JP2014074190A - 成膜装置 - Google Patents

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賢太朗 朝倉
Tetsuya Saito
哲也 斉藤
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Abstract

【課題】面内均一性の良好な膜を成膜可能な成膜装置を提供する。
【解決手段】真空雰囲気である処理室内の円形の基板に対して互いに反応する複数種類の反応ガスを順番に供給し成膜処理を行う枚葉式の成膜装置において、天井部には、載置部2に載置された基板Wの中央部と対向する位置に開口するガス供給路311を備え、円形のガス分散板4はガス供給路311の開口部の中央部を通って下方側に突出する支持棒41の下端部にその中央部が支持され、前記開口部の真下から見て当該開口部を覆うように設けられている。この分散板4は、少なくとも支持棒41に支持される中央部からはガスが下方に流出しないように構成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、基板に対して互いに反応する複数種類の反応ガスを順番に供給して膜を形成する成膜装置に関する。
基板である例えば半導体ウエハ(以下「ウエハ」と言う)に膜を成膜する手法として、互いに反応する複数種類の反応ガスをウエハに対して順番に供給するいわゆるALD(Atomic Layer Deposition)法やMLD(Multi Layer Deposition)法(以下、これらを総合してALD法と称する)などと呼ばれる方法が知られている。
ALD法は、ウエハに吸着したガス同士を反応させて膜を形成する手法であるため、面内均一性に優れた成膜を行うことが可能な成膜法である。ところが近年、ナノメートルのオーダーで成膜される膜のウエハ面内における膜厚の均一性(例えば後述のM−m値)を5%前後にするといった高度な面内均一性が要求されるようにもなってきている。
一方、複数種類の反応ガスを共通のガス供給機構から供給する場合などには、ガス供給機構内における反応物の堆積を抑制するために、反応ガスの切り替え時に不活性ガスなどの置換ガスを供給することがある。この置換操作は、ウエハへの成膜には寄与しないため、ガス供給機構やウエハが載置された処理室の容積を小さくし、置換操作に要する時間を短くすることが効率的な成膜を行う上で重要となる。ところがガス供給機構の構成は、成膜される膜の面内均一性を左右する重要な要素の一つであり、面内均一性や置換性などに対する要求を同時に満足するガス供給機構の開発が課題となっている。
ここで引用文献1、2には、複数枚のウエハを円環状に配置した載置台(サセプタ1、基板ホルダ4A)を回転させながら、この載置台の中央部に種類の異なる反応ガスの供給を行う複数の配管(内管5、外管6、入口1A、1B)を多重に配置し、処理室(リアクタ3、処理室101)に反応ガスを供給する配管の下端部に、円環状の分散板(鍔状の仕切り板7、9、朝顔状に開いた同心状漏斗)を設けたCVD装置が記載されている(括弧内の単語は、各先行技術文献中の用語である。以下、先行技術文献の説明において同じ)。この成膜装置によれば、配管同士の隙間に形成されるガス流路を流れてきた反応ガスは、流路の出口にて内側の配管の下端部に設けられた分散板に衝突し、ウエハが載置されている領域に向けて広がっていく。一方、最も内側の配管内を流れてきた反応ガスは、載置台の表面に衝突してウエハの載置領域へと広がる。
しかしながらALD法により成膜を行う枚葉式の成膜装置において、ウエハの中央部上方に配置された配管から供給された反応ガスをウエハに衝突させて反応ガスを広げると、反応ガスを衝突させた位置の膜厚が厚くなり、膜の面内均一性が極端に悪化してしまう。
また特許文献3には、CVD法によりシリコンの成膜を行うガスソースエピタキシー装置が記載されている。この装置は、載置台(基板保持系21a)に一枚のウエハを載置する一方、このウエハを上方から覆うように天井部(椀状構造体33)を配置して処理室(主処理空間35)を形成し、ウエハ中央部の上方位置にて天井部に設けた開口部から反応ガスを供給するにあたり、載置台から見て前記開口部を覆うように分散板(拡散手段33a)を設けてウエハの被処理面に均一にガスを供給する技術が記載されている。
ここで引用文献3の図1によれば、真空処理装置の分散板は、天井部に固定された複数本の支持部材を用いて前記開口部の下方側に支持されている。ところが、既述のように置換ガスによる置換操作が行われるALD法の成膜装置では、処理室の容積を小さくするために載置台から天井部までの高さ距離が近いため、支持部材が設けられているところと、設けられていないところでガスの供給量にばらつきが生じ成膜結果が不均一になることがある(後述の比較例参照)。
さらに、特許文献4には、載置台(サセプタ21)上に載置された一枚のウエハの上方に反応性ガスを導入するための開口部(ガス導入口15)を設け、これら載置台と開口部との間に分散板(ガス分散板16)を設けたプラズマアッシング装置が記載されている。しかしながら、このプラズマアッシング装置ではウエハの全面を覆うことが可能な大きさの分散板が採用されており、またウエハと分散板との間の高さ距離もウエハの直径の数倍以上と大きい。このため、このプラズマアッシング装置に比べて近い位置から反応ガスを供給するALD法の成膜装置に本文献の分散板を設けると、ウエハの全面に反応ガスが十分に行き渡らなくなるおそれがある。
特開平9−246192号公報: 段落0017〜0018、図1 特表2003−518199号公報:段落0010〜0011、図2 特開2001−313258号公報:段落0030〜0038、図1 特開2001−7083号公報:段落0021、図1
