JP2014075470A - 薄膜太陽電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】逆バイアス処理工程及び絶縁検査工程を含む薄膜太陽電池の製造方法において、外周絶縁領域形成工程の後に行われる清浄化工程の順番を最適化することにより、生産効率を向上させる。
【解決手段】透光性絶縁基板上に、第1電極層、光電変換層及び第2電極層が順次積層された薄膜光電変換素子が、複数個直列接続されたストリングを形成するストリング形成工程と、ストリングの外周部の薄膜光電変換素子にレーザを照射して除去する外周絶縁領域形成工程と、外周絶縁領域形成工程で発生して外周絶縁領域に付着した付着物を除去する清浄化工程と、薄膜光電変換素子の第1電極層と第2電極層との間に逆バイアス電圧を印加して局所的な短絡欠陥部分を絶縁化する逆バイアス処理工程と、をこの順に行う薄膜太陽電池の製造方法。
【選択図】図3
【解決手段】透光性絶縁基板上に、第1電極層、光電変換層及び第2電極層が順次積層された薄膜光電変換素子が、複数個直列接続されたストリングを形成するストリング形成工程と、ストリングの外周部の薄膜光電変換素子にレーザを照射して除去する外周絶縁領域形成工程と、外周絶縁領域形成工程で発生して外周絶縁領域に付着した付着物を除去する清浄化工程と、薄膜光電変換素子の第1電極層と第2電極層との間に逆バイアス電圧を印加して局所的な短絡欠陥部分を絶縁化する逆バイアス処理工程と、をこの順に行う薄膜太陽電池の製造方法。
【選択図】図3
Description
本発明は、薄膜太陽電池の製造方法に関する。
太陽光のエネルギを直接電気エネルギに変換する太陽電池の種類としては各種のものが実用化されている。なかでも、アモルファスシリコン薄膜または微結晶シリコン薄膜を用いた薄膜太陽電池は、低温プロセス及び大面積化が容易であるという特徴から低コストで製造可能であるため開発が進められている。
従来の薄膜太陽電池として、たとえば特許文献1が開示されている。図4は、特許文献1に記載の従来の薄膜太陽電池の一例の模式的な平面図であり、図5(a)は図4のIIA−IIAに沿った模式的な断面図、図5(b)は図4のIIB−IIBに沿った模式的な断面図である。特許文献1に記載の従来の薄膜太陽電池101は、透明絶縁基板102上に、透明電極層103、半導体光電変換層104及び裏面電極層105がこの順序で積層された構成を有している。
透明電極層103は、半導体光電変換層104で埋められた第1分離溝106によって分離されており、半導体光電変換層104及び裏面電極層105は第2分離溝108によって分離されている。また、レーザスクライブ法によって半導体光電変換層104が除去された部分であるコンタクトライン107を介して隣り合うセルが電気的に直列に接続され、セルの集積部111が構成されている。
また、第2分離溝108の長手方向に直交する方向の両端の裏面電極層105の表面上に電流取り出し用の電極110がそれぞれ形成されている。これらの電極110はそれぞれ、第2分離溝108の長手方向と平行に形成されている。
このような薄膜太陽電池は、通常屋外に設置されるため、落雷によって破壊されないような絶縁耐電圧を有することが要求されている。
たとえば図4及び図5に示した特許文献1に記載の従来の薄膜太陽電池においては、透明絶縁基板102の外周の側面から内側に0.5mm〜15mm程度離れた領域に、透明電極層103、光電変換層104及び金属電極層105が除去されてなる絶縁分離領域109が形成されており、この絶縁分離領域109によって必要な絶縁耐電圧を確保している。
また、特許文献1には、絶縁分離領域109の形成方法として、レーザ光の照射後に研磨機を用いて研磨を行なう方法、またはレーザ光の照射後にブラスト洗浄機を用いてブラスト洗浄を行なう方法が提案されている。
