JP2014069456A - シーラントフィルム、並びにそれを用いた包装材及び包装袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】 基材層と高いラミネート強度を示し、且つ、滑り性に優れ、且つ、フィルム全体として少なくとも45%の高いバイオマス度を示すことから環境への負荷が低減されたシーラントフィルム、並びにそれを用いた包装材及び包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】 基材層に積層して用いるシーラントフィルムであって、1層またはそれ以上の石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層と、1層またはそれ以上の植物由来ポリエチレン系樹脂からなる層とからなる多層積層フィルムであり、基材層積層面を形成する最表層は、石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層であって、該石油由来ポリエチレン系樹脂は、そのゲルパーミエーションクロマトグラフィ法により得られる分子量分布図において、分子量1000以下の低分子量領域の面積割合が、全ピーク面積に対して0.5面積%以下であり、シーラントフィルム全体のバイオマス度が45〜80%であることを特徴とする、上記シーラントフィルムを提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、植物由来ポリエチレン系樹脂を含んでなるシーラントフィルム、並びにそれを用いた包装材及び包装袋に関し、更に詳しくは、高いバイオマス度を示しながらも、隣接する層と高いラミネート強度を示し、且つ、滑り性に優れたシーラントフィルム、並びにそれを用いた包装材及び包装袋に関する。
近年、環境への負荷を低減するために、樹脂フィルムの原料の一部を、石油由来の樹脂から、植物由来成分を主成分とする樹脂(以下「植物由来樹脂」と呼ぶ)に置き換えることが検討されている(特許文献1)。そして、植物由来樹脂は、従来の石油由来の樹脂と、化学構造的には変わりがなく、同等の物性を有することが期待されている。
しかしながら、実際には、植物由来樹脂を含む樹脂フィルム、例えば植物由来ポリエチレン系樹脂を含むシーラントフィルムは、石油由来のポリエチレン系樹脂のみからなるシーラントフィルムとは異なる性質を示す。
例えば、石油由来のポリエチレン系樹脂を含んでなるシーラントフィルムにおいて、原料のポリエチレン系樹脂の一部を、植物由来ポリエチレン系樹脂に変えると、その配合率が高くなるにつれて、その上に積層する基材層とのラミネート強度が低下し、層間剥離が起き易くなることが分かった。
したがって、基材層との高いラミネート強度と、高いバイオマス度との両方を達成することは困難であった。
この問題に対し、シーラントフィルム中にブリードアウト抑制剤を存在させることにより、基材層とのラミネート強度を高めることができたが、その一方で、滑り性が低下するという問題が生じた。
そして、シーラントフィルムの滑り性が低下することにより、フィルム成形工程、スリット工程、製袋工程、内容物充填工程等において、フィルム同士が癒着する、いわゆるブロッキング現象が起こるため、巻き皺が発生したり、長期保存や高温状態で保存すると、使用時にフィルムの展開性が悪くなり、製袋作業性、充填作業性等が著しく低下する。
特開2009−155516号公報
本発明は、上記問題点を解決し、基材層と高いラミネート強度を示し、且つ、滑り性に優れ、且つ、フィルム全体として少なくとも45%の高いバイオマス度を示すことから環境への負荷が低減されたシーラントフィルム、並びにそれを用いた包装材及び包装袋を提供することを目的とする。
本発明者は、種々研究の結果、植物由来ポリエチレン系樹脂の配合率が上がるにつれて起きるラミネート強度の低下が、植物由来ポリエチレン系樹脂中の低分子量化合物、例えばモノマー、オリゴマー等のフィルム表面上へのブリードアウト(析出)に起因していることを見出した。さらに、植物由来ポリエチレン系樹脂を含むシーラントフィルムにおいて、その基材層積層面を、低分子量成分をほとんど含まない石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層で覆うことにより、滑り性を低下させることなく、該植物由来樹脂中の低分子量化合物の基材層積層面へのブリードアウトを防ぎ、基材層とのラミネート強度を高められることを見出した。
そして、本発明は、以下の点を特徴とする。
1.基材層に積層して用いるシーラントフィルムであって、1層またはそれ以上の石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層と、1層またはそれ以上の植物由来ポリエチレン系樹脂からなる層とからなる多層積層フィルムであり、基材層積層面を形成する最表層は、石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層であって、該石油由来ポリエチレン系樹脂は、そのゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により得られる分子量分布図において、分子量1000以下の低分子量領域の面積割合が、全ピーク面積に対して0.5面積%以下であり、シーラントフィルム全体のバイオマス度が45〜80%であることを特徴とする、上記シーラントフィルム。
