JP2014073798A - 乗用車の接合構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】新たな接合機や接合部品を必要とせず、また製造工数の増加や製造条件の変更を伴うことなく、既設の鋼製ルーフ車と同一の製造ラインによりアルミ合金製ルーフ車を生産することができる十分な接合強度を有した乗用車の接合構造を提供すること。
【解決手段】アルミニウム合金製のルーフパネルが鋼板製の骨格部材に接合された乗用車の接合構造において、前記接合はアルミニウムメッキ鋼板などからなる溶融接合部材を介して行なわれるとともに、前記ルーフパネルと前記溶融接合部材側の間の接合、及び前記溶融接合部材と鋼板製の骨格部材の間の接合は何れも溶融接合法によってなされた乗用車の接合構造。
【選択図】図2

Description

本発明は、乗用車の接合構造に関し、特にアルミ合金製のルーフパネルと鋼製のボデー骨格が接合、一体化される車体構造における有用な乗用車の接合構造に関するものである。
近年、乗用車の燃費規制が強化され、また、一方では、運動性能の向上が要求されていることから、車両の軽量化と重心高さの低減が求められている。これら要求の両立には、ルーフパネルのアルミ化が有力な手段になるが、アルミ合金製ルーフ車の固定ルーフの場合にはリベットによるカシメ締結や接着接合で鋼板製のボデーに固定される。従って、鋼製ルーフ車とは異なる専用設備を生産ライン中に設置する必要があり、このため一部の高級車やスポーツカー、SUVなどで採用されているにとどまり、アルミフードやラゲージ、バックドアなどハングオンの外板パネルにはほとんど普及していないのが実情である。
一方、従来の乗用車は、鋼製のボデー骨格に鋼板製のルーフパネルを一般にスポット溶接で接合しているが、ルーフパネルをアルミ合金製とした場合、ボデー側の鋼板製部材に溶接すると、その界面に脆弱な鉄‐アルミ系の金属間化合物が生成するため、十分な接合強度が確保できないという大きな問題があった。
この問題を解決するため、リベットと接着剤による接合方法(特許文献1)や摩擦接合方法(特許文献2)など、鋼製ボデー骨格に固定アルミ合金製パネルに接合する方法が提案され、中には実用化されているものもあるが、いずれも従来の鋼板ルーフパネル用溶接ラインに別の接合機を導入する必要があり、新たな設備投資に伴うコストアップの問題が生じる。また、アルミ合金製ルーフパネルにリベットを打ち込み、その部分を鋼板製ボデー骨格とスポット溶接する方法(特許文献3)なども提案されているが、こうした方法も設備投資やラインの延長、工程数の増加などにより、やはりコストアップの問題がある。
さらに、接合面ではボデー側の鋼板とルーフ側のアルミ合金が直接接触するため電蝕を起こす恐れがあり、この電蝕防止のための対策(特許文献4)なども講じなければならないという問題もある。
特開2005−119577号公報 特開2008−155806号公報 特許3941409号公報 特開2006−198675号公報
本発明は、上述した従来のアルミ合金製ルーフ車の鋼製ボデーへの接合における問題点を一挙に解消し、新たな接合機や接合部品を必要とせず、また製造工数の増加や製造条件の変更を伴うことなく、既設の鋼製ルーフ車と同一の製造ラインによりアルミ合金製ルーフ車を生産することができる十分な接合強度を有した乗用車の接合構造を提供することをその課題としたものである。
請求項1記載の発明は、アルミニウム合金製のルーフパネルが鋼板製の骨格部材に接合された乗用車の接合構造において、前記接合はアルミ系メッキ鋼板、アルミ−亜鉛系メッキ鋼板または亜鉛系メッキ鋼板からなる溶融接合部材を介して行なわれるとともに、前記ルーフパネルと前記溶融接合部材側の間の接合、及び前記溶融接合部材と鋼板製の骨格部材の間の接合は何れも溶融接合法によってなされたものであることを特徴とする乗用車の接合構造である。
請求項2記載の発明は、前記溶融接合部材がルーフリンフォース部材またはルーフリンフォース用ブラケットで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の乗用車の接合構造である。
請求項3記載の発明は、前記溶融接合部材がヘッダー部材で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の乗用車の接合構造である。
請求項4記載の発明は、前記ヘッダー部材がヘッダー、ヘッダーアッパーまたはヘッダーアンダーであることを特徴とする請求項3に記載の乗用車の接合構造である。
請求項5記載の発明は、前記溶融接合部材がルーフパネルの一部で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の乗用車の接合構造である。
請求項6記載の発明は、前記溶融接合法が、抵抗スポット溶接、MIGブレージング接合、またはレーザーブレージング接合である請求項1〜5のいずれかに記載の乗用車の接合構造である。
請求項7記載の発明は、前記ルーフパネルと前記溶融接合部材側の間の接合、及び前記溶融接合部材と鋼板製の骨格部材の間の接合における溶融接合部が平面上で異なる部位である請求項1〜6のいずれかに記載の乗用車の接合構造である。
請求項8記載の発明は、前記1〜7のいずれかに記載の接合構造を有する乗用車である。
