JP2014076927A - 不純物除去炉 - Google Patents

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芳生 山田
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勇 青倉
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由浩 辻
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Abstract

【課題】シリコンのスライス加工時に生成するシリコンスラッジから不純物を除去してインゴットを精錬することを目的とする。
【解決手段】本発明の不純物除去炉は、第一のフィルターを備え、シリコンスラッジを格納する第一の坩堝と、前記第一の坩堝を加熱する第一のヒータと、第二のフィルターを備え、前記第一のフィルターを透過したシリコン溶融液を貯留する第二の坩堝と、前記第二の坩堝を加熱する第二のヒータと、前記第二のフィルターを透過したシリコン溶融液を貯留する第三の坩堝と、を備え、前記第一のフィルターの濾過粒度は前記第二のフィルターの濾過粒度よりも大きいことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、シリコンスラッジから不純物を除去してインゴットを精錬する不純物除去炉に関するものである。
シリコンウエハーは、ワイヤーソーでシリコンインゴットをスライス加工することで作成される。このとき、シリコンインゴットの取り付けられているビーム(主に炭素で構成される)がシリコンインゴットと共にスライス加工されてしまうので、切削粉からなるシリコンスラッジには炭素が不純物として含まれる。シリコンスラッジ中の炭素は、シリコンと反応して、炭化ケイ素(SiC)として存在する。
シリコンスラッジをリサイクルしようとする場合、含まれるSiCを除去する必要がある。
SiCを除去する従来の方法として、フィルターを用いる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
図6は、特許文献1に記載された従来の方法を実施するための装置の模式図である。従来の方法では、まず、シリコンスラッジ18を第一の坩堝19に投入し、この第一の坩堝19をヒータ21により加熱することで、シリコンスラッジ18を溶融させる。溶融したシリコンスラッジ18は、フィルター20を透過して、更に下部に配置された第二の坩堝22に透過後シリコン溶融液23として貯留される。このとき、固体状態のSiCは、フィルター20にて収集される。
また、SiCを除去する別の方法として複数のフィルターを用いる方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。図7は、特許文献2に記載された複数のフィルターを用いる方法を実施するための装置を示している。この装置では、溶融した材料26を流す樋25の途中に、機能の異なる複数のフィルター27、28、29が配置されている。
特開昭64−56312号公報 特開昭63−313639号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の従来の方法において、溶融状態のSiCが、フィルターで収集されずにフィルターを透過後のシリコン溶融液中に含まれる場合があり、このため、これらの従来の方法では、シリコンスラッジに含まれるSiCを高精度に除去できないという課題を有している。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、シリコンスラッジからSiCを従来よりも高精度に除去し、炭素濃度の低いシリコンを精錬できる不純物除去炉を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の不純物除去炉は、第一のフィルターを備え、シリコンスラッジを格納する第一の坩堝と、前記第一の坩堝を加熱する第一のヒータと、第二のフィルターを備え、前記第一のフィルターを透過したシリコン溶融液を貯留する第二の坩堝と、前記第二の坩堝を加熱する第二のヒータと、前記第二のフィルターを透過したシリコン溶融液を貯留する第三の坩堝と、を備え、前記第一のフィルターの濾過粒度は前記第二のフィルターの濾過粒度よりも大きいことを特徴とする。
本発明によれば、複数の坩堝と、シリコン溶融液の流れる坩堝には異なる濾過粒度のフィルターが備えられ、フィルターの設けられた坩堝毎に加熱手段を設けることで、シリコンスラッジからSiCを高精度に除去できるので、シリコンスラッジから炭素濃度の低いシリコンインゴットを精錬することができる。
