E101〜E108のうち少なくとも1つはNである。また、一般式(1A)中のR11、及び上記R12は水素原子又は置換基を表す。
この置換基の例としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基、ピペリジル基(ピペリジニル基ともいう)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、リン酸エステル基(例えば、ジヘキシルホスホリル基等)、亜リン酸エステル基(例えばジフェニルホスフィニル基等)、ホスホノ基等が挙げられる。
これらの置換基の一部は、上記の置換基によってさらに置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
Figure 2014078382
上記一般式(1B)は、一般式(1A)の一形態でもある。上記一般式(1B)の式中、Y21は、アリーレン基、ヘテロアリーレン基又はそれらの組み合わせからなる2価の連結基を表す。E201〜E216、E221〜E238は、各々C(R21)又はNを表し、R21は水素原子又は置換基を表す。ただし、E221〜E229の少なくとも1つ及びE230〜E238の少なくとも1つはNを表す。k21及びk22は0〜4の整数を表すが、k21+k22は2以上の整数である。
一般式(2)において、Y21で表されるアリーレン基としては、例えば、o−フェニレン基、p−フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、ナフタセンジイル基、ピレンジイル基、ナフチルナフタレンジイル基、ビフェニルジイル基(例えば、[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイル基、3,3’−ビフェニルジイル基、3,6−ビフェニルジイル基等)、テルフェニルジイル基、クアテルフェニルジイル基、キンクフェニルジイル基、セキシフェニルジイル基、セプチフェニルジイル基、オクチフェニルジイル基、ノビフェニルジイル基、デシフェニルジイル基等が例示される。
また一般式(1B)において、Y21で表されるヘテロアリーレン基としては、例えば、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(モノアザカルボリン環ともいい、カルボリン環を構成する炭素原子のひとつが窒素原子で置き換わった構成の環構成を示す)、トリアゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、キノキサリン環、チオフェン環、オキサジアゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、インドール環からなる群から導出される2価の基等が例示される。
21で表されるアリーレン基、ヘテロアリーレン基又はそれらの組み合わせからなる2価の連結基の好ましい態様としては、ヘテロアリーレン基の中でも、3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環から導出される基を含むことが好ましく、また、当該3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環から導出される基としては、ジベンゾフラン環から導出される基又はジベンゾチオフェン環から導出される基が好ましい。
一般式(1B)において、E201〜E216、E221〜E238で各々表される−C(R21)=のR21が置換基である場合、その置換基の例としては、一般式(1A)のR11,R12として例示した置換基が同様に適用される。
一般式(1B)において、E201〜E208のうちの6つ以上、及びE209〜E216のうちの6つ以上が、各々−C(R21)=で表されることが好ましい。
一般式(1B)において、E225〜E229の少なくとも1つ、及びE234〜E238の少なくとも1つが−N=を表すことが好ましい。
さらには、一般式(1B)において、E225〜E229のいずれか1つ、及びE234〜E238のいずれか1つが−N=を表すことが好ましい。
また、一般式(1B)において、E221〜E224及びE230〜E233が、各々−C(R21)=で表されることが好ましい態様として挙げられる。
さらに、一般式(1B)で表される化合物において、E203が−C(R21)=で表され、かつR21が連結部位を表すことが好ましく、さらに、E211も同時に−C(R21)=で表され、かつR21が連結部位を表すことが好ましい。
さらに、E225及びE234が−N=で表されることが好ましく、E221〜E224及びE230〜E233が、各々−C(R21)=で表されることが好ましい。
Figure 2014078382
上記一般式(1C)は、一般式(1A)の一形態でもある。上記一般式(1C)の式中、E301〜E312は、各々−C(R31)=を表し、R31は水素原子又は置換基を表す。また、Y31は、アリーレン基、ヘテロアリーレン基又はそれらの組み合わせからなる2価の連結基を表す。
上記一般式(1C)において、E301〜E312で各々表される−C(R31)=のR31が置換基である場合、その置換基の例としては、一般式(1)のR11、R12として例示した置換基が同様に適用される。
また一般式(1C)において、Y31で表されるアリーレン基、ヘテロアリーレン基又はそれらの組み合わせからなる2価の連結基の好ましい態様としては、一般式(1B)のY21と同様のものが挙げられる。
Figure 2014078382
上記一般式(1D)は、一般式(1A)の一形態でもある。上記一般式(1D)の式中、E401〜E414は、各々−C(R41)=を表し、R41は水素原子又は置換基を表す。またAr41は、置換あるいは無置換の、芳香族炭化水素環あるいは芳香族複素環を表す。さらにk41は3以上の整数を表す。
上記一般式(1D)において、E401〜E414で各々表される−C(R41)=のR41が置換基である場合、その置換基の例としては、一般式(1A)のR11、R12として例示した置換基が同様に適用される。
また一般式(1D)において、Ar41が芳香族炭化水素環を表す場合、この芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。これらの環は、さらに一般式(1A)のR11,R12として例示した置換基を有しても良い。
また一般式(1D)において、Ar41が芳香族複素環を表す場合、この芳香族複素環としては、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環等が挙げられる。なお、アザカルバゾール環とは、カルバゾール環を構成するベンゼン環の炭素原子が1つ以上窒素原子で置き換わったものを示す。これらの環は、さらに一般式(1A)において、R11,R12として例示した置換基を有しても良い。
Figure 2014078382
上記一般式(1E)の式中、E501及びE502のうちの少なくとも1つは窒素原子であり、E511〜E515のうちの少なくとも1つは窒素原子であり、E521〜E525のうちの少なくとも1つは窒素原子である。またR51は置換基を表す。
上記一般式(1E)において、R51が置換基を表す場合、その置換基の例としては、一般式(1A)のR11,R12として例示した置換基が同様に適用される。
Figure 2014078382
上記一般式(1F)の式中、E601〜E612は、各々−C(R61)=又はN=を表し、R61は水素原子又は置換基を表す。またAr61は、置換あるいは無置換の、芳香族炭化水素環あるいは芳香族複素環を表す。
上記一般式(1F)において、E601〜E612で各々表される−C(R61)=のR61が置換基である場合、その置換基の例としては、一般式(1A)のR11、R12として例示した置換基が同様に適用される。
また一般式(1F)において、Ar61が表す、置換あるいは無置換の、芳香族炭化水素環あるいは芳香族複素環は、一般式(1D)のAr41と同様のものが挙げられる。
[中間層1aに含有される芳香族複素環化合物の具体例]
以下に、本発明に係る中間層1aに含有される、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を含有する芳香族複素環化合物の具体例No.1〜No.37を示す。No.1〜No.37は一般式(1A)から(1F)で表される化合物の具体例である。
Figure 2014078382
Figure 2014078382
Figure 2014078382
Figure 2014078382
Figure 2014078382
以下に、本発明に係る中間層1aに含有される、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を含有する芳香族複素環化合物の、一般式(1A)から(1F)で表される化合物以外の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2014078382
Figure 2014078382
Figure 2014078382
Figure 2014078382
Figure 2014078382
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Figure 2014078382
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<導電性層1b>
導電性層1bは、銀を主成分として構成されている層であって、中間層1a上に成膜された層である。このような導電性層1bの成膜方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法などのドライプロセスを用いる方法などが挙げられる。なかでも蒸着法が好ましく適用される。また導電性層1bは、中間層1a上に成膜されることにより、導電性層成膜後の高温アニール処理(例えば、150℃以上の加熱プロセス)等がなくても十分に導電性を有することを特徴とするが、必要に応じて、成膜後に高温アニール処理等を行ったものであっても良い。
導電性層1bは銀(Ag)を含有する合金から構成されていても良く、そのような合金としては、銀マグネシウム(AgMg)、銀銅(AgCu)、銀パラジウム(AgPd)、銀パラジウム銅(AgPdCu)、銀インジウム(AgIn)などが挙げられる。
以上のような導電性層1bは、銀を主成分として構成されている層が、必要に応じて複数の層に分けて積層された構成であっても良い。
さらにこの導電性層1bは、膜厚が5〜8nmの範囲にあることが好ましい。膜厚が8nmより薄いと層の吸収成分又は反射成分が少なくなり、透明電極の透過率が向上するためより好ましい。また、膜厚が5nmより厚いと層の導電性が十分になるため好ましい。
なお、以上のような中間層1aとこの上部に成膜された導電性層1bとからなる積層構造の透明電極1は、導電性層1bの上部が保護膜で覆われていても良いし、別の導電性層が積層されていても良い。この場合、透明電極1の光透過性を損なうことのないように、保護膜及び別の導電性層が光透過性を有することが好ましい。また中間層1aの下部、すなわち中間層1aと基材11との間にも、必要に応じた層を設けた構成としても良い。
<透明電極1の効果>
以上のような構成の透明電極1は、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する芳香族複素環化合物を用いて構成された中間層1a上に、銀を主成分として構成されている導電性層1bを設けた構成である。これにより、中間層1aの上部に導電性層1bを成膜する際には、導電性層1bを構成する銀原子が中間層1aを構成する非共有電子対を持つ窒素原子を有する芳香族複素環化合物と相互作用し、銀原子の中間層1a表面において島状に成長する銀の凝集が抑えられる。
ここで一般的に銀を主成分として構成されている導電性層1bの成膜においては、3次元的な島状に成長するという島状成長型(Volumer−Weber:VW型)で薄膜成長するため、銀粒子が島状に孤立し易く、膜厚が薄いときは導電性を得ることが困難であり、シート抵抗値が高くなる。したがって、導電性を確保するには膜厚を厚くする必要があるが、膜厚を厚くすると光透過率が下がるため、透明電極としては不適であった。
しかしながら、本発明構成に係る透明電極1によれば、上述したように中間層1a上において銀の凝集が抑えられるため、銀を主成分として構成されている導電性層1bの成膜においては、単層成長型(Frank−van der Merwe:FW型)の膜成長によって成膜されるようになる。
またここで、本発明に係る透明電極1の透明とは波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいうが、中間層1aとして用いられる上述した各材料は、銀を主成分とした導電性層1bと比較して十分に光透過性の良好な膜である。一方、透明電極1の導電性は主に導電性層1bによって確保される。したがって上述のように、銀を主成分として構成されている導電性層1bが、より薄い膜厚で導電性が確保されたものとなることにより、透明電極1の導電性の向上と光透過性の向上との両立を図ることが可能になるのである。
≪2.エレクトロルミネッセンスデバイスの第1例≫
<エレクトロルミネッセンスデバイス100の構成>
図2は、本発明のエレクトロルミネッセンスデバイスの一例として、上述した透明電極1を用いたエレクトロルミネッセンスデバイスの第1例を示す断面構成図である。以下にこの図に基づいてエレクトロルミネッセンスデバイスの構成を説明する。
図2に示すエレクトロルミネッセンスデバイス100は、透明基板(基材)13上に設けられており、透明基板13側から順に、透明電極1、有機材料等を用いて構成された発光機能層3、及び対向電極5aをこの順に積層して構成されている。このエレクトロルミネッセンスデバイス100においては、透明電極1として、先に説明した本発明に係る透明電極1を用いている。このためエレクトロルミネッセンスデバイス100は、発生させた光(以下、発光光hと記す)を、少なくとも透明基板13側から取り出すように構成されている。
また、エレクトロルミネッセンスデバイス100の層構造は以下に説明する例に限定されることはなく、一般的な層構造であっても良い。ここでは、透明電極1がアノード(すなわち陽極)として機能し、対向電極5aがカソード(すなわち陰極)として機能する例を示している。この場合、例えば発光機能層3は、アノードである透明電極1側から順に正孔注入層3a/正孔輸送層3b/発光層3c/電子輸送層3d/電子注入層3eを積層した構成が例示されるが、このうち少なくとも有機材料を用いて構成された発光層3cを有することが必須である。正孔注入層3a及び正孔輸送層3bは、正孔輸送/注入層として設けられていても良い。電子輸送層3d及び電子注入層3eは、電子輸送/注入層として設けられていても良い。またこれらの発光機能層3のうち、例えば電子注入層3eは無機材料で構成されているものとしても良い。
また、発光機能層3は、これらの層の他に正孔阻止層や電子阻止層等が必要に応じて必要箇所に積層されていても良い。さらに発光層3cは、各波長領域の発光光を発生させる各色発光層を有し、これらの各色発光層を、非発光性の中間層を介して積層させた構造としても良い。中間層は、正孔阻止層、電子阻止層として機能しても良い。さらにカソードである対向電極5aも、必要に応じた積層構造であっても良い。このような構成においては、透明電極1と対向電極5aとで発光機能層3が挟持された部分のみが、エレクトロルミネッセンスデバイス100における発光領域となる。
また、以上のような層構成においては、透明電極1の低抵抗化を図ることを目的とし、透明電極1の導電性層1bに接して補助電極15が設けられていても良い。
以上のような構成のエレクトロルミネッセンスデバイス100は、発光機能層3の劣化を防止することを目的として、透明基板13上において後述する封止材17で封止されている。この封止材17は、接着剤19を介して透明基板13側に固定されている。ただし、透明電極1及び対向電極5aの端子部分は、透明基板13上において発光機能層3によって互いに絶縁性を保った状態で封止材17から露出させた状態で設けられていることとする。
以下、上述したエレクトロルミネッセンスデバイス100を構成するための主要各層の詳細を、透明基板13、透明電極1、対向電極5a、発光機能層3の発光層3c、発光機能層3の他の層、補助電極15、及び封止材17の順に説明する。その後、エレクトロルミネッセンスデバイス100の作製方法を説明する。
[透明基板13]
透明基板13は、先に説明した本発明に係る透明電極1が設けられる基材11であり、先に説明した基材11のうち光透過性を有する透明な基材11が用いられる。
[透明電極1(アノード)]
透明電極1は、先に説明した本発明に係る透明電極1であり、透明基板13側から順に中間層1a及び導電性層1bを順に成膜した構成である。ここでは特に、透明電極1はアノードとして機能するものであり、導電性層1bが実質的なアノードとなる。
[対向電極5a(カソード)]
対向電極5aは、発光機能層3に電子を供給するカソードとして機能する電極膜であり、金属、合金、有機若しくは無機の導電性化合物、又はこれらの混合物等から構成されている。具体的には、アルミニウム、銀、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属、ITO、ZnO、TiO、SnO等の酸化物半導体などが挙げられる。
対向電極5aは、これらの導電性材料を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより作製することができる。また、対向電極5aとしてのシート抵抗は、数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常5nm〜5μm、好ましくは5nm〜200nmの範囲で選ばれる。
なお、このエレクトロルミネッセンスデバイス100が、対向電極5a側からも発光光hを取り出すものである場合には、上述した導電性材料のうちから選択される光透過性の良好な導電性材料により対向電極5aが構成されていれば良い。
[発光層3c]
本発明に用いられる発光層3cは、発光材料として量子ドットが含有されている。この発光層3cは、電極又は電子輸送層3dから注入された電子と、正孔輸送層3bから注入された正孔とが再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層3cの層内であっても発光層3cと隣接する層との界面であってもよい。
このような発光層3cとしては、含まれる発光材料が発光要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。また、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あってもよい。この場合、各発光層3c間には非発光性の中間層(図示せず)を有していることが好ましい。
発光層3cの膜厚の総和は、好ましくは、1〜100nmの範囲であり、さらに好ましくは、より低い駆動電圧を得ることができることから1〜30nmである。なお、発光層3cの膜厚の総和とは、発光層3c間に非発光性の中間層が存在する場合には、当該中間層も含む膜厚である。
複数層を積層した構成の発光層3cの場合、個々の発光層の膜厚としては、1〜50nmの範囲に調整することが好ましく、1〜20nmの範囲に調整することがより好ましい。積層された複数の発光層が、青、緑、赤のそれぞれの発光色に対応する場合、青、緑、赤の各発光層の膜厚の関係については、特に制限はない。
以上のように構成されている発光層3cは、後述する発光材料やホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜形成方法により製膜して形成することができる。また発光層3cは、複数の量子ドットが混合されて構成されていてもよく、またリン光発光材料と蛍光発光材料(蛍光ドーパント、蛍光性化合物ともいう)とが混合されて構成されていてもよい。
