JP2010013307A - シリコンの精製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】砥粒成分を含むシリコン粉から高純度のシリコン原料を回収するシリコンの精製方法を提供することを課題とする。
【解決手段】不活性ガス雰囲気下、砥粒を用いた機械加工により発生するシリコン粉を坩堝中でシリコンの融点以上の温度に加熱してシリコン溶湯を得る溶融工程、前記シリコン溶湯を一方向凝固により前記坩堝の下部から上部に向けて凝固させてシリコン塊を得る凝固工程、および前記坩堝における前記シリコン塊の下部領域および上部領域を、切断、研磨およびブラストから選択される物理的方法、または酸溶解およびアルカリ溶解から選択される化学的方法で除去する除去工程を含むことを特徴とするシリコンの精製方法により、上記の課題を解決する。
【選択図】図1
【解決手段】不活性ガス雰囲気下、砥粒を用いた機械加工により発生するシリコン粉を坩堝中でシリコンの融点以上の温度に加熱してシリコン溶湯を得る溶融工程、前記シリコン溶湯を一方向凝固により前記坩堝の下部から上部に向けて凝固させてシリコン塊を得る凝固工程、および前記坩堝における前記シリコン塊の下部領域および上部領域を、切断、研磨およびブラストから選択される物理的方法、または酸溶解およびアルカリ溶解から選択される化学的方法で除去する除去工程を含むことを特徴とするシリコンの精製方法により、上記の課題を解決する。
【選択図】図1
Description
本発明は、砥粒を使用してシリコンを研削、切断、研磨およびウエハスライスなどの機械加工に付した際に発生するシリコン粉を回収し、シリコン原料として再生するシリコンの精製方法に関する。特にシリコンカーバイト(炭化珪素)、シリコンナイトライド(窒化珪素)およびダイヤモンドから選択される少なくとも1つの砥粒成分を含むシリコン粉をシリコン原料として再生するシリコンの精製方法に関する。
金属級シリコンなどの低純度シリコンを精製して、太陽電池用などのシリコン原料を得るための様々な方法が検討されている。その方法としては、主として、
(1)偏析を利用して不純物を除去して、シリコンを精製する方法
(2)溶融したシリコンに酸素などの反応ガス、スラグなどを導入し、不純物を化学的に除去して、シリコンを精製する方法
などがある。
(1)偏析を利用して不純物を除去して、シリコンを精製する方法
(2)溶融したシリコンに酸素などの反応ガス、スラグなどを導入し、不純物を化学的に除去して、シリコンを精製する方法
などがある。
上記の方法(1)は、主に金属不純物を除去する方法として用いられる。
この方法では、低純度シリコンを1500℃程度に加熱した後、一方向凝固により偏析係数の小さい鉄、アルミニウムなどの金属不純物をシリコン上面に偏析させ、金属不純物を除去する。
この方法では、低純度シリコンを1500℃程度に加熱した後、一方向凝固により偏析係数の小さい鉄、アルミニウムなどの金属不純物をシリコン上面に偏析させ、金属不純物を除去する。
上記の方法(2)は、主にリン、ホウ素を除去する方法として用いられる。
この方法では、特開平5−139713号公報(特許文献1)に開示されているように、溶融したシリコンにプラズマを接触させ、プラズマガスに水蒸気、二酸化炭素または酸素を含むガスを導入してホウ素などを酸化させて除去する。
この方法では、特開平5−139713号公報(特許文献1)に開示されているように、溶融したシリコンにプラズマを接触させ、プラズマガスに水蒸気、二酸化炭素または酸素を含むガスを導入してホウ素などを酸化させて除去する。
また、特開昭62−292613号公報(特許文献2)には、シリコン中の炭化珪素や炭素を除去する方法が開示されている。
この方法では、炭素または炭化珪素、窒化珪素からなるフィルターに溶融シリコンを通過させて飽和溶解度(39ppm)以上の炭化珪素を捕捉し(濾過処理)、その後、シリコンの融点を超える1800℃の温度域で、かつ10-1〜10-4気圧の圧力範囲で減圧処理(高温高真空処理)することにより、融液中と酸素との反応(C+O→CO)で炭素を化学的に除去する。この方法では、処理前のシリコン中の炭素濃度700ppmを、濾過処理後に50ppm、高温高真空処理後に4ppmまで減少させている。
しかしながら、この方法は、不純物濃度が1重量%を超えるようなシリコン原料を処理する場合には、高価な濾布の交換頻度が高くなり経済的でないという問題がある。
この方法では、炭素または炭化珪素、窒化珪素からなるフィルターに溶融シリコンを通過させて飽和溶解度(39ppm)以上の炭化珪素を捕捉し(濾過処理)、その後、シリコンの融点を超える1800℃の温度域で、かつ10-1〜10-4気圧の圧力範囲で減圧処理(高温高真空処理)することにより、融液中と酸素との反応(C+O→CO)で炭素を化学的に除去する。この方法では、処理前のシリコン中の炭素濃度700ppmを、濾過処理後に50ppm、高温高真空処理後に4ppmまで減少させている。
しかしながら、この方法は、不純物濃度が1重量%を超えるようなシリコン原料を処理する場合には、高価な濾布の交換頻度が高くなり経済的でないという問題がある。
