JP5375242B2 - 連続鋳造装置及び連続鋳造方法 - Google Patents

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本発明は、連続鋳造に係る技術であって、静磁場による鋳型内の溶鋼流動を制御する技術に関する。
近年、自動車用鋼板、缶用鋼板などの高級鋼製品の品質要求が厳格化しており、鋳片の段階(連続鋳造の段階)から高品質化を目指すことが要望される。同時に、生産性の向上を図る必要もある。そして、連続鋳造において、生産性を向上させるには、鋳造速度の向上、即ち、鋳型内に注入する単位時間当たりの溶鋼量を増加させる必要がある。その際の問題の一つとして、浸漬ノズルからの吐出流速が増大して、鋳型内での溶鋼流速が必要以上に増大するという問題がある。
ここで、通常の連続鋳造方法においては、浸漬ノズルは、鋳型幅方向中央に配置され、浸漬ノズルの2つ吐出孔から吐出されて鋳型内に注入された溶鋼流は、それぞれ鋳型の各短辺に向かう。そして各溶鋼流は鋳型短辺へ衝突して分岐し、上下二方向へ向かう流れに分かれる。このうち、上へ向かった溶鋼流(上昇反転流)は、溶鋼表面側において鋳型幅方向中央へ向かう流れとなる。そして、溶鋼表面側において溶鋼の流速が大きくなると、溶鋼表面に浮遊させているモールドパウダーを溶鋼中へ巻込んでしまう恐れがあり、巻き込んだモールドパウダーが凝固シェルに捕捉されてしまうと製品欠陥の原因となる。また、下へ向かった溶鋼流(下降反転流)は、溶鋼中の介在物等を鋳型内の溶鋼深部へと運び、浮上し切れなかった介在物等が製品欠陥の原因となる。
以上のようなことに対する処理として、特許文献1の記載のように、静磁場によって溶鋼流速を制動する技術がある。このとき、特許文献2に記載のように、鋳型幅方向中央近傍の磁場強度を小さくする方法や、特許文献3に記載のように、鋳型幅方向中央近傍の磁場強度を大きくする方法が開示されている。
また、特許文献4では、上記静磁場を発生する電磁石の鉄心を、鋳型幅方向に沿って複数に分割している。そして、分割した各鉄心を移動させて各鉄心と鋳型との距離をそれぞれ調整することで、各電磁石による磁場強度の調整を行う。
特許第2726096号公報 特開2003−117636号公報 特開平10−263763号公報 特許第3116742号公報
特許文献1に記載の方法は、鋳型幅方向に沿って均一に静磁場を付与して制動する。このため、浸漬ノズルからの吐出流による上昇反転流を制動すべく磁場を強印加することで、上昇反転流全体を制動することは出来る。しかしながら、磁場を強印加すると、吐出流の影響が比較的小さい鋳型幅方向中央近傍では溶鋼流速が極端に遅くなってしまい、凝固シェルへの非金属介在物や気泡の捕捉が増大する懸念がある。逆に、鋳型幅方向中央近傍での溶鋼流速を所定速度にするために磁場を弱印加にすると、上昇反転流の制動が不十分となる。
また、特許文献2及び特許文献3に記載の方法では、鋳型幅方向に沿った磁場が変化した分布を発生できるが、その分布は固定であり、鋳造速度やスラブ幅等の条件の変化に対応できない。
また、特許文献4の技術では、鋳型幅方向に沿って電磁石の鉄心を分割することで、鋳型幅方向の磁場分布を変更可能とする。しかしながら、電磁石を分割するほど、各電磁石で発生可能な磁力が小さくなり、分割しない場合と比較して、鋳型に付与する静磁場全体の強度が小さくなる。また、磁場分布を変更するために、各電磁石の鉄心を進退させるアクチュエータが必要である。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、所定強度以上の磁場を印加可能であり且つ鋳型幅方向に沿った磁場の強度分布を簡易に調整可能とすることを課題とする。