しかしながら、研磨機を用いて研磨を行なう方法及びブラスト洗浄機を用いてブラスト洗浄を行なう方法によって、透明電極層103、光電変換層104及び金属電極層105を機械的に除去して絶縁分離領域109を形成した場合には、透明絶縁基板102にダメージが与えられる。また、これらの方法においては、絶縁分離領域109の形成後に、研磨屑、砥粒及び微粒子などがストリングの表面に付着するため、水洗浄によりこれらを除去する工程が必要であるとともに、洗浄に使用した水の処理も必要となるため、製造工程及び製造コストが増加する。
また、エッチングなどの方法によって、透明電極層103、光電変換層104及び金属電極層105を化学的に除去して絶縁分離領域109を形成することも考えられるが、この場合には、洗浄工程の追加に加え、エッチング液の濃度及び温度などの管理が必要であるため、加工装置が複雑となり、結果的に製造コストが増加する。
そこで、上記を解決するため、特許文献2が開示されている。特許文献2に記載の薄膜太陽電池の製造方法は、特許文献1に記載の製造方法に加え、不織布などの拭取基材に有機溶剤を染み込ませた拭取材を用いて、ストリングの外周4辺である非導電性表面領域に付着した付着物を拭き取って清浄化する。この清浄化工程によって、薄膜太陽電池に必要な絶縁耐電圧性が得られるとしている。
一方、薄膜太陽電池においては、光電変換層が極めて薄い構造のため、光電変換層を狭持している透明電極層と金属電極層との間に局所的な短絡欠陥部分が生じ、それにより発電効率が低下する。これらの局所的な短絡欠陥部分を除去する方法として、特許文献3に開示された、逆バイアス処理と呼ばれる工程が行われている。
図6は、特許文献3に記載の従来の薄膜太陽電池における光電変換層短絡欠陥部除去方法を示す図である。図6において、任意の光電変換セル206bに含まれる短絡欠陥部分を除去する場合、2つのプローブ204を介して半導体光電変換層203bに逆バイアス電圧が印加される。すなわち、一方のプローブ204はセル206bの裏面電極203bに接触させられ、他方のプローブ204はセル206bに隣接するセル206cの裏面電極203cに接触させられる。このとき、セル206bの前面電極202bは接続用溝208を介してセル206cの裏面電極203cに電気的に接続されているので、セル206bの前面電極202bと裏面電極203bとの間で半導体光電変換層205bに対して逆バイアス電圧が印加され得ることになる。
半導体光電変換層205bにその耐電圧以下の逆バイアス電圧を印加したとき、その半導体光電変換層205bの正常な領域では逆バイアス電圧に基づく電流は流れないが、局所的な短絡欠陥部分が存在すれば、それらの欠陥部分に集中して短絡電流が流れる。すなわち、局所的な短絡欠陥部分で集中してジュール熱が発生し、その欠陥部分の半導体材料や導電体材料が熱酸化して絶縁体材料になるか、または短絡部及びその近傍の半導体材料や導電体材料がジュール熱で飛散させられることによって、それらの局所的な短絡欠陥部分を除去することが可能である。
特許文献2に記載の従来の薄膜太陽電池の製造方法には、特許文献3に記載の逆バイアス処理工程は記載されていない。しかし、逆バイアス工程は必要な処理であり、ストリング形成工程、絶縁分離領域形成工程、逆バイアス処理工程、清浄化工程、絶縁検査工程の順で工程処理が行われていた。この時、逆バイアス処理工程はストリングを形成する全ての薄膜光電変換素子に対して行われ、その処理はストリングを形成する薄膜光電変換素子の数及び逆バイアス処理装置のプローブの本数に応じて数回に分けて行われる。
しかしながら、上記工程順で薄膜太陽電池を製造した場合、逆バイアス処理工程において、逆バイアス処理の最後の回にプローブの一部がストリングからはみ出して絶縁分離領域に接触し、絶縁分離領域を形成した時に発生した汚れがプローブに付着して接触不良が発生する恐れがあるという問題があった。また、上記工程順で薄膜太陽電池を製造した場合、有機溶剤が薄膜太陽電池の絶縁分離領域に残った状態で絶縁検査工程を行うと、有機溶剤を通じて電気が流れることによる検査ミスが発生する。そのため、有機溶剤が揮発するまでの待ち時間が必要な分、生産効率が低下するという問題があった。
