JP2014067989A - 有機発光素子、発光材料前駆体、発光材料、化合物、および有機発光素子の製造方法 - Google Patents

有機発光素子、発光材料前駆体、発光材料、化合物、および有機発光素子の製造方法 Download PDF

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哲也 中川
Chihaya Adachi
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重和 河合
Takuya Nakajima
琢也 中嶋
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Abstract

【課題】高精細なパターニングを効率良くできるようにする、フォトクロミック化合物を用いた有機発光素子を提供する。
【解決手段】一般式(1)の化合物を含む有機層を形成した後に、光照射することにより有機層中で一般式(11)の化合物に変換する。一般式(11)の化合物は発光材料として機能し、一般式(1)へ戻り難い。
Figure 2014067989

【選択図】なし

Description

本発明は、有機エレクトロルミネセンス素子などの有機発光素子、それに用いる発光材料前駆体、発光材料および化合物に関する。また、本発明は、有機発光素子の製造方法にも関する。
光を照射することにより、吸収スペクトルが異なる分子へ可逆的に変化する化合物が知られており、フォトクロミック化合物と呼ばれている。例えば、無色の分子に特定の波長の光を照射することにより着色分子へ変化し、着色分子に別の波長の光を照射することにより元の無色の分子に戻る性質を備えたフォトクロミック化合物等が知られている。このような性質を有するフォトクロミック化合物は、光スイッチング素子などを始めとする様々な記録・書き込み型素子へ応用する研究がなされている(例えば特許文献1〜4、非特許文献1参照)。
特開2010−64968号公報 WO2010/134524号公報 特開2004−264424号公報 特開平10−152679号公報
J. Mater. Chem., 2011, 21, 17425
一方、フォトクロミック化合物を有機発光素子の発光材料として用いることについては、ほとんど検討がなされていない。フォトクロミック化合物の中には、特定の波長の光を照射することにより蛍光を発するものが知られているが(特許文献1および2参照)、そのような化合物が有機エレクトロルミネセンス素子の発光材料として有用か否かについては知られていない。フォトクロミック化合物を有機エレクトロルミネセンス素子の発光材料として用いるためには、化合物が発光する性質を有していることの他に、良好なアモルファス薄膜形成能と固体状態での光反応性が必要である。このような性質を同時に満足するフォトクロミック化合物の容易ではなく、化学構造からの類推も不可能である。このため、フォトクロミック化合物を用いた従来の有機エレクトロルミネセンス素子は、フォトクロミック化合物を発光材料以外の用途に用いたものが主流であった(例えば特許文献3および4参照)。
本発明者らはこのような技術の現状と課題を考慮して、有機発光素子の発光材料としてフォトクロミック化合物を利用することを目的として鋭意検討を進めた。特に、フォトクロミック化合物を利用して有機発光素子の高精細なパターニングを効率良くできるようにすることを目的として鋭意検討を進めた。
上記の目的を達成するために鋭意検討を進めた結果、本発明者らは、特定の構造を有するフォトクロミック化合物を発光層に用いれば優れた有機発光素子を提供できることを見出した。本発明者らは、この知見に基づいて、上記の課題を解決する手段として、以下の本発明を提供するに至った。
[1] 記録光の照射により情報を記録することができる有機発光素子であって、下記一般式(1)で表される化合物を含む発光層を有することを特徴とする有機発光素子。
Figure 2014067989
[一般式(1)において、Z1は下記のいずれかの構造を表す。ただし、下記の構造における水素原子は置換基で置換されていてもよい。
Figure 2014067989
Pyはピリジル基を表す。Q1およびQ2は、各々独立に−S−または−SO2−を表す。X1およびX2は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基または炭素数1〜4のアシル基を表す。R1およびR2は、各々独立に水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ホルミル基、ニトロ基、アミノ基または炭素数1〜3のアルキルアミノ基を表す。R3およびR4は、各々独立に水素原子、置換もしくは無置換の炭素数6〜24のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜14のアルキル基、置換もしくは無置換のチオフェニル基、置換もしくは無置換のオキサジアゾリル基、置換もしくは無置換のインドリル基、置換もしくは無置換のテトラジノ基、置換もしくは無置換のジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェン−1−イル、置換もしくは無置換のジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェンジオキシド−1−イル、置換もしくは無置換のアルキルまたはアリールカルボニル基、置換もしくは無置換のアルキルまたはアリールカルボニルオキシ基、置換もしくは無置換のアミノ基、またはニトロ基を表す。R1とR3は互いに結合して環状構造を形成していてもよく、また、R2とR4は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。]
[2] 上記一般式(1)で表されることを特徴とする、光照射によって発光材料に変化する発光材料前駆体。
[3] 下記一般式(11)で表される化合物を含むことを特徴とする有機エネルギー変換素子。
Figure 2014067989
[一般式(11)において、Z1は下記のいずれかの構造を表す。ただし、下記の構造における水素原子は置換基で置換されていてもよい。
Figure 2014067989
Pyはピリジル基を表す。Q1およびQ2は、各々独立に−S−または−SO2−を表す。X1およびX2は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基または炭素数1〜4のアシル基を表す。R1およびR2は、各々独立に水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ホルミル基、ニトロ基、アミノ基または炭素数1〜3のアルキルアミノ基を表す。R3およびR4は、各々独立に水素原子、置換もしくは無置換の炭素数6〜24のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜14のアルキル基、置換もしくは無置換のチオフェニル基、置換もしくは無置換のオキサジアゾリル基、置換もしくは無置換のインドリル基、置換もしくは無置換のテトラジノ基、置換もしくは無置換のジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェン−1−イル、置換もしくは無置換のジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェンジオキシド−1−イル、置換もしくは無置換のアルキルまたはアリールカルボニル基、置換もしくは無置換のアルキルまたはアリールカルボニルオキシ基、置換もしくは無置換のアミノ基、またはニトロ基を表す。R1とR3は互いに結合して環状構造を形成していてもよく、また、R2とR4は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。]
[4] 上記一般式(11)で表される化合物を発光材料として含む発光層を有することを特徴とする有機発光素子。
[5] 上記一般式(11)で表されることを特徴とする発光材料。
[6] 有機エレクトロルミネセンス素子用の発光材料であることを特徴とする[5]に記載の発光材料。
[7] 下記一般式(3’)で表されることを特徴とする化合物。
Figure 2014067989
[一般式(3’)において、Z1は下記のいずれかの構造を表す。ただし、下記の構造における水素原子は置換基で置換されていてもよい。
Figure 2014067989
Pyはピリジル基を表す。Q1およびQ2は、各々独立に−S−または−SO2−を表す。X1およびX2は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基または炭素数1〜4のアシル基を表す。Z2およびZ3は、各々独立に6員芳香環構造を表す。環骨格を形成する原子は炭素原子のみからなるか、あるいは炭素原子と窒素原子からなる。R5およびR6は、各々独立に置換基を表す。n5およびn6は、各々独立に0〜4の整数を表す。ただし、Z1がチアゾール環を形成するとき、Z2とZ3がともにベンゼン環を形成することはない。]
[8] 下記一般式(13’)で表されることを特徴とする化合物。
Figure 2014067989
[一般式(13’)において、Z1は下記のいずれかの構造を表す。ただし、下記の構造における水素原子は置換基で置換されていてもよい。
Figure 2014067989
Pyはピリジル基を表す。Q1およびQ2は、各々独立に−S−または−SO2−を表す。X1およびX2は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基または炭素数1〜4のアシル基を表す。Z2およびZ3は、各々独立に6員芳香環構造を表す。環骨格を形成する原子は炭素原子のみからなるか、あるいは炭素原子と窒素原子からなる。R5およびR6は、各々独立に置換基を表す。n5およびn6は、各々独立に0〜4の整数を表す。ただし、Z1がチアゾール環を形成するとき、Z2とZ3がともにベンゼン環を形成することはない。]
[9] 上記一般式(1)で表される化合物を含む発光層を形成し、発光層に記録光を照射することにより前記一般式(1)で表される化合物を発光材料に変化させる工程を含むことを特徴とする有機発光素子の製造方法。
[10] 前記有機発光材料が有機エレクトロルミネセンス素子であることを特徴とする[9]に記載の有機発光素子の製造方法。
[11] 前記発光層の上に電極を形成する前に前記記録光を照射することを特徴とする[9]または[10]に記載の有機発光素子の製造方法。
[12] 前記発光層の上に電極を形成した後に前記記録光を照射することを特徴とする[9]または[10]に記載の有機発光素子の製造方法。
本発明の化合物は、有機発光素子の発光材料として有用である。また、本発明の製造方法を用いれば、高精細なパターンを有する有機発光素子を簡便に効率良く製造することができる。
有機エレクトロルミネッセンス素子の層構成例を示す概略断面図である。 有機発光素子製造工程中にパターニングする方法を説明した図である。 有機発光素子製造後にパターニングする方法を説明した図である。 紫外光照射前後の化合物004の1H NMRスペクトルと吸収スペクトル、および紫外光照射後に得られた閉環体の蛍光スペクトルである。 紫外光照射前後の化合物005の1H NMRスペクトルと吸収スペクトル、および紫外光照射後に得られた閉環体の蛍光スペクトルである。 紫外光照射前後の化合物006の1H NMRスペクトルと吸収スペクトル、および紫外光照射後に得られた閉環体の蛍光スペクトルである。 紫外光照射前後の化合物007の吸収スペクトル、および紫外光照射後に得られた閉環体の蛍光スペクトルである。 実施例1における有機エレクトロルミネッセンス素子の発光スペクトルである。 実施例1における有機エレクトロルミネセンス素子の電流密度−電圧特性と発光−電圧特性を示すグラフである。 実施例2における閉環体溶液の蛍光スペクトルである。 実施例2における化合物1301の閉環体の吸収スペクトルである。 実施例2における化合物1302の閉環体の吸収スペクトルである。 実施例3における化合物1301を用いて製造した有機フォトルミネッセンス素子の発光状態を示す写真である。 実施例3における化合物1302を用いて製造した有機フォトルミネッセンス素子の発光状態を示す写真である。 実施例4における有機エレクトロルミネッセンス素子の発光スペクトルである。 実施例4における有機エレクトロルミネッセンス素子の電流密度−電圧−発光特性を示すグラフである。 実施例5における有機エレクトロルミネッセンス素子の発光状態を示す写真である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[本発明に用いる化合物]
本発明では、光を照射することにより下記の変化を生じる化合物を用いる。
Figure 2014067989