2.1層の石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層と、1層の植物由来ポリエチレン系樹脂からなる層とからなる2層積層フィルムであることを特徴とする、上記1.に記載のシーラントフィルム。
3.2層の石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層と、1層の植物由来ポリエチレン系樹脂からなる層とからなる3層積層フィルムであって、基材層積層面を形成する最表層、及び、その反対側のヒートシール面を形成する最表層が、石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層であり、その間の中間層が、植物由来ポリエチレン系樹脂からなる層であることを特徴とする、上記1.に記載のシーラントフィルム。
4.基材層と、上記1.〜3.のいずれかに記載のシーラントフィルムからなる層とを有することを特徴とする包装材。
5.上記4.に記載の包装材を用いてなる包装袋。
6.詰め替え用スタンディングパウチであることを特徴とする、上記5.に記載の包装袋。
本発明のシーラントフィルムは、植物由来の樹脂を高い配合率で含む、すなわち、高いバイオマス度を有するものである。したがって、カーボンニュートラルの観点から、大気中のCO2量の増加を抑制し、且つ、石油資源利用の節約にも貢献する。
なお、カーボンニュートラルとは、植物を燃やしても、その際に排出されるCO2量は、植物が生育時に吸収したCO2量と等しいため、大気中のCO2量の増減には影響を与えないことを指す。したがって、植物由来の原料を多く含むほど、CO2量の増加を抑制することができる。
また、本発明のシーラントフィルムは、フィルムを長期間保存した後であっても、例えば長時間日光に曝露した後であっても、フィルム表面の種々の物性の変化が少なく、基材層と高いラミネート強度を示し、且つ優れた滑り性を示し、経時劣化及びそれに伴う層間剥離、フィルム同士の癒着等を起こしにくい。すなわち、優れた耐候性を示す。
さらに、本発明において、基材層積層面を形成する最表層が、低分子量成分をほとんど含まない石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層であるため、植物由来ポリエチレン系樹脂中の低分子量化合物のフィルム表面上へのブリードアウトを極めて効果的に防ぐことができる。
特に、基材層積層面を形成する最表層において、これを構成する石油由来ポリエチレン系樹脂は、GPCによって得られるその分子量分布図において、分子量1000以下の低分子量成分の占める面積割合が、全ピーク面積に対して0.5面積%以下である。これにより、この最表層は、薄い層厚であっても、植物由来ポリエチレン系樹脂中の低分子量化合物の透過を効果的に遮断し、且つ、シーラントフィルム中に添加されるスリップ剤等を吸着せず、滑り性の低下を引き起こさない。したがって、本発明のシーラントフィルムは、80%もの高いバイオマス度を達成することができ、且つ、基材層と高いラミネート強度を示し、且つ、優れた滑り性を示す。
また、基材層積層面を形成する該最表層は、石油由来ポリエチレン系樹脂からなり、該石油由来ポリエチレン系樹脂としては、様々な物性のものが開発されている。したがって、多種多様な選択肢の中から、基材層積層面を形成する石油由来ポリエチレン系樹脂を適宜に選択することができ、基材層とのラミネート強度やラミネート条件等の調整が容易となる。
また、ヒートシール面を形成する最表層が、石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層である場合も同様に、多種多様な選択肢の中から、所望のヒートシール強度及びヒートシール条件に適する石油由来ポリエチレン系樹脂を、適宜に選択することができる。
さらに、本発明のシーラントフィルムと基材層とからなる包装材及び包装袋は、加熱・冷却工程に付された後も、層間接着力の低下が抑えられ、また優れた製袋作業性等を示すため、種々の包装材として有用である。
本発明のシーラントフィルムの層構成について、その一例を示す概略的断面図である。 本発明のシーラントフィルムの層構成について、別の一例を示す概略的断面図である。 本発明の包装材の層構成について、その一例を示す概略的断面図である。
上記の本発明について以下に更に詳しく説明する。以下、本発明において使用される樹脂名は、業界において慣用されるものが用いられる。本発明において、密度は、JIS−K7112に準拠して測定される値である。また、MFRは、JIS−K7210に準拠して測定される値である。
<I>本発明のシーラントフィルムの層構成
図1は、本発明のシーラントフィルムの層構成について、その一例を示す概略的断面図である。図1に示されるように、本発明のシーラントフィルムは、その一方の面、すなわち基材層積層面〔A〕に任意の基材層を積層し、さらに、他方の面であるヒートシール面〔B〕を任意の被着体と対向させて重ね合せ、ヒートシールして用いるものである。以下の本明細書において、シーラントフィルムの基材層と接する面を「基材層積層面」といい、シーラントフィルムの被着体と接する面を「ヒートシール面」という。
