JP2001127319A - 太陽電池モジュール及びその製造方法 - Google Patents

太陽電池モジュール及びその製造方法

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JP2001127319A
JP2001127319A JP30887099A JP30887099A JP2001127319A JP 2001127319 A JP2001127319 A JP 2001127319A JP 30887099 A JP30887099 A JP 30887099A JP 30887099 A JP30887099 A JP 30887099A JP 2001127319 A JP2001127319 A JP 2001127319A
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solar cell
cell module
separation
frame
photoelectric conversion
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JP30887099A
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Hideo Yamagishi
英雄 山岸
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた耐電圧性能を有するとともに、製造歩
留りを飛躍的に向上させることのできる太陽電池モジュ
ール及びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 光電変換デバイスを封止し、基板端部を
挟持するようにフレームを設けた太陽電池モジュール。
光電変換デバイスを発電部と周縁部とに電気的に分離す
るように、フレームに沿って積層体に第1および第2の
分離溝を含む複数の分離溝を形成するとともに、これら
複数の分離溝の少なくとも隣接する2つの分離溝に挟ま
れた領域を複数の領域に電気的に分断するように、2つ
の分離溝の橋渡しをする第3の分離溝を形成したことを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば非晶質シリ
コン等の非単結晶シリコン系材料等からなる薄膜太陽電
池モジュールに係り、特に、耐電圧性能を向上させた太
陽電池モジュール及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、単結晶シリコンなどの結晶系太陽
電池を屋外用太陽電池として屋外に設置する技術がすで
に実用化されている。これに対して、非晶質シリコンな
どの材料からなる薄膜太陽電池は、原材料が少なくてす
むため、低コスト太陽電池として注目されているが、全
体としてはまだ開発段階であり、すでに普及している電
卓などの民生機器の電源用途での実績を基に、現在、屋
外用途にするための研究開発が進められている。
【0003】屋外用太陽電池の性能としては、耐風圧や
フロントカバーの衝撃強度などの機械的性能とともに、
耐電圧性能などの電気的性能が一定以上であることが要
求される。例えば、結晶系太陽電池モジュールについて
は、JISC8918に電気的性能の中に絶縁に関する
記述があり、試験方法などが記載されている。
【0004】JISC8918によると、モジュールの
出力端子を短絡し、同端子とフレーム又は設置端子間を
高圧発生電源で、最大システム電圧の2倍プラス100
0Vの直流電圧を印加して絶縁破壊などの異常が発生し
ないことが要求されている。これは、太陽電池の発電部
分とモジュールを構成するフレームの間を何らかの方法
で電気的に絶縁する必要があることを示している。
【0005】結晶系太陽電池モジュール1の構造として
もっとも広く普及しているのはスーパーストレートタイ
プと呼ばれる構造であり、図13に示すように、発電部
分であるセル2とフロントカバー3の間,セル2とカバ
ーフィルム4の間は透明樹脂等の充填剤5で絶縁され、
端部6をフレーム7で挟み込むように支持した構造であ
る。
【0006】一方で、非晶質シリコンなどの材料からな
る非結晶系太陽電池モジュール8は、ガラス等の基板上
にいわゆる薄膜太陽電池セル9を直接大面積で形成する
ことができるので、薄膜太陽電池セル9の上面側(太陽
電池モジュール8の裏面側に相当する)を液状の樹脂1
0により封止した構造である(図14参照)。該樹脂1
0は、その流動性のためフロントカバー3の側縁部11
を回り込んでいる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この種の非結
晶系太陽電池モジュール8では、薄膜化が可能である一
方で、セルを構成する半導体層、金属電極層、透明電極