一般式(1)および一般式(11)において、Z1は下記のいずれかの構造を表す。ただし、下記の構造における水素原子は置換基で置換されていてもよい。
Figure 2014067989
上記の構造群において、Pyはピリジル基を表し、1−ピリジル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基のいずれであってもよい。また、ピリジル基はベンゼン環に1〜4個置換していてもよく、1〜3個置換していることが好ましく、1または2個置換していることがより好ましい。
上記の構造群における構造に含まれる水素原子は、置換基で置換されていてもよい。ここで置換されていてもよい置換基としては、フェニル基、ピリジル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルアミノ基、ジフェニルアミノ基、カルバゾリル基、アルコキシ基、ジュロリジル基、フッ化フェニル基、トリフルオロメチル基、オキサジアゾリル基、フェニルオキサジアゾリル基、テトラジノ基、アルコキシフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基を好ましく例示することができるが、置換基はこれらに限定されるものではない。
一般式(1)において、Q1およびQ2は、各々独立に−S−または−SO2−を表す。Q1およびQ2は異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
一般式(1)において、X1およびX2は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基または炭素数1〜4のアシル基を表す。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができ、フッ素原子、塩素原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。炭素数1〜5のアルキル基は、直鎖状、分枝状のいずれであってもよく、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、イソブチル基、n−ブチル基、イソペンチル基、n−ペンチル基を挙げることができ、メチル基またはエチル基が好ましい。炭素数1〜5のアルコキシ基は、直鎖状、分枝状のいずれであってもよく、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−プロポキシ基、イソブチルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基を挙げることができ、メトキシ基またはエトキシ基が好ましい。炭素数1〜4のアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基を挙げることができ、アセチル基、プロピオニル基が好ましい。X1およびX2は同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
一般式(1)において、R1およびR2は、各々独立に水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ホルミル基、ニトロ基、アミノ基または炭素数1〜3のアルキルアミノ基を表す。R3およびR4は、各々独立に水素原子、置換もしくは無置換の炭素数6〜24のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜14のアルキル基、置換もしくは無置換のチオフェニル基、置換もしくは無置換のオキサジアゾリル基、置換もしくは無置換のインドリル基、置換もしくは無置換のテトラジノ基、置換もしくは無置換のジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェン−1−イル、置換もしくは無置換のジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェンジオキシド−1−イル、置換もしくは無置換のアルキルまたはアリールカルボニル基、置換もしくは無置換のアルキルまたはアリールカルボニルオキシ基、置換もしくは無置換のアミノ基、またはニトロ基を表す。R1とR3は互いに結合して環状構造を形成していてもよく、また、R2とR4は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。R1とR2は同一であることが好ましく、R3とR4は同一であることが好ましく、また、R1およびR3が互いに結合して形成する環状構造とR2およびR4が互いに結合して形成する環状構造は同一であることが好ましい。なお、上記のジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェン−1−イル基とジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェンジオキシド−1−イル基は、それぞれ以下の基を表す(右端が結合手を表す)。
Figure 2014067989
1およびR3、または2およびR4が互いに結合して形成する環状構造は、ベンゼン環、チオフェン環、チオフェンジオキシド環のいずれかであることが好ましい。これらのベンゼン環、チオフェン環、チオフェンジオキシド環には、さらに別の環が融合していてもよい。そのような別の環としては、ベンゼン環、チオフェン環、チオフェンジオキシド環を挙げることができ、中でもチオフェン環、チオフェンジオキシド環が好ましい。
3およびR4がとりうるアルキル基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよく、好ましくは炭素数1〜20であり、より好ましくは炭素数1〜6であり、具体例としてメチル基、エチル基、プロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基を挙げることができる。上記のアリール基は、単環でも融合環でもよく、好ましくは炭素数6〜24であり、より好ましくは炭素数6〜10である。具体例としてフェニル基、ナフチル基を挙げることができる。
上記の「置換もしくは無置換の」と記載されている場合の置換基は、電子供与基であっても電子求引基であってもよい。電子供与基の例として、アルキル基(直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよく、好ましくは炭素数1〜20であり、より好ましくは炭素数1〜6であり、具体例としてメチル基、エチル基、プロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基を挙げることができ、メチル基が好ましい)、アルコキシ基(直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよく、好ましくは炭素数1〜20であり、より好ましくは炭素数1〜6であり、具体例としてメトキシ基、ヘキサオキシ基を挙げることができる)、アミノ基または置換アミノ基(好ましくは芳香族基で置換されたアミノ基であり、具体例としてジフェニルアミノ基、アニリル基、トリルアミノ基を挙げることができる)、アリール基(単環でも融合環でもよいし、さらにアリール基で置換されていてもよく、具体例としてフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基を挙げることができる)、複素環構造を含む電子供与基(好ましくは窒素原子または硫黄原子を含む複素環構造を含む電子供与基であり、具体例として、チオフェニル基、ベンゾチオフェニル基、ジュロリジル基、ピロリル基、インドリル基、カルバゾリル基を挙げることができる)。電子求引基の例として、ニトロ基、パーフルオロアルキル基(好ましくは炭素数1〜10であり、より好ましくは炭素数1〜6であり、具体例としてトリフルオロメチル基を挙げることができる)、スルホニル基、複素環構造を含む電子求引基(好ましくは窒素原子または硫黄原子を含む複素環構造を含む電子求引基であり、具体例として、オキサジアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、テトラゾリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、トリアジノ基等を挙げることができる)、フォスフィンオキシド構造を含む基、シアノ基等を挙げることができる。また、置換基としてハロゲン(具体例としてフッ素原子、塩素原子、臭素原子、要素原子を挙げることができる)も挙げることができる。
一般式(1)で表される化合物は、特定の波長の光を照射することにより、一般式(11)で表される化合物となる。ここで照射する光は、通常は紫外光または可視光である。一般式(1)で表される化合物は発光することはないが、一般式(11)で表される化合物は有機発光素子用の発光材料として有用である。例えば、有機エレクトロルミネセンス素子中の発光層に用いることによって、蛍光を発光する。一般式(11)で表される化合物は、光を照射しても一般式(1)で表される化合物へ戻り難い。このため、有機発光素子中において安定に存在することができ、安定な画像表示を実現することができる。
一般式(1)で表される化合物の分子量は、例えば有機発光素子を製造する際に一般式(1)で表される化合物を含む有機層を蒸着法により製膜して利用することを意図する場合には、1500以下であることが好ましく、1200以下であることがより好ましく、1000以下であることがさらに好ましく、800以下であることがさらにより好ましい。分子量の下限値は、通常200以上であり、好ましくは290以上である。
本発明を応用して、分子内に一般式(1)や一般式(11)で表される骨格を複数個有する化合物を、有機発光素子の発光層に用いることも考えられる。
例えば、一般式(1)や一般式(11)で表される骨格を有する重合性モノマーを重合させた重合体を、有機発光素子の発光層に用いることが考えられる。具体的には、一般式(1)や一般式(11)のR1〜R4のいずれかに重合性官能基を有するモノマーを用意して、これを単独で重合させるか、他のモノマーとともに共重合させることにより、繰り返し単位を有する重合体を得て、その重合体を有機発光素子の発光層に用いることが考えられる。あるいは、一般式(1)や一般式(11)で表される骨格を有する化合物どうしをカップリングさせることにより、二量体や三量体を得て、それらを有機発光素子の発光層に用いることも考えられる。これらの応用や改変は、当業者により適宜なされうるものである。
本発明で用いることができる一般式(1)と一般式(11)の化合物は、以下に記載する一般式(2)と一般式(12)の化合物群A、一般式(3)と一般式(13)の化合物群B、一般式(4)と一般式(14)の化合物群C、一般式(5)とそれに対応する閉環化合物(15)の化合物群Dを好ましく包含する。これらのうち、化合物群Aと化合物群Cは、閉環化合物に光を照射しても開環化合物に戻り難い傾向がある。
(化合物群A)
Figure 2014067989
一般式(2)および一般式(12)において、Z1、X1、X2、Q1およびQ2の説明と好ましい範囲については、一般式(1)および一般式(11)における対応する説明と好ましい範囲を参照することができる。
一般式(2)および一般式(12)において、R1'およびR2'は、各々独立に水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ホルミル基、ニトロ基、アミノ基または炭素数1〜3のアルキルアミノ基を表す。R3'およびR4'は、各々独立に水素原子、置換もしくは無置換の炭素数6〜24のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜14のアルキル基、置換もしくは無置換のチオフェニル基、置換もしくは無置換のオキサジアゾリル基、置換もしくは無置換のインドリル基、置換もしくは無置換のテトラジノ基、置換もしくは無置換のジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェン−1−イル、置換もしくは無置換のジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェンジオキシド−1−イル、置換もしくは無置換のアルキルまたはアリールカルボニル基、置換もしくは無置換のアルキルまたはアリールカルボニルオキシ基、置換もしくは無置換のアミノ基、またはニトロ基を表す。一般式(2)および一般式(12)においては、R1'とR3'が互いに結合して環状構造を形成することはなく、また、R2'とR4'が互いに結合して環状構造を形成することもない。
(化合物群B)
Figure 2014067989