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、面内均一性の良好な膜を成膜可能な成膜装置を提供することにある。
本発明に係る成膜装置は、真空雰囲気である処理室内の円形の基板に対して互いに反応する複数種類の反応ガスを順番に供給し、一の反応ガスの供給と次の反応ガスの供給との間に置換用のガスを供給して成膜処理を行う枚葉式の成膜装置において、
前記処理室に設けられ、基板が載置される載置部と、
前記載置部と対向して設けられた天井部と、
前記載置部上の基板の中央部と対向する位置にて、前記天井部に開口する開口部を備えたガス供給路と、
前記天井部から前記開口部の中央部を通って下方側に突出する支持棒と、
前記支持棒の下端部にその中央部が支持され、前記載置部上の基板と対向するようにかつ前記開口部の真下から見て当該開口部を覆うように設けられた円形のガス分散板と、
前記処理室内の真空排気を行う排気部と、を備え、
前記分散板は、少なくとも前記支持棒に支持される中央部からはガスが下方に流出しないように構成されていることを特徴とする。
上述の成膜装置は以下の特徴を備えていてもよい。
(a)前記ガス供給路は、前記一の反応ガスと次の反応ガスとの一方側の反応ガスを供給する第1のガス供給路と、前記第1のガス供給路の内側に配置された配管内に形成され、他方側の反応ガスを供給する第2のガス供給路とを備え、前記分散板は、前記第1のガス供給路及び第2のガス供給路の開口部の各々に設けられ、前記第1のガス供給路の開口部を覆う分散板は、前記配管を支持棒として当該配管の下端部に設けられていること。
(b)前記載置部上の基板から分散板までの高さ方向の距離が3.5〜25.0mmの範囲内であること。
(c)前記分散板には、反応ガスを通流させる通流口が設けられていること。
(d)前記天井部は、中央から外周に向けて末広がりの形状の傾斜面構造を有し、前記分散板の下方側には、前記傾斜面に沿って流れた後、この傾斜面から下方側へ剥離した反応ガスの流れを受け止め、その一部を前記載置部の中央部側へ通流させる通流口が設けられた円形の再分散板が設けられていること。
本発明は、載置台上の基板の中央部と対向する位置に、ガス供給路から供給される反応ガスを分散させるための円形の分散板が設けられ、且つ、この分散板は、ガス供給路の開口部の中央部を通って下方側に突出する支持棒によってその中央部が支持されている。この結果、支持棒周りに円対称に反応ガスを広げることができ、基板の周方向に均一な膜厚の成膜を行うことができる。また、この分散板は、少なくとも中央部からはガスが下方に流出しないように構成されているので、開口部の直下における過大な成膜が抑えられ、基板の径方向にも均一な膜を成膜できる。
本発明に係わる成膜装置の縦断面図である。 前記成膜装置の一部拡大縦断面図である。 前記成膜装置に設けられている天板部材の斜視図である。 前記天板部材の中央部の拡大縦断面図である。 前記成膜装置の作用を示す第1の説明図である。 前記成膜装置の作用を示す第2の説明図である。 他の成膜装置の作用を示す第1の説明図である。 前記他の成膜装置の作用を示す第2の説明図である。 通流口が設けられた分散板の第1の構成例を示す平面図である。 通流口が設けられた分散板の第2の構成例を示す平面図である。 通流口が設けられた分散板の第3の構成例を示す平面図である。 第2の実施の形態に関わる成膜装置の天板部材の斜視図である 第2の実施の形態に関わる天板部材の中央部の拡大縦断面図である。 分散板及び再分散板の第1の構成例を示す一部破断斜視図である。 分散板及び再分散板の第2の構成例を示す一部破断斜視図である。 分散板及び再分散板の第3の構成例を示す一部破断斜視図である。 変形例に係る分散板の取り付け例を示す斜視図である。 前記変形例に係る分散板の取り付け例を示す拡大縦断面図である。 比較例に係る分散板の取り付け例を示す拡大縦断面図である。 実施例に係る膜厚分布を示す説明図である。 比較例に係る膜厚分布を示す説明図である。 実施例に係る膜厚の変位を示す第1の説明図である。 実施例に係る膜厚の変位を示す第2の説明図である。 比較例に係る膜厚の変位を示す説明図である。
本発明の実施の形態に係わる成膜装置の構成について、図1〜図4を参照して説明する。本成膜装置は、成膜対象の円形の基板であり、例えば直径が300mmのウエハWの表面に、互いに反応する反応ガスである塩化チタン(TiCl)ガス(原料ガス)とアンモニア(NH)ガス(窒化ガス)とを交互に供給してALD法により窒化チタン(TiN)膜を成膜する装置として構成されている。
図1、図2に示すように成膜装置は、アルミニウム等の金属により構成され、平面形状が概ね円形の真空容器であり、処理室を構成する処理容器1と、この処理容器1内に設けられ、ウエハWが載置される載置台(載置部)2と、載置台2と対向するように設けられ、載置台2との間に処理空間312を形成するための天板部材31と、を備えている。処理容器1の側面には、載置台2との間でウエハWの受け渡しを行う際に、外部の真空搬送路に設けられたウエハ搬送機構を処理容器1内に進入させるための搬入出口11と、この搬入出口11を開閉するゲートバルブ12とが設けられている。
前記搬入出口11よりも上部側の位置には、アルミニウム等の金属からなり、縦断面の形状が角型のダクトを円環状に湾曲させて構成した排気ダクト13が、処理容器1の本体を構成する側壁の上に積み重なるように設けられている。排気ダクト13の内周面には、周方向に沿って伸びるスリット状の開口部131が形成されており、処理空間312から流れ出たガスはこの開口部131を介して排気ダクト13内に排気される。排気ダクト13の外壁面には排気口132が形成されており、この排気口132には真空ポンプなどからなる排気部65が接続されている。排気口132や排気部65は、処理空間312内の真空排気を行う排気部に相当する。