層等の電気伝導性が高いため、薄膜化と相まって絶縁耐
圧が低くなりやすい。これに対する対策として、例えば
結晶系太陽電池モジュール1の場合に行われているよう
に、フレーム7内に熱可塑性ブチルゴム等の樹脂(図示
省略)を充填して、フレーム7とフロントカバー3等の
間を絶縁することが考えられるが、樹脂充填工程の追加
や、材料費のアップ等につながり、好ましくない。
【0008】また、前記樹脂充填を行う場合でも、樹脂
の充填が完全でない場合、一部でフレーム7とセルの導
電部分が接触して絶縁不良を起こす場合がある。さら
に、非結晶系太陽電池モジュール8では、電極や光発電
部を形成するための手段にCVDやスパッタ等のプロセ
スを用いることが多いため、導電層の一部がフロントカ
バー3の裏面にまで回り込むことが多く、このためフレ
ーム7とセルとの電気的な接触機会が大きくなり、絶縁
性能を低下させる原因にもなる。
【0009】一方、モジュール全体のごく一部に欠陥が
ある場合でも絶縁性能という観点ではそのモジュールは
不良品になってしまうので、複数の太陽電池モジュール
を併設して太陽光発電システムを組み上げる場合には、
個々のモジュールの全数検査を行い、不良品を除く必要
がある。しかし、モジュールの耐電圧検査は最終的にフ
レーム付けまで行われた後で実施することになるため、
最終製品にまで組み上げたモジュールを不良品として処
理するために、歩留りのわずかな低下でも工程の大幅な
コストアップにつながる。従って、絶縁不良の製品を極
力減らすことはコスト低減のためにも重要な要素とな
る。
【0010】このようなことから、本発明者は、先に、
太陽電池モジュールの耐電圧性能を向上させるため、太
陽電池モジュールの周辺部に複数の絶縁部分を設ける構
造および方法を提案した(特開平8−83919号)。
即ち、太陽電池モジュールの周辺部に、フレームに沿っ
て、複数の絶縁部分、例えば相互に平行に延びる複数の
分離溝を形成し、それによって太陽電池モジュールを発
電部と周縁部とに絶縁分離し、太陽電池モジュールの発
電部とフレームとの間の絶縁分離を図るものである。
【0011】しかし、このような構造および方法によっ
ても、例えば分離溝に異物等が存在すると、その部分の
抵抗が下がり、絶縁不良となってしまう。
【0012】本発明はかかる点に鑑みなされたもので、
優れた耐電圧性能を有するとともに、製造歩留りを更に
向上させることのできる太陽電池モジュール及びその製
造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、基板上に第1の電極層、光電変換層およ
び第2の電極からなる積層体を複数に分割して複数の光
電変換セルを形成し、これらを集積して光電変換デバイ
スを形成し、封止し、基板端部を挟持するようにフレー
ムを設けた太陽電池モジュールであって、前記積層体を
発電部と周縁部とに電気的に分離するように、前記フレ
ームに沿って前記積層体に第1および第2の分離溝を含
む複数の分離溝を形成するとともに、これら複数の分離
溝の少なくとも隣接する2つの分離溝に挟まれた領域を
複数の領域に電気的に分断するように、前記2つの分離
溝の橋渡しをする第3の分離溝を形成したことを特徴と
する太陽電池モジュールを提供する。
【0014】本発明の太陽電池モジュールにおいて、フ
レームは、基板端部の全周を取り巻いて設けることが出
来る。しかし、場合によっては、基板の両端部のみにフ
レームを設けることも可能である。なお、フレームの少
なくとも1部は金属等の導電性材料により構成されてい
る。
【0015】光電変換層は、非晶質シリコン、非晶質シ
リコンカーバイド、非晶質シリコンゲルマニウム、微結
晶シリコン、および薄膜多結晶シリコンからなる群から
選ばれた薄膜非単結晶シリコン系材料により構成するこ
とが出来る。
【0016】分離溝の幅は、約20μm〜約500μm
の範囲とすることが出来る。
【0017】分離溝は、通常、レーザービームを照射し
て形成することが出来る。この場合、分離溝は、レーザ
ビームの基本波又はその高次高調波で形成することが出
来る。また、レーザビーム源を、光電変換デバイスの集
積化に使用するレーザビーム源と同じものとすることが
出来る。
【0018】なお、分離溝は、必ずしもレーザビームに
限らず、表面研磨、微粒子の吹き付け、エッチング等に
より形成することも可能である。
【0019】以上のように構成される本発明によると、
フレームに沿って、第1および第2の分離溝を含む複数
の分離溝を形成するとともに、これら複数の分離溝の少
なくとも隣接する2つの分離溝に挟まれた領域を複数の
領域に電気的に分断するように、2つの分離溝の橋渡し
をする第3の分離溝を形成している。そのため、フレー
ムに沿って形成された複数の分離溝に異物が存在し、そ
れによって、光電変換デバイスとフレームとの絶縁分離
が損なわれるような場合であっても、2つの分離溝の橋
渡しをする第3の分離溝によって、異物によって抵抗の
