JP2016068533A - アルカリ溶液用包装材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐アルカリ性に優れ、且つ、低溶出性に優れるアルカリ溶液用包装材料、及びそれよりなるアルカリ溶液用包装容器を提供すること。【解決手段】 少なくとも、基材層、バリア層、耐アルカリ性接着層及びヒートシール性樹脂層をこの順に有し、該耐アルカリ性接着層は、アルケン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸の三元共重合体を含む接着性樹脂組成物からなる、アルカリ溶液用包装材料、及びそれよりなるアルカリ溶液用包装容器。【選択図】 図1

Description

本発明は、アルカリ溶液用包装材料に関し、より詳細には、アルカリ溶液と接触させて長期保存した後も高い層間接着強度を発揮するアルカリ溶液用包装材料に関するものである。
化成品等の内容物を充填包装する容器として、該内容物の保存や輸送に適した包装容器が広く開発されている。このような包装容器としては、種々の積層フィルムからなる可撓性包装袋等が用いられている。
しかしながら、該内容物が、例えば次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする塩素系漂白剤のような強アルカリ溶液である場合は、保存中に強アルカリ溶液が積層フィルム中の接着層を浸食し、層間剥離を引き起こすことが知られている。
そのため、これらの強アルカリ溶液の包装容器としては、壁面の厚さが1〜2mm以上もあるポリプロピレンボトル(PPボトル)のような、樹脂性ボトルが多く用いられている(特許文献1)。このような樹脂性ボトルは、強アルカリ溶液を封入し保存することができるが、その製造には多量の樹脂が必要であり、製造コストがかかる。また、硬く嵩張るため、輸送、保管及び廃棄時にも多大なコストがかかり、好ましくない。
したがって、優れた耐アルカリ性を示し、すなわち、強アルカリ溶液と長期にわたって接触しても接着層が浸食されず、したがって層間剥離を引き起こさない可撓性積層フィルムからなるアルカリ溶液用包装材料、及びこれよりなるアルカリ溶液用包装容器が求められている。
これに対し、特許文献2には、基材層とヒートシール性樹脂層とを、尿素結合を含むポリウレタン系接着剤を介して積層した積層フィルムからなり、酸性物質、アルカリ性物質、香料、油、界面活性剤等を含有する液体を収容するための包装容器が記載されている。また、特許文献3には、基材層とアルミニウム箔層とを、アンカーコート層及び接着性樹脂層を介して積層した積層フィルムからなり、強浸透性物質に対する耐内容物性を示す包装材料が記載されている。
しかしながら、これらはいずれも、次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする塩素系漂白剤のような強アルカリ溶液に対しては、十分な耐内容物性を示さない。また、反応型ポリウレタン系接着剤やアンカーコート剤を用いるものであるため、接着剤中またはアンカーコート剤中の未反応物や残留溶媒が溶出し得るという問題がある。
特開2011−148987号公報 特開2013−095454号公報 特開2009−172834号公報
本発明は、かかる問題を解決すべくなされたものであり、アルカリ溶液と接触させて長期保存した後も高い層間接着強度を発揮し、すなわち耐アルカリ性に優れ、且つ、包装材料中から残留溶媒が溶出せず、すなわち低溶出性に優れるアルカリ溶液用包装材料、及びそれよりなるアルカリ溶液用包装容器を提供することを目的とする。
本発明者らは、種々研究の結果、少なくとも、基材層、バリア層、耐アルカリ性接着層及びヒートシール性樹脂層をこの順に有し、該耐アルカリ性接着層は、アルケン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸の三元共重合体を含む接着性樹脂組成物からなる、アルカリ溶液用包装材料、及びそれよりなるアルカリ溶液用包装容器が、上記の目的を達成することを見出した。
そして、本発明は、以下の点を特徴とする。
(1)少なくとも、基材層、バリア層、耐アルカリ性接着層およびヒートシール性樹脂層をこの順に有し、該耐アルカリ性接着層は、アルケン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸の三元共重合体を含む接着性樹脂組成物からなる、アルカリ溶液用包装材料。
(2)前記基材層と前記バリア層との間に、さらに中間層を有する、上記(1)に記載のアルカリ溶液用包装材料。
(3)前記バリア層と前記ヒートシール性樹脂層との間の任意の位置に、さらに補強層を有し、該バリア層と該ヒートシール性樹脂層との間に位置する複数の接着層が全て、アルケン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸の三元共重合体を含む接着性樹脂組成物からなる耐アルカリ性接着層である、上記(1)または(2)に記載のアルカリ溶液用包装材料。
(4)前記接着性樹脂組成物における不飽和カルボン酸成分量が、0.05質量%以上、1.0質量%未満である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のアルカリ溶液用包装材料。
(5)前記接着性樹脂組成物における(メタ)アクリル酸エステル成分量が、5〜40質量%である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のアルカリ溶液用包装材料。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載のアルカリ溶液用包装材料を、そのヒートシール性樹脂層同士が対向するように重ねあわせ、その端部をヒートシールしてなるアルカリ溶液用包装容器。
(7)pH11のアルカリ溶液を充填し、60℃で30日間保存した後のバリア層とヒートシール性樹脂層との間の層間接着強度が、5N/15mm幅以上である、上記(6)に記載のアルカリ溶液用包装容器。
(8)詰め替え用パウチである、上記(6)または(7)に記載のアルカリ溶液用包装容器。
(9)上記(6)〜(8)のいずれかに記載の包装容器にアルカリ溶液を充填してなる包装体。
(10)前記アルカリ溶液が塩素系漂白剤である、上記(9)に記載の包装体。
(11)上記(1)〜(5)のいずれかに記載のアルカリ溶液用包装材料の製造方法であって、バリア層とヒートシール性樹脂層とを、または、バリア層と補強層および補強層とヒートシール性樹脂層とを、アルケン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸の三元共重合体を含む接着性樹脂組成物を介して、サンドイッチラミネート法によって積層する、上記製造方法。
本発明のアルカリ溶液用包装材料は、ドライラミネート接着剤を用いることなく、バリア層とヒートシール性樹脂層との間の、極めて高い層間接着強度を達成することができる。したがって、残留溶媒や低分子量物質の溶出に関する懸念や、接着層の経時劣化による層間接着強度の低下という問題がない。
特に、本発明のアルカリ溶液用包装材料は耐アルカリ性に優れ、次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする塩素系漂白剤のような強アルカリ溶液(pH10〜14、特にpH11〜14)と長期にわたって接触した後も、接着層がアルカリに浸食されず、高い層間接着強度を維持することができる。
したがって、本発明のアルカリ溶液用包装材料からなる包装容器は、従来はPPボトルのような樹脂性ボトル中に保存されていたアルカリ溶液を、良好な状態で、長期にわたって保存することができる。
また、本発明のアルカリ溶液用包装材料は、スタンドパウチ等の極めて高いフィルム強度(フィルムの腰)及び層間接着強度が要求される自立性袋にも適用することができ、特に、アルカリ溶液の詰め替え用パウチとして好適に用いることができる。