処理容器1内には、前記排気ダクト13の内側の位置に、載置台2が配置されている。載置台2は、ウエハWよりも一回り大きい円板からなり、例えば窒化アルミニウム(AlN)、石英ガラス(SiO)等のセラミックスやアルミニウム(Al)、ハステロイ(登録商標)等の金属により構成されている。載置台2の内部には、ウエハWを例えば350℃〜450℃の成膜温度に加熱するためのヒーター21が埋設されている。また必要に応じて、ウエハWを当該載置台2の上面側の載置領域内に固定するための図示しない静電チャックを設けても良い。なお、図1以外の縦断面図においてはヒーター21の記載を省略してある。
この載置台2には、前記載置領域の外周側の領域、及び載置台2の側周面を周方向に亘って覆うように設けられたカバー部材22を備えている。カバー部材22は例えばアルミナなどからなり、上下端が各々開口する概略円筒形状に形成されると共に、その上端部が内側に向かって周方向に亘って水平方向に屈曲している。この屈曲部は、載置台2の周縁部にて係止されており、当該屈曲部の厚み寸法は、ウエハWの厚み寸法(0.8mm)よりも厚く、例えば1mm〜5mmの範囲内の3mmとなっている。
載置台2の下面側中央部には、載置台2の底面を貫通し、上下方向に伸びる支持部材23が接続されている。この支持部材23の下端部は、処理容器1の下方側に水平に配置された板状の支持板232を介して昇降機構24に接続されている。昇降機構24は、搬入出口11から進入してきたウエハ搬送機構との間でウエハWを受け渡す受け渡し位置(図1に一点鎖線で記載してある)と、この受け渡し位置の上方側であって、ウエハWへの成膜が行われる処理位置との間で載置台2を昇降させる。
この支持部材23が貫通する載置台2の底面と、支持板232との間には、処理容器1内の雰囲気を外部と区画し、支持板232の昇降動作に伴って伸び縮みするベローズ231が、前記支持部材23を周方向の外部側から覆うように設けられている。
載置台2の下方側には、外部のウエハ搬送機構とのウエハWの受け渡し時に、ウエハWを下面側から支持して持ち上げる例えば3本の支持ピン25が設けられている。支持ピン25は、昇降機構26に接続されて昇降自在となっており、載置台2を上下方向に貫通する貫通孔201を介して載置台2の上面から支持ピン25を突没することにより、ウエハ搬送機構との間でのウエハWの受け渡しを行う。
排気ダクト13の上面側には、円形の開口を塞ぐように円板状の支持板32が設けられており、これら排気ダクト13と支持板32との間には処理容器1内を気密に保つためのOリング133が設けられている。支持板32の下面側には、処理空間312に反応ガスや置換ガスを供給するための天板部材31が設けられており、天板部材31はボルト323によって支持板32に支持固定されている。
天板部材31の下面側には凹部が形成されており、この凹部の中央側から外周側へ向けて末広がりの形状の傾斜面が形成されている。この傾斜面のさらに外側には、平坦なリム314が設けられている。
載置台2を処理位置まで上昇させたとき、天板部材31は、載置台2に設けられたカバー部材22の上面と、リム314の下面とが互いに対向するように配置される。天板部材31の凹部と載置台2の上面とによって囲まれた空間は、ウエハWに対する成膜が行われる処理空間312となる。前記凹部が設けられた天板部材31は、本成膜装置の天井部を構成している。
また図2に示すように、天板部材31のリム314の下面と、カバー部材22の屈曲部の上面との間には隙間が形成されるように処理位置の高さ位置が設定されている。前記排気ダクト13の開口部131は、この隙間に向けて開口している。
天板部材31の前記凹部の中央部には、処理空間312内へ反応ガスを供給するためのガス供給路311が形成されている。ガス供給路311は、天板部材31の中央部を上下方向に貫通し、その下端部は載置台2側へ向けて下方側に開口する円形の開口部315が形成されている。天板部材31に設けられた凹部の中央部は、載置台2上に載置されるウエハWの中央部と対向する位置に設けられているので、ガス供給路311の開口部315は、前記ウエハWの中央部に対してほぼ同一線上に並ぶように配置されている。
一方、ガス供給路311の上流側は、ガス供給路311にアンモニアガス及び置換用の窒素ガスを供給するためのアンモニア供給路321、及び同じくガス供給路311に塩化チタンガス及び置換用の窒素ガスを供給するための塩化チタン供給路322に分岐している。
アンモニア供給路321及び塩化チタン供給路322は、配管を介してアンモニアガス供給部62、塩化チタンガス供給部64に接続されており、これらの配管は、各々途中で分岐して窒素ガス供給部61、63に接続されている。各配管には、ガスの給断を行う開閉バルブ602と、ガス供給量の調整を行う流量調整部601とが設けられている。なお図示の便宜上、図1においては窒素ガス供給部61、63を別々に示したが、これらは共通の窒素供給源を用いてもよい。
以上に説明したように、本例の成膜装置は、各反応ガスの供給部62、64から供給された反応ガス(塩化チタンガス及びアンモニアガス)が共通のガス供給路311を通って開口部315から処理空間312へと供給される。そしてさらに本成膜装置は、ガス供給路311から供給された反応ガスを処理空間312内に分散させた状態でウエハWに供給するための分散板4を備えている。以下、当該分散板4について説明する。
