JP4567846B2 - 太陽電池モジュールの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は太陽電池モジュールの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、薄膜太陽電池モジュールは以下のような工程により製造されている。
まず、ガラス基板上にそれぞれストリング状にスクライブされた第1電極層(透明電極層)、光電変換半導体層および第2電極層(裏面電極層)を形成して互いに直列に接続された複数の太陽電池セルを形成する。また、ガラス基板の両端部の活性領域のすぐ外側に成膜されている半導体層および裏面電極層を所定の幅で除去し、出力取り出し用の配線を形成するためのバス領域を形成する。その後、アニールを行い、光電変換半導体層を活性化させる。
【0003】
次に、各太陽電池セルに逆バイアス処理を行う。この工程は、太陽電池セルに発生した短絡部を除去して、発電特性の低下を抑えるために行われる。すなわち、上記の工程において光電変換半導体層にピンホールが生じると、第2電極層が第1電極層まで達して短絡することがある。短絡が生じた太陽電池セルは発電に寄与しなくなるため、太陽電池の発電特性が低下する。そこで、太陽電池セルに逆バイアス電圧を印加し、短絡部に電流を流してジュール熱を発生させ、短絡部において第2電極層の金属を飛散させたり金属を酸化して絶縁膜に変換する。こうして短絡部をなくすと、動作時の発電特性の低下を抑えることができる。
【0004】
次に、上記の工程で形成したバス領域に点(バンプ)状に予備半田を付ける。
また、予備半田上に半田めっき銅箔を取り付けてバスバー電極を形成する。
【0005】
次に、ガラス基板の周縁部に成膜されている薄膜の少なくとも一部をサンドブラストにより除去して、ガラス基板または第1電極層を露出させる。この工程は、太陽電池モジュールの耐候性を向上させるために行われるものである。すなわち、太陽電池モジュールの裏面は、最終的にはEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)などからなる充填材および背面カバーフィルムにより封止される。太陽電池モジュールの耐候性を低下させる原因の1つとして、太陽電池モジュールの周縁部において充填材との境界から水分が侵入することが挙げられる。こうした水分の侵入を防止するためには、周縁部での充填材の密着性を向上させる必要がある。ここで、充填材に対する密着性は、第1の電極またはガラス基板の方が、第2の電極層または光電変換半導体層よりも優れているため、上記のようにサンドブラストによりガラス基板または第1電極層を露出させる。その後、サンドブラストにより発生した粉塵を除去するために、ガラス基板を洗浄する。
【0006】
次いで、ソーラーシミュレーターにより太陽電池セルの電圧−電流(VI)測定を行う。
【0007】
さらに、バスバー電極に出力取り出し用の配線を接続し、太陽電池モジュールの裏面にEVAシートと背面カバーフィルムを重ねて真空ラミネータを用いて封止し、配線の取り出し部にシリコーン樹脂を充填し、最後に端子の取り付けとフレームの取り付けを行う。
【0008】
ところで、ソーラーシミュレーターによるVI測定で不良と判定された太陽電池モジュールはアウト品として製造工程から排除される。しかし、不良と判定された太陽電池モジュールにはすでに半田めっき銅箔が接続されており、半田は鉛を含むため廃棄物処理に問題が生じる。したがって、製品歩留りを高めて廃棄物処理の問題を減らすために、不良の発生を極力なくすように製造工程を工夫する必要がある。これとともに、各工程におけるタクト時間を短縮して製品のスループットを向上させるために、特に各工程における基板の位置合わせ操作を簡略化することが望まれている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、太陽電池モジュールの歩留りを高めて廃棄物処理の問題を減らすことができる方法を提供することにある。本発明の他の目的は、各工程における基板の位置合わせ操作を簡略化することにより、各工程におけるタクト時間を短縮して太陽電池モジュールのスループットを向上できる方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の太陽電池モジュールの製造方法は、基板上にそれぞれストリング状にスクライブされた第1電極層、光電変換半導体層および第2電極層を形成して互いに直列に接続された複数の太陽電池セルを形成した後、アニールする工程と、前記各太陽電池セルに逆バイアス電圧を印加して短絡部を除去する工程と、前記基板の両端部近傍のバス領域に点状に予備半田を付ける工程と、前記基板の周縁部に形成された薄膜の少なくとも一部をサンドブラストにより除去する工程と、前記基板を洗浄する工程と、ソーラーシミュレーターにより前記太陽電池セルの電圧−電流測定と行う工程と、前記バス領域の予備半田上にバスバー電極を形成する工程とを順次行うことを特徴とする。
【0011】
