JP2016190389A - 積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】残留溶媒の懸念や、経時劣化によるラミネート強度が低下するという問題がなく、各層間の接着が強固になされた積層体を提供すること。
【解決手段】積層体の接着層として、本発明で規定するアルケン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸(不飽和ジカルボン酸)からなる三元共重合体を含む接着性樹脂組成物層を用いる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、新たな積層体に関し、より詳細には積層間において優れた接着強度を有し、食品、医薬品、化粧品、トイレタリー関連容器、包装用に適用できる積層体に関するものである。
また、本発明は、高いガスバリア性と優れた柔軟性とを有し、製袋加工、成型加工、充填、殺菌処理等の工程後においても、高い接着性やガスバリア性を維持する積層体に関する発明である。
ポリエステルフィルム、例えば2軸延伸ポリエステルフィルムは、透明性、強靭性や酸素バリア性等に優れていることから、各種食品や産業資材等の包装材料の基材として用いられている。そしてこのポリエステル系フィルムには、補強層となる樹脂フィルムを積層したり、ヒートシール性樹脂層を積層して幅広い分野で用いられている。
このような積層フィルムの積層方法としては、接着剤を用いたドライラミネート法、接着性樹脂を用いた押出ラミネート法、ウェットラミネート法等が知られている。これらのうちでも、ドライラミネート法および押出ラミネート法が広く用いられており、特に、製造コスト、効率面で最も有利な押出ラミネート法が好ましく用いられている。
そして、一般的にドライラミネート法には、2液硬化型ウレタン接着剤等が用いられている(特許文献1)。
この特許文献1記載の発明は、ラミネート基材に強い接着強度を得ることができ、食品包装材料として、レトルト後の積み重ね時における不本意による折り曲げが原因の外観劣化を防止することが可能になったり、更に対内容物性として酸性度の高い食品や油性食品を内容物充填した場合においても、経時的な接着強度の低下やピンホールの発生がなく、長期間にわたって強い接着強度を維持できる接着剤組成物を提供することを目的とする発明で、ポリエステルポリウレタンポリオール10〜90質量%と分子末端にカルボキシル基を含有するポリエステル樹脂10〜90質量%よりなる混合物、オルトリン酸またはそのエステル化合物および有機イソシアネート化合物等を含有する接着剤組成物に関する発明である。
また、一般的な押出ラミネート法においては、アンカーコート剤を塗布し、樹脂を押し出すことで積層体を得ている(特許文献2、3)。
ところが、従来のドライラミネートのコーティングによる積層は、接着剤の希釈溶剤を用いることによる残留溶媒の懸念や、2液反応型接着剤であるため、経時劣化し分解されることでラミネート強度が低下するという課題がある。また、アンカーコート剤を介した押出ラミネートによる積層は、希釈溶剤による残留溶媒の問題や、押し出しする樹脂の選択とその膜厚に制限がある。
すなわち、アンカーコート剤に使用する酢酸エチルやトルエン等の希釈有機溶剤の押出ラミネート時の飛散に基づく作業環境の悪化や、比較的高価なアンカーコート剤を使用することによる製造コストの上昇、最終製品(包装材)内の残留有機溶剤による臭気発生等の問題を有している。
特開平5−51574号公報 特許第5247199号 特開平7−90093号公報
本発明は、上記の問題点を解決して、残留溶媒の懸念や、経時劣化によるラミネート強度が低下するという問題がなく、さらに、積層に際してアンカーコート剤を必要としないことから希釈溶剤による残留溶媒や、押出樹脂の選択とその膜厚に制限がない、強い接着力を有する新たな積層体を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、有機溶剤を用いないことによる低溶出包装材の提供に関し、また、優れたラミネート強度を有する積層体に関するものである。さらに、積層体の製造においては押出ラミネートによることを一つの特徴とする発明である。
本発明者は研究の結果、積層体の接着層として、アルケン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸(不飽和ジカルボン酸)からなる三元共重合体を含む接着性樹脂組成物を用いることにより、上記の目的を達成することを見出した。(以下、本発明の上記接着層を「三元共重合体接着性樹脂層」ということがある。)
そして、本発明は、以下の点を特徴とする。
1.少なくとも、基材フィルムと、ポリアミド系樹脂フィルムと、ポリエステル系樹脂フィルムとを、この順で、アルケン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸の三元共重合体を含む接着性樹脂組成物層を介してラミネートしてなる積層体において、該接着性樹脂組成物層における不飽和カルボン酸成分量が1.0〜12.0質量%であり、(メタ)アクリル酸エステル成分量が2.0〜25.0質量%である積層体。
2.前記基材フィルムと前記ポリアミド系樹脂フィルム、前記ポリアミド系樹脂フィルムと前記ポリエステル系樹脂フィルムとの間で剥離したときの剥離強度が3N/15mm幅以上であり、かつレトルト処理後(121℃、30分)においても剥離強度が3N/15mm幅以上である上記1に記載の積層体。
3.前記基材フィルムが、ポリエステル系樹脂フィルム、ポリアミド系樹脂フィルム、または、ポリオレフィン系樹脂フィルムである上記1または2に記載の積層体。
4.前記基材フィルムがポリエチレンテレフタレートフィルムである上記1または2に記載の積層体。
5.前記ポリエステル系樹脂フィルム上に、蒸着膜を設けてなる上記1〜4のいずれかに記載の積層体。
6.前記蒸着膜上に、ガスバリア性塗布膜を設けてなる上記5に記載の積層体。
7.前記ガスバリア性塗布膜が、一般式R1 nM(OR2m(式中、Mは金属原子を表し、R1、R2は炭素数1〜8の有機基を表し、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、n+mはMの原子価を表す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシド、ポリビニルアルコール、および/またはエチレン・ビニルアルコールを含んでなる組成物を、ゾル−ゲル法によって重縮合して得るアルコキシドの加水分解物またはアルコキシドの加水分解縮合物である、上記6に記載の積層体。
8.上記1〜7のいずれかに記載の積層体の製造方法であって、前記基材フィルム上に押し出した前記接着性樹脂組成物層を介して前記ポリアミド系樹脂フィルムを貼り合わせること、及び前記ポリアミド系樹脂フィルム上に押し出した前記接着性樹脂組成物層を介して前記ポリエステル系樹脂フィルムを貼り合わせる製造方法。
9.上記1〜7のいずれかに記載の積層体を用いた包装用積層材であって、前記積層体のポリアミド系樹脂フィルムからなる面上、または蒸着膜上、またはガスバリア性塗布膜上にヒートシール性樹脂層を設けた包装用積層材。
10.前記ヒートシール性樹脂層が、ポリオレフィン系樹脂である上記9に記載の包装用積層材。
11.上記9または10に記載の包装用積層材を用いた包装袋であって、一方の包装用積層材のヒートシール性樹脂層側と、他方の包装用積層材のヒートシール性樹脂層側とが対向するように重ね合わせ、その端部をヒートシールした包装袋。
12.上記1〜7のいずれかに記載の積層体の層間の接着に用いるアルケン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸の三元共重合体を含む接着性樹脂組成物からなる接着剤であって、該接着性樹脂組成物における不飽和カルボン酸成分量が1.0〜12.0質量%であり、(メタ)アクリル酸エステル成分量が2.0〜25.0質量%である接着剤。
本発明の積層体は、その接着層として、本発明で規定するアルケン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸(不飽和ジカルボン酸)からなる三元共重合体を含む接着性樹脂組成物層を用いることにより、残留溶媒の懸念と、経時劣化によるラミネート強度が低下するという問題がなく、また、アンカーコート剤を必要としない積層は、希釈溶剤による残留溶媒や、押し出しする樹脂とその膜厚に制限がない積層体を得ることができる。