本発明のアルカリ溶液用包装材料の層構成の一例を示した模式断面図である。 本発明のアルカリ溶液用包装材料の層構成の他の例を示した模式断面図である。 本発明のアルカリ溶液用包装材料の層構成の他の例を示した模式断面図である。
本発明のアルカリ溶液用包装材料について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1〜3は、本発明のアルカリ溶液用包装材料の層構成の一例を示す概略的断面図である。
本発明のアルカリ溶液用包装材料は、図1に示すように、基材層1、バリア層2、耐アルカリ性接着層3及びヒートシール性樹脂層4をこの順に積層してなる構成を基本構造とする。ここで、耐アルカリ性接着層3は、アルケン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸の三元共重合体を含む接着性樹脂組成物(以下「本発明の接着性樹脂組成物」とも呼ぶ)からなり、この接着性樹脂組成物を溶融押出して、バリア層2とヒートシール性樹脂層4とをサンドイッチラミネートにより接着するものである。
本発明のアルカリ溶液用包装材料の他の態様としては、図2に示すように、基材層1とバリア層2との間に、任意の中間層5を積層した構成であってもよい。
本発明のアルカリ溶液用包装材料のさらに別の態様としては、図3に示すように、バリア層2とヒートシール性樹脂層4との間に、本発明の接着性樹脂組成物からなる耐アルカリ性接着層3を介して、補強層6を積層した構成であってもよい。
次に、本発明のアルカリ溶液用包装材料を構成する材料、及びその製造方法等について説明する。また、本発明において使用される樹脂名は、業界において慣用されるものを用いることとする。
A.基材層
本発明のアルカリ溶液用包装材料において、基材層としては、単層フィルムまたは多層積層フィルムが用いられるが、特に限定されず、各種包装袋に用いられる任意のフィルムを使用することができる。これらの中から、包装する内容物の種類や充填後の加熱処理の有無等の使用条件に応じて、適するものを自由に選択して使用する。基材層として好ましく使用されるフィルムの具体例としては、紙、セロファン、ポリアミド系樹脂フィルム、ポリエステル系樹脂フィルム、オレフィン系樹脂フィルム、酸変性ポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリスチレン系樹脂フィルム、これらを一軸または二軸延伸したフィルム、Kコートフィルム、例えば低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等からなる樹脂フィルム、Kコート延伸ポリプロピレンフィルム、Kコート延伸ナイロンフィルム、これらの2以上のフィルムを積層した複合フィルム等が挙げられる。自立性袋として適用する場合は、特にPETフィルム等のポリエステル系樹脂フィルムや、2軸延伸ナイロンフィルム等を好適に使用することができる。
基材層の厚さは、好ましくは5〜300μmであり、より好ましくは10〜100μmである。基材層は、バリア層側にコロナ処理、オゾン処理、フレーム処理等の濡れ性を向上させる表面処理を施してもよい。
B.バリア層
本発明のアルカリ溶液用包装材料において、バリア層としては、酸素ガスおよび水蒸気等の透過を防ぐガスバリア性を有し、さらに好ましくは、アルカリ溶液に対するバリア性を有する任意のバリア膜またはバリアフィルムを使用することができる。
このようなバリア膜またはバリアフィルムとしては、アルミニウム箔等からなる金属箔、無機物または無機酸化物の蒸着膜、樹脂フィルム上に該蒸着膜を有する蒸着フィルム、または、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、MXD6等のバリア性樹脂からなる層が挙げられ、これらは単独で用いても、あるいは組み合わせであってもよい。
通常、バリア層の厚さは、好ましくは0.01〜500μmであり、より好ましくは1〜300μmの範囲である。そして、バリア層は、その少なくともいずれかの表面に、コロナ処理、オゾン処理、フレーム処理等の濡れ性を高める表面処理を行ってもよい。
特に、優れたバリア性、及び、耐アルカリ性接着層との良好な層間接着強度を発揮することから、本発明においては、無機物または無機酸化物の蒸着膜、または、プラスチックフィルム上に該蒸着膜を設けてなる蒸着フィルムが特に好適に使用される。
本発明において使用されるバリア性フィルムは、用途等に応じて、必要な程度のバリア性を示すものを、当業者が適宜に選択することができる。アルカリ溶液、特に塩素系漂白剤の詰め替え用パウチとして使用するためには、例えば、酸素透過率が1cc/m2/day・atm以下、さらに好ましくは0.5cc/m2/day・atm以下であり、水蒸気透過率が1g/m2/day以下、さらに好ましくは0.5g/m2/day以下である。なお、本願において、酸素透過率は、JIS K7126等圧法に準拠して、酸素ガス透過率測定装置(MOCON社製 OX−TRAN 2/20)を用いて、温度23℃、湿度90%RHの条件で測定される値である。また、水蒸気透過率は、JIS K7129 B法に準拠して、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製 PERMATRAN−W 3/31)を用いて、温度40℃、湿度90%RHの条件で測定される値である。
蒸着膜及び蒸着フィルムについて、さらに詳細に説明する。蒸着フィルムを形成するプラスチックフィルムとしては、化学的ないし物理的強度に優れ、蒸着膜を形成する条件等に耐え、蒸着膜の特性を損なうことなく良好に保持し得ることができるプラスチックフィルムを使用することができる。
このようなプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム等の各種の樹脂からなるフィルムないしシートを使用することができる。
プラスチックフィルムは、蒸着膜を設ける前に、必要に応じて、コロナ処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガスなどを用いて低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品などを用いて処理する酸化処理等の前処理を任意に施すことができる。また、上記表面前処理は、プラスチックフィルムと蒸着膜との密着性を改善するための方法として実施するものであるが、上記の密着性を改善する方法として、例えば、プラスチックフィルムの表面に、あらかじめ、プライマーコート剤層、アンダーコート剤層、あるいは、アンカーコート剤層等を任意に形成することもできる。
蒸着膜を形成する材料としては、酸素、水蒸気等に対するガスバリア性を有する無機物または無機酸化物であればよく、例えば、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウム、酸化バリウム等の酸化物であるが、特に、ガスバリア性、生産効率等の点から、酸化アルミニウム及び酸化珪素が好適に用いられる。
蒸着膜の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法及びイオンプレーティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法及び光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等の製膜法が挙げられる。