本発明の方法を用いれば、以下のような利点が得られる。逆バイアス処理の次に予備半田付けを行う工程順になっているので、逆バイアス処理のアウト品には予備半田を付けないようにすることができ、廃棄物処理の問題を極力避けることができる。予備半田付けの次にサンドブラストを行う工程順になっているので、サンドブラストにより発生する粉塵により、半田の付きが悪くなるという問題を避けることができる。ソーラーシミュレーターによるVI測定の次にバスバー電極の形成を行う工程順になっているので、VI測定のアウト品にはバスバー電極を形成しないようにすることができ、廃棄物処理の問題を極力避けることができる。
【0012】
本発明の方法では、逆バイアス処理工程、予備半田付け工程、サンドブラスト工程、およびバスバー電極形成工程において、基板の長辺に沿う2点および短辺に沿う1点をそれぞれ突き当て棒に突き当てて基板の位置合わせを行うことが好ましい。
【0013】
上記の突き当て棒を用いた基板の位置合わせ誤差は500μm以下であり、逆バイアス処理、予備半田付け、サンドブラスト、およびバスバー電極形成には支障が生じない。このように簡略な方法により、基板の位置合わせ操作を短時間で実施できるので、各工程におけるタクト時間を短縮して太陽電池モジュールのスループットを向上できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の太陽電池モジュールの製造方法をより詳細に説明する。
図1に太陽電池モジュールの平面図を示す。絶縁性基板、たとえば面積92cm×46cm、厚さ4mmのガラス基板の中央の大部分は多数のストリング状の太陽電池セル5が直列に接続された活性領域となっている。活性領域の両端のすぐ外側はバスバー電極が形成されるバス領域11、11となっている。また、ガラス基板1の周縁部はサンドブラストにより膜が研削されて分離領域12となっている。
【0015】
次に、図2〜図6を参照して本発明による太陽電池モジュールの製造方法を工程順に説明する。また、図7に逆バイアス処理工程、予備半田付け工程、サンドブラスト工程、およびバスバー電極形成工程での基板の位置合わせの様子を示す。
【0016】
図2は太陽電池セルを形成した状態を示す断面図である。ガラス基板1の全面に熱CVD法によりSnO2などの透明導電性酸化物を成膜する。このガラス基板1をレーザースクライバーのX−Yステージ上に設置する。スクライブライン2aの位置にレーザービームを照射することにより透明導電性酸化物を除去して分割し、各太陽電池セルに対応するストリング状の透明電極(第1電極層)2を形成する。このガラス基板1をマルチチャンバーのプラズマCVD装置に入れてプラズマCVDを行い、全面にp型a−SiC:H層、i型a−Si:H層、およびn型微結晶Si:H層を順次成膜してpin接合を形成する。ガラス基板1をプラズマCVD装置から取り出してレーザースクライバーのX−Yステージ上に設置する。透明電極2のスクライブライン2aからずらせたスクライブライン3aの位置にレーザービームを照射することによりa−Si層を除去して分割し、各太陽電池セルに対応するストリング状の光電変換半導体層3を形成する。このガラス基板1をスパッタ装置に入れ、全面に裏面電極(第2電極層)を構成するZnOおよびAgを成膜する。このガラス基板をスパッタ装置から取り出して、レーザースクライバーのX−Yステージ上に設置する。光電変換半導体層3のスクライブライン3aからずらせたスクライブライン4aの位置にレーザービームを照射することによりAg、ZnOおよびその下のa−Siを除去して分割し、各太陽電池セルに対応するストリング状の裏面電極4を形成する。また、ガラス基板1の両端部で、活性領域のすぐ外側で上記と同様にAg、ZnOおよびその下のa−Siを除去し、電力取り出し用の配線を形成するためのバス領域11を形成する。上記のように各層のスクライブ線をずらせることにより、ある太陽電池セル5の裏面電極4の端部は光電変換半導体層3のスクライブライン3aを通して隣の太陽電池セル5の透明電極2の端部と接続され、多数の太陽電池セル5が直列接続される。その後、アニールを行い、光電変換半導体層3を活性化させる。
【0017】
図3は逆バイアス処理工程を示すものである。この工程では、まず図7に示すように、ガラス基板1を逆バイアス処理装置のステージ21上に搬送し、ガラス基板1の一方の長辺および一方の短辺にそれぞれ押し当てツメ22を押し当て、ガラス基板1の対向する長辺に沿う2点および対向する短辺に沿う1点をそれぞれ突き当て棒23に突き当てて、ガラス基板1の位置合わせを行う。これらの機構によるガラス基板1の位置合わせ誤差は500μm以下である。逆バイアス処理装置には、ステージ21の上方から複数段の太陽電池セルの裏面電極4に一括して接触するプローブ列を有するユニットが下降するように配置されている。なお、1段の太陽電池セルあたり複数のプローブが設けられている。プローブユニットはリレースイッチまたはマルチプレクサの切り換えにより1対のプローブ列を用いて各太陽電池セルに逆バイアス電圧を印加して短絡部を除去する。図3には1対のプローブ31a、31bを裏面電極4に接触させて活性領域の最も左側にある太陽電池セルの逆バイアス処理を行っている様子を示している。
【0018】
図4は予備半田付け工程を示すものである。この工程でも、まず図7に示すように、ガラス基板1を予備半田付け装置のステージ上に搬送し、押し当てツメおよび突き当て棒によりガラス基板1の位置合わせを行う。予備半田付け装置にはステージの上方に半田付けユニットが移動可能に設けられており、活性領域の外側のバス領域11、11に点(バンプ)状に予備半田を付ける。図4はバス領域11に予備半田6を付けた状態を示している。