すなわち、本発明はポリエステル系樹脂フィルムのような基材フィルムと、ポリアミド系樹脂フィルムとの接着層に特定のアルケン−アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸共重合体を用いることで、従来の接着性樹脂では発揮し得ない優れた強度を有する包材を作製できるものであり、本発明は、高いガスバリア性と優れた柔軟性とを有し、製袋加工、成型加工、充填、殺菌処理等の工程後においても、高い接着性やガスバリア性を維持する積層体に関する発明である。
そして、レトルト処理後においても優れた強度を保持しており、レトルト包材としても利用できるという利点を有している。
図1は、本発明の積層体の層構成の一例を示した模式断面図である。 図2は、本発明の積層体の層構成の他の例を示した模式断面図である。
本発明の積層体について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1および図2は、本発明の積層体の層構成の一例を示す概略的断面図である。
本発明の積層体は、図1に示すように、基材フィルム1と、ポリアミド系樹脂フィルム3と、ポリエステル系樹脂フィルム5とを、この順に、本発明の三元共重合体接着性樹脂層2、4を介してラミネートしてなる構成を基本構造とするものである。
本発明の積層体の他の態様としては、 図2に示すように、ポリエステル系樹脂フィルム5からなる面上に無機酸化物の蒸着膜6を設け、場合によりさらに、該無機酸化物の蒸着膜6上にガスバリア性塗布膜7を設けた構成を基本構造とするものである。
次に、本発明の積層体を構成する材料、その製造方法等について説明する。また、本発明において使用される樹脂名は、業界において慣用されるものを用いることとする。
A.基材フィルム
本発明の積層体を構成する基材フィルムとしては、化学的ないし物理的強度に優れ、無機酸化物の蒸着膜を形成する条件等に耐え、それら無機酸化物の蒸着膜等の特性を損なうことなく良好に保持し得ることができるフィルムないしシートを使用する。
このようなフィルムやシートとしては、具体的には、紙、セロファン、ポリエチレン系樹脂あるいはポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、例えば、低密度ポリエチ
レン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、延伸ポリプロピレン、Kコート延伸ポリプロピレン、環状ポリオレフィン系樹脂、Kコート延伸ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、メチルペンテン樹脂、ポリブテン樹脂、酸変性ポリオレフィン系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、低結晶性の飽和ポリエステルまたは非晶性のポリエステル樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、エチレンテトラフルオロエチレン樹脂、ポリエチレンテトラフルオロエチレン樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等を用いることができる。
本発明においては、上記の樹脂の中でも、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、または、ポリアミド系樹脂のフィルムないしシートを使用することが好ましく、特に、延伸ポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。
なお、この延伸ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂のフィルムないしシートは、本発明において、他の層におけるポリエステル系樹脂フィルムとしても使用できる。
樹脂フィルムないしシートは、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の製膜化法を用いて、上記の各種の樹脂を単独で製膜化する方法、あるいは、2種以上の各種の樹脂を使用して多層共押し出し製膜化する方法、さらには、2種以上の樹脂を使用し、製膜化する前に混合して製膜化する方法等により製造する。
さらに、必要に応じて、テンター方式、あるいは、チューブラー方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸した各種の樹脂フィルムないしシートとして使用することができる。
本発明において、基材フィルムの厚さは、成形性や透明性の観点から、好ましくは0.1〜300μmであり、より好ましくは1〜100μmの範囲である。基材は接着層側にコロナ処理、オゾン処理、フレーム処理などの濡れ性を向上させる処理をすることが好ましい。
なお、上記の各種の樹脂1種ないしそれ以上を使用し、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等を使用することができ、さらには、改質用樹脂等も使用することができる。
B.三元共重合体を含む接着性樹脂組成物層
本発明の三元共重合体を含む接着性樹脂組成物層、すなわち三元共重合体接着性樹脂層は、基材フィルムとポリアミド系樹脂フィルムとの接着、ポリエステルフィルムとポリアミド系樹脂フィルムとの接着、ポリアミド系樹脂フィルムまたは蒸着膜またはガスバリア性塗布膜とヒートシール層との接着等に用いることができる。
本発明の三元共重合体接着性樹脂層に用いる接着性樹脂は、本発明で規定するアルケン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸の三元共重合体樹脂であることが好ましい。
アルケンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブテンが挙げられ、エチレンが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチルが挙げられ、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチルが好ましい。
不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、無水マレイン酸が挙げられる。本発明の接着層はアルケン、(メタ)アクリル酸エステル、不飽和カルボン酸がオートクレーブ法によりランダム共重合されているものである。
特に、エチレン−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸の三元共重合体樹脂であることが好ましい。これら成分の配合比は、三元共重合体の全質量に対して、(メタ)アクリル酸エステル由来成分(残基)が2.0〜25.0質量%であることが好ましく、より好ましくは6〜20質量%である。
また、不飽和カルボン酸由来成分(残基)が1.0〜12.0質量%、より好ましくは2〜12質量%含まれているものであり、残りが全てアルケン由来成分(残基)となっているものである。
本発明の三元共重合体接着性樹脂層に用いる接着性樹脂の不飽和カルボン酸成分量が上記範囲より少ないと、押出ラミネート樹脂の極性低下により、ポリエステルフィルムとアルミ蒸着層等の他の極性基材との接着層として使用する際に接着性が劣り好ましくない。
また不飽和カルボン酸含量が上記範囲を越えると、樹脂の耐熱性が低下し、押出ラミネート加工時に脱水架橋反応に基づく未溶融物の発生や水分による発泡が顕著になるため好ましくない。
また(メタ)アクリル酸エステル成分量が上記範囲より少ないと、押出ラミネート樹脂とポリエステルフィルムの親和性が低下し、ポリエステルとの接着性が低下するので好ましくない。また(メタ)アクリル酸エステル成分量が上記範囲を越えると、押出ラミネート加工時のべたつき増加による加工適性低下のため好ましくない。
本発明の三元共重合体のMFRは、190℃において3〜100g/10分であることが好ましく、より好ましくは5〜20g/10分である。
