JP2014076481A - 連続鋳造設備及び連続鋳造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 スラブ鋳片の幅方向全体に亘って直流静磁場を印加して連続鋳造する際に、脱酸生成物、Arガス気泡、モールドパウダーの凝固シェルへの捕捉を防止することのできる連続鋳造設備を提供する。
【解決手段】 本発明の連続鋳造設備は、中心が浸漬ノズル4の吐出孔5よりも上方側に位置する、鋳型長辺2を挟んで対向する上部磁極6と、中心が浸漬ノズルの吐出孔よりも下方側に位置する、鋳型長辺を挟んで対向する下部磁極9とを鋳型長辺の背面に備え、下部磁極からスラブ鋳片全幅に亘る直流静磁場を印加し、且つ、上部磁極からスラブ鋳片全幅に亘る直流静磁場と、スラブ鋳片全幅に亘る交流移動磁場とを、重畳して印加する連続鋳造設備であって、前記上部磁極の直流静磁場を印加するための直流電磁石が鋳型の幅方向で4つに分割されており、分割されたそれぞれの直流電磁石で、該直流電磁石から印加する磁束密度が独立して変更可能なように構成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、磁場を用いて鋳型内溶鋼の流動を制御する連続鋳造設備及び連続鋳造方法に関する。
近年、自動車用鋼板、缶用鋼板などの高級薄鋼板製品の品質要求が厳格化しており、これら高級薄鋼板製品の素材である、連続鋳造機によって製造される鋼のスラブ鋳片(以下、単に「鋳片」とも記す)の高品質化が要望されている。スラブ鋳片に要求される品質の1つとして、鋳片表層の介在物量が少ないことが挙げられる。スラブ鋳片の表層に捕捉される介在物には、[1]Alなどによる溶鋼の脱酸工程で発生し、溶鋼中に懸濁している脱酸生成物、[2]タンディッシュや浸漬ノズルで溶鋼内に吹き込まれるArガス気泡、[3]鋳型内溶鋼湯面上に散布したモールドパウダーが溶鋼中に巻込まれて懸濁したもの、などがある。これらは何れも薄鋼板製品段階で表面欠陥となるので、鋳片表層に捕捉される量を少なくすることが重要である。
また、連続鋳造操業においては同時に生産性の向上を図る必要がある。生産性の向上には鋳造速度の増加、つまり、鋳型内に注入する単位時間あたりの溶鋼量を増加させる必要がある。その場合の問題の1つとして、鋳型内に設置した浸漬ノズルからの溶鋼の吐出流速が増大し、鋳型内での溶鋼の流速が必要以上に増大するという問題がある。
スラブ鋳片の連続鋳造においては、通常、鋳型長辺幅方向中央部に浸漬ノズルが設置され、浸漬ノズルの左右両側の吐出孔から鋳型内に吐出された溶鋼は、それぞれ鋳型短辺側に向かう溶鋼流となり、この溶鋼流は鋳型短辺側の凝固シェルに衝突する。鋳型短辺側の凝固シェルに衝突した溶鋼流は上下2方向に分岐し、上方に向いた溶鋼流(上昇反転流)は鋳型内溶鋼湯面(以下、「メニスカス」とも記す)で流れの方向を変え、鋳型短辺側から浸漬ノズル側に向かう流れとなる。このメニスカスでの溶鋼流速が速くなりすぎると、メニスカスに添加したモールドパウダーが溶鋼に巻き込まれ、凝固シェルに捕捉されて薄鋼板製品の表面欠陥となる。一方、凝固シェルに衝突した後に下方に向かう溶鋼流(下降反転流)は、溶鋼中の脱酸生成物を鋳型内溶鋼深部へと運び、浮上しきれなかった脱酸生成物は凝固シェルに捕捉され、薄鋼板製品の表面欠陥の原因となる。鋳造速度の増速によって、上昇反転流及び下降反転流ともに増速し、薄鋼板製品での表面欠陥発生頻度が高くなる。
