JP2014074907A - 調光材料及び調光フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】感刺激性ポリマーを含有し、刺激に応じて特定波長領域の光透過率を制御可能な調光材料であって、前記感刺激性ポリマーは、下記一般式(1)で表される繰り返し単位と下記一般式(2)で表される繰り返し単位とを有するアセチレン系共重合体である調光材料。
[化1]
一般式(1)中、R1は、炭素数1〜20のアルキル基により置換された縮合多環式アリール基を表す。
一般式(2)中、R2は、水素結合性の水素供与基を有する炭素数1〜20のアルキル基により置換された縮合多環式アリール基を表す。
【選択図】 なし
Description
一般式(2)中、R2は、水素結合性の水素供与基を有する炭素数1〜20のアルキル基により置換された縮合多環式アリール基を表す。
以下に本発明を詳述する。
上記一般式(1)における縮合多環式アリール基は、ナフタレン基、アントラセン基及びフェナントレン基からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。即ち、アセチレン系共重合体を構成する一般式(1)で表されるモノマーユニットの縮合多環式アリール基は単一であってもよく、異なってもよい。上記縮合多環式アリール基がナフタレン基、アントラセン基及びフェナントレン基からなる群より選択される少なくとも1種である場合には、刺激を付与した際に充分な長波長領域にまで優れた光吸収特性を示し、近赤外線領域の光透過率も好適に制御することができる。なかでも、フェナントレン基であることがより好ましい。
上記一般式(2)における縮合多環式アリール基は、ナフタレン基、アントラセン基及びフェナントレン基からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。即ち、アセチレン系共重合体を構成する一般式(2)で表されるモノマーユニットの縮合多環式アリール基は単一であってもよく、異なってもよい。上記縮合多環式アリール基がナフタレン基、アントラセン基及びフェナントレン基からなる群より選択される少なくとも1種である場合には、刺激を付与した際に充分な長波長領域にまで優れた光吸収特性を示し、近赤外線領域の光透過率も好適に制御することができる。なかでも、フェナントレン基であることがより好ましい。
なお、上記一般式(1)における縮合多環式アリール基と、上記一般式(2)における縮合多環式アリール基とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
なお、上記一般式(1)における炭素数1〜20のアルキル基と、上記一般式(2)における炭素数1〜20のアルキル基とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
なお、本明細書において水素結合性の水素供与基が末端付近に位置するとは、縮合多環式アリール基に結合したアルキル基を構成する炭素のうち、縮合多環式アリール基から最も遠い位置にある末端から3以内の炭素に水素結合性の水素供与基が結合していることを意味し、末端に位置するとは、縮合多環式アリール基から最も遠い位置にある炭素に水素結合性の水素供与基が結合していることを意味する。
そのような上記式(1)で表される繰り返し単位及び上記式(2)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位としては、フェニルアセチレン、ジフェニルアセチレン、スチレンに由来する繰り返し単位等が挙げられる。
上記重合温度としては、室温でもよく、80℃程度に加熱してもよい。
上記他の樹脂としては、透明性が高くかつ上記感刺激性ポリマーとの混合性に優れるものが好ましく、オレフィン系樹脂、(メタ)アクリレート系樹脂、エステル系樹脂、アミド系樹脂、カーボネート系樹脂等が挙げられる。
このような方法で酸化剤及び/又は還元剤を添加する場合、感刺激性ポリマーの種類や、酸化剤及び/又は還元剤の種類及びその溶液中での濃度を変化させることにより、光の透過率の変化する波長領域及び光透過率を任意に制御することができる。
また、後述する方法により調光フィルムを作製する場合、上記のように光の透過率を任意に調整した調光材料を用いることで、所望の調光特性を有する調光フィルムを作製することができる。
本発明の調光材料からなる調光フィルムもまた、本発明の一つである。
上記透明基材としては、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、硼珪酸ガラス、石英ガラス等のガラス板、ポリアクリル類、ビニル系樹脂、ポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリカーボネ−ト類、エポキシ系樹脂、アセタール系樹脂等のホモポリマー、コポリマー、ポリマーブレンド等の樹脂板等が挙げられる。また、エステル系樹脂、イミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリエチレンテレフタレート等のフレキシブル基板も好適に用いることができる。