MFRが上記範囲より大きいと樹脂が液状となり、容易にラミネートしづらくなる問題がある。また、範囲より小さい場合は、接着性樹脂が容易に押し出せなくなる問題が起きる。
また、三元共重合体接着性樹脂層の厚みは、0.1〜200μmであることが好ましく、より好ましくは1〜100μmである。
上記、範囲より小さい膜厚では容易に押し出すことが困難であり、かつ接着力が発揮しない。範囲より大きい膜厚である場合は、接着強度などの問題は解決されるが過剰に樹脂を使用することによる包材コストの上昇をまねく。
本発明の三元共重合体接着性樹脂層の接着機構としては、接着性樹脂の柔軟性で接着する機構、樹脂との相溶化で接着する機構、相手基材表面と不飽和カルボン酸との化学的相互作用で接着する機構、相手基材表面に対する不飽和カルボン酸とアクリレートの化学的相互作用により接着する機構、及び、高温で押出しすることによるラジカル発生により接着する機構がある。
本発明の三元共重合体接着性樹脂層は、必ずしも1つの接着機構で接着しているわけではなく、上記反応を少なくとも2つ以上利用して接着をしている。
代表例として、紙などに対しては、主に三元共重合体接着性樹脂層の柔軟性が寄与して接着をしている。ポリエチレン、エチレンコポリマーなどの樹脂に対しては、主にアルケン部分の相溶性で接着している。アルミ箔、金属蒸着フィルム、プライマーに対しては、不飽和カルボン酸と相手基材との極性基との反応で接着している。
延伸ポリプロピレン、延伸ポリエチレンテレフタレート、無延伸ポリプロピレン、無延伸ポリエチレンテレフタレートに対しては、アクリレートと不飽和カルボン酸の化学的相互作用により結合している。蒸着フィルムに対しては樹脂のラジカル発生とアクリレートと不飽和カルボン酸の基材表面に対する化学的相互作用を利用して接着している。
本発明において用いられる三元共重合体を含む接着性樹脂組成物は、アルケン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸の三元共重合体のみからなるものであってよい。
また別の態様において、三元共重合体を含む接着性樹脂組成物は、上記三元共重合体に加えてさらに、不飽和カルボン酸由来成分の割合が規定の濃度となる範囲で、具体的には0〜90質量%の範囲で、好ましくは60質量%までの範囲で、アルケン−(メタ)アクリル酸エステルまたはアルケン−不飽和カルボン酸の二元共重合体を含むことができる。二元共重合体を添加することにより、比較的高価な三元共重合体樹脂を削減することができ、かつコモノマーを添加することにより、加工性を向上させることができる。
さらに別の態様において、三元共重合体を含む接着性樹脂組成物は、上記三元共重合体、または、上記三元共重合体と二元共重合体との混合物に加えてさらに、不飽和カルボン酸由来成分の割合が規定の濃度となる範囲で、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の改質用樹脂等を含むことができる。
なお、上記三元共重合体樹脂1種ないしそれ以上を使用し、例えば加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等を使用することができ、さらには、ポリオレフィン系樹脂等の改質用樹脂等も使用することができる。
C.ラミネート接着剤層
積層体を構成し、三元共重合体接着性樹脂層以外の箇所の接着に用いる、ラミネート用接着剤層について説明する。
ラミネート用接着剤層を構成する接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、2−エチルヘキシルエステル等のホモポリマー、あるいは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジェンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤等の接着剤を使用することができる。
上記の接着剤は、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの組成物形態で
もよく、また、その性状は、フィルム・シート状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、さらに接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよいものである。
本発明においては、印刷層を含む全面に、上記の接着剤を、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法等のコート法、あるいは、印刷法等により施し、次いで、溶剤等を乾燥させてラミネート用接着剤層を形成すことができ、そのコーティングないし塗工量としては、0.1〜10g/m2(乾燥状態)が好ましい。
D.ポリアミド系樹脂フィルム
本発明のポリアミド系フィルムは、本発明の積層体に耐屈曲性、耐衝撃性等の機能を付与するものである。特に耐屈曲性が付与されることで、屈曲後のガスバリア性の低下を抑制することができる。該ポリアミド系樹脂フィルムは、脂肪族ポリアミド、及び/又は、芳香族ポリアミドを含有する。
脂肪族ポリアミドとしては、脂肪族ナイロン及びその共重合体が挙げられる。具体的には、ポリカプラミド(ナイロン−6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイロン−7)、ポリ−ω−アミノノナン酸(ナイロン−9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン−11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン−12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン−2,6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン−4,6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン−6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン−6,10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン−6,12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン−8,6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン−10,8)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン−6/12)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸共重合体(ナイロン−6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−6/6,6)、ラウリルラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−12/6,6)、エチレンジアミンアジパミド/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−2,6/6,6)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン−6/6,6/6,10)、エチレンアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン−6/6,6/6,10)等を例示でき、これらのうち、2種以上の脂肪族ポリアミドを混合しても良い。
好ましい脂肪族ポリアミドとしては、ナイロン−6、ナイロン-6,6、ナイロン−6/6,6(ナイロン−6とナイロン−6,6との共重合体)が挙げられ、より好ましくはナイロン−6、ナイロン−6/6,6であり、さらに好ましくはナイロン−6である。2種以上の脂肪族ポリアミドとしてはナイロン−6とナイロン−6/6,6の組み合わせ(質量比で50:50〜95:5程度)が好ましい。