本発明者らは様々な検討を行い、鋳型幅方向に沿った静磁場の強度分布を比較的大きく変えることが出来れば、鋳型幅方向の溶鋼の流速を最適な流速に調整出来ると考えた。例えば、溶鋼流のうち上記上昇反転流に着目した場合、溶鋼流速の大きい位置では静磁場強度を上げて、モールドパウダーの巻き込みを抑制し、流速のある程度小さい位置では、静磁場強度を下げることで凝固界面流速を確保して凝固シェルヘの介在物や気泡の捕捉を抑制できる。また、鋳型幅方向で溶鋼の偏流が起こった場合でも、大流量側を強印加、小流量側を弱印加することで、偏流の影響を最小限に抑えることが可能となると考えた。
そこで、鋳型長辺全幅に静磁場を印加できる全幅用電磁石を配置すると共に、その全幅用電磁石と鋳型の間に幅方向に複数の分布用電磁石を配置して、磁場を強印加する位置では全幅用電磁石と分布用電磁石で同極性の磁場を印加し、弱印加する位置では全幅用電磁石と分布用電磁石で逆極性の磁場を印加することで、鋳型幅方向に比較的大きな磁場強度分布をつけることが可能となり、流動に応じて磁場強度を調整して最適な制動力を付与することで、効果的な流動制御が行えると考えた。
すなわち、上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載した発明は、鋳型に、浸漬ノズルを介して溶鋼を注入する連続鋳造装置において、
鋳型の長辺に沿って延在して、鋳型長辺全幅に静磁場を発生する全幅用電磁石と、上記全幅用電磁石の内側で上記鋳型長辺全幅にわたり、上記鋳型の長辺に沿って3個以上に分割して配列し、それぞれ独立して磁場の極性及び強度を変更可能な複数の分布用電磁石と、を備えることを特徴とするものである。
次に、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した構成に対し、上記複数の分布用電磁石の各磁場の極性及び強度を制御する分布用電磁石制御手段を備え、その分布用電磁石制御手段は、上記分布用電磁石の配置位置の高さにおける上記長辺に沿った溶鋼の流速が均一化する方向に、各分布用電磁石の磁場の極性及び強度を制御することを特徴とするものである。
次に、請求項3に記載した発明は、請求項2に記載した構成に対し、上記分布用電磁石の配置位置の高さにおける上記長辺に沿った溶鋼の流速分布を推定する流速推定手段を備え、
上記分布用電磁石制御手段は、上記流速推定手段が推定した溶鋼の流速分布に基づき、各分布用電磁石の磁場の極性及び強度を制御することを特徴とするものである。
次に、請求項4に記載した発明は、鋳型に、浸漬ノズルを介して溶鋼を注入する連続鋳造方法において、
鋳型の長辺方向に沿って延在する全幅用電磁石で鋳型長辺全幅に静磁場を印加すると共に、その全幅用電磁石と鋳型間において上記鋳型長辺全幅にわたり、上記長辺方向に配列する3個以上の分布用電磁石の各磁場の極性及び強度の少なくとも極性を調整することで、鋳型長辺方向の溶鋼の流速が均一化するように制御することを特徴とするものである。
ここで、本明細書中、鋳型の幅方向と鋳型の長辺方向とは同義である。また、本発明が適用可能な鋳型は、平面視、長方形形状に限定されるもので無い。例えば、鋳型長辺の中央部が膨らんだ異形鋳型などであっても適用可能である。
請求項1及び請求項4に係る発明によれば、全幅用電磁石によって基本とする所定の大きさの静磁場強度を、鋳型幅方向全幅に亘って確保することが出来る。その上で、磁場を強印加したい位置では、分布用電磁石を全幅用電磁石と同極性として磁場を印加することで、基本とする静磁場強度よりも磁場強度を強め、磁場を弱印加したい位置では、分布用電磁石を全幅用電磁石と逆極性として磁場を印加することで、基本とする静磁場強度よりも磁場強度を弱めることが可能となる。更に、各分布用電磁石の強度を調整することで、さらに強度を調整可能となる。
この結果、基本とする所定の大きさの静磁場強度を基準として、鋳型幅方向に沿って所望の磁場強度分布を発生させることが可能となる。また、全幅用電磁石に対し、各分布用電磁石の極性を調整するだけで、基本とする静磁場強度を強くしたり、弱くしたり出来る。さらに分布用電磁石で発生する強度を調整するだけで、基本とする静磁場強度からの強度の変更量を簡単に調整することが可能である。