本発明の実施の形態1における不純物除去炉の模式図 シリコン(Si)とカーボン(C)の2元系状態図 本発明の実施の形態2における不純物除去炉の模式図 本発明の実施の形態3における不純物除去炉の模式図 本発明の実施の形態4における不純物除去炉の模式図 特許文献1に記載の従来の方法を実施するための装置の構成図 特許文献2に記載の従来の方法を実施するための装置の構成図
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における不純物除去炉の概略構成を示す模式図である。
図1の不純物除去炉には、隔壁Aを介して第一の温度ゾーン1(第一の空間)と第二の温度ゾーン2(第2の空間)とに分かれるチャンバ50が備えられている。第一の温度ゾーン1には第一の坩堝3が配置され、その外周に第一のヒータH1が配設されている。第一の坩堝3は第一のヒータH1で加熱されることで第一の温度に保たれる。
第二の温度ゾーン2には、第二の坩堝4が配置され、その下方に第三の坩堝5が設置されている。第二の坩堝4と第三の坩堝5の側方には第二のヒータH2が配置されている。第二及び第三の坩堝4、5は、第二のヒータH2で加熱されることで第二の温度に保たれる。なお、第一及び第二の坩堝3、4は固定であるが第三の坩堝5は上下駆動機構11によって上下に移動できる仕組みになっている。
以下、それぞれの構成要件と具体的な不純物除去の方法について説明する。
太陽電池ウエハの製作過程で生じる不純物を含むシリコンスラッジ8は、第一の坩堝3に格納され、第一の温度ゾーン1で、シリコンの融点(1410℃)を十分に超える1530℃以上の温度で加熱保持されることで溶融する。
炭素成分を含まないシリコンスラッジの場合、図2に示す状態図のように、約1410℃で溶融を始めるが、SiCとして炭素成分を含む場合、1410℃では溶融しない。実験の結果、太陽電池ウエハの製作過程で生じるシリコンスラッジ8の炭素成分の含有量は1w%程度であることが多く、この場合、1530℃で溶融が始まることを発明者らは見出している。このため、第一の温度ゾーン1の最低温度を1530℃以上とするのが望ましい。
また、第一の温度ゾーン1の最高温度を1650℃より低い温度に設定する。第一の温度ゾーン1の温度が1650℃以上になると、シリコンスラッジ8中のほとんどのSiCが溶融してしまい、溶融したSiCを除去するのが困難になるためである。つまり、第一の温度ゾーン1を1530℃以上かつ1650℃未満の温度帯とすることが望ましい。この温度帯であれば、シリコンスラッジ8は溶融しつつ、SiCは溶融には至らず、溶け残り状態でシリコンスラッジ8の溶融液中にSiCが固形物として存在する。
溶け残り状態のSiCを除去するために、第一のフィルター6が第一の坩堝3の下方に配置されている。溶融したシリコンスラッジ8は、第一のフィルター6を透過して第一の坩堝3の下方に配置された第二の坩堝4に注がれる。このとき、溶け残り状態(固形物)のSiCが第一のフィルター6によって収集される。第一のフィルター6を透過した後の溶融したシリコンスラッジ8を中間シリコン溶融液9とする。
第二の坩堝4に注がれた中間シリコン溶融液9は、第二の温度ゾーン2の中で溶融状態が保持される。第二の温度ゾーン2の温度は、1450℃以下に設定する。第二の温度ゾーン2の温度が、1450℃を上回ると一部のSiCが溶融を開始してしまい、SiCを除去する精度が低下するからである。
このとき、第二の温度ゾーン2の温度を1410℃以上とする。第一のフィルター6を透過したことで、中間シリコン溶融液9の炭素(SiC)の含有量が低下するため、1410℃でも中間シリコン溶融液9として溶融状態を保持できることを発明者らは見出している。また、1410℃を下回ると、中間シリコン溶融液9が溶融しないことも発明者らは見出している。つまり、第二の温度ゾーン2を1410℃以上かつ1450℃以下の温度帯とするのが望ましい。この温度帯であれば、中間シリコン溶融液9を溶融させた時、SiCは溶融には至らず、溶け残り状態で存在する。
第一及び第二の温度ゾーン1、2の温度制御は、制御部30の制御により実現される。制御部30が、第一及び第二のヒータH1、H2を個別に制御して、第一及び第二の温度ゾーン1、2の温度制御を実施し、第一の坩堝3の温度を第二の坩堝4の温度よりも高くする。具体的には、制御部30は、第一の坩堝3の温度を1530℃以上かつ1650℃未満に制御し、第二の坩堝4の温度を1410℃以上かつ1450℃以下に制御する。
また、溶け残り状態のSiCを除去するために、第二のフィルター7が第二の坩堝4の下方に配置されている。中間シリコン溶融液9は第二のフィルター7を通して第三の坩堝5に注がれる。このとき、溶け残り状態のSiCが第二のフィルター7によって収集される。
ここで、第一及び第二のフィルター6、7について説明する。
第一及び第二のフィルター6、7は、アルミナ、SiCなどのセラミックで構成される。
