JP2014070519A - 空気調和機 - Google Patents

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Abstract

【課題】渦気流の乱れを抑制して風切り音を低減する。
【解決手段】クロスフローファン10の外周部の両側に配置されて通風路を形成するスタビライザ32およびリアガイダ20少なくとも一方は、先端に、軸方向に関してファン中央部に向かって高さが低くなる複数の第1段差部28a〜28cを含む複数の段差部が軸方向に並んで形成されていると共に、ファン10と反対側の面における複数の第1段差部28a〜28cの少なくとも1つの近傍に、膨出部27が形成されている。
【選択図】図7

Description

本発明は、クロスフローファンを備えた空気調和機に関するものである。
クロスフローファンは、軸方向に沿って延び、回転方向に配列された複数の羽根を有する送風機である。このクロスフローファンを備える空気調和機においては、ファンの外周部の両側に、前舌部(スタビライザ)と後舌部(リアガイダ)が配置されている。これらの舌部は、ファンの吹出側の通風路を構成している。舌部は、先端または先端付近において、ファンに最も近接している。舌部の先端部とファンとの間には、渦気流が生じており、その渦気流内をファンの羽根が通過する際に、渦気流と羽根が干渉することによって、風切り音(NZ音)が発生する。
この風切り音を低減するために、例えば特許文献1では、前舌部(スタビライザ)の先端に複数の段差部を設けて、先端の高さを軸方向に関して変化させている。前舌部は、先端においてファンに最も近接している。各段差部は、軸方向に直交する方向に延びており、段差部の間の部分の先端は、回転軸周りにずれた形状となっている。この構成により、羽根が前舌部の先端を通過するタイミングがずれるため、風切り音の発生するタイミングが分散されて、風切り音が低減される。
特開平2−203129号公報
特許文献1の空気調和機では、前舌部の先端に段差が形成されていることにより、渦気流は、段差部付近において屈曲しており、流れが不安定となっている。
クロスフローファンの吹出側の風速分布は、ファンの軸方向中央部ほど風速が大きくなっているため、ファンに吸い込まれる空気流は、ファンの軸方向中央部に収束しようとする。そのため、図21に示すように、前舌部91の複数の段差部のうち、ファン90の軸方向中央部に向かって高さが低くなる段差部91a付近では、空気流は段差部91aに向かうように方向が変化して、段差部91aを乗り越えていく。その結果、渦気流の屈曲部に空気流が集中して流れ込むこととなり、渦気流が乱れるため、風切り音が増大してしまう。
また、後舌部の先端に段差を設けた場合についても同様の問題が生じる。
そこで、本発明は、渦気流の乱れを抑制して風切り音を低減できる空気調和機を提供することを目的とする。
第1の発明に係る空気調和機は、クロスフローファンと、前記クロスフローファンの外周部の両側に配置されて通風路を形成するスタビライザおよびリアガイダとを備えており、前記スタビライザおよび前記リアガイダの少なくとも一方は、先端部に、軸方向に関してファン中央部に向かって高さが低くなる複数の第1段差部を含む複数の段差部が軸方向に並んで形成されていると共に、前記クロスフローファンと反対側の面における前記複数の第1段差部の少なくとも1つの近傍に、膨出部が形成されていることを特徴とする。
この空気調和機では、スタビライザおよびリアガイダの少なくとも一方は、ファン中央部に向かって高さが低くなる第1段差部の近傍に、ファンと反対側に膨出する膨出部を有しているため、ファンに吸い込まれる空気流は、膨出部を乗り越えにくい。そのため、この第1段差部とファンとの間に発生する渦気流の屈曲部に、空気流が集中して流れ込むのを抑制でき、渦気流の乱れを抑制できる。その結果、風切り音を低減できる。
また、スラビライザおよびリアガイダの少なくとも一方の先端部に段差部を設けたことにより、段差部の軸方向両側部分をファンの羽根が通過するタイミングをずらしたり、段差部の間の部分の高さを軸方向に連続的に変化させて段差部の間の部分を羽根が通過するタイミングをずらすことができる。これにより、風切り音の発生するタイミングをずらすことができるため、風切り音を低減できる。
第2の発明に係る空気調和機は、第1の発明において、前記膨出部が、前記第1段差部に沿って形成されていることを特徴とする。
この空気調和機では、膨出部が第1段差部に沿って形成されているため、ファンに吸い込まれる空気流が、第1段差部を乗り越えるのを抑制できる。したがって、渦気流の屈曲部に、空気流が集中して流れ込むのをより確実に抑制できる。
第3の発明に係る空気調和機は、第1または第2の発明において、前記膨出部が、前記複数の第1段差部のうちファン中央部から軸方向に最も離れた前記第1段差部の近傍に設けられていることを特徴とする。
この空気調和機では、クロスフローファンに吸い込まれる空気流は、ファンの軸方向中央部に収束しようとするため、ファンの軸方向中央部から最も離れた第1段差部の近傍に膨出部を設けることで、渦気流の乱れをより確実に抑制できる。
第4の発明に係る空気調和機は、第1〜第3のいずれかの発明において、前記スタビライザおよび前記リアガイダの少なくとも一方は、2つ以上の前記膨出部を有しており、前記2つ以上の前記膨出部は、軸方向に関してファン中央部から離れた前記膨出部ほど、膨出高さが高いことを特徴とする。
この空気調和機では、クロスフローファンに吸い込まれる空気流は、ファンの軸方向中央部に収束しようとするため、ファンの軸方向中央部から離れた膨出部ほど、膨出高さを高くすることで、渦気流の乱れをより確実に抑制できる。
第5の発明に係る空気調和機は、第1〜第4のいずれかの発明において、前記第1段差部は、最も高い位置から最も低い位置まで直線状または曲線状に延びていることを特徴とする。
この空気調和機では、第1段差部は、軸方向全域にわたって直線状または曲線状に延びているため、第1段差部を形成しやすい。
第6の発明に係る空気調和機は、第1〜第4のいずれかの発明において、前記第1段差部は、段階的に高さが変化していることを特徴とする。