一般式(3)および一般式(13)において、Z1、X1、X2、Q1およびQ2の説明と好ましい範囲については、一般式(1)および一般式(11)における対応する説明と好ましい範囲を参照することができる。
2およびZ3は、各々独立に6員芳香環構造を表す。環骨格を形成する原子は炭素原子のみからなるか、あるいは炭素原子と窒素原子からなる。窒素原子が環骨格に含まれる場合は、窒素原子の数は1〜3個であることが好ましく、1または2個であることがより好ましい。環骨格を構成する原子が炭素原子である場合、その炭素原子には置換基としてR5またはR6が置換していてもよい。n5およびn6は、各々独立に0〜4の整数である。R5およびR6は、各々独立に置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のチオフェニル基、置換もしくは無置換のフルオロフェニル基、置換もしくは無置換のオキサジアジル基、または置換もしくは無置換のカルバゾール基を表すことが好ましい。
(化合物群C)
Figure 2014067989
一般式(4)および一般式(14)において、Z1、X1、X2、Q1およびQ2の説明と好ましい範囲については、一般式(1)および一般式(11)における対応する説明と好ましい範囲を参照することができる。
一般式(4)および一般式(14)において、R1'とR3'の説明と好ましい範囲については、一般式(2)および一般式(12)における対応する説明と好ましい範囲を参照することができる。
一般式(4)および一般式(14)において、Z3、R6およびn6の説明と好ましい範囲については、一般式(3)および一般式(13)における対応する説明と好ましい範囲を参照することができる。
(化合物群D)
Figure 2014067989
一般式(5)におけるZ1の説明と好ましい範囲については、一般式(1)および一般式(11)における対応する説明と好ましい範囲を参照することができる。
一般式(5)におけるW1およびW2は、各々独立に以下のいずれかの構造を表す。W1が以下のいずれかの構造を表すとき、以下の構造におけるXはX1と同義であり、W2が以下のいずれかの構造を表すとき、以下の構造におけるXはX2と同義である。X1とX2の説明と好ましい範囲については、一般式(1)および一般式(11)における対応する説明と好ましい範囲を参照することができる。
Figure 2014067989
その他のより具体的な化合物群として、さらに、以下の一般式(6)と一般式(16)の化合物群E、一般式(7)と一般式(17)の化合物群F、一般式(8)と一般式(18)の化合物群G、一般式(9)とそれに対応する閉環化合物(19)の化合物群Hを好ましく挙げることができる。
(化合物群E)
Figure 2014067989
一般式(6)および一般式(16)において、R11は、水素原子または置換基を表す。R12およびR13は、各々独立に水素原子、置換もしくは無置換の炭素数6〜24のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜14のアルキル基、置換もしくは無置換のチオフェニル基、置換もしくは無置換のオキサジアゾリル基、置換もしくは無置換のインドリル基、置換もしくは無置換のテトラジノ基、置換もしくは無置換のジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェン−1−イル、置換もしくは無置換のジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェンジオキシド−1−イル、置換もしくは無置換のアルキルまたはアリールカルボニル基、置換もしくは無置換のアルキルまたはアリールカルボニルオキシ基、置換もしくは無置換のアミノ基、またはニトロ基を表す。R14およびR15は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基または炭素数1〜4のアシル基を表す。R16およびR17は、各々独立に水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ホルミル基、ニトロ基、アミノ基または炭素数1〜3のアルキルアミノ基を表す。一般式(6)および一般式(16)においては、R12とR16が互いに結合して環状構造を形成することはなく、また、R13とR17が互いに結合して環状構造を形成することもない。
一般式(6)および一般式(16)におけるR11がとりうる置換基の説明と好ましい範囲については、一般式(1)および一般式(11)における置換基の説明と好ましい範囲を参照することができる。また、一般式(6)および一般式(16)におけるR12〜R17の説明と好ましい範囲については、順に、一般式(1)および一般式(11)におけるR3、R4、X1、X2、R1およびR2の説明と好ましい範囲を参照することができる。
一般式(6)および一般式(16)におけるR11〜R13として、好ましくは、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜24の置換もしくは無置換のアリール基を挙げることができ、より好ましくは、炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルコキシ基、シアノ基、炭素数6〜24の置換もしくは無置換のアリール基を挙げることができる。具体例として、メチル基、メトキシ基、シアノ基、
Figure 2014067989
を挙げることができる(Meはメチル基を表す)。一般式(6)および一般式(16)におけるR14〜R15として、好ましくは、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルコキシ基を挙げることができ、より好ましくは、炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルコキシ基を挙げることができる。具体例として、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基を挙げることができる。一般式(6)および一般式(16)におけるR16およびR17として、好ましくは、水素原子、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基を挙げることができる。具体例として、水素原子、メチル基を挙げることができる。
(化合物群F)
Figure 2014067989
一般式(7)および一般式(17)において、R21は、水素原子または置換基を表す。R22およびR23は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基または炭素数1〜4のアシル基を表す。R24およびR25は、各々独立に水素原子または置換基を表す。
一般式(7)および一般式(17)におけるR21、R24およびR25がとりうる置換基の説明と好ましい範囲については、一般式(1)および一般式(11)における置換基の説明と好ましい範囲を参照することができる。また、一般式(7)および一般式(17)におけるR22およびR23の説明と好ましい範囲については、一般式(1)および一般式(11)におけるX1およびX2の説明と好ましい範囲を参照することができる。
一般式(7)および一般式(17)におけるR21として、好ましくは、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルコキシ基、炭素数6〜24の置換もしくは無置換のアリール基を挙げることができ、より好ましくは、炭素数6〜24の置換もしくは無置換のアリール基を挙げることができる。具体例として、水素原子、
Figure 2014067989
を挙げることができる。一般式(7)および一般式(17)におけるR22およびR23として、好ましくは、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルコキシ基を挙げることができ、より好ましくは、炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルコキシ基を挙げることができる。具体例として、メチル基、エチル基を挙げることができる。一般式(7)および一般式(17)におけるR24およびR25として、好ましくは、水素原子、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基を挙げることができる。具体例として、水素原子、メチル基を挙げることができる。
(化合物群G)
Figure 2014067989
一般式(8)および一般式(18)において、Xは>N(R33)、−S−または−SO2−を表す。ここでR33は、炭素数1〜20のアルキル基を表し、具体例としてメチル基、エチル基を挙げることができる。R31およびR32は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基または炭素数1〜4のアシル基を表す。
一般式(8)および一般式(18)におけるR31およびR32の説明と好ましい範囲については、一般式(1)および一般式(11)におけるX1およびX2の説明と好ましい範囲を参照することができる。 一般式(8)および一般式(18)におけるR31およびR32として、好ましくは、炭素数1〜3の置換もしくは無置換のアルキル基を挙げることができ、具体例として、メチル基、エチル基を挙げることができる。
(化合物群H)
Figure 2014067989
一般式(9)および一般式(19)において、XおよびYは、各々独立に硫黄原子または窒素原子を表す。R41およびR46は、各々独立に水素原子または置換基を表す。R42は、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数6〜24のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜14のアルキル基、置換もしくは無置換のチオフェニル基、置換もしくは無置換のオキサジアゾリル基、置換もしくは無置換のインドリル基、置換もしくは無置換のテトラジノ基、置換もしくは無置換のジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェン−1−イル、置換もしくは無置換のジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェンジオキシド−1−イル、置換もしくは無置換のアルキルまたはアリールカルボニル基、置換もしくは無置換のアルキルまたはアリールカルボニルオキシ基、置換もしくは無置換のアミノ基、またはニトロ基を表す。R43およびR44は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基または炭素数1〜4のアシル基を表す。R45は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ホルミル基、ニトロ基、アミノ基または炭素数1〜3のアルキルアミノ基を表す。一般式(9)および一般式(19)においては、R42とR45が互いに結合して環状構造を形成することはない。
一般式(9)および一般式(19)におけるR41およびR46がとりうる置換基の説明と好ましい範囲については、一般式(1)および一般式(11)における置換基の説明と好ましい範囲を参照することができる。また、一般式(9)および一般式(19)におけるR42〜R45の説明と好ましい範囲については、順に、一般式(1)および一般式(11)におけるR3、X1、X2およびR1の説明と好ましい範囲を参照することができる。
一般式(9)および一般式(19)におけるXとYは、一方が硫黄原子であって、他方が窒素原子であることが好ましい。一般式(9)および一般式(19)におけるR41およびR42として、好ましくは、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルコキシ基、炭素数6〜24の置換もしくは無置換のアリール基を挙げることができ、より好ましくは、炭素数6〜24の置換もしくは無置換のアリール基を挙げることができる。具体例として、フェニル基を挙げることができる。一般式(9)および一般式(19)におけるR44およびR45として、好ましくは、炭素数1〜3の置換もしくは無置換のアルキル基を挙げることができ、具体例として、メチル基、エチル基を挙げることができる。一般式(9)および一般式(19)におけるR45として、好ましくは、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルコキシ基、炭素数6〜24の置換もしくは無置換のアリール基を挙げることができ、より好ましくは、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキル基を挙げることができる。具体例としてメチル基、エチル基を挙げることができる。一般式(9)および一般式(19)におけるR46として、好ましくは、水素原子、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルコキシ基、炭素数6〜24の置換もしくは無置換のアリール基を挙げることができ、具体例として、水素原子、メチル基、メトキシ基を挙げることができる。