また、鋳型内の溶鋼流動は、鋳造条件が同一であっても、浸漬ノズル吐出孔へのアルミナ付着や浸漬ノズルの溶損などにより、経時的に変化する。特に、浸漬ノズルの左右2つの吐出孔でのアルミナ付着量が異なる場合には、浸漬ノズル左右の溶鋼吐出流量のバランスが崩れ、アルミナ付着量が少ない側からの吐出流量が増大する。浸漬ノズル左右の溶鋼吐出流量に差が生じる現象を「偏流現象」と称するが、この偏流現象によって鋳型内の溶鋼流動が左右非対称となり、溶鋼流動が強くなった側では、前述したメニスカスでの溶鋼流速が極端に増大するという問題が発生する。
そこで、これらの問題を解決するべく以下のような技術が提案されている。例えば、特許文献1には、磁極の鉄芯の幅がスラブ鋳片の幅の少なくとも1倍になる磁極を、浸漬ノズル吐出孔の上部及び下部にそれぞれ配置し、この磁極から発生する静磁場によって浸漬ノズルから鋳型内に供給される溶鋼の吐出流に対して制動力を加えた連続鋳造方法が提案されている。
静磁場内を移動する溶鋼には、何れの方向に溶鋼が移動してもその移動方向とは逆方向の制動力が電磁気学的に作用することから、静磁場を印加することで溶鋼の流動は減速される。尚、静磁場のうちで、直流電流による直流電磁石から発生する静磁場を直流静磁場と呼んでいる。
また、特許文献2には、鋳型内全幅に亘って厚み方向に同じ方向の直流静磁場を印加して溶鋼の鋳型内における流動を制御するスラブ鋳片の連続鋳造において、浸漬ノズルの吐出孔近傍に印加する磁束密度を周囲よりも相対的に小さくする技術が提案され、一方、特許文献3には、鋳型内全幅に亘って厚み方向に同じ方向の直流静磁場を印加してスラブ鋳片を連続鋳造する際に、特許文献2とは逆に、鋳型短辺付近の磁束密度が鋳片幅方向の中心付近に比べて小さくなるように直流静磁場を印加する技術が提案されている。
特開平2−284750号公報 特開2003−117636号公報 特開平10−263763号公報
しかしながら、上記従来技術には以下の問題点がある。
即ち、特許文献1では、静磁場を印加する際に、スラブ鋳片の幅方向での磁束密度を均一にしており、このため、浸漬ノズルからの吐出流による上昇反転流を制動するべく吐出孔上部の静磁場を強くすると、上昇反転流は制動されるが、吐出流の影響が少ない鋳片幅方向中心部では、溶鋼流速が極端に減少し、溶鋼流による洗浄効果がなくなって凝固シェルへの脱酸生成物及びArガス気泡の捕捉が増大する懸念がある。逆に、鋳片幅方向中心部での溶鋼流速を確保するべく吐出孔上部の静磁場を弱くすると、上昇反転流の制動が不十分になる。
特許文献2及び特許文献3では、鋳片幅方向で異なる磁束密度の直流静磁場を印加することはできるが、磁極の構造上から鋳片幅方向の各位置でそれぞれ独立して磁束密度を変更することはできず、従って、鋳造速度や鋳片幅などが変化した場合には、最適な印加条件で直流静磁場を印加することができない。特に、偏流現象が発生したときには、その偏流の程度に応じて、鋳型幅方向左右で不均一な磁束密度の直流静磁場を印加することはできず、偏流現象に対応した制動制御を行うことはできない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、スラブ鋳片の幅方向全体に亘って直流静磁場を印加して連続鋳造する際に、鋳型の幅方向中心位置を境として鋳型幅方向左右で独立して磁束密度を調整することができ、脱酸生成物、Arガス気泡、モールドパウダーの凝固シェルへの捕捉を防止することができるのみならず、偏流現象が発生した場合には鋳型幅方向左右で不均一な磁束密度の直流静磁場を印加することのできる連続鋳造設備、並びに、連続鋳造方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]磁極の中心が浸漬ノズルの吐出孔よりも上方側に位置する、鋳型長辺を挟んで対向する1対の上部磁極と、磁極の中心が浸漬ノズルの吐出孔よりも下