本発明に係る乗用車の接合構造によれば、以下の優れた効果が提供される。
(イ)本発明の接合構造は、アルミニウム合金製のルーフパネルと鋼製の骨格部材などとの接合が溶融接合部材を介していずれもスポット溶接などの溶融接合法により行なわれたものであるため、鋼製ルーフ車の場合と同じ接合法が適用できる。
(ロ)また、上記溶融接合部材として、乗用車のボデー(アッパーボデー)に組み込まれるルーフリンフォースやヘッダーなどの骨格(部品)またはこれらを構成する部材やルーフ自体の一部を有効に利用することができるので、接合のための特別な部品、部材を必要としないから、鋼板製ルーフ車の場合と同様な部品点数と製造工数で実施できる。
(ハ)また、溶融接合部材としてアルミ系メッキ鋼板、アルミ−亜鉛系メッキ鋼板または亜鉛系メッキ鋼板を用いることにより、アルミニウム合金製のルーフパネルと溶融接合部材の間、及び溶融接合部材と鋼板製ボデーの骨格部材間の接合を容易に行なうことができ、特に上記ルーフパネル及び骨格部材間の溶融接合時に問題となる接合界面に発生する脆い金属間化合物を抑制することが可能となり、何れも十分な接合強度を確保することができる。
(ニ)さらに、上記メッキ鋼板を溶融接合部材として採用することで、アルミニウム合金製のルーフパネルと同部材の接合の際には、抵抗値の高いメッキ鋼板側が発熱するため、アルミニウム同士の溶接の際のような高電流の条件は必要としないから、従来の鋼板製ルーフ車用の接合に用いられているスポット溶接などにおける低電流の溶接条件と同等な条件下で実施でき、この結果、鋼板製ルーフ車を対象としたスポット溶接機などの溶融接合機を機種変えずにアルミニウム合金製のルーフ車の製造にそのまま使用することができる。
(ホ)加えて、これらのメッキ鋼板は溶接部で鋼が表面に露出することがないので、溶融接合部材としてアルミニウムメッキ鋼板を使用した場合にはアルミニウム合金製のルーフパネルの間で電蝕が発生せず、また亜鉛メッキ鋼板を使用した場合には表面の亜鉛が優先的に溶解する犠牲防食効果が得られるため、接合部の腐食の問題も解消することができる。
(ヘ)このように、本発明の乗用車の接合構造によると、アルミニウム合金製のルーフパネルの鋼製の骨格部材への接合を鋼板製ルーフパネルへの接合と実質的に同一の工程、設備で実施できるため、アルミニウム合金製のルーフ車を、新たな設備投資などを行なわずに既設の鋼板製ルーフ車の製造ラインにて低コストで効率よく生産することができるものである。
本発明の接合構造の実施形態を示すバックドアタイプの乗用車の上部斜視図である。 本発明の接合構造の実施形態を示す図1のA-A断面図である。 本発明の接合構造の同実施形態を示す図1のB-B断面図である。 本発明の接合構造の同実施形態を示す図1のC-C断面図である。 本発明の接合構造の同実施形態とは異なる第ニの実施形態を示す図1のC-C断面図である。 本発明の接合構造の同実施形態とは異なる第三の実施形態を示す図1のC-C断面図である。 本発明の接合構造の同実施形態とは異なる第四の実施形態を示す図1のD-D断面図である。 本発明の接合構造の実施形態を示す図1のD-D断面図である。 本発明の接合構造の同実施形態とは第一の異なる実施形態を示す図1のD-D断面図である。 本発明の接合構造の同実施形態とは第ニの異なる実施形態を示す図1のD-D断面図である。 図11は図2の実施形態における接合前の溶融接合部の位置関係を示す斜視図である。 図12は図2の実施形態における接合時の接合端部の状態を示す側面図である。 図13は図12とは異なる接合方法による接合時の接合端部の状態を示す側面図である。 図14は図2と異なる実施形態おける接合前の溶融接合部の位置関係を示す斜視図である。 図15は図2と異なる実施形態における接合時の接合端部の状態を示す側面図である。
以下、本発明に係る乗用車の接合構造を実施形態に基づいて詳細に説明する。図1はバックドアタイプの乗用車(バックドア車)の斜め上方から見た斜視図で、図2〜図10はこのバックドア車における本発明の接合構造の実施形態を示すもので図1のA-A断面図(図2)、B-B断面図(図3)、C-C断面図(図4〜図7)、D-D断面図(図8〜図10)である。
図1において、1は6000系などのAl合金からなるアルミニウム合金製のルーフパネルを示し、2はこのルーフパネル1に接合される鋼板製のボデー骨格の一部となるサイドパネルを示している。
図2は車体長手方向(以下、車長方向と略称)中央のサイド部(ピラー部を除く)おける本発明の接合構造を示したものである。ここにおいて、アルミニウム合金製のルーフパネル1の下部には、パネル1を補強するアルミニウムメッキ鋼板からなるルーフリンフォース3(溶融接合部材)が配設されている。ルーフリンフォース3はその中央側でマスチック4によりルーフパネル1を接着、支持している。ルーフパネル1とルーフリンフォース3は両者の側端の位置でそれらの接合端部同士をその溶融接合部W1において抵抗スポット溶接(以下、スポット溶接と略称)することにより溶融接合されている。