(化合物の具体例)
以下に一般式(1)で表される化合物の具体例を挙げる。以下の具体例の中でYで表されるフェニル基が、チオフェニル基、オキサジアゾリル基、インドリル基、テトラジノ基で置換された化合物例も挙げることができる。
Figure 2014067989
Figure 2014067989
Figure 2014067989
Figure 2014067989
Figure 2014067989
Figure 2014067989
Figure 2014067989
Figure 2014067989
上記の具体例を以下のいずれかの骨格に変えることにより形成される具体例も、同様に例示することができる。すなわち、下記のZ1を上記の具体例の構造に置き換えることにより、同様に具体例を挙げることができる。
Figure 2014067989
一般式(6)〜(9)および一般式(16)〜(19)で表される化合物の具体例を以下に例示する。表中、Meはメチル基、Phはフェニル基、Etはエチル基、Tpはチオフェニル基、Pyはピリジル基、Tzはチアゾリル基、Antはアントラニル基を表す。
Figure 2014067989
Figure 2014067989
Figure 2014067989
Figure 2014067989
Figure 2014067989
[一般式(3’)で表される化合物]
上記の化合物群のうち、一般式(3’)および一般式(13’)で表される化合物は新規化合物である。新規化合物である一般式(3’)および一般式(13’)で表される化合物は、公知の合成法を適宜選択して必要に応じて組み合わせることにより合成することができる。例えば、一般式(3’)で表される化合物は、一般式(13’)で表される化合物にメタクロロ過安息香酸(mCPBA)を反応させることにより容易に合成することができる。また、一般式(13’)で表される化合物は、例えば一般式(13’)のZ1環を最後に形成するような反応を経て合成することができる。具体的には、以下のような反応式を例示することができる。
Figure 2014067989
一般式(3’)および一般式(13’)で表される化合物の具体的な合成法や合成条件については、後述の合成例の記載を参照することができる。合成法や合成条件は、当業者に自明な範囲内で適宜変更したり最適化したりすることができる。また一般式(3’)および一般式(13’)で表される化合物は、類似の構造を有する化合物の合成法を記載した文献を参考にして合成することも可能である。合成された一般式(3’)および一般式(13’)で表される化合物は、クロマトグラフィーや再結晶などの公知の精製法により精製することができる。
[有機エネルギー変換素子]
本発明の一般式(11)で表される化合物を用いて有機エネルギー変換素子を製造することができる。ここでいう有機エネルギー変換素子とは、有機発光素子や有機光電変換素子などを幅広く包含する概念である。また、ここでいうエネルギー変換には、光エネルギーと電気エネルギーの間の変換のように異種エネルギー間の変換に限定されず、光エネルギーを別の波長の光エネルギーに変換する有機フォトルミネセンス素子に代表されるように同種のエネルギー間の変換も含まれる。本発明の一般式(11)で表される化合物を適用できる有機エネルギー変換素子として、例えば有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)、有機フォトルミネセンス素子(有機PL素子)、有機発光トランジスタ、有機撮像素子、有機太陽電池などを挙げることができる。
[有機発光素子]
本発明の一般式(11)で表される化合物は、特に有機発光素子に効果的に用いることができる。例えば、本発明の一般式(11)で表される化合物を有機層に用いて有機発光素子を製造することができる。一般式(11)で表される化合物は発光材料として有用であることから、一般式(11)で表される化合物は発光層に好ましく存在させることができる。
本発明の一般式(11)で表される化合物を発光層の発光材料として用いることにより、有機フォトルミネッセンス素子や有機エレクトロルミネッセンス素子などの優れた有機発光素子を提供することができる。有機フォトルミネッセンス素子は、基板上に少なくとも発光層を形成した構造を有する。このとき、発光層は一般式(11)で表される化合物単独であってもよいし、ホスト材料と混合した層であってもよい。また、有機エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも陽極、陰極、および陽極と陰極の間に有機層を形成した構造を有する。有機層は、少なくとも発光層を含むものであり、発光層のみからなるものであってもよいし、発光層の他に1層以上の有機層を有するものであってもよい。そのような他の有機層として、正孔輸送層、正孔注入層、電子阻止層、正孔阻止層、電子注入層、電子輸送層、励起子阻止層などを挙げることができる。正孔輸送層は正孔注入機能を有した正孔注入輸送層でもよく、電子輸送層は電子注入機能を有した電子注入輸送層でもよい。具体的な有機エレクトロルミネッセンス素子の構造例を図1に示す。図1において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は電子輸送層、7は陰極を表わす。
なお、一般式(11)で表される化合物は着色化合物であることから、発光材料として用いずに着色剤として用いることも可能である。例えば発光層以外の層に用いることにより発光層の光に色を付けることができる。
以下において、有機エレクトロルミネッセンス素子の各部材および各層について説明する。なお、基板と発光層の説明は有機フォトルミネッセンス素子の基板と発光層にも該当する。
(基板)
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板に支持されていることが好ましい。この基板については、特に制限はなく、従来から有機エレクトロルミネッセンス素子に慣用されているものであればよく、例えば、ガラス、透明プラスチック、石英、シリコンなどからなるものを用いることができる。
(陽極)
有機エレクトロルミネッセンス素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極材料とするものが好ましく用いられる。このような電極材料の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In23−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極材料を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極材料の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な材料を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
(陰極)
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極材料とするものが用いられる。このような電極材料の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性および酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極材料を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極または陰極のいずれか一方が、透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陽極の説明で挙げた導電性透明材料を陰極に用いることで、透明または半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
(発光層)
発光層は、陽極および陰極のそれぞれから注入された正孔および電子が再結合することにより励起子が生成した後、発光する層であり、発光材料を単独で発光層に使用しても良いが、好ましくは発光材料とホスト材料を含む。発光材料としては、一般式(11)で表される本発明の化合物群から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子および有機フォトルミネッセンス素子が高い発光効率を発現するためには、発光材料に生成した一重項励起子および三重項励起子を、発光材料中に閉じ込めることが重要である。従って、発光層中に発光材料に加えてホスト材料を用いることが好ましい。ホスト材料としては、励起一重項エネルギー、励起三重項エネルギーの少なくとも何れか一方が本発明の発光材料よりも高い値を有する有機化合物を用いることができる。その結果、本発明の発光材料に生成した一重項励起子および三重項励起子を、本発明の発光材料の分子中に閉じ込めることが可能となり、その発光効率を十分に引き出すことが可能となる。本発明の有機発光素子または有機エレクトロルミネッセンス素子において、発光は発光層に含まれる本発明の発光材料から生じる。但し、発光の一部或いは部分的にホスト材料からの発光があってもかまわない。
ホスト材料を用いる場合、発光材料である本発明の化合物が発光層中に含有される量は0.1重量%以上であることが好ましく、1重量%以上であることがより好ましく、また、50重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることがより好ましく、10重量%以下であることがさらに好ましい。
発光層におけるホスト材料としては、正孔輸送能、電子輸送能を有し、かつ発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高いガラス転移温度を有する有機化合物であることが好ましい。
(注入層)
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、正孔注入層と電子注入層があり、陽極と発光層または正孔輸送層の間、および陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。注入層は必要に応じて設けることができる。
(阻止層)
阻止層は、発光層中に存在する電荷(電子もしくは正孔)および/または励起子の発光層外への拡散を阻止することができる層である。電子阻止層は、発光層および正孔輸送層の間に配置されることができ、電子が正孔輸送層の方に向かって発光層を通過することを阻止する。同様に、正孔阻止層は発光層および電子輸送層の間に配置されることができ、正孔が電子輸送層の方に向かって発光層を通過することを阻止する。阻止層はまた、励起子が発光層の外側に拡散することを阻止するために用いることができる。すなわち電子阻止層、正孔阻止層はそれぞれ励起子阻止層としての機能も兼ね備えることができる。本明細書でいう電子阻止層または励起子阻止層は、一つの層で電子阻止層および励起子阻止層の機能を有する層を含む意味で使用される。
(正孔阻止層)
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有する。正孔阻止層は電子を輸送しつつ、正孔が電子輸送層へ到達することを阻止する役割があり、これにより発光層中での電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。正孔阻止層の材料としては、後述する電子輸送層の材料を必要に応じて用いることができる。
(電子阻止層)
電子阻止層とは、広い意味では正孔を輸送する機能を有する。電子阻止層は正孔を輸送しつつ、電子が正孔輸送層へ到達することを阻止する役割があり、これにより発光層中での電子と正孔が再結合する確率を向上させることができる。
(励起子阻止層)
励起子阻止層とは、発光層内で正孔と電子が再結合することにより生じた励起子が電荷輸送層に拡散することを阻止するための層であり、本層の挿入により励起子を効率的に発光層内に閉じ込めることが可能となり、素子の発光効率を向上させることができる。励起子阻止層は発光層に隣接して陽極側、陰極側のいずれにも挿入することができ、両方同時に挿入することも可能である。すなわち、励起子阻止層を陽極側に有する場合、正孔輸送層と発光層の間に、発光層に隣接して該層を挿入することができ、陰極側に挿入する場合、発光層と陰極との間に、発光層に隣接して該層を挿入することができる。また、陽極と、発光層の陽極側に隣接する励起子阻止層との間には、正孔注入層や電子阻止層などを有することができ、陰極と、発光層の陰極側に隣接する励起子阻止層との間には、電子注入層、電子輸送層、正孔阻止層などを有することができる。阻止層を配置する場合、阻止層として用いる材料の励起一重項エネルギーおよび励起三重項エネルギーの少なくともいずれか一方は、発光材料の励起一重項エネルギーおよび励起三重項エネルギーよりも高いことが好ましい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。使用できる公知の正孔輸送材料としては例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物およびスチリルアミン化合物を用いることが好ましく、芳香族第3級アミン化合物を用いることがより好ましい。