発光層3cの構成として、ホスト化合物(発光ホスト等ともいう)、発光材料(発光ドーパント化合物ともいう)を含有し、発光材料より発光させることが好ましい。
(量子ドット)
本発明のエレクトロルミネッセンスデバイスにおいて、発光層は量子ドットを有している。 量子ドットとは、半導体材料の結晶で構成され、その粒子径が数nm〜数十nm程度の微粒子であり、下記に示す量子ドット効果が得られるものをいう。量子ドット(微粒子)の粒子径は、具体的には1〜20nmであり、好ましくは1〜10nmである。
このような微粒子のエネルギー準位Eは、一般に、プランク定数を「h」と、電子の有効質量を「m」と、微粒子の半径を「R」としたとき、式(I)で表される。
式(I) E∝h/mR
式(I)で示されるように、微粒子のバンドギャップは、「R−2」に比例して大きくなり、いわゆる、量子ドット効果が得られる。このように、量子ドットの粒子径を制御、規定することによって、量子ドットのバンドギャップ値を制御することができる。すなわち、微粒子の粒子径を制御、規定することにより、通常の原子には無い多様性を持たせることができる。そのため、光によって励起させたり、量子ドットを含むエレクトロルミネッセンスデバイスに対して電圧をかけることで、量子ドットに電子とホールを閉じ込めて再結合させたりすることで電気エネルギーを所望の波長の光に変換して出射させることができる。このような発光性の量子ドットを本願では「量子ドット」と表す。
量子ドットの平均粒子径は、上述したように、数nm〜数十nm程度であるが、白色発光の発光材料の1つとして用いる場合、目的とする発光色に対応する粒子径とする。
例えば、赤発光を得たい場合は量子ドットの粒子径を3〜20nmとするのが好ましく、緑発光を得たい場合は量子ドットの粒子径を1.5〜10nmとするのが好ましく、青色発光を得たい場合は量子ドットの粒子径を1〜3nmとするのが好ましい。
平均粒子径の測定方法としては、公知の方法を用いることができる。
例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)により量子ドットの粒子観察を行い、そこから粒子径分布の数平均粒子径として求める方法や、動的光散乱法により量子ドットの粒子径分布を測定し、その数平均粒子径として求める方法、X線小角散乱法により得られたスペクトルから量子ドットの粒子径分布シミュレーション計算を用いて粒子径分布を導出する方法などが挙げられる。
量子ドットの添加量は、添加する層の全構成物質100質量部に対して0.01〜100質量%であることが好ましく、0.05〜80質量%であることがより好ましく、0.1〜60質量%であることが最も好ましい。0.01質量%以上の場合、十分な輝度効率、演色性の良い白色発光を得ることができる。
白色発光を示す場合は、必要なそれぞれの量子ドットの添加量としては400〜500nmの範囲内に発光極大波長を有する青色(B)に発光する量子ドット(BQDと称す)と、500〜580nmの範囲内に発光極大波長を有する緑色(G)に発光する量子ドット(GYQDと称す)と580〜650nmの範囲内に発光極大波長を有する赤色(R)に発光する量子ドット(ORQDと称す)のそれぞれの発光領域において、少なくとも1種類以上の量子ドットが必要であり、それぞれ量子ドットの発光層における質量比が下記式(A)及び(B)を満たすことが好ましい。
式(A) 4.0≦BQD/GYQD≦40.0
式(B) 0.5≦GYQD/ORQD≦3.0
また、これらの比率は、リン光材料で白色発光を示すために必要な比率よりも青色材料の比率が大幅に少なくなっており、これは、量子ドットの励起子閉じ込め効果がリン光材料よりも高いことを示している。また、好ましい態様として、後述するホスト化合物との組合せにより高いレベルで達成できるものである。
また、本発明のエレクトロルミネッセンスデバイスにおいて、発光層に使用するBQDとGYQD及びORQDのうち少なくとも2種はフォトルミネッセンス発光量子収率(以下PLQEともいう。)が70%以上であることが好ましい。
また好ましくは、PLQEはGYQD及びORQDがともに70%以上であることが好ましい。さらにはBQDとGYQD及びORQDがともに70%以上であることが好ましい。
各量子ドットのPLQEは市販品のカタログ等で記載のあるもの以外は国際公開第2008/063652号に記載の方法を用いて測定することができる。
PLスペクトル測定にはUSB2000(Ocean Optics製)やCARY Eclipseの分光光度計を用いて、室温(23〜25℃)、励起波長373nmで行うことができる。
PLQEの高い量子ドットは、量子ドットを構成するコアとシェルの間の結晶の格子欠陥が極めて少なく、そのために本来量子ドットの持つコア内での励起子閉じ込め効果が高いのに加えエネルギーの拡散が抑えられるため、結果として量子収率の向上、量子ドット間でのエネルギー移動が抑えられると考えられる。
また、前述したリン光発光材料はその励起寿命がミリ若しくはマイクロ秒オーダーと比較的長いために、層内での濃度が濃すぎると励起子のエネルギーが振動緩和して消失するいわゆる濃度消光の問題がある。しかし、これらの量子ドットを発光層に添加することにより、量子ドットそのものの発光が得られるだけに留まらず、詳細は不明だが量子ドットと前述のホスト化合物の組み合わせによるキャリア注入の向上以外にも、ホスト化合物の表面エネルギーによる量子ドットの分散性向上によるものと推測されるエネルギー移動の抑制とそれに伴う発光効率の向上効果が得られると考えられる。
量子ドットの構成材料としては、例えば、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、錫等の周期表第14族元素の単体、リン(黒リン)等の周期表第15族元素の単体、セレン、テルル等の周期表第16族元素の単体、炭化ケイ素(SiC)等の複数の周期表第14族元素からなる化合物、酸化錫(IV)(SnO)、硫化錫(II,IV)(Sn(II)Sn(IV)S)、硫化錫(IV)(SnS)、硫化錫(II)(SnS)、セレン化錫(II)(SnSe)、テルル化錫(II)(SnTe)、硫化鉛(II)(PbS)、セレン化鉛(II)(PbSe)、テルル化鉛(II)(PbTe)等の周期表第14族元素と周期表第16族元素との化合物、窒化ホウ素(BN)、リン化ホウ素(BP)、砒化ホウ素(BAs)、窒化アルミニウム(AlN)、リン化アルミニウム(AlP)、砒化アルミニウム(AlAs)、アンチモン化アルミニウム(AlSb)、窒化ガリウム(GaN)、リン化ガリウム(GaP)、砒化ガリウム(GaAs)、アンチモン化ガリウム(GaSb)、窒化インジウム(InN)、リン化インジウム(InP)、砒化インジウム(InAs)、アンチモン化インジウム(InSb)等の周期表第13族元素と周期表第15族元素との化合物(あるいはIII−V族化合物半導体)、硫化アルミニウム(Al)、セレン化アルミニウム(AlSe)、硫化ガリウム(Ga)、セレン化ガリウム(GaSe)、テルル化ガリウム(GaTe)、酸化インジウム(In)、硫化インジウム(In)、セレン化インジウム(InSe)、テルル化インジウム(InTe)等の周期表第13族元素と周期表第16族元素との化合物、塩化タリウム(I)(TlCl)、臭化タリウム(I)(TlBr)、ヨウ化タリウム(I)(TlI)等の周期表第13族元素と周期表第17族元素との化合物、酸化亜鉛(ZnO)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、酸化カドミウム(CdO)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、テルル化カドミウム(CdTe)、硫化水銀(HgS)、セレン化水銀(HgSe)、テルル化水銀(HgTe)等の周期表第12族元素と周期表第16族元素との化合物(あるいはII−VI族化合物半導体)、硫化砒素(III)(As)、セレン化砒素(III)(AsSe)、テルル化砒素(III)(AsTe)、硫化アンチモン(III)(Sb)、セレン化アンチモン(III)(SbSe)、テルル化アンチモン(III)(SbTe)、硫化ビスマス(III)(Bi)、セレン化ビスマス(III)(BiSe)、テルル化ビスマス(III)(BiTe)等の周期表第15族元素と周期表第16族元素との化合物、酸化銅(I)(CuO)、セレン化銅(I)(CuSe)等の周期表第11族元素と周期表第16族元素との化合物、塩化銅(I)(CuCl)、臭化銅(I)(CuBr)、ヨウ化銅(I)(CuI)、塩化銀(AgCl)、臭化銀(AgBr)等の周期表第11族元素と周期表第17族元素との化合物、酸化ニッケル(II)(NiO)等の周期表第10族元素と周期表第16族元素との化合物、酸化コバルト(II)(CoO)、硫化コバルト(II)(CoS)等の周期表第9族元素と周期表第16族元素との化合物、四酸化三鉄(Fe)、硫化鉄(II)(FeS)等の周期表第8族元素と周期表第16族元素との化合物、酸化マンガン(II)(MnO)等の周期表第7族元素と周期表第16族元素との化合物、硫化モリブデン(IV)(MoS)、酸化タングステン(IV)(WO)等の周期表第6族元素と周期表第16族元素との化合物、酸化バナジウム(II)(VO)、酸化バナジウム(IV)(VO)、酸化タンタル(V)(Ta)等の周期表第5族元素と周期表第16族元素との化合物、酸化チタン(TiO、Ti、Ti、Ti等)等の周期表第4族元素と周期表第16族元素との化合物、硫化マグネシウム(MgS)、セレン化マグネシウム(MgSe)等の周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物、酸化カドミウム(II)クロム(III)(CdCr)、セレン化カドミウム(II)クロム(III)(CdCrSe)、硫化銅(II)クロム(III)(CuCr)、セレン化水銀(II)クロム(III)(HgCrSe)等のカルコゲンスピネル類、バリウムチタネート(BaTiO)等が挙げられるが、SnS、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe等の周期表第14族元素と周期表第16族元素との化合物、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb等のIII−V族化合物半導体、Ga、Ga、GaSe、GaTe、In、In、InSe、InTe等の周期表第13族元素と周期表第16族元素との化合物、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、HgO、HgS、HgSe、HgTe等のII−VI族化合物半導体、As、As、AsSe、AsTe、Sb、Sb、SbSe、SbTe、Bi、Bi、BiSe、BiTe等の周期表第15族元素と周期表第16族元素との化合物、MgS、MgSe等の周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物が好ましく、中でも、Si、Ge、GaN、GaP、InN、InP、Ga、Ga、In、In、ZnO、ZnS、CdO、CdSがより好ましい。
これらの物質は、毒性の高い陰性元素を含まないので耐環境汚染性や生物への安全性に優れており、また、可視光領域で純粋なスペクトルを安定して得ることができるので、発光素子の形成に有利である。これらの材料のうち、CdSe、ZnSe、CdSは、発光の安定性の点で好ましい。発光効率、高屈折率、安全性の経済性の観点から、ZnO、ZnSの量子ドットが好ましい。また、上記の材料は、1種で用いるものであってもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、上述した量子ドットには、必要に応じて微量の各種元素を不純物としてドープすることができる。このようなドープ物質を添加することにより発光特性を大きく向上させることができる。
本発明に係る量子ドットのバンドギャップエネルギーとしては発光層の隣接層のバンドギャップエネルギー以下であることが好ましく、発光層のホスト材料のバンドギャップエネルギー以下であることが更に好ましい。具体的には1.8eV〜3.2eVの範囲であることが好ましく、2.2eV〜3eVであることが好ましく、2.6eV〜3.0eVであることが最も好ましい。
これら有機及び無機機能材料のエネルギー準位を見積もる方法としては、走査型トンネル分光法、紫外線光電子分光法、X線光電子分光法、オージェ電子分光法により求められるエネルギー準位から求める方法及び光学的にバンドギャップエネルギーを見積もる方法が挙げられる。
また、これら量子ドットはホールと電子が発光材料内での直接再結合することによる発光だけでなく、有機電子ブロック正孔輸送層や有機発光層、又は正孔ブロック電子輸送層中で生じた励起子のエネルギーを量子ドットに吸収させ量子ドットのコアからの発光を得ても良い。
量子ドットの表面は、不活性な無機物の被覆層又は有機配位子で構成された被膜で被覆されたものであるのが好ましい。すなわち、量子ドットの表面は、量子ドットで構成されたコア領域と、不活性な無機物の被覆層又は有機配位子で構成されたシェル領域とを有するものであるのが好ましい。
コア/シェル構造は少なくとも2種類の化合物で形成さていることが好ましく、2種類以上の化合物でグラジエント構造を形成していても良い。これにより、塗布液中における量子ドットの凝集を効果的に防止することができ、量子ドットの分散性を向上させることができるとともに、輝度効率が向上し、連続駆動させた場合に生じる色ズレを抑制することができる。また、被覆層の存在により安定的に発光特性が得られる。
また、量子ドットの表面が被膜で被覆されていると、後述するような表面修飾剤を量子ドットの表面付近に確実に担持させることができる。
被膜の厚さは、特に限定されないが、0.1〜10nmであるのが好ましく、0.1〜5nmであるのがより好ましい。一般に、量子ドットのサイズにより発光色が制御でき、被膜の厚さが前記範囲内の値であると、被膜の厚みが原子数個分に相当する厚さから量子ドット1個に満たない厚さであり、量子ドットを高密度で充填することができ、十分な発光量が得られる。また、被膜の存在によりお互いのコア粒子の粒子表面に存在する欠陥、ダングリングボンドへの電子トラップによる非発光の電子エネルギーの転移を抑制でき、量子効率の低下を抑えることができる。
(機能性表面修飾剤)
塗布液中において量子ドットの表面付近には、表面修飾剤が付着しているのが好ましい。これにより、塗布液中における量子ドットの分散性を特に優れたものとすることができる。また、量子ドットの製造時において量子ドットの表面に表面修飾剤を付着させることにより、形成される量子ドットの形状が真球度の高いものとなり、また、量子ドットの粒子径分布を狭く抑えられるため、例えば、特に優れたものとすることができる。
これらの機能性表面修飾剤は、量子ドットの表面に直接付着したものであってもよいし、シェルを介して付着したもの(表面修飾剤が直接付着するのはシェルで、量子ドットコアには接触していないもの)であってもよい。
表面修飾剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィン等のトリアルキルホスフィン類;ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;トリ(n−ヘキシル)アミン、トリ(n−オクチル)アミン、トリ(n−デシル)アミン等の第3級アミン類;トリプロピルホスフィンオキシド、トリブチルホスフィンオキシド、トリヘキシルホスフィンオキシド、トリオクチルホスフィンオキシド、トリデシルホスフィンオキシド等の有機リン化合物;ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類;ピリジン、ルチジン、コリジン、キノリン類の含窒素芳香族化合物等の有機窒素化合物;ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン等のアミノアルカン類;ジブチルスルフィド等のジアルキルスルフィド類;ジメチルスルホキシドやジブチルスルホキシド等のジアルキルスルホキシド類;チオフェン等の含硫黄芳香族化合物等の有機硫黄化合物;パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸;アルコール類;ソルビタン脂肪酸エステル類;脂肪酸変性ポリエステル類;3級アミン変性ポリウレタン類;ポリエチレンイミン類等が挙げられるが、量子ドットが後述するような方法で調製されるものである場合、表面修飾剤は、高温液相において微粒子に配位して安定化する物質であるのが好ましく、具体的には、トリアルキルホスフィン類、有機リン化合物、アミノアルカン類、第3級アミン類、有機窒素化合物、ジアルキルスルフィド類、ジアルキルスルホキシド類、有機硫黄化合物、高級脂肪酸、アルコール類が好ましい。このような表面修飾剤を用いることにより、塗布液中における量子ドットの分散性を特に優れたものとすることができる。また、量子ドットの製造時において形成される量子ドットの形状をより真球度の高いものとし、量子ドットの粒度分布をよりシャープなものとすることができる。
(量子ドットの製造方法)
量子ドットの製造方法としては、従来行われている下記のような量子の製造方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく公知の任意の方法を用いることができる。 例えば、高真空下のプロセスとしては、分子ビームエピタキシー法、CVD法等;液相製造方法としては、原料水溶液を、例えば、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン等のアルカン類、又はベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等の非極性有機溶媒中の逆ミセルとして存在させ、この逆ミセル相中にて結晶成長させる逆ミセル法、熱分解性原料を高温の液相有機媒体に注入して結晶成長させるホットソープ法、さらに、ホットソープ法と同様に、酸塩基反応を駆動力として比較的低い温度で結晶成長を伴う溶液反応法等が挙げられる。
これらの製造方法から任意の方法を使用することができるが、中でも、液相製造方法が好ましい。
なお、液相製造方法において、量子ドットの合成に際して表面に存在する有機表面修飾剤を初期表面修飾剤と呼ぶ。
例えば、ホットソープ法における初期表面修飾剤の例としては、トリアルキルホスフィン類、トリアルキルホスフィンオキシド類、アルキルアミン類、ジアルキルスルホキシド類、アルカンホスホン酸等が挙げられる。これらの初期表面修飾剤は、交換反応により上述の機能性表面修飾剤に交換することが好ましい。
具体的には、例えば、前述したホットソープ法により得られるトリオクチルホスフィンオキシド等の初期表面修飾剤は、機能性表面修飾剤を含有する液相中で行う交換反応により、上述の機能性表面修飾剤と交換することが可能である。
以下に、量子ドットの製造方法の一例を示す。
〈1〉量子ドットの製造例1
まず、CdOパウダー(1.6mmol、0.206g;Aldrich、+99.99%)とオレイン酸(6.4mmol、1.8g;Aldrich、95%)とを40mlのトリオクチルアミン(TOA、Aldrich、95%)中で混合する。混合された溶液を高速で撹拌しながら150℃で熱処理し、Nを流しながら300℃まで温度を上昇させた。次いで、300℃で、トリオクチルホスフィン(TOP、Strem、97%)に添加された2.0モル/LのSe(Alfa Aesar)0.2mlを、上記Cd−含有混合物に高速で注入する。
90秒後、TOA(210μl in6ml)に添加された1.2mmolのn−オクタンチオールを注射器ポンプ(syringe pump)を用いて1ml/minの速度で注入して40分間反応させる。
次に、0.92gの酢酸亜鉛と2.8gのオレイン酸とを20mlのTOAに200℃で、N雰囲気下で溶解させて0.25モル/LのZn前駆体溶液を調製する。