この空気調和機では、前記第1段差部は、段階的に高さが変化しているため、第1段差部の軸方向長さに関係なく、第1段差部の傾斜を調整できる。
第7の発明に係る空気調和機は、第1〜第6のいずれかの発明において、前記第1段差部に隣接して、他の前記第1段差部が配置されており、隣接する2つの前記段差部の間の部分の高さが、軸方向に関して連続的に変化していることを特徴とする。
この空気調和機では、段差部の間の部分の高さが、軸方向に関して連続的に変化しているため、段差部の間の部分をファンの羽根が通過するタイミングをずらすことができる。したがって、段差部の間の部分を羽根が通過する際、風切り音が発生するタイミングを連続的にずらすことができるため、風切り音を低減できる。
第8の発明に係る空気調和機は、第1〜第6のいずれかの発明において、前記第1段差部に隣接して、軸方向に関してファン中央部に向かって高さが高くなる段差部が配置されており、隣接する2つの前記段差部の間の部分の高さが、軸方向に関して一定であることを特徴とする。
この空気調和機では、スタビライザおよびリアガイダの少なくとも一方は、段差部の間の部分の高さが、軸方向に関して一定であるため、スタビライザまたはリアガイダを形成しやすい。
第9の発明に係る空気調和機は、第1〜第8のいずれかの発明において、前記複数の段差部は、軸方向に関してファン中央部に向かって高さが高くなる複数の第2段差部を含んでおり、前記スタビライザおよび前記リアガイダの前記少なくとも一方は、前記クロスフローファンと反対側の面における前記第2段差部の近傍に、膨出部が形成されていないことを特徴とする。
この空気調和機では、第2段差部は、ファン中央部に向かって高さが高くなっているため、ファンに吸い込まれる空気流が、第2段差部に向かうように方向が変化することは無い。そのため、第2段差部の近傍に膨出部を設ける必要はない。全ての段差部の近傍に膨出部を設けた場合、通風抵抗が大きくなって、送風性能が低下する場合があるが、本発明では、第2段差部の近傍には膨出部を設けないため、送風性能の低下を防止できる。
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
第1の発明では、スタビライザおよびリアガイダの少なくとも一方は、ファン中央部に向かって高さが低くなる第1段差部の近傍に、ファンと反対側に膨出する膨出部を有しているため、ファンに吸い込まれる空気流は、膨出部を乗り越えにくい。そのため、この第1段差部とファンとの間に発生する渦気流の屈曲部に、空気流が集中して流れ込むのを抑制でき、渦気流の乱れを抑制できる。その結果、風切り音を低減できる。
また、スラビライザおよびリアガイダの少なくとも一方の先端部に段差部を設けたことにより、段差部の軸方向両側部分をファンの羽根が通過するタイミングをずらしたり、段差部の間の部分の高さを軸方向に連続的に変化させて段差部の間の部分を羽根が通過するタイミングをずらすことができる。これにより、風切り音の発生するタイミングをずらすことができるため、風切り音を低減できる。
第2の発明では、膨出部が第1段差部に沿って形成されているため、ファンに吸い込まれる空気流が、第1段差部を乗り越えるのを抑制できる。したがって、渦気流の屈曲部に、空気流が集中して流れ込むのをより確実に抑制できる。
第3の発明では、クロスフローファンに吸い込まれる空気流は、ファンの軸方向中央部に収束しようとするため、ファンの軸方向中央部から最も離れた第1段差部の近傍に膨出部を設けることで、渦気流の乱れをより確実に抑制できる。
第4の発明では、クロスフローファンに吸い込まれる空気流は、ファンの軸方向中央部に収束しようとするため、ファンの軸方向中央部から離れた膨出部ほど、膨出高さを高くすることで、渦気流の乱れをより確実に抑制できる。
第5の発明では、第1段差部は、軸方向全域にわたって直線状または曲線状に延びているため、第1段差部を形成しやすい。
第6の発明では、前記第1段差部は、段階的に高さが変化しているため、第1段差部の軸方向長さに関係なく、第1段差部の傾斜を調整できる。
第7の発明では、段差部の間の部分の高さが、軸方向に関して連続的に変化しているため、段差部の間の部分をファンの羽根が通過するタイミングをずらすことができる。したがって、段差部の間の部分を羽根が通過する際、風切り音が発生するタイミングを連続的にずらすことができるため、風切り音を低減できる。
第8の発明では、スタビライザおよびリアガイダの少なくとも一方は、段差部の間の部分の高さが、軸方向に関して一定であるため、スタビライザまたはリアガイダを形成しやすい。
第9の発明では、第2段差部は、ファン中央部に向かって高さが高くなっているため、ファンに吸い込まれる空気流が、第2段差部に向かうように方向が変化することは無い。そのため、第2段差部の近傍に膨出部を設ける必要はない。全ての段差部の近傍に膨出部を設けた場合、通風抵抗が大きくなって、送風性能が低下する場合があるが、本発明では、第2段差部の近傍には膨出部を設けないため、送風性能の低下を防止できる。
本発明の実施形態に係る空気調和機の室内機の外観斜視図である。 室内機の断面図である。 クロスフローファンの斜視図である。 クロスフローファンの部分拡大斜視図である。 室内機内のクロスフローファン付近の斜視図である。 室内機内のクロスフローファン付近を前方から見た図である。 室内機内のクロスフローファン付近を上方から見た図である。 (a)は図6および図7のA−A線に沿った断面図のリアガイダの先端付近の部分拡大図であって、(b)は図6および図7のB−B線に沿った断面図のリアガイダの先端付近の部分拡大図である。 (a)は図6および図7のC−C線に沿った断面図のリアガイダの先端付近の部分拡大図であって、(b)は図6および図7のD−D線に沿った断面図のリアガイダの先端付近の部分拡大図である。 (a)は図6および図7のA−A線に沿った断面図のスタビライザ付近の部分拡大図であって、(b)は図6および図7のB−B線に沿った断面図のスタビライザ付近の部分拡大図である。 リアガイダの先端部の斜視図である。 図11の部分拡大図である。 リアガイダの先端部の部分拡大斜視図である。 フロントガイダの斜視図である。 リアガイダの段差部付近の空気の流れを説明する図である。 本発明の他の実施形態に係るリアガイダを上方から見た図である。 本発明の他の実施形態に係るリアガイダを上方から見た図である。 本発明の他の実施形態に係るリアガイダをファン側から見た斜視図である。 図18のリアガイダの部分拡大斜視図である。 本発明の実施形態に係るリアガイダを上方から見た図である。 従来の前舌部とファンを上方から見た図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態の空気調和機の室内機1は、全体として一方向に細長い形状を有しており、その長手方向が水平となるように室内の壁面に据え付けられる。室内機1は、図示しない室外機と共に空気調和機を構成しており、室内の冷暖房を行う。