(電子輸送層)
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる場合もある)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよい。使用できる電子輸送層としては例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタンおよびアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
有機エレクトロルミネッセンス素子を作製する際には、一般式(11)で表される化合物を発光層以外の層にも用いてもよい。その際、発光層に用いる一般式(11)で表される化合物と、発光層以外の層に用いる一般式(11)で表される化合物は、同一であっても異なっていてもよい。また、発光層に用いずに、発光層以外の層にだけ用いてもよい。例えば、上記の注入層、阻止層、正孔阻止層、電子阻止層、励起子阻止層、正孔輸送層、電子輸送層などにも一般式(11)で表される化合物を用いてもよい。これらの層の製膜方法は特に限定されず、ドライプロセス、ウェットプロセスのどちらで作製してもよい。
上述の方法により作製された有機エレクトロルミネッセンス素子は、得られた素子の陽極と陰極の間に電界を印加することにより発光する。このとき、励起一重項エネルギーによる発光であれば、そのエネルギーレベルに応じた波長の光が、蛍光発光として確認される。また、励起三重項エネルギーによる発光であれば、そのエネルギーレベルに応じた波長が、りん光として確認される。
一方、りん光については、本発明の化合物のような通常の有機化合物では、励起三重項エネルギーは不安定で熱等に変換され、寿命が短く直ちに失活するため、室温では殆ど観測できない。通常の有機化合物の励起三重項エネルギーを測定するためには、極低温の条件での発光を観測することにより測定可能である。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用することができる。本発明によれば、発光層に一般式(11)で表される化合物を含有させることにより、発光効率が大きく改善された有機発光素子が得られる。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子などの有機発光素子は、さらに様々な用途へ応用することが可能である。例えば、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いて、有機エレクトロルミネッセンス表示装置を製造することが可能であり、詳細については、時任静士、安達千波矢、村田英幸共著「有機ELディスプレイ」(オーム社)を参照することができる。また、特に本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、需要が大きい有機エレクトロルミネッセンス照明やバックライトに応用することもできる。
[有機発光素子の製造方法]
本発明の有機発光素子の発光層に用いる一般式(11)で表される化合物は、一般式(1)に特定波長の光を照射することにより形成することができる。このため、有機発光素子の有機層を一般式(1)で表される化合物を用いて形成しておき、その後の製造工程中や有機発光素子を製造した後に特定波長の光を照射して有機層中の一般式(1)で表される化合物を一般式(11)で表される化合物へ変換する製造方法を採用することができる。
図2は、一般式(1)で表される化合物を含む有機層を備えた有機発光素子を予め製造しておき、その後に有機層に特定波長の光を照射する工程を説明するものである。有機発光素子は、基板10上に陽極11と一般式(1)で表される化合物を含む有機層12を形成し、さらにその上に陰極13を形成することにより通常の工程にしたがって製造する。その後に、一般式(1)で表される化合物を一般式(11)で表される化合物へ変換することができる光をマスク14を通して照射して、光照射した範囲においてのみ一般式(11)で表される化合物へ変換する。パターにングされたマスクを通して光照射をすれば、照射した光が記録光となって有機発光素子に情報を記録することができる。
図3は、有機発光素子の製造工程中に有機層中の一般式(1)で表される化合物を一般式(11)で表される化合物へ変換する工程を説明するものである。まず、基板10上に陽極11と一般式(1)で表される化合物を含む有機層12を形成し、その後に図示するようにマスク14を用いて光照射をして光照射した範囲においてのみ一般式(11)で表される化合物へ変換し、その後に有機層12上に陰極13を形成するものである。有機層を複数形成する場合は、一般式(1)で表される化合物を含む有機層を蒸着法や塗布法により形成した時点で、光照射を行うことも可能である。あるいは、一般式(1)で表される化合物を含む有機層を形成し、さらに別の有機層を積層した後に光照射することも可能である。また、逆に一般式(11)で表される化合物に光を照射し一般式(1)で表される化合物に変換しても良い。なお、これらの層の吸収帯が光照射波長と同一である場合は除外される。また、マスクを用いる場合は有機層に直接置くことが可能であるが、スペーサー等によりマスクと有機層が直接触れ合わないようにすることがより望ましい。
上記の光照射の際に用いる照射光は、定常光に限定されるものではなく、レーザー光を用いることもできる。また、マスクは必ずしも用いなくてもよいし、マスクを用いる場合はその形状は特に制限されない。マスクを用いずにレーザー光を照射してもよい。その場合は、レーザー光で線やピクセルなどの任意のパターにングを行うことが可能である。
有機発光素子に用いる一般式(1)または一般式(11)で表される化合物は1種類に限定される必要はなく、発光波長を異にする化合物を発光層に混合して用いてもよい。また、発光層に用いる発光材料は一般式(1)または一般式(11)で表される化合物だけに限定される必要はなく、通常の発光色素(蛍光材料、りん光材料、遅延蛍光材料)を同時に含んでいてもよい。例えば、レーザー光により赤色(R)・緑色(G)・青色(B)発光性のフォトクロミック化合物を選択的に光パターニングすることでRGBピクセルの光形成(光塗り分け)をすることが可能である。また、この場合、フォトクロミック化合物と同時に通常の発光材料を赤色(R)・緑色(G)・青色(B)いづれかのピクセルとして用いても良い。レーザー光の照射スポットを絞りこむことによりミクロンオーダーの高精細なRGBピクセルの形成が可能になる。なお、光パターニングを行う際は有機発光素子が封止されていることが望ましい。
以下に合成例と試験例と実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(合成例1)
本合成例において、以下の合成スキームに従って化合物005を合成した。
Figure 2014067989
(1)化合物002の合成
SeO2(3.33g,30.0mmol)をジオキサン/水(50ml/2ml)混合溶液に溶解し、60℃にしたのち化合物001(6.13g,30.0mmol)を加え、6時間加熱還流した。還流終了後、沈殿したセレンをろ過により除去し溶媒を留去した。得られた茶褐色粘性液体を酢酸エチルとNaHCO3水溶液で分液し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し粗生成物を得た(粗収量6.2g)。
(2)化合物003の合成
三方コック、滴下ロートを備えた100ml四つ口フラスコをフレームドライしAr雰囲気にしたのち、化合物002(1.18g,5.0mmol)と2−エチルベンゾ[b]チオフェン(811mg,5.00mmol)を入れ、トルエン25mlに溶解した。そこにSnCl4(0.57ml,5.00mmol)をトルエン10mlに溶解した溶液を滴下し、室温で3時間攪拌した。撹拌終了後、水を注ぎ反応を停止し、反応溶液をジエチルエーテルで抽出した。有機相を水とNa2CO3水溶液で繰り返し洗浄し、得られた有機相をMgSO4で乾燥した。溶媒を減圧留去後、精製は行わず、そのまま次の反応に用いた。
(3)化合物004の合成
粗精製物の化合物003(1.5g,4.00mmol)を、チオベンズアミド(549mg,4.00mmol)を溶かしたトリフルオロ酢酸3mlに加え、室温で24時間攪拌した。撹拌終了後、水を注ぎ反応生成物をジエチルエーテルで抽出した。得られた有機相を水とNa2CO3水溶液で繰り返し洗浄後、MgSO4で乾燥した。溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製した。さらにメタノールを展開溶媒とする逆相HPLCで精製した(粗収量387mg、0.8mmol、粗収率〜20%)。
HRMS(ESI):[C2924NS3+,計算値482.10709,実測値482.10701.
(4)化合物005の合成
化合物004(30mg,0.0623mmol)をジクロロメタン20mlに溶解した。そこにメタクロロ過安息香酸(mCPBA;214mg,1.25mmol)を2回に分けて加え、室温空気中で撹拌した。反応はTLCで追跡した。21時間撹拌後、ジクロロメタンと水で分液し、得られた有機相をMgSO4で乾燥した。溶媒を減圧留去し、シリカゲルショートカラムで原点成分を除いた後、メタノールを展開溶媒とする逆相HPLCで精製した(収量28mg、0.0498mmol、収率80%)。
HRMS(ESI):[C31233NaO53+,計算値568.06869,実測値568.06856.
(合成例2)
本合成例において、以下の合成スキームに従って化合物007を合成した。
Figure 2014067989
(1)化合物006の合成
粗精製物の化合物003(761mg,2.00mmol)を、5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボチオアミド(410mg,2.00mmol)を溶かしたトリフルオロ酢酸3mlに加え、室温で24時間攪拌した。撹拌終了後、水を注ぎ反応生成物をジエチルエーテルで抽出した。得られた有機相を水とNa2CO3水溶液で繰り返し洗浄後、MgSO4で乾燥した。溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製した。さらにメタノールを展開溶媒とする逆相HPLCで精製した(粗収量229mg、0.400mmol、粗収率〜20%)。
HRMS(ESI):[C31233NaOS3+,計算値572.09009,実測値572.09004.
(2)化合物007の合成
化合物006(30mg,0.0524mmol)をジクロロメタン20mlに溶解した。そこにメタクロロ過安息香酸(mCPBA;214mg,1.25mmol)を2回に分けて加え、室温空気中で撹拌した。反応はTLCで追跡した。21時間撹拌後、ジクロロメタンと水で分液し、得られた有機相をMgSO4で乾燥した。溶媒を減圧留去し、シリカゲルショートカラムで原点成分を除いた後、メタノールを展開溶媒とする逆相HPLCで精製した(収量27mg、0.0419mmol、収率80%)。
HRMS(ESI):[C31233NaO53+,計算値636.06975,実測値636.06963.
(合成例3)
本合成例において、以下の合成スキームに従って化合物1301と化合物1302を合成した。
Figure 2014067989
Figure 2014067989
Figure 2014067989
(1)化合物Aの合成
チオベンズアミド(18.05g,131.5mmol)を酢酸エチル(270ml)に溶解させ、ブロモ酢酸(18.28g,131.5mmol)を加え、室温で24時間撹拌後、反応溶液を吸引濾過し、酢酸エチル、次いでジエチルエーテルで洗浄し、白色沈殿物を得た。得られた白色沈殿物を、氷浴上にて、冷やしたピリジン(90ml)に溶解させ、0℃で30分間撹拌した。反応溶液を冷水でクエンチ後、吸引濾過し、沈殿物を冷水で洗浄し、淡黄色固体(6.01g,33.9mmol)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3/TMS): d (ppm) = 8.14 (2H, d), 7.69 (1H, t), 7.54 (2H, t), 4.06 (2H, s).