方側に位置する、鋳型長辺を挟んで対向する1対の下部磁極とを鋳型長辺の背面に備え、前記下部磁極からスラブ鋳片全幅に亘る直流静磁場を印加し、且つ、前記上部磁極からスラブ鋳片全幅に亘る直流静磁場と、スラブ鋳片全幅に亘る交流移動磁場とを、重畳して印加する連続鋳造設備であって、前記上部磁極の直流静磁場を印加するための直流電磁石が鋳型の幅方向で4つに分割されており、分割されたそれぞれの直流電磁石で、該直流電磁石から印加する磁束密度が独立して変更可能なように構成されていることを特徴とする連続鋳造設備。
[2]上記[1]に記載の連続鋳造設備を用いて溶鋼を連続鋳造する際に、前記下部磁極から印加する直流静磁場の磁束密度を磁束密度A(テスラ)、前記上部磁極の4つに分割した直流電磁石のうちの両端部側の2個の直流電磁石から印加する直流静磁場の磁束密度を磁束密度B(テスラ)、前記上部磁極の4つに分割した直流電磁石のうちの中央部側の2個の直流電磁石から印加する直流静磁場の磁束密度を磁束密度C(テスラ)としたとき、磁束密度A、磁束密度B、磁束密度Cが下記の(1)式及び(2)式を同時に満足するように、それぞれの磁束密度を調整して印加することを特徴とする連続鋳造方法。
0.4≦磁束密度C/磁束密度A≦0.9・・・(1)
0.3≦磁束密度B/磁束密度C≦0.8・・・(2)
[3]前記上部磁極の配置位置での鋳型内溶鋼の鋳型幅方向の溶鋼流速を測定し、測定される溶鋼流速から鋳型内での偏流現象が確認された場合には、前記4つに分割した直流電磁石に供給する電流値を制御し、鋳型内での偏流現象を解消することを特徴とする、上記[2]に記載の連続鋳造方法。
本発明によれば、下部磁極から印加する直流静磁場で浸漬ノズルの吐出孔から吐出される溶鋼吐出流及びこの溶鋼吐出流が鋳型短辺側の凝固シェルに衝突して分岐する下降反転流を制動し、且つ、上部磁極の4つに分割した直流電磁石からそれぞれ磁束密度を調整して印加する直流静磁場によって溶鋼吐出流が鋳型短辺側の凝固シェルに衝突して分岐する上昇反転流及びメニスカスの溶鋼流速を制動し、更に、上部磁極から印加する交流移動磁場によってメニスカスに適度の溶鋼流を付与することができるので、鋳片表層部への脱酸生成物、Arガス気泡及びモールドパウダーの捕捉を抑止することができ、清浄な高品質のスラブ鋳片を安定して製造することが実現される。また、鋳型内で偏流現象が起こった場合でも、上部磁極の4つに分割した直流電磁石からそれぞれ磁束密度の異なる直流静磁場を印加することで、鋳型内での偏流現象を解消させて鋳型内の溶鋼流動を均一化することが可能となる。
本発明で使用した連続鋳造用鋳型の側面概略図である。 比較のために使用した、鋳型幅方向に1つの電磁石で構成されている直流電磁石を備えた上部磁極位置での水平断面概略図である。 図1に示す下部磁極位置での水平断面概略図である。 本発明で使用した上部磁極位置での水平断面概略図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、磁極の中心が浸漬ノズルの吐出孔よりも上方側に位置する上部磁極と、磁極の中心が浸漬ノズルの吐出孔よりも下方側に位置する下部磁極とを鋳型長辺の背面に備えた連続鋳造用鋳型を用い、上部磁極から直流静磁場と交流移動磁場とを重畳して印加すると同時に、下部磁極から直流静磁場を印加して溶鋼を連続鋳造するにあたり、鋳片表層部での脱酸生成物、Arガス気泡、モールドパウダーの捕捉量が少なく、清浄で高品質のスラブ鋳片を安定して製造することを目的として、上部磁極から印加する直流静磁場の磁束密度について検討した。