また、このサイド部の端に設置されたサイドパネル2は同図の如く、外側のサイドパネルアウター2aと内側のサイドパネルインナー2bと両者の中間内部のサイドパネルリンフォース2cの、3枚の鋼板製の骨格部材で構成されており、それぞれ両端の接合端部を溶融接合部W3、W3においてスポット溶接することで接合されている。そして、アルミニウムメッキ鋼板製のルーフリンフォース3とこのサイドパネル2の鋼板製のサイドパネルアウター2aがそれらの接合端部同士を溶融接合部W2においてスポット溶接することにより溶融接合されている。5は雨水等の侵入を防止するために溶融接合部の端面に塗布されたシール材である。なお、溶融接合部W1と溶融接合部W2とは車幅方向の同じ部位(位置)にあるため、本断面図では重なっているように見えるが、車長方向には離間した異なる位置となっている(後述)。
このように、本発明におけるアルミニウム合金製のルーフパネル1と鋼板製の骨格部材との接合構造はアルミニウムメッキ鋼板製のルーフリンフォース3を介した溶融接合で構成されたものである。
かかるサイド部の接合構造を得るための製造方法について説明する。
ボデー骨格となるサイドパネル2はこれを構成するサイドパネルアウター2a、サイドパネルインナー2b及びサイドパネルリンフォース2cを、鋼板を素材としてそれぞれ所定の形状にプレス成形を行って、これら各骨格部材を組み立てた後、両接合端部(図2の下部と右側部)を溶融接合部W3、W3においてスポット溶接してこれらを一体化(アッセンブリー化)する。一方、ルーフパネル1はアルミニウム合金板を素材として、また、ルーフリンフォース3はアルミニウムメッキ鋼板を素材として各々所定形状にプレス成形する。次いで、プレス成形されたルーフパネル1とルーフリンフォース3をマスチック4で接着した後、これらの接合端部を溶融接合部W1においてスポット溶接して一体化する。そして、一体化されたルーフパネル1及びルーフリンフォース3とサイドパネル2とを溶融接合部W2においてスポット溶接して両者をさらに一体化する。これら一連のスポット溶接による接合においては、アルミニウム合金製のルーフパネル1とアルミニウムメッキ鋼板製のルーフリンフォース3との接合を含めて、通常の鋼板同士の溶接の際と同じ溶接条件、溶接機を適用でき、またこれによって十分な接合強度を得ることができる。なお、上記スポット溶接における具体的な溶接条件などについては後述する。
上記ルーフパネル1とルーフリンフォース3間、及びルーフリンフォース3とサイドパネル2間のスポット溶接による接合は具体的には以下の接合前の構成と溶接方法によって行う。図11はこれらの接合前の溶融接合部の位置関係を示す斜視図、図12はこれら接合時の接合端部の状態を示す側面図である。
図11において、ルーフパネル1、ルーフリンフォース3及びサイドパネル2の互いに接合される各接合端部(フランジ部)の溶融接合部W1,W2を×印で示し、それら上下の対応する平面状の等しい位置関係を破線で結んで示している。ルーフリンフォース3の接合端部3eは、ルーフパネル1の接合端部1eとの溶融接合部W1と、サイドパネル2の接合端部2eとの溶融接合部W2とが一定の距離Lで車長方向に離間した平面上異なる部位(位置)に配置されている。またルーフパネル1の接合端部1eの、上記ルーフリンフォース3とサイドパネル2との溶融接合部W2に対応する位置にはスポット溶接用の電極(チップ)が挿入可能な適当な径を有した開孔部Hが設けられている。
上記溶融接合部W1とW2との距離Lは各接合端部1e、2e 、3e の板厚や電流容量などの溶接条件によって異なるが、一般的には20〜150mm、好ましくは30〜100mmに設定することが好ましい。これは距離Lの値が小すぎると以下に述べる2段階のスポット溶接を行うと、先に溶接によって形成された溶融接合部W1が後の溶接によって再溶融してしまい先の溶接が意味をなさなくなるし、また距離Lの値が大きすぎる十分な接合強度が得られなくなるからである。なお、図示しないがこの距離Lは融接合部W2とW2との関係についても同様である。
これらルーフパネル1、ルーフリンフォース3及びサイドパネル2をスポット溶接により、接合、一体化するには、図12に示すように、先ず、ルーフパネルの接合端部1eとルーフリンフォースの接合端部3eを前記図11の位置関係を保持して重ね合わせ、上側の電極チップT1と下側の電極チップT2を上下から加圧して通電を行い、その抵抗熱で溶融接合部W1を形成して両者を接合する(図12の右側参照)。次に、上記接合によって一体化されたルーフパネル及びルーフリンフォース接合体とサイドパネルを接合する。すなわち、ルーフリンフォースの接合端部1eとサイドパネル2の接合端部2eを前記図11の位置関係を保持して重ね合わせ、上側の電極チップT1をルーフリンフォースの接合端部3eに設けられた開孔部Hを介して挿入し、この上側の電極チップT1と下側の電極チップT2を上下から加圧して通電を行い、その抵抗熱で溶融接合部W2を形成して両者を接合する(図12の左側参照)。こうした2段階のスポット溶接により、ルーフパネル1、ルーフリンフォース3及びサイドパネル2の三者が一体化され、溶融接合部材であるアルミニウムメッキ鋼板製のルーフリンフォースを介して、アルミニウム合金製のルーフパネルをボデー骨格である鋼板製のサイドパネルに接合することができ、車長方向中央のサイド部における本発明に係る乗用車の接合構造が完成する。