さらに、特開平10−120412号公報(特許文献3)には、溶融シリコンに酸素、水蒸気などの酸化性ガスを吹き込み、炭素と酸素との反応により、炭素を化学的に除去する方法が開示されている。この方法では、処理前のシリコン中の炭素濃度40〜50ppm、処理後に2.5〜3ppmまで減少させている。
しかしながら、この方法は、不純物濃度が1重量%を超えるようなシリコン原料を処理する場合には、酸化性ガスの使用量が膨大となる上、炭素以外にシリコンと反応して酸化珪素が生成し、シリコンの収率が低下するという問題がある。
しかしながら、この方法は、不純物濃度が1重量%を超えるようなシリコン原料を処理する場合には、酸化性ガスの使用量が膨大となる上、炭素以外にシリコンと反応して酸化珪素が生成し、シリコンの収率が低下するという問題がある。
また、特開2001−278612号公報(特許文献4)には、シリコン、砥粒(炭化珪素)を含む使用済スラリーの固液分離で得られた固形物を有機溶剤で洗浄して分散剤を除去し、気流分級装置などを用いて得られた固形分から酸化シリコンおよび砥粒を除去してシリコンを回収する方法が開示されている。
しかしながら、この方法では、充分な純度のシリコンは得られておらず、この方法を用いた技術は実用化されていない。
しかしながら、この方法では、充分な純度のシリコンは得られておらず、この方法を用いた技術は実用化されていない。
さらに、特開2007−246366号公報(特許文献5)には、水溶性クーラント、砥粒およびシリコン粒を少なくとも含有するスラリーから水溶性クーラントを予め除去して固形分を得、その固形分から、水溶性クーラントに対し相溶性を有しかつ水溶性クーラントよりも低沸点の有機溶剤を用いて固形分中に残留する水溶性クーラントを抽出し、抽出に用いた有機溶剤を濾過によって除去し、濾過により得られる固形分を回収するシリコン含有材料の回収方法が開示されている。
また、特開2006−240914号公報(特許文献6)には、CO分圧800Pa以下の雰囲気中で、鋳型内の溶融状態のシリコンを30分以上保持した後、鋳型下部から上部に向けて一方向凝固させて、シリコン中の炭素(C)を3質量ppm以下まで低減するシリコンからの炭素除去方法が開示されている。
シリコンを固定砥粒または遊離砥粒を用いた円筒研削、切断、裏面研磨およびウエハスライスなどの機械加工に付した際に発生するシリコン粉を回収して、シリコン原料として再生するためには、シリコン粉から次のような不純物を除去する必要がある。
(a)粒度0.01〜1μmの、酸化膜(SiOx)を含むシリコン粉
(b)シリコンカーバイト、シリコンナイトライド、ダイヤモンドなどの砥粒成分
(c)切断刃、ワイヤーなどの金属成分
(d)潤滑油のオイル成分
(a)粒度0.01〜1μmの、酸化膜(SiOx)を含むシリコン粉
(b)シリコンカーバイト、シリコンナイトライド、ダイヤモンドなどの砥粒成分
(c)切断刃、ワイヤーなどの金属成分
(d)潤滑油のオイル成分
上記の不純物(c)の金属成分は、酸洗浄や偏析などにより除去することができ、不純物(d)のオイル成分は、オイルの沸点以上での加熱や酸または有機溶剤を用いた洗浄により除去することができる。
しかしながら、不純物(a)の酸化膜(酸化シリコン)は、酸を用いた洗浄により除去できても、大気中に放置すると酸化膜が再度形成されてしまう。
また、不純物(b)の砥粒成分として一般的に用いられる、シリコンカーバイト、シリコンナイトライド、ダイヤモンドは化学的に不活性であるために、これらを化学反応を利用して除去することは困難である。
このように、シリコンを機械加工に付した際に発生するシリコン粉を回収して、シリコン原料として再生すること、すなわちシリコンを再利用することは困難であった。
しかしながら、不純物(a)の酸化膜(酸化シリコン)は、酸を用いた洗浄により除去できても、大気中に放置すると酸化膜が再度形成されてしまう。
また、不純物(b)の砥粒成分として一般的に用いられる、シリコンカーバイト、シリコンナイトライド、ダイヤモンドは化学的に不活性であるために、これらを化学反応を利用して除去することは困難である。
このように、シリコンを機械加工に付した際に発生するシリコン粉を回収して、シリコン原料として再生すること、すなわちシリコンを再利用することは困難であった。
本発明は、砥粒成分を含むシリコン粉から高純度のシリコン原料を回収するシリコンの精製方法を提供することを課題とする。
かくして、本発明によれば、
不活性ガス雰囲気下、砥粒を用いた機械加工により発生するシリコン粉を坩堝中でシリコンの融点以上の温度に加熱してシリコン溶湯を得る溶融工程、
前記シリコン溶湯を一方向凝固により前記坩堝の下部から上部に向けて凝固させてシリコン塊を得る凝固工程、および
前記坩堝における前記シリコン塊の下部領域および上部領域を、切断、研磨およびブラストから選択される物理的方法、または酸溶解およびアルカリ溶解から選択される化学的方法で除去する除去工程
を含むことを特徴とするシリコンの精製方法が提供される。
不活性ガス雰囲気下、砥粒を用いた機械加工により発生するシリコン粉を坩堝中でシリコンの融点以上の温度に加熱してシリコン溶湯を得る溶融工程、
前記シリコン溶湯を一方向凝固により前記坩堝の下部から上部に向けて凝固させてシリコン塊を得る凝固工程、および