分散板4は、アルミニウム、ニッケル、ハステロイ、インコネルなどの金属や、アルミナ、窒化アルミ、シリコンカーバイトなどのセラミックスや、石英やグラファイトなどからなる円形の板材であり、ガス供給路311の開口部315から処理空間312内に流入した反応ガスをこの分散板4に衝突させて、反応ガスの流れ方向を変え、より均一な濃度でウエハWの表面に反応ガスを到達させる役割を果たす。
分散板4は、ガス供給路311の開口部315を真下から見たとき、この開口部315を覆うように当該開口部315の下方側に配置されている。分散板4はその上面側中央部を、例えば円柱状の支持棒41によって支持されている。図4の拡大図に示すように、載置台2上のウエハWから分散板4までの高さ方向の距離hや分散板4と開口部315との間の隙間t、分散板4の直径Lは、反応ガスや置換ガスの供給流量やこれらのガスを供給する時間、ウエハWの直径や膜厚分布の調整のために適切な値が選択される。
例えば直径300mmのウエハWを処理する場合の一例をあげると、ウエハWから分散板4までの高さ距離hは3.5〜25.0mmの範囲が好ましい。この距離が大きくすぎると、成膜や置換操作に要する時間が長くなり反応ガスの消費量も増大する一方、小さくなりすぎると分散板4の下方側に反応ガスが十分に回り込みにくくなる。分散板4と開口部315との間の隙間tの値としては4.0〜7.5mm程度が挙げられる。この隙間が小さすぎると、圧損が大きくなって処理空間312内にガスを供給しにくくなり、大きくなりすぎると分散板4を設けた効果が小さくなる。次いで分散板4の直径Lとしては29〜100mm程度を例示できる。分散板4が大きすぎると、ウエハWの中央部側に反応ガスが供給されにくくなり、が小さすぎると反応ガスを分散させる作用が得られにくくなる。
分散板4を支持する支持棒41は、ガス供給路311の開口部315の中央部を通ってガス供給路311内を貫通し、本例では天板部材31内に反応ガスの供給路321、322を形成するための流路形成部材33の下面に固定されている。
従って、ガス供給路311の開口部315、支持棒41、分散板4、載置台2上のウエハWは、その中央部がほぼ同一線上に上下に並んだ状態で配置されている。また、これら開口部315、支持棒41、分散板4、載置台2の平面形状が円形となっていることにより、前記支持棒41周り(ウエハWの周方向)に円対称な流れが形成されるように処理空間312内に反応ガスを供給することができる。
ここで支持棒41が円柱によって構成され、またガス供給路311の開口部315の形状が円形となっていることは必須ではなく、反応ガスを広げる分散板4が円形であれば、ウエハWの周方向に円対称な反応ガスの供給を実現できる。また、ガス供給路311の開口部315、支持棒41、分散板4及びウエハWの各部の中心が厳密に同一線上に並んでいなくてもよい。
以上に説明した構成を備えた成膜装置は、図1に示すように制御部7と接続されている。制御部7は例えば図示しないCPUと記憶部とを備えたコンピュータからなり、記憶部には成膜装置の作用、即ち載置台2上に載置されたウエハWを処理位置まで上昇させ、処理空間312内に予め決められた順番で反応ガス及び置換用のガスを供給してTiNの成膜を実行し、成膜が行われたウエハWを搬出するまでの制御についてのステップ(命令)群が組まれたプログラムが記録されている。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカード等の記憶媒体に格納され、そこからコンピュータにインストールされる。
続いて、本成膜装置の作用について図5〜図6を参照しながら説明する。はじめに、予め処理容器1内を真空雰囲気に減圧した後、載置台2を受け渡し位置まで降下させる。そして、ゲートバルブ12を開放し、搬入出口11と接続された真空搬送室に設けられたウエハ搬送機構の搬送アームを進入させ、支持ピン25との間でウエハWの受け渡しを行う。しかる後、支持ピン25を降下させ、ヒーター21によって既述の成膜温度に加熱された載置台2上にウエハWを載置する。
次いで、ゲートバルブ12を閉じ、載置台2を処理位置まで上昇させると共に、処理容器1内の圧力調整を行った後、塩化チタンガス供給部64より塩化チタンガスを供給する(図5)。供給された塩化チタンガスは、塩化チタン供給路322からガス供給路311へ流れ込み、ガス供給路311と支持棒41との間に形成される円筒状の空間を流れて、開口部315から処理空間312に流れ込む。
処理空間312内に流れ込んだ塩化チタンガスは、開口部315の下方側に配置されている分散板4に衝突して流れ方向を変え、その一部は分散板4の下方側の空間に回り込んでウエハWの中央部に到達する。残る塩化チタンガスは、分散板4に案内されて流れ方向を横方向に変え、処理空間312の天井部の傾斜面に案内されながら、天板部材31の中央部側から外周部側へ向け、径方向に沿って放射状に広がっていく。
このように、ガス供給路311から供給された塩化チタンガス(反応ガス)の流れを制御する分散板4は支持棒41の中心軸周りに円対称に形成及び支持され、また分散板4とウエハWの中央部の位置が同一線上に並んで配置されている。これにより、ウエハWの全面に、より均一に塩化チタンガスが供給され、ウエハWの中央部周りに円対称に塩化チタンガスを吸着させることができる。さらに、支持棒41にガス流路が形成されていないので、当該支持棒41に支持されている分散板4の中央部からは塩化チタンガスが下方側に流出しない。この結果、ガス供給路311から供給された塩化チタンガスが直接、ウエハWの中央部に衝突し、当該位置における塩化チタンの吸着量が過大になって膜の面内均一性を悪化させる事象の発生を抑えることができる。