また、蒸着膜は、1回の蒸着工程により形成される単層からなっていてもよく、又は蒸着工程を複数回繰り返すことにより形成される多層構造であってもよい。多層構造である場合には、各層は、同一の材料からなっていても、又は異なる材料からなっていてもよく、また同一の形成方法により形成されても、又は異なる形成方法により形成されてもよい。例えば、プラスチックフィルム上に、化学気相成長法によって酸化珪素からなる蒸着膜を形成し、次いで物理気相成長法によって酸化アルミニウムからなる蒸着膜を形成してもよい。
蒸着膜の層厚としては、層全体の厚さとして、1〜200nm、好ましくは1〜100nm、より好ましくは1〜50nm、さらに好ましくは1〜30nmの範囲で適宜設定することができる。例えば、200nmを超えると、フレキシビリティ性が低下し、製膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外力で、蒸着膜に亀裂を生じる恐れがあり、また、材料自身の応力が大きくなり、好ましくない。一方、蒸着膜の厚さが1nm未満では、均一な層が得られにくく、またガスバリア性の機能を十分に果たすことが難しい。
以下、本発明の好ましい態様として、酸化珪素の蒸着膜についてさらに詳細に説明する。酸化珪素の蒸着膜(薄膜)は、一般式:SiOx(式中、xは、0〜2の数を表す)で表され、xの値は1.3〜1.9が好ましい。また、酸化珪素薄膜は、酸化珪素を主体とし、さらに、炭素、水素、珪素または酸素の1種類、または2種類以上の元素からなる化合物の少なくとも1種類を化学結合等により含有してもよい。例えば、C−H結合を有する化合物、Si−H結合を有する化合物、または、炭素単位がグラファイト状、ダイヤモンド状、フラーレン状等になっている場合、更に、原料の有機珪素化合物やそれらの誘導体を化学結合等によって含有する場合があるものである。例えば、CH3部位を持つハイドロカーボン、SiH3シリル、SiH2シリレン等のハイドロシリカ、SiH2OHシラノール等の水酸基誘導体等を挙げることができる。上記の化合物が酸化珪素の蒸着膜中に含有する含有量としては、0.1〜50質量%、好ましくは5〜20質量%である。また、酸化珪素薄膜が上記化合物を含有する場合、化合物の含有量が酸化珪素の蒸着膜の表面から深さ方向に向かって減少していることが好ましい。
これにより、酸化珪素の蒸着膜の表面では上記化合物等により耐衝撃性等が高められ、他方、プラスチックフィルムとの界面では、上記化合物の含有量が少ないためにプラスチックフィルムと酸化珪素の蒸着膜との密接着性が強固なものとなる。
上記のような炭素を含有する酸化珪素の蒸着膜を形成する場合に、原料として使用される有機珪素化合物としては、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等を使用することができる。
本発明においては、上記蒸着膜上に、さらに以下で説明するようなガスバリア性塗布膜を設けることによって、一層優れたガスバリア性が得られるだけでなく、後述の耐アルカリ性接着層との密接着性が高まる。
本発明において、ガスバリア性塗布膜とは、アルコキシドと水溶性高分子とをゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物を塗布し乾燥させた膜である。
該ガスバリア性組成物において用いるアルコキシドとしては、一般式R1 nM(OR2m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドを挙げることができる。
また、水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール系樹脂若しくはエチレン・ビニルアルコール共重合体のいずれか又はその両方を好ましく用いることができる。
本発明において、一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドとしては、金属原子Mとして、珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウムその他を使用することができる。また、本発明において、単独又は二種以上の異なる金属原子のアルコキシドを同一溶液中に混合して使うことができる。
また、上記の一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドにおいて、R1で表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基その他のアルキル基を挙げることができる。
また、上記の一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドにおいて、R2で表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基その他を挙げることができる。
尚、本発明において、同一分子中において、これらのアルキル基は同一であっても、異なってもよい。
本発明において、上記の一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドとしては、例えば、MがSiであるアルコキシシランを使用することができ、アルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン Si(OCH34、テトラエトキシシラン Si(OC254、テトラプロポキシシラン Si(OC374、テトラブトキシシラン Si(OC494等が挙げられる。
また、本発明において、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体の含有量は、上記のアルコキシドの合計量100重量部に対して5〜500重量部の範囲であることが好ましい。上記において、500重量部を越えると、形成されるガスバリア性塗布膜の脆性が大きくなり、その耐侯性等も低下することから好ましくない。
本発明において、ポリビニルアルコール系樹脂として、一般にポリ酢酸ビニルを鹸化して得られるものを使用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂の具体例としては、株式会社クラレ製PVA110(ケン化度=98〜99%、重合度=1100)、PVA117(ケン化度=98〜99%、重合度=1700)、PVA124(ケン化度=98〜99%、重合度=2400)、PVA135H(ケン化度=99.7%以上、重合度=3500)、同社製のRSポリマーであるRS−110(ケン化度=99%、重合度=1000)、同社製のクラレポバールLM−20SO(ケン化度=40%、重合度=2000)、日本合成化学工業株式会社製のゴーセノールNM−14(ケン化度=99%、重合度=1400)及びゴーセノールNH−18(ケン化度=98〜99%、重合度=1700)等を使用することができる。
また、本発明において、エチレン・ビニルアルコール共重合体としては、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体のケン化物、すなわち、エチレン−酢酸ビニルランダム共重合体をケン化して得られるものを使用することができる。このようなケン化物には、酢酸基が数十モル%残存する部分ケン化物から、酢酸基が数モル%しか残存していないか又は酢酸基が全く残存していない完全ケン化物までが包含される。特に限定されるものではないが、ガスバリア性の観点から、ケン化度が80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上であるものを使用することが望ましい。また、上記のエチレン・ビニルアルコール共重合体中のエチレンに由来する繰り返し単位の含量(以下「エチレン含量」ともいう)は、通常、0〜50モル%、好ましくは20〜45モル%であるものを使用することが好ましい。
上記のエチレン・ビニルアルコール共重合体の具体例としては、株式会社クラレ製、エバールEP−F101(エチレン含量;32モル%)、日本合成化学工業株式会社製、ソアノールD2908(エチレン含量;29モル%)等を使用することができる。