前記坩堝における前記シリコン塊の下部領域および上部領域を、切断、研磨およびブラストから選択される物理的方法、または酸溶解およびアルカリ溶解から選択される化学的方法で除去する除去工程
を含むことを特徴とするシリコンの精製方法が提供される。
本発明によれば、砥粒成分を含むシリコン粉から高純度のシリコン原料を回収するシリコンの精製方法を提供することができる。
すなわち、本発明によれば、シリコンを円筒研削、切断、裏面研磨およびウエハスライスなどの機械加工に付した際に発生するシリコン粉から、シリコンカーバイト、シリコンナイトライド、ダイヤモンドなどの砥粒成分および酸化シリコン成分を簡便な方法で除去し、太陽電池グレードのシリコン原料を回収することができる。
また、本発明によれば、副回収の砥粒を再利用することができる。
すなわち、本発明によれば、シリコンを円筒研削、切断、裏面研磨およびウエハスライスなどの機械加工に付した際に発生するシリコン粉から、シリコンカーバイト、シリコンナイトライド、ダイヤモンドなどの砥粒成分および酸化シリコン成分を簡便な方法で除去し、太陽電池グレードのシリコン原料を回収することができる。
また、本発明によれば、副回収の砥粒を再利用することができる。
本発明のシリコンの精製方法は、
不活性ガス雰囲気下、砥粒を用いた機械加工により発生するシリコン粉を坩堝中でシリコンの融点以上の温度に加熱してシリコン溶湯を得る溶融工程、
前記シリコン溶湯を一方向凝固により前記坩堝の下部から上部に向けて凝固させてシリコン塊を得る凝固工程、および
前記坩堝における前記シリコン塊の下部領域および上部領域を、切断、研磨およびブラストから選択される物理的方法、または酸溶解およびアルカリ溶解から選択される化学的方法で除去する除去工程
を含むことを特徴とする。
不活性ガス雰囲気下、砥粒を用いた機械加工により発生するシリコン粉を坩堝中でシリコンの融点以上の温度に加熱してシリコン溶湯を得る溶融工程、
前記シリコン溶湯を一方向凝固により前記坩堝の下部から上部に向けて凝固させてシリコン塊を得る凝固工程、および
前記坩堝における前記シリコン塊の下部領域および上部領域を、切断、研磨およびブラストから選択される物理的方法、または酸溶解およびアルカリ溶解から選択される化学的方法で除去する除去工程
を含むことを特徴とする。
図1を用いて本発明のシリコンの精製方法を具体的に説明するが、これにより本発明が限定されるものではない。
図1は、本発明のシリコンの精製方法を説明するための溶融装置の概略図である。
この溶融装置3は、主にシリコン粉1を収容する坩堝2、それらを加熱する加熱手段5、一方向凝固のために坩堝2を昇降させる移動手段6および溶融装置3内を不活性ガス雰囲気に置換するためのボンベ4からなる。なお、溶融装置3内のガス置換に用いる脱気装置(真空ポンプ)などは省略する。
図1は、本発明のシリコンの精製方法を説明するための溶融装置の概略図である。
この溶融装置3は、主にシリコン粉1を収容する坩堝2、それらを加熱する加熱手段5、一方向凝固のために坩堝2を昇降させる移動手段6および溶融装置3内を不活性ガス雰囲気に置換するためのボンベ4からなる。なお、溶融装置3内のガス置換に用いる脱気装置(真空ポンプ)などは省略する。
(溶融工程)
不活性ガス雰囲気下、砥粒を用いた機械加工により発生するシリコン粉を坩堝中でシリコンの融点以上の温度に加熱してシリコン溶湯を得る。
まず、シリコン粉1の所定量を坩堝2に充填する。
坩堝2の材質としては、石英、シリカ、アルミナ、カーボンなどが挙げられるが、坩堝は基本的には使い捨てになることから、安価であるシリカが好ましい。
不活性ガス雰囲気下、砥粒を用いた機械加工により発生するシリコン粉を坩堝中でシリコンの融点以上の温度に加熱してシリコン溶湯を得る。
まず、シリコン粉1の所定量を坩堝2に充填する。
坩堝2の材質としては、石英、シリカ、アルミナ、カーボンなどが挙げられるが、坩堝は基本的には使い捨てになることから、安価であるシリカが好ましい。
次いで、シリコン粉1を充填した坩堝2を一方向凝固が可能な溶融装置3内に設置し、溶融装置3内を不活性ガス雰囲気に置換する。
具体的には、真空ポンプなどの脱気装置(図示せず)を用いて脱気した後、ボンベ4からアルゴンガスなどの不活性ガスを導入して、溶融装置3内を不活性ガス雰囲気にする。
不活性ガス雰囲気は、シリコンが酸化されない条件であればよい。
具体的には、真空ポンプなどの脱気装置(図示せず)を用いて脱気した後、ボンベ4からアルゴンガスなどの不活性ガスを導入して、溶融装置3内を不活性ガス雰囲気にする。
不活性ガス雰囲気は、シリコンが酸化されない条件であればよい。
次いで、加熱手段5によりシリコン粉をシリコンの融点(1412℃)以上の温度、好ましくは1600℃以上1800℃以下の温度に加熱してシリコン粉を溶融させる。
加熱の昇温速度は、適宜設定すればよく、一般に5〜10℃/分程度が好ましい。
設定温度に到達した後、溶融したシリコン粉(シリコン溶湯)をシリコンの融点以上の温度で1〜10時間保持するのが好ましく、5〜10時間保持するのが特に好ましい。
加熱の昇温速度は、適宜設定すればよく、一般に5〜10℃/分程度が好ましい。
設定温度に到達した後、溶融したシリコン粉(シリコン溶湯)をシリコンの融点以上の温度で1〜10時間保持するのが好ましく、5〜10時間保持するのが特に好ましい。