ここで、該シーラントフィルムは、1層の石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層〔1〕と、1層の植物由来ポリエチレン系樹脂からなる層〔2〕とからなる2層積層フィルムである。そして、この基材層積層面を形成する層〔1〕を構成する石油由来ポリエチレン系樹脂は、GPC法により得られる分子量分布図において、分子量1000以下の低分子量領域の面積割合が、全ピーク面積に対して0.5面積%以下であるものを用いる。
上記の構成により、基材層との良好なラミネート強度及び優れた滑り性を示しながら、且つ、高いバイオマス度を示すシーラントフィルムを、簡易且つ低コストで生産性良く製造することができる。
図2は、本発明のシーラントフィルムの層構成について、その一例を示す概略的断面図である。図2に示されるように、本発明のシーラントフィルムは、2層の石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層〔1、3〕と、これらに挟持される植物由来ポリエチレン系樹脂からなる層〔2〕とからなる3層積層フィルムであってもよい。そして、この基材層積層面を形成する層〔1〕を構成する石油由来ポリエチレン系樹脂は、上記図1に示されるシーラントフィルムと同様の樹脂組成物からなる。一方、ヒートシール面を形成する層〔3〕は、任意の石油由来ポリエチレン系樹脂からなってよい。この構成により、基材層との良好なラミネート強度、優れた滑り性、及び良好なヒートシール性を示しながら、且つ、高いバイオマス度を示すシーラントフィルムを製造することができる。
図3は、本発明の包装材の層構成について、その一例を示す概略的断面図である。図3に示されるように、本発明の包装材は、本発明のシーラントフィルムの基材層積層面に、基材層〔4〕を積層してなる。
本発明のシーラントフィルムは、その用途、所望のシール強度、達成すべきバイオマス度、所望の耐候性等に応じて任意の厚さであってよいが、シーラントフィルムとして一般的には5〜200μm程度、好ましくは20〜150μmである。また、その用途が、重量袋や詰め替え用スタンディングパウチの包装袋である場合には、好ましくは100〜150μmである。
そして、該シーラントフィルムにおいて、各層の厚さの比は、シーラントフィルム全体のバイオマス度が45〜80%、より好ましくは50〜80%となるように設定される。植物由来ポリエチレン系樹脂からなる層の厚さの比が大きい程、高いバイオマス度が達成される。しかしながら、この層が、基材層積層面を形成する石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層〔1〕に比して厚過ぎて、バイオマス度が80%を超えると、低分子量化合物のフィルム表面へのブリードアウトを十分に防ぐことができず、基材層を積層した際に所望のラミネート強度が得られない。
基材層積層面を形成する石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層〔1〕の層厚は、少なくとも0.1μmであり、重量袋や詰め替え用スタンディングパウチの包装袋である場合は、好ましくは3μm以上であり、且つ、シーラントフィルム全体のバイオマス度が45〜80%となる厚さである。
<II>植物由来ポリエチレン系樹脂からなる層
本発明において、「植物由来」とは、植物を原料として得られるアルコールから製造される、植物原料に由来する炭素を含むことを意味する。
本発明において、植物由来ポリエチレン系樹脂は、植物原料から得られたバイオエタノールから誘導された植物由来エチレンの単独重合体、あるいは、該植物由来エチレンと他の少量のコモノマーとの共重合体である。
具体的には、バイオエタノールから誘導されたエチレンを重合して得られる高密度ポリエチレン(HDPE、密度0.940g/cm3以上)、中密度ポリエチレン(MDPE、密度0.925以上0.940g/cm3未満)、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE、密度0.925g/cm3未満)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、密度0.910〜0.925g/cm3、エチレンとα−オレフィンとの共重合体)、及びこれらの混合物を挙げることができる。
例えば、重量袋やスタンディングパウチのシーラントに適用するためには、フィルムに適度な腰が得られ、優れた耐衝撃性が得られるため、植物由来LLDPEを用いることが特に好ましい。
上記LLDPEのコモノマーとなるα−オレフィンとしては、炭素数3〜20のα−オレフィン、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−オクテン、1−ノネン、4−メチルペンテン等、及びこれらの混合物が挙げられる。これらのα−オレフィンは、バイオエタノールから誘導された植物由来α−オレフィンであっても、非植物由来、すなわち石油由来のα−オレフィンであってもよい。石油由来α−オレフィンとしては多種多様なものが入手可能であるため、これらを用いて製造することにより、ポリエチレン系樹脂の物性等を容易に調整することができる。植物由来α−オレフィンを用いることにより、最終製品のバイオマス度をより一層高めることができる。