本発明において、本発明に係るガスバリア性塗布膜を形成するガスバリア性組成物を調製するには、シランカップリング剤等も添加することができる。好適に用いられるシランカップリング剤としては、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有シランカップリング剤、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシ基含有シランカップリング剤、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト基含有シランカップリング剤、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランなどのイソシアネート基含有シランカップリング剤等が挙げられる。
本発明において用いられるガスバリア性組成物は、アルコキシドと水溶性高分子とを、酸、水及び有機溶剤の存在下で、ゾルゲル法によって加水分解及び、重縮合することによ
り調製することができる。
ガスバリア性塗布膜は、ガスバリア性組成物を上記蒸着膜の上に塗布し、20〜200℃、好ましくは140℃以上、且つ基材層を構成するプラスチックフィルムの融点以下の温度で10秒〜10分間加熱処理することにより形成することができる。
また、上記のガスバリア性組成物の調製において用いられる酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸、並びに酢酸、酒石酸等の有機酸その他を使用することができる。更に、有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール等を用いることができる。
更に、上記のガスバリア性組成物に関して、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体は、上記のアルコキシドやシランカップリング剤等を含む塗工液中で溶解した状態にあることが好ましく、そのため上記の有機溶媒の種類が適宜選択される。本発明において、溶剤中に可溶化されたエチレン・ビニルアルコール共重合体は、例えば、ソアノール(日本合成化学社製)として市販されているものを使用することができる。
上記のガスバリア性組成物を、蒸着膜の上に塗布し、加熱して溶媒及び重縮合反応により生成したアルコールを除去すると、重縮合反応が完結し、透明なガスバリア性塗布膜が形成される。
更に、加水分解によって生じた水酸基や、シランカップリング剤由来のシラノール基が蒸着膜の表面の水酸基と結合する為、該蒸着膜とガスバリア性塗布膜との密接着性等が良好なものとなる。
上述のように形成されることにより、本発明のガスバリア性塗布膜は、結晶性を有する直鎖状ポリマーを含み、非晶質部分の中に多数の微小の結晶が埋包された構造を取る。このような結晶構造は、結晶性有機ポリマー(例えば、塩化ビニリデンやポリビニルアルコール)と同様であり、さらに極性基(OH基)が部分的に分子内に存在し、分子の凝集エネルギーが高いため、良好なガスバリア性を示す。
本発明においては、蒸着膜とガスバリア性塗布膜とが、例えば、加水分解・共縮合による化学結合、水素結合、或いは、配位結合等を形成し、これら2層間の密着性が向上し、相乗効果により、より良好なガスバリア性の効果を発揮し得るものである。
本発明において、上記のガスバリア性組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアロールコーター等のロールコート、スプレーコート、ディッピング、刷毛、バーコート、アプリケータ等の塗布手段により、1回或いは複数回の塗布で、乾燥膜厚が0.01〜100μm、好ましくは0.1〜50μmのガスバリア性塗布膜を形成することができる。乾燥膜厚が100μmを超えると、クラックが発生し得るため好ましくない。
また、本発明において、より高いガスバリア性を得るために、ガスバリア性塗布膜を設けた後で、さらに蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを、この順序で、交互に1回又はそれ以上繰り返し積層し、好ましくはガスバリア性塗布膜が最外層となるように形成して、透明ガスバリア性フィルムとしてもよい。
C.耐アルカリ性接着層
本発明において、バリア層とヒートシール性樹脂層との間に位置する接着層は、耐アルカリ性を有し、アルケン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸の三元共重合体を含む本発明の接着性樹脂組成物からなる。
また、バリア層とヒートシール性樹脂層との間に、補強層等のさらなる層を有する場合は、該さらなる層との接着に際しても、上記本発明の接着性樹脂組成物を用いることが好ましい。すなわち、バリア層とヒートシール性樹脂層との間に位置する全ての接着層が、上記本発明の接着性樹脂組成物からなることが好ましい。
本発明の接着性樹脂組成物は、カルボキシル基等の官能基を有することにより、バリア層及びヒートシール性樹脂層の表面と反応基と化学的に結合し、これにより耐アルカリ性を発揮し、強アルカリ溶液に長期間曝された後も、高い層間接着強度を維持することができる。
また、本発明の耐アルカリ性接着層を設ける際に、通常の溶融押出の際に使用されるアンカーコート剤を使用する必要はない。さらに、本発明の接着性樹脂組成物は、有機溶媒を含有しない。したがって、本願発明は、アンカーコート剤や樹脂組成物中に含まれる有機溶媒に由来する、残留溶媒や低分子量物質の溶出に関する懸念がない。
本発明の接着性樹脂組成物は、アルケン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸の三元共重合体のみからなるものであってよい。
別の態様において、本発明の接着性樹脂組成物は、上記三元共重合体に加えてさらに、所望に応じて、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の改質用樹脂等を含むことができる。
なお、本発明の接着性樹脂組成物は、例えば加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等を使用することができる。
上記三元共重合体の製造において、コモノマーとなるアルケンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブテン、ペンテン、ヘキセン等が挙げられ、特に、エチレン及びプロピレン等のαオレフィンが好適に使用される。
また、コモノマーとなる(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸エチル−2−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられ、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルが好ましく、より好ましくはアクリル酸メチルである。
また、コモノマーとなる不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、これらの誘導体、例えばこれらの酸無水物、エステル、アミド、イミド等、例えばマレイン酸モノメチル、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。特に、不飽和ジカルボン酸、無水マレイン酸等を好適に使用することができる。これらは1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の三元共重合体は、上記アルケン、(メタ)アクリル酸エステル、及び不飽和カルボン酸がグラフト重合または三元共重合されているものである。三元共重合体は、本発明の目的を損なわない範囲で、上記以外のコモノマーを含んでいてもよい。例えば、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸の三元共重合体樹脂を好適に使用することができる。