シリコン溶湯が対流により撹拌され、含有する酸化シリコン成分は粘度が高いために、坩堝壁面に付着し、砥粒成分はその一部がシリコン溶湯との比重差により沈降し、その一部が酸化シリコンの粘性により捕捉される。
シリコン溶湯を効果的に攪拌するためには、加熱方法、すなわち加熱手段5を誘導加熱方式にするのが好ましい。
シリコン溶湯を効果的に攪拌するためには、加熱方法、すなわち加熱手段5を誘導加熱方式にするのが好ましい。
(凝固工程)
次いで、シリコン溶湯を一方向凝固により前記坩堝の下部から上部に向けて凝固させてシリコン塊を得る。
具体的には、坩堝下部から冷却が開始されるように、坩堝2または加熱手段5を相対的に一方向に移動させる。すなわち、坩堝2の下部が加熱手段5から遠ざかるように、坩堝2および加熱手段5のいずれか一方または両方を移動させる。図1では、移動手段6を用いて坩堝2を下方に移動させている。
移動速度は、坩堝の大きさなどにより適宜設定すればよく、一般に等速で5〜30mm/時間程度が好ましい。
次いで、シリコン溶湯を一方向凝固により前記坩堝の下部から上部に向けて凝固させてシリコン塊を得る。
具体的には、坩堝下部から冷却が開始されるように、坩堝2または加熱手段5を相対的に一方向に移動させる。すなわち、坩堝2の下部が加熱手段5から遠ざかるように、坩堝2および加熱手段5のいずれか一方または両方を移動させる。図1では、移動手段6を用いて坩堝2を下方に移動させている。
移動速度は、坩堝の大きさなどにより適宜設定すればよく、一般に等速で5〜30mm/時間程度が好ましい。
坩堝2の下部から冷却されたシリコン溶湯は、下部から砥粒成分がない状態で固化され、上部に砥粒成分が偏析する。このとき、鉄などの金属不純物も同時に偏析する。
すなわち、砥粒が局在する溶湯下部は砥粒の影響により、融点(凝固点)が高いため、冷却が開始されれば即座に凝固する。
このように凝固された点を除くシリコン溶湯内にも砥粒成分が残留するが、一方向凝固を継続することにより、カーボンの偏析、表面張力による捕捉、坩堝壁面への付着などにより、シリコン内部には砥粒がほとんど存在しなくなる。
すなわち、砥粒が局在する溶湯下部は砥粒の影響により、融点(凝固点)が高いため、冷却が開始されれば即座に凝固する。
このように凝固された点を除くシリコン溶湯内にも砥粒成分が残留するが、一方向凝固を継続することにより、カーボンの偏析、表面張力による捕捉、坩堝壁面への付着などにより、シリコン内部には砥粒がほとんど存在しなくなる。
図2を用いて一方向凝固によるシリコン溶湯の状態について説明する。
図2は、本発明のシリコンの精製方法を説明するための、シリコン原料の溶湯の状態を示す模式図である。
図2(a)〜(c)は、設定温度に保持されている状態で、図2(a)では液体シリコン(シリコン溶湯)7に砥粒8が分散され、これらが矢印の方向に攪拌されている。その後、溶湯内部よりも溶湯表面付近の粘度が徐々に高くなり、図2(b)では攪拌により上昇した砥粒8がその高粘度層に取り込まれ、図2(c)では砥粒8が凝集している。
図2(d)は、一方向凝固途中の状態で、坩堝の下部に液体シリコン7の凝固物、すなわち固体シリコン9が生成し、坩堝の上部に砥粒8が凝集している。
このようにして、一方向凝固が進行し、シリコン塊の坩堝上部側に砥粒と金属不純物が偏析する
図2は、本発明のシリコンの精製方法を説明するための、シリコン原料の溶湯の状態を示す模式図である。
図2(a)〜(c)は、設定温度に保持されている状態で、図2(a)では液体シリコン(シリコン溶湯)7に砥粒8が分散され、これらが矢印の方向に攪拌されている。その後、溶湯内部よりも溶湯表面付近の粘度が徐々に高くなり、図2(b)では攪拌により上昇した砥粒8がその高粘度層に取り込まれ、図2(c)では砥粒8が凝集している。
図2(d)は、一方向凝固途中の状態で、坩堝の下部に液体シリコン7の凝固物、すなわち固体シリコン9が生成し、坩堝の上部に砥粒8が凝集している。
このようにして、一方向凝固が進行し、シリコン塊の坩堝上部側に砥粒と金属不純物が偏析する
(除去工程)
坩堝におけるシリコン塊の下部領域および上部領域を、切断、研磨およびブラストから選択される物理的方法、または酸溶解およびアルカリ溶解から選択される化学的方法で除去する
例えば、冷却したシリコン塊を取り出し、その下部領域、外周領域および上部領域を切断、除去すれば、酸化シリコン成分および砥粒成分をほとんど含有しないシリコン精製塊を得ることができる。
坩堝におけるシリコン塊の下部領域および上部領域を、切断、研磨およびブラストから選択される物理的方法、または酸溶解およびアルカリ溶解から選択される化学的方法で除去する
例えば、冷却したシリコン塊を取り出し、その下部領域、外周領域および上部領域を切断、除去すれば、酸化シリコン成分および砥粒成分をほとんど含有しないシリコン精製塊を得ることができる。
シリコン塊の除去量は、溶融前のシリコン粉に含まれる砥粒の予想重量の2倍以上5倍以下とするのが好ましい。
溶融前のシリコン粉に含まれる砥粒の予想重量は、例えば、シリコン粉がシリコンカーバイト(SiC)を含む場合、予めシリコン粉のC濃度を測定し、その測定値からSiC換算して求めることができる。このC濃度には、例えば、
堀場製作所製の固体中炭素分析装置EMIAを用いることができる。