本発明は、逆バイアス処理工程及び絶縁検査工程を含む薄膜太陽電池の製造方法において、外周絶縁領域形成工程の後に行われる清浄化工程の順番を最適化することにより、生産効率を向上させることを目的とする。
本発明に係る薄膜太陽電池の製造方法は、透光性絶縁基板上に、第1電極層、光電変換層及び第2電極層が順次積層された薄膜光電変換素子が、複数個直列接続されたストリングを形成するストリング形成工程と、ストリングの外周部の薄膜光電変換素子にレーザを照射して除去する外周絶縁領域形成工程と、外周絶縁領域形成工程で発生して外周絶縁領域に付着した付着物を除去する清浄化工程と、薄膜光電変換素子の第1電極層と第2電極層との間に逆バイアス電圧を印加して局所的な短絡欠陥部分を絶縁化する逆バイアス処理工程と、をこの順に行うことを特徴とする。
ここで、本発明に係る薄膜太陽電池の製造方法は、逆バイアス処理工程の後に、外周絶縁領域の絶縁性を検査する絶縁検査工程をさらに含むことが好ましい。
また、本発明に係る薄膜太陽電池の製造方法は、清浄化工程は、有機溶剤を用いて付着物を拭き取ることにより行われることが好ましい。
また、本発明に係る薄膜太陽電池の製造方法は、有機溶剤は、布、不織布またはスポンジに染み込ませて用いられることが好ましい。
また、本発明に係る薄膜太陽電池の製造方法は、清浄化工程終了から絶縁検査工程開始までの時間は50秒以上であることが好ましい。
本発明によれば、逆バイアス処理工程及び絶縁検査工程を含む薄膜太陽電池の製造方法において、外周絶縁領域形成工程の後に行われる清浄化工程の順番を最適化することにより、生産効率を向上することが可能となる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係る薄膜太陽電池の製造方法について説明する。本発明の実施形態の説明において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。本発明の実施形態の説明において、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
また、本発明においては、絶縁分離ラインによって切り離された部分を含めてストリングと称している。
図1は本発明の実施形態に係る薄膜太陽電池の製造方法で製造される薄膜太陽電池を示す模式的な平面図であり、図2は図1のA−Aに沿った模式的な断面図であり、図3は図1のB−Bに沿った模式的な断面図である。
図1、図2及び図3に示す、本発明の実施形態に係る薄膜太陽電池の製造方法で製造される薄膜太陽電池は、長方形の透光性絶縁基板1と、透光性絶縁基板1の表面上に第1電極層2、光電変換層3及び第2電極層4が順次積層されてなる薄膜光電変換素子5が、複数個互いに電気的に直列接続されたストリングS1を備えたスーパーストレート型の薄膜太陽電池である。
〔透光性絶縁基板及び第1電極層〕
透光性絶縁基板1としては、以降の膜形成プロセスにおける耐熱性及び透光性を有するガラス基板、ポリイミド等の樹脂基板等が使用可能である。
透光性絶縁基板1としては、以降の膜形成プロセスにおける耐熱性及び透光性を有するガラス基板、ポリイミド等の樹脂基板等が使用可能である。
また、第1電極層2は、透明導電膜からなり、好ましくは、ZnOまたはSnO2を含む材料からなる透明導電膜からなる。SnO2を含む材料は、SnO2自体であってもよく、SnO2と別の酸化物の混合物、例えば、SnO2とIn2O3の混合物であるITOであってもよい。
〔光電変換層〕