芳香族ポリアミドとしては、例えば、メタキシレンジアミン、パラキシレンジアミン等の芳香族ジアミンと、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸又はその誘導体との重縮合反応で得られる結晶性芳香族ポリアミドが挙げられる。好ましくは、ポリメタキシレンアジパミド(MXD−ナイロン)等の結晶性芳香族ポリアミドである。具体例としては、S−6007、S−6011(いずれも三菱ガス化学(株)製)が例示される。
或いは、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミンとテレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸又はその誘導体との重縮合反応で得られる非晶性芳香族ポリアミド(アモルファスナイロン)が挙げられる。好ましくはヘキサメチレンジアミン−テレフタル酸−ヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸の共重合体等である。具体例としては、シーラーPA(三井・デュポンポリケミカル(株)製)等が例示される。
本発明のポリアミド系樹脂フィルムとして、脂肪族ポリアミドと芳香族ポリアミドの好ましい組み合わせは、ナイロン−6とMXD−ナイロンの組み合わせ、ナイロン−6と非晶性芳香族ポリアミド(アモルファスナイロン)の組み合わせが挙げられる。
特に好ましいポリアミド系樹脂としては、メタキシレンジアジパミド(MXD−6)系ナイロン、ナイロン−6、ナイロン−6,6が挙げられる。また、バリア層が中間層であっても良い。
本発明のポリアミド系樹脂フィルムは、上記ポリアミド系樹脂からなるものであってもよいが、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、公知の耐屈曲性改良剤、無機又は有機添加剤等を配合することができる。耐屈曲性改良剤としては、ポリオレフィン類、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー等が挙げられ、0.5〜10質量%程度の範囲で適宜配合することができる。無機又は有機添加剤としては、アンチブロッキング剤、核剤、撥水剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤等が挙げられる。例えば、アンチブロッキング剤であれば、シリカ、タルク、カオリン等を100〜5000ppm程度の範囲で適宜配合することができる。なお、ポリアミド系樹脂層を1層のみではなく、2層以上設けることも可能である。
上記のポリアミド系樹脂フィルムは、例えば50〜100℃のロール延伸機により2〜4倍に縦延伸し、更に90〜150℃の雰囲気のテンター延伸機により3〜5倍に横延伸せしめ、引き続いて同テンターにより100〜240℃雰囲気中で熱処理して得ることができる。本発明の延伸フィルムは、同時二軸延伸、逐次二軸延伸をしても良く、得られた多層延伸フィルムは、必要ならばその両表面又は片表面に任意の表面処理層を設けてもよい。
本発明においては、上記の樹脂のフィルムないしシートを使用し、これを、例えば、前述のラミネート用接着剤等を使用してドライラミネート法等を用いて、ラミネート用接着剤層とヒートシール性樹脂層との間に狭持することができる。
上記の樹脂のフィルムないしシートとしては、未延伸フィルム、あるいは1軸方向または2軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。また、本発明において、その樹脂のフィルムないしシートの厚さとしては、強度、耐突き刺し性等について、必要最低限に保持され得る厚さであればよく、厚すぎると、コストを上昇するという欠点もあり、逆に、薄すぎると、強度、耐突き刺し性等が抵下して好ましくないものである。
本発明においては、上記のような理由から、1〜100μm、好ましくは、5〜50μmが好ましい。
また、本発明の積層体を包装用袋として用いる場合は、物理的にも化学的にも過酷な条件におかれることから、包装用袋を構成する積層材には、厳しい包装適性が要求され、変形防止強度、落下衝撃強度、耐ピンホール性、耐熱性、密封性、品質保全性、作業性、衛生性等の種々の条件が要求される。
このために、本発明においては、上記のような材料の他に、上記のような諸条件を充足するその他の材料を任意に使用することができる。
具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリア
ミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジェン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロース等の公知の樹脂のフィルムないしシートを任意に選択して使用することができる。その他、例えば、合成紙等も使用することができる。また、本発明においては、フィルムないしシートとしては、押出成膜、インフレーション成膜、コーティング膜等のいずれの形態の膜でもよい。
E.バリア層(蒸着層)
本発明においては適宜バリア層を設けることができる。
バリア層を設ける場合は主に、基材層より内面側に設けるか、もしくは中間層を設けている場合は中間層より内面側に設けても良い。
バリア層は、バリア性樹脂、無機物または無機酸化物からなるものであり、無機物もしくは無機酸化物の蒸着膜、または金属箔などがある。
具体的には、以下に示す蒸着膜、アルミ箔、アルミ蒸着ポリエステルフィルム、アルミ蒸着ポリプロピレンフィルム、シリカ蒸着ポリエステルフィルム、シリカ蒸着ポリアミドフィルム、アルミナ蒸着ポリエステルフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、MXD6等が挙げられる。アルミ箔、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム以外はバリア層兼基材層として利用できる。
バリア層を有することで、酸素ガスおよび水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性を向上させることができる。また、必要に応じて、可視光および紫外線等の透過を阻止する遮光性を付与することもできる。なお、バリア層を2層以上有してもよい。バリア層を2層以上有する場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
通常、バリア層の厚さは、ガスバリア性や透明性の観点から、好ましくは0.01〜500μmであり、より好ましくは1〜300μmの範囲である。
バリア層は基材層側、ヒートシール層側の両面にコロナ処理、オゾン処理、フレーム処理などの濡れ性を上げる処理を行っても良い。
無機物または無機酸化物の金属箔としては、従来公知の金属箔を用いることができる。酸素ガスおよび水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性や、可視光および紫外線等の透過を阻止する遮光性の点からは、アルミニウム箔等が好ましい。
蒸着膜は、無機物または無機酸化物を用いて、従来公知の方法により形成することができ、その組成および形成方法は特に限定されない。蒸着膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、およびイオンプレ−ティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、および光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。
蒸着膜としては、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の無機物または無機酸化物の蒸着膜を使用することができる。特に、包装材に適するものとしては、アルミニウム金属の蒸着膜またはケイ素酸化物もしくはアルミニウム酸化物の蒸着膜を用いるのがよい。
無機酸化物の表記は、例えば、SiOX、AlOX等のようにMOX(ただし、式中、Mは、無機元素を表し、Xの値は、無機元素によってそれぞれ範囲が異なる)で表される。Xの値の範囲としては、ケイ素(Si)は、0〜2、アルミニウム(Al)は、0〜1.