溶融前のシリコン粉に含まれる砥粒の予想重量は、例えば、シリコン粉がシリコンカーバイト(SiC)を含む場合、予めシリコン粉のC濃度を測定し、その測定値からSiC換算して求めることができる。このC濃度には、例えば、
堀場製作所製の固体中炭素分析装置EMIAを用いることができる。
また、除去したシリコン塊を酸またはアルカリで処理してシリコンを溶解させ、かつその残部を砥粒成分として回収し、再利用することができる。
しかしながら、上記の方法では、シリコン溶湯中に存在する酸化シリコン成分に起因する粘度上昇により、捕捉や溶湯の攪拌不足が発生し、内部の残留砥粒濃度、酸素濃度が高くなることがある。
したがって、溶融工程前に、不活性ガス雰囲気下、前記シリコン粉を坩堝中でシリコンの融点以上の温度に加熱して溶融し、次いで冷却して、前記シリコン粉中の酸化シリコンを除去するのが好ましい。
したがって、溶融工程前に、不活性ガス雰囲気下、前記シリコン粉を坩堝中でシリコンの融点以上の温度に加熱して溶融し、次いで冷却して、前記シリコン粉中の酸化シリコンを除去するのが好ましい。
(酸化シリコンの除去工程)
具体的には、溶融工程と同様にして、シリコン粉を坩堝中でシリコンの融点以上の温度に加熱して溶融し、溶解が完了した段階で冷却する。
溶融時にシリコン溶湯を、物理的に、またはガス吹き付けなどにより攪拌するのが好ましい。
具体的には、溶融工程と同様にして、シリコン粉を坩堝中でシリコンの融点以上の温度に加熱して溶融し、溶解が完了した段階で冷却する。
溶融時にシリコン溶湯を、物理的に、またはガス吹き付けなどにより攪拌するのが好ましい。
冷却後、坩堝から取り出したシリコン塊を粉砕して、得られたシリコン粒を溶融工程用のシリコン粉とする。
シリコン粒の粒径は、特に限定されないが0.5〜30mm、好ましくは1〜2mmである。
粉砕後のシリコン粒を、酸化シリコンに対して可溶性を示すフッ酸(濃度0.5〜5%程度)など酸を用いて洗浄するのが好ましい。シリコン粒の粒径が小さい場合には、酸処理による酸化シリコンの除去効果は大きいが、再酸化の影響が大きくなる。
シリコン粒の粒径は、特に限定されないが0.5〜30mm、好ましくは1〜2mmである。
粉砕後のシリコン粒を、酸化シリコンに対して可溶性を示すフッ酸(濃度0.5〜5%程度)など酸を用いて洗浄するのが好ましい。シリコン粒の粒径が小さい場合には、酸処理による酸化シリコンの除去効果は大きいが、再酸化の影響が大きくなる。
本発明で用いられるシリコン粉としては、例えば、シリコンの円筒研削、切断、研磨、ウエハスライスなどの機械加工を行った際に発生するシリコン粉を回収したもので、かつ0.1重量%以上50重量%未満の砥粒成分を含むが挙げられる。
機械加工では、一般に水やオイルなどのクーラントを用いるため、その廃液から液分(クーラント)と固形分(シリコン粉)とを粗分離し、シリコン粉を回収する。
本発明で用いられるシリコン粉は、通常、砥粒が、シリコンカーバイト、シリコンナイトライドおよびダイヤモンドから選択される少なくとも1つを含む。
機械加工では、一般に水やオイルなどのクーラントを用いるため、その廃液から液分(クーラント)と固形分(シリコン粉)とを粗分離し、シリコン粉を回収する。
本発明で用いられるシリコン粉は、通常、砥粒が、シリコンカーバイト、シリコンナイトライドおよびダイヤモンドから選択される少なくとも1つを含む。
したがって、本発明のシリコンの精製方法は、溶融工程前に、または前記酸化シリコンの除去工程を含むときはその工程前に、前記シリコン粉を回収する回収工程をさらに含むのが好ましい。
回収工程は、フィルタープレス、蒸留、遠心分離などの公知の方法により行うことができる。
回収工程は、フィルタープレス、蒸留、遠心分離などの公知の方法により行うことができる。
(シリコン粉の回収方法)
機械加工の一例として、マルチワイヤソーを用いたシリコンの切断の場合について説明する。
マルチワイヤソーでは、一般に水やオイルなどの潤滑剤中にシリコンカーバイト、シリコンナイトライドなどの砥粒を混合したスラリー(遊離砥粒)を切断部分に供給しつつ、金属ワイヤーを走行させながらシリコンに送りを与えてシリコンを切断する。
切断後にスラリーを回収し、このスラリーからフィルタープレス、遠心分離などの公知の方法を用いて切断屑(シリコン粉)を回収する。
機械加工の一例として、マルチワイヤソーを用いたシリコンの切断の場合について説明する。
マルチワイヤソーでは、一般に水やオイルなどの潤滑剤中にシリコンカーバイト、シリコンナイトライドなどの砥粒を混合したスラリー(遊離砥粒)を切断部分に供給しつつ、金属ワイヤーを走行させながらシリコンに送りを与えてシリコンを切断する。
切断後にスラリーを回収し、このスラリーからフィルタープレス、遠心分離などの公知の方法を用いて切断屑(シリコン粉)を回収する。
回収されたシリコン粉には、オイル成分、ワイヤーの金属粉などの金属成分、砥粒などが含まれ、予めオイル成分や金属成分を除去しておくのが好ましい。
したがって、本発明のシリコンの精製方法は、回収工程と溶融工程との間に、シリコン粉を水、酸、アルカリおよび有機溶剤から選択される少なくとも1つを用いて洗浄する洗浄工程をさらに含むのが好ましい。