光電変換層3を構成する各半導体層の材料は、特に限定されず、例えば、シリコン系半導体、CIS(CuInSe2)化合物半導体、CIGS(Cu(In,Ga)Se2)化合物半導体等からなる。以下、各半導体層がシリコン系半導体からなる場合を例にとって説明を進める。「シリコン系半導体」とは、非晶質又は微結晶シリコン、又は非晶質又は微結晶シリコンに炭素やゲルマニウム、又は、その他の不純物が添加されたシリコンカーバイド、シリコンゲルマニウム等の半導体を意味する。また、「微結晶シリコン」とは、結晶粒径が小さい(数nmから百nm程度)結晶シリコンと、非晶質シリコンとの混合相の状態のシリコンを意味する。微結晶シリコンは、例えば、結晶シリコン薄膜をプラズマCVD法などの非平衡プロセスを用いて低温で作製した場合に形成される。
光電変換層3を構成する各半導体層の材料は、特に限定されず、例えば、シリコン系半導体、CIS(CuInSe2)化合物半導体、CIGS(Cu(In,Ga)Se2)化合物半導体等からなる。以下、各半導体層がシリコン系半導体からなる場合を例にとって説明を進める。「シリコン系半導体」とは、非晶質又は微結晶シリコン、又は非晶質又は微結晶シリコンに炭素やゲルマニウム、又は、その他の不純物が添加されたシリコンカーバイド、シリコンゲルマニウム等の半導体を意味する。また、「微結晶シリコン」とは、結晶粒径が小さい(数nmから百nm程度)結晶シリコンと、非晶質シリコンとの混合相の状態のシリコンを意味する。微結晶シリコンは、例えば、結晶シリコン薄膜をプラズマCVD法などの非平衡プロセスを用いて低温で作製した場合に形成される。
光電変換層3は、第1電極層2側から順に、p型半導体層、i型半導体層及びn型半導体層が積層されてなる。
p型半導体層には、ボロン、アルミニウム等のp型不純物原子がドープされており、n型半導体層にはリン等のn型不純物原子がドープされている。i型半導体層は、完全にノンドープである半導体層であってもよく、微量の不純物を含む弱p型または弱n型で光電変換機能を十分に備えている半導体層であってもよい。なお、本明細書において、「非晶質層」及び「微結晶層」は、それぞれ、非晶質及び微結晶の半導体層を意味する。
また、光電変換層3は、pin構造が複数重ねられたタンデム型でもよく、例えば、第1電極層2上にa−Si:Hp層、a−Si:Hi層、a−Si:Hn層をこの順に積層した上部光電変換層と、上部光電変換層上にμc−Si:Hp層、μc−Si:Hi層、μc−Si:Hn層をこの順に積層した下部光電変換層とから構成されてもよい。また、pin構造を上部光電変換層、中部光電変換層及び下部光電変換層からなる3層構造の光電変換層3としてもよく、例えば、上部及び中部光電変換層にアモルファスシリコン(a−Si)、下部光電変換層に微結晶シリコン(μc−Si)を用いた3層構造でも構わない。光電変換層3の材料及び積層構造の組み合わせは、特に限定されるものではない。なお、本願の実施形態においては、薄膜太陽電池の光入射側に位置する光電変換層を上部光電変換層とし、光入射側と反対側に位置する光電変換層を下部光電変換層とした。
〔第2電極層〕
第2電極層4の構成や材料は、特に限定されないが、一例では、第2電極層4は、透明導電膜と金属膜とが光電変換層3上に積層した積層構造を有する。透明導電膜は、ZnO、ITO、SnO2などからなる。金属膜は、銀、アルミニウム等の金属からなる。なお、第2電極層4は銀、アルミニウム等の金属膜のみであっても良い。
第2電極層4の構成や材料は、特に限定されないが、一例では、第2電極層4は、透明導電膜と金属膜とが光電変換層3上に積層した積層構造を有する。透明導電膜は、ZnO、ITO、SnO2などからなる。金属膜は、銀、アルミニウム等の金属からなる。なお、第2電極層4は銀、アルミニウム等の金属膜のみであっても良い。
〔ストリング〕