なお、以下の説明において、室内機1が取り付けられる壁から突出する方向を「前方」と称し、その反対の方向を「後方」と称する。また、図1に示す左右方向を単に「左右方向」と称する。
図2に示すように、室内機1は、ケーシング2と、ケーシング2内に収容された熱交換器3、クロスフローファン10、フィルタ4および電装品箱(図示省略)などの内部機器を備えている。ケーシング2の上面には吸込口2aが形成されており、ケーシング2の下面には吹出口2bが形成されている。吹出口2bの近傍には、上下方向の風向きの調整と、吹出口2bの開閉を行う水平フラップ5が配置されている。
クロスフローファン10(以下、単にファン10という)は、その軸方向が左右方向に沿うように配置されており、図2中矢印で示す方向に回転する。ファン10の前後両側には、通風路を形成するフロントガイダ30とリアガイダ(後舌部)20が配置されている。フロントガイダ30の上側略半分は、スタビライザ(前舌部)32で構成されている。ファン10の両側にスタビライザ32とリアガイダ20が配置されていることによって、ファン10は、上前方から空気を吸い込んで、下後方に吹き出すようになっている。また、熱交換器3は、ファン10の前方と上方とを取り囲むように配置されている。空調運転時には、ファン10の駆動により、室内空気が吸込口2aから吸い込まれて、吸い込まれた空気は、熱交換器3において加熱または冷却された後、吹出口2bから吹き出される。
以下、ファン10、リアガイダ20、フロントガイダ30について詳細に説明する。
[ファン]
図3に示すように、ファン10は、軸方向(左右方向)に並んで配置された複数(本実施形態では6つ)の羽根車12と、エンドプレート11とで構成される。
エンドプレート11は、ファン10の右端部を構成しており、エンドプレート11の右面の中央部には、ファン10を駆動するモータ(図示省略)の回転軸と連結されるボス部11aが突設されている。
6つの羽根車12のうち右側の5つの羽根車12Aは、周方向に配列された複数の羽根15と、複数の羽根15の左端に連結された略円環状の支持プレート13とからなり、羽根15と支持プレート13とは一体成形されている。羽根車12Aの羽根15の右端は、隣接するエンドプレート11または羽根車12Aの支持プレート13に、溶着等によって接合されている。
6つの羽根車12のうち最も左側に配置された羽根車12Bは、周方向に配列された複数の羽根15と、複数の羽根15の左端に連結された略円盤状のエンドプレート14とからなり、羽根15とエンドプレート14とは一体成形されている。羽根車12Bの羽根15の右端は、隣接する羽根車12Aの支持プレート13に、溶着等によって接合されている。エンドプレート14の左面の中央部には、ケーシング2に設けられた軸受(図示省略)に回転自在に支持される軸(図示省略)が突設されている。
羽根車12の複数の羽根15は、軸方向(左右方向)に沿って延びており、所定の翼角をもって前進翼構造で配設されている。5つの羽根車12Aの羽根15の軸方向長さは全て同じであって、羽根車12Bの羽根15の軸方向長さのほぼ2倍である。本実施形態では、羽根車12の複数の羽根15は、周方向に不等ピッチで配置されている。6つの羽根車12の羽根15の配列ピッチは全て同じである。なお、複数の羽根15は、等ピッチで配列されていてもよい。
図4に示すように、隣接する2つの羽根車12のそれぞれの複数の羽根15は、周方向にずれて配置されている。具体的には、羽根15は、この羽根15の左側に隣接する羽根車12の羽根15に対して、回転方向(図4中の矢印方向)に角度θだけずれている。つまり、6つの羽根車12のそれぞれの複数の羽根15は、右に向かうにつれて、回転方向に角度θずつずれている。
[リアガイダ]
リアガイダ20は、ファン10の後方に配置されており、リアガイダ20の下端は吹出口2bに連結されている(図2参照)。図5〜図7に示すように、リアガイダ20の左右方向長さは、ファン10の左右方向長さとほぼ同じであって、リアガイダ20は、ファン10の左右方向のほぼ全域にわたってファン10と対向している。また、図2および図6に示すように、リアガイダ20の上端は、ファン10の上端よりも若干高い位置にある。
図2に示すように、リアガイダ20のファン10に対向する面のうち、上下両端部を除く部分は、略円弧状の湾曲面21で構成されている。湾曲面21とファン10の外周部との離間距離(最短距離)は、上方に向かうほど小さくなっている。
また、リアガイダ20は、湾曲面21より上方(先端側)に、突起部22を有する。突起部22は、左右方向に直交する断面形状が、ファン10と反対側に膨らんだ略円弧状に形成されている。図8および図9に示すように、突起部22とファン10の外周部との離間距離(最短距離)は、上方に向かうほど大きくなっている。上述したように、湾曲面21とファン10の外周部との離間距離(最短距離)は、上方に向かうほど小さくなっているため、リアガイダ20は、突起部22の下端と湾曲面21の上端との境界20a(以下、最近接位置20aという)において、ファン10に最も近接する。
図11等に示すように、突起部22は、左右方向に並んだ6つのねじれ部23と、隣接する2つのねじれ部23の間にそれぞれ配置された5つの連結部24と、2つの傾斜緩和部25と、複数のリブ部26(図7および図9参照)で構成されている。