したがって、本発明のシリコンの精製方法は、回収工程と溶融工程との間に、シリコン粉を水、酸、アルカリおよび有機溶剤から選択される少なくとも1つを用いて洗浄する洗浄工程をさらに含むのが好ましい。
(洗浄工程)
(シリコン粉からのオイル成分の除去方法)
塩酸、硫酸などの酸、イソプロピルアルコール、エタノール、アセトンなどの低分子でありオイルに対して可溶性の有機溶剤でシリコン粉を洗浄することにより、シリコン粉からのオイル成分を除去することができる。
(シリコン粉からのオイル成分の除去方法)
塩酸、硫酸などの酸、イソプロピルアルコール、エタノール、アセトンなどの低分子でありオイルに対して可溶性の有機溶剤でシリコン粉を洗浄することにより、シリコン粉からのオイル成分を除去することができる。
例えば、次にように塩酸を用いて、シリコン粉からのオイル成分を除去することができる。
(1)シリコン粉:塩酸(35%):水=1:2:2で混合する。
(2)攪拌しながら1時間保持する。
(3)フィルタープレスを用いて固形分(シリコン粉)を回収し、リンス水を流して酸を除去する。
(4)シリコン粉を乾燥する。
本発明の発明者らの試験によれば、シリコン粉中のオイル成分の含有率を20%から1%以下に低減できた。
(1)シリコン粉:塩酸(35%):水=1:2:2で混合する。
(2)攪拌しながら1時間保持する。
(3)フィルタープレスを用いて固形分(シリコン粉)を回収し、リンス水を流して酸を除去する。
(4)シリコン粉を乾燥する。
本発明の発明者らの試験によれば、シリコン粉中のオイル成分の含有率を20%から1%以下に低減できた。
例えば、次にようにイソプロピルアルコールを用いて、シリコン粉からのオイル成分を除去することができる。
(1)シリコン粉:イソプロピルアルコール=1:4で混合する。
(2)攪拌しながら1時間保持する。
(3)フィルタープレスを用いて固形分(シリコン粉)を回収する。
(4)シリコン粉を乾燥する。
本発明の発明者らの試験によれば、シリコン粉中のオイル成分の含有率を20%から1%以下に低減できた。
(1)シリコン粉:イソプロピルアルコール=1:4で混合する。
(2)攪拌しながら1時間保持する。
(3)フィルタープレスを用いて固形分(シリコン粉)を回収する。
(4)シリコン粉を乾燥する。
本発明の発明者らの試験によれば、シリコン粉中のオイル成分の含有率を20%から1%以下に低減できた。
また、加熱処理によってもシリコン粉からのオイル成分を除去することができる。
本発明の発明者らの試験によれば、潤滑剤として水溶性オイル(大智化学製、商品名:ルナクーラント)を用いてシリコンをスライス加工した後に回収したシリコン粉を、10Torr、300℃で6時間加熱することにより、シリコン粉中のオイル成分の含有率20%から1%以下に低減できた。
本発明の発明者らの試験によれば、潤滑剤として水溶性オイル(大智化学製、商品名:ルナクーラント)を用いてシリコンをスライス加工した後に回収したシリコン粉を、10Torr、300℃で6時間加熱することにより、シリコン粉中のオイル成分の含有率20%から1%以下に低減できた。
(シリコン粉からの金属成分の除去方法)
シリコン粉は、金属不純物(例えば、Fe、Cu、Al、Crなど)を0.1〜1%オーダで含んでいることがある。このような高濃度の金属不純物を含有しているシリコン粉を高温で溶融すれば合金を形成し、偏析により除去することが困難になる。
したがって、このような金属成分を予め除去することが好ましい。
シリコン粉には金属が単一粒として存在しているので、塩酸、硫酸、フッ酸などの酸処理(洗浄)により金属成分を除去することができる。
シリコン粉は、金属不純物(例えば、Fe、Cu、Al、Crなど)を0.1〜1%オーダで含んでいることがある。このような高濃度の金属不純物を含有しているシリコン粉を高温で溶融すれば合金を形成し、偏析により除去することが困難になる。
したがって、このような金属成分を予め除去することが好ましい。
シリコン粉には金属が単一粒として存在しているので、塩酸、硫酸、フッ酸などの酸処理(洗浄)により金属成分を除去することができる。
例えば、本発明の発明者らの試験によれば、次にようにシリコン粉を塩酸で洗浄することにより、金属成分の含有率3%から1000ppmに低減できた。
(1)シリコン粉:塩酸(35%):水=1:2:2で混合する。
(2)攪拌しながら1時間保持する。
(3)フィルタープレスを用いて固体を回収し、リンス水を流して酸を除去する。
(4)振動乾燥機などを用いて乾燥する。
(1)シリコン粉:塩酸(35%):水=1:2:2で混合する。
(2)攪拌しながら1時間保持する。
(3)フィルタープレスを用いて固体を回収し、リンス水を流して酸を除去する。
(4)振動乾燥機などを用いて乾燥する。
本発明を図1の溶融装置を用いた実施例によりさらに具体的に説明するが、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。
実施例において、シリコン粉、シリコン精製塊などのシリコン中のシリコンカーバイト濃度は、堀場製作所製の固体中炭素分析装置EMIAを用いて測定した炭素(C)濃度から換算して求めた。測定では、予めシリコンを塩酸で洗浄して、シリコンカーバイト以外のカーボン不純物を除去した。
また、シリコン粉、シリコン精製塊などのシリコン中の酸素濃度は、EDAX製の蛍光X線装置で測定した。