第一のフィルター6の濾過粒度(除去可能な粒子の直径を示す公称値JIS−B8356による)を、1mm以上かつ5mm以下に設定すると、SiCを高精度に除去できる。第一のフィルター6の濾過粒度を1mm未満で構成すると、SiCが目詰まりを起こして中間シリコン溶融液9をほとんど得られないこととなり、逆に濾過粒度を5mmよりも大きく設定すると、SiCが透過してしまい、フィルターで留めることができないためである。
一方、第二のフィルター7の濾過粒度を0.1mm以上かつ0.5mm以下とする。第二の温度ゾーン2にて析出するSiCは、0.5mmを上回る大きさ(直径)であることが実験的に求められており、この大きさのSiCを収集できるように、第二のフィルター7の濾過粒度を設定する。このとき、第一のフィルター6にて、ある程度のSiCを除去できているため、第二のフィルター7の濾過粒度を0.5mm以下にしても目詰まりの発生する可能性は低い。また、より小さい濾過粒度の第二のフィルター7を採用することで、より高精度にSiCを除去できる。但し、第二のフィルター7の濾過粒度を0.1mm未満に設定すると、目詰まりが発生することを発明者らは見出している。
このため、本実施の形態では、第一のフィルター6の濾過粒度は第二のフィルター7の濾過粒度よりも大きくなるように設計されている。そして、第一のフィルター6の濾過粒度は1mm以上かつ5mm以下が好ましく、第二のフィルター7の濾過粒度は0.1mm以上かつ0.5mm以下が望ましい。
このような第一及び第二のフィルター6、7を採用することで、シリコンスラッジ8から高精度にSiCを除去できる。
第二のフィルター7を透過した中間シリコン溶融液9を最終シリコン溶融液10とする。本実施の形態により、最終シリコン溶融液10の炭素濃度を、約6ppma程度にできる。従来の方法を用いた場合、最終的に得られるシリコン溶融液の炭素濃度は約30ppmaであったことから、本実施の形態に係る不純物除去炉を採用することで、炭素成分であるSiCを従来よりも高精度に除去できることが見出されている。
本実施の形態では、更に、この最終シリコン溶融液10を貯留する第三の坩堝5を第二のヒータH2の加熱範囲を出るまで下降させることで、いわゆる一方向凝固を実施する。この一方向凝固によりシリコンインゴットが形成され、概略では炭素の偏析係数0.07を掛けた値までシリコンインゴット中の炭素濃度を低減できる。こうして、本実施の形態により、シリコンインゴットに含まれる炭素濃度を例えば1ppma以下にできる。
(実施の形態2)
図3は、実施の形態2に係る不純物除去炉である。実施の形態1とは第一及び第二のフィルター6、7の取り付け位置が異なる。第一及び第二フィルター6、7を第一及び第二の坩堝3、4の側面に配置することにより、溶け残り状態のSiCが各フィルターを塞ぐのを防止できる(目詰まり防止)。その結果、第二の坩堝4や第三の坩堝5に流れ出る溶融液の量が増加し、実施の形態1に比べ、効率良く最終シリコン溶融液10を貯留できる。
このとき、第一及び第二フィルター6、7を、第一及び第二の坩堝3、4の底面から1mm以上の位置に配置すると、溶け残り状態のSiCが第一及び第二フィルター6、7を塞ぐのをより防止できる。一方、第一及び第二フィルター6、7を、第一及び第二の坩堝3、4の底面から5mmより高い位置に配置すると、第一及び第二フィルター6、7から流れ出ない溶融液(中間シリコン溶融液9、最終シリコン溶融液10)の量が増えるため、第一及び第二フィルター6、7を、第一及び第二の坩堝3、4の底面から5mm以下の位置に配置する。すなわち、第一及び第二フィルター6、7を、第一及び第二の坩堝3、4の底面から1mm以上、かつ、5mm以下の位置に配置するのが望ましい。
(実施の形態3)
図4は、実施の形態3に伴うシリコン不純物除去炉である。実施の形態2の構造に加え、第一〜第三の坩堝3〜5が同一の回転ベース台12に設置されている。回転ベース台12は、回転機構13と接続されている。回転ベース台12が回転することで、各坩堝3〜5の中にある溶融液に遠心力が加わり溶融液は壁側に押出される力を受ける。これによって回転させない場合に比べて、溶融液がフィルターを通過しやすくなり、生産性が向上する。
(実施の形態4)
図5は、実施の形態4に係る不純物除去炉である。第一の坩堝3の上方より不活性ガス(例えばアルゴン(Ar))を噴出する噴出口15がチャンバ50の上部に配置されている。噴出口15にはガスボンベ14が接続されている。ガスボンベ14から供給された不活性ガスは、噴出口15を通して第一の坩堝3のシリコンスラッジ8に噴射される。
噴射された不活性ガスは、ガス排出パイプ17よりチャンバ50外に放出される。このとき真空ポンプ16を用いて、チャンバ50(第一及び前記第二の坩堝3、4の配置された空間)内の圧力を減圧し、低真空(40〜10000Pa)に保つ。これにより、シリコンスラッジ8に含まれる炭素成分がシリコンスラッジ8に含まれる酸素成分と結合しCOガスとなってチャンバ50内から抜けるのを促進できる。このため、精製するシリコンインゴットの炭素濃度をより減少させることができる。