植物由来エチレン及び植物由来α−オレフィンの製造方法としては、慣用の方法にしたがって、サトウキビ、トウモロコシ、サツマイモ等の植物から得られる糖液や澱粉を、酵母等の微生物により発酵させてバイオエタノールを製造し、これを触媒存在下で加熱し、分子内脱水反応等により植物由来エチレン及び植物由来α−オレフィン(1−ブテン、1−ヘキセン等)を得ることができる。次いで、得られた植物由来エチレン及び植物由来α−オレフィンを用いて、石油由来ポリエチレン系樹脂の製造と同様にして、植物由来ポリエチレン系樹脂を製造することができる。
植物由来エチレン、植物由来α−オレフィン及び植物由来ポリエチレン系樹脂の製造方法については、例えば特表2011−506628号公報等に詳細に記載されている。
本発明において好適に使用される植物由来ポリエチレン系樹脂としては、ブラスケム(Braskem S.A.)社製のグリーンPE等が挙げられる。
本発明のシーラントフィルムにおいて、「植物由来ポリエチレン系樹脂からなる層」は、上記植物由来ポリエチレン系樹脂を溶融し、多層の材料樹脂と共に共押出してなる層である。ここで、該植物由来ポリエチレン系樹脂中には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、少量の、例えば5質量%以下の添加剤、具体的には、スリップ剤(滑剤)、帯電防止剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、結晶化促進剤、安定化剤(老化防止剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤など)、粘着付与剤、軟化剤、着色剤、カップリング剤、防腐剤、防カビ剤等を添加してもよい。
<III>石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層
本発明において、「石油由来」とは、植物原料に由来する炭素を含まず、従来どおり、石油から得られるナフサを熱分解して得られるエチレンに由来する構造を主成分とするものである。また、「石油由来ポリエチレン系樹脂」とは、シーラントフィルムとしてヒートシール性を有するものとして一般的に用いられる任意のポリエチレン系樹脂を指す。
より具体的には、石油由来エチレンの単独重合体、あるいは石油由来エチレンと他の少量のコモノマーとの共重合体であって、HDPE(密度0.940g/cm3以上)、MDPE(密度0.925以上0.940g/cm3未満)、LDPE(密度0.925g/cm3未満)、LLDPE(密度0.910〜0.925g/cm3、エチレンとα−オレフィンとの共重合体)、及びこれらの混合物を挙げることができる。上記LLDPEのコモノマーとなるα−オレフィンとしては、炭素数3〜20のα−オレフィン、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−オクテン、1−ノネン、4−メチルペンテン等、及びこれらの混合物が挙げられる。
本発明のシーラントフィルムにおいて、基材層積層面を形成する最表層を構成する石油由来ポリエチレン系樹脂としては、低分子量成分をほとんど含まない石油由来ポリエチレン系樹脂を用い、特に、分子量1000以下の低分子量成分の割合が、GPCによって得られる分子量分布図において、0.5面積%以下、より好ましくは0.3面積%以下であるものを用いる。ここで、分子量1000以下の低分子量成分の多くは、石油由来ポリエチレン系樹脂の溶融分解物や未反応物である。
このような石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層は、薄い層厚でも、植物由来ポリエチレン系樹脂中の低分子量化合物の透過を効果的に遮断し、且つ、シーラントフィルム中に添加されるスリップ剤等を吸着せず、滑り性の低下を引き起こさない。したがって、本発明のシーラントフィルムは、80%もの高いバイオマス度を達成することができ、且つ、基材層と高いラミネート強度を示し、且つ、優れた滑り性を示す。
ここで、基材層積層面を形成する最表層を構成する石油由来ポリエチレン系樹脂において、分子量1000以下の低分子量成分の割合が0.5面積%より多いと、植物由来ポリエチレン系樹脂中の低分子化合物の透過を防ぐ効果が劣り、好ましくない。
なお、上記低分子量成分の割合(面積%)は、GPC法によって得られる微分分子量分布曲線からなる微分分子量分布図において、分子量1000以下のピークが占める面積の、全ピーク面積に対する割合である。ここで、該微分分子量分布図の横軸は、標準物質としてポリスチレンを用いて得られる分子量(対数値)であり、縦軸は、濃度分率を分子量の対数値で微分して得られる値である。
GPC法の具体的な測定条件については、実施例に示すとおりである。
さらに、上記基材層積層面を形成する石油由来ポリエチレン系樹脂は、任意の石油由来ポリエチレン、例えば、HDPE、MDPE、LDPE、LLDPE、及びこれらの混合物からなる樹脂組成物であってよいが、耐衝撃性及び植物由来ポリエチレン系樹脂中の低分子化合物の透過を防ぐ観点から、石油由来LLDPE15〜100質量%、好ましくは50〜100%、さらに好ましくは60〜100質量%と、その他の石油由来ポリエチレン系樹脂、例えばLDPE、MDPE、HDPE等0〜85質量%、好ましくは0〜50質量%、さらに好ましくは0〜40質量%とを含む樹脂組成物である。
また、上記樹脂組成物において、石油由来LLDPEと石油由来LDPEとを混合して用いることにより、手切れ性に優れるという利点がある。一方、石油由来LLDPEを単独で用いることにより、耐衝撃性及び植物由来ポリエチレン系樹脂中の低分子化合物の透過を防ぐ効果が一層高まるという利点がある。