次いで、16mlのアリコート(aliquot)のZn−オレイン酸溶液(100℃で加熱された)を前記Cd−含有反応媒質に2ml/minの速度で注入する。その後、TOA(1.12ml in 6ml)中の6.4mmolのn−オクタンチオールを、注射器ポンプを用いて1ml/minの速度で注入する。
全体反応は、2時間かけて行う。反応が終わった後、生成物を約50〜60℃に冷却し、有機スラッジを遠心分離(5600rpm)で除去する。不透明な塊がなくなるまでエタノール(Fisher、HPLC grade)を添加する。次いで、遠心分離して得られた沈殿物をトルエン(Sigma−Aldrich、Anhydrous 99.8%)中で溶解させることにより、CdSe/CdS/ZnSコア−シェル量子ドットコロイド溶液をえることができる。
〈2〉量子ドットの製造例2
CdSe/ZnSのコア/シェル構造を有する量子ドットを得ようとする場合、界面活性剤としてTOPO(trioctylphosphine oxide)を使用した有機溶媒に(CHCd(dimethyl cadmium)、TOPSe(trioctylphosphine selenide)などのコア(CdSe)に該当する前駆体物質を注入して結晶が生成されるようにし、結晶が一定の大きさで成長するように高温で一定時間維持した後、シェル(ZnS)に該当する前駆体物質を注入して既に生成されたコアの表面にシェルが形成されるようにすることで、TOPOでキャッピング(capping)されたCdSe/ZnSの量子ドットを得ることができる。
〈3〉量子ドットの製造例3
アルゴン気流下、トリ−n−オクチルホスフィンオキシド(TOPO)(関東化学社製)7.5gに、ステアリン酸(関東化学社製)2.9g、n−テトラデシルホスホン酸(AVOCADO社製)620mg、及び、酸化カドミニウム(和光純薬工業社製)250mgを加え、370℃に加熱混合した。これを270℃まで自然冷却させた後、あらかじめトリブチルホスフィン(関東化学社製)2.5mlにセレン(STREM CHEMICAL社製)200mgを溶解させた溶液を加え、減圧乾燥し、TOPOで被覆されたCdSe微粒子を得る。
次いで、得られたCdSe微粒子に、TOPO15gを加えて加熱し、引き続き270℃でトリオクチルホスフィン(シグマアルドリッチ社製)10mlにジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(東京化成社製)1.1gを溶解した溶液を加え、表面にTOPOが固定された、CdSeのナノ結晶をコアとし、ZnSをシェルとするナノ粒子(以下、TOPO固定量子ドットともいう)を得た。なお、この状態の量子ドットは、トルエンやテトラヒドロフラン(THF)等の有機溶媒に可溶である。
その後、作製したTOPO固定量子ドットをTHFに溶解させて85℃に加温し、そこにエタノールに溶解させたN−[(S)−3−メルカプト−2−メチルプロピオニル]−L−プロリン(シグマアルドリッチ社製)100mgを滴下させ、12時間程度還流させた。12時間還流後、NaOH水溶液を加え、2時間、90℃で加熱してTHFを蒸発させた。得られた未精製の量子ドットを、限外濾過(Millipore社製、「Microcon」)及びセファデックスカラム(Amersham Biosciences社製、「MicroSpin G−25Columns」)を用いて精製と濃縮とを行うことで、量子ドットの表面にN−[(S)−3−メルカプト−2−メチルプロピオニル]−L−プロリンが固定された親水性の量子ドットを製造することができる。
(発光材料)
本発明のエレクトロルミネッセンスデバイスにおいて、発光材料として量子ドット以外にリン光発光性化合物(リン光性化合物、リン光発光材料ともいう)を用いることもできる。
リン光発光性化合物とは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明においてリン光発光性化合物を用いる場合、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
リン光発光性化合物の発光の原理としては2種挙げられる。一つは、キャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光発光性化合物に移動させることでリン光発光性化合物からの発光を得るというエネルギー移動型である。もう一つは、リン光発光性化合物がキャリアトラップとなり、リン光発光性化合物上でキャリアの再結合が起こりリン光発光性化合物からの発光が得られるというキャリアトラップ型である。いずれの場合においても、リン光発光性化合物の励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件となる。
リン光発光性化合物は、一般的な有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、さらに好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、又は白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
本発明においては、少なくとも一つの発光層3cに2種以上のリン光発光性化合物が含有されていてもよく、発光層3cにおけるリン光発光性化合物の濃度比が発光層3cの厚さ方向で変化していてもよい。
リン光発光性化合物は好ましくは発光層3cの総量に対し0.1体積%以上30体積%未満である。
(一般式(A)で表される化合物)
発光層3cに含まれる化合物(リン光発光性化合物)は、下記一般式(A)で表される化合物であることが好ましい。
なお、一般式(A)で表されるリン光発光性化合物(リン光発光性の金属錯体ともいう)は、エレクトロルミネッセンスデバイス100の発光層3cに発光ドーパントとして含有されることが好ましい態様であるが、発光層3c以外の発光機能層に含有されていてもよい。
Figure 2014078382
上記一般式(A)中、P、Qは、各々炭素原子又は窒素原子を表し、AはP−Cと共に芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を形成する原子群を表す。AはQ−Nと共に芳香族複素環を形成する原子群を表す。P−L−Pは2座の配位子を表し、P、Pは各々独立に炭素原子、窒素原子又は酸素原子を表す。LはP、Pと共に2座の配位子を形成する原子群を表す。j1は1〜3の整数を表し、j2は0〜2の整数を表すが、j1+j2は2又は3である。Mは元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素を表す。
一般式(A)において、P、Qは、各々炭素原子又は窒素原子を表す。
そして、一般式(A)において、Aが、P−Cと共に形成する芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。
これらの環はさらに、置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基、ピペリジル基(ピペリジニル基ともいう)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、リン酸エステル基(例えば、ジヘキシルホスホリル基等)、亜リン酸エステル基(例えばジフェニルホスフィニル基等)、ホスホノ基等が挙げられる。
一般式(A)において、Aが、P−Cと共に形成する芳香族複素環としては、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環等が挙げられる。
ここで、アザカルバゾール環とは、前記カルバゾール環を構成するベンゼン環の炭素原子が1つ以上窒素原子で置き換わったものを示す。これらの環はさらに、上記した置換基を有していてもよい。
一般式(A)において、Aが、Q−Nと共に形成する芳香族複素環としては、オキサゾール環、オキサジアゾール環、オキサトリアゾール環、イソオキサゾール環、テトラゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、イソチアゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環等が挙げられる。
これらの環はさらに、上記した置換基を有していてもよい。
一般式(A)において、P−L−Pは2座の配位子を表し、P、Pは各々独立に炭素原子、窒素原子又は酸素原子を表す。LはP、Pと共に2座の配位子を形成する原子群を表す。
−L−Pで表される2座の配位子としては、フェニルピリジン、フェニルピラゾール、フェニルイミダゾール、フェニルトリアゾール、フェニルテトラゾール、ピラザボール、アセチルアセトン、ピコリン酸等が挙げられる。
一般式(A)において、j1は1〜3の整数を表し、j2は0〜2の整数を表すが、j1+j2は2又は3を表す、中でも、j2は0である場合が好ましい。
一般式(A)において、Mは元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素(単に遷移金属ともいう)が用いられるが、中でも、イリジウム好ましい。
(一般式(B)で表される化合物)
一般式(A)で表される化合物の中でも、下記一般式(B)で表される化合物であることがさらに好ましい。
Figure 2014078382
上記一般式(B)中、Zは、炭化水素環基又は複素環基を表す。P、Qは、各々炭素原子又は窒素原子を表し、AはP−Cと共に芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を形成する原子群を表す。Aは−C(R01)=C(R02)−、−N=C(R02)−、−C(R01)=N−又はN=N−を表し、R01、R02は、各々水素原子又は置換基を表す。P−L−Pは2座の配位子を表し、P、Pは各々独立に炭素原子、窒素原子、又は酸素原子を表す。LはP、Pと共に2座の配位子を形成する原子群を表す。j1は1〜3の整数を表し、j2は0〜2の整数を表すが、j1+j2は2又は3である。M1は元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素を表す。
一般式(B)において、Zで表される炭化水素環基としては、非芳香族炭化水素環基、芳香族炭化水素環基が挙げられ、非芳香族炭化水素環基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。これらの基は、無置換でも後述する置換基を有していてもよい。
また、芳香族炭化水素環基(芳香族炭化水素基、アリール基等ともいう)としては、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等が挙げられる。
これらの基は、無置換でも良いし、置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、一般式(A)においてAを含む環が有していても良い置換基と同様のものが挙げられる。
一般式(B)において、Zで表される複素環基としては、非芳香族複素環基、芳香族複素環基等が挙げられ、非芳香族複素環基としては、例えば、エポキシ環、アジリジン環、チイラン環、オキセタン環、アゼチジン環、チエタン環、テトラヒドロフラン環、ジオキソラン環、ピロリジン環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、オキサゾリジン環、テトラヒドロチオフェン環、スルホラン環、チアゾリジン環、ε−カプロラクトン環、ε−カプロラクタム環、ピペリジン環、ヘキサヒドロピリダジン環、ヘキサヒドロピリミジン環、ピペラジン環、モルホリン環、テトラヒドロピラン環、1,3−ジオキサン環、1,4−ジオキサン環、トリオキサン環、テトラヒドロチオピラン環、チオモルホリン環、チオモルホリン−1,1−ジオキシド環、ピラノース環、ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン環等から導出される基を挙げられる。
これらの基は、無置換でも良いし、置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、一般式(A)においてAを含む環が有していても良い置換基と同様のものが挙げられる。
芳香族複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等が挙げられる。
これらの基は、無置換でも良いし、置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、一般式(A)においてAを含む環が有していても良い置換基と同様のものが挙げられる。
好ましくは、Zで表される基は芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基である。
一般式(B)において、Aが、P−Cと共に形成する芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。
これらの環はさらに、置換基を有していても良く、そのような置換基としては、一般式(A)においてAを含む環が有していても良い置換基と同様のものが挙げられる。 一般式(B)において、AがP−Cと共に形成する芳香族複素環としては、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、カルバゾール環、カルボリン環、アザカルバゾール環等が挙げられる。
ここで、アザカルバゾール環とは、前記カルバゾール環を構成するベンゼン環の炭素原子が1つ以上窒素原子で置き換わったものを示す。
これらの環はさらに、置換基を有していても良く、そのような置換基としては、一般式(A)においてAを含む環が有していても良い置換基と同様のものが挙げられる。
一般式(B)のAで表される、−C(R01)=C(R02)−、−N=C(R02)−、−C(R01)=N−において、R01、R02で各々表される置換基は、一般式(A)においてAを含む環が有していても良い置換基と同義である。
一般式(B)において、P−L−Pで表される2座の配位子としては、フェニルピリジン、フェニルピラゾール、フェニルイミダゾール、フェニルトリアゾール、フェニルテトラゾール、ピラザボール、アセチルアセトン、ピコリン酸等が挙げられる。
また、j1は1〜3の整数を表し、j2は0〜2の整数を表すが、j1+j2は2又は3を表す、中でも、j2は0である場合が好ましい。
一般式(B)において、Mで表される元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素(単に遷移金属ともいう)は、一般式(A)において、Mで表される元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素と同義である。
(一般式(C)で表される化合物)
上記一般式(B)で表される化合物の好ましい態様の一つとして、下記一般式(C)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2014078382
上記一般式(C)中、R03は置換基を表し、R04は水素原子又は置換基を表し、複数のR04は互いに結合して環を形成してもよい。n01は1〜4の整数を表す。R05は水素原子又は置換基を表し、複数のR05は互いに結合して環を形成してもよい。n02は1〜2の整数を表す。R06は水素原子又は置換基を表し、互いに結合して環を形成してもよい。n03は1〜4の整数を表す。ZはC−Cと共に6員の芳香族炭化水素環もしくは、5員又は6員の芳香族複素環を形成するのに必要な原子群を表す。Zは炭化水素環基又は複素環基を形成するのに必要な原子群を表す。P−L−Pは2座の配位子を表し、P、Pは各々独立に炭素原子、窒素原子又は酸素原子を表す。LはP、Pと共に2座の配位子を形成する原子群を表す。j1は1〜3の整数を表し、j2は0〜2の整数を表すが、j1+j2は2又は3である。Mは元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素を表す。R03とR06、R04とR06及びR05とR06は互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(C)において、R03、R04、R05、R06で各々表される置換基は、一般式(A)において、Aを含む環が有していても良い置換基と同義である。
一般式(C)において、ZがC−Cと共に形成する6員の芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環等が挙げられる。
これらの環はさらに、置換基を有していても良く、そのような置換基としては、一般式(A)においてAを含む環が有していても良い置換基と同様のものが挙げられる。 一般式(C)において、ZがC−Cと共に形成する5員又は6員の芳香族複素環としては、例えば、オキサゾール環、オキサジアゾール環、オキサトリアゾール環、イソオキサゾール環、テトラゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、イソチアゾール環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環等が挙げられる。
これらの環はさらに、置換基を有していても良く、そのような置換基としては、一般式(A)においてAを含む環が有していても良い置換基と同様のものが挙げられる。
一般式(C)において、Zで表される炭化水素環基としては、非芳香族炭化水素環基、芳香族炭化水素環基が挙げられ、非芳香族炭化水素環基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。これらの基は、無置換でも良いし、置換基を有していても良く、そのような置換基としては、一般式(A)においてAを含む環が有していても良い置換基と同様のものが挙げられる。
また、芳香族炭化水素環基(芳香族炭化水素基、アリール基等ともいう)としては、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等が挙げられる。これらの基は、無置換でも良いし、置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、一般式(A)においてAを含む環が有していても良い置換基と同様のものが挙げられる。
一般式(C)において、Zで表される複素環基としては、非芳香族複素環基、芳香族複素環基等が挙げられ、非芳香族複素環基としては、例えば、エポキシ環、アジリジン環、チイラン環、オキセタン環、アゼチジン環、チエタン環、テトラヒドロフラン環、ジオキソラン環、ピロリジン環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、オキサゾリジン環、テトラヒドロチオフェン環、スルホラン環、チアゾリジン環、ε−カプロラクトン環、ε−カプロラクタム環、ピペリジン環、ヘキサヒドロピリダジン環、ヘキサヒドロピリミジン環、ピペラジン環、モルホリン環、テトラヒドロピラン環、1,3−ジオキサン環、1,4−ジオキサン環、トリオキサン環、テトラヒドロチオピラン環、チオモルホリン環、チオモルホリン−1,1−ジオキシド環、ピラノース環、ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン環等から導出される基を挙げることができる。これらの基は無置換でも良いし、置換基を有していても良く、そのような置換基としては、一般式(A)においてAを含む環が有していても良い置換基と同様のものが挙げられる。
芳香族複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等が挙げられる。
これらの環は無置換でも良いし、置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、一般式(A)においてAを含む環が有していても良い置換基と同様のものが挙げられる。
一般式(C)において、Z及びZで形成される基としては、ベンゼン環が好ましい。