使用した連続鋳造用鋳型の側面概略図を図1に示す。鋳型1は、対向する1対の鋳型長辺2の間に1対の鋳型短辺3が、対向するように挟持された構成であり、鋳型短辺3が鋳型長辺2の長さ方向に沿って移動することで、鋳造されるスラブ鋳片の幅、つまり鋳型幅が変更されるようになっている。鋳型内に溶鋼を注入するための浸漬ノズル4が鋳型1の幅方向の略中心に設置されており、浸漬ノズル4の下部には、鋳型短辺3を向いた吐出孔5がそれぞれ1個ずつ設けられており、溶鋼は吐出孔5から鋳型短辺3を向いた吐出流(「溶鋼吐出流」と呼ぶ)となって鋳型内に注入される。吐出孔5の吐出方向は下向き或いは上向きとなっており、通常は、下向き5〜50°程度の吐出角度が設けられている。
この吐出孔5の上端位置よりも磁極の中心位置を上方側として、鋳型長辺2を挟んで対向する1対の上部磁極6が配置されている。この上部磁極6は、直流静磁場とリニア型の交流移動磁場とを重畳して鋳片全幅に亘って印加することができるように構成されている。また、吐出孔5の下端位置よりも磁極の中心位置を下方側として、鋳型長辺2を挟んで対向する1対の下部磁極9が配置されている。この下部磁極9は、直流静磁場を鋳片全幅に亘って印加することができるように構成されている。
鋳型内のメニスカス位置(溶鋼湯面位置)は、吐出孔5の上端位置から150〜350mm程度離れた上方位置であり(この距離は連続鋳造機の仕様や操業上の制約によって異なる)、上部磁極6から印加する交流移動磁場によってメニスカス部の溶鋼は水平方向の同一方向に旋回するように攪拌され、また、上部磁極6から印加する直流静磁場によって、浸漬ノズル4からの溶鋼吐出流が鋳型短辺側の凝固シェルに衝突して上方側に分岐する上昇反転流は制動力を受けて減速する。また、上昇反転流が転じて鋳型短辺側から浸漬ノズル側に向いたメニスカスの溶鋼流も、上部磁極6から印加する直流静磁場によって制動力を受けて減速する。つまり、メニスカスでは、直流静磁場による制動力と交流移動磁場による攪拌力とが作用し、これらの強度を制御することで、メニスカスの溶鋼流が制御される。
一方、下部磁極9は、浸漬ノズル4からの溶鋼吐出流よりも下方に位置しており、従って、浸漬ノズル4からの溶鋼吐出流は下部磁極9によって制動力を受けて減速する。また、浸漬ノズル4からの溶鋼吐出流が鋳型短辺側の凝固シェルに衝突して下方側に分岐する下降反転流も下部磁極9によって制動力を受けて減速する。
このように構成される連続鋳造用の鋳型1において、先ず、比較のために、上部磁極6から直流静磁場を印加するための直流電磁石として、従来から使用されている鋳型幅方向に1つの電磁石で構成されている直流電磁石を使用する試験を行った。図2に、比較のために使用した、鋳型幅方向に1つの電磁石で構成されている直流電磁石を備えた上部磁極6の位置での水平断面概略図を示す。また、図3に、図1に示す下部磁極9の位置での水平断面概略図を示す。図3に示す下部磁極9は直流静磁場を印加するためのものである。
図2に示すように、比較のために使用した上部磁極6は、鋳型長辺2に近接して配置される、交流移動磁場を印加するための交流移動磁場発生コイル8と、この交流移動磁場発生コイル8の外周に配置される、直流静磁場を印加するための直流電磁石7’とで構成されている。図2に示す直流電磁石7’及び図3に示す下部磁極9では、供給する直流電流値に応じて磁束密度は変化するが、磁束密度を鋳型幅方向の各位置で独立して変更することはできない。
この上部磁極6を使用した場合における鋳型内の溶鋼流速分布を数値計算及び低融点合金(Bi、Pb、Sn、Cd合金:融点70℃)を用いた実機1/4サイズの試験装置によって調査した。その結果、鋳片幅方向の鋳型短辺近傍において低融点合金の表面流速の遅い領域が存在することが確認できた。