本発明において、重合反応は、原料となるコモノマーを用いて、種々の慣用の方法により製造することができる。
例えば、アルケンからなるポリマーに、不飽和カルボン酸、及び必要により有機過酸化物、ラジカル開始剤を所定の配合比でヘンシェルミキサーなどでドライブレンドし、この配合物を、系内を窒素ガス置換された混練機、例えばバンバリーミキサー、ダブリュスクリューミキサー等に投入し、120〜300℃の温度で、0.1〜30分溶融混練することにより得られる。グラフト反応時には、慣用のラジカル発生剤を添加することにより、反応を効率よく行わせることができる。
ラジカル発生剤としては、特に限定されないが、例えば、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサン等のヒドロパーオキサイド類;ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等のジアルキルパーオキサイド類;ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類等の有機過酸化物、またはアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物などが挙げられる。これらのラジカル発生剤は、1種類のみを単体として用いてもよく、また2種類以上を混合して用いてもよい。ラジカル発生剤の添加量としては、上記コモノマー成分の合計量100質量部に対して、0.001〜5質量部の範囲が好ましい。
本発明において、特に、吸湿性を抑えて良好なハンドリングを得るために、三元共重合体の各成分の好適な配合比としては、接着性樹脂組成物の全質量に対して、(メタ)アクリル酸エステル由来成分(残基)が5〜40質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜30質量%である。
また、不飽和カルボン酸由来成分(残基)が0.05〜3.0質量%、より好ましくは0.05〜1.0質量%未満含まれているものであり、残りがアルケン由来成分(残基)、改質用樹脂、及び添加剤等となっているものである。
本発明の三元共重合体を含む接着性樹脂組成物における不飽和カルボン酸成分量が上記範囲より多いと、積層体の酸含有量が多くなるため、吸湿性が高くなり、共押出し時に発泡する可能性がある。また、接着層から不飽和カルボン酸の残留モノマーが溶出する懸念がある。
また、不飽和カルボン酸成分量が少なすぎると、バリア層や補強層を構成する樹脂フィルムとの化学的相互作用が発生しにくくなるため、層間接着強度の低下を引き起こし得る。
(メタ)アクリル酸エステル由来成分の含有量が上記範囲より多い場合は、樹脂自体が液状化しやすく、ハンドリングが悪くなる。また、(メタ)アクリル酸エステル由来成分の含有量が上記範囲より少ない場合は、アクリレートの反応による接着が発生しにくくなる。
本発明の接着性樹脂組成物のMFRは、190℃において3〜100g/10分であることが好ましく、より好ましくは5〜20g/10分である。MFRが上記範囲外では、押出が困難になる問題がある。
また、接着性樹脂組成物からなる接着層の厚みは、0.1〜200μmであることが好ましく、より好ましくは1〜100μmである。上記、範囲以下の膜厚では容易に押し出すことが困難であり、かつ接着力が発揮されない。範囲以上の膜厚である場合は、接着強度などの問題は解決されるが過剰に樹脂を使用することによる包材コストの上昇をまねく。
本発明の接着性樹脂組成物からなる接着層の接着機構としては、接着性樹脂組成物の柔軟性で接着する機構、樹脂との相溶化で接着する機構、相手基材表面と不飽和カルボン酸との化学的相互作用で接着する機構、相手基材表面に対する不飽和カルボン酸とアクリレートの化学的相互作用により接着する機構、及び、高温で押出することによるラジカル発生により接着する機構がある。
本発明の接着性樹脂組成物からなる接着層は、必ずしも一つの接着機構で接着しているわけではなく、上記反応を少なくとも2つ以上利用して接着をしている。
D.ヒートシール性樹脂層
本発明のヒートシール性樹脂層は、熱によって溶融し相互に融着し得るヒートシール性樹脂からなる層である。
本発明において好適に使用されるヒートシール性樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸その他等の不飽和カルボン酸で変性したポリオレフィン系樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸の三元共重合体樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、環状オレフィンコポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアクリロニトリル(PAN)等の1種ないしそれ以上からなる樹脂を挙げることができる。これらの樹脂からなるフィルムないしシートを使用し、所望に応じて、その表面にコロナ処理、フレーム処理、オゾン処理等を施してもよい。
また、ヒートシール性樹脂層の厚みは特に限定されないが、好ましくは5〜500μm、より好ましくは10〜250μmである。5μmより薄いと、ヒートシールしても充分な層間接着強度が得られず、包装容器として機能しない。500μmより厚いと、コスト高になるとともに、フィルムが硬くなり作業性が悪くなる。
E.中間層及び補強層
本発明のアルカリ溶液用包装材料において、基材層とバリア層との間に、所望に応じて中間層を設けることができる。同様に、バリア層とヒートシール性樹脂層との間に、所望に応じて補強層を設けることができる。
中間層及び補強層は、所望の物理的及び化学的特性を付与する任意の機能層であってよい。例えば、積層体の耐屈曲性、耐衝撃性等の機能を向上させるために、ポリアミド系樹脂フィルムを中間層として設ける。耐屈曲性を高めることにより、屈曲によるガスバリア性の低下を抑制することができる。
該ポリアミド系樹脂フィルムとしては、脂肪族ポリアミド及び/又は芳香族ポリアミドを含有する。
脂肪族ポリアミドとしては、脂肪族ナイロン及びその共重合体が挙げられる。具体的には、ポリカプラミド(ナイロン−6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイロン−7)、ポリ−ω−アミノノナン酸(ナイロン−9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン−11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン−12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン−2,6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン−4,6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン−6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン−6,10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン−6,12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン−8,6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン−10,8)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン−6/12)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸共重合体(ナイロン−6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−6/6,6)、ラウリルラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−12/6,6)、エチレンジアミンアジパミド/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−2,6/6,6)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン−6/6,6/6,10)、エチレンアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン−6/6,6/6,10)等を例示でき、これらのうち、2種以上の脂肪族ポリアミドを混合しても良い。