一般式(C)において、P−L−Pで表される2座の配位子は、一般式(A)において、P−L−Pで表される2座の配位子と同義である。
一般式(C)において、Mで表される元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素は、一般式(A)において、Mで表される元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素と同義である。
また、リン光発光性化合物は、エレクトロルミネッセンスデバイス100の発光層3cに使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができる。
本発明に係るリン光発光性化合物は、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、さらに好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、又は白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
本発明に係るリン光発光性化合物の具体例(Pt−1〜Pt−3、A−1、Ir−1〜Ir−45)を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。なお、これらの化合物において、m及びnは繰り返し数を表す。
Figure 2014078382
Figure 2014078382
Figure 2014078382
Figure 2014078382
Figure 2014078382
Figure 2014078382
Figure 2014078382
Figure 2014078382
上記のリン光発光性化合物(リン光発光性金属錯体等ともいう)は、例えば、Organic Letter誌、vol3、No.16、2579〜2581頁(2001)、Inorganic Chemistry,第30巻、第8号、1685〜1687頁(1991年)、J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第40巻、第7号、1704〜1711頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第41巻、第12号、3055〜3066頁(2002年)、New Journal of Chemistry.,第26巻、1171頁(2002年)、European Journal of Organic Chemistry,第4巻、695〜709頁(2004年)、さらにこれらの文献中に記載の参考文献等の方法を適用することにより合成できる。
(蛍光発光材料)
蛍光発光材料としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
(ホスト化合物)
発光層3cに含有されるホスト化合物としては、室温(25℃)におけるリン光発光のリン光量子収率が0.1未満の化合物が好ましい。さらに好ましくはリン光量子収率が0.01未満である。また、発光層3cに含有される化合物の中で、その層中での体積比が50%以上であることが好ましい。
白色エレクトロルミネッセンスデバイスを構成する発光層に適用するホスト化合物としては、リン光スペクトルにおける0−0遷移バンドに帰属される発光波長が、459nm以下(2.7eV〜)である発光波長の短い化合物である。すなわち三重項エネルギー準位の高い化合物であるにあることが好ましい。好ましくは337〜459nm以下の範囲内、より好ましくは、414〜459nm以下(2.7〜3.0eV)の範囲内である。
このように、三重項のエネルギー準位においても、量子ドット化合物よりも広いバンドギャップのホスト化合物を用いることで、量子ドット化合物へのキャリアの注入や励起子の閉じ込めが効率的なものとなり、高効率の発光、及び熱的失活過程の低減による寿命の向上を得ることができる。
本発明に係るホスト化合物のリン光スペクトルにおける0−0遷移バンドに帰属される発光波長は、下記の方法により求めることができる。
はじめに、測定対象であるホスト化合物を、よく脱酸素されたエタノール/メタノール=4/1(vol/vol)の混合溶媒に溶かし、リン光測定用セルに入れた後、液体窒素温度77Kで励起光を照射し、励起光を照射した後、100msでの発光スペクトルを測定する。リン光は蛍光に比べ発光寿命が長いため、100ms後に残存する光はほぼリン光であると考えることができる。なお、リン光寿命が100msより短い化合物に対しては遅延時間を短くして測定しても構わないが、蛍光と区別できなくなるほど遅延時間を短くしてしまうとリン光と蛍光が分離できないので問題となるため、その分離が可能な遅延時間を選択する必要がある。
また、上記溶媒系で溶解できないホスト化合物については、そのホスト化合物を溶解しうる任意の溶媒を使用してもよい。実質上、上記測定法ではリン光波長の溶媒効果はごく僅かなので問題ないと考えられる。
次に0−0遷移バンドの求め方であるが、本発明においては、上記測定法で得られたリン光スペクトルチャートのなかで、最も短波長側に現れる発光極大波長を有する発光バンド(発光帯)を0−0遷移バンドとする。
リン光スペクトルは通常強度が弱いことが多いため、拡大するとノイズとピークの判別が難しくなるケースがある。このような場合には、励起光照射中の発光スペクトル(便宜上これを定常光スペクトルという)を拡大し、励起光を照射した後、100ms後の発光スペクトル(便宜上、これをリン光スペクトルという)と重ねあわせリン光スペクトルに由来する定常光スペクトル部分から、リン光スペクトルのピーク波長を読みとることで決定することができる。
また、リン光スペクトルをスムージング処理することでノイズとピークを分離しピーク波長を読みとることもできる。なお、スムージング処理としては、Savitzky&Golayの平滑化法等を適用することができる。
上記測定で用いることのできる測定装置としては、日立ハイテク製の蛍光光度計F4500等を挙げることができる。
本発明のエレクトロルミネッセンスデバイスの発光層に含有されるホスト化合物としては、室温(25℃)におけるリン光発光のリン光量子収率が0.1未満の化合物が好ましい。さらに好ましくはリン光量子収率が0.01未満である。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での体積比が50%以上であることが好ましい。
ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、又は複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、エレクトロルミネッセンスデバイスを高効率化することができる。 また、本発明に用いられるホスト化合物としては、リン光スペクトルにおける0−0遷移バンドに帰属される発光波長が、459nm以下であることが好ましい。従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位を持つ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(重合性発光ホスト)でもよい。高分子材料を用いた場合、化合物が溶媒を取り込んで膨潤やゲル化等、溶媒が抜けにくいと思われる現象が起こりやすいので、これを防ぐために分子量は高くない方が好ましく、具体的には塗布時での分子量が2000以下の材料を用いることが好ましく、塗布時の分子量1000以下の材料を用いることが更に好ましく、特には、分子量が500〜1000の範囲にあるホスト化合物が好ましい。
公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、かつ発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。ここで、ガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS−K−7121に準拠した方法により求められる値である。
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物が挙げられる。例えば、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等が挙げられ、本発明で規定する上記条件を持たす化合物を選択して用いることができる。
更には、本発明に係るホスト化合物が、下記一般式(2)で表される化合物が好ましい。これは、下記一般式(2)で表される化合物は、縮環構造を有するためにキャリア輸送性が高く、また前記の高い三重項エネルギー準位(リン光の0−0バンド)を有するためである
Figure 2014078382
上記一般式(2)において、Xは、NR′、酸素原子、硫黄原子、CR′R″、又はSiR′R″を表す。y及びyは、各々CR′又は窒素原子を表す。R′及びR″は、各々水素原子又は置換基を表す。Ar及びArは、各々芳香環を表し、それぞれ同一でも異なっていても良い。nは0〜4の整数を表す。本発明に係る一般式(2)で表されるホスト化合物としては、特に、カルバゾール誘導体であることが好ましい。
一般式(2)におけるX、y及びyにおいて、R′及びR″で各々表される置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素環基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)等が挙げられる。これらの置換基は上記の置換基によって更に置換されていてもよい。これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
中でも、LUMOのエネルギー準位が浅く、電子輸送性に優れる構造として、一般式(2)中でXが、NR′又は酸素原子である化合物が好ましい。すなわち、(アザ)カルバゾール環又は(アザ)ジベンゾフラン環を有する化合物であることが好ましい。より好ましくは、より電子輸送性に優れる(アザ)カルバゾール環を有する化合物である。ここでR′としては、芳香族炭化水素基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基)、又は芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)が特に好ましい。
上記の芳香族炭化水素基、芳香族複素環基は、各々一般式(2)のXにおいて、R′及びR″で各々表される置換基を有してもよい。
一般式(2)において、y及びyで表される原子としては、CR′又は窒素原子が挙げられるが、より好ましくはCR′である。このような化合物は正孔輸送性にも優れ、陽極・陰極から注入された正孔・電子を効率よく発光層内で再結合・発光させることができる。
一般式(2)において、Ar及びArにより表される芳香環としては、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環が挙げられる。また、該芳香環は単環でもよく、縮合環でもよく、更に未置換でも、一般式(2)のXにおいて、R′及びR″で各々表される置換基を有してもよい。
一般式(2)において、Ar及びArにより表される芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。
一般式(2)において、Ar及びArにより表される芳香族複素環としては、例えば、フラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の一つが更に窒素原子で置換されている環を示す)等が挙げられる。
これらの環は、更に一般式(2)において、R′及びR″で各々表される置換基を有してもよい。
上記の中でも、一般式(2)において、Ar及びArにより表される芳香環として、好ましく用いられるのは、カルバゾール環、カルボリン環、ジベンゾフラン環、ベンゼン環であり、更に好ましく用いられるのは、カルバゾール環、カルボリン環、ベンゼン環であり、より好ましくは置換基を有するベンゼン環であり、特に好ましくはカルバゾリル基を有するベンゼン環が挙げられる。
また、一般式(2)において、Ar及びArにより表される芳香環としては、各々3環以上の縮合環が好ましい一態様であり、3環以上が縮合した芳香族炭化水素縮合環としては、具体的には、ナフタセン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ヘキサセン環、フェナントレン環、ピレン環、ベンゾピレン環、ベンゾアズレン環、クリセン環、ベンゾクリセン環、アセナフテン環、アセナフチレン環、トリフェニレン環、コロネン環、ベンゾコロネン環、ヘキサベンゾコロネン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フルオランテン環、ペリレン環、ナフトペリレン環、ペンタベンゾペリレン環、ベンゾペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピラントレン環、コロネン環、ナフトコロネン環、オバレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。なお、これらの環は、更に上記の置換基を有していてもよい。
また、3環以上が縮合した芳香族複素環としては、具体的には、アクリジン環、ベンゾキノリン環、カルバゾール環、カルボリン環、フェナジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、カルボリン環、サイクラジン環、キンドリン環、テペニジン環、キニンドリン環、トリフェノジチアジン環、トリフェノジオキサジン環、フェナントラジン環、アントラジン環、ペリミジン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭素原子の任意の一つが窒素原子で置き換わったものを表す)、フェナントロリン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ナフトフラン環、ナフトチオフェン環、ベンゾジフラン環、ベンゾジチオフェン環、ナフトジフラン環、ナフトジチオフェン環、アントラフラン環、アントラジフラン環、アントラチオフェン環、アントラジチオフェン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、チオファントレン環(ナフトチオフェン環)等が挙げられる。なお、これらの環は更に置換基を有していてもよい。
また、一般式(2)において、nは0〜4の整数を表すが、0〜2であることが好ましく、特に、Xが、酸素原子又は硫黄原子である場合には、1〜2であることが好ましい。
本発明においては、特に、ジベンゾフラン環とカルバゾール環をともに有するホスト化合物が好ましい。
本発明に係るホスト化合物として、前記一般式(2)で表される化合物が、下記一般式(3)で表される化合物であることが好ましい。すなわち、3位がフェニル基で置換されたカルバゾール環を有する化合物であることが好ましい。このような化合物は、特にキャリア輸送性に優れ、かつ量子ドットへのキャリア注入に優れる傾向があるためである。
Figure 2014078382
上記一般式(3)において、Ar〜Arは各々芳香環を表し、それぞれ同一でも異なっていても良い。n1は0〜4の整数を表し、n2は0〜5の整数を表す。
Ar〜Arで表される芳香環は、前記一般式(2)においてAr及びArにより表される芳香環と同様のものを挙げることができる。
以下に、リン光スペクトルにおける0−0遷移バンドに帰属される発光波長が459nm以下である本発明に係るホスト化合物として、一般式(2)で表される化合物、一般式(3)で表される化合物及びその他の構造からなる化合物例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2014078382
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[注入層:正孔注入層3a、電子注入層3e]
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と発光層3cの間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層3aと電子注入層3eとがある。
注入層は、必要に応じて設けることができる。正孔注入層3aであれば、アノードと発光層3c又は正孔輸送層3bの間、電子注入層3eであればカソードと発光層3c又は電子輸送層3dとの間に存在させてもよい。
正孔注入層3aは、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニン層、酸化バナジウムに代表される酸化物層、アモルファスカーボン層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子層等が挙げられる。
電子注入層3eは、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属層、フッ化カリウムに代表されるアルカリ金属ハライド層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物層、酸化モリブデンに代表される酸化物層等が挙げられる。本発明に係る電子注入層3eはごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は1nm〜10μmの範囲が好ましい。
[正孔輸送層3b]
正孔輸送層3bは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層3a、電子阻止層も正孔輸送層3bに含まれる。正孔輸送層3bは単層又は複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、さらには米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.,Applied Physics Letters,80(2002),p.139に記載されているようないわゆる、p型正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
さらに、特開2010−165830号公報に記載されているような、(アザ)カルバゾール骨格を有する高分子の正孔輸送材料も好ましく用いることができる。
正孔輸送層3bは、上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層3bの膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層3bは、上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、正孔輸送層3bの材料に不純物をドープしてp性を高くすることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
このように、正孔輸送層3bのp性を高くすると、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
[電子輸送層3d]
電子輸送層3dは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層3e、正孔阻止層(図示せず)も電子輸送層3dに含まれる。電子輸送層3dは単層構造又は複数層の積層構造として設けることができる。
単層構造の電子輸送層3d、及び積層構造の電子輸送層3dにおいて発光層3cに隣接する層部分を構成する電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、カソードより注入された電子を発光層3cに伝達する機能を有していれば良い。このような材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン、アントロン誘導体及びオキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送層3dの材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送層3dの材料として用いることができる。