処理空間312内を流れ、リム314とカバー部材22との間の隙間に到達した塩化チタンガスは、当該隙間から処理容器1内に流れ出た後、排気ダクト13を介して外部へ排出される。
上述の流れにおいて、天板部材31の下面に末広がりの形状の傾斜面が形成されていることにより、塩化チタンガスのガス溜まりが形成されにくく、処理空間312に供給された塩化チタンガスを効率的にウエハW表面に供給することができる。
次に、塩化チタンガスの供給を停止すると共に、窒素ガス供給部63から置換用のガスである窒素ガスを供給する(図5)。窒素ガスは、塩化チタンガスと同様の経路を通って処理空間312内に供給され、当該経路及び処理空間312内の塩化チタンガスが窒素ガスと置換される。
このとき、ガスシャワーヘッドなどのように大型のガス供給機構を用いず、ガス供給機構としてガス供給路311から直接処理空間312内に塩化チタンガスや窒素ガスを供給することにより、ガス供給機構内のガスの置換を短時間で完了することができる。また。処理空間312内においても、天板部材31の下面(天井面)に末広がりの形状の傾斜面が形成されており、当該天井面が平坦な場合に比べて処理空間312が小さく、ガスが渦を巻いてガス溜まりを形成する角状の空間を有さないことから、処理空間312のガスの置換に要する時間も短くできる。
こうして、所定時間、窒素ガスの供給を行い、ガスの置換を行ったら、窒素ガスの供給を停止し、アンモニアガス供給部62からアンモニアガスを供給する(図6)。供給されたアンモニアガスは、アンモニア供給路321→ガス供給路311を介して、塩化チタンの場合と同様の流れを形成して処理空間312内に供給される。このときも分散板4がウエハWの全面に、より均一にアンモニアガスを供給するように作用することは塩化チタンガスの供給時と同様である。
処理空間312内を流れるアンモニアガスがウエハWの表面に到達すると、先にウエハWに吸着している塩化チタンガスの成分を窒化して窒化チタンが形成される。しかる後、ガス供給路311に供給されるガスを窒素ガス供給部61からの置換用の窒素ガスに切り替えて、アンモニアガスの供給経路及び処理空間312内のアンモニアガスを窒素ガスと置換する(図6)。
このようにして、塩化チタンガス→窒素ガス→アンモニアガス→窒素ガスの順番で反応ガス(塩化チタンガス、アンモニアガス)と置換用のガス(窒素ガス)とを供給することにより、ウエハWの表面に窒化チタン(TiN)の分子層が積層され、窒化チタンの膜が成膜される。
こうして塩化チタンガスの供給とアンモニアガスの供給とを例えば数十回〜数百回繰り返し、所望の膜厚の窒化チタンの膜を成膜したら、置換用の窒素ガスを供給して最後のアンモニアガスを排出した後、載置台2を受け渡し位置まで降下させる。そしてゲートバルブ12を開いて搬送アームを進入させ、搬入時とは逆の手順で支持ピン25から搬送アームにウエハWを受け渡し、成膜後のウエハWを搬出させた後、次のウエハWの搬入を待つ。
本実施の形態に係わる成膜装置によれば以下の効果がある。載置台2上のウエハWの中央部と対向する位置に、ガス供給路311から供給される反応ガスを分散させるための円形の分散板4が設けられ、且つ、この分散板4は、ガス供給路311の開口部315の中央部を通って下方側に突出する支持棒41によってその中央部が支持されている。この結果、支持棒41周りに円対称に反応ガスを広げることができ、ウエハWの周方向に均一な膜厚の成膜を行うことができる。また、この分散板4は、少なくとも中央部からはガスが下方に流出しないように構成されているので、ガス供給路311の開口部315の直下における過大な成膜が抑えられ、ウエハWの径方向にも均一な膜を成膜できる。
以上、図1〜図6には、共通のガス供給路311に種類の異なる反応ガス(塩化チタンガス、アンモニアガス)を流して処理空間312に供給する例を示したが、これらの反応ガスを独立して供給するガス供給路を設けてもよい。例えば図7、図8には、ガス供給路311の内側に配管313を配置することにより、天板部材31と配管313との間に第1のガス供給路311aが形成され、配管313と支持棒41との間に第2のガス供給路311bが形成される。本例では第1のガス供給路311aにはアンモニア供給路321が接続されており、一方側の反応ガスとしてアンモニアガスが供給される。また、第2のガス供給路311bには塩化チタン供給路322が接続されていて他方側の反応ガスとして塩化チタンガスが供給される。
なお、以下に説明する各例では、図1〜図6に示した成膜装置と共通の構成要素には、これらの図と同じ符号を付してある。
支持棒41は、配管313の中央部を通って下方側に突出しており、その下端部には分散板4が設けられている点は図1〜図6に示した例と同様である。また、この配管313についても第1のガス供給路311aを形成する開口の中央部を通って下方側に突出し、その下端部は第1のガス供給路311aの開口部315aと支持棒41に設けられた分散板4との中間の高さ位置まで延びだしている。
そして配管313の下端部には、当該配管313の開口(第2のガス供給路311bの開口部315b)の周囲に円環状にもう一つの分散板4aが設けられている。従って、配管313は、支持棒41との間に第2のガス供給路311bを形成するのみならず、分散板4aを支持する支持棒としての役割も果たしている。
この結果、図7に示すように、第2のガス供給路311bを通って供給された塩化チタンガス及びその置換ガスは、支持棒41に設けられた分散板4によって処理空間312内に分散される。一方、図8に示すように、第1のガス供給路311aを通って供給されたアンモニアガスは、配管313に設けられた分散板4aによって処理空間312内に分散される。この場合にもそれぞれのガス供給路311a、311bは、各開口部315a、315bの真下から見て分散板4、4aによって覆われている。また、ウエハWの中央部と対向する分散板4は、ガス供給路が形成されていない支持棒41によって支持されているので、本例においても分散板4の中央部からは反応ガスが下方側に流出しない状態となっている。