ここで、分布用電磁石を3個以上とすることで、少なくとも鋳型幅方向中央部側と鋳型短辺側との磁場強度を変化させることが可能となる。すなわち、平面視で、浸漬ノズルに近い位置と浸漬ノズルから遠い位置の各磁場強度を変化させることが可能となる。
また、請求項2に係る発明によれば、動的に、鋳型幅方向に沿った磁場強度分布を調整可能となる。
また、請求項3に係る発明によれば、長辺に沿った溶鋼の流速の分布に応じて、磁場強度を調整して最適な制動力を付与することで、効果的な流動制御を行うことが出来る。
ここで、効果検証のため、実機の1/4サイズの低融点合金(Bi、Pd、Sn、Cd合金:融点70℃)を使用した実験装置を用い、鋳型内流速を測定した。流速の測定には棒を浸漬し、その棒にかかるトルクを計測することで測定した。
まず、磁場を印加しない場合と幅方向に均一に静磁場を印加した場合について実験を行った。すなわち、静磁場の印加を、全幅用電磁石だけを使用して実施した。
その結果、鋳型内の溶湯の湯面側の流速が、静磁場を印加することで低減することを確認した。このとき、鋳型幅方向では、鋳型短辺近傍に比べ浸漬ノズル近傍の流速の低減の割合が大きくなっていた。また、流速測定後に鋳型を水冷して凝固シェルを生成させ、その厚みを測定すると、浸漬ノズルと鋳型間の厚みが静磁場を印加しない場合より厚くなっていたことから、その部分の流速が極端に小さくなり、溶湯が滞留していたと推察される。すなわち、実操業においては、その部分に介在物や気泡が捕捉されやすくなり、品質が悪化する可能性が考えられた。また、静磁場の強度を低下させて実験したところ、鋳型短辺近傍の流速があまり低減せず、実操業においては、モールドパウダーの巻込みを抑制できない可能性が考えられた。
次に、上記全幅用電磁石と鋳型との間に、鋳型幅の1/6の幅を持つ分布用電磁石を鋳型幅方向に6個配列した。そして、各電磁石で極性、磁場強度を独立に制御できるようにして実験を行った。鋳型内の流速を測定しながら、各電磁石の極性、磁場強度をそれぞれ調整したところ、鋳型幅方向のどの位置においてもほぼ一定の流速に制御できた。また、その条件での凝固シェル厚の鋳型幅方向での均一度も、幅方向に均一に静磁場を印加した場合よりも向上した。
また、例えば浸漬ノズルの吐出孔の一方が付着物等により流路が狭くなることで偏流が発生した場合でも、それを流速計等によって流速を検知できれば、流速が大きい側の分布用電磁石は全幅用電磁石と同極性の磁場を印加して磁場強度を増大させ、反対側の分布用電磁石は逆極性の磁場を印加して磁場強度を低減させることで流動の均一化を図ることが可能となる。
以上述べた方法で溶鋼流を制動することで、鋳型内の流動制御を効率的に行えるようになった。
本発明で用いられる鋳型周りの構成を示す模式的平面図である。 図1における、透視的に図示した側面図である。 磁場強度の調整を説明する図である。
次に、本発明に係る実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態における連続鋳造装置における、鋳型周りの構成を示す模式的平面図である。図2は、その透視的な側面図である。
(構成)
鋳型1は、図2に示すように、対向する一対の長辺1aと、対向する一対の短辺1bとを備える。なお、長辺1aの方向が鋳型1の幅方向である。
その鋳型1内に、不図示のタンディッシュから浸漬ノズル2を介して溶鋼10を注入可能となっている。上記浸漬ノズル2は、平面視において鋳型1内の中央位置に、軸を上下にした状態で上側から差し込まれる。その浸漬ノズル2の下部側面には2つの吐出孔2aが開口し、その2つの吐出孔2aは、鋳型1内の溶鋼10に浸漬していると共に、平面視で、吐出方向が左右の鋳型1短辺1bにそれぞれ向いている。なお、上記吐出孔2aの吐出方向は、側面視で、例えば水平方向であったり、水平方向よりも下側に傾いていたり上側に傾いていたりする。