また、図2に示す上部磁極6が配置された鋳型1を使用して鋳造したスラブ鋳片の欠陥発生分布を調査した結果、鋳片の欠陥が存在する領域は、実機1/4サイズの試験装置における「流速の遅い領域」と一致することがわかった。この原因は、種々の考察の結果から、上部磁極6から印加する直流静磁場が鋳型短辺近傍で強すぎることから、鋳型短辺近傍で低流速領域が発生し、その領域で脱酸生成物やArガス気泡が凝固シェルに捕捉されることであるとの知見を得た。
一方、鋳型短辺近傍での低流速領域の発生を防止するべく、上部磁極6からの直流静磁場の磁束密度を低減した結果、鋳型短辺近傍での低流速領域の発生は解消されるものの、鋳片幅方向中心部の表面流速が速くなりすぎ、モールドパウダーの巻き込みによって鋳片幅方向中心部の品質が悪化することがわかった。
これらの結果を踏まえ、本発明者らは、下部磁極9は変更せず、上部磁極6の直流電磁石を、鋳型の最大幅に対して鋳型幅方向で4つに均等分割し、それぞれの磁束密度を独立して制御する方法を検討した。図4に、本発明で使用する、鋳型幅方向で均等に4つに分割した直流電磁石7が配置された上部磁極6の位置での水平断面概略図を示す。図4に示すように、鋳型幅方向の長さをそれぞれ同一とする4つの直流電磁石7a、7b、7c、7dによって直流電磁石7が構成されている。
図4に示す上部磁極6を備えた鋳型1を用いた場合には、前述した低融点合金を用いた実機1/4サイズの試験装置において、4つに分割した直流電磁石7のうちの両端部側の2個の直流電磁石7a、7dから印加する直流静磁場の磁束密度を、中央部側の2個の直流電磁石7b、7cから印加する直流静磁場の磁束密度よりも小さくすることで、鋳型短辺近傍の低流速領域は解消され、且つ、鋳片幅方向中心部の表面流速が高くなる現象も抑止することができた。
更に本発明者らは数値計算及び実験を重ね、図4に示す上部磁極6から印加する直流静磁場の磁束密度と下部磁極9から印加する直流静磁場の磁束密度との比を最適とすることで、高品質のスラブ鋳片を安定して製造できることを確認した。
即ち、下部磁極9から印加する直流静磁場の磁束密度を磁束密度A(テスラ)、上部磁極6の4つに分割したうちの両端部側の2個の直流電磁石7a、7dから印加する直流静磁場の磁束密度を磁束密度B(テスラ)、上部磁極6の4つに分割したうちの中央部側の2個の直流電磁石7b、7cから印加する直流静磁場の磁束密度を磁束密度C(テスラ)としたとき、磁束密度A、磁束密度B、磁束密度Cが下記の(1)式及び(2)式を同時に満足するように、それぞれの磁束密度を調整して印加することで、鋳型内の溶鋼流動を好適な条件に維持できることがわかった。
0.4≦磁束密度C/磁束密度A≦0.9・・・(1)
0.3≦磁束密度B/磁束密度C≦0.8・・・(2)
この条件を満たす場合に、脱酸生成物、Arガス気泡及びモールドパウダーの凝固シェルへの捕捉を抑止することが可能となる。
尚、磁束密度C/磁束密度Aが0.4未満の場合には、鋳型幅中央部の溶鋼流速が速く、モールドパウダーの巻き込みが増加し、一方、磁束密度C/磁束密度Aが0.9を超える場合には、上部磁極位置での溶鋼流動が不足し、脱酸生成物及びArガス気泡の凝固シェルへの捕捉が増加する。また、磁束密度B/磁束密度Cが0.3未満の場合には、鋳型短辺側の直流静磁場が弱くなりすぎ、鋳型短辺側の溶鋼流速が速く、モールドパウダーの巻き込みが起こり、一方、磁束密度B/磁束密度Cが0.8を超える場合には、鋳型短辺側の溶鋼流速が低下し、脱酸生成物及びArガス気泡の凝固シェルへの捕捉が増加する。