5、マグネシウム(Mg)は、0〜1、カルシウム(Ca)は、0〜1、カリウム(K)は、0〜0.5、スズ(Sn)は、0〜2、ナトリウム(Na)は、0〜0.5、ホウ素(B)は、0〜1、5、チタン(Ti)は、0〜2、鉛(Pb)は、0〜1、ジルコニウム(Zr)は0〜2、イットリウム(Y)は、0〜1.5の範囲の値をとることができる。上記において、X=0の場合、完全な無機単体(純物質)であり、透明ではなく、また、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。包装材には、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)が好適に使用され、ケイ素(Si)は、1.0〜2.0、アルミニウム(Al)は、0.5〜1.5の範囲の値のものを使用することができる。
本発明において、上記のような無機物または無機酸化物の蒸着膜の膜厚は、使用する無機物または無機酸化物の種類等によって異なるが、例えば10〜2000Å位であり、好ましくは10〜1000Å位の範囲内で任意に選択して形成することが望ましい。具体的に説明すると、アルミニウムの蒸着膜の場合には、膜厚は、好ましくは10〜600Å位であり、より好ましくは10〜400Å位である。また、ケイ素酸化物またはアルミニウム酸化物の蒸着膜の場合には、膜厚は、好ましくは10〜500Å位であり、より好ましくは10〜300Åである。
以下、酸化珪素の蒸着膜についてさらに説明する。酸化珪素の蒸着膜(薄膜)は、一般式:SiOx(式中、xは、0〜2の数を表す)で表され、xの値は1.3〜1.9が好ましい。また、酸化珪素薄膜は、酸化珪素を主体とし、さらに、炭素、水素、珪素または酸素の1種類、または2種類以上の元素からなる化合物の少なくとも1種類を化学結合等により含有してもよい。例えば、C−H結合を有する化合物、Si−H結合を有する化合物、または、炭素単位がグラファイト状、ダイヤモンド状、フラーレン状等になっている場合、更に、原料の有機珪素化合物やそれらの誘導体を化学結合等によって含有する場合があるものである。例えば、CH3部位を持つハイドロカーボン、SiH3シリル、SiH2シリレン等のハイドロシリカ、SiH2OHシラノール等の水酸基誘導体等を挙げることができる。上記の化合物が酸化珪素の蒸着膜中に含有する含有量としては、0.1〜50質量%、好ましくは5〜20質量%である。また、酸化珪素薄膜が上記化合物を含有する場合、化合物の含有量が酸化珪素の蒸着膜の表面から深さ方向に向かって減少していることが好ましい。これにより、酸化珪素の蒸着膜の表面では上記化合物等により耐衝撃性等が高められ、他方、基材層との界面では、上記化合物の含有量が少ないために基材層と酸化珪素の蒸着膜との密接着性が強固なものとなる。
化学気相成長法による蒸着膜の形成
化学気相成長法として、具体的には、例えば、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)を用いて無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
さらに具体的には上記の樹脂のフィルムないしシートの一方の面に、有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガスを原料とし、キヤリヤーガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用し、さらに酸素を供給ガスとして使用し、かつ低温プラズマ発生装置等を利用する低温プラズマ化学気相成長法を用いて酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
上記において、低温プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することができるが、本発明においては、高活性の安定したプラズマを得るために、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが望ましい。
物理気相成長法による蒸着膜の形成
本発明において、無機酸化物の蒸着膜としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンクラスタービーム法等の物理気相成長法(Physical
Vapor Deposition法、PVD法)を用いて形成することができる。
具体的には、金属の酸化物を原料とし、これを加熱して樹脂のフィルムないしシートの上に蒸着する真空蒸着法、または、原料として金属または金属の酸化物を使用し、酸素を導入して酸化させて樹脂のフィルムないしシートの上に蒸着する酸化反応蒸着法、さらに、酸化反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて無機酸化物の非結晶の薄膜を形成することができる。
上記において、蒸着材料の加熱方式としては、例えば、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、エレクトロンビーム加熱方式(EB)等にて行うことができる。
上記の無機酸化物の蒸着膜としては、金属の酸化物の蒸着膜が挙げられ、具体的には、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の金属の酸化物の蒸着膜を使用することができる。好ましいものとしては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属が挙げられる。
上記のように化学気相成長法、または物理気相成長法により基材に無機酸化物の蒸着膜を形成した後、さらに前記蒸着膜をグロー放電処理、プラズマ処理、またはマイクロウェーブ処理してもよい。これにより蒸着膜と以下のガスバリア性塗布膜との密着性がさらに向上する。
F.ガスバリア性塗布膜
本発明においては、蒸着膜上に、ガスバリア性を高めるために、バリア性塗布膜をさらに設けることが好ましい。
本発明においてはガスバリア性の保護層として、ガスバリア性の各種被膜が制限なく使用できるが、水溶性高分子とアルコキシド、その加水分解物または塩化錫を含む溶液でコーティングした被膜が好ましい。
ガスバリア性塗布膜は、少なくとも水酸基を有する水溶性高分子とアルコキシドとを含む溶液でコーティングすることにより形成できる。少なくとも水酸基を有する水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、又はエチレン−ビニルアルコール共重合体などが挙げられ、特に、エチレン−ビニルアルコール共重合体やポリビニルアルコールが好ましい。
これら樹脂は市販のものを使用してもよく、例えばエチレン−ビニルアルコール共重合体として、株式会社クラレ製、エバールEP−F101(エチレン含量;32モル%)、日本合成化学工業株式会社製、ソアノールD2908(エチレン含量;29モル%)等を使用することができる。また、ポリビニルアルコールとして、株式会社クラレ製のRSポリマーであるRS−110(ケン化度=99%、重合度=1,000)、同社製のクラレポバールLM−20SO(ケン化度=40%、重合度=2,000)、日本合成化学工業株式会社製のゴーセノールNM−14(ケン化度=99%、重合度=1,400)等を使用することができる。
アルコキシドとしては、一般式:
1nM(OR2m
(式中、Mは珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウムその他の金属原子を表し、R1およびR2は、それぞれ独立して炭素数1〜8の有機基を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表すが、n+mはMの原子価を表す)で表されるものが好適に使用できる。
上記式において、R1で表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基
、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、その他等のアルキル基を挙げることができる。アルコキシドの具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン:Si(OCH34、テトラエトキシシラン:Si(OC254、テトラプロポキシシラン:Si(OC374 、テトラブトキシシラン:Si(OC494等を使用することができる。
上記した水溶性高分子とアルコキシドとを混合し、さらに所望によりゾル−ゲル法触媒、水、および、有機溶剤を添加した溶液を、酸化アルミニウムまたは酸化珪素からなる薄膜の表面に塗布し、重縮合することにより、ガスバリア性塗布膜を形成することができる。また、本発明においては、酸化アルミニウムまたは酸化珪素からなる薄膜の上に、上記の塗布膜を2層以上重層した複合ポリマー層を形成することもできる。