また、ルーフパネル1、ルーフリンフォース3及びサイドパネル2のスポット溶接による接合、一体化の方法として図13による方法でも良い。図13は前図12に対応するこれら接合時の接合端部の状態を示す側面図である。この方法は、同図に示すように、サイドパネル2の接合端部2eにスポット溶接用の電極が挿入可能な開孔部Hを設けておき、先にこのサイドパネル接合端部2eとルーフリンフォースの接合端部3eとを上側の電極チップT1と下側の電極チップT2を上下から押し付けて通電を行い、その抵抗熱で溶融接合部W2を形成して両者を接合(図13右側参照)し、この後にサイドパネル2と一体化されたルーフリンフォースの接合端部1eとルーフパネルの接合端部1eとを、上側の電極チップT1と開孔部Hを介して挿入した下側の電極チップT2を上下から加圧して通電を行い、その抵抗熱で溶融接合部W1を形成して両者を接合する(図13左側参照)ものである。
本発明に係る図2のサイド部の構造を得るための好ましい製造方法について図11〜13を用いて説明したが、同じ接合構造を得る方法はこれに限らないので他の製造方法について以下に補足して説明する。
前記の製造方法では、ルーフパネル1、ルーフリンフォース3及びサイドパネル2の3者一体化のため、ルーフパネルまたはサイドパネルに開孔部Hを設けて、この開孔部を介してルーフパネルとルーフリンフォース、またはルーフリンフォースとサイドパネルの2者を先にW1またはW2において溶接し、その後にサイドパネルまたはルーフパネルをW2またはW1において溶接している。しかし、この開孔部Hを設けずにこれら3者を接合、一体化することも可能である。
この方法は、図15、図16に示すように、先ず、ルーフリンフォース3の接合端部3eとサイドパネル2の接合端部2eをW21においてスポット溶接して接合する。すなわち、上記接合端部3eと2eを上側の電極チップT1と下側の電極チップT2を上下から押し付けて通電を行い、その抵抗熱で溶融接合部W21を形成して両者を接合する。次に、ルーフパネル1の接合端部1eとルーフリンフォース及びサイドパネル接合体の両接合端部3e、2eを車長方向に距離L離したW1及びW22においてスポット溶接して一体化する。すなわち、上記3e、2eと1eの3枚の接合端部(板)を重ね合わせた状態で、上側の電極チップT1と下側の電極チップT2を上下から押し付けて通電を行い、その抵抗熱で溶融接合部W1及びW22を同時に形成して両者を接合するものである。
上記図15、図16に示す例では、ルーフリンフォース3とサイドパネル2の2者を溶接する際の溶融接合部W21の平面状の位置すなわち溶接箇所(打点)は1点であるがその後3者を一体化する際の溶融接合部W1(W22)の平面状の溶接接箇所を中心にした対称的な箇所にさらに1点設け、上記2者の溶接箇所を2点として、3者を一体化する中央の溶接箇所1点と合わせて合計3点としても良い。また、ルーフリンフォース3とサイドパネル2の2者の溶接箇所を1点としてこれを中心にした対称的な箇所にその後3者を一体化する際の溶接箇所を2点配置して合計3点としても良い。さらに、図15、図16の場合は、ルーフリンフォース3のとサイドパネル2の2者を先に接合した後、ルーフパネル1に接合して3者を一体化しているが、先にルーフパネル1とルーフリンフォース3を接合して、この後にサイドパネル2に接合して3者を一体化する方法でもかまわない。加えて、事前の2者の接合を省略して、ルーフパネル1、ルーフリンフォース3及びサイドパネル2の各接合端部を3枚重ね合わせ、1点または2点の溶接で3者を直接接合することにより一体化することでも良い。
このように、ルーフパネル1、ルーフリンフォース3及びサイドパネル2の3者を最終的に一体化するに当っての溶接打点数や枚数(2枚または3枚同時)、順序などについては、溶接作業の工数、接合端部の溶接スペース、要求接合強度、溶接条件の許容適性範囲などを考慮して適宜選択すれば良く、本発明において特に限定されるものではない。
次に、車長方向のピラー部(センターピラー部)における本発明の接合構造について図3により説明する。ボデー骨格であるサイドパネル2の構造は車長方向に連続するもので前図1と基本的に同じである。図2と異なる点は、アルミニウム合金製のルーフパネルの補強構造との接合にある。図2ではアルミニウム合金製のルーフパネルとアルミニウムメッキ鋼板製のルーフリンフォースが直接溶融接合されていたが、本図3では同ルーフパネル1と、ルーフリンフォース用ブラケット13(溶融接合部材)がその溶融接合部W1において溶融接合された構造となっている。そして、アルミニウムメッキ鋼板製のルーフリンフォース用ブラケット13とこのサイドパネル2の鋼板製のサイドパネルアウター2aがそれらの接合端部同士を溶融接合部W2においてやはりスポット溶接することにより溶融接合されている。また、図2とさらに異なる点は溶融接合部W1とW2の位置関係にある。すなわち、図2の場合は、W1とW2が一定の距離で車長方向に離間した平面上異なる部位(位置)に配置されたものであったが、本図3の場合は、同じ一定の距離で車幅方向に離間した平面上異なる部位(位置)に配置されたものである。
図3におけるルーフリンフォース6はピラー部における側面衝突などに対する剛性強度の確保及び軽量化を図るべく、ボックス形状を有したアルミニウム合金製のものであり、このルーフリンフォース6はその上部に配置された上記ブラケット13と一体化され、同ブラケット13介してルーフパネル1を補強する構成となっている。すなわち、アルミニウム合金製のルーフリンフォース6の側端部とアルミニウムメッキ鋼板製のブラケット13の側端部がスポット溶接によりW4の溶接部において接合、一体化されている。なお、このW4は上記溶接によることなくボルト、ナットなどの他の固定手談で接合しても良い。