上記鋳型1の長辺1a外側に対し、一対の全幅用電磁石3、及び複数対の分布用電磁石4を配置する。
一対の全幅用電磁石3は、鋳型1の対向する長辺1aを挟んで対向配置している。各全幅用電磁石3は、鋳型長辺1aに沿って鉄心が延在しており、その鉄心にコイルが巻回してある。これによって、一対の全幅用電磁石3は、鋳型1の長辺全幅に対し静磁場を印加可能となっている。
上記複数対の分布用電磁石4は、上記一対の全幅用電磁石3の内側で、上記鋳型1の対向する長辺1aを挟んでそれぞれ対向配置すると共に、上記長辺1aに沿って配列し、それぞれ独立して磁場の極性及び強度を変更可能となっている。すなわち、複数の分布用電磁石4は、鋳型1と各全幅用電磁石3との間に配置され、且つ鋳型1の幅方向に沿って配列している。そして、各分布用電磁石4のコイルはそれぞれ独立している。本実施形態では、配列する分布用電磁石4の台数が5台の場合を例示している。もっとも、分布用電磁石4の鋳型1幅方向に沿って配置する台数は、3台以上であれば特に制限はない。ただし、台数が多くなると分布用電磁石4の1台ごと寸法が小さくなるため、コイル巻き線の巻き数が少なくなり、必要な磁場強度を印加できなくなる場合もある。したがって、分布用電磁石4の台数は、必要な電磁石寸法、磁場強度と電流の供給能力とから決めておく必要がある。
符号5は、上記各電磁石のコイルに電流(電力)を供給する電源である。その電源5から各電磁石3,4のコイルに電流を供給する各供給路の途中には、それぞれ対応する電磁石に供給する電流の向き及び電流量を調整する電流調節部6A、6Bを備える。
各電流調節部6A、6Bは、コントローラ7からの指令に応じて各電磁石3,4に供給する電流の向き及び電流量を個別に調整する。供給する電流の向きによって電磁石3,4の極性が決定する。
また、溶鋼流の鋳型幅方向の流速の分布を推定する流速推定手段を備えている。本実施形態の流速推定手段は、鋳型1の長手方向に沿った各所の温度分布から鋳型1幅方向の流速の分布を推定する。このため、鋳型1の幅方向の銅板温度の測定のための測温素子として複数の熱電対8を備える。複数の熱電対8は、分布用電磁石4の中心、及び分布用電磁石4間に配置するようにして、電磁石の高さで幅方向に沿って1列に設定されている。熱電対8の信号は、変換器で起電力信号が電流信号に変換された後に、電流信号としてコントローラ7に出力する。
コントローラ7は、図3(a)に示すように、上記複数の熱電対8からの信号に基づき、電磁石3,4の設定高さにおける鋳型1の幅方向に沿った温度分布を求め、その温度分布に基づき、鋳型1の幅方向に沿った流速分布を求める。温度分布は流速分布と正の相関がある。
ここで、上記説明では温度分布から流速分布を推定する場合で説明しているが、これに限定しない。流速分布と相関のある情報から当該流速分布を推定すればよい。例えば、溶鋼10の湯面の幅方向に沿った高さ分布から、鋳型1幅方向の流速の分布を推定する。湯面が高い位置を流速が大きいと推定する。また、流速方向に変位可能な棒を溶鋼10内に差し込んだりして、直接流速を測定しても良い。
そして、コントローラ7は、例えば図3(b)に示すように、鋳型1幅方向の流速分布に応じて、各分布用電磁石4が配置されている部分の溶鋼流の大きさをそれぞれ推定し、推定した溶鋼流の速さに応じて、各分布用電磁石4の磁極の向き及び磁力の強度を調整する。例えば、溶鋼流が大きいと判定した位置の分布用電磁石4については、全幅用電磁石3とは磁極を同一方向にすると共に、溶鋼流の速さが所定速度範囲となるように制動可能な静磁場となるように電流量を調整する。逆に、溶鋼流が小さいと判定した位置の分布用電磁石4については、全幅用電磁石3とは磁極を逆方向にすると共に、溶鋼流の速さが所定速度範囲となるように制動可能な静磁場となるように電流量を調整する。