また更に、本発明者らは、図4に示す上部磁極6では、上部磁極6から印加する直流静磁場を鋳片幅方向で独立して制御できるという特徴を活用することで、鋳型内で偏流現象(浸漬ノズル左右の溶鋼吐出量に差が生じ、鋳型内の左右で溶鋼流動が非対称となる現象)が発生した場合に、この偏流現象を解消することが可能かを検討した。
前述した低融点合金を用いた実機1/4サイズの試験装置において、浸漬ノズルの吐出孔の一方の流路がアルミナ付着で狭くなることによって偏流現象が発生する場合を想定し、意図的に浸漬ノズルの左右の吐出孔の開口面積を変更した試験を行った。鋳型内の低融点合金の表面流速を測定しながら、分割された4つの直流電磁石7a、7b、7c、7dの磁束密度を、低融点合金の表面流速が速い側の磁束密度が大きくなるように調整することで、鋳型幅方向左右の表面流速をほぼ対称に制御できることを確認した。
即ち、4つに分割された直流電磁石7を備える上部磁極6の配置位置での鋳型内溶鋼の鋳型幅方向の溶鋼流速を測定し、測定される溶鋼流速から鋳型内での偏流現象が確認された場合には、4つに分割した直流電磁石7a、7b、7c、7dに供給する直流電流値を制御することで、鋳型内での偏流現象が解消されることを確認した。
尚、鋼の連続鋳造では、鋳型長辺背面の幅方向に亘って複数の測温素子を配置し、この測温素子によって測定される鋳型温度に基づいて溶鋼流速を測定する技術が行われており(例えば、特開2000−246413号公報などを参照)、この技術を利用することで鋳型内の偏流現象を把握することが可能である。
以上説明したように、本発明によれば、下部磁極9から印加する直流静磁場で浸漬ノズル4の吐出孔5から吐出される溶鋼吐出流及びこの溶鋼吐出流が鋳型短辺側の凝固シェルに衝突して分岐する下降反転流を制動し、且つ、上部磁極6の4つに分割した直流電磁石7a、7b、7c、7dからそれぞれ磁束密度を調整して印加する直流静磁場で溶鋼吐出流が鋳型短辺側の凝固シェルに衝突して分岐する上昇反転流及びメニスカスの溶鋼流速を制動し、更に、上部磁極6の交流移動磁場発生コイル8から印加する交流移動磁場によってメニスカスに適度の溶鋼流を付与することができるので、鋳片表層部への脱酸生成物、Arガス気泡、モールドパウダーの捕捉を抑止することができ、清浄な高品質のスラブ鋳片を安定して製造することが実現される。また、鋳型内で偏流現象が起こった場合でも、4つに分割した直流電磁石7a、7b、7c、7dからそれぞれ磁束密度の異なる直流静磁場を印加することで、鋳型内での偏流現象を解消させて鋳型内の溶鋼流動を均一化することが可能となる。
尚、上記説明は、4つに分割した直流電磁石7a、7b、7c、7dの鋳型幅方向長さが均等の場合を例として説明したが、4つに分割した直流電磁石7a、7b、7c、7dの鋳型幅方向長さを均等にする必要はない。スラブ連続鋳造機では、前述したように、鋳型短辺3が鋳型長辺2の内面を移動することで、鋳造されるスラブ鋳片の幅が決定される。上記説明の例では、鋳造されるスラブ鋳片が最大幅の場合に、直流電磁石7a、7b、7c、7dによって印加されるそれぞれの鋳型幅方向長さがおおむね同等になるが、この鋳型を使用して最大幅よりも幅の狭いスラブ鋳片を鋳造する場合には、直流電磁石7b、7cで印加する範囲は変わらないものの、直流電磁石7a、7dによって印加する範囲が狭くなる。これを解消するために、直流電磁石7b、7cの鋳型幅方向長さを直流電磁石7a、7dの1/2程度に狭くしても構わない。この場合には、直流電磁石7b、7cの鋳型幅方向長さは鋳型全幅の1/6程度になる。尚、直流電磁石7bと直流電磁石7cとの境界は、鋳型1の中心位置とすることが必要である。