【0019】
上記のように逆バイアス処理の次に予備半田付けを行う工程順になっているので、逆バイアス処理のアウト品には予備半田を付けないようにすることができ、廃棄物処理の問題を極力避けることができる。
【0020】
図5はサンドブラスト工程を示すものである。この工程でも、まず図7に示すように、ガラス基板1をサンドブラスト装置のステージ上に搬送し、押し当てツメおよび突き当て棒によりガラス基板1の位置合わせを行う。サンドブラスト装置にはステージの上方に粒子を噴出するノズルが設けられており、ガラス基板1の全周にわたって周縁部の裏面電極4、光電変換半導体層3および透明電極を除去する。図5はガラス基板1の周辺部をサンドブラスト処理した状態を示している。
【0021】
上記のように予備半田付けの次にサンドブラストを行う工程順になっているので、サンドブラストにより発生する粉塵により、半田の付きが悪くなるという問題を避けることができる。
【0022】
次に、サンドブラストにより発生した粉塵を除去するために、ガラス基板1を純水で洗浄する。
【0023】
次に、ガラス基板1をソーラーシミュレーターに入れ、バス領域11に形成されている予備半田6を電極として用いて電圧−電流測定(VI測定)を行う。
【0024】
図6はバスバー電極形成工程を示すものである。この工程でも、まず図7に示すように、ガラス基板1をバスバー電極形成装置のステージ上に搬送し、押し当てツメおよび突き当て棒によりガラス基板1の位置合わせを行う。そして、バス領域11の予備半田6上にテープ状の半田めっき銅箔を接続してバスバー電極7を形成する。図6は予備半田6上にバスバー電極7に形成した状態を示している。
【0025】
上記のようにソーラーシミュレーターによるVI測定の次にバスバー電極7の形成を行う工程順になっているので、VI測定のアウト品にはバスバー電極7を形成しないようにすることができ、廃棄物処理の問題を極力避けることができる。
【0026】
その後、電力取り出しのためにバスバー電極7に配線を接続する。また、ガラス基板1の裏面にEVAシートとフッ素系樹脂からなる保護フィルムを重ね、真空ラミネータを用いて封止する。さらに、電力取り出し配線の取り出し部にシリコーン樹脂を充填する。最後に、端子の取り付けとフレームの取り付けを行い、太陽電池モジュールを製造する。
【0027】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、逆バイアス処理の次に予備半田付けを行い、かつソーラーシミュレーターによるVI測定の次にバスバー電極の形成を行う工程順になっているので、アウト品にはバスバー電極を形成しないようにすることができ、廃棄物処理の問題を極力避けることができる。また、予備半田付けの次にサンドブラストを行う工程順になっているので、サンドブラストにより発生する粉塵により、半田の付きが悪くなるという問題を避けることができる。さらに、逆バイアス処理工程、予備半田付け工程、サンドブラスト工程、およびバスバー電極形成工程において、突き当て棒を使用して簡便に基板の位置合わせを行うことができるので、タクト時間を短縮して太陽電池モジュールのスループットを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る太陽電池モジュールの平面図。
【図2】本発明における太陽電池セルを形成した状態を示す断面図。
【図3】本発明における逆バイアス処理工程を示す断面図。
【図4】本発明における予備半田付け工程を示す断面図。
【図5】本発明におけるサンドブラスト工程を示す断面図。
【図6】本発明におけるバスバー電極形成工程を示す断面図。
【図7】本発明における突き当て棒を用いて基板の位置合わせした状態を示す斜視図。
【符号の説明】
1…ガラス基板
2…透明電極(第1電極層)
3…光電変換半導体層
4…裏面電極(第2電極層)
5…太陽電池セル
6…予備半田
7…バスバー電極
11…バス領域
12…分離領域
21…ステージ
22…押し当てツメ
23…突き当て棒
31a、31b…プローブ

Claims (2)

  1. 基板上にそれぞれストリング状にスクライブされた第1電極層、光電変換半導体層および第2電極層を形成して互いに直列に接続された複数の太陽電池セルを形成した後、アニールする工程と、
    前記各太陽電池セルに逆バイアス電圧を印加して短絡部を除去する工程と、
    前記基板の両端部近傍のバス領域に点状に予備半田を付ける工程と、
    前記基板の周縁部に形成された薄膜の少なくとも一部をサンドブラストにより除去する工程と、
    前記基板を洗浄する工程と、
    ソーラーシミュレーターにより前記太陽電池セルの電圧−電流測定と行う工程と、
    前記バス領域の予備半田上にバスバー電極を形成する工程と
    順次行うことを特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
  2. 逆バイアス処理工程、予備半田付け工程、サンドブラスト工程、およびバスバー電極形成工程において、基板の長辺に沿う2点および短辺に沿う1点をそれぞれ突き当て棒に突き立てて基板の位置合わせを行うことを特徴とする請求項1記載の太陽電池モジュールの製造方法。
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