また、本発明においては、上記のガスバリア性塗布膜形成用塗布液に、シランカップリング剤を添加することができ、これにより得られるガスバリア性塗布膜は特に好ましいものである。
上記のシランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシドを用いることができるが、特に、エポキシ基を有するオルガノアルコキシドが好適であり、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、あるいは、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を使用することができる。上記のようなシランカップリング剤は、1種ないし2種以上を混合して用いてもよい。本発明において、上記のようなシランカップリング剤の使用量は、上記のアルコキシド100質量部に対して1〜20質量部程度の範囲内で使用することができる。
ガスバリア性塗布膜形成用塗布液の塗布方法としては、通常用いられる、グラビアロールコーターなどのロールコート、スプレーコート、スピンコート、ディッピング、刷毛、バーコード、アプリケータ等の従来公知の手段が用いられる。塗布膜の厚さは塗布液の種類によって異なるが、乾燥後の厚さは、好ましくは0.01〜100μmの範囲であり、より好ましくは0.01〜50μmである。乾燥後の厚さが100μm以下であれば、クラックの発生を抑制することができる。
塗布液と重縮合させる際のゾル−ゲル法触媒としては、水に実質的に不溶であり、かつ有機溶媒に可溶な第三アミンが用いられる。具体的には、例えば、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン等を使用することができる。特に、N,N−ジメチルべンジルアミンが好適であり、アルコキシド、およびシランカップリング剤の合計量100質量部当り、例えば0.01〜1.0質量部、特に約0.03質量部程度を使用することが好ましい。
また、ゾル−ゲル法の触媒として、酸を使用することもでき、例えば、硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸、ならびに、酢酸、酒石酸な等の有機酸、その他を使用することができる。酸の使用量は、アルコキシドおよびシランカップリング剤のアルコキシド分(例えばシリケート部分)の総モル量に対して、好ましくは0.001〜0.05モルであり、より好ましくは0.01〜0.03モルである。
塗布液に含まれる水は、溶液アルコキシドの合計モル量1モルに対して、好ましくは0.1〜100モル、より好ましくは0.8〜2モルの割合で添加される。また、ガスバリア性塗布膜形成用塗布液に含まれるポリビニルアルコールやエチレン−ビニルアルコール共重合体は、上記のアルコキシドやシランカップリング剤などを含む塗布液中で溶解した状態であることが好ましく、そのために有機溶媒を適宜選択して添加してもよい。例えば、有機溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール等を用いることができる。
本発明のガスバリア性積層フィルムにおいて、ガスバリア性塗布膜の形成方法の具体例について以下に説明する。
まず、アルコキシド、シランカップリング剤、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体、ゾル−ゲル法触媒、水、有機溶媒、および、必要に応じて、金属アルコキシド等を混合してガスバリア性塗工液を調製する。ガスバリア性塗工液中では次第に重縮合反応が進行する。
次いで、基材の一方の面に設けた無機酸化物の蒸着膜の上に、常法により、上記のガスバリア性塗工液を通常の方法で塗布し、乾燥する。乾燥により、上記アルコキシド、金属アルコキシド、シランカップリング剤およびビニルアルコールポリマーの重縮合がさらに進行し、複合ポリマーの層が形成される。好ましくは上記の操作を繰り返して、複数の複合ポリマー層を積層する。
最後に、上記塗工液を塗布したフィルムを20〜250℃、好ましくは50〜220℃の温度で、1秒〜10分間、好ましくは30〜90秒間加熱する。
本発明においては、ビニルアルコールポリマーの代わりに、エチレン−ビニルアルコールコポリマーまたはエチレン−ビニルアルコールコポリマーとポリビニルアルコールとの両者を用いた組成物を使用してもよい。エチレン−ビニルアルコールコポリマーとポリビニルアルコールとの両者を用いた積層フィルムは、ボイル処理、レトルト処理などの熱水処理後のガスバリア性がさらに向上する。
ガスバリア性塗布膜を形成する他の態様として、熱水処理後のガスバリア性を向上させるため、以下のような積層フィルムを形成することが好ましい。
すなわち、予め基材フィルムの少なくとも片面に、ポリビニルアルコールを含有する組成物を塗工して第1の複合ポリマー層を形成し、次いで、その塗工面上に上記エチレン・ビニルアルコールコポリマーを含有する組成物を塗工して第2の複合ポリマー層をさらに形成する。そのことにより、得られる積層フィルムのガスバリア性が向上する。
さらに、本発明においては、ガスバリア性塗布膜を、基材フィルム上に複数層形成してもよい。ガスバリア性塗布膜を複数層設けることにより、一層ガスバリア性の向上を図ることができる。
ガスバリア性塗布膜形成用組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアコーターなどのロールコート、スプレーコート、スピンコート、ディッピング、刷毛、バーコード、アプリケータなどの塗装手段により、1回あるいは複数回の塗装で、乾焼膜厚が0.01〜30μm、好ましくは、0.1〜10μmの本発明のガスバリア性塗布膜を形成することができる。
また、必要ならば、本発明のガスバリア性組成物を塗布する際に、予め、無機酸化物の蒸着膜の上に、プライマー剤等を塗布することもできる。
また、本発明の態様においては、基材上に蒸着層とガスバリア性塗布膜を設けた後、さらに蒸着層を設け、その蒸着層上にガスバリア性塗布膜を上記と同様にして形成してもよい。このように積層数を増やすことにより、より一層ガスバリア性に優れる積層フィルムを実現できる。
本発明のガスバリア性積層フィルムは、優れたガスバリア性と柔軟性とを有するので、包装材料として有用であり、特に食品包装用フィルムとして好適に使用される。
さらに、本発明のガスバリア性積層フィルムは、熱水処理、特に高圧熱水処理(レトルト処理)後のガスバリア性にも優れている。
G.表面処理層
本発明においては、中間層、基材等に、隣接する層との密接着性等を改善するための表面処理層を形成することができる。
表面処理層としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理等の前処理を任意に施し、例えば、コロナ放電処理層、オゾン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層等を形成して設けることができる。
表面前処理は、各種の樹脂のフィルムないしシートと無機酸化物の蒸着膜との密接着性等を改善するための方法として実施するものであるが、密接着性を改善する方法として、例えば、各種の樹脂のフィルムないしシートの表面に、予め、プライマーコート剤層、アンダーコート剤層、アンカーコート剤層、接着剤層、あるいは、蒸着アンカーコート剤層等を任意に形成して、表面処理層とすることもできる。
上記の前処理のコート剤層としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフイン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロース系樹脂等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用することができる。特に上記プライマーコート剤として、ポリエステル、アクリル、ウレタン樹脂、およびイソシアネート硬化剤からなる塗工剤を使用することが好ましい。
H.ヒートシール層
本発明のヒートシール層は、熱によって溶融し相互に融着し得るものであればよく、必要とされる物性により、変更することができる。
例えば低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸その他等の不飽和カルボン酸で変性したポリオレフィン系樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸の三元共重合体樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、環状オレフィンコポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアクリロニトリル(PAN)、その他等の樹脂の1種ないしそれ以上からなる樹脂のフィルムないしシートあるいはその他塗布膜等を使用することができる。ヒートシール層の基材層側はコロナ処理、フレーム処理、オゾン処理等で濡れ性を上げていることが好ましい。