下がった領域とフレームとの間の絶縁分離が図られ、そ
の結果、太陽電池モジュールの耐電圧性能の向上が可能
である。
【0020】特に、フレームの少なくとも一部が金属材
料の場合には、耐電圧性能が低下しがちであるが、この
場合でも実用上まで耐電圧性能を高めることができる。
また、フレームが、基板端部の全周を取り巻いて設けら
れた場合にも、耐電圧性能が低下しがちであるが、この
場合でも実用上まで耐電圧性能を高めることができる。
【0021】フレームに沿って形成される分離溝の数は
多いほど絶縁耐力が高くなるので好ましいが、分離溝が
形成される領域は、太陽電池としては光電変換などに寄
与しない部分であるので、太陽電池の効率からは少ない
ほうが望ましい。本発明では、最小限2つの分離溝があ
れば、それらの橋渡しをする第3の分離溝があるので、
十分な耐電圧性能を得ることが可能である。
【0022】第3の分離溝の数も任意であり、多ければ
多いほど耐電圧性能は向上するが、多すぎると製造効率
が低下してしまう。
【0023】分離溝の幅は、約20μm〜約50μmの
範囲とすることが、太陽電池の効率上及び絶縁耐力の関
係で好ましい。
【0024】そして、分離溝をレーザービームを照射す
ることにより形成した場合には、精度良く高い生産性
で、分離溝を形成することができる。
【0025】また、分離溝をレーザビームの基本波又は
その高次高調波で形成することで、多くのレーザ源が不
要となる。とりわけ、薄膜太陽電池の集積化において使
用するレーザビーム源を併用すると、一貫して生産でき
るので便宜である。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態に係る
太陽電池モジュール及びその製造方法について、図面を
参照して説明する。図1は本発明に係る太陽電池モジュ
ールの一例を示す断面図、図2は、図1に示す太陽電池
モジュールの封止前の状態を示す平面図である。また、
図3〜図10は、図1に示す太陽電池モジュールの製造
手順を説明するための断面断面図である。
【0027】図1に示す太陽電池モジュール12は、基
本単位となる光電変換デバイスである太陽電池セル13
をフロントカバーとなるガラス基板14上に集積して封
止し、その周端部にアルミニウムフレーム15を装着し
たものである。なお、本例では、ガラス基板14の周端
部のすべてにアルミニウムフレーム15を装着した場合
を例示するが、勿論ガラス基板14の両側のみに設ける
場合もある。
【0028】ガラス基板14は、30cm×40cmの
大きさで4mmの厚さを有し、このガラス基板14の周
端部を除いた部分に光電変換デバイス素子として作用す
る複数個の太陽電池セル13が縦続接続されて集積され
ている。
【0029】太陽電池セル13は、ガラス基板14の上
面に透明電極層として約9mm幅のストライプ状(分離
幅約100μm)に形成された膜厚約900nmのSn
層16と、p型a−SiC:H/i型a−Si/n
型a−Siからなる半導体層17と、金属電極層として
のアルミニウム層18が積層されて構成されている。
【0030】半導体層17の基体となる組成は、上記し
たものに限らず、非晶質シリコン,非晶質シリコンカー
バイド,非晶質シリコンゲルマニウム,微結晶シリコ
ン,薄膜多結晶シリコン等の薄膜非単結晶シリコン系材
料からなり、いわゆる薄膜太陽電池を構成するものが用
いられる。
【0031】本例の半導体層17の各層の膜厚は、それ
ぞれ約20nm、500nm、40nmであり、この半
導体層17はSnO膜16の右側分離線19のさらに
右側約100μmの位置に、それに平行になるように分
離幅約150μmで除去分離されている。アルミニウム
層18は、その厚みが約300nmで半導体層17の右
側約100μmの位置にそれぞれ平行になるように分離
幅約200μmで除去分離されている。
【0032】太陽電池モジュール12の周端部にあたる
部分で、ガラス基板14の端から内側へ向かって約1c
mにかからない部分に、最右端及び最左端の太陽電池セ
ル13のストライプに銅箔線を這わせて形成される正負
両電極20,21が配置されている。これら正負両電極
20,21には夫々リード線が取り付けられている。
【0033】本モジュールの裏面側に当たる部分は、E
VAとテドラーフィルムからなる樹脂22により封止さ
れた後、カバーフィルム23が積層されている。そし
て、カバーフィルム23とガラス基板14の周端部を挟
持するように、前記アルミニウムフレーム15が取り付
けられている。
【0034】一方、ガラス基板14の周囲から約8mm
内側を、約200μm幅でSnO層16,半導体層1
7,アルミニウム層18を除去分離して第1の分離溝2
4が形成され、さらに周囲から約7.5mmの位置に第
1の分離溝24の作成条件と同じ条件で約200μm幅
で除去分離して第2の分離溝25が形成されている。こ