窒素雰囲気下、2−フェニル−5−ヒドロチアゾル−4−オン(17.96g,101.4mmol)、ピリジン臭化水素酸塩(19.68g,123.0mmol)、及び、臭化ホスホリル(100g,348.8mmol)を混合し、110℃で24時間還流撹拌した。反応溶液をメタノールでクエンチし、水酸化ナトリウム水溶液で中和、有機層を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、灰白色固体(18.36g,57.55mmol)の化合物Aを得た。
(2)化合物Bの合成
ベンゾチオフェン(4.85g,36.1mmol)をテトラヒドロフラン(60ml)に溶解させ、窒素雰囲気下、−78℃を維持したまま、1.6Mのn−ブチルリチウム(23.0ml,36.9mmol)を滴下し、−78℃で1時間撹拌後、ヨードメタン(2.3ml,36.9mmol)を加え、室温で18時間撹拌した。反応溶液を水でクエンチし、希塩酸で中和後、有機層をジエチルエーテルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒留去し、真空乾燥させ、茶褐色固体(5.82g,39.3mmol)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3/TMS): d (ppm) = 7.64-7.72 (2H, m), 7.29-7.43 (2H, m), 2.60 (3H, s).
2−メチルベンゾチオフェン(10.3g,69.6mmol)、過ヨウ素酸二水和物(3.6g,15.8mmol)、ヨウ素(9.0g,35.6mmol)、水(15ml)、酢酸(90ml)、および濃硫酸(2ml)の混合溶液を、70℃で15時間撹拌した。反応溶液を水酸化ナトリウム水溶液で中和後、有機層を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、生成物(7.35g,26.8mmol)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3/TMS): d (ppm) = 7.64-7.72 (2H, m), 7.29-7.43 (2H, m), 2.60 (3H, s).
3−ヨード−2−メチルベンゾチオフェン(7.35g,26.8mmol)をテトラヒドロフラン(50ml)に溶解させ、窒素雰囲気下、−78℃を維持したまま、1.6Mのn−ブチルリチウム(17.0ml,27.2mmol)を滴下し、−78℃で30分間撹拌後、イソプロピルピナコラートボロン酸(5.0g,26.9mmol)を加え、室温で16時間撹拌した。反応溶液を水でクエンチし、希塩酸で中和、有機層をジエチルエーテルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒留去した。ヘキサンによる再結晶にて精製し、化合物B(4.79g,17.5mmol)を得た。
(3)化合物Cの合成
3−メチルチオフェン(10.0ml,208mmol)とテトラメチルエチレンジアミン(17.0ml,227mmol)をジエチルエーテル(180ml)に溶解させ、窒素雰囲気下、−30℃を維持したまま、1.6Mのn−ブチルリチウム(70ml,225mmol)を滴下し、−30℃で2時間撹拌後、ヨードメタン(7.0ml,225mmol)を加え、室温で11時間撹拌した。反応溶液を水でクエンチし、希塩酸で中和後、有機層をジエチルエーテルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒留去し、オイル状中間生成物(12.1g,108mmol)を得た。得られた中間生成物(12.1g,108mmol)と酢酸(200ml)の混合溶液に、臭素(12ml,240mmol)と酢酸(50ml)の混合溶液を、氷浴上にて滴下し、3時間撹拌した。反応溶液を水酸化カリウム水溶液で中和後、有機層を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、無色オイル(8.34g,30.7mmol)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3/TMS): d (ppm) = 2.34 (3H, s), 2.17 (3H, s).
2,4−ジブロモ−3,5−ジメチルチオフェン(8.34g,30.7mmol)をジエチルエーテル(150ml)に溶解させ、窒素雰囲気下、−78℃を維持したまま、1.6Mのn−ブチルリチウム(20ml,32mmol)を滴下し、−78℃で1時間撹拌後、トリブチルボロン酸(9.0ml,33.6mmol)を加え、室温で24時間撹拌した。反応溶液を水でクエンチし、希塩酸で中和、有機層を酢酸エチルで抽出後、水酸化ナトリウム水溶液により、目的物を水層へ移し、その水層に塩酸を加え、沈殿物を乾燥させ、生成物(4.79g,20.3mmol)を得た。
(3−ブロモ−2,4−ジメチルチオフェン−5−イル)ボロン酸(4.79g,20.3mmol)とヨードベンゼン(4.02g,19.8mmol)をテトラヒドロフラン(120ml)に溶解させ、20%炭酸ナトリウム水溶液(50ml)を加え、窒素バブリングを1時間行い、窒素雰囲気下、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.15g,0.995mmol)を投入後、36時間、70℃で還流撹拌した。反応溶液を水でクエンチし、希塩酸で中和後、有機層をジエチルエーテルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、生成物(3.59g,13.4mmol)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3/TMS): d (ppm) = 7.30-7.44 (5H, m), 2.43 (3H, s), 2.26 (3H, s).
3−ブロモ−2,4−ジメチル−5−フェニルチオフェン(3.59g,13.4mmol)をテトラヒドロフラン(20ml)に溶解させ、窒素雰囲気下、−78℃を維持したまま、1.6Mのn−ブチルリチウム(8.5ml,13.4mmol)を滴下し、−78℃で30分間撹拌後、イソプロピルピナコラートボロン酸(2.8ml,13.6mmol)を加え、室温で10時間撹拌した。反応溶液を水でクエンチし、希塩酸で中和、有機層を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、化合物C(3.59g,11.4mmol)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3/TMS): d (ppm) = 7.39 (5H, m), 2.66 (3H, s), 2.35 (3H, s), 1.34 (12H, s).
(4)化合物Dの合成
(2,4−ジメチル−5−フェニルチオフェン−3−イル)ピナコラートボロン酸(1.13g,3.59mmol)、4,5−ジブロモ−2−フェニルチアゾール(0.521g,1.63mmol)、トリフェニルホスフィン(0.054g,0.21mmol)、及び、2.0Mリン酸三カリウム水溶液(10ml,20mmol)を1,4−ジオキサン(70ml)に溶解させ、窒素バブリングを30分間行い、窒素雰囲気下、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.11g,0.099mmol)を投入し、120℃で36時間還流した。反応溶液を水でクエンチし、希塩酸で中和後、有機層を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、一置換生成物(0.400g,0.938mmol)である化合物Dを得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3/TMS): d (ppm) = 7.95−7.98 (2H, m), 7.40−7.49 (7H, m), 7.33 (1H, t), 2.39 (3H, s), 2.15 (3H, s).
MALDI-TOF MS (m/z) [M]+ Calcd. for C21H16BrNS2 +: 425; Found: 425.
(5)化合物Eの合成
(2−メチルベンゾチオフェン−3−イル)ピナコラートボロン酸(0.774g,2.82mmol)、4,5−ジブロモ−2−フェニルチアゾール(1.17g,3.67mmol)、トリフェニルホスフィン(0.185g,0.705mmol)、及び、2.0Mリン酸三カリウム水溶液(20ml,40mmol)を1,4−ジオキサン(20ml)に溶解させ、窒素バブリングを1時間行い、窒素雰囲気下、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.163g,0.141mmol)を投入し、120℃で36時間還流した。反応溶液を水でクエンチし、希塩酸で中和後、有機層を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー、ゲル浸透クロマトグラフィーにて精製し、一置換生成物(0.353g,0.914mmol)である化合物Eを得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3/TMS): d (ppm) = 7.97−8.00 (2H, d), 7.80−7.82 (7H, m), 7.46−7.52 (1H, t), 7.31−7.39 (3H, s), 2.56 (3H, s).
MALDI-TOF MS (m/z) [M]+ Calcd. for C18H12BrNS2 +: 385; Found: 385.
(6)化合物1301の合成
4−ブロモ−5−(2,4−ジメチル−5−フェニルチオフェン−3−イル)−2−フェニルチアゾール(0.400g,0.938mmol)、(2−メチルベンゾチオフェン−3−イル)ピナコラートボロン酸(0.283g,1.03mmol)、トリフェニルホスフィン(0.062g,0.236mmol)、及び、2.0Mリン酸三カリウム水溶液(20ml,40mmol)を1,4−ジオキサン(20ml)に溶解させ、窒素バブリングを1時間行い、窒素雰囲気下、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.064g,0.055mmol)を投入し、120℃で48時間還流した。反応溶液を水でクエンチし、希塩酸で中和後、有機層をジエチルエーテルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー、次いで高速液体クロマトグラフィーにて精製し、無色アモルファス(0.238g,0.483mmol)の化合物1301aを得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3/TMS): d (ppm) = 8.06−8.09 (2H, m), 7.73−7.76 (2H, m), 7.22−7.49 (10H, m), 2.16 (3H, s), 2.07 (3H, s), 2.00 (3H, s).
ESI HRMS (m/z) [M+H]+ Calcd. for C30H24NS3 +: 494.10; Found: 494.11.
Element Anal. Calcd. for C30H23NS3 : C, 72.98; H, 4.70; N, 2.84; Found: C, 73.04; H, 4.44; N, 2.83.