実施例において、シリコン粉、シリコン精製塊などのシリコン中のシリコンカーバイト濃度は、堀場製作所製の固体中炭素分析装置EMIAを用いて測定した炭素(C)濃度から換算して求めた。測定では、予めシリコンを塩酸で洗浄して、シリコンカーバイト以外のカーボン不純物を除去した。
また、シリコン粉、シリコン精製塊などのシリコン中の酸素濃度は、EDAX製の蛍光X線装置で測定した。
(実施例1)
砥粒成分としてシリコンカーバイト濃度3〜5重量%および酸素濃度5〜10重量%を含むシリコン粉(1)15kgを、坩堝(2)としてシリカ坩堝(内寸200mm×200mm×高さ400mm)に投入した。
次いで、シリカ坩堝を溶融装置(一方向凝固炉)(3)に固定し、炉内を密閉し、炉内圧力が1Pa(10-2torr)になるまで脱気した後、ボンベ(4)から不活性ガスとしてアルゴンガスを導入し、炉内圧力を常圧にした。
加熱手段(5)により昇温速度5℃/分でシリコン粉(1)を加熱し、温度1600℃に到達した後、その温度で10時間保持した。
砥粒成分としてシリコンカーバイト濃度3〜5重量%および酸素濃度5〜10重量%を含むシリコン粉(1)15kgを、坩堝(2)としてシリカ坩堝(内寸200mm×200mm×高さ400mm)に投入した。
次いで、シリカ坩堝を溶融装置(一方向凝固炉)(3)に固定し、炉内を密閉し、炉内圧力が1Pa(10-2torr)になるまで脱気した後、ボンベ(4)から不活性ガスとしてアルゴンガスを導入し、炉内圧力を常圧にした。
加熱手段(5)により昇温速度5℃/分でシリコン粉(1)を加熱し、温度1600℃に到達した後、その温度で10時間保持した。
次いで、移動手段(6)により移動速度10mm/時間で坩堝(2)を下降させた。坩堝(2)が加熱手段(5)からの熱供給を受けない、初期位置から250mm下降した位置で坩堝(2)の移動と共に加熱を止めた。
放冷により坩堝(2)が常温になったところで、溶融装置(3)から坩堝(2)を取り出し、寸法200mm×200mm×高さ160mmのシリコン塊を得た。
放冷により坩堝(2)が常温になったところで、溶融装置(3)から坩堝(2)を取り出し、寸法200mm×200mm×高さ160mmのシリコン塊を得た。
得られたシリコン塊の下部領域の厚さ10mm(0.9kg:予想砥粒含有量の約2倍に相当)、上部領域の厚さ20mm(1.8kg:予想砥粒含有量の約4倍に相当)および外周領域の厚さ7mm(0.4kg×4枚:予想砥粒含有量の約1倍に相当)を、バンドソーを用いて切断し、寸法186mm×186mm×高さ130mmのシリコン精製塊を得た。目視観察では、シリコン精製塊の切断面に砥粒は確認されなかった。
シリコン塊中のシリコンカーバイト濃度および酸素濃度を測定したところ、それぞれ15ppmおよび0.2%以下まで低減していることがわかった。
シリコン塊中のシリコンカーバイト濃度および酸素濃度を測定したところ、それぞれ15ppmおよび0.2%以下まで低減していることがわかった。
(実施例2)
溶融工程前に酸化シリコンの除去工程を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、シリコン粉を精製した。
砥粒成分としてシリコンカーバイト濃度3〜5重量%および酸素濃度5〜10重量%のシリコン粉(1)15kgを、坩堝(2)としてシリカ坩堝(内寸200mm×200mm×高さ400mm)に投入した。
次いで、シリカ坩堝を溶融装置(一方向凝固炉を兼用)(3)に固定し、炉内を密閉し、炉内圧力が1Pa(10-2torr)になるまで脱気した後、ボンベ(4)から不活性ガスとしてアルゴンガスを導入し、炉内圧力を常圧にした。
加熱手段(5)により昇温速度5℃/分でシリコン粉(1)を加熱し、温度1600
℃に到達した後、加熱を止めた。
放冷により坩堝(2)が常温になったところで、溶融装置(3)から坩堝(2)を取り出し、シリコン塊を得た。
溶融工程前に酸化シリコンの除去工程を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、シリコン粉を精製した。
砥粒成分としてシリコンカーバイト濃度3〜5重量%および酸素濃度5〜10重量%のシリコン粉(1)15kgを、坩堝(2)としてシリカ坩堝(内寸200mm×200mm×高さ400mm)に投入した。
次いで、シリカ坩堝を溶融装置(一方向凝固炉を兼用)(3)に固定し、炉内を密閉し、炉内圧力が1Pa(10-2torr)になるまで脱気した後、ボンベ(4)から不活性ガスとしてアルゴンガスを導入し、炉内圧力を常圧にした。
加熱手段(5)により昇温速度5℃/分でシリコン粉(1)を加熱し、温度1600
℃に到達した後、加熱を止めた。
放冷により坩堝(2)が常温になったところで、溶融装置(3)から坩堝(2)を取り出し、シリコン塊を得た。
得られたシリコン塊をカッターミルを用いて粉砕し、粒径1〜3mmになるように粉砕して溶融工程用のシリコン粉としてシリコン粒を得た。
シリコン粒中のシリコンカーバイト濃度および酸素濃度を測定したところ、それぞれ3〜5重量%および検出限界以下(0.2%以下)であることがわかった。
シリコン粒中のシリコンカーバイト濃度および酸素濃度を測定したところ、それぞれ3〜5重量%および検出限界以下(0.2%以下)であることがわかった。