図7、図8に示した例では、上方側の分散板4aの方が下方側の分散板4よりも直径が大きくなっているが、各分散板4、4aの直径の大小関係は、膜厚分布の調整などのため、反応ガスの性質や供給流量などに応じて適宜変更してよい。また、これらの図によれば、天板部材31の傾斜面との干渉を避け、また反応ガスの流れの状態を調整するために、直径の大きな分散板4aの外周領域に傾斜面が設けられている。この傾斜面についても分散板4、4aの直径や配置高さなどに応じて設けても、設けなくてもよく、また傾斜を浅くしたり深くしたりしてもよい。
さらに、配管313を2つ以上多重に配置して、3つ以上のガス供給路を形成してもよい。この場合には、支持棒41が設けられている最も内側のガス供給路が第2のガス供給路311bに相当する一方、この第2のガス供給路311bの外側に位置する各ガス供給路が第1のガス供給路311aに相当し、それぞれの第1のガス供給路311aを形成する内側の配管313の下端部に分散板4aが設けられる。
ここで図9〜図11に示すように、分散板4b〜4dに通流口401〜403を設けて分散板4の代わりとし、これら分散板4b〜4dに衝突した反応ガスの一部を通流させることにより、反応ガスの分散の状態を調整してもよい。図9は、分散板4bの周方向に沿って伸びる通流口401を設けた例であり、図10は分散板4cの径方向に沿って伸びる通流口402を設けた例である。また、図11は分散板4dの全面に設けた多数の小孔を通流口403とした例であり、通流口の形状は適宜変更してよい。
通流口401〜403を設ける場合であっても、ガス供給路311から供給された反応ガスの一部が通流口401〜403を通過してその下方側に載置されたウエハWの中央部に供給される一方、残りの反応ガスは分散板4b〜4dに衝突して流れが変わるので反応ガスを分散させる効果がある。また、支持棒41によって支持された分散板4b〜4dの中央部(図9〜図11中に破線で示してある)からは、反応ガスが直接、下方側へ流出していない点については、これまでの例と同様である。
さらに、図7、図8に示した配管313の下端部に設けられる分散板4aに対してもこれら通流口401〜403を設けてもよいことは勿論である。
次に、分散板4の下方側に、再分散板5を設けた第2の実施の形態について図12〜図14を参照しながら説明する。図1、図2等に示したように、傾斜面を設けた天板部材31を用い、ガス供給路311の開口部315から径方向に広がるように反応ガスを供給して成膜を行うと、ウエハWの中央部の周囲に円環状に膜厚が厚くなる領域が形成される場合があった。
このときの反応ガスの流れの状態をシミュレーションにより確認したところ、天板部材31の傾斜面に沿って流れる反応ガスの一部が下方側へ向けて剥離する流れが形成され、この剥離流れがウエハWに到達する位置で膜厚が厚くなるとが分かった。そこで図12、図13には、前記剥離流れが形成される位置に、円環状の再分散板5を設けることにより、反応ガスの分散を向上させた例を記載している。
再分散板5は金属や、セラミックス製の円形の部材からなり、分散板4よりも下方側に配置される。通流口501の大きさや再分散板5の部材の面積などによっても異なるが、ウエハWから再分散板5までの高さ距離h(<h)は、再分散板5の下方側に反応ガスが回り込めるように3.5〜12.0mm程度に設定される。また、前記剥離流れは、ガス供給路311の開口部315から供給された反応ガスが天板部材31の傾斜面に沿って径方向に広がる際に形成されることから、再分散板5の外径寸法は、分散板4の直径よりも大きくなる。さらに再分散板5には、中央部側に通流口501が設けられており、反応ガスを再分散板5の外側だけでなく内側へ向けても分散させることができる。
図13に示すように、ガス供給路311から供給された反応ガス(ここでは塩化チタンガスの例を示している)が分散板4にて分散され、その一部が天板部材31の傾斜面に沿って流れた後、この傾斜面から剥離した流れを受け止める位置に再分散板5は配置されている。再分散板5にて受け止められた反応ガスの流れは、その一部が再分散板5の外側へ向けて分散される一方、通流口501が設けられているウエハWの中央部側へも分散される。この結果、反応ガスがウエハWに到達する前に剥離流れを分散させ、均一な厚さを持つ膜を成膜できる。
この他、本例の再分散板5の上面の外周側には、部材が厚くなっている流路調整部503が円環状に設けられており、天板部材31との間に形成される流路の幅を調節して反応ガスの流れ状態を制御している。この流路調整部503は、通流口501の形成されている内周側に設けてもよく、また再分散板5の下面に流路調整部503を設けて再分散板5とウエハWとの間に形成される流路の幅を調節してもよい。
図12、図13に示した例では、再分散板5は、分散板4を支持する支持棒41をさらに下方側へ突出させて、この支持棒41からウエハWの径方向に十字に伸ばした支持部材51を再分散板5の内周面に固定することにより支持されている。この支持法では、通流口501が支持棒41の周りに4回対称となり、完全な円対称とはならない。しかしながら、再分散板5にて再分散させる流れは、分散板4によって分散させた後の流れなので、ガス供給路311から流出した直後に比べて流れの勢いも弱まっている。このため、分散板4の場合に比べ、円対称ではない部材(本例では支持部材51)を設けることによって膜圧の均一性を低下させる影響も小さい。