また、上記樹脂組成物において、石油由来LLDPEとしては、チーグラー系触媒及びメタロセン触媒のいずれを用いて生成されたものも使用することができるが、低分子量成分の生成が少ないため、メタロセン触媒を用いて生成された石油由来LLDPEが、より好ましく使用される。
本発明のシーラントフィルムにおいて、基材層積層面を形成する最表層以外の層、例えばヒートシール面を形成する最表層を構成する石油由来ポリエチレン系樹脂としては、任意のポリエチレン系樹脂から、当業者が適宜に選択し、用いることができる。
また、いずれの層においても、石油由来ポリエチレン系樹脂は、任意の性質を有するものであってよく、後の工程で積層される基材層や被着体の種類に応じて、また、所望のシール強度やホットタック性、選択するヒートシール条件等に応じて、当業者が適宜に決定することができる。
例えば、重量袋やスタンディングパウチのシーラントに適用するためには、石油由来LLDPE単独、または、石油由来LLDPEと石油由来LDPEとの混合物を用いることが特に好ましい。これにより、フィルムに適度な腰が得られ、優れた耐衝撃性が得られる。また、石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層の材料樹脂として、石油由来LLDPE、または、石油由来LLDPEと石油由来LDPEとの混合物を用い、さらに、植物由来ポリエチレン系樹脂からなる層の材料樹脂として、植物由来LLDPEを用いることにより、シーラントフィルムの各層間の接着性が高まるため、一層好ましい。
本発明のシーラントフィルムにおいて、「石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層」は、上記石油由来ポリエチレン系樹脂を溶融し、他層の材料樹脂と共に共押出してなる層である。ここで、該石油由来ポリエチレン系樹脂中には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、少量の、例えば5質量%以下の添加剤、具体的には、スリップ剤(滑剤)、帯電防止剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、結晶化促進剤、安定化剤(老化防止剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤など)、粘着付与剤、軟化剤、着色剤、カップリング剤、防腐剤、防カビ剤等を添加してもよい。
<IV>製膜
本発明のシーラントフィルムは、各層を構成する樹脂または樹脂組成物を調製し、溶融混練後、慣用のフィルム成形法を用いて共押出することにより、製造することができる。
樹脂フィルムには、加工適性を確保すべく滑り性が要求される。そして、必要に応じて、フィルム中にスリップ剤、帯電防止剤等の滑り性付与剤を配合して、滑り性の向上を図ることが行われている。しかしながら、滑り性の向上は、一般的に、フィルムのラミネート強度の低下をもたらす。
この問題に対し、本発明のシーラントフィルムは、基材層積層面を形成する最表層として、石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層を有する。この層は、本発明のシーラントフィルムがスリップ剤等の滑り性付与剤を含む場合であっても、植物由来ポリエチレン系樹脂中に含まれる低分子量化合物の基材層積層面へのブリードアウトを抑制し、且つ、滑り性付与剤の効果は阻害しない。したがって、本発明のシーラントフィルムは、高いラミネート強度を示す一方で、優れた滑り性を示すことができる。
<V>基材層
本発明のシーラントフィルムは、用途に応じて種々の基材層を積層した積層体として用いることができる。
本発明のシーラントフィルムに積層する基材としては、金属類、セラミックス類、木材類、紙類などであってもよいが、包装材料の分野では、熱可塑性樹脂で構成されたフィルム及び/又は紙である場合が多い。
基材を構成する熱可塑性樹脂としては、オレフィン系樹脂(ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂など)、ハロゲン含有樹脂(塩化ビニル系樹脂など)、ビニルアルコール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンアリレート系樹脂など)、ポリアミド系樹脂(ポリアミド6、ポリアミド66など)、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂、セルロースエステル類などが例示できる。
さらに、バイオマス度を高めるため、基材フィルムも植物由来の樹脂フィルムであってもよい。このようなフィルムは、ポリ乳酸系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等で構成できる。これらのフィルムは単独の熱可塑性樹脂で形成してもよく、二種以上の熱可塑性樹脂で構成された複合体(アロイ系フィルム)又は積層体であってもよい。
これらのフィルムのうち、通常、ポリプロピレン系樹脂フィルム、ポリエステル系樹脂フィルム、ポリアミド系樹脂フィルム、ポリ乳酸系樹脂フィルムなどを用いる場合が多い。
これらの基材フィルムは無延伸であってもよく、一軸又は二軸延伸フィルムであってもよい。