実施例1と同様にして、シリコン粉(2)として得られたシリコン粒を溶融工程に付して、シリコン塊を得た。
得られたシリコン塊の下部領域の厚さ10mm(0.9kg:予想砥粒含有量の約2倍に相当)、上部領域の厚さ10mm(0.9kg:予想砥粒含有量の約2倍に相当)および外周領域の厚さ5mm(0.3kg:予想砥粒含有量の約0.7倍に相当)を、バンドソーを用いて切断し、寸法190mm×190mm×高さ140mmのシリコン精製塊を得た。目視観察では、シリコン精製塊の切断面に砥粒は確認されなかった。
シリコン塊中のシリコンカーバイト濃度および酸素濃度を測定したところ、それぞれ10ppmおよび検出限界以下(0.2%以下)であることがわかった。
実施例2によれば、溶融工程前に酸化シリコンの除去工程を行うことにより、実施例1よりも、シリコン精製塊中の酸素濃度を低減できることがわかる。
得られたシリコン塊の下部領域の厚さ10mm(0.9kg:予想砥粒含有量の約2倍に相当)、上部領域の厚さ10mm(0.9kg:予想砥粒含有量の約2倍に相当)および外周領域の厚さ5mm(0.3kg:予想砥粒含有量の約0.7倍に相当)を、バンドソーを用いて切断し、寸法190mm×190mm×高さ140mmのシリコン精製塊を得た。目視観察では、シリコン精製塊の切断面に砥粒は確認されなかった。
シリコン塊中のシリコンカーバイト濃度および酸素濃度を測定したところ、それぞれ10ppmおよび検出限界以下(0.2%以下)であることがわかった。
実施例2によれば、溶融工程前に酸化シリコンの除去工程を行うことにより、実施例1よりも、シリコン精製塊中の酸素濃度を低減できることがわかる。
1 シリコン粉
2 坩堝(シリカ坩堝)
3 溶解装置(一方向凝固炉)
4 ボンベ
5 加熱手段(ヒータ)
6 移動手段
7 液体シリコン(シリコン溶湯)
8 砥粒
9 固体シリコン
2 坩堝(シリカ坩堝)
3 溶解装置(一方向凝固炉)
4 ボンベ
5 加熱手段(ヒータ)
6 移動手段
7 液体シリコン(シリコン溶湯)
8 砥粒
9 固体シリコン
Claims (9)
- 不活性ガス雰囲気下、砥粒を用いた機械加工により発生するシリコン粉を坩堝中でシリコンの融点以上の温度に加熱してシリコン溶湯を得る溶融工程、
前記シリコン溶湯を一方向凝固により前記坩堝の下部から上部に向けて凝固させてシリコン塊を得る凝固工程、および
前記坩堝における前記シリコン塊の下部領域および上部領域を、切断、研磨およびブラストから選択される物理的方法、または酸溶解およびアルカリ溶解から選択される化学的方法で除去する除去工程
を含むことを特徴とするシリコンの精製方法。 - 前記溶融工程におけるシリコンの融点以上の温度が、最高到達温度で1600℃以上1800℃以下である請求項1に記載のシリコンの精製方法。
- 前記溶融工程が、前記シリコン溶湯をシリコンの融点以上の温度で1〜10時間保持することからなる請求項1または2に記載のシリコンの精製方法
- 前記除去工程が、前記シリコン粉に含まれる前記砥粒の予想重量の2倍以上5倍以下の前記シリコン塊を除去することからなる請求項1〜3のいずれか1つに記載のシリコンの精製方法。
- 前記溶融工程前に、不活性ガス雰囲気下、前記シリコン粉を坩堝中でシリコンの融点以上の温度に加熱して溶融し、次いで冷却して、前記シリコン粉中の酸化シリコンを除去する酸化シリコンの除去工程をさらに含む請求項1〜4のいずれか1つに記載のシリコンの精製方法。
- 前記機械加工が、シリコンの研削、切断、研磨またはウエハスライスである請求項1〜5のいずれか1つに記載のシリコンの精製方法。
- 前記砥粒が、シリコンカーバイト、シリコンナイトライドおよびダイヤモンドから選択される少なくとも1つである請求項1〜6のいずれか1つに記載のシリコンの精製方法。
- 前記溶融工程前に、または前記酸化シリコンの除去工程を含むときはその工程前に、前記シリコン粉を回収する回収工程をさらに含む請求項1〜7のいずれか1つに記載のシリコンの精製方法。
- 前記回収工程と前記溶融工程との間に、前記シリコン粉を水、酸、アルカリおよび有機溶剤から選択される少なくとも1つを用いて洗浄する洗浄工程をさらに含む請求項8に記載のシリコンの精製方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008173356A JP2010013307A (ja) | 2008-07-02 | 2008-07-02 | シリコンの精製方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013131665A (ja) * | 2011-12-22 | 2013-07-04 | Tamotsu Yokoo | シリコン回収方法 |
CN113149016A (zh) * | 2021-02-24 | 2021-07-23 | 上海星持纳米科技有限公司 | 一种粒径可调控的高纯球形纳米硅粉的制备方法 |
-
2008
- 2008-07-02 JP JP2008173356A patent/JP2010013307A/ja active Pending
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