JP2014070139A - ポリイミド前駆体及びそれを含有する樹脂組成物、ポリイミドフィルム及びその製造方法、並びに、積層体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリイミド前駆体は、酸二無水物由来の成分として、ピロメリット酸二無水物(PMDA)由来の成分、及び、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)由来の成分を、合わせて全酸二無水物由来の成分の60モル%以上含み、ジアミン由来の成分として、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)由来の成分を全ジアミン成分の60モル%以上含み、且つ、前記PMDA由来の成分のモル数と前記ODPA由来の成分のモル数との比(PMDA/OPDA)が、80/20〜50/50である。
【選択図】なし
Description
本実施の形態に係るポリイミド前駆体は、酸二無水物由来の成分として、ピロメリット酸二無水物(以下、PMDAと記す)由来の成分、及び、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(以下、ODPAと記す)由来の成分を含む。PMDA及びOPDA由来の成分の含有率は、ポリイミドフィルムの好適な黄色度、CTE及び破断強度を得る観点から、全酸二無水物由来の成分の60モル%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましく、100%であって良い。
また、本実施の形態に係るポリイミド前駆体は、ジアミン成分として、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(以下、TFMBと記す)由来の成分を含有する。TFMB由来の成分は、全ジアミン由来の成分ポリイミドフィルムの好適な黄色度、CTE及び破断強度を得る観点から、60モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることがさらに好ましく、100モル%であってもよい。
また、本実施の形態に係るポリイミド前駆体は、PMDA由来の成分のモル数と、ODPA由来の成分のモル数との比(以下、PMDA/OPDAと記す)が、80/20〜50/50である。PMDA/OPDAが80/20以下であると、窒素雰囲気下350℃でイミド化して得られるポリイミドフィルムの黄色度を低くすることができ、色相の透明度を向上する観点から好ましい。また、ポリイミド前駆体の分子量が高くなり、機械的物性の点でも好ましい。
さらに、本実施の形態に係るポリイミド前駆体において、PMDA由来の成分及びODPA由来の成分のモル数の和と、TFMB由来の成分のモル数との比{(PMDA+ODPA)/TFMB}が、100/99.9〜100/95であることが、ポリイミドフィルムにおいて、好適な黄色度、CTE及び破断強度を得る観点で好ましい。
上述のような本実施の形態に係るポリイミド前駆体は、これを溶媒に溶解した樹脂組成物(ワニス)として用いられる。
本実施の形態に係るポリイミドフィルムは、本実施の形態に係るポリイミド前駆体及び溶媒を含有する樹脂組成物を、支持体の表面上に展開し、次いで、支持体及び樹脂組成物を加熱してポリイミド前駆体をイミド化して形成される。より具体的には、上述のように、酸二無水物成分及びジアミン成分を有機溶媒中に溶解して反応させて得られるポリアミド酸溶液を用いることができる。
本実施の形態に係る積層体は、支持体及びポリイミド膜を具備し、支持体の表面上に本実施の形態に係る樹脂組成物を展開し、支持体及び樹脂組成物を加熱してポリイミド前駆体をイミド化してポリイミド膜を形成して得られる。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて、下記の条件により測定した。溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド(和光純薬工業社製、高速液体クロマトグラフ用)を用い、測定前に24.8mmol/Lの臭化リチウム一水和物(和光純薬工業社製、純度99.5%)及び63.2mmol/Lのリン酸(和光純薬工業社製、高速液体クロマトグラフ用)を加えたものを使用した。また、重量平均分子量を算出するための検量線は、スタンダードポリスチレン(東ソー社製)を用いて作成した。
カラム:Shodex KD−806M(昭和電工社製)
流速:1.0mL/分
カラム温度:40℃
ポンプ:PU−2080Plus(JASCO社製)
検出器:RI−2031Plus(RI:示差屈折計、JASCO社製)
UV―2075Plus(UV−VIS:紫外可視吸光計、JASCO社製)
ポリアミド酸をバーコーターで無アルカリガラス基板(厚さ0.7mm)に塗工し、室温で5分間〜10分間レベリングを行い、熱風オーブンにて140℃にて60分間加熱し、さらに窒素雰囲気下で350℃にて60分間加熱し積層体を作製した。積層体の樹脂組成物の膜厚は、20μmとした。350℃キュア(硬化処理)した後、積層体を室温に24時間静置し、ポリイミドフィルムをガラスから剥離しフィルムを単離した。以下の破断強度、黄色度及び線膨張係数の評価では、この350℃でキュアしたポリイミドフィルムをサンプルとして用いた。
350℃でキュアした、サンプル長5×50mm、厚み20μmのポリイミドフィルムを引張り試験機(株式会社エーアンドディ製:RTG−1210)を用いて、速度100mm/minで引張り測定した。
350℃でキュアした、厚み20μmのポリイミドフィルムを日本電色工業(株)製(Spectrophotometer:SE600)にてD65光源で測定した。
350℃でキュアしたポリイミドフィルムについて、島津製作所製熱機械分析装置(TMA−50)を用いて、熱機械分析により、荷重5g、昇温速度10℃/分、窒素雰囲気下(流量20ml/分)、温度50〜450℃の範囲における試験片伸びの測定を行い、100〜300℃のポリイミドフィルムのCTEを求めた。