6つのねじれ部23は、それぞれ羽根車12に対向配置されている。6つのねじれ部23のうち右側の5つのねじれ部23の左右方向長さは、全て同じであって、羽根車12Aの羽根15の左右方向長さとほぼ同じである。また、最も左側のねじれ部23の左右方向長さは、羽根車12Bの羽根15の左右方向長さとほぼ同じである。
ねじれ部23は、左右方向に直交する断面形状が略円弧状である。図11に示すように、ねじれ部23は、左端から右端まで連続的にファン10の周方向にずれた形状となっている。そのため、ねじれ部23の左右方向に直交する断面形状は、ほぼ一定である。また、ねじれ部23の先端(前上端)の高さは、左右方向に関して連続的に変化している。なお、本明細書において、ねじれ部23、連結部24、傾斜緩和部25、後述する段差部28a〜28eの高さとは、上下方向の高さではなく、突起部22の突出方向(本実施形態では略前上方)の高さのことである。6つのねじれ部23は、最上端の高さが全て同じであると共に、最下端の高さが全て同じである(図6および図7参照)。
図8(a)に示すように、ねじれ部23は、左端から右端までの間に、ファン10の回転方向(図8中の矢印方向)と逆方向に角度α1だけずれている。6つのねじれ部23のずれ角度α1は全て同じである。また、図8(b)に示すように、ねじれ部23の左端は、このねじれ部23の左側に隣接するねじれ部23の右端に対して、ファン10の回転方向(図8中の矢印方向)に角度β1だけずれている。角度β1は、角度α1と同じである。
図11等に示すように、5つの連結部24は、それぞれ、隣接する2つのねじれ部23の対向する左右方向端部同士を連結している。連結部24は、左右方向に直交する断面が略円弧状であって、その厚みはねじれ部23とほぼ同じである。連結部24の先端(前上端)は、右に向かうほど高さが低くなるように直線状に延びている。5つの連結部24は、それぞれファン10の支持プレート13に対向配置されている(図6および図7参照)。
図7等に示すように、2つの傾斜緩和部25は、5つの連結部24のうち左側の2つの連結部24の先端にそれぞれ連結されている。2つの傾斜緩和部25は、同じ形状である。図7に示すように、傾斜緩和部25は、連結部24、および、この連結部24の右側に位置するねじれ部23の左端部の前上端から略前方に延びている。傾斜緩和部25は上方から見て略三角形状であって、傾斜緩和部25の先端(前端)は、ほぼ直線状に延びており、連結部24の先端の左端とねじれ部23の先端とを連結している。図6に示すように、傾斜緩和部25の先端(前端)の高さは、右に向かうほど低くなっている。傾斜緩和部25の左右方向長さは、ねじれ部23と連結部24との左右方向長さを合わせた長さの5%〜30%が好ましい。
図9(b)に示すように、傾斜緩和部25の軸方向に直交する断面形状は略三角形状であって、傾斜緩和部25の後面は、ねじれ部23または連結部24の上面から略上方に延びており、傾斜緩和部25の上面は、傾斜緩和部25の後面の上端から略前方に延びている。また、傾斜緩和部25の前端の厚みは、ねじれ部23および連結部24の厚みとほぼ同じである。
図7に示すように、複数のリブ部26は、傾斜緩和部25の後面から後方に延びている。図9に示すように、リブ部26は、ねじれ部23または連結部24の後面(ファン10と反対側の面)に突設されている。リブ部26の前端の上下方向高さと、傾斜緩和部25の後面の上端の上下方向高さはほぼ同じである。リブ部26の厚みは、後方に向かうほど薄くなっている。
突起部22のファン10と反対側の面において、傾斜緩和部25およびリブ部26は、その周囲の部分(ねじれ部23および連結部24)よりも膨出している。この膨出した部分を膨出部27とする。上方から見た膨出部27の範囲は、傾斜緩和部25とリブ部26とを合わせた範囲と一致する。
突起部22のファン10と反対側の面に略直交する方向D(図9参照)における膨出部27の高さを、膨出高さとする。膨出部27の膨出高さが最も高い位置27a(以下、頂点27aという)は、傾斜緩和部25の後面の上端のうち、連結部24の右端に対応する位置である。図13に示すように、膨出部27の頂点27aより右側の部分は、右に向かって膨出高さが低くなっており、膨出部27の頂点27aより左側の部分は、左に向かって急激に膨出高さが低くなっている。
隣接する2つのねじれ部23の対向する左右方向端部同士の高さが異なっていることにより、突起部22の先端には、5つの段差部28a〜28eが左右方向に並んで形成されている。段差部28a〜28eは、右に向かうほど高さが低くなっている。段差部28a〜28cは、ファン10の軸方向中央部M(図6および図7参照)より左側に配置されており、段差部28d、28eは、ファン10の軸方向中央部Mより右側に配置されている。段差部28a、28bは、傾斜緩和部25の先端で構成されており、段差部28c〜28eは、連結部24の先端で構成されている。
5つの段差部28a〜28eの最も高い位置(左端)の高さは同じである。連結部24の先端で構成された段差部28c〜28eの最も低い位置(右端)の高さは同じである。傾斜緩和部25の先端で構成された段差部28a、28bの最も低い位置(右端)の高さは同じであって、段差部28c〜28eの最も低い位置の高さよりも高い。
図12に示すように、段差部28a、28bの軸方向に対する傾斜角度を角度φ1とし、段差部28c〜28eの軸方向に対する傾斜角度を角度φ2とする。角度φ1は、角度φ2よりも小さい。つまり、段差部28a、28bは、段差部28c〜28eよりも傾斜が緩やかである。
また、図12に示すように、段差部28a、28bの最も高い位置から所定長さWの左右方向範囲における高さの変化量を、ΔH1とする。また、段差部28c〜28eの最も高い位置から所定長さWの左右方向範囲における高さの変化量を、ΔH2とする。変化量ΔH1は、変化量ΔH2よりも小さい。「所定長さWの左右方向(軸方向)範囲における高さの変化量」は、段差部の傾斜を比較するための指標である。長さWは、図12に示す長さに限定されるものではない。本実施形態では、長さWは、段差部28a、28bの左右方向長さよりも小さい値であればよい。また、本実施形態では、長さWの左右方向範囲の基点が、段差部の最も高い位置となっているが、基点は、段差部の最も高い位置でなくもよい。