その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送層3dの材料として好ましく用いることができる。また、発光層3cの材料としても例示されるジスチリルピラジン誘導体も電子輸送層3dの材料として用いることができるし、正孔注入層3a、正孔輸送層3bと同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送層3dの材料として用いることができる。
電子輸送層3dは、上記材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層3dの膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層3dは上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、電子輸送層3dに不純物をドープし、n性を高くすることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。さらに電子輸送層3dには、カリウムやカリウム化合物などを含有させることが好ましい。カリウム化合物としては、例えば、フッ化カリウム等を用いることができる。このように電子輸送層3dのn性を高くすると、より低消費電力の素子を作製することができる。
また電子輸送層3dの材料(電子輸送性化合物)として、上述した中間層1aを構成する材料と同様のものを用いても良い。これは、電子注入層3eを兼ねた電子輸送層3dであっても同様であり、上述した中間層1aを構成する材料と同様のものを用いても良い。
[阻止層:正孔阻止層、電子阻止層]
阻止層は、上記の如く有機化合物薄膜の基本構成層の他に、必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは、広い意味では、電子輸送層3dの機能を有する。正孔阻止層は、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する電子輸送層3dの構成を必要に応じて、本発明に係る正孔阻止層として用いることができる。正孔阻止層は、発光層3cに隣接して設けられていることが好ましい。
一方、電子阻止層とは、広い意味では、正孔輸送層3bの機能を有する。電子阻止層は、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する正孔輸送層3bの構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。本発明に係る正孔阻止層の膜厚としては、好ましくは3〜100nmであり、さらに好ましくは5〜30nmである。
[補助電極15]
補助電極15は、透明電極1の抵抗を下げる目的で設けられるものであって、透明電極1の導電性層1bに接して設けられる。補助電極15を形成する材料は、金、白金、銀、銅、アルミニウム等の抵抗が低い金属が好ましい。これらの金属は光透過性が低いため、光取り出し面13aからの発光光hの取り出しの影響のない範囲でパターン形成される。このような補助電極15の形成方法としては、蒸着法、スパッタリング法、印刷法、インクジェット法、エアロゾルジェット法などが挙げられる。補助電極15の線幅は、光を取り出す開口率の観点から50μm以下であることが好ましく、補助電極15の厚さは、導電性の観点から1μm以上であることが好ましい。
[封止材17]
封止材17は、エレクトロルミネッセンスデバイス100を覆うものであって、板状(フィルム状)の封止部材であって接着剤19によって透明基板13側に固定されるものであっても良く、封止膜であっても良い。このような封止材17は、エレクトロルミネッセンスデバイス100における透明電極1及び対向電極5aの端子部分を露出させる状態で、少なくとも発光機能層3を覆う状態で設けられている。また封止材17に電極を設け、エレクトロルミネッセンスデバイス100の透明電極1及び対向電極5aの端子部分と、この電極とを導通させるように構成されていても良い。
板状(フィルム状)の封止材17としては、具体的には、ガラス基板、ポリマー基板、金属基板等が挙げられ、これらの基板材料をさらに薄型のフィルム状にして用いても良い。ガラス基板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー基板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属基板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブデン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属又は合金からなるものが挙げられる。
なかでも、素子を薄膜化できるということから、封止材としてポリマー基板や金属基板を薄型のフィルム状にしたものを好ましく使用することができる。
さらには、フィルム状としたポリマー基板は、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m・24h・atm)以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下のものであることが好ましい。
また以上のような基板材料は、凹板状に加工して封止材17として用いても良い。この場合、上述した基板部材に対してサンドブラスト加工、化学エッチング加工等の加工が施され、凹状が形成される。
またこのような板状の封止材17を透明基板13側に固定するための接着剤19は、封止材17と透明基板13との間に挟持されたエレクトロルミネッセンスデバイス100を封止するためのシール剤として用いられる。このような接着剤19は、具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。
またこのような接着剤19としては、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。なお、エレクトロルミネッセンスデバイス100を構成する有機材料は、熱処理により劣化する場合がある。このため、接着剤19は、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、接着剤19中に乾燥剤を分散させておいてもよい。
封止材17と透明基板13との接着部分への接着剤19の塗布は、市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
また板状の封止材17と透明基板13と接着剤19との間に隙間が形成される場合、この間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
一方、封止材17として封止膜を用いる場合、エレクトロルミネッセンスデバイス100における発光機能層3を完全に覆い、かつエレクトロルミネッセンスデバイス100における透明電極1及び対向電極5aの端子部分を露出させる状態で、透明基板13上に封止膜が設けられる。
このような封止膜は、無機材料や有機材料を用いて構成される。特に、水分や酸素等、エレクトロルミネッセンスデバイス100における発光機能層3の劣化をもたらす物質の浸入を抑制する機能を有する材料で構成されることとする。このような材料として、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等の無機材料が用いられる。さらに封止膜の脆弱性を改良するために、これら無機材料からなる膜と共に、有機材料からなる膜を用いて積層構造としても良い。
これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
[保護膜、保護板]
なお、ここでの図示は省略したが、透明基板13との間にエレクトロルミネッセンスデバイス100及び封止材17を挟んで保護膜若しくは保護板を設けても良い。この保護膜若しくは保護板は、エレクトロルミネッセンスデバイス100を機械的に保護するためのものであり、特に封止材17が封止膜である場合には、エレクトロルミネッセンスデバイス100に対する機械的な保護が十分ではないため、このような保護膜若しくは保護板を設けることが好ましい。
以上のような保護膜若しくは保護板は、ガラス板、ポリマー板、これよりも薄型のポリマーフィルム、金属板、これよりも薄型の金属フィルム、又はポリマー材料膜や金属材料膜が適用される。このうち特に、軽量かつ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
[エレクトロルミネッセンスデバイス100の作製方法]
ここでは一例として、図2に示すエレクトロルミネッセンスデバイス100の製造方法を説明する。
まず、透明基板13上に、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を含有する芳香族複素環化合物からなる中間層1aを、1μm以下、好ましくは10nm〜100nmの膜厚になるように蒸着法等の適宜の方法により形成する。次に銀(又は銀を主成分とした合金)からなる導電性層1bを、12nm以下、好ましくは4nm〜9nmの膜厚になるように蒸着法等の適宜の方法により中間層1a上に形成し、アノードとなる透明電極1を作製する。
次に、この上に正孔注入層3a、正孔輸送層3b、発光層3c、電子輸送層3d、電子注入層3eの順に成膜し、発光機能層3を形成する。これらの各層の成膜は、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、蒸着法、印刷法等があるが、均質な膜が得られやすく、且つピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法又はスピンコート法が特に好ましい。さらに層ごとに異なる成膜法を適用してもよい。これらの各層の成膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50℃〜450℃、真空度10−6Pa〜10−2Pa、蒸着速度0.01nm/秒〜50nm/秒、基板温度−50℃〜300℃、膜厚0.1μm〜5μmの範囲で、各条件を適宜選択することが望ましい。
以上のようにして発光機能層3を形成した後、この上部にカソードとなる対向電極5aを、蒸着法やスパッタ法などの適宜の成膜法によって形成する。この際、対向電極5aは、発光機能層3によって透明電極1に対して絶縁状態を保ちつつ、発光機能層3の上方から透明基板13の周縁に端子部分を引き出した形状にパターン形成する。これにより、エレクトロルミネッセンスデバイス100が得られる。またその後には、エレクトロルミネッセンスデバイス100における透明電極1及び対向電極5aの端子部分を露出させた状態で、少なくとも発光機能層3を覆う封止材17を設ける。
以上により、透明基板13上に所望のエレクトロルミネッセンスデバイスが得られる。このようなエレクトロルミネッセンスデバイス100の作製においては、一回の真空引きで一貫して発光機能層3から対向電極5aまで作製するのが好ましいが、途中で真空雰囲気から透明基板13を取り出して異なる成膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
このようにして得られたエレクトロルミネッセンスデバイス100に直流電圧を印加する場合には、アノードである透明電極1を+の極性とし、カソードである対向電極5aを−の極性として、電圧2V以上40V以下程度を印加すると発光が観測できる。また交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
<エレクトロルミネッセンスデバイス100の効果>
以上説明したエレクトロルミネッセンスデバイス100は、本発明に係る導電性と光透過性とを兼ね備えた透明電極1をアノードとして用い、この上部に発光機能層3とカソードとなる対向電極5aとを設けた構成である。このため、透明電極1と対向電極5aとの間に十分な電圧を印加してエレクトロルミネッセンスデバイス100での高輝度発光を実現しつつ、透明電極1側からの発光光hの取り出し効率が向上することによる高輝度化を図ることが可能である。さらに、所定輝度を得るための駆動電圧の低減による発光寿命の向上を図ることも可能になる。
≪3.エレクトロルミネッセンスデバイスの第2例≫
<エレクトロルミネッセンスデバイスの構成>
図3は、本発明の電子デバイスの一例として、上述した透明電極を用いたエレクトロルミネッセンスデバイスの第2例を示す断面構成図である。この図に示す第2例のエレクトロルミネッセンスデバイス200が、図2を用いて説明した第1例のエレクトロルミネッセンスデバイス100と異なるところは、透明電極1をカソードとして用いるところにある。以下、第1例と同様の構成要素についての重複する詳細な説明は省略し、第2例のエレクトロルミネッセンスデバイス200の特徴的な構成を説明する。
図3に示すエレクトロルミネッセンスデバイス200は、透明基板13上に設けられており、第1例と同様に、透明基板13上の透明電極1として先に説明した本発明に係る透明電極1を用いている。このためエレクトロルミネッセンスデバイス200は、少なくとも透明基板13側から発光光hを取り出せるように構成されている。ただし、この透明電極1は、カソード(陰極)として用いられる。このため、対向電極5bは、アノードとして用いられることになる。
このように構成されるエレクトロルミネッセンスデバイス200の層構造は以下に説明する例に限定されることはなく、一般的な層構造であっても良いことは、第1例と同様である。本第2例の場合の一例としては、カソードとして機能する透明電極1の上部に、電子注入層3e/電子輸送層3d/発光層3c/正孔輸送層3b/正孔注入層3aをこの順に積層した構成が例示される。ただし、このうち少なくとも有機材料で構成された発光層3cを有することが必須である。
なお、発光機能層3は、これらの層の他にも、第1例で説明したと同様に、必要に応じたさまざまな構成が採用される。このような構成において、透明電極1と対向電極5bとで発光機能層3が挟持された部分のみが、エレクトロルミネッセンスデバイス200における発光領域となることも第1例と同様である。
また、以上のような層構成においては、透明電極1の低抵抗化を図ることを目的として透明電極1の導電性層1bに接して補助電極15が設けられていても良いことも、第1例と同様である。
ここで、アノードとして用いられる対向電極5bは、金属、合金、有機若しくは無機の導電性化合物、又はこれらの混合物等から構成されている。具体的には、金(Au)等の金属、ヨウ化銅(CuI)、ITO、ZnO、TiO、SnO等の酸化物半導体などが挙げられる。
以上のように構成されている対向電極5bは、これらの導電性材料を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより作製することができる。また、対向電極5bとしてのシート抵抗は、数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常5nm〜5μm、好ましくは5〜200nmの範囲で選ばれる。
なお、このエレクトロルミネッセンスデバイス200が、対向電極5b側からも発光光hを取り出せるように構成されている場合、対向電極5bを構成する材料としては、上述した導電性材料のうち光透過性の良好な導電性材料が選択されて用いられる。
以上のような構成のエレクトロルミネッセンスデバイス200は、発光機能層3の劣化を防止することを目的として、第1例と同様に封止材17で封止されている。
以上説明したエレクトロルミネッセンスデバイス200を構成する主要各層のうち、アノードとして用いられる対向電極5b以外の構成要素の詳細な構成、及びエレクトロルミネッセンスデバイス200の作製方法は、第1例と同様である。このため詳細な説明は省略する。
<エレクトロルミネッセンスデバイス200の効果>
以上説明したエレクトロルミネッセンスデバイス200は、導電性と光透過性とを兼ね備えた透明電極1をカソードとして用い、この上部に発光機能層3とアノードとなる対向電極5bとを設けた構成である。このため、第1例と同様に、透明電極1と対向電極5aとの間に十分な電圧を印加してエレクトロルミネッセンスデバイス200での高輝度発光を実現しつつ、透明電極1側からの発光光hの取り出し効率が向上することによる高輝度化を図ることが可能である。さらに、所定輝度を得るための駆動電圧の低減による発光寿命の向上を図ることも可能になる。
≪4.エレクトロルミネッセンスデバイスの第3例≫
<エレクトロルミネッセンスデバイスの構成>
図4は、本発明の電子デバイスの一例として、上述した透明電極を用いたエレクトロルミネッセンスデバイスの第3例を示す断面構成図である。この図に示す第3例のエレクトロルミネッセンスデバイス300が、図2を用いて説明した第1例のエレクトロルミネッセンスデバイス100と異なるところは、基板131側に対向電極5cを設け、この上部に発光機能層3と透明電極1とをこの順に積層したところにある。以下、第1例と同様の構成要素についての重複する詳細な説明は省略し、第3例のエレクトロルミネッセンスデバイス300の特徴的な構成を説明する。
図4に示すエレクトロルミネッセンスデバイス300は、基板131上に設けられており、基板131側から、アノードとなる対向電極5c、発光機能層3、及びカソードとなる透明電極1がこの順に積層されている。このうち、透明電極1として、先に説明した本発明に係る透明電極1を用いている。このためエレクトロルミネッセンスデバイス300は、少なくとも基板131とは逆の透明電極1側から発光光hを取り出せるように構成されている。
このように構成されるエレクトロルミネッセンスデバイス300の層構造は以下に説明する例に限定されることはなく、一般的な層構造であっても良いことは、第1例と同様である。本第3例の場合の一例としては、アノードとして機能する対向電極5cの上部に、正孔注入層3a/正孔輸送層3b/発光層3c/電子輸送層3dをこの順に積層した構成が例示される。ただし、このうち少なくとも有機材料を用いて構成された発光層3cを有することが必須である。また、電子輸送層3dは、電子注入層3eを兼ねたもので、電子注入性を有する電子輸送層3dとして設けられていることとする。
そして、特に本第3例のエレクトロルミネッセンスデバイス300に特徴的な構成としては、電子注入性を有する電子輸送層3dが、透明電極1における中間層1aとして設けられているところにある。つまり本第3例においては、カソードとして用いられる透明電極1が、電子注入性を有する電子輸送層3dを兼ねる中間層1aと、その上部に設けられた導電性層1bとで構成されているものである。
このような電子輸送層3dは、上述した透明電極1の中間層1aを構成する材料を用いて構成されている。
なお、発光機能層3は、これらの層の他にも、第1例で説明したと同様に、必要に応じたさまざまな構成が採用されるが、透明電極1の中間層1aを兼ねる電子輸送層3dと、透明電極1の導電性層1bとの間には、電子注入層や正孔阻止層が設けられることはない。以上のような構成において、透明電極1と対向電極5cとで発光機能層3が挟持された部分のみが、エレクトロルミネッセンスデバイス300における発光領域となることは、第1例と同様である。
また、以上のような層構成においては、透明電極1の低抵抗化を図ることを目的とし、透明電極1の導電性層1bに接して補助電極15が設けられていても良いことも、第1例と同様である。
さらに、アノードとして用いられる対向電極5cは、金属、合金、有機若しくは無機の導電性化合物、又はこれらの混合物等から構成されている。具体的には、金(Au)等の金属、ヨウ化銅(CuI)、ITO、ZnO、TiO、SnO等の酸化物半導体などが挙げられる。