の第2の分離溝25は、前記アルミニウムフレーム15
の挟持端面15aより内側に位置されている。
【0035】また、図2に示すように、第1の分離溝2
4と第2の分離溝25とを繋ぐように、これら分離溝2
4,25に垂直な方向に、複数の第3の分離溝26が形
成されている。なお、第3の分離溝26は、必ずしも分
離溝24,25に垂直な方向に設けられている必要はな
く、所定の角度の直線状または曲線状に、分離溝24,
25を繋いでいればよい。
【0036】このように、第3の分離溝26を形成する
ことにより、更に耐電圧性能が向上する理由について、
図3を参照して説明する。図3は、太陽電池モジュール
12の周端部を拡大して示す平面図であり、図3(a)
に示すように、終端部は、第1および第2の分離溝2
4,25により領域30a,30b、30cの3つの領
域に絶縁分離されている。
【0037】しかし、これら分離溝24,25に異物3
1a,31bが存在する場合には、その部分で抵抗が低
くなり、領域30a,30b、30cは接続されてしま
うことになる。
【0038】これに対し、図3(b)に示すように、第
1の分離溝24と第2の分離溝25とを繋ぐように、第
3の分離膜を形成することにより、分離溝24,25に
たとえ異物31a,31bが存在したとしても、異物3
1a,31bを介して領域30aと領域30cとが接続
されることはなく、太陽電池モジュール12の耐電圧性
能が低下することはない。
【0039】なお、実際には図3(b)に示すように異
物の位置にあわせて第3の分離溝を形成することは困難
であるが、任意の個所に複数設けることにより、全体と
して太陽電池モジュール12の耐電圧性能を向上させる
ことが出来る。
【0040】第1〜第3の分離膜は、図3(b)に示す
ようにはしご状の形状に限らず、図4に示すように、第
1および第2の分離膜を断続的に形成し、間にX状の第
3の分離膜で繋いだ構成(第1および第2の分離膜を交
互に交差させた構成)にすることも可能である。このよ
うな構成において、分離溝24,25にたとえ異物31
a,31bが存在したとしても、異物31a,31bを
介して領域30aと領域30cとが接続されることはな
く、太陽電池モジュール12の耐電圧性能が低下するこ
とはない。
【0041】次に、図1および図2に示す太陽電池モジ
ュール12において、第1〜第3の分離溝を作成するま
での製造手順を、図5〜図12を参照してレーザーパタ
ーニング法を用いた方法について説明する。
【0042】ここで、レーザーパターニング法により第
1〜第3の分離溝24,25,26を形成したのは、こ
れら分離溝24,25,26は太陽電池としては光電変
換などに寄与しない部分になるため、なるべく除去部分
の面積を小さくすることが好ましく、また、本例のアル
ミニウムフレーム15はモジュールの全周を取り巻いて
いるために、除去部分の幅は太陽電池の面積効率にも少
なからず影響するために、その幅の作成精度を上げるこ
とがひとつの目的である。
【0043】また、大面積の薄膜太陽電池は、一般には
レーザービームを用いて集積化を行うことが多く、集積
化と同じビームを用いることがプロセス的には有利であ
り、この点からレーザーパターニングによる分離溝の幅
は約20μmから約500μmの範囲であることが必要
であり、より好ましくは数十から数百μm程度を選定す
ることが望ましい。また、除去部分の幅を大きくするた
めにはレーザービームの径を大きくしなければならず、
パターニングするためのエネルギーが大きくなり出力の
大きなレーザー源が必要になるので、上記範囲の分離幅
が採用される。
【0044】まず、30cm×40cmで厚さ4mmの
ガラス基板14上の一面にCVD法によりSnO層1
6を約900nmの膜厚で形成した(図5)。このと
き、SnO層16の一部は、ガラス基板14上だけで
なく、その反対面側にも回り込んで形成されていた。
【0045】次いで、ガラス基板14を損傷しないよう
にYAGレーザーを用いて分離幅約100μmで約9m
m幅のストライプ状にSnO層16を分割したのち、
純水で超音波洗浄を行った(図6)。かかる状態のガラ
ス基板14上にプラズマCVD法により順次、膜厚が約
20nmのp型a−SiC:H,膜厚が約500nmの
i型a−Si,膜厚が約40nmのn型a−Siからな
る半導体層17を形成した(図7)。
【0046】そして、SnO層16の右側分離線19
の右側約100μmの位置にそれに平行になるように前
記YAGレーザーの第2高調波を用いて分離幅約150
μmでSnOにダメージのないように半導体層17を
除去分離し(図8)、さらにスパッタ法によってアルミ
ニウム層18を約300nmの厚みで形成した(図
9)。
【0047】そして、半導体層17の右側約100μm
の位置にそれぞれ平行になるようにYAGレーザーの第
2高調波を用いて分離幅約200μmで半導体層17を
損傷させないようにしてアルミニウム層18を除去分離