なお、前記の様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明の不純物除去炉は、シリコンウエハー等のスライス加工時のシリコンスラッジからのシリコンインゴット精製回収の用途にも適用できる。
1 第一の温度ゾーン
2 第二の温度ゾーン
3 第一の坩堝
4 第二の坩堝
5 第三の坩堝
6 第一のフィルター
7 第二のフィルター
8 シリコンスラッジ
9 中間シリコン溶融液
10 最終シリコン溶融液
11 上下駆動機構
12 回転ベース台
30 制御部
50 チャンバ
A 隔壁
H1 第一のヒータ
H2 第二のヒータ

Claims (10)

  1. 第一のフィルターを備え、シリコンスラッジを格納する第一の坩堝と、
    前記第一の坩堝を加熱する第一のヒータと、
    第二のフィルターを備え、前記第一のフィルターを透過したシリコン溶融液を貯留する第二の坩堝と、
    前記第二の坩堝を加熱する第二のヒータと、
    前記第二のフィルターを透過したシリコン溶融液を貯留する第三の坩堝と、を備え、
    前記第一のフィルターの濾過粒度は前記第二のフィルターの濾過粒度よりも大きいことを特徴とする不純物除去炉。
  2. 前記第一又は第二のフィルターは、前記第一又は第二の坩堝の側面に備わる、請求項1記載の不純物除去炉。
  3. 前記第三の坩堝を移動させる移動機構を備える請求項1又は2記載の不純物除去炉。
  4. 前記第一及び第二の坩堝を回転させる回転機構を更に備える、請求項1〜3のいずれか記載の不純物除去炉。
  5. 前記第一の坩堝の上部に不活性ガスを噴出する噴出口と、
    前記第一及び前記第二の坩堝の配置されたチャンバ内を低真空にするポンプと、を備える、請求項1〜4のいずれか記載の不純物除去炉。
  6. 前記第一のフィルターの濾過粒度は、1mm以上5mm以下である、請求項1〜5のいずれか記載の不純物除去炉。
  7. 前記第二のフィルターの濾過粒度は、0.1mm以上0.5mm以下である、請求項1〜6のいずれか記載の不純物除去炉。
  8. 前記第一及び第二のヒータを制御して、前記第一の坩堝の温度を前記第二の坩堝の温度よりも高くする制御部を備える、請求項1〜7のいずれか記載の不純物除去炉。
  9. 前記制御部は、前記第一の坩堝の温度を1530℃以上かつ1630℃未満に、前記第二の坩堝の温度を1410℃以上かつ1450℃以下に制御する、請求項8記載の不純物除去炉。
  10. 前記第一の坩堝は第一の温度ゾーンに配置され、前記第二の坩堝は第二の温度ゾーンに配置される、請求項1〜9のいずれか記載の不純物除去炉。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022106675A1 (fr) 2020-11-23 2022-05-27 Commissariat A L'energie Atomique Et Aux Energies Alternatives Procede et installation de purification de silicium a partir d'un melange issu de la decoupe de briques de silicium en plaquettes

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022106675A1 (fr) 2020-11-23 2022-05-27 Commissariat A L'energie Atomique Et Aux Energies Alternatives Procede et installation de purification de silicium a partir d'un melange issu de la decoupe de briques de silicium en plaquettes
FR3116527A1 (fr) * 2020-11-23 2022-05-27 Commissariat A L'energie Atomique Et Aux Energies Alternatives Procede et installation de purification de silicium a partir d’un melange issu de la decoupe de briques de silicium en plaquettes

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