かかるサイド部の接合構造を得るための製造においては、ルーフパネル1、ルーフリンフォース6及びルーフリンフォース用ブラケット13をそれぞれ所定形状にプレス成形を行ない、ルーフリンフォース6にブラケット13を溶融接合部W4においてスポット溶接し、次いで、ルーフパネル1とブラケット13をマスチック4により接着した後、溶融接合部W1においてスポット溶接して一体化する。そして、一体化されたルーフパネル1、ルーフリンフォース6及びブラケット13と、サイドパネル2とを、サイドパネルアウター2aの接合端部とブラケット13の接合端部をスポット溶接により溶融接合部W1において接合することによりこれらをさらに一体化する。これらのスポット溶接による接合の具体的な方法は図11、12に説明した通りである。なお、ルーフリンフォース6については前記プレ成形に限らず押出しやダイキャストによる方法で得たものも使用できる。
また、このサイド部の接合構造を得るための他の製造として、図13の方法と同様に、先ず、ルーフリンフォース6にルーフリンフォース用ブラケット13を溶融接合部W4においてスポット溶接した上でこれを溶融接合部W2においてサイドパネル2にスポット溶接して一体化し、そしてこれらルーフリンフォース及びルーフリンフォース用ブラケット接合体のブラケット13をマスチック4によりルーフパネル1接着した後、同ブラケット13の接合端部をスポット溶接によりW3において接合する方法を採用しても良い。
次いで、同バックドア車のリア部における本発明の接合構造について図4により説明する。ここにおいて、アルミニウム合金製のルーフパネル1はリア部の車体プロフィールに合わせて垂直の後壁部1Xを有している。なお、この後壁部1Xは必要に応じて点線の如く後方に傾斜させて俯角を付ける形状とする場合もある。8はバックドアヒンジである。ルーフパネル1の下部にはボデー骨格であるリアヘッダー7が配設されている。このリアヘッダー7は3枚の骨格部材からなり、すなわち、上側のアルミニウムメッキ鋼板製のヘッダーアッパー7a(溶融接合部材)と下側の鋼板製のヘッダーアンダー7bと両者の中間内部の鋼板製のヘッダーリンフォース7cとで構成され、それぞれ後端及び前端側の両接合端部を溶融接合部W2、W2においてスポット溶接することで接合されている。そして、アルミニウム合金製のルーフパネル1とアルミニウムメッキ鋼板製のヘッダーアッパー7aが、それらの後端に位置する接合端部同士を溶融接合部W1においてスポット溶接することにより溶融接合されている。ここで溶融接合部W1とW2は車幅方向に距離Lを有する離間した平面上異なる部位に設定されている。
図5はリア部における本発明の接合構造の図4とは異なる第二の実施形態を示したものである。前図4の実施形態ではボデー骨格であるヘッダーの骨格部材の一部(ヘッダーアッパー)を溶融接合部材としたものだが、本実施形態では、ルーフパネルを二つに分割して、その一部(後部側)に溶融接合部材としての機能を持たせたものである。すなわち、図5においてルーフパネル1は車長方向にアルミニウム合金製のルーフパネル本体1aとその後部側のアルミニウムメッキ鋼板製のルーフパネルリアサイド1b(溶融接合材)に分割されている。パネル本体1aの後端コーナー部はリアサイド1bとの接合ための接合端部を有し、図の場合は接合端部をへこませた形状とし、9はこのへこみ部に設けられた樹脂部品を示す。リアサイド1bはパネル1の後壁部を形成し、その前側上部及び後側下部にパネル本体1a及びヘッダー7との接合のための接続端部をそれぞれ有する。そして、パネル本体1aとリアサイド1bは、両接合端部同士をコーナー部に配置された溶融接合部W1においてスポット溶接することで溶融接合されている。
また、ルーフパネル1の下部にはボデー骨格であるリアヘッダー7が配設されており、これを構成する3枚の骨格部材、つまりヘッダーアッパー7a、ヘッダーアンダー7bと及びヘッダーリンフォース7cはいずれも従来通り鋼板製であり、これらはそれぞれ後端及び前端側の両接合端部同士を溶融接合部W1においてスポット溶接することにより溶融接合され、ヘッダー3が一体化されている。さらに、ルーフパネル1のアルミニウムメッキ鋼板製のリアサイド1bと鋼板製のヘッダーアッパー7aとが、それらの接合端部同士を溶融接合部W2においてスポット溶接することにより溶融接合された構造となっている。
図6の実施形態は、第三の実施形態を示したものである。本実施形態は図5と同じく、ルーフパネルを二分割して、その一部を溶融部材としての機能を持たせたものであるが、前図5ではルーフパネルリアサイド1bがルーフパネル1の後壁部全体を形成しているのに対し、本実施形態は図のようにリアサイド1b(溶融接合材)が後壁部の下部を形成し、その上部はルーフパネル本体1aの後端部で形成されたものである。従って、ルーフパネル1は、そのアルミニウム合金製の本体1aとアルミニウムメッキ鋼板製のリアサイド1bがそれぞれ後壁部の上部及び下部形成する接続端部同士をその後壁部中間に配置された溶融接合部W1においてスポット溶接することにより溶融接合された構造となっている。