ストリングS1は、第1電極層2に複数の第1分離ライン2aが形成され、光電変換層3に複数のコンタクトライン3aが第1分離ライン2aの隣に形成され、光電変換層3及び第2電極層4には複数の第2分離ライン7がコンタクトライン3aの隣に形成されている。第1分離ライン2a、コンタクトライン3a及び第2分離ライン7は、一つの薄膜光電変換素子5の第2電極層4及び光電変換層3と、隣接する他の薄膜光電変換素子5の第2電極層4及び光電変換層3とを電気的に分離するよう、素子直列接続方向と直交する方向である透光性絶縁基板1の長辺方向に延びて形成されている。また、ストリングS1の素子直列接続方向の一端の第1電極層、光電変換層及び第2電極層からなる積層膜5aは、直列接続方向の幅が狭く形成されているため実質的に発電に寄与しておらず、そのため、この積層膜5aの第2電極層は、隣接する薄膜光電変換素子5の第1電極層2の引き出し電極4aとして用いられている。
ストリングS1は、第1電極層2に複数の第1分離ライン2aが形成され、光電変換層3に複数のコンタクトライン3aが第1分離ライン2aの隣に形成され、光電変換層3及び第2電極層4には複数の第2分離ライン7がコンタクトライン3aの隣に形成されている。第1分離ライン2a、コンタクトライン3a及び第2分離ライン7は、一つの薄膜光電変換素子5の第2電極層4及び光電変換層3と、隣接する他の薄膜光電変換素子5の第2電極層4及び光電変換層3とを電気的に分離するよう、素子直列接続方向と直交する方向である透光性絶縁基板1の長辺方向に延びて形成されている。また、ストリングS1の素子直列接続方向の一端の第1電極層、光電変換層及び第2電極層からなる積層膜5aは、直列接続方向の幅が狭く形成されているため実質的に発電に寄与しておらず、そのため、この積層膜5aの第2電極層は、隣接する薄膜光電変換素子5の第1電極層2の引き出し電極4aとして用いられている。
また、ストリングS1は、透光性絶縁基板1の四辺の端面である外周端面よりも内側に形成されている。つまり、透光性絶縁基板1の表面の外周領域は、第1電極層2、光電変換層3及び第2電極層4が形成されていない外周絶縁領域8となっている。
この外周絶縁領域8は、ストリングS1の形成途中において透光性絶縁基板1の外周部に存在する第1電極層2、光電変換層3及び第2電極層4を除去することにより形成された絶縁領域であり、その幅Wは薄膜太陽電池の出力電圧に応じた寸法範囲に設定されている。
〔その他の構成〕
ストリングS1における素子直列接続方向の両端に位置する第2電極層4及び引き出し電極4aの上には、それらの長手方向に沿ってバスバー10が銀ペースト等のろう材9にて電気的に接続されている。なお、各バスバー10には図示しない取り出し線が電気的に接続されている。
ストリングS1における素子直列接続方向の両端に位置する第2電極層4及び引き出し電極4aの上には、それらの長手方向に沿ってバスバー10が銀ペースト等のろう材9にて電気的に接続されている。なお、各バスバー10には図示しない取り出し線が電気的に接続されている。
また、透光性絶縁基板1上にはストリングS1及び外周絶縁領域8を完全に覆うように裏面封止材18が接着層17を介して積層されている。接着層17としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)またはアイオノマー樹脂等からなる封止樹脂シートを用いることができる。また、裏面封止材18としては、例えば、PET/アルミニウム/PETの積層フィルムまたはガラス板等を用いることができる。なお、接着層17及び裏面封止材18には、各取り出し線の先端を外部へ導出するための小孔が予め形成されている。
また、裏面封止材18上には、各取り出し線と電気的に接続される出力線及び端子を有する端子ボックスが取り付けられる。
<薄膜太陽電池の製造方法について>
図4は、本発明に係る薄膜太陽電池の製造方法を示すフロー図である。以下、各工程を順に説明する。
図4は、本発明に係る薄膜太陽電池の製造方法を示すフロー図である。以下、各工程を順に説明する。
〔ストリング形成工程〕