好ましい脂肪族ポリアミドとしては、ナイロン−6、ナイロン-6,6、ナイロン−6/6,6(ナイロン6とナイロン6,6との共重合体)が挙げられ、より好ましくはナイロン−6、ナイロン−6/6,6であり、さらに好ましくはナイロン−6である。2種以上の脂肪族ポリアミドとしてはナイロン−6とナイロン−6/6,6の組み合わせ(質量比で50:50〜95:5程度)が好ましい。
芳香族ポリアミドとしては、例えば、メタキシレンジアミン、パラキシレンジアミン等の芳香族ジアミンと、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸又はその誘導体との重縮合反応で得られる結晶性芳香族ポリアミドが挙げられる。好ましくは、ポリメタキシレンアジパミド(MXD−ナイロン)等の結晶性芳香族ポリアミドである。具体例としては、S−6007、S−6011(いずれも三菱ガス化学(株)製)が例示される。
或いは、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミンとテレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸又はその誘導体との重縮合反応で得られる非晶性芳香族ポリアミド(アモルファスナイロン)が挙げられる。好ましくはヘキサメチレンジアミン−テレフタル酸−ヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸の共重合体等である。具体例としては、シーラーPA(三井・デュポンポリケミカル(株)製)等が例示される。
脂肪族ポリアミドと芳香族ポリアミドの好ましい組み合わせは、ナイロン−6とMXD−ナイロンの組み合わせ、ナイロン−6と非晶性芳香族ポリアミド(アモルファスナイロン)の組み合わせが挙げられる。
特に好ましいポリアミド系樹脂としては、メタキシレンジアジパミド(MXD−6)系ナイロン、6―ナイロン、6,6ナイロンが挙げられる。
本発明において、ポリアミド系樹脂フィルムは、上記ポリアミド系樹脂からなるものであってもよいが、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、公知の耐屈曲性改良剤、無機又は有機添加剤等を配合することができる。耐屈曲性改良剤としては、ポリオレフィン類、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー等が挙げられ、0.5〜10質量%程度の範囲で適宜配合することができる。無機又は有機添加剤としては、アンチブロッキング剤、核剤、撥水剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤等が挙げられる。例えば、アンチブロッキング剤であれば、シリカ、タルク、カオリン等を100〜5000ppm程度の範囲で適宜配合することができる。なお、ポリアミド系樹脂層を1層のみではなく、2層以上設けることも可能である。
上記のポリアミド系樹脂フィルムは、例えば50〜100℃のロール延伸機により2〜4倍に縦延伸し、更に90〜150℃の雰囲気のテンター延伸機により3〜5倍に横延伸せしめ、引き続いて同テンターにより100〜240℃雰囲気中で熱処理して得ることができる。延伸フィルムは、同時二軸延伸、逐次二軸延伸をしても良く、得られた多層延伸フィルムは、必要ならばその両表面又は片表面に任意の表面処理層を設けてもよい。
本発明においては、上記の樹脂のフィルムないしシートを使用し、これを、例えば、前述の本発明の接着性樹脂組成物を使用して、サンドイッチラミネート法等を用いて、バリア層とヒートシール性樹脂層との間に狭持させることができる。または、任意の接着層を使用して、基材層とバリア層との間に狭持させることができる。
上記の樹脂のフィルムないしシートとしては、未延伸フィルム、あるいは1軸方向または2軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。また、本発明において、その樹脂のフィルムないしシートの厚さとしては、強度、耐突き刺し性等について、必要最低限に保持され得る厚さであればよく、厚すぎると、コストを上昇するという欠点もあり、逆に、薄すぎると、強度、耐突き刺し性等の向上が得られない。本発明においては、上記のような理由から、1〜100μm、好ましくは、5〜50μmが好ましい。
特に、アルカリ溶液用自立性袋、特にアルカリ溶液用詰め替えパウチとして使用するためには、自立に必要な腰及び強度を得るために、基材層とバリア層との間に、ポリアミド系樹脂フィルムを中間層として設けることが好ましい。一般に、ポリアミド系樹脂フィルムは、アルカリ溶液による浸食を受けやすいため、アルカリ溶液の包装材料として使用すると、層間剥離を引き起こすことが知られていた。しかしながら、本発明においては、本発明の接着性樹脂組成物からなる接着層が、積層体内部へのアルカリ溶液の浸透を遮断するため、ポリアミド系樹脂フィルムを層構成中に含む場合であっても、層間剥離は発生せず、長期にわたって、安定してアルカリ溶液を保存することができる。
F.積層
上記基材層、(中間層)、バリア層、(補強層)、ヒートシール性樹脂層を積層することにより、本発明のアルカリ溶液用包装材料が得られる。
基材層、中間層及びバリア層の間は、慣用の接着性樹脂等を用いて、任意の方法で積層することができる。所望に応じて、本発明の接着性樹脂組成物を介して、サンドイッチラミネートすることにより積層されてもよい。また、基材層のバリア層と反対側の面上に、さらなる層を積層してもよい。
一方、バリア層とヒートシール性樹脂層は、本発明の接着性樹脂組成物からなる耐アルカリ性接着層を介して、サンドイッチラミネートすることにより積層される。同様に、補強層を設ける場合は、バリア層と補強層との間及び補強層とヒートシール性樹脂層との間は、本発明の接着性樹脂組成物からなる耐アルカリ性接着層を介して、サンドイッチラミネートすることにより積層される。
本発明の接着性樹脂組成物を介するサンドイッチラミネートは、ラミネートするフィルムのそれぞれを一定速度で繰り出し、繰り出されるフィルムの間に、加熱溶融された本発明の接着性樹脂組成物を薄膜状に押し出して、冷却ロールや圧着ロール等を用いてフィルムを貼り合わせることにより行われる。
あるいは、ヒートシール性樹脂層は、本発明の接着性樹脂組成物と共に、バリア層上または補強層上に共押出コーティング法によって積層することもできる。
本発明の接着性樹脂組成物は、フィルムの積層面に対して高い結合力を発揮するため、積層面に予めアンカーコート剤を塗布する必要がない。必要に応じて、フィルムの積層面に予め表面処理、例えばコロナ処理等を施してもよい。