また例えば、溶鋼流の程度に応じて、全幅用電磁石3で発生する静磁場を調整した後に、各分布用電磁石4については、全幅用電磁石3と磁極を同一方向にすると共に、電流量だけを流速の分布に応じて調整するようにしても良い。例えば、全幅用電磁石3で発生する、基準とする幅方向全幅の静磁場を低めに抑え、その基準とする静磁場に追加する、各分布用電磁石4で発生する磁場強度をそれぞれ調整するように制御しても良い。
なお、全幅用電磁石3で発生する基準とする幅方向全幅の静磁場を高めに設定し、各分布用電磁石4については、全幅用電磁石3と磁極を逆方向にすると共に、電流量だけを流速の分布に応じて調整するようにしても良いが、電流の消費量に無駄が発生する。
ここで、電磁石を設置する鋳造方向の位置は目的によって変更すれば良い。ここで、鋳型1からの引き抜き方向(鋳造方向)を下方とする。
そして、例えば、モールドパウダーの巻き込みを抑制するのであれば、上記吐出口よりも上方のメニスカス近傍(図2中Aの位置)に、電磁石3,4を配置する。また、鋳片厚み方向の深い位置への異物の捕捉を抑制するのであれば、浸漬ノズル2の浸漬位置より下部(図2中Cの位置)に、電磁石3,4を配置する。さらに、吐出流を直接制動するのであれば、浸漬ノズル2の吐出孔2aの高さ位置(図2中Bの位置)に、電磁石3,4を配置する。また、同時に電磁石を複数段配置することで、同時に上記効果を複数得ることも可能となる。
図2は、浸漬ノズル2の吐出口から吐出した溶鋼流のうち、鋳型1の短辺1bに衝突した後の上昇反転流Xを対象とする場合の配置例である(図2中の符号Aの位置)。
ここで、幅方向で並ぶ5つの分布用電磁石4について、幅方向中央部に位置する分布用電磁石4を幅中央電磁石4aと、鋳型1短辺1bに一番近い分布用電磁石4を短辺側電磁石4bと、幅中央電磁石4aと短辺側電磁石4bとの間に位置する分布用電磁石4を1/4幅電磁石4cと呼ぶ事にする。
そして、上述のように、上昇反転流Xを対象とする場合には、コントローラ7は、例えば、左右の短辺側電磁石4bの磁極を、全幅用電磁石3の磁極と同一となるように設定すると共に、幅中央電磁石4aの磁極を、全幅用電磁石3の磁極と逆向きとなるように設定する。また、1/4幅電磁石4cの磁極は、上昇反転流Xの流速分布に応じて適宜、全幅用電磁石3の磁極と同一若しくは逆向きとなるように設定したり、供給電流をゼロとして磁力を発生しないように設定したりする。なお、溶鋼流の流速に応じて、各分布用電磁石4への電流量を調整する。
すなわち、流速が大きい鋳型1短辺1bに近い位置では分布用電磁石4(短辺側電磁石4b)は全幅用電磁石3と同極性の磁場を印加して磁場強度を増大させて流速の制動を大きくする。反対に、流速が小さくなる幅方向中央側では、分布用電磁石4(幅中央電磁石4a)は逆極性の磁場を印加して磁場強度を低減させる。
もっとも上述したように、溶鋼流速の程度によっては、例えば、分布用電磁石4を全て全幅用電磁石3と同極性の磁場を印加すると共に、溶鋼流速に応じて、分布用電磁石4で発生する各磁場強度を調整するようにしても良い。
これによって、鋳型1の幅方向に沿った上昇反転流Xの流動の均一化を図る。
更に、短辺1b側と中央側の間の位置では、溶鋼流の大きさに応じて、分布用電磁石4(1/4幅電磁石4c)の磁極の向きや強度を調整することで、更に、鋳型1幅方向に沿った上昇反転流Xの流動の均一化を図る。
また、2つの吐出孔2aは、経時的な使用につれて地金等の付着によって左右の開口面積が変化し、開口面積が大きい吐出孔2aから相対的に多く溶鋼10が吐出されて、左右の溶鋼流の速さが異なる場合がある。このような偏流が発生する場合でも、例えば左右の短辺側電磁石4bへの電流量を変化つまり、各電磁石の磁力強度を左右で変更することで、つまり、流速が大きい側の分布用電磁石4による磁場強度を相対的に増大させ、反対側の分布用電磁石4による磁場強度を相対的に低減させることで、鋳型1幅方向に沿った流動の均一化を図ることが出来る。
(効果)
以上のように、鋳型1幅方向で溶鋼流を制動し、所望の溶鋼流動に制御することで、高品質の鋼を得ることができる。