した(図10)。このように、上記各工程によりガラス
基板14の端部を除いて、複数個の太陽電池セル13が
縦続接続により集積される。
【0048】次いで、分離溝24,25,26の形成工
程に移る。すなわち、半導体層17とアルミニウム層1
8の除去分離後ガラス基板14の周囲から約8mm内側
を約200μm幅で前記YAGレーザー第2高調波でパ
ワーを上げて、SnO層16、半導体層17、アルミ
ニウム層18の全てを除去して第1の分離溝24を作成
(図11)した後、さらに周囲から約7.5mmの位置
に第1の分離溝24の作成条件と同じ条件でもう1本分
離のための第2の分離溝25を作成した(図12)。
【0049】更に、第1および第2の分離溝24,25
を繋ぐように、第1および第2の分離溝24,25に垂
直な方向に、図2および図3(b)に示すような、第3
の分離膜26を形成した。第3の分離膜26の作成条件
は、第1および第2の分離溝24,25の作成条件と同
様であった。
【0050】最後に、ガラス基板14の端部の処理工程
に移る。すなわち、ガラス基板14の周囲から内側約1
cmにかからないようにその内側の最右端及び最左端の
ストライプ部分を用いて超音波半田で銅箔線を這わせて
正負両電極20,21を配置し、これら電極20,21
に正負リード線を夫々取りつける。そののちEVAとテ
ドラーフィルムで真空ラミネータを用いて裏面部を液状
の樹脂22で封止した後、カバーフィルム23,アルミ
ニウムフレーム15を取り付けた。このとき、樹脂22
はガラス基板14の側面がわまで回り込んでいた。
【0051】上記の如くして作成される本例の太陽電池
モジュール12のサンプルを複数枚用意し、夫々のサン
プルの正負両リード線を短絡させた後アルミニウムフレ
ーム15との間に直流電圧を印加することにより耐電圧
を測定した。
【0052】同時に、比較例に係る太陽電池モジュール
についても同様に耐電圧を測定して本例のものと比較し
た。ここで、比較例1の太陽電池モジュールは、第1〜
第3の分離溝をいずれも有していないものであり、比較
例2の太陽電池モジュールは、第1の分離溝24のみを
形成したもので、比較例3の太陽電池モジュールは、第
1および第2の分離溝のみを形成したものである。記耐
圧試験の結果を下記表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】表1の数字は、耐圧レベルを4段階に分類
したときの夫々のレベル内の耐圧を有するサンプル数で
ある。
【0055】比較例1のサンプル数は10枚であり、す
べてのサンプルの耐圧はいずれも1KV以下であり、ほ
とんどが初期から短絡状態であった。比較例2のサンプ
ル数は40枚であり、比較例1に比べて改善されたもの
の、10kV以上が2枚、5〜10kVが24枚、1〜
5kVが6枚、1kV以下が8枚であった。比較例3の
サンプル数は40枚であり、10kV以上が5枚、5〜
10kVが33枚、1〜5kVが2枚、1kV以下が0
枚であり、比較例2に比べ改善された。
【0056】これに対して、実施例のサンプル数は40
枚であり、耐電圧測定の結果10kV以上が35枚、5
〜10kVが5枚、1〜5kVが0枚、1kV以下が0
枚であり、耐電圧が屋外用太陽電池として実用上問題が
ない程度に大幅に改善したのが確認された。
【0057】なお、本例では、フレームに沿った分離溝
を2本形成したが、太陽電池の面積効率を大きく阻害し
ない限度で3本以上に形成し、それぞれ隣接する分離溝
間を橋渡しの分離溝で網目状に繋ぐことで、その耐圧特
性をさらに改善することができる。
【0058】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
ると、薄膜太陽電池の絶縁性能を向上させることができ
るので、屋外用太陽電池の実用化に極めて有効である。
特に、複数の太陽電池モジュールを併設して太陽光発電
システムを組み上げる場合でも、個々のモジュールの耐
圧が向上するので、全体としての耐圧に対する信頼性が
向上する。その結果、耐電圧性能の不良による歩留り低
下を防止し、ひいてはモジュールのコスト低減を図るこ
とができる。
【0059】更に、分離溝の形成を、薄膜太陽電池の集
積化において用いたのと同じレーザービームを用いるこ
とができるので、生産工程上も便宜であるうえに、分離
精度とともに生産性を高めることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュール
の一例を示す断面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュール
の一例を示す断面図。
【図3】本発明の一実施形態および従来の太陽電池モジ
ュールの周縁部を拡大して示す平面図。
【図4】本発明の他の実施形態に係る太陽電池モジュー
ルの周縁部を拡大して示す平面図。