5−(2,4−ジメチル−5−フェニルチオフェン−3−イル)−4−(2−メチルベンゾチオフェン−3−イル)−2−フェニルチアゾール(30mg,0.061mmol)をジクロロメタン(20ml)に溶解させ、70%m−クロロ過安息香酸(0.170g,0.687mmol)を加え、遮光状態にて室温で3日間撹拌した。暗室内で、反応溶液をチオ硫酸ナトリウム水溶液でクエンチし、水酸化ナトリウム水溶液で洗浄後、有機層をジクロロメタンで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒留去した。高速液体クロマトグラフィーにて精製し、白色固体(20mg,0.036mmol)の化合物1301を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3/TMS): d (ppm) = 8.02−8.05 (2H, m), 7.84−7.86 (1H, m), 7.52−7.62 (7H, m), 7.43−7.46 (4H, m), 2.16 (3H, s), 2.09 (3H, s), 1.86 (3H, s).13C NMR (75MHz; CDCl3): d (ppm) =170.47, 145.86, 138.94, 136.82, 135.85, 133.87, 133.72, 132.12, 131.87, 131.59, 130.48, 129.93, 129.75, 129.38, 129.16, 129.06, 126.76, 124.27, 121.70, 14.10, 9.11, 8.46.
ESI HRMS (m/z) [M+Na]+ Calcd. for C30H23NO4S3Na+: 580.07; Found: 580.07.
Element Anal. Calcd. for C30H23NO4S3 : C, 64.61; H, 4.16; N, 2.51; Found: C, 64.79; H, 4.07; N, 2.33.
(7)化合物1302の合成
4−ブロモ−5−(2−メチルベンゾチオフェン−3−イル)−2−フェニルチアゾール(0.353g,0.914mmol)、(2,4−ジメチル−5−フェニルチオフェン−3−イル)ピナコラートボロン酸(0.302g,0.961mmol)、トリフェニルホスフィン(0.060g,0.228mmol)、及び、2.0Mリン酸三カリウム水溶液(10ml,20mmol)を1,4−ジオキサン(10ml)に溶解させ、窒素バブリングを1時間行い、窒素雰囲気下、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.064g,0.055mmol)を投入し、120℃で24時間還流した。反応溶液を水でクエンチし、希塩酸で中和後、有機層をジエチルエーテルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー、次いで高速液体クロマトグラフィーにて精製し、無色アモルファス(0.242g,0.491mmol)の化合物1302aを得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3/TMS, 50 °C): d (ppm) = 8.05−8.08 (2H, m), 7.69−7.76 (2H, m), 7.44−7.47 (3H, m), 7.25−7.36 (7H, m), 2.20 (3H, s), 2.09 (3H, s), 2.00 (3H, s).
ESI HRMS (m/z) [M+H]+ Calcd. for C30H24NS3 +: 494.10; Found: 494.11.
Element Anal. Calcd. for C30H23NS3 : C, 72.98; H, 4.70; N, 2.84; Found: C, 72.46; H, 4.57; N, 2.76.
4−(2,4−ジメチル−5−フェニルチオフェン−3−イル)−5−(2−メチルベンゾチオフェン−3−イル)−2−フェニルチアゾール(0.100g,0.203mmol)をジクロロメタン(200ml)に溶解させ、70%m−クロロ過安息香酸(0.480g,1.97mmol)を加え、遮光状態にて室温で3日間撹拌した。暗室内で、反応溶液をチオ硫酸ナトリウム水溶液でクエンチし、水酸化ナトリウム水溶液で洗浄後、有機層をジクロロメタンで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒留去した。高速液体クロマトグラフィーにて精製し、白色固体(0.080g,0.143mmol)の化合物1302を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3/TMS): d (ppm) = 8.02−8.05 (2H, m), 7.85−7.88 (1H, m), 7.53−7.62 (7H, m), 7.45−7.47 (4H, d), 2.16 (6H, s), 1.92 (3H, s).13C NMR (75MHz; CDCl3): d (ppm) =170.32, 146.94, 136.32, 135.84, 134.78, 133.74, 132.19, 131.63, 130.30, 129.69, 129.40, 129.21, 129.01, 127.88, 127.17, 126.77, 126.71, 122.71, 122.21, 14.58, 8.80, 8.55.
ESI HRMS (m/z) [M+Na]+ Calcd. for C30H23NO4S3Na+: 580.07; Found: 580.07.
Element Anal. Calcd. for C30H23NO4S3 : C, 64.61; H, 4.16; N, 2.51; Found: C, 64.84; H, 4.38; N, 2.34.
(試験例1)
本試験例において、上記の合成例にて合成した化合物004、化合物005、化合物006、化合物007のそれぞれについて、313nmの紫外光を照射し続けた場合の30秒ごとの吸収スペクトルの変化と、紫外光照射前後の1H NMRスペクトルの変化を観測した。また、紫外光照射後に得られた閉環体の蛍光スペクトルも観測した。これらの結果を図4〜5に示す。
(試験例2)
本試験例において、化合物005と化合物007のそれぞれについて表5に記載される溶媒に溶解した溶液での蛍光量子収率を測定した。結果を表5に示す。
Figure 2014067989
(実施例1)
本実施例において、化合物010とホスト材料を含む発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子を作製して、特性を評価した。
Figure 2014067989
膜厚100nmのインジウム・スズ酸化物(ITO)からなる陽極が形成されたガラス基板上に、各薄膜を真空蒸着法にて、真空度5.0×10-4Paで積層した。まず、ITO上にα−NPDを60nmの厚さに形成した。次に、化合物010(a)と化合物010の混合物およびmCPを異なる蒸着源から共蒸着し、20nmの厚さの層を形成して発光層とした。この時、化合物010(a)と化合物010の合計濃度は3.0重量%とした。その後、発光層の上にBPenを40nmの厚さに形成し、さらにMgAgを100nm真空蒸着し、次いでAgを20nmの厚さに蒸着することにより陰極を形成し、有機エレクトロルミネッセンス素子とした。
製造した有機エレクトロルミネッセンス素子を、半導体パラメータ・アナライザ(アジレント・テクノロジー社製:E5273A)、光パワーメータ測定装置(ニューポート社製:1930C)、および光学分光器(オーシャンオプティクス社製:USB2000)を用いて測定した。図8に発光スペクトルを示し、図9に電流密度−電圧(J-V)特性と発光−電圧特性を示す。本実施例の有機エレクトロルミネッセンス素子は、20Vで1170cd/m2の発光が認められた。
Figure 2014067989
(実施例2)
本実施例において、化合物1040、化合物1301および化合物1302に光照射して対応する黄色の閉環体を製造し、その塩化メチレン溶液について各種評価を行った。すなわち、紫外可視吸収スペクトル分析により、開環体から閉環体への光閉環反応量子収率と、閉環体から開環体への光開環反応量子収率を測定した。光開環反応量子収率は、連続的に可視光を照射することにより行った。また、閉環体の発光波長と発光量子収率も測定した。結果をまとめて表6に示す。また、閉環体の蛍光スペクトルを化合物010も含めて図10に示す。化合物1301と化合物1302の閉環体の吸収スペクトルを図11と図12にそれぞれ示す。
Figure 2014067989
Figure 2014067989
化合物1040、化合物1301および化合物1302(開環体)は、室温ではいずれも無蛍光であるが、閉環体において比較的高い蛍光量子収率を示した。また、閉環体の光開環反応量子収率は、実施例1の化合物010よりも低いものであった。
(実施例3)
本実施例において、化合物1301と化合物1302を用いて、パターニングされた有機フォトルミネッセンス素子を作製して、特性を評価した。
20mm四方のガラス基板上に化合物1301を39nmの厚さでスピンコート(1000rpm,30秒)し、フォトマスクを通して紫外線を照射することによりパターニングを行った。パターニングされた有機フォトルミネッセンス素子に対して紫外励起光を照射することにより発光させた状態を図13に示す。
化合物1301のかわりに化合物1302を用いて同様にパターニングされた有機フォトルミネッセンス素子を製造し、発光させた状態を図14に示す。
(実施例4)
本実施例において、化合物1301の閉環体とホスト材料を含む発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子を作製して、特性を評価した。
ITO基板上に、ポリ(エチレンジオキシ)チオフェン:ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)をスピコート(3000rpm,30秒:アニール30分,200℃)し、正孔注入層を形成した。化合物1301とmCPを含む組成物をスピンコート(3000rpm,30秒:アニール30分,50℃)して発光層を形成した。このとき、発光層における化合物1301の閉環体の濃度は6重量%とした。その後、電子輸送層として2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)を40nmの厚さに形成し、さらに電子注入層としてLiFを0.8nm真空蒸着し、次いでAlを64nmの厚さに蒸着することにより陰極を形成し、有機エレクトロルミネッセンス素子とした。
製造した有機エレクトロルミネッセンス素子の発光スペクトルを図15に示し、電流密度−電圧−発光特性を図16に示す。
(実施例5)
実施例4の製造工程において、発光層形成後にフォトマスクを用いて可視光(λ>420nm)で1時間ほど光パターニングを行う工程を追加で実施することにより、光パターン化された有機エレクトロルミネッセンス素子を製造した。製造した有機エレクトロルミネッセンス素子を10Vで発光させたところ、図17に示すようにパターン化された発光が認められた。
本発明の化合物は、有機発光素子の発光材料として有用である。また、本発明の製造方法を用いれば、高精細なパターンを有する有機発光素子を簡便に効率良く製造することができる。このため、本発明は産業上の利用可能性が高い。
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 電子輸送層
7 陰極
10 基板
11 陽極
12 有機層
13 陰極
14 フォトマスク

Claims (12)

  1. 記録光の照射により情報を記録することができる有機発光素子であって、
    下記一般式(1)で表される化合物を含む発光層を有することを特徴とする有機発光素子。
    Figure 2014067989
    [一般式(1)において、Z1は下記のいずれかの構造を表す。ただし、下記の構造における水素原子は置換基で置換されていてもよい。
    Figure 2014067989
    Pyはピリジル基を表す。Q1およびQ2は、各々独立に−S−または−SO2−を表す。X1およびX2は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基または炭素数1〜4のアシル基を表す。R1およびR2は、各々独立に水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ホルミル基、ニトロ基、アミノ基または炭素数1〜3のアルキルアミノ基を表す。R3およびR4は、各々独立に水素原子、置換もしくは無置換の炭素数6〜24のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜14のアルキル基、置換もしくは無置換のチオフェニル基、置換もしくは無置換のオキサジアゾリル基、置換もしくは無置換のインドリル基、置換もしくは無置換のテトラジノ基、置換もしくは無置換のジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェン−1−イル、置換もしくは無置換のジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェンジオキシド−1−イル、置換もしくは無置換のアルキルまたはアリールカルボニル基、置換もしくは無置換のアルキルまたはアリールカルボニルオキシ基、置換もしくは無置換のアミノ基、またはニトロ基を表す。R1とR3は互いに結合して環状構造を形成していてもよく、また、R2とR4は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。]