以上のように構成されている対向電極5cは、これらの導電性材料を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより作製することができる。また、対向電極5cとしてのシート抵抗は、数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常5nm〜5μm、好ましくは5nm〜200nmの範囲で選ばれる。
なお、このエレクトロルミネッセンスデバイス300が、対向電極5c側からも発光光hを取り出せるように構成されている場合、対向電極5cを構成する材料としては、上述した導電性材料のうち光透過性の良好な導電性材料が選択されて用いられる。またこの場合、基板131としては、第1例で説明した透明基板13と同様のものが用いられ、基板131の外側に向かう面が光取り出し面131aとなる。
<エレクトロルミネッセンスデバイス300の効果>
以上説明したエレクトロルミネッセンスデバイス300は、発光機能層3の最上部を構成する電子注入性を有する電子輸送層3dを中間層1aとし、この上部に導電性層1bを設けることにより、中間層1aとこの上部の導電性層1bとからなる透明電極1をカソードとして設けた構成である。このため、第1例及び第2例と同様に、透明電極1と対向電極5cとの間に十分な電圧を印加してエレクトロルミネッセンスデバイス300での高輝度発光を実現しつつ、透明電極1側からの発光光hの取り出し効率が向上することによる高輝度化を図ることが可能である。さらに、所定輝度を得るための駆動電圧の低減による発光寿命の向上を図ることも可能になる。また、対向電極5cが光透過性を有する場合には、対向電極5cからも発光光hを取り出すことができる。
なお、上述の第3例においては、透明電極1の中間層1aが電子注入性を有する電子輸送層3dを兼ねているものとして説明したが本例はこれに限られるものではなく、中間層1aが電子注入性を有していない電子輸送層3dを兼ねているものであっても良いし、中間層1aが電子輸送層ではなく電子注入層を兼ねているものであっても良い。また、中間層1aがエレクトロルミネッセンスデバイスの発光機能に影響を及ぼさない程度の極薄膜として形成されているものとしても良く、この場合には、中間層1aは電子輸送性及び電子注入性を有していない。
さらに、透明電極1の中間層1aがエレクトロルミネッセンスデバイスの発光機能に影響を及ぼさない程度の極薄膜として形成されている場合には、基板131側の対向電極をカソードとし、発光機能層3上の透明電極1をアノードとしても良い。この場合、発光機能層3は、基板131上の対向電極(カソード)側から順に、例えば電子注入層3e/電子輸送層3d/発光層3c/正孔輸送層3b/正孔注入層3aが積層される。そしてこの上部に極薄い中間層1aと導電性層1bとの積層構造からなる透明電極1が、アノードとして設けられている。
≪5.エレクトロルミネッセンスデバイスの用途≫
上述した各構成のエレクトロルミネッセンスデバイスは、上述したように面発光体であるため各種の発光光源として用いることができる。例えば、家庭用照明や車内照明などの照明装置、時計や液晶用のバックライト、看板広告用照明、信号機の光源、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これに限定するものではなく、特にカラーフィルターと組み合わせた液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
また、本発明のエレクトロルミネッセンスデバイスは、照明用や露光光源のような一種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。この場合、近年の照明装置及びディスプレイの大型化にともない、エレクトロルミネッセンスデバイスを設けた発光パネル同士を平面的に接合する、いわゆるタイリングによって発光面を大面積化しても良い。
動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は、単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。また異なる発光色を有する本発明のエレクトロルミネッセンスデバイスを2種以上使用することにより、カラー又はフルカラー表示装置を作製することが可能である。
以下では、用途の一例として照明装置について説明し、次にタイリングによって発光面を大面積化した照明装置について説明する。
≪6.照明装置−1≫
本発明に係る照明装置は、上記エレクトロルミネッセンスデバイスを有する。
本発明に係る照明装置に用いるエレクトロルミネッセンスデバイスは、上述した構成の各エレクトロルミネッセンスデバイスに共振器構造を持たせた設計としてもよい。共振器構造を有するように構成されたエレクトロルミネッセンスデバイスの使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザー発振をさせることにより上記用途に使用してもよい。
なお、本発明のエレクトロルミネッセンスデバイスに用いられる材料は、実質的に白色の発光を生じるエレクトロルミネッセンスデバイス(白色エレクトロルミネッセンスデバイスともいう)に適用できる。例えば、複数の発光材料により複数の発光色を同時に発光させて混色により白色発光を得ることもできる。複数の発光色の組み合わせとしては、赤色、緑色、青色の3原色の3つの発光極大波長を有したものでもよいし、青色と黄色、青緑と橙色等の補色の関係を利用した2つの発光極大波長を有したものでもよい。
また、複数の発光色を得るための発光材料の組み合わせは、複数のリン光又は蛍光で発光する材料を複数組み合わせたもの、蛍光又はリン光で発光する発光材料と、発光材料からの光を励起光として発光する色素材料との組み合わせたもののいずれでもよいが、白色エレクトロルミネッセンスデバイスにおいては、発光ドーパントを複数組み合わせて混合したものでもよい。
このような白色エレクトロルミネッセンスデバイスは、各色発光のエレクトロルミネッセンスデバイスをアレー状に個別に並列配置して白色発光を得る構成と異なり、エレクトロルミネッセンスデバイス自体が白色を発光する。このため、エレクトロルミネッセンスデバイスを構成するほとんどの層の成膜にマスクを必要とせず、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で例えば電極膜を形成でき、生産性も向上する。
また、このような白色エレクトロルミネッセンスデバイスの発光層に用いる発光材料としては、特に制限はなく、例えば液晶表示素子におけるバックライトであれば、CF(カラーフィルター)特性に対応した波長範囲に適合するように、本発明に係る金属錯体、また公知の発光材料の中から任意のものを選択して組み合わせて白色化すればよい。
以上に説明した白色エレクトロルミネッセンスデバイスを用いれば、実質的に白色の発光を生じる照明装置を作製することが可能である。
≪7.照明装置−2≫
図5には、上記各構成のエレクトロルミネッセンスデバイスを複数用いて発光面を大面積化した照明装置の断面構成図を示す。この図に示す照明装置は、例えば透明基板13上にエレクトロルミネッセンスデバイス100を設けた複数の発光パネル21を、支持基板23上に複数配列する(すなわちタイリングする)ことによって発光面を大面積化した構成である。支持基板23は、封止材17を兼ねるものであっても良く、この支持基板23と、発光パネル21の透明基板13との間にエレクトロルミネッセンスデバイス100を挟持する状態で各発光パネル21をタイリングする。支持基板23と透明基板13との間には接着剤19を充填し、これによってエレクトロルミネッセンスデバイス100を封止しても良い。なお、発光パネル21の周囲には、アノードである透明電極1及びカソードである対向電極5aの端部を露出させておく。ただし、図面においては対向電極5aの露出部分のみを図示した。
このような構成の照明装置では、各発光パネル21の中央が発光領域Aとなり、発光パネル21間には非発光領域Bが発生する。このため、非発光領域Bからの光取り出し量を増加させるための光取り出し部材を、光取り出し面13aの非発光領域Bに設けても良い。光取り出し部材としては、集光シートや光拡散シートを用いることができる。
《透明電極の作製》
以下に説明するように透明電極1〜17を、導電性領域の面積が5cm×5cmとなるように作製した。透明電極1〜5では、単層構造の透明電極を作製し、透明電極6〜17では、中間層と導電性層との積層構造の透明電極を作製した。
<透明電極1〜5の作製>
透明電極1〜4のそれぞれにおいて、単層構造の透明電極を以下のように作製した。まず、透明な無アルカリガラス製の基材を、市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、真空蒸着装置の真空槽に取り付けた。またタングステン製の抵抗加熱ボードに銀(Ag)を入れ、当該真空槽内に取り付けた。次に、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボードを通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で、基材上に銀からなる単層構造の透明電極を形成した。透明電極1〜4における透明電極の各膜厚は5nm、8nm、10nm、15nmの各値であり、下記表1に記載のとおりである。透明電極5は、日本板硝子製のITO付きガラスを用いた。
<透明電極6の作製>
透明な無アルカリガラス製の基材に、あらかじめ下記構造式に示すAlqをスパッタ法により膜厚25nmの中間層として成膜し、この上部に膜厚8nmの銀(Ag)からなる導電性層を蒸着成膜して透明電極を得た。銀(Ag)からなる導電性層の蒸着成膜は、透明電極1〜4と同様に行った。
Figure 2014078382
<透明電極7の作製>
透明な無アルカリガラス製の基材を市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、特開2010−278376号公報に記載の下記化合物Fをタンタル製抵抗加熱ボードに入れ、これらの基板ホルダーと加熱ボードとを真空蒸着装置の第1真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボードに銀(Ag)を入れ、第2真空槽内に取り付けた。
Figure 2014078382
この状態で、まず、第1真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、化合物Fの入った加熱ボードに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で基材上に膜厚25nmの化合物Fからなる中間層を設けた。
次に、中間層まで成膜した基材を真空のまま第2真空槽に移し、第2真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、銀の入った加熱ボードを通電して加熱した。これにより、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で膜厚8nmの銀からなる導電性層を形成し、中間層とこの上部の導電性層との積層構造からなる透明電極を得た。
<透明電極8〜14の作製>
透明電極7の作製において、中間層の材料と、導電性層の膜厚とを、下記表1に記載のとおりに変更した。
それ以外は、透明電極7と同様の方法で、透明電極8〜14を作製した。
<透明電極15〜17の作製>
透明電極7の作製において、基材をPET(Polyethylene terephthalate)に変更し、中間層の材料を下記表1に記載のとおりに変更した。それ以外は、透明電極7と同様の方法で透明電極15〜17の各透明電極を作製した。
<透明電極1〜17の評価−1>
上記のように作製した透明電極1〜17の各透明電極について、光透過率を測定した。光透過率の測定は、分光光度計(日立製作所製U−3300)を用い、試料と同じ基材をベースラインとして行った。その結果を下記表1に示す。
<透明電極1〜17の評価−2>
上記のように作製した透明電極1〜17の各透明電極について、シート抵抗値を測定した。シート抵抗値の測定は、抵抗率計(三菱化学社製MCP−T610)を用い、4端子4探針法定電流印加方式で行った。その結果を下記表1に示す。
Figure 2014078382
<透明電極1〜17の評価結果>
表1から明らかなように、透明電極7〜17の、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する芳香族複素環化合物を用いた中間層上に銀(Ag)を主成分とした導電性層を設けた本発明構成の透明電極はいずれも、光透過率が74%以上であり、シート抵抗値が21Ω/□以下に抑えられている。これに対して、透明電極1〜4、6〜7の、本発明構成ではない透明電極は、光透過率がいずれも48%以下であり、しかもシート抵抗値が21Ω/□を超えるものがあった。
さらに、本発明に係る透明電極は、市販のITOを用いた透明電極と同等かそれ以上に良好な透過率及びシート抵抗を示し、更に膜厚を薄く抑えることができる。
これにより本発明に係る透明電極は、高い光透過率と導電性とを兼ね備えていることが確認された。
《量子ドットの作製》
発光材料の量子ドットA〜量子ドットIは以下のものを用いた。
量子ドットA(エヴィデントテクノロジーズ社製) 発光波長490±10nm 粒子径7.2nm
量子ドットB(エヴィデントテクノロジーズ社製) 発光波長540±10nm 粒子径7.8nm
量子ドットC(エヴィデントテクノロジーズ社製) 発光波長620±10nm 粒子径9.6nm
量子ドットDからHは以下に示す方法で合成した。すなわち国際公開2008/063652号、実施例5A及び5Bと同様の方法で以下のようにしてコア/シェル構造の青色発光CdZnS/ZnS量子ドットCを作製した。
(青色発光CdZnS/ZnS量子ドットDの調製)
(1) コア(CdZnS)の調製
0.050グラムCdO(99.998パーセント純度 アルファ社製)とZnOの0.066グラム(純度99.999%−シグマアルドリッチ社製)を冷却器を備えた三つ口フラスコに秤量した。これに4ミリリットルハイテクグレードオレイン酸(Aldrich社製)及びハイテクグレードオクタデセン(ODE)(Aldrich社製)の32ミリリットルを添加した。フラスコの内容物を真空中で20分(200ミリトル)80℃で脱気した。
別々に硫黄の0.035グラム(99.999% ストレム社製)を130℃を油浴中で攪拌し、加熱することによりセプタムキャップ付きバイアル内のハイテクグレードODEの10ミリリットルに溶解した。サンプルが加熱している間に油浴温度が85℃で、容器の圧力が200ミリトールに減少した後、さらに加熱を窒素下で続けた。1時間後、全ての硫黄が溶解した後に、サンプルを室温まで冷却した。
全ての酸化物が透明な溶液になるまで、三つ口フラスコの内容物は、310℃に20分間、つぎに290℃に、窒素下で撹拌し加熱した。温度コントローラーを、その後300℃に設定し、一度温度300度で安定化させて、ODE中のSの約8.0ミリリットルを急速に注入した。溶液の温度は約270度に落ちて〜30分で300℃に戻った。反応は5時間後に停止させ、フラスコの内容物を窒素下で脱気したバイアルに移し、さらに精製するための不活性雰囲気のボックスに移した。
コアは次のように沈殿によって精製した。溶液を5分間、4000rpmで遠心分離した。遠心分離後、上澄み液を遠心分離管中の固体を保持したまま注ぎだした。〜10mlのメタノールをチューブに添加し、次いでデカントした。無水ヘキサン〜10ミリリットル、その後遠心分離管に固形物に添加し、チューブの内容物をボルテックスミキサーを用いて混合した。混合した後、管の内容物を遠心分離した。上澄み液を別のきれいなチューブに移し、遠心後のチューブの中の固形物を廃棄した。コアを撹拌しながら過剰ブタノール(20〜25ミリリットル)を添加することにより上澄み液から沈殿させた。沈殿したコアが入ったチューブをチューブ内に沈殿したコアを残して、上澄み液をデカントし、遠心分離した。〜7.5ミリリットル無水ヘキサンを溶媒和物を沈殿コアにコアを添加し、チューブの内容物を0.2ミクロンのフィルターを通して濾過した(コアはろ液にある。)。
ろ液2.5μlの一定分量を無水ヘキサンで100倍に希釈して、希釈後のUV VISスペクトルを測定し、吸光度を波長350nmで測定した。
コアのキャラクタリゼーション:
最大ピーク発光 461nm
FWHM=14nm
フォトルミネッセンス発光量子収率〜17%
(2) シェル(ZnS)の調製
97%トリオクチルホスフィン5ml及びオレイルアミン(使用前に蒸留したもの)5mlを、凝縮器及び熱電対を備えた4つ口フラスコに入れた。サンプルは〜1時間100℃で攪拌し、脱気した。フラスコに窒素を導入すると、80℃にコア(上記(1)参照。)を含む無水ヘキサン3.8ミリリットルの温度を減少させた後窒素ガスを加え、溶媒は2時間真空下で除去した。温度を170℃に上げて、TOP中にビス−トリメチルシリルサルファイド(92.53mg)を含む4mlとTOP中にジエチル亜鉛(32.00mg)を含む4mlを、50マイクロリットル/分の速度で別々のシリンジから注入した。フラスコ内の溶液は青みがかった色に展開することが観察された。添加終了後、溶液は濁っていた。サンプルは、不活性雰囲気のボックスに脱気したバイアルを介して移した。
ZnSシェルを含むコアは次のように沈殿させて精製した。サンプルをチューブ1に移し、4000rpmで5分間遠心分離した。
チューブ1(バッチ1):
遠心分離後、チューブ1(遠心分離管1)内の固体を保持したまま、上澄み液をチューブ2(遠心分離管2)に注いだ。無水ヘキサン〜5ミリリットルをチュ−ブ1の固体に添加し、内容物をボルテックスミキサーを用いて混合した。コアと、コアの上に配置されたZnSシェルを含む半導体ナノ結晶は撹拌しながら過剰ブタノール(20〜25ミリリットル)を加えることによって沈殿させた。チューブ1の内容物を遠心分離した。遠心チューブ内に半導体ナノ結晶を残して、上澄み液をデカントした。〜3ミリリットル無水ヘキサンを溶媒和物、半導体ナノ結晶のチューブ1の半導体ナノ結晶を添加した。遠心管1から無水ヘキサンと半導体ナノ結晶を含む混合物を0.2ミクロンのフィルターで濾過した(シェル付きコアはろ液にある。)。
チューブ2(バッチ2):
過剰ブタノール(20〜30)をチューブ2に追加した。チューブ2は4000rpmで5分間遠心分離した。遠心分離後、遠心分離管中の固体を保持したまま、上澄み液をすてた。無水ヘキサン〜5ミリリットルを各遠心管に固形物に添加し、各遠心管の内容物をボルテックスミキサーを用いて混合した。コアと、コアの上に配置されたZnSシェルを含む半導体ナノ結晶は撹拌しながら過剰ブタノール(20〜25ミリリットル)を加えることによって沈殿させた。遠心管の内容物を遠心分離した。上澄み液を遠心チューブ内に半導体ナノ結晶を残して、デカントした。〜3ミリリットル無水ヘキサンを溶媒和物半導体ナノ結晶を遠心分離管のいずれかの半導体ナノ結晶を添加した。両方の遠心管から無水ヘキサンと半導体ナノ結晶を含む混合物を0.2ミクロンのフィルターで濾過した(シェル付きコア(量子ドット)はろ液にある。)。
コア/シェルナノ結晶のキャラクタリゼーション:
最大ピーク発光463nmのFWHM=18nm
フォトルミネッセンス発光量子収率〜100%(バッチ1及び2)
(青色発光CdZnS/ZnS量子ドットE〜Hの作製)
同様の方法でコアの添加量を増量することでコアの粒子系を変化させ、量子ドットDからHを作製した。
得られた量子ドットD〜Hの発光極大波長とPLQEを下記に示す。
Figure 2014078382
その他実施例に用いられる量子ドットの種類を以下に示す。
量子ドットI (サイトダイアグノスティクス社製CTD450) 発光波長 463nm PLQE 70%
量子ドットAからCのPLQEは80%以上であった。
(実施例1)
《透明電極をアノードに用いたエレクトロルミネッセンスデバイスの作製》