【図5】本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュール
の製造プロセスにおいて、ガラス基板上にSnO層を
形成した状態を示す断面図。
【図6】本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュール
の製造プロセスにおいて、SnO層をストライプ状に
分割した状態を示す断面図。
【図7】本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュール
の製造プロセスにおいて、半導体層を形成した状態を示
す断面図。
【図8】本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュール
の製造プロセスにおいて、半導体層を除去分離した状態
を示す断面図。
【図9】本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュール
の製造プロセスにおいて、アルミニウム層を形成した状
態を示す断面図。
【図10】本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュー
ルの製造プロセスにおいて、アルミニウム層を除去分離
した状態を示す断面図。
【図11】本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュー
ルの製造プロセスにおいて、第1の分離溝を作成した状
態を示す断面図。
【図12】本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュー
ルの製造プロセスにおいて、第2の分離溝を作成した状
態を示す断面図。
【図13】一般的な結晶系太陽電池モジュールの構造を
示す断面図。
【図14】一般的な非結晶系太陽電池モジュールの構造
を示す断面図。
【符号の説明】
12…太陽電池モジュール 13…太陽電池セル 14…ガラス基板 15…アルミニウムフレーム 16…SnO層 17…半導体層 18…アルミニウム層 20,21…電極 22…封止樹脂 23…カバーフィルム 24…第1の分離溝 25…第2の分離溝 26…第3の分離溝 30a,30b,30c…分離された領域 31a,31b…異物

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に第1の電極層、光電変換層および
    第2の電極からなる積層体を複数に分割して複数の光電
    変換セルを形成し、これらを集積して光電変換デバイス
    を形成し、封止し、基板端部を挟持するようにフレーム
    を設けた太陽電池モジュールであって、前記積層体を発
    電部と周縁部とに電気的に分離するように、前記フレー
    ムに沿って前記積層体に第1および第2の分離溝を含む
    複数の分離溝を形成するとともに、これら複数の分離溝
    の少なくとも隣接する2つの分離溝に挟まれた領域を複
    数の領域に電気的に分断するように、前記2つの分離溝
    の橋渡しをする第3の分離溝を形成したことを特徴とす
    る太陽電池モジュール。
  2. 【請求項2】前記フレームは、基板端部の全周を取り巻
    いて設けられたことを特徴とする請求項1に記載の太陽
    電池モジュール。
  3. 【請求項3】前記絶縁溝の幅が20μmから500μm
    の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の
    太陽電池モジュール。
  4. 【請求項4】前記光電変換層が、非晶質シリコン、非晶
    質シリコンカーバイド、非晶質シリコンゲルマニウム、
    微結晶シリコン、および薄膜多結晶シリコンからなる群
    から選ばれた薄膜非単結晶シリコン系材料からなること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の太陽
    電池モジュール。
  5. 【請求項5】前記分離溝を、レーザービームを照射して
    形成することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モ
    ジュールの製造方法。
  6. 【請求項6】前記分離溝を、前記レーザビームの基本波
    又はその高次高調波で形成することを特徴とする請求項
    5記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  7. 【請求項7】前記レーザビーム源が前記光電変換デバイ
    スの集積化に使用するものと同じであることを特徴とす
    る請求項5又は6に記載の太陽電池モジュールの製造方
    法。
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