また、これらの基材フィルムは、2またはそれ以上をラミネートした複合フィルムであってもよい。さらに、任意のバリアフィルム、例えば、太陽光等の光を遮光する性質、あるいは、水蒸気、水、酸素等のガスを透過しない性質を有する材料を使用することもできる。
具体的には、例えばアルミニウム箔等の金属箔、アルミニウム等の蒸着膜を有する樹脂フィルム、バリア性を有する酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂フィルム、水蒸気、水等のバリア性を有する樹脂フィルム、ガスバリア性を有するポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物、MXD6ナイロン等の樹脂のフィルム、樹脂に顔料等の着色剤その他を混練してフィルム化した遮光性を有する各種の着色樹脂フィルム等を使用することができる。
さらに、これらの基材フィルムの積層面は本発明のシーラントフィルムとの密着性を高めるため、表面処理(例えば、コロナ放電処理、アンカーコート処理やプライマー処理など)されていてもよい。基材フィルムの厚みは特に制限されず、通常、1μm〜2mm、好ましくは5μm〜1mm程度の範囲から用途に応じて選択できる。
<VI>積層
基材層とシーラントフィルムとの積層は、接着剤を介して、ドライラミネート法で貼り合わせることができる。使用する接着剤としては、例えば、ドライラミネート用の二液硬化型ポリウレタン系接着剤等が挙げられる。
また、接着層を介して押出ラミネート法(所謂サンドイッチラミネート法)により貼り合わせることもできる。この場合は、接着層として、ポリオレフィン系の熱接着性樹脂、例えば、LDPEのほか、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマー等の単体、またはこれらにハードレジン等の接着性向上剤をブレンドした樹脂等を使用することができる。
さらに、基材フィルム上に、本発明のシーラントフィルムを構成する樹脂を押出コーティングすることにより積層することもできる。
本発明の更なる態様において、基材フィルム上またはシーラントフィルムと基材フィルムとの間に、文字、図形、記号、絵柄等の印刷層を設けてもよい。
上記で使用する接着剤や印刷インキとして、植物由来樹脂を含むものを使用することにより、バイオマス度をさらに高めることもできる。
<VII>包装材
上記基材層と本発明のシーラントフィルムとを有する積層フィルムは、蓋材や包装袋等の包装材として、好適に使用することができる。例えば、該積層フィルムを二つ折にするか、又は該積層フィルム2枚を用意し、そのシーラントフィルムの面を対向させて重ね合わせ、さらにその周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等のヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態の包装袋とすることができる。
上記において、ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
本発明のシーラントフィルムは、高いバイオマス度を示しながらも、隣接する基材層と高いラミネート強度を示し、また、優れた滑り性を示す。したがって、様々な用途の包装材として好適に使用することができる。特に、本発明のシーラントフィルムを用いた包装材は、使用フィルム面積に対して内容量が大きい重量袋や詰め替え用スタンディングパウチとして、好適に使用することができる。
<VIII>バイオマス度
「バイオマス度」とは、石油由来の原料と、植物由来の原料(バイオマス)との混合比率を表す指標であり、放射性炭素(C14)の濃度を測定することにより決定され、下記式で表される。
バイオマス度(%)=C14濃度(pMC)×0.935
このC14は、植物由来の原料中には一定濃度で含まれるが、地中に閉じ込められた石油中にはほとんど存在しない。したがって、C14の濃度を加速器質量分析により測定することにより、植物由来の原料の含有割合の指標とすることができる。
本発明のシーラントフィルムは、優れた耐候性及び隣接する層との高いラミネート強度を示しながらも、植物由来樹脂を高い配合率で含み、45〜80%、より好ましくは50〜80%もの高いバイオマス度を示すことができる。バイオマス度が80%を超える程に植物由来ポリエチレン系樹脂からなる層を厚くすると、フィルム表面へのブリードアウトを十分に防ぐことができず、基材層を積層した際に所望のラミネート強度が得られない。
本発明において、フィルム中のC14の濃度の測定は、次のとおりに行う。すなわち、測定対象試料を燃焼して二酸化炭素を発生させ、真空ラインで精製した二酸化炭素を、鉄を触媒として水素で還元し、グラファイトを精製させる。そして、このグラファイトを、タンデム加速器をベースとしたC14−AMS専用装置(NEC社製)に装着して、C14の計数、C13の濃度(C13/C12)、C14の濃度(C14/C12)の測定を行い、この測定値から標準現代炭素に対する試料炭素のC14濃度の割合を算出する。標準試料としては、米国国立標準局(NIST)から提供されるシュウ酸(HOXII)を使用する。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[GPC法]
本発明において、石油由来ポリエチレン系樹脂の分子量分布、及び、低分子量成分の割合は、GPCにより以下の条件下で測定した。