また、ヒートシール層の厚みは特に限定されないが、好ましくは5〜500μm、より好ましくは10〜250μmである。
フィルムの厚みが範囲より小さい場合は、ヒートシールしても充分なラミネート強度が得られず、包装容器として機能しなく、フィルムが上記範囲より大きい場合は、フィルムのコストが高くなるとともに、フィルムが硬くなり作業性が悪くなる。
I.積層フィルムの製造
本発明における積層フィルムは、押出ラミネート機を用いて製造することができる。基材層として二軸延伸ポリエチレンテレフタレートと、接着層としてエチレーアクリル酸メチル−アクリル酸の三元共重合体樹脂を用いた基本的な例を以下に示す。
2軸延伸ポリエチレンテレフタレート上にTダイから薄膜上に溶融押出ししたエチレン−アクリル酸メチル−アクリル酸を垂らし、ラミネート部でラミネートすることにより得ることができる。
2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのラミネート面は、接着性樹脂との十分なラミネート強度を維持するために、表面濡れ張力が45dyne/cm以上としていることが好ましい。上記の表面濡れ張力とするため、コロナ処理、フレーム処理などすることで出来る。
押出ラミネート加工時の押し出し温度は、280〜330℃、より好ましくは290〜320℃の範囲である。樹脂温度が280℃以下であると、ラジカルの発生が起きづらく基材との十分なラミネート強度が発揮されない。また、330℃以上であると接着性樹脂
の熱分解が発生してくるために、ラミネート強度がでないため好ましくない。また、基材とラミネートする際はオゾン処理し、基材表面を酸化させることが好ましい。オゾン処理することで、極性基が増え、接着性樹脂との反応性が高まるためである。
上記、フィルムは基材と接着層のラミネート強度が強く、接着層がヒートシール層ともなりうるため、食品、医薬品、化粧品やトイレタリー業界の包装容器として利用することができる。
上記、積層フィルムにさらに層を積層させていくこともできる。基材としては中間層、バリア層、ヒートシール層で挙げられたフィルムと接着することができる。基材を積層していく場合は、上記押出ラミネートと同様に2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上に溶融させた接着性樹脂を押し出すと同時に、さらに積層する基材で接着性樹脂を挟み込むようにして、ラミネートすることで得ることができる。さらに基材を積層していく場合は上記方法と同様にして積層させていけばよい。
J.包装用積層材
本発明の積層体は、ガスバリア性塗布膜層、中間層、印刷層、ラミネート接着剤層、ヒートシール性樹脂層等を適宜設けることにより、包装材用積層材とすることができる。
印刷層としては、通常のインキビヒクルの1種ないし2種以上を主成分とし、これに、必要ならば、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤等の添加剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、さらに、染料・顔料等の着色剤を添加し、溶媒、希釈剤等で充分に混練してインキ組成物を調製し、次いで、該インキ組成物を使用し、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷等の印刷方式を使用し、ガスバリア性積層フィルムのガスバリア性塗布膜上に、文字、図形、記号、模様等からなる所望の印刷模様を印刷して、印刷模様層を形成することができる。
上記において、インキビヒクルとしては、公知のもの、例えば、あまに油、きり油、大豆油、炭化水素油、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂、シエラツク、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルプチラール樹脂、アクリルまたはメタクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴム等の1種ないし2種以上を使用することができる。
K.包装袋
本発明の積層体を用いた包装袋について説明する。包装袋は、本発明の積層体を二つ折にし、そのヒートシール性樹脂層の面を対向させて重ね合わせ、その端部をヒートシールして筒状の包装袋を形成し、次いで底部をシールして内容物を充填し、さらに天部をシールすることにより、包装袋を製造することができる。
その製袋方法としては、上記のような積層材を、折り曲げるかあるいは重ね合わせて、その内層の面を対向させ、さらにその周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等のヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態の装用袋を製造することができる。その他、例えば、自立性包装用袋(スタンデイングパウチ)等も可能である。
上記において、ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
上記の本発明について実施例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]
基材として厚さ2μmのポリエステル系樹脂フィルムを用い、三元共重合体接着性樹脂層として溶融押し出しした厚さ1μmのエチレン・メタクリル酸・アクリル酸イソブチル共重合体(メタクリル酸含量4質量%、アクリル酸イソブチル含量15質量%)を介して、外表面にコロナ処理、内面易接着処理を施した厚さ11μmのポリアミド系樹脂フィルムと押出ラミネートした。
このラミネートフィルムに、三元共重合体接着性樹脂層として溶融押し出しした厚さ1μmのエチレン・メタクリル酸・アクリル酸イソブチル共重合体(メタクリル酸含量4質量%、アクリル酸イソブチル含量15質量%)を介して、厚さ2μmのポリエステル系樹脂フィルムを押出ラミネートした。
さらにこれをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、次いで、下記に示す条件で、上記ポリアミド系樹脂のコロナ処理面に、厚さ200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した。
<蒸着条件>
蒸着面:コロナ処理面
導入ガス:ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム1.0:3.0:3.0(単位:s1m)
真空チャンバー内の真空度;2〜6×10-6mBar
蒸着チャンバー内の真空度:2〜5×10-3mBar
冷却・電極ドラム供給電力:10kW
ライン速度:100m/分
次に、上記で膜厚200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素の蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kw、酸素ガス:アルゴンガス=7.0:2.5(単位:s1m)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-3Torrで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化珪素の蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させたプラズマ処理面を形成した。
次に、上記で製造した積層体の2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向して重ね合せ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成すると共に上方に開口部を有する、幅130mm×高さ170mmの三方シール型の包装袋である、軟包装用袋を製造した。
上記で製造した三方シール型の軟包装用袋内に、その開口部から水を200g充填包装し、しかる後、その開口部をヒートシールして上方シール部を形成して包装半製品を製造し、次いで、その包装半製品をレトルト窯に入れて、121℃、圧力2.1kgf/cm2・G、時間30分間からなるレトルト処理条件でレトルト処理を行い、本発明にかかるレトルト包装食品を製造した。
[実施例2]
実施例1記載の蒸着層に、下記に示す方法で作製したガスバリア性塗布膜をコーティングした。