上記他のフィルムとしては、上記調光材料からなるフィルムと積層することで積層体として新たな機能を付与するもの、上記調光材料からなるフィルムの機能を向上させるものが挙げられる。このような他のフィルムとしては、オレフィン系樹脂、エステル系樹脂、ブチラール樹脂等からなる樹脂フィルムや、支持電解質を含有する電解質膜等が挙げられる。
上記塗工する方法としては、スピンコート法、キャスト法等の従来公知の方法を用いることができる。
上記接触させる方法としては、酸化剤及び/又は還元剤の溶液中に本発明の調光フィルムを所望の透過率変化を与えうる時間浸す方法や、本発明の調光フィルムを酸化剤及び/又は還元剤を含有する蒸気に接触させる方法等が挙げられる。上記酸化剤及び/又は還元剤の種類やそれらの溶液の濃度、接触させる時間等を調整することにより、所望の調光特性を有する調光フィルムを得ることができる。
なお、ここで用いる酸化剤及び還元剤としては、上述したものと同様のものを用いることができ、感刺激性ポリマーと酸化剤及び/又は還元剤の組み合わせとしては、上述した好ましい組み合わせと同様の組み合わせを好適に用いることができる。
一対の電極基板間に本発明の調光フィルムと電解質膜とが挟持することにより、調光体を得ることができる。
上記電解質膜としては、支持電解質とバインダー樹脂とを含有する組成物からなるものが挙げられる。
上記アンモニウムカチオンとしては、テトラエチルアンモニウム、トリメチルエチルアンモニウム、メチルプロピルピロリジニウム、メチルブチルピロリジニウム、メチルプロピルピペリジニウム、メチルブチルピペリジニウム等のアルキルアンモニウムカチオンや、エチルメチルイミダゾリウム、ジメチルエチルイミダゾリウム、メチルピリジニウム、エチルピリジニウム、プロピルピリジニウム、ブチルピリジニウム等が挙げられる。
上記アニオンとしては、過塩素酸アニオン、ホウフッ化アニオン、リンフッ化アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ビストリフルオロメタンスルホン酸イミドアニオン等が挙げられる。
上記溶媒としては、アセトニトリル、ニトロメタン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン等のエステル化合物や、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の置換テトラヒドロフラン化合物や、1,3−ジオキソラン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン、t−ブチルエーテル、イソブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン等のエーテル化合物や、エチレングリコール、ポリエチレングリコールスルホラン、3−メチルスルホラン、蟻酸メチル、酢酸メチル、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等の有機溶媒が挙げられる。
また、上記溶媒としては、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート等のジエステル化合物を使用してもよい。
上記透明導電膜としては、金、銀、クロム、銅、タングステン等の金属薄膜や、ITO、酸化スズ、酸化亜鉛等の金属酸化物からなるものや、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリアニリン、ポリアセン、ポリエチレンジオキシチオフェン等の導電性高分子化合物からなるもの等が挙げられる。
(1)アセチレン系共重合体の調製
9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン(式(1−1)で表される繰り返し単位を構成するためのモノマー)と、9−エチニル−10−(12−(t−ブチルジフェニルシロキシ)−n−ドデシル)フェナントレン(式(2−1)で表される繰り返し単位を構成するためのモノマー、式(2−1)の水酸基をシリル基で保護したもの)とを表1に記載したモル比率でトルエン溶媒に溶解し、これに重合触媒のWCl6を添加した後、40℃で3時間反応させた。
反応後、大量のアセトンを加えて析出させた後、ろ過、乾燥させて回収した生成物にテトラブチルアンモニウムフロリドの1.0mol/Lテトラヒドロフラン溶液をシリル基の4倍当量添加し、2時間撹拌することでシリル基部分を脱保護した。
その後、ジエチルエーテルで生成物を抽出し、塩水、水で洗った後大量のアセトンに沈殿、ろ過、乾燥させることにより、アセチレン系共重合体を得た。
得られたアセチレン系共重合体の質量平均分子量は、いずれもポリスチレン換算で約150000であった。
トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)47.6重量部に、支持電解質としてビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸リチウム(LiTFSI)13.4重量部、酸化防止剤として2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)(川口化学工業社製、アンテージW500)0.5重量部を溶解して電解質溶液を調製した。得られた電解質溶液の全量と、アセチル基量13mol%、水酸基量22mol%、平均重合度が2300のポリビニルブチラール100重量部とを混合して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートに挟み、厚さ400μmのスペーサを介して、熱プレスにて150℃、9.8MPaの条件で5分間加圧し、厚さ400μmの電解質膜を得た。