作製した透明電極1〜17の各透明電極をアノードとして用いた両面発光型のエレクトロルミネッセンスデバイスを、発光パネルとして作製した。図6を参照し、作製手順を説明する。
<エレクトロルミネッセンスデバイス番号1の作製>
<正孔注入層・正孔輸送層の形成>
作製した透明電極1の電極上にポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSSと略記、Bayer製、Baytron P Al 4083)を純水で70%に希釈した溶液を3000rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、200℃にて1時間乾燥し、膜厚30nmの正孔注入層を設けた。
この基板を、窒素ガス(グレードG1)を用いた窒素雰囲気下に移し、前記正孔輸送材料である例示化合物(60)(Mw=80000)をクロロベンゼンに0.5%溶解した溶液を、1500rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、160℃で30分間保持し、膜厚30nmの正孔輸送層とした。
<発光層の形成>
次いで、以下に示す発光層組成物を1500rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、120℃で30分間保持し膜厚30nmの発光層をそれぞれ形成した。
〈発光層組成物〉
量子ドットB(エヴィデントテクノロジーズ社製) 発光波長540±10nm 粒子径7.8nm 14質量部
トルエン 1000質量部
<正孔阻止層の形成>
続いて、基板を大気に曝露することなく真空蒸着装置へ取り付け、正孔阻止材料として下記構造式に示すBAlqが入った加熱ボードに通電して加熱し、BAlqよりなる正孔阻止層33を、発光層32上に成膜した。この際、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒、膜厚10nmとした。
Figure 2014078382
<電子輸送層の形成>
その後、電子輸送材料として下記構造式に示すET−2の入った加熱ボードと、フッ化カリウムの入った加熱ボードとを、それぞれ独立に通電し、ET−2とフッ化カリウムとよりなる電子輸送層34を、正孔阻止層33上に成膜した。この際、蒸着速度がET−2:フッ化カリウム=75:25になるように、加熱ボードの通電を調節した。また膜厚30nmとした。
Figure 2014078382
<電子注入層の形成>
次に、電子注入材料としてフッ化カリウムの入った加熱ボードに通電して加熱し、フッ化カリウムよりなる電子注入層35を、電子輸送層34上に成膜した。この際、蒸着速度0.01nm/秒〜0.02nm/秒、膜厚1nmとした。
<対向電極(カソード)の形成>
その後、電子注入層35まで成膜した透明基板13を、真空蒸着装置の蒸着室から、対向電極材料としてITOのターゲットが取り付けられたスパッタ装置の処理室内に、真空状態を保持したまま移送した。次いで、処理室内において、成膜速度0.3nm/秒〜0.5nm/秒で、膜厚150nmのITOからなる光透過性の対向電極5aをカソードとして成膜した。以上により透明基板13上にエレクトロルミネッセンスデバイス400を形成した。
<封止>
その後、エレクトロルミネッセンスデバイス400を、厚さ300μmのガラス基板からなる封止材17で覆い、エレクトロルミネッセンスデバイス400を囲む状態で、封止材17と透明基板13との間に接着剤19(シール材)を充填した。接着剤19としては、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を用いた。封止材17と透明基板13との間に充填した接着剤19に対して、ガラス基板(封止材17)側からUV光を照射し、接着剤19を硬化させてエレクトロルミネッセンスデバイス400を封止した。
なお、エレクトロルミネッセンスデバイス400の形成においては、各層の形成に蒸着マスクを使用し、5cm×5cmの透明基板13における中央の4.5cm×4.5cmを発光領域Aとし、発光領域Aの全周に幅0.25cmの非発光領域Bを設けた。また、アノードである透明電極1とカソードである対向電極5aとは、正孔輸送・注入層31〜電子注入層35までの発光機能層3によって絶縁された状態で、透明基板13の周縁に端子部分を引き出された形状で形成した。
以上のようにして、透明基板13上にエレクトロルミネッセンスデバイス400を設け、これを封止材17と接着剤19とで封止した透明電極1を用いたエレクトロルミネッセンスデバイス番号1を得た。エレクトロルミネッセンスデバイス番号1の作製と同様にして透明電極2〜17を用いて、発光層の構成を表3のように変えてエレクトロルミネッセンスデバイス番号2〜17を作製した。これを発光パネル1から17として用いた。
なお、発光材料の添加量は単色では14質量部、三色では短波長側から14質量部、2質量部、1質量部で統一し、二色では短波長側から10質量部、1質量部で統一した。これらの各発光パネルにおいては、発光層32で発生した各色の発光光hが、透明電極1側すなわち透明基板13側と、対向電極5a側すなわち封止材17側との両方から取り出される。
なお、用いた量子ドットA〜量子ドットIは前述のものを使用した。以下の表では量子ドットA〜量子ドットIはA〜Iと略記した。
<発光パネル1〜17の評価−1>
<外部取り出し量子効率>
作製した発光パネル1〜17について、23℃、乾燥窒素ガス雰囲気下で2.5mA/cm定電流を印加した時の外部取り出し量子効率(%)を測定した。なお測定には分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタオプティクス社製)を用いた。なお、このパネルは両面発光であるため、外部取り出し量子効率は両面を測定した和で計算した。
表3の外部取りだし量子効率の測定結果は発光パネル5の測定値を1.00とした時の相対値で表した。
その結果を下記表3に示す。
<発光パネル1〜17の評価価−2>
<駆動電圧>
作製した発光パネル1〜17の発光パネルについて、駆動電圧(V)を測定した。駆動電圧の測定においては、各発光パネルの透明電極1側(すなわち透明基板13側)と、対向電極5a側(すなわち封止材17側)との両側での正面輝度を測定し、その和が1000cd/mとなるときの電圧を駆動電圧として測定した。なお、輝度の測定には分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタオプティクス社製)を用いた。
なお、駆動電圧については発光パネル5の駆動電圧を1.00として、各試料の駆動電圧を、相対値で示し、数値が1.00より小さいほど、好ましい結果であることを表す。
<発光パネル1〜17の評価−3>
<連続駆動安定性(寿命)の測定>
作製した発光パネル1〜17について初期輝度1000cd/mを与える電流で定電流駆動して、初期輝度の1/2(500cd/m)になる時間を求め、これを半減寿命の尺度とした。なお、半減寿命は発光パネル5を1.00とした時の相対値で表示した。数値が1.00より大きいほど、好ましい結果であることを表す。その結果を下記表3に示す。
Figure 2014078382
<発光パネル1〜17の評価結果>
表3から明らかなように、発光パネル8〜17の、本発明構成の透明電極1をエレクトロルミネッセンスデバイスのアノードに用いた発光パネルはいずれも駆動電圧が比較としてITOをアノードに用いた時よりも抑えられている。これに対して、発光パネル1〜4及び5〜7の、本発明構成ではない透明電極をエレクトロルミネッセンスデバイスのアノードに用いた発光パネルは、電圧を印加しても発光しないか、又は発光しても駆動電圧がITOを電極として用いた時を超えるものがあった。更に、発光層にホスト化合物を添加することで電圧を下げることができ、発光効率や駆動安定性を向上させることができた。
これにより本発明構成の透明電極と量子ドット用いたエレクトロルミネッセンスデバイスは、低い駆動電圧で高輝度発光が可能であることが確認された。またこれにより、所定輝度を得るための駆動電圧の低減と、発光寿命の向上が見込まれることが確認された。
(実施例2)
《透明電極をカソードに用いたエレクトロルミネッセンスデバイスの作製》
図4で示されるように、基板上に実施例1とは逆の層構成で、陰極として透明電極を用いたエレクトロルミネッセンスデバイスを作製した。
100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(インジウムチンオキシド)を100nm成膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
(1)正孔注入層の形成
この基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSSと略記、Bayer製、Baytron P Al 4083)を純水で70%に希釈した溶液を3000rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、200℃にて1時間乾燥し、膜厚30nmの正孔注入層3aを設けた。
(2)正孔輸送層の形成
この基板を、窒素ガス(グレードG1)を用いた窒素雰囲気下に移し、下記正孔輸送材料のHT−60(Mw=80000)をクロロベンゼンに0.5%溶解した溶液を、1500rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、160℃で30分間保持し、膜厚30nmの正孔輸送層3bとした。
Figure 2014078382
(3)発光層3cの形成
次いで、表4に示す発光層組成物を実施例1と同様の方法で1500rpm、30秒でスピンコート法によりそれぞれ製膜した後、120℃で30分間保持し膜厚30nmの発光層3cをそれぞれ形成した。
次いで、正孔阻止材料として前記BAlqが入った加熱ボードに通電して加熱し、BAlqよりなる正孔阻止層を、発光層3c上に成膜した。この際、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒、膜厚10nmとした。
その後、電子輸送材料兼中間層としてそれぞれ表4に示す電子輸送材料の入った加熱ボードに通電し、電子輸送層3dを、膜厚30nmになるよう発光層上に成膜した。
次に、導電性層1bとして、銀を実施例1と同様に電子輸送層上に8nm蒸着し、エレクトロルミネッセンスデバイス300を形成した。
その後、エレクトロルミネッセンスデバイス300を、厚さ300μmのガラス基板からなる封止材17で覆い、エレクトロルミネッセンスデバイス300を囲む状態で、封止材17と透明基板13との間に接着剤19(シール材)を充填した。接着剤19としては、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を用いた。封止材17と透明基板13との間に充填した接着剤19に対して、ガラス基板(封止材17)側からUV光を照射し、接着剤19を硬化させてエレクトロルミネッセンスデバイス300を封止した。このようにしてエレクトロルミネッセンスデバイス101〜113を作製して、発光パネルとして評価した。
<発光パネル101〜113の評価−1>
<外部取り出し量子効率>
作製した発光パネル101〜113について、23℃、乾燥窒素ガス雰囲気下で2.5mA/cm定電流を印加した時の外部取り出し量子効率(%)を測定した。なお測定には分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタオプティクス社製)を用いた。なお、このパネルは両面発光であるため、外部取り出し量子効率は両面を測定した和で計算した。
表4の外部取り出し量子効率の測定結果は、発光パネル101の測定値を1.00とした時の相対値で表した。その結果を下記表4に示す。
<発光パネル101〜113の評価−2>
<駆動電圧>
作製した発光パネル101〜113について、駆動電圧(V)を測定した。駆動電圧の測定においては、各発光パネルの透明電極1側(すなわち封止材17側)と、対向電極5c側(すなわち透明基板13側)との両側での正面輝度を測定し、その和が1000cd/mとなるときの電圧を駆動電圧として測定した。なお、輝度の測定には分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタオプティクス社製)を用いた。
なお、駆動電圧については発光パネル101の駆動電圧を1.00として、各試料の駆動電圧を、相対値で示し、数値が1より小さいほど、好ましい結果であることを表す。
<発光パネル101〜113の評価−3>
<連続駆動安定性(寿命)の測定>
作製した発光パネル101〜113の発光パネルについて初期輝度1000cd/mを与える電流で定電流駆動して、初期輝度の1/2(500cd/m)になる時間を求め、これを半減寿命の尺度とした。なお、半減寿命は発光パネル101を1.00とした時の相対値で表示した。数値が1.00より大きいほど、好ましい結果であることを表す。
Figure 2014078382
<発光パネル101〜113の評価結果>
表4から明らかなように、発光パネル104〜113の、本発明構成の透明電極1をエレクトロルミネッセンスデバイスのカソードに用いた発光パネルはいずれも駆動電圧が比較としてITOをアノードに用いた時よりも抑えられている。これに対して、発光パネル102及び103の、本発明構成ではない透明電極をエレクトロルミネッセンスデバイスのカソードに用いた発光パネルは、駆動電圧がITOを電極として用いた時を超えていた。
すなわち、実施例1では、発光層と隣接しない中間層を設けた透明電極と量子ドットからなるデバイスにおいて低電圧、高効率、駆動安定性の向上を確認できたが、本発明の構成においては、カソードとして電子輸送層を兼ねた中間層と銀からなる透明電極と量子ドットからなるデバイスにおいて同様の効果を確認するにいたった。更に、本発明の試料では、発光層にホスト化合物を添加することで電圧を下げることができ、発光効率や駆動安定性を向上させることができた。
(実施例4)
実施例4では図7で示されるタイプ1〜タイプ4の各エレクトロルミネッセンスデバイスを以下の積層順で作製した。積層の方向は、タイプ1(T−1)では導電性層(陽極)から導電性層(陰極)、タイプ2(T−2)では導電性層(陰極)から導電性層(陽極)、タイプ3(T3)では下地層(陰極)から導電性層(陽極)、タイプ4(T-4)では導電性層(陰極)から導電性層(陽極)の順でエレクトロルミネッセンスデバイスを積層して作製した。表5及び表6ではタイプ1〜タイプ4をそれぞれA〜Dで表した。
《エレクトロルミネッセンスデバイス301から305の作製》
《エレクトロルミネッセンスデバイス301の作製》
図7で示されるタイプ1のエレクトロルミネッセンスデバイス301を、表5に記載した材料を用いて以下のように作製した。
(1)陽極の作製
先ず、透明な無アルカリガラス製の基材を、市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、真空蒸着装置の真空槽に取り付けた。またタングステン製の抵抗加熱ボードに銀(Ag)を入れ、当該真空槽内に取り付けた。次に、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボードを通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で、基材上に8nmの膜厚で銀を蒸着した。
次いで、銀の上に20mgの例示化合物No.19を、4mlのテトラフルオロプロパノール(TFPO)に溶解した溶液を、1500rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、120℃で30分間保持し、膜厚25nmの中間層を積層し、透明電極とした。
(2)発光層の作製
次いで、この中間層上に下記に示す発光層組成物を1500rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、120℃で30分間保持し膜厚30nmの発光層を形成した。〈発光層組成物〉
量子ドットB(エヴィデントテクノロジーズ社製)発光波長540±10nm、粒子径7.8nm 14質量部
トルエン 1,000質量部
(3)電子輸送層、電子注入層の作製
続いて、基板を大気に曝露することなく真空蒸着装置へ取り付け電子輸送材料として例示化合物No.31の入った加熱ボードに通電し、No.31からなる電子輸送層を蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で発光層上に成膜した。また膜厚30nmとした。
次に、電子注入材料としてフッ化カリウムの入った加熱ボードに通電して加熱し、フッ化カリウムよりなる電子注入層を、電子輸送層上に成膜した。この際、蒸着速度0.01nm/秒〜0.02nm/秒、膜厚1nmとした。
続いて、電子注入層上にAlを100nm蒸着し、陰極を形成し、エレクトロルミネッセンスデバイスを形成した。
その後、作製したミネッセンスデバイスを、厚さ300μmのガラス基板からなる封止材17で覆い、エレクトロルミネッセンスデバイスを囲む状態で、封止材17と透明基板13との間に接着剤19(シール材)を充填した。接着剤19としては、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を用いた。封止材17と透明基板13との間に充填した接着剤19に対して、ガラス基板(封止材17)側からUV光を照射し、接着剤19を硬化させてエレクトロルミネッセンスデバイスを封止した。上記のようにしてエレクトロルミネッセンスデバイス301を作製した。
《エレクトロルミネッセンスデバイス302〜305の作製》
エレクトロルミネッセンスデバイス301と同様の方法で、各層の材料を表5に記載した材料に置き換えた以外はエレクトロルミネッセンスデバイス301と同様にしてエレクトロルミネッセンスデバイス302〜305を作製した。
エレクトロルミネッセンスデバイス302は、メタノール0.5mlに0.77mgのKF、TFPO3.5mlに、特開2010−165830号公報の段落番号〔0035〕以下に記載のPCz−1(表ではPz−1と略記した。)を19.23mgを溶解した溶液を混合した後、1500rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、120℃で30分間保持し、膜厚25nmの中間層とした。
エレクトロルミネッセンスデバイス303は、陽極上に実施例2と同様の方法で正孔注入層及び正孔輸送層を作製した以降はエレクトロルミネッセンスデバイス301と同様に作製した。
Figure 2014078382
エレクトロルミネッセンスデバイス304は発光層上に中間層兼電子輸送層として例示化合物No.15を25nm蒸着した後に、Agを8nm蒸着した以外はエレクトロルミネッセンスデバイス301と同様に作製した。
エレクトロルミネッセンスデバイス305では、PCz−1と同様に特開2010−165830号公報の段落番号〔0034〕に記載のco−Poly(Cz−1−Cz−11)(表ではPz−2と略記した。)を用いて、表5、表6の構成となるようにスピンコート法により中間層を作製した。
Figure 2014078382
《エレクトロルミネッセンスデバイス306から310の作製》
《エレクトロルミネッセンスデバイス307の作製》
図7で示されるタイプ2のエレクトロルミネッセンスデバイス306を、表5に記載した材料を用いて以下のように作製した。
(陰極(透明電極)の作製)
まず、透明な無アルカリガラス製の基材を、市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、真空蒸着装置の真空槽に取り付けた。またタングステン製の抵抗加熱ボードに銀(Ag)を入れ、当該真空槽内に取り付けた。次に、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボードを通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で、基材上に銀を蒸着した。膜厚は8nmとした。