本発明の接着性樹脂組成物の押出温度は、280〜330℃、より好ましくは290〜320℃の範囲である。樹脂温度が280℃以下であると、接着層においてラジカルの発生が起きづらく、バリア層、補強層及びヒートシール性樹脂層との十分な層間接着強度が発揮されない。また、330℃以上であると、三元共重合体の熱分解が発生してくるために、十分な層間接着強度が得られないため好ましくない。
G.アルカリ溶液用包装容器及び包装体
本発明のアルカリ溶液用包装材料を、ヒートシール性樹脂層が最内層となるように折り曲げるかあるいは重ね合わせて、その周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等のヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態の包装容器を製造することができる。特に、本発明のアルカリ溶液用包装材料は、高い層間接着強度を有し、さらに優れた耐内容物性、特に耐アルカリ性を示し、長期にわたって層間剥離の発生が防がれるため、使用フィルム面積に対して内容量が大きい重量袋や詰め替え用スタンドパウチ等の自立性袋として、好適に使用することができる。
スタンドパウチの製造方法としては、袋の胴部、すなわち側面を形成する胴材用積層体、及び底部を形成する底材用積層体として本発明のアルカリ溶液用包装材料を使用し、これらのヒートシール性樹脂層の面同士を対向させて配置し、スタンドパウチ型にヒートシールすることによって得られる。
スタンドパウチのより具体的な製造方法としては、例えば、胴材用積層体2枚を用意し、そのヒートシール性樹脂層の面同士を対向させて配置する。次いで、これらの下端部に、シーラント面を外側に向けて中央で山折りにした底材用積層体を挿入し、ガゼット部を設けて周縁部をヒートシールする。ガゼット部を舟底シール型にヒートシールすることにより、自立性の底部を形成することができる。また、注出口部を形成するヒートシール部、及びその両側を切り欠くための打ち抜き部を備えた製袋機を使用して、パウチ上部のコーナー部分に注出口部を設けてもよい。
アルカリ溶液、例えば塩素系漂白剤を充填して包装体を製造するには、シールせずに残しておいた充填口から内容物を充填した後、充填口を、例えば脱気シール等によりヒートシールして密封する。
上記において、ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
本発明のアルカリ溶液用包装材料は、長期保存中に接着層がアルコール等の内容物の浸食を受けて、層間剥離が生じるといった問題がない。また、分解物や未反応モノマー等の低分子量物質が溶出するという問題がない。そのため、本発明のアルカリ溶液用包装材料は、特にpH10〜14、さらにはpH11〜14もの強アルカリ溶液、例えば塩素系漂白剤用の包装容器としても、好適に利用することができる。
次に本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。
[実施例1]
基材層として厚さ12μmの2軸延伸PETフィルム(東洋紡(株)製T−4102)と、厚さ7μmのアルミニウム箔(1N30、東洋アルミ(株))とを押出ラミネート機にセットし、Tダイスから、エチレン−アクリル酸メチル−マレイン酸三元共重合体からなる接着性樹脂組成物(アルケマ(株)製Lotader(R)4503、無水マレイン酸成分量:0.3質量%、アクリル酸メチル成分量:19質量%)を310℃で厚さ7μmとなるように溶融押出し、上記PETフィルムのコロナ処理面と、アルミニウム箔とをサンドイッチラミネートした。
次いで、上記で得られた積層フィルムと、厚さ50μmの直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム(東洋紡(株)製、L−6100)とを押出ラミネート機にセットし、Tダイスから、エチレン−アクリル酸メチル−マレイン酸三元共重合体からなる接着性樹脂組成物(アルケマ(株)製Lotader(R)4503)を310℃で厚さ20μmとなるように溶融押出し、上記積層フィルムのアルミニウム箔側の面と、LLDPEフィルムとをサンドイッチラミネートして、本発明のアルカリ溶液用包装材料を得た。
[実施例2]
片面をコロナ処理した厚さ12μmの2軸延伸PETフィルムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、そのコロナ処理面に、有機珪素化合物であるヘキサメチルジシロキサンを原料として、厚さ200nmの酸化珪素蒸着膜を形成した。次いで、この蒸着膜面にプラズマ処理を行った。
一方、下記の表1に示す組成に従って、組成a.のEVOH(エチレン共重合比率29%)をイソプロピルアルコール及びイオン交換水の混合溶媒にて溶解したEVOH溶液に、予め調整した組成b.のエチルシリケート40、イソプロピルアルコール、アセチルアセトンアルミニウム、イオン交換水からなる加水分解液を加えて撹拌し、更に予め調整した組成c.のポリビニルアルコール、シランカップリング剤(エポキシシリカSH6040)、酢酸、イソプロピルアルコール及びイオン交換水からなる混合液を加えて撹拌し、無色透明のバリア塗工液を得た。
Figure 2016068533
次に、蒸着膜面上のプラズマ処理面に、上記で製造したガスバリア性組成物をコーティングし、100℃で30秒間加熱処理して、厚さ0.4g/m2 (乾操状態)のガスバリア性塗布膜を形成した。
次に、上記で形成した透明ガスバリア性フィルムを押出ラミネート機にセットし、そのガスバリア性塗布膜の面に、ダイスから、エチレン−アクリル酸メチル−マレイン酸三元共重合体からなる接着性樹脂組成物(アルケマ(株)製Lotader(R)4503)を、310℃で厚さ20μmとなるように溶融押出し、それと同時に厚さ50μmのLLDPEフィルム(東洋紡(株)製、L−6100)を繰り出し、サンドイッチラミネートにより積層して、本発明のアルカリ溶液用包装材料を得た。
[実施例3]
基材層として厚さ12μmの2軸延伸PETフィルム(東洋紡(株)製T−4102)と、厚さ15μmのナイロンフィルム(興人フィルム・アンド・ケミカルズ(株)製、ボニールQC)とを押出ラミネート機にセットし、Tダイスから、エチレン−アクリル酸メチル−マレイン酸三元共重合体からなる接着性樹脂組成物(アルケマ(株)製Lotader(R)4503)を310℃で厚さ10μmとなるように溶融押出し、上記PETフィルムのコロナ処理面と、ナイロンフィルムとをサンドイッチラミネートした。
次いで、上記で得られた積層フィルムと、厚さ7μmのアルミニウム箔(1N30、東洋アルミ(株))とを押出ラミネート機にセットし、同様に、エチレン−アクリル酸メチル−マレイン酸三元共重合体からなる接着性樹脂組成物(アルケマ(株)製Lotader(R)4503)を310℃で厚さ10μmとなるように溶融押出し、積層フィルムのナイロンフィルム側の面と、アルミニウム箔とをサンドイッチラミネートした。
さらに、同様にして、上記積層フィルムのアルミニウム箔側の面と、厚さ50μmのLLDPEフィルム(東洋紡(株)製、L−6100)とを、エチレン−アクリル酸メチル−マレイン酸三元共重合体からなる接着性樹脂組成物(アルケマ(株)製Lotader(R)4503、厚さ20μm)を介してサンドイッチラミネートし、本発明のアルカリ溶液用包装材料を得た。
[実施例4]
ヒートシール性樹脂層として、LLDPEフィルムの代わりに、厚さ70μmの無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム(東レフィルム加工(株)製、ZK99S)を使用した以外は、実施例1と同様にして、本発明のアルカリ溶液用包装材料を製造した。
[比較例1]
厚さ12μmの2軸延伸PETフィルム(東洋紡(株)製T−4102)と、厚さ7μmのアルミニウム箔(1N30、東洋アルミ(株))とを押出ラミネート機にセットし、Tダイスから、低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製LC600A)を厚さ15μmとなるように溶融押出し、上記PETフィルムのコロナ処理面と、アルミニウム箔とをサンドイッチラミネートした。