[フロントガイダ]
フロントガイダ30は、ファン10の前方に配置されており、フロントガイダ30の下端は吹出口2bに連結されている(図2参照)。フロントガイダ30は、ファン10に対向配置されるスタビライザ32と、スタビライザ32の下端から吹出口2bに至る前壁部31とで構成されている。
図5〜図7に示すように、スタビライザ32の左右方向長さは、ファン10の左右方向長さとほぼ同じであって、スタビライザ32は、ファン10の左右方向のほぼ全域にわたってファン10と対向している。また、図2および図6に示すように、スタビライザ32の上端は、ファン10の中心よりも低い位置にある。
図14に示すように、スタビライザ32のファン10に対向する面のうち、上下両端部を除く部分は、略円弧状の湾曲面33で構成されている。湾曲面33とファン10の外周部との離間距離(最短距離)は、上方に向かうほど小さくなっている。また、スタビライザ32は、湾曲面33の下端から略前方に向かって屈曲する屈曲面34を有する。屈曲面34の下端は、前壁部31に連結されている。
また、スタビライザ32は、湾曲面33の上端から前下方に延びた平坦状の端面35と、端面35の前方に配置され、端面35より上方に突出する凸部36とを有する。凸部36および端面35が、リアガイダ20の上端部を構成している。凸部36は、左右方向に直交する断面形状が、略三角形状に形成されている。図14に示すように、スタビライザ32は、湾曲面33の上端32a(以下、最近接位置32aという)において、ファン10の外周部に最も近接する。
また、スタビライザ32(凸部36、端面35、湾曲面33、屈曲面34)は、左右方向に並んだ6つのねじれ部37と、隣接する2つのねじれ部37の間にそれぞれ配置された5つの連結部38とで構成されている。
6つのねじれ部37は、それぞれ羽根車12に対向配置されている。6つのねじれ部37のうち右側の5つのねじれ部37の左右方向長さは、全て同じであって、羽根車12Aの羽根15の左右方向長さとほぼ同じである。また、最も左側のねじれ部37の左右方向長さは、羽根車12Bの羽根15の左右方向長さとほぼ同じである。
図14に示すように、ねじれ部37は、左端から右端まで連続的にファン10の周方向にずれた形状となっている。そのため、ねじれ部37の左右方向に直交する断面形状は、ほぼ一定である。また、ねじれ部37の先端(上端)の高さは、左右方向に関して連続的に変化している。6つのねじれ部37は、最上端の高さが全て同じであると共に、最下端の高さが全て同じである(図6参照)。
図10(a)に示すように、ねじれ部37は、左端から右端までの間に、ファン10の回転方向(図10中の矢印方向)と逆方向に角度α2だけずれている。6つのねじれ部37のずれ角度α2は全て同じである。また、図10(b)に示すように、ねじれ部37の左端は、このねじれ部37の左側に隣接するねじれ部37の右端に対して、ファン10の回転方向(図10中の矢印方向)に角度β2だけずれている。角度β2は、角度α2と同じである。
図6および図7に示すように、5つの連結部38は、それぞれ、隣接する2つのねじれ部37の対向する左右方向端部同士を連結している。5つの連結部38は、それぞれファン10の支持プレート13に対向配置されている。隣接する2つのねじれ部37の対向する左右方向端部同士の高さが異なっていることにより、スタビライザ32の先端には、5つの段差部が左右方向に並んで形成されている。
次に、空気調和機の運転時のリアガイダ20とファン10との間の空気の流れについて説明する。
ファン10の駆動により、リアガイダ20の先端部とファン10との間には、渦気流(図8(b)中矢印で表示)が発生する。図15には、渦気流の中心Cを一点鎖線で表示している。図15に示すように、渦気流は、段差部28a〜28eの軸方向両端と、ファン10との間の部分において屈曲する。
リアガイダ20とファン10の間に生じる渦気流内を羽根15が通過する際に、渦気流と羽根15が干渉することで風切り音が発生する。リアガイダ20のねじれ部23は、左右方向に関して周方向に連続的にずれているため、1つのねじれ部23を羽根15が通過する際、風切り音が連続的にずれて発生する。また、隣接する2つのねじれ部23の対向する左右方向端部は周方向に角度β1だけずれているため、羽根車12のずれ角度θが角度β1(=α1)と異なる場合には、隣接する2つのねじれ部23の対向する左右方向端部において、風切り音の発生するタイミングがずれる。このように、風切り音の発生するタイミングをずらすことで、風切り音を低減できる。
ファン10の吹出側の風速分布は、ファン10の軸方向中央部ほど風速が大きくなっているため、図7に矢印で示したように、ファン10に吸い込まれる空気流は、ファン10の軸方向中央部Mに収束しようとする。そのため、仮に、段差部28a、28bの近傍に膨出部27が設けられていない場合、空気流は段差部28a、28bに向かうように方向が変化しやすいため、渦気流の屈曲部に空気流が集中して流れ込むこととなる。これにより、渦気流が乱れて、その結果、風切り音が増大してしまう。
一方、本実施形態では、段差部28a、28bの近傍に、ねじれ部および連結部24よりもファン10と反対側に膨出した膨出部27が設けられているため、図15に示すように、空気流が段差部28a、28bに向かうように方向が変化しにくくなると共に、膨出部27の範囲を通過する空気流を低減できる。したがって、渦気流の屈曲部に空気流が集中して流れ込むのを抑制できるため、渦気流の乱れを抑制できる。
また、本実施形態では、段差部28a、28bの傾斜角度φ1が、他の段差部28c〜28eの傾斜角度φ2よりも小さいため、段差部28a、28bの傾斜角度が角度φ2と同じである場合(即ち、傾斜緩和部25を設けない場合)に比べて、空気流が段差部28a、28bに向かうように方向が変化しにくくなり、渦気流の屈曲部に空気流が集中して流れ込むのをより抑制できる。また、段差部28a、28bの傾斜角度を小さくしたことで、渦気流の屈曲部の屈曲角度が緩やかになるため、渦気流がより乱れにくくなる。