また、本実施形態では、全幅用電磁石3で全幅に対して基本となる電磁場を印加した状態とする。その上で、推定する溶鋼流の大きさに応じて、その位置に対向する分布用電磁石4の磁極の向きで、大きく流速の制動を変化させた後に、さらに各分布用電磁石4で印加する磁場強度を調整することで、さらに制動を微調整することが可能である。このように、鋳型1幅方向で溶鋼流の各位置での制動を、簡易かつ微調整することも容易となる。
上記説明では、上昇反転流Xを静磁場による制動制御の対象とした場合を例示しているが、これに限定しない。浸漬ノズル2よりも下方に電磁石を配置して、下降反転流の流動を制御しても良い。また、浸漬ノズル2の吐出孔2aの高さに電磁石を配置して、吐出孔2aから吐出した溶鋼流の流動を制御する場合であっても良い。
また、上記実施形態では、配列する分布用電磁石4の数が5台の場合を例示した場合であり、分布用電磁石4の配列数は3,4台でも良いし、6台以上であっても良い。台数が多くなるほど、鋳型1幅方向に沿った磁場強度の分布を微調整可能となるが、逆に各分布用電磁石4で発生可能な磁場強度は小さくなる。
幅1200〜1800mm、厚み250mmの鋳片を製造できる連続鋳造機において、炭素濃度30ppm以下の極低炭素鋼を鋳造した。浸漬ノズル2を介した溶鋼10のスループットは4〜6トン/分とした。浸漬ノズル2は、下端近傍に鋳型1短辺1b方向に向いた一対の吐出孔2aを持つものを用いた。
また、鋳造後の鋳片を圧延し、表面欠陥検査を実施した。表面欠陥検査の結果は、幅1600mmで溶鋼10スループット4トン/分で磁場印加を行わなかった場合(表1中のNo.1)を1.0とした指数で表示した。また、欠陥原因特定のため、一部の欠陥部の断面を調査した。断面欠陥部の成分分析を行いモールドパウダー性欠陥、気泡・介在物欠陥を区分した。例えば、モールドパウダー成分であるCa、Si等を含有するものをモールドパウダー性欠陥と判定し、欠陥部でFeのみ、またはAlが検出されたものを気泡・介在物欠陥と区分した。
電磁石3,4の配置は、上記実施形態と同様である。すなわち、幅方向に磁場強度分布をつけるための分布用電磁石4を、メニスカス近傍に鋳型1を挟んで対向するように鋳型1幅方向に5台配置し、その後方に幅方向に均一に静磁場を印加できる全幅用電磁石3を配置した。
このような連続鋳造装置を用い、表1に示す磁場印加条件で鋳造を行い、その結果を表1に併せて示した。
なお、表1中の幅分布コイル極性は、全幅用電磁石3と同じならば「同」と、逆向きならば「逆」と表示している。後述の表2でも同じである。
Figure 0005375242
表1に示すように、幅方向に均一の静磁場を印加したNO.3〜NO.5(比較例1)では、スループットに対し磁場強度が大きいNO.3,NO.4では、幅中央部の流速が遅くなり、鋳片1/4部に比較して幅中央部の品質が悪くなる。その主要因は、気泡・介在物欠陥である。また、高スループットで磁場強度が小さいNO.5では、吐出流による上昇反転流Xが制動しきれず、モールドパウダーの巻き込みを抑制できない。
また、幅中央の磁場が小さくなるように予め設計された電磁石を用いたNO.6〜NO.8(比較例2)では、ある条件では表面欠陥を少なくできるが、鋳片幅やスループットが変わっても、磁場強度の分布形状は変えられないために流動を迫切に制御できず、高品質化を達成できない。
これに対し、本発明に基づくNO.9〜NO.12(実施例)では、スラブの幅、溶鋼10のスループットの違いに応じて、各分布用電磁石4の磁極の向き、磁場強度(供給する電流)を調整することで、溶鋼流を鋳型1幅方向で制御し、溶鋼10表面流速を安定させることが出来る。この結果、モールドパウダーの巻き込みを抑制でき、優れた表面品質を達成できることが分かる。なお、NO.9〜NO.12(実施例)の1/4幅電磁石4cの欄において「−」と記載している部分は、1/4幅電磁石4cへの通電を中止した状態を示し、そのときの磁場強度は、全幅用電磁石3による磁場強度となる。