図14〜図16には、再分散板5a〜5cのバリエーションの例を示してある。図14の再分散板5aは、分散板4dの周縁部下面から下方側に伸び出すように設けた複数本の支持部材52によって支持され、分散板4d及び再分散板5aの双方に小孔状の通流口502が設けられている。図15の再分散板5bは、天板部材31の傾斜面から下方側へ向けて突出させた複数本の支持部材53により、再分散板5bの周縁部が支持されている。図16の再分散板5cのように大口径の通流口501を設ける場合に替えて、再分散板5cの全面に多孔状の通流口502を設け、分散板4の下方へ突出させた支持棒41により、再分散板5cの中央部を支持してもよい。
ここで本発明において支持棒41は、天板部材31に設けられたガス供給路311の開口部315の中央部を通って下方側に突出し、分散板4の中央部を支持している。そして、上述の各成膜装置においては、ガス供給路311を上下に貫通する1本の棒状の部材により支持棒41を構成した例を示した。一方で、支持棒41の周りに円対称となるように反応ガスを分散させるという観点からは、少なくともガス供給路311の開口部315付近から下流側において分散板4が中心軸周りに円対称となるように支持されていればよい。
そこで、図17、図18に示した例は、ガス供給路311の中央部を円板状の蓋部42で塞ぎ、この蓋部42の下面に支持棒41を設けて分散板4を支持した例を示している。蓋部42は反応ガスのガス拡散空間324を上下に貫通する複数本の支持部材43にて天板部材31に支持されており、反応ガスは蓋部42と天板部材31との間に形成される円筒状のガス供給路311を通って処理空間312に供給される。この例においても蓋部42及び支持棒41を一体として径の異なる「支持棒」が上下に連結されていると考えることができる。そしてこの「支持棒」も天板部材31に設けられたガス供給路311の開口部315の中央部を通って下方側に突出し、分散板4の中央部を支持しているといえる。
さらにまた、以上に説明した各成膜装置において、例えばガス供給路311から吐出されるガスが旋回流を形成しながら処理空間312内に吐出されるようにガス供給路311にらせん状の流路などを形成してもよい。
そして、再分散板5を設けない場合には、天板部材31に傾斜面が形成されていることは必須の要件ではなく、平坦な天井面を持つ天板部材31にガス供給路311を設け、このガス供給路311の開口部315に分散板4を設けてもよい。
この他、本発明の成膜装置では、既述のTiN膜の成膜の他に、金属元素、例えば周期表の第3周期の元素であるAl、Si等、周期表の第4周期の元素であるTi、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge等、周期表の第5周期の元素であるZr、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag等、周期表の第6周期の元素であるBa、Hf、Ta、W、Re、lr、Pt等の元素を含む膜を成膜してもよい。ウエハW表面に吸着させる金属原料としては、これらの金属元素の有機金属化合物や無機金属化合物などを反応ガス(原料ガス)として用いる場合が挙げられる。金属原料の具体例としては、上述のTiClの他に、BTBAS((ビスターシャルブチルアミノ)シラン)、DCS(ジクロロシラン)、HCD(ヘキサジクロロシラン)、TMA(トリメチルアルミニウム)、3DMAS(トリスジメチルアミノシラン)などが挙げられる。
また、ウエハWの表面に吸着した原料ガスを反応させて、所望の膜を得る反応には、例えばO、O、HO等を利用した酸化反応、H、HCOOH、CHCOOH等の有機酸、CHOH、COH等のアルコール類等を利用した還元反応、CH、C、C、C等を利用した炭化反応、NH、NHNH、N等を利用した窒化反応等の各種反応を利用してもよい。
更に、反応ガスとして、3種類の反応ガスや4種類の反応ガスを用いてもよい。例えば3種類の反応ガスを用いる場合の例としては、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)を成膜する場合があり、例えばSr原料であるSr(THD)(ストロンチウムビステトラメチルヘプタンジオナト)と、Ti原料であるTi(OiPr)(THD)(チタニウムビスイソプロポキサイドビステトラメチルヘプタンジオナト)と、これらの酸化ガスであるオゾンガスが用いられる。この場合には、Sr原料ガス→置換用のガス→酸化ガス→置換用のガス→Ti原料ガス→置換用のガス→酸化ガス→置換用のガスの順でガスが切り替えられる。
(実験1)
異なる種類の天板部材31を用い、処理空間312内に塩化チタンガスとアンモニアガスを供給して窒化チタンの膜を成膜し、その膜厚分布や膜厚の変位を測定した。
A.実験条件
(実施例1−1) 図1〜図4に構造を示した1本の支持棒41により、当該支持棒41の周りに円対称となるように支持された分散板4を用いて成膜を行った。分散板4の直径Lは38mmであり、ウエハWから分散板4までの高さ距離hは15.5mm、分散板4に通流口は設けられていない。塩化チタンガスは50sccmで0.05秒間、アンモニアガスは2700sccmで0.3秒間、窒素ガスは置換操作毎に6L(塩化チタンガス供給後に0.2秒、アンモニアガス供給後に0.3秒間)流すサイクルを500サイクル行った。
そして、成膜された膜の膜厚を分光エリプソメトリー式の膜厚計により膜厚分布を測定すると共に、下記(1)式により面内均一性(M−m値)を計算した。
(M−m値)={(最大膜厚(M値)−最小膜厚(m値))
/(2×平均膜厚)}×100(%)…(1)