また、スタビライザ32の先端部とファン10との間にも渦気流(図8(b)中矢印で表示)が生じており、この渦気流内を羽根15が通過する際に、渦気流と羽根15が干渉することで風切り音が発生する。スタビライザ32のねじれ部37は、左右方向に関して周方向に連続的にずれているため、1つのねじれ部37を羽根15が通過する際、風切り音が連続的にずれて発生する。また、隣接する2つのねじれ部37の対向する左右方向端部は周方向にβ2だけずれているため、羽根車12のずれ角度θが角度β2(=α2)と異なる場合には、隣接する2つのねじれ部23の対向する左右方向端部において、風切り音の発生するタイミングがずれる。このように、風切り音の発生するタイミングをずらすことで、風切り音を低減できる。
本実施形態の空気調和機には、以下の特徴がある。
リアガイダ20は、ファン10の軸方向中央部Mに向かって高さが低くなる段差部28a、28bの近傍に、ファン10と反対側に膨出する膨出部27を有しているため、ファン10に吸い込まれる空気流は、膨出部27を乗り越えにくい。そのため、段差部28a、28bとファン10との間に発生する渦気流の屈曲部に、空気流が集中して流れ込むのを抑制でき、渦気流の乱れを抑制できる。その結果、風切り音を低減できる。
また、本実施形態では、段差部28a〜28eの間の部分(ねじれ部23)の高さが、軸方向に関して連続的に変化しているため、段差部28a〜28eの間の部分を羽根15が通過するタイミングをずらすことができる。したがって、段差部28a〜28eの間の部分を羽根15が通過する際、風切り音が発生するタイミングを連続的にずらすことができるため、風切り音を低減できる。
また、段差部(第2段差部)28d、28eは、ファン10の軸方向中央部Mに向かって高さが高くなっているため、ファン10に吸い込まれる空気流が、段差部28d、28eに向かうように方向が変化することは無い。そのため、段差部28d、28eの近傍に膨出部を設ける必要はない。全ての段差部28a〜28eの近傍に膨出部を設けた場合、通風抵抗が大きくなって、送風性能が低下する場合があるが、本実施形態では、段差部28d、28eの近傍には膨出部を設けないため、送風性能の低下を防止できる。
また、ファン10に吸い込まれる空気流は、ファン10の軸方向中央部Mに収束しようとするため、ファン10の軸方向端部に最も近い段差部28aの近傍に膨出部27を設けたことで、渦気流の乱れをより確実に抑制できる。
また、本実施形態では、ファン10の軸方向端部から2番目に近い段差部28bの近傍にも膨出部27を設けているため、渦気流の乱れをより確実に抑制できる。
また、本実施形態では、ファン10の軸方向中央部Mに向かって高さが低くなる段差部28cの近傍には膨出部を設けていないが、段差部28cはファン10の軸方向中央部Mに近いため、段差部28c付近を流れる空気流の方向は、ほぼ軸方向に直交する方向であり、空気流が段差部28cに向かって方向が変化することはほとんどない。本実施形態では、段差部28cの近傍に膨出部を設けないことで、送風性能の低下を抑えることができる。
また、本実施形態では、膨出部27が段差部28a、28bに沿って形成されているため、ファン10に吸い込まれる空気流が、段差部28a、28bを乗り越えるのを抑制できる。したがって、渦気流の屈曲部に、空気流が集中して流れ込むのをより確実に抑制できる。
また、本実施形態では、段差部28a、28bは、所定長さの軸方向範囲における高さの変化量が他の段差部28c〜28eよりも小さくなっている。仮に、段差部28a、28bの前記変化量が、段差部28c〜28eと同じである場合、段差部28a、28b付近において、空気流は段差部28a、28bに向かうように方向が変化しやすいため、渦気流の屈曲部に乱れが生じやすくなるが、本実施形態では、段差部28a、28bの前記変化量が小さいため、ファン10に吸い込まれる空気流が、段差部28a、28bに向かうように方向が変化するのを抑制できる。したがって、段差部28a、28bとファン10との間に発生する渦気流の屈曲部に、空気流が集中して流れ込むのをより抑制できる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成は、上記実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。なお、以下の変更形態は、適宜組み合わせて実施することも可能である。
上記実施形態では、隣接する2つのねじれ部23は連結部24で連結されているが、図16に示すように、連結部24を設けずに、隣接する2つのねじれ部23の対向する軸方向端部同士が直接連結されていてもよい。この場合、傾斜緩和部が設けられていない段差部(例えば図16中の段差部128e)は、隣接する2つのねじれ部23の対向する軸方向端部のうち、高い方の軸方向端部の先端側部分で構成されており、軸方向に直交する。
段差部28a、28bの形状は、上記実施形態の形状に限定されるものではない。
例えば図16(a)に太線で示す段差部128aのように、最も高い位置から最も低い位置まで曲線状に延びていてもよい。
また、例えば図16(b)〜図16(f)および図17(b)に太線で示す段差部228a〜628a、828aのように、段階的に高さが変化する形状であってもよい。この構成によると、段差部の軸方向長さに関係なく、段差部の傾斜を調整できる。
図16(b)および図17(b)の段差部228a、828aは、最も高い位置から直線状または曲線状に延びる縁部が、ファンの軸方向中央部に向かって高さが高くなる段差部(第2段差部)128eよりも傾斜が緩やか(即ち、所定長さの軸方向範囲における高さの変化量が小さい)である。この構成によると、ファン10に吸い込まれる空気流が、段差部228a、828aの前記縁部に向かうように方向が変化するのを抑制できる。なお、「所定長さの軸方向範囲」は、例えば、段差部228a、828a、128eの最も高い位置から、段差部228a、828aの軸方向長さ未満の長さの範囲とする。