図7の実施形態は、第四の実施形態を示したものであり、ルーフパネル本体1aとルーフパネルリアサイド1bによって形成されるパネル1の後壁部が図6のような鈍角としたものではなく、後方に傾斜させて俯角を付ける形状としたもので、その他の構造は図6のものと同じである。
かかるリア部(図4〜図7)の接合構造を得るための製造方法について図4の構造のものから説明する。ボデー骨格となるリアヘッダー7については、先ず、ヘッダーアッパー7aはアルミニウムメッキ鋼板を素材として、またヘッダーアンダー7b及びヘッダーリンフォース7cは、鋼板を素材としてそれぞれ所定の形状にプレス成形を行って、これらそれぞれの両接合端部を溶融接合部W2、W2においてスポット溶接し、一体化する。一方、ルーフパネル1はアルミニウム合金を素材として所定形状にプレス成形を行なう。そして、ルーフパネル1とリアヘッダー7のヘッダーアッパー7aとの間にマスチック4を塗布した後、これらの接合端部を溶融接合部W1においてスポット溶接して全体を一体化することにより本接合構造を得る。
図5の接合構造のものは、ボデー骨格となるリアヘッダー7については、ヘッダーアッパー7a、ヘッダーアンダー7b、ヘッダーリンフォース7cを何れも鋼板を素材としてそれぞれ所定の形状にプレス成形を行って、これらの両端の各接合端部を溶融接合部W3、W3においてスポット溶接して、一体化する。一方、ルーフパネル1については、アルミニウム合金板を素材としてルーフパネル本体1aを、またアルミニウムメッキ鋼板を素材としてルーフパネルリアサイド1bを、各々所定形状にプレス成形する。次いで、プレス成形されたパネル本体1aとリアサイド1bをこれらの接合端部を溶融接合部W1においてスポット溶接して一体化する。また、接合されたコーナー部のへこみに樹脂部品5を設置する。そして、ルーフパネル1のパネル本体1aとヘッダーアッパー7aの間にマスチック4を塗布した後、ルーフパネル1のルーフパネルリアサイド1bとリアヘッダー7のヘッダーアッパー7aとを溶融接合部W2においてそれらの接合端部をスポット溶接して、さらに全体を一体化することにより本接合構造を得る。図6及び図7の接続構造のものについても、上記に説明の図5のものと同様な方法によって得ることができる。
次に、フロント部おける接合構造について図8により説明する。ここにおいて、アルミニウム合金製のルーフパネル1の下部には、マスチック4を介してボデー骨格となるフロントヘッダー10が配設されている。このフロントヘッダー10は、上部のアルミニウムメッキ鋼板製のフロントヘッダーアッパー10a(溶融接合部材)と下部の鋼板製のフロントヘッダーアンダー10bの2枚の骨格部材で構成されており、それぞれ両端の接合端部を溶融接合部W2、W2においてスポット溶接することで接合されている。そして、ルーフパネル1とアルミニウムメッキ鋼板製のフロントヘッダーアッパー10aとが前端に位置するそれらの接合端部を溶融接合部W1においてスポット溶接することにより溶融接合されて、一体化されている。
図9は図8とは異なる第二の実施形態を示したもので、前8図の実施形態ではフロントヘッダー10の骨格部材のうちヘッダーアッパー10aを溶融接合部材としたものだが、本実施形態では図のようにヘッダーアンダー10bをアルミニウムメッキ鋼板製にして溶融接合部材の機能を持たせ、ルーフパネル1とこのヘッダーアンダー10bとがそれらの接合端部を溶融接合部W1においてスポット溶接により溶融接合された構造を有するものである。この接合のため、ルーフパネル1とヘッダーアンダー10bは図8のものに比較して前側に延長されている。
図10は図8、図9とはさらに異なり、アルミニウムメッキ鋼板製のフロントヘッダー10が1枚で構成(開断面)されており、ルーフパネル1とこのフロントヘッダー10とはそれらの前端に位置する接合端部を溶融接合部W1においてスポット溶接により溶融接合された構造となっている。また、フロントヘッダー10の後端はマスチック4により接着、支持されている。なお、本図においては溶融接合部材であるフロントヘッダー10と鋼板製の骨格との接合が図示されていないが、フロントヘッダー10は車幅方向に図2に示したサイドパネル2まで連続、延長して配設されているから、同ヘッダー10のサイドパネル側の端部は、サイドパネル2とスポット溶接により溶融接合されて一体となっているものである。
かかるフロント部(図8〜図10)の接合構造を得るための製造方法について説明する。図8の接合構造のものは、ボデー骨格となるフロントヘッダー10については、アルミニウムメッキ鋼板を素材としてフロントヘッダーアッパー10aを、鋼板を素材としてフロントヘッダーアンダー10bをそれぞれ所定の形状にプレス成形を行って、これらの両端の各接合端部を溶融接合部W2、W2においてスポット溶接して、一体化する。そして一体化されたフロントヘッダー10のフロントヘッダーアッパー10aと、アルミニウム合金板を素材として所定形状にプレス成形して得たルーフパネル1とをマスチック4により接着、支持した後、前端に位置するそれらの接合端部を溶融接合部W1においてスポット溶接して、さらに全体を一体化することにより本接合構造と成す。