窒素雰囲気下、500mlセパラブルフラスコに、2,2′‐ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)を9.00g(28.1mmol)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を63.1g入れ、TFMBを撹拌溶解させた。その後、ピロメリット酸二無水物(PMDA)を5.00g(22.9mmol)、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)を1.78g(5.7mmol)入れ80℃で4時間撹拌し、ポリアミド酸のNMP溶液(以下、ワニスともいう)を得た。得られたワニス中のポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)、並びに、350℃キュアしたフィルムのCTE、YI値及び破断強度を表1に示す。
TFMBを8.22g(25.7mmol)、NMPを58.6g、PMDAを4.00g(18.3mmol)、ODPAを2.44g(7.9mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にしてワニスを得た。得られたワニス中のポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)、並びに、350℃キュアしたフィルムの膜物性、すなわちCTE、YI値及び破断強度を表1に示す。
TFMBを8.64g(27.0mmol)、NMPを63.6g、PMDAを3.00g(13.8mmol)、ODPAを4.27g(13.8mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にしてワニスを得た。得られたワニス中のポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)、並びに、350℃キュアしたフィルムのCTE、YI値及び破断強度を表1に示す。
TFMBを8.79g(27.4mmol)、NMPを60.6g、PMDAを5.50g(25.2mmol)、ODPAを0.87g(2.8mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にしてワニスを得た。得られたワニスの重量平均分子量(Mw)、並びに、350℃キュアしたフィルムのCTE、YI値及び破断強度を表1に示す。
TFMBを8.63g(26.9mmol)、NMPを65.6g、PMDAを1.80g(8.3mmol)、ODPAを5.97g(19.2mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にしてワニスを得た。得られたワニス中のポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)、並びに、350℃キュアしたフィルムのCTE、YI値及び破断強度を表1に示す。
(1)CTEが25ppm以下
(2)YI値が12以下
(3)破断強度が250MPa以上
Claims (9)
- 酸二無水物由来の成分として、ピロメリット酸二無水物(PMDA)由来の成分、及び、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)由来の成分を、合わせて全酸二無水物由来の成分の60モル%以上含み、
ジアミン由来の成分として、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)由来の成分を全ジアミン成分の60モル%以上含み、且つ、
前記PMDA由来の成分のモル数と前記ODPA由来の成分のモル数との比(PMDA/OPDA)が、80/20〜50/50である、
ことを特徴とするポリイミド前駆体。 - 前記PMDA由来の成分及び前記ODPA由来の成分のモル数の和と、前記TFMB由来の成分のモル数との比{(PMDA+ODPA)/TFMB}が、100/99.9〜100/95であることを特徴とする請求項1記載のポリイミド前駆体。
- 溶媒に溶解して支持体の表面に展開した後、窒素雰囲気下350℃でイミド化して得られるポリイミドフィルムの黄色度が12以下、線膨張係数が25ppm以下、且つ、破断強度が250MPa以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のポリイミド前駆体。
- フレキシブルデバイスの製造に用いられることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のポリイミド前駆体。
- 請求項1から請求項4記載のいずれかに記載のポリイミド前駆体と、溶媒と、を含有することを特徴とする樹脂組成物。
- 請求項5記載の樹脂組成物を支持体の表面上に展開し、次いで、前記支持体及び前記樹脂組成物を加熱して前記ポリイミド前駆体をイミド化して形成されることを特徴とするポリイミドフィルム。
- 請求項5記載の樹脂組成物を支持体の表面上に展開する工程と、
前記支持体及び前記樹脂組成物を加熱して前記ポリイミド前駆体をイミド化してポリイミドフィルムを形成する工程と、
前記ポリイミドフィルムを前記支持体から剥離して前記ポリイミドフィルムを得る工程と、
を具備することを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。 - 支持体及びポリイミド膜を具備し、前記支持体の表面上に請求項5記載の樹脂組成物を展開し、前記支持体及び前記樹脂組成物を加熱して前記ポリイミド前駆体をイミド化して前記ポリイミド膜を形成して得られることを特徴とする積層体。
- 支持体の表面上に請求項5記載の樹脂組成物を展開する工程と、
前記支持体及び前記樹脂組成物を加熱して前記ポリイミド前駆体をイミド化してポリイミド膜を形成し、前記支持体及び前記ポリイミド膜で構成された積層体を得る工程と、
を具備することを特徴とする積層体の製造方法。
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