また、図16(c)〜図16(f)の段差部328a〜628aは、最も高い位置から直線状または曲線状に延びる縁部の傾斜角度が、ファンの軸方向中央部に向かって高さが高くなる段差部(第2段差部)128eの傾斜角度と同じであって、前記縁部の長さが段差部128eの最も高い位置から直線状に延びる縁部よりも短い。この構成によると、ファン10に吸い込まれる空気流が、段差部328a〜628aの前記縁部付近に向かうように方向が変化するのを抑制できる。なお、「所定長さの軸方向範囲」は、例えば、段差部328a〜628a、128eの最も高い位置から、段差部328a〜628a前記縁部の軸方向長さよりも長い長さの範囲とする。
また、上記実施形態では、段差部28a、28bは、最も高い位置の高さが段差部(第2段差部)28d、28eと同じであるが、例えば図17(a)および図17(b)に太線で示す段差部728a、828aのように、最も高い位置の高さが段差部(第2段差部)128eより低くなっていてもよい。
上記実施形態では、2つの段差部28a、28bは、所定長さWの軸方向範囲における高さの変化量ΔH1が同じであるが、前記変化量が異なっていてもよい。この場合、渦気流の乱れを抑制する観点から、ファン10の軸方向中央部Mから遠い方の段差部28aの前記変化量を、段差部28bよりも小さくすることが好ましい。
上記実施形態では、ファン10の軸方向中央部Mに向かって高さが低くなる3つの段差部28a〜28cのうち段差部28a、28bだけが、ファン10の軸方向中央部Mに向かって高さが高くなる段差部28d、28eよりも所定長さの軸方向範囲における高さの変化量が小さくなっているが、3つの段差部28a〜28cが全て、段差部28d、28eよりも前記変化量が小さくてもよい。
また、段差部28a、28bの一方だけが、段差部28d、28eよりも前記変化量が小さく、他方は、段差部28d、28eと前記変化量が同じであってもよい。この場合、渦気流の乱れを抑制する観点から、ファン10の軸方向中央部Mから遠い方の段差部28aの前記変化量を、段差部28bよりも小さくすることが好ましい。
上記実施形態では、リアガイダ20に設けられた段差部28a〜28eの数が、支持プレート13の数と同じであって、段差部28a〜28eは支持プレート13に対向配置されているが、この構成に限定されない。段差部の数は、支持プレート13の数より多くても少なくてもよい。また、段差部は支持プレート13に対向配置されていなくてもよい。
上記実施形態では、段差部28a〜28eの間は、ねじれ部23で構成されており、ねじれ部23の先端は、軸方向に連続的に高さが変化しているが、例えば図18および図19に示すリアガイダ920のように、段差部928a〜928e、929a〜929eの間の部分の高さが、軸方向に関して一定であってもよい。この場合、リアガイダ920を形成しやすい。
図18に示すように、リアガイダ920の突起部922は、軸方向に直交する断面が円弧状であって、高さの高い部分と高さの低い部分が軸方向に交互に並んだ形状となっている。つまり、リアガイダ920の先端には、ファン10の軸方向一端に向かって高さが低くなる段差部928a〜928eと、ファン10の軸方向一端に向かって高さが高くなる段差部929a〜929eとが軸方向に交互に並んでいる。ファン10の軸方向中央部Mに向かって高さが低くなる段差部(第1段差部)928a〜928c、929c〜929eのうち、ファン10の軸方向両端に近い4つの段差部928a、928b、929d、929eは、ファン10の軸方向中央部Mに向かって高さが高くなる段差部(第2段差部)928d、928e、929a、929bよりも、所定長さの軸方向範囲における高さの変化量が小さい。なお、「所定長さの軸方向範囲」は、例えば、段差部928a〜928e、929a〜929eの最も高い位置から、段差部928a、928b、929d、929eの軸方向長さよりも短い長さの範囲とする。
また、図19に示すように、突起部922のファン10と反対側の面において、段差部928a、928b、929d、929eの近傍には、膨出部927が形成されている。膨出部927は、ファン10の軸方向中央部Mに向かうにつれて膨出高さが低くなっている。
膨出部27の形状は、上記実施形態の形状に限定されるものではなく、膨出部27の周囲よりもファン10と反対側に膨出する形状であればよい。
上記実施形態では、2つの膨出部27は、膨出高さが互いに同じであるが、異なっていてもよい。この場合、渦気流の乱れを抑制する観点から、ファン10の軸方向中央部Mから遠い方の膨出部27の膨出高さを、他方の膨出部27よりも高くすることが好ましい。
上記実施形態では、段差部28a、28bの両方の近傍に膨出部27が設けられているが、段差部28a、28bの一方の近傍にのみ、膨出部27が設けられていてもよい。つまり、2つの傾斜緩和部25の一方は、ファン10と反対側の面が、ねじれ部23および連結部24よりも膨出していなくてもよい。なお、渦気流の乱れを抑制する観点から、膨出部27を設ける段差部は、ファン10の軸方向中央部Mから遠い方の段差部28aとすることが好ましい。
上記実施形態では、膨出部27の近傍の段差部28a、28bは、ファン10の軸方向中央部Mに向かって高さが高くなる段差部(第2段差部)28d、28eよりも傾斜が緩やか(所定長さの軸方向範囲における高さの変化量が小さい)となっているが、例えば図20(a)〜図20(c)に示すように、膨出部1027、1127、1227の近傍の段差部1028a、1128a、1228aの前記変化量が、ファン10の軸方向中央部Mに向かって高さが高くなる段差部(第2段差部)128eと同じであってもよい。なお、図20では、膨出部1027、1127、1227の範囲をハッチングで表示している。
また、上記実施形態では、膨出部27は、段差部28a、28bに沿って形成されているが、膨出部27の形成範囲は、これに限定されるものではない。膨出部は、ファン10の軸方向中央部Mに向かって高さが低くなる段差部の近傍であって、渦気流の屈曲部に流れ込む空気流を低減できる箇所に形成されていればよい。
例えば図20(b)に示す膨出部1127のように、段差部1128aの最も低い位置付近にのみ形成されていてもよい。また例えば図20(c)に示す膨出部1227のように、段差部1228aの最も高い位置付近にのみ形成されていてもよい。いずれの変更例においても、渦気流の屈曲部に流れ込む空気流を低減できる。