下記に表に示す組成に従って、組成(a)のエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、イソプロピルアルコール、およびイオン交換水の混合溶媒にて溶解したEVOH溶液に、あらかじめ調製した組成(b)のエチルシリケート40、イソプロピルアルコール、アルミニウムアセチルアセトン、イオン交換水からなる加水分解液を加えて撹拌し、さらに予め調製した組成(c)のポリビニルアルコール、酢酸、イソプロピルアルコー
ルおよびイオン交換水からなる混合液を加えて撹拌し、無色透明のガスバリア性塗布膜形成用組成物を得た。
Figure 2016190389
蒸着フィルムのプラズマ処理面に、上記で調製したガスバリア性塗布膜形成用組成物をグラビアロールコート法によりコーティングして、コーティング後、200℃の乾燥炉中を300m/分の速度で通過することにより、加熱処理を行い、厚さ0.4g/m2(乾燥状態)のガスバリア性塗布膜を形成して、本発明に係るガスバリア性積層フィルムを製造した。
[実施例3]
実施例1の三元共重合体接着性樹脂として、エチレン・メタクリル酸・アクリル酸磯ブチル共重合体(メタクリル酸含量4質量%、アクリル酸磯ブチル含量15質量%)とエチレン・メタクリル酸共重合体(メタクリル酸含量4質量%)を1:1の割合で混合した樹脂を用いた以外は実施例1と同様である。
[実施例4]
実施例2の三元共重合体接着性樹脂を、エチレン・メタクリル酸・アクリル酸磯ブチル共重合体(メタクリル酸含量4質量%、アクリル酸磯ブチル含量15質量%)とエチレン・メタクリル酸共重合体(メタクリル酸含量4質量%)を1:1の割合で混合した樹脂を用いた以外は実施例2と同様である。
[実施例5]
実施例1の三元共重合体接着性樹脂を、エチレン・メタクリル酸・アクリル酸イソブチル共重合体(メタクリル酸含量11質量%、アクリル酸イソブチル含量8質量%)に変更した以外は実施例1と同様である。
[実施例6]
実施例2の三元共重合体接着性樹脂を、エチレン・メタクリル酸・アクリル酸イソブチル共重合体(メタクリル酸含量11質量%、アクリル酸イソブチル含量8質量%)に変更した以外は実施例2と同様である。
[比較例1]
実施例1の基材の接着性樹脂層に用いる接着層として、変性ポリエステル系エラストマー(プリマロイ(R)AP、三菱化学)を用いた基材を作製し、製袋し、レトルトした。
[比較例2]
実施例1の基材の接着性樹脂層に用いる接着層として、変性ポリエチレン(三井化学(株)アドマーSF730)を用いた基材を作製し、製袋し、レトルトした。
[比較例3]
実施例2の基材の接着性樹脂層に用いる接着層として、変性ポリエステル系エラストマー(プリマロイ(R)AP、三菱化学)を用いた基材を作製し、製袋し、レトルトした。
[比較例4]
実施例2の基材の接着性樹脂層に用いる接着層として、変性ポリエチレン(三井化学(株)アドマーSF730)を用いた基材を作製し、製袋し、レトルト処理した。
[層間接着強度試験]
上記、実施例1〜6と比較例1〜4の積層体について、初期とレトルト処理後の層間強度をテンシロンにて測定した。
実施例1〜6と比較例1〜4の積層体について、幅15mmの短冊状に切り出し、テンシロン引張試験機((株)オリエンテック製 RTC−1310A)を用いてポリエステル系樹脂層とポリアミド系樹脂層の接着部を引き剥がし、層間強度を測定した。
25℃雰囲気下、引張速度を50mm/分として180度方向に剥がし、最大荷重を測定した。測定は5回行い、その算術平均を層間強度として結果を表2に示す。
試験の結果、表2に示すとおり、本発明の三元共重合体接着性樹脂層を設けることにより、初期においては、比較例に示した従来の接着層に比べて2倍以上の層間強度を有し、さらに、レトルト処理後においてもほとんど劣化することの無い、優れた層間強度を有することが確認できた。
Figure 2016190389
本発明の積層体は、その接着層として本発明で規定するアルケン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸(不飽和ジカルボン酸)からなる三元共重合体を含む接着性樹脂組成物層を用いることにより、残留溶媒の懸念と、経時劣化によるラミネート強度が低下するという課題がなく、アンカーコート剤による積層は、希釈溶剤による残留溶媒と押出しする樹脂とその膜厚に制限がない積層体を得ることができる。
すなわち、本発明は、従来の接着性樹脂では発揮し得ない優れた強度を有する包材を作製できるものであり、高いガスバリア性と優れた柔軟性とを有することから、製袋加工、成型加工、充填、殺菌処理等の工程後においても、高い接着性やガスバリア性を維持する積層体に関する発明である。
そして、レトルト処理においても優れた強度を保持しており、レトルト包材としても利用できるものである。
1.基材フィルム
2.三元共重合体を含む接着性樹脂組成物層
3.ポリアミド系樹脂フィルム
4.三元共重合体を含む接着性樹脂組成物層
5.ポリエステル系樹脂フィルム
6.蒸着膜
7.ガスバリア性塗布膜

Claims (12)

  1. 少なくとも、基材フィルムと、ポリアミド系樹脂フィルムと、ポリエステル系樹脂フィルムとを、この順に、アルケン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸の三元共重合体を含む接着性樹脂組成物層を介してラミネートしてなる積層体において、該接着性樹脂組成物層における不飽和カルボン酸成分量が1.0〜12.0質量%であり、(メタ)アクリル酸エステル成分量が2.0〜25.0質量%である積層体。
  2. 前記基材フィルムと前記ポリアミド系樹脂フィルム、前記ポリアミド系樹脂フィルムと前記ポリエステル系樹脂フィルムとの間で剥離したときの剥離強度が3N/15mm幅以上であり、かつレトルト処理後(121℃、30分)においても剥離強度が3N/15mm幅以上である請求項1に記載の積層体。
  3. 前記基材フィルムが、ポリエステル系樹脂フィルム、ポリアミド系樹脂フィルム、または、ポリオレフィン系樹脂フィルムである請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記基材フィルムがポリエチレンテレフタレートフィルムである請求項1または2に記載の積層体。
  5. 前記ポリエステル系樹脂フィルム上に、蒸着膜を設けてなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 前記蒸着膜上に、ガスバリア性塗布膜を設けてなる請求項5に記載の積層体。
  7. 前記ガスバリア性塗布膜が、一般式R1 nM(OR2m(式中、Mは金属原子を表し、R1、R2は炭素数1〜8の有機基を表し、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、n+mはMの原子価を表す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシド、ポリビニルアルコール、および/またはエチレン・ビニルアルコールを含んでなる組成物を、ゾル−ゲル法によって重縮合して得るアルコキシドの加水分解物またはアルコキシドの加水分解縮合物である、請求項6に記載の積層体。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層体の製造方法であって、前記基材フィルム上に押し出した前記接着性樹脂組成物層を介して前記ポリアミド系樹脂フィルムを貼り合わせること、及び前記ポリアミド系樹脂フィルム上に押し出した前記接着性樹脂組成物層を介して前記ポリエステル系樹脂フィルムを貼り合わせる製造方法。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層体を用いた包装用積層材であって、前記積層体のポリアミド系樹脂フィルムからなる面上、または蒸着膜上、またはガスバリア性塗布膜上にヒートシール性樹脂層を設けた包装用積層材。
  10. 前記ヒートシール性樹脂層が、ポリオレフィン系樹脂である請求項9に記載の包装用積層材。
  11. 請求項9または10に記載の包装用積層材を用いた包装袋であって、一方の包装用積層材のヒートシール性樹脂層側と、他方の包装用積層材のヒートシール性樹脂層側とが対向するように重ね合わせ、その端部をヒートシールした包装袋。
  12. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層体の層間の接着に用いるアルケン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸の三元共重合体を含む接着性樹脂組成物からなる接着剤であって、該接着性樹脂組成物における不飽和カルボン酸成分量が1.0〜12.0
    質量%であり、(メタ)アクリル酸エステル成分量が2.0〜25.0質量%である接着剤。
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