更に、本実施例について、磁場強度分布を最適化するため、同じ鋳造条件で電磁石の磁極の向き、強度を変更した実験を実施した。表2中、NO.1は、基準として併記したもので、NO.2〜NO.7が実施例である。
Figure 0005375242
「鋳造条件」
炭素濃度30ppm以下の極低炭素鋼を、連続鋳造機で幅1600mm、厚み250mmの鋳片に鋳造した。鋳造時の溶鋼10のスループットは4トン/分とした。
得られた鋳片は圧延し、表面欠陥検査に供した。表面欠陥検査の結果は、磁場印加を行わなかった場合(NO.1)を1.0とした指数で示した。また、欠陥原因の特定のため、一部の欠陥部の断面を調査した。
「電磁石の配置」
幅方向に磁場強度分布をつけるための分布用電磁石4はメニスカス近傍に鋳型1を挟んで対向するように鋳型1幅方向に5台配置し、その後方に幅方向に均一に静磁場を印加できる全幅用電磁石3を配置した。
表2に示すように、各分布用電磁石4の磁極及び磁場強度によっても、表面欠陥指数が異なる。従って、鋳造条件によって、最適な磁極の向き、磁場強度を決定することで、表面欠陥の発生が小さい鋳片を製造することが可能となる。
この表2からは、NO.5の磁極の向き、磁場強度が最適な組合せとなる。
また、鋳型1の幅方向に沿って発生させる磁場強度の分布についても、全幅用電磁石3で発生する基本の静磁場に対して、各分布用電磁石4の磁極の向きで変更させたのちに、分布用電磁石4で印加する磁場強度の大きさ自体で調整して磁場強度を調整するので、磁場強度の調整も容易である。
なお、他の鋳造条件、コイル形状においても、最適な磁場強度分布を予め決めておく必要がある。
以上のように、本発明によれば、連続鋳造鋳型1内の溶鋼流動に応じた制御を行うことができ、欠陥の起因となるモールドパウダーの巻き込みや、介在物や気泡の鋳片への捕捉を抑制できるため、高品質の鋼板が得られ、工業上有益な効果がもたらされる。
1 鋳型
1a 長辺
1b 短辺
2 浸漬ノズル
2a 吐出孔
3 全幅用電磁石
4 分布用電磁石
4a 幅中央電磁石
4b 短辺側電磁石
4c 1/4幅電磁石
5 電源
6A、6B 電流調節部
7 コントローラ
8 熱電対
10 溶鋼
X 上昇反転流

Claims (4)

  1. 鋳型に、浸漬ノズルを介して溶鋼を注入する連続鋳造装置において、
    鋳型の長辺方向に沿って延在して、鋳型長辺全幅に静磁場を発生する全幅用電磁石と、
    上記全幅用電磁石の内側で上記鋳型長辺全幅にわたり、上記鋳型の長辺に沿って3個以上に分割して配列し、それぞれ独立して磁場の極性及び強度を変更可能な複数の分布用電磁石と、
    を備えることを特徴とする連続鋳造装置。
  2. 上記複数の分布用電磁石の各磁場の極性及び強度を制御する分布用電磁石制御手段を備え、その分布用電磁石制御手段は、上記分布用電磁石の配置位置の高さにおける上記長辺に沿った溶鋼の流速が均一化する方向に、各分布用電磁石の磁場の極性及び強度を制御することを特徴とする請求項1に記載した連続鋳造装置。
  3. 上記分布用電磁石の配置位置の高さにおける上記長辺に沿った溶鋼の流速分布を推定する流速推定手段を備え、
    上記分布用電磁石制御手段は、上記流速推定手段が推定した溶鋼の流速分布に基づき、各分布用電磁石の磁場の極性及び強度を制御することを特徴とする請求項2に記載した連続鋳造装置。
  4. 鋳型に、浸漬ノズルを介して溶鋼を注入する連続鋳造方法において、
    鋳型の長辺方向に沿って延在する全幅用電磁石で鋳型長辺全幅に静磁場を印加すると共に、その全幅用電磁石と鋳型間において上記鋳型長辺全幅にわたり、上記長辺方向に配列する3個以上の分布用電磁石の各磁場の極性及び強度の少なくとも極性を調整することで、鋳型長辺方向の溶鋼の流速が均一化するように制御することを特徴とする連続鋳造方法。
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