上記実施形態では、スタビライザ32の先端に設けられた複数の段差部は、全て傾斜が同じであるが、リアガイダ20と同様に、スタビライザ32の複数の段差部の傾斜が互いに異なっていてもよい(即ち、所定長さの軸方向範囲における高さの変化量が異なっていてもよい)。具体的には、ファン10の軸方向中央部Mに向かって高さが低くなる複数の段差部の少なくとも1つの前記変化量を、軸方向に関してファン10の軸方向中央部Mに向かって高さが高くなる段差部よりも小さくする。
また、リアガイダ20とスタビライザ32のいずれか一方だけが、複数の段差部の傾斜が互いに異なっていてもよい。
また、上記実施形態では、スタビライザ32の先端に設けられた段差部の近傍には、膨出部は設けられていないが、リアガイダ20と同様に、スタビライザ32の段差部の近傍に膨出部を設けてもよい。具体的には、ファン10の軸方向中央部Mに向かって高さが低くなる段差部の少なくとも1つの近傍に、周囲よりもファン10と反対側に膨出する膨出部を設ける。
また、リアガイダ20とスタビライザ32のいずれか一方だけが、膨出部を有していてもよい。
上記実施形態では、室内機の上部から室内空気を吸い込んで下部から空気を吹き出す構成の壁掛け式の室内機に、本発明を適用した例を挙げて説明したが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではない。例えば、室内機の下部から室内空気を吸い込んで上部から空気を吹き出す構成の床置き式の室内機に本発明を適用することも可能である。
本発明を利用すれば、渦気流の乱れを抑制して風切り音を低減することができる。
1 空気調和機の室内機
10 クロスフローファン
20、920 リアガイダ
25 傾斜緩和部
26 リブ部
27、927 膨出部
27a 頂点
28a〜28c、128a、228a、328a、428a、528a、628a、728a、828a、928a〜928c、929c〜929e、1028a、1128a、1228a 段差部(第1段差部)
28d、28e、128e、928d、928e、929a、929b 段差部(第2段差部)
32 スタビライザ
第1の発明に係る空気調和機は、クロスフローファンと、前記クロスフローファンの外周部の両側に配置されて通風路を形成するスタビライザおよびリアガイダとを備えており、前記スタビライザおよび前記リアガイダの少なくとも一方は、先端部に、複数の第1段差部を含む複数の段差部が軸方向に並んで形成されていると共に、前記クロスフローファンと反対側の面における前記複数の第1段差部の少なくとも1つの近傍に、膨出部が形成されており、前記複数の第1段差部は、それぞれ、軸方向に関してファン中央部に向かって高さが低くなっていることを特徴とする。
第9の発明に係る空気調和機は、第1〜第8のいずれかの発明において、前記複数の段差部は、複数の第2段差部を含んでおり、前記複数の第2段差部は、それぞれ、軸方向に関してファン中央部に向かって高さが高くなっており、前記スタビライザおよび前記リアガイダの前記少なくとも一方は、前記クロスフローファンと反対側の面における前記第2段差部の近傍に、膨出部が形成されていないことを特徴とする。

Claims (9)

  1. クロスフローファンと、
    前記クロスフローファンの外周部の両側に配置されて通風路を形成するスタビライザおよびリアガイダとを備えており、
    前記スタビライザおよび前記リアガイダの少なくとも一方は、先端部に、軸方向に関してファン中央部に向かって高さが低くなる複数の第1段差部を含む複数の段差部が軸方向に並んで形成されていると共に、前記クロスフローファンと反対側の面における前記複数の第1段差部の少なくとも1つの近傍に、膨出部が形成されていることを特徴とする空気調和機。
  2. 前記膨出部が、前記第1段差部に沿って形成されていることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
  3. 前記膨出部が、前記複数の第1段差部のうちファン中央部から軸方向に最も離れた前記第1段差部の近傍に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和機。
  4. 前記スタビライザおよび前記リアガイダの少なくとも一方は、2つ以上の前記膨出部を有しており、
    前記2つ以上の前記膨出部は、軸方向に関してファン中央部から離れた前記膨出部ほど、膨出高さが高いことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気調和機。
  5. 前記第1段差部は、最も高い位置から最も低い位置まで直線状または曲線状に延びていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空気調和機。
  6. 前記第1段差部は、段階的に高さが変化していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空気調和機。
  7. 前記第1段差部に隣接して、他の前記第1段差部が配置されており、
    隣接する2つの前記段差部の間の部分の高さが、軸方向に関して連続的に変化していることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の空気調和機。
  8. 前記第1段差部に隣接して、軸方向に関してファン中央部に向かって高さが高くなる段差部が配置されており、
    隣接する2つの前記段差部の間の部分の高さが、軸方向に関して一定であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の空気調和機。
  9. 前記複数の段差部は、軸方向に関してファン中央部に向かって高さが高くなる複数の第2段差部を含んでおり、
    前記スタビライザおよび前記リアガイダの前記少なくとも一方は、前記クロスフローファンと反対側の面における前記第2段差部の近傍に、膨出部が形成されていないことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の空気調和機。
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