9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン(式(1−1)で表される繰り返し単位を構成するためのモノマー)と、9−エチニル−10−(10−(メチルエステル)−n−デシル)フェナントレン(式(2−2)で表される繰り返し単位を構成するためのモノマー、式(2−2)のカルボキシル基をメタノールで縮合したもの)とを表1に記載したモル比率でトルエン溶媒に溶解し、これに重合触媒のWCl6を添加した後、40℃で3時間反応させた。
反応後、大量のアセトンを加えて析出させた後、ろ過、乾燥させて回収した生成物にテトラヒドロフランを加え溶解し、水酸化ナトリウムを添加し、加水分解することで、カルボキシル基を生成させた。
その後、ジエチルエーテルで生成物を抽出し、塩水、水で洗った後大量のアセトンに沈殿、ろ過、乾燥させることにより、アセチレン系共重合体を得た。
得られたアセチレン系共重合体の質量平均分子量は、いずれもポリスチレン換算で約150000であった。
得られたアセチレン系共重合体を用いた以外は実施例1と同様にして、調光フィルムを形成し、調光フィルムと電解質膜との積層体を得た。
9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレンをトルエン溶媒に溶解し、これに重合触媒のWCl6を添加した後、40℃で3時間反応させた。反応後、大量のアセトンを加えて析出させた後、ろ過、乾燥させて9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレンの単独重合体を得た。
得られた9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレンの単独重合体の質量平均分子量は、いずれもポリスチレン換算で約150000であった。
得られた9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレンの単独重合体を用いた以外は実施例1と同様にして、調光フィルムを形成し、調光フィルムと電解質膜との積層体を得た。
実施例及び比較例で得られた調光材料、調光フィルムについて、以下の方法により評価を行った。結果を表1に示した。
調光フィルムと電解質膜との積層体を、調光フィルム側がITO透明導電膜が形成されたガラス(表面抵抗100Ω/□)側に、電解質膜側がポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム側になるようにしてガラスとPETフィルムとの間に挟み込み、端部の調光フィルムとITO透明導電膜との間にPETフィルム(縦25mm×横20mm)を挟み込み、90℃の真空ラミネーターで圧着し、圧着後140℃、14MPaの条件でオートクレーブを用いて20分間圧着を行い、ピール試験用のサンプル(縦25mm×横150mm)とした。
引張試験機でピール試験を行い、透明導電膜と調光フィルムとの接着性を評価した。試験条件は、剥離角度を180度、温度を室温、剥離速度を200mm/分とした。
調光フィルムと電解質膜との積層体を縦45mm×横45mmのサイズに切断した。切断した調光フィルムと電解質膜との積層体を、縦50mm×横50mmの一対のITOガラス(表面抵抗120Ω/□)で、積層体の両面がそれぞれの導電膜と接するように挟み込んで積層した。得られた積層体を、90℃の真空ラミネーターで圧着し、圧着後140℃、14MPaの条件でオートクレーブを用いて20分間圧着を行い、調光体を得た。
得られた調光体の電極に+2Vの直流電圧を印加した後、−2Vの直流電圧を印加し、透過率の変化を目視にて観察した。透過率の変化が認められた場合を「○」、変化が認められなかった場合を「×]と評価した。
Claims (7)
- 縮合多環式アリール基は、ナフタレン基、アントラセン基及びフェナントレン基からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の調光材料。
- 縮合多環式アリール基は、オルト位が置換されていることを特徴とする請求項1又は2記載の調光材料。
- 水素結合性の水素供与基は、炭素数1〜20のアルキル基の末端に位置することを特徴とする請求項1、2又は3記載の調光材料。
- 水素結合性の水素供与基は、水酸基であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の調光材料。
- 一般式(1)で表される繰り返し単位と一般式(2)で表される繰り返し単位とのモル比が10:90〜50:50であることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の調光材料。
- 請求項1、2、3、4、5又は6記載の調光材料からなることを特徴とする調光フィルム。
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