幅1200〜1800mm、厚み250mmのスラブ鋳片を鋳造することのできるスラブ連続鋳造機において、炭素濃度が0.003質量%以下の極低炭素鋼を製造した。溶鋼の鋳造量は4〜6トン/minとし、使用した浸漬ノズルは、その下端近傍に鋳型短辺を向いた1対の吐出孔を有する浸漬ノズルを使用した。
上部磁極の交流移動磁場発生コイルは、最大磁束密度が0.08テスラのものを用い、上部磁極の4つに分割した直流電磁石は、それぞれ最大磁束密度が0.25テスラのものを用い、下部磁極は最大磁束密度が0.35テスラの直流電磁石を用いた。また、比較のために行った、上部磁極の直流電磁石を分割しない試験では、最大磁束密度が0.35テスラの直流電磁石を用いた。
鋳造した鋳片を薄鋼板製品に圧延し、薄鋼板製品で表面欠陥検査を実施した。表1に鋳造条件、磁場印加条件とともに薄鋼板製品での表面欠陥検査結果を示す。表面欠陥検査の結果は、比較例3での表面欠陥発生率を基準として指数化して表示しており、数値が大きくなるほど欠陥発生率が高くなることを示している。
Figure 2014076481
表1に示すように、本発明例1〜18は、比較例1〜6に比べて表面欠陥発生率が低いことが確認できた。本発明例1〜18のなかでも、磁束密度C/磁束密度A及び磁束密度B/磁束密度Cが、同時に(1)式及び(2)式を満足する本発明例1〜12は、本発明例12〜18に比較して表面欠陥発生率が更に低位であることが確認できた。
このように、本発明を適用することで、鋳片表層部への脱酸生成物、Arガス気泡、モールドパウダーの捕捉を抑止することができ、清浄な高品質のスラブ鋳片を安定して製造することが確認できた。
1 鋳型
2 鋳型長辺
3 鋳型短辺
4 浸漬ノズル
5 吐出孔
6 上部磁極6
7 直流電磁石
8 交流移動磁場発生コイル
9 下部磁極

Claims (3)

  1. 磁極の中心が浸漬ノズルの吐出孔よりも上方側に位置する、鋳型長辺を挟んで対向する1対の上部磁極と、磁極の中心が浸漬ノズルの吐出孔よりも下方側に位置する、鋳型長辺を挟んで対向する1対の下部磁極とを鋳型長辺の背面に備え、前記下部磁極からスラブ鋳片全幅に亘る直流静磁場を印加し、且つ、前記上部磁極からスラブ鋳片全幅に亘る直流静磁場と、スラブ鋳片全幅に亘る交流移動磁場とを、重畳して印加する連続鋳造設備であって、
    前記上部磁極の直流静磁場を印加するための直流電磁石が鋳型の幅方向で4つに分割されており、分割されたそれぞれの直流電磁石で、該直流電磁石から印加する磁束密度が独立して変更可能なように構成されていることを特徴とする連続鋳造設備。
  2. 請求項1に記載の連続鋳造設備を用いて溶鋼を連続鋳造する際に、前記下部磁極から印加する直流静磁場の磁束密度を磁束密度A(テスラ)、前記上部磁極の4つに分割した直流電磁石のうちの両端部側の2個の直流電磁石から印加する直流静磁場の磁束密度を磁束密度B(テスラ)、前記上部磁極の4つに分割した直流電磁石のうちの中央部側の2個の直流電磁石から印加する直流静磁場の磁束密度を磁束密度C(テスラ)としたとき、磁束密度A、磁束密度B、磁束密度Cが下記の(1)式及び(2)式を同時に満足するように、それぞれの磁束密度を調整して印加することを特徴とする連続鋳造方法。
    0.4≦磁束密度C/磁束密度A≦0.9・・・(1)
    0.3≦磁束密度B/磁束密度C≦0.8・・・(2)
  3. 前記上部磁極の配置位置での鋳型内溶鋼の鋳型幅方向の溶鋼流速を測定し、測定される溶鋼流速から鋳型内での偏流現象が確認された場合には、前記4つに分割した直流電磁石に供給する電流値を制御し、鋳型内での偏流現象を解消することを特徴とする、請求項2に記載の連続鋳造方法。
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