装置:Waters社製 GPC−150
カラム:昭和電工(株)製 GPC HT−806m×2本、HT−803×1本
溶離液:ジクロロベンゼン(140℃)
流量:1mL/分
試料濃度:1g/L
注入量:5mL
検出器:赤外分光計
測定温度:0〜140℃
標準物質:ポリスチレン
[実施例1]
石油由来LLDPE((株)プライムポリマー製エボリューSP2020、密度0.916kg/m3、MFR=2.3g/10分)70質量%、石油由来LDPE(宇部丸善ポリエチレン(株)製LDPE−F120N、密度0.920kg/m3、MFR=1.2g/10分)29質量%、及びスリップ剤(日本ユニカー(株)製M−3)1質量%を十分に溶融混練し、第1の樹脂組成物を調製した。第1の樹脂組成物における分子量1000以下の低分子量成分の割合は、0.5面積%であった。
また、植物由来LLDPE(ブラスケム社製C4−SLL118、密度0.916kg/m3、MFR=1.0g/10分、バイオマス度87%)99質量%とスリップ剤(日本ユニカー(株)製M−3)1質量%とを十分に溶融混練し、第2の樹脂組成物を調整した。
第1及び第2の樹脂組成物を用いて、上吹き空冷インフレーション共押出製膜機により製膜し、第1の樹脂組成物(基材層積層面、厚さ25μm)/第2の樹脂組成物(中間層、厚さ70μm)/第1の樹脂組成物(ヒートシール面、厚さ25μm)の3層からなる、本発明のシーラントフィルムを製造した。バイオマス度は50%であった。
[実施例2]
第1の樹脂組成物において、石油由来LLDPE((株)プライムポリマー製エボリューSP2020)の代わりに、石油由来LLDPE((株)プライムポリマー製エボリューSP1540、密度0.913kg/m3、MFR=3.8g/10分)を用いた以外は、実施例1と同様にして、本発明のシーラントフィルムを製造した。第1の樹脂組成物における分子量1000以下の低分子量成分の割合は、0.3面積%であった。また、バイオマス度は50%であった。
[実施例3]
石油由来LLDPE((株)プライムポリマー製エボリューSP2020、密度0.916kg/m3、MFR=2.3g/10分)99質量%とスリップ剤(日本ユニカー(株)製M−3)1質量%とを十分に溶融混練し、第1の樹脂組成物を調製した。第1の樹脂組成物における分子量1000以下の低分子量成分の割合は、0.4面積%であった。
また、植物由来LLDPE(ブラスケム社製C4−SLL118、密度0.916kg/m3、MFR=1.0g/10分、バイオマス度87%)99質量%とスリップ剤(日本ユニカー(株)製M−3)1質量%とを十分に溶融混練し、第2の樹脂組成物を調整した。
第1及び第2の樹脂組成物を用いて、上吹き空冷インフレーション共押出製膜機により製膜し、第1の樹脂組成物(基材層積層面、厚さ10μm)/第2の樹脂組成物(ヒートシール面、厚さ120μm)の2層からなる、本発明のシーラントフィルムを製造した。バイオマス度は80%であった。
[比較例1]
第1の樹脂組成物において、石油由来LLDPE((株)プライムポリマー製エボリューSP2020)の代わりに、石油由来LLDPE((株)プライムポリマー製ウルトラゼックス2022L、密度0.919kg/m3、MFR=2.0g/10分)を用いた以外は、実施例1と同様にして、シーラントフィルムを製造した。第1の樹脂組成物におけ
る分子量1000以下の低分子量成分の割合は、0.6面積%であった。また、バイオマス度は50%であった。
[比較例2]
第1の樹脂組成物において、石油由来LLDPE((株)プライムポリマー製エボリューSP2020)の代わりに、石油由来LDPE(日本ポリエチレン(株)製ノバテックLD、LC600A密度0.918kg/m3、MFR=7.2g/10分)を用いた以外は、実施例3と同様にして、シーラントフィルムを製造した。第1の樹脂組成物における分子量1000以下の低分子量成分の割合は、3.3面積%であった。また、バイオマス度は80%であった。
[比較例3]
植物由来LLDPE(ブラスケム社製C4−SLL118、密度0.916kg/m3、MFR=1.0g/10分、バイオマス度87%)58質量%、石油由来LLDPE((株)プライムポリマー製エボリューSP2020、密度0.916kg/m3、MFR=2.3g/10分)12質量%、石油由来LDPE(宇部丸善ポリエチレン(株)製LDPE−F120N、密度0.920kg/m3、MFR=1.2g/10分)29質量%、及びスリップ剤(日本ユニカー(株)製M−3)1質量%を十分に溶融混練し、得られた樹脂組成物を上吹き空冷インフレーション共押出製膜機により製膜し、厚さ120μmのシーラントフィルムを製造した。バイオマス度は50%であった。
[比較例4]
石油由来LLDPE((株)プライムポリマー製エボリューSP2020、密度0.916kg/m3、MFR=2.3g/10分)70質量%、石油由来LDPE(宇部丸善ポリエチレン(株)製LDPE−F120N、密度0.920kg/m3、MFR=1.2g/10分)29質量%、及びスリップ剤(日本ユニカー(株)製M−3)1質量%を十分に溶融混練し、得られた樹脂組成物を上吹き空冷インフレーション共押出製膜機により製膜し、厚さ120μmのシーラントフィルムを製造した。バイオマス度は0%であった。
[評価]
(ラミネート強度)