図9の接合構造のものは、ボデー骨格となるフロントヘッダー10については、鋼板を素材としてフロントヘッダーアッパー10aを、アルミニウムメッキ鋼板を素材としてフロントヘッダーアンダー10bをそれぞれ所定の形状にプレス成形を行って、これらの両端の各接合端部を溶融接合部W2、W2においてスポット溶接して、一体化する。そして一体化されたフロントヘッダー10のフロントヘッダーアンダー10bと、アルミニウム合金板を素材として所定形状にプレス成形して得たルーフパネル1とをマスチック4により接着、支持した後、前端に位置するそれらの接合端部を溶融接合部W1においてスポット溶接して、一体化することにより本接合構造と成すことができる。
図10の接合構造のものは、アルミニウム合金板を素材として所定形状にプレス成形して得たルーフパネル1とアルミニウムメッキ鋼板を素材としてプレス成形して得たフロントヘッダー10とを、同ヘッダー10の後端部でマスチック4により接着、支持した後、前端に位置するそれらの接合端部を溶融接合部W1においてスポット溶接して、一体化することにより本接合構造と成すことができる。
バックドア車に適用した本発明の接合構造の実施形態についてその製造方法も含めて詳述してきたが、トランクタイプの乗用車(トランク車)についても各図で示したものと基本的に同一の構造を有するものである。すなわち、図1のバックドア車をトランク車に置き換えると、A-A断面図の図2、B-B断面図の図3及びD―D断面図の図8は同じ構造であり、またリア部についてはバックドア車のC-C断面図の構造とは異なるも、フロント部のD―D断面図における図8を前後(図では左右)逆にしたものと同じ構造となり、従って、重複を避けるためトランク車の具体的な実施形態については説明を割愛することにする。
さて、本発明に係る乗用車の接合構造において、これまで説明した実施形態では触れなかった他の形態などのバリエーションについて以下に述べる。先ず、溶融接合部材を構成する材料については実施例ではアルミニウムメッキ鋼板を挙げたがこれに限定されるものではない。このアルミニウムメッキ鋼板に代表されるアルミ系メッキ鋼板、またアルミ−亜鉛系メッキ鋼板さらに亜鉛系メッキ鋼板を使用することができる。アルミ系メッキ鋼板はメッキ層の主成分としてアルミニウムを含み、アルミ−亜鉛系メッキ鋼板は主成分としてアルミニウムと亜鉛を含み、また亜鉛系メッキ鋼板は主成分として亜鉛を含むものである。これらはそのメッキの方法などにより、溶融メッキ、電気めっき、これらメッキ層を鋼板表面の鉄と合金化する合金化メッキなどがあるが何れも使用可能である。また、耐食性やメッキ層の強度、密着性などの特性向上のために、主成分以外の他の合金元素(クロム、マグネシウムなど)を含むメッキ鋼板でも良い。
この中でアルミニウムメッキ鋼板あるいはアルミニウム−亜鉛メッキ鋼板を使用すると、アルミニウム合金製のパネルとの溶融接合において脆弱なAl−鉄の金属間化合物の発生が顕著に抑制され、高い接合強度が得られることから特に好ましいといえる。さらに、これらメッキ鋼板の母材鋼は乗用車の部品、部材として要求される強度、成形性(加工性)、耐食性など諸特性に応じて適宜選択すればよいがボデー側の骨格部材をこの溶融接合部材とする場合には特に強度の高いハイテン系鋼種を選ぶことが好ましく、一方ルーパネルの一部やルーフリンフォース用のブラケットなどルーフ側の部材を溶融接合部材とする場合には成形性が良い軟鋼系の鋼種を選択することが望ましい。
また、上記メッキ鋼板からなる溶融接合部材はアルミニウム合金製のルーフパネル側と鋼板製のボデーの骨格(部品)側との間に介在して両者の接合、一体化を図るために使用されものであり、従って、溶融接合部材として既存の骨格側の部材あるいはルーフ側の部材の何れも自由に選択、適用することができる。例えば、中央サイド部やピラー部における図2、図3の実施形態ではルーフ側のルーフリンフォースまたはルーフリンフォース用ブラケット13を溶融接合部材として適用したが、このルーフリンフォースまたはルーフリンフォース用ブラケットをルーフパネル1と同じアルミニウム合金製として、サイドパネル2のサイドパネルアウター2aを溶融接合部材として適用することも可能である。さらに、本発明では、既存のルーフパネル側と鋼板製のボデーの骨格(部品)側との間に、前記メッキ鋼板製の板状部材を溶融部材として介装させた接合構造とすることもかまわない。
また、乗用車がサンルーフ車の場合は、サンルーフ部のルーフリンフォースを溶融接合部材として、これを直接アルミニウム合金製ルーフパネル及びボデー側の鋼板製骨格部材をそれぞれ溶融接合しても良いが、図3で説明した要領でサンルーフ部のルーフリンフォースをルーフパネル同様にアルミニウム合金製としてルーフリンフォース用のブラッケットだけを溶融接合部材としてこれをルーフパネル及びボデー側に溶融接合した構造としても良い。
ボデー側の骨格部材を形成する鋼板は強度はもとより耐食性を重視した防錆鋼板が用いられる。この防錆鋼板として主に溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、合金化亜鉛メッキ鋼板などの亜鉛系メッキ鋼板を使用することができる。また、防錆鋼板としてはこれ以外に鋼板表面に有機または無機系の被覆層を施したものや、これらに溶接性の向上を図るべく亜鉛などの金属粉末を配合したものも適用することが可能である。