ストリング形成工程では、まず、透光性絶縁基板1の表面全面に、CVD、スパッタ、蒸着等の方法により膜厚600〜1000nmの透明導電膜を形成し、透明導電膜を部分的に光ビームによって除去して第1分離ライン2aを形成することにより所定パターンの第1電極層2を形成する。第1分離ライン2aは、YAGレーザの基本波(波長:1064nm)を透光性絶縁基板1側から照射することにより、透明導電膜は所定幅で短冊状に分離され、分離ライン2aが所定間隔で形成される。なお、図2において、最も左位置の第1電極層2は素子として機能させない部分であるため幅を狭くしている。
ストリング形成工程では、まず、透光性絶縁基板1の表面全面に、CVD、スパッタ、蒸着等の方法により膜厚600〜1000nmの透明導電膜を形成し、透明導電膜を部分的に光ビームによって除去して第1分離ライン2aを形成することにより所定パターンの第1電極層2を形成する。第1分離ライン2aは、YAGレーザの基本波(波長:1064nm)を透光性絶縁基板1側から照射することにより、透明導電膜は所定幅で短冊状に分離され、分離ライン2aが所定間隔で形成される。なお、図2において、最も左位置の第1電極層2は素子として機能させない部分であるため幅を狭くしている。
この後、得られた基板を洗浄し、その後、p−CVDにより第1分離ライン2aを完全に埋め込むように光電変換層3を第1電極層2上に形成する。光電変換層3としては、第1電極層2上にa−Si:Hp層、a−Si:Hi層(膜厚150nmから300nm程度)、a−Si:Hn層をこの順に積層して上部光電変換層を形成し、上部光電変換層上にμc−Si:Hp層、μc−Si:Hi層(膜厚1.5μmから3μm程度)、μc−Si:Hn層をこの順に積層して下部光電変換層を形成する。
その後、タンデム構造の光電変換膜を部分的に光ビームによって除去してコンタクトライン3aを形成することにより所定パターンの光電変換層3を形成する。この際、YAGレーザの第二高調波(波長:532nm)を透光性絶縁基板1側から照射することにより、光電変換膜は所定幅で短冊状に分離され、第1電極層2と第2電極層4とを電気的に接続するためのコンタクトライン3aが形成される。なお、レーザとしてYAGレーザの第二高調波の代りにYVO4レーザ(波長:532nm)を用いても構わない。
次に、CVD、スパッタ、蒸着等の方法によりコンタクトライン3aを完全に埋め込むように、透明導電膜と金属膜の2層構造の導電膜を光電変換層3上に形成し、導電膜及び光電変換層3を部分的に光ビームによって除去して第2分離ライン7を形成することにより所定パターンの第2電極層4を形成する。これにより、透光性絶縁基板1上に複数の薄膜光電変換素子5が直列接続したストリングが形成される。
この際、透明導電膜の材料は、例えば、ZnO、ITO、SnO2等にすることができる。また、金属膜の材料は、例えば、銀、アルミニウム等にすることができる。また、透明導電膜の膜厚としては10〜100nm、金属膜の膜厚としては100〜500nmとすることができる。
また、第2電極層4のパターニングでは、光ビームによる第1電極層2へのダメージを避けるため、第1電極層2に対する透過性が高いYAGレーザの第二高調波またはYVO4レーザの第二高調波を透光性絶縁基板1側から照射することにより、導電膜は所定幅で短冊状に分離され、第2分離ライン7が形成される。この際、第1電極層2へのダメージを最小限に抑え、かつ、第2電極層4の加工後の銀電極のバリ発生を抑制する加工条件を選択することが好ましい。
〔外周絶縁領域形成工程〕
ストリング形成工程後、透光性絶縁基板1の外周端面から内側へ所定幅で、透光性絶縁基板1の表面の外周部に形成されている第1電極層2、光電変換層3及び第2電極層4をYAGレーザの基本波を用いて除去して外周絶縁領域8を全周に形成する。これによって、外周絶縁領域8に囲まれたストリングS1が形成される。
ストリング形成工程後、透光性絶縁基板1の外周端面から内側へ所定幅で、透光性絶縁基板1の表面の外周部に形成されている第1電極層2、光電変換層3及び第2電極層4をYAGレーザの基本波を用いて除去して外周絶縁領域8を全周に形成する。これによって、外周絶縁領域8に囲まれたストリングS1が形成される。