次いで、上記で得られた積層フィルムのアルミニウム箔側の面に、アンカーコート剤(ユニチカ(株)製アローベース(R)、SE−1200)を厚さ0.3μmでコーティングし、その上に、低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製LC600A)を厚さ25μmとなるように押出コーティングすることにより、包装材料を製造した。
[比較例2]
厚さ12μmの2軸延伸PETフィルム(東洋紡(株)製T−4102)のコロナ処理面上に、2液硬化型ウレタン接着剤(ロックペイント(株)製、主剤RU−004/硬化剤H1)を3〜5μm塗布し、厚さ7μmのアルミニウム箔(1N30、東洋アルミ(株))を貼り合せた。次いで、このアルミニウム箔側の面に2液硬化型ウレタン接着剤(ロックペイント(株)製、主剤RU−004/硬化剤H1)を3〜5μm塗布し、厚さ50μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(東洋紡(株)、L−6100)を貼り合せることにより、包装材料を製造した。
[耐アルカリ性評価]
(層間接着強度試験)
実施例1〜4及び比較例1〜2の包装材料を、ヒートシール性樹脂層の側が重なり合うようにして、ヒートシールし、180×160mmの3方パウチを作製した。このパウチに、次亜塩素酸、水酸化ナトリウム及び界面活性剤からなるpH11の塩素系漂白剤40mlを充填し、上部をシールして4方パウチとした。これを60℃の乾燥条件下で1週間、2週間及び30日間保存した。初期、1週間保存後、2週間保存後及び30日間保存後の各パウチから幅15mmの短冊状の試験片を切り出し、JISK6854に従って、テンシロン引張試験機を用いて、25℃雰囲気下、引張速度を50mm/分として90度方向に剥がし、層間接着強度を測定した。
30日間保存した後の層間接着強度が、5N/15mm幅以上、より好ましくは6N/15mm幅以上、7N/15mm幅以上、8N/15mm幅以上、さらに好ましくは9N/15mm幅以上であれば、実用的に十分な耐久性があり、層間剥離を生じず、すなわち耐アルカリ性であるものと判定される。結果を表2に示す。
Figure 2016068533
(溶出試験)
実施例及び比較例の包装材料を用いて、ヒートシール性樹脂層同士を重ね合せ、三方製袋体を作製した。得られた三方製袋体について、日本薬局方のプラスチック製医薬品容器試験法の溶出試験に準じた試験法で、クリーン水200mlを封入し、このパウチを、121℃で25分間(実施例4)または105℃で30分間(実施例1〜3及び比較例1〜2)蒸気滅菌に付した。パウチを開封し、回収した試験液について、泡立ち、pH、過マンガン酸カリウム還元性物質、紫外線吸収スペクトル及び蒸発残留物を以下のとおりに調べた。
(泡立ち)
試験液5mLを内径15mm、長さ200mmの共栓試験管に入れ、3分間激しく振り混ぜ、生じた泡が消失するまでの時間を測定した。
(pH)
試験液及びクリーン水(コントロール)各20mLに、1g/L塩化カリウム水溶液1mLを加えてpHを測定し、コントロールとの差を求めた。
(過マンガン酸カリウム還元性物質)
試験液20mLに、0.002mol/L過マンガン酸カリウム液20mL及び希硫酸1mLを加え、3分間煮沸後に冷却した。その後、ヨウ化カリウム0.1gを加え10分間放置した。放置後、0.001mol/Lチオ硫酸ナトリウム液で滴定した(指示薬:デンプン試薬)。試験液とコントロール(クリーン水)とに対する0.002mol/L過マンガン酸カリウム液の消費量の差を求めた。
(紫外線吸収スペクトル)
試験液及びコントロール(クリーン水)について、紫外可視吸光度測定法により、波長220〜240nmの区間、及び241〜350nmの区間のそれぞれで最大吸光度を測定した。
(蒸発残留物)
試験液各20mLを水浴上で蒸発乾固し、残留物を105℃で1時間乾燥し、その質量を測定した。
結果を以下の表3に示す。なお、表中の規格は、日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験法の溶出物試験の規格を指す。
Figure 2016068533
上記の結果より、本発明の包装材料は、多様な樹脂フィルム、蒸着フィルム、金属箔に適用することができ、いずれにおいても安定して、十分に高い層間接着強度を示し、且つ優れた耐アルカリ性を発揮した。また、有機物等の包装材由来成分が内容物中に移行せず、日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験法の溶出物試験の規格を十分に満たすものであった。
1.基材層
2.バリア層
3.接着層
4.ヒートシール性樹脂層
5.中間層
6.補強層

Claims (11)

  1. 少なくとも、基材層、バリア層、耐アルカリ性接着層及びヒートシール性樹脂層をこの順に有し、
    該耐アルカリ性接着層は、アルケン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸の三元共重合体を含む接着性樹脂組成物からなる、アルカリ溶液用包装材料。
  2. 前記基材層と前記バリア層との間に、さらに中間層を有する、請求項1に記載のアルカリ溶液用包装材料。
  3. 前記バリア層と前記ヒートシール性樹脂層との間の任意の位置に、さらに補強層を有し、
    該バリア層と該ヒートシール性樹脂層との間に位置する複数の接着層が全て、アルケン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸の三元共重合体を含む接着性樹脂組成物からなる耐アルカリ性接着層である、請求項1または2に記載のアルカリ溶液用包装材料。
  4. 前記接着性樹脂組成物における不飽和カルボン酸成分量が、0.05質量%以上、1.0質量%未満である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルカリ溶液用包装材料。
  5. 前記接着性樹脂組成物における(メタ)アクリル酸エステル成分量が、5〜40質量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルカリ溶液用包装材料。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のアルカリ溶液用包装材料を、そのヒートシール性樹脂層同士が対向するように重ねあわせ、その端部をヒートシールしてなるアルカリ溶液用包装容器。
  7. pH11のアルカリ溶液を充填し、60℃で30日間保存した後のバリア層とヒートシール性樹脂層との間の層間接着強度が、5N/15mm幅以上である、請求項6に記載のアルカリ溶液用包装容器。
  8. 詰め替え用パウチである、請求項6または7に記載のアルカリ溶液用包装容器。
  9. 請求項6〜8のいずれか1項に記載の包装容器にアルカリ溶液を充填してなる包装体。
  10. 前記アルカリ溶液が塩素系漂白剤である、請求項9に記載の包装体。
  11. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のアルカリ溶液用包装材料の製造方法であって、バリア層とヒートシール性樹脂層とを、または、バリア層と補強層及び補強層とヒートシール性樹脂層とを、アルケン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸の三元共重合体を含む接着性樹脂組成物を介して、サンドイッチラミネート法によって積層する、上記製造方法。
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