  2. 下記一般式(1)で表されることを特徴とする、光照射によって発光材料に変化する発光材料前駆体。
    Figure 2014067989
    [一般式(1)において、Z1は下記のいずれかの構造を表す。ただし、下記の構造における水素原子は置換基で置換されていてもよい。
    Figure 2014067989
    Pyはピリジル基を表す。Q1およびQ2は、各々独立に−S−または−SO2−を表す。X1およびX2は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基または炭素数1〜4のアシル基を表す。R1およびR2は、各々独立に水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ホルミル基、ニトロ基、アミノ基または炭素数1〜3のアルキルアミノ基を表す。R3およびR4は、各々独立に水素原子、置換もしくは無置換の炭素数6〜24のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜14のアルキル基、置換もしくは無置換のチオフェニル基、置換もしくは無置換のオキサジアゾリル基、置換もしくは無置換のインドリル基、置換もしくは無置換のテトラジノ基、置換もしくは無置換のジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェン−1−イル、置換もしくは無置換のジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェンジオキシド−1−イル、置換もしくは無置換のアルキルまたはアリールカルボニル基、置換もしくは無置換のアルキルまたはアリールカルボニルオキシ基、置換もしくは無置換のアミノ基、またはニトロ基を表す。R1とR3は互いに結合して環状構造を形成していてもよく、また、R2とR4は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。]
  3. 下記一般式(11)で表される化合物を含むことを特徴とする有機エネルギー変換素子。
    Figure 2014067989
    [一般式(11)において、Z1は下記のいずれかの構造を表す。ただし、下記の構造における水素原子は置換基で置換されていてもよい。
    Figure 2014067989
    Pyはピリジル基を表す。Q1およびQ2は、各々独立に−S−または−SO2−を表す。X1およびX2は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基または炭素数1〜4のアシル基を表す。R1およびR2は、各々独立に水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ホルミル基、ニトロ基、アミノ基または炭素数1〜3のアルキルアミノ基を表す。R3およびR4は、各々独立に水素原子、置換もしくは無置換の炭素数6〜24のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜14のアルキル基、置換もしくは無置換のチオフェニル基、置換もしくは無置換のオキサジアゾリル基、置換もしくは無置換のインドリル基、置換もしくは無置換のテトラジノ基、置換もしくは無置換のジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェン−1−イル、置換もしくは無置換のジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェンジオキシド−1−イル、置換もしくは無置換のアルキルまたはアリールカルボニル基、置換もしくは無置換のアルキルまたはアリールカルボニルオキシ基、置換もしくは無置換のアミノ基、またはニトロ基を表す。R1とR3は互いに結合して環状構造を形成していてもよく、また、R2とR4は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。]
  4. 下記一般式(11)で表される化合物を発光材料として含む発光層を有することを特徴とする有機発光素子。
    Figure 2014067989
    [一般式(11)において、Z1は下記のいずれかの構造を表す。ただし、下記の構造における水素原子は置換基で置換されていてもよい。
    Figure 2014067989
    Pyはピリジル基を表す。Q1およびQ2は、各々独立に−S−または−SO2−を表す。X1およびX2は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基または炭素数1〜4のアシル基を表す。R1およびR2は、各々独立に水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ホルミル基、ニトロ基、アミノ基または炭素数1〜3のアルキルアミノ基を表す。R3およびR4は、各々独立に水素原子、置換もしくは無置換の炭素数6〜24のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜14のアルキル基、置換もしくは無置換のチオフェニル基、置換もしくは無置換のオキサジアゾリル基、置換もしくは無置換のインドリル基、置換もしくは無置換のテトラジノ基、置換もしくは無置換のジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェン−1−イル、置換もしくは無置換のジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェンジオキシド−1−イル、置換もしくは無置換のアルキルまたはアリールカルボニル基、置換もしくは無置換のアルキルまたはアリールカルボニルオキシ基、置換もしくは無置換のアミノ基、またはニトロ基を表す。R1とR3は互いに結合して環状構造を形成していてもよく、また、R2とR4は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。]
  5. 下記一般式(11)で表されることを特徴とする発光材料。
    Figure 2014067989
    [一般式(11)において、Z1は下記のいずれかの構造を表す。ただし、下記の構造における水素原子は置換基で置換されていてもよい。
    Figure 2014067989
    Pyはピリジル基を表す。Q1およびQ2は、各々独立に−S−または−SO2−を表す。X1およびX2は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基または炭素数1〜4のアシル基を表す。R1およびR2は、各々独立に水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ホルミル基、ニトロ基、アミノ基または炭素数1〜3のアルキルアミノ基を表す。R3およびR4は、各々独立に水素原子、置換もしくは無置換の炭素数6〜24のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜14のアルキル基、置換もしくは無置換のチオフェニル基、置換もしくは無置換のオキサジアゾリル基、置換もしくは無置換のインドリル基、置換もしくは無置換のテトラジノ基、置換もしくは無置換のジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェン−1−イル、置換もしくは無置換のジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェンジオキシド−1−イル、置換もしくは無置換のアルキルまたはアリールカルボニル基、置換もしくは無置換のアルキルまたはアリールカルボニルオキシ基、置換もしくは無置換のアミノ基、またはニトロ基を表す。R1とR3は互いに結合して環状構造を形成していてもよく、また、R2とR4は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。]
  6. 有機エレクトロルミネセンス素子用の発光材料であることを特徴とする請求項5に記載の発光材料。
  7. 下記一般式(3’)で表されることを特徴とする化合物。
    Figure 2014067989
    [一般式(3’)において、Z1は下記のいずれかの構造を表す。ただし、下記の構造における水素原子は置換基で置換されていてもよい。
    Figure 2014067989
    Pyはピリジル基を表す。Q1およびQ2は、各々独立に−S−または−SO2−を表す。X1およびX2は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基または炭素数1〜4のアシル基を表す。Z2およびZ3は、各々独立に6員芳香環構造を表す。環骨格を形成する原子は炭素原子のみからなるか、あるいは炭素原子と窒素原子からなる。R5およびR6は、各々独立に置換基を表す。n5およびn6は、各々独立に0〜4の整数を表す。ただし、Z1がチアゾール環を形成するとき、Z2とZ3がともにベンゼン環を形成することはない。]
  8. 下記一般式(13’)で表されることを特徴とする化合物。
    Figure 2014067989
    [一般式(13’)において、Z1は下記のいずれかの構造を表す。ただし、下記の構造における水素原子は置換基で置換されていてもよい。
    Figure 2014067989
    Pyはピリジル基を表す。Q1およびQ2は、各々独立に−S−または−SO2−を表す。X1およびX2は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基または炭素数1〜4のアシル基を表す。Z2およびZ3は、各々独立に6員芳香環構造を表す。環骨格を形成する原子は炭素原子のみからなるか、あるいは炭素原子と窒素原子からなる。R5およびR6は、各々独立に置換基を表す。n5およびn6は、各々独立に0〜4の整数を表す。ただし、Z1がチアゾール環を形成するとき、Z2とZ3がともにベンゼン環を形成することはない。]
  9. 下記一般式(1)で表される化合物を含む発光層を形成し、発光層に記録光を照射することにより前記一般式(1)で表される化合物を発光材料に変化させる工程を含むことを特徴とする有機発光素子の製造方法。
    Figure 2014067989
    [一般式(1)において、Z1は下記のいずれかの構造を表す。ただし、下記の構造における水素原子は置換基で置換されていてもよい。
    Figure 2014067989
    Pyはピリジル基を表す。Q1およびQ2は、各々独立に−S−または−SO2−を表す。X1およびX2は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基または炭素数1〜4のアシル基を表す。R1およびR2は、各々独立に水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ホルミル基、ニトロ基、アミノ基または炭素数1〜3のアルキルアミノ基を表す。R3およびR4は、各々独立に水素原子、置換もしくは無置換の炭素数6〜24のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜14のアルキル基、置換もしくは無置換のチオフェニル基、置換もしくは無置換のオキサジアゾリル基、置換もしくは無置換のインドリル基、置換もしくは無置換のテトラジノ基、置換もしくは無置換のジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェン−1−イル、置換もしくは無置換のジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェンジオキシド−1−イル、置換もしくは無置換のアルキルまたはアリールカルボニル基、置換もしくは無置換のアルキルまたはアリールカルボニルオキシ基、置換もしくは無置換のアミノ基、またはニトロ基を表す。R1とR3は互いに結合して環状構造を形成していてもよく、また、R2とR4は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。]
  10. 前記有機発光材料が有機エレクトロルミネセンス素子であることを特徴とする請求項9に記載の有機発光素子の製造方法。
  11. 前記発光層の上に電極を形成する前に前記記録光を照射することを特徴とする請求項9または10に記載の有機発光素子の製造方法。
  12. 前記発光層の上に電極を形成した後に前記記録光を照射することを特徴とする請求項9または10に記載の有機発光素子の製造方法。
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