〔清浄化工程〕
清浄化工程の一例として、布、不織布またはスポンジに、エタノールなどの有機溶剤を染み込ませた拭取材を用いて、ストリングS1の外周4辺である外周絶縁領域8を拭くことにより、外周絶縁領域8に付着した付着物を拭き取って清浄化する。
清浄化工程の一例として、布、不織布またはスポンジに、エタノールなどの有機溶剤を染み込ませた拭取材を用いて、ストリングS1の外周4辺である外周絶縁領域8を拭くことにより、外周絶縁領域8に付着した付着物を拭き取って清浄化する。
〔逆バイアス処理工程〕
逆バイアス処理工程は、薄膜光電変換素子5の耐電圧の範囲内で第1電極層と第2電極層との間に逆バイアス電圧を印加することにより、第1電極層と第2電極層との間に存在する局所的な短絡欠陥部分を短絡電流のジュール熱によって熱酸化または飛散させて絶縁化する工程である。
逆バイアス処理工程は、薄膜光電変換素子5の耐電圧の範囲内で第1電極層と第2電極層との間に逆バイアス電圧を印加することにより、第1電極層と第2電極層との間に存在する局所的な短絡欠陥部分を短絡電流のジュール熱によって熱酸化または飛散させて絶縁化する工程である。
逆バイアス処理工程を行うことにより、薄膜光電変換素子5内に存在する局所的な短絡欠陥部分が取り除かれるため、薄膜太陽電池の発電効率を向上すること出来る。
薄膜光電変換素子5への逆バイアス電圧の印加は、逆バイアス電圧を印加するための電源に接続された一対のプローブの一方を処理対象の薄膜光電変換素子の第2電極層に、もう一方を処理対象の薄膜光電変換素子の第1電極層とコンタクトラインを介して接続されている、隣接する薄膜光電変換素子の第2電極層に接触させることにより行われる。
上記の逆バイアス処理はストリングS1を形成する全ての薄膜光電変換素子5に対して行われ、その処理はストリングS1を形成する薄膜光電変換素子の数及び逆バイアス処理装置のプローブの本数に応じて数回に分けて行われる。例えば、ストリングS1を形成する薄膜光電変換素子5の総数が90個の薄膜太陽電池を、プローブの本数が20本の逆バイアス処理装置で処理する場合、1回に付き19個の薄膜光電変換素子の処理が可能であるため、逆バイアス処理は5回に分けて行う必要がある。その際、最後の処理である5回目の逆バイアス処理においては、5本のプローブがストリングS1からはみ出すことになる。したがって、はみ出した5本のうちの何本かは、ストリングS1の外側に形成された外周絶縁領域8に接触することになる。
逆バイアス処理工程終了後の基板は、次工程である絶縁検査工程に送られる。
なお、前工程の清浄化工程の終了から、逆バイアス処理工程を経て、次工程の絶縁検査工程を開始するまでの時間は50秒以上であることが好ましい。この処理時間により、清浄化工程で使用した有機溶剤を揮発させることが出来る。
〔絶縁検査工程〕
逆バイアス処理工程後、薄膜太陽電池を絶縁耐圧試験装置にセットし、第2電極層4の取り出し電極の部分を接地した状態で透光性絶縁基板1の外周部端面に所定の電圧を印加し、電流値が所定値(50μA)以下であれば合格と判断する。
逆バイアス処理工程後、薄膜太陽電池を絶縁耐圧試験装置にセットし、第2電極層4の取り出し電極の部分を接地した状態で透光性絶縁基板1の外周部端面に所定の電圧を印加し、電流値が所定値(50μA)以下であれば合格と判断する。
絶縁検査の結果、合格であれば次工程へ進み、不合格であれば清浄化工程と絶縁検査工程を1〜2回繰り返す。なお、不合格であったために清浄化工程と絶縁検査工程を2回繰り返しても不合格であった場合は、絶縁不良とし、ライン上からはじき出し、目視等で不良箇所を確認し、不良箇所のみに機械的研磨を行うリペア工程を行う。
〔モジュール化工程〕
絶縁検査工程に合格した薄膜太陽電池の素子直列方向両端の第2電極層4上に銀ペースト等のろう材9を塗布し、バスバー10を加圧接着し、バスバー10を電気的に接続して電流の取り出し部を作製する。