また、ルーフパネル側の材料(成形素材)として使用されるアルミニウム合金板については成形性や強度の点から一般に実施形態でも例示したAA乃至JIS 6000系や5000系が好ましいが、他の展伸用合金であるAA乃至JIS 1000系、2000系、3000系及び7000系でも良く、またこれらの合金を圧延クラッド材や鋳造クラッド材としたものを用いても良い。特に、6000系アルミニウム合金板の調質処理(溶体化および焼入れ処理など)材は、自動車車体の塗装焼き付け処理での人工時効硬化性を有する。このため、ルーフパネルとしての成形性を確保した上で必要な強度 (耐力) を得るのに合金元素量が少なくて済み、そのスクラップを元の6000系アルミニウム合金の溶解原料としてリサイクルできる利点がある。
さらに、アルミニウム合金製のルーフパネルとしては通常の平坦な形状ではなく、剛性の向上や熱ひずみの抑制のためにその表裏面に車の前後や左右方向に伸びるビードを設けたものや、高速走行時の空気流の抑制のために表面を凹凸形状にしたものなど種々の形状のものを用いることができるのは勿論である。
本発明の接合構造を得るための溶融接合法として、実施形態では抵抗スポット溶接を上げて説明したが、他の方法としてMIGブレージング接合、またはレーザーブレージング接合についても同効に適用できるものである。前記した通り、これら一連のスポット溶接による接合においては、アルミニウム合金製のルーフパネル1とアルミニウムメッキ鋼板製あるいはアルミニウム−亜鉛メッキ鋼板製のルーフリンフォース3との接合を含めて、通常の鋼板同士の溶接の際と同じ溶接条件、溶接機を適用でき、またこれによって十分な接合強度を得ることができる。
この際の好ましいスポット溶接条件として、図12に示したスポット溶接時の電極チップT1、T2による加圧力については、接合端部全体(図の1eと3eまたは2eと3eの合計)の板厚tとの関係で、1.5× t〜4 .5t KNの範囲から選択する。また、溶接電流は前記全体の板厚t との関係で、10×t〜 30× t 0 . 5 KAの範囲の電流を、320× t 0 . 5 msec以下の比較的短時間の通電とする。なお、この通電は通常の1 回だけでは無く、2回通電あるいは2段階スポット溶接で行なっても良い。このスポット溶接に使用される溶接機の電極チップT1、T2形状はどのような形状でも良いし、アルミニウム合金側、鋼側で形状を変えても構わないが、図12のように、先端がR (円弧)となった「ドーム型」形状の電極チップを使用することが望ましい。
なお、本発明は以上の説明のように、アルミニウム合金製のルーフパネルがアルミ系メッキ鋼板などの溶融接合部材を介して鋼板製の骨格部材に溶融接合された乗用車の接合構造を特徴とするが、この溶融接合部材による両者の接合に加えて、接着剤その他の接合手段を併用した接合構造とすることも本発明の範囲に含まれるものである。
1:アルミニウム合金製ルーフパネル
1a:アルミニウム合金製ルーフルーフパネル本体
1b:アルミニウムメッキ鋼板製ルーフパネルリアサイド
2:鋼板製サイドパネル 2a: サイドパネルアウター
2b:サイドパネルインナー 2c:サイドパネルリンフォース
3:アルミニウムメッキ鋼板製ルーフリンフォース 4:マスチック
5:シール材 6:アルミニウム合金製ルーフリンフォース
7:リアヘッダー 8:バックドアヒンジ 9:樹脂部品
10:フロントヘッダー 13:アルミニウムメッキ鋼板製ルーフリンフォース用ブラケット
W1、W2、W3:溶融接合部 L:W1とW2の距離 H:開孔部
T1、T2:電極チップ

Claims (8)

  1. アルミニウム合金製のルーフパネルが鋼板製の骨格部材に接合された乗用車の接合構造において、前記接合はアルミ系メッキ鋼板、アルミ−亜鉛系メッキ鋼板または亜鉛系メッキ鋼板からなる溶融接合部材を介して行なわれるとともに、前記ルーフパネルと前記溶融接合部材側の間の接合、及び前記溶融接合部材と鋼板製の骨格部材の間の接合は何れも溶融接合法によってなされたものであることを特徴とする乗用車の接合構造。
  2. 前記溶融接合部材がルーフリンフォース部材またはルーフリンフォース用ブラケットで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の乗用車の接合構造。
  3. 前記溶融接合部材がヘッダー部材で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の乗用車の接合構造。
  4. 前記ヘッダー部材がヘッダー、ヘッダーアッパーまたはヘッダーアンダーであることを特徴とする請求項3に記載の乗用車の接合構造。
  5. 前記溶融接合部材がルーフパネルの一部で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の乗用車の接合構造。
  6. 前記溶融接合法が、抵抗スポット溶接、MIGブレージング接合、またはレーザーブレージング接合である請求項1〜5のいずれかに記載の乗用車の接合構造。
  7. 前記前記ルーフパネルと前記溶融接合部材側の間の接合、及び前記溶融接合部材と鋼板製の骨格部材の間の接合における溶融接合部が平面上で異なる部位である請求項1〜6のいずれかに記載の乗用車の接合構造。
  8. 前記1〜7のいずれかに記載の接合構造を有する乗用車。
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