(実施例1−2) 図12、図13に示した分散板4及び再分散板5を備えた成膜装置を用いて実施例1−1と同様の条件で成膜を行った。分散板4の直径Lは38mmであり、再分散板5の直径は110mm、通流口501の直径は70mmである。ウエハWから分散板4までの高さ距離hは15.6mm、再分散板5までの高さ距離hは11.2mmである。また、ガス供給路311には旋回流を形成して開口部315から処理空間312に反応ガスを供給する流路が設けられている。
(比較例1−1) 図19に示すように天板部材31の下面側であって、ガス供給路311の開口部315の周縁部の位置に4本の支持部材44を設け、これらの支持部材44により、分散板4を支持した。そして実施例1−1と同様の条件下で窒化チタンの成膜を行い、膜厚分布及びM−m値を求めた。分散板4の直径及びウエハWからの高さ位置は実施例1−1と同様である。図19中に併記した拡大平面図には、支持部材44による分散板4の支持位置を示してある。
(比較例1−2) 図1〜図4において分散板4及び支持棒41を設けていないガス供給路311から直接、反応ガスを供給する成膜装置を用い、実施例1−1と同様の条件で成膜を行った。
B.実験結果
実施例1−1及び比較例1−1にて成膜されたウエハWの表面の窒化チタン膜の膜厚分布を図20、図21に各々示す。また、図22〜図24に、実施例1−1、1−2、比較例1−2におけるウエハWの直径方向の相対的な膜厚の変位を示す。
図20に示した実施例1−1の結果によれば、分散板4の下方側に位置するウエハWの中央部を中心として、おおよそ同心円状に膜厚分布が変化している様子が分かる。また、図22によれば、ウエハWの中心を挟んで外周寄りの位置に膜厚のピークが確認され、ガス供給路311の傾斜面に沿った反応ガスの流れが途中で剥離してウエハWに到達し、膜厚分布に影響を与えていることが分かる。実施例1−1におけるM−m値は5.9%であり、5%に近い面内均一性が達成された。
これに対し図23に示すように、再分散板5を設けた実施例1−2では、上記剥離流れに伴うピークの形成が解消されている。実施例1−2におけるM−m値は6.0%であった。
一方、図21に示した比較例1−1の結果によれば、図19に拡大図示した支持部材44の設けられている位置に対応して膜厚が薄い領域と、厚い領域とがウエハWの周方向に交互にあらわれ、周方向に対称な状態が崩れている。
次いで、分散板4を設けずにガス供給路311の開口部315から直接、反応ガスを供給する比較例1−2では、反応ガスがウエハWに衝突する中央部で膜厚が厚くなり、周縁部に行くほど薄くなる膜厚の変位が確認された。また、M−m値も11%と、実施例1−1、1−2の2倍近くに悪化している。従って、分散板4は、少なくとも支持棒41に支持される中央部からは反応ガスを下方に流出しない構成となっていることが必要であることが確認された。
W ウエハ
1 処理容器
2 載置台
31 天板部材
311 ガス供給路
311a 第1のガス供給路
311b 第2のガス供給路
313 配管
4、4a〜4d
分散板
401〜403
通流口
41 支持棒
43、44 支持部材
5、5a〜5c
再分散板
501、502
通流口
7 制御部

Claims (5)

  1. 真空雰囲気である処理室内の円形の基板に対して互いに反応する複数種類の反応ガスを順番に供給し、一の反応ガスの供給と次の反応ガスの供給との間に置換用のガスを供給して成膜処理を行う枚葉式の成膜装置において、
    前記処理室に設けられ、基板が載置される載置部と、
    前記載置部と対向して設けられた天井部と、
    前記載置部上の基板の中央部と対向する位置にて、前記天井部に開口する開口部を備えたガス供給路と、
    前記天井部から前記開口部の中央部を通って下方側に突出する支持棒と、
    前記支持棒の下端部にその中央部が支持され、前記載置部上の基板と対向するようにかつ前記開口部の真下から見て当該開口部を覆うように設けられた円形のガス分散板と、
    前記処理室内の真空排気を行う排気部と、を備え、
    前記分散板は、少なくとも前記支持棒に支持される中央部からはガスが下方に流出しないように構成されていることを特徴とする成膜装置。
  2. 前記ガス供給路は、前記一の反応ガスと次の反応ガスとの一方側の反応ガスを供給する第1のガス供給路と、前記第1のガス供給路の内側に配置された配管内に形成され、他方側の反応ガスを供給する第2のガス供給路とを備え、前記分散板は、前記第1のガス供給路及び第2のガス供給路の開口部の各々に設けられ、前記第1のガス供給路の開口部を覆う分散板は、前記配管を支持棒として当該配管の下端部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
  3. 前記載置部上の基板から分散板までの高さ方向の距離が3.5〜25.0mmの範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の成膜装置。
  4. 前記分散板には、反応ガスを通流させる通流口が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の成膜装置。
  5. 前記天井部は、中央から外周に向けて末広がりの形状の傾斜面構造を有し、前記分散板の下方側には、前記傾斜面に沿って流れた後、この傾斜面から下方側へ剥離した反応ガスの流れを受け止め、その一部を前記載置部の中央部側へ通流させる通流口が設けられた円形の再分散板が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載の成膜装置。
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