絶縁検査工程に合格した薄膜太陽電池の素子直列方向両端の第2電極層4上に銀ペースト等のろう材9を塗布し、バスバー10を加圧接着し、バスバー10を電気的に接続して電流の取り出し部を作製する。
次に、薄膜太陽電池の非受光面側である裏面側に接着層17として透明なEVAシート及び裏面封止材18を重ね、真空ラミネート装置を用いて接着層17を介して裏面封止材18を薄膜太陽電池に接着して封止する。この時、裏面封止材18として、PET/Al/PETの積層フィルムを用いることが好ましい。
その後、前記取り出し線を前記端子ボックスの出力線と電気的に接続し、端子ボックスを裏面封止材18に接着し、たとえばシリコーンなどの樹脂で端子ボックス内を充填する。そして、薄膜太陽電池の外周部にアルミフレームを取り付けて製造を完了させる。
上述の通り、本発明の実施形態に係る薄膜太陽電池の製造方法においては、清浄化工程は、逆バイアス処理工程の前に行われる。これにより、外周絶縁領域形成工程で発生した付着物が逆バイアス処理工程のプローブに付着して接触不良が発生するのを防ぐことが出来る。また、逆バイアス処理工程中に清浄化工程で使用した有機溶剤を揮発させることが出来るため、有機溶剤の残留による絶縁検査工程の検査ミスを防ぐことが出来る。
また、清浄化工程によって、薄膜太陽電池に必要な絶縁耐電圧性が得られることに加え、外周絶縁領域8と前記接着層17との接着力が向上する利点も得られる。
以上、本発明に基づいた実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。
1 透光性絶縁基板
2 第1電極層
2a 第1分離ライン
3 光電変換層
3a コンタクトライン
4 第2電極層
5 薄膜光電変換素子
7 第2分離ライン
8 外周絶縁領域
9 ろう材
10 バスバー
17 接着層
18 裏面封止材
S1 ストリング
2 第1電極層
2a 第1分離ライン
3 光電変換層
3a コンタクトライン
4 第2電極層
5 薄膜光電変換素子
7 第2分離ライン
8 外周絶縁領域
9 ろう材
10 バスバー
17 接着層
18 裏面封止材
S1 ストリング
Claims (5)
- 透光性絶縁基板上に、第1電極層、光電変換層及び第2電極層が順次積層された薄膜光電変換素子が、複数個直列接続されたストリングを形成するストリング形成工程と、
前記ストリングの外周部の前記薄膜光電変換素子を、レーザ光を照射することによって除去する外周絶縁領域形成工程と、
前記外周絶縁領域形成工程で発生して前記外周絶縁領域に付着した付着物を除去する清浄化工程と、
前記薄膜光電変換素子の前記第1電極層と前記第2電極層との間に逆バイアス電圧を印加して局所的な短絡欠陥部分を絶縁化する逆バイアス処理工程と、をこの順に行う薄膜太陽電池の製造方法。 - 前記逆バイアス処理工程の後に、前記外周絶縁領域の絶縁性を検査する絶縁検査工程をさらに含む請求項1に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
- 前記清浄化工程は、有機溶剤を用いて前記付着物を拭き取ることにより行われる請求項1または2に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
- 前記有機溶剤は、布、不織布またはスポンジに染み込ませて用いられる請求項3に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
- 前記清浄化工程終了から前記絶縁検査工程開始までの時間は50秒以上である請求項3または4に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
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