次いで、この銀の上に20mgの例示化合物No.19を、4mlのテトラフルオロプロパノール(TFPO)に溶解した溶液を、1500rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、120℃で30分間保持し、膜厚25nmの中間層とし、透明電極を作製した。
(発光層の作製)
発光層の組成を表5、6に記載の材料に変えた以外エレクトロルミネッセンスデバイス301と同様の方法で作製した。
(正孔輸送層・正孔注入層の作製)
続いて、基板を大気に曝露することなく真空蒸着装置へ取り付け正孔輸送材料としてα−NPDの入った加熱ボードに通電し、α−NPDからなる正孔輸送層を蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で発光層上に成膜した。また膜厚50nmとした。
次に、正孔注入材料としてHAT−CNの入った加熱ボードに通電して加熱し、HAT−CNよりなる正孔注入層を、正孔輸送層上に成膜した。この際、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒、膜厚10nmとした。
続いて、正孔注入層上にAlを100nm蒸着し、陽極を形成しエレクトロルミネッセンスデバイスを作製した。その後、作製したエレクトロルミネッセンスデバイスを、厚さ300μmのガラス基板からなる封止材17で覆い、エレクトロルミネッセンスデバイスを囲む状態で、封止材17と透明基板13との間に接着剤19(シール材)を充填した。接着剤19としては、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を用いた。封止材17と透明基板13との間に充填した接着剤19に対して、ガラス基板(封止材17)側からUV光を照射し、接着剤19を硬化させてエレクトロルミネッセンスデバイス307を封止した。
エレクトロルミネッセンスデバイス306は、陰極としてITOガラスを用い、ITO上に下記のように電子注入・輸送層を作製したこと、及び表5に示した発光層以外はエレクトロルミネッセンスデバイス307と同様に作製した。
(エレクトロルミネッセンスデバイス306の正孔注入・輸送層の作製)
メタノール0.5mlに0.92mgのKF、TFPO3.5mlに特開2010−165830号公報のPCz−1を23.07mgを溶解した溶液を混合した後、1500rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、120℃で30分間保持し、膜厚30nmの電子注入・輸送層とした。
《エレクトロルミネッセンスデバイス311〜315の作製》
《エレクトロルミネッセンスデバイス311の作製》
図7で示されるタイプ3のエレクトロルミネッセンスデバイス311を、表6に記載した材料を用いて以下のように作製した。
(陰極(透明電極)の作製)
まず、透明な無アルカリガラス製の基材を、市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、真空蒸着装置の真空槽に取り付けた。またタングステン製の抵抗加熱ボードに例示化合物No.31を入れ、当該真空槽内に取り付けた。次に、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボードを通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で、基材上に下地層として例示化合物No.31を蒸着した。膜厚は25nmとした。続いて、下地層の上部に膜厚8nmの銀(Ag)からなる導電性層を蒸着成膜して透明電極を得た。
(電子輸送層の作製)
続いて、陰極上にZnO層からなる電子輸送層を作製した。
ZnO層の作製は、J.Am.Chem.Soc 2010,132, PP17381−17383と同様の方法を用いて作製した。すなわち、酢酸亜鉛と2−アミノエタノールを無水MeOH中で24時間反応させた後、ITO上に4000rpmでスピンコーティングし、150℃で60分間焼成することで50nmのZnO層を作製した。
(発光層の作製)
発光層の組成を表6に記載の材料に変えた以外はエレクトロルミネッセンスデバイス301と同様の方法で作製した。
(正孔輸送層の作製)
続いて、基板を大気に曝露することなく真空蒸着装置へ取り付け正孔輸送材料としてα−NPDの入った加熱ボードに通電し、α−NPDからなる正孔輸送層を蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で発光層上に成膜した。また膜厚50nmとした。
次に、正孔注入材料としてHAT−CNの入った加熱ボードに通電して加熱し、HAT−CNよりなる正孔注入層を、正孔輸送層上に成膜した。この際、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒、膜厚10nmとした。
続いて、正孔注入層上にAlを100nm蒸着し、陽極を形成し、エレクトロルミネッセンスデバイス311を作製した。
その後、エレクトロルミネッセンスデバイス311を、厚さ300μmのガラス基板からなる封止材17で覆い、エレクトロルミネッセンスデバイス311を囲む状態で、封止材17と透明基板13との間に接着剤19(シール材)を充填した。接着剤19としては、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を用いた。封止材17と透明基板13との間に充填した接着剤19に対して、ガラス基板(封止材17)側からUV光を照射し、接着剤19を硬化させてエレクトロルミネッセンスデバイス311を封止した。
エレクトロルミネッセンスデバイス312の陰極は下記のように作製した。それ以降はエレクトロルミネッセンスデバイス311と同様に作製した。
透明な無アルカリガラス製の基材に、あらかじめ下記構造式に示すAlqをスパッタ法により膜厚25nmの中間層として成膜し、この上部に膜厚8nmの銀(Ag)からなる導電性層を蒸着成膜して透明電極を得た。
《エレクトロルミネッセンスデバイス316〜320の作製》
《エレクトロルミネッセンスデバイス316の作製》
図7で示されるタイプ4のエレクトロルミネッセンスデバイス316を、表6に記載した材料を用いて以下のように作製した。
(1-1)陰極の作製(エレクトロルミネッセンスデバイス316〜318)
100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(インジウムチンオキシド)を100nm成膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
(1−2)陰極の作製(エレクトロルミネッセンスデバイス319、320)
透明な無アルカリガラス製の基材を、市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、真空蒸着装置の真空槽に取り付けた。またタングステン製の抵抗加熱ボードに銀(Ag)を入れ、当該真空槽内に取り付けた。次に、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボードを通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で、基材上に銀を蒸着した。膜厚は8nmとした。
次いで、エレクトロルミネッセンスデバイス319は、この銀の上に20mgの例示化合物No.19を、4mlのテトラフルオロプロパノール(TFPO)に溶解した溶液を、1500rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、120℃で30分間保持し、膜厚25nmの中間層とし、透明電極(陰極)を作製した。
エレクトロルミネッセンスデバイス320は、この銀上に下記組成の溶液を用いて中間層を作製した。メタノール0.5mlに0.77mgのKF、TFPO3.5mlに特開2010−165830号公報記載のPCz−1を19.23mgを溶解した溶液を混合した後、1500rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、120℃で30分間保持し、膜厚25nmの中間層とし、透明電極(陰極)を作製した。
(2)電子輸送層の作製
陰極上に、エレクトロルミネッセンスデバイス311と同様の方法で、ZnOからなる電子輸送層を50nmの膜厚で作製した。
(3)発光層の作製
発光層の組成を表5、表6に記載の材料に変えた以外はエレクトロルミネッセンスデバイス301と同様の方法で作製した。
(4)陽極(中間層)の作製。
発光層上に続いて、基板を大気に曝露することなく真空蒸着装置へ取り付け、表5、表6に記載の化合物の入った加熱ボードに通電し、中間層を蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で発光層上に成膜した。また膜厚25nmとした。
エレクトロルミネッセンスデバイス317は正孔輸送層及び正孔注入層として、エレクトロルミネッセンスデバイス311と同様にα−NPD(50nm)、HAT−CN(10nm)を真空蒸着法により発光層上に形成した。
続いて、Agを8nm蒸着し、陽極を形成し、エレクトロルミネッセンスデバイス316〜320を作製した。
<エレクトロルミネッセンスデバイス301〜320の評価>
<外部取り出し量子効率>
エレクトロルミネッセンスデバイス301〜320の発光パネルについて、23℃、乾燥窒素ガス雰囲気下で2.5mA/cm定電流を印加した時の外部取り出し量子効率(%)を測定した。なお測定には分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタオプティクス社製)を用いた。
なお、エレクトロルミネッセンスデバイス304、319及び320は両面発光であるため、外部取り出し量子効率は両面を測定した和で計算した。
表7の外部取り出し量子効率の測定結果は、エレクトロルミネッセンスデバイス306の測定値を1.00とした時の相対値で表した。
<連続駆動安定性(寿命)の測定>
作製したエレクトロルミネッセンスデバイス301〜320の発光パネルについて初期輝度1000cd/mを与える電流で定電流駆動して、初期輝度の1/2(500cd/m)になる時間を求め、これを半減寿命の尺度とした。なお、半減寿命はエレクトロルミネッセンスデバイス306を1とした時の相対値で表示した。数値が1より大きいほど、好ましい結果であることを表す。
(ダークスポット)
作製したエレクトロルミネッセンスデバイス301〜320のパネルについて各パネルを室温下、2.5mA/cmの定電流条件下による連続点灯を行った際の発光面を目視で評価した。無作為に抽出した10人による目視評価で連続点灯時間10時間経過後の各素子において
×:ダークスポットを確認した人数が5人以上の場合
△:ダークスポットを確認した人数が1−4人の場合
○:ダークスポットを確認した人数が0人の場合
以上の評価結果を表7に示す。
Figure 2014078382
Figure 2014078382
Figure 2014078382
(評価結果)
<エレクトロルミネッセンスデバイス301〜305の発光パネルの評価結果>
表7から明らかなように、エレクトロルミネッセンスデバイス301〜305の、本発明構成に係る透明電極1をエレクトロルミネッセンスデバイスのアノードに用いた発光パネルにおいても高効率、駆動安定性の向上を確認できた。これはAgと非共有電子対を持つ窒素原子を含有する芳香族複素環化合物の相互作用により、銀と該化合物との間のバンドベンディングが起こることによって正孔の注入、輸送が円滑に行われたものと考えられる。一方、エレクトロルミネッセンスデバイス303の発光パネルにおいては、電荷の輸送性が不十分であるため、効率、寿命共に低くなっており、ダークスポットも確認された。
<エレクトロルミネッセンスデバイス306〜310の発光パネルの評価結果>
表7から明らかなように、エレクトロルミネッセンスデバイス306から310の、本発明構成の透明電極1をエレクトロルミネッセンスデバイスのカソードに用いた発光パネルにおいて、エレクトロルミネッセンスデバイス306のITOを陰極に用いたパネルと比較し、高効率、駆動安定性の向上を確認できた。これは銀と非共有電子対を持つ窒素原子を含有する芳香族複素環化合物の相互作用により、有機−無機界面の接合が非常に安定になっているためと考えられる。
<エレクトロルミネッセンスデバイス311〜315の発光パネルの評価結果>
表7から明らかなように、エレクトロルミネッセンスデバイス311〜315の、本発明構成に係る透明伝極1をエレクトロルミネッセンスデバイスのカソードに用いた発光パネルにおいて、エレクトロルミネッセンスデバイス306のITOを陰極に用いたパネルと比較し、高効率、駆動安定性の向上を確認できた。これは透明電極を構成する銀−酸化亜鉛−非共有電子対を持つ窒素原子を含有する芳香族複素環化合物の相互作用により、有機−無機界面の接合が非常に安定であるとともに、電荷輸送性と安定性が優れていることが考えられる。一方、エレクトロルミネッセンスデバイス310の下地層としてAlqを用いたパネルにおいては、銀との相互作用が不十分なため、透明性、シート抵抗値共に劣ることから、発光効率、駆動安定性が劣化し、ダークスポットも観測された。
<エレクトロルミネッセンスデバイス316〜320の発光パネルの評価結果>
表7から明らかなように、エレクトロルミネッセンスデバイス316〜320は、エレクトロルミネッセンスデバイス301〜315までのタイプ1〜3の組み合わせであり、これらの組み合わせにおいても、単独で用いた時とほぼ同様の良好な発光効率、駆動連続安定性、ダークスポット耐性を得ることができる。
さらに、今回の結果から、発光層にホスト化合物、導電性高分子を入れた場合に発光効率、駆動連続安定性共に向上していることがわかる。これは発光層としての導電性や量子ドットとホスト間でのエネルギー移動向上が量子ドット単独層よりも良好になるためであると考えられる。さらに、Agと非共有電子対を持つ窒素原子を含有する芳香族複素環化合物からなる透明電極は、従来のITOかそれ以上の透明性と導電性を有し、製造法も簡便であることから、生産適性にも優れる。
1 透明電極
1a 中間層
1b 導電性層
1c 下地層
3 発光機能層
3a 正孔注入層
3b 正孔輸送層
3c 発光層
3d 電子輸送層
3e 電子注入層
5a、5b、5c 対向電極
11 基材
13 透明基板(基材)
13a 光取り出し面
15 補助電極
17 封止剤
19 接着剤
21 発光パネル
23 支持基板
31 正孔輸送・注入層
32 発光層
33 正孔阻止層
34 電子輸送層
35 電子注入層
36 電子輸送層・電子注入層
100、200、300、400 エレクトロルミネッセンスデバイス
131 基板
131a 光取り出し面
A 発光領域
B 非発光領域
h 発光光
X 陽極
Y 陰極

Claims (17)

  1. 二つの電極に挟まれた発光層を備えるエレクトロルミネッセンスデバイスであって、前記二つの電極のうち少なくとも一つの電極は導電性層と該導電性層に隣接して設けられる中間層とを備えた透明電極であり、前記導電性層は銀を主成分として構成されており、前記中間層は芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する芳香族複素環化合物を含有し、かつ前記発光層は量子ドットを含有することを特徴とするエレクトロルミネッセンスデバイス。
  2. 前記芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する芳香族複素環化合物が、芳香族六員環構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
  3. 前記芳香族六員環構造を有する化合物が、下記一般式(1A)で表わされる化合物であることを特徴とする請求項2に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
    Figure 2014078382
    (式中、E101〜E108は、各々C(R12)又はNを表し、E101〜E108のうち少なくとも一つはNである。またR11及び上記R12は水素原子又は置換基を表す。)
  4. 前記中間層が、発光層と隣接していることを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
  5. 陰極が、前記透明電極であることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
  6. 陽極が、前記透明電極であることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
  7. 陰極と陽極が、ともに前記透明電極であることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
  8. 前記発光層に隣接して、金属酸化物を含有する電荷輸送層を有することを特徴とする請求項4から7までのいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
  9. 前記発光層にホスト化合物を含有することを特徴とする請求項1から8までのいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
  10. 前記ホスト化合物のリン光スペクトルにおける0−0遷移バンドに帰属される発光波長が459nm以下であることを特徴とする請求項9に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
  11. 前記ホスト化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項9又は10に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
    Figure 2014078382
    (式中、Xは、NR′、酸素原子、硫黄原子、CR′R″、又はSiR′R″を表す。y及びyは、各々CR′又は窒素原子を表す。R′及びR″は、各々水素原子又は置換基を表す。Ar及びArは、各々芳香環を表し、それぞれ同一でも異なっていても良い。nは0〜4の整数を表す。)
  12. 前記一般式(2)におけるXが、NR′であることを特徴とする請求項11に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
  13. 前記一般式(2)におけるXが、酸素原子であることを特徴とする請求項11に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
  14. 導電性高分子を発光層に含有することを特徴とする請求項1から13までのいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
  15. 前記量子ドットの平均粒子径が、1〜20nmの範囲内であることを特徴とする請求項1から14までのいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
  16. 前記量子ドットが、少なくともSi、Ge、GaN、GaP、CdS、CdSe、CdTe、InP、InN、ZnS、In、ZnO、CdO又はこれらの混合物で構成されていることを特徴とする請求項1から15までのいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
  17. 前記ホスト化合物の分子量が、500〜1000の範囲内であることを特徴とする請求項9から13までのいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
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