実施例1〜3のシーラントフィルムの基材層積層面、及び比較例1〜2のシーラントフィルムの一方の面に、コロナ処理を施し、その処理面に、接着剤層を介して二軸延伸ナイロンフィルム(厚さ15μm)をドライラミネートして、積層フィルムを作製した。この積層フィルムを、40℃×3日間エージングし、さらに23℃で2週間経過後のラミネート強度を、15mm幅あたり、T型剥離、引張速度50mm/min.にて測定した。
(滑り性)
実施例1〜3及び比較例1〜2のシーラントフィルムをそれぞれ2枚用意し、フィルム(ヒートシール面)対フィルム(ヒートシール面)の滑り性について、JIS K7125:1999(摩擦係数試験方法)に準拠して摩擦係数を測定した。
結果を以下の表1に示す。
Figure 2014069456
実施例1〜3のシーラントフィルムは、50〜80%もの高いバイオマス度を有しているにも関わらず、比較例4のシーラントフィルム(バイオマス度0%)と同等の、優れたラミネート強度や滑り性を示した。
これに対し、比較例1〜2のシーラントフィルムは、ラミネート強度がやや劣るものであった。また、比較例3のシーラントフィルムは、ラミネート強度がさらに劣るものであった。
(パウチの外観)
実施例1〜3及び比較例1〜4のシーラントフィルムについて、上記のラミネート強度測定と同様にして、積層フィルムを作製し、パウチの胴材用の包装材を得た。
これとは別に、実施例3の第1の樹脂組成物を用いて、上吹き空冷インフレーション共押出製膜機により製膜し、単層のシーラントフィルム(厚さ130μm)を作製した。得られたシーラントフィルムについて、上記のラミネート強度測定と同様にして、積層フィルムを作製し、パウチの底材用の包装材を得た。
得られた胴材用及び底材用の包装材を用いて、外形寸法:高さ230mm×幅130mm、底部の折り込み部の高さ40mm、シール幅5mmのスタンディングパウチを製造した。また、底部は舟底型のシールパターンでヒートシールした。
上記のとおり製造したパウチを各実施例/比較例につき10個ずつ用意し、各パウチ中に、水380ccを充填し、ヒートシールして密封した。次いで、これらのパウチを3℃で3日間保存した後で、1.2mの高さから、床と水平に(胴部が床に当たるように)5回、及びさらに床と垂直に(底部が床に当たるように)5回落下させて、パウチの外観の変化を目視にて観察した。
結果を以下の表2に示す。
Figure 2014069456
実施例1〜3及び比較例4のシーラントフィルムを用いたパウチは、試験後も美麗な外観を保持していた。これに対し、比較例1〜2のシーラントフィルムを用いたパウチは、落下の衝撃を受けて、フィルムの一部に層間剥離が見られ、外観が劣るものであった。また、比較例3のシーラントフィルムを用いたパウチは、比較例1〜2よりもさらに大きな面積で、フィルムの層間剥離が見られ、外観が一層劣るものであった。
A. 基材層積層面
B. ヒートシール面
1、3. 石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層
2. 植物由来ポリエチレン系樹脂からなる層
4. 基材層



Claims (6)

  1. 基材層に積層して用いるシーラントフィルムであって、
    1層またはそれ以上の石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層と、1層またはそれ以上の植物由来ポリエチレン系樹脂からなる層とからなる多層積層フィルムであり、
    基材層積層面を形成する最表層は、石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層であって、該石油由来ポリエチレン系樹脂は、そのゲルパーミエーションクロマトグラフィ法により得られる分子量分布図において、分子量1000以下の低分子量領域の面積割合が、全ピーク面積に対して0.5面積%以下であり、
    シーラントフィルム全体のバイオマス度が45〜80%であることを特徴とする、上記シーラントフィルム。
  2. 1層の石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層と、1層の植物由来ポリエチレン系樹脂からなる層とからなる2層積層フィルムであることを特徴とする、請求項1に記載のシーラントフィルム。
  3. 2層の石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層と、1層の植物由来ポリエチレン系樹脂からなる層とからなる3層積層フィルムであって、
    基材層積層面を形成する最表層に加えて、その反対側のヒートシール面を形成する最表層も、石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層であり、
    これらの間の中間層が、植物由来ポリエチレン系樹脂からなる層であることを特徴とする、請求項1に記載のシーラントフィルム。
  4. 基材層と、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシーラントフィルムからなる層とを有することを特徴とする包装材。
  5. 請求項4に記載の包装材を用いてなる包装袋。
  6. 詰め替え用スタンディングパウチであることを特徴とする